JP6183824B2 - 熱可塑性木質系材料の製造方法及びそれによって製造された熱可塑性木質系材料 - Google Patents

熱可塑性木質系材料の製造方法及びそれによって製造された熱可塑性木質系材料 Download PDF

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本発明は、熱可塑性木質系材料の製造方法及びそれによって製造された熱可塑性木質系材料に関するものである。
従来、木質系材料に合成樹脂の有する各種特性、例えば、木質系材料からなる素材を複雑な形状を成形するために、木質系材料に流動成形性を付与することを目的として、木質系材料に熱硬化性樹脂を拡散させることが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
ところで、特許文献1に開示された技術は、木質系材料に拡散させる合成樹脂に、熱硬化性樹脂を用いるものであるため、木質系材料に熱硬化性樹脂を拡散させて得た成形体は、再変形やリサイクルが、不可能であったり、コストを要するものであった。
すなわち、この成形体のリサイクルは、そのままでは不可能なため、チップ化や粉末化した後、新たな合成樹脂の混合による成形が必要で、コストがかかるという問題があった。
また、より複雑な形状の成形体も求められているが、金型を用いて成形する流動成形の場合、中空成形体のような金型を成形体から取り出す開口部が小さい成形体を製造することは困難であった。なお、このような成形体の成形は、特殊な割型を使って成形する方法も考えられるが、成形可能な形状に限界あり、また、一般的に行われる手法である、中間成形体を作った後、絞り加工等の再変形により成形する方法は、熱硬化性樹脂の特性上、不可能であった。
一方、木質系材料に熱可塑性樹脂を拡散させることも提案されている(例えば、特許文献2参照。)が、この特許文献2に開示された技術は、略椀状をなす木材からなるブランク材を、一対の金型により熱可塑性樹脂とともに加熱圧縮して圧縮木材を形成する加熱圧縮工程と、前記加熱圧縮工程の後、前記一対の金型により前記圧縮木材の圧縮状態を保持しながら、前記金型の温度をさらに上昇させて前記熱可塑性樹脂を液状化させ、液状化した熱可塑性樹脂を前記圧縮木材に含浸させる樹脂含浸工程とからなるもので、この方法によっては、疎水性で、かつ、流動性の乏しい熱可塑性樹脂を木質系材料の細胞壁内まで拡散させることはできず、木質系材料からなる素材を複雑な形状に成形するための細胞壁の変形及び細胞間層の剥離による流動成形性及び熱可塑性樹脂による細胞レベルでの形状維持性を付与することは困難であった。
特開2012−206300号公報 特開2012−106447号公報
本発明は、上記従来の熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂を拡散させた木質系材料が有する問題点に鑑み、細胞組織間及び細胞組織内での流動と流動後の再接着が可能で、再変形やリサイクルが容易で、かつ、木質系材料に、当該木質系材料からなる素材を複雑な形状に成形するための細胞壁の変形及び細胞間層の剥離による流動成形性及び熱可塑性樹脂による細胞レベルでの形状維持性を付与することができる、熱可塑性木質系材料の製造方法及び熱可塑性木質系材料を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の熱可塑性木質系材料の製造方法は、直径20〜90μmのシリンダ状空隙からなる細胞内腔を有している木質系材料に熱可塑性樹脂を拡散させるようにした熱可塑性木質系材料の製造方法において、木質系材料を疎水化した後、前記細胞内腔を介して木質系材料の細胞壁内にアクリルモノマー又はPEG換算で分子量が2万までのアクリルオリゴマーを、重合開始剤と共に、加圧下で含浸、拡散させた後、密閉環境下で当該アクリルモノマー又はPEG換算で分子量が2万までのアクリルオリゴマーを重合させることにより木質系材料の細胞壁内にアクリル樹脂が拡散した状態となるようにしたことを特徴とする。
