JP6746906B2 - シリコン系粒子およびそれを含むリチウムイオン二次電池用負極活物質並びにそれらの製造方法 - Google Patents

シリコン系粒子およびそれを含むリチウムイオン二次電池用負極活物質並びにそれらの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、シリコン系粒子およびそれを含むリチウムイオン二次電池用負極活物質並びにそれらの製造方法に関するものである。
スマートフォン、タブレット型端末などモバイル機器の高性能化や、EV、PHEVなどリチウムイオン二次電池を搭載した車両の普及に伴い、リチウムイオン二次電池の高容量化の要求が高まっている。現在、リチウムイオン二次電池の負極材には主に黒鉛が用いられているが、さらなる高容量化のため、理論容量が高く、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な元素であるシリコンやスズ等の金属、もしくは他の元素との合金を用いた負極材の開発が活発化している。
一方、これらのリチウムイオンを吸蔵・放出可能な金属材料からなる活物質は、充電によってリチウムと合金化した際に、著しく体積膨張することが知られている。そのため、活物質が割れて微細化し、さらにこれらを用いた負極も構造が破壊されて導電性が切断される。従って、これらの金属材料を用いた負極はサイクル経過によって容量が著しく低下することが課題となっている。
この課題に対し、これらの金属材料を微粒子化し、炭素質物や黒鉛などで複合化する手法が提案されている。このような複合粒子は、これらの金属材料がリチウムと合金化し、微細化しても炭素質物や黒鉛によって導電性が確保されるため、これらの材料を単独で負極材として用いるよりもサイクル特性が著しく向上することが知られている。例えば、特許文献1には、負極の活物質は炭素質物層が表面に形成された微粒子を含み、該微粒子はMg、Al、シリコン、Ca、SnおよびPbから選ばれる少なくとも一種の元素からなると共に、平均粒径が1〜500nmであり、かつ前記活物質中の微粒子の原子比率は15重量%以上であることが開示されている。
また、特許文献2には、微細なシリコン粒子を含有するリチウムイオン二次電池用負極活物質について開示されている。しかしながら、酸素含有量と比表面積で割った値については記載されていない。
特許文献1,2で得られるリチウムイオン二次電池用負極活物質を用いた負極材よりも更に性能、例えば初回クーロン効率の向上が求められている。
特開平10−3920号公報 WO2015/146864号公報
本発明は、リチウムイオン二次電池に用いると初回クーロン効率が向上するリチウムイオン二次電池用負極活物質用の特定のシリコン系粒子を提供することにある。
本発明者ら先の課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定のシリコン系粒子を含むリチウムイオン二次電池用負極活物質を用いたリチウムイオン二次電池は、初回クーロン効率が向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、平均粒径(D50)が0.01〜0.6μm、D90が0.01〜1.0μmであり、BET法による比表面積が40〜300m/g、酸素含有量(重量%)を比表面積(m/g)で割った値が0.1以下であるシリコン系粒子およびそれを含むリチウムイオン二次電池用負極活物質並びにそれらの製造方法に関するものである。
以下、本発明のシリコン系粒子について説明する。
本発明のシリコン系粒子とは、シリコン又はシリコンと他の金属との合金をいう。
なお、シリコンとは、純度が98重量%程度の汎用グレードの金属シリコン、純度が2〜4Nのケミカルグレードの金属シリコン、塩素化して蒸留精製した4Nより高純度のポリシリコン、単結晶成長法による析出工程を経た超高純度の単結晶シリコン、もしくはそれらに周期表13族もしくは15族元素をドーピングして、p型またはn型としたもの、半導体製造プロセスで発生したウエハの研磨や切断の屑、プロセスで不良となった廃棄ウエハなど、汎用グレードの金属シリコン以上の純度のものであれば特に限定されない。
シリコン系粒子における他の金属としては、周期表2〜15族の元素の一つ以上が好ましく、合金に含まれる相の融点が900℃以上となる元素の選択および/または添加量が好ましい。
本発明のシリコン系粒子の平均粒径(D50)は0.01〜0.6μmである。0.01μmより小さいと、表面酸化による容量や初期効率の低下が激しく、0.6μmより大きいと、リチウム挿入による膨張で割れが激しく生じ、サイクル劣化が激しくなりやすいため、好ましくは0.01〜0.3μmである。なお、平均粒径(D50)はレーザー回折法または動的光散乱法で測定した体積平均の粒子径である。
