以下、実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、実施形態にかかるトイレ装置及び衛生洗浄装置を表す斜視図である。
図1に表したように、トイレ装置2は、洋式腰掛便器(以下説明の便宜上、単に「便器」と称する)4と、衛生洗浄装置10と、を備える。衛生洗浄装置10は、便器4の上に取り付けられる。衛生洗浄装置10は、便器4に対して一体的に取り付けてもよいし、便器4に対して着脱可能に取り付けてもよい。
衛生洗浄装置10は、本体部12と、便座14と、便蓋16と、を有する。便蓋16は、衛生洗浄装置10に必要に応じて設けられ、省略可能である。便座14と便蓋16とは、本体部12に対して回転可能に軸支されている。
ここで、本願明細書においては、便座14に座った使用者からみて上方を「上方」とし、便座14に座った使用者からみて下方を「下方」とする。また、開いた状態の便蓋16に背を向けて便座14に座った使用者からみて前方を「前方」とし、後方を「後方」とし、右側を「右側方」とし、左側を「左側方」とする。
便器4は、ボウル部4aを有する。ボウル部4aは、下方に凹む凹状である。便器4は、ボウル部4aにおいて使用者の尿や便などの排泄物を受ける。
衛生洗浄装置10の本体部12は、便器4のボウル部4aよりも後方の部分の上に取り付けられる。本体部12は、ケースカバー20を有する。本体部12は、ケースカバー20において、便座14及び便蓋16を回転可能に軸支する。
図2は、実施形態に係る衛生洗浄装置の要部構成を表すブロック図である。
図2に表したように、衛生洗浄装置10は、洗浄水供給部30と、着座検知センサ31と、人体検知センサ32と、洗浄ノズル34と、ノズル洗浄室36と、噴霧ノズル38と、脱臭ユニット40と、制御部42と、を有する。
着座検知センサ31は、使用者が便座14に着座する直前において便座14の上方に存在する人体や、便座14に着座した使用者を検知することができる。着座検知センサ31は、便座14に着座した使用者だけではなく、便座14の上方に存在する使用者を検知してもよい。このような着座検知センサ31としては、例えば、赤外線投受光式の測距センサを用いることができる。着座検知センサ31は、使用者が着座した際の荷重によってON/OFFが行われるスイッチであってもよい。着座検知センサ31は、使用者の着座の検知に応答して、着座の検知を表す信号を制御部42に出力する。
人体検知センサ32は、例えば赤外線信号を利用した焦電センサであり、トイレ装置2が設置された室内(以下、トイレルームと称す)に入室した入室者を検知する。人体検知センサ32は、制御部42に接続されている。人体検知センサ32は、検知結果を制御部42に入力する。
人体検知センサ32は、例えばドップラーセンサなどのマイクロ波センサであってもよい。マイクロ波のドップラー効果を利用したセンサや、マイクロ波を送信し反射したマイクロ波の振幅(強度)に基づいて被検知体を検出するセンサなどを人体検知センサ32として用いた場合には、人体検知センサ32は、トイレルームのドア越しに使用者の存在を検知することが可能となる。つまり、人体検知センサ32は、トイレルームに入室する前の使用者を検知することができる。
制御部42は、洗浄水供給部30、人体検知センサ32、洗浄ノズル34、ノズル洗浄室36、噴霧ノズル38、及び脱臭ユニット40のそれぞれの動作を制御する。制御部42は、例えば、操作部44から入力される操作指示に応じて、各部の動作を制御する。操作部44は、本体部12に設けてもよいし、本体部12とは別に設けてもよい。操作部44は、いわゆるリモコンでもよい。制御部42と操作部44との間の通信は、有線でもよいし、無線でもよい。
洗浄水供給部30は、流路開閉弁50と、熱交換器51と、電解槽52と、大気解放式のバキュームブレーカー(VB)53と、電磁ポンプ54と、流調・流路切替弁55(流路切替部)と、を有する。
流路開閉弁50は、開閉可能な電磁バルブであり、制御部42からの指令に基づいて洗浄水の供給を制御する。流路開閉弁50は、給水源から供給される洗浄水の給水と止水とを切り替える。
