JP6757730B2 - マスサイトメトリーによる分析用の構造化生体試料 - Google Patents

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    • G01N2001/2886Laser cutting, e.g. tissue catapult

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2015年1月28日に出願された特許文献1と、2014年12月31日に出願された特許文献2との優先権および利益を主張し、その内容は、その全体が本明細書に組み込まれる。
本開示は、生体試料をマスサイトメーターに導入するための装置および方法に関する。
マスサイトメトリーは、生体試料を研究するために新たに開発された技術である。この技術はもともと、様々な生体細胞を含む目的の試料が、元素タグに結合された抗体などの親和性プローブで「染色」された細胞集団を研究するために開発された。各細胞に付着した所与のタイプの親和性プローブの量を利用して、個々の細胞を特徴付けることができる。各タイプの親和性プローブの量は、結合した元素タグの量に直接関係する。元素タグ付け物質の量は、細胞をマスサイトメーターの誘導結合プラズマ(ICP)イオン源に通すことにより測定することができる。生体物質を元素タグを有する親和性プローブで「染色する」技術は、近年、生体組織の画像化の分野に拡張されている。画像化マスサイトメトリーでは、目的の組織を親和性プローブ/分子タグで「染色」し、レーザー焼灼を使用して組織上の不連続な位置(ピクセル)から元素タグを抽出することができる。画像化質量分析法は同様の方法に従うが、元素タグ中の標識原子よりも、むしろ試料中にもともと存在する原子の検出に頼る点を除く。
マスサイトメトリーの制限は、細胞などの生体試料をマスサイトメーターに導入する効率である。市販のマスサイトメーターの細胞導入効率は約30%である。これは、試料中の生体細胞の3分の2超が、マスサイトメーターにより記録され得る前に失われていることを意味する。
レーザー焼灼に基づく画像化マスサイトメトリーおよびレーザー焼灼に基づく画像化質量分析のさらなる制限は、低いピクセル記録速度である。ピクセル記録速度は、レーザー焼灼細胞および接続ガス導管の洗浄時間により制限される。最も速いレーザー焼灼細胞でさえ、30ms程度の洗浄時間を有する。これは、マスサイトメーターまたは質量分析計の本来の記録能力よりもはるかに遅い。典型的なマスサイトメーターでは、細胞スループットは1000細胞/秒と高くなり得る;しかしながら、レーザー焼灼プルームがレーザー焼灼装置を通過する際の広がり、すなわち洗浄時間は、ピクセル速度を毎秒約30ピクセルに制限する。さらに、レーザー焼灼のプロセスでは、物質の各ピクセルが気化され、エアロゾルに変換される。次いで、エアロゾルプルームは、ガス導管を介してICP源に輸送される。この手法の問題の1つは、エアロゾルプルームの一部が、組織試料の隣接する領域、例えば隣接するピクセルを汚染する可能性があることである。エアロゾルプルームの一部は、レーザー焼灼チャンバーをICPイオン化源に接続するガス導管を通る輸送中に失われる可能性もある。加えて、ICP源への輸送中のエアロゾルプルームのガス動的拡散は、洗浄時間をさらに制限する。したがって、これらの制限を考慮して、遠隔焼灼法と生体試料のエアロゾルプルーム形成とを回避し、それにより画像化マスサイトメトリーおよび画像化質量分析のスループットを改善させることが望ましい。
米国仮特許出願第62/108,911号明細書 米国仮特許出願第62/098,890号明細書 国際公開第2014/169394号 米国特許出願第14/060,125号明細書 国際公開第2005/121864号 米国特許出願第2008/0003616号明細書 米国特許出願公開第2010/0144056号明細書 米国特許出願公開第第2012/0061561号明細書 米国特許出願公開第第2014/0120550号明細書 米国特許出願公開第第2014/0121117号明細書 国際公開第2014/169294号
Doraiswamy et al., 2006, Applied Surface Science, 52: 4743-4747 Fernandez-Pradas, 2004, Thin Solid Films 453-454: 27-30 Kyrkis et al., in Recent Advances in Laser Processing of Materials, Eds. Perriere et al., 2006, Elsivier Wang et al., Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 2009, 48(47), 8970-8973 Lee et al., Nano. Lett. 2012, 12(6), 2697-2704 Verboket et al., Anal. Chem. 2014, 86, 6012-6018 Bruckner et al. (2013) Anal. Chem. 86:585-91 Gao & Yu (2007) Biosensor Bioelectronics 22:933-40
イオン化源、例えばICP源は、直接イオン化源に導入された生体物質を気化、解離およびイオン化し、マスサイトメーターの標準機能に従うタグ付け成分への完全な元素応答を提供することができる(または、試料が標識されていない場合、試料中にもともと存在する原子の質量分析計による検出)。換言すれば、マスサイトメーターのイオン化源、例えばICP源は、組織の個々の領域またはピクセルを表す生体物質を調べてイオン化することが完全にできる。適切なガス流に同伴される組織または個々の細胞の不連続な領域を表す個々のピクセルの流れを作成することにより、各ピクセルはマスサイトメーターまたは質量分析計によって分析することができる。この手法は、エアロゾルプルームをマスサイトメーターまたは質量分析計のイオン化源、例えばICP源に導入することを伴う方法に比べていくつかの利点を有する。
生体物質を、マスサイトメーターのイオン化源、例えばICP源に直接導入するのを容易にする装置および方法が提供される。不連続な物質ピクセルをガス流中に導入し、その後マスサイトメーターまたは質量分析計のイオン化源、例えばICP源に導入することができる、予め構造化され、アドレス指定可能な生体試料を利用する装置および方法が開示される。
第一の態様では、表面と;表面上に配置された複数の不連続部位とを含む担体であって、複数の不連続部位の各々は、生体試料を保持するように構成され;および複数の不連続部位の各々は、エネルギーインパルスの印加時に生体試料を放出するように構成されている担体が提供される。いくつかの実施形態では、担体は、レーザーにより標的とされるように構成された犠牲層を含み得る。犠牲層は、レーザーにより焼灼されると、犠牲層上に配置された生体試料をガス流に放出し得る。いくつかの実施形態では、犠牲層と生体試料との間にクッション層を設けてもよい。クッション層は、犠牲層の焼灼から生体物質を保護するように構成され得る。
第二の態様では、生体試料を、マスサイトメーターまたは質量分析計のイオン化源、例えばICP源、に導入するためのシステムであって、以下を含むシステムが提供される:本開示により提供される担体と;入口および出口を含む導管であって、入口が担体の表面に近接して配置されている;ならびに出口がイオン化源、例えばICP源に近接して配置されている導管と;不連続部位から放出された生体試料を同伴し、放出された生体試料を導管を通してイオン化源、例えばICP源に導くように構成されているガス流。
第三の態様では、構造化生体試料を調製する方法であって、以下の工程を含む方法が提供される:本開示により提供される担体を提供する工程と;複数の不連続生体物質を含む溶液を担体の表面上に流し、生体物質を複数の不連続部位により保持させる工程と;過剰の溶液を除去し、複数の不連続部位上に保持された生体物質を含む構造化生体試料を提供する工程。
第四の態様では、構造化生体試料を調製する方法であって、以下の工程を含む方法が提供される:本開示により提供される担体を提供する工程であって、表面は、生体試料を切断するように構成された局所解剖学的特徴を含み;および局所解剖学的特徴は、複数の不連続部位間に配置されている工程と;生体試料を担体の表面上に添加し、局所解剖学的特徴に生体試料を切断して切片にさせ、生体物質の切片を複数の不連続部位により保持させ、構造化生体試料を提供する工程。
第五の態様では、構造化生体試料を調製する方法であって、以下の工程を含む方法が提供される:本開示により提供される担体を提供する工程と;生体試料を担体の表面に添加する工程と;生体試料を切片にし、複数の不連続部位間の生体試料の部分を除去し、構造化生体試料を提供する工程。
第六の態様では、生体試料をICPトーチに送達する方法であって、以下の工程を含む方法が提供される:本開示により提供される担体を提供する工程であって、複数の不連続部位が生体試料を含む工程と;複数の不連続部位の1つを導管の入口に近接して配置する工程であって、導管がマスサイトメーターまたは質量分析計のイオン化源、例えばイオン化源、例えばICP源に近接して配置された出口を含む工程と;不連続部位上および導管を通るガス流を提供する工程と;生体試料を不連続部位から放出させる工程と;放出された生体試料をガス流により同伴させる工程であって、ガス流が生体試料をマスサイトメーターまたは質量分析計のイオン化源、例えばICP源に送達する工程と;第2の複数の不連続部位を導管の入口に近接して配置する工程。
いくつかの態様では、生体試料をマスサイトメトリーシステムに送達する方法が提供され得る。本方法は、生体試料を支持するフィルム上に第1レーザースポットを集束させてフィルムを加熱する工程を含み得る。フィルムを加熱することにより、生体試料を完全に気化させることなく気相中にリフティングし得る。気相は、生体試料をマスサイトメトリーシステムに送達するように構成されている。
フィルムは基材に結合されていてもよい。フィルムは、基材上の不連続の離間した部位に複数の別個のフィルム部分を含み得る。複数の別個のフィルム部分は、複数の細胞捕捉部位を画定し得る。細胞捕捉部位は、単一細胞のみを捕捉するように構成され得る。複数の別個のフィルム部分間の間隙の表面は、生体試料をはじくように改質されていてもよい。
