JP6754593B2 - リチウムイオン電池 - Google Patents
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Description
正極層と、リチウムイオン伝導性を有する固体電解質層と、負極層と、がこの順に積層されることにより構成された発電素子のみからなる電池本体と、
繊維強化樹脂により構成され、上記電池本体の変形を抑える繊維強化樹脂部材と、
を備え、
上記繊維強化樹脂部材が前記電池本体に接着しているリチウムイオン電池が提供される。
図1は、第1の実施形態に係るリチウムイオン電池100の構造の一例を模式的に示した断面図である。
本実施形態に係るリチウムイオン電池100は、正極層11と、リチウムイオン伝導性を有する電解質層12と、負極層13と、がこの順に積層されることにより構成された発電素子14を1つ以上含む電池本体15と、繊維強化樹脂により構成され、電池本体15の変形を抑える繊維強化樹脂部材20と、を備えている。
ここで、充放電で生じる電極の体積変化により電池本体が変形し、電池本体の一部に亀裂が発生しやすくなると考えられる。この亀裂が発生すると、例えば正極と負極が接触して短絡等が起こり、リチウムイオン電池の電池特性が悪化してしまう。
これに対し、本実施形態に係るリチウムイオン電池100は、強度に優れた繊維強化樹脂部材20により、充放電が行われる電池本体15が覆われている。そのため充放電時における電池本体15の変形が抑えられ、電池本体15に亀裂が発生し難くなり、正極と負極との接触等による電池特性の悪化が抑制されると考えられる。以上の理由から、本実施形態によれば、電池特性に優れる本実施形態に係るリチウムイオン電池100を実現できる。
また、リチウムイオン電池100がシート型の場合、その上下の両面の一部を繊維強化樹脂部材20により覆うことが好ましく、その上下の両面の全体を繊維強化樹脂部材20により覆うことがより好ましい。
本実施形態の場合、電池本体15は、例えば、2つの積層された発電素子14のみによって構成されている。
発電素子14の平面形状は、任意の形状とすることができる。例えば、円形であってもよいし、その他の形状(例えば矩形状等)であってもよい。
正極端子は電池本体15の一端側の正極層11に対して電気的に接続し、負極端子は、電池本体15の他端側の負極層13に対して電気的に接続している。
本実施形態に係る金属層を有するラミネートフィルムは、金属層の少なくとも一方の面に樹脂層をさらに有していてもよい。これにより、金属層を有するラミネートフィルムにヒートシール性を付与することができる。
上記樹脂層を構成する樹脂材料は、特に限定されないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート(PET)等を用いることができる。
すなわち、2つの外装体30の間に電池本体15が配置された状態で、2つの外装体30の周縁部どうしがシール(ヒートシール等)されることにより、2つの外装体30の間に電池本体15が封入されている。
なお、2つの外装体30が相互にシールされた部分をシール部と称する。シール部においては、2つの外装体30が相互に接合されている。
これにより、電池本体15が保護枠40によって保護されているので、リチウムイオン電池100を安定的な構造のものとすることができる。
具体的には、枠体に形成された貫通孔内に電池本体15が収容されている。これにより、電池本体15の周囲が保護枠40によって保護された構造が実現されている。こうした構造により、発電素子14間や発電素子14内での短絡をより一層抑制することができる。
また、電池本体15が貫通孔の内周壁面に対して非接合な状態で、貫通孔内に収容されている。これにより、少なくとも電池本体15は、貫通孔の内周壁面によって強固には拘束されておらず、貫通孔内においてある程度自由に移動することができる。このため、電池本体15に不要な応力が加わってしまうことを抑制できるので、リチウムイオン電池100の品質を容易に安定させることができる。
