複合材物品の拡大断面図である。
図1の天然ゴムラテックス層が上に配置された複合材物品の拡大断面図である。
図1および図2は、例示を目的とするものであり、正寸で描かれておらず、したがって、複合材物品の様々な構成要素、例えば基層、接着層、摩擦生成粒子、フィブリル化ナノ繊維、天然ゴムラテックス層等の相対サイズを表すことを意図していない。
本開示の詳細な説明
図1に関しては、そこでは同じ数字は幾つかの図を通じて相応する部材を示しており、複合材物品は、一般的に10で示される。複合材物品(10)は、基層(12)と、その上に配置された接着層(14)とを含む。複合材物品(10)は、食品包装において、ボールの内袋、いかだ、浮体として、かつその他の幅広い商品において使用することができる。一実施形態においては、複合材物品(10)は、タイヤ構造中に空気タイヤ中のインナーライナとして使用するために導入される。開示主題の複合材物品(10)は、本明細書に具体的に示されていない用途を有してもよいと推察されるべきである。
基層(12)は、ポリアミド組成物から形成され、かつポリアミドと無水物官能性コポリマーとの反応生成物およびイオノマーを含む。具体的には、ポリアミド組成物は、ポリアミド、該ポリアミドと反応性の無水物官能性コポリマー、ポリ(エチレン−co−メタクリル酸)イオノマー、および一実施形態においては合成ワックスを含む。
ポリアミド組成物は、1種以上のポリアミドを含む。幾つかの実施形態においては、該ポリアミドは、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド6/66、ポリアミド6/12、ポリアミド12、ポリアミド6/11およびそれらの組合せの群から選択される1種以上のポリアミドを含む。幾つかの実施形態においては、該ポリアミドは、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド6/66およびそれらの組合せの群から選択される1種以上のポリアミドを含む。ポリアミド6は、ポリカプロラクタムとしても知られており、BASF Corporation社から商品名ULTRAMID(登録商標)B、ULTRAMID(登録商標)B27、ULTRAMID(登録商標)B32、ULTRAMID(登録商標)B33、ULTRAMID(登録商標)B36、ULTRAMID(登録商標)B36 LN、ULTRAMID(登録商標)B40 LおよびULTRAMID(登録商標)B40 LNとして市販されている。ポリアミド66は、ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸との反応生成物であり、BASF Corporation社から商品名ULTRAMID(登録商標)A、ULTRAMID(登録商標)A27 E 01、ULTRAMID(登録商標)A34 01およびULTRAMID(登録商標)A44 01として市販されている。ポリアミド6/66は、ポリアミド6およびポリアミド66のコポリマーであり、BASF Corporation社から商品名ULTRAMID(登録商標)C、ULTRAMID(登録商標)C33 01、ULTRAMID(登録商標)C33L 01、ULTRAMID(登録商標)C33LN 01、ULTRAMID(登録商標)C40 L 01およびULTRAMID(登録商標)C40LX 01として市販されている。
幾つかの実施形態においては、ポリアミドは、一般的にポリアミド組成物中に、該ポリアミド組成物100質量部当たりに、約30質量部から約75質量部まで、あるいは約35質量部から約70質量部まで、あるいは約45質量部から約65質量部までの量で存在する。更に、1つより多くのポリアミドがポリアミド組成物中に含まれていてよく、その場合に、ポリアミド組成物中に存在する全てのポリアミドの全量は、前記範囲内であることが推察されるべきである。
前記のように、またポリアミド組成物は、ポリアミドと反応する無水物官能性コポリマーを含む。「無水物官能性」コポリマーとは、該コポリマーが様々な条件下で無水物官能基と接触されて、該官能基の全てまたは一部のそのコポリマーへの導入、グラフト、結合、物理的結合および/または化学的結合が引き起こされていることを意味する。つまり、「無水物官能性」は、無水物官能基を含む。無水物官能性コポリマーは、ポリアミドと反応性である。つまり、無水物官能性コポリマーの無水物官能基は、ポリアミドのアミノ末端基と反応することで、グラフトコポリマーと呼ぶことができる反応生成物が形成される。一例として、無水物官能性コポリマーは、前記のように、無水物官能価がグラフトされたコポリマーであってよい。もう一つの例としては、無水物官能性コポリマーは、無水物官能性部の重合生成物であってよい。つまり、「無水物官能性」は、無水物官能基を有するコポリマーを製造するためにオレフィンモノマーおよび無水物官能基含有モノマーを含むモノマーから(または官能基を有する開始剤を使用して)直接的に重合されたコポリマーを含むものとしても定義される。更にもう一つの例としては、無水物官能性コポリマーは、酸無水物およびペルオキシドとα−オレフィンコポリマーとの反応であってよい。
特に好ましい無水物官能基の例には、制限されるものではないが、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水シトラコン酸、2−メチルマレイン酸無水物、2−クロロマレイン酸無水物、2,3−ジメチルマレイン酸無水物、ビシクロ[2,2,1]−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸無水物および4−メチル−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、イタコン酸無水物、ビシクロ(2.2.2)オクタ−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、1,2,3,4,5,8,9,10−オクタヒドロナフタレン−2,3−ジカルボン酸無水物、2−オキサ−1,3−ジケトスピロ(4.4)ノナ−7−エン、ビシクロ(2.2.1)ヘプタ−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、マレオピマル酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、ノルボルナ−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、ナジック酸無水物、メチルナジック酸無水物、ハイミック酸無水物、メチルハイミック酸無水物ならびにx−メチル−ビシクロ(2.2.1)ヘプタ−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物(XMNA)が含まれる。
様々な実施形態においては、無水物官能性コポリマーは、無水マレイン酸で変性されたコポリマーを含む。これらの実施形態においては、コポリマーは、該コポリマー100質量部当たりに、5質量部未満の、あるいは4質量部未満の、あるいは3質量部未満の、あるいは2質量部未満の、あるいは約0.2質量部から約2.5質量部の、あるいは約0.2質量部から約2質量部までの、あるいは約0.2質量部から約1.5質量部までの無水マレイン酸を含んでよい。
様々な実施形態においては、無水物官能性コポリマーは、無水マレイン酸で変性されたα−オレフィングラフトコポリマーを含む。例えば、幾つかの実施形態においては、無水物官能性コポリマーは、無水マレイン酸で変性されたα−オレフィングラフトコポリマー、エチレン−プロピレンコポリマー、エチレン−ブテンコポリマー、エチレン−ヘキセンコポリマーおよびエチレン−オクテンコポリマーならびにそれらの組合せを含む。一実施形態においては、無水物官能性コポリマーは、エチレンと1−オクテンとの反応生成物であって、無水マレイン酸から誘導される単位でグラフトされた反応生成物を含むα−オレフィングラフトコポリマーを含む。一実施形態においては、α−オレフィングラフトコポリマーは、エチレンおよび第二α−オレフィンのコポリマーであり、かつα−オレフィングラフトコポリマーは、α,β−不飽和カルボン酸の無水物でグラフトされている。特定の一実施形態においては、無水物官能性コポリマーは、無水マレイン酸で変性されたエチレン−オクテンコポリマーを含む。
具体的な一実施形態においては、無水物官能性コポリマーは、無水マレイン酸を飽和コポリマーへとグラフトさせることによって、一般的に押出を介して形成される。無水マレイン酸官能性コポリマーは、無水マレイン酸基とポリアミドのアミノ基との反応性が高いため好ましい。
一実施形態においては、無水物官能性コポリマーは、無水マレイン酸で変性されたエチレン−オクテンコポリマーである。一実施形態においては、この実施形態の無水マレイン酸で変性されたエチレン−オクテンコポリマーは、溶融グラフトされた無水マレイン酸を含み、かつ更に線状の分子構造を有するものと定義される。もう一つの実施形態においては、この実施形態の無水マレイン酸で変性されたエチレン−オクテンコポリマーは、溶融グラフトされた無水マレイン酸を含み、かつ更に分岐状の分子構造を有するものと定義される。
この実施形態においては、基層(12)の物理的特性、例えば低温衝撃強さおよび高い破断点伸びは、(1)無水マレイン酸で変性されたエチレン−オクテンコポリマー(耐衝撃性改良剤)の良好な分散、(2)無水マレイン酸で変性されたエチレン−オクテンコポリマーとポリアミドとの間の化学的相互作用、ならびに(3)無水マレイン酸で変性されたエチレン−オクテンコポリマーの低い結晶性の結果であり得る。
理論に縛られるものではないが、この具体的な実施形態においては、無水マレイン酸で変性されたエチレン−オクテンコポリマーの分散および反応は、ポリアミドおよび無水マレイン酸で変性されたエチレン−オクテンコポリマーの両方の粘度および混合(配合)の方法によって影響される。粘度は、メルトインデックスまたはキャピラリーレオメトリ法によって測定することができる。無水マレイン酸で変性されたエチレン−オクテンコポリマーとポリアミドとの間の化学的相互作用、例えば無水マレイン酸とポリアミドのアミン末端基との間の化学反応は、衝撃応力を、比較的硬質のポリアミドから弾性的な無水マレイン酸で変性されたエチレン−オクテンコポリマーへと伝えることを可能にする。
