以下に、図面を参照して本実施形態のルート管理システムについて説明する。図1は、ルート管理システムを説明する図である。
本実施形態のルート管理システム100は、ルート管理サーバ200と、配送者等の車両Tに搭載されるカーナビゲーション装置(以下、ナビゲーション装置)300とを含む。ルート管理サーバ200と、ナビゲーション装置300とは、例えば、基地局400を介して無線による通信を行う。
また、本実施形態の車両Tは、例えば、ディーゼルエンジンを搭載したトラック等である。車両Tは、ディーゼルエンジンから排出される、カーボンを主成分とする粒子状物質を排出するためのディーゼルパーティキュレットフィルタを備えている。以下の説明では、粒子状物質をPM(Particulate Matter)と呼ぶ。また、以下の説明では、ディーゼルパーティキュレットフィルタを、DPF(Diesel particulate filter)と呼ぶ。
本実施形態の車両Tは、DPFに堆積されたPMの量を検出し、検出されたPMの量を、ナビゲーション装置300へ通知する。
また、車両Tは、DPFに堆積したPMをクリーニングするための排気浄化装置500を有している。排気浄化装置500は、DPFに捕獲されたPMを燃焼除去することで、DPFをクリーニングして再生させる。
尚、クリーニングとは、DPFによって捕集したPMを燃焼除去し、DPFの捕集性能を再生させることをいう。また、DPFの再生には、連続再生と強制再生が含まれる。以下の本実施形態では、「クリーニング」とは、強制再生を示すものとし、強制再生の回数を低減させるように、走行ルートを提示するものとした。
強制再生とは、ポスト噴射や排気管内噴射等を利用して、DPFに捕集されたPMを強制的に再生することをいう。連続再生とは、例えば、排気ガス中のNOを酸化触媒でNO2とし、これを酸化剤として、DPFに捕集されたPMを連続的に再生することをいう。
本実施形態のルート管理システム100において、ルート管理サーバ200は、ナビゲーション装置300から、目的地までの走行ルートの候補と、検出されたPMの量と、を受け取る。次に、ルート管理サーバ200は、走行ルートの候補毎に、目的地に到着するまでに堆積されるPMの推定量を算出する。
そして、ルート管理サーバ200は、検出されたPMの量及びPMの推定量の合計から、目的地に到着するまでに、車両Tにおいてクリーニング(強制再生)が行われるか否かを判定する。
言い換えれば、本実施形態のルート管理サーバ200は、車両Tが候補として挙げられた走行ルートを走行することにより、現在の車両TのDPFに堆積されたPMの量がどの程度まで増加するかを推定する。そして、ルート管理サーバ200は、推定結果に基づき、目的地に到着するまでに、車両Tにおいてクリーニング(強制再生)が行われるか否かを判定する。
そして、ルート管理サーバ200は、DPFのクリーニングが必要となる場合には、その回数を低減させる走行ルートをナビゲーション装置に表示させる。
尚、以下の説明では、DPFに堆積されたPMの量をPM堆積量と呼ぶ。また、以下の説明では、ルート管理サーバ200により推定された、走行ルートを走行することにより堆積されると推定されるPMの堆積量を、推定PM堆積量と呼ぶ。
以上のように、本実施形態では、車両Tにおいて検出されたPM堆積量と、走行ルートを走行したことにより堆積すると推定されるPM堆積量との合計である推定PM堆積量に基づき、クリーニング回数の少ない走行ルートを車両Tの運転者に提示する。
以下に、図2を参照して、本実施形態のルート管理システム100のシステム構成について説明する。図2は、ルート管理システムのシステム構成について説明する図である。
本実施形態のルート管理システム100は、ルート管理サーバ200と、ナビゲーション装置300とを含む。
ナビゲーション装置300は、車両Tに固定されたものであっても良いし、携帯端末等により実現される携帯型のナビゲーション装置であっても良い。また、ナビゲーション装置300は、車両Tに設けられた排気浄化装置500において検出されたPM堆積量を取得するものである。
ナビゲーション装置300は、例えば、運転者を識別する運転者ID、車両を識別する識別子、出発地、目的地等と共にナビゲーションの開始要求が入力されると、走行ルートの候補を抽出する。そして、ナビゲーション装置300は、開始要求と共に入力された情報、走行ルートの候補及び自機が搭載された車両のPM堆積量をルート管理サーバ200へ通知する。
本実施形態のルート管理サーバ200は、運転パターンデータベース210、車両データベース220、積荷データベース230、渋滞データベース240、基準堆積量データベース250、ルート管理処理部260を有する。
本実施形態の運転パターンデータベース210は、運転者毎の運転パターンを示す情報が格納されている。言い換えれば、運転パターンデータベース210は、運転者毎のDPFにおけるPMの堆積のしやすさを示す情報が格納されている。
本実施形態の車両データベース220は、車両毎のDPFにおけるPMの堆積のしやすさを示す情報が格納されている。本実施形態の積荷データベース230は、積荷毎のDPFにおけるPMの堆積のしやすさを示す情報が格納されている。渋滞データベース240は、渋滞の程度毎のDPFにおけるPMの堆積のしやすさを示す情報が格納されている。
基準堆積量データベース250は、道路毎のPM堆積量の基準値を示す情報が格納されている。上述した各データベースの詳細は後述する。
ルート管理処理部260は、ナビゲーション装置300から取得した、運転者や車両を識別する情報、走行ルートの候補、PM堆積量と等に基づき、走行ルート毎の推定PM堆積量を算出する。そして、ルート管理処理部260は、推定PM堆積量に基づき、車両Tが目的地に到達する前に強制再生が行われるか否かを判定し、強制再生が行われると判定された場合には、他の走行ルートをナビゲーション装置300に表示させる。