つまり、リチウムイオン電池100を、生産性に優れ、かつ、品質を容易に安定させることが可能な構造のものとすることができる。
枠体には、その表裏を貫通する貫通孔が形成されている。貫通孔の平面形状は、電池本体15の平面形状と同等である。貫通孔は、電池本体15をほぼ隙間無く収容する寸法に設定されていることが好ましい。枠体の厚さは、電池本体15の厚さと同等である。
枠体の貫通孔は、例えば、パンチング等によって形成することができる。
正極層11は特に限定されず、リチウムイオン電池に一般的に用いられている正極を使用することができる。正極層11は、通常、正極活物質層と、正極集電体と、を含む。
正極層11は特に限定されないが、一般的に公知の方法に準じて製造することができる。例えば、正極活物質を含む正極活物質層を正極集電体上に形成することにより得ることができる。
正極層11の厚みや密度は、電池の使用用途等に応じて適宜決定されるため特に限定されず、一般的に公知の情報に準じて設定することができる。
正極活物質層中の各種材料の配合割合は、電池の使用用途等に応じて、適宜決定されるため特に限定されず、一般的に公知の情報に準じて設定することができる。
これらの中でも、より高い放電容量密度を有し、かつ、サイクル特性により優れる観点から、硫化物系正極活物質が好ましく、Li−Mo−S化合物、Li−Ti−S化合物、Li−V−S化合物から選択される一種または二種以上がより好ましい。
また、Li−Ti−S化合物は構成元素としてLi、Ti、およびSを含んでいるものであり、通常は原料であるチタン硫化物と硫化リチウムをメカノケミカル処理等の混合粉砕することにより得ることができる。
Li−V−S化合物は構成元素としてLi、V、およびSを含んでいるものであり、通常は原料であるバナジウム硫化物と硫化リチウムをメカノケミカル処理等の混合粉砕することにより得ることができる。
その他のリチウム系無機固体電解質材料としては、例えば、LiPON、LiNbO3、LiTaO3、Li3PO4、LiPO4−xNx(xは0<x≦1)、LiN、LiI、LISICON等が挙げられる。さらに、これらの無機固体電解質の結晶を析出させて得られるガラスセラミックスも固体電解質材料として用いることができる。
ポリマー電解質としては、一般的にリチウムイオン電池に用いられるものを用いることができる。
これらの中でも、粒子径が小さく、価格が安いカーボンブラック類が好ましい。
ポリマー電解質以外のバインダーとしては、リチウムイオン電池で一般的に使用されるバインダーであれば特に限定されないが、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、アラミド樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ヘキシル、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリメタクリル酸ヘキシル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルピロリドン、ポリエーテル、ポリエーテルサルフォン、ポリヘキサフルオロプロピレン、スチレンブタジエンゴム、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。これらのバインダーは1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
負極層13は特に限定されず、リチウムイオン電池に一般的に用いられている負極を使用することができる。負極層13は、通常、負極活物質層と、負極集電体と、を含む。
負極層13は特に限定されないが、一般的に公知の方法に準じて製造することができる。例えば、負極活物質を含む負極活物質層を負極集電体上に形成することにより得ることができる。
負極層13の厚みや密度は、電池の使用用途等に応じて適宜決定されるため特に限定されず、一般的に公知の情報に準じて設定することができる。