また、同じ目的を達成するため、本発明の熱可塑性木質系材料の製造方法は、直径20〜90μmのシリンダ状空隙からなる細胞内腔を有している木質系材料に熱可塑性樹脂を拡散させるようにした熱可塑性木質系材料の製造方法において、前記細胞内腔を介して木質系材料の細胞壁内に両媒性溶液としたアクリルモノマー又はPEG換算で分子量が2万までのアクリルオリゴマーを、重合開始剤と共に、加圧下で含浸、拡散させた後、密閉環境下で当該アクリルモノマー又はPEG換算で分子量が2万までのアクリルオリゴマーを重合させることにより木質系材料の細胞壁内にアクリル樹脂が拡散した状態となるようにしたことを特徴とする。
また、本発明の熱可塑性木質系材料は、直径20〜90μmのシリンダ状空隙からなる細胞内腔を有している木質系材の細胞壁内にアクリル樹脂が拡散し、少なくとも厚さが5mmの木質系材料において光透過性を備えた状態となるようにされてなるものである。
本発明の熱可塑性木質系材料の製造方法及び熱可塑性木質系材料は、木質系材料の細胞壁内にまで熱可塑性樹脂が拡散させてなることから、細胞組織間及び細胞組織内での流動と流動後の再接着が可能で、再変形やリサイクルが容易で、かつ、木質系材料に、当該木質系材料からなる素材を複雑な形状に成形するための細胞壁の変形及び細胞間層の剥離による流動成形性及び熱可塑性樹脂による細胞レベルでの形状維持性を付与することができる。
また、木質系材料を疎水化した後、木質系材料の細胞壁内に熱可塑性樹脂を拡散させるようにしたり、木質系材料の細胞壁内に両媒性溶液とした熱可塑性樹脂を拡散させるようにしたり、木質系材料の細胞壁内に熱可塑性樹脂のモノマー又はPEG換算で分子量が2万までのオリゴマーを拡散させた後、当該熱可塑性樹脂モノマー又はPEG換算で分子量が2万までのオリゴマーを重合させるようにすることにより、熱可塑性樹脂を木質系材料の細胞壁内に確実に拡散させることができる。
本発明の熱可塑性木質系材料の製造方法の木質系材料の細胞内腔及び細胞壁の一時空隙の概念図である。 本発明の熱可塑性木質系材料の製造方法の一実施例を示す説明図である。 側方押し出し成形金型を示す説明図である。 同側方押し出し成形金型を用いてサンプル(ビレット)の成形(第1回目の成形)を行った結果を示す写真である。 同側方押し出し成形金型を用いてサンプル(ビレット)の成形(第2回目の成形)を行った結果を示す写真である。 本発明の熱可塑性木質系材料の実施例及び比較例の熱挙動(DSC)のグラフである。 本発明の熱可塑性木質系材料の実施例の動的粘弾性のグラフである。 比較例の加熱圧縮試験を行った結果を示す写真である。 本発明の熱可塑性木質系材料の実施例の加熱圧縮試験を行った結果を示す写真である。 本発明の熱可塑性木質系材料の実施例の再変形加工による賦形試験を行った結果を示す写真である。 本発明の熱可塑性木質系材料を圧縮成形した結果を示す写真である。
以下、本発明の熱可塑性木質系材料の製造方法及び熱可塑性木質系材料の実施の形態を、図面等に基づいて説明する。
木質系材料に合成樹脂を拡散させて熱可塑性木質系材料を製造する場合、特に、木質系材料の組織内、より具体的には、細胞壁内に合成樹脂を拡散させるようにすることが、木質系材料に流動成形性を付与するために極めて重要であることが分かっている。
しかしながら、組織内の空隙は、サブナノ・ナノレベルの空隙であり、この空隙へ合成樹脂を拡散させることは容易ではない。この空隙は、水素結合によって密接に凝集しているが、この結合は、水、その他の溶媒を吸着させ、切断することによって、空隙を拡大することができる。拡大前の空隙径は、0.6〜4nmである。一般的な合成樹脂やそのモノマー、オリゴマーは、このサイズよりも大きいため、この拡大を利用して空隙内に拡散させる必要がある。
また、仮に、空隙内に合成樹脂、具体的には、熱可塑性樹脂を拡散させることができたとしても、この微細な空間に閉じ込められた樹脂が、その樹脂の物性である熱可塑性を呈する保証はなかった。ちなみに、本件発明者らは、木質系材料の細胞壁内の微細空隙内に存在する水や溶媒は、その運動特性が大きく低下することを明らかにしている((1)Hiroyuki Sugimoto、Kozo Kanayama、Misato Norimoto (2007)Dielectric Relaxation of Water Adsorbed on Wood and Charcoal、HOLZFORSCHUNG、61、89-94、(2)Study of the interaction of various liquids with Ligno-Cellulosic materials using Solid-state NMR and DMA、Proceedings of COMATCOMP 09、443-446参照)。このことから、熱可塑性樹脂の融点は、木質系材料の微細空隙中では高くなることが予想される。したがって、熱可塑性樹脂の融解による木質系材料の流動性の発現の温度は、通常の熱可塑性樹脂の融点よりも高くなり、木質系材料の熱分解温度未満での成形の可能性については分かっていなかった。