以下に、本実施形態のルート管理サーバ200について、さらに説明する。図3は、ルート管理サーバのハードウェア装置の一例を示す図である。
本実施形態のルート管理サーバ200は、それぞれバスBで相互に接続されている入力装置21、出力装置22、ドライブ装置23、補助記憶装置24、メモリ装置25、演算処理装置26及びインターフェース装置27を含む。
入力装置21は、各種の情報を入力するためものであり、例えばキーボードやマウス等で実現される。出力装置22は、各種の情報を出力するためのものであり、例えばディスプレイ等により実現される。インターフェース装置27は、モデム、LANカード等を含み、ネットワークに接続する為に用いられる。
ルート管理プログラムは、ルート管理サーバ200を制御する各種プログラムの少なくとも一部である。ルート管理プログラムは例えば記憶媒体28の配布やネットワークからのダウンロードなどによって提供される。ルート管理プログラムを記録した記憶媒体28は、CD−ROM、フレキシブルディスク、光磁気ディスク等の様に情報を光学的、電気的或いは磁気的に記録する記憶媒体、ROM、フラッシュメモリ等の様に情報を電気的に記録する半導体メモリ等、様々なタイプの記憶媒体を用いることができる。
また、ルート管理プログラムは、ルート管理プログラムを記録した記憶媒体28がドライブ装置23にセットされると、記憶媒体28からドライブ装置23を介して補助記憶装置24にインストールされる。ネットワークからダウンロードされたルート管理プログラムは、インターフェース装置27を介して補助記憶装置24にインストールされる。
補助記憶装置24は、インストールされたルート管理プログラムを格納すると共に、必要なファイル、データ等を格納する。メモリ装置25は、コンピュータの起動時に補助記憶装置24からルート管理プログラムを読み出して格納する。そして、演算処理装置26はメモリ装置25に格納されたルート管理プログラムに従って、後述するような各種処理を実現している。
また、本実施形態のナビゲーション装置300は、図3に示すルート管理サーバ200と同様のハードウェア構成を有するコンピュータにより実現されるため、説明を省略する。
次に、図4乃至図8を参照して、ルート管理サーバ200の有する各データベースについて説明する。以下に説明する各データベースは、例えばルート管理サーバ200の補助記憶装置24内に設けられていても良いし、ルート管理サーバ200の外部の記憶装置に格納されていても良い。
図4は、運転パターンデータベースの一例を示す図である。本実施形態の運転パターンデータベース210は、情報の項目として、運転者IDと、運転パターンとを有し、両者は対応付けられている。以下の説明は、項目「運転者ID」の値と、項目「運転パターン」の値とを含む情報を、運転パターン情報と呼ぶ。
項目「運転者ID」の値は、車両を運転する運転者を識別するための識別子であり、運転者毎に割り振られる。
項目「運転パターン」の値は、さらに3つの項目と対応付けられている。項目「運転パターン」と対応付けられた項目は、道路の形状を示す項目であり、図4の例では、「直線」、「緩やかなカーブ」、「急なカーブ」としている。ここで、「緩やかなカーブ」と「急なカーブ」とは、例えば道路のカーブ半径に閾値を設け、カーブ半径が閾値以下のカーブを急なカーブとし、カーブ半径が閾値より大きいカーブを緩やかなカーブとしても良い。
また、図4の例では、道路の形状を示す項目を3つとしているが、これに限定されない。道路の形状を示す項目は、上述した3つの項目以外の項目が設けられていても良い。
項目「運転パターン」及び項目「直線」の値は、運転者IDが示す運転者が、車両を運転して直線道路を走行した際の、DPFにおけるPMの堆積のしやすさを示す指標値である。項目「運転パターン」及び項目「緩やかなカーブ」の値は、運転者IDが示す運転者が、車両を運転して緩やかなカーブの道路を走行した際の、DPFにおけるPMの堆積のしやすさを示す指標値である。項目「運転パターン」及び項目「急なカーブ」の値は、運転者IDが示す運転者が、車両を運転して急なカーブの道路を走行した際の、DPFにおけるPMの堆積のしやすさを示す指標値である。
ここで、本実施形態のDPFにおけるPMの堆積のしやすさについて説明する。本実施形態のルート管理サーバ200は、運転者ID毎の走行履歴とPM堆積量を収集しており、この走行履歴とPM堆積量の履歴とから、運転パターンデータベース210を生成している。
そして、この走行履歴と、PM堆積量の履歴とから、項目「運転パターン」と対応付けられた3つの項目について、基準となるPM堆積量を予め算出しておく。
ルート管理サーバ200は、例えば、運転者ID毎の走行履歴と、PM堆積量から、道路において所定の直線の区間を走行した場合の、運転者ID毎のPM堆積量の平均値を、直線道路のPM堆積量の基準値とする。また、ルート管理サーバ200は、道路において所定の緩やかなカーブの区間を走行した場合の、運転者ID毎のPM堆積量の平均値を、緩やかなカーブ道路のPM堆積量の基準値とする。また、道路において所定の急なカーブの区間を走行した場合の、運転者ID毎のPM堆積量の平均値を、急なカーブのPM堆積量の基準値とする。
次に、ルート管理サーバ200は、各運転者IDの走行履歴とPM堆積量から、基準値となるPM堆積量を1としたときの、所定の直線道路におけるPM堆積量の割合を算出する。この割合が、各運転者IDが示す運転者が車両を運転して直線道路を走行した際の、PMの堆積のしやすさを示す指標値となる。
緩やかなカーブ、急なカーブを走行した際のPMの堆積のしやすさも、同様にして求められる。