また、D90は0.01〜1.0μmである。1.0μmより大きいと、大きな粒子がさらに大きく膨張することで、シリコン系粒子だけでなく、シリコン系粒子と炭素質物との間にも膨張応力による割れが発生し、サイクル劣化が激しくなりやすいため、好ましくは0.01〜0.6μmである。D90はレーザー回折法又は動的光散乱法による測定された最少粒径値より累積値90%にあたる粒子径である。
さらに、BET法で測定されるBET比表面積は40〜300m/gである。BET比表面積が40m/gより小さいと、粒子が大きく、リチウム挿入による膨張で割れが激しく生じ、サイクル劣化が激しくなりやすく、300m/gより大きいと、電解質との反応性が高くなり、サイクル劣化が起きやすくなると共に、シリコン表面の酸素が多くなるため、不可逆容量が高くなり、初回充放電効率が低くなる。好ましくは70〜300/gである。
本発明のシリコン系粒子における酸素含有量(重量%)を比表面積(m/g)で割った値は0.1以下であり、好ましくは0.01〜0.1である。そのシリコン系粒子を含むリチウムイオン二次電池用活物質を用いたリチウムイオン二次電池は、後述するように初期クーロン効率の優れたリチウムイオン二次電池をなるものである。ここで、酸素含有量は、LECO社製インパルス炉溶融−赤外吸収法を用いた酸素量分析計により測定することができる。
本発明のシリコン系粒子は、平均粒径(D50)0.5〜100μmのシリコン系粒子の原料(インゴット、ウエハ、粉末などの状態)を窒素、アルゴン等の不活性雰囲気中粉砕機で粉砕し、場合によっては分級機を用いることによって製造する。本発明は、特に、窒素、アルゴン等の不活性雰囲気下で粉砕することにより、酸素含有量(重量%)を比表面積(m/g)で割った値は0.1以下という酸素含有量の少ないシリコン系粒子が得られるものである。
インゴット、ウエハなどの塊の場合、最初はジョークラッシャー等の粗粉砕機を用いて粉末化することができる。その後、例えば、ボール、ビーズなどの粉砕媒体を運動させ、その運動エネルギーによる衝撃力や摩擦力、圧縮力を利用して被砕物を粉砕するボールミル、媒体撹拌ミルや、ローラによる圧縮力を利用して粉砕を行うローラミルや、被砕物を高速で内張材に衝突もしくは粒子相互に衝突させ、その衝撃による衝撃力によって粉砕を行うジェットミルや、ハンマー、ブレード、ピンなどを固設したローターの回転による衝撃力を利用して被砕物を粉砕するハンマーミル、ピンミル、ディスクミルや、剪断力を利用するコロイドミルや高圧湿式対向衝突式分散機「アルティマイザー」などを用いて粉砕した後、さらに、微粉化を行うことにより本発明のシリコン系粒子を得る。
微粉化の方法として例えば、湿式のビーズミルを用い、ビーズの径を段階的に小さくすること等により非常に細かい粒子を得ることができる。ビーズミルに使用するメディアとしては高強度であるジルコニアが好ましい。ビーズの径は、粉砕するシリコン系粒子の粒径により変化させ、例えばシリコン系粒子の平均粒径(D50)が10〜40μmであれば、0.5〜1mmのビーズを使用し、シリコン系粒子の平均粒径(D50)が0.5〜10μmでは、0.1〜0.5mmのビーズを使用し、シリコン系粒子の平均粒径(D50)が0.1〜0.5μmでは、0.03〜0.1mmのビーズを使用することが好ましい。0.1mmよりも小さいビーズを使用する場合、ビーズとスラリーの分離には遠心分離方式を使用することが好ましい。
粉砕時に溶媒を用いる場合には、該溶媒としては、メタノールやエタノール、イソプロピルアルコール等のアルコールやヘキサン、トルエンなどの炭化水素系溶剤が好ましい。水はシリコン系粒子の酸化が激しくなるので適さない。また、必要に応じてスラリー粘度を下げるためのアニオン系やカチオン系、ノニオン系の溶媒を添加してもよい。スラリーの濃度には特に限定はなく、効率的な粉砕を行うこと、粉砕中の凝集を防ぐことおよびスラリー粘度を低くするための濃度として5〜25重量%が好ましく、特に好ましくは5〜20重量%である。5重量%よりも濃度が低いと粉砕効率が低くなり、25重量%よりも高いとスラリー粘度が上昇し、粉砕効率の低下や詰まり等により粉砕ができなくなることがある。
粉砕後に粒度分布を整えるため、乾式分級や湿式分級もしくはふるい分け分級を用いることができる。乾式分級は、主として気流を用い、分散、分離(細粒子と粗粒子の分離)、捕集(固体と気体の分離)、排出のプロセスが逐次もしくは同時に行われ、粒子相互間の干渉、粒子の形状、気流の乱れ、速度分布、静電気の影響などで分級効率を低下させないように、分級をする前に前処理(水分、分散性、湿度などの調整)を行うか、使用される気流の水分や酸素濃度を調整して行われる。乾式で分級機が一体となっているタイプでは、一度に粉砕、分級が行われ、所望の粒度分布とすることが可能となる。
別の所定の粒子径のシリコン系粒子を得る方法としては、プラズマやレーザー等でシリコン系粒子を加熱して蒸発させ、不活性ガス中で凝固させて得る方法、ガス原料を用いてCVDやプラズマCVD等で得る方法があり、これらの方法は0.1μm以下の超微粒子を得るのに適している。
