(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1に係る複合加工システムについて図面を参照しながら説明する。本実施の形態に係る複合加工システムは、1つの切削加工装置と1つの研削加工装置とを備える。そして、複合加工システムは、切削加工装置で切削加工されたワークの寸法を、研削加工装置において計測する。そして、複合加工システムは、計測により得られるワークの寸法の計測値に基づいて、切削加工装置の工具の切込み量を調整する。
本実施の形態に係る複合加工システムは、図1に示すように、切削加工装置1と、研削加工装置2と、補正値生成部4と、を備える。なお、図1において、白矢印は、ワークWの投入フローを示し、破線矢印は、切削加工装置1、研削加工装置2および補正値生成部4の間における各種情報の入出力を示す。また、実線矢印は、切削加工装置1内部または研削加工装置2内部における各種情報の入出力を示す。切削加工装置1、研削加工装置2は、それぞれ特許請求の範囲に記載の第1加工装置、第2加工装置に相当する。切削加工装置1は、例えばNC(Numerical Control)旋盤から構成される。切削加工装置1は、切削加工部101と、切削加工部101を制御する切削制御部102と、を有する。切削加工部101は、ワークWを加工する部分であり、チャックと主軸台と主軸と刃物台とバイトとを有する。以下、バイトのことを工具と称する。切削制御部102は、インタフェースを介して切削加工部101へ制御信号を出力することにより、切削加工部101を制御するコンピュータから構成される。ところで、ワークWをその設計値通りに切削加工しようとする場合、切削加工の目標値は、使用する切削加工装置1の特性に応じて設計値に補正値を加えて補正した値とする必要がある。従って、切削制御部102は、ワークWの設計値と補正値とにより定まる工具の切込み量に基づいて、当該切込み量だけ工具をワークWへ切り込ませるよう制御するための制御信号を切削加工部101へ出力する。そして、切削加工部101は、入力される制御信号に対応する切込み量だけ工具をワークWへ切り込ませる形でワークWを切削加工する。具体的には、切削加工部101は、図2に示すように、ワークWを切削してワークWの直径の計測値Drをその設計値Ddにするために、チャックに装着された円柱状のワークWを矢印AR1に示すように中心軸J1周りに回転させるとともに、工具BをワークWの寸法の設計値Ddに対応する切込み量だけ切込む。即ち、切削制御部102は、補正値生成部4から新たな補正値が入力されると、ワークWの寸法の設計値と新たな補正値とにより定まるワークWの寸法の目標値に対応する制御信号を切削加工部101へ出力する。そして、切削加工部101は、入力される制御信号に基づいて、ワークWと同一の寸法の設計値を有する他のワークWを加工する。
研削加工装置2は、例えばワークWの寸法を計測する機能を有する機械研削盤から構成され、切削加工後のワークWに対して切削加工装置1が行う切削加工と類似の加工である研削加工を行う。ここで、類似の加工とは、加工によりワークWに与える効果の一部が共通することを意味する。例えば研削加工は、ワークWを削ることによりワークWの寸法を小さくするという点で切削加工と共通する。研削加工装置2は、切削加工装置1から投入されるワークWの寸法を計測する計測器201と、計測器201を制御する計測制御部202と、研削加工部203と、研削加工部203を制御する研削制御部204と、を有する。ワークWの形状が、例えば図3に示すような円柱状であるとする。この場合、計測制御部202は、ワークWの互いに交差する複数の径方向(図3では3方向)における最大寸法D1、D2、D3を計測する。なお、図3では、3方向における最大寸法D1、D2、D3を計測する例について示しているが、計測する径方向は3方向に限定されるものではなく、例えば2方向であってもよいし4方向以上であってもよい。ここにおいて、計測器201は、ワークWをその中心軸J1周りに回転自在に保持するワーク保持部(図示せず)を有する。そして、計測制御部202は、計測器201を制御して、ワークWをその中心軸J1周りに60度ずつ回転させながら図3に示す3箇所の径方向の最大寸法D1、D2、D3を計測する。このようにして、計測制御部202は、ワークWの複数の径方向での最大寸法値を取得する。そして、計測制御部202は、取得した複数の最大寸法値の中から最小値を特定して出力する。この計測器201と計測制御部202とから、切削加工装置1が切削加工したワークWの寸法を計測する計測部200が構成されている。
研削加工部203は、砥石とワークWを回転自在に保持する保持台とを有する。研削制御部204は、インタフェースを介して研削加工部203へ制御信号を出力することにより、研削加工部203を制御するコンピュータから構成される。また、計測制御部202は、ワークWの寸法の公差の上限値である公差上限値と、公差の下限値である公差下限値と、ワークWの設計値と、を示す情報を記憶する第2加工装置記憶部である研削加工装置記憶部(図示せず)を有する。そして、計測制御部202は、ワークWの計測値から設計値を差し引いて得られる寸法誤差を算出する。この寸法誤差は、計測値が設計値を超える場合、正の値を示し、計測値が設計値未満の場合、負の値を示す。計測制御部202は、ワークWの寸法誤差が公差上限値以下であり且つ公差下限値以上である場合、加工精度OKと判定する。一方、計測制御部202は、ワークWの寸法誤差が公差上限値を超える場合、或いは、ワークWの寸法誤差が公差下限値未満である場合、加工精度NGと判定する。ここで、研削制御部204は、計測制御部202によりワークWの寸法誤差が公差上限値を超えると判定されると、研削加工を実行するための制御信号を研削加工部203へ出力する。そして、研削加工部203は、入力される制御信号に基づいて、切削加工装置1が切削加工したワークWに対して、研削加工を実行する。一方、研削制御部204は、計測制御部202によりワークWの寸法誤差が公差下限値未満であると判定されると、ワークWを排出するための制御信号を研削加工部203へ出力する。そして、研削加工部203は、入力される制御信号に基づいて、ワークWを排出する。ここで、寸法誤差が、公差下限値未満とは、寸法誤差が負の値であり、寸法誤差の絶対値が公差下限値の絶対値を超えていることを意味する。研削加工部203は、保持台に回転自在に保持された円柱状のワークWに、砥石を回転させながら押し当てることによりワークWを研削する。一方、研削加工部203は、研削加工をスキップする場合、ワークWに対して、研削加工を実行せず、ワークWを研削加工装置2から排出する。
補正値生成部4は、コンピュータから構成され、計測部200により計測された、切削加工されたワークWの寸法の計測値と、ワークWの寸法の設計値と、ワークWの寸法の目標値と、から、新たな補正値を生成する。具体的には、補正値生成部4は、予めワークWの寸法の設計値を保持しており、切削加工装置1の切削制御部102から既に設定されている補正値を取得するとともに、研削加工装置2の計測制御部202からワークWの寸法の計測値を取得する。そして、補正値生成部4は、下記式(1)の関係式を用いて、新たな補正値を算出する。
(新たな補正値)=(既に設定されている補正値)−(計測値−設計値)・・・式(1)
例えば、図2に示すように、ワークWの直径の設計値Ddが10mmであり、既に設定されている補正値が0mmであったとする。この場合、切削制御部102に設定されるワークWの直径の目標値は、10mmである。この場合、切削制御部102は、ワークWの直径を目標値10mmにするように工具をワークWへ切り込ませるよう制御するための制御信号を切削加工部101へ出力する。そして、切削加工装置1により切削加工を行った後のワークWの直径の計測値Drが11mmであったとする。この場合、(計測値Dr−設計値Dd)は1mmになる。そうすると、新たな補正値は、0mm−1mm=−1mmに設定される。このとき、切削制御部102に設定されるワークWの直径の寸法の目標値は、ワークWの直径の設計値10mmに新たな補正値−1mmを加えた9mmに更新される。また、ワークWが、図3に示すような円柱状の部材であるとする。そして、計測制御部202が、前述のように、ワークWについて、3箇所の径方向の最大寸法D1、D2、D3を計測するとする。この場合、補正値生成部4は、3箇所の径方向の最大寸法D1、D2、D3の計測値のうちの最小値を、ワークWの直径の計測値として採用する。これにより、例えば図3に示すように、ワークWにバリWBが存在する場合でも、バリWBによるワークWの直径の計測値への影響を抑制することができる。また、バリWBのみでなくワークWに溝がある場合にも直径の計測が可能である。補正値生成部4は、前述の式(1)の関係式を用いて算出した新たな補正値を示す情報を切削加工装置1の切削制御部102へ出力する。そして、切削制御部102は、既に切削制御部102に設定されている目標値を、ワークWの設計値と補正値生成部4から入力される新たな補正値とにより定まる新たな目標値に更新する。
次に、本実施の形態に係る複合加工システムの動作について図4および図5を参照しながら説明する。まず、ワークWが切削加工装置1に投入される(ステップS1)。
次に、切削加工装置1は投入完了信号をONに設定する(ステップS2)。
続いて、現在切削加工装置1に設定されている補正値と、切削加工装置1に設定されているプログラム番号とを示す情報が、切削加工装置1から補正値生成部4へ出力される(ステップS3)。