図4では、運転者ID「1」と対応する運転パターンのうち、「直線」と対応する値は0.9であり、「緩やかなカーブ」の値は1.2であり、「急なカーブ」の値は0.8である。
よって、運転者ID「1」が示す運転者が車両を運転して直線道路を走行した場合には、PM堆積量は基準値より小さい値となる傾向があり、緩やかなカーブや急なカーブを走行した場合には、PM堆積量が基準値よれも大きい値となる傾向があることがわかる。
本実施形態の運転パターンデータベース210は、例えばルート管理システム100の管理者等により、予め作成されて、ルート管理サーバ200に格納されていても良い。
図5は、車両データベースの一例を示す図である。本実施形態の車両データベース220は、情報の項目として、車両IDと、PMの堆積のしやすさとを有し、両者は対応付けせられている。項目「車両ID」の値は、車両を特定する識別子を示す。項目「PMの堆積のしやすさ」の値は、車両毎のPMの堆積のしやすさを示す。以下の説明では、項目「車両ID」の値と、項目「PMの堆積のしやすさ」の値と、を含む情報を車両情報と呼ぶ。
車両データベース220における項目「PMの堆積のしやすさ」の値は、例えば、車両の重量や総排気量等に基づき、予め与えられていても良い。また、本実施形態では、項目「PMの堆積のしやすさ」は、1.0を基準値としている。
例えば、車両の重量や総排気量等から、特定の車種の車両が、項目「PMの堆積のしやすさ」の基準となる車両とされた場合には、この車両の項目「PMの堆積のしやすさ」かが1.0となる。
図5では、車両ID「100」の車両は、項目「PMの堆積のしやすさ」の値が「1.5」である。よって、車両ID「100」の車両は、基準となる車両よりもPMが堆積しやすい車両であることがわかる。
本実施形態の車両データベース220は、本実施形態のルート管理システムの管理者等により、予め作成されて、ルート管理サーバ200に格納されていても良い。
図6は、積荷データベースの一例を示す図である。本実施形態の積荷データベース230は、情報の項目として、積荷ID、重量、PMの堆積のしやすさを有する。積荷データベース230では、項目「積荷ID」と、その他の項目とが対応付けられており、項目「積荷ID」の値と、その他の項目の値とを含む情報を積荷情報と呼ぶ。
項目「積荷ID」の値は、積荷を識別するための識別子であり、積荷毎に付与される。項目「重量」の値は、積荷IDが示す積荷の重量を示す。項目「PMの堆積のしやすさ」の値は、積荷毎のPMの堆積のしやすさを示す。
積荷データベース230における項目「PMの堆積のしやすさ」の値は、基準となる重量と、積荷の重量とに基づき、決められても良い。
例えば、重量が10Kgの積荷を車両に搭載したことにより、DPFに堆積されるPM堆積量を基準値とし、このときの項目「PMの堆積のしやすさ」の値を1.0としたとする。この場合、例えば、基準値に対する、他の積荷を車両に搭載したことによりDPFに堆積されるPM堆積量の割合を示す値が、他の積荷の項目「PMの堆積のしやすさ」の値となる。
図6の例では、積荷ID「10」であり、重量が「50Kg」の積荷のPMの堆積のしやすさは、「1.5」であり、車両において、基準とされる積荷が搭載される場合よりもPMが堆積しやすくなる傾向があることがわかる。
積荷データベース230は、例えば車両に積荷を載せる際に、積荷IDと重量とが格納されても良い。また、本実施形態では、例えば、積荷IDと重量とが格納されると、基準となる積荷の重量との関係から、項目「PMの堆積のしやすさ」の値が算出されても良い。
図7は、渋滞データベースの一例を示す図である。本実施形態の渋滞データベース240は、情報の項目として、区間、PMの堆積のしやすさを有し、両者は対応付けられている。以下の説明では、項目「区間」の値と、項目「PMの堆積のしやすさ」の値とを含む情報を渋滞情報と呼ぶ。
項目「区間」の値は、道路の区間を特定する値である。通常、カーナビゲーション装置等に提供される道路情報では、道路を複数の区間として管理されている。項目「区間」の値は、この区間を示す。具体的には、項目「区間」の値は、区間の始点と終点の位置情報Pを示す。図7では、例えば区間「P1,P2」は、始点を地点P1とし、終点を地点P2とする区間を示している。尚、位置情報は、緯度と経度により示されても良い。
項目「PMの堆積のしやすさ」は、さらに3つの項目と対応付けられている。項目「PMの堆積のしやすさ」と対応付けられた項目は、道路の渋滞の状態を示す項目であり、図7の例では、「渋滞なし」、「軽い渋滞」、「大渋滞」としている。ここで、「渋滞なし」とは、例えば、車両が所定の速度以上で走行可能な状態を示す。「軽い渋滞」とは、例えば、車両が所定の時速以下で低速走行あるいは停止発進を繰り返す車列が、1Km以上かつ15分以上継続した状態を示す。「大渋滞」とは、例えば、車両が所定の時速以下で低速走行あるいは停止発進を繰り返す車列が20Km以上となった状態を示す。
本実施形態では、区間毎に、渋滞なしの場合に車両が走行した場合のPM堆積量を基準値とし、このときの項目「PMの堆積のしやすさ」の値を1.0としている。また、本実施形態では、項目「軽い渋滞」の値は、区間毎に、基準値に対する、軽い渋滞の場合に車両が走行した場合のPM堆積量の割合を示している。また、本実施形態では、項目「大渋滞」の値は、区間毎に、基準値に対する、大渋滞の場合に車両が走行した場合のPM堆積量の割合を示している。
図7では、区間「P1,P2」では、軽い渋滞においては、項目「PMの堆積のしやすさ」の値は1.1となり、大渋滞においては、項目「PMの堆積のしやすさ」の値は1.3となることがわかる。
本実施形態の渋滞データベース240は、本実施形態のルート管理システム100の管理者等により、予め作成されてルート管理サーバ200に格納されていても良い。
