JP6757928B2 - 半導体装置の製造方法及びこれに用いる半導体製造装置 - Google Patents

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本発明は、炭化珪素(SiC)を材料とする半導体基板又はSiCを材料とする半導体層の表面を熱酸化してシリコン酸化膜(SiO膜)を形成する工程を含む半導体装置の製造方法及びこれに用いる半導体製造装置に関する。
従来のSiC半導体装置として、SiCを材料とする半導体基板(以下、「SiC基板」という)又はSiCを材料とする半導体層(以下、「SiC層」という)を用いたMOSFETやMOSキャパシタ等が知られている。MOSFETのゲート絶縁膜やMOSキャパシタのキャパシタ絶縁膜としてはSiO膜が利用されている。SiO膜は、禁制帯幅が広く、且つ、半導体や金属との界面に高いエネルギー障壁を形成するという特徴により、高い絶縁特性を有する。このため、SiC半導体装置においてもSiO膜を利用することが広く検討されている。
SiC基板又はSiC層の表面にSiO膜を形成する方法としては、高温にしたSiC基板又はSiC層の表面を酸化性雰囲気に晒すことによる熱酸化法や、有機シラン系等の原料ガスを熱分解することによる化学気相成長(CVD)法、スパッタリング法等の物理気相成長(PVD)法が挙げられる。これらのSiO膜の形成方法のうち、リーク電流や界面準位等の絶縁特性の視点からは熱酸化法が有利である。
しかしながら、SiC基板又はSiC層の表面に熱酸化法によりSiO膜を形成する場合には、SiO及びSiCの界面特有の界面欠陥が形成されることが報告されている。この界面欠陥によりSiO及びSiCの界面の特性は劣悪なものとなる。このため、SiC基板又はSiC層の表面に、熱酸化法で形成されたSiO膜からなるゲート絶縁膜を有するSiC−MOSFETのチャネル移動度は、SiCバルクの電子移動度から予測される値よりも極めて低く、トランジスタとしては実用化に至らない。このようにSiC−MOSFETのチャネル移動度は極めて小さいため、そのオン抵抗値(Ron)がその物性値から理論的に予測される値よりも極めて高い。
とりわけ四層周期六方晶の炭化珪素(4H−SiC)では、バルクの電子移動度は900cm/Vs程度であるにもかかわらず、ドライ酸化等の通常の熱酸化法によってゲート酸化膜を形成したMOSFETのチャネル移動度は0〜5cm/Vs程度と極めて低い。この原因は、チャネル部の伝導帯近傍の高い界面準位密度に起因するものと考えられている。
SiO及びSiCの界面特性を改善する一般的な手法としては、酸素(O)を含む雰囲気でSiC基板又はSiC層の表面を酸化した後、POA(Post Oxidation Annealing)として一酸化二窒素(NO)や一酸化窒素(NO)を含むガスを供給する方法が知られている(特許文献1参照)。この場合、酸化と同時に窒化が起こり、窒素が酸化膜中や界面のダングリングボンドの終端に寄与し、界面準位密度を低減する効果があるとされている。
また、O又は水蒸気雰囲気中にて1100℃〜1200℃の範囲の温度でSiC基板又はSiC層の表面に熱酸化膜を形成し、不活性ガス中で降温することにより界面準位密度を低減する方法が提案されている(特許文献2参照)。
しかしながら、特許文献1に記載のNOやNOを含むガスを用いる方法では、窒素由来の電荷捕獲中心が酸化膜中に形成され、電気的ストレスに対する酸化膜の長期信頼性を悪化させる等の懸念がある。また、特許文献2に記載の不活性ガス中で降温することにより界面準位密度を低減する方法では、界面準位密度低減の効果は不十分である。
特開2004−511101号公報 特開2003−31571号公報
上記課題に鑑み、本発明は、SiC基板又はSiC層の表面を熱酸化してSiO膜を形成する際に、SiO及びSiCの界面準位密度を低減できる半導体装置の製造方法及びこれに用いる半導体製造装置を提供することを目的とする。
本発明の一態様は、(a)SiCを材料とする被処理基体の表面に酸化剤を含むガスを供給することにより、被処理基体の表面を熱酸化してシリコン酸化膜を形成するステップと、(b)シリコン酸化膜を形成するステップ後に、ガス中の酸化剤の分圧を10Pa以下に低下して雰囲気を置換するステップと、(c)雰囲気を置換するステップ後に、被処理基体の温度を降温させるステップとを含む半導体装置の製造方法を提供する。
本発明の他の態様は、(a)SiCを材料とする被処理基体の表面に酸化剤を含むガスを供給することにより、被処理基体の表面を熱酸化してシリコン酸化膜を形成する工程と、(b)シリコン酸化膜を形成する工程の後、被処理基体の温度を、被処理基体の表面の酸化が停止する温度まで、シリコン酸化膜の形成終了から2秒以内に降温させる工程とを含む半導体装置の製造方法を提供する。
本発明の更に他の態様は、(a)SiCを材料とする被処理基体を収納する反応管と、(b)反応管内に酸化剤を含むガスを供給するガス供給管とを備え、ガスを供給することにより被処理基体の表面を熱酸化してシリコン酸化膜を形成し、シリコン酸化膜を形成した後に、反応管内における酸化剤の分圧を10Pa以下に低下させ、その後に反応管内を降温させる半導体製造装置を提供する。
本発明の更に他の態様は、(a)SiCを材料とする被処理基体を収納する反応管と、(b)反応管内に酸化剤を含むガスを供給するガス供給管とを備え、ガスを供給することにより、被処理基体の表面を熱酸化してシリコン酸化膜を形成し、シリコン酸化膜を形成後、被処理基体の温度を、被処理基体の表面の酸化が停止する温度まで、シリコン酸化膜の形成終了から2秒以内に降温させる半導体製造装置を提供する。
本発明によれば、SiC基板又はSiC層の表面を熱酸化してSiO膜を形成する際に、SiO及びSiCの界面準位密度を低減できる半導体装置の製造方法及びこれに用いる半導体製造装置を提供することができる。
本発明の第1の実施形態に係る半導体製造装置(酸化炉)の一例を示す概略図である。 本発明の第1の実施形態に係る酸化膜形成工程のフローチャートである。 図3(a)〜図3(c)は、本発明の第1の実施形態に係る酸化膜形成工程の温度変化をそれぞれ表すタイミングチャートである。 本発明の第1の実施形態に係るMOSキャパシタの構成の一例を示す断面図である。 図5(a)〜図5(d)は、本発明の第1の実施形態に係るMOSキャパシタの製造方法の工程断面図である。 第1の実施例の界面準位密度の測定値を比較例A,Bと比較して示すグラフである。 第2の実施例A〜Fの界面準位密度の測定値を示すグラフである。 本発明の第1の実施形態の第1の変形例に係る酸化膜形成工程のフローチャートである。 図9(a)〜図9(c)は、本発明の第1の実施形態の第1の変形例に係る酸化膜形成工程の温度変化をそれぞれ表すタイミングチャートである。 本発明の実施形態の第2の変形例に係るMOSFETの構成の一例を示す断面図である。 図11(a)〜図11(c)は、本発明の第1の実施形態の第2の変形例に係るMOSFETの製造方法の工程断面図である。 図12(a)〜図12(c)は、本発明の第1の実施形態の第2の変形例に係るMOSFETの製造方法の図11(c)に引き続く工程断面図である。 図13(a)〜図13(c)は、本発明の第1の実施形態の第2の変形例に係るMOSFETの製造方法の図12(c)に引き続く工程断面図である。 図14(a)及び図14(b)は、本発明の第1の実施形態の第2の変形例に係るMOSFETの製造方法の図13(c)に引き続く工程断面図である。 本発明の第1の実施形態の第3の変形例に係るMOSFETの構成の一例を示す断面図である。 図16(a)〜図16(d)は、本発明の第1の実施形態の第3の変形例に係るMOSFETの製造方法の工程断面図である。 図17(a)〜図17(b)は、本発明の第1の実施形態の第3の変形例に係るMOSFETの製造方法の図16(d)に引き続く工程断面図である。 図18(a)及び図18(b)は、本発明の第1の実施形態の第3の変形例に係るMOSFETの製造方法の図17(b)に引き続く工程断面図である。 本発明の第2の実施形態に係る半導体製造装置(酸化炉)の一例を示す概略図である。 本発明の第2の実施形態に係る半導体製造装置(酸化炉)の一例を示す概略図である。 本発明の第2の実施形態に係る酸化膜生成工程のフローチャートである。 本発明の第2の実施形態に係る酸化膜生成工程の温度変化を表すタイミングチャートである。 酸化膜を備えるMOSキャパシタの構成を示す断面図である。 実施例の酸化膜及び比較例の酸化膜の界面準位密度の測定値を示すグラフである。 各種酸化膜形成温度における界面準位密度の測定値を示すグラフである。 本発明の第2の実施形態の第1の変形例に係る半導体製造装置(酸化炉)の一例を示す概略図である。 本発明の第2の実施形態の第1の変形例に係る半導体製造装置(酸化炉)の他の一例を示す概略図である。 本発明の第2の実施形態の第2の変形例に係る半導体製造装置(酸化炉)の一例を示す概略図である。