その後、投入完了信号がONに設定されてから第1期間△T1だけ経過した後、投入完了信号をOFFに設定する(ステップS4)。この第1期間ΔT1の長さは、切削加工装置1が各種情報を補正値生成部4へ出力するのに要する時間に基づいて設定される。この各種情報には、例えば補正値とプログラム番号とを示す情報が含まれる。
次に、補正値生成部4は、切削加工装置1の補正値の更新をスキップするよう指令するスキップ信号をOFFに設定する(ステップS5)。
続いて、補正値生成部4は、切削加工装置1の補正値を更新するよう指令する補正信号をOFFに設定する(ステップS6)。その後、1サイクル前に切削加工装置1が加工したワークWが、切削加工装置1から研削加工装置2へ搬送される。
続いて、切削加工装置1は、ワークWを粗加工する(ステップS7)。切削加工装置1は、図2に示すように、チャックに装着された円柱状のワークWを回転させるとともに、工具BをワークWに押し当てることによりワークWを切削する。このとき、切削制御部102は、ワークWの設計値と補正値とにより定まる工具の切込み量に基づいて、当該切込み量だけ工具をワークWへ切り込ませるよう制御するための制御信号を切削加工部101へ出力する。そして、切削加工部101は、入力される制御信号に対応する切込み量だけ工具をワークWへ切り込ませる形でワークWを切削する。
次に、研削加工装置2は、1サイクル前に研削加工装置2が加工したワークWを研削加工装置2から排出する(ステップS8)。
続いて、切削加工装置1から研削加工装置2へ搬送されたワークWが、研削加工装置2に投入される(ステップS9)。
その後、研削加工装置2は、ワークWをその中心軸J1周りに60度ずつ回転させながら3箇所の径方向の寸法を計測する(ステップS10)。そして、研削加工装置2は、計測された3つの計測値の最小値をワークWの寸法の計測値とする。その後、研削加工装置2は、ワークWの寸法の計測値から設計値を差し引くことにより寸法誤差を算出し、寸法誤差に基づいて、ワークWの加工精度を判定する。具体的には、研削加工装置2は、ワークWについて予め設定された公差の上限値に相当する公差上限値と、公差の下限値に相当する公差下限値と、を保持している。そして、研削加工装置2は、ワークWの寸法誤差が公差内である場合、加工精度が良好である(以下、「加工精度OK」と称する。)と判定する。一方、研削加工装置2は、ワークWの寸法誤差が公差外である場合、加工精度が悪い(以下、「加工精度NG」と称する。)と判定する。
ここで、研削加工装置2が、ワークWについて加工精度NGであり且つワークWの寸法誤差が公差上限値を超えていると判定したとする(ステップS11)。
次に、研削加工装置2は、加工精度NGを示す加工精度判定情報を補正値生成部4へ出力する(ステップS12)。
続いて、ワークWの寸法の計測値と研削加工装置2の研削加工部203を制御するためのプログラムに付与されたプログラム番号とを示す情報が、研削加工装置2から補正値生成部4へ出力される(ステップS13)。
その後、研削加工装置2は、研削加工(仕上げ加工)を実行する(ステップS14)。
次に、補正値生成部4は、加工精度判定情報が入力されると、切削加工装置1から取得したプログラム番号と研削加工装置2から取得したプログラム番号とが同一であるか否かを判定する。ここで、補正値生成部4が、これらのプログラム番号が同一であると判定したとする(ステップS15)。
続いて、補正値生成部4は、切削加工装置1の切削制御部102に設定されている補正値と、補正値生成部4が直近に切削制御部102に対して、設定した補正値と、が同一であるか否かを判定する。そして、補正値生成部4は、これらの補正値が同一であると判定したとする(ステップS16)。この場合、補正値生成部4は、ワークWの寸法の計測値に基づいて、ワークWの寸法誤差が補正値の変更を行わない不変範囲内であるか否かを判定する。この不変範囲は、切削加工装置1の切削加工部101の工具の切込み量の調整を行わない範囲でもある。そして、この不変範囲は、例えば、切削加工装置1の性能または切削加工装置1で使用される工具の種類に基づいて設定される。ここにおいて、補正値生成部4は、例えば図8に示すように、不変範囲の上限値、下限値を示す不変範囲上限値L3、不変範囲下限値L2を示す情報を保持している。不変範囲は、ワークWの公差内に含まれる。従って、補正値生成部4は、加工精度判定情報が加工精度NGを示す場合、ワークWの寸法誤差が不変範囲の外であると判定する。
図4に戻って、補正値生成部4が、工具の切込み量の調整が必要であると判定したとする(ステップS17)。
この場合、補正値生成部4は、前述の式(1)の関係式を用いて、新たな補正値を算出する(ステップS18)。
その後、補正値生成部4は、切削加工装置1の補正値を更新するよう指令する補正信号をONに設定し、新たな補正値を示す情報を切削加工装置1へ出力する(ステップS19)。
一方、切削加工装置1は、補正値生成部4から新たな補正値を示す情報が入力されると、自己が保持する補正値を新たな補正値に更新する(ステップS20)。ここにおいて、切削加工装置1は、ワークWの寸法誤差が公差内であっても補正値を新たな補正値に更新する。
次に、切削加工装置1は、ワークWを仕上げ加工する(ステップS21)。このとき、切削制御部102は、ワークWの設計値と更新後の新たな補正値とにより定まる工具の切込み量に基づいて、当該切込み量だけ工具をワークWへ切り込ませるよう制御するための制御信号を切削加工部101へ出力する。そして、切削加工部101は、入力される制御信号に対応する切込み量だけ工具をワークWへ切り込ませる形でワークWを切削する。
続いて、切削加工装置1は、ワークWを排出する(ステップS22)。
別サイクルにおいて、研削加工装置2が、図5に示すように、ワークWについて加工精度OKと判定したとする(ステップS23)。
この場合、研削加工装置2は、研削加工を実行することなく、ワークWを排出する(ステップS24)。
その後、加工精度OKを示す加工精度判定情報が、研削加工装置2から補正値生成部4へ出力される(ステップS25)。
次に、ワークWの寸法の計測値とプログラム番号とを示す情報が、研削加工装置2から補正値生成部4へ出力される(ステップS26)。ここで、プログラム番号は、研削加工装置2が使用するプログラムに付与された番号である。
続いて、補正値生成部4は、加工精度判定情報が入力されると、切削加工装置1から取得したプログラム番号と研削加工装置2から取得したプログラム番号とが同一であるか否かを判定する。ここで、補正値生成部4が、これらのプログラム番号が同一であると判定したとする(ステップS27)。
その後、補正値生成部4は、これらのプログラム番号が同一であると判定すると、切削加工装置1の切削制御部102に設定されている補正値と、補正値生成部4が直近に切削制御部102に対して、設定した補正値と、が同一であるか否かを判定する。そして、補正値生成部4は、これらの補正値が同一であると判定したとする(ステップS28)。
次に、補正値生成部4が、切削加工装置1の切削加工部101の工具の切込み量の調整が不要であると判定したとする(ステップS29)。
続いて、補正値生成部4は、切削加工装置1の補正値の更新をスキップするよう指令するスキップ信号をONに設定する(ステップS30)。
その後、切削加工装置1は、補正値を更新せずに、仕上げ加工を実行する(ステップS31)。
次に、切削加工装置1は、ワークWを排出する(ステップS32)。
以上説明したように、本実施の形態に係る複合加工システムによれば、研削加工装置2が、切削加工装置1が切削加工したワークWの寸法を計測する計測部200を有する。そして、切削加工装置1が、ワークWの寸法の設計値に補正値を加えてなるワークWの寸法の目標値に基づいて、ワークWを切削加工し、研削加工装置2が、計測部200により切削加工装置1が切削加工したワークWの寸法を計測する。これにより、研削加工装置2が、計測部200により切削加工装置1が切削加工したワークWの寸法を計測している間、切削加工装置1が、並行して他のワークWを切削加工することができるので、複合加工システム全体としてのスループットが向上する。
また、本実施の形態に係る複合加工システムは、例えばワークWの切削加工と切削加工後のワークWの寸法の計測とを同一の装置で行う構成に比べて、ワークWのスループットを向上させることができ、製造効率が向上するという利点がある。また、ワークWの切削加工装置1への投入待ち時間が短縮されるので、研削加工装置2での研削加工に比べてワークWの除去量が多く加工時間の長い切削加工装置1での切削加工に要する時間が短縮される。
更に、本実施の形態に係る複合加工システムでは、研削加工装置2の研削加工装置記憶部が、ワークWの寸法の公差の上限値である公差上限値と、公差の下限値である公差下限値と、を示す情報を記憶する。そして、研削加工装置2は、寸法誤差が公差上限値を超えると判定すると、切削加工装置1が切削加工したワークWに対して、研削加工を実行する。一方、研削加工装置2は、寸法誤差が公差下限値未満であると判定すると、ワークWに対する研削加工の実行をスキップしてワークWを排出する。これにより、ワークWの加工精度を高い精度で維持しつつ、必要な研削加工のみを行うので、加工時間の短縮によりスループットが向上し、製造効率も向上するという利点がある。
更に、本実施の形態に係る複合加工システムでは、例えばワークWの形状が、図3に示すような円柱状である場合、計測部200が、互いに交差する3つの方向におけるワークWの最大寸法の計測値の最小値を出力する。これにより、例えば図3に示すように、ワークWの一部にバリWBが存在する場合でもワークWの寸法を正確に計測することができる。従って、切削加工装置1の切削制御部102に適切な補正値を設定することが可能となる。