図8は、基準堆積量データベースの一例を示す図である。本実施形態の基準堆積量データベース250は、情報の項目として、区間と基準堆積量とを有し、両者は対応付けられている。以下の説明では、項目「区間」の値と、項目「基準堆積量」の値とを含む情報を、基準堆積情報と呼ぶ。
項目「基準堆積量」の値は、対応する区間を車両で走行した場合のPM堆積量の基準値を示す。このとき、対応する区間を走行する車両は、車両データベース220を生成する際に基準とされた車両とすることが好ましい。また、区間が示す道路は、渋滞なしであることが好ましい。
尚、区間毎の基準堆積量は、ルート管理サーバ200が収集している全ての運転者毎の走行履歴における区間毎のPM堆積量の平均値等としても良い。
本実施形態の基準堆積量データベース250は、例えば、本実施形態のルート管理システム100の管理者等により、予め格納されていても良い。
次に、図9を参照して、本実施形態のルート管理システム100の有する各装置の機能について説明する。図9は、ルート管理システムの有する各装置の機能を説明する図である。
はじめに、本実施形態のルート管理サーバ200の機能について説明する。本実施形態のルート管理サーバ200は、ルート管理処理部260を有する。ルート管理処理部260は、ルート管理サーバ200の演算処理装置26がメモリ装置25等からルート管理プログラムを読み出して実行することにより実現される。
本実施形態のルート管理処理部260は、情報取得部261、推定量算出部262、強制再生判定部263、走行ルート出力部264を有する。
情報取得部261は、ナビゲーション装置300から送信される、運転者ID、車両ID、走行ルートの候補、PM堆積量等の各種情報を取得する。
推定量算出部262は、情報取得部261が取得した各種情報から、候補として挙げられた走行ルートを走行した場合のPM堆積量の推定量である推定PM堆積量を算出する。本実施形態の推定量算出部262の詳細は後述する。
強制再生判定部263は、推定量算出部262により算出された推定PM堆積量に基づき、推定PM堆積量の算出の対象となった走行ルートを車両が走行した場合に、強制再生が行われるか否かを判定する。尚、本実施形態では、例えば、推定PM堆積量が、予め設定された閾値よりも大きくなった場合に、強制再生が行われるものと判定しても良い。
走行ルート出力部264は、強制再生判定部263による判定結果により、ナビゲーション装置300に対して提示すべき走行ルートとして選択された走行ルートをナビゲーション装置300に対して出力する。
次に、本実施形態のナビゲーション装置300について説明する。本実施形態のナビゲーション装置300は、入力受付部310、PM堆積量取得部320、ルート候補抽出部330、表示制御部340、通信部350を有する。
入力受付部310は、ナビゲーション装置300に対する各種の情報の入力を行う。具体的には、入力受付部310は、出発地、目的地、運転者IDの入力を受け付ける。また、本実施形態では、例えばナビゲーション装置300が車両に備え付けられていない、携帯型の装置であれば、入力受付部310は、ナビゲーション装置300が搭載された車両の車両IDの入力も受け付ける。
PM堆積量取得部320は、車両に設けられている排気浄化装置500から、検出されたPM堆積量を取得する。
ルート候補抽出部330は、出発地と目的地の入力を受け付けて、出発地から目的地までの走行ルートの候補を抽出する。尚、走行ルートの候補は、ルート管理システム100の外部に存在する道路情報が格納されたサーバ等に走行ルートの候補の取得要求を行った結果として、抽出されるものである。
表示制御部340は、ナビゲーション装置300の有するディスプレイ等に、走行ルートや地図情報等を表示させる。通信部350は、ナビゲーション装置300とルート管理サーバ200との通信を担う。
次に、排気浄化装置500について説明する。排気浄化装置500は、車両Tに設けられており、車両Tの有するDPFに堆積したPMをクリーニングする。本実施形態の排気浄化装置500は、PM堆積量検出部510を有する。PM堆積量検出部510は、DPFに堆積したPM堆積量を検出する。
尚、図9の例では、PM堆積量検出部510が排気浄化装置500の内部に設けられるものとしたが、これに限定されない。PM堆積量検出部510は、排気浄化装置500の外部に独立して設けられていても良い。
次に、図10を参照して、本実施形態のルート管理処理部260の有する推定量算出部262について説明する。図10は、推定量算出部の機能を説明する図である。
本実施形態の推定量算出部262は、走行ルート選択部271、道路区分部272、情報参照部273、算出部274を有する。
走行ルート選択部271は、ナビゲーション装置300から取得した走行ルートの候補から、推定PM堆積量の算出対象となる走行ルートを選択する。
道路区分部272は、選択された走行ルートに含まれる道路の区間を、直線、緩やかなカーブ、急なカーブに区分する。言い換えれば、道路区分部272は、選択された走行ルートに含まれる道路の区間を、運転パターンデータベース210の項目「運転パターン」と対応付けられた、道路の形状を示す項目に対応するように区分する。
情報参照部273は、情報取得部261がナビゲーション装置300から取得した各種の情報や、ルート管理サーバ200の有する各データベースを参照する。
算出部274は、選択された走行ルートにおいて、道路区分部272により区分された区間毎に推定PM堆積量を算出する。算出部274による推定PM堆積量の算出の詳細は後述する。
以下に、図11乃至図13を参照して、本実施形態のルート管理システム100の有する各装置の動作について説明する。尚、以下に説明する図11乃至図13の処理は、例えば運転者が車両Tの運転を開始する前等に行われる。
