JP6745260B2 - インスタント茶飲料 - Google Patents

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Description

本発明は、インスタント茶飲料に関する。
近年、急須やティーポット等を用いることなく、カップ等の容器に入れ温水等を注ぐだけで手軽に飲用できるインスタント茶飲料が多数上市されている。また、アスコルビン酸は酸化防止剤として知られており、インスタント茶飲料においても保存安定性の向上や褐変防止の目的で使用されている。
一方、シネオールは、環状エーテル構造を有するモノテルペノイドの1種であり、さわやかな香りを有する香気物質として知られている。従来、シネオールを鼻粘膜、口腔粘膜又は肺から吸収させて投与すると、低濃度で、かつ速効性をもって単純作業中に生ずる眠気を抑制できることが報告されている(特許文献1)。また、シネオールを麦芽飲料に添加すると、光による味の毀損を抑制できることが報告されている(特許文献2)。
特開平6−40906号公報 特開昭59−179058号公報
本発明者らは、アスコルビン酸又はその塩を一定量添加したインスタント茶飲料は、これを温水で溶解して還元飲料を調製後、室温程度にまで冷めたときに強い異味が感じられ、調製直後とは全く異なる風味となることを見出した。なお、ここでいう「異味」とは、金属味に近い違和感のある味覚をいう。
本発明の課題は、アスコルビン酸又はその塩を含有したインスタント茶飲料であっても、温水で溶解して還元飲料を調製後、該還元飲料が冷めたときの異味が抑制されたインスタント茶飲料を提供することにある。
本発明者らは、上記課題に鑑み、鋭意研究を重ねた結果、アスコルビン酸又はその塩を含有するインスタント茶飲料に、香気物質として知られるシネオールを含有させ、アスコルビン酸又はその塩とシネオールとの質量比を特定範囲内に制御することで、意外なことに、温水で溶解して還元飲料を調製後、該還元飲料が冷めたときの異味を抑制できることを見出した。
すなわち、本発明は、次の成分(A)及び(B);
(A)アスコルビン酸又はその塩 0.1〜10質量%、及び
(B)シネオール 0.02質量ppm以上
を含有し
成分(A)と成分(B)との質量比[(B)/(A)]が3×10-6以上3×10-2で以下ある、インスタント茶飲料を提供するものである。
本発明によれば、アスコルビン酸又はその塩を含有しながらも、温水で溶解して還元飲料を調製した後、該還元飲料が冷めたときの異味が抑制されたインスタント茶飲料を提供することができる。
本明細書において「インスタント茶飲料」とは、液体にて希釈溶解して飲用に供する還元食品であって、原料茶葉としてCamellia属の茶葉を使用した還元食品をいう。
インスタント茶飲料の形態は、常温(20℃±15℃)において固形でも濃縮液状でもよく、特に限定されない。例えば、固形としては、粉末状、顆粒状、錠状、棒状、板状、ブロック状等を挙げることができる。濃縮液状としては、濃縮液、ゲル状、ゼリー状、スラリー状等を挙げることができる。中でも、ハンドリング性の観点から、固体であることが好ましく、粉末状が更に好ましい。
希釈に使用する液体は、所定の希釈倍率にしたがって還元飲料を調製できれば特に限定されず、例えば、水、炭酸水、牛乳、豆乳等が挙げられ、液体の温度は問わない。希釈倍率は、所定の用法にしたがえばよいが、還元食品の形態が固形の場合は通常質量換算にて20〜600倍、好ましくは30〜500倍、より好ましくは50〜250倍、更に好ましくは100〜200倍であり、還元食品の形態が液体の場合は通常質量換算にて1.5〜100倍、好ましくは1.5〜50倍、より好ましくは1.8〜30倍、更に好ましくは2〜100倍である。
本発明のインスタント茶飲料は、原料茶葉としてCamellia属の茶葉を使用したものであれば、その態様は特に限定されない。例えば、抹茶等の茶葉粉砕物の形態でも、茶葉からの茶抽出物の形態でもよい。
