(1)概要
以下、実施形態の取付金具2、コネクタ101について図1A〜図6を用いて説明する。本実施形態のコネクタ101は、例えばプリント配線板やフレキシブルプリント配線板などの基板に取り付けられる。コネクタ101は、例えばスマートフォン等の携帯端末に搭載されている複数の基板の間を電気的に接続するために用いられる。もちろん、コネクタ101の用途を限定する趣旨ではなく、コネクタ101は、例えばカメラモジュール等の携帯端末以外の電子機器に用いられてもよい。また、コネクタ101は、複数の基板の間を電気的に接続する用途に限られず、例えば基板とディスプレイとの間や、基板とバッテリとの間など、複数の部品の間を電気的に接続する用途であればよい。
コネクタ101は、図3〜図6に示すように、ハウジング1と、ハウジング1に取り付けられる取付金具2とを備えている。ハウジング1は、底壁11と、底壁11の周囲を囲む周壁12とを有している。周壁12は、一対の第1側壁121と、一対の第2側壁122とで構成されている。一対の第1側壁121の各々は、複数のコンタクト3を配列方向に並んだ状態で保持する。一対の第2側壁122の各々は、一対の第1側壁121の端部同士を連結する。ハウジング1の厚さ方向の寸法は、例えば数mm以下である。また、ハウジング1の長手方向の寸法は、例えば十数mmである。また、ハウジング1の短手方向の寸法は、例えば数mmである。更に、複数のコンタクト3の並ぶ間隔、つまりピッチは、例えばコンマ数mmである。本実施形態では、複数のコンタクト3は等ピッチで並んでいるが、不揃いのピッチで並んでいてもよい。
取付金具2は、図1A〜図2Bに示すように、ハウジング1に取り付けられる取付部材20を備えている。取付部材20は、第1取付部21と、第2取付部22とを有している。第1取付部21は、一対の第1側壁121のうち一方の第1側壁121における複数のコンタクト3が配列されていない部位の少なくとも一部を覆う。第2取付部22は、第1取付部21と分離しており、一対の第2側壁122のうち少なくとも一方の第2側壁122の少なくとも一部を覆う。
つまり、本実施形態の取付金具2では、第1取付部21と第2取付部22とが分離しているため、仮に第1取付部21及び第2取付部22の一方に応力が加わった場合、他方に応力が伝わり難い。このため、本実施形態の取付金具2は、第1取付部21と第2取付部22とが一体に構成されている場合と比較して変形し難く、その結果、ハウジング1が応力を受ける部位を小さくすることができ、結果としてハウジング1の強度を向上することができる。
(2)詳細
以下、本実施形態のコネクタ101の構成について詳細に説明する。取付金具2については、「(3)取付金具」にて詳細に説明する。以下では、ハウジング1の厚さ方向を前後方向、ハウジング1の短手方向を上下方向、ハウジング1の長手方向を左右方向として説明する。なお、図1A〜図14Bには、これらの方向(上、下、左、右、前、後)を表す矢印を示すが、これらの矢印は、単に説明を補助する目的で記載しているに過ぎず、実体を伴わない。また、上記の方向の規定は、本実施形態のコネクタ101の使用形態を限定する趣旨ではない。
本実施形態のコネクタ101は、ソケット(メスコネクタ)であって、図3〜図8に示すように、ハウジング1と、一対の取付金具2と、複数(ここでは、34本)のコンタクト3と、一対の電源端子4とを備えている。一対の取付金具2は、それぞれハウジング1の長手方向(左右方向)の両端部に取り付けられている。また、一対の取付金具2の各々は、2つの第1取付部21と、1つの第2取付部22とを有する取付部材20を備えている。
ハウジング1は、図3〜図6に示すように、絶縁性を有する樹脂材料により、左右方向に長い扁平な直方体状に形成されている。本実施形態では、ハウジング1は、一対の取付金具2をインサート品としてインサート成形されている。ハウジング1は、底壁11と、周壁12と、台部13とを有している。底壁11は、左右方向に長い板状であって、ハウジング1の底部を構成する。
周壁12は、底壁11の周縁から前向きに突出しており、平面視で矩形枠状に形成されている。つまり、周壁12は、底壁11の周囲を囲むように構成されている。より具体的には、周壁12は、一対の第1側壁121と、一対の第2側壁122とで構成されている。一対の第1側壁121は、周壁12のうちハウジング1の長手方向に沿った一対の壁である。一対の第1側壁121の各々には、後述する複数の収納部15にそれぞれ複数のコンタクト3及び電源端子4が収納されることにより、複数のコンタクト3及び電源端子4が一方向(左右方向)に並んだ状態で保持される。つまり、一対の第1側壁121の各々は、複数のコンタクト3を配列方向(左右方向)に並んだ状態で保持する。本実施形態では、一対の第1側壁121は、それぞれ17本のコンタクト3を保持している。また、一対の第1側壁121は、それぞれ1つの電源端子4を保持している。
一対の第1側壁121の各々において、長手方向(左右方向)の両端部の各々には、取付金具2の第1取付部21が取り付けられている。また、一対の第2側壁122の各々には、取付金具2の第2取付部22が取り付けられている。つまり、ハウジング1の長手方向(左右方向)の一端(左端)側にある2つの第1取付部21と1つの第2取付部22とで、1つの取付金具2の取付部材20を構成している。同様に、ハウジング1の長手方向の他端(右端)側にある2つの第1取付部21と1つの第2取付部22とで、1つの取付金具2の取付部材20を構成している。
台部13は、左右方向に長い直方体状であって、底壁11の中央から前向きに突出している。底壁11、周壁12、及び台部13で囲まれた部位は、他コネクタ102が嵌合する嵌合凹部14を構成している。具体的には、嵌合凹部14には、他コネクタ102の一対の第1側壁121A(後述する)と、他コネクタ102の一対の第2側壁122A(後述する)とが嵌合する。これにより、コネクタ101に他コネクタ102が接続される。
台部13の長手方向(左右方向)の両端部の各々において、嵌合凹部14に臨む面は、ハウジング1の厚さ方向(前後方向)に沿って底壁11から起立する起立面131となっている。また、台部13の長手方向の両端部の各々において、ハウジング1の厚さ方向における底壁11と反対側(前側)の角には、ハウジング1の短手方向(上下方向)にわたって面取りされることで、傾斜面132が形成されている。このため、本実施形態では、傾斜面132により、他コネクタ102の取付金具2A(後述する)を嵌合凹部14に案内することができる。また、本実施形態では、起立面131により、コネクタ101に他コネクタ102を接続した状態での取付金具2Aの移動(ハウジング1の長手方向に沿った移動)を規制することができる。したがって、本実施形態では、コネクタ101と他コネクタ102との接続強度を向上することができる。