より高いオクテン含量を有するエチレンオクテンコポリマーは、より低い結晶性を有し、それにより低温衝撃強さが改善される。0.2質量%未満の無水マレイン酸を含むエチレン−オクテンコポリマーは、一般的に、あまり良くない低温衝撃強さを有する。
様々な実施形態においては、無水物官能性コポリマーは、無水マレイン酸で変性されたエチレン−ブテンコポリマーである。一実施形態においては、ポリオレフィンは、約50nmの結晶サイズを有するナノ結晶性ポリプロピレンである。この実施形態においては、ナノ結晶性ポリプロピレンは、ASTM D38に準拠して試験した場合に約19MPaの(または19MPaより高い)破断点引張強さおよび約100%の(または100%より高い)破断点伸びを有する。この実施形態のナノ結晶性ポリプロピレンは、約160℃の融点を有し、約−28℃で脆くなる。
幾つかの実施形態においては、ポリアミド組成物は、無水物官能性相溶化剤およびそれらのブレンドを含む。例えば、一実施形態においては、ポリアミド組成物は、無水マレイン酸で変性されたエチレン−ブテンコポリマーを含む相溶化剤ブレンドを含む。
幾つかの実施形態においては、無水物官能性コポリマーは、ポリアミド組成物中に、該ポリアミド組成物100質量部当たりに、約5質量部から約55質量部まで、あるいは約8質量部から約45質量部まで、あるいは約8質量部から約35質量部まで、あるいは約8質量部から約20質量部までの量で存在する。更に、1つより多くの無水物官能性コポリマーがポリアミド組成物中に含まれていてよく、その場合に、ポリアミド組成物中に存在する全ての無水物官能性コポリマーの全量は、前記範囲内であることが推察されるべきである。
前記のように、ポリアミド組成物はまた、イオノマー、例えばポリ(エチレン−co−メタクリル酸)イオノマーを含む。イオノマーがポリアミド組成物に添加されることで、該組成物から形成された基層(12)の耐久性(耐摩耗性)、柔軟性、引張特性および温度範囲にわたる性能特性は改善される。理論に縛られるものではないが、イオノマーは、更に、一般的に熱可逆的である金属イオンによる「イオン性」架橋を更に導入すると考えられる。イオノマーが基層(12)に与える特性は、ポリアミド組成物のその他の成分、例えばポリアミドおよび無水マレイン酸官能性コポリマーの特性、ならびに基層(12)を形成する際の加工パラメータに部分的に依存している。
イオノマーは、一般的に、オレフィンおよびカルボン酸を共重合して、ポリマー鎖に沿ってランダムに分布した酸単位を有するコポリマーを生成することによって製造される。幾つかの事例においては、アクリル酸エステルのような追加のモノマーを導入して、ターポリマーを形成してもよい。例えば、ターポリマーは、オレフィン、アクリレートおよびカルボン酸を重合させることによって製造することができる。イオノマー樹脂を調製するにあたり使用するのに適したオレフィンには、制限されるものではないが、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ヘキセン−1等が含まれる。不飽和カルボン酸には、制限されるものではないが、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、α−クロロアクリル酸等が含まれる。イオノマー性ターポリマーを調製するにあたり使用するのに適したアクリレートには、制限されるものではないが、ブチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等が含まれる。幾つかの実施形態においては、イオノマーは、1種以上のα−オレフィンを、あるいは約5質量%から約40質量%までの、あるいは約8質量%から約15質量%までのエチレン性不飽和モノカルボン酸またはジカルボン酸を含み、その基礎コポリマーは、所望の程度まで金属イオンで中和されている。これらの実施形態においては、イオノマーのカルボン酸基の少なくとも約20%、あるいは約30%から約90%までが、金属イオン、例えばナトリウム、カリウム、亜鉛、カルシウム、マグネシウム等によって中和されて、イオン性状態で存在する。一実施形態においては、更にイオノマーは、ポリ(エチレン−co−メタクリル酸)イオノマー亜鉛錯体として定義され、すなわちは亜鉛によって中和されている。
一実施形態においては、イオノマーは、エチレンおよびα,β−不飽和モノカルボン酸のコポリマーの少なくとも部分的に中和された塩である。そのような一実施形態においては、イオノマーは、エチレンおよびメタクリル酸から得られるコポリマーの少なくとも部分的に中和された亜鉛塩である。この実施形態においては、更にイオノマーは、ポリ(エチレン−co−メタクリル酸)イオノマーとして定義され得る。
幾つかの実施形態においては、イオノマーは、ポリアミド組成物中に、該ポリアミド組成物100質量部当たりに、約5質量部から約55質量部まで、あるいは約10質量部から約45質量部まで、あるいは約10質量部から約35質量部まで、あるいは約10質量部から約30質量部までの量で存在する。もちろん、2種以上の種類のイオノマーが、ポリアミド組成物中に含まれていてよい。したがって、1つより多くのイオノマーがポリアミド組成物中に含まれていてよく、その場合に、ポリアミド組成物中に存在する全てのイオノマーの全量は、前記範囲内であることが推察されるべきである。
様々な実施形態においては、またポリアミド組成物は、ポリオレフィン、すなわちポリアルケンを含む。様々な実施形態においては、ポリアミド組成物は、イオノマーの代わりにポリオレフィンを含む、すなわち、ポリアミド組成物は、ポリオレフィンを含んで、イオノマーを含まない。ポリオレフィンの適切な例には、制限されるものではないが、熱可塑性ポリオレフィン、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリブテン−1およびそれらの組合せが含まれる。ポリオレフィンの適切な例には、制限されるものではないが、ポリオレフィンエラストマー、例えばポリイソブチレン、エチレンプロピレンゴム、エチレンプロピレンジエンモノマーゴムおよびポリ塩化ビニルも含まれる。様々な実施形態においては、ポリオレフィンは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリブテン−1およびそれらの組合せから選択される。
様々な実施形態においては、ポリオレフィンは、無水物官能性であり、例えば該ポリオレフィンに無水マレイン酸がグラフトされている。無水マレイン酸官能性ポリオレフィンは、無水マレイン酸基とポリアミドのアミノ基との反応性が高いため好ましい。
多くの実施形態においては、ポリオレフィンは、結晶性である。幾つかの実施形態においては、ポリオレフィンは、約0.1%から約90%までの、あるいは約0.1%から約70%までの、あるいは約0.1%から約50%までの、あるいは約0.1%から約40%までの、あるいは約1%から約30%までの、あるいは約5%から約25%までの、あるいは約5%から約20%までの、あるいは約5%から約15%までの結晶性を有してよい。幾つかの実施形態においては、ポリオレフィンは、「ナノ結晶性」ポリオレフィンである。つまり、幾つかの実施形態においては、ポリオレフィンは、約900nm未満の、あるいは約700nm未満の、あるいは約500nm未満の、あるいは約10nmから約500nmまでの、あるいは約10nmから約200nmまでの、あるいは約20nmから約80nmまでの直径を有するナノサイズの結晶性粒子を含む。それに対して、熱可塑性でエラストマー性の「ナノ結晶性」とみなされないポリオレフィンは、1000nm以上の結晶サイズを有する。
一実施形態においては、ポリオレフィンは、約50nmの結晶サイズを有するナノ結晶性ポリプロピレンである。この実施形態においては、ナノ結晶性ポリプロピレンは、ASTM D38に準拠して試験した場合に約19MPaの(または19MPaより高い)破断点引張強さおよび約100%より大きい、あるいは約100%の、あるいは約1000%より大きい、あるいは約1000%の破断点伸びを有する。この実施形態のナノ結晶性ポリプロピレンは、160℃の融点を有し、−28℃で脆くなる。
幾つかの実施形態においては、ポリオレフィンは、ポリアミド組成物中に、該ポリアミド組成物100質量部当たりに、約5質量部から約55質量部まで、あるいは約10質量部から約45質量部まで、あるいは約10質量部から約35質量部まで、あるいは約10質量部から約30質量部までの量で存在する。もちろん、2種以上の種類のポリオレフィンが、ポリアミド組成物中に含まれていてよい。したがって、1つより多くのポリオレフィンがポリアミド組成物中に含まれていてよく、その場合に、ポリアミド組成物中に存在する全てのポリオレフィンの全量は、前記範囲内であることが推察されるべきである。
ポリアミド組成物は、任意に、潤滑剤とも呼ぶことができる1種以上の合成ワックスを含む。本明細書で使用される用語「ワックス」とは、周囲温度近くで可塑性(展性)である化合物群を指す。ワックスは、一般的に45℃(113°F)で溶けて、低粘度の液体となる。ワックスは、また一般的に水中に不溶性であるが、非極性有機溶剤中に可溶である。全てのワックスは、合成または天然に存在する有機化合物である。合成ワックスがポリアミド組成物に添加されることで、ポリアミド組成物の加工性および該組成物から形成された基層(12)の物理的特性は改善される。
ポリエチレンワックス(ポリエチレンを基礎とする)、フィッシャー・トロプシュワックス、化学変性ワックス(通常、エステル化または鹸化される)、置換アミドワックス、重合α−オレフィンおよび金属ステアリン酸塩等の様々な種類の合成ワックスが存在する。したがって、ポリアミド組成物は、一般的に、ポリエチレンワックス、フィッシャー・トロプシュワックス、化学変性ワックス、置換アミドワックス、重合α−オレフィン、金属ステアリン酸塩およびそれらの組合せ物の群から選択される合成ワックスを含む。