図11は、ナビゲーション装置の動作を説明するフローチャートである。
本実施形態の300は、入力受付部310により、各種の入力を受け付ける(ステップS1101)。具体的には、入力受付部310は、ナビゲーション装置300が搭載されている車両Tの運転者による入力される運転者ID、出発地、目的地等の入力を受け付ける。また、入力受付部310は、例えば運転者IDの入力を受け付けると、車両Tの車両IDを取得し、積荷データベース230において車両IDと対応付けられた積荷IDを取得しても良い。
続いて、ナビゲーション装置300は、PM堆積量取得部320により、排気浄化装置500のPM堆積量検出部510が検出したPM堆積量を取得する(ステップS1102)。
続いて、ナビゲーション装置300は、ルート候補抽出部330は、出発地と目的地とから、走行ルートの候補を抽出する(ステップS1103)。尚、ナビゲーション装置300は、通信部350により、出発地と目的地の情報を外部のサーバ等に送信し、外部のサーバにより取得された走行ルートの候補を受信しても良い。
次に、ナビゲーション装置300は、通信部350により、取得した走行ルートの候補をルート管理サーバ200へ送信する(ステップS1104)。
続いて、ナビゲーション装置300は、通信部350により、ルート管理サーバ200から、推奨される走行ルートの提示を受け付けたか否かを判定する(ステップS1105)。
ステップS1105において、走行ルートの提示を受け付けない場合、ナビゲーション装置300は、走行ルートの提示を受け付けるまで待機する。
ステップS1105において、走行ルートの提示を受け付けると(ステップS1106)、ナビゲーション装置300は、表示制御部340により、走行ルートをディスプレイに表示させ(ステップS1107)、処理を終了する。
次に、図12を参照して、本実施形態のルート管理サーバ200の処理について説明する。図12は、ルート管理サーバの動作を説明するフローチャートである。
本実施形態のルート管理サーバ200は、ルート管理処理部260の情報取得部261により、ナビゲーション装置300から各種の情報を取得したか否かを判定する(ステップS1201)。ここで、情報取得部261が取得する各種の情報とは、運転者ID、車両ID、積荷ID、PM堆積量、走行ルートの候補を含む情報である。
ステップS1201において、各種の情報を取得しない場合、ルート管理処理部260は、上述した各種の情報を取得するまで待機する。
ステップS1201において、各種の情報を取得した場合、ルート管理処理部260は、情報取得部261により、運転パターンデータベース210を参照し、取得した運転者IDと対応する運転パターン情報を取得する(ステップS1202)。
次に、情報取得部261は、車両データベース220を参照し、取得した車両IDと対応する車両情報を取得する(ステップS1203)。続いて、情報取得部261は、積荷データベース230を参照し、取得した積荷IDと対応する積荷情報を取得する(ステップS1204)。
次に、情報取得部261は、渋滞データベース240を参照し、走行ルートの候補から、走行ルートと対応する渋滞情報を取得する(ステップS1205)。具体的には、情報取得部261は、取得した走行ルートの候補に示される道路を区間毎に分けて、渋滞データベース240において、対応する区間毎に渋滞情報を取得しても良い。
続いて、ルート管理処理部260は、推定量算出部262により、取得した走行ルートの候補から、1つの走行ルートの候補を選択する(ステップS1206)。
続いて、ルート管理処理部260は、ステップS1202からステップS1205において取得した運転パターン情報、車両情報、積荷情報及び渋滞情報を用いて、推定量算出部262により選択された走行ルートの候補の推定PM堆積量を算出する(ステップS1207)。ステップS1207の処理の詳細は後述する。
続いて、ルート管理処理部260は、強制再生判定部263により、選択された走行ルートの候補にしたがって走行した場合に、目的地に到着するまでにクリーニング(強制再生)されないか否かを判定する(ステップS1208)。言い換えれば、本実施形態の強制再生判定部263は、算出された推定PM堆積量が、予め設定されていた閾値未満であるか否かを判定している。尚、判定の基準となる閾値は、強制再生判定部263に保持されていても良い。この閾値は、例えば車両毎に予め決められていても良く、車両IDと共にナビゲーション装置300により取得されて、ルート管理サーバ200に送信されても良い。
ステップS1208において、強制再生が行われる場合には、推定量算出部262は、次の走行ルートの候補を選択し(ステップS1209)、ステップS1207へ戻る。
ステップS1208において、強制再生が行われない場合、ルート管理処理部260は、ナビゲーション装置300から取得した走行ルートの候補全てについて、ステップS1207以降の処理を行ったか否かを判定する(ステップS1210)。
ステップS1210において、全ての走行ルートの候補について処理していない場合、ルート管理処理部260は、ステップS1209へ戻る。
ステップS1210において、全ての走行ルートの候補について処理した場合、ルート管理処理部260は、強制再生が行われない走行ルートの候補が存在するか否かを判定する(ステップS1211)。
ステップS1211において、該当する走行ルートの候補が存在する場合、走行ルート出力部264は、該当する走行ルートの候補を、強制再生を回避する走行ルートの候補として、ナビゲーション装置300へ送信し(ステップS1212)、処理を終了する。