また、本実施の形態に係る複合加工システムにおいて、研削加工装置2が有する計測器201として、研削加工装置2の研削加工部203が元々有する計測器を採用することができる。従って、切削加工装置1にワークWの寸法を計測する機能を新たに設ける必要がないので、切削加工装置1の更新のためのコストが削減されるという利点がある。
(実施の形態2)
本実施の形態に係る複合加工システムは、ワークを切削加工する切削加工装置とワークを研削加工する研削加工装置とを備える点では実施の形態1に係る複合加工システムと同様である。但し、本実施の形態に係る複合加工システムは、切削加工装置で加工されたワークに対して、加工を施す中間加工装置を備える点が実施の形態1に係る複合加工システムと相違する。そして、本実施の形態に係る複合加工システムでは、切削加工装置で切削加工され、その後、中間加工装置で加工されたワークについて、その寸法を計測し、計測により得られる計測値に基づいて、切削加工装置の工具の切込み量を調整する。
本実施の形態に係る複合加工システムは、図6に示すように、切削加工装置1と、中間加工装置3と、研削加工装置2と、補正値生成部4と、を備える。なお、図6において、白矢印、破線矢印および実線矢印の意味は、実施の形態1の図1と同様である。また、図6において、実施の形態1と同様の構成については同一の符号を付している。
切削加工装置1の切削制御部102には、ワークWの仕様に応じて切削加工部101を制御するためのプログラムに付与されたプログラム番号と、ワークWの仕様に応じた補正値と、が設定されている。そして、切削制御部102は、ワークWの仕様に応じたプログラムおよび補正値に基づいて、ワークWを切削加工する。例えばワークWが、円柱状でありその中心軸方向における位置によって径が異なる仕様であるとする。この場合、ワークWの仕様に応じたプログラムは、例えばワークWの中心軸方向における位置と切削加工部101の工具の切込み量とを定めるものでとなる。研削加工装置2の研削加工装置記憶部は、ワークWの公差に含まれ且つ補正値が変更されない不変範囲を示す情報を更に記憶している。そして、補正値生成部4は、ワークWの寸法誤差が公差に含まれると判定された場合、ワークWの寸法誤差が研削加工装置記憶部が記憶する不変範囲に含まれると判定すると、新たな補正値の生成をスキップする。一方、補正値生成部4は、ワークWの寸法誤差が不変範囲の外であると判定すると、新たな補正値を生成する。
中間加工装置3は、ワークWを加工する機械加工装置、塗装する塗装装置またはワークWを洗浄する洗浄装置のような装置から構成される。
次に、本実施の形態に係る複合加工システムの動作について図7から図11を参照しながら説明する。まず、ワークWが切削加工装置へ投入される(ステップS33)。
次に、切削加工装置1は、ワークWの切削加工装置1への投入が完了した旨を通知するための投入完了信号をONに設定する(ステップS34)。
続いて、補正値とプログラム番号とを示す情報が、切削加工装置1から補正値生成部4へ出力される(ステップS35)。ここで、補正値は、切削加工装置1の切削制御部102に設定されている補正値である。また、プログラム番号は、切削制御部102が使用するプログラムに付与された番号である。
一方、補正値生成部4は、投入完了信号がONすると、予め設定された第1期間△T1内に、切削加工装置1へのワークWの投入する投入数を示す投入数カウント値Xを1だけインクリメントする(ステップS36)。
その後、切削加工装置1は、投入完了信号がONに設定されてから第1期間△T1だけ経過した後、投入完了信号をOFFに設定する(ステップS37)。この第1期間△T1の長さは、例えば補正値生成部4がワークWの投入数を示す投入数カウント値Xを1だけインクリメントするのに要する時間に基づいて設定される。
一方、補正値生成部4により、投入数カウント値Xが数n+1(n=1の場合は2)よりも小さいと判定されたとする(ステップS38)。ここで、nは中間加工装置3の台数を示す。
この場合、補正値生成部4は、切削加工装置1の補正値の更新をスキップするよう指令するスキップ信号をONに設定する(ステップS39)。
次に、補正値生成部4は、切削加工装置1の補正値を更新するよう指令する補正信号をOFFに設定する(ステップS40)。その後、1サイクル前に切削加工装置1が加工したワークWが、切削加工装置1から中間加工装置3へ搬送される。
続いて、切削加工装置1は、ワークWの粗加工を実行する(ステップS41)。
その後、切削加工装置1は、ステップS41の粗加工が完了した後において、スキップ信号がONに設定されている場合、補正値の更新を行わずに仕上げ加工を実行する(ステップS42)。
また、中間加工装置3は、1サイクル前に中間加工装置3が加工したワークWを排出する(ステップS43)。
次に、切削加工装置1から中間加工装置3へ搬送されたワークWが、中間加工装置3に投入される(ステップS44)。その後、1サイクル前に中間加工装置3が加工したワークWが、中間加工装置3から研削加工装置2へ搬送される。
続いて、中間加工装置3が、中間加工装置3に投入されたワークWを中間加工する(ステップS45)。
その後、研削加工装置2は、1サイクル前に加工したワークWを排出する(ステップS46)。
次に、中間加工装置3から研削加工装置2へ搬送されたワークWが、研削加工装置2へ投入される(ステップS47)。
続いて、研削加工装置2は、ワークWの寸法を計測する(ステップS48)。その後、研削加工装置2は、ワークWの寸法の計測値に基づいて、ワークWの寸法誤差がワークWの要求仕様に基づいて設定された公差内であるか否かを判定する。ここにおいて、研削加工装置2は、例えば図8に示すように、ワークWの寸法の公差の上限値、下限値を示す公差上限値L4、公差下限値L1を示す情報を保持している。そして、研削加工装置2は、ワークWの寸法の計測値から設計値を差し引いて得られる寸法誤差Lを算出し、寸法誤差Lが公差上限値L4を超えている場合または公差下限値L1未満である場合、加工精度NGと判定する。なお、図8において、「調整要」とは、切削加工装置1が使用する工具の切込み量の調整が必要であることを示している。一方、研削加工装置2は、ワークWの寸法誤差Lが公差上限値L4以下であり且つ公差下限値L1以上である場合、加工精度OKと判定する。
図7に戻って、その後、研削加工装置2が、ワークWについて加工精度NGであり且つ寸法誤差が公差下限値未満であると判定したとする(ステップS49)。
この場合、研削加工装置2は、加工精度NGを示す加工精度判定情報を補正値生成部4へ出力する(ステップS50)。
その後、ワークWの寸法の計測値と研削加工装置2の研削加工部203を制御するためのプログラムに付与されたプログラム番号とを示す情報が、研削加工装置2から補正値生成部4へ出力される(ステップS51)。
次に、図9に示すように、研削加工装置2は、ワークWが不良品である旨を示すアラームを発報する(ステップS52)。
続いて、研削加工装置2は、研削加工部203の動作を停止させる(ステップS53)。
その後、研削加工装置2は、ワークWを排出する(ステップS54)。
そして、切削加工装置1、中間加工装置3および研削加工装置2を含むライン内に存在する各装置による加工が完了すると、切削加工装置1がワークWを排出して(ステップS55)、次のサイクルに移行する。
その後、ワークWが切削加工装置1へ投入されるとする(ステップS56)。
この場合、切削加工装置1は、投入完了信号をONに設定する(ステップS57)。
次に、切削加工装置1の切削制御部102に設定された補正値と切削加工部101を制御するためのプログラムに付与されたプログラム番号とを示す情報が、切削加工装置1から補正値生成部4へ出力される(ステップS58)。
一方、補正値生成部4は、投入完了信号がONになると、予め設定された第1期間△T1内に、自己が記憶する切削加工装置1へのワークWの投入数を示すカウント値Xを1だけインクリメントする(ステップS59)。
また、切削加工装置1は、投入完了信号がONに設定されてから第1期間△T1だけ経過した後、投入完了信号をOFFに設定する(ステップS60)。
ここで、補正値生成部4が投入数カウンタの値Xが中間加工装置3の台数よりも1だけ大きい数n+1(n=1の場合は2)以上であると判定したとする(ステップS61)。
この場合、補正値生成部4は、切削加工装置1の補正値の更新をスキップするよう指令するスキップ信号をOFFに設定する(ステップS62)。
また、切削加工装置1の補正値を更新するよう指令する補正信号をOFFに設定する(ステップS63)。その後、1サイクル前に切削加工装置1が加工したワークWが、切削加工装置1から中間加工装置3へ搬送される。
続いて、切削加工装置1は、ワークWの粗加工を実行する(ステップS64)。
その後、中間加工装置3は、1サイクル前に加工したワークWを排出する(ステップS65)。
次に、切削加工装置1から中間加工装置3へ搬送されたワークWが、中間加工装置3に投入される(ステップS66)。
続いて、中間加工装置3が、中間加工装置3に投入されたワークWを中間加工する(ステップS67)。
その後、研削加工装置2は、1サイクル前に加工したワークWを排出する(ステップS68)。
次に、中間加工装置3から研削加工装置2へ搬送されたワークWが、研削加工装置2へ投入される(ステップS69)。