以下において、本発明の第1及び第2の実施形態を図面を参照して説明する。以下の説明で参照する図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
更に、以下に示す第1及び第2の実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための半導体製造装置及び半導体装置を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質や、それらの形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
また、本明細書において説明する半導体装置の導電型は一例であり、以下の説明に用いた導電型の選択に限定される必要はない。また、本明細書及び添付図面においては、n又はpを冠記した層や領域では、それぞれ電子又は正孔が多数キャリアであることを意味する。また、nやpに上付き文字で付す+及び−は、+及び−の付記されていない半導体領域に比してそれぞれ相対的に不純物密度が高い又は低い半導体領域であることを意味する。+及び−を含めたnやpの表記が同じ場合は近い濃度であることを示すが、濃度が同等とは限らない。また、本明細書では、ミラー指数の表記において、「−」はその直後の指数に付くバーを意味しており、指数の前に「−」を付けることで負の指数を表している。
また、本明細書において、「上側」「下側」等の「上」「下」の定義は、図示した断面図上の単なる表現上の問題であって、例えば、半導体装置の方位を90°変えて観察すれば「上」「下」の称呼は、「左」「右」になり、180°変えて観察すれば「上」「下」の称呼の関係は逆になることは勿論である。
<半導体製造装置>
本発明の第1の実施形態に係る半導体製造装置は、図1に示すように、SiCからなる被処理基体100を収納する略円筒形の石英からなる反応管101と、反応管101の周囲に設けられた加熱手段102と、反応管101内に配置され、被処理基体100を複数枚保持可能なサセプタ103とを備える酸化炉である。SiCからなる被処理基体100は、SiC基板の単層構造や、最上面がSiC層である多層構造を有する。サセプタ103はSiCを含む材料からなることが好ましい。加熱手段102としては、例えば赤外線ランプ等が使用可能である。
反応管101の上流側には複数のガス供給管105,106の一端がそれぞれ接続され、複数のガス供給管105,106の他端には不活性ガス供給源113及び酸化剤供給源114がそれぞれ接続されている。ガス供給管105,106の経路の途中にはガス流量を調整可能なガスバルブ107,108が設けられている。不活性ガス供給源113は、アルゴン(Ar)、ヘリウム(He)、窒素(N)又はこれらの混合ガス等の不活性ガスを、ガス供給管105を介して反応管101に供給する。酸化剤供給源114は、O、水蒸気、NO、NO又はこれらの混合ガス等の酸化剤を含むガス(酸化ガス)を、ガス供給管106を介して反応管101に供給する。酸化剤供給源114は、後述するPOAプロセスにおいては、O、水蒸気、NO、NO、アンモニア(NH)ガス又はこれらの混合ガス等のガスを、ガス供給管106を介して反応管101に供給する。
反応管101の下流側には、排気管109を介して真空ポンプ110が接続されている。真空ポンプ110としては、ターボ分子ポンプ、クライオポンプ又はロータリーポンプ等が使用可能である。反応管101の内部には、反応管101内及び被処理基体100の温度を測定する温度測定手段112が設けられている。温度測定手段112としては、B型熱電対(ロジウム30%の白金ロジウム合金―ロジウム6%の白金ロジウム合金)等が使用可能である。反応管101の内部には、反応管101内のガス中の酸化剤の濃度の分圧を測定可能な酸化剤濃度計111が設けられている。
温度測定手段112、酸化剤濃度計111、加熱手段102、ガスバルブ107,108、真空ポンプ110には制御部120が電気的に接続されている。制御部120は、温度測定手段112により測定された反応管101内及び被処理基体100の温度や、酸化剤濃度計111により測定された酸化剤の濃度に基づいて、加熱手段102の加熱温度、不活性ガスの流量、酸化剤の流量、真空ポンプ110による排気量等を制御する。制御部120は中央演算処理装置(CPU)の機能を有するマイクロプロセッサやメモリ等で構成される。
<酸化膜の形成方法>
次に、図1に示した本発明の第1の実施形態に係る半導体製造装置を用いた酸化膜形成工程の一例を図1〜図3を参照しながら説明する。酸化膜形成工程は、図2のフローチャートに示すように、ステップS10の昇温プロセス、ステップS11の酸化プロセス、ステップS12の雰囲気置換プロセス、ステップS13の降温プロセスを含む。
図1に示すように、反応管101内のサセプタ103にSiCを材料とする被処理基体100を予め固定しておく。この例は、サセプタ103に対して被処理基体100が複数であるバッチ式となっているが、サセプタ103に1つの被処理基体100を載置する枚葉式としてもよい。枚葉式の場合、反応管101の容積を小さくでき、雰囲気置換をより効率的に行うことができる。
まず、図2のステップS10の昇温プロセスを実施する。昇温プロセスでは、図3(a)に示すように、時刻t10〜t11において、加熱手段102により被処理基体100を加熱して、反応管101内及び被処理基体100をSiCの熱酸化が可能な所定の温度T1まで昇温する。
次に、図2のステップS11の酸化プロセスを実施する。酸化プロセスでは、図3(a)に示すように、時刻t11〜t12において、加熱手段102により加熱を継続し、温度測定手段112により測定される被処理基体100の温度T1を、SiCの熱酸化が可能な1250℃以上且つ1600℃以下程度の温度範囲で保持する。酸化剤供給源114が、O、水蒸気、NO、NO又はこれらの混合ガス等の酸化剤を含むガスを反応管101内に供給し、反応管101内を乾燥酸素雰囲気とする。これにより、大気圧の乾燥酸素雰囲気中にて被処理基体100の表面が熱酸化され、例えば厚さ30nm程度のSiO膜が形成される。
次に、図2のステップS12の雰囲気置換プロセスを実施する。雰囲気置換プロセスでは、図3(a)に示すように、時刻t12〜t13において、例えば1250℃以上の温度T1で、真空ポンプ110を用いて反応管101内を排気することにより反応管101内に残留している酸化剤を含むガスを除去して、酸化剤濃度計111により測定される酸化剤の分圧を10Pa以下に低下させる。
引き続き、時刻t13〜t14において、1250℃以上の温度T1で、不活性ガス供給源113が、Ar、He、N又はこれらの混合ガス等の不活性ガスを反応管101内に供給することにより、反応管101内の圧力を大気圧となるまで上昇させて、反応管101内を不活性ガス雰囲気に置換する。なお、雰囲気置換プロセスは、酸化プロセスの温度と同一の温度で実施してもよく、酸化プロセスの温度とは異なる温度(酸化プロセスの温度よりも高温又は低温)で実施してもよい。
次に、図2のステップS13の降温プロセスを実施する。降温プロセスでは、図3(a)に示すように、時刻t14〜t15において、加熱手段102による加熱を停止して、Ar雰囲気中で800℃以下まで反応管101内及び被処理基体100を冷却し降温させる。その後、反応管101内からSiO膜が形成された被処理基体100を取り出し、酸化膜形成工程を完了する。