ポリアミド組成物は、置換アミドワックス、例えばN,N−エチレンビスステアラミドを含んでよい。置換アミドワックスは、脂肪酸アミド化の反応生成物であり、比較的高い融点およびアミド官能性のような独特の特性を有する。樹脂組成物中に含まれる場合に、N,N−エチレンビスステアラミドは、基層(12)の物理的特性、例えば破断点伸びを改善し、溶融加工の間の内部潤滑剤−外部潤滑剤として機能する。好ましい一実施形態においては、置換アミドワックスは、N,N−エチレンビスステアラミドを含み、約130℃から約150℃までの融点を有し、かつASTM D974に準じて試験した場合に約5mg KOH/gから約10mg KOH/gまでの酸価を有する。
様々な実施形態においては、該組成物は、置換アミドワックス、金属ステアリン酸塩およびそれらの組合せの群から選択される合成ワックスを含んでよい。様々な実施形態においては、ポリアミド組成物は、N,N−エチレンビスステアラミド、ステアリン酸ナトリウムおよび/またはステアリン酸亜鉛を含む。例えば、一実施形態においては、ポリアミド組成物は、N,N−エチレンビスステアラミドおよびステアリン酸ナトリウムの混合物を含む。もう一つの例として、一実施形態においては、ポリアミド組成物は、N,N−エチレンビスステアラミド、ステアリン酸ナトリウムおよびステアリン酸亜鉛の混合物を含む。
幾つかの実施形態においては、合成ワックスは、ポリアミド組成物中に、該ポリアミド組成物100質量部当たりに、約0.1質量部から約10質量部まで、あるいは約0.1質量部から約5質量部まで、あるいは約0.1質量部から約3質量部まで、あるいは約0.1質量部から約2質量部まで、あるいは約0.1質量部から約1質量部までの量で存在する。更に、1つより多くの合成ワックスがポリアミド組成物中に含まれていてよく、その場合に、ポリアミド組成物中に存在する全ての合成ワックスの全量は、前記範囲内であることが推察されるべきである。
理論によって縛られるものではないが、合成ワックスは、前記成分、すなわちポリアミド、無水物官能性コポリマーおよびイオノマーを相溶化させると考えられる。したがって、前記組成物および該組成物から形成される物品、例えば基層(12)の物理的特性は、かなり改善される。更に、合成ワックスのポリアミド組成物中への導入が、ポリアミド組成物における可塑剤の使用を不要にすることも考えられる。可塑剤は、時間をかけて浸出する傾向があり、前記組成物および該組成物から形成される物品の物理的特性に悪影響を及ぼすことがある。一実施形態においては、ポリアミド組成物は、本質的に可塑剤を含まない。直前で使用された用語「本質的に含まない」とは、ポリアミド組成物100質量部当たりに、0.1質量部未満の可塑剤の量を指す。
ポリアミド組成物は、任意に、ポリアミドおよびポリエーテルの1種以上のコポリマー(様々な構造の、例えばランダム、ブロック、分岐型、直鎖型等)を含む。様々な実施形態においては、ポリアミドおよびポリエーテルのコポリマーのポリエーテルは、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリエチレンプロピレングリコール、またはポリテトラメチレングリコール(PTMG)を基礎としている。ポリアミドおよびポリエーテルのコポリマーの柔軟性は、ポリエーテルブロックの長さ(コポリマーがブロックコポリマーである場合)およびポリエーテルの種類に依存しており、PTMGブロックは、一般的に、PEGブロックおよびPPGブロックよりも柔軟である。ポリアミドおよびポリエーテルのコポリマーは、基層(12)に対して可塑化効果を有する。すなわち、ポリアミドのコポリマーは、基層(12)の伸びを増大するために使用することができる。例えば、具体的な一実施形態においては、ポリアミド組成物は、ポリアミドおよびポリエーテルのブロックコポリマーを含む。この実施形態においては、ポリアミド組成物は、本質的にワックスを含まない(ポリアミド組成物100質量部当たりに0.1質量部未満)か、またはワックスを含まない。一実施形態においては、ポリアミド組成物は、ポリアミドおよびポリエーテルのコポリマーを含み、本質的に可塑剤を含まない(ポリアミド組成物100質量部当たりに0.1質量部未満)か、または可塑剤を含まない。この実施形態においては、基層(12)の引張弾性率は、ISO 178に準じて試験した場合に約1066MPaから約843MPaにまで低減させることができ、そして基層(12)の表面の様子は改善され得る。具体的には、引張試験は、厚さ4.03mmおよび幅9.98mmを有する基層材料のISO 3167試験棒で実施される。引張試験は、RENEW 1123/4612/A−B1機器において試験法SINGLE−HEAD ISO 527−1,2に準じて実施される。
更にまた、ポリアミド組成物は、ポリアミド、無水物官能性コポリマー、ポリ(エチレン−co−メタクリル酸)イオノマーまたは合成ワックスではない添加剤を含んでよい。添加剤には、制限されるものではないが、酸化的安定化剤および熱的安定化剤、離型剤、難燃剤、酸化防止剤、酸化捕捉剤、中和剤、粘着防止剤、染料、顔料およびその他の着色剤、紫外光吸収剤および紫外光安定化剤、補強剤、成核剤、可塑剤、ホットメルト接着剤ならびにそれらの組合せ物が含まれ得る。適切な酸化的安定化剤および熱的安定化剤には、制限されるものではないが、金属ハロゲン化物、例えばハロゲン化ナトリウム、ハロゲン化カリウム、ハロゲン化リチウム、ハロゲン化第一銅ならびにそれぞれ相応の塩化物、臭化物およびヨウ化物、およびそれらの組合せ物が含まれる。また、ヒンダードフェノール、ヒドロキノン、芳香族アミンおよびそれらの組合せ物が含まれ得る。もちろん、上述のように、ポリアミド組成物は、可塑剤を本質的に含まないか、または可塑剤を含まないことがある。しかしながら、含まれる場合に、例示される可塑剤には、制限されるものではないが、ラクタム類、例えばカプロラクタムおよびラウリルラクタム、スルホンアミド類、例えばオルト−トルエンスルホンアミドおよびパラ−トルエンスルホンアミドならびにN−エチル,N−ブチルベンゼンスルホンアミド、N−(2−ヒドロキシプロピル)ベンゼンスルホンアミド、ポリエチレングリコールジ−2−エチルヘキソエートおよびそれらの組合せ物、ならびに当該技術分野で公知のその他の可塑剤が含まれる。使用される場合に、添加剤は、一般的に、ポリアミド組成物100質量部当たりに、約0.1質量部から約15質量部まで、あるいは約0.5質量部から約10質量部まで、あるいは約0.5質量部から約7.5質量部までの量で存在する。
一実施形態においては、ポリアミド組成物は、(A)ポリアミド、(B)無水物官能性コポリマー、(C)ポリ(エチレン−co−メタクリル酸)イオノマー、および(D)合成ワックスからなる。この実施形態においては、(A+B):Cの比率は、約1:1から約5:1まで、あるいは約2:1から約4:1まで、あるいは、約3:1から約4:1までであってよく、かつC:Dの比率は、約10:1から約100:1まで、あるいは約30:1から約70:1までであってよい。
本明細書で使用される場合に、「本質的にからなる」とは、ポリアミド組成物の基本的な新規の特性を変えるであろう、あらゆる要素または複数の要素の組合せを排除することを意味するだけでなく、そのあらゆる要素または複数の要素の組合せの量を排除することを意味する。一実施形態においては、ポリアミド組成物は、本質的にポリアミド、無水物官能性コポリマー、ポリ(エチレン−co−メタクリル酸)イオノマー、および合成ワックスからなる。この実施形態においては、ポリアミド組成物は、当該技術分野で公知のその他のポリマー(エラストマーを含む)、当該技術分野で公知の充填剤(補強性充填剤を含む)および当該技術分野で公知の可塑剤を本質的に含まない。直前で使用された用語「本質的に含まない」とは、ポリアミド組成物100質量部当たりに、0.1質量部未満の量を指す。
もう一つの実施形態においては、ポリアミド組成物は、本質的に(A)ポリアミド、(B)無水物官能性コポリマー、(C)ポリ(エチレン−co−メタクリル酸)イオノマー、および(D)合成ワックスからなる。この実施形態においては、(A+B):Cの比率は、約1:1から約5:1まで、あるいは約2:1から約4:1まで、あるいは、約3:1から約4:1までであってよく、かつC:Dの比率は、約10:1から約100:1まで、あるいは約30:1から約70:1までであってよい。
本明細書に開示される複合材物品(10)は、前記のポリアミド組成物から形成される基層(12)を含む。基層(12)は、ポリアミドと無水物官能性コポリマーとの反応生成物、およびポリ(エチレン−co−メタクリル酸)イオノマー、および任意に合成ワックスを含む。ポリアミドと無水物官能性コポリマーとの反応生成物は、基層(12)中に、該基層(12)100質量部当たりに、約15質量部から約99質量部まで、あるいは約30質量部から約99質量部まで、あるいは約60質量部から約98質量部まで、あるいは約60質量部から約90質量部までの量で存在する。もちろん、イオノマー、例えばポリ(エチレン−co−メタクリル酸)イオノマーは、基層(12)中に、該ポリアミド組成物100質量部当たりに、約5質量部から約55質量部まで、あるいは約10質量部から約45質量部まで、あるいは約10質量部から約35質量部まで、あるいは約10質量部から約30質量部までの量で存在する。
基層(12)は、比較的低い密度である。つまり、幾つかの実施形態においては、基層(12)は、約0.8g/cm3から約1.15g/cm3までの、あるいは約0.9g/cm3から約1.10g/cm3までの、あるいは約1.0g/cm3から約1.05g/cm3までの比重を有する。
幾つかの実施形態においては、基層(12)は、ISO 1133に準じて試験した場合に約0.5g/10分から約15g/10分までの、あるいは約1g/10分から約10g/10分までの、あるいは約1g/10分から約5g/10分までのメルトフローレートを有し、かつISO 178に準じて試験した場合に、室温で約350MPaから約700MPaまでの、あるいは約450MPaから約600MPaまでの、あるいは約500MPaから約550MPaまでの曲げ弾性率を有する。溶融粘度および曲げ弾性率は、基層(12)の加工性に影響を及ぼす。