ハウジング1には、複数のコンタクト3及び一対の電源端子4と1対1に対応する複数(ここでは、36個)の収納部15が形成されている。複数の収納部15は、それぞれ底壁11を厚さ方向(前後方向)に貫通するように形成されている。複数のコンタクト3及び一対の電源端子4の各々は、後方から収納部15に押し込まれることにより、収納部15に収納されている。
複数の収納部15は、台部13を挟んだ上下両側に二等分されて設けられている。台部13の上下両側にある複数の収納部15は、いずれもハウジング1の長手方向(左右方向)に沿ってほぼ等間隔に並んで設けられている。ここで、一対の電源端子4のうち一方の電源端子4は、台部13の下側にある複数の収納部15のうち最も左側にある収納部15に収納されている。また、一対の電源端子4のうち他方の電源端子4は、台部13の上側にある複数の収納部15のうち最も右側にある収納部15に収納されている。
このため、本実施形態では、一対の電源端子4は、いずれも第1取付部21、電源端子4、複数のコンタクト3の順に並ぶようにハウジング1に保持されている。言い換えれば、本実施形態では、取付金具2は、電源端子4との間の距離が、複数のコンタクト3のうち最も近い位置にあるコンタクト3との間の距離以下となるようにハウジング1に取り付けられている。更に、本実施形態では、一対の電源端子4(つまり、2つの電源端子4)は、前方から見て(つまり、平面視で)ハウジング1の中心に対して点対称となるようにハウジング1に保持されている(図5参照)。
コンタクト3は、信号伝送用の端子である。また、電源端子4は、電源と電気的に接続される端子である。コンタクト3及び電源端子4は、いずれも帯状の金属板を折り曲げることにより形成されている。また、コンタクト3には、金めっきが施されている。コンタクト3は、図7、図8に示すように、ばね片31と、立ち上がり片32と、立ち下がり片33と、端子片34とを有しており、これらを一体に形成して構成されている。電源端子4も、コンタクト3と同様に、ばね片31と、立ち上がり片32と、立ち下がり片33と、端子片34とで構成されている。
ばね片31は、先端が馬蹄形に湾曲しており、ハウジング1の短手方向(上下方向)に撓むように構成されている。また、ばね片31は、嵌合凹部14に他コネクタ102のコンタクト3Aが挿入された状態で、コンタクト3Aに押されることで、コンタクト3Aに向かう向きの弾性力を発生するように構成されている。
立ち上がり片32は、ハウジング1の厚さ方向(前後方向)に長い板状に形成されている。立ち上がり片32の第1端(後端)は、ばね片31と一体に形成されている。立ち上がり片32は、嵌合凹部14に他コネクタ102のコンタクト3Aが挿入された状態で、コンタクト3Aと接触するように構成されている。
また、立ち上がり片32には、ばね片31に向かって突出する突起321が一体に形成されている。嵌合凹部14に他コネクタ102のコンタクト3Aが挿入された状態において、突起321は、コンタクト3Aの突起361(後述する)と前後方向に並び、かつ、コンタクト3Aの突起361よりも前方に位置する。このため、所定以上の力をもって他コネクタ102を嵌合凹部14から引き抜こうとしない限り、コンタクト3Aの突起361がコンタクト3の突起321に引っ掛かることにより、コネクタ101と他コネクタ102との接続状態が解除されない。つまり、コンタクト3の突起321及びコンタクト3Aの突起361は、所定以上の力を加えることによりコネクタ101と他コネクタ102との接続状態を解除可能なロック機構を構成している。
立ち下がり片33は、ハウジング1の厚さ方向(前後方向)に長い板状に形成されている。立ち下がり片33の第1端(前端)は、逆U字状に湾曲しており、立ち上がり片32の第2端(前端)と一体に形成されている。
端子片34は、ハウジング1の短手方向(上下方向)に長い板状に形成されている。端子片34は、立ち下がり片33の第2端(後端)と一体に形成されている。また、端子片34の先端は、ハウジング1の厚さ方向の一端側(後側)において、ハウジング1から露出している。端子片34の一面(後面)は、例えば半田付けにより基板に接合される接合面となる。
このように、本実施形態では、コンタクト3及び電源端子4は、いずれも、ばね片31、立ち上がり片32、立ち下がり片33、及び端子片34を有している。そして、本実施形態では、ハウジング1の長手方向(左右方向)から見て、コンタクト3の断面の形状は、電源端子4の断面の形状と同一である。言い換えれば、配列方向(左右方向)から見て、電源端子4の断面は、複数のコンタクト3の各々の断面と同一である。ここでいう「同一」は、「ほぼ同一」を含む表現である。したがって、製造上の誤差又はバラツキによりコンタクト3及び電源端子4の各々の断面の形状が互いに僅かに異なるのは、許容範囲内の誤差である。
ここで、既に述べたように、コンタクト3は信号伝送用の端子であり、電源端子4は電源用の端子である。このため、電源端子4には、コンタクト3に流れる電流と比較して大きな電流が流れる。そこで、本実施形態では、電源端子4の幅寸法(ハウジング1の長手方向(左右方向)の寸法)をコンタクト3の幅寸法よりも大きくすることで、電源端子4のインピーダンスをコンタクト3のインピーダンスよりも小さくしている。
複数のコンタクト3及び一対の電源端子4の各々は、収納部15に収納された状態で、一部が嵌合凹部14に露出している。具体的には、コンタクト3及び電源端子4の各々のばね片31の一部が、台部13の内側から嵌合凹部14に露出している。また、コンタクト3及び電源端子4の各々の立ち上がり片32の一部が、第1側壁121の内側から嵌合凹部14に露出している。
したがって、コネクタ101に他コネクタ102を接続すると、複数のコンタクト3の各々の嵌合凹部14に露出した部位が、他コネクタ102の複数のコンタクト3Aの各々と接触する。これにより、コネクタ101の複数のコンタクト3が、それぞれ他コネクタ102の複数のコンタクト3Aと電気的に接続される。また、一対の電源端子4の各々の嵌合凹部14に露出した部位が、他コネクタ102の一対の電源端子4A(後述する)の各々と接触する。これにより、コネクタ101の一対の電源端子4が、それぞれ他コネクタ102の一対の電源端子4Aと電気的に接続される。