なお、ステップS12の雰囲気置換プロセスにおいて、図3(a)に示したような真空ポンプ110を用いた排気をせずに、図3(b)に示すように、時刻t12〜t14においてAr等の不活性ガスを反応管101内に導入して反応管101内に残留している酸化剤を希釈することにより、反応管101内の酸化剤の分圧を10Pa以下まで低下させるとともに、雰囲気を置換してもよい。
また、ステップS12の雰囲気置換プロセスにおいて、図3(c)に示すように、時刻t12〜t14において、真空ポンプ110を用いた排気のみを実施して、酸化剤濃度計111により測定される酸化剤の分圧を10Pa以下に低下させ、図3(a)に示したようなその後の不活性ガスを導入する処理は実施しなくてもよい。但し、不活性ガスによる冷却効果が失われるため、その後の降温プロセスに必要な時間は長くなる。
<半導体装置の製造方法>
次に、本発明の第1の実施形態に係るSiC半導体装置の製造方法の一例として、図4に示すMOSキャパシタを製造する場合を説明する。図4に示すMOSキャパシタは、n型のSiC基板1と、SiC基板1上に配置されたn型のSiC層2と、SiC層2上に配置されたキャパシタ絶縁膜(SiO膜)3と、キャパシタ絶縁膜3上に配置された電極4と、SiC基板1の裏面に配置された電極5とを備える。SiC基板1とSiC層2とで本発明の第1の実施形態に係る被処理基体(1,2)を構成している。また、SiC層2、キャパシタ絶縁膜(SiO膜)3及び電極4によりキャパシタが構成される。
次に、本発明の第1の実施形態に係る酸化膜形成工程を含む、図4に示したMOSキャパシタの製造方法の一例を、図5(a)〜図5(d)を参照しながら説明する。
まず、不純物密度7×1017〜5×1018cm−3程度のn型のSiC基板1を用意する。SiC基板1としては、例えば4H−SiCの(0001)基板((0001)面から0〜8度オフ基板)が使用可能である。図5(a)に示すように、SiC基板1上に不純物密度5×1016cm−3程度のn型のSiC層(エピタキシャル層)2を5μm程度成長させ、SiC基板1とSiC層2とを有する被処理基体(1,2)を用意する。本発明の第1の実施形態に係る被処理基体(1,2)は、特定の方位面を定義する平坦な表面を持つことが好ましい。エピタキシャル成長後の被処理基体(1,2)も、特定の方位面である(0001)面から0〜8度オフした平坦な表面を有することは勿論である。
次に、被処理基体(1,2)を洗浄した後に、図1に示した酸化炉内に被処理基体(1,2)を収納し、上述した本発明の第1の実施形態に係る酸化膜形成工程を実施する。この結果、図5(b)に示すように、SiC層2の表面の全面に厚さ30nm程度のSiO膜からなるキャパシタ絶縁膜3が形成されるとともに、SiC基板1の裏面の全面にもSiO膜3xが形成される。
次に、室温での蒸着法又はスパッタ法等により、図5(c)に示すように、キャパシタ絶縁膜3の表面の全面にアルミニウム(Al)等の金属膜4を堆積する。その後、金属膜4上にフォトレジスト膜を塗布し、フォトリソグラフィ技術を用いてフォトレジスト膜をパターニングする。パターニングされたフォトレジスト膜をマスクとして用いて、ドライエッチング等により金属膜4の一部を選択的に除去することにより、図5(d)に示すように、ドット状の電極4を形成する。
次に、研削又はウェットエッチング等によりSiC基板1の裏面のSiO膜3xを除去する。その後、蒸着法やスパッタ法等により、図4に示すように、SiC基板1の裏面の全面にAl等からなる電極5を形成することにより、MOSキャパシタが完成する。
本発明の第1の実施形態によれば、MOSキャパシタのSiO膜からなるキャパシタ絶縁膜3を形成する際に、雰囲気置換プロセスにおいて、反応管101内の酸化剤の分圧を10Pa以下まで低下させて、降温プロセス開始時の酸化剤の分圧を10Pa以下とすることで、SiC及びSiOの界面準位密度を低減できる。したがって、SiC層2上に良質な酸化膜3を形成することができる。
<第1の実施例>
第1の実施例として、図4に示したMOSキャパシタを作製した。MOSキャパシタのキャパシタ絶縁膜の形成工程においては、図2及び図3(a)に示した酸化膜形成工程を実施した。ステップS11の酸化プロセスにおいては、大気圧の乾燥酸素雰囲気中にて、図5(a)と同様なSiC基板1とSiC層2とからなる被処理基体(1,2)を1400℃で酸化し、SiC層2の表面に厚さ30nmのキャパシタ酸化膜3を形成した。ステップS12の雰囲気置換プロセスにおいて、1400℃にて真空ポンプ110を用いて反応管101内の酸化剤の除去を行い、酸化剤(酸素)の分圧を10Pa以下とした。その後、Arを反応管101内に導入し、反応管101内の圧力を大気圧とした。ステップS13の降温プロセスにおいて、キャパシタ酸化膜3が形成された被処理基体(1,2)をAr雰囲気中で800℃以下まで降温させた後、キャパシタ酸化膜3が形成された被処理基体(1,2)を反応管101内から取り出した。
第1の実施例と比較する比較例Aとして、酸化プロセス後に雰囲気置換プロセスを実施せずに、直ちに降温プロセスを大気圧酸素雰囲気中で開始する点を異ならせ、他は同様の方法でMOSキャパシタを作製した。比較例Bとして、雰囲気置換プロセスにおいて真空ポンプ110を用いて酸化剤の分圧を100Paまで低下させた後に降温プロセスを開始してArを導入する点を異ならせ(即ち酸化剤の分圧を異ならせ)、他は同様の方法でMOSキャパシタを作製した。
第1の実施例及び比較例A,Bに係るMOSキャパシタをC−Vメータで測定し、1MHzのC−V特性と擬静的(Quasi−Static)C−V特性によるハイ・ロウ(High−Low)法により界面準位密度Ditの差を調査した。図6に、第1の実施例に係るMOSキャパシタの測定結果から得られた界面準位密度Ditを比較例A,Bとともに示す。図6の横軸はバンドギャップ内の界面準位エネルギー(Ecは導電帯エネルギー端)を示し、縦軸は界面準位密度Ditを示す。
図6に示すように、降温プロセス時の雰囲気で比較すると、比較例Aに対して比較例Bでは、エネルギーの深い(Ec−Eが大きい)界面準位密度Ditの低減効果は見られるものの、エネルギーの浅い界面準位密度Ditの低減効果は小さい。一方、第1の実施例では、エネルギーの深い界面準位、浅い界面準位ともに界面準位密度Ditの低減効果が認められる。
このように、第1の実施例によれば、降温プロセス時の反応管101内の酸化剤の分圧を10Pa以下に低下させることで、SiC及びSiOの界面に偏析している炭素由来の欠陥面密度を2×1012cm−2以下に低減でき、界面準位密度Ditを低減できた。
<第2の実施例>
次に、第2の実施例として、第1の実施例と同様のMOSキャパシタを、酸化プロセス時の温度を変えて複数作製した。酸化プロセスでは、大気圧の乾燥酸素雰囲気中にて1150℃、1200℃、1250℃、1300℃、1450℃、1600℃で酸化し、SiC層上に厚さ30nmのキャパシタ酸化膜を形成し、それぞれ第2の実施例A〜Fとした。
第2の実施例A〜Fに係るMOSキャパシタをC−Vメータで測定し、1MHzのC−V特性と擬静的C−V特性によるハイ・ロウ法により界面準位密度Ditの差を調査した。図7に、第2の実施例A〜Fの測定結果から得られた界面準位密度Ditを示す。図7に示すように、1250℃以下の酸化温度の実施例A,B,Cでは、酸化温度が高くなるほど界面準位密度Ditが減少した。一方、1300℃以上の酸化温度の実施例D,E,Fでは、界面準位密度に有意な差は見られなかった。
第2の実施例によれば、酸化プロセスを1250℃以下で実施すると界面準位密度Ditが増加した。このため、酸化プロセスを1250℃以下で実施する場合には、降温プロセスを酸化剤の分圧を10Pa以下で実施し、界面準位密度Ditを低減することが特に有効である。
<第1の変形例>
本発明の第1の実施形態の第1の変形例として、酸化膜形成工程の変形例を説明する。本発明の第1の実施形態の第1の変形例に係る酸化膜形成工程は、図8に示すように、ステップS20の昇温プロセス、ステップS21の酸化プロセス、ステップS22のPOAプロセス、ステップS23の雰囲気置換プロセス、ステップS24の降温プロセスを含む。即ち、ステップS21の酸化プロセスと、ステップS23の雰囲気置換プロセスの間に、ステップS22のPOAプロセスが追加されている点が、図2に示した本発明の第1の実施形態に係る酸化膜形成工程の手順と異なる。
