JP6749093B2 - 超親水性被膜付基材と、その塗布液および製造方法 - Google Patents
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Description
〔1〕基材表面に超親水性の被膜を有する親水性基材であって、前記被膜が無機酸化物粒子を含む粒子層と、該無機酸化物粒子相互の間隙および該無機酸化物粒子と前記基材の間隙に介在する接着層からなり、該無機酸化物粒子が無機酸化物の基体粒子と該基体粒子表面を被覆する無機酸化物の微細粒子からなり、該無機酸化物粒子表面が該微細粒子による微細凹凸を有する該粒子全体の断面がヒマワリ状の粒子(以下、ヒマワリ状粒子と云う)であり、該ヒマワリ状粒子の表面が親水性であって、該無機酸化物粒子の上部が前記接着層から露出した凹凸構造を前記被膜表面に有することを特徴とする超親水性被膜付基材。
〔2〕前記ヒマワリ状粒子の平均粒子径(DP)が20〜600nmであって、接着層の膜厚(UF)が6〜400nmであり、該ヒマワリ状粒子の平均粒子径(DP)に対する接着層の膜厚(UF)の比(UF/DP)が1/3〜2/3であって、該ヒマワリ状粒子の平均粒子径(DP)の1/3〜2/3が接着層から露出していることを特徴とする前記[1]に記載する超親水性被膜付基材。
〔3〕該ヒマワリ状粒子表面の微細凹凸の凸部平均高さ(TFF)が0.5〜10nmの範囲であり、該微細凹凸の凸部間の平均距離(ピッチ幅)(WFF)が1〜30nmの範囲であることを特徴とする前記[1]または前記[2]の何れかに記載する超親水性被膜付基材。
〔4〕親水性被膜表面の凹凸構造の凸部平均高さ(TF)が10〜300nmの範囲であり、凸部間の平均距離(ピッチ幅)(WF)が1〜1000nmの範囲であることを特徴とする前記[1]〜前記[3]の何れかに記載する超親水性被膜付基材。
〔5〕親水性被膜の膜厚が20nm〜700nmであることを特徴とする前記[1]〜前記[4]の何れかに記載する超親水性被膜付基材。
〔6〕該ヒマワリ状粒子が多孔質であることを特徴とする前記[1]〜前記[5]の何れかに記載する超親水性被膜付基材。
〔7〕該ヒマワリ状粒子の表面が、SiX4の式(式中、X:炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基、ハロゲン、水素)で示される加水分解性有機ケイ素化合物による親水基で修飾されていることを特徴とする前記[1]〜前記[6]の何れかに記載する超親水性被膜付基材。
〔8〕水との接触角が10°以下であることを特徴とする前記[1]〜前記[7]の何れかに記載する超親水性被膜付基材。
〔9〕該ヒマワリ状粒子がSiO2、Al2O3、Sb2O5、ZrO2、TiO2、Fe2O3、CeO2、AgO、CuO、Cu2O、およびこれらの複合酸化物または混合物から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする前記[1]〜前記[8]の何れかに記載する超親水性被膜付基材。
〔10〕接着層が、エマルジョン用樹脂であって、エステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アミド系樹脂、イミド系樹脂、ポリフェニレンオキサイド系樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、シリコーン系樹脂、ウレタン系樹脂、またはスチレン系樹脂、あるいはこれらの共重合樹脂から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする前記[1]〜前記[9]の何れかに記載する超親水性被膜付基材。
〔11〕無機酸化物粒子と樹脂エマルジョン粒子を含み、該無機酸化物粒子は無機酸化物の基体粒子と該基体粒子表面を被覆する無機酸化物の微細粒子からなり、該無機酸化物粒子表面が該微細粒子による微細凹凸を有する該粒子全体の断面がヒマワリ状であって該粒子表面が親水性のヒマワリ状粒子であり、該ヒマワリ状粒子と該樹脂エマルジョン粒子が、極性溶媒中に混在して単分散していることを特徴とする超親水性被膜形成用塗布液。
〔12〕樹脂エマルジョン粒子の平均粒子径(De)が、該ヒマワリ状粒子の平均粒子径(DP)と同等か小さい(De≦DP)ことを特徴とする前記[11]に記載する超親水性被膜形成用塗布液。
〔13〕前記ヒマワリ状粒子の量(G)と、樹脂エマルジョン粒子の量(M)との量比(G/[G+M])が0.5〜0.98の範囲であることを特徴とする前記[11]または前記[12]に記載する超親水性被膜形成用塗布液。
〔14〕粒子表面が親水性のヒマワリ状粒子が極性溶媒に分散した分散液と、樹脂エマルジョン粒子が極性溶媒に懸濁した懸濁液との二液からなり、前記分散液と前記懸濁液の混合によってヒマワリ状粒子と樹脂エマルジョン粒子が極性溶媒中に混在して単分散した状態になる前記[11]〜前記[13]の何れかに記載する超親水性被膜形成用塗布液。
〔15〕粒子表面が親水性のヒマワリ状粒子と樹脂エマルジョン粒子とが極性溶媒中に分散し懸濁している被膜形成用塗布液を基材に塗布して該ヒマワリ状粒子相互の間隙に前記樹脂エマルジョン粒子が介在した粒子層を形成し、塗布後、加熱乾燥して該樹脂エマルジョン粒子の崩壊によって前記ヒマワリ状粒子相互の間隙および該ヒマワリ状粒子と前記基材との間隙に樹脂を入り込ませて接着層を形成し、該ヒマワリ状粒子の上部が該接着層から露出した凹凸構造を有する超親水性被膜を基材上に形成することを特徴とする超親水性被膜付基材の製造方法。
〔16〕粒子表面が親水性のヒマワリ状粒子の分散液と、樹脂エマルジョン粒子の懸濁液とを混合して、該ヒマワリ状粒子と該樹脂エマルジョン粒子とが極性溶媒中に混在し単分散している被膜形成用塗布液を調製し、該塗布液を基材に塗布する前記[15]に記載する超親水性被膜付基材の製造方法。
