JP6749602B2 - 木質成形体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、木質成形体の製造方法に関するものである。
従来より、各種の木材や竹等の植物系材料を原料として用いてなる植物系成形体が、例えば建築用の床パネル、家具や調度品の構成材等として、広く用いられている。特に、近年の自動車業界においては、自動車の高級化志向の高まりに伴い、木材の質感(木質感)を有する自動車用内装部品が好まれる傾向にある。かかる状況に対応するように、木材等を原料として製造される、木材の如き質感を有する木質成形体が、自動車用内装部品の外板パネルや表面パネル等として、利用されるようになってきている。
ここで、木質成形体としては、様々な製法に従って製造されるものが知られており、具体的には、木材の粉砕物やチップ等と熱可塑性樹脂材料とを混合してなる材料を、押出成形や加圧成形することによって製造されるものや、突板をインサート品として用いてインサート射出成形等を実施し、突板からなる表層部と樹脂製の基材部とが一体的に積層されてなるもの等が、知られている。このような押出成形や加圧成形、インサート射出成形等を利用して製造される木質成形体は、製造が容易であるという利点を有している。
しかしながら、上述した製法に従って製造される木質成形体は、必然的に樹脂材料を多く含むものであるため、資源問題や環境問題の観点からは好ましいものとは言えず、また、木材と比較して重厚感や質感に欠ける、換言すれば木質感に欠ける、という欠点がある。加えて、突板を用いてインサート射出成形によって製造される木質成形体にあっては、突板より構成される表層部表面の耐傷付き性や耐水性、耐候性等の向上を目的として、透明な塗膜からなるカバー層(トップコート層)が突板表面に形成されることが一般的であり、かかるカバー層の存在が、木質感を更に低下させる要因となっている。
このような状況下、特許第4502848号公報(特許文献1)や特許第4849609号公報(特許文献2)においては、流動成形と称される技術を用いた(植物系)成形体の製造方法及びそれにより得られる(植物系)成形体が開示されている。ここで、流動成形とは、金型等の成形キャビティ内に木材等の植物系材料を収容した後、かかる植物系材料を加熱及び加圧し、植物系材料の繊維組織を構成する死細胞である繊維細胞(セルロース)間に剪断力を作用させて、繊維細胞同士の相互位置を変化させることにより植物系材料を流動させながら、成形キャビティ内に充填すると共に、成形キャビティ内に充填された植物系材料を圧縮して、成形キャビティに対応した形状に成形し、以て、所定の形状を有する植物系成形体を製造する技術である。かかる流動成形を利用して製造される木質成形体等の植物系成形体にあっては、従来より公知の他の製法に従って製造される植物系成形体と比較して、樹脂材料が何等用いられていないか、或いは樹脂材料が用いられていても、その使用量は、他の植物系成形体の製造方法と比較して極めて少ない量に抑えられる。そのため、流動成形によって得られる木質成形体は、資源問題や環境問題に利するものであることに加えて、優れた木質感を発揮する等の利点を有しているのである。
ところが、そのような種々のメリットを有する、流動成形により得られる木質成形体にあっても、従来の方法に従って得られる木質成形体は、以下の如き問題を内在している。即ち、流動成形の実施の際に、木材は、成形キャビティ内で流動するため、最終的に得られる木質成形体の表面に現われる模様が、自然な木目模様とはほど遠いもの、具体的には、木目が変形したものや、崩れた模様となってしまう可能性が大きいのである。このように、従来の流動成形を利用した木質成形体の成形技術においては、表面の少なくとも一部が自然で美麗な木目模様を有する意匠面とされた木質成形体を得ることが、非常に困難であったのである。
特許第4502848号公報 特許第4849609号公報