図8のステップS20において、昇温プロセスを実施する。昇温プロセスでは、図9(a)に示すように、時刻t20〜t21において、加熱手段102により加熱して所定の温度T1まで昇温させる。次に、図8のステップS21において、酸化プロセスを実施する。酸化プロセスでは、図9(a)に示すように、時刻t21〜t22において、ステップS11の酸化プロセスと同様に、所定の温度T1(1250℃〜1600℃程度)に加熱しながら酸化剤を含むガスを供給して、被処理基体100の表面を熱酸化してSiO膜を形成する。
次に、図8のステップS22において、POAプロセスを実施する。POAプロセス前に酸素雰囲気で降温すると界面特性が悪くなるので、POAプロセスでは、図9(a)に示すように、酸化プロセスから降温せずに同じ温度T1でPOAプロセスを実施する。時刻t23〜t24において、酸化剤供給源114がO、水蒸気、NO、NO、NH又はこれらの混合ガス等を含むガスを反応管101内に供給しながら熱処理(アニール)を行う。
なお、時刻t22〜t23の間隔を空けずに、時刻t22から直ちに、O、水蒸気、NO、NO、NH又はこれらの混合ガス等を含むガスの反応管101内への供給を開始してもよい。即ち、時刻t22〜t24においてガスを反応管101内に供給しながら熱処理(アニール)を行ってもよい。また、時刻t22〜t23で、ステップS21の酸化プロセスからステップS22のPOAプロセスとする際に、酸化プロセスの温度よりも低い温度(例えば1000℃〜1100℃程度)に降温する場合は、該降温前にも更に雰囲気置換プロセスを加えるのがよい。
次に、図8のステップS23の雰囲気置換プロセスを実施する。雰囲気置換プロセスでは、図9(a)に示すように、時刻t24〜t25において、所定の温度T1で真空ポンプ110を用いて反応管101内を排気することにより、反応管101内に残留したPOAプロセスで用いたガスを除去し、反応管101内における酸化剤の分圧を10Pa以下まで低下させる。
引き続き、時刻t25〜t26において、不活性ガス供給源113から反応管101内へ不活性ガスを導入し、不活性ガス雰囲気に置換する。なお、雰囲気置換プロセスの温度は、POAプロセスと同一の温度で実施してもよく、酸化プロセスの温度とは異なる温度(酸化プロセスの温度よりも高温又は低温)で実施してもよい。
次に、図8のステップS24において、降温プロセスを実施する。降温プロセスでは、図9(a)に示すように、時刻t26〜t27において、加熱手段102を停止して、不活性ガス雰囲気で所定の温度(例えば800℃)以下まで降温させる。
第1の変形例によれば、酸化プロセス後にPOAプロセスを実施する場合でも、POAプロセス後の雰囲気置換プロセスにおいて、反応管101内の酸化剤の分圧を10Pa以下まで低下させて、降温プロセス開始時の酸化剤の分圧を10Pa以下とすることで、SiC及びSiOの界面準位密度を低減できる。したがって、被処理基体100の表面に良質なSiO膜を形成することができる。
なお、図8のステップS23の雰囲気置換プロセスにおいて、図9(a)に示したような真空ポンプ110を用いた排気をせずに、図9(b)に示すように、時刻t24〜t26においてAr等の不活性ガスを反応管101内に導入して酸化剤を希釈することにより、反応管101内の酸化剤の分圧を10Pa以下まで低下させ、雰囲気を置換してもよい。
また、図8のステップS23の雰囲気置換プロセスにおいて、図9(c)に示すように、時刻t24〜t26において、真空ポンプ110を用いた排気を実施して、酸化剤濃度計111により測定される酸化剤の分圧を10Pa以下に低下させる処理のみ行ってもよく、図9(a)に示したようなその後の不活性ガスを導入しなくてもよい。但し、不活性ガスによる冷却効果が失われるため、その後の降温プロセスに必要な時間は長くなる。
<第2の変形例>
本発明の第1の実施形態の第2の変形例に係る半導体装置の製造方法として、図10に示す横型のMOSFETの製造方法を説明する。本発明の第1の実施形態の第2の変形例に係る半導体装置は、図10に示すように、p型のSiC基板6と、SiC基板6上に配置されたp型のエピタキシャル層7とを備える。エピタキシャル層7の上部には、ドレイン領域12、ソース領域13及びグラウンド領域(コンタクト領域)14が形成されている。ドレイン領域12、ソース領域13及びグラウンド領域14上にはSiCと金属との反応層20a,20bが形成され、反応層20a,20b上には電極21a,21bが形成されている。SiC基板6の裏面には電極22が配置されている。エピタキシャル層7上にはSiO膜からなるゲート絶縁膜17を介してゲート電極18が配置され、ゲート電極18上には電極21cが配置されている。
次に、本発明の第1の実施形態に係る第2の変形例に係る半導体装置の製造方法の一例を図11(a)〜図13(c)を用いて説明する。
まず、p型のSiC基板6として、不純物密度5×1017〜3×1018cm−3程度の4H−SiC基板((000−1)面0〜8度オフ基板、好ましくは0〜4度オフ基板)を用意する。そして、図11(a)に示すように、SiC基板6上に、不純物密度1×1016cm−3程度のp型のエピタキシャル層7を成長して、SiC基板6とエピタキシャル層7とを有する被処理基体(6,7)を用意する。
次に、エピタキシャル層7の表面上に減圧(LP)CVD法等により厚さ1μmのSiO膜を堆積する。そして、フォトリソグラフィ技術を用いてSiO膜の一部を選択的に除去して、図11(b)に示すようにSiO膜からなるマスク8のパターンを形成する。その後、マスク8を用いて、例えば燐イオン9を基板温度500℃、40keV〜250keVの多段加速エネルギー、各段におけるドーズ量2×1015〜1×1016cm−2として、最終的な注入量が1×1020〜1×1021cm−3となるように、選択的にイオン注入する。その後、ドライエッチング等によりマスク8を除去する。
次に、エピタキシャル層7の表面上にLPCVD法により、厚さ1μmのSiO膜を堆積し、フォトリソグラフィ技術を用いてSiO膜の一部を選択的に除去して、図11(c)に示すようにSiO膜からなるマスク10のパターンを形成する。その後、マスク10を用いて、例えばアルミニウムイオン11を基板温度500℃、40keV〜200keVの多段加速エネルギー、各段におけるドーズ量5×1015〜2×1016cm−2として、最終的な注入量が1×1020〜1×1021cm−3となるように、選択的にイオン注入する。その後、ドライエッチング等によりマスク10を除去する。次に、Ar雰囲気中にて1600℃で5分間にわたる活性化アニールを行うことにより、図12(a)に示すように、エピタキシャル層7の上部にドレイン領域12、ソース領域13及びグラウンド領域14を選択的に形成する。
次に、LPCVD法により厚さ0.5μmのフィールド酸化膜15を堆積する。フィールド酸化膜15上にフォトレジスト膜を塗布し、フォトリソグラフィ技術を用いてフォトレジスト膜をパターニングする。パターニングされたフォトレジスト膜をマスクとして用いたウェットエッチングにより、フィールド酸化膜15の一部を除去して、図12(b)に示すように、アクティブ領域16を画定する矩形の窓部を形成する。
次に、アクティブ領域16を定義したエピタキシャル層7を有する被処理基体(6,7)を洗浄した後に、上述した本発明の第1の実施形態に係る酸化膜形成工程を実施する。例えば、SiCを含む材料で構成されたサセプタ103上に設置する。そして、温度測定手段112を用いて温度をモニタしながら加熱手段102を用いて被処理基体(6,7)を加熱し、1300℃の乾燥酸素雰囲気中にて酸化プロセスを実施する。この結果、図12(c)に示すように、厚さ50nmのSiO膜からなるゲート絶縁膜17をアクティブ領域16内のエピタキシャル層7の表面に形成する。その後、真空ポンプ110を用いて酸化剤の分圧を10Pa以下の圧力となるまで排気し、その後、Arガスを導入して不活性ガス雰囲気に置換する。その後、降温プロセスにて800℃以下まで半導体基体を降温する。