熱交換器51は、流路開閉弁50の下流に設けられている。熱交換器51は、ヒータにより、給水源から供給された洗浄水を加熱して例えば規定の温度まで昇温させる。熱交換器51は、給水源から供給された洗浄水を、設定された温度の温水に変換する。以下、本願明細書において、「洗浄水」は、給水源から供給された水(冷水)と、熱交換器51によって温められた温水と、を含むものとする。
熱交換器51は、例えばセラミックヒータなどを用いた瞬間加熱式(瞬間式)の熱交換器でもよいし、貯湯タンクを用いた貯湯加熱式の熱交換器でもよい。使用者は、操作部44を操作することにより温水温度を設定することができる。
電解槽52は、熱交換器51の下流に設けられている。電解槽52は、一対の電極を有し、制御部42から送信された通電の制御信号に基づいて、電極間に流れる洗浄水(水道水)を電気分解する。電解槽52は、洗浄水に含まれる塩素イオンを電気分解することにより、次亜塩素酸(HClO)を含む液(以下、「機能水」と称する)を生成する。
電解槽52を通過した洗浄水、及び電解槽52によって生成された機能水は、電磁ポンプ54を介して、洗浄ノズル34へ送られる。電磁ポンプ54は、例えば、洗浄ノズル34に供給される洗浄水に脈動を与える。
洗浄ノズル34は、吐水部35を有する。吐水部35は、例えば、おしり洗浄吐水孔35aと、おしりソフト吐水孔35bと、ビデ洗浄吐水孔35cと、を有する。
また、洗浄ノズル34は、おしり洗浄流路FC1と、おしりソフト流路FC2と、ビデ洗浄流路FC3と、ワイドビデ洗浄流路FC4と、を有する。おしり洗浄流路FC1は、おしり洗浄吐水孔35aに接続され、おしり洗浄吐水孔35aに洗浄水又は機能水を供給する。おしりソフト流路FC2は、おしりソフト吐水孔35bに接続され、おしりソフト吐水孔35bに洗浄水又は機能水を供給する。ビデ洗浄流路FC3及びワイドビデ洗浄流路FC4は、ビデ洗浄吐水孔35cに接続され、ビデ洗浄吐水孔35cに洗浄水又は機能水を供給する。但し、洗浄ノズル34が有する吐水孔及び流路は、これだけには限定されない。吐水孔の数は、上記のように流路の数と一致していなくてもよいし、流路の数と同じでもよい。
洗浄ノズル34へ送られた洗浄水又は機能水は、吐水部35から上方に向かって吐水される。吐水部35から吐水された洗浄水は、便座14に着座した使用者の局部洗浄などに用いられる。また、洗浄ノズル34においては、ビデ洗浄流路FC3からビデ洗浄吐水孔35cに洗浄水を供給することにより、ビデ洗浄が行われ、ワイドビデ洗浄流路FC4からビデ洗浄吐水孔35cに洗浄水を供給することにより、ワイドビデ洗浄が行われる。機能水は、各吐水孔35a〜35c、及び各吐水孔35a〜35cへと至る流路の洗浄などに用いられる。このように、洗浄ノズル34は、4つの流路FC1〜FC4を有し、4つの流路FC1〜FC4のそれぞれから供給された洗浄水又は機能水を吐水可能に構成されている。
電磁ポンプ54と洗浄ノズル34との間には、流調・流路切替弁55が設けられている。流調・流路切替弁55は、電磁ポンプ54を介して供給された洗浄水又は機能水の行き先を、おしり洗浄流路FC1、おしりソフト流路FC2、ビデ洗浄流路FC3、ワイドビデ洗浄流路FC4、ノズル洗浄室36、噴霧ノズル38、及び脱臭ユニット40のいずれかに切り替える。また、流調・流路切替弁55は、洗浄ノズル34の各吐水孔35a〜35cから吐水する洗浄水の吐水流量を変更する。
ノズル洗浄室36は、吐水部36aを有する。ノズル洗浄室36は、吐水部36aから洗浄水又は機能水を吐水することにより、洗浄ノズル34の外面の洗浄、即ち胴体洗浄を行う。
噴霧ノズル38は、便器4のボウル部4aの表面に洗浄水又は機能水を噴霧する。噴霧ノズル38は、ケースカバー20の内部に設けてもよいし、ケースカバー20の外部に取り付けてもよい。
制御部42は、例えば、人体検知センサ32による使用者の入室の検知に応答して、噴霧ノズル38から便器4のボウル部4aの表面に水滴を噴霧する。すなわち、制御部42は、使用者が便器4を使用する前に、便器4のボウル部4aの表面を水滴で濡らす。これにより、ボウル部4aの表面に付着する汚物を軽減させることができる。