上述のように構成されたコネクタ101は、例えばスマートフォン等の電子機器に内蔵された基板(以下、「第1基板」という)に実装される。また、コネクタ101に対応する他コネクタ102(後述する)は、同じく電子機器に内蔵された他の基板(以下、「第2基板」という)に実装される。
そして、図7、図8に示すように、コネクタ101が他コネクタ102に接続されることにより、第1基板に配線された第1導体と、第2基板に配線された第2導体との間が電気的に接続される。具体的には、コネクタ101の複数のコンタクト3が、他コネクタ102の複数のコンタクト3Aに電気的に接続されることで、コネクタ101が他コネクタ102に接続される。つまり、本実施形態では、コネクタ101と、他コネクタ102とで、接続装置100が構成されている。言い換えれば、接続装置100は、コネクタ101と、他コネクタ102とを備えている。
以下、本実施形態のコネクタ101に対応する他コネクタ102について図7〜図13Bを用いて説明する。なお、図7、図8においては、他コネクタ102は、前後を反転させた状態で図示されている。したがって、以下では、図9〜図13Bにて規定する方向に基づいて他コネクタ102について説明する。
本実施形態では、他コネクタ102は、ヘッダ(オスコネクタ)であって、他コネクタ側ハウジング1Aと、他コネクタ側取付金具2Aと、複数(ここでは、34本)の他コネクタ側コンタクト3Aと、一対の他コネクタ側電源端子4Aとを備える。以下の説明では、原則、他コネクタ側ハウジング1A及び他コネクタ側取付金具2Aを、それぞれ単に「ハウジング1A」及び「取付金具2A」という。また、以下の説明では、原則、他コネクタ側コンタクト3A及び他コネクタ側電源端子4Aを、それぞれ単に「コンタクト3A」及び「電源端子4A」という。
ハウジング1Aは、絶縁性を有する樹脂材料により、左右方向に長い扁平な直方体状に形成されている。ハウジング1Aは、底壁11Aと、周壁12Aとを有している。周壁12Aは、底壁11Aの周縁から前向きに突出しており、平面視で矩形枠状に形成されている。つまり、周壁12Aは、底壁11Aの周囲を囲むように構成されている。より具体的には、周壁12Aは、一対の第1側壁121Aと、一対の第2側壁122Aとで構成されている。一対の第1側壁121Aは、周壁12Aのうちハウジング1Aの長手方向に沿った一対の壁である。底壁11A及び周壁12Aで囲まれた部位は、コネクタ101が嵌合する嵌合凹部14Aを構成している。具体的には、嵌合凹部14Aには、コネクタ101の台部13が嵌合する。
ハウジング1Aは、複数のコンタクト3A及び一対の取付金具2Aをインサート品として、インサート成形により形成されている。言い換えれば、一対の取付金具2Aは、ハウジング1Aに取り付けられている。複数のコンタクト3A及び一対の電源端子4Aのうちの半分は、上側の第1側壁121Aに一体に設けられている。また、複数のコンタクト3A及び一対の電源端子4Aのうちの残り半分は、下側の第1側壁121Aに一体に設けられている。つまり、ハウジング1Aは、複数のコンタクト3A及び一対の電源端子4を配列方向(左右方向)に並んだ状態で保持している。言い換えれば、一対の電源端子4Aは、ハウジング1Aに保持されている。
取付金具2Aは、例えば銅合金などの金属材料により形成されており、図13A、図13Bに示すように、主片50と、一対の第1側片51と、1つの第2側片52とを有している。なお、ここでは、一対の取付金具2Aのうち、ハウジング1Aの一端(左端)に取り付けられる取付金具2Aを例として説明するが、ハウジング1Aの他端(右端)に取り付けられる取付金具2Aも同様の構成である。
主片50は、ハウジング1Aの短手方向(上下方向)に長い板状に形成されている。一対の第1側片51は、いずれもハウジング1Aの厚さ方向(前後方向)に長い板状に形成されている。一対の第1側片51のうち一方(下方)の第1側片51は、主片50の長手方向の一端(下端)と一体に形成されており、その連結部位は湾曲している。また、一対の第1側片51のうち他方(上方)の第1側片51は、主片50の長手方向の他端(上端)と一体に形成されており、その連結部位は湾曲している。
また、一対の第1側片51の各々には、第1側片51の厚さ方向(上下方向)に沿った向きに突出する突部511が一体に形成されている。突部511は、コネクタ101に他コネクタ102を接続した状態で、第1取付部21の凹部232(後述する)に嵌まり込むように構成されている(図14A参照)。つまり、第1取付部21の凹部232及び取付金具2Aの突部511は、所定以上の力を加えることによりコネクタ101と他コネクタ102との接続状態を解除可能なロック機構を構成している。
第2側片52は、ハウジング1Aの短手方向(左右方向)に長い板状に形成されている。第2側片52は、主片50の短手方向(左右方向)の一端と一体に形成されており、その連結部位は湾曲している。また、第2側片52には、第2側片52の厚さ方向(左右方向)に沿った向きに突出する突部521が一体に形成されている。突部521は、コネクタ101に他コネクタ102を接続した状態で、第2取付部22の凹部232(後述する)に嵌まり込むように構成されている(図14B参照)。つまり、第2取付部22の凹部232及び取付金具2Aの突部521は、所定以上の力を加えることによりコネクタ101と他コネクタ102との接続状態を解除可能なロック機構を構成している。
コンタクト3Aは、信号伝送用の端子である。また、電源端子4Aは、電源と電気的に接続される端子である。コンタクト3A及び電源端子4Aは、いずれも帯状の金属板を折り曲げることにより形成されている。また、コンタクト3Aには、金めっきが施されている。コンタクト3Aは、図7、図8に示すように、接触片35と、垂下片36と、端子片37とを有しており、これらを一体に形成して構成されている。接触片35は、ハウジング1Aの厚さ方向(前後方向)に長い板状に形成されている。接触片35は、周壁12Aにおける嵌合凹部14Aとの対向面に配置されている。接触片35は、嵌合凹部14Aにコネクタ101のコンタクト3が挿入された状態で、コネクタ101のコンタクト3と接触するように構成されている。