次に、ゲート絶縁膜17上には、LPCVD法によって多結晶シリコン膜を0.3μmの厚さで堆積する。フォトリソグラフィ技術を用いて多結晶シリコン膜をパターン加工して、図13(a)に示すようにゲート絶縁膜17の上にゲート電極18を形成する。フォトリソグラフィ技術によってフォトレジスト膜71のエッチングマスクを形成し、このエッチングマスクを用いてフッ酸等によりゲート絶縁膜17をエッチングすることにより、図13(b)に示すように、ドレイン領域12、ソース領域13及びグラウンド領域14上に、ゲート絶縁膜17の一部にコンタクトホールを選択的に開孔する。エッチングマスクとして用いたフォトレジスト膜71の上から厚さ10nmのAlと更に60nmのニッケル(Ni)を蒸着して、多層の金属層を堆積する。蒸着後、ウェット処理等によりフォトレジスト膜71を除去する。リフトオフ工程により多層の金属膜がパターン加工されて、図13(c)に示すように、コンタクトメタル19a,19bを選択的にコンタクトホールの内部に残す。
、He又はAr等の不活性活性ガスの雰囲気で950℃、2分間保持でオーミックコンタクトアニールとして熱処理を行い、図14(a)に示すように、コンタクトメタル19a,19bとSiCとが反応した反応層20a,20bを形成する。表面にAlからなる金属膜を300nm蒸着し、フォトリソグラフィ技術及び燐酸を用いたエッチングにより、図14(b)に示すように、ゲート電極18及び反応層20a,20b上にパッド電極21a〜21cを形成する。更に、蒸着法等により、裏面に厚さ100nm程度のAlからなる電極22を形成することにより、図10に示した半導体装置が完成する。
第2の変形例によれば、MOSFETのゲート絶縁膜17を形成する際に、雰囲気置換プロセスにおいて、反応管101内の酸化剤の分圧を10Pa以下まで低下させて、降温プロセス開始時の酸化剤の分圧を10Pa以下とすることで、SiC及びSiOの界面準位密度を低減できる。したがって、エピタキシャル層7上に良質なSiO膜からなるゲート絶縁膜17を形成することができる。なお、第2の変形例では、図2に示したPOAプロセスを含ない酸化膜形成工程を実施する場合を説明したが、図8に示したPOAプロセスを含む酸化膜形成工程を実施してもよい。
<第3の変形例>
本発明の第1の実施形態の第3の変形例に係る半導体装置として、オン状態のときにSiCエピタキシャル基板の表面近傍にチャネルを形成する縦型のMOSFETを説明する。本発明の第1の実施形態の第3の変形例に係る半導体装置は、図15に示すように、n型のSiC基板23と、SiC基板23上に配置されたSiC基板23よりも低不純物密度のn型のエピタキシャル層24とを備える。
エピタキシャル層24の上部には、複数のp型領域25a,25bが選択的に形成されている。p型領域25a,25bはエピタキシャル層24の表面に露出する。p型領域25a,25bの表面にp型領域25a,25bより低不純物密度のp型のSiC層26が形成されている。p型領域25a,25bが形成されていないエピタキシャル層24上のSiC層26には、n型領域27がSiC層26と同一の厚さで形成されている。即ち、n型領域27は、深さ方向にSiC層26を貫通し、エピタキシャル層24に達するように、2つのSiC層26で挟まれている。n型のエピタキシャル層24及びn型領域27はn型ドリフト領域である。n型領域27の不純物密度は、n型のエピタキシャル層24よりも高いのが望ましい。
SiC層26の上部には、互いに接するようにn型のソース領域28a,28b及びp型のコンタクト領域29a,29bが形成されている。ソース領域28a,28bは、n型領域27を挟むSiC層26を介して互いに対向して形成されている。コンタクト領域29a,29bは、ソース領域28a,28bのn型領域27側に対して反対側に位置する。コンタクト領域29a,29bの不純物密度は、SiC層26の不純物密度よりも高い。SiC層26のソース領域28a,28b、コンタクト領域29a,29b及びn型領域27を除く部分は、p型領域25a,25bと共にp型ベース領域となる。
ソース領域28a,28bとコンタクト領域29a,29bとの表面には、ソース電極30a,30bが形成されている。隣り合うソース領域28a,28bの間のp型のSiC層26とn型領域27との表面には、ゲート絶縁膜31を介してゲート電極32が形成されている。ゲート電極32は、図示を省略した層間絶縁膜によってソース電極30a,30bと電気的に絶縁されている(図18(b)の符号72参照)。また、SiC基板23の裏面には、SiC基板23に接してドレイン電極33が形成されている。
次に、図16(a)〜図17(b)を用いて、本発明の第1の実施形態の酸化膜形成工程を含む、本発明の第1の実施形態の第3の変形例に係る半導体装置の製造方法の一例を説明する。
まず、図16(a)に示すように、n型のSiC基板23上にn型のエピタキシャル層24を成長させ、SiC基板23とn型のエピタキシャル層24とを有する準備基体(23,24)を用意する。次に、フォトリソグラフィ技術、イオン注入及び熱処理等により、図16(b)に示すようにエピタキシャル層24の上部に複数のp型領域25a,25bを選択的に形成する。その後、図16(c)に示すように、エピタキシャル層24及びp型領域25a,25bの表面上に、p型領域25a,25bより低不純物密度のp型のSiC層26を成長させる。SiC層26を成長することにより、準備基体(23,24)は被処理基体(23,24,26)となる。
次に、フォトリソグラフィ技術、イオン注入及び熱処理等により、SiC層26の一部にn型領域27を形成する。n型領域27は平面パターン上、p型領域25a,25bが形成されていないエピタキシャル層24上に形成される。p型領域25a,25bは、深さ方向にSiC層26を貫通しエピタキシャル層24に達する。エピタキシャル層24及びn型領域27はドリフト領域である。n型領域27の不純物密度は、エピタキシャル層24よりも高いことが望ましい。
更に、図16(d)に示すように、フォトリソグラフィ技術、イオン注入及び熱処理等により、SiC層26にp型のコンタクト領域29a,29bが形成される。コンタクト領域29a,29bの不純物密度はSiC層26の不純物密度よりも高い。また、フォトリソグラフィ技術、イオン注入及び熱処理等により、SiC層26に燐イオン等のn型を呈する不純物イオンによって、n型のソース領域28a,28bを形成する。
次に、SiC基板23とn型のエピタキシャル層24とを有する被処理基体(23,24,26)を図1に示した半導体製造装置内に導入し、本発明の第1の実施形態に係る酸化膜形成工程を用いて、図17(a)に示すように、SiC層26の表面を熱酸化し、ゲート絶縁膜31を全面に形成する。更に、ゲート絶縁膜31上にポリシリコン層32を全面に堆積する。フォトリソグラフィ技術等を用いて、ゲート絶縁膜31及びポリシリコン層32の一部を選択的に除去して、図17(b)に示すように、対向するコンタクト領域29a,29bの間のSiC層26とn型領域27との表面に、SiC層26の一部が露出するように、ゲート絶縁膜31を介してゲート電極32を形成する。
図18(a)に示すように、LPCVD法等により、全面に層間絶縁膜72を堆積する。その後、フォトリソグラフィ技術によって層間絶縁膜72を図18(b)に示すように選択的にエッチングして、層間絶縁膜72でゲート電極32を覆う。図示を省略しているが、この選択的エッチングの際にゲートコンタクトホールも開孔する。
図18(b)に示すように、蒸着法又はスパッタ法等により、ソース領域28a,28bとコンタクト領域29a,29bとの表面には、ソース電極30a,30bが形成され、ゲートコンタクトホールを介してゲート電極32に接してゲート配線が形成される。また、蒸着法又はスパッタ法等により、図15に示すように、SiC基板23の裏面にドレイン電極33を形成することにより、本発明の第1の実施形態の第3の変形例に係る半導体装置が完成する。