本発明のシリコン系粒子は、該シリコン系粒子を含むリチウムイオン二次電池用負極活物質とすることが好ましい。具体的には、本発明のシリコン系粒子を10〜80重量%、炭素質物を90〜5重量%、黒鉛を0〜80重量%含むリチウムイオン二次電池用負極活物質とすることが好ましい。
リチウムイオン二次電池用負極活物質における炭素質物とは、非晶質もしくは微結晶の炭素物質であり、2000℃を超える熱処理で黒鉛化する易黒鉛化炭素(ソフトカーボン)と、黒鉛化しにくい難黒鉛化炭素(ハードカーボン)がある。
炭素質物の含有量は90〜5重量%であり40〜8重量%が好ましい。炭素質物の含有量が5重量%未満の場合、炭素質物がシリコン化合物を覆うことができず、導電パスが不十分となって容量劣化が激しく起こりやすく、90重量%より大きい場合、容量が十分に得られない。
リチウムイオン二次電池用負極活物質における黒鉛とは、グラフェン層がc軸に平行な結晶であり、鉱石を精製した天然黒鉛、石油や石炭のピッチを黒鉛化した人造黒鉛等があり、原料の形状としては鱗片状、小判状もしくは球状、円柱状もしくはファイバー状等がある。また、それらの黒鉛を酸処理、酸化処理した後、熱処理することにより膨張させ、黒鉛層間の一部が剥離してアコーディオン状となった膨張黒鉛もしくは膨張黒鉛の粉砕物、または超音波等により層間剥離させたグラフェン等も用いることができる。リチウムイオン二次電池用負極活物質に含まれる黒鉛の粒子サイズは、リチウムイオン二次電池用負極活物質粒子のサイズより小さければ特に限定はなく、黒鉛粒子の厚みは活物質の平均粒径(D50)の1/5以下であることが好ましい。黒鉛の添加により活物質粒子の導電性および強度が高まり、充放電のレート特性およびサイクル特性が向上する。黒鉛粒子のX線回折で測定される(002)面の面間隔d002は0.338nm以下であることが好ましく、これは高度に黒鉛化が進んだ黒鉛を意味している。d002がこの値を超える場合、黒鉛による導電性向上効果が小さくなる。
また、黒鉛は、純度99.9重量%以上、若しくは不純物量1000ppm以下であり、S量が0.3重量%以下及び/又はBET比表面積が40m/g以下であることが好ましい。純度が99.9重量%よりも少なく、若しくは不純物量が1000ppmよりも多いと、不純物由来のSEI形成による不可逆容量が多くなるため、初回の充電容量に対する放電容量である初回充放電効率が低くなる傾向がある。また、S量が0.3重量%よりも高くなると同様に不可逆容量が高くなるため、初回充放電効率が低くなる。さらに好ましくは、S量が0.1重量%以下が好ましい。黒鉛のBET比表面積が40m/gよりも高いと、電解液との反応する面積が多くなるため、初回充放電効率が低くなる。
不純物の測定は、ICP発光分光分析法により、以下の26元素(Al、Ca、Cr、Fe、K、Mg、Mn、Na、Ni、V、Zn、Zr、Ag、As、Ba、Be、Cd、Co、Cu、Mo、Pb、Sb、Se、Th、Tl、U)の不純物半定量値により測定する。また、S量は、酸素フラスコ燃焼法で燃焼吸収処理した後、フィルター濾過してイオンクロマトグラフィー(IC)測定により行う。
リチウムイオン二次電池用負極活物質において、炭素質物と黒鉛が含まれる場合、各々の含有量は5〜40重量%と20〜80重量%の割合が好ましく、8〜30重量%と40〜70重量%の割合がさらに好ましい。炭素質物の含有量が5重量%未満の場合、炭素質物がシリコン系粒子および黒鉛を覆うことができず、シリコン系粒子と黒鉛との接着が不十分となり、活物質粒子の形成が困難となりやすい。また、40重量%より大きい場合、導電性が炭素質物より高い黒鉛の効果が十分に引き出されない。一方、黒鉛の含有量が20重量%未満の場合、炭素質物より高い導電性を有する黒鉛の効果が十分でなく、80重量%より多い場合、従来の黒鉛に比べて十分に大きい容量が得られない。
リチウムイオン二次電池用負極活物質は、略球状の複合粒子であり、その平均粒径(D50)が1〜40μmの複合粒子であり、好ましくは2〜30μmである。D50が1μm未満の場合、嵩高くなって高密度の電極が作製しにくくなり、40μmを超える場合、塗布した電極の凹凸が激しくなって均一な電極が作製しにくくなる。また、前記シリコン系粒子の平均粒径が該負極活物質の平均粒径の1/5以下であり、炭素質物が、少なくとも活物質表面を覆っていることが好ましい。
略球状の複合粒子とは、粉砕等により生成した粒子の角が取れているもの、球状もしくは回転楕円体形状、円板もしくは小判形状で厚みを有して角が丸いもの、またはそれらが変形したもので角が丸いものなどを含み、その円形度は0.7〜1.0であり、好ましくは0.7〜0.8である。なお、円形度は走査型電子顕微鏡で撮影した粒子像を画像解析して測定した。すなわち、粒子の投影面積(A)と周囲長(PM)を写真から測定し、等しい周囲長(PM)を持つ真円の面積を(B)とした時に、円形度はA/Bで定義される。前記真円の半径をrとした時、PM=2πr、及びB=πrが成り立つので、これより円形度A/B=A×4π/(PM)で算出される。これにより任意の100個以上の複合粒子の球形度を求め、その平均値を複合粒子の平均円形度とした。この際、短軸長さが1μm未満の扁平状微粒子を除いた略球状粒子の平均値を複合粒子の平均円形度とすることもできる。形状が丸みを帯びることにより複合粒子のかさ密度が高まり、負極にした時の充填密度が高まる。また、前記炭素質物が、少なくとも活物質表面を覆っていることにより、充放電の過程で電解液に溶媒和したリチウムイオンが、前記炭素質物の表面で溶媒から離れて、リチウムイオンのみがシリコン系粒子および/または黒鉛と反応するため、溶媒の分解生成物が生成しにくくなり、充放電の効率が高まる。