続いて、図10に示すように、研削加工装置2は、ワークWの寸法を計測する(ステップS70)。
その後、研削加工装置2は、ワークWについて加工精度NGであり且つ寸法誤差が公差上限値を超えていると判定したとする(ステップS71)。
この場合、研削加工装置2は、加工精度NGを示す加工精度判定情報を補正値生成部4へ出力する(ステップS72)。
続いて、ワークWの寸法の計測値と研削加工装置2の研削加工部203を制御するためのプログラムに付与されたプログラム番号とを示す情報が、研削加工装置2から補正値生成部4へ出力される(ステップS73)。
その後、研削加工装置2は、研削加工(仕上げ加工)を実行する(ステップS74)。
一方、補正値生成部4は、加工精度判定情報が入力されると、切削加工装置1から取得したプログラム番号と研削加工装置2から取得したプログラム番号とが同一であるか否かを判定する。そして、補正値生成部4は、これらのプログラム番号が同一であると判定したとする(ステップS75)。
次に、切削加工装置1の切削制御部102に設定されている補正値と、補正値生成部4が直近に切削制御部102に対して、設定した補正値と、が同一であるか否かを判定する。そして、補正値生成部4は、これらの補正値が同一であると判定すると(ステップS76)、ワークWの寸法の計測値に基づいて、ワークWの寸法誤差が、補正値を変更しない不変範囲内であるか否かを判定する。ここにおいて、図8に示すように、ワークWの寸法誤差Lが不変範囲の上限値L3を超えている場合または不変範囲の下限値L2未満であるとする。この場合、補正値生成部4は、新たな補正値を生成する必要がある、即ち、切削加工装置1の切削加工部101の工具の切込み量の調整が必要であると判定する。
ここで、補正値生成部4が、切削加工装置1の切削加工部101の工具の切込み量の調整が必要であると判定したとする(ステップS77)。
この場合、補正値生成部4は、前述の式(1)の関係式を用いて、新たな補正値を算出する(ステップS78)。
続いて、補正値生成部4は、切削加工装置1の補正値を更新するよう指令する補正信号をONに設定し、新たな補正値を示す情報を切削加工装置1へ出力する(ステップS79)。
一方、切削加工装置1は、補正値生成部4から新たな補正値を示す情報が入力されると、自己が保持する補正値を新たな補正値に更新する(ステップS80)。
その後、切削加工装置1は、ワークWを仕上げ加工する(ステップS81)。
そして、切削加工装置1、中間加工装置3および研削加工装置2を含むライン内に存在する各装置による加工が完了すると、切削加工装置1がワークWを排出して(ステップS82)、次のサイクルに移行する。
また、図11に示すように、研削加工装置2が、ワークWについて加工精度OKと判定したとする(ステップS83)。
この場合、研削加工装置2は、研削加工を実行することなく、ワークWを排出する(ステップS84)。
次に、加工精度OKを示す加工精度判定情報が、研削加工装置2から補正値生成部4へ出力される(ステップS85)。
続いて、ワークWの寸法の計測値と研削加工装置2の研削加工部203を制御するためのプログラムに付与されたプログラム番号とを示す情報が、研削加工装置2から補正値生成部4へ出力される(ステップS86)。
その後、補正値生成部4は、加工精度判定情報が入力されると、切削加工装置1から取得したプログラム番号と研削加工装置2から取得したプログラム番号とが同一であるか否かを判定する。ここで、補正値生成部4が、これらのプログラム番号が同一であると判定したとする(ステップS87)。
この場合、補正値生成部4は、切削加工装置1の切削制御部102に設定されている補正値と、補正値生成部4が直近に切削制御部102に対して、設定した補正値と、が同一であるか否かを判定する。そして、補正値生成部4は、これらの補正値が同一であると判定したとする(ステップS88)。
次に、補正値生成部4が、切削加工装置1の切削加工部101の工具の切込み量の調整が不要であると判定したとする(ステップS89)。
続いて、補正値生成部4は、切削加工装置1の補正値の更新をスキップするよう指令するスキップ信号をONに設定する(ステップS90)。
その後、切削加工装置1は補正値を更新せずに、仕上げ加工を実行する(ステップS91)。
次に、切削加工装置1、中間加工装置3および研削加工装置2を含むライン内に存在する各装置による加工が完了すると、切削加工装置1がワークWを排出して(ステップS92)、次のサイクルに移行する。
次に、本実施の形態に係る切削加工装置の切削制御部102が実行する切削制御処理について図12を参照しながら説明する。この切削制御処理は、例えばユーザが切削加工装置1へ電源を投入したことを契機として開始される。
まず、切削制御部102は、切削加工装置1へのワークWの投入を検知したか否かを判定する(ステップS101)。切削制御部102は、ワークWの投入を検知しない限り(ステップS101:No)、待機状態を維持する。
一方、切削制御部102は、切削加工装置1へのワークWの投入を検知すると(ステップS101:Yes)、投入完了信号をONに設定する(ステップS102)。次に、切削制御部102は、ステップS102の処理を実行した後、予め設定された第1期間△T1経過後、投入完了信号をOFFに設定する(ステップS103)。続いて、切削制御部102は、ワークWの寸法の設計値と設計値に対する補正値とにより定まるワークWの寸法の目標値に基づいて、切削加工部101を制御してワークWの粗加工を実行する(ステップS104)。
その後、切削制御部102は、ステップS104の粗加工が完了した後、補正値生成部4から入力されるスキップ信号がOFFに設定されているか否かを判定する(ステップS105)。切削制御部102は、スキップ信号がONに設定されていると判定すると(ステップS105:No)、後述のステップS109の処理を実行する。
一方、切削制御部102は、スキップ信号がOFFに設定されていると判定すると(ステップS105:Yes)、補正値生成部4から入力される補正信号がONに設定されているか否かを判定する(ステップS106)。切削制御部102は、補正信号がOFFに設定されていると判定すると(ステップS106:No)、再びステップS105の処理を実行する。一方、切削制御部102は、補正信号がONに設定されていると判定すると(ステップS106:Yes)、補正値生成部4から新たな補正値を取得し(ステップS107)、自己が管理する補正値を新たな補正値で更新する(ステップS108)。これにより、切削制御部102は、ワークWの寸法の設計値と更新された新たな補正値とにより定まるワークWの寸法の目標値に基づいて、切削加工部101を制御してワークWの切削加工を実行する。
次に、切削制御部102は、切削加工部101を制御して、ワークWの仕上げ加工を実行する(ステップS109)。続いて、切削制御部102は、ワークWを切削加工装置1から排出する(ステップS110)。その後、切削制御部102は、再びステップS101の処理を実行する。
次に、本実施の形態に係る研削加工装置の研削制御部204が実行する研削制御処理について図13を参照しながら説明する。この研削制御処理は、例えばユーザが研削加工装置2へ電源を投入したことを契機として開始される。
まず、研削制御部204は、研削加工装置2へのワークWの投入を検知したか否かを判定する(ステップS301)。研削制御部204は、ワークWの投入を検知しない限り(ステップS301:No)、待機状態を維持する。
一方、研削制御部204は、研削加工装置2へのワークWの投入を検知すると(ステップS301:Yes)、計測制御部202へ計測開始を指令するための計測開始信号をONに設定する(ステップS302)。次に、研削制御部204は、計測制御部202から入力される計測完了信号がONに設定されているか否かを判定する(ステップS303)。研削制御部204は、計測完了信号がOFFに設定されている限り(ステップS303:No)、待機状態を維持する。
一方、研削制御部204は、計測完了信号がONに設定されたと判定すると(ステップS303:Yes)、計測制御部202からワークWについての加工精度判定情報を取得する(ステップS304)。続いて、研削制御部204は、加工精度判定情報の内容から、計測制御部202によりワークWについて加工精度NGであり且つ寸法誤差が公差下限値未満であると判定されたか否かを判定する(ステップS305)。計測制御部202が、ワークWについて加工精度NGであり且つ寸法誤差が公差下限値未満であると判定したとすると(ステップS305:Yes)、研削制御部204は、アラームを発報して(ステップS306)、研削加工部203を停止させる(ステップS307)。その後、研削制御部204は、ワークWを研削加工装置2から排出させてから(ステップS308)、再びステップS301の処理を実行する。
一方、計測制御部202が、ワークWについて加工精度NGであり且つ寸法誤差が公差下限値未満であると判定しなかったとする(ステップS305:No)。この場合、研削制御部204は、加工精度判定情報の内容から、計測制御部202によりワークWについて加工精度NGであり且つ寸法誤差が公差上限値を超えていると判定されたか否かを判定する(ステップS309)。計測制御部202が、ワークWについて加工精度OKと判定したとすると(ステップS309:No)、研削制御部204は、後述のステップS311の処理を実行する。一方、計測制御部202が、ワークWについて加工精度NGであり且つ寸法誤差が公差上限値を超えていると判定したとすると(ステップS309:Yes)、研削制御部204は、研削加工部203を制御して、仕上げ加工を実行する(ステップS310)。次に、研削制御部204は、ステップS310の仕上げ加工が完了すると、ワークWを研削加工装置2から排出し(ステップS311)、再びステップS301の処理を実行する。