任意に、第1レーザースポットは生体試料を支持するフィルム上に集束され、フィルムを焼灼してもよい。クッション層は、生体試料とフィルムとの間に配置されてもよい。クッション層はフィルムの焼灼からのエネルギーを吸収し、フィルムの焼灼による生体試料への損傷を抑えるように構成され得る。クッション層の表面は、標的生体試料を優先的に捕捉するように改質されていてもよい。
いくつかの態様では、本方法は、切断レーザースポットをフィルム上に集束させ、生体試料の周りを切断し、生体試料を支持するフィルムの一部分をフィルムの大部分から分離することをさらに含んでいてもよい。切断レーザースポットは第1レーザーからのものであってもよく、第1レーザースポットは、第1レーザーとは異なる第2レーザーからのものであってもよい。
本開示のいくつかの態様では、生体試料をマスサイトメトリーシステムに送達する方法であって、生体試料を支持するフィルム上にレーザースポットを集束させ、生体試料に隣接する位置でフィルムを焼灼する工程を含み得る方法が提供され得る。生体試料に隣接する位置でのフィルムの焼灼は、生体試料を完全に気化させることなく気相中にリフティングし得る。気相は、生体試料をマスサイトメトリーシステムに送達するように構成され得る。いくつかの実施形態では、フィルムは、生体試料から5ミクロン以下の位置で焼灼されてもよい。
以下に記載される図面は、単に説明を目的とするものであり、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。
特定の実施形態に従った、予め構造化された試料で作動するマスサイトメーター測定機器構成の一般的説明の概略図である。 試料担体上のパターン化された捕捉部位の例を示す図である。 特定の実施形態に従った、不連続生体試料をガス流中に導入するための、試料担体上にパターン化された捕捉部位を有する試料担体および液体界面を示す図である。 特定の実施形態に従った画像化アプリケーションおよび結合担体のための、構造化組織試料の例を示す図である。 特定の実施形態に従った画像化アプリケーションおよび結合担体のための、小切片間に間隙を有する予め構造化された組織試料の例を示す図である。 特定の実施形態によるレーザー脱着のために構成された、構造化生体試料および結合担体を示す図である。光の特性は、捕捉部位の脱着フィルムが光を吸収し、試料部分の射出を引き起こす間、担体が実質的に透過であるように選択される。 特定の実施形態によるレーザー脱着のために構成された、構造化生体試料および結合担体を示す図である。レーザー光の特性は、光が試料部分を最小限の損傷で通過することができるが、捕捉部位に熱蒸着を引き起こすように選択される(例えば、脱着フィルムの破裂を介して)。 図8A〜Dは、生体試料上の目的の位置を分析するための焼灼および脱着を示す図である。
ここで、デバイス、装置、および方法の特定の実施形態を詳細に参照する。開示の実施形態は、特許請求の範囲を限定することを意図するものではない。逆に、特許請求の範囲は、全ての代替物、変更物、および等価物を包含することが意図されている。
構造化生体物質は、不連続試料または生体物質のピクセルを、マスサイトメーターまたは質量分析計のイオン化源、例えばICP源に導入するために使用される。構造化生体物質は、個々の細胞、組織部分、または他の生体物質の凝集物などの、担体上の不連続でアドレス指定可能な部位に配置された物質を指す。構造化生体物質は担体から放出され、個々の不連続な物質ピクセルは、分析用マスサイトメーターまたは質量分析計に逐次的に導入されることができる。従来のマスサイトメトリーまたは質量分析において見られるような生体試料の無作為な導入とは対照的に、不連続な物質ピクセルの逐次的導入の利点には、より速い試料処理速度と、複数の実在物の同時到着により発生する二量体、三量体などの多量体の除去とが挙げられる。多量体を排除することにより、データの処理および分析も簡素化することができる。
「ピクセル」は、マスサイトメーターまたは質量分析計のイオン化源、例えばICP源に瞬時に導入される物質試料の一部分を指す。特定の実施形態では、ピクセルは細胞または細胞群を表し、特定の実施形態では、組織切片または他の不連続な生体試料の一部分を表す。ピクセルは、任意の適切な寸法または形状を有し得る。例えば、ピクセルは、10nm〜10μm、100nm〜10μm、および特定の実施形態では1μm〜100μmの寸法を有することができる。用語「ピクセル」および「不連続部位」は、互換的に使用される。ピクセルからの物質は、担体からの放出中、またはイオン化源、例えばICP源への輸送中に気化されない。
図1は、構造化試料で作動するマスサイトメトリー機器の概略図を示す。生体物質を含む不連続部位またはピクセルを有する試料担体は、生体物質の供給源として働く。生体物質は、不連続部位から個々にリフティングされ、キャリアガス流に同伴されることができる。キャリアガス流は、不連続生体物質の分離を維持し、不連続生体物質をイオン化源、例えばICP源に注入し、そこで生体物質は気化され、イオン化され、その後質量分析により分析される。
特定の実施形態では、不連続部位で構成された担体の表面は、キャリアガス導管に垂直にまたは実質的に垂直に取り付けられる。キャリアガス導管の入口を、担体の表面のごく近くに配置することができる。ガスキャリア導管に流入するキャリアガスは、入口ならびに/または導管の近くのおよび/もしくは導管に含まれる他の開口部を通って流入することができる。導管入口は、1つ以上のスキマーまたは円錐形の要素を含んでいてもよく、脱着された生体試料および/または直接脱着された試料のガス導管への捕捉を容易する。場合によっては、担体の表面は不連続部位を有さない。ここでは、以下に述べるような焼灼および脱着の特定の方法を用いて、試料を不連続部位の試料の不連続部分に分割することなく、生体試料の細胞または細胞群のような特定の部分を分析することができる。
イオン化源、例えばICP源への導入のために、物質の焼灼プルームをキャリアガス流に導入するための様々な装置および方法が、その全体が参照により組み込まれる特許文献3に開示されている。生体物質の非気化試料をキャリアガス流中に導入するために、本開示により提供される実施形態で、同様の装置および方法を使用することができる。様々な実施形態は、担体表面に対して垂直から水平のいずれかに配置された標的の表面、指向性ガス流、スキマー、およびガス導管を横切って流れるキャリアガス流を示す。
担体は、移動ステージ上に取り付けられてもよい。移動ステージは、担体の表面をガス導管の入口に向かって、またはガス導管の入口から離れるように移動させることができる。移動ステージは、キャリアガス導管に垂直な方向に担体を移動させるように構成されていてもよい。移動ステージは、ガス導管の入口に対して担体を部位から部位に高速で移動させるように構成される。担体を部位から部位に移動させ、各部位で生体試料を脱着させることにより、生体物質の不連続パケットの流れをキャリアガスに導入し、マスサイトメーターのイオン化源、例えばICP源に輸送することができる。
(試料担体)
本発明は、表面と;表面上に配置された複数の不連続部位とを含む担体であって、複数の不連続部位の各々は、生体試料を保持するように構成され;および複数の不連続部位の各々は、エネルギーパルスの印加時に生体試料を放出するように構成されている担体を提供する。
本発明はまた、表面を含み、表面が生体試料を保持するように構成されており、および表面がエネルギーパルスの印加時に生体試料を放出するように構成されている担体を提供する。生体試料の試料担体からの放出(すなわち、脱着)を引き起こすことができるエネルギーの種類を、以下でさらに論じる。
いくつかの実施形態では、複数の不連続部位の各々は、1μm〜100μmの外接直径の領域により特徴付けられる。いくつかの実施形態では、複数の不連続部位は、生体試料を保持するように構成された親和性分子を含む。
いくつかの実施形態では、担体は、複数の不連続部位の下に位置するチャネルを含み、チャネルは担体の厚さ方向に延在し;および複数の不連続部位は、チャネルに流体的に結合した孔を含む。
いくつかの実施形態では、複数の不連続部位は、個々にアドレス指定可能である。
いくつかの実施形態において以下により詳細に議論するように、複数の不連続部位は、生体試料を放出するように構成された熱脱着可能物質を含む。同様に、以下により詳細に議論するように、試料は、熱エネルギー、機械エネルギー、運動エネルギー、および前記の任意の組み合わせにより試料から脱着することができる。一例は、リフティングと呼ばれる技術における、レーザー放射エネルギーの使用である(レーザー誘起前方転写;例えば、非特許文献1;非特許文献2;非特許文献3を参照)。したがって、いくつかの実施形態では、試料担体は、脱着フィルム層を含む。言い換えれば、試料担体は、試料を受け取るためであって、およびレーザー放射を吸収することにより、試料を試料担体から分離するのを補佐するフィルム層を担体の表面上に有する。脱着フィルムは、放射線を吸収し、脱着フィルムおよび/または生体試料を放出させることができる(例えば、場合によっては、試料フィルムは試料担体から生体試料とともに脱着し、他の場合には、フィルムは試料担体に付着したままであり、生体試料は脱着フィルムから脱着する)。
特定の実施形態では、試料担体は、窓を備えたカバーを含む。カバーは、脱着前に生体試料を保護することができ、および/または試料上のキャリアガスの流れの制御を容易にすることができる。不連続試料を窓の下の担体表面上にもたらすように、担体を窓に対して移動させることができる。窓は、キャリアガスチャネリングおよび/または静電特徴などのガス導管による生体試料の捕捉を容易にする特徴を有することができる。例えば、特定の実施形態では、キャリアガス流が層状であり、生体試料のピクセルをガス流中に、続いてイオン化源、例えばICPトーチに系統的に導入する能力を促進することが望ましい。窓を備えたカバーを使用することにより、試料間のガス動態を一定に保つことができ、不連続生体物質ピクセルがガス流に同伴されるのを容易にする。
特定の実施形態では、試料担体はプレートの形態である。プレートは、実質的に平坦な表面または他の適切な表面形状を有してもよい。いくつかの実施形態では、担体は、生体試料を保持するように構成された局所解剖学的に画定された表面を含む。例えば、特定の実施形態では、プレートは、生体試料を保持するための凹状の特徴および/または生体試料を保持するための隆起した特徴を有してもよい。プレートの表面は、試料を含むガスおよび/もしくは液体の流れをプレートの表面にわたって制御するためのならびに/またはキャリアガス流への脱着生体試料の同伴を容易にするためのチャネルまたは他の適切な特徴を有してもよい。例えば、ポストに捕捉部位が提供されてもよい。ポストの形状は、キャリアガスの流れがリフティングされる物質を包むようにすることにより、ガス動力学を補助するように構成されていてもよい。