また、制御部42は、例えば、人体検知センサ32がトイレルーム内の使用者を検知しなくなってから所定時間(例えば、90秒後)が経過した際に、噴霧ノズル38から便器4のボウル部4aの表面に機能水を噴霧する。すなわち、制御部42は、使用者が汚物を流し便器4の使用を終了した後に、ボウル部4aの表面を機能水(次亜塩素酸水)で濡らす。これにより、悪臭のもとになる菌が、ボウル部4aにおいて増えてしまうことを抑えることができる。便器4から悪臭が放出されることを抑えることができる。
脱臭ユニット40は、トイレルーム内の空気を吸い込む。トイレルーム内の空気とは、主として便器4の外部の空気(ボウル部4a内以外の空気)をいう。脱臭ユニット40は、吸い込んだ空気に含まれる悪臭成分を捕集又は分解する。「悪臭成分」は、例えば、アンモニア成分である。脱臭ユニット40は、悪臭成分を捕集又は分解した空気を、ケースカバー20の外部(トイレルーム)に吐き出す。
脱臭ユニット40は、集塵フィルタ60と、ファン(送風部)61と、脱臭フィルタ62と、噴霧部63と、水受け部64と、吸気口65と、排気口66と、を有する。
ファン61は、吸気口65からトイレルーム内の空気を吸い込み、吸い込んだ空気を排気口66からトイレルームへ吐き出す。集塵フィルタ60は、吸気口65とファン61との間に設けられ、吸い込んだ空気に含まれる塵や埃などが、ファン61へ送られることを抑制する。
脱臭フィルタ62は、ファン61と排気口66との間に設けられる。噴霧部63は、脱臭フィルタ62よりも上方に設けられている。噴霧部63は、電磁弁を有する。噴霧部63は、制御部42の制御に基づいて開弁動作を行い、流調・流路切替弁55から供給された洗浄水又は機能水を、脱臭フィルタ62の上方から脱臭フィルタ62に向けて噴霧する。
脱臭フィルタ62は、例えば、多孔質構造を有し、噴霧部63から噴霧された洗浄水又は機能水を保持する。水受け部64は、脱臭フィルタ62の下方に設けられ、脱臭フィルタ62から滴下した水を受ける。
ファン61が作動すると、吸気口65から吸い込まれたトイレルーム内の空気が、脱臭フィルタ62内を通過する。脱臭フィルタ62が水分を保持した状態において、空気が脱臭フィルタ62内を通過すると、空気の中に含まれる悪臭成分が、脱臭フィルタ62に保持された水分に取り込まれる。例えば、空気中に含まれるアンモニア(NH3)が、脱臭フィルタ62に保持された水分に溶解する。これにより、空気中に含まれる悪臭成分を低減させることができる。
悪臭成分が低減された空気は、排気口66からトイレルームへ排出される。このように、脱臭ユニット40は、トイレルーム内に常在する悪臭成分を捕集又は分解することができる。よって、使用者は、トイレルームに入室する際に、トイレルーム内に常在する悪臭成分による臭気を吸う可能性が低くなり、快適にトイレルームを利用できる。
制御部42は、例えば、使用者のトイレ装置2の使用頻度の低い時間帯においては、ファン61の動作を停止させる。そして、制御部42は、使用者のトイレ装置2の使用頻度の高い時間帯においては、ファン61を動作させるとともに、定期的に噴霧部63を動作させ、脱臭フィルタ62に水分を保持させる。
これにより、使用者がトイレルームに入室する可能性が高い時間帯において、トイレルーム内に常在する臭気を取り除くことができる。したがって、使用者が、トイレルーム内に常在する臭気を吸うことで、不快感を感じることを抑制することができる。
図3は、流調・流路切替弁を表す説明図である。
図3に表したように、流調・流路切替弁55は、固定ディスク(ステータ)80と、可動ディスク(ロータ)82と、ハウジング84と、駆動機構86と、を有する。
固定ディスク80は、例えば、円板状であり、前面80a(上流側を向く面)と、前面80aの反対側の背面80b(下流側を向く面)と、を有する。固定ディスク80は、おしり洗浄流路FC1、おしりソフト流路FC2、ビデ洗浄流路FC3、ワイドビデ洗浄流路FC4、ノズル洗浄室36、噴霧ノズル38、及び脱臭ユニット40のそれぞれに対応した複数のポート(開口部)を有する。固定ディスク80の各ポートは、上記の各部と個別に接続されている。