また、接触片35には、嵌合凹部14Aから離れる向きに窪んだ窪み351が設けられている。窪み351は、コネクタ101のコンタクト3が嵌合凹部14に挿入された状態で、コネクタ101のコンタクト3の一部が嵌まり込むように構成されている。つまり、コネクタ101のコンタクト3及び接触片35の窪み351は、所定以上の力を加えることによりコネクタ101と他コネクタ102との接続状態を解除可能なロック機構を構成している。
垂下片36は、ハウジング1Aの厚さ方向(前後方向)に長い板状に形成されている。垂下片36は、第1側壁121Aの外側の面(上面又は下面)に沿って配置されている。垂下片36の一端(前端)は、逆U字状に湾曲しており、接触片35の第1端(前端)と一体に形成されている。また、垂下片36には、垂下片36の厚さ方向(上下方向)に沿って突出する突起361が一体に形成されている。突起361は、既に述べたように、コンタクト3の突起321に引っ掛かることでロック機構を構成する。
端子片37は、ハウジング1Aの短手方向(上下方向)に長い板状に形成されている。端子片37の第1端は、接触片35の第2端(後端)と一体に形成されている。また、端子片37の第2端は、ハウジング1Aの厚さ方向の一端側(後側)において、ハウジング1Aから露出している。端子片37の一面(後面)は、例えば半田付けにより基板に接合される接合面となる。
電源端子4Aは、図13A、図13Bに示すように、接触片41と、垂下片42と、端子片43とを有しており、これらを一体に形成して構成されている。接触片41、垂下片42、及び端子片43は、それぞれコンタクト3Aの接触片35、垂下片36、及び端子片37と同等の機能を有している。ただし、電源端子4Aでは、垂下片42は、突起361に相当する突起を有していない。また、電源端子4Aでは、端子片43の第1端(下端)は、接触片41ではなく、垂下片42の一端(後端)と一体に形成されている。
ここで、取付金具2Aは、図13A、図13Bに示すように、電源端子4Aと一体に構成されている。具体的には、取付金具2Aの一対の第1側片51のうち一方(上方)の第1側片51と、電源端子4Aの垂下片42とが、連結部53を介して一体に形成されている。そして、コネクタ101に他コネクタ102を接続した状態において、取付金具2Aは、取付金具2に接触する。言い換えれば、取付金具2は、複数のコンタクト3が複数のコンタクト3Aに電気的に接続された状態で、取付金具2Aに接触するようにハウジング1に取り付けられている。また、コネクタ101に他コネクタ102を接続した状態において、電源端子4Aは、電源端子4に接触する。言い換えれば、電源端子4は、複数のコンタクト3が複数のコンタクト3Aに電気的に接続された状態で、電源端子4Aに接触するようにハウジング1に保持されている。
(3)取付金具
以下、本実施形態の取付金具2について図1A〜図2Bを用いて詳細に説明する。以下の説明では、一対の取付金具2のうち、ハウジング1の一端(左端)に取り付けられる取付金具2を例として説明するが、ハウジング1の他端(右端)に取り付けられる取付金具2も同様の構成である。取付金具2は、例えば銅合金などの金属材料により形成されており、ハウジング1に取り付けられる取付部材20として、2つの第1取付部21と、1つの第2取付部22とを有している。本実施形態では、第1取付部21及び第2取付部22は、同じ材料により形成されている。また、本実施形態では、第1取付部21及び第2取付部22は、同じ厚さで形成されている。以下では、2つの第1取付部21を区別して説明する場合、2つの第1取付部21のうち一方の第1取付部21を「第1取付部21A」、他方の第1取付部21を「第1取付部21B」として説明する。
第1取付部21Aは、一対の第1側壁121のうち一方(下方)の第1側壁121の長手方向(左右方向)の一端部であって、複数のコンタクト3及び一対の電源端子4が配列されていない部位に取り付けられる。第1取付部21Bは、一対の第1側壁121のうち一方(上方)の第1側壁121の長手方向の一端部であって、複数のコンタクト3及び一対の電源端子4が配列されていない部位に取り付けられる。つまり、第1取付部21は、一対の第1側壁121のうち一方の第1側壁121における複数のコンタクト3が配列されていない部位の少なくとも一部を覆う。
第2取付部22は、一対の第2側壁122のうち一方(左方)の第2側壁122に取り付けられる。つまり、第2取付部22は、一対の第2側壁122のうち一方(左方)の第2側壁122の少なくとも一部を覆う。また、第2取付部22は、第1取付部21A,21Bのいずれとも一体に形成されていない。つまり、第2取付部22は、2つの第1取付部21のいずれとも分離している。
第1取付部21及び第2取付部22は、いずれも一対の保持片23を有している。一対の保持片23は、いずれもハウジング1の厚さ方向(前後方向)に長い板状に形成されている。第1取付部21Aにおいて、一対の保持片23は、厚さ方向(上下方向)に対向しており、下方の第1側壁121の厚さ方向(上下方向)に沿って下方の第1側壁121を挟むように構成されている。第1取付部21Bにおいて、一対の保持片23は、厚さ方向(上下方向)に対向しており、上方の第1側壁121の厚さ方向に沿って上方の第1側壁121を挟むように構成されている。第2取付部22において、一対の保持片23は、厚さ方向(左右方向)に対向しており、左方の第2側壁122の厚さ方向(左右方向)に沿って左方の第2側壁122を挟むように構成されている。つまり、一対の保持片23は、周壁12の厚さ方向に沿って周壁12を挟むように構成されている。
一対の保持片23の長手方向の一端(前端)同士は、逆U字状に湾曲した連結片24により連結されている。つまり、第1取付部21及び第2取付部22は、いずれも一対の保持片23を連結する連結片24を有している。連結片24は、取付部材20がハウジング1に取り付けられた状態で、第1側壁121の前端を跨ぐように構成されている。また、連結片24は、取付部材20がハウジング1に取り付けられた状態で、第2側壁122の前端を跨ぐように構成されている。
また、取付部材20がハウジング1に取り付けられた状態で、連結片24と第1側壁121の前端(又は第2側壁122の前端)との間には、隙間が形成される(図3参照)。つまり、第1取付部21は、取付部材20がハウジング1に取り付けられた状態で、連結片24とハウジング1との間に隙間を形成する空隙部26を有しているといえる。