生体試料が組織切片であるような特定の実施形態では、試料担体は、適用された組織切片を切断して分離するように構成された隆起縁を有する波状表面特徴により特徴付けられてもよい。組織切片は、切れ刃を有する特徴部を有する担体表面に適用されると、組織切片は個々の領域またはピクセルに分離され、物理的に互いに分離され得る。
不連続捕捉部位は、必要に応じて、特定の生体物質を捕捉するのに適切な領域を有してもよい。例えば、真核生物の動物細胞は、約10μm〜約30μmの寸法を有する。不連続捕捉部位は、不連続部位上の生体物質の捕捉および/または保持を容易にする特性を含み得る。この特性は、親和性分子または吸着もしくは接着を促進する他の化学的相互作用などの化学的性質であり得る。この特性は静電的であってもよく、特定の実施形態では、接着性を促進する表面特徴を有するような物理的なものであってもよく、棘のあるまたはフックのある特徴を有するような粗面化または特別に設計された接着表面を含み得る。
特定の実施形態では、不連続部位は、異なる目的のために設計された層を有する多層構造を有してもよい。例えば、外部層または上部層は、生体試料を捕捉し、保持するように構成されてもよく、内層は、不連続部位を加熱し、生体物質を不連続部位から脱着または放出するように構成されていてもよく、および下層は、基材物質への接着のために構成されていてもよい。いくつかの実施形態では、最上層は、標的生体物質の捕捉を容易にする捕捉部位特性を提供し得る。例えば、最上層は、生体物質との優先的な化学的結合を提供し得る(例えば、親和性分子などを介して)。最上層は、生体物質を、いくつかの実施形態および/または表面特徴(例えば、粗面化された表面特徴、フックおよび/または棘など)において引き付ける静電力も提供し得る。
特定の実施形態では、担体は他の形状を有してもよい。担体の機能は、生体試料を捕捉すること、生体試料を保持すること、および/または生体試料の基材の表面からの選択的放出を容易にすることを含み得る。したがって、平面基材またはプレートを使用してもよいが、ビーズ、フィラメント、チューブ、ロッド、メッシュおよび他の適切な支持構造などの他の構造を担体として使用してもよい。特定の担体形状に応じて、結合構造を使用し、担体の表面上のガス流を制御してもよい。例えば、特定の実施形態では、担体は、周囲チューブ内にフィラメントまたはロッドを含み得る。フィラメントは支持体として働き、周囲チューブは、脱着生体試料を同伴させ、イオン源、例えばICPトーチに導入するためのガス流を送る。
(生体試料)
特定の実施形態では、生体試料は細胞であり、特定の実施形態では、組織切片である。
特定の実施形態では、不連続捕捉部位は、単一細胞または複数細胞を含む。
特定の実施形態では、生体試料は、ウイルス、細菌、核もしくはミトコンドリアなどの亜細胞構造、または真核生物植物細胞であり得る。
(試料捕捉)
特定の実施形態では、試料の捕捉および放出は、捕捉および放出プロセスが多かれ少なかれ(例えば、ほぼ)同時に起こることを意味する動的プロセスであり得る。例えば、単離された細胞などの生体試料は、担体の表面上を流れる流体に導入されてもよい。同伴された試料を有する流体が不連続部位を流れるとき、試料は不連続部位で捕捉される。試料が捕捉されると、脱着またはリフティングプロセスが活性化され、試料(例えば、細胞など)が放出され得る。いくつかの実施形態では、脱着またはリフティング機構(例えば、レーザー、バブルジェット型機構)と動作可能に連結され得る試料捕捉検出器が提供され、捕捉試料が気相中に放出され得る。捕捉検出器は、例えば、捕捉された細胞からの前方または側方散乱情報に基づくことができる。または、蛍光シグナルを生成するために特定の試薬で染色された細胞からの蛍光シグナルの検出に基づくことができる。加えて、細胞の外観は、いくつかの実施形態において捕捉部位の顕微鏡形式の観察を使用したCCDカメラにより検出することができる。他の - 光学的方法ではない方法、例えば電気的導電率のための溶液のプロービングなどが、コールター法または高周波電気信号を有するプロービング溶液と同様に使用することができる。したがって、いくつかの実施形態では、一部の部位は、他の部位が試料を放出している間に、試料を捕捉し得る。
任意に、試料捕捉検出器および脱着またはリフティング機構と動作可能に連結されたタイミングコントローラを設けることができる。タイミングコントローラは、細胞捕捉が検出された際に、データ取得設定における次の時間窓の開始まで放出事象を遅延させ得る。したがって、そのような設定および方法は、流れ中の細胞の無作為な到着を、気相中の等間隔の時間放出事象に変換し得る。この手法は、システムが細胞到着の無作為性のために溶液モードで動作している場合、マスサイトメトリーにおいて一般的に検出される「タブレット」および他の「マルチプレット」を減少させるか、または排除し得る。
特定の実施形態では、担体は生体試料を外部に搭載し、試料担体の細胞リフティングチャンバーへの導入前に、そこで細胞が担体に固定されていてもよい。生体試料は、受動的にまたは能動的に搭載され得る。例えば、受動的に搭載される場合、生体試料を含有する溶液を担体表面上に適用し、生体試料を担体表面上の不連続部位に付着させることができる。能動的に搭載された試料では、生体物質を不連続部位に堆積させてもよい。細胞が不連続部位のみに接着するように、不連続部位は、結合媒体のパッチを有することができる。したがって、スライド上の無作為に散在した細胞の代わりに、細胞は捕捉部位上に配置され、場合によっては捕捉部位を規則的な間隔で配置し、レーザーのより簡易な標的を容易にすることができる。いくつかの実施形態では、捕捉部位は、部位当たり1つの細胞のみを保持するように構成またはサイズ決定される。
不連続部位は、生体試料の相補的部位への結合のための親和性部分を含むことができ、および/または一般的もしくは特異的な生体試料を捕捉するのに適した他の特性または化学的機能により特徴付けられ得る。例えば、捕捉部位は、生体物質とのイオン性または疎水性-親水性相互作用を増強する分子を含むことができる。
特定の実施形態では、捕捉部位を含まない担体表面の領域は、細胞が付着しないおよび/または生体物質の不連続捕捉部位での凝集を引き起こす物質で覆われていてもよい。一例を図2に示し、物質の「反発」層は、不連続捕捉部位により覆われていない担体表面上に配置されている。
細胞を捕捉するための一手法の例は、Wangらにより、細胞懸濁液からのEpCAM陽性細胞の捕捉を向上させる抗体被覆(抗EpCAM被覆)三次元ナノ構造基質が開示されている(非特許文献4)。ナノスケールの細胞表面構成要素とシリコンナノピラーアレイとの交互嵌合は、局所解剖学的相互作用を増強し、細胞捕捉効率を向上する。細胞を捕捉するための他の適切な装置および方法は、非特許文献5に記載されている。いくつかの実施形態では、質量分析またはマスサイトメトリーを使用して単一細胞分析を行うことができるように、捕捉部位は部位当たり1個の細胞を捕捉するように構成される。任意に、いくつかの実施形態では、捕捉部位は、目的の細胞(単数または複数)の細胞表面マーカーに結合する1つ以上の固定化抗体を含み得る。
機械的方法を用いて細胞を捕捉してもよい。図3は、担体の厚さ方向に延在するチャネルに結合された各捕捉部位でパターン化された捕捉部位を有する担体の一例を示す。各捕捉部位は、1つ以上の小さな穴を含む。細胞などの生体物質を含有する溶液は、担体の表面上に流され、チャネルに吸引が適用されると、通過する細胞は捕捉部位上に引き込まれ、保持され得る。生体物質を捕捉部位から放出するために、チャネルに圧力を加えて、生体物質の粒子を、溶液流を介して、イオン化源、例えばICP源に注入するためのガス流に放出することができる。図3に示されるように、生体物質は、気相中に放出される際にある量の液体を含むことができる。圧力サージは、圧電アクチュエーターにより、またはバブルジェット効果を生成するパルス式ヒータにより、または生体物質の近くでのレーザー放射の吸収により生成される圧力スパイクにより生成することができる。
生体物質の気相粒子の流れは、ドロップオンデマンド(DOD)液滴発生器からの流れに幾分似ている。DoD発生器は、イオン化源、例えばICPイオン源で動作することが知られているので、この実施形態により生成された粒子の蒸気は、イオン化源、例えばICPイオン源と互換性を持たせることもできる。DoD発生器に対するこの配置の潜在的な利点は、細胞などの生体物質の1つの粒子のみを保持するように捕捉部位を設計できることである。捕捉された生体物質は、等間隔の時間間隔で放出され、それにより、細胞がイオン化源、例えばICP源に無作為に入るときの共通の問題である、各粒子からのシグナルトランジエントの重なりにより引き起こされる混乱を最小にすることができる。捕捉部位の捕捉機能は、流れ中の障害物などの単純な機械的手段により、または捕捉部位での直径制限により細胞が停止したときに液体が引き下げられる任意の真空吸引チャネルにより促進され得る。一旦粒子が捕捉されると、捕捉部位に向けられたレーザーパルスにより引き起こされる爆発的気化、または捕捉標的のそれぞれの下に配置された個別にアドレス指定可能なマイクロヒーターにより引き起こされる爆発的気化などの適切な手段を用いて、粒子をガス流中に放出することができる。生体物質の粒子はまた、強い電場の印加により放出され得る。強力な電場を印加し捕捉された物質を放出させるために、適切な電極配置を捕捉部位上またはその周囲に組み込むことができる。液滴は、微小電気機械システム(MEMS)ベースのマイクロアクチュエーターを使用して射出することもできる。市販のデジタル投影チップで使用されるようなMEMSマイクロミラーのアレイは、高密度に充填された高速移動マイクロアクチュエーターの一例である。
特定の実施形態では、生体組織の一次元のみでの事前構造化は、薄いリボンまたはテープ上で実施することができる。リボンはスプールに配置することができる。リボンの各回転が間隙により次の回転から分離されるようにスプールを配置し、試料の汚れを避けることができる。リボンは、試料の事前構造化のための捕捉スポットを含むことができる。リボンがスプールに巻き取られる際に、移動するリボンと接触している毛細管を通して液体試料を運ぶことにより、試料をスプールに記録することができる。液体は、捕捉生体物質が捕捉部位に付着している間に乾燥させることができる。