開示主題の基層(12)は、優れた透過バリア特性を有する一方で、並外れた柔軟性および耐久性を有する。具体的に基層(12)のバリア特性に関して、基層(12)は、一般的に、約6milの厚さでASTM D−F3985に準じてMOCON Oxtran 2/21酸素透過性機器(Oxygen Permeability Instrument)において試験した場合に、約50cc/(100in2・日)未満の、あるいは約15cc/(100in2・日)未満の、あるいは約10cc/(100in2・日)未満の、あるいは約5cc/(100in2・日)未満の、あるいは約4cc/(100in2・日)未満の、あるいは約3cc/(100in2・日)未満の、あるいは約2cc/(100in2・日)未満の、あるいは約1cc/(100in2・日)から約15cc/(100in2・日)までの、あるいは約1cc/(100in2・日)から約10cc/(100in2・日)までの、あるいは約1cc/(100in2・日)から約4cc/(100in2・日)までの酸素透過速度を有する。具体的には強度および弾性に関して、基層(12)は、ISO 527に準じて試験した場合に約5MPaから約50MPaまでの、あるいは約8MPaから約40MPaまでの、あるいは約10MPaから約30MPaまでの、50%伸びでの引張強さを有し得る。基層(12)は、ISO 527に準じて試験した場合に約200%より高い、あるいは約300%から約700%までの、あるいは約350%から約600%までの、あるいは約350%から約450%までの破断点伸びを有し得る。
様々な実施形態においては、複合材物品(10)の部分として、基層(12)は、1層以上の層を含み得る。1層以上の層は、基層(12)の少なくとも1層が前記のポリアミド組成物から形成される限りは異なっていてよい。
本開示は、基層(12)と、その上に配置された接着層(14)とを含む複合材物品(10)を提供する。接着層(14)は、複合材物品(10)のゴムのようなポリマーへの接着を改善するために基層(12)上に配置される。「配置される」とは、接着層(14)が基層(12)の少なくとも一部と接触していることを意味する。接着層(14)は、カチオンポリマーおよび接着剤を含む。
カチオンポリマーは、当該技術分野で理解されるあらゆる種類のカチオンポリマーであってよい。カチオンポリマーは、当該技術分野で理解される様々なモノマー、例えば以下に記載されるモノマーから形成することができる。カチオンポリマーは、様々な形で、例えば分散液形、エマルジョン形または樹脂形(例えば溶剤不含形)であってよい。特定の実施形態においては、カチオンポリマーは、水中に分散されているか、カチオンポリマーおよび水とは異なる溶剤を含む溶液であるか、または水/溶剤を含まない。カチオンポリマーの形の調整は、使用目的のために有用なことがある。
一実施形態においては、カチオンポリマーは、ポリエチレンイミン(PEI)である。PEIは、当該技術分野で理解される様々な方法によって製造することができる。例えば、PEIは、エチレンイミンの開環重合によって製造することができる。特定の実施形態においては、PEIは、例えば脂肪酸とのアミド化、アルキレンオキシドによるアルコキシル化、またはアクリル酸および/もしくはマレイン酸によるカルボキシル化によって更に変性されてよい。
特定の実施形態においては、PEIは、約800g/molから約2100000g/molまでの、あるいは約1000g/molから約20000g/molまでの、あるいは約1000g/molから約4000g/molまでの、あるいは約2000g/molから約4000g/molまでの、あるいは約10000g/molから約1000000g/molまでの、あるいは約100000g/molから約1000000g/molまでの、あるいは約500000g/molから約1000000g/molまでの、あるいは約700000g/molから約800000g/molまでの質量平均分子量(Mw)を有する。PEIは、一般的に水溶性である。したがって、特定の実施形態においては、PEIは、約2質量部から約99質量部までの、あるいは約4質量部から約20質量部までのPEIと残分として水を含む分散液またはエマルジョン中に含まれている。その他の実施形態においては、PEIは樹脂である。
特定の実施形態においては、PEIは、約11から約12までのpHを有する。PEIは、高い電荷密度、例えば約8meq/g(総固形分)から約16meq/g(総固形分)までの電荷密度を有し得る。
好ましい一実施形態においては、カチオンポリマーは、約700000から約800000までのMw、約10から約12までのpH、約0℃から約−5℃までの流動点および約1g/cm3から約1.3g/cm3までの比重を有するPEIを含む。この実施形態においては、カチオンポリマーは、約50%の固形分を含み、基層(12)へと適用する前に希釈されていてよく、例えば5%の固形分にまで希釈されていてよい。
もう一つの実施形態においては、カチオンポリマーは、ポリビニルアミン(PVAm)である。特定の実施形態においては、PVAmは、約340000のMw、約1.08g/mlの密度、約7から約9までのpHおよび約5000mPas以上の20℃での粘度を有する。
もう一つの実施形態においては、カチオンポリマーは、ポリビニルホルムアミド(PVFA)である。PVFAは、当該技術分野で理解される様々な方法によって製造することができる。例えば、PVFAは、開始剤としてアゾ化合物を使用したビニルホルムアミド(VFA)のラジカル重合によって製造することができる。その重合はまた、メチルスルホン酸のようなプロトン酸または三フッ化ホウ素のようなルイス酸を用いたカチオン重合によって実施することもできる。PVFAを加水分解することで、PVAmを得ることもできる。カチオンポリマーは、ホモポリマーとして、またはコポリマーとして製造することができる。共重合は、VFAとその他のモノマー、例えばアクリルアミド、アクリル酸、アクリロニトリル、エチレン、アクリル酸ナトリウム、無水マレイン酸、メチルアクリレート、酢酸ビニル、N−ビニルピロリドンまたはそれらの組合せ物を要する。
特定の実施形態においては、PVAmまたはPVFAは、約8000から約3010000までのMwを有する。特定の実施形態においては、PVAmまたはPVFAは、約5質量部から約40質量部までのPVAmまたはPVFAと残分として水を含む分散液またはエマルジョン中に含まれている。その他の実施形態においては、粘着付与剤成分は、PVAmまたはPVFA樹脂である。PVAmまたはPVFAは、高い電荷密度、例えば約5meq/gから約16meq/gまでの電荷密度を有し得る。
更にもう一つの実施形態においては、カチオンポリマーは、ポリオキシアルキレンアミンである。ポリオキシアルキレンアミンは、ポリオキシアルキレンモノアミン、ジアミン、トリアミンまたはそれらの組合せ物を含み得る。これらの化合物は、ポリエーテル骨格の末端に結合されたアミノ基によって定義され、したがって、ポリエーテルアミンとみなされる。アミノ基は、第一級アミノ基である。ポリオキシアルキレンアミンがモノアミン、ジアミンまたはトリアミンであるかに応じて、それぞれの化合物は、1つ、2つまたは3つのアミノ基、例えば第一級アミノ基をそれぞれ有してよく、その際、それぞれの基は、ポリエーテル骨格の末端に結合されている。したがって、末端アミノ基の数に対応するために、1つ以上のポリエーテル骨格が必要となることがある。ポリオキシアルキレンアミンおよびそれらの使用の更なる説明は、米国特許第7,714,051号明細書に開示されており、該文献は、参照により全体が本明細書に援用される。適切なポリオキシアルキレンアミンには、ポリオキシアルキレンモノアミン、ジアミンおよびトリアミンが含まれる。
特定の実施形態においては、カチオンポリマーは、約−50℃から約+200℃までの、あるいは約+75℃から約+175℃までの、あるいは約+75℃から約+150℃までの、あるいは約+90℃から約+145℃までの、あるいは約+90℃から約+141℃までのガラス転移温度(Tg)を有する。
特定の実施形態においては、カチオンポリマーは、約500から約3500000までの、あるいは約800から約3100000までの、あるいは約8000から約3100000までの、あるいは約8000から約1500000までの、あるいは約10000から約500000までの、あるいは約100000から約1000000までの、あるいは約500000から約1000000までの、あるいは約700000から約800000までの、あるいは約10000から約200000までの、あるいは約10000から約40000までのMwを有する。
カチオンポリマーは、基層(12)および/またはレゾルシノール−ホルムアルデヒド−ラテックス(RFL)接着剤と反応性であってよい。したがって、特定の実施形態においては、カチオンポリマーは、基層(12)および/またはRFL接着剤と反応性の少なくとも1つの官能基を有する。カチオンポリマーは、アミン官能基およびアミド官能基以外に、制限されるものではないが、カルボン酸基、ヒドロキシル基およびそれらの組合せを含む様々な種類の官能基を含んでよい。当業者によれば、カチオンポリマーの形成に使用される反応物(および種類と量)ならびに方法に応じて、様々な基が付与される、すなわちカチオンポリマーは更に変性され得ると推察される。
適切なカチオンポリマーの分散液、エマルジョンおよび/または樹脂の具体的な例は、BASF社から市販されており、商品名LUPAMIN(登録商標)と称される製品群、例えば、制限されるものではないが、LUPAMIN(登録商標)5095、LUPAMIN(登録商標)9095、LUPAMIN(登録商標)9050、LUPAMIN(登録商標)9030、LUPAMIN(登録商標)9010、LUPAMIN(登録商標)9000、LUPAMIN(登録商標)4595、LUPAMIN(登録商標)4500、LUPAMIN(登録商標)1500およびLUPAMIN(登録商標)1595を含み、かつLUPASOL(登録商標)と称される製品群、例えば、制限されるものではないが、LUPASOL(登録商標)FG、LUPASOL(登録商標)G10、LUPASOL(登録商標)G20、LUPASOL(登録商標)G35、LUPASOL(登録商標)G100、LUPASOL(登録商標)LU 321、LUPASOL(登録商標)PR8515、LUPASOL(登録商標)PN50、LUPASOL(登録商標)PN60、LUPASOL(登録商標)PO 100、LUPASOL(登録商標)SK、LUPASOL(登録商標)HF、LUPASOL(登録商標)WF、LUPASOL(登録商標)PSおよびLUPASOL(登録商標)Pを含む。