可動ディスク82は、例えば、固定ディスク80と同程度の径を有する円板状である。可動ディスク82は、固定ディスク80の上流側に設けられる。可動ディスク82は、固定ディスク80の前面80aに当接する。可動ディスク82は、前面80aと直交する方向を軸(以下、回転軸RAと称す)に、前面80aの上で摺動回転する。可動ディスク82は、固定ディスク80の1つのポートに対応する開口部を有する。例えば、可動ディスク82の開口部が、固定ディスク80の1つのポートと重なると、固定ディスク80の別のポートが、可動ディスク82によって閉塞される。これにより、可動ディスク82の開口部と重なった1つのポートのみに通水が可能となる。
流調・流路切替弁55は、可動ディスク82を回転させることにより、通水可能となるポートを選択的に切り替える。これにより、選択するポートに応じて、おしり洗浄流路FC1、おしりソフト流路FC2、ビデ洗浄流路FC3、ワイドビデ洗浄流路FC4、ノズル洗浄室36、噴霧ノズル38、及び脱臭ユニット40のいずれかに、洗浄水又は機能水を選択的に供給することができる。
ハウジング84は、例えば、筒状であり、内部の空間に固定ディスク80及び可動ディスク82を収容する。ハウジング84は、可動ディスク82を回転可能に支持する。ハウジング84の可動ディスク82よりも上流側の内部空間は、配管などを介して電磁ポンプ54と接続されている。電磁ポンプ54を介して供給された洗浄水又は機能水は、ハウジング84の内部空間から可動ディスク82及び固定ディスク80を介して各部に供給される。
駆動機構86は、可動ディスク82に対して駆動力を供給し、可動ディスク82を回転させる。駆動機構86は、制御部42に接続されており、制御部42の制御に基づいて可動ディスク82を回転させる。制御部42は、駆動機構86を駆動して可動ディスク82を回転させ、固定ディスク80の各ポートのいずれかを選択することにより、洗浄水又は機能水の行き先を切り替える。なお、駆動機構86は、漏水を招くことなく可動ディスク82を回転させることができる任意の機構でよい。
図4(a)及び図4(b)は、固定ディスクを表す平面図及び背面図である。
図4(a)は、固定ディスク80の前面80aを表し、図4(b)は、固定ディスク80の背面80b(下流側を向く面)を表す。固定ディスク80は、前面80aにおいて可動ディスク82と当接し、背面80b側において洗浄ノズル34などの各部と接続される。
図4(a)及び図4(b)に表したように、固定ディスク80は、第1〜第4の4つのポート101〜104と、第1補助ポート111と、第2補助ポート112と、第1溝部121と、第2溝部122と、を有する。
第1ポート101〜第4ポート104は、固定ディスク80の前面80aにおいて、可動ディスク82の回転軸RAを中心とする第1円周C1上に配置され、それぞれ時計方向に順に並ぶ。すなわち、前面80aと正対した状態において、第1ポート101から第1円周C1に沿って右方向に回転した位置に、第2ポート102が配置される。同様に、第2ポート102から右方向に回転位置に、第3ポート103が配置され、第3ポート103から右方向に回転位置に、第4ポート104が配置される。
第1ポート101〜第4ポート104は、第1円周C1の中心(回転軸RA)を基準に、前面80aを第1領域R1〜第4領域R4の等角度の4つの領域に分けた時に、第1領域R1〜第4領域R4のそれぞれに配置される。第1ポート101は、第1領域R1に配置され、第2ポート102は、第2領域R2に配置され、第3ポート103は、第3領域R3に配置され、第4ポート104は、第4領域R4に配置される。
ここで、第1円周C1上の第1ポート101と第2ポート102との中間位置MPと第1円周C1の中心とを結ぶ仮想的な線を第1仮想線VL1とする。第1円周C1の中心を通り第1仮想線VL1と直交する仮想的な線を第2仮想線VL2とする。第1領域R1〜第4領域R4は、例えば、第1仮想線VL1と第2仮想線VL2とで区切られた領域である。
第1補助ポート111は、前面80aにおいて第1円周C1と同軸かつ第1円周C1よりも径が小さい第2円周C2上に配置されている。図4(b)に表したように、第1補助ポート111は、背面80b側において溝部113を介して第3ポート103と連通する。