次に、本実施の形態に係る研削加工装置の計測制御部202が実行する計測制御処理について図14を参照しながら説明する。この計測制御処理は、例えばユーザが研削加工装置2へ電源を投入したことを契機として開始される。
まず、計測制御部202は、研削制御部204から入力される計測開始信号がONに設定されているか否かを判定する(ステップS501)。計測制御部202は、計測開始信号がOFFに設定されている限り(ステップS501:No)、待機状態を維持する。一方、計測制御部202は、計測開始信号がONに設定されていると判定すると(ステップS501:Yes)、計測器201を制御して、ワークWの寸法の計測を実行する(ステップS502)。
次に、計測制御部202は、ワークWの寸法についての計測値から設計値を差し引くことにより寸法誤差を算出し、ワークWの加工精度を判定する(ステップS503)。ここで、計測制御部202は、ワークWの寸法誤差が公差上限値以下であり且つ公差下限値以上である場合、加工精度OKと判定する。一方、計測制御部202は、ワークWの寸法誤差が公差上限値を超える場合、或いは、ワークWの寸法誤差が公差下限値未満である場合、加工精度NGと判定する。続いて、計測制御部202は、研削制御部204へ出力する計測完了信号をONに設定する(ステップS504)。その後、計測制御部202は、予め設定された第4期間経過後、計測完了信号をOFFに設定した後(ステップS505)、再びステップS501の処理を実行する。
次に、本実施の形態に係る補正値生成部4が実行する補正値設定処理について図15および図16を参照しながら説明する。この補正値設定処理は、例えばユーザが切削加工装置1と研削加工装置2との両方へ電源を投入したことを契機として開始される。
まず、補正値生成部4は、図15に示すように、切削加工装置1から入力される投入完了信号がONに設定されているか否かを判定する(ステップS601)。補正値生成部4は、投入完了信号がOFFに設定されている限り(ステップS601:No)、待機状態を維持する。一方、補正値生成部4は、投入完了信号がONに設定されていると判定すると(ステップS601:Yes)、切削加工装置1の切削制御部102の現在の補正値を示す情報を取得する(ステップS602)。また、補正値生成部4は、切削制御部102から切削制御部102が切削加工部101を制御するためのプログラムに付与されたプログラム番号を示す情報を取得する(ステップS603)。
次に、補正値生成部4は、切削加工装置1へのワークWの投入数を示す投入カウンタのカウント値Xを1だけインクリメントする(ステップS604)。続いて、補正値生成部4は、投入カウンタのカウント値Xが中間加工装置3の台数に1を加えた値(n+1)未満であるか否かを判定する(ステップS605)。補正値生成部4は、投入カウンタのカウント値Xが値n+1以上であると判定すると(ステップS605:No)、切削加工装置1へ出力するスキップ信号をOFFに設定する(ステップS606)。一方、補正値生成部4は、投入カウンタのカウント値Xが値n+1未満であると判定すると(ステップS605:Yes)、切削加工装置1へ出力するスキップ信号をONに設定する(ステップS607)。その後、補正値生成部4は、補正信号をOFFに設定する(ステップS608)。
次に、補正値生成部4は、計測制御部202から入力される計測完了信号がONに設定されているか否かを判定する(ステップS609)。補正値生成部4は、計測完了信号がOFFに設定されている限り(ステップS609:No)、待機状態を維持する。一方、補正値生成部4は、計測完了信号がONに設定されていると判定すると(ステップS609:Yes)、計測制御部202から加工精度判定情報を取得する(ステップS610)。続いて、補正値生成部4は、計測制御部202からワークWの寸法の計測値を取得する(ステップS611)。また、補正値生成部4は、図16に示すように、研削制御部204から研削加工部203を制御するためのプログラムに付与されたプログラム番号を示す情報を取得する(ステップS612)。
その後、補正値生成部4は、切削加工装置1から取得したプログラム番号と研削加工装置2から取得したプログラム番号とが同一であるか否かを判定する(ステップS613)。補正値生成部4は、これらのプログラム番号が異なると判定すると(ステップS613:No)、投入数カウンタのカウント値Xを「0」にクリアしてから(ステップS614)、後述のステップS618の処理を実行する。一方、補正値生成部4は、これらのプログラム番号が同一であると判定すると(ステップS613:Yes)、切削加工装置1の切削制御部102に設定されている補正値と、補正値生成部4が直近に切削制御部102に対して、設定した補正値と、が同一であるか否かを判定する(ステップS615)。補正値生成部4は、これらの補正値が異なると判定すると(ステップS615:No)、投入数カウンタのカウント値Xを「0」にクリアしてから(ステップS614)、後述のステップS618の処理を実行する。
一方、補正値生成部4は、これらの補正値が同一であると判定すると(ステップS615:Yes)、ワークWの寸法の計測値に基づいて、ワークWの寸法誤差が公差内であるか否かを判定する(ステップS616)。補正値生成部4は、ワークWの寸法誤差が公差外であると判定すると(ステップS616:No)、後述のステップS619の処理を実行する。一方、補正値生成部4は、ワークWの寸法誤差が公差内であると判定すると(ステップS616:Yes)、ワークWの寸法誤差が不変範囲内であるか否かを判定する(ステップS617)。補正値生成部4は、ワークWの寸法誤差が不変範囲内であると判定すると(ステップS617:Yes)、切削加工装置1の切削制御部102へ出力するスキップ信号をONに設定する(ステップS618)。その後、補正値生成部4は、再び図15のステップS601の処理を実行する。
また、補正値生成部4は、ワークWの寸法誤差が不変範囲の外であると判定すると(ステップS617:No)、切削加工装置1の切削制御部102に設定する新たな補正値を算出する(ステップS619)。続いて、補正値生成部4は、切削制御部102へ出力する補正信号をONに設定する(ステップS620)。その後、再び図15のステップS601の処理を実行する。
以上説明したように、本実施の形態に係る複合加工システムによれば、中間加工装置3により加工が施されたワークWの寸法の計測値に基づいて、切削加工装置1の工具の切込み量の調整を行う。これにより、中間加工装置3での加工がワークWの加工精度に与える影響を考慮した形で、切削加工装置1の工具の切込み量の調整を行うことが可能になる。従って、ワークWの加工品質が向上するという利点がある。
また、本実施の形態に係る複合加工システムによれば、研削加工装置2の研削加工装置記憶部が、公差に含まれ且つ補正値を変更しない不変範囲を示す情報を記憶している。この不変範囲は、補正値生成部4が新たな補正値の生成をスキップする寸法誤差に対する範囲に相当する。そして、補正値生成部4は、研削加工装置2により、寸法誤差が公差に含まれると判定された場合でも、寸法誤差が不変範囲の外であると判定すると、新たな補正値を生成する。これにより、切削加工装置1の工具の切込み量を、ワークWの寸法誤差が公差を外れる状態になる前に事前に適切な切込み量に調整することができるので、ワークWの加工精度を高い状態で維持することができる。また、補正値生成部4は、ワークWの寸法誤差が不変範囲内であると判定すると、新たな補正値の生成をスキップする。即ち、切削加工装置1は、ワークWの寸法誤差が不変範囲内である場合、補正値の更新を実行しない。これにより、切削加工装置1の切削加工部101の工具の切込み量の調整頻度を低減することができるので、切削加工装置1の稼働率を向上させることができる。
また、本実施の形態に係る複合加工システムによれば、実施の形態1に係る複合加工システムと同様に、研削加工装置2が、計測部200により切削加工装置1が切削加工したワークWの寸法を計測している間、切削加工装置1が、並行して他のワークを切削加工することができる。従って、複合加工システム全体としてのスループットの向上が図られる。
(変形例)
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、本発明は前述の実施の形態に限定されるものではない。例えば、切削加工を行う加工装置を複数台備え、複数台の切削加工を行う加工装置で切削加工されたワークが1台の研削加工を行う加工装置へ投入される複合加工システムであってもよい。
この変形例に係る複合加工システムは、例えば図17に示すように、2つの切削加工装置1、5と、1つの研削加工装置2と、補正値生成部4と、を備える。なお、図17において実施の形態1と同様の構成については、図1と同一の符号を付している。切削加工装置5は、切削加工装置1と同様に、例えばNC旋盤装置から構成される。切削加工部501と切削制御部502とは、切削加工装置1の切削加工部101と切削制御部102と同様の構成である。