リチウムイオン二次電池用負極活物質においては、前記シリコン系粒子が炭素質物と共に0.2μm以下の厚みの黒鉛薄層の間に挟まった構造であり、その構造が積層および/または網目状に広がっており、該黒鉛薄層が活物質粒子の表面付近で湾曲して活物質粒子を覆っていることが好ましい。
黒鉛薄層とは、先に述べた黒鉛を酸処理、酸化処理した後、熱処理することにより膨張させて黒鉛層間の一部が剥離してアコーディオン状となった膨張黒鉛もしくは膨張黒鉛の粉砕物、超音波等により層間剥離させたグラフェン等、またはこれらが圧縮力を受けることで生成した、グラフェン1層(厚み0.0003μm)〜数百層(厚み〜0.2μm)からなる黒鉛薄層である。黒鉛薄層の厚みは薄い方が、黒鉛薄層間に挟まれたシリコン系粒子と、炭素質物の層が薄くなって、シリコン系粒子への電子の伝達が良くなり、厚みが0.2μmを超えると黒鉛薄層の電子伝達効果が薄まる。黒鉛薄層を断面で見て線状の場合、その長さはリチウムイオン二次電池用負極活物質粒子のサイズの半分以上あることが電子伝達に好ましく、リチウムイオン二次電池用負極活物質粒子のサイズと同等程度であることがさらに好ましい。黒鉛薄層が網目状の場合、黒鉛薄層の網がリチウムイオン二次電池用負極活物質粒子のサイズの半分以上に渡って繋がっていることが電子伝達に好ましく、リチウムイオン二次電池用負極活物質粒子のサイズと同等程度であることがさらに好ましい。
黒鉛薄層が活物質粒子の表面付近で湾曲して活物質粒子を覆うことが好ましい。そのような形状にすることで、黒鉛薄層端面から電解液が侵入して、シリコン系粒子や黒鉛薄層端面と電解液が直接接して、充放電時に反応物が形成され、効率が下がるというリスクが低減する。
リチウムイオン二次電池用負極活物質においては、黒鉛を含有しない場合には前記シリコン系粒子の含有量が10〜80重量%、前記炭素質物の含有量が90〜20重量%であることが好ましい。
リチウムイオン二次電池用負極活物質は、BET法によるBET比表面積が5〜120m/gであることがさらに好ましい。
次に、本発明のシリコン系粒子を含むリチウムイオン二次電池用負極活物質の製造方法について説明する。
リチウムイオン二次電池用負極活物質の製造方法は、本発明のシリコン系粒子、炭素前駆体、さらに必要に応じて黒鉛を混合する工程と、造粒・厚密化する工程と、粉砕および球形化処理して複合粒子を形成する工程と、該複合粒子を不活性雰囲気中で焼成する工程を含むものである。
原料の炭素前駆体としては、炭素を主体とする高分子で、不活性ガス雰囲気中での熱処理により炭素質物になるものであれば特に限定はなく、石油系ピッチ、石炭系ピッチ、合成ピッチ、タール類、セルロース、スクロース、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、フェノール樹脂、フラン樹脂、フルフリルアルコール、ポリスチレン、エポキシ樹脂、ポリアクリロニトリル、メラミン樹脂、アクリル樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂等が使用できる。
原料である黒鉛は、天然黒鉛、石油や石炭のピッチを黒鉛化した人造黒鉛等が利用でき、鱗片状、小判状もしくは球状、円柱状もしくはファイバー状等が用いられる。また、それらの黒鉛を酸処理、酸化処理した後、熱処理することにより膨張させて黒鉛層間の一部が剥離してアコーディオン状となった膨張黒鉛もしくは膨張黒鉛の粉砕物、または超音波等により層間剥離させたグラフェン等も用いることができる。原料の黒鉛は予め混合工程で使用可能な大きさに整えて使用し、混合前の粒子サイズとしては天然黒鉛や人造黒鉛では1〜100μm、膨張黒鉛もしくは膨張黒鉛の粉砕物、グラフェンでは5μm〜5mm程度である。
これらのシリコン系粒子、炭素前駆体、さらに必要に応じて黒鉛との混合は、炭素前駆体が加熱により軟化、液状化するものである場合は、加熱下でシリコン系粒子、炭素前駆体、さらに必要に応じて黒鉛を混練することによって行うことができる。また、炭素前駆体が溶媒に溶解するものである場合には、溶媒にシリコン系粒子、炭素前駆体、さらに必要に応じて黒鉛を投入し、炭素前駆体が溶解した溶液中でシリコン系粒子、炭素前駆体、さらに必要に応じて黒鉛を分散、混合し、次いで溶媒を除去することで行うことができる。用いる溶媒は、炭素前駆体を溶解できるものであれば特に制限なく使用できる。例えば、炭素前駆体としてピッチ、タール類を用いる場合には、キノリン、ピリジン、トルエン、ベンゼン、テトラヒドロフラン、クレオソート油等が使用でき、ポリ塩化ビニルを用いる場合には、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、ニトロベンゼン等が使用でき、フェノール樹脂、フラン樹脂を用いる場合には、エタノール、メタノール等が使用できる。