幾つかの実施形態においては、カチオンポリマーは、複合材物品(10)中に、約0.01g/m2(基層(12)の表面上)から約0.5g/m2までの、あるいは約0.01g/m2から約0.1g/m2までの量で存在する。更に、1つより多くのカチオンポリマーが複合材物品(10)中に含まれていてよく、その場合に、複合材物品(10)中に存在する全てのカチオンポリマーの全量は、前記範囲内であることが推察されるべきである。もちろん、前記範囲および/または以下に記載される使用量は、カチオンポリマーが分散液、エマルジョン等に含まれている実施形態においては、そのような実施形態に含まれる追加の水およびその他の溶剤のため変動してよい。
上記のように、接着層(14)は、接着剤も含む。接着剤は、当該技術分野で公知のあらゆる接着剤であってよい。接着剤は、ホットメルト接着剤、水系もしくは溶剤系の接着剤、および/または液状ゴム接着剤であってよい。適切な接着剤の例は、制限されるものではないが、エチレン酢酸ビニルコポリマー、エチレンアクリレートコポリマー、(メタ)アクリレート、ポリオレフィン(例えばポリエチレン(HDPE、LDPE等)、ポリプロピレン、ポリブテン−1、酸化ポリエチレン、ポリブテン、非晶質ポリオレフィン(非晶質プロピレン、非晶質プロピレン/エチレン、非晶質プロピレン/ブテン、非晶質プロピレン/ヘキセン、非晶質プロピレン/エチレン/ブテン等)、塩素化ポリオレフィン(塩素化ポリプロピレン)、無水マレイン酸変性ポリオレフィン)、ポリアミドおよびポリエステル、ポリエステル、ポリウレタン(TPU、PUR等)、スチレンブロックコポリマー(スチレン−ブタジエン−スチレン、スチレン−イソプレン−スチレン、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレン、スチレン−エチレン/プロピレン)、ポリカプロラクトン、ポリカーボネート、フルオロポリマー、シリコーン、熱可塑性エラストマー、ゴム(天然ゴム、ポリブタジエン、スチレンブタジエンゴム、ブチルゴム、EPDMゴム)、ポリピロール、レゾルシノールホルムアルデヒド、その他のポリマーおよびコポリマーならびにそれらの組合せ物を含む。
幾つかの実施形態においては、接着剤は、レゾルシノール−ホルムアルデヒド−ラテックス(RFL)接着剤である。RFL接着剤は、一般的に基層(12)へと、レゾルシノール−ホルムアルデヒド樹脂および1種以上のエラストマーラテックスを含むエマルジョンの形で適用される。レゾルシノールはホルムアルデヒドと反応することで、レゾルシノール−ホルムアルデヒド反応生成物が生成される。この反応生成物は、レゾルシノールのフェノール基とホルムアルデヒドのアルデヒド基との間の縮合反応の成果物である。レゾルシノールレゾールおよびレゾルシノール−フェノールレゾールは、ラテックス内でインサイチューで形成されるか、または水溶液中で別個に形成されるかにかかわらず、一般的に更なる層/構成部分のゴム接着を促進するために、RFL接着剤/接着層(14)中に含まれる。
幾つかの実施形態においては、RFL接着剤は、レゾルシノールホルムアルデヒド樹脂、スチレン−ブタジエンコポリマーラテックス、ビニルピリジン−スチレン−ブタジエンターポリマーラテックスおよびブロックドイソシアネートを含む。その他の実施形態においては、RFL接着剤は、レゾルシノール−ホルムアルデヒド、スチレン−ブタジエンゴムラテックス、ビニルピリジン−スチレン−ブタジエンターポリマーラテックスおよびブロックドイソシアネートを含む。
一実施形態においては、レゾルシノールは、水酸化ナトリウムのような強塩基と一緒に約37質量部のホルムアルデヒドが添加された水中に溶解される。強塩基は、一般的に、レゾルシノールの約7.5質量部以下を成すべきであり、ホルムアルデヒドのレゾルシノールに対するモル比の値は、約1から約2までの、あるいは約1.5から約2までの範囲であるべきである。レゾールまたは縮合生成物または樹脂の水溶液は、スチレン−ブタジエンラテックスおよびビニルピリジン−スチレン−ブタジエンターポリマーラテックスと混合することができる。幾つかの実施形態においては、RFL接着剤は、レゾールまたはその他の上述の縮合生成物もしくは縮合生成物を形成する材料を、該RFL接着剤中の固形分100質量部当たりに、約5質量部から約40質量部までの、あるいは約10質量部から約28質量部までの量で含む。レゾールを形成する縮合生成物またはレゾール型樹脂を形成する材料は、部分的に反応させることができ、または部分的にしか水溶性でないように反応させることができる。十分な水をRFL接着剤へと添加することで、固形分を該RFL接着剤100質量部当たりに、約12質量部から約28質量部までの量で含むRFL接着剤を形成することができる。ラテックスからの固形ポリマーの、レゾルシノール/ホルムアルデヒド樹脂に対する質量比は、約2:1から約6:1までの範囲であるべきである。
上記のように、RFL接着剤は、ブロックドイソシアネートを含み得る。一実施形態においては、ブロックドイソシアネートは、RFL接着剤中に、該RFL接着剤中の固形分100質量部当たりに、約1質量部から約8質量部までの量で含まれる。ブロックドイソシアネートは、RFL接着剤で使用することが知られるあらゆる適切なブロックドイソシアネート、例えば、制限されるものではないが、カプロラクタム封鎖メチレン−ビス−(4−フェニルイソシアネート)、例えばEMS American Grilon,Inc.から入手できるGRILBOND(登録商標)−IL6、ならびに米国特許第3,226,276号明細書、同第3,268,467号明細書および同第3,298,984号明細書に開示されるフェノールホルムアルデヒド封鎖イソシアネートであってよく、前記3つの文献は、参照により全体が本明細書に援用される。ブロックドイソシアネートとして、1種以上のイソシアネートおよび1種以上のイソシアネート封鎖剤の間の反応生成物を使用することができる。イソシアネートには、モノイソシアネート類、例えばフェニルイソシアネート、ジクロロフェニルイソシアネートおよびナフタレンモノイソシアネート、ジイソシアネート、例えばトリレンジイソシアネート、ジアニシジンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、アルキルベンゼンジイソシアネート、m−キシレンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネート、3,3−ジメトキシフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、1−アルコキシベンゼン−2,4−ジイソシアネート、エチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,2−ジイソシアネート、ジフェニレンジイソシアネート、ブチレン−1,2−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4−ジイソシアネート、ジフェニルエタンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート等、ならびにトリイソシアネート類、例えばトリフェニルメタントリイソシアネート、ジフェニルメタントリイソシアネート等が含まれる。イソシアネート封鎖剤には、フェノール類、例えばフェノール、クレゾールおよびレゾルシノール、第三級アルコール類、例えばt−ブタノールおよびt−ペンタノール、芳香族アミン類、例えばジフェニルアミン、ジフェニルナフチルアミンおよびキシリジン、エチレンイミン類、例えばエチレンイミンおよびプロピレンイミン、イミド類、例えばコハク酸イミド、ならびにフタルイミド類、ラクタム類、例えばε−カプロラクタム、δ−バレロラクタムおよびブチロラクタム、尿素類、例えば尿素およびジエチレン尿素、オキシム類、例えばアセトキシム、シクロヘキサンオキシム、ベンゾフェノンオキシムおよびα−ピロリドンが含まれる。
もちろん、該ポリマーは、ラテックスまたはその他の形でRFL接着剤に添加することができる。一実施形態においては、ビニルピリジン−スチレン−ブタジエンターポリマーラテックスおよびスチレン−ブタジエンゴムラテックスは、RFL接着剤に添加されるべきである。一実施形態においては、ビニルピリジン−スチレン−ブタジエンターポリマーは、RFL接着剤中に、該RFL接着剤中のスチレン−ブタジエンゴム100質量部当たりに、約100質量部から約25質量部までの量で含まれる。換言すると、ビニルピリジン−スチレン−ブタジエンターポリマーの、スチレン−ブタジエンゴムに対する質量比は、約1:0(スチレン−ブタジエンゴムを含まない100%ビニルピリジン−スチレン−ブタジエンターポリマー)から約1:1まで、あるいは約1:0から約1:1.5まで、あるいは約1:0から約1:2まで、あるいは約1:0から約1:3まで、あるいは約2:1から約1:1.5まで、あるいは約2:1から約1:1までである。
複合材物品(10)は、基層(12)と、その上に配置された接着層(14)とを含む。発明主題の複合材物品(10)は、基層(12)および接着層(14)以外の層を含んでよい。言い換えると、該複合材物品(10)は、追加の層を含んでよい。追加の層は、基層(12)および接着層(14)の間にあってよく、または基層(12)および接着層(14)は、互いに隣接していてよく、かつ追加の層は、それらの隣接している層の表面上に配置されていてよい。
一例としては、複合材物品(10)は、第一の基層(12)、該第一の基層(12)上に配置された第一の接着層(14)、該第一の接着層(14)上に配置された第二の基層(12)、および該第二の基層(12)上に配置された第二の接着層(14)、すなわち4層を含んでよい。そのような実施形態は、より大きな不浸透性および耐久性をもたらすことができ、タイヤ、いかだおよび食品包装等の様々な用途で使用することができる。もう一つの例としては、複合材物品(10)は、基層(12)の第一の表面上に配置された第一の接着層(14)および基層(12)の反対側の表面上に配置された第二の接着層(14)を有する基層(12)を含んでよい。そのような構成物は、より大きな全体の一部であってよく、例えばタイヤ、いかだまたは食品包装等の製品中に組み込むことができる。