連結片24は、傾斜部241を有している。傾斜部241は、連結片24の頂部から斜め後方に向かって傾斜している。言い換えれば、傾斜部241は、取付部材20がハウジング1に取り付けられた状態で、一対の保持片23のうち外側の保持片23から内側の保持片23に向かって底壁11に近づくように、底壁11に対して傾斜している。
第1取付部21において、一対の保持片23のうちの外側の保持片23の後端部は、接合面231を有している。言い換えれば、第1取付部21及び第2取付部22の少なくとも一方における、一対の保持片23の少なくとも一方の底壁11側の端部は、接合面231を有する。接合面231は、複数のコンタクト3が基板に接合された状態で、例えば半田付けにより基板に接合される。また、外側の保持片23の後端部の幅寸法(左右方向の寸法)は、外側の保持片23のうちの後端部を除いた他の部位の幅寸法よりも小さくなっている。つまり、一対の保持片23が並ぶ方向と交差する方向(ここでは、左右方向)における、底壁11側の端部の幅寸法は、一対の保持片23のうち底壁11側の端部を除いた部位の幅寸法よりも小さい。
また、第1取付部21において、一対の保持片23のうちの外側の保持片23は、延長片27と一体に形成されている。延長片27は、外側の保持片23の左端縁から左向きに延長されており、ハウジング1の長手方向(左右方向)に長い板状に形成されている。つまり、第1取付部21における一対の保持片23の少なくとも一方は、配列方向に延長された延長片27を有している。また、延長片27の後端縁の左側には、底片28が一体に形成されている。底片28は、延長片27の後端縁から湾曲し、かつ、底壁11に沿ってハウジング1の内側に向かう向きに延長されている。つまり、第1取付部21は、延長片27と連結しており、底壁11に沿って延長された底片28を有している。
第1取付部21において、底片28の一端縁(左端縁)には、接合部25が一体に形成されている。接合部25は、底片28の一端縁からハウジング1の長手方向(左右方向)に沿って突出しており、ハウジング1の外側に露出している。接合部25は、複数のコンタクト3が基板に接合された状態で、基板に接合される。また、第2取付部22も、第1取付部21と同様に、接合部25を有している。第2取付部22では、接合部25は、外側の保持片23の後端縁から湾曲し、かつ、底壁11に沿ってハウジング1の外側に露出するように延長されている。つまり、第1取付部21及び第2取付部22は、基板に接合される接合部25を有している。そして、接合部25は、配列方向に沿って周壁12から突出している。
そして、第2取付部22において、接合部25の幅寸法(上下方向の寸法)は、外側の保持片23のうちの接合部25を除いた他の部位の幅寸法よりも小さくなっている。つまり、配列方向と交差する方向(ここでは、上下方向)における、接合部25の幅寸法は、第2取付部22のうち接合部25を除いた部位の幅寸法よりも小さい。
底片28には、テーパ281が設けられている。テーパ281は、底片28のうち延長片27及び接合部25と連結されていない角部を三角形状に切り欠くようにして設けられている。つまり、底片28は、延長片27と接合部25とを連結している。そして、底片28のうち延長片27及び接合部25と連結されている部位以外の部位には、テーパ281が設けられている。
ここで、一対の保持片23のうちの内側の保持片23には、嵌合凹部14から離れる向きに窪んだ凹部232が設けられている。第1取付部21の凹部232は、既に述べたように、取付金具2Aの突部511が嵌まり込むことでロック機構を構成する。また、第2取付部22の凹部232は、既に述べたように、取付金具2Aの突部521が嵌まり込むことでロック機構を構成する。
(4)効果
以下、本実施形態の取付金具2の効果について、比較例の取付金具との対比を交えて説明する。比較例の取付金具は、本実施形態の取付金具2と同様に、2つの第1取付部と、1つの第2取付部とを有している。一方、比較例の取付金具では、2つの第1取付部と、1つの取付部とが一体に形成されている。つまり、比較例の取付金具では、2つの第1取付部と、1つの第2取付部とは分離していない。
ここで、コネクタを他コネクタに接続するとき、互いにずれた状態で接続した場合、又は接続した後に外部からコネクタ又は他コネクタに応力が加わった場合、取付金具にも応力が加わることがある。具体的には、第1取付部は、配列方向(左右方向)に沿った向きの応力を受けることがある。また、第2取付部は、配列方向と交差する方向(上下方向)に沿った向きの応力を受けることがある。取付金具に応力が加わると、取付金具が塑性変形する場合があり、取付金具の塑性変形によりハウジングにも応力が加わる可能性がある。このとき、ハウジングが例えば樹脂で形成されていれば、応力が加わることにより変形する可能性が生じる。
比較例の取付金具を有するコネクタでは、仮に第1取付部及び第2取付部の一方に応力が加わった場合、他方にも応力が伝わることで、第1取付部及び第2取付部の両方が塑性変形する可能性がある。これは、第1取付部及び第2取付部が一体に形成されているからである。この場合、ハウジングが応力を受け易くなることで、結果としてハウジングの強度が低下する可能性がある。
一方、本実施形態の取付金具2では、第1取付部21と第2取付部22とが分離している。このため、本実施形態では、仮に第1取付部21及び第2取付部22の一方に応力が加わった場合でも、他方に応力が伝わり難い。つまり、本実施形態の取付金具2では、第1取付部21及び第2取付部22の一方に応力が加わった場合に、一方の取付部が塑性変形するに留まり、他方の取付部が塑性変形し難い。このため、本実施形態の取付金具2では、比較例の取付金具と比較して、取付金具2が塑性変形し難く、ハウジング1が応力を受け難くなることで、結果としてハウジング1の強度を向上することができる。
また、本実施形態の取付金具2では、取付金具2をインサート品としてハウジング1をインサート成形する場合、比較例の取付金具と比較して寸法を調整し易いという利点がある。具体的には、取付金具2をインサート成形用の金型に挿入する際に、金型に挿入できるように第1取付部21及び第2取付部22の一方の寸法を調整しなければならない場合がある。この場合、比較例の取付金具では、第1取付部及び第2取付部が一体に形成されているため、第1取付部及び第2取付部の一方の寸法を調整すべく変形すると、変形による応力が他方にも伝わり、他方も変形する可能性がある。このため、比較例の取付金具では、寸法の調整を行い難い。