茶抽出物の場合は、茶葉から溶媒で抽出した茶抽出液でも該茶抽出液の濃縮物でも乾燥物でもよく、インスタント茶飲料の製造方法に応じて適宜選択することが可能であるが、最終製品であるインスタント茶飲料中に、少なくとも茶抽出乾燥物が含まれていることが好ましい。なお、抽出方法は特に限定されず、公知の方法を採用することが可能であり、例えば、ニーダー抽出、攪拌抽出(バッチ抽出)、向流抽出(ドリップ抽出)、カラム抽出等を挙げることができる。抽出条件は、抽出方法により適宜選択することができる。また、乾燥方法も公知の方法を採用することが可能であり、例えば、スプレードライ、凍結乾燥等が挙げられる。乾燥条件は、乾燥方法により適宜選択することができる。
Camellia属の茶葉としては、例えば、C.sinensis.var.sinensis(やぶきた種を含む)、C.sinensis.var.assamica及びそれらの雑種から選択される茶葉(Camellia sinensis)が挙げられ、その加工方法により、不発酵茶、半発酵茶、発酵茶に分類することができる。Camellia属の茶葉は、1種又は2種以上を使用することができる。なお、茶葉の茶品種及び採取時期は特に限定されず、また茶葉は火入れ加工が施されていてもよい。不発酵茶としては、例えば、煎茶、深蒸し煎茶、ほうじ茶、番茶、玉露、かぶせ茶、碾茶、釜入り茶、茎茶、棒茶、芽茶等の緑茶が挙げられる。また、半発酵茶としては、例えば、鉄観音、色種、黄金桂、武夷岩茶等の烏龍茶が挙げられる。更に、発酵茶としては、例えば、ダージリン、アッサム、スリランカ等の紅茶が挙げられる。
また、本発明のインスタント茶飲料は、原料茶葉としてCamellia属の茶葉を含んでいれば、Camellia属の茶葉以外の茶葉、穀物を1種又は2種以上を含んでいてもよい。Camellia属以外の茶葉としては、例えば、イチョウの葉、柿の葉、ビワの葉、桑の葉、クコの葉、杜仲の葉、小松菜、ルイボス、クマザサ、ドクダミ、アマチャヅル、スイカズラ、ツキミソウ、カキドオシ、カワラケツメイ、ギムネマ・シルベスタ、黄杞茶(クルミ科)、甜茶(バラ科)、キダチアロエ等が挙げられる。更に、カモミール、ハイビスカス、ペパーミント、レモングラス、レモンピール、レモンバーム、ローズヒップ、ローズマリー等のハーブも用いることができる。また、穀物としては、例えば、大麦、小麦、ハト麦、ライ麦、燕麦、裸麦等の麦;玄米等の米;大豆、黒大豆、ソラマメ、インゲン豆、小豆、エビスクサ、ササゲ、ラッカセイ、エンドウ、リョクトウ等の豆;ソバ、トウモロコシ、白ゴマ、黒ゴマ、粟、稗、黍、キヌワ等の雑穀を挙げることができる。
本発明のインスタント茶飲料は、成分(A)としてアスコルビン酸又はその塩を含有する。成分(A)は、L体でも、D体でも、これらの混合物であってもよいが、L体が好ましい。塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、マグネシウム塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩等を挙げることができ、塩の形態であってもなくても、アスコルビン酸を含有していさえすれば本発明の課題が発生する。成分(A)としては飲食品の分野において通常使用されているものであれば由来は特に限定されず、例えば、化学合成品でも、市販品でも、原料由来のものでもよい。成分(A)の市販品としては、例えば、L−アスコルビン酸(DSM Nutritional Products(UK) Ltd製)等を挙げることができる。