そこで、本発明の熱可塑性木質系材料の製造方法においては、木質系材料に熱可塑性樹脂を拡散させるようにした熱可塑性木質系材料の製造方法において、木質系材料の細胞壁内に熱可塑性樹脂を拡散させるようにした。
ここで、熱可塑性樹脂の拡散は、図1に示すように、木質系材料1の細胞内腔11を介して細胞壁12の一時空隙13に熱可塑性樹脂Mを導入することによって細胞壁12内に熱可塑性樹脂Mを拡散させるものである。
ここで、細胞内腔11とは、細胞の内部空間をいい、木質系材料1の種類によって異なるが、一般的には、20〜90μmの直径のシリンダ状空隙をしている。
また、一時空隙13とは、例えば、水素結合を切断する薬剤によって拡大、生成される細胞壁12の空隙をいい、形状は定まっていないが、一般的には、0.6〜4nmの細孔径のシリンダ形状のものとして説明される場合が多い。例えば、一時空隙13の内部表面の親水基を疎水性に改質したり、水が浸入できないように物質を前もって浸入させておくことで、吸湿による木質系材料1の寸法変化を防ぐことができる。
本発明において、木質系材料としては、リグニンとヘミセルロースとセルロースとを含有するリグノセルロース系材料のことをいいスギ、ヒノキ、ブナ等の木材用いることができる。また、材料としては、新しい材料のほか、家屋解体物、家具解体物間伐材の廃棄物を用いることができるまた、上記の材料を2種以上組み合わせて用いることもできる。
また、熱可塑性樹脂としては、アクリル、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、環状ポリオレフィン、ポリスチレン、フタル酸エステル等のエステル類、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ABS樹脂、AS樹脂、アクリル樹脂、ナイロン等のポリアミド、ポリアセタール、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレンスルファイド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、非晶ポリアリレート、液晶ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、ポリアミドイミド等を用いることができる。
そして、これらの熱可塑性樹脂は、熱可塑性樹脂のモノマー又はPEG換算で分子量が2万までのオリゴマーを好適に用いることができ、木質系材料1の細胞壁12内に熱可塑性樹脂のモノマー又はPEG換算で分子量が2万までのオリゴマーを拡散させた後、当該熱可塑性樹脂のモノマー又はPEG換算で分子量が2万までのオリゴマーを重合させるようにすることができる。
これにより、疎水性の熱可塑性樹脂を木質系材料1の細胞壁12内に確実に拡散させることができる。
また、水素結合を切断する薬剤としては、水酸基を有する有機化合物、具体的には、1価アルコール類、グリコール類、グリセリン類、糖類、フェノール類、ポリフェノール類、メラミンや尿素化合物のメチロール化物及びこれらの誘導体よりなる群から選ばれる1種以上のものを好適に用いることができる。ここで、1価アルコール類としては、エタノール、メタノール等や水・1価アルコール類混合液、グリコール類としては、エチレングリコール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のグリコール類、グリセリン類としては、グリセリン等のグリセリン類、糖類としては、スクロース、キシリトール、デンプン、グルコマンナン、ペクチン、キトサン等の糖類、フェノール類としては、フェノール及びその誘導体、ポリフェノール類としては、タンニン酸等のポリフェノール類、メラミンや尿素化合物のメチロール化物(ホルムアルデヒド縮合物)としては、モノメチロールメラミン、ジメチロールメラミン、トリメチロールメラミン、ジメチロールユリア等に用いることができ、これらは誘導体とされていてもよい。