一方、本実施形態の取付金具2では、第1取付部21と第2取付部22とが分離しているため、第1取付部21及び第2取付部22の一方の寸法を調整すべく変形しても、変形による応力が他方に伝わり難く、他方は変形し難い。このため、本実施形態の取付金具2は、比較例の取付金具と比較して、寸法の調整を行い易い。
つまり、本実施形態の取付金具2を用いたコネクタ101は、比較例の取付金具を用いたコネクタと比較して、安定的に生産することが可能であり、結果として生産性を向上することができる。
(5)変形例
ところで、本実施形態のように、第1取付部21及び第2取付部22は、例えば銅合金などの同一の材料により形成されているのが好ましい。また、本実施形態のように、第1取付部21及び第2取付部22は、同じ厚さで形成されているのが好ましい。上記いずれの構成でも、第1取付部21及び第2取付部22の線膨張係数を略等しくすることができる。また、上記いずれの構成でも、リフロー方式の半田付けを行う工程において、第1取付部21及び第2取付部22に伝わる熱の均一化を図ることができる。したがって、上記いずれの構成でも、リフロー方式の半田付けを行う工程において、取付金具2の反りといった変形が生じ難くなる。
更に、第1取付部21及び第2取付部22を同一の材料で形成する場合は、同一のキャリアから第1取付部21及び第2取付部22を生産することが可能になるので、材料費及び部品点数の削減を図ることができる。
もちろん、第1取付部21及び第2取付部22は、互いに異なる材料により形成されていてもよい。また、第1取付部21及び第2取付部22は、互いに異なる厚さで形成されていてもよい。
また、本実施形態では、連結片24は、逆U字状に湾曲して形成されているが、連結片24の形状を限定する趣旨ではない。例えば、連結片24は、後端側が開放されたコ字状に形成されていてもよい。
また、本実施形態の取付金具2は、2つの第1取付部21と、1つの第2取付部22とで構成されているが、これに限定する趣旨ではない。例えば、取付金具2は、1つの第1取付部21と、1つの第2取付部22とで構成されていてもよい。その他、取付金具2は、2つの第1取付部21のうち一方の第1取付部21だけが第2取付部22と分離しており、他方の第1取付部21は第2取付部22と一体に形成されていてもよい。
また、本実施形態の取付金具2及び他コネクタ側取付金具2Aは、それぞれ凹部232及び突部511,521を有しているが、これに限定する趣旨ではない。つまり、取付金具2及び他コネクタ側取付金具2Aは、それぞれ凹部232及び突部511,521を有していなくてもよい。言い換えれば、接続装置100は、ロック機構を有していなくてもよい。接続装置100がロック機構を有している場合、コネクタ101と他コネクタ102との接続強度を向上することができる。
また、本実施形態では、コネクタ101はソケットであるが、これに限定する趣旨ではない。例えば、コネクタ101は、ヘッダであってもよい。つまり、取付金具2が取り付けられるコネクタ101は、ソケット及びヘッダのうち、互いに接続したときに周壁12(又は周壁12A)が外側に位置するコネクタであるのが好ましい。この場合、周壁12は、コネクタ101のうち最も外側にある壁であることから、他コネクタ102がコネクタ101に対する正規な位置からずれることによる内側から外側へ向かう力を受け易いからである。また、この場合、周壁12は、他の基板や治具などのコネクタ101及び他コネクタ102とは異なる第三者が接触することによる外側から内側へ向かう力も受け易いからである。
以上述べたように、第1の態様の取付金具2は、コネクタ101のハウジング1に取り付けられる取付部材20を備える。ハウジング1は、底壁11と、底壁11の周囲を囲む周壁12とを有する。周壁12は、一対の第1側壁121と、一対の第2側壁122とで構成される。一対の第1側壁121は、それぞれ複数のコンタクト3を配列方向に並んだ状態で保持する。一対の第2側壁122は、それぞれ一対の第1側壁121の端部同士を連結する。取付部材20は、第1取付部21と、第2取付部22とを有する。第1取付部21は、一対の第1側壁121のうち一方の第1側壁121における複数のコンタクト3が配列されていない部位の少なくとも一部を覆う。第2取付部22は、第1取付部21と分離しており、一対の第2側壁122のうち少なくとも一方の第2側壁122の少なくとも一部を覆う。
この構成によると、仮に第1取付部21及び第2取付部22の一方に応力が加わった場合でも、他方に応力が伝わり難いことから、取付金具2が塑性変形し難く、ハウジング1が応力を受け難くなることで、ハウジング1の強度の向上を図ることができる。
また、第2の態様の取付金具2では、第1の態様において、第1取付部21及び第2取付部22の少なくとも一方は、基板に接合される接合部25を更に有する。
この構成によると、取付金具2を基板に接合する際に、半田付けにより接合部25を基板に接合することができる。このため、この構成では、接合部25を有さない場合と比較して、取付金具2の強度を向上することができ、結果としてハウジング1の強度を更に向上することができる。本実施形態では、第1取付部21及び第2取付部22の各々が接合部25を有しているが、第1取付部21及び第2取付部22のいずれか一方だけが接合部25を有していてもよい。また、第1取付部21及び第2取付部22は、いずれも接合部25を有していなくてもよい。
また、第3の態様の取付金具2では、第2の態様において、第2取付部22は、接合部25を有している。配列方向と交差する方向において、接合部25の幅寸法は、第2取付部22のうち接合部25を除いた部位の幅寸法よりも小さい。
この構成によると、接合部25に半田が留まり易くなる。このため、この構成では、半田付けにより取付金具2を基板に接合するときに、他の接合部25との間にブリッジが生じ難い。
また、この構成によると、半田付けにより取付金具2を基板に接合するときのセルフアライメントの効果を向上することができる。つまり、半田が溶融したときに、半田が表面張力で引っ張られることにより、基板上の導体に対して接合部25がずれた状態で配置されていても、導体の先端に接合部25が寄るため、実装精度を向上することができる。ただし、この構成は必須ではなく、接合部25の幅寸法は、第2取付部22のうち接合部25を除いた部位の幅寸法と等しくてもよい。
また、第4の態様の取付金具2では、第2又は第3の態様において、接合部25は、配列方向に沿って周壁12から突出する。