〔17〕被膜形成用塗布液に含まれる樹脂エマルジョン粒子の平均粒子径(De)が前記ヒマワリ状粒子の平均粒子径(DP)と同等か小さい(De≦DP)ことを特徴とする前記[15]または前記[16]に記載する超親水性被膜付基材の製造方法。
〔18〕被膜形成用塗布液に含まれるヒマワリ状粒子の量(G)と、樹脂エマルジョン粒子の量(M)との量比(G/[G+M])が0.5〜0.98の範囲であることを特徴とする前記[15]〜前記[17]の何れかに記載する超親水性被膜付基材の製造方法。
〔19〕エマルジョン用樹脂として、エステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アミド系樹脂、イミド系樹脂、ポリフェニレンオキサイド系樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、シリコーン系樹脂、ウレタン系樹脂、またはスチレン系樹脂、あるいはこれらの共重合樹脂からなる樹脂エマルジョン粒子を極性溶媒に懸濁させた樹脂エマルジョン粒子懸濁液と、前記ヒマワリ状粒子を極性溶媒に分散させたヒマワリ状粒子分散液を混合して被膜形成用塗布液を調製することを特徴とする前記[15]〜前記[18]の何れかに記載する超親水性被膜付基材の製造方法。
〔20〕被膜形成用塗布液を基材に塗布した後に60〜200℃に加熱乾燥して樹脂エマルジョン粒子を崩壊させることを特徴とする前記[15]〜前記[19]の何れかに記載する超親水性被膜付基材の製造方法。
本発明の超親水性被膜付基材は、
基材表面に超親水性の被膜を有する親水性基材であって、前記被膜が無機酸化物粒子を含む粒子層と、該無機酸化物粒子相互の間隙および該無機酸化物粒子と前記基材の間隙に介在する接着層からなり、該無機酸化物粒子が無機酸化物の基体粒子と該基体粒子表面を被覆する無機酸化物の微細粒子からなり、該無機酸化物粒子表面が該微細粒子による微細凹凸を有する該粒子全体の断面がヒマワリ状の粒子(以下、ヒマワリ状粒子と云う)であり、該ヒマワリ状粒子の表面が親水性であって、該無機酸化物粒子の上部が前記接着層から露出した凹凸構造を前記被膜表面に有することを特徴とする超親水性被膜付基材である。
基材1の材質は制限されない。例えば、ガラス、ポリカーボネート、アクリル樹脂、PET、TAC、ポリエステル樹脂、ナイロン樹脂等のプラスチックシート、プラスチックフィルム等、プラスチックパネル等、繊維等、不織布等やモルタル材、スレート材、コンクリート等を用いることができる。接着層4はエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アミド系樹脂、イミド系樹脂、ポリフェニレンオキサイド系樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、シリコーン系樹脂、ウレタン系樹脂、またはスチレン系樹脂、スチレン樹脂、および、これらの共重合体樹脂から選ばれる少なくとも1種によって形成することができる。
無機酸化物粒子5は、例えば、SiO2、Al2O3、Sb2O5、ZrO2、TiO2、Fe2O3、CeO2、AgO、CuO、Cu2O、およびこれらの複合酸化物または混合物から選ばれる少なくとも1種を用いることができる。これらの無機酸化物粒子5の表面は一般に親水性であり、該無機酸化物粒子5の上部が接着層4から露出しているので、従来の凹凸構造のない被膜に比べて親水性の範囲が広い。このため、図2に示すように、被膜2の表面に接触する水滴6は無機酸化物粒子表面との親和力によって該表面に引き付けられ、しかも該表面は高低差の大きな凹凸構造になっているので水滴6は崩れやすくなり、被膜2の表面は高い親水性を示すようになる。具体的には、水滴6と被膜2の表面との接触角θが5°以下の超親水性を有することができる。
ヒマワリ状粒子は粒子表面に適度な凹凸を有し、さらに該凹凸の表面に微細な凹凸を有するので、親水性に優れた親水性被膜を得ることができる。該ヒマワリ状粒子の平均粒子径は長軸の長さを基準にして定められる。なお、無機酸化物粒子として、多孔質球状無機酸化物粒子または金平糖状無機酸化物粒子を参考例として以下に示す。
多孔質球状無機酸化物粒子は、無機酸化物粒子の子表面に多数の孔が存在する球状の微粒子である。多孔質球状無機酸化物粒子の平均粒子径(DA)は10〜600nm、さらには10〜1300nmの範囲にあることが好ましい。多孔質球状無機酸化物粒子の平均粒子径(DA)が10nm未満では、比表面積が大きくなるため得ることが困難である。平均粒子径(DA)が600nmを超えると親水性被膜の強度、硬度、基材との密着性が不十分となる場合がある。
金平糖状無機酸化物粒子は、その粒子表面に多数の疣状突起を有する球状の微粒子であり、その構造は概ね金平糖に類似したものである。金平糖状無機酸化物粒子の平均粒子径(DA)は10〜150nm、さらには10〜130nmの範囲にあることが好ましい。金平糖状無機酸化物粒子の平均粒子径(DA)が10nm未満では、疣状突起を有する粒子としては得ることが困難であり、所望の微細凹凸が形成することが難しい。また、金平糖状無機酸化物粒子の平均粒子径(DA)が150nmを超えると親水性被膜の強度、硬度、基材との密着性が不十分となる場合がある。
金平糖状無機酸化物粒子の表面粗度=(SA1)/(SA2) ・・・(1)
(SA2)=6000/(DA)×d・・・・・・(2)
ヒマワリ状無機酸化物粒子(以下、ヒマワリ状粒子とも云う。)の断面を図3に示す。図示するように、ヒマワリ状粒子20は無機酸化物の基体粒子21と、該基体粒子表面を被覆する無機酸化物の微細粒子22によって形成されている。図示する基体粒子21は、模式的に球状を示しているが、異形、板状、多面体状であってもよい。微細粒子22は球状粒子であり、粒子全体の断面がヒマワリ状の粒子である。ヒマワリ状粒子20は基体粒子21の表面が前記微細粒子22による微細な凹凸を有するので高い親水性が得られ、密着性が強く、親水被膜によるファウリングや劣化が効果的に抑制され、防汚性を示し、長期にわたって高い親水性を維持することができる。