ステップS1211において、該当する走行ルートの候補が存在しない場合、走行ルート出力部264は、該当する走行ルートの候補が存在しないことを示す通知をナビゲーション装置300に送信し(ステップS1213)、処理を終了する。
尚、図12の例では、ルート管理サーバ200は、走行ルートの候補から、強制再生が行われない走行ルートを選択してナビゲーション装置300に提示するものとしたが、これに限定されない。ルート管理サーバ200は、例えば強制再生が行われない走行ルートが存在しない場合には、強制再生が行われる回数が最も少ない走行ルートをナビゲーション装置300に提示しても良い。
次に、図13を参照して、本実施形態の推定量算出部262の処理を説明する。図13は、推定量算出部の処理を説明するフローチャートである。図13は、図12のステップS1207の処理の詳細を示している。
本実施形態の推定量算出部262は、選択された走行ルートに含まれる道路を区間毎に分ける(ステップS1301)。続いて、推定量算出部262は、区間毎に、区間内の道路を、直線、緩やかなカーブ、急なカーブに区分する(ステップS1302)。言い換えれば、推定量算出部262は、区間毎に、区間内の道路を、運転パターンと対応付けられた道路の形状毎に区分する。
続いて、推定量算出部262は、基準堆積量データベース250を参照し、区間毎のPM堆積量の基準値を取得する(ステップS1303)。
続いて、推定量算出部262は、以下の式(1)により、推定PM堆積量Xを算出する(ステップS1304)。
尚、式(1)において、P1は出発地の位置情報であり、P2は目的地の位置情報を記す。また、式(1)において、f(区間)は、区間毎のPM堆積量の基準値を示し、a(運転者ID)は、運転者IDを含む運転パターン情報を示し、具体的には、運転者IDと対応付けられた、区間における道路の形状と対応する運転パターンの値を示す。また、式(1)において、b(車両ID)は、車両IDを含む車両情報であり、具体的には車両IDと対応付けられたPMの堆積のしやすさの値を示す。
また、式(1)において、c(積荷ID)は、積荷IDを含む積荷情報を示し、具体的には、積荷IDと対応付けられたPMの堆積のしやすさの値を示す。また、d(区間)は、区間毎の渋滞情報を示し、具体的には、区間毎の渋滞の種類と対応付けられたPMの堆積のしやすさの値を示す。
つまり、本実施形態の推定量算出部262は、出発地から目的地までの間の区間毎に、PMの堆積の仕方に影響を及ぼす各種の項目と対応付けられたPMの堆積のしやすさの指標となる値と、過去の履歴から算出された区間毎のPM堆積量の基準値との積を求める。
この積は、車両Tが走行ルートを走行することにより増加すると推定されるPM堆積量である。以下の説明では、増加すると推定されるPM堆積量を、推定増加PM堆積量と呼ぶ。
そして、推定量算出部262は、推定増加PM堆積量と、車両Tにおいて既に堆積されているPM堆積量との和を、目的地に到着したときに堆積されると推定される推定PM堆積量としている。
本実施形態では、この推定PM堆積量が閾値未満となる走行ルートの候補を、強制再生を行わずに目的地に到達できる走行ルートとする。
以下に、図14乃至図17を参照して、本実施形態のルート管理サーバ200の処理について、さらに説明する。
図14は、走行ルートの例を説明する図である。図14では、出発地を地点Aとし、目的地を地点Bとした場合の走行ルートを示している。図14の例では、出発地を地点Aとし、目的地を地点Bとした場合の走行ルートの候補として、第1走行ルートと第2走行ルートとが挙げられたとする。
第1走行ルートの道路は、地点Aからカーブ1までの区間1、カーブ1の始点から終点までの区間2、カーブ1の終点からカーブ2の始点までの区間3、カーブ2の始点から終点までの区間4を含む。また、第1走行ルートの道路は、カーブ2の終点からカーブ3の始点までの区間5、カーブ3の始点から終点までの区間6、カーブ3の終点からカーブ4の始点までの区間7、カーブ4の始点からカーブ4の終点までの区間8、カーブ4の終点からB地点までの区間9を含む。つまり、第1走行ルートは、9つの区間を含む。
第2走行ルートの道路は、地点Aからカーブ5の始点までの区間11、カーブ5の始点から終点までの区間12、カーブ5の終点から地点Bまでの区間13を含む。つまり、第2走行ルートは、3つの区間を含む。
ここで、第1走行ルートのカーブ1、カーブ2は緩やかなカーブであり、カーブ3、カーブ4は急なカーブとする。また、各カーブ間の区間の道路は直線とする。第2走行ルートのカーブ5は緩やかなカーブであり、カーブ以外の区間の道路は直線とする。
また、地点Aから地点Bまでを走行する車両Tは、車両ID「101」とし、この車両Tを運転する運転者は、運転者ID「1」の運転者とする。また、車両Tには、積荷ID「10」の積荷が積載されているものとする。
さらに、第1走行ルートは、軽い渋滞が発生しているものとし、第2走行ルートは大渋滞が発生しているものとする。
この場合、第1走行ルートの区間1の道路は直線であるため、推定量算出部262は、区間1の運転パターン情報として、PMの堆積のしやすさを示す値「0.9」を取得する(図4参照)。また、区間2の道路は、緩やかなカーブである。よって、推定量算出部262は、区間2の運転パターン情報として、PMの堆積のしやすさを示す値「1.2」を取得する。
また、推定量算出部262は、区間1〜9における車両情報として、PMの堆積のしやすさを示す値「0.7」を取得する(図5参照)。また、車両Tには、積荷ID「10」が積載されている。よって、推定量算出部262は、区間1〜9における積荷情報として、PMの堆積のしやすさを示す値「1.5」を取得する(図6参照)。