特定の実施形態では、担体支持体は構造化されておらず、生体試料は担体の表面上に不規則に分布している。例えば、細胞などの生体物質の溶液を支持体に適用することができる。細胞は支持体に無作為に付着することができる。顕微鏡法を用いて、沈着した細胞の各々の位置を決定し、マッピングすることができる。細胞のマッピングされた位置およびキャリアガス流に放出された細胞に従って、担体をガス導管に近接した位置に移動させることができる。細胞は機能的画像化、隣接細胞からの分離および/または他の基準に基づいて選択することができる。その内容が参照により本明細書に組み込まれる特許文献4は、本明細書に記載の実施形態で使用され得る位置特異的焼灼用に標的細胞の位置を同定するために試料を調べるための方法およびシステムを記載する。あるいは、非構造化担体上の試料は組織切片であってもよく、同様に、例えば顕微鏡検査により関心領域を同定することができる。関心領域での制御された加熱などの、本明細書で論じられる技術を用いて、またはリフティング(試料担体が脱着フィルム層を含む場合など)により、関心領域を脱着することができる。
(組織)
特定の実施形態では、生体物質は、生検切片などの生体組織である。これらの用途では、担体の機能の1つは、組織を不連続領域に分離し、放出する前に領域を保持することである。担体により保持されると、組織は、例えば1μm、2μm、3μm、4μm、5μm、6μm、7μm、8μm、9μm、10μm、または他の適切な寸法を有する不連続領域に分離することができる。
組織は、組織が担体の表面に取り付けられた際に組織を分離する切れ刃を有する隆起部により分離され得る。不連続捕捉部位間に鋸歯状の切れ刃を有する担体の例を、図4に示す。図4に示されるように、湿組織片は、構造化担体上に適用される。適用中、表面特徴のナイフ刃は、生体組織を切断して分離し、それは乾燥中にさらに収縮して分離する。分割された試料は、生体物質の担体からの放出を容易にするように構成された試料担体の不連続部位に載置される。特定の実施形態では、湿組織試料は、隣接する領域を隔てる壁の高さよりも厚くてもよく、壁は、乾燥組織片としての担体表面よりも少し高い、またはそれとほぼ同じ高さである。
あるいは、組織は、不連続捕捉部位を有する担体の表面に取り付けられ、例えば、機械的、電気的、またはレーザースクライブを用いて組織を切片に切断されることにより、不連続領域に分割され得る。
特定の実施形態では、基材隆起部は、隣接する不連続部位またはピクセル上の試料の脱着に使用される放射のスピルオーバーを最小にするように作用することができる。隆起部の寸法は、光の波長のスケール上にあることができるため、および光エネルギー境界が波長のスケール上で不鮮明になるため、光の波長のスケールを有する隆起部は、光が隣接するピクセルに照射するのを防止する上で重要な役割を果たすことができる。図5は、組織画像化用途のための別の実施形態を示す。図5に示されるように、調査中の組織は、最初に試料担体上の個々の小切片に分割される。次に、さらなる分析のために、小切片を気相中に連続的に排出する。各小切片は、様々なツールを使用して残りの組織から分離することができる。小切片化は、1つの小切片が気相に投入された際に、それと共に他の小切片が引きずられないようにするために使用できる。組織試料と試料担体との間の界面は、接着剤層を含むことにより、他の小切片が試料担体上に残る能力をさらに改善することができる。接着剤層はまた、特定の波長に適した光吸収物質の特性を有することができる。
組織からの各小切片の切断は、ブレードまたはスタンプなどの機械的ツールにより達成することができる。代替的に、小切片間の物質を、別個の試料調製設定におけるレーザー焼灼により除去することができる。特定の実施形態では、物質は、集束電子ビームまたはイオンビームを使用する設定により除去することができる。集束電子ビームまたはイオンビームは、約1μmまたは特定の実施形態では100nmのピクセルサイズに至る小切片の間の特に狭いカット(特に10nmスケールでの)を可能にする。
他の実施形態は、切片化設定の機能を、排出設定と同じチャンバー内で組み合わせることを含む。例えば、システムは、小切片間の間隙を、間隙内の組織物質の相互作用および脱着により切断するように成形された試料上に光を供給する1つのレーザーを含むことができ、次いで、第2レーザーを使用して、各少切片の下で光吸収物質と相互作用し、生体物質のピクセルを気相中に導入する。そのような設計の利点は、光路の大部分を共有することにある。任意に、クッション層は、生体物質と光吸収/犠牲物質との間に提供されてもよい。クッション層は、光吸収/犠牲層の焼灼中に生体物質を保護するために提供されてもよい。
図面に示されるように、担体の不連続部位への構造化は、実際に、しばしば周期的である。しかしながら、特定の用途では、組織または細胞塗抹標本の1つ以上の特定の領域の分析に焦点を合わせること、または薄層として適用された細胞試料から個々の細胞を標的化することが望ましいことがある。さらに、ユーザは、組織または細胞塗抹標本または担体上の分析前の細胞伝播の光学的画像もしくは他の画像を、例えば、マスサイトメトリーまたは質量分析の結果を細胞または形態学的構造と相関させるために、画像化マスサイトメトリーによりまたは画像化質量分析により得ることも望むことができる。また、光学画像を採取することにより、広い領域で迅速に画像を記録し、次いで、画像化マスサイトメーターまたは画像化質量分析計により、詳細な特徴付けを必要とする関心領域を同定することができる。そのような方法を使用すると、ピクセルまたは不連続部位のサンプリングは、必ずしも規則的な周期パターンではなく、特定の領域で詳述される。
戦略的試料分析を実施するために、切片化した組織試料を最初に画像化してマッピングすることができる。マッピングは、視覚的分析を表すことができる。あるいは、マッピングは、染色物質の分布に基づくことができ、それはマスサイトメトリー分析に使用されるのと同じ染色物質であってもなくてもよい。例えば、染色物質はフルオロフォアであってもよい。あるいは、染色物質は、例えばラジオグラフィーを使用して画像化される元素タグであってもよい。マスサイトメトリーまたは質量分析を用いたより詳細な分析のための関心領域は、マッピングに基づいて選択することができる。
画像化用途のための別の構成は、2次元試料を細いストリップに切断し(事前構造化の第1工程)、次いでストリップを少切片にさらに切断するデバイスにストリップを供給し(事前構造化の第2工程)、これらの少切片をマスサイトメーターまたは質量分析計による分析のための気相中に移動させることを伴う。特定の実施形態では、組織試料を少切片に切断することは、レーザー切断または機械的切断を伴う。特定の実施形態では、円周に沿って複数の切断ゾーンを有する回転切断ホイールを操作することによる機械的切断を行うことが望ましい。例えば、切削ホイールは、毎秒50回転(3000rpm)の回転速度で回転することができ、ホイール自体に等間隔に配置された20の切断部位がある場合、ストリップの少切片化の速度は1000少切片(ピクセル)/秒となり、 これは、マスサイトメーターまたは質量分析計の分析スループットと一致する速度である。
いくつかの実施形態では、少切片が事前切断された後に、試料担体を引き伸ばすことができる。これは、ピクセル放出用の集束レーザビームを利用するシステムにおける光の回折により課される最小ピクセル寸法の制限を回避することを可能にする。イオンビームまたは電子ビームでの事前切断処理は、1マイクロメーターよりもかなり低い空間分解能を提供し、サブマイクロメータースケールでの画像分析を可能にする。折り畳まれた生体物質は、伸張機能を提供するために使用され得る。この手法は、線形(事実上1次元)試料担体の場合に特に容易となり得る。リボンは折り畳まれて初期試料担体を形成することができる。次いで、生体試料を、折り畳まれたリボンの上面に接着させ、次いで、各折り畳みの接合部で事前切断することができる。その後、リボンを展開し、各折り畳み工程の長さにより決定される有意な距離の間隙を介して分離された各試料ピクセルを有する事前構造化された生体試料を提供することができる。
作動中、検出器で生成された信号が、隣接するピクセルからの物質により完全に重なるのを避ける必要はない。例えば、ピクセル少切片の放出順序が気相への移動中に混合するように、より高いピクセル放出速度で装置を操作することが望ましい場合がある。この操作が、連続ピクセルからほんのわずかに終わる場合は、ソフトウェアアルゴリズムを使用して、残りの画像に対する補間に基づいて正しい順序を復元することができる。理解されるように、この装置および方法は、画像化サイトメトリー用途における使用に適している。組織断面のレーザー焼灼を使用する以前に開示された方法は時間がかかり、本明細書に開示されるように、試料導入速度はエアロゾルプラズマの広がりにより制限され得る。本開示により提供される方法では、構造化担体上に組織試料を調製し、後の画像化マスサイトメトリーまたは画像化質量分析のために保存することができる。また、IMC分析の前に、光学的、蛍光的または他の顕微鏡検査を用いて試料を評価し、その後のIMC分析のために特定の関心領域を同定することができる。
(試料脱着)
特定の実施形態では、試料担体は、脱着源またはガス流に対してなど、試料導入装置の他の要素に対して移動されない。移動ステージなどのような試料担体の機械的な動きは、個々のピクセルが生成される速度を低下させ、それによりシステム全体を遅らせる可能性がある。後述するように、脱着は、リフティングを含む様々な技術により達成することができる。
用語脱着するおよび脱着は、一般的に、実質的な気化なしに(例えば、試料の大部分が気化していない)、担体表面上の不連続部位に対する生体試料の放出を指すために使用される。この用語は、熱的、光分解的、化学的、または物理的などの任意の適切な方法を含む。脱着するおよび脱着は、生体物質の試料が基材から放出される時点で実質的に気化される焼灼および他のプロセスとは区別される。
特定の実施形態では、生体試料は、熱的機構により試料から放出され得る。そのような実施形態では、不連続部位の表面は、生体物質を脱着するのに十分に熱くなる。熱は、レーザーなどの放射源により提供することができる。表面に印加されるエネルギーは、好ましくは生体試料を変更することなく、生体物質を脱着するのに十分である。任意の適切な放射波長を使用することができるが、それは表面の吸収特性に部分的に依存し得る。特定の実施形態では、不連続部位の表面または層は、熱に変換するために入射放射線を吸収する吸収体でコーティングされるか、または吸収体を含むことができる。放射は、不連続部位の上面または担体の厚さを通って不連続部位の底面に照射されてもよい。加熱された表面は、表面層であってもよいし、不連続部位の多層構造の内層であってもよい。加熱による脱着は、ナノ秒の時間スケールで行うことができる。また、支持層の気化は、ピコ秒のレーザーパルスが使用される場合、ピコ秒時間スケールで起こり得る。