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態に係る半導体製造装置は、図19に示すように、SiCを材料とする被処理基体(半導体基体)200を収納する反応管201と、反応管201の周囲に配置された加熱手段202と、反応管201内に配置されたサセプタ203とを備える酸化炉である。図19において、z軸は重力加速度の方向であり、下側はz軸の正の方向であり、上側はz軸の負の方向である。
SiCを材料とする被処理基体200は、SiC基板の単層構造や、最上面がSiC層である多層構造を有する。反応管201は、例えば略円筒形の石英から構成される。加熱手段202は、被処理基体200を加熱する。加熱手段202としては、例えば、赤外線ランプや高周波誘導加熱装置等が使用可能である。サセプタ203は、SiCやアルミナ(Al)を含む材料からなることが好ましい。
反応管201内には、被処理基体200を保持するように被処理基体200に接合されたワイヤ204が配置されている。ワイヤ204と被処理基体200の接合部分の近傍には保持具205が配置されている。反応管201の下側には、液体Lが注入された液体槽212が配置されている。
保持具205は、制御部211から制御信号に応じて、被処理基体200を保持又は分離する機能を有する。保持具205が被処理基体200を分離することにより、図20に示すように、被処理基体200は下方に落下し、液体槽212の液体L中に投入される。保持具205の配置位置は特に限定されず、被処理基体200を反応管201内に保持可能であればよい。また、図20では、保持具205が被処理基体200と分離後に反応管201内に留まる場合を例示したが、保持具205が反応管201から外れて被処理基体200とともに落下するような構成でも構わない。
ワイヤ204は、例えば、シース熱電対であり、反応管201内及び被処理基体200の温度を測定することが可能である。例えば、ワイヤ204を構成するシース熱電対は、少なくとも液体槽212に届く程度の長さを有することが好ましい。保持具205が被処理基体200と分離し、被処理基体200が落下して液体槽212に投入されるときに、被処理基体200にワイヤ204を構成するシース熱電対が連結された状態を維持できる。このため、液体槽212に投入後も被処理基体200の温度を測定することが可能で、酸化が停止する温度まで、被処理基体200が降温したことを検出できる。なお、保持具205が被処理基体200と分離したときに、ワイヤ204が被処理基体200と分離する構成であってもよい。
反応管201の下側には、開き蓋210が設けられている。開き蓋210の開き方としては、片開きでもよく、スライド式等であってもよい。開き蓋210は、制御部211からの制御信号に応じて開閉する。開き蓋210が閉じているときは、反応管201が密封され、酸化ガスが反応管201の外部に放出されない。一方、図20に示すように、開き蓋210が開くことにより、被処理基体200を反応管201の外部に取り出すことが可能になる。
液体槽212には、反応管201の内部から落下してきた被処理基体200を急速に冷却できる液体Lが注入されている。液体Lの温度は、被処理基体200を冷却する所定の温度未満に設定される。ここで、「急速に冷却する」とは、酸化膜の形成終了から2秒以内に所定の温度までに冷却することを意味する。「所定の温度」は、例えば、乾燥酸素雰囲気中で被処理基体200の表面の酸化が停止する温度である800℃である。また、酸化膜の形成終了から2秒以内に所定の温度までに冷却すると、冷却の間の酸化膜の成長は0.1nm以下になる。
液体槽212に注入される液体Lとしては、例えば水が使用可能であるが、これに限定されず、反応管201の内部から落下してきた被処理基体200を急速に冷却できるものであればよい。例えば、水と同程度の熱伝導率を有する他の液体等でも構わない。水は100℃で蒸発して気体となるので、100℃〜800℃の範囲で冷却したい場合は、100℃〜800℃の範囲で液体である水銀(Hg)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、スズ(Sn)等の液体金属等を用いてもよい。但し、Hgは480℃が蒸発温度であるので、液体として冷却に用いることができる温度は800℃より低い。
図19に示すように、反応管201の上側(上流側)には、ガス供給管206の一端が接続されている。ガス供給管206の他端には、酸化剤供給源208が接続されている。ガス供給管206の経路の途中にはガス流量を調節可能なガスバルブ207が設けられている。酸化剤供給源208は、O、水蒸気(HO)、NO、NO又はこれらの混合ガスを含むガス(酸化ガス)を、ガス供給管206を介して反応管201に供給する。なお、反応管201の下流側には、図示を省略した真空ポンプが接続されていてもよい。
制御部211は、加熱手段202、保持具205、ガスバルブ207、酸化剤供給源208、ワイヤ204及び開き蓋210と電気的に接続されている。制御部211は、ワイヤ204により測定される反応管201内及び被処理基体200の温度や、制御部211が有する時計(図示省略)が示す時刻に基づいて、加熱手段202による加熱温度、酸化剤の流量、保持具205と被処理基体200との接合及び分離、開き蓋210の開閉等を制御する。制御部211は、例えば、CPUの機能を有するマイクロプロセッサやメモリ等で構成される。
<酸化膜の形成方法>
次に、図19に示した本発明の第2の実施形態に係る半導体製造装置を用いた酸化膜形成工程の一例を図19〜図22を参照しながら説明する。図21は、本発明の第2の実施形態に係る酸化膜生成工程のフローチャートであり、図22は、本発明の第2の実施形態に係る酸化膜生成工程の温度変化を表すタイミングチャートである。酸化膜形成工程は、図21のフローチャートに示すように、ステップS31の昇温プロセス、ステップS32の酸化プロセス、ステップS33の冷却プロセスを含む。
図19に示すように、反応管201のサセプタ203に、SiCを材料とする被処理基体200を搭載する。被処理基体200は、ワイヤ204の一端と接合されている。被処理基体200は、保持具205により、保持具205と分離されたときに自由落下可能なように保持されている。なお、被処理基体200は、サセプタ203に搭載せずに、ワイヤ204で吊るした状態又は保持具205のみにより保持された状態であってもよい。
まず、図21のステップS31の昇温プロセスを実施する。昇温プロセスでは、図22に示すように、時刻t30〜t31において、加熱手段202により被処理基体200を加熱して、反応管201及び被処理基体200を所定の温度T2まで昇温する。所定の温度T2は、SiCの熱酸化が可能な温度以上である。所定の温度T2は、1250℃以上かつ1600℃以下であることが好ましい。後述するように、1250℃より低い温度は、酸化膜に界面欠陥が形成されやすい状態であり、この温度で、酸化膜を形成すると界面準位密度Ditが高くなるためである。時刻t30〜t31の時間は、例えば10分程度である。
次に、図21のステップS32の酸化プロセスを実施する。酸化プロセスでは、図22に示すように、時刻t31〜t32において、加熱手段202により加熱を継続し、ワイヤ204により測定される被処理基体200の温度を所定の温度T2程度の温度範囲で保持する。酸化剤供給源208が、O、水蒸気(HO)、NO、NO又はこれらの混合ガスを含むガス(酸化ガス)を、ガス供給管206を介して反応管201に供給し、反応管201内を乾燥酸素雰囲気とする。これにより、大気圧の乾燥酸素雰囲気中にて被処理基体200の表面が熱酸化され、例えば、厚さ40nm程度のSiO膜が形成される。時刻t31〜t32の時間は、例えば5分程度である。
次に、図21のステップS33の冷却プロセスを実施する。冷却プロセスでは、図22に示すように、時刻t32において、加熱手段202による加熱を停止して、保持具205から被処理基体200を分離するとともに、開き蓋210を開く。保持具205と被処理基体200を分離するタイミングは、開き蓋210を開く前が好ましいが、被処理基体200が閉じた開き蓋210に接触しない場合には、開き蓋210を開いた直後でも構わない。