この構成によると、接合部25を基板に実装するときのセルフアライメントの効果を向上することができる。ここで、半田付けにより複数のコンタクト3を基板に実装するときに、セルフアライメントの効果は、コンタクト3の配列方向(左右方向)では十分に得られるが、コンタクト3の突出方向(上下方向)では得られ難い。つまり、コネクタ101の短手方向(上下方向)においては、コンタクト3を基板に半田付けすることによるセルフアライメントの効果が得られ難い。
そこで、この構成では、接合部25をコンタクト3の配列方向に沿って突出することにより、接合部25を基板に実装するときのセルフアライメントの効果を大きくしている。つまり、この構成では、半田付けにより接合部25を基板に実装するときに、接合部25の配列方向(上下方向)、つまりコネクタ101の短手方向におけるセルフアライメントの効果を向上することができる。
また、この構成によると、第1取付部21及び第2取付部22の両方が接合部25を有している場合、接合部25の先端が揃い易いので、接合部25を纏めて1回の工程でキャリアから切断することができる。このため、この構成では、取付金具2の生産工程の単純化を図ることができるので、寸法公差の小さい取付金具2を安定的に生産可能であり、生産性を向上することができる。ただし、この構成は必須ではなく、接合部25は配列方向に沿って周壁12から突出していなくてもよい。
また、第5の態様の取付金具2では、第1〜第4のいずれかの態様において、第1取付部21及び第2取付部22の少なくとも一方は、一対の保持片23と、連結片24とを有する。一対の保持片23は、周壁12の厚さ方向に沿って周壁12を挟む。連結片24は、一対の保持片23の端部同士を連結する。
この構成によると、例えば第1取付部21が一対の保持片23及び連結片24を有していれば、第1取付部21は、前方、右方、左方の少なくとも3方向からの応力を受けることができる。また、例えば第2取付部22が一対の保持片23及び連結片24を有していれば、第2取付部22は、前方、上方、下方の少なくとも3方向からの応力を受けることができる。このため、この構成では、取付金具2が応力を受け易くなり、ハウジング1が応力を受け難くなるため、ハウジング1の強度を更に向上することができる。ただし、この構成は必須ではなく、第1取付部21及び第2取付部22は、いずれも1方向又は2方向からの応力を受ける構成であってもよい。
また、第6の態様の取付金具2では、第5の態様において、第1取付部21及び第2取付部22の少なくとも一方は、空隙部26を有する。空隙部26は、取付部材20がハウジング1に取り付けられた状態で連結片24とハウジング1との間に隙間を形成する。
この構成によると、取付金具2(特に、連結片24)が弾性変形する余裕があることから、取付金具2が塑性変形し難くなる。このため、この構成では、取付金具2が応力を受け易くなり、ハウジング1が応力を受け難くなるため、ハウジング1の強度を更に向上することができる。ただし、この構成は必須ではなく、第1取付部21及び第2取付部22は、いずれも空隙部26を有していなくてもよい。空隙部26は、圧入により取付金具2をハウジング1に取り付ける場合に形成し易い。
また、第7の態様の取付金具2では、第5又は第6の態様において、連結片24は、傾斜部241を有する。傾斜部241は、一対の保持片23のうち外側の保持片23から内側の保持片23に向かって底壁11に近づくように、底壁11に対して傾斜する。
この構成によると、コネクタ101に他コネクタ102を接続するときに、コネクタ101に対して他コネクタ102が多少ずれた状態であっても、傾斜部241により他コネクタ102が案内される。したがって、この構成では、コネクタ101に他コネクタ102を接続し易い。ただし、この構成は必須ではなく、連結片24は傾斜部241を有していなくてもよい。
また、第8の態様の取付金具2では、第5〜第7のいずれかの態様において、第1取付部21における一対の保持片23の少なくとも一方は、配列方向に延長された延長片27を有する。
この構成によると、延長片27を有する保持片23が応力を受けた場合に、保持片23だけでなく延長片27でも応力を受けることができるので、保持片23の強度を向上することができる。このため、この構成では、取付金具2が塑性変形し難くなることから、ハウジング1に応力が加わり難くなり、ハウジング1の強度を更に向上することができる。ただし、この構成は必須ではなく、第1取付部21における一対の保持片23は、いずれも延長片27を有していなくてもよい。
また、第9の態様の取付金具2は、第8の態様において、底片28を更に有する。底片28は、延長片27と連結しており、底壁11に沿って延長されている。
この構成によると、取付金具2は、一対の保持片23及び連結片24によって3方向からの応力を受けることができるだけでなく、更に底片28によって4方向からの応力を受けることができる。このため、この構成では、取付金具2が応力を受け易くなり、ハウジング1に応力が加わり難くなるため、ハウジング1の強度を更に向上することができる。ただし、この構成は必須ではなく、取付金具2は底片28を有していなくてもよい。
また、第10の態様の取付金具2では、第9の態様において、第1取付部21は、基板に接合される接合部25を更に有する。底片28は、延長片27と接合部25とを連結している。底片28のうち延長片27及び接合部25と連結されている部位以外の部位には、テーパ281が設けられている。
この構成によると、半田付けにより接合部25を基板に接合するときに、半田が接合部25から底片28へと流れ難くなり、接合部25に半田を留め易い。このため、この構成では、接合部25の実装精度を向上することができる。ただし、この構成は必須ではなく、底片28にはテーパ281が設けられていなくてもよい。
また、第11の態様の取付金具2では、第5〜第9のいずれかの態様において、一対の保持片23の少なくとも一方は、複数のコンタクト3が基板に接合された状態で、少なくとも連結片24の弾性変形時に基板に接するように構成されている。
この構成によると、取付金具2が基板に向かう向き(後向き)の応力を受けた場合、一対の保持片23が基板に接することにより、基板でも応力を受けることが可能になる。このため、この構成では、取付金具2が塑性変形し難くなり、ハウジング1に応力が加わり難くなるので、ハウジング1の強度を更に向上することができる。ただし、この構成は必須ではなく、連結片24の弾性変形時に一対の保持片23が基板に接しなくてもよい。