特定の実施形態では、不連続部位は、電流の印加時に加熱する電導体の層を含むことができる。そのような場合、不連続部位は電極に電気的に接続され、不連続部位は個別にアドレス可能である。
特定の実施形態において、生体試料は、切断可能な光反応性部分を有する不連続部位に結合され得る。切断可能な光反応性部分に適切な光源で照射すると、光反応性部分は切断して生体試料を放出することができる。
特定の実施形態では、不連続部位は、運動エネルギーを生体試料に与えて試料を表面から放出させる化学反応性種のコーティングまたは層を含んでいてもよい。例えば、化学反応性種は、例えば、H2、CO2、N2またはヒドロクロロフルオロカーボンなどのガスを放出し得る。そのような化合物の例には、加熱時にガスを放出する膨張剤および発泡剤が挙げられる。ガスの発生を利用して、生体試料の不連続部位からの放出の再現性および方向性を改善することができる脱着生体試料に、運動エネルギーを与えることができる。
特定の実施形態では、不連続部位は、生体物質を脱着するための熱を発生する発熱反応を起こす光開始化学反応物を有してもよい。
特定の実施形態では、不連続部位は、生体物質の担体上の不連続部位からの放出を容易にするように構成されたMEMSデバイスに取り付けられてもよいおよび/または結合されてもよい。
任意に、レーザーは、試料位置ではなく、リフティングされている試料に隣接する位置に集束されてもよい。例えば、レーザーは、リフティングされている試料に隣接する数マイクロメートルのオーダに集束されてもよい。リフティング焼灼は非常に激しいが(全ての焼灼と同様に)、焼灼を細胞から離すことにより、リフティングがより穏やかになり得る。言い換えると、試料位置からの数ミクロン(例えば、10ミクロン未満、5ミクロン未満、3ミクロン未満など)のレーザー焼灼位置の分離は、クッションを提供し、および細胞をリフティングする作用媒体は、近くの焼灼により生成される圧縮波であり得る。試料に隣接する物質の焼灼は、試料を支持面から気相中にリフティングし得る。
いくつかの実施形態では、試料は、支持フィルムの一部により支持されてもよい。フィルムを基材に付着させてもよい。レーザーを生体試料の縁の周りに集束させ、支持フィルムの一部を支持フィルムの残りの部分から分離させてもよい。その後、試料を支持する支持フィルムの一部を穏やかに加熱し(例えば、同じレーザーまたは異なるレーザーを使用して)、試料を気相中にリフティングしてもよい。この2工程の切断分離手法は、細胞をリフティングするのに必要なエネルギーの量を減らし、リフティングの激しさを減少させ、リフティング中に細胞が損傷する可能性を減らす。例えば、いくつかの実施形態では、UVレーザを使用して細胞およびフィルムを基材から引き離している間に、IRレーザーを使用して関心領域の周りを切断してもよい(基材を使用する場合 - 試料はただフィルム上にあることがある)。
これは、試料が不規則にまたは無作為に捕捉される場合に有利であり得る。いくつかの実施形態では、分析システムは、支持フィルムの一部をフィルムの残りの部分から分離するために、試料に対する焦点を操縦するレーザー操縦部品を含むことができる。さらに、上述したように、細胞は画像技術および/または他の基準に基づいて選択することができる。例えば、特許文献4は、本明細書に記載の実施形態で使用され得る位置特異的分析用に標的細胞の位置を同定するために試料(例えば、蛍光顕微鏡)を調べるための方法およびシステムを記載する。そのような方法およびシステムは、生体物質が試料支持体上に不規則なまたは無作為な配置を有する場合に特に有利であり得る。
マスサイトメトリーによる単一細胞分析は、導入速度により制限され、現在、蛍光フローサイトメトリーシステムよりもはるかに少ない。蛍光フローサイトメーターは、現在のマスサイトメーターの約1,000細胞/秒と比較して、約30,000細胞/秒を分析することができる。レーザー焼灼チャンバーにおける、およびイオン化源、例えばICP源への輸送中の生体試料のエアロゾルプルームの広がりに関連する制限は、生体物質の不連続試料を単離する能力をさらに制限する。個々の細胞を含む液滴などの生体物質を、マイクロ流体を用いてイオン化源、例えばICP源に直接導入するための方法が開発されている。非特許文献6。しかしながら、そのような方法は、約300細胞/秒の試料導入速度に制限されているようであり、これらの方法は、1つの液滴中に複数の細胞が凝集する場合を妨げない。
本開示により提供される装置および方法を使用し、細胞の到着のタイミングの予測可能性および複数の細胞が同時に到着する場合の除去を利用して、1,000細胞/秒〜5,000細胞/秒の試料導入速度が可能であることが予測される。
図6は、担体の表面上に配置された不連続試料部位を有する試料担体の例を示す。試料部位の各々は、捕捉層と、捕捉層の下にある脱着フィルムとを含む。生体物質は捕捉層上に位置する。捕捉層は、上記のいずれかの方法(例えば、機械的、化学的、静電気的、親水性および/または疎水性相互作用、それらの組み合わせなど)で生体物質を捕捉するように構成され得る。この実施形態では、例えば担体の裏面から脱着フィルム上に集束されたレーザー放射線が、試料のキャリアガス流およびガス導管への放出を引き起こすように、担体はある種の放射線に対して透過である。脱着フィルムは放射線を吸収し、脱着フィルムおよび/または生体試料を放出させることができる。いくつかの実施形態では、脱着フィルムは薄い。いくつかの実施形態では、脱着フィルムは100nmの厚さであってもよく、または1μmの厚さまであってもよい。レーザーエネルギーの大部分をフィルムに吸収させるように、レーザー光特性(波長、パルス持続時間)を選択することができる。フィルムの焼灼に必要なエネルギーを最小にするために、フィルムをできるだけ薄くすることができる。いくつかの部位およびレーザーパラメータは、10nmまたは30nmなどのより薄い層へのエネルギーの吸収を支持し得る。脱着フィルムは、様々な形態のプラスチック(PEN、PMMA、カプトンなど)であってもよく、UVレーザーからエネルギーを吸収するように構成されていてもよい。任意に、脱着フィルムは、トリアゼンポリマーまたは金属層であってもよい。さらなる実施形態では、脱着フィルムが、隣接ピクセルに連結する隣接脱着フィルムから分離されるように、脱着フィルムは予め切断されてもよい。いくつかの実施形態では、試料をリフティングする間に脱着層を加熱または焼灼するために使用されるレーザーとは別のレーザーまたは同じレーザーであってもよいレーザーを使用する試料のリフティングの前に、脱着フィルムを事前切断することができる。事前切断脱着フィルムは、試料を気相中にリフティングするのに必要なエネルギー量を減少させ、それにより、リフティング中に(例えば、脱着フィルムのレーザー焼灼または加熱を介して)試料を気化させるかまたは損傷させる可能性を低減することができる。さらに、図示されていないが、脱着層と捕捉層との間にクッション層を配置することができる。例えば、より厚いプラスチックの層を、脱着/焼灼層の上に堆積させることができる。クッション層は厚さが1マイクロメートルであり、焼灼層は100nmであることができる。この場合、焼灼層の速度および加速度は、生物物質に伝播する際、クッション層の慣性により、約10倍減少する(和らげる)。クッション層では、リフティングされる領域がクッション層の大部分または残りの部分から容易に分離するようにすることが望ましい場合がある。クッション層の事前切断またはパターニングは、有用となり得る。
クッション層は、生体試料のリフティング中に生体試料をさらに保護するように設けられてもよい。例えば、支持体から生体試料を放出するために脱着層が焼灼される場合、クッション層は、焼灼からの余分なエネルギーを吸収し、放出中に生体試料を保護するように構成されていてもよい。
図7は、レーザー放射などの放射が試料の前面に向けられる別の構成を示す。レーザー放射線は生体試料を透過し、脱着フィルムに吸収され、それにより試料が捕捉部位から放出される。レーザー放射の特性は、生体試料が無傷のままであり、レーザー放射によりそれ自体が気化または焼灼されないように選択される。
特定の実施形態では、生体試料は、ナノヒーター、気泡ジェット、圧電、超音波、静電気、または上記のいずれかの組み合わせを使用して、不連続部位から放出または脱着することができる。
これらの技術のそれぞれまたは組み合わせは、試料担体からの試料物質の規則的な分離を可能にする。しかしながら、しばしば、目的の試料上の位置は、容易に孤立してリフティングすることができる不連続部位の孤立細胞などの不連続実在物を表さない。代わりに、目的の細胞は、分析が必要とされないもしくは求められない他の細胞または物質に取り囲まれてもよい。したがって、目的の位置の脱着(例えば、リフティング)を試みは、目的の細胞および周囲の物質の両方を一緒に脱着し得る。したがって、特定の位置 (例えば、細胞)に加えて、物質の脱着スラグ中に担持される試料の周囲領域から(例えば、標識された他の細胞から)の元素タグ(以下の議論を参照)で使用される標識原子などの原子は、目的の位置の読みを乱す可能性がある。
この問題に対する解決策が本発明により提供され、それにより、焼灼および脱着(例えば、リフティングによる)の技術を単一の方法に組み合わせることができる。例えば、試料担体上の生体試料、例えば、組織切片試料または細胞懸濁液分散液の目的の位置(例えば、細胞)の正確な脱着を行うために、レーザー焼灼を用いて、目的の細胞の周囲の領域を焼灼し、他の物質のそれを除去することができる。焼灼により周囲領域を除去した後、目的の位置を試料担体から脱着させ、次いでイオン化し、標準的なマスサイトメトリーまたは質量分析手順に従った質量分析により分析することができる。上記の考察に沿って、熱的、光分解的、化学的または物理的技術を用いて、任意に焼灼を使用して脱着される位置の周囲領域を除去した後に、物質を目的の位置から脱着させることができる。しばしば、リフティングが用いられ、物質のスラグを試料担体(例えば、不連続部位からの脱着に関して上述したように、脱着フィルムでコーティングされ、リフティング手順を補助する試料担体)から分離する。例えば、除去後に試料から脱着されたスラグは、したがって、構造化試料担体上の不連続部位から脱着された物質に関して本明細書の他の箇所で論じられた「ピクセル」に類似している。