もう一つの例としては、複合材物品(10)は、図2に示されるとともに以下に記載されるように、基層(12)、および該基層(12)上に配置された接着層(14)、および該接着層(14)上に配置された天然ゴムラテックス層(16)を含んでよい。
幾つかの実施形態においては、接着剤は、複合材物品(10)中に、基層(12)100質量部当たりに、約0.01質量部から約5質量部まで、あるいは約0.01質量部から約2質量部まで、あるいは約0.1質量部から約2質量部まで、あるいは約0.01質量部から約1質量部まで、あるいは約0.1質量部から約1質量部まで、あるいは約0.01質量部から約0.5質量部までの量で存在する。更に、1つより多くのRFL接着剤が複合材物品(10)中に含まれていてよく、その場合に、複合材物品(10)中に存在する全てのRFL接着剤の全量は、前記範囲内であることが推察されるべきである。もちろん、前記範囲および/または以下に記載される使用量は、接着剤が分散液、エマルジョン等に含まれている実施形態においては、そのような実施形態に含まれる追加の水およびその他の溶剤のため変動してよい。
幾つかの実施形態においては、カチオンポリマーと接着剤の両方を含む接着層(14)は、複合材物品(10)中に、前記複合材物品(10)100質量部当たりに、約0.1質量部から約5質量部までの、あるいは約0.1質量部から約1質量部までの量で存在し、かつ基層(12)は、複合材物品(10)中に、前記複合材物品(10)100質量部当たりに、約95質量部から約99.9質量部までの、あるいは約99質量部から約99.9質量部までの量で存在する。
前記を考慮して、ポリアミドをエラストマーに接着するためのカチオンポリマーとレゾルシノール−ホルムアルデヒド−ラテックス(RFL)接着剤とを含む接着剤も本明細書に開示されている。前記の接着剤は、ポリエチレンイミン、ポリビニルアミン、ポリビニルホルムアミドおよびそれらの組合せ物の群から選択されるカチオンポリマーならびにRFL接着剤、例えばレゾルシノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−ブタジエンゴムおよびビニルピリジン−スチレン−ブタジエンゴムを含むRFL接着剤を含んでよい。
幾つかの実施形態においては、複合材物品(10)は、基層(12)、接着層(14)および天然ゴムラテックス層(16)を含む。図2は、複合材物品であって、天然ゴムラテックス層(16)が上に配置された複合材物品(10)の断面図である。
そのような好ましい一実施形態においては、複合材物品(10)は、基層(12)、該基層(12)上に配置された接着層(14)、および該接着層(14)上に配置された天然ゴムラテックス層(16)を含む。天然ゴムラテックス層(16)は、天然ゴムラテックスから形成される。
天然ゴムラテックスは、天然ゴム(すなわち、ポリイソプレンおよびイソプレンから形成されるその他のポリマー)、様々な有機化合物および水を含む。当該技術分野で公知のように、天然ゴムラテックスは、ゴムの木から採集される粘着性で乳濁したコロイドである。本明細書で使用される場合の文言「天然ゴムラテックス」には、天然ゴムおよび/またはそれらの誘導体が含まれる。天然ゴムの誘導体の例には、制限されるものではないが、メチルメタクリレートがグラフトされた天然ゴム、エポキシがグラフトされた天然ゴム(ENR)、フッ素化フェニルアジドがグラフトされた天然ゴム、スチレンおよび/またはブタジエンがグラフトされた天然ゴム、更に架橋された天然ゴム、高分子量天然ゴムの分解により形成される液状天然ゴム(LNR)等が含まれる。
発明主題の天然ゴムラテックスには、1種以上の異なるポリマーが含まれ得る。例えば、発明主題の天然ゴムラテックスには、天然ゴムおよびメチルメタクリレートがグラフトされた天然ゴム(NR−PMMA)が含まれ得る。もう一つの例としては、天然ゴムラテックスには、メチルメタクリレートがグラフトされた天然ゴムおよびエポキシがグラフトされた天然ゴムが含まれ得る。更にもう一つの例としては、天然ゴムラテックスには、天然ゴム、メチルメタクリレートがグラフトされた天然ゴムおよびエポキシがグラフトされた天然ゴムが含まれ得る。なおも更なるもう一つの例としては、天然ゴムラテックスには、天然ゴムおよび合成ポリマー(例えば、スチレンブタジエンゴム、エチレンプロピレンジエンモノマーゴム等)が含まれ得る。
様々な好ましい実施形態においては、天然ゴムラテックスは、メチルメタクリレートを天然ゴムにグラフトさせることによって製造されるグラフトポリマーを含む。メチルメタクリレートがグラフトされた天然ゴムを含むグラフトポリマーは、その化学的構造のため弾性特性および塑性特性の両方を示す。更に、これらの実施形態のグラフトポリマーは、天然ゴムおよび合成ゴム、皮革、ポリマー(例えばポリアミドおよびポリ塩化ビニル)、テキスタイルおよび金属のような異なる材料間での接着をもたらす。様々な実施形態においては、メチルメタクリレートがグラフトされた天然ゴムは、約20:1から1:5までの、あるいは約5:1から1:5までの、あるいは約5:1から約2:1までの天然ゴム対メチルメタクリレートの質量比を有し得る。更に、そのような実施形態においては、天然ゴムラテックスは、約25から約75までの、あるいは約35から約65までの総固形分、および/または約7より高い、あるいは約10より高いpHを有し得る。
その他の様々な実施形態においては、天然ゴムラテックスは、エポキシを天然ゴムにグラフトさせることによって製造されるグラフトポリマー(例えばエポキシ化天然ゴム)を含む。そのような実施形態においては、エポキシ化天然ゴムは、約20:1から1:2までの、あるいは約10:1から1:2までの、あるいは約5:1から約1:1までの、あるいは約5:1から約2:1までの天然ゴム対エポキシの質量比を有し得る。更に、そのような実施形態においては、天然ゴムラテックスは、約5から約75までの、あるいは約15から約65までの、あるいは約35から約65までの総固形分を有し得る。これらの実施形態のグラフトポリマーは、また、天然ゴムおよび合成ゴム、皮革、ポリマー(例えばポリアミドおよびポリ塩化ビニル)、テキスタイルおよび金属のような異なる材料間での接着をもたらす。
幾つかの実施形態においては、天然ゴムラテックス層(16)は、複合材物品(10)中に、基層(12)100質量部当たりに、約0.01質量部から約5質量部まで、あるいは約0.01質量部から約2質量部まで、あるいは約0.1質量部から約2質量部まで、あるいは約0.01質量部から約1質量部まで、あるいは約0.1質量部から約1質量部まで、あるいは約0.01質量部から約0.5質量部までの量で存在する。更に、1つより多くの天然ゴムラテックスが天然ゴムラテックス層(16)中に含まれていてよく、その場合に、天然ゴムラテックス層(16)中に存在する全ての天然ゴムラテックスの全量は、前記範囲内であることが推察されるべきである。もちろん、前記範囲および/または以下に記載される使用量は、天然ゴムラテックスが分散液、エマルジョン等に含まれている実施形態においては、そのような実施形態に含まれる追加の水およびその他の溶剤のため変動してよい。
また開示主題は、基層(12)と、その上に配置された接着層(14)とを含む複合材物品(10)の形成方法を含む。該方法は、ポリアミド、無水物官能性コポリマーおよびイオノマーを含むポリアミド組成物を混合、例えば配合して、ポリアミドと無水物官能性コポリマーとの反応生成物およびイオノマーを含む基層(12)を形成するステップと、該基層(12)へとカチオンポリマーおよび接着剤を適用することで、その基層上に接着層(14)を形成するステップとを含む。該方法の成分、例えばポリアミド組成物、ポリアミド、無水物官能性コポリマー、イオノマー、基層(12)、カチオンポリマー、接着剤等は、先に記載されている通りである。
ポリアミド組成物を配合して基層(12)を形成するステップにおいて、ポリアミド、無水物官能性コポリマー、イオノマー、および任意にコポリマーもしくは合成ワックスを含むポリアミド組成物が合される。配合ステップは、当該技術分野で公知のあらゆる方法を通じて、例えば、制限されるものではないが、直接押出、ベルト押出、反応押出、反応射出成形、鉛直混合、水平混合、供給混合およびそれらの組合せによって行うことができる。一実施形態においては、配合ステップは、更に、ポリアミド、無水物官能性コポリマー、ポリ(エチレン−co−メタクリル酸)イオノマー、および任意に合成ワックスを二軸スクリュー押出機において合することとして定義される。一実施形態においては、ポリアミド組成物は、二軸スクリュー押出機を介して配合され、引き続きキャストフィルム押出成形またはインフレーションフィルム押出成形を介して形成される。ポリアミド配合物の配合により、ポリアミドの全てまたは一部が、無水物官能性コポリマーと反応することとなり得る。
様々な実施形態のキャストフィルム押出成形法の間に、ポリアミド組成物は、所定の厚さのスロットダイを通じて供給され、そのダイを出た際にチルローラ上で急冷されて、ポリアミド組成物フィルムが形成される。ポリアミド組成物フィルムは、スプールに巻取られる前に多数のチルローラを通過し得る。
様々な実施形態のインフレーションフィルム押出成形法の間には、インフレーションフィルムは、ポリアミド組成物(溶融状態)を鉛直に上向きかつ外向きへと膨らませてバブルとすることにより形成される。そのバブルは、その後に周りの空気によって冷却しながら、複数のロールを通じて変形される。インフレーションフィルム押出成形法の幾つかの実施形態は、以下のプロセスパラメータ:約215℃から約275℃までの、あるいは約235℃から約255℃までのダイ温度を有する環状ダイ、約0.9から約1.4までの、あるいは約1.08から約1.22までのブローアップ比、および約0℃から約20℃までの、あるいは約5℃から約15℃までの冷却温度の任意の組合せを含む。
理論によって縛られるものではないが、ポリアミド組成物を用いて形成されたインフレーションフィルムは、複合型(多次元)の分子構造の配向を有し、ポリアミド組成物を用いて形成されたキャストフィルムは、単独(線形)の分子構造の配向を有すると考えられている。したがって、インフレーションフィルムは、キャストフィルムよりも丈夫であり、貫入の危険性はより低い。言い換えると、ポリアミド組成物を用いて形成されたインフレーションフィルムを含む基層(12)は、ポリアミド組成物を用いて形成されたキャストフィルムを含む基層(12)よりも配向が少なく、したがって、ポリアミド組成物を用いて形成されたインフレーションフィルムを含む基層(12)は、並外れた耐久性、靭性および貫入抵抗を有する。