混合方法としては、炭素前駆体を加熱軟化させる場合は、混練機(ニーダー)を用いることができる。溶媒を用いる場合は、上述の混練機の他、ナウターミキサー、レーディゲミキサー、ヘンシェルミキサ、ハイスピードミキサー、ホモミキサー等を用いることができる。また、これらの装置でジャケット加熱したり、その後、振動乾燥機、パドルドライヤーなどで溶媒を除去する。
これらの装置で、炭素前駆体を固化、または、溶媒除去の過程における撹拌をある程度の時間続けることで、シリコン系粒子、炭素前駆体、リチウム化合物、さらに必要に応じて黒鉛との混合物は造粒・圧密化される。また、炭素前駆体を固化、または溶媒除去後の混合物をローラーコンパクタ等の圧縮機によって圧縮し、解砕機で粗粉砕することにより、造粒・圧密化することができる。これらの造粒・圧密化物の大きさは、その後の粉砕工程での取り扱いの容易さから0.1〜5mmが好ましい。
造粒・圧密化物の粉砕方法は、圧縮力を利用して被砕物を粉砕するボールミル、媒体撹拌ミルや、ローラによる圧縮力を利用して粉砕を行うローラミルや、被砕物を高速で内張材に衝突もしくは粒子相互に衝突させ、その衝撃による衝撃力によって粉砕を行うジェットミルや、ハンマー、ブレード、ピンなどを固設したローターの回転による衝撃力を利用して被砕物を粉砕するハンマーミル、ピンミル、ディスクミル等の乾式の粉砕方法が好ましい。また、粉砕後に粒度分布を整えるため、風力分級、ふるい分け等の乾式分級が用いられる。粉砕機と分級機が一体となっているタイプでは、一度に粉砕、分級が行われ、所望の粒度分布とすることが可能となる。
粉砕して得られた複合粒子は、アルゴンガスや窒素ガス気流中、もしくは真空など不活性雰囲気中で焼成する。焼成温度は600〜1000℃とすることが好ましい。焼成温度が600℃未満であると、炭素前駆体由来の非晶質炭素の不可逆容量が大きく、またサイクル特性が悪いため、電池の特性が低下する傾向にある。
リチウムイオン二次電池用負極活物質の製造方法は、シリコン系粒子、炭素前駆体、さらに必要に応じて黒鉛を、該炭素前駆体が溶解する溶媒に混合分散する工程と、造粒・厚密化する工程と、粉砕および球形化処理して形状が丸みを帯びた複合粒子を形成する工程と、該複合粒子を不活性雰囲気中で焼成する工程を含むことが好ましい。
造粒・圧密化物を粉砕して球形化処理を施す方法としては、上述の粉砕方法により粉砕して粒度を整えた後、専用の球形化装置を通す方法と、上述のジェットミルやローターの回転による衝撃力を利用して被砕物を粉砕する方法を繰り返す、もしくは処理時間を延長することで球形化する方法がある。専用の球形化装置としては、ホソカワミクロン社のファカルティ(登録商標)、ノビルタ(登録商標)、メカノフュージョン(登録商標)、日本コークス工業社のCOMPOSI、奈良機械製作所社のハイブリダイゼーションシステム、アーステクニカ社のクリプトロンオーブ、クリプトロンエディ等が挙げられる。
またリチウムイオン二次電池用負極活物質の製造方法は、シリコン系粒子、炭素前駆体、膨張黒鉛または薄片状黒鉛を、該炭素前駆体が溶解する溶媒に混合分散する工程と、造粒・厚密化する工程と、粉砕および球形化処理して形状が丸みを帯びた複合粒子を形成する工程と、該複合粒子を不活性雰囲気中で焼成する工程を含むことが好ましい。
膨張黒鉛や薄片状黒鉛は、天然黒鉛や人造黒鉛を酸処理、酸化処理した酸処理黒鉛を原料とする。膨張黒鉛は、酸処理黒鉛を熱処理することにより膨張させて黒鉛層間の一部が剥離してアコーディオン状となったものである。また、膨張黒鉛の粉砕物、もしくは超音波等により層間剥離させたグラフェンが薄片状黒鉛である。膨張黒鉛においては、酸処理を十分に行い、熱処理の温度勾配を大きくすることで大きく膨張させることが可能であり、混合分散を十分に行うことででき上がったリチウムイオン二次電池用負極活物質の黒鉛薄層の厚みを薄くできるため、良好な電気伝導性、サイクル特性を得ることができる。
このようにして得られるリチウムイオン二次電池用負極活物質は、リチウムイオン二次電池の負極材料として用いることができる。
本発明のシリコン系粒子を含むリチウムイオン二次電池用負極活物質は、例えば、有機系結着剤及び/又は導電助剤を含有(リチウムイオン二次電池用負極活物質混合物)していてもよく、該負極活物質混合物および溶剤と混練して、シート状、ペレット状等の形状に成形するか、または集電体に塗布し、該集電体と一体化してリチウムイオン二次電池用負極とされる。