ここにおいて、本発明は、上記した事情を背景にして為されたものであって、その解決すべき課題とするところは、木材が本来的に有する質感を十分に確保しつつ、自然で美麗な木目模様が意匠面に形成された木質成形体を、有利に製造することが出来る方法を提供することにある。
そして、本発明は、かかる課題を解決するために、繊維細胞間の水素結合が切断された木材を、成形キャビティ内に収容した後に加熱及び加圧し、該木材の繊維細胞間に剪断力を作用させて、該繊維細胞同士の相互位置を変化させることにより該木材を流動せしめ、該成形キャビティ内に充填すると共に、該成形キャビティ内に充填された該木材を圧縮して賦形する、流動成形操作により、木質成形体を製造する方法にして、1)少なくともメラミン樹脂前駆体を含む樹脂水溶液Iを木材に含浸せしめることにより、該木材を構成する繊維細胞間の水素結合を切断する工程と、2)前記メラミン樹脂前駆体と共重合可能な樹脂材料であって、前記木材を構成する細胞壁内には侵入しないが、その導管内には侵入可能な大きさの分子サイズを有するものを含む樹脂水溶液IIを調製し、かかる樹脂水溶液IIを、繊維細胞間の水素結合が切断された前記木材における、目的とする木質成形体の意匠面に相当する面に含浸せしめる工程と、を有する木質成形体の製造方法を、その要旨とするものである。
なお、本発明に従う木質成形体の製造方法においては、好ましくは、前記樹脂水溶液IIが、木粉、砥の粉及び顔料からなる群より選ばれる一種以上のものを含むものである。
このように、本発明に従う木質成形体の製造方法においては、少なくともメラミン樹脂前駆体を含む樹脂水溶液Iを木材に含浸せしめることにより、かかる木材を構成する繊維細胞間の水素結合を切断した後、更に、木材における目的とする木質成形体の意匠面に相当する面に、所定の樹脂水溶液IIを含浸せしめるところに、大きな技術的特徴が存しているのである。即ち、木材における目的とする木質成形体の意匠面に相当する面が、所定の樹脂水溶液IIを含浸していることにより、その含浸部分の(機械的)強度は有利に向上し、その後、成形キャビティ内において加熱及び加圧されても、当該含浸部分の変形が効果的に抑制されるところから、最終的に得られる木質成形体においては、その意匠面に、自然で美麗な木目模様が有利に発現することとなるのである。
本発明に従って木質成形体を製造する際に、樹脂水溶液を植物系材料に含浸させている状態を示す説明図である。
本発明に従って木質成形体を製造するに際しては、先ず、その原料たる木材が準備される。本発明においては、後述する流動成形操作により成形することが可能な木材であれば、如何なるものであっても使用することが可能であり、具体的には、ヒノキ、アガチス、スギやウォールナット等の木材を、例示することが出来る。
なお、本発明に係る製造方法は、成形キャビティ内において、木材を構成する繊維細胞を移動させ、かかる繊維細胞の相互位置を変化させるものであるところから、本発明にて用いられる木材の大きさ及び形状は、成形キャビティに収容することが可能な大きさ及び形状であれば、特に制限されるものではない。また、複数個の木材にあっても、成形過程において個々の材料が細胞レベルで乖離し、その後に一体化せしめられることから、本発明においては、単一の木材は勿論のこと、複数個の木材であっても、それら複数個のうちの一つにおける所定の面を、最終的に得られる木質成形体における意匠面とするものである限りにおいて、使用可能である。
また、本発明に係る木質成形体の製造方法は、木材に、後述する所定の樹脂水溶液(樹脂水溶液I及び樹脂水溶液II)を含浸せしめる工程を有しているところ、かかる樹脂水溶液が木材内に効果的に含浸するように、樹脂水溶液に含浸する前の木材は、全乾状態であるものが望ましい。
木材が準備される一方で、本発明においては、二種類の樹脂水溶液、具体的には、少なくともメラミン樹脂前駆体を含む樹脂水溶液Iと、メラミン樹脂前駆体と共重合可能な樹脂材料であって、前記木材を構成する細胞壁内には侵入しないが、その導管内には侵入可能な大きさの分子サイズを有するものを含む樹脂水溶液IIが、準備(調製)される。