図8は、焼灼とリフティングとを組み合わせた方法の工程の概略図である。図8Aにおいて、第1レーザー放射(A)は試料(B)に向けられ、試料のその部分を焼灼する(試料断片(C)と分析される物質のスラグ(D)との間の間隙により示されるように、図8Bおよび8C)。試料(B)は試料担体(E)上にあり、試料と担体との間は、試料物質の担体の表面からの脱着を補助する脱着フィルムコーティングなどの前段落で論じた種類の官能化層(F)である。図8Bおよび図8Cは、同じ工程 - 官能化層(F)のレーザー放射線(G)での照射 - を示す。図8Bおよび図8Cは、別の照射モードである。8Bは、試料担体(E)を通した官能化層(F)の照射を示すが、一方で4Cは、脱着される試料物質(D)を通した官能化層(F)の照射を示す。図8Dは、試料物質のスラグ(D)を気相中に放出する照射後の官能化層(F)によるガス(H)の生成を示し、その中でそれはガス(I)の流れによりイオン化システムにつながる導管(J)に輸送される。いくつかの例では、試料物質のスラグを放出する官能化層によるガスの生成はなく、その代わりに、脱着フィルムなどの官能化層がレーザー放射を吸収する際、別の種類のレーザー誘起脱着が生じる。
したがって、本発明は、試料を分析する方法であって、以下の工程を含む方法を提供する:
(i)レーザー照射を用いて試料のレーザー焼灼を行う工程と;
(ii)試料物質のスラグを、レーザー照射を用いて脱着させる工程と;
(iii)試料物質のスラグをイオン化し、質量分析法によりスラグ中の原子を検出する工程。
いくつかの実施形態では、試料の焼灼は、生成された試料物質の1つ以上のプルームを生成し、プルームは個別にイオン化され、プルーム内の原子は質量分析により検出される。いくつかの実施形態では、試料物質のスラグの脱着を引き起こし、それを試料から分離する(すなわちリフティング)ために、試料は官能化層を含む試料担体上にあり、レーザー放射は、上述した種類の官能化層(脱着フィルムなど)を標的とする。
本発明のいくつかの実施形態では、脱着によりおよび焼灼により除去される試料の部分は、異なっていてもよい。例えば、細胞群が存在する場合、焼灼(細胞内分解能などで)を行い、群内の全ての細胞の画像化を可能にし得る(例えば、試料物質を脱着することにより、複数の細胞を一度に除去することができるが、これは細胞ごとの分析が必要な場合には望ましくない可能性がある)。しかしながら、同じ試料では、他の細胞から間隔をあけ、そうしてリフティングすることができる細胞があり得る。いくつかの実施形態では、工程(ii)は工程(i)の前に実施される。
いくつかの実施形態では、試料は、組織切片などの生体試料、またはスライド上に分散された(および任意に固定された)細胞溶液である。いくつかの実施形態では、工程(i)の前に、本方法は、試料中の複数の異なる標的分子を1つ以上の異なる標識原子で標識し、標識された試料を提供する追加工程を含む。それにより、標識化工程は、画像化質量分析法に加えて、画像化マスサイトメトリーを可能にする。
いくつかの実施形態では、レーザー焼灼を使用して目的の位置の周囲の物質を焼灼し、目的の位置の試料物質が、物質のスラグとして脱着される(例えば、リフティングにより)前に、周囲領域を除去する。その後、この物質のスラグは分析される、すなわち、本明細書の他の箇所で論じられた、構造化試料担体が使用される際に生成されるピクセルと同じ方法で。
目的の位置は、レーザー焼灼および脱着(例えば、リフティングによる)が行われる前に、別の技術により同定することができる。カメラ(電荷結合素子画像センサーベース(CCD)カメラもしくはCMOSカメラもしくはアクティブピクセルセンサーベースのカメラなど)の含有、または前の節で説明した画像化質量分析計における他の光検出手段は、これらの技術を可能にする1つの方法である。カメラを使用して試料を走査し、特定の目的の細胞または特定の目的の位置(例えば、特定の形態の細胞)を同定することができる。そのような位置が同定されると、レーザーパルスが目的の位置の周囲領域に向けられた後に位置はリフティングされ、位置(例えば、細胞)がリフティングされる前に、焼灼により他の物質を消すことができる。このプロセスは、自動化されてもよく(システムが目的の位置(単数または複数)を同定し、焼灼し、およびリフティングする)、または半自動プロセスであってもよい(システムのユーザ、例えば臨床病理学者が目的の位置(単数または複数)を同定し、その後システムは、自動的に焼灼およびリフティングを実行する)。これは、特定の細胞を分析するために試料全体を焼灼する必要がなく、目的の細胞を特異的に焼灼することができるので、分析を行うことができる速度の有意な増加を可能にする。
カメラは、共焦点顕微鏡からの画像を記録することができる。同定は、光学顕微鏡法、例えば細胞の形態学または細胞の大きさを調べることにより行うことができる。場合によっては、試料を特異的に標識し、目的の位置(単数または複数)(例えば、細胞)を特定することができる。
しばしば、蛍光マーカーを使用して、目的の細胞を特異的に染色する(標識された抗体または標識された核酸を用いることなどにより)。これらの蛍光マーカーを使用して、特定の細胞集団(例えば、特定の遺伝子および/もしくはタンパク質を発現する)または細胞上の特定の形態学的特徴(例えば、核もしくはミトコンドリア)を染色することができ、適切な波長の光で照明されると、試料のこれらの領域は特に同定可能である。場合によっては、特定の領域からの特定の種類の蛍光がないことが特徴であり得る。例えば、細胞膜タンパク質を標的とする第1蛍光標識を用いて細胞を広範に同定してもよいが、次いでki67抗原(MKI67遺伝子によりコードされる)を標的とする第2蛍光標識は、増殖細胞と非増殖細胞とを区別することができる。したがって、第2標識蛍光からの蛍光を欠く細胞を標的化することにより、非複製細胞を特異的に分析の標的とすることができる。したがって、いくつかの実施形態では、本明細書に記載のシステムは、試料を標識するために使用される標識中のフルオロフォアを励起するためのレーザーを含むことができる。あるいは、フルオロフォアを励起するためにLED光源を使用することができる。非共焦点(例えば、広視野)蛍光顕微鏡法を使用して、生体試料の特定の領域を同定することもできるが、共焦点顕微鏡法よりも分解能は低い。
レーザーを使用して蛍光顕微鏡用のフルオロフォアを励起する場合、いくつかの実施形態では、このレーザーは、物質を生体試料から焼灼し、リフティング(脱着)するのに使用されるが、物質の試料から焼灼または脱着を引き起こすのに十分でないフルエンスで使用されるレーザー放射を生成するレーザーと同じである。いくつかの実施形態では、フルオロフォアは、試料脱着に使用されるレーザー放射の波長により励起される。フルオロフォアを励起するレーザー放射は、焼灼および/またはリフティングレーザー源(単数または複数)とは異なるレーザー源により提供され得る。
画像センサー(CCD検出器またはアクティブピクセルセンサー、例えばCMOSセンサー)を使用することにより、蛍光の位置を試料のx、y座標と相関させ、次いで位置の細胞がリフティングされる前に、焼灼レーザー放射をその位置の周囲の領域に向ける制御モジュール(コンピューターまたはプログラムチップなど)を使用することにより、関心領域を同定し、それらを焼灼するプロセスを完全に自動化することが可能である。このプロセスの一部として、いくつかの実施形態では、画像センサーにより取得された第1画像は、低い対物レンズ倍率(低い開口数)を有し、試料の広い領域の調査を可能にする。これに続いて、より高い倍率を有する対物レンズへの切り替えを使用して、より高い倍率の光学的撮像により蛍光を発することが測定された特定の目的の特徴に的を絞ることができる。蛍光に記録されたこれらの特徴は、その後リフティングすることができる。より低い開口数のレンズを最初に使用することは、被写界深度が増大するというさらなる利点を有し、したがって、試料内に埋め込まれた特徴は、最初からより高い開口数のレンズを用いたスクリーニングよりも高い感度で検出され得ることを意味する。
蛍光画像化が使用される方法およびシステムでは、試料からカメラへの蛍光の放射経路は、1つ以上レンズおよび/または1つ以上の光学フィルターを含み得る。1つ以上の蛍光標識から選択されたスペクトル帯域幅を通過させるように適合された光学フィルターを含めることにより、システムは、蛍光標識からの放出に関連する色収差を処理するように適合される。色収差は、レンズが異なる波長の光を同じ焦点に集束させないことの結果である。したがって、光学フィルターを備えることにより、光学系内のバックグラウンドが低減され、結果として得られる光学像はより高分解能である。カメラに到達する望ましくない波長の放射光の量を最小にするさらなる方法は、光学フィルターにより透過される波長での光の透過および焦点のために設計された一連のレンズを使用することにより意図的にレンズの色収差を利用することであり、特許文献5で説明されるシステムに類似する。
より高い解像度の光学画像は、光学技術とリフティングとのこの結合において有利であるが、それは、光学画像の精度が、焼灼レーザー源が目的の細胞の周囲の領域を焼灼するように方向づけられる正確さを決定するためである。
したがって、本発明は、複数の細胞を含む試料に対してマスサイトメトリーを行う方法であって、以下の工程を含む方法を提供する:(i)試料中の複数の異なる標的分子を1つ以上の異なる標識原子で標識し、標識された試料を提供する工程と;(ii)試料を光で照射し、1つ以上の目的の位置を同定する工程と;(iii)試料上の1つ以上の目的の位置の位置情報を記録する工程と;(iv)目的の位置の位置情報を用いて、目的の位置から試料物質のスラグを脱着させる工程であって、レーザー焼灼を最初に実行し、レーザー放射を使用して試料物質のスラグが位置から脱着される前に、目的の位置の周囲の試料物質を除去することを含む工程と;(v)試料物質の脱着スラグをイオン化する工程と;(vi)試料物質中の標識原子の検出のために、イオン化された試料物質を質量分析に供する工程。
本発明は、複数の細胞を含む試料に対してマスサイトメトリーを行う方法であって、以下の工程を含む方法も提供する:(i)試料中の複数の異なる標的分子を1つ以上の異なる標識原子および1つ以上の蛍光標識で標識し、標識された試料を提供する工程と;(ii)試料に光を照射し、1つ以上の蛍光標識を励起する工程と;(iii)試料上の1つ以上の位置の位置情報を、蛍光のパターンに基づいて記録する工程と;(iv)蛍光のパターンに基づく位置情報を用いて、目的の位置から試料物質のスラグを脱着させる工程であって、レーザー焼灼を最初に実行し、試料物質のスラグが位置から脱着される前に、目的の位置の周囲の試料物質を除去することを含む工程と;(v)試料物質の脱着スラグをイオン化する工程と;(vi)試料物質中の標識原子の検出のために、イオン化された試料物質を質量分析に供する工程。