D=6000/SAM×d・・・・(3)
ヒマワリ状無機酸化物粒子1個当たりの表面積=4π・[(DC1)/2+(DC2)/2]2
単位重量(1g)当たりの基体粒子の個数=1/[4/3・π[(DC1)/2]3・d]
dは基体粒子の粒子密度(g/ml)を表す。シリカの粒子密度は2.2g/mlである。
本発明の超親水性被膜付基材を製造する被膜形成用塗布液として、粒子表面が親水性の無機酸化物粒子と、樹脂エマルジョン粒子が、極性溶媒中に混在して単分散していることを特徴とする塗布液を用いると良い。該塗布液において、樹脂エマルジョン粒子の平均粒子径(De)は、無機酸化物粒子の平均粒子径(DP)と同等か小さい(De≦DP)ことが好ましい。樹脂エマルジョン粒子の平均粒子径(De)が無機酸化物粒子の平均粒子径(DP)と同等か小さい(De≦DP)ことによって、無機酸化物粒子が樹脂エマルジョン粒子によって覆われ難くすることができる。樹脂エマルジョン粒子の平均粒子径(De)が無機酸化物粒子の平均粒子径(DP)より大きいと、樹脂エマルジョン粒子が崩壊したときに、無機酸化物粒子が崩壊した樹脂によって被覆される場合がある。
前記無機酸化物粒子分散液は粒子表面が親水性の無機酸化物粒子を極性溶媒に分散した液である。無機酸化物粒子を極性溶媒に加え、ミキサーなどで撹拌して無機酸化物粒子分散液を調製する。該無機酸化物粒子の平均粒子径(DP)は20〜600nmの範囲が好ましい。無機酸化物微粒子分散液の固形分濃度は0.1〜20重量%が好ましく、0.2〜15重量%がさらに好ましい。
(イ)メタノール、エタノール、プロパノール、2-プロパノール(IPA)、ブタノール、ジアセトンアルコール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール等のアルコール類。
(ロ)酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプルピル、酢酸プルピル、酢酸イソブチル、酢酸ブチル、酢酸イソペンチル、酢酸ペンチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸2−エチルブチル、酢酸シクロヘキシル、エチレングリコールモノアセテート等のエステル類。
(ハ)エチレングリコール、ヘキシレングリコール等のグリコール類。
(ニ)ジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールイソプルピルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プルピレングリコールモノプロピルエーテル等のエーテル類。
(ホ)アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ブチルメチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、ジプロピルケトン、メチルペンチルケトン、ジイソブチルケトン等のケトン類。
(ヘ)トルエン等、N−メチルピロリドン等。
(ト)水
樹脂エマルジョン粒子懸濁液は樹脂エマルジョン粒子が極性溶媒に懸濁した懸濁液である。エマルジョン用樹脂としては、エステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アミド系樹脂、イミド系樹脂、ポリフェニレンオキサイド系樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、シリコーン系樹脂、ウレタン系樹脂、またはスチレン系樹脂、あるいはこれらの共重合樹脂が好ましい。被膜形成工程で樹脂エマルジョン粒子を崩壊させて接着層を形成するので、これらの樹脂は接着層の成分になる。
無機酸化物粒子分散液と樹脂エマルジョン粒子懸濁液を混合し、撹拌して無機酸化物粒子と樹脂エマルジョン粒子とが極性溶媒中に混在し分散している被膜形成用塗布液を調製する。無機酸化物粒子分散液に珪酸液を添加し、加熱熟成させた後に樹脂エマルジョン粒子懸濁液を混合すると良い。珪酸液を添加するとヒマワリ粒子の微細粒子と基体粒子が良く固着して微細粒子が脱落しない。なお、樹脂エマルジョン粒子懸濁液を調製せずに、無機酸化物粒子分散液に樹脂を直接に添加し、撹拌して樹脂エマルジョン粒子を形成させて被膜形成用塗布液を調製してもよい。
本発明の超親水性被膜付基材は、前記被膜形成用塗布液を用い、該塗布液を基材に塗布して前記無機酸化物粒子相互の間隙に前記樹脂エマルジョン粒子が介在した粒子層を形成し、塗布後、加熱乾燥して該樹脂エマルジョン粒子の崩壊によって前記無機酸化物粒子相互の間隙および該無機酸化物粒子と前記基材との間隙に樹脂を入り込ませて接着層を形成し、該無機酸化物粒子の上部が該接着層から露出した凹凸構造を有する超親水性被膜を基材上に形成することによって製造される。
(II)樹脂エマルジョン粒子32を極性溶媒33に懸濁させた樹脂エマルジョン粒子懸濁液34を調製する工程(樹脂エマルジョン粒子懸濁液調整工程)。
(III)分散液30と懸濁液34を混合して被膜形成用塗布液35を調製する工程(塗布液調製工程)。
(IV)塗布液35を基材1に塗布し、無機酸化物粒子5の相互の間隙に樹脂エマルジョン粒子32が介在した粒子層を形成する工程(塗布工程)。
(V)塗布液を加熱乾燥して樹脂エマルジョン粒子34を崩壊させて無機酸化物粒子5の相互間隙および無機酸化物粒子5と基材1との間隙に樹脂を入り込ませて、無機酸化物粒子の上部が露出した接着層4を形成する工程(接着層形成工程)。