先ず、樹脂水溶液Iは、そこに含まれるメラミン樹脂前駆体が、木材の繊維細胞間に形成されている水素結合を効果的に切断すると共に、最終的に得られる木質成形体の形状固定に大きく寄与するものである。
本発明において、樹脂水溶液Iに配合されるメラミン樹脂前駆体としては、後述する含浸操作により、木材を構成する繊維細胞の分子鎖間に形成されている水素結合に吸着し、かかる水素結合を切断することが可能なものであれば、如何なるものであっても使用することが出来る。本明細書及び特許請求の範囲におけるメラミン樹脂前駆体とは、メラミンとホルムアルデヒドとの反応により生成するモノメチロールメラミンやジメチロールメラミン等のメチロールメラミン類の他、かかるメチロールメラミン類の縮合物、更には、それらメチロールメラミン類及びその縮合物からなる混合物をも含むものである。そのようなメラミン樹脂前駆体の中でも、本発明においては、重量平均分子量が2000以下であるものが有利に用いられる。重量平均分子量が2000を超えるメラミン樹脂前駆体にあっては、木材を構成する繊維細胞の分子鎖間に形成されている水素結合に、効果的に吸着しない恐れがあるからである。また、後述する含浸操作によって、メラミン樹脂前駆体が木材の繊維細胞壁内に効果的に侵入するように、本発明においては、水溶性又は水分散性を有するメラミン樹脂前駆体が有利に用いられる。
また、本発明の樹脂水溶液Iにおいては、上述したメラミン樹脂前駆体と共に、フェノール樹脂を用いることも可能である。本発明においては、後述する含浸操作により、木材を構成する繊維細胞の分子鎖間に形成されている水素結合に吸着し、かかる水素結合を切断することが可能なフェノール樹脂であって、熱硬化性のものであれば、如何なるものであっても使用することが出来る。そのようなフェノール樹脂の中でも、特に、重量平均分子量が200〜500程度のものが有利に用いられる。重量平均分子量が200未満のフェノール樹脂が加熱によって硬化しても、木質成形体に対して十分な形状固定効果を付与できない恐れがあり、その一方で、重量平均分子量が500を超えるフェノール樹脂は、木材の繊維細胞壁内への侵入が困難となる恐れがあるからである。また、メラミン樹脂前駆体と同様に、後述する含浸操作によって、フェノール樹脂が木材の繊維細胞壁内に効果的に侵入するように、水溶性又は水分散性を有するフェノール樹脂が有利に用いられる。
加えて、本発明の樹脂水溶液Iにおいては、目的物たる木質成形体において、透明化を防止し、原料たる木材が本来的に有する質感を効果的に発揮させ、更には、より優れた耐候性を発揮させるべく、上述したメラミン樹脂前駆体(及びフェノール樹脂)と共に、ポリエチレングリコールを用いることも可能である。本発明においては、後述する含浸操作により、木材を構成する繊維細胞の細胞壁内に侵入可能なポリエチレングリコールであれば、如何なるものであっても使用することが可能である。重量平均分子量が大きすぎるポリエチレングリコールでは、木材の繊維細胞壁内に効果的に侵入しない恐れがあるため、本発明においては、有利には、重量平均分子量が2000以下のポリエチレングリコールが用いられる。
上述したメラミン樹脂前駆体等を用いて、樹脂水溶液Iが調製されることとなる。かかる調製にあたり、樹脂水溶液Iにおける各成分の濃度は、処理対象である木材の種類や大きさ等に応じて適宜に決定されることとなるが、一般に、メラミン樹脂前駆体(及びフェノール樹脂)については、それらの総量の濃度が10〜50重量%となるように調製される。メラミン樹脂前駆体(及びフェノール樹脂)の濃度が低すぎると、木材の繊維細胞壁内に侵入する量が少なくなり、メラミン樹脂前駆体等による効果を享受し得ない、具体的には、繊維細胞間の水素結合を効果的に切断することが出来ない恐れや、最終的に得られる木質成形体において十分な形状固定化を図ることが出来ない恐れがある。その一方、メラミン樹脂前駆体(及びフェノール樹脂)の濃度が高すぎると、木材の繊維細胞壁内に侵入する量が多くなりすぎて、最終的に得られる木質成形体の重量が過大となる恐れや、ポリエチレングリコールを併用する場合には、かかるポリエチレングリコールの繊維細胞壁内への侵入を阻害する恐れがある。