上記の方法のいくつかの実施形態では、試料は試料担体上にある(例えば、典型的には担体の原子の著しい除去なしに、試料の焼灼または脱着が可能である顕微鏡スライドまたは他の適切な固体プラットフォーム)。いくつかの実施形態では、試料物質を脱着するために使用されるレーザー放射は、試料担体を介して試料物質に向けられる。いくつかの実施形態では、試料物質のスラグは、リフティングにより脱着される。いくつかの実施形態では、試料は、レーザー放射を吸収し、試料物質のスラグのリフティングを補助する層を含む試料担体上にある。適切な層の例は、試料担体の表面上にコーティングされた脱着フィルムであってもよく、非特許文献1の図1に示されるようなトリアゼンポリマー、またはレーザー照射により気化するその他のポリマーが挙げられる。
いくつかの実施形態では、脱着される位置の周りの領域(例えば、目的の細胞)を除去するために実施される焼灼からのデータは、記録されない。いくつかの実施形態では、データは、周囲領域の焼灼から記録される。周囲領域から得ることができる有用な情報には、タンパク質およびRNA転写物など、どの標的分子が周囲細胞および細胞間環境に存在するかが含まれる。これは、固体組織試料を画像化する場合に、直接的な細胞-細胞相互作用が一般的である場合に特に興味深くなり、周囲細胞においてどのタンパク質などが発現されているかは、目的の細胞の状態に関して有益であり得る。
本発明はまた、この節に記載の方法を実施するようにプログラムされた制御モジュールを含む画像化質量分析計または画像化マスサイトメーターを提供する。
(ガス導管)
生体試料の担体からの脱着(例えば、リフティングによる)に続いて、生体試料をガス流中に注入し、続いてイオン化源、例えばICPトーチに導入し、そこで生体試料をイオン化し、続いて適切な質量分析法によりイオンを記録する。
キャリアガスは、アルゴン、ヘリウム、またはそれらの組み合わせなどの不活性ガスを含むマスサイトメトリーまたは質量分析計に使用するための、任意の適切なガスであり得る。
キャリアガスは、担体の表面を流れ、一方の端で細いフローチューブまたはチャネルに閉じ込められ得る。流動性フローサイトメーターのように、キャリアガスおよび同伴された生体試料は、個々のピクセルがイオン化源、例えばICPトーチに一度に1つずつ入るように動的に集束されたガスであり得る。
ガス導管の長さは、脱着生体試料を、担体からマスサイトメーターまたは質量分析計のイオン化源、例えばICP源に送達する目的で、任意の適切な長さであり得る。主として実施上の考慮に基づいて、ガス導管の長さは、約10cm〜約40cmであり得る。
ガス導管の直径は、この場合もやはり、脱着された生体試料を、担体からマスサイトメーターまたは質量分析計のイオン化源、例えばICP源に送達する目的で、任意の適切な直径であり得る。例えば、特定の実施形態では、ガス導管は、約0.2mm〜約3mmの内径を有することができる。ガス導管の内径は、目詰まりを最小にするのに十分な大きさであることが望ましい。導管は、その長さの大部分にわたって特定の直径を有することができるが、ICPトーチインジェクターとして一般的に実施されているように、ICPトーチの近くでより小さな直径まで先細にすることもできる。この場合もやはり、ガス導管に沿った動態が確立および操作され、不連続物質ピクセルのICP源への連続流を容易にする。理想的には、ピクセルは、ガス速度が最大であり、位置による速度の変化が最小になるガス導管の中心に向かって配置される。特定の実施形態では、導管を通るキャリアガス流は、ガス導管の軸に沿った放物線形状の中心を有する層流ガス流により特徴付けられる。
(マスサイトメトリー分析)
特定の実施形態では、生体試料は元素タグで標識される。金属ポリマー複合体を含む元素タグは、生体物質の高度に多重化された高感度アッセイを提供することができる;金属原子は標識原子とも呼ばれる。元素タグは、抗体などの親和性分子に結合することができ、それは定量的プロテオミクスおよび生体試料のゲノミクスに使用することができる。元素タグは、例えば特許文献6に記載されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。元素タグを用いた生体物質の分析は、例えば、特許文献7、特許文献8、特許文献9、および特許文献10、ならびに特許文献11に記載されており、これらの各々は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。一般に、これらの刊行物に開示されている物質および方法を、本開示により提供される実施形態に適用することができ、主な相違は、刊行物において、生体物質を焼灼または気化させ、蒸気プルームとして試料担体からイオン化源、例えばICP源に移送することである。対照的に、本開示により提供される実施形態では、生体物質は、非気化物質ピクセルとして担体表面から脱着(例えば、リフティング、放出、または排出)され、キャリアガス流に同伴され、物質試料をイオン化源、例えばICP源へ送達する。
(生体試料の標識)
いくつかの実施形態では、上記のように、本発明の装置および方法は、試料に添加された(すなわち、通常は存在しない)原子を検出する。上記のように、そのような原子は標識原子と呼ばれる。試料は、典型的には細胞を含む生体試料であり、標識原子を使用し、細胞/細胞表面上の標的分子を標識する。いくつかの実施形態では、例えば、少なくとも3個、4個、5個、10個、20個、30個、32個、40個、50個、またはさらには100個の異なる標識原子の多重標識検出を可能にする、多くの複数の標識原子の同時検出が可能である。標識原子をコンビナトリアル方式で使用し、識別可能な標識の数をさらに増やすこともできる。異なる標的を異なる標識原子で標識することにより、単一細胞上の複数の標的の存在を判定することが可能である。
本発明で用いることができる標識原子には、MSにより検出可能であり、非標識試料には実質的に存在しない任意の種が含まれる。したがって、例えば、12C原子(炭素12)は、天然に豊富に存在するため、標識原子としては不適当であり、一方で11Cは、天然には存在しない人工同位体であるため、理論上は使用可能である。しかしながら、好ましい実施形態では、標識原子は、希土類金属(15種のランタニド、加えてスカンジウムおよびイットリウム)などの遷移金属である。これらの17元素は、MSにより容易に識別され得る多くの異なる同位体を提供する。広範囲のこれらの元素は、濃縮同位体の形態で利用可能であり、例えばサマリウムには6つの安定同位体があり、ネオジムには7つの安定同位体があり、これらは全ては濃縮形態で入手可能である。15種のランタニド元素は、重複していない固有の質量を有する少なくとも37個の同位体を提供する。標識原子としての使用に適した元素の例には、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、プロメチウム(Pm)、サマリウム(Sm)、ユーロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)、スカンジウム(Sc)およびイットリウム(Y)が挙げられる。希土類金属に加えて、他の金属原子、例えば金(Au)、白金(Pt)、イリジウム(Ir)、ロジウム(Rh)、ビスマス(Bi)などは、MSによる検出に適している。放射性同位元素の使用は、それらの取り扱いがあまり便利でなく不安定であるため好ましくなく、例えばPmは、ランタニドの中で好ましい標識原子ではない。
飛行時間分析を容易にするために、80〜250の範囲内、例えば80〜210の範囲内、または100〜200の範囲内の原子質量を有する標識原子を使用することが有用である。この範囲には、ランタニドのすべてが含まれるが、ScおよびYは含まれない。100〜200の範囲は、異なる標識原子を用いることにより理論的な101-プレックス分析を可能し、同時に本発明がTOF MSの高いスペクトル走査速度を利用することを可能にする。上述したように、非標識試料(例えば、100〜200の範囲内)で見られるものより上のウィンドウに質量がある標識原子を選択することにより、TOF検出を使用して迅速な分析を生物学的に有意なレベルで提供することができる。
粒子を標識化するには、一般に、標識原子が特異的結合対(sbp)の一員に結合することが必要である。この標識されたsbpは、sbpの他の成員(標的sbp成員)が存在する場合にそれと相互作用し、それにより標識原子を試料中の標的分子に局在させることができるように、試料と接触する。次いで、本発明の方法は、マスサイトメーターにより分析される際に、粒子上の標識原子の存在を検出する。希土類金属および他の標識原子は、既知技術によりsbp成員に結合することができ、例えば、非特許文献7は、MS検出のためのランタニド原子のオリゴヌクレオチドプローブへの結合を記載しており、非特許文献8は、オリゴヌクレオチドを標識するためのルテニウムの使用を記載し、Fluidigm CanadaはMaxPar(商標)金属標識キットを販売しており、それを使用して、30種類以上の標識原子をタンパク質(抗体を含む)に結合させることができる。
様々な数の標識原子が、単一のsbp成員に結合することができ、より多くの標識原子が任意のsbp成員に結合した場合に、より高い感度が達成され得る。例えば、10、20、30、40、50、60、70、80、90または100を超える標識原子がsbp成員に結合することができる。例えば、複数のモノマー単位を含み、それぞれがDTPAなどのキレート剤を含む単分散ポリマーを使用することができる。DTPAは、例えば、約10-6Mの解離定数を有する3+ランタニドイオンに結合する。これらのポリマーは、sbp成員に結合するために使用されるチオール反応性基(例えば、マレイミド)で終結することができる。例えば、チオール反応性基は、抗体のFc領域に結合し得る。他の官能基、例えば、N-ヒドロキシスクシンイミドエステルなどのアミン反応性基、またはカルボキシルに対してもしくは抗体のグリコシル化に対して反応性の基なども、これらのポリマーの結合のために使用することができる。任意の数のポリマーが、各sbp成員に結合し得る。使用され得るポリマーの特定の例には、直鎖(「X8」)ポリマーまたは第三世代樹状(「DN3」)ポリマーが含まれ、両方ともMaxPar(商標)試薬として入手可能である。金属ナノ粒子の使用は、標識中の原子の数を増加させるために使用することもできる。
上述のように、標識原子はsbp成員に結合され、この標識sbp成員は標的sbp成員(存在する場合)を見出すことができる試料と接触し、それにより標識sbpを形成する。標識されたsbp成員は、標識原子に結合するのに適しており、次いで本発明による検出に適した任意の化学構造を含むことができる。