(IV)塗布工程:塗布液を基材に塗布し、無機酸化物粒子相互の間隙に樹脂エマルジョン粒子が介在した粒子層を形成する。塗布方法は特に制限されず、例えば、バーコーター法、ディップ法、スプレー法、スピナー法、ロールコート法、グラビアコート法、スリットコート法、加圧塗布法等を用いることができる。前記塗布液には無機酸化物粒子と共に樹脂エマルジョン粒子が含まれているので、一度の塗布作業で無機酸化物粒子と樹脂エマルジョン粒子を基材上に塗布することができる。また、塗布液中で無機酸化物粒子と樹脂エマルジョン粒子は均一に分散しているので、この塗布作業によって、無機酸化物粒子相互の間隙に樹脂エマルジョン粒子が介在した状態の粒子層を形成することができる。
〔標準粒子径ヒマワリ状粒子、樹脂量標準、アクリル−スチレン〕
無機酸化物粒子(ヒマワリ状粒子)分散液[A1]の調製
(基体粒子の調製)
シリカゾル(日揮触媒化成社製:カタロイドSI−80P、平均粒子径80nm、表面電位−60mV、SiO2濃度20重量%、pH10.2)750gに、陽イオン交換樹脂(ROHMHARS社製:デュオライト)150gを混合し、0.5時間撹拌した。ついで、陽イオン交換樹脂を分離した後、陰イオン交換樹脂(三菱化学社製:SUNNUP−C)135gを混合し、0.5時間撹拌した後に該陰イオン交換樹脂を分離して、SiO2濃度20重量%の精製シリカゾル750gを調製した。
(基体粒子分散液の調製)
精製シリカゾル750gに、ポリ塩化アルミニウム(多木化学社製:タキバイン#1000、Al2O3濃度23.55重量%)5.1gを添加し、常温で0.5時間撹拌した。ついで、純水2903gを添加して希釈してSiO2濃度4.1重量%のシリカからなる基体粒子分散液3658gを調製した。該基体粒子分散液のpHは3.7であった。
(微細粒子の添加)
前記基体粒子分散液(SiO2濃度4.1重量%)3658gに、被覆用の微細粒子としてシリカゾル(日揮触媒化成社製:カタロイドSN−350、平均粒子径7nm、表面電位−23mV、SiO2濃度16.6重量%、pH3.7)294gを混合した。この混合分散液のSiO2濃度は5.0重量%、pHは3.5であった。
(ヒマワリ状粒子分散液の調製)
前記混合分散液に陰イオン交換樹脂(三菱化学(株)製:SUNNUP−C)135gを混合し、0.5時間撹拌し、ついで、陰イオン交換樹脂を分離し、ロータリーエバポレーターによりSiO2濃度10重量%のシリカからなるヒマワリ状粒子分散液[A]を調製した。該分散液のHは7.0であった。
(平均粒子径DPの測定)
前記ヒマワリ状粒子の平均粒子径は、透過型電子顕微鏡写真(TEM)を撮影し、10個の長径を測定し、その平均値とした。
(被覆率の測定)
前記ヒマワリ状粒子の分散液を120℃に加熱して乾燥し、該ヒマワリ状粒子の比表面積をBET法で測定し、被覆率を求めた。被覆率は前記式(4)に従って求めた。
基体用無機酸化物粒子の種類と平均粒子径、被覆用無機酸化物微粒子の種類と平均粒子径、ヒマワリ状粒子等の無機酸化物粒子の平均粒子径(Dp)、実測表面積、被覆率、粒子径比率、濃度を表1に示した。
前記ヒマワリ状粒子分散液[A1]90gに、5%珪酸液を1.8g添加し、80℃で3時間熟成した。その後、樹脂エマルジョン粒子懸濁液[B1](DIC社製CG8370:粒子サイズ100nm:濃度50重量%、アクリル−スチレン)を2g添加し、次いでエタノールを添加して固形分濃度を5重量%に調製し、マグネチックスターラーで、室温下、1時間撹拌して被膜形成用塗布液[C1]を得た。該塗布液のpHは7.5であった。ヒマワリ状粒子の濃度、樹脂の種類、樹脂エマルジョン粒子の粒子径、ヒマワリ状粒子と樹脂エマルジョン粒子の量比〔ヒマワリ状粒子/(ヒマワリ状粒子+樹脂エマルジョン粒子〕、固形分濃度、pHを表1に示した。
被膜形成用塗布液[C1]を、ガラス基板(浜新社製品:FL硝子、厚さ:3mm、屈折率:1.51)にバーコーター法で塗布し、80℃で10分間乾燥して、親水性被膜付基材[D1]を製造した。製造した親水性被膜の膜厚、該被膜の凹凸構造の凸部平均高さ(TF)、凸部間のピッチ幅(WF)、接着層膜厚(UF)、(UF)/(DP)比を表2に示す。
(イ)親水性
親水性は全自動接触角計(協和界面科学社製DM700)を用いて5μL水との接触角を測定した。
(ロ)鉛筆硬度
鉛筆硬度はJIS−K−5600に準じて鉛筆硬度試験器により測定した。評価基準を以下に示す。
2H以上:◎ H〜2H:○
B〜H :△ B以下 :×
(ハ)密着性
密着性は親水性透明被膜付基材(1)の表面にナイフで縦横1mmの間隔で11本の平行な傷を付けて100個の升目を作り、これにセロファンテープを接着、剥離したときの被膜が剥離せず残存している升目の数を、以下の3段階に分類することによって密着性を評価した。評価基準を以下に示す。
残存升目の数100個: ◎ 残存升目の数95〜99個:○
残存升目の数90〜94個:△ 残存升目の数89個以下 :×
(ニ)汚れ落ち性
汚れ落ち性は親水性透明被膜付基材[C1]の表面に三菱油性マーカー(細字 ピース赤)を用いて3cm線を書き、その後に流水で3分流した際のインクの残りを目視で確認して評価した。評価基準を以下に示す。
インクが完全に落ちる :◎ インクがよく見ると残っている:○
インクがやや残っている:△ インクが明らかに残っている :×
〔標準粒子径ヒマワリ状粒子、樹脂少量、アクリル−スチレン〕
被膜形成用塗布液[C2]の調製
前記ヒマワリ状粒子分散液[A1]90gに、5%珪酸液を1.8g添加し、80℃で3時間熟成した。その後、樹脂エマルジョン粒子懸濁液[B1](DIC株式会社製CG8370:粒子サイズ100nm:濃度50重量%、アクリル−スチレン)を0.2g添加し、次いでエタノールを添加して固形分濃度を5重量%に調製し、マグネチックスターラーで、室温下、1時間撹拌して被膜形成用塗布液[C2]を得た。該塗布液のpHは7.5であった。ヒマワリ状粒子の濃度、樹脂の種類、樹脂エマルジョン粒子の粒子径、ヒマワリ状粒子と樹脂エマルジョン粒子の量比〔ヒマワリ状粒子/(ヒマワリ状粒子+樹脂エマルジョン粒子〕、固形分濃度、pHを表1に示した。