該方法は、任意に、配合ステップの間にポリアミド組成物を加熱するステップを含んでよい。つまり、ポリアミド、無水物官能性コポリマー、ポリ(エチレン−co−メタクリル酸)イオノマーおよび合成ワックスを含むポリアミド組成物は、加熱されてよいが、一方で配合装置中で、配合装置の外部で、または配合装置の外部および配合装置中の両方で加熱されてよい。
また該方法は、配合されたポリアミド組成物をペレット化、ダイシングまたは造粒するステップを含んでもよい。例えば、配合されたポリアミド組成物は、水中ペレタイザーまたはストランドペレタイザーを用いてペレット化することができる。
配合したら直ちに、基層(12)が形成される。一般的に、配合されたポリアミド組成物、通常はペレットの形のポリアミド組成物は、フィルムまたは薄型シートへと押し出され、基層(12)が形成される。しかしながら、該方法は、押出法に制限されるものではない。例えば、基層(12)は射出成形することができる。
幾つかの実施形態においては、基層(12)は、約1milから約200milまでの、あるいは約1milから約100milまでの、あるいは約1milから約50milまでの、あるいは約1milから約10milまでの、あるいは約1milから約6milまでの、あるいは約1milから約4milまでの厚さを有する。
基層(12)が形成されたら、該方法は、接着層(14)をコロナ処理するステップを含んでよい。つまり、基層(12)は、当該技術分野で公知の技術、例えば米国特許第5,466,424号明細書に開示される技術を使用してコロナ放電に曝すことができる。コロナ放電は、一般的に、放電領域内で酸素またはその他のガスをそれらの原子形へと分離し、処理された物体の表面上の分子に結合するように、それらを遊離させる電気的放電を必要とする。言い換えると、コロナ処理のステップは、基層(12)の表面の表面エネルギーを増大する。
様々な実施形態においては、コロナ処理のステップは、更に、未処理の基層(12)の表面エネルギーを、約10ダインより高い、あるいは20ダインより高い、あるいは30ダインより高い、あるいは40ダインより高い、あるいは48ダインより高い量だけ増大させることとして定義される。コロナ処理のステップは、基層(12)が押出を介して形成されるのであれば、基層(12)の装置方向で、または装置方向と反対方向で行うことができる。
また該方法は、カチオンポリマーおよび接着剤を基層(12)へと適用して、その基層上に接着層(14)を形成するステップを含む。該方法の一実施形態においては、カチオンポリマーは、まずは基層(12)の外表面に適用され、引き続き該基層(12)へと接着剤が適用される。該方法のもう一つの実施形態においては、カチオンポリマーおよび接着剤を含む接着剤組成物は、基層(12)へと単独のステップで適用される。カチオンポリマーおよび接着剤は、基層(12)のあらゆる外部表面へと適用して、その上に接着層(14)を形成することができる。例えば、カチオンポリマーおよび接着剤(一緒にまたは別個に)は、基層(12)へと、メイヤーバー、グラビアロール、ディップコーティング、スプレーコーティングまたは当該技術分野で公知のその他の方法によって適用することができる。
幾つかの実施形態においては、カチオンポリマーは、約0.5%の固形分を含む水性分散液からフィルムへと適用することができる。そのような実施形態においては、カチオンポリマーの被膜乾燥重量は、基層(12)の面積を基準にして約0.04g/m2であり、厚さはオングストロームの範囲内にある。
接着層(14)に関して、幾つかの実施形態においては、カチオンポリマーは基層(12)へと適用され、かつ複合材物品(10)中に、約0.01g/m2(基層(12)の表面上に)から約0.5g/m2まで、あるいは約0.01g/m2から約0.1g/m2までの量で存在し、かつ接着剤は、複合材物品(10)中に、基層(12)の表面積を基準に、約0.1g/m2から約500g/m2までの、あるいは約0.1g/m2から約100g/m2までの、あるいは約0.1g/m2から約10g/m2までの、あるいは約0.01g/m2から約5g/m2までの量で存在する。
接着層(14)に関して、幾つかの実施形態においては、接着層(14)は、基層(12)へと、約0.1milから約10milまでの、あるいは約0.1milから約5milまでの、あるいは約0.1milから約2milまでの、あるいは約0.5milから約1.5milまでの量で適用される。このために、幾つかの実施形態においては、接着層(14)(カチオンポリマーと接着剤の両方を含む)は、約0.1milから約10milまでの、あるいは約0.1milから約5milまでの、あるいは約0.1milから約2milまでの、あるいは約0.5milから約1.5milまでの厚さを有する。
また該方法は、天然ゴムラテックスを接着層(14)へと適用して、天然ゴムラテックス層(16)を形成するステップを含んでもよい。天然ゴムラテックスは、接着層(14)へと、メイヤーバー、グラビアロール、ディップコーティング、スプレーコーティングまたは当該技術分野で公知のその他の方法によって適用することができる。幾つかの実施形態においては、天然ゴムラテックスを適用することで、約0.1milから約10milまでの、あるいは約0.1milから約5milまでの、あるいは約0.1milから約2milまでの、あるいは約0.5milから約1.5milまでの厚さを有する天然ゴムラテックス層(16)が形成される。
様々な実施形態においては、複合材物品(10)は、接着層(14)および天然ゴムラテックス層(16)を、約4:1から約20:1までの、あるいは約8:1から約15:1までの厚さ比で含む。時として、NRラテックスを複合材物品(10)において多く使用しすぎると、天然ゴムラテックス層(16)が厚くなりすぎ(例えば約5ミクロン超)、複合材物品(10)の層は、面内せん断変形周期の間に十分な動的結合力を示さない。一実施形態においては、NRラテックスの固形分含量は約5%固形分にまで低減され、その結果、約1.5ミクロンの低減された厚さを有する天然ゴムラテックス層(16)が得られる。この実施形態においては、複合材物品(10)の動的結合力は、大幅に改善される。言い換えれば、接着層(14)および天然ゴムラテックス層(16)の厚さは、前記の比率の範囲外に及ぶ場合に、複合材物品(10)中の層間での接着破壊が生ずることがある(例えば、上層/トップシートおよび接着層(14)の間の界面剥離)。
一実施形態においては、複合材物品(10)は、タイヤ構造中に空気タイヤ中のインナーライナとして使用するために導入される。複合材物品(10)の導入は、当該技術分野で公知の方法を使用して実現することができる。一実施形態においては、複合材物品(10)は、タイヤのカーカスプライのゴムプライコートへと、複合材物品(10)の天然ゴムラテックス層(16)および接着剤層(14)をゴムプライコートと直接的に接触させて適用することができる(この実施形態ではインナーライナ)。そのような実施形態においては、複合材物品(10)の基層(12)は、空気タイヤの半径方向の最内層であり、それは、該複合材物品(10)(この場合にはインナーライナ)を通った空気および酸素の通過または浸透を抑えて、空気タイヤ空洞内での空気の保持が促されるように設計されている。
空気タイヤは、レース用タイヤ、乗用車タイヤ、航空機用タイヤ、農業用タイヤ、土木機械用タイヤ、オフロードタイヤ、トラックタイヤ等であってよい。一実施形態においては、タイヤは、乗用車タイヤまたはトラックタイヤである。該タイヤは、ラジアルタイヤまたはバイアスタイヤであってもよい。
以下の実施例は、本開示を説明することを意図するものであり、本開示の範囲に何らかの制限をするものとして見なされるべきではない。
実施例
ポリアミド組成物1〜5は、本開示主題によるものである。ポリアミド組成物1〜5の調合は、以下の第1表に示されている。ポリアミド、該ポリアミドと反応性の無水物官能性コポリマー、イオノマーおよびその他の成分、例えばコポリマー、合成ワックス等を含むポリアミド組成物は、二軸スクリュー押出機を用いて配合される。配合/押出の直後に、ポリアミド組成物はペレット化される。ペレット化されたら直ちに、ポリアミド組成物を、乾燥させ、一軸スクリュー押出キャストフィルムラインを使用して試験シートへと押し出し、そして0.09kVの電圧および15分/秒のライン速度(滞留時間は1秒未満である)でコロナ処理される。ポリアミドおよび無水物官能性コポリマーは、配合の間に反応し、その後に押出過程および加熱過程を経て、物品が形成される。
ここで第1表に関しては、ポリアミド組成物1〜5中に含まれるそれぞれの成分の量および種類が、それぞれのポリアミド組成物100質量部に対する質量部での全ての値と一緒に示される。
ポリアミドは、ポリアミド6/66である。
無水物官能性コポリマー1は、無水マレイン酸で変性されたエチレン−オクテンコポリマーである。
無水物官能性コポリマー2は、無水マレイン酸で変性されたエチレン−ブテンコポリマーである。
無水物官能性コポリマー3は、無水マレイン酸で変性されたエチレン−ブテンコポリマーを含む相溶化剤ブレンドである。
イオノマーは、エチレンメタクリル酸コポリマー(ポリ(エチレン−co−メタクリル酸))の亜鉛イオノマーである。
コポリマー1は、ISO 11357に準じて試験した場合に160℃の融点を有し、かつISO 178に準じて試験した場合に約77MPaの曲げ弾性率を有する、ポリアミド6およびポリエーテルのブロックコポリマーである。
コポリマー2は、ISO 11357に準じて試験した場合に204℃の融点を有し、かつISO 178に準じて試験した場合に約80MPaの曲げ弾性率を有する、ポリアミド12およびポリエーテルのブロックコポリマーである。
合成ワックス1は、N,N−エチレンビスステアラミドである。
合成ワックス2は、ステアリン酸ナトリウムである。
合成ワックス3は、ステアリン酸亜鉛である。
添加剤1は、熱的安定剤である。