また、樹脂水溶液Iにおいてポリエチレングリコールを用いる場合は、重量比において[メラミン樹脂前駆体(及びフェノール樹脂)]:[ポリエチレングリコール]=1:0.05〜0.15の割合となる量において、樹脂水溶液Iに配合されることが好ましい。ポリエチレングリコールの配合量を、メラミン樹脂前駆体(及びフェノール樹脂)の1重量部に対して0.05重量部未満とすると、ポリエチレングリコールによる効果を享受することが出来ない恐れがある。具体的には、最終的に得られる木質成形体において、透明化を防止することが出来ず、木材が本来的に有する質感を喪失させ、十分な耐候性を発揮することが出来ない恐れがある。一方で、ポリエチレングリコールの配合量を、メラミン樹脂前駆体(及びフェノール樹脂)の1重量部に対して0.15重量部を超える量とすると、最終的に得られる木質成形体の重量が過大となる恐れや、メラミン樹脂前駆体(及びフェノール樹脂)の繊維細胞壁内への侵入を阻害する恐れがある。
なお、本発明においては、木材を樹脂水溶液Iに含浸せしめた後、かかる木材の所定の面に後述する樹脂水溶液IIを含浸乃至は付着せしめる前に、樹脂水溶液Iを含浸した木材を乾燥させ、木材に含まれる水を除去することが好ましいところ、かかる乾燥後の木材の重量が、樹脂水溶液Iへ含浸する前の重量より、60〜95%増加するように、樹脂水溶液Iを調製することが好ましい。即ち、下記式で表される重量増加率が60〜95%となるように、樹脂水溶液Iを調製することが好ましいのである。下記式より算出される重量増加率が60%未満では、木材内のメラミン樹脂前駆体(及びフェノール樹脂)の量が十分ではなく、その結果、樹脂成分による効果を有利に享受することが出来ない恐れがあり、その一方、重量増加率が95%を超えると、最終的に得られる木質成形体の重量が過大となる恐れがある。なお、樹脂水溶液Iを含浸した木材の乾燥は、大気中に放置するか、温風を吹き付ける等の手段により、木材の重量が変化しなくなるまで継続されるものである。
(重量増加率)={(W−W0 )/W0 }×100(%) ・・・(式)
上記式において、Wは樹脂水溶液に含浸し、その後に乾燥させた植物系材料の重量 であり、W0 は樹脂水溶液に含浸する前の植物系材料の重量である。
一方、樹脂水溶液Iに含まれるメラミン樹脂前駆体と共重合可能な樹脂材料であって、原料たる木材を構成する細胞壁内には侵入しないが、その導管内には侵入可能な大きさの分子サイズを有するものを用いて、樹脂水溶液IIが調製される。このような樹脂水溶液IIを、上述した樹脂水溶液Iへの浸漬によって繊維細胞間の水素結合が切断された木材における、目的とする木質成形体の意匠面に相当する面に含浸乃至は付着せしめることにより、その後、成形キャビティ内にて加熱及び加圧せしめても、かかる樹脂水溶液IIを含浸する面においては、その(機械的)強度が有利に向上せしめられているところから、当該含浸部分の変形が効果的に抑制され、以て、最終的に得られる木質成形体においては、その意匠面に、自然で美麗な木目模様が有利に発現することとなるのである。
ここで、樹脂水溶液IIに配合せしめられる樹脂材料としては、樹脂水溶液Iに含まれるメラミン樹脂前駆体と共重合可能な樹脂材料であって、原料たる木材を構成する細胞壁内には侵入しないが、その導管内には侵入可能な大きさの分子サイズを有するものであれば、如何なるものであっても使用することが可能である。具体的には、重量平均分子量が2000を超えるメラミン樹脂前駆体やメラミン樹脂オリゴマー、高分子量のウレタン樹脂、重量平均分子量が2000を超えるポリエチレングリコール等を、例示することができる。なお、そのような樹脂材料を二種以上、併用して、樹脂水溶液IIを調整することも可能である。例えば、重量平均分子量が2000を超えるメラミン樹脂前駆体と、重量平均分子量が2000を超えるポリエチレングリコールとを併用する場合、重量比において[メラミン樹脂前駆体]:[ポリエチレングリコール]=1:0.15程度の割合となる量において、樹脂水溶液IIに配合されることが好ましい