親水性被膜付基材[D2]の製造
被膜形成用塗布液[C2]を使用した以外は実施例1と同様にして親水性被膜付基材[D2]を製造し、実施例1と同様に膜の物性を測定した。この結果を表2に示す。
〔標準粒子径ヒマワリ状粒子、樹脂多量、アクリル−スチレン〕
被膜形成用塗布液[C3]の調製
前記ヒマワリ状粒子分散液[A1]90gに、5%珪酸液を1.8g添加し、80℃で3時間熟成した。その後、樹脂エマルジョン粒子懸濁液[B1](DIC社製CG8370:粒子サイズ100nm:濃度50重量%、アクリル−スチレン)を5g添加し、次いでエタノールを添加して固形分濃度を5重量%に調製し、マグネチックスターラーで、室温下、1時間撹拌して被膜形成用塗布液[C3]を得た。該塗布液のpHは7.5であった。ヒマワリ状粒子の濃度、樹脂の種類、樹脂エマルジョン粒子の粒子径、ヒマワリ状粒子と樹脂エマルジョン粒子の量比〔ヒマワリ状粒子/(ヒマワリ状粒子+樹脂エマルジョン粒子〕、固形分濃度、pHを表1に示した。
親水性被膜付基材[D3]の製造
被膜形成用塗布液[C3]を使用した以外は実施例1と同様にして親水性被膜付基材[D3]を製造し、実施例1と同様に膜の物性を測定した。この結果を表2に示す。
〔標準粒子径ヒマワリ状粒子、樹脂量標準、エマルシ゛ョン粒子径小、アクリル−スチレン〕
エマルション樹脂粒子懸濁液[B2]の調製
樹脂エマルジョン粒子懸濁液[B1](DIC社製CG8370:粒子サイズ100nm:濃度50重量%、アクリル−スチレン)100gに1%塩酸と純水を添加してpH4.5の20%希釈液250gを調製した。その後、ホモミキサーを用いて1500rpmで15分撹拌して、エマルション樹脂粒子懸濁液[B2]を調製した。この樹脂エマルション懸濁液[B2]について、TEMを用いて観察したところ、平均粒子径30nmの樹脂エマルションであった。
被膜形成用塗布液[C4]の調製
前記ヒマワリ状粒子分散液[A1]90gに、5%珪酸液を1.8g添加し、80℃で3時間熟成した。その後、樹脂エマルジョン粒子懸濁液[B2]を5g添加し、次いでエタノールを添加して固形分濃度を5重量%に調製し、マグネチックスターラーで、室温下、1時間撹拌して被膜形成用塗布液[C4]を得た。該塗布液のpHは6.0であった。ヒマワリ状粒子の濃度、樹脂の種類、樹脂エマルジョン粒子の粒子径、ヒマワリ状粒子と樹脂エマルジョン粒子の量比〔ヒマワリ状粒子/(ヒマワリ状粒子+樹脂エマルジョン粒子〕、固形分濃度、pHを表1に示した。
親水性被膜付基材[D4]の製造
被膜形成用塗布液[C4]を使用した以外は実施例1と同様にして親水性被膜付基材[D4]を製造し、実施例1と同様に膜の物性を測定した。この結果を表2に示す。
〔標準粒子径ヒマワリ状粒子、樹脂量標準、アクリル−ウレタン〕
被膜形成用塗布液[C5]の調製
前記ヒマワリ状粒子分散液[A1]90gに、5%珪酸液を1.8g添加し、80℃で3時間熟成した。その後、樹脂エマルジョン粒子懸濁液[B3](DIC社製CG-5010EF:粒子サイズ100nm:濃度45重量%、アクリル−ウレタン)を2.22g添加し、次いでエタノールを添加して固形分濃度を5重量%に調製し、マグネチックスターラーで、室温下、1時間撹拌して被膜形成用塗布液[C5]を得た。該塗布液のpHは7.5であった。ヒマワリ状粒子の濃度、樹脂の種類、樹脂エマルジョン粒子の粒子径、ヒマワリ状粒子と樹脂エマルジョン粒子の量比〔ヒマワリ状粒子/(ヒマワリ状粒子+樹脂エマルジョン粒子〕、固形分濃度、pHを表1に示した。
親水性被膜付基材[D5]の製造
被膜形成用塗布液[C5]を使用した以外は実施例1と同様にして親水性被膜付基材[D5]を製造し、実施例1と同様に膜の物性を測定した。この結果を表2に示す。
〔標準粒子径ヒマワリ状粒子、樹脂量標準、アクリル−シリコーン〕
被膜形成用塗布液[C6]の調製
前記ヒマワリ状粒子分散液[A1]90gに、5%珪酸液を1.8g添加し、80℃で3時間熟成した。その後、樹脂エマルジョン粒子懸濁液[B4](DIC社製SA-6360:粒子サイズ150nm:濃度50重量%、アクリル−シリコーン)を2g添加し、次いでエタノールを添加して固形分濃度を5重量%に調製し、マグネチックスターラーで、室温下、1時間撹拌して被膜形成用塗布液[C6]を得た。該塗布液のpHは8.5であった。ヒマワリ状粒子の濃度、樹脂の種類、樹脂エマルジョン粒子の粒子径、ヒマワリ状粒子と樹脂エマルジョン粒子の量比〔ヒマワリ状粒子/(ヒマワリ状粒子+樹脂エマルジョン粒子〕、固形分濃度、pHを表1に示した。
親水性被膜付基材[D6]の製造
被膜形成用塗布液[C6]を使用した以外は実施例1と同様にして親水性被膜付基材[D6]を製造し、実施例1と同様に膜の物性を測定した。この結果を表2に示す。
〔小粒子ヒマワリ状粒子、樹脂量標準、アクリル−スチレン〕
無機酸化物粒子(ヒマワリ状粒子)分散液[A2]の調製
(基体粒子の調製)
シリカゾル(日揮触媒化成社製:カタロイドSI―45P、平均粒子径45nm、表面電位−60mV、SiO2濃度20重量%、pH10.2)750gに陽イオン交換樹脂(ROHMHARS社製:デュオライト)150gを混合し、30℃で0.5時間撹拌した。ついで、陽イオン交換樹脂を分離した後、陰イオン交換樹脂(三菱化学社製:SUNNUP−C)135gを混合し、0.5時間撹拌し、ついで、陰イオン交換樹脂を分離して、SiO2濃度20重量%の精製シリカゾル750gを調製した。ついで、精製シリカゾル750gにポリ塩化アルミニウム(多木化学社製:タキバイン#1000、Al2O3濃度23.55重量%)9.2gを添加し、常温で0.5時間撹拌した。ついで、純水2903gを添加して希釈したSiO2濃度4.1重量%のシリカからなる基体用金属酸化物粒子分散液[a-2]3662gを調製した。ついで、この基体用金属酸化物粒子分散液[a-2]3662gに、シリカゾル(日揮触媒化成社製:カタロイドSN−350、平均粒子径7nm、表面電位−23mV、SiO2濃度16.6重量%、pH3.7)595gを混合した。このとき、混合分散液のpHは3.5であった。ついで、混合分散液に陰イオン交換樹脂(三菱化学(株)製:SUNNUP−C)135gを混合し、0.5時間撹拌し、ついで、陰イオン交換樹脂を分離し、ロータリーエバポレーターによりSiO2濃度10重量%のシリカからなる無機酸化物粒子(ヒマワリ状粒子)分散液[A2]を調製した。分散液のpHは6.5であった。