負極活物質層中の各種材料の配合割合は、電池の使用用途等に応じて、適宜決定されるため特に限定されず、一般的に公知の情報に準じて設定することができる。
電解質層12は、正極層11と負極層13との間に介在するように配置される層である。電解質層12としては、多孔性セパレーターに非水電解液を含浸させたものや、固体電解質材料を含む固体電解質層が挙げられる。
多孔性膜としては微多孔性高分子フィルムが好適に使用され、材質としてポリオレフィン、ポリイミド、ポリフッ化ビニリデン、ポリエステル等が挙げられる。特に、多孔性ポリオレフィンフィルムが好ましく、具体的には多孔性ポリエチレンフィルム、多孔性ポリプロピレンフィルム等が挙げられる。
上記電解質としては、公知のリチウム塩がいずれも使用でき、活物質の種類に応じて選択すればよい。例えば、LiClO4、LiBF4、LiPF6、LiCF3SO3、LiCF3CO2、LiAsF6、LiSbF6、LiB10Cl10、LiAlCl4、LiCl、LiBr、LiB(C2H5)4、CF3SO3Li、CH3SO3Li、LiCF3SO3、LiC4F9SO3、Li(CF3SO2)2N、低級脂肪酸カルボン酸リチウム等が挙げられる。
また、本実施形態の固体電解質層は、バインダーを含有していてもよい。バインダーを含有することにより、可撓性を有する固体電解質層を得ることができる。バインダーとしては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素含有結着材を挙げることができる。
本実施形態に係るリチウムイオン電池100は、外装体30に封入された電池本体15を繊維強化樹脂部材20で覆うことにより作製することができる。例えば、半硬化状態のシート状の繊維強化樹脂部材20を2枚用意し、外装体30に封入された電池本体15を2枚の繊維強化樹脂部材20で挟み込む。そして、繊維強化樹脂部材20を硬化させることにより、電池本体15が繊維強化樹脂部材20で覆われたリチウムイオン電池100を得ることができる。
積層体を加圧する圧力は、例えば、40MPa以上500MPa以下である。積層体を加圧する方法は特に限定されず、例えば、平板プレス、ロールプレス等を用いることができる。
また、半硬化状態のシート状の繊維強化樹脂部材20を電池本体15に圧着させながら硬化させることにより、繊維強化樹脂部材20を電池本体15により密着させることができる。
次に、図2を用いて、第2の実施形態に係るリチウムイオン電池100を説明する。
本実施形態に係るリチウムイオン電池100は、外装体30を使用せずに電池本体15を直接繊維強化樹脂部材20で封入している点が上記の第1の実施形態に係るリチウムイオン電池100と相違しているが、その他の構造については、上記の第1の実施形態に係るリチウムイオン電池100と同様に構成されている。
本実施形態に係るリチウムイオン電池100は、外装体30を使用しないため、上記の第1の実施形態に係るリチウムイオン電池100よりも薄いリチウムイオン電池を実現することができる。
また、以上のような第2の実施形態によっても、上記の第1の実施形態と同様の効果が得られる。
次に、図3を用いて、第3の実施形態に係るリチウムイオン電池100を説明する。
本実施形態に係るリチウムイオン電池100は、1枚の繊維強化樹脂部材20を折り曲げ、電池本体15を挟み込んでいる点が上記の第1の実施形態に係るリチウムイオン電池100と相違しているが、その他の構造については、上記の第1の実施形態に係るリチウムイオン電池100と同様に構成されている。
本実施形態に係るリチウムイオン電池100は、1枚の繊維強化樹脂部材20を折り曲げ、電池本体15を挟み込んでいるため、見た目がキレイであり、さらに電池の使い勝手に優れている。
以上のような第3の実施形態によっても、上記の第1の実施形態と同様の効果が得られる。
次に、図4を用いて、第4の実施形態に係るリチウムイオン電池100を説明する。