研削加工装置2の計測制御部202は、実施の形態1と同様に、切削加工装置1、切削加工装置5から投入されるワークW1、W2の寸法を計測し、ワークW1、W2の寸法の計測値から設計値を差し引いて得られる寸法誤差に基づいて、ワークW1、W2の加工精度を判定する。補正値生成部4は、ワークW1、W2の寸法誤差に基づいて、切削加工装置1または切削加工装置5の工具の切込み量の調整要否を判定する。そして、補正値生成部4は、切削加工装置1または切削加工装置5について工具の切込み量の調整が必要であると判定すると、調整が必要な切削加工装置1または切削加工装置5の工具の切込み量に対応する新たな補正値を算出する。
図17に示す複合加工システムでは、ワークW1が切削加工装置1へ投入されると、切削加工装置1が、ワークW1の粗加工を実行した後、補正値生成部4から補正信号またはスキップ信号が研削加工装置2へ出力される。補正値生成部4から補正信号が出力された場合、研削加工装置2は、補正値を更新して仕上げ加工を実施する。一方、補正値生成部4からスキップ信号が出力された場合、研削加工装置2は、補正値を更新せず仕上げ加工を実施する。研削加工装置2は、仕上げ加工完了後、ワークW1を排出する。
切削加工装置5も、切削加工装置1と同様にして、ワークW2の粗加工を実行した後、補正値生成部4から出力される補正信号または、スキップ信号に従い、補正値更新の要否を判断する。その後、仕上げ加工を実行し、ワークW2を排出する。
切削加工装置1から排出されたワークW1または切削加工装置5から排出されたワークW2は、研削加工装置2へ搬送されて研削加工装置2へ投入される。
ワークW1、W2が研削加工装置2へ投入されると、研削加工装置2は、ワークW1、W2の寸法を計測する。そして、研削加工装置2は、ワークW1、W2の寸法の計測値に基づいて、研削加工の要否を判定する。ここで、研削加工装置2は、研削加工が必要と判定すると、研削加工を実行してから、ワークW1、W2を排出する。一方、研削加工装置2は、研削加工が不要と判定すると、研削加工を実行せずにワークW1、W2を排出する。
一方、補正値生成部4は、研削加工装置2で計測されたワークW1、W2の寸法の計測値から設計値を差し引くことによりワークW1、W2の寸法誤差を算出する。そして、補正値生成部4は、ワークW1、W2の寸法誤差が予め設定された不変範囲内であるか否かに応じて、切削加工装置1の切削制御部102または切削加工装置5の切削制御部502に設定すべき新たな補正値を算出する。補正値生成部4は、ワークW1、W2の寸法誤差が不変範囲の外である場合、新たな補正値を算出して切削加工装置1、5へ出力する。この場合、切削加工装置1、5は、補正値生成部4から入力される新たな補正値で、自己が保持する補正値を更新することにより、工具の切込み量を調整する。
なお、図17では、2つの切削加工装置1,5を備える構成の例を示しているが、切削加工装置の台数は2台に限定されるものではなく、切削加工装置を3台以上備える構成であってもよい。
本構成によれば、複数の切削加工を行う加工装置と、1つの研削加工を行う加工装置と、を備える複合加工システムにおいても、実施の形態1に係る複合加工システムと同様の効果を奏する。
実施の形態1では、1つの研削加工装置2を備える複合加工システムの例について説明したが、研削加工装置の台数は1台に限定されるものではない。例えば、複数の研削加工装置を備える複合加工システムであってもよい。
この変形例に係る複合加工システムは、例えば図18に示すように、1つの切削加工装置1と、2つの研削加工を行う研削加工装置2、6と、補正値生成部4と、を備える。なお、図18において実施の形態1と同様の構成については、図1と同一の符号を付している。研削加工装置6は、研削加工装置2と同様に、例えばワークW4の寸法を計測する機能を有する機械研削盤から構成される。計測器601、計測制御部602、研削加工部603および研削制御部604は、研削加工装置2の計測器201、計測制御部202、研削加工部203および研削制御部204と同様の構成である。
研削加工装置2の計測制御部202は、実施の形態1と同様に、切削加工装置1から投入されるワークW3の寸法を計測し、ワークW3の寸法の計測値から設計値を差し引いて得られる寸法誤差に基づいて、ワークW3、W4の加工精度を判定する。また、研削加工装置6の計測制御部602も、研削加工装置2と同様に、切削加工装置1から投入されるワークW4の寸法を計測し、ワークW4の寸法の計測値から設計値を差し引いて得られる寸法誤差に基づいて、ワークW4の加工精度を判定する。補正値生成部4は、ワークW3、W4の寸法誤差に基づいて、切削加工装置1の工具の切込み量の調整要否を判定する。そして、補正値生成部4は、切削加工装置1について工具の切込み量の調整が必要であると判定すると、切削加工装置1の切削制御部102に設定する新たな補正値を算出する。
図18に示す複合加工システムでは、ワークW3、4が切削加工装置1へ投入されると、切削加工装置1が、ワークW3、W4の粗加工が実行された後、補正値生成部4から補正信号またはスキップ信号が出力される。補正信号が出力された場合は、補正値を更新して仕上げ加工を実施し、スキップ信号が出力された場合は、補正値を更新せず仕上げ加工を実施する。仕上げ加工を実行した後、ワークW3、4を排出する。切削加工装置1から排出されたワークW3、4は、それぞれ研削加工装置2、研削加工装置6へ搬送されて研削加工装置2、研削加工装置6へ投入される。
ワークW3が研削加工装置2へ投入されると、研削加工装置2は、ワークW3の寸法を計測する。そして、研削加工装置2は、ワークW3の寸法の計測値に基づいて、研削加工の要否を判定する。ここで、研削加工装置2は、研削加工が必要と判定すると、研削加工を実行してから、ワークW3を排出する。一方、研削加工装置2は、研削加工が不要と判定すると、研削加工を実行せずにワークW3を排出する。また、研削加工装置6も、研削加工装置2と同様に、ワークW4の寸法を計測し、ワークW4の寸法の計測値に基づいて、研削加工の要否を判定する。そして、研削加工装置6は、研削加工の要否の判定結果に応じて、研削加工を実行した後、ワークW4を排出する。
一方、補正値生成部4は、研削加工装置2、研削加工装置6で計測されたワークW3、W4の寸法の計測値から設計値を差し引くことによりワークW3、W4の寸法誤差を算出する。そして、補正値生成部4は、ワークW3、W4の寸法誤差が予め設定された不変範囲内であるか否かに応じて、切削加工装置1の切削制御部102に設定すべき新たな補正値を算出する。補正値生成部4は、ワークW3、W4の寸法誤差が不変範囲の外である場合、新たな補正値を算出して切削加工装置1へ出力する。この場合、切削加工装置1は、補正値生成部4から入力される新たな補正値で、自己が保持する補正値を更新することにより、工具の切込み量を調整する。
なお、図18では、2つの研削加工装置2、6を備える複合加工システムの例を示しているが、研削加工装置の台数は2台に限定されるものではない。例えば、研削加工装置を3台以上備える複合加工システムであってもよい。
本構成によれば、1つの切削加工を行う加工装置と、複数の研削加工を行う加工装置と、を備える複合加工システムにおいても、実施の形態1と同様の効果を奏する。
なお、前述の各変形例では、切削加工装置と研削加工装置とのいずれか一方を1つだけ備える構成について説明したが、これに限らず、例えば複数の切削加工装置と、複数の研削加工装置と、を備える複合加工システムであってもよい。
実施の形態2では、ワークWに対して、1つの切削加工装置1で切削加工を1回だけ行った後、中間加工装置3による処理を経て、1つの研削加工装置2で研削加工を1回だけ行う複合加工システムの例について説明した。但し、これに限らず、例えばワークWに対して、複数の切削加工装置により複数回切削加工を行った後、中間加工装置による処理を経て、複数の研削加工装置により複数回研削加工を行う複合加工システムであってもよい。
この変形例に係る複合加工システムは、例えば図19に示すように、2つの切削加工装置1、5と、2つの研削加工装置2、6と、中間加工装置3と、補正値生成部4と、を備える。なお、図19において実施の形態2と同様の構成については、図6と同一の符号を付し、前述の各変形例に係る複合加工システムと同様の構成については、図17、図18と同一の符号を付している。
研削加工装置2の計測制御部202は、実施の形態2と同様にして、中間加工装置3から投入されるワークWの寸法を計測し、ワークWの寸法の計測値から設計値を差し引くことにより寸法誤差を算出し、その寸法誤差に基づいてワークWの加工精度を判定する。そして、補正値生成部4は、研削加工装置2の計測制御部202が算出したワークWの寸法誤差に基づいて、切削加工装置1の工具の切込み量の調整要否を判定する。そして、補正値生成部4は、切削加工装置1について工具の切込み量の調整が必要であると判定すると、切削加工装置1の切削制御部102に設定する新たな補正値を算出する。また、研削加工装置6の計測制御部602は、実施の形態2と同様にして、研削加工装置2から投入されるワークWの寸法を計測し、ワークWの寸法の計測値から設計値を差し引くことにより寸法誤差を算出し、その寸法誤差に基づいてワークWの加工精度を判定する。そして、補正値生成部4は、研削加工装置6の計測制御部602が算出したワークWの寸法誤差に基づいて、切削加工装置5の工具の切込み量の調整要否を判定する。そして、補正値生成部4は、切削加工装置5について工具の切込み量の調整が必要であると判定すると、切削加工装置5の切削制御部502に設定する新たな補正値を算出する。即ち、切削加工装置1と切削加工装置5および中間加工装置3と研削加工装置2と補正値生成部4とから、実施の形態2と同様の複合加工システムが構成され、切削加工装置5と中間加工装置3および研削加工装置2と研削加工装置6と補正値生成部4とから、実施の形態2と同様の複合加工システムが構成されている。