被膜形成用塗布液[C7]の調製
前記ヒマワリ状粒子分散液[A2]90gを使用した以外は実施例1と同様にして被膜形成用塗布液[C7]を得た。該塗布液のpHは7.5であった。ヒマワリ状粒子の濃度、樹脂の種類、樹脂エマルジョン粒子の粒子径、ヒマワリ状粒子と樹脂エマルジョン粒子の量比〔ヒマワリ状粒子/(ヒマワリ状粒子+樹脂エマルジョン粒子〕、固形分濃度、pHを表1に示した。
親水性被膜付基材[D7]の製造
被膜形成用塗布液[C7]を使用した以外は実施例1と同様にして親水性被膜付基材[D7]を製造し、実施例1と同様に膜の物性を測定した。この結果を表2に示す。
〔金平糖粒子、樹脂量標準、アクリル−スチレン〕
被膜形成用塗布液[C8]の調製
金平糖シリカ粒子分散液(日揮触媒化成社製:カタロイドCO-80A、平均粒子径80nm、比表面積43m2/g、表面電位−60mV、SiO2濃度40重量%、pH10.2)22.5gを使用した以外は実施例1と同様にして被膜形成用塗布液[C8]を得た。該塗布液のpHは9.5であった。金平糖粒子の濃度、樹脂の種類、樹脂エマルジョン粒子の粒子径、金平糖粒子と樹脂エマルジョン粒子の量比〔金平糖粒子/(金平糖粒子+樹脂エマルジョン粒子〕、固形分濃度、pHを表1に示した。
親水性被膜付基材[D8]の製造
被膜形成用塗布液[C8]を使用した以外は実施例1と同様にして親水性被膜付基材[D8] を製造し、実施例1と同様に膜の物性を測定した。この結果を表2に示す。
〔多孔質粒子、樹脂量標準、アクリル−スチレン〕
被膜形成用塗布液[C9]の調製
多孔質シリカアルミナ粒子分散液(日揮触媒化成社製:カタロイドUSBB−120、平均粒子径30nm、比表面積800m2/g、濃度20重量%、pH11.2)22.5gを使用した以外は実施例1と同様にして被膜形成用塗布液[C9]を得た。該塗布液のpHは9.5であった。多孔質粒子の濃度、樹脂の種類、樹脂エマルジョン粒子の粒子径、多孔質粒子と樹脂エマルジョン粒子の量比〔多孔質粒子/(多孔質粒子+樹脂エマルジョン粒子〕、固形分濃度、pHを表1に示した。
親水性被膜付基材[D9]の製造
被膜形成用塗布液[C9]を使用した以外は実施例1と同様にして親水性被膜付基材[D9] を製造し、実施例1と同様に膜の物性を測定した。この結果を表2に示す。
〔実施例1の基材変更〕
親水性被膜付基材[D10]の製造
基材をスレート板に使用した以外は実施例1と同様にして親水性被膜付基材[D10]を製造し、実施例1と同様に膜の物性を測定した。この結果を表1〜に示す。
〔ヒマワリ状粒子AgO複合化、樹脂量標準、アクリル−スチレン〕
無機酸化物粒子(ヒマワリ状粒子)分散液[A3]の調製
(基体粒子の調製)
シリカゾル(日揮触媒化成社製:カタロイドSI−80P、平均粒子径80nm、表面電位−60mV、SiO2濃度20重量%、pH10.2)750gに、陽イオン交換樹脂(ROHMHARS社製:デュオライト)150gを混合し、0.5時間撹拌した。ついで、陽イオン交換樹脂を分離した後、陰イオン交換樹脂(三菱化学社製:SUNNUP−C)135gを混合し、0.5時間撹拌した後に該陰イオン交換樹脂を分離して、SiO2濃度20重量%の精製シリカゾル750gを調製した。
(基体粒子分散液の調製)
前記精製シリカゾル750gに、ポリ塩化アルミニウム(多木化学社製:タキバイン#1000、Al2O3濃度23.55重量%)5.1gを添加し、常温で0.5時間撹拌した。ついで、純水2903gを添加して希釈してSiO2濃度4.1重量%のシリカからなる基体粒子分散液3658gを調製した。該基体粒子分散液のpHは3.7であった。
(微細粒子の添加)
前記基体粒子分散液(SiO2濃度4.1重量%)3658gに、被覆用の微細粒子としてAgO-SiO-Al2O3ナノ粒子(日揮触媒化成社製:ATOMY BALL UA平均粒子径10nm、表面電位−20mV、濃度1.5重量%、pH7.0)3253gを混合した。その後ロータリーエバポレーターで濃度5.0重量に濃縮した。
(ヒマワリ状粒子分散液の調製)
前記混合分散液に陰イオン交換樹脂(三菱化学社製:SUNNUP−C)135gを混合し、0.5時間撹拌し、ついで、陰イオン交換樹脂を分離し、ロータリーエバポレーターによりSiO2濃度10重量%のシリカからなるヒマワリ状粒子分散液[A3]を調製した。該分散液のHは7.0であった。
(平均粒子径Dpの測定)
前記ヒマワリ状粒子の平均粒子径は、透過型電子顕微鏡写真(TEM)を撮影し、10個の長径を測定し、その平均値とした。
(被覆率の測定)
前記ヒマワリ状粒子の分散液を120℃に加熱して乾燥し、該ヒマワリ状粒子の比表面積をBET法で測定し、被覆率を求めた。被覆率は前記式(4)に従って求めた。
被膜形成用塗布液[C11]の調製
前記ヒマワリ状粒子分散液[A3]90gに、5%珪酸液を1.8g添加し、80℃で3時間熟成した。その後、樹脂エマルジョン粒子懸濁液[B1](DIC社製CG8370:粒子サイズ100nm:濃度50重量%、アクリル−スチレン)を2g添加し、次いでエタノールを添加して固形分濃度を5重量%に調製し、マグネチックスターラーで、室温下、1時間撹拌して被膜形成用塗布液[C11]を得た。該塗布液のpHは7.5であった。ヒマワリ状粒子の濃度、樹脂の種類、樹脂エマルジョン粒子の粒子径、ヒマワリ状粒子と樹脂エマルジョン粒子の量比〔ヒマワリ状粒子/(ヒマワリ状粒子+樹脂エマルジョン粒子〕、固形分濃度、pHを表1に示した。