また、加熱手段202による加熱を停止するタイミングは、保持具205と被処理基体200を分離する前、保持具205と被処理基体200を分離した後、或いは保持具205と被処理基体200を分離するのと同時のいずれでもよい。加熱手段202による加熱を停止するタイミングは、開き蓋210を開く前、開き蓋210を開いた後、或いは開き蓋210を開くのと同時のいずれでもよい。
図20に示すように、保持具205と被処理基体200が分離されると、被処理基体200は落下する。開き蓋210が開いているため、被処理基体200は反応管201から放出されて液体槽212の中に投入される。液体槽212の中には、被処理基体200を急速に冷却するため、800℃以下の温度の液体Lが注入されている。液体Lは気体より熱伝導率が高いため、被処理基体200は急速に冷却される。
被処理基体200は、図22に示すように、時刻t33までに冷却を終了する。時刻t32〜t33の時間は例えば2秒以内である。
これにより、本発明の第2の実施形態に係る酸化膜形成工程における一連の処理は終了する。本発明の第2の実施形態に係る酸化膜形成工程を実施することで、被処理基体200に酸化膜が形成される。本発明の第2の実施形態に係る酸化膜形成工程に形成された酸化膜の特性を、以下に説明する。
図23は、酸化膜を備えるMOSキャパシタの構成を示す断面図である。図23に示すように、MOSキャパシタは、n型のSiC基板41の第1主面(おもて面)、例えば(0001)面(Si面)に、n型のSiCからなるエピタキシャル層42が堆積されている。SiC基板41とエピタキシャル層42を併せた基体(41,42)が、図19及び図20に示した被処理基体200に対応する。
SiCエピタキシャル層42の、SiC基板41と反対側の表面にキャパシタ絶縁膜43が設けられる。キャパシタ絶縁膜43は、上記に記載された酸化膜に対応する。また、キャパシタ絶縁膜43の、SiC基板41と反対側の表面の一部に電極44が設けられている。また、SiC基板41の第2主面(裏面)には、電極45が設けられている。
<実施例>
本発明の第2の実施形態に係る酸化膜の界面準位密度の測定のため、実施例として、図23に示すMOSキャパシタのキャパシタ絶縁膜43を、図21に示すフローチャートを実施することで、被処理基体200上の酸化膜として形成した。
また、実施例と比較するための比較例として、図21に示すフローチャートのステップS31の昇温プロセス、及びステップS32の酸化プロセスを実施後、5分程度の時間で800℃以下までMOSキャパシタを冷却した比較例Aを用意した。また、図21に示すフローチャートのステップS31の昇温プロセス、及びステップS32の酸化プロセスを実施後、30秒程度の時間で800℃以下までMOSキャパシタを冷却した比較例Bを用意した。例えば、比較例Aは、アルミナからなるサセプタ上にMOSキャパシタを設置することで冷却し、比較例Bは、SiCからなるサセプタ上にMOSキャパシタを設置することで冷却した。
実施例、比較例A及び比較例BのMOSキャパシタをC−Vメータで測定し、1MHzのC−V特性と擬静的(Quasi−Static)C−V特性によるハイ・ロー(High−Low)法により界面準位密度Ditの差を調査した。図24は、実施例の酸化膜及び比較例A,Bの酸化膜の界面準位密度Ditの測定値を示すグラフである。図24の縦軸はバンドギャップ内の界面準位エネルギー(Ecは導電帯エネルギー端)を示し、縦軸は界面準位密度Ditを示す。
図24に示すように、実施例では、すべてのエネルギーにおいて、比較例A及び比較例Bに対して、界面準位密度Ditが低減していることが認められる。特に、エネルギーの深い(Ec−Eが大きい)界面準位密度Ditの低減効果が大きいことが認められる。また、比較例Bは、比較例Aと比べるとエネルギーの深い界面準位密度Ditで低減効果は認められるものの低減効果は少ない。このため、30秒程度の時間で800℃以下まで冷却する場合は、界面準位密度Ditの低減効果は小さいことが分かる。これは、MOSキャパシタが1250℃から800℃までにある時間に、界面欠陥は形成されやすい状態で、酸化膜がさらに生成され、この酸化膜により界面準位密度Ditが高くなっているためである。
次に、上述したように図21のステップS31の昇温プロセスにおいて昇温する温度T2が1250℃より低い温度である場合には、酸化膜に界面欠陥が形成されやすい状態であることを説明する。酸化膜形成温度と界面準位密度の関係を調査するため、比較例a〜fを用意した。比較例aは、酸化膜形成温度を1150℃として、図21に示すフローチャートのステップS31の昇温プロセス、及びステップS32の酸化プロセスを実施後、30秒以上の温度で800℃以下までMOSキャパシタを冷却することにより作成した。比較例b〜fは、それぞれ、酸化膜形成温度を1200℃、1250℃、1300℃、1450℃、1600℃にした例である。
図25は、各種酸化膜形成温度における界面準位密度の測定値を示すグラフである。図25に示すように、比較例bは、比較例aより界面準位密度Ditが低減していることが認められ、比較例cは、比較例bより界面準位密度Ditが低減していることが認められる。一方、比較例c〜fは、界面準位密度Ditの低減に大きな差はない。これにより、酸化膜形成温度1250℃〜1600℃は、界面欠陥は形成されにくい状態であり、酸化膜形成温度を1250℃〜1600℃にすることにより、界面準位密度Ditを低減することができることがわかる。逆に、酸化膜形成温度1250℃より低い温度は、酸化膜に界面欠陥が形成されやすい状態であり、酸化膜形成温度を1250℃より低い温度にすることにより、界面準位密度Ditが高くなることがわかる。
以上、説明したように、本発明の第2の実施形態によれば、SiC基板を、表面の酸化が停止する温度まで酸化膜の形成終了から2秒以内に降温することで、界面欠陥が形成されやすい状態である時間を短くできる。これにより、界面欠陥が形成されやすい状態で、SiC基板の表面に酸化膜が形成される時間が短くなり、SiC基板の表面に形成される界面欠陥は減少する。このため、SiC基板の表面の界面準位密度を低減させることができる。
<第1の変形例>
本発明の第2の実施形態の第1の変形例に係る酸化炉は、図26に示すように、ワイヤ204の下側に複数の保持具205a,205bを有し、複数の被処理基体200a,200bを収容している点が、図19に示した本発明の第2の実施形態に係る酸化炉の構造と異なる。図26では、複数の保持具205a,205b及び複数の被処理基体200a,200bのそれぞれが2つの場合を例示するが、保持具及び被処理基体の数は特に限定されない。
複数の被処理基体200a,200bは、複数のサセプタ203a,203bにそれぞれ搭載されている。複数の被処理基体200a,200bの酸化膜形成の終了後の冷却プロセスにおいて、複数の保持具205a,205bと複数の被処理基体200a,200bを分離すると、複数の被処理基体200a,200bは落下して液体槽212に投入され、急速に冷却される。これにより、複数の被処理基体200a,200bに対して一括して良質な酸化膜を形成することができる。
また、図27に示すように、複数のワイヤ204a,204bを有し、複数のワイヤ204a,204bのそれぞれに接続された複数の被処理基体200a,200bを収納する構造であってもよい。複数のワイヤ204a,204bを有することにより、複数の被処理基体200a,200bの温度を個別に検出することができる。
<第2の変形例>
本発明の第2の実施形態では、被処理基体200を急速に冷却する方法として、液体槽212の中に、被処理基体200を投入する方法を例示したが、被処理基体200を急速に冷却する方法はこれに限定されない。即ち、酸化膜の形成終了から表面の酸化が停止する温度まで降温する間に、酸化膜を0.1nm以下成長させるように、処理基体100を急速に冷却可能な方法であればよい。
例えば、本発明の第2の実施形態の第2の変形例に係る酸化炉は、図28に示すように、反応管201内に、被処理基体200の近傍に一端が配置された石英チューブ等からなる冷却ガス供給管213を更に備える点が、図19に示した本発明の第2の実施形態に係る酸化炉の構造と異なる。冷却ガス供給管213の他端には、冷却ガス供給源214が接続されている。