第2補助ポート112は、前面80aにおいて第2円周C2上に配置され、背面80b側において溝部114を介して第4ポート104と連通する。
第2補助ポート112は、例えば、第1円周C1の中心を挟んで第1補助ポート111の反対側に設けられている。すなわち、第2補助ポート112は、第1補助ポート111と略180度の関係にある。略180度とは、例えば、180度±5度の範囲である。より好ましくは、180度±1度の範囲である。
また、第1補助ポート111及び第2補助ポート112は、例えば、第2仮想線VL2上に配置される。換言すれば、第1補助ポート111及び第2補助ポート112は、例えば、第2円周C2と第2仮想線VL2との交点に配置される。
第1溝部121は、前面80aに設けられ、第1ポート101から第2ポート102に向かって延びる。より詳しくは、第1溝部121は、第1ポート101から中間位置MPに向かって延びる。
第2溝部122は、前面80aに設けられ、第2ポート102から第1ポート101に向かって延びる。より詳しくは、第2溝部122は、第2ポート102から中間位置MPに向かって延びる。
また、この例において、固定ディスク80は、第5ポート105〜第7ポート107をさらに有する。第5ポート105は、第1円周C1上において、第3ポート103と第4ポート104との間に配置されている。第6ポート106は、第1円周C1上において、第4ポート104と第5ポート105との間に配置されている。また、この例では、第5ポート105が第3領域R3に配置され、第6ポート106が第4領域R4に配置されている。
第7ポート107は、第2円周C2上において、第1補助ポート111と第2補助ポート112との間に配置されている。第7ポート107は、例えば、第2円周C2と第1仮想線VL1との交点に配置される。第7ポート107は、例えば、第1補助ポート111及び第2補助ポート112と略90度の関係にある。略90度とは、例えば、90度±5度の範囲である。より好ましくは、90度±1度の範囲である。この例では、第7ポート107が、第3領域R3及び第4領域R4側に配置されている。これとは反対に、第7ポート107は、第1領域R1及び第2領域R2側に配置してもよい。
第1ポート101は、例えば、ワイドビデ洗浄流路FC4と接続される。第2ポート102は、例えば、おしりソフト流路FC2と接続される。第3ポート103は、例えば、おしり洗浄流路FC1と接続される。第4ポート104は、例えば、ビデ洗浄流路FC3と接続される。このように、第1ポート101〜第4ポート104は、局部洗浄用の各流路FC1〜FC4のいずれかと接続される。
第5ポート105は、例えば、脱臭ユニット40の噴霧部63と接続される。第6ポート106は、例えば、噴霧ノズル38と接続される。第7ポート107は、例えば、ノズル洗浄室36の吐水部36aと接続される。このように、第5ポート105〜第7ポート107は、局部洗浄以外の用途の吐水部や噴霧部に洗浄水又は機能水を供給する流路と接続される。
図4(a)に表したように、固定ディスク80は、第1調整溝131〜第4調整溝134をさらに有する。第1調整溝131〜第4調整溝134は、前面80aに設けられる。第1調整溝131は、第1ポート101から第1円周C1に沿って周方向に延びる。第2調整溝132は、第2ポート102から第1円周C1に沿って周方向に延びる。第3調整溝133は、第3ポート103から第1円周C1に沿って周方向に延びる。第4調整溝134は、第4ポート104から第1円周C1に沿って周方向に延びる。第1調整溝131〜第4調整溝134は、例えば、第2仮想線VL2に向かって周方向に延びる。
図5は、第1調整溝を表す断面図である。
図5は、図4(a)のA1−A2線断面を表す。
図5に表したように、第1調整溝131は、第1ポート101から離間するに従って、深さが浅くなる。第1調整溝131の深さは、第1ポート101から離間するに従って、連続的に浅くなってもよいし、段階的に浅くなってもよい。
第1調整溝131と同様に、第2調整溝132は、第2ポート102から離間するに従って、深さが浅くなる。第3調整溝133は、第3ポート103から離間するに従って、深さが浅くなる。第4調整溝134は、第4ポート104から離間するに従って、深さが浅くなる。