本実施形態に係るリチウムイオン電池100は、1枚の繊維強化樹脂部材20を折り曲げ、電池本体15を挟み込んでいる点が上記の第2の実施形態に係るリチウムイオン電池100と相違しているが、その他の構造については、上記の第2の実施形態に係るリチウムイオン電池100と同様に構成されている。
本実施形態に係るリチウムイオン電池100は、1枚の繊維強化樹脂部材20を折り曲げ、電池本体15を挟み込んでいるため、見た目がキレイになる。
以上のような第4の実施形態によっても、上記の第2の実施形態と同様の効果が得られる。
次に、図5を用いて、第5の実施形態に係るリチウムイオン電池100を説明する。
本実施形態に係るリチウムイオン電池100は、保護枠40の幅を大きくしている点が上記の第4の実施形態に係るリチウムイオン電池100と相違しているが、その他の構造については、上記の第4の実施形態に係るリチウムイオン電池100と同様に構成されている。
本実施形態に係るリチウムイオン電池100は、保護枠40の幅を大きくしているため、リチウムイオン電池100をより安定的な構造のものとすることができる。
以上のような第5の実施形態によっても、上記の第4の実施形態と同様の効果が得られる。
次に、図6を用いて、第6の実施形態に係るリチウムイオン電池100を説明する。
本実施形態に係るリチウムイオン電池100は、2枚の繊維強化樹脂部材20を保護枠40の表面に接着させている点が上記の第5の実施形態に係るリチウムイオン電池100と相違しているが、その他の構造については、上記の第5の実施形態に係るリチウムイオン電池100と同様に構成されている。
本実施形態に係るリチウムイオン電池100は、2枚の繊維強化樹脂部材20を保護枠40の表面に接着させることで、より整った形状とすることができる。
以上のような第6の実施形態によっても、上記の第5の実施形態と同様の効果が得られる。
次に、図7を用いて、第7の実施形態に係るリチウムイオン電池100を説明する。
本実施形態に係るリチウムイオン電池100は、水蒸気バリア性を高めるためアルミ箔やステンレス箔等の金属層60を繊維強化樹脂部材20の外側に貼り付けている点が上記の第6の実施形態に係るリチウムイオン電池100と相違しているが、その他の構造については、上記の第6の実施形態に係るリチウムイオン電池100と同様に構成されている。
本実施形態に係るリチウムイオン電池100は、繊維強化樹脂部材20の外側に金属層60を備えているため、リチウムイオン電池100の水蒸気バリア性を向上させることができる。
以上のような第7の実施形態によっても、上記の第6の実施形態と同様の効果が得られる。
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
表1に示す電池構造を有する2セル積層のバイポーラ型の全固体型リチウムイオン電池をそれぞれ作製し、1サイクル目充電(正極から負極にリチウムイオンが移動)した後の湾曲変形の度合いを下記手法で調べた。
なお、表1に示すシート状のガラス繊維強化樹脂または炭素繊維強化樹脂で電池本体15を挟み込み、さらにその上下にポリテトラフルオロエチレン(PTFE)板を重ね、手動プレス機で2MPaの圧力を掛けながらガラス繊維強化樹脂および炭素繊維強化樹脂を硬化させ、電池本体15に圧着させた。また、PTFE板を使用したが、ガラス繊維強化樹脂および炭素繊維強化樹脂に使用する樹脂が接着しない材質であれば、この材質以外も使用することができる。例えば樹脂がエポキシ樹脂であればポリプロピレン、ポリエチレン、ナイロン等でも使用可能である。
なお、比較例1の電池構造は、図1に示すリチウムイオン電池100から繊維強化樹脂部材20を取り除いた構造である。
2セル積層のバイポーラ型の全固体型リチウムイオン電池の作製後に、厚さ0.1mmのAl2O3板2枚が並行になるように2枚のAl2O3板で電池を挟み、Al2O3板を含む全体の厚さからAl2O3板2枚の厚さを引くことで電池の初期状態の厚さ(μm)を測定した。
次に、電流密度65μA/cm2の条件で充電終止電位4.5Vまで充電した後に初期状態と同様の手順で厚さを測定し、充電後の厚さ(μm)とした。充電後の厚さから初期状態の厚さを引いた値を変形量(μm)とした。得られた結果を表1に示す。