親水性被膜付基材[D11]の製造
被膜形成用塗布液[C11]を使用した以外は実施例10と同様にして親水性被膜付基材[D11]を製造し、実施例1と同様に膜の物性を測定した。この結果を表2に示す。
〔実施例1の基材変更〕
親水性被膜付基材[D12]の製造
被膜形成用塗布液[A1]をナイロン繊維(線径10μm細孔径1μm)にディップ法で、乾燥層厚が表1の値になるように塗布し、80℃で10分間乾燥して親水性被膜付基材[D12]を製造し、実施例1と同様に膜の物性を測定した。この結果を表2に示す。ナイロンについて風合いを確認した。風合いは、塗膜前後の手による触感に基づいて評価した。評価基準を以下に示す。
塗布前後で感触が変わらないもの :◎
塗布後に僅かにゴワゴワ感があるもの :○
塗布後に少しゴワゴワ感があるもの :△
塗布後に明らかにゴワゴワ感があるもの:×
〔ヒマワリ状粒子AgO複合化、基材変更〕
親水性被膜付基材[D13]の製造
被膜形成用塗布液[C11]をナイロン繊維(線径10μm細孔径1μm)にディップ法で、乾燥層厚が表1の値になるように塗布し、80℃で10分間乾燥して親水性被膜付基材[D13]を製造し、実施例1と同様に膜の物性を測定した。この結果を表2に示す。
〔標準粒子径ヒマワリ状粒子、樹脂オリゴマー(非エマルシ゛ョン)〕
接着層形成用塗布液[R1]の調製
変性アルコール(日本アルコール販売社製:ソルミックスA−11、メタノールとエタノールとイソプロピルアルコールの混合アルコール)72.5gに水10.0gと濃度61重量%の硝酸0.1gを添加し、25℃で10分撹拌した。ついで、テトラエトキシシラン(多摩化学工業社製:正珪酸エチル‐A、SiO2濃度28.8重量%)17.4gを添加し、30℃で30分撹拌してテトラエトキシシラン加水分解物(固形分濃度5.0重量%、分子量1000)のシリカからなる接着層形成用塗布液[R1]を調製した。
被膜形成用塗布液[R2]の調製
前記ヒマワリ状粒子分散液[A1]90gに、5%珪酸液を1.8g添加し、80℃で3時間熟成した。その後、接着層形成用塗布液[R1]を20g添加し、次いでエタノールを添加して固形分濃度を5重量%に調製し、マグネチックスターラーで、室温下、1時間撹拌して被膜形成用塗布液[R2]を得た。該塗布液のpHは3.8であった。ヒマワリ状粒子の濃度、樹脂の種類、ヒマワリ状粒子と樹脂の量比〔ヒマワリ状粒子/(ヒマワリ状粒子+樹脂エマルジョン粒子〕、固形分濃度、pHを表3に示した。
親水性被膜付基材[R3]の製造
被膜形成用塗布液[R2]を使用した以外は実施例1と同様にして親水性被膜付基材[R3]を製造し、実施例1と同様に膜の物性を測定した。この結果を表4に示す。
〔標準粒子径ヒマワリ状粒子、樹脂無添加〕
被膜形成用塗布液[L2]の調製
前記ヒマワリ状粒子分散液[A1]90gに、5%珪酸液を1.8g添加し、80℃で3時間熟成した。その後エタノールを添加して固形分濃度を5重量%に調製し、マグネチックスターラーで、室温下、1時間撹拌して被膜形成用塗布液[L2]を得た。該塗布液のpHは7.5であった。ヒマワリ状粒子の濃度、樹脂の種類、ヒマワリ状粒子と樹脂の量比〔ヒマワリ状粒子/(ヒマワリ状粒子+樹脂エマルジョン粒子〕、固形分濃度、pHを表3に示した。
親水性被膜付基材[L3]の製造
被膜形成用塗布液[L2]を使用した以外は実施例1と同様にして親水性被膜付基材[L3]を製造し、実施例1と同様に膜の物性を測定した。この結果を表4に示す。
〔標準粒子径ヒマワリ状粒子、樹脂過剰量〕
被膜形成用塗布液[M2]の調製
前記ヒマワリ状粒子分散液[A1]90gに、5%珪酸液を1.8g添加し、80℃で3時間熟成した。その後、樹脂エマルジョン粒子懸濁液[B1](DIC株式会社製CG8370:粒子サイズ100nm:濃度50重量%、アクリル−スチレン)を72g添加し、次いでエタノールを添加して固形分濃度を5重量%に調製し、マグネチックスターラーで、室温下、1時間撹拌して被膜形成用塗布液(R3)を得た。該塗布液のpHは7.5であった。ヒマワリ状粒子の濃度、樹脂の種類、樹脂エマルジョン粒子の粒子径、ヒマワリ状粒子と樹脂エマルジョン粒子の量比〔ヒマワリ状粒子/(ヒマワリ状粒子+樹脂エマルジョン粒子〕、固形分濃度、pHを表3に示した。
親水性被膜付基材[M3]の製造
被膜形成用塗布液[M2]を使用した以外は実施例1と同様にして親水性被膜付基材[M3]を製造し、実施例1と同様に膜の物性を測定した。この結果を表4に示す。
〔基材の物性〕
実施例1〜13に使用した基材(ガラス、スレート、ナイロン)の物性を測定して表4に示した。
Claims (20)
- 基材表面に超親水性の被膜を有する親水性基材であって、前記被膜が無機酸化物粒子を含む粒子層と、該無機酸化物粒子相互の間隙および該無機酸化物粒子と前記基材の間隙に介在する接着層からなり、該無機酸化物粒子が無機酸化物の基体粒子と該基体粒子表面を被覆する無機酸化物の微細粒子からなり、該無機酸化物粒子表面が該微細粒子による微細凹凸を有する該粒子全体の断面がヒマワリ状の粒子(以下、ヒマワリ状粒子と云う)であり、該ヒマワリ状粒子の表面が親水性であって、該無機酸化物粒子の上部が前記接着層から露出した凹凸構造を前記被膜表面に有することを特徴とする超親水性被膜付基材。
- 前記ヒマワリ状粒子の平均粒子径(DP)が20〜600nmであって、接着層の膜厚(UF)が6〜400nmであり、該ヒマワリ状粒子の平均粒子径(DP)に対する接着層の膜厚(UF)の比(UF/DP)が1/3〜2/3であって、該ヒマワリ状粒子の平均粒子径(DP)の1/3〜2/3が接着層から露出していることを特徴とする請求項1に記載する超親水性被膜付基材。
- 該ヒマワリ状粒子表面の微細凹凸の凸部平均高さ(TFF)が0.5〜10nmの範囲であり、該微細凹凸の凸部間の平均距離(ピッチ幅)(WFF)が1〜30nmの範囲であることを特徴とする請求項1または請求項2の何れかに記載する超親水性被膜付基材。