図6は、固定ディスク及び可動ディスクを表す平面図である。
図6に表したように、可動ディスク82は、第1開口部151と、第2開口部152と、第3開口部153と、を有する。
第1開口部151は、第1円周C1上に配置され、第1ポート101〜第6ポート106を選択的に露呈させる。また、第1開口部151は、図6に表したように、第1円周C1上の第1ポート101と第2ポート102との中間位置MPにおいて、第1溝部121及び第2溝部122を同時に露呈させる。これにより、第1開口部151が中間位置MPにある状態においては、第1ポート101と第2ポート102とに同時に通水を行うことができる。この例において、第1開口部151は、可動ディスク82の外周に設けられた切り欠き状である。第1開口部151は、貫通孔状でもよい。
第2開口部152は、第1開口部151が中間位置MPにある状態において、第1補助ポート111を露呈させる。第3開口部153は、第1開口部151が中間位置MPにある状態において、第2補助ポート112を露呈させる。
このように、第1開口部151が中間位置MPにある状態においては、第1溝部121及び第2溝部122が第1開口部151によって露呈され、第1補助ポート111が第2開口部152によって露呈され、第2補助ポート112が第3開口部153によって露呈される。従って、第1開口部151が中間位置MPにある状態においては、第1ポート101〜第4ポート104のそれぞれに同時に通水を行うことができる。すなわち、第1開口部151が中間位置MPにある状態においては、局部洗浄用の各流路FC1〜FC4のそれぞれに同時に通水を行うことができる。
第1開口部151と第1円周C1の中心とを結ぶ第3仮想線VL3は、例えば、第2開口部152と第3開口部153とを結ぶ第4仮想線VL4と直交する。すなわち、第1開口部151は、第2開口部152及び第3開口部153のそれぞれと略90度の関係にある。
可動ディスク82は、第1円周C1上において第1開口部151を配置可能な可動範囲MRと、第1開口部151の配置が規制された規制範囲BRと、を有する。中間位置MPは、第1円周C1の中心を挟んで規制範囲BRの反対側に設けられている。なお、規制範囲BRは、ストッパなどによって可動ディスク82の回転を物理的に規制した範囲でもよいし、制御部42及び駆動機構86などによって可動ディスク82の回転を制御的に規制した範囲でもよい。
図7(a)〜図7(h)は、可動ディスクの動作を表す平面図である。
図7(a)に表したように、第1開口部151を第6ポート106の上に配置する。この場合、他のポートは、可動ディスク82によって閉塞される。これにより、噴霧ノズル38のみに通水を行うことが可能となる。
図7(b)に表したように、図7(a)の状態から可動ディスク82を時計方向に回転させ、第1開口部151を第4ポート104の上に配置する。この場合、他のポートは、可動ディスク82によって閉塞される。これにより、ビデ洗浄流路FC3のみに通水を行うことが可能となる。
また、この際、第1開口部151を第4調整溝134の上に配置するとともに、第1開口部151の位置によって、露呈される第4調整溝134の深さを変化させる。すなわち、第4調整溝134において、水の流れる断面積を変化させる。これにより、ビデ洗浄流路FC3に供給する洗浄水又は機能水の流量を調整することができる。このように、第1調整溝131〜第4調整溝134により、各流路FC1〜FC4に供給する洗浄水又は機能水の流量を調整することができる。
図7(c)に表したように、図7(b)の状態から可動ディスク82を時計方向にさらに回転させ、第3開口部153を第7ポート107の上に配置する。この場合、他のポートは、可動ディスク82によって閉塞される。これにより、ノズル洗浄室36のみに通水を行うことが可能となる。
図7(d)に表したように、図7(c)の状態から可動ディスク82を時計方向にさらに回転させ、第1開口部151を第1ポート101の上に配置する。この場合、他のポートは、可動ディスク82によって閉塞される。これにより、ワイドビデ洗浄流路FC4のみに通水を行うことが可能となる。