充電後の厚さが初期状態の厚さとほぼ同等であれば、充放電に伴う変形の繰り返しで起こる疲労破壊は抑制できると考えられる。
導電性銅箔導電テープ(寺岡製作所製8313 0.03、外寸法:25.0mm×25.0mm、粘着剤層面に黒鉛(日本黒鉛工業社製、CGC−20、8mg)を付着)、負極活物質層(インジウム箔、ニラコ社製、23.0mm×23.0mm)、固体電解質層(Li11P3S12)、正極活物質層(Li14MoS9:ケッチェンブラック(KB):Li11P3S12=1:0.5:1.2(質量比))、導電性銅箔導電テープ(寺岡製作所製8313 0.03、粘着剤層面に銅粉(高純度化学研究所社製、325メッシュ、30mg)を付着)をこの順で積層させた。次いで、得られた積層体を320MPaで加圧して第一発電素子を作製した。ここで、第一発電素子の作製と同様の方法で、第一発電素子と同じ構成の第二発電素子を作製した。
次いで、中央に直径15mmの円形状の貫通孔を形成した粘着性樹脂層(日東電工社製、極薄両面テープNo.5600、層構成:アクリル系粘着剤層/PETフィルム基材/アクリル系粘着剤層)を介して、得られた第一発電素子と第二発電素子を積層して積層体を作製し、得られた積層体を320MPaで加圧し、電池本体15を得た。
繊維強化樹脂部材20を用いる電池構造では、繊維強化樹脂部材20としては、表1に示す繊維および樹脂からなる繊維強化樹脂をそれぞれ用いた。
また、外装体30を用いる電池構造では、外装体30としてはアルミラミネートフィルムを用いた。
また、保護枠40を用いる電池構造では、保護枠40としては硬質のポリ塩化ビニル製の樹脂枠を用いた。
また、金属層60を用いる電池構造では、金属層60としてはステンレス箔を用いた。
アルゴン雰囲気下で、Al2O3製ポットに、MoS2(和光純薬工業社製、745mg、4.7mmol、平均粒子径:10μm)と、Li2S(シグマアルドリッチジャパン社製、1497mg、32.5mmol、平均粒子径:5μm)と、を秤量して加え、さらにZrO2ボールを入れ、Al2O3製ポットを密閉した。
次いで、Al2O3製ポットを、ボールミル回転台に乗せ120rpmで、4日間処理を行い、混合物を得た。
Moの含有量に対するLiの含有量のモル比(Li/Mo)は14であり、Moの含有量に対するSの含有量のモル比(S/Mo)は9であった。
硫化物系固体電解質材料であるLi11P3S12を以下の手順で作製した。
原料には、Li2S(シグマアルドリッチジャパン製、純度99.9%)、P2S5(関東化学製試薬)を使用した。Li3Nは、以下の手順で作製した。
まず、窒素雰囲気のグローブボックス中で、Li箔(本城金属社製純度99.8%、厚さ0.5mm)にステンレス製の剣山を使用しφ1mm以下の穴を多数開けた。Li箔は穴の部分から黒紫色に変化し始め、そのまま、常温で24時間放置することでLi箔すべてが黒紫色のLi3Nに変化した。Li3Nは、メノウ乳鉢で粉砕後、ステンレス製篩で篩い分けし、75μm以下の粉末を回収し無機固体電解質材料の原料とした。
つづいて、アルゴングローブボックス中で各原料をLi2S:P2S5:Li3N=67.5:22.5:10.0(モル%)になるように精秤し、これら粉末を20分間メノウ乳鉢で混合した。次いで、混合粉末2gを秤量し、φ10mmのジルコニア製ボール500gとともに、遊星ボールミル(フリッチュ社製、P−7)にて100rpmで1時間混合粉砕した。次いで、400rpmで15時間混合粉砕し、Li11P3S12組成の硫化物系固体電解質材料を得た。
以上から、本実施形態に係るリチウムイオン電池によれば、電池充放電時の変形が抑制されることが確認できた。
以下、参考形態の例を付記する。
1.
正極層と、リチウムイオン伝導性を有する電解質層と、負極層と、がこの順に積層されることにより構成された発電素子を1つ以上含む電池本体と、
繊維強化樹脂により構成され、前記電池本体の変形を抑える繊維強化樹脂部材と、
を備えるリチウムイオン電池。
2.