図19に示す複合加工システムでは、切削加工装置1、5が、ワークWにおける互いに異なる箇所を切削加工し、研削加工装置2、6が、それぞれワークWにおける切削加工装置1、5により切削加工された箇所を研削加工する。この複合加工システムでは、ワークWが切削加工装置1へ投入されると、切削加工装置1が、ワークWの粗加工を実行した後、補正値生成部4から出力される補正信号またはスキップ信号に従い、補正値更新の要否を判断する。その後、仕上げ加工を実行し、ワークWを排出する。切削加工装置1から排出されたワークWは、切削加工装置5へ搬送され切削加工装置5へ投入される。ワークWが切削加工装置5へ投入されると、切削加工装置5が、切削加工装置1と同様に、ワークWの粗加工を実行した後、補正値生成部4から補正信号またはスキップ信号が出力される。補正信号が出力された場合は、補正値を更新して仕上げ加工を実施し、スキップ信号が出力された場合は、補正値を更新せず仕上げ加工を実施する。仕上げ加工を実行した後、ワークWを排出する。切削加工装置5から排出されたワークWは、中間加工装置3へ搬送され中間加工装置3へ投入される。ワークWが中間加工装置3へ投入されると、中間加工装置3が、ワークWに対して処理を実行してからワークWを排出する。中間加工装置3から排出されたワークWは、研削加工装置2へ搬送されて研削加工装置2へ投入される。
ワークWが研削加工装置2へ投入されると、研削加工装置2は、ワークWの寸法を計測する。そして、研削加工装置2は、ワークWの寸法の計測値に基づいて、研削加工の要否を判定する。ここで、研削加工装置2は、研削加工が必要と判定すると、研削加工を実行してから、ワークWを排出する。一方、研削加工装置2は、研削加工が不要と判定すると、研削加工を実行せずにワークWを排出する。研削加工装置2から排出されたワークWは、研削加工装置6へ搬送され研削加工装置6へ投入される。ワークWが研削加工装置6へ投入されると、研削加工装置6は、ワークWの寸法を計測する。そして、研削加工装置6は、ワークWの寸法の計測値に基づいて、研削加工の要否を判定する。ここで、研削加工装置6は、研削加工が必要と判定すると、研削加工を実行してから、ワークWを排出する。一方、研削加工装置6は、研削加工が不要と判定すると、研削加工を実行せずにワークWを排出する。また、研削加工装置6は、切削加工装置2においてワークWに対して研削加工を実行せずにワークWを排出した場合も、研削加工を実行せずにワークWを排出する。
一方、補正値生成部4は、研削加工装置2、6それぞれで計測されたワークWの寸法の計測値から設計値を差し引くことによりワークWの寸法誤差を算出する。そして、補正値生成部4は、研削加工装置2で算出されたワークWの寸法誤差が予め設定された不変範囲内であるか否かに応じて、切削加工装置1の切削制御部102に設定すべき新たな補正値を算出する。補正値生成部4は、研削加工装置2で算出されたワークWの寸法誤差が不変範囲の外である場合、新たな補正値を算出して切削加工装置1へ出力する。
この場合、切削加工装置1は、補正値生成部4から入力される新たな補正値で、自己が保持する補正値を更新することにより、工具の切込み量を調整する。
また、補正値生成部4は、研削加工装置6で算出されたワークWの寸法誤差が予め設定された不変範囲内であるか否かに応じて、切削加工装置5の切削制御部502に設定すべき新たな補正値を算出する。補正値生成部4は、研削加工装置6で算出されたワークWの寸法誤差が不変範囲の外である場合、新たな補正値を算出して切削加工装置5へ出力する。この場合、切削加工装置5は、補正値生成部4から入力される新たな補正値で、自己が保持する補正値を更新することにより、工具の切込み量を調整する。
なお、図19では、2つの切削加工装置1、5と2つの研削加工装置2、6とを備える構成について示しているが、切削加工装置および研削加工装置それぞれの台数はこれに限定されない。例えば、切削加工装置または研削加工装置を3台以上備える複合加工システムであってもよい。更に、図19では、1つの中間加工装置3を備える複合加工システムを示したが、中間加工装置3の台数は1台に限定されるものではない。例えば、複数の中間加工装置を備える複合加工システムであってもよい。また、図19では、1つの補正値生成部4を備える構成を示しているが、補正値生成部4の数は1つに限定されるものではなく、複数の補正値生成部4を備える複合加工システムであってもよい。
本構成によれば、ワークWに対して、複数の切削加工装置により複数回切削加工を行った後、中間加工装置による処理を経て、複数の研削加工装置により複数回研削加工を行う複合加工システムにおいても、実施の形態2に係る複合加工システムと同様の効果を奏する。
実施の形態2に係る複合加工システムにおいて、ワークWの一部に、ワークWの形状および大きさにより分類されるワークWの仕様を識別する識別情報が刻まれている場合、切削加工装置および研削加工装置それぞれが、ワークWの一部に刻まれた識別情報を読み取る識別情報読取部を備える構成であってもよい。
この変形例に係る複合加工システムは、例えば図20に示すように、切削加工装置21と、研削加工装置22と、中間加工装置3と、補正値生成部24と、切削加工装置21の切削制御部102に設定されるべき補正値を記憶する補正値記憶部25と、を備える。なお、図20において実施の形態2と同様の構成については、図6と同一の符号を付している。切削加工装置21は、切削加工部101と、切削制御部102と、ワークWの一部に刻まれた識別情報を読み取る識別情報読取部213と、を有する。また、研削加工装置22は、計測器201と、計測制御部202と、研削加工部203と、研削制御部204と、識別情報読取部225と、を有する。ここで、識別情報読取部213は、特許請求の範囲に記載の第1識別情報読取部に相当し、識別情報読取部225は、特許請求の範囲に記載の第2識別情報読取部に相当する。識別情報読取部213、225は、例えばワークWの一部を撮像する撮像部(図示せず)と、撮像部により撮像された画像を解析することによりワークWに刻まれた識別情報を認識する画像認識部(図示せず)と、を有する。識別情報読取部213、225は、認識したワークWの識別情報を、補正値生成部24へ出力する。
補正値記憶部25は、ストレージ装置から構成され、切削加工装置21の切削制御部102に設定されるべき補正値を、ワークWの識別情報と対応づけて記憶している。補正値生成部24は、研削加工装置22から、ワークW11の寸法の計測値を示す情報とワークW11の識別情報とが入力されると、ワークW11と同一の識別情報が付与されたワークについて切削加工装置21の工具の切込み量の調整の要否を判定する。補正値生成部24は、ワークW11と同一の識別情報が付与されたワークについて切削加工装置21の工具の切込み量の調整が必要であると判定すると、切削加工装置21の切削制御部102に既に設定されている補正値を取得して新たな補正値を算出する。そして、補正値生成部24は、算出した新たな補正値を、ワークW11の識別情報に対応づけた形で補正値記憶部25に記憶させる。その後、切削加工装置21へワークW12が投入されると、切削加工装置21の識別情報読取部213が、ワークW12の一部に刻まれた識別情報を読み取って補正値生成部24へ出力する。ここで、補正値生成部24は、切削加工装置21の識別情報読取部213から入力されたワークW12の識別情報がワークW11と同一の識別情報である場合、補正値記憶部25からワークW11の識別情報に対応付けられた補正値を取得する。そして、補正値生成部24は、補正値記憶部25から取得した補正値を、切削加工装置21の切削制御部102へ出力する。
図20に示す複合加工システムでは、ワークW11が切削加工装置21へ投入されると、切削加工装置21が、ワークW11の一部に刻まれた識別情報を読み取るとともに、ワークWの粗加工を実行した後、補正値生成部24から補正信号またはスキップ信号が出力される。補正信号が出力された場合は、補正値を更新して仕上げ加工を実施し、スキップ信号が出力された場合は、補正値を更新せず仕上げ加工を実施する。その後、切削加工装置21は、ワークWを排出する。切削加工装置21から排出されたワークW11は、中間加工装置3へ搬送され中間加工装置3へ投入される。ワークW11が中間加工装置3へ投入されると、中間加工装置3が、ワークWに対して、処理を実行してからワークW11を排出する。中間加工装置3から排出されたワークWは、研削加工装置22へ搬送されて研削加工装置22へ投入される。
ワークW11が研削加工装置22へ投入されると、研削加工装置22は、ワークW11の一部に刻まれた識別情報を読み取るとともに、ワークW11の寸法を計測する。そして、研削加工装置22は、ワークW11の寸法の計測値に基づいて、研削加工の要否を判定する。ここで、研削加工装置22は、研削加工が必要と判定すると、研削加工を実行してから、ワークW11を排出する。一方、研削加工装置22は、研削加工が不要と判定すると、研削加工を実行せずにワークW11を排出する。