また、疎水性の熱可塑性樹脂を木質系材料1の細胞壁12内に確実に拡散させることができるように、木質系材料1を疎水化した後、木質系材料1の細胞壁12内に熱可塑性樹脂を拡散させるようにすることができる。
木質系材料の疎水化は、無水酢酸、酢酸、酒石酸、クエン酸、シュウ酸、乳酸等の酸類及びこれらの塩、グリオキザールの水溶液によって、木質系材料を処理したり、熱処理等を行うことにより、木質系材料1の一時空隙13を疎水化することができる。
同じく、疎水性の熱可塑性樹脂を木質系材料1の細胞壁12内に確実に拡散させることができるように、木質系材料1を疎水化することに代えて、木質系材料1の細胞壁12内に両媒性溶液とした熱可塑性樹脂を拡散させるようにすることができる。
熱可塑性樹脂を両媒性溶液とする溶媒としては、上記水素結合を切断する薬剤、具体的には、エタノール、メタノール等の1価アルコール類を好適に用いることができる。
この場合において、木質系材料1の水素結合を切断する薬剤や木質系材料1を疎水化する薬剤は、浸積、塗布、散布等により木質系材料1に適用することができる。なお、浸積は、必要に応じて、減圧、加圧、加温等を行うことに促進することができる。
また、木質系材料1の細胞壁12内に熱可塑性樹脂のモノマー又はPEG換算で分子量が2万までのオリゴマーを拡散させる場合、当該熱可塑性樹脂のモノマー又はPEG換算で分子量が2万までのオリゴマーを、アセトン等の非水溶性溶媒に拡散させたものを、浸積、塗布、散布等により木質系材料1に適用し、その後、加熱等を行うことによって、細胞壁12内で重合させることができる。なお、浸積は、必要に応じて、減圧、加圧、加温等を行うことに促進することができる。
本発明の熱可塑性木質系材料の製造方法によって製造された熱可塑性木質系材料は、木質系材料1の細胞壁12内にまで熱可塑性樹脂が拡散させてなることから、細胞組織間及び細胞組織内での流動と流動後の再接着が可能で、再変形やリサイクルが容易で、かつ、木質系材料1に、当該木質系材料1からなる素材を複雑な形状に成形するための細胞壁の変形及び細胞間層の剥離による流動成形性及び熱可塑性樹脂による細胞レベルでの形状維持性を付与することができる。
以下、本発明の熱可塑性木質系材料の製造方法及び熱可塑性木質系材料について、より具体的な実施例に基づいて説明する。
サンプル(ビレット):図2に示すように、木質系材料(スギ)に無水酢酸を含浸後、80〜120℃、1〜6時間、より具体的には、100℃、3時間の処理によりアセチル化(疎水化)を行った。アセチル化度は14.4%であった。洗浄及び乾燥(全乾)工程を経た後、1%の重合開始剤を含んだMMA樹脂(メタクリル酸メチル)モノマーを含浸し、恒温槽内(120℃、24時間)で重合を行い、厚さt:10mm、直径φ:49mmのサンプル(ビレット)を得た。
サンプル(ビレット)のMMA樹脂による重量増加割合は130.5%、T方向でMMA樹脂モノマーの含浸によりアセチル化後の寸法から約5%の膨潤を示し、面圧130Mpa、温度130℃で成形したときのT方向の寸法変化は、無処理:1.05倍、アセチル化後:1.06倍、重合後:1.60倍であった。
このサンプル(ビレット)を、図3に示す側方押し出し成形金型を用いて、板状に成形した。
図4及び図5に、図3に示す側方押し出し成形金型を用いてサンプル(ビレット)の成形(第1回目の成形(図4)及び第2回目の成形(第1回目の成形で板状に成形されたものを再成形)(図5))を行った結果を示す。
第1回目の成形(図4)で板状に成形したサンプルから試験片を切り出し(切り出し方法は、図5参照。)、曲げ試験を行った結果を、表1に示す。
表1に示すように、本発明の熱可塑性木質系材料の試験片は、アクリル樹脂やWPC(Wood Plastic Combination)と比較して、遜色のない弾性率や曲げ強度を有することを確認した。
上記熱可塑性木質系材料の試験片(実施例:MMA−sugi)と、サンプルと同様にしてフェノール樹脂を含浸させて得た試験片(比較例:Phenol−sugi(air dry))について、熱挙動(DSC)を測定した結果を、図6に示す。