1.に記載のリチウムイオン電池において、
前記電池本体を封入する外装体をさらに備えるリチウムイオン電池。
3.
2.に記載のリチウムイオン電池において、
前記外装体は金属層を少なくとも有するラミネートフィルムを含むリチウムイオン電池。
4.
2.または3.に記載のリチウムイオン電池において、
前記外装体は、前記電池本体のみを封入する、または、前記電池本体と前記繊維強化樹脂部材の両方を封入するリチウムイオン電池。
5.
1.乃至4.のいずれか一つに記載のリチウムイオン電池において、
前記繊維強化樹脂を構成する樹脂が、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂およびメタクリル樹脂から選択される一種または二種以上を含むリチウムイオン電池。
6.
5.に記載のリチウムイオン電池において、
前記繊維強化樹脂を構成する樹脂がエポキシ樹脂を含むリチウムイオン電池。
7.
1.乃至6.のいずれか一つに記載のリチウムイオン電池において、
前記繊維強化樹脂を構成する繊維が、ガラス繊維、炭素繊維、ボロン繊維、アラミド繊維、ポリエチレン繊維、およびポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維から選択される一種または二種以上を含むリチウムイオン電池。
8.
1.乃至7.のいずれか一つに記載のリチウムイオン電池において、
前記電解質層が固体電解質層であり、
前記電池本体が全固体型リチウムイオン電池であるリチウムイオン電池。
9.
1.乃至8.のいずれか一つに記載のリチウムイオン電池において、
前記電池本体が前記発電素子を2つ以上含むバイポーラ型リチウムイオン電池であるリチウムイオン電池。
12 電解質層
13 負極層
14 発電素子
15 電池本体
20 繊維強化樹脂部材
30 外装体
40 保護枠
50 電極端子
60 金属層
100 リチウムイオン電池
Claims (9)
- 正極層と、リチウムイオン伝導性を有する固体電解質層と、負極層と、がこの順に積層されることにより構成された発電素子のみからなる電池本体と、
繊維強化樹脂により構成され、前記電池本体の変形を抑える繊維強化樹脂部材と、
を備え、
前記繊維強化樹脂部材が前記電池本体に接着しているリチウムイオン電池。 - 請求項1に記載のリチウムイオン電池において、
前記電池本体を封入する外装体をさらに備えるリチウムイオン電池。 - 請求項2に記載のリチウムイオン電池において、
前記外装体は金属層を少なくとも有するラミネートフィルムを含むリチウムイオン電池。 - 請求項2または3に記載のリチウムイオン電池において、
前記外装体は、前記電池本体と前記繊維強化樹脂部材の両方を封入するリチウムイオン電池。 - 請求項1乃至4のいずれか一項に記載のリチウムイオン電池において、
前記繊維強化樹脂を構成する樹脂が、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂およびメタクリル樹脂から選択される一種または二種以上を含むリチウムイオン電池。 - 請求項5に記載のリチウムイオン電池において、
前記繊維強化樹脂を構成する樹脂がエポキシ樹脂を含むリチウムイオン電池。 - 請求項1乃至6のいずれか一項に記載のリチウムイオン電池において、
前記繊維強化樹脂を構成する繊維が、ガラス繊維、炭素繊維、ボロン繊維、アラミド繊維、ポリエチレン繊維、およびポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維から選択される一種または二種以上を含むリチウムイオン電池。 - 請求項1乃至7のいずれか一項に記載のリチウムイオン電池において、
前記電解質層が固体電解質層であり、
前記電池本体が全固体型リチウムイオン電池であるリチウムイオン電池。 - 請求項1乃至8のいずれか一項に記載のリチウムイオン電池において、
前記電池本体が前記発電素子を2つ以上含むバイポーラ型リチウムイオン電池であるリチウムイオン電池。
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