本発明の第2の実施形態の第2の変形例に係る酸化炉を用いた酸化膜の形成工程においては、被処理基体200の酸化膜形成の終了後、冷却ガス供給源214から冷却ガス供給管213を介して低温のガスを被処理基体200に大量に吹き付けることにより、被処理基体200を急冷することができる。低温のガスとして非酸化性のガスを用いれば、降温に2秒以上かかったとしても酸化膜を0.1nm以下成長させることが期待できる。
(その他の実施の形態)
上記のように、本発明は第1及び第2の実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面は本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
例えば、本発明の第1の実施形態において、半導体装置としてSiC基板を用いた横型MOSFETの製造方法を例にして説明したが、これに限定されるものではなく、SiC基板を用いた縦型MOSFET等のMOSFET等でもよく,更にはMOS静電誘導トランジスタ(SIT),IGBT,MOSゲート構造を有する静電誘導サイリスタ等の種々の高耐圧化構造を有する半導体装置にも適用可能であり、同様の効果を奏することができる。MOSゲート構造も平面ゲート構造に限定されず、トレンチゲートや更に複雑なMOSゲート構造であってもよい。
また、本発明の第2の実施形態において、半導体装置としてSiCを用いたMOSキャパシタを例示したが、これに限定されるものでなく、本発明の第1の実施形態で例示したSiC基板を用いた横型MOSFETにも適用可能である。更には、MOSFET,MOSSIT,IGBT,MOSゲート構造を有する静電誘導サイリスタ等の高耐圧化構造を有する半導体装置にも適用可能であり、同様の効果を奏することができる。MOSゲート構造も平面ゲート構造に限定されず、トレンチゲートや更に複雑なMOSゲート構造であってもよい。
また、本発明の第1の実施形態において、図1に示すように横型の半導体製造装置を説明したが、縦型の半導体製造装置であってもよい。また、本発明の第1及び第2の半導体製造装置は単独の酸化炉である必要はなく、拡散炉やアニール炉としての機能を有する多目的の炉であっても構わない。
また、本発明の第1及び第2の実施形態において、SiC基板1とSiC層2とを有する被処理基体(1,2)、SiC基板6とエピタキシャル層7とを有する被処理基体(6,7)、SiC基板23、エピタキシャル層24及びSiC層26を有する被処理基体(23,24,26)、SiC基板41とエピタキシャル層42とを有する被処理基体(41,42)について例示的に説明した。しかしながら、本発明の「被処理基体」は例示したような多層構造に限定されるものではなく、単一の半導体基板でも構わない。或いは、例えば図15においてエピタキシャル層24の部分をSiC基板として、SiC基板23の部分をエピタキシャル成長層又は不純物導入層としてもよい。
また、本発明の第1及び第2の実施形態に係る半導体製造装置及び半導体装置の製造方法を適宜組み合わせてもよい。例えば、図1に示した本発明の第1の実施形態に係る半導体製造装置を縦型、図19に示した本発明の第2の実施形態に係る半導体製造装置が有するワイヤ204、保持具205、開き蓋210、液体槽212等を更に備えていてもよい。
そして、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法において、図2のステップS13の降温プロセスを実施する際に、被処理基体100を液体槽212の水中に落下させて被処理基体100を急速に冷却してもよい。即ち、図3(a)〜図3(c)に示した時刻t14〜t15の被処理基体100の冷却時間を2秒以下とし、時刻t14〜t15の時間に、酸化膜を0.1nm以下成長させてもよい。同様に、図8のステップS24の降温プロセスを実施する際に、図9(a)〜図9(c)に示した時刻t26〜t27の時間を2秒以下とし、時刻t26〜t27の時間に、酸化膜を0.1nm以下成長させてもよい。
このように、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱しない範囲で、種々の半導体装置の製造方法及びこれに用いる半導体製造装置に適用可能である。
本発明に係る半導体装置の製造方法及びこれに用いる半導体製造装置は、種々の産業用機械等の電源装置や電力変換装置に使用される高耐圧半導体装置の他、電力送電に使用される高耐圧半導体装置等にも有用である。
1,6,23,41…SiC基板
2,7,24,42…エピタキシャル層
3,43…キャパシタ絶縁膜
4,5,22,44、45…電極
8,10…マスク
9…燐イオン
11…アルミニウムイオン
12…ドレイン領域
13,28a,28b…ソース領域
14…グラウンド領域
15…フィールド酸化膜
16…アクティブ領域
17,31…ゲート絶縁膜
18,32…ゲート電極
19a,19b…コンタクトメタル
20a,20b…反応層
21a〜21c…パッド電極
25a,25b…p型領域
26…SiC層
27…n型領域
29a,29b…コンタクト領域
30a,30b…ソース電極
33…ドレイン電極
71…フォトレジスト膜
72…層間絶縁膜
100,200,200a,200b…被処理基体
101,201…反応管
102,202…加熱手段
103,203,203a,203b…サセプタ
105,106,206…ガス供給管
107,108,207…ガスバルブ
109…排気管
110…真空ポンプ
111…酸化剤濃度計
112…温度測定手段
113…不活性ガス供給源
114,208…酸化剤供給源
120,211…制御部
204,204a,204b…ワイヤ
205,205a,205b…保持具
210…開き蓋
212…液体槽
213…冷却ガス供給管
214…冷却ガス供給源

Claims (5)

  1. 炭化珪素を材料とする被処理基体を保持具により保持した状態で、前記被処理基体の表面に酸化剤を含むガスを供給することにより、前記被処理基体の表面を熱酸化してシリコン酸化膜を形成する工程と、
    前記シリコン酸化膜を形成する工程の後、前記保持具から前記被処理基体を分離して、前記被処理基体を水銀、ガリウム、インジウム又はスズのいずれか1つからなる液体金属又は水のいずれかが注入された液体槽に投入することにより、前記被処理基体の温度を、前記被処理基体の表面の酸化が停止する温度まで、前記シリコン酸化膜の形成終了から2秒以内に降温させる工程
    とを含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
  2. 前記被処理基体の温度を降温させる間に、前記シリコン酸化膜を0.1nm以下成長させることを特徴とする請求項に記載の半導体装置の製造方法。
  3. 炭化珪素を材料とする被処理基体を収納する反応管と、
    前記反応管内に酸化剤を含むガスを供給するガス供給管と、
    前記反応管の外側に配置され、水銀、ガリウム、インジウム又はスズのいずれか1つからなる液体金属又は水のいずれかが注入された液体槽と、
    を備え、
    前記ガスを供給することにより、前記被処理基体の表面を熱酸化してシリコン酸化膜を形成し、前記シリコン酸化膜を形成後、前記被処理基体を前記液体槽に投入することにより前記被処理基体の温度を、前記被処理基体の表面の酸化が停止する温度まで、前記シリコン酸化膜の形成終了から2秒以内に降温させることを特徴とする半導体製造装置。
  4. 前記被処理基体の温度を降温させる間に、前記シリコン酸化膜を0.1nm以下成長させることを特徴とする請求項に記載の半導体製造装置。
  5. 前記反応管内に配置され、前記被処理基体に接合され、前記被処理基体の温度を測定可能なワイヤと、
    前記反応管内に配置され、前記熱酸化してシリコン酸化膜を形成するときに前記被処理基体を保持し、前記降温するときに前記被処理基体と分離する保持具
    とを更に備えることを特徴とする請求項に記載の半導体製造装置。
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