一方、補正値生成部24は、研削加工装置22からワークW11の寸法の計測値とワークW11の識別情報とを取得する。そして、補正値生成部24は、研削加工装置22で計測されたワークW11の寸法の計測値から設計値を差し引くことによりワークW11の寸法誤差を算出する。そして、補正値生成部24は、研削加工装置22で算出されたワークW11の寸法誤差が予め設定された不変範囲内であるか否かに応じて、切削加工装置21の切削制御部102に設定すべき新たな補正値を算出する。補正値生成部24は、研削加工装置22で算出されたワークW11の寸法誤差が不変範囲の外である場合、新たな補正値を算出する。そして、補正値生成部24は、算出した新たな補正値を、ワークW11の識別情報に対応づけた形で補正値記憶部25に記憶させる。その後、切削加工装置21へワークW12が投入されると、切削加工装置21の識別情報読取部213が、ワークW12の一部に刻まれた識別情報を読み取って補正値生成部24へ出力する。ここで、補正値生成部24は、切削加工装置21の識別情報読取部213から入力されたワークW12の識別情報がワークW11と同一の識別情報である場合、補正値記憶部25からワークW11の識別情報に対応付けられた補正値を取得する。そして、補正値生成部24は、補正値記憶部25から取得した補正値を、切削加工装置21の切削制御部102へ出力する。この場合、切削加工装置1は、補正値生成部24から入力される新たな補正値で、自己が保持する補正値を更新することにより、工具の切込み量を調整する。
なお、図20では、1つの中間加工装置3を備える複合加工システムを示したが、中間加工装置3の台数は1台に限定されるものではない。例えば、複数の中間加工装置を備える複合加工システムであってもよい。
ところで、実施の形態2に係る複合加工システムでは、切削加工装置1により加工されたワークが研削加工装置2へ投入されるまでの間、そのワークと同種のワークが切削加工装置1に投入されても切削加工装置1の切削制御部102の補正値を更新することができない。これにより、例えばn(nは1以上の整数)台の中間加工装置3を備える複合加工システムでは、切削加工装置1の工具の切込み量が適切でない状態で、n個のワークについて切削加工がなされてしまう虞がある。
これに対して、本構成によれば、研削加工装置22において計測されるワークW11の寸法の計測値に基づいて算出した補正値が、ワークW11の識別情報に対応づけた形で補正値記憶部25に記憶される。そして、補正値生成部24は、切削加工装置21にワークW11の識別情報と同一の識別情報が一部に刻まれたワークW12が切削加工装置21へ投入されると、補正値記憶部25からワークW11の識別情報に対応づけられた補正値を取得して切削加工装置21へ出力する。これにより、切削加工装置21は、投入されるワークそれぞれに対して、工具を適切な切込み量に調整した状態で切削加工を実行することができるので、ワークの不良率を低減できる。
実施の形態2では、補正値生成部4が、研削加工装置2で計測されたワークの寸法の計測値とワークの寸法の設計値とに基づいて、切削加工装置1の切削制御部102に設定する新たな補正値を算出する例について説明した。但し、これに限らず、例えば補正値生成部4が、ワークの寸法の計測値とワークの寸法の設計値とに加えて、切削加工装置1へ投入されたワークの投入数とワークの寸法の計測値との相関関係を示す相関情報に基づいて、新たな補正値を算出する構成であってもよい。
この変形例に係る複合加工システムは、例えば図21に示すように、切削加工装置1と、研削加工装置2と、中間加工装置3と、補正値生成部34と、実績記憶部35と、相関情報記憶部36と、を備える。なお、図21において実施の形態2と同様の構成については、図6と同一の符号を付している。実績記憶部35は、ストレージ装置から構成され、切削加工装置1で切削加工されたワークに関する実績を示す実績情報を記憶する。この実績情報は、切削加工装置1へのワークの投入数と、各ワークの切削加工に使用されたプログラムに付与されたプログラム番号と、ワークの寸法の計測値と、各ワークの切削加工時に切削制御部102に設定されていた補正値と、が対応づけられた情報である。相関情報記憶部36は、図22に示すような、切削加工装置1へのワークの投入数と、計測値と、の相関関係を示す相関情報を記憶する。相関情報は、プログラム番号(例えば、Pro1、Pro2、Pro3、Pro4)毎に個別に作成される。
図21に戻って、補正値生成部34は、切削加工装置1へのワークWの投入数をカウントしている。この投入数は、切削加工装置1において工具の交換がなされてからの総投入数である。補正値生成部34は、研削加工装置2からワークW21の寸法の計測値を示す情報が入力されると、入力された計測値を、既に実績記憶部35に記憶されている、この計測値に対応する投入数、プログラム番号および補正値に対応づけて実績記憶部35に記憶させる。ここで、投入数は、ワークW21の切削加工装置1への投入時における切削加工装置1へのワークの投入数であり、プログラム番号は、ワークW21の切削加工に使用されたプログラムのプログラム番号である。また、補正値は、ワークW21の切削加工に使用された補正値である。その後、ワークWが切削加工装置1へ投入されると、補正値生成部34は、切削加工装置1から、投入されたワークWの切削加工に使用するプログラムに付与されたプログラム番号を示す情報と補正値とを取得して実績記憶部35が記憶する。また、補正値生成部34は、取得したプログラム番号および補正値に対応する投入数を1だけインクリメントする。そして、補正値生成部34は、切削加工装置1において工具の交換が実施される際、それまでに実績記憶部35が記憶してきた実績情報に基づいて、プログラム番号毎に個別にワークの投入数と計測値との相関関係を表す相関情報を生成して相関情報記憶部36に記憶させる。
また、補正値生成部34は、研削加工装置2からワークW21の寸法の計測値を示す情報が入力されると、ワークW21について切削加工装置1の工具の切込み量の調整の要否を判定する。補正値生成部34は、ワークW21について切削加工装置1の工具の切込み量の調整が必要であると判定すると、相関情報記憶部36が記憶する相関情報に基づいて、入力された計測値から実加工寸法を算出する。例えば、ワークW21の切削加工に使用するプログラムのプログラム番号が「Pro2」であるとする。また、ワークW21の切削加工装置1への投入時における切削加工装置1へのワークの投入数がM1であり、ワークW21の寸法の計測値を示す情報が研削加工装置2から補正値生成部34へ入力された時点における切削加工装置1へのワークの投入数がM2とする。この場合、補正値生成部34は、相関情報記憶部36が記憶する相関情報に基づいて、投入数M1、M2それぞれに対応する計測値Dr1、Dr2を特定する(図22参照)。次に、補正値生成部34は、計測値Dr2から計測値Dr1を差し引いて得られる寸法値と計測値との和に相当する修正計測値を算出する。そして、補正値生成部34は、下記式(2)の関係式を用いて、新たに補正値を算出する。
(新たな補正値)=(既に設定されている補正値)−(修正計測値−設計値)・・・式(2)
そして、補正値生成部34は、算出した新たな補正値を、切削加工装置1の切削制御部102へ出力する。
本構成によれば、補正値生成部34が、実績記憶部35が記憶する、切削加工装置1におけるワークの投入数とワークの寸法の計測値との相関関係を示す相関情報に基づいて、切削加工装置1の切削制御部102に設定すべき新たな補正値を算出する。これにより、ワークが切削加工装置1へ投入されてから研削加工装置2へ投入されるまでの間に、切削加工装置1でのワークの切削加工が実行されたことによる切削加工装置1の切削性能の変動を考慮して、切削加工装置1の切削制御部102に設定されるべき新たな補正値が決定される。従って、切削制御部102により適切な補正値が設定されるので、切削加工装置1の加工精度が向上し、ワークの不良率が低減するという利点がある。
実施の形態2では、補正値生成部4が、切削加工装置1の切削制御部102から切削加工部101の制御に使用するプログラムに付与されたプログラム番号を取得する例について説明したが、加工中のワークWの仕様を特定する情報であればプログラム番号に限定されない。例えば、補正値生成部4が、切削制御部102に加工するワークWの仕様に応じて設定される各種パラメータを、切削制御部102から取得する構成であってもよい。
実施の形態2では、中間加工装置3を1台だけ備える構成について説明したが、中間加工装置3の台数は1台に限定されない。例えば中間加工装置3をn(nは2以上の整数)台備える構成であってもよいし、或いは中間加工装置3を備えない構成であってもよい。
各実施の形態では、切削加工装置1と研削加工装置2とを備え、計測部200が、研削加工装置2に設けられる例について説明したが、これに限らず、例えば2台の切削加工装置1を備え、計測部200が、それらのいずれかの切削加工装置1に設けられている構成であってもよい。或いは、2台の研削加工装置2を備え、計測部200が、それらのいずれかの研削加工装置2に設けられている構成であってもよい。更に、ワークWが研削加工装置2、切削加工装置1の順番に投入され、計測部200が、切削加工装置1に設けられている構成であってもよい。
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。つまり、本発明の範囲は、実施の形態ではなく、請求の範囲によって示される。そして、請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、本発明の範囲内とみなされる。
本出願は、2016年12月2日に出願された、日本国特許出願特願2016−235405号に基づく。本明細書中に日本国特許出願特願2016−235405号の明細書、特許請求の範囲、図面全体を参照として取り込むものとする。