ポリアミド組成物1〜5を、同方向回転式二軸スクリュー押出機で配合して、基層1〜5を形成する。当該技術分野で良く知られているように、配合は、ポリマー材料、例えば基層のポリマー材料を調製するための技術である。ここでは、基層のストランドを形成するために二軸スクリュー押出機が使用される。二軸スクリュー押出機は、金属バレル中で一定の速度(RPM)で時計回りに回転することで、ポリアミド、無水物官能性コポリマー、ポリ(エチレン−co−メタクリル酸)イオノマーならびにコポリマーおよび/または合成ワックスを含む成分の混合物を動かす2つのスクリューを含む。バレルおよびスクリューは、混合物にせん断力が与えられるせん断面(bearing surface)を提供する。望ましい量のせん断混合をもたらすために、様々なスクリュー形状を使用することができる。加熱媒体が、バレルの周りに収容されており、当業者に公知の加工条件に応じて変動されるバレル内の温度帯域が実現され、この例のための具体的な配合条件は、以下の第2表に示されている。この例のためには、それぞれのポリアミド組成物の個々の成分が、二軸スクリュー押出機の第一の帯域(帯域1)に加えられ、様々な温度に加熱される一連の9つの追加の帯域(帯域2〜10)を通過する。不所望な揮発物を除去するために、帯域8において、約100mbarの真空に引かれる。次いで、それぞれの配合されたポリアミド組成物(基層)は、ストランドダイを通して押し出され、ストランドを形成し、それは水で冷却され、そしてペレット化される。
ここでペレット化された基層1〜5を、引き続きキャストフィルムダイを備える一軸スクリュー押出機で試験シートへと押し出す。その試験シートは、約0.1mm〜0.8mmの厚さである。
押し出されたら直ちに、基層1〜4の試験シートを、酸素透過率について試験する。試験結果は、以下の第4表に示されている。
第4表における結果が示しているように、発明主題に従って形成される基層1〜4は、優れたO2透過抵抗を示す。
形成されたら直ちに、基層1をまた、透過率、23℃での50%伸びでの引張強さ、23℃での破断点伸び、23℃および−40℃でのアイゾット衝撃強さならびに融点を測定するために分析する。試験方法および結果は、以下の第5表に示されている。
第5表における結果が示しているように、発明主題に従って形成される基層1は、広い温度範囲にわたって優れた物理的特性を示す。これらの試験結果の点で、形成された複合材物品は、ある温度範囲にわたって低い透過性、柔軟性および耐久性が必要とされる様々な用途で利用することができる。
ポリアミド組成物1を配合し、そして基層1の試験シートへと押し出したら直ちに、該試験シートに接着層が適用され、こうして実施例1〜14の複合材物品が形成される。まず、ポリエチレンイミンの5%固形分のエマルジョンを、水で0.5%固形分にまで希釈し、メイヤーバーを使用して適用し、そして80℃で1分間にわたって、0.04g/m2の被膜乾燥重量に至るまで乾燥させる。次に、それぞれの接着剤を、1mil未満の厚さで適用する。最後に、該接着剤に1層のゴムコンパウンドを適用する。基層および接着層を含む複合材物品が形成され、ゴムコンパウンドが適用されたら直ちに、基層を有する複合材物品を、170℃で23分間にわたって硬化させる。100℃での層間の界面接着は、基層をゴムコンパウンドから、2つの端部を互いに180°の角度でInstron社の装置を用いて引っ張りながら、引き裂かれていない試験片に対して直角に引き離すことによって測定した。接触面積は、硬化の間にコンパウンド間にマイラーシートを配置することで決定した。マイラー中の窓部により、2つの材料が試験の間に互いに接触することが可能であった。試験は、2.5cmの試料幅を使用し、5mm幅の透明マイラープラスチックフィルム窓部を、2つの試験試料の間に挿入することを除いて、ASTM D4393に準じて行った。実施例1〜14の複合材物品およびゴムコンパウンドの層の間の界面接着を、以下の第6表に示す。
ここで以下の第7表に関しては、比較例1および2ならびに実施例15〜18において、複合材物品の接着層のゴムへの接着に対する効果が説明されている。具体的には、複合材物品の標準的なゴムタイヤのカーカスプライコートコンパウンドへの接着性が試験される。接着試験は、調製されて170℃で23分間にわたって一緒に硬化された、複合材物品(または比較例)および1層のゴムコンパウンドの間の界面接着を測定するための剥離強度試験からなる。100℃での層間の界面接着は、第一の層をその他の層から、2つの端部を互いに180°の角度でInstron社の装置を用いて引っ張りながら、引き裂かれていない試験片に対して直角に引き離すことによって測定した。接触面積は、硬化の間にコンパウンド間にマイラーシートを配置することで決定した。マイラー中の窓部により、2つの材料が試験の間に互いに接触することが可能であった。試験は、2.5cmの試料幅を使用し、5mm幅の透明マイラープラスチックフィルム窓部を、2つの試験試料の間に挿入することを除いて、ASTM D4393に準じて行った。
これらの実施例/比較例においては、コロナ処理は、基層へと適用された場合に、手持ち式の処理ユニットを用いた8秒間にわたる115ボルト〜230ボルトの処理からなる。更に、ポリエチレンイミン処理は、基層へと適用された場合には、ポリエチレンイミンの5%固形分のエマルジョンのメイヤーバーを使用した適用および4g/cmの被膜乾燥重量に至るまでの80℃での1分の乾燥時間からなる。適用された場合には、接着剤はメイヤーバーおよび120℃で5分間の乾燥時間を使用して適用され、約1milの被膜を得た。
比較例1は、接着層が上に適用されていない基層を含む。
比較例2は、無水マレイン酸がグラフトされたスチレン−エチレン−ブチレンコポリマー(MA−SEBS)およびスチレン−イソプレンコポリマー(SIS)のブレンドを含む処理された接着剤が上に適用された基層を含む。
実施例15は、コロナ処理された基層と、その上に、ポリエチレンイミンおよびカルボキシル化スチレン−ブタジエンゴムを含む接着剤を含む接着層を含む。
実施例16は、コロナ処理された基層と、その上に、ポリエチレンイミンおよびカルボキシル化スチレン−ブタジエンゴムのラテックスと組み合わせて天然ゴム−ポリメチルメタクリレートラテックスを含む接着剤を含む接着層を含む。
実施例17は、コロナ処理された基層と、その上に、ポリエチレンイミンおよびカルボキシル化スチレン−ブタジエンゴムまたは天然ゴム−PMMAのラテックスと一緒に標準的な量の加硫剤(0.5%固形分の硫黄の水性分散液および2%固形分の酸化亜鉛の水性分散液を120℃で5分間にわたり乾燥させる)を含む接着剤を含む接着層を含む。
実施例18は、コロナ処理された基層と、ポリエチレンイミンおよびRFL接着剤を含む接着層とを含む。
比較例1および2ならびに実施例15〜18を、接着試験のために調製し、前記の試験に従って試験した。結果を、以下の第7表に示す。
ここで第7表に関しては、実施例の全ては、比較例よりも改善されたゴムに対する接着を示す。更に、コロナ処理された基層と、ポリエチレンイミンおよびRFL接着剤を含む接着層とを含む実施例18は、試験された実施例の全てのうちで最良のゴムへの接着を示している。
付属の特許請求の範囲は、詳細な説明に記載されるあらゆる特定の化合物、組成物または方法を表現することに制限されず、付属の特許請求の範囲内に含まれる特定の実施形態の間で変化しうる。様々な実施形態の特定の特徴または態様を説明するための本明細書において基礎となる任意のマーカッシュグループに関して、種々の特別なおよび/または予想されない結果が、全ての他のマーカッシュメンバーとは独立したそれぞれのマーカッシュグループのそれぞれのメンバーから得ることができると理解されるべきである。それぞれのマーカッシュグループのメンバーは、個別におよび/または組み合わせて依存し合ってよく、付属の特許請求の範囲の範囲内の特定の実施形態についての十分なサポートを提供する。
また、本発明の様々な実施形態の説明において基礎となる任意の範囲および部分範囲は独立してかつひとまとめに付属の特許請求の範囲の範囲内にあると理解されるべきであり、整数値および/または小数値を中に含む全ての範囲を、そのような値が本明細書内に明記されていなくとも説明および検討していると理解される。当業者であれば、列挙された範囲および部分範囲は、本開示の様々な実施形態を効果的に説明しかつ可能にし、かつそのような範囲および部分範囲は、更に関連の二分の一、三分の一、四分の一、五分の一などへと分けることができることを容易に認識する。単なる一例として、「0.1から0.9までの」範囲は、更に、低いほうの三分の一、すなわち0.1から0.3まで、中間の三分の一、すなわち0.4から0.6まで、高いほうの三分の一、すなわち0.7から0.9までへと分けることができ、それらは個別におよびひとまとめにして付属の特許請求の範囲内にあり、かつ個別におよび/またはひとまとめに依存し合ってよく、かつ付属の特許請求の範囲の範囲内の特定の実施形態のための十分なサポートを提供する。更に、範囲を定義するまたは修飾する言葉に関しては、例えば「少なくとも」、「…を上回る」、「未満」、「以下」などに関しては、そのような言葉は部分範囲および/または上限もしくは下限を含むと理解されるべきである。もう一つの例としては、「少なくとも10」という範囲は、本来は少なくとも10から35までの部分範囲、少なくとも10から25までの部分範囲、25から35までの部分範囲などを含み、それぞれの部分範囲は、個々におよび/またはひとまとめに依存し合ってよく、かつ付属の特許請求の範囲の範囲内の特定の実施形態のための十分なサポートを提供する。最後に、開示された範囲内の個々の数は、依存し合ってよく、付属の特許請求の範囲の範囲内の特定の実施形態についての十分なサポートを提供する。例えば、「1から9までの」範囲は、様々な個々の整数、例えば3ならびに小数点(または分数)を含む個々の数、例えば4.1を含み、それは、依存し合ってよく、かつ付属の特許請求の範囲の範囲内の特定の実施形態についての十分なサポートを提供する。
本開示は、説明を目的として記載されたものであって、使用された用語は、制限する用語ではなく説明を性質とする用語であることが意図されることが理解されるべきである。明らかに、前記教示に鑑みて本開示の多くの変更および選択肢は可能である。したがって、付属の特許請求の範囲の範囲内で、本開示は、具体的に記載されたものとは別の方法で行うことができると理解されるべきである。