有機系結着剤としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンプロピレンポリマー、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、ブチルゴム、イオン導電性の大きな高分子化合物が使用できる。イオン導電率の大きな高分子化合物としては、ポリ弗化ビニリデン、ポリエチレンオキサイド、ポリエピクロロヒドリン、ポリフォスファゼン、ポリアクリロニトリル、ポリイミド等が使用できる。有機系結着剤の含有量は、リチウムイオン二次電池用負極活物質混合物に対して3〜20重量%含有させることが好ましい。また、リチウムイオン二次電池用負極活物質は、有機系結着剤の他に粘度調整剤として、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸ソーダ、その他のアクリル系ポリマー、または脂肪酸エステル等を含有しても良い。
導電助剤の種類は特に限定はなく、構成された電池において、分解や変質を起こさない電子伝導性の材料であれば良く、具体的にはAl,Ti,Fe,Ni,Cu,Zn,Ag,Sn,Si等の金属粉末や金属繊維、または天然黒鉛、人造黒鉛、各種のコークス粉末、メソフェーズ炭素、気相成長炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、PAN系炭素繊維、各種の樹脂焼成体等の黒鉛などを用いることができる。導電助剤の含有量は、リチウムイオン二次電池用負極活物質混合物に対して0〜20重量%が好ましく、特には1〜10重量%が好ましい。導電助剤量が少ないと、負極の導電性に乏しい場合があり、初期抵抗が高くなる傾向がある。一方、導電助剤量の増加は電池容量の低下につながるおそれがある。
前記溶剤としては特に制限はなく、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、イソプロパノール、純水等が挙げられ、その量に特に制限はない。集電体としては、例えばニッケル、銅等の箔、メッシュなどが使用できる。一体化は、例えばロール、プレス等の成形法で行うことができる。
このようにして得られた負極は、セパレータを介して正極を対向して配置し、電解液を注入することにより、従来のシリコンを負極材料に用いたリチウムイオン二次電池と比較して、サイクル特性に優れ、高容量、高初期効率という優れた特性を有するリチウムイオン二次電池を作製することができる。
正極に用いられる材料については、例えばLiNiO、LiCoO、LiMn、LiNiMnCo1−x−y、LiFePO、Li0.5Ni0.5Mn1.5、LiMnO−LiMO(M=Co,Ni,Mn)、Li箔等を単独または混合して使用することができる。
電解液としては、LiClO、LiPF、LiAsF、LiBF、LiSOCF等のリチウム塩を、例えばエチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメトキシエタン、ジメチルカーボネート、テトラヒドロフラン、プロピレンカーボネート等の非水系溶剤に溶解させた、いわゆる有機電解液を使用することができる。さらには、イミダゾリウム、アンモニウム、およびピリジニウム型のカチオンを用いたイオン液体を使用することができる。対アニオンは特に限定はなく、BF 、PF 、(CFSO等が挙げられる。イオン液体は前述の有機電解液溶媒と混合して使用することが可能である。電解液には、ビニレンカーボネートやフロロエチレンカーボネートの様なSEI(固体電解質界面層)形成剤を添加することもできる。
また、上記塩類をポリエチレンオキサイド、ポリホスファゼン、ポリアジリジン、ポリエチレンスルフィド等やこれらの誘導体、混合物、複合体等に混合させた固体電解質を用いることもできる。この場合、固体電解質はセパレータも兼ねることができ、セパレータは不要となる、セパレータとしては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンを主成分とした不織布、クロス、微孔フィルムまたはこれらを組み合わせたものを使用することができる。
本発明の平均粒径(D50)が0.01〜0.6μm、D90が0.01〜1.0μm、BET法によるBET比表面積が40〜300m/g、酸素含有量(重量%)を比表面積(m/g)で割った値が0.1以下であるシリコン系粒子を含むリチウムイオン二次電池負極活物質をリチウムイオン二次電池に用いることにより優れた初回クーロン効率に優れたリチウムイオン二次電池が得られる。
実施例1で得られたリチウムイオン二次電池用負極活物質粒子断面のFE−SEMによる反射電子像である。
以下、実施例および比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例1
「シリコン系粒子スラリーの作製」
平均粒子径(D50)が7μmのケミカルグレードの金属Si(純度3N)をメタノールに20重量%混合し、直径0.3mmのジルコニアビーズを用いたバッチ式微粉砕湿式ビーズミルを37時間実施した。このビーズミルはジルコニア製容器内で行い、容器には窒素を3L/min送り込み、不活性雰囲気で行った。