図6に表したように、図7(d)の状態から可動ディスク82を時計方向にさらに回転させ、第1開口部151を中間位置MPに配置する。この場合、前述のように、第1溝部121及び第2溝部122が第1開口部151によって露呈され、第1補助ポート111が第2開口部152によって露呈され、第2補助ポート112が第3開口部153によって露呈される。また、この場合、第1ポート101〜第7ポート107は、可動ディスク82によって閉塞される。これにより、局部洗浄用の各流路FC1〜FC4のみに同時に通水を行うことができる。
図7(e)に表したように、図6の状態から可動ディスク82を時計方向にさらに回転させ、第1開口部151を第2ポート102の上に配置する。この場合、他のポートは、可動ディスク82によって閉塞される。これにより、おしりソフト流路FC2のみに通水を行うことが可能となる。
図7(f)に表したように、図7(e)の状態から可動ディスク82を時計方向にさらに回転させ、第2開口部152を第7ポート107の上に配置する。この場合、他のポートは、可動ディスク82によって閉塞される。これにより、ノズル洗浄室36のみに通水を行うことが可能となる。
図7(g)に表したように、図7(f)の状態から可動ディスク82を時計方向にさらに回転させ、第1開口部151を第3ポート103の上に配置する。この場合、他のポートは、可動ディスク82によって閉塞される。これにより、おしり洗浄流路FC1のみに通水を行うことが可能となる。
そして、図7(h)に表したように、図7(g)の状態から可動ディスク82を時計方向にさらに回転させ、第1開口部151を第5ポート105の上に配置する。この場合、他のポートは、可動ディスク82によって閉塞される。これにより、脱臭ユニット40のみに通水を行うことが可能となる。
このように、固定ディスク80及び可動ディスク82では、各流路FC1〜FC4に選択的に洗浄水又は機能水を供給できるとともに、各流路FC1〜FC4に同時に洗浄水又は機能水を供給することができる。そして、固定ディスク80及び可動ディスク82では、可動ディスク82の可動範囲MRにおいて、各流路FC1〜FC4に同時に通水が行われる状態を、一度のみとすることができる。
次に、本実施形態に係る衛生洗浄装置10の動作について説明する。
衛生洗浄装置10の制御部42は、人体検知センサ32がトイレルームへの使用者の入室を検知すると、可動ディスク82を図7(a)に表した状態とし、噴霧ノズル38から便器4のボウル部4aの表面に水滴を噴霧する。これにより、ボウル部4aの表面に付着する汚物を軽減させることができる。
衛生洗浄装置10は、使用者の身体の洗浄(本洗浄)を開始する前に、温水準備の動作を実行する。温水準備は、第1の温水準備工程と、第2の温水準備工程と、を有する。
制御部42は、操作部44から局部洗浄動作の指示を受けると、第1の温水準備工程を実行する。
第1の温水準備工程は、「前洗浄」の工程と、「胴体洗浄」の工程と、を有する。
「前洗浄」では、制御部42は、流路開閉弁50および流調・流路切替弁55を制御し、可動ディスク82を図6に表した状態とすることにより、吐水部35が有するすべての吐水孔35a〜35cから水を吐水させる。これにより、熱交換器51と洗浄ノズル34との間の各流路FC1〜FC4の内部の水は、熱交換器51により加熱された温水に置換される。
前洗浄の動作中には、洗浄ノズル34は、ケースカバー20の内部に後退した待機状態にある。そのため、吐水部35から吐水された水は、例えばノズル洗浄室36の内面により反射して洗浄ノズル34の外周面や吐水部35にかかる。これにより、洗浄ノズル34の外周面や吐水部35は、洗浄ノズル34自身が吐水した水であって、ノズル洗浄室36の内面により反射した水によって洗浄される(セルフクリーニング)。
「胴体洗浄」では、制御部42は、流路開閉弁50および流調・流路切替弁55を制御し、可動ディスク82を図7(c)又は図7(f)に表した状態とすることにより、ノズル洗浄室36に設けられた吐水部36aから水を噴射させる。これにより、洗浄ノズル473の外周表面を洗浄することができる。制御部42は、例えば、ビデ洗浄又はワイドビデ洗浄が指示された場合に、可動ディスク82を図7(c)に表した状態とし、おしり洗浄又はおしりソフト洗浄が指示された場合に、可動ディスク82を図7(f)に表した状態とする。