また、本発明における樹脂水溶液IIにおいては、上述した所定の樹脂材料と共に、木粉、砥の粉及び顔料からなる群より選ばれる一種以上のものを配合することが好ましい。これら木粉等の微粉を配合した樹脂水溶液IIを用いることにより、かかる樹脂水溶液IIを含浸せしめた部分(面)の(機械的)強度がより有利に向上して、当該含浸部分の変形がより効果的に抑制されることとなり、最終的に得られる木質成形体の意匠面において、目的とする木目模様をより有利に発現せしめることが可能となる。
なお、そのような木粉等の微粉の配合量は、樹脂水溶液IIに含まれる樹脂材料の種類や、原料たる木材の種類、更には、木材の厚さ等に応じて、適宜に決定されることとなるが、通常は、重量比において、[樹脂水溶液IIの樹脂材料]:[木粉等]=1:1程度の割合となる量において、樹脂水溶液IIに配合されることとなる。
以上の如くして準備された木材に、別途調製された樹脂水溶液Iを含浸せしめるに際しては、例えば、図1に示されるような含浸装置10が用いられる。
図1から明らかなように、含浸装置10は、圧力容器12を有している。この圧力容器12は、上方に開口する容器本体14と、かかる容器本体14の開口部を、開閉可能に且つ気密に覆蓋する蓋体16とを有している。そして、そのような圧力容器12の容器本体14内には、水槽18が設置されている。この水槽18内に、別途調製された樹脂水溶液I及び樹脂水溶液IIが、所定の量において収容されることとなる。
また、容器本体14の側壁部には、排気パイプ20及び給気パイプ22が、容器本体14内に開口するように接続されている。そして、排気パイプ20の途中には、真空ポンプ24が設置されており、また、給気パイプ22は、コンプレッサ26に接続されている。かくして、圧力容器12内は、真空ポンプ24の作動によって減圧される一方、コンプレッサ26の作動によって加圧されるようになっている。なお、圧力容器12の内圧は、図示しないコントローラによって、真空ポンプ24とコンプレッサ26のそれぞれの作動が制御されることにより、所望の値にコントロールされるようになっている。
そして、かくの如き構造を呈する含浸装置10を用いて、先ず、木材28に、樹脂水溶液Iを含浸させる際には、水槽18に収容された樹脂水溶液30(樹脂水溶液I)中に、木材28を沈める。なお、図1において、32は、木材28が樹脂水溶液Iの水面上に浮き上がってこないように、木材28上に載置された重りである。
木材28を水槽18内の樹脂水溶液30(樹脂水溶液I)中に沈めたら、圧力容器12の容器本体14を蓋体16にて気密に覆蓋した後、真空ポンプを作動させて、圧力容器12内を、例えば2.03×104 Pa(0.2atm)程度にまで減圧する。そして、その状態を所定時間(例えば、1分〜1時間程度)維持した後、真空ポンプを24を停止して、容器本体14内を常圧に戻す。その後、コンプレッサ26を作動させて、圧力容器12内を、例えば7.09×105 Pa(7atm)程度にまで加圧し、その状態を所定時間(例えば30分〜10時間程度)維持した後、コンプレッサ26を停止して、容器本体14内を常圧に戻す。これにより、少なくともメラミン樹脂前駆体を含む樹脂水溶液30(樹脂水溶液I)を、木材28の繊維細胞の細胞壁中に含浸させるのである。
このように、木材28に樹脂水溶液30(樹脂水溶液I)を含浸させると、かかる樹脂水溶液30中のメラミン樹脂前駆体(及びフェノール樹脂)の分子が、木材28における繊維細胞(セルロース)分子鎖間の水素結合により架橋した部位に効果的に吸着し、かかる吸着により、繊維細胞間の水素結合が有利に切断されることとなるのである。なお、樹脂水溶液30(樹脂水溶液I)中にポリエチレングリコールが配合されている場合、かかるポリエチレングリコールは、木材28の細胞壁内に侵入し、細胞壁内に存在する自由水と入れ替わって細胞壁内に有利に存在せしめられることとなる。