また、第12の態様の取付金具2では、第5〜第11のいずれかの態様において、第1取付部21及び第2取付部22の少なくとも一方における、一対の保持片23の少なくとも一方の底壁11側の端部は、接合面231を有する。接合面231は、複数のコンタクト3が基板に接合された状態で基板に接合される。
この構成によると、一対の保持片23を基板に接合することができるので、一対の保持片23に加わる応力を基板に伝えることで、基板でも応力を受けることが可能になるので、一対の保持片23の強度を向上することができる。ただし、この構成は必須ではなく、第1取付部21の一対の保持片23及び第2取付部22の一対の保持片23は、いずれも接合面231を有していなくてもよい。
また、第13の態様の取付金具2では、第12の態様において、第2取付部22の一対の保持片23の少なくとも一方の底壁11側の端部は、接合面231を有している。第2取付部22では、一対の保持片23が並ぶ方向と交差する方向における、底壁11側の端部の幅寸法は、一対の保持片23のうち底壁11側の端部を除いた部位の幅寸法よりも小さい。
この構成によると、接合面231に半田が留まり易くなるので、隣接するコンタクト3との間でブリッジが生じ難い。また、この構成では、保持片23の底壁11側の端部と、隣接するコンタクト3との間の絶縁距離を確保し易くなる。ただし、この構成は必須ではなく、底壁11側の端部の幅寸法は、保持片23のうち底壁11側の端部を除いた部位の幅寸法と等しくてもよい。
また、第14の態様のコネクタ101は、第1〜第13のいずれかの態様の取付金具2と、取付金具2が取り付けられるハウジング1と、一対の第1側壁121の各々に保持される複数のコンタクト3とを備える。
この構成によると、ハウジング1の強度の向上を図ることのできるコネクタ101を実現することができる。
また、第15の態様のコネクタ101は、第14の態様において、電源端子4を更に有する。電源端子4は、配列方向において複数のコンタクト3と並ぶようにハウジング1に保持され、電源と電気的に接続される。電源端子4は、第1取付部21、電源端子4、複数のコンタクト3の順に並ぶようにハウジング1に保持されている。
この構成によると、取付金具2によるハウジング1の強度を向上する効果を受け易い位置に電源端子4が配置されるため、電源端子4に応力が加わり難く、電源端子4の基板上の導体との接触信頼性を向上することができる。ただし、この構成は必須ではなく、電源端子4は、第1取付部21と複数のコンタクト3との間に配置されていなくてもよい。
また、第16の態様のコネクタ101では、第15の態様において、複数のコンタクト3は、電源端子4を2つ含んでいる。2つの電源端子4は、平面視でハウジング1の中心に対して点対称となるようにハウジング1に保持されている。
この構成によると、2つの電源端子4を片側(上側又は下側)に寄せた場合と比較して、取付金具2が受ける応力が偏り難い。ただし、この構成は必須ではなく、2つの電源端子4は、平面視でハウジング1の中心に対して点対称に配置されていなくてもよい。
また、第17の態様のコネクタ101では、第15又は第16の態様において、配列方向から見て、電源端子4の断面は、複数のコンタクト3の各々の断面と同一である。
この構成によると、コネクタ101が固定されている状態で他コネクタ102をコネクタ101に接続するときに、他コネクタ102が電源端子4及びコンタクト3に略同時に接触し始めるので、他コネクタ102の水平バランス(前後方向のバランス)が崩れ難い。このため、この構成では、他コネクタ102をコネクタ101に接続し易く、また、他コネクタ102がコネクタ101から外れ難い。ただし、この構成は必須ではなく、電源端子4の断面は、複数のコンタクト3の各々の断面とは異なる形状であってもよい。
また、第18の態様のコネクタ101では、第15〜第17のいずれかの態様において、複数のコンタクト3は、他コネクタ102の有する複数の他コネクタ側コンタクト3Aに電気的に接続されるように構成されている。他コネクタ102は、他コネクタ側ハウジング1Aと、他コネクタ側電源端子4Aと、他コネクタ側取付金具2Aとを備える。他コネクタ側電源端子4Aは、他コネクタ側ハウジング1Aに保持されて電源端子4に電気的に接続される。他コネクタ側取付金具2Aは、他コネクタ側電源端子4Aと一体に構成され、他コネクタ側ハウジング1Aに取り付けられる。取付金具2は、複数のコンタクト3が複数の他コネクタ側コンタクト3Aに電気的に接続された状態で、他コネクタ側取付金具2Aに接触するようにハウジング1に取り付けられる。電源端子4は、複数のコンタクト3が複数の他コネクタ側コンタクト3Aに電気的に接続された状態で、他コネクタ側電源端子4Aに接触するようにハウジング1に保持される。
この構成によると、電源端子4と他コネクタ側電源端子4Aとの接触信頼性を確保しつつ、他コネクタ側取付金具2Aと電気的に接続されることにより、電源端子4の導体抵抗を小さくすることができる。また、この構成では、取付金具2が他コネクタ側取付金具2Aと接触することにより、取付金具2の放熱効果を向上することができる。ただし、この構成は必須ではなく、他コネクタ側取付金具2Aと他コネクタ側電源端子4Aとが一体に構成されていなくてもよい。
また、第19の態様のコネクタ101では、第14〜第18のいずれかの態様において、ハウジング1は、取付金具2をインサート品としてインサート成形されている。
この構成によると、圧入により取付金具2をハウジング1に取り付ける場合と比較して、取付金具2が応力を受け易くなり、ハウジング1の強度を更に向上することができる。ただし、この構成は必須ではなく、取付金具2は、圧入によりハウジング1に取り付けられてもよい。
また、第20の態様の接続装置100は、第14〜第19のいずれかの態様のコネクタ101と、他コネクタ102とを備える。他コネクタ102は、複数のコンタクト3に電気的に接続される複数の他コネクタ側コンタクト3Aを有する。
この構成によると、ハウジング1の強度の向上を図ることのできる接続装置100を実現することができる。
以上、実施形態に係る取付金具2、コネクタ101、及び接続装置100について説明した。ただし、以上に説明した実施形態は、本発明の様々な実施形態の一つに過ぎない。上記の実施形態は、本発明の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。