制御部42は、図示を省略したノズルモータを制御し、洗浄ノズル34を便器4のボウル部4a内に進出させる。制御部42は、洗浄ノズル34の進出時にノズル洗浄室36の吐水部36aから水を噴射させることで、洗浄ノズル34の外周表面を洗浄する。
このように、制御部42は、第1の温水準備工程を実行することで、熱交換器51と洗浄ノズル34との間の各流路FC1〜FC4の内部の水の温度を熱交換器51により規定の温度まで昇温させることができる。この後、制御部42は、流調・流路切替弁55を制御し、使用者からの指示に基づいて局部洗浄用の各流路FC1〜FC4のいずれかに通水を行う。ノズル洗浄室36に対応する位置から各流路FC1〜FC4の位置に可動ディスク82を回転させる際、各調整溝131〜134により、徐々に流量を増大させることができる。
また、制御部42は、例えば、着座検知センサ31が便座14に着座した使用者を検知すると、第1の温水準備工程を実行する前に第2の温水準備工程を実行する。
第2の温水準備工程は、「捨水」の工程を有する。
なお、第2の温水準備工程の開始のトリガは、着座検知センサ31が使用者を検知することに限定されず、人体検知センサ32あるいは入室検知センサなどが使用者を検知することであってもよい。
「捨水」では、制御部42は、流路開閉弁50および流調・流路切替弁55を制御し、可動ディスク82を図6に表した状態とすることにより、吐水部35が有するすべての吐水孔35a〜35cから水を吐水させる。これにより、流路の内部の水は、便器4のボウル部4aに排出される。
このように、制御部42は、第2の温水準備工程を実行することで、流路の内部への給水を開始し、流路の内部に残っていた水を便器4のボウル部4aに排出する。なお、第2の温水準備工程は、必ずしも実行されなくともよい。
以上、説明したように、本実施形態に係る衛生洗浄装置10によれば、第1ポート101〜第4ポート104を同一円周上に配置することができるとともに、第1補助ポート111及び第2補助ポート112を同一円周上に配置することができ、洗浄モードの多様化に対応しつつ、固定ディスク80及び可動ディスク82の大型化を抑制することができる。また、第1ポート101〜第4ポート104に同時に通水を行う中間位置MPを、規制範囲BRの反対側に設けることにより、可動ディスク82の可動範囲MRにおいて、第1ポート101〜第4ポート104に同時に通水が行われる状態を、一度のみとすることができる。これにより、意図しない流路への洗浄水又は機能水の供給を抑制し、制御性を向上させることができる。従って、洗浄モードの多様化に対応しつつ、固定ディスク80及び可動ディスク82の大型化を抑制し、かつ良好な制御性を得られる衛生洗浄装置10を提供することができる。
また、衛生洗浄装置10では、第2補助ポート112が、第1円周C1の中心を挟んで第1補助ポート111の反対側に設けられている。これにより、第1補助ポート111及び第2補助ポート112を効率的に配置することができる。可動ディスク82の可動範囲MRを広げ、固定ディスク80及び可動ディスク82の大型化をより抑制することができる。
また、衛生洗浄装置10では、第1開口部151と第1円周C1の中心とを結ぶ第3仮想線VL3が、第2開口部152と第3開口部153とを結ぶ第4仮想線VL4と直交する。これにより、第2開口部152及び第3開口部153を効率的に配置し、固定ディスク80及び可動ディスク82の大型化をより抑制することができる。
また、衛生洗浄装置10では、第1ポート101〜第4ポート104が、第1領域R1〜第4領域R4のそれぞれに配置される。これにより、第1ポート101〜第4ポート104を効率的に配置し、固定ディスク80及び可動ディスク82の大型化をより抑制することができる。
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、トイレ装置2や衛生洗浄装置10などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。