一般的に言えば、本発明の方法は、試料中の標的分子(例えば、IHCもしくは蛍光in situハイブリダイゼーション、FISH)の存在を測定する際に、または蛍光に基づくフローサイトメトリーでの使用が既に知られている任意のsbpに基づくことができるが、試料と接触するsbp成員は、MSにより検出可能な標識原子を有するであろう。このようにして、本発明は、以前から使用されてきた標識を修飾するだけで、例えば、MSにより検出され得る標識を有するようにFISHプローブを修飾するだけで、入手可能なフローサイトメトリー試薬を使用することにより容易に実施することができる。
sbpは、以下のいずれかを含み得る:核酸二重鎖;抗体/抗原複合体;受容体/リガンド対;またはアプタマー/標的対。したがって、標識原子は、核酸プローブに結合されることができ、次いでそれは試料と接触し、その結果プローブはその中の相補的核酸(単数または複数)にハイブリダイズし、例えばDNA/DNA二重鎖、DNA/RNA二重鎖、またはRNA/RNA二重鎖を形成することができる。同様に、標識原子を抗体に結合させ、次にそれを試料と接触させてその抗原に結合させることができる。標識化原子をリガンドに結合させ、その後それを、その受容体に結合できるように試料と接触させることができる。標識原子をアプタマーリガンドに結合させ、次にこれを試料と接触させて標的に結合させることができる。このようにして、標識されたsbp成員を使用して、DNA配列、RNA配列、タンパク質、糖、脂質、または代謝産物を含む、試料中の様々な標的分子を検出することができる。
本発明の典型的な実施形態では、標識されたsbp成員は抗体である。抗体の標識は、例えば、上記のMaxPar(商標)複合キットを使用した、1つ以上の標識原子結合分子の抗体への複合により達成することができる。抗体の標的分子は、その抗原と呼ばれ、タンパク質、炭水化物、核酸などであり得る。マスサイトメトリーに有用な細胞タンパク質を認識する抗体は、IHCの使用に既に広く利用可能であり、現在の標識技術(例えば、蛍光)の代わりに標識原子を用いることにより、これらの既知抗体は、本発明の方法での使用に容易に適合させることができるが、多重化能力を高めるという利点がある。本発明で用いられる抗体は、細胞表面上の標的または細胞内の標的を認識することができる。抗体は、様々な標的を認識することができ、例えばそれらは個々のタンパク質を特異的に認識することができ、または共通エピトープを共有する複数の関連タンパク質を認識することができ、またはタンパク質上の特異的な翻訳後修飾を認識することができる(例えば、目的のタンパク質上のチロシンとホスホチロシンとを識別すること、リシンとアセチル-リシンとを識別すること、ユビキチン化を検出することなど)。その標的に結合した後、抗体に結合した標識原子(単数または複数)を検出して、試料中のその標的の存在を明らかにすることができる。
標識されたsbp成員は、通常、試料中の標的sbp成員と直接相互作用する。しかしながら、いくつかの実施形態では、標識されたsbp成員が標的sbp成員と間接的に相互作用することが可能であり、例えば、一次抗体は標的sbp成員に結合してもよく、次いで標識二次抗体は、サンドイッチアッセイの様式で一次抗体に結合することができる。しかしながら、通常、本発明は、より容易に達成され、より高い多重化を可能にするので、直接相互作用に依存する。しかしながら、両方の場合において、試料は、試料中の標的sbp成員に結合することができるsbp成員と接触し、後の段階で、標的sbp成員に結合した標識が検出される。
本発明の1つの特徴は、試料中の複数の(例えば、10以上、さらには100以上の)異なる標的sbp成員を検出する能力であり、例えば、細胞またはビーズなどの粒子上の複数の異なるタンパク質および/または複数の異なる核酸配列を検出する能力である。これらの標的sbp成員の異なる検出を可能にするために、それらのそれぞれのsbp成員は、それらのシグナルがMSにより識別され得るように、異なる標識原子を担持しなければならない。例えば、10種の異なるタンパク質が検出される場合、10種の異なる抗体(異なる標的タンパク質に対してそれぞれ特異的である)を使用することができ、その各々が、異なる抗体由来のシグナルが識別され得るように、独自の標識を有する。いくつかの実施形態では、例えば、同じタンパク質上の異なるエピトープを認識する単一標的に対して複数の異なる抗体を使用することが望ましい。したがって、このタイプの重複性のために、本方法は標的よりも多くの抗体を使用し得る。しかし、一般に、本発明は複数の異なる標識原子を用いて、複数の異なる標的を検出する。
1つより多くの標識抗体が本発明で使用される場合、抗体は、そのそれぞれの抗原に対して同様の親和性を有することが好ましいが、これは、MSにより検出される標識原子の量と標的抗原の存在量との間の関係が、異なるsbpにわたってより一貫していることを確実にするのに役立つからである(特に高走査周波数で)。
標的sbp成員が細胞内に存在する場合、典型的には、試料の標識との接触前または接触中に細胞膜を透過性にする必要がある。例えば、標的がDNA配列であるが、標識されたsbp成員が生細胞の膜を浸透できない場合、試料の細胞を固定し、透過性にすることができる。次に、標識されたsbp成員は細胞に入り、標的されたsbp成員と共にsbpを形成することができる。
通常、本発明の方法は、少なくとも1つの細胞内標的および少なくとも1つの細胞表面標的を検出する。しかし、いくつかの実施形態では、本発明を使用して、細胞内標的を無視して複数の細胞表面標的を検出することができる。全体として、標的の選択は、本方法から望まれる情報により決定される。
したがって、いくつかの実施形態では、上記の分析方法は、試料を少なくとも1つの標識原子で標識する工程を含む。この原子は、上記の方法を用いて検出することができる。
最後に、本明細書に開示された実施形態を実施する代替方法があることに留意すべきである。したがって、本実施形態は例示的なものであり、限定的なものではないと見なされるべきである。さらに、特許請求の範囲は、本明細書で与えられた詳細に限定されるものではなく、その全範囲およびその等価物とみなされる。

Claims (21)

  1. 生体試料を支持するフィルムの少なくとも第1部分を加熱して、前記生体試料の少なくとも一部を完全に気化させることなく気相中にリフトする工程であって、前記気相が、リフトされた前記生体試料をマスサイトメトリーシステムに送達するように構成されている工程
    を含む生体試料をマスサイトメトリーシステムに送達する方法。
  2. 前記フィルムが基材に結合されており、および前記フィルムが、前記基材上の不連続の離間した部位に複数の別個のフィルム部分を含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記複数の別個のフィルム部分が、複数の細胞捕捉部位を画定し、前記細胞捕捉部位が、単一の細胞のみを捕捉するように構成されている、請求項2に記載の方法。
  4. 前記複数の別個のフィルム部分間の間隙の表面が、前記生体試料をはじくように改質されている、請求項2に記載の方法。
  5. 第1レーザースポットが前記生体試料を支持する前記フィルム上に集束され、前記フィルムを加熱する、請求項1に記載の方法。
  6. クッション層が前記生体試料と前記フィルムとの間に配置され、前記クッション層が前記フィルムの加熱からのエネルギーを吸収し、前記フィルムの前記加熱による前記生体試料への損傷を抑えるように構成されている、請求項5に記載の方法。
  7. 前記クッション層の表面が、標的生体試料を優先的に捕捉するように改質されている、請求項6に記載の方法。
  8. 切断レーザースポットを前記フィルム上に集束させ、前記生体試料の周りを切断し、前記生体試料を支持する前記フィルムの一部分を前記フィルムの大部分から分離することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  9. 前記切断レーザースポットが第1レーザーからのものであり、前記第1レーザースポットが、前記第1レーザーとは異なる第2レーザーからのものである、請求項8に記載の方法。
  10. ガス導管から前記生体試料の上にキャリアガスを流すこと、および前記リフトされた生体試料を前記ガス導管に移すこと、をさらに含む、請求項1に記載の方法。
  11. 前記生体試料が試料担体に適用され、前記試料担体が波状表面を含む、請求項1に記載の方法。
  12. 前記試料担体の前記波状表面が、1またはそれ以上の個別の領域に組織切片を切断するように構成された隆起縁を有する、請求項11に記載の方法。
  13. (i)生体試料の下のフィルムを加熱する工程;
    (ii)試料物質のスラグを脱離する工程;
    (iii)試料物質の前記スラグをイオン化し、質量分析法により前記スラグ中の原子を検出する工程、
    を含む、生体試料を分析する方法。
  14. 前記フィルムを加熱する前記(i)が、前記フィルム上にレーザースポットを集束することを含む、請求項13に記載の方法。
  15. 前記フィルム及び試料が、試料担体上にある、請求項13に記載の方法。
  16. レーザー放射が試料担体を通ってフィルム上に向かうように方向づけられ、試料物質のスラグを試料担体から脱離させる、請求項15に記載の方法。
  17. 生体試料をマスサイトメトリーシステムに送達するためのフィルムを含み、前記フィルムが前記生体試料を支持するように構成され、前記フィルムの加熱が、前記生体試料を完全に気化させることなく気相中にリフティングする、支持体。
  18. レーザー照射によって前記フィルムが焼灼されたとき、前記フィルムが試料物質のスラグを放出する、請求項17に記載の支持体。
  19. クッション層が前記フィルムと前記生体試料との間に配置されるように構成され、前記クッション層が前記フィルムの焼灼からのエネルギーを吸収し、前記生体試料への損傷を抑えるように構成されている、請求項18に記載の支持体。
  20. 前記フィルムが基材に結合されており、前記フィルムが前記基材上の不連続の離間した部位に複数の別個のフィルム部分を含む、請求項17に記載の支持体。
  21. 前記複数の別個のフィルム部分が、複数の細胞捕捉部位を画定し、前記細胞捕捉部位が、単一の細胞のみを捕捉するように構成されている、請求項20に記載の支持体。
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