- 親水性被膜表面の凹凸構造の凸部平均高さ(TF)が10〜300nmの範囲であり、凸部間の平均距離(ピッチ幅)(WF)が1〜1000nmの範囲であることを特徴とする請求項1〜請求項3の何れかに記載する超親水性被膜付基材。
- 親水性被膜の膜厚が20nm〜700nmであることを特徴とする請求項1〜請求項4の何れかに記載する超親水性被膜付基材。
- 該ヒマワリ状粒子が多孔質であることを特徴とする請求項1〜請求項5の何れかに記載する超親水性被膜付基材。
- 該ヒマワリ状粒子の表面が、SiX4の式(式中、X:炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基、ハロゲン、水素)で示される加水分解性有機ケイ素化合物による親水基で修飾されていることを特徴とする請求項1〜請求項6の何れかに記載する超親水性被膜付基材。
- 水との接触角が10°以下であることを特徴とする請求項1〜請求項7の何れかに記載する超親水性被膜付基材。
- 該ヒマワリ状粒子がSiO2、Al2O3、Sb2O5、ZrO2、TiO2、Fe2O3、CeO2、AgO、CuO、Cu2O、およびこれらの複合酸化物または混合物から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜請求項8の何れかに記載する超親水性被膜付基材。
- 接着層が、エマルジョン用樹脂であって、エステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アミド系樹脂、イミド系樹脂、ポリフェニレンオキサイド系樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、シリコーン系樹脂、ウレタン系樹脂、またはスチレン系樹脂、あるいはこれらの共重合樹脂から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜請求項9の何れかに記載する超親水性被膜付基材。
- 無機酸化物粒子と樹脂エマルジョン粒子を含み、該無機酸化物粒子は無機酸化物の基体粒子と該基体粒子表面を被覆する無機酸化物の微細粒子からなり、該無機酸化物粒子表面が該微細粒子による微細凹凸を有する該粒子全体の断面がヒマワリ状であって該粒子表面が親水性のヒマワリ状粒子であり、該ヒマワリ状粒子と該樹脂エマルジョン粒子が、極性溶媒中に混在して単分散していることを特徴とする超親水性被膜形成用塗布液。
- 前記樹脂エマルジョン粒子の平均粒子径(De)が、前記ヒマワリ状粒子の平均粒子径(DP)と同等か小さい(De≦DP)ことを特徴とする請求項11に記載する超親水性被膜形成用塗布液。
- 前記ヒマワリ状粒子の量(G)と、樹脂エマルジョン粒子の量(M)との量比(G/[G+M])が0.5〜0.98の範囲であることを特徴とする請求項11または請求項12に記載する超親水性被膜形成用塗布液。
- 粒子表面が親水性の前記ヒマワリ状粒子が極性溶媒に分散した分散液と、前記樹脂エマルジョン粒子が極性溶媒に懸濁した懸濁液との二液からなり、前記分散液と前記懸濁液の混合によって該ヒマワリ状粒子と該樹脂エマルジョン粒子が極性溶媒中に混在して単分散した状態になる請求項11〜請求項13の何れかに記載する超親水性被膜形成用塗布液。
- 粒子表面が親水性のヒマワリ状粒子と樹脂エマルジョン粒子とが極性溶媒中に分散し懸濁している被膜形成用塗布液を基材に塗布して該ヒマワリ状粒子相互の間隙に前記樹脂エマルジョン粒子が介在した粒子層を形成し、塗布後、加熱乾燥して該樹脂エマルジョン粒子の崩壊によって前記ヒマワリ状粒子相互の間隙および該ヒマワリ状粒子と前記基材との間隙に樹脂を入り込ませて接着層を形成し、該ヒマワリ状粒子の上部が該接着層から露出した凹凸構造を有する超親水性被膜を基材上に形成することを特徴とする超親水性被膜付基材の製造方法。
- 粒子表面が親水性のヒマワリ状粒子の分散液と、樹脂エマルジョン粒子の懸濁液とを混合して、該ヒマワリ状粒子と該樹脂エマルジョン粒子とが極性溶媒中に混在し単分散している被膜形成用塗布液を調製し、該塗布液を基材に塗布する請求項15に記載する超親水性被膜付基材の製造方法。
- 被膜形成用塗布液に含まれる樹脂エマルジョン粒子の平均粒子径(De)が前記ヒマワリ状粒子の平均粒子径(DP)と同等か小さい(De≦DP)ことを特徴とする請求項15または請求項16に記載する超親水性被膜付基材の製造方法。
- 被膜形成用塗布液に含まれるヒマワリ状粒子の量(G)と、樹脂エマルジョン粒子の量(M)との量比(G/[G+M])が0.5〜0.98の範囲であることを特徴とする請求項15〜請求項17の何れかに記載する超親水性被膜付基材の製造方法。
- エマルジョン用樹脂として、エステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アミド系樹脂、イミド系樹脂、ポリフェニレンオキサイド系樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、シリコーン系樹脂、ウレタン系樹脂、またはスチレン系樹脂、あるいはこれらの共重合樹脂からなる樹脂エマルジョン粒子を極性溶媒に懸濁させた樹脂エマルジョン粒子懸濁液と、前記ヒマワリ状粒子を極性溶媒に分散させたヒマワリ状粒子分散液を混合して被膜形成用塗布液を調製することを特徴とする請求項15〜請求項18の何れかに記載する超親水性被膜付基材の製造方法。
- 被膜形成用塗布液を基材に塗布した後に60〜200℃に加熱乾燥して樹脂エマルジョン粒子を崩壊させることを特徴とする請求項15〜請求項19の何れかに記載する超親水性被膜付基材の製造方法。
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