その後、木材28を圧力容器12内から取り出し、好ましくは、乾燥処理が実施される。かかる乾燥処理は、例えば、木材28を大気中に放置するか、木材28に対して温風を吹き付けることにより、木材28の重量が変化しなくなるまで継続されることとなる。
次いで、繊維細胞間の水素結合が切断された木材18における、目的とする木質成形体の意匠面に相当する面に、樹脂水溶液IIを含浸せしめる。
ここで、樹脂水溶液IIを木材18の所定の面に含浸せしめるに際しては、上述した含浸装置10を用いることも可能であるが、例えば、特段の装置を用いることなく、木材18の所定の面に樹脂水溶液IIを塗布する等の手法によっても、実施することが可能である。また、木材18に対する樹脂水溶液IIの含浸量は、樹脂水溶液に含まれる樹脂材料の種類や量、更には木粉等の微粉の有無に応じて、適宜に決定されることとなる。なお、木材18の所定の面に対する樹脂水溶液IIの含浸後においても、好ましくは、上述した乾燥処理が実施される。
そして、本発明においては、以上の如くして繊維細胞間の水素結合が切断され、また、目的とする木質成形体における意匠面に相当する面に樹脂水溶液IIを含浸せしめた木材を用いて、従来より公知の流動成形操作に従うことにより、木質成形体が得られるのである。なお、本発明において、流動成形操作は、木材の種類や目的とする木質成形体の大きさや形状等を考慮して、従来より公知の各種手法や条件等の中から適宜、好適なものを選択して、採用することが可能である。
以上の如くして得られる木質成形体にあっては、原料たる木材における、目的とする木質成形体の意匠面に相当する面に、樹脂水溶液IIを含浸せしめたものを用いて、流動成形によって製造されるものであるところから、流動成形操作において、木材における樹脂水溶液IIの含浸部分の変形が効果的に抑制されることとなるのであり、最終的に得られる木質成形体においては、その意匠面に、自然で美麗な木目模様が有利に発現することとなるのである。
10 含浸装置 12 圧力容器
18 水槽 20 排気パイプ
22 給気パイプ 28 木材
30 樹脂水溶液

Claims (5)

  1. 少なくともメラミン樹脂前駆体を含む樹脂水溶液Iを木材に含浸させることにより、前記木材を構成する繊維細胞間の水素結合を切断する工程Aと、
    前記メラミン樹脂前駆体と共重合可能な樹脂材料であって、前記樹脂水溶液Iに含まれる前記メラミン樹脂前駆体より重量平均分子量が大きく、かつ、前記木材の導管内に侵入可能な大きさの分子サイズを有するものを含む樹脂水溶液IIを、繊維細胞間の水素結合が切断された前記木材における、目的とする木質成形体の意匠面に相当する面に含浸させる工程Bと、
    前記樹脂水溶液I及び前記樹脂水溶液IIを含浸した前記木材を、成形キャビティ内に収容した後に加熱及び加圧し、前記木材の繊維細胞間に剪断力を作用させて、前記繊維細胞同士の相互位置を変化させることにより前記木材を流動させ前記成形キャビティ内に充填すると共に、前記成形キャビティ内に充填された前記木材を圧縮して賦形する工程Cと、を備える木質成形体の製造方法。
  2. 前記樹脂水溶液IIに含まれる前記樹脂材料は、前記木材を構成する細胞壁内には侵入しない大きさの分子サイズを有する請求項1に記載の木質成形体の製造方法。
  3. 前記樹脂水溶液IIが、木粉、砥の粉及び顔料からなる群より選ばれる一種以上のものを含む請求項1又は請求項2に記載の木質成形体の製造方法。
  4. 前記工程Aでは、圧力容器内において前記樹脂水溶液Iに前記植物系材料を沈めて前記圧力容器内を減圧状態に維持した後に、前記圧力容器内を加圧状態に維持することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の木質成形体の製造方法。
  5. 前記工程Bでは、前記木材の前記木質成形体の意匠面に相当する面に前記樹脂水溶液IIを塗布することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の木質成形体の製造方法。
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