このシリコン系粒子は、堀場製作所製レーザー回折式粒度分布計LA−950により屈折率実数部3.5、虚数部0で測定した平均粒子径(D50)が0.20μm、D90が0.25μm、島津製作所製BET比表面積測定装置トライスター3000にて測定した乾燥時のBET比表面積が83m/g、LECO社製TC436インパルス炉溶融−赤外吸収法による酸素量6.7重量%、酸素量をBET比表面積で割った値0.08であった。
「リチウムイオン二次電池用負極活物質の作製」
日本黒鉛工業製の酸処理黒鉛EXP−80MTを酸処理黒鉛を振動粉末供給器に入れ、10L/分の流量の窒素ガスに乗せて電気ヒーターで850℃に加熱した長さ1m、内径11mmのムライト管に通し、端面から大気に放出し、亜硫酸等のガスを上部に排気、下部に膨張黒鉛をステンレス容器で捕集した。この膨張黒鉛は約40倍に膨張し、外観はコイル状、SEM観察で黒鉛層が剥離したアコーディオン状であることが確認された。
この膨張黒鉛のICPで半定量分析を行った不純物は、Al23ppm、Ca29ppm、Fe53ppm、Mg21ppm、Na25ppmそれ以外の元素は10ppm未満であり、純度は99.9重量%であった。酸素フラスコ燃焼法によるS量は0.1重量%未満、BET比表面積は24m/gであった。
シリコン系粒子濃度50重量%となるように、上記シリコン系粒子スラリーを150g、上記膨張黒鉛を24g、レゾール型のフェノール樹脂(重量平均分子量Mw=3.7×10)を15g、エタノール0.7Lを撹拌容器に入れて、ホモミキサーで1時間混合撹拌した。その後、混合液をロータリーエバポレーターに移し、回転しながら温浴で60℃に加熱し、アスピレータで真空に引き、溶媒を除去した。その後、ドラフト中でバットに広げて排気しながら2時間乾燥し、目開き2mmのメッシュを通し、さらに12時間乾燥して、約40gの混合乾燥物(軽装嵩密度280g/L)を得た。
この混合乾燥物を3本ロールミルに2回通し、粒度約2mm、軽装嵩密度430g/Lに造粒・圧密化した。
次に、この造粒・圧密化物をニューパワーミルに入れて水冷しながら、22000rpmで360秒粉砕し、同時に球形化し、軽装嵩密度560g/Lの球形化粉末を得た。得られた粉末をアルミナボートに入れて、管状炉で窒素ガスを流しながら、最高温度900℃で1時間焼成した。その後、目開き45μmのメッシュを通し、平均粒子径(D50)が18μm、軽装嵩密度670g/Lのリチウムイオン二次電池用負極活物質を得た。
図1に、得られたリチウムイオン二次電池用負極活物質粒子をArイオンビームで切断した断面のFE−SEMによる2次電子像を示す。リチウムイオン二次電池用負極活物質粒子内部は0.05〜0.2μmの長さのシリコン系粒子が炭素質物と共に0.02〜0.2μmの厚みの黒鉛薄層(11)の間(12)(隙間は0.05〜1μm)に挟まった構造が網目状に広がり、積層していた。炭素質物はシリコン系粒子に密着して覆っていた。また、活物質粒子の表面付近では、黒鉛薄層(11)が湾曲して活物質粒子を覆っていた。リガク製粉末X線回折装置RINT2000による測定では黒鉛とシリコンに対応する回折線が見られた。また、黒鉛(002)面の回折線付近に炭素質物の非晶質炭素化に由来する非常にブロードな回折線が観察された。
得られたリチウムイオン二次電池用負極活物質を用いたリチウムイオン二次電池を以下のようにして作製した。
「リチウムイオン二次電池用負極の作製」
得られたリチウムイオン二次電池用負極活物質を95.5重量%(固形分全量中の含有量。以下同じ。)に対して、導電助剤としてアセチレンブラック0.5重量%と、バインダとしてカルボキシメチルセルロース(CMC)1.5重量%とスチレンブタジエンゴム(SBR)2.5重量%、水を混合して負極合剤含有スラリーを調製した。
得られたスラリーを、アプリケータを用いて固形分塗布量が3mg/cmになるように厚みが15μmの銅箔に塗布し、110℃で定置運転乾燥機にて0.5時間乾燥した。乾燥後、14mmφの円形に打ち抜き、圧力0.6t/cmの条件で一軸プレスし、さらに真空下、110℃で3時間熱処理して、厚みが30μmの負極合剤層を形成したリチウムイオン二次電池用負極を得た。
「評価用セルの作製」
評価用セルは、グローブボックス中でスクリューセルに上記負極、24mmφのポリプロピレン製セパレータ、21mmφのガラスフィルター、18mmφで厚み0.2mmの金属リチウムおよびその基材のステンレス箔を、各々、電解液にディップした後、この順に積層し、最後に蓋をねじ込み作製した。電解液はエチレンカーボネートとジエチルカーボネートを体積比1対1の混合溶媒とし、LiPFを1.2mol/Lの濃度になるように溶解させ、これにフルオロエチレンカーボネートを2体積%添加したものを使用した。評価用セルは、さらにシリカゲルを入れた密閉ガラス容器に入れて、シリコンゴムの蓋を通した電極を充放電装置(北斗電工製SM−8)に接続した。
「評価条件」