また、推定量算出部262は、第1走行ルートの区間1〜9の渋滞情報として、各区間に発生している渋滞の状態に応じたPMの堆積のしやすさを示す値を取得する。
図15を参照して、区間1〜9の渋滞情報の一例を説明する。図15は、渋滞情報の一例を示す第一の図である。
図15では、第1走行ルートの区間1〜9のそれぞれについて、渋滞なし、軽い渋滞、大渋滞、という3つの渋滞の状態に応じたPM堆積量が示されている。図15に示す各値は、例えば、過去に運転者ID「1」の運転者が、車両ID「101」の車両Tで第1走行ルートを走行した際の記録として、渋滞データベース240に保持されていても良い。また、図15に示す各値は、過去に第1走行ルートを走行した複数の車両から取得した値の平均値等であっても良い。
本実施形態の推定量算出部262は、各区間のPM堆積量と、各区間の堆積量の基準値と、に基づき算出された、区間毎の「PMの堆積のしやすさを示す値」を取得する。
そして、本実施形態の推定量算出部262は、基準堆積量データベース250を参照し、区間毎のPM堆積量の基準値と、各情報として取得した区間毎の「PMの堆積のしやすさを示す値」と、の積である推定増加PM堆積量を求める。そして、推定量算出部262は、区間毎の推定増加PM堆積量の合計と、ナビゲーション装置300において検出されたPM堆積量との和を、第1走行ルートを走行した場合の推定PM堆積量とする。
次に、図16を参照して、区間1〜3の渋滞情報の一例を説明する。図16は、渋滞情報の一例を示す第二の図である。
図16では、第2走行ルートの区間1〜3のそれぞれについて、渋滞なし、軽い渋滞、大渋滞、という3つの渋滞の状態に応じたPM堆積量が示されている。図16に示す各値は、図15と同様に、過去に運転者ID「1」の運転者が、車両ID「101」の車両Tで第2走行ルートを走行した際の記録として、渋滞データベース240に保持されていても良い。また、図16に示す各値は、過去に第2走行ルートを走行した複数の車両から取得した値の平均値等であっても良い。
本実施形態の推定量算出部262は、第1走行ルートのときと同様に、区間1〜3の推定増加PM堆積量を求め、推定増加PM堆積量の合計と、ナビゲーション装置300において検出されたPM堆積量との和を、第2走行ルートを走行した場合の推定PM堆積量とする。
本実施形態では、以上のようにして、走行ルート毎の推定PM堆積量が算出される。次に、図17を参照して、強制再生判定部263による判定について説明する。
図17は、強制再生判定部の判定を説明する図である。図17では、第1走行ルートと第2走行ルートのそれぞれについて、推定PM堆積量を示すグラフを渋滞の状態毎に示している。
また、図17では、強制再生が行われるか否かを判定するための閾値THを1.5[g/l]としている。また、図17では、ナビゲーション装置300から取得したPM堆積量を1.3[g/l]としている。
図17において、第1走行ルートでは、渋滞なしの状態の場合、目的地に到着したときに、推定PM堆積量は閾値TH未満である。また、第1走行ルートでは、軽い渋滞又は大渋滞の場合には、目的地に到着したときに、推定PM堆積量は閾値TH以上となる。
これに対し、第2走行ルートでは、渋滞の状態に関わらず、推定PM堆積量は、閾値を超えない。ただし、第2走行ルートは、第1走行ルートと比較すると、距離が長く、目的地までの到着時間が、第1走行ルートよりも遅くなることが予想される。
ここでは、第1走行ルートには軽い渋滞が発生しており、第2走行ルートには大渋滞が発生しているものとして説明する。
この場合、第1走行ルートでは、推定PM堆積量が閾値TH以上となるため、強制再生判定部263は、強制再生が行われる走行ルートとして、第1走行ルートを選択肢から除外する。また、第2走行ルートは、推定PM堆積量が閾値TH未満であるため、強制再生判定部263は、強制再生が行われない走行ルートとして、ナビゲーション装置300に提示する走行ルートとする。
したがって、ルート管理サーバ200は、走行ルート出力部264により、燃費を向上させる走行ルートとして、第2走行ルートをナビゲーション装置300に出力する。ナビゲーション装置300は、この出力を受けて、燃費を向上させる走行ルートであることを示す情報と、第2走行ルートとを表示させる。
また、例えば第1走行ルートが渋滞なしであった場合についても説明する。この場合、第1走行ルートであっても、目的地に到着したときに、推定PM堆積量は閾値TH未満である。
よって、走行ルート出力部264は、第1走行ルートと第2走行ルートの2つを、燃費を向上させる走行ルートとしてナビゲーション装置300に出力する。
この場合に、走行ルート出力部264は、例えば第1走行ルートよりも、第2走行ルートの方が、より燃費を向上させること、第1走行ルートの方が第2走行ルートよりも走行距離が短いこと、等も、走行ルートと共にナビゲーション装置300へ出力しても良い。
ナビゲーション装置300は、これらの出力を受けて、燃費を向上させる走行ルートとして、第1走行ルートと第2走行ルートを表示させる。このとき、ナビゲーション装置300は、走行ルートの走行距離が短い順に各走行ルートを表示させても良いし、PM堆積量が少ない順に各走行ルートを表示させても良い。また、ナビゲーション装置300は、このような順に各走行ルートの表示順を変更させるソート操作を受け付けても良い。
以上のように、本実施形態によれば、走行ルートの選定を行うときに、走行ルートを走行することで堆積される増加推定PM堆積量を算出し、車両から検出されたPM堆積量に加算することで、目的地に到着するまでの推定PM堆積量を算出する。そして、本実施形態では、この推定PM堆積量に基づき、クリーニング回数を低減させる走行ルートを選択し、提示する。
したがって、本実施形態によれば、堆積した粒子状物質のクリーニングの回数を低減させることができる。