実施例のものは、繰返し加熱によってもガラス転移を示す(1回目80℃、2回目以降110℃付近にガラス転移による吸熱変化を検知した。)。
一方、比較例のものは、1回目のみ大きな吸熱を45℃付近に示すが、2回目以降(硬化後)は、顕著なガラス転移は見られない。
次に、上記実施例について、動的粘弾性を測定した結果を、図7に示す。
図7(a)に示すように、繰返し加熱によっても、E’が急激に低下する(ガラス転移による軟化)の様子が分かる。また、1回目70℃付近、2回目100℃付近から急激にE’が低下している。一度、熱履歴を受けると硬くなるが、ガラス転移温度以上では極端にE’は低下する。
また、図7(b)に示すように、E”では、E’で見られたガラス転移以外に高温側にショルダーが検知されている。
上記実施例と、上記比較例について、加熱圧縮試験を行った結果を、図8(比較例)及び図9(実施例)に示す。
図8に示すように、比較例のものは、高温(150℃)でも粉砕されるのに対して、図9に示すように、実施例のものは、低温(20℃)では粉砕されるが、温度が上昇するにつれて粉砕されずに、展性を示し、高温(150℃)では平たく押し潰されてシート状になることを確認した。
上記高温(150℃)で平たく押し潰されてシート状になった上記サンプル(実施例)の再変形加工による賦形試験を行った結果を、図10に示す。
図10に示すように、実施例のものは、高温(150℃)でプレスすることにより、賦形化できること(再変形やリサイクルが可能なこと)を確認した。
図11に、本発明の熱可塑性木質系材料である上記サンプル(ビレット)を圧縮成形した結果を示す。
図11に示すように、本発明の熱可塑性木質系材料は、光透過性が付与されていることが分かる。
以上、本発明の熱可塑性木質系材料の製造方法及び熱可塑性木質系材料について、その実施の形態に基づいて説明したが、本発明は上記記載内容に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
本発明の熱可塑性木質系材料の製造方法及び熱可塑性木質系材料は、細胞組織間及び細胞組織内での流動と流動後の再接着が可能で、再変形やリサイクルが容易で、かつ、木質系材料に、当該木質系材料からなる素材を複雑な形状に成形するための細胞壁の変形及び細胞間層の剥離による流動成形性及び熱可塑性樹脂による細胞レベルでの形状維持性を付与することができる特性を有していることから、インテリア、エクステリア等の建築部材、車両(航空機、車、列車)内装、車両部品、おもちゃ、楽器、家電外装、家電部品、家具、食器等、多岐に亘る用途に好適に用いることができる。
1 木質系材料
11 細胞内腔
12 細胞壁
13 一時空隙

Claims (3)

  1. 直径20〜90μmのシリンダ状空隙からなる細胞内腔を有している木質系材料に熱可塑性樹脂を拡散させるようにした熱可塑性木質系材料の製造方法において、木質系材料を疎水化した後、前記細胞内腔を介して木質系材料の細胞壁内にアクリルモノマー又はPEG換算で分子量が2万までのアクリルオリゴマーを、重合開始剤と共に、加圧下で含浸、拡散させた後、密閉環境下で当該アクリルモノマー又はPEG換算で分子量が2万までのアクリルオリゴマーを重合させることにより木質系材料の細胞壁内にアクリル樹脂が拡散した状態となるようにしたことを特徴とする熱可塑性木質系材料の製造方法。
  2. 直径20〜90μmのシリンダ状空隙からなる細胞内腔を有している木質系材料に熱可塑性樹脂を拡散させるようにした熱可塑性木質系材料の製造方法において、前記細胞内腔を介して木質系材料の細胞壁内に両媒性溶液としたアクリルモノマー又はPEG換算で分子量が2万までのアクリルオリゴマーを、重合開始剤と共に、加圧下で含浸、拡散させた後、密閉環境下で当該アクリルモノマー又はPEG換算で分子量が2万までのアクリルオリゴマーを重合させることにより木質系材料の細胞壁内にアクリル樹脂が拡散した状態となるようにしたことを特徴とする熱可塑性木質系材料の製造方法。
  3. 直径20〜90μmのシリンダ状空隙からなる細胞内腔を有している木質系材の細胞壁内にアクリル樹脂が拡散し、少なくとも厚さが5mmの木質系材料において光透過性を備えた状態となるようにされてなる熱可塑性木質系材料。
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