評価用セルは25℃の恒温室にて、サイクル試験した。充電は、2mAの定電流で0.01Vまで充電後、0.01Vの定電圧で電流値が0.2mAになるまで行った。また放電は、2mAの定電流で1.5Vの電圧値まで行った。初回放電容量と初回充放電効率は、初回充放電試験の結果とした。
また、サイクル特性は、前記充放電条件にて50回充放電試験した後の放電容量を初回の放電容量と比較し、その容量維持率として評価した。
比較例1
シリコン系粒子スラリーの作製時に、窒素を送り込まずに大気雰囲気でバッチ式微粉砕湿式ビーズミルを行った以外は実施例1と同様の方法でリチウムイオン二次電池用負極活物質の作製を行った。このシリコン系粒子は、平均粒子径(D50)が0.22μm、D90が0.30μm、BET比表面積が86m/g、LECO社製TC436インパルス炉溶融−赤外吸収法による酸素量10.1重量%、酸素量をBET比表面積で割った値0.12であった。このシリコン系粒子スラリーに対して実施例1と同様の方法でリチウムイオン二次電池用負極活物質の作製、リチウムイオン二次電池用負極の作製、評価用セルの作製、評価を行った。
実施例1と比較例1の結果を表1に示す。
表1から明らかなように、酸素量をBET比表面積で割った値0.1以下である実施例1のリチウムイオン二次電池は、初回充電容量が1667mAh/g、初回放電容量が1413mAh/gと高容量で、サイクル容量維持率が69%、特に初回充放電効率が85%と高く良好であった。
これに対し、酸素量をBET比表面積で割った値0.1を超える比較例1のリチウムイオン二次電池は、初回充電容量が1605mAh/g、初回放電容量が1339mAh/gと高容量で、サイクル容量維持率が75%であったが、初回充放電効率が83%と低く劣っていた。
Figure 0006746906
本発明のシリコン系粒子を含むリチウムイオン二次電池用負極活物質は、高い処理クーロン効率を有するリチウムイオン二次電池に利用することができる。
11 リチウムイオン二次電池用負極活物質内部の黒鉛薄層
12 リチウムイオン二次電池用負極活物質内部のシリコン系粒子

Claims (8)

  1. 平均粒径(D50)が0.01〜0.3μm、D90が0.01〜1.0μmであり、BET法による比表面積が40〜300m/g、酸素含有量(重量%)を比表面積(m/g)で割った値が0.1以下であることを特徴とするシリコン系粒子。
  2. 平均粒径(D50)が0.01〜0.6μm、D90が0.01〜1.0μmであり、BET法による比表面積が40〜300m /g、酸素含有量(重量%)を比表面積(m /g)で割った値が0.1以下であるシリコン系粒子を10〜80重量%、炭素質物を90〜5重量%、黒鉛を0〜80重量%含むことを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極活物質。
  3. 平均粒径(D50)が1〜40μm、BET法による比表面積が5〜120m/gであり、炭素質物で活物質表面が覆われていることを特徴とする請求項2に記載のリチウムイオン二次電池用負極活物質。
  4. 該黒鉛は、ICP発光分光分析法による26元素(Al、Ca、Cr、Fe、K、Mg、Mn、Na、Ni、V、Zn、Zr、Ag、As、Ba、Be、Cd、Co、Cu、Mo、Pb、Sb、Se、Th、Tl、U)の不純物半定量値より求めた純度が99.9%以上(1000ppm以下)で酸素フラスコ燃焼法によるイオンクロマトグラフィー(IC)測定法によるS量が0.3重量%以下、及び/又は黒鉛のBET法による比表面積が40m/g以下であることを特徴とする請求項2又は3に記載のリチウムイオン二次電池用負極活物質。
  5. シリコン系粒子が、炭素質物と共に0.2μm以下の厚みの黒鉛薄層の間に挟まれた構造であり、その構造が積層および/または網目状に広がっており、該黒鉛薄層が活物質粒子の表面付近で湾曲して活物質粒子を覆っていることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用負極活物質。
  6. シリコン系粒子が平均粒径(D50)0.5〜100μmの粒子をビーズミルにより不活性雰囲気中で粉砕して製造することを特徴とする請求項1に記載のシリコン系粒子の製造方法。
  7. 平均粒径(D50)が0.01〜0.6μm、D90が0.01〜1.0μmであり、BET法による比表面積が40〜300m /g、酸素含有量(重量%)を比表面積(m /g)で割った値が0.1以下であるシリコン系粒子と炭素前駆体、さらに必要に応じて黒鉛を混合する工程と、造粒・圧密化する工程と、粉砕および球形化処理して複合粒子を形成する工程と、該複合粒子を不活性ガス雰囲気中で焼成する工程とを含むことを特徴とする請求項2に記載のリチウムイオン二次電池用負極活物質の製造方法。
  8. 前記複合粒子を不活性雰囲気中で焼成する工程の温度が、600〜1000℃であることを特徴とする請求項7に記載のリチウムイオン二次電池用負極活物質の製造方法。
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