さらに、本実施形態では、増加推定PM堆積量を算出する際に、運転者、車両、積荷、道路の形状、渋滞の状態等、PMの堆積の仕方に影響を及ぼす各種パラメータに対して、PMの堆積のしやすさを示す値を付与し、この値に基づき増加推定PM堆積量を算出する。言い換えれば、本実施形態では、PMの堆積の仕方に影響を及ぼす各種パラメータに対して重み付けを行い、この重みと、過去に収集された走行履歴から算出されたPM堆積量の基準値とから、推定増加PM堆積量を算出する。
したがって、本実施形態によれば、走行ルートを走行することによって増加するPM堆積量の推定の精度が向上するため、クリーニングが行われるか否かの判定の精度も向上させることができ、クリーニングの回数を低減させる走行ルートを提示することができる。
尚、本実施形態では、PMの堆積の仕方に影響を及ぼすパラメータの一例として、図4乃至図7に示す各データベースで説明したが、パラメータの種類はこれに限定されない。このパラメータには、例えば気象情報や路面の状態を示す情報等が含まれても良く、PMの堆積の仕方に関連するパラメータであれば、どのようなものであっても良い。
また、本実施形態では、ナビゲーション装置300は、出発地と目的地を外部のサーバに送信して走行ルートの候補を取得するものとしているが、これに限定されない。本実施形態のルート管理サーバ200は、出発地と目的地の入力を受けて、走行ルートの候補を抽出して提供するナビゲーション機能を有していても良い。その場合、ナビゲーション装置300は、ルート管理サーバ200に対して出発地と目的地の情報を送信すれば良い。
また、上述した車両Tには、ディーゼルエンジンが搭載されているものとしているが、これに限定されない。車両Tは、ディーゼルエンジン以外のエンジンが搭載された車両であっても良い。
開示の技術では、以下に記載する付記のような形態が考えられる。
(付記1)
ナビゲーション装置と、サーバとを有するルート管理システムであって、
前記サーバは、
前記ナビゲーション装置から取得した走行ルートの候補毎に、前記ナビゲーション装置が搭載された車両が前記走行ルートを走行して目的地に到着した場合において、前記車両のエンジンの排気通路に配置されたフィルタに捕獲される排気微粒子量の推定量を算出する推定量算出部と、
前記推定量に基づき、前記フィルタの強制再生の回数が最小となる走行ルートを前記ナビゲーション装置に表示させる走行ルート出力部と、有する、ルート管理システム。
(付記2)
前記サーバは、
前記推定量に基づき、前記走行ルートの候補毎に、前記フィルタの強制再生が不要であるか否かを判定する強制再生判定部を有し、
前記走行ルート出力部は、
前記強制再生が不要と判定された走行ルートを前記ナビゲーション装置に表示させる、付記1記載のルート管理システム。
(付記3)
前記ナビゲーション装置は、
前記車両において検出された、前記車両のエンジンの排気通路に配置されたフィルタにおいて捕獲された、排気ガス中の排気微粒子量を取得する排気微粒子量取得部を有し、
前記推定量算出部は、
前記走行ルートの走行により前記フィルタに捕獲される推定増加量を算出し、前記推定増加量と、前記排気微粒子量取得部が取得した前記排気微粒子量と、の和を前記推定量とする、付記1又は2記載のルート管理システム。
(付記4)
前記サーバは、
前記フィルタに捕獲される前記排気微粒子量に関連するパラメータ毎に対応付けた重みと、道路の区間毎の前記排気微粒子量の基準値と、を記憶した記憶部と、
前記ナビゲーション装置から前記パラメータを取得し、前記パラメータ毎の重みと、前記走行ルートに含まれる区間毎の前記排気微粒子量の基準値と、取得する情報取得部と、を有し、
前記推定量算出部は、
前記パラメータ毎の重みと、前記区間毎の前記排気微粒子量の基準値と、を用いて、前記推定増加量を算出する、付記3記載のルート管理システム。
(付記5)
前記パラメータは、
前記車両を識別する識別子、前記車両の運転者を識別する識別子、前記走行ルートの候補毎の渋滞の状態を示す情報、前記走行ルートにおける道路の形状を示す情報を含む、付記4記載のルート管理システム。
(付記6)
ナビゲーション装置から取得した走行ルートの候補毎に、前記ナビゲーション装置が搭載された車両が前記走行ルートを走行して目的地に到着した場合において、前記車両のエンジンの排気通路に配置されたフィルタに捕獲される排気微粒子量の推定量を算出し、
前記推定量に基づき、前記フィルタの強制再生の回数が最小となる走行ルートを出力する、処理をコンピュータに実行させるルート管理プログラム。
(付記7)
ナビゲーション装置と、サーバとを有するルート管理システムによるルート管理方法であって、前記ルート管理システムが、
前記サーバにより、
前記ナビゲーション装置から取得した走行ルートの候補毎に、前記ナビゲーション装置が搭載された車両が前記走行ルートを走行して目的地に到着した場合において、前記車両のエンジンの排気通路に配置されたフィルタに捕獲される排気微粒子量の推定量を算出し、
前記推定量に基づき、前記フィルタの強制再生の回数が最小となる走行ルートを前記ナビゲーション装置に表示させる、ルート管理方法。
(付記8)
ナビゲーション装置から取得した走行ルートの候補毎に、前記ナビゲーション装置が搭載された車両が前記走行ルートを走行して目的地に到着した場合において、前記車両のエンジンの排気通路に配置されたフィルタに捕獲される排気微粒子量の推定量を算出する推定量算出部と、
前記推定量に基づき、前記フィルタの強制再生の回数が最小となる走行ルートを出力する走行ルート出力部と、を有するルート管理サーバ。
本発明は、具体的に開示された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。