本発明のインスタント茶飲料中の成分(A)の含有量は0.1〜10質量%であるが、保存安定性の向上、褐変防止の観点から、0.12質量%以上が好ましく、0.13質量%以上がより好ましく、0.14質量%以上が更に好ましく、0.2質量%以上が殊更に好ましく、また異味抑制の観点から、8質量%以下が好ましく、7質量%以下がより好ましく、6質量%以下が更に好ましく、5質量%以下がより更に好ましく、3質量%以下が殊更に好ましい。かかる成分(A)の含有量の範囲としては、本発明のインスタント茶飲料中に、好ましくは0.12〜8質量%であり、より好ましくは0.13〜7質量%であり、更に好ましくは0.14〜6質量%であり、より更に好ましくは0.2〜5質量%であり、殊更に好ましくは0.2〜3質量%である。ここで、成分(A)が塩の形態である場合、「成分(A)の含有量」はアスコルビン酸量に換算した値とする。なお、成分(A)の含有量は、通常知られているアスコルビン酸の分析法により測定することが可能であり、例えば、HPLC法で分析することができる。具体的には、後掲の実施例に記載の方法が挙げられる。
本発明のインスタント茶飲料は、成分(B)としてシネオールを含有する。ここで、本明細書に係る「シネオール」は、1,8−シネオールとも呼ばれ、IUPAC系統名は1,3,3−トリメチル−2−オキサビシクロ[2.2.2]オクタンである。成分(B)は、原料に由来するものでも、新たに加えられたものでもよい。また、成分(B)は、飲食品の分野において通常使用されているものであれば由来は特に限定されず、例えば、化学合成品でも、シネオールを含有する植物の抽出物又は精油でもよい。成分(B)の市販品としては、例えば、1,8−シネオール(東京化成工業株式会社)等を挙げることができる。
本発明のインスタント茶飲料は、成分(B)の含有量が0.02質量ppm以上であるが、異味抑制の観点から、0.04質量ppm以上が好ましく、0.06質量ppm以上がより好ましく、0.08質量ppm以上が更に好ましく、0.1質量ppm以上が更に好ましく、0.2質量ppm以上がより更に好ましく、0.5質量ppm以上が殊更に好ましい。また、シネオール臭抑制の観点から、70質量ppm以下が好ましく、30質量ppm以下がより好ましく、8質量ppm以下が更に好ましく、5質量ppm以下が更に好ましく、1質量ppm以下がより更に好ましく、0.8質量ppm以下が殊更に好ましく、0.55質量ppm以下が殊更に好ましい。かかる成分(B)の含有量の範囲としては、本発明のインスタント茶飲料中に、好ましくは0.02質量ppm以上70質量ppm以下であり、より好ましくは0.04質量ppm以上30質量ppm以下であり、更に好ましくは0.04質量ppm以上8質量ppm以下であり、更に好ましくは0.06質量ppm以上5質量ppm以下であり、更に好ましくは0.08質量ppm以上1質量ppm以下であり、更に好ましくは0.1質量ppm以上0.8質量ppm以下であり、より更に好ましくは0.2質量ppm以上0.8質量ppm以下であり、殊更に好ましくは0.5質量ppm以上0.55質量ppm以下である。なお、成分(B)の含有量は、通常知られている測定法のうち測定試料の状況に適した分析法により測定することが可能であり、例えば、GC/MS法で分析することが可能である。具体的には、後掲の実施例に記載の方法が挙げられる。なお、測定の際には装置の検出域に適合させるため、試料を凍結乾燥したり、装置の分離能に適合させるため試料中の夾雑物を除去したりする等、必要に応じて適宜処理を施してもよい。
本発明のインスタント茶飲料は、成分(A)と成分(B)との質量比[(B)/(A)]が3×10-6以上3×10-2以下であるが、異味抑制の観点から、5×10-6以上が好ましく、1×10-5以上がより好ましく、2×10-5以上が更に好ましく、3×10-5以上がより更に好ましく、4×10-5以上が殊更に好ましく、またシネオール臭抑制の観点から、2.5×10-2以下が好ましく、1.5×10-2以下がより好ましく、8×10-3以下が更に好ましく、1×10-3以下が更に好ましく、7×10-4以下がより更に好ましく、5×10-4以下が殊更に好ましい。かかる質量比[(B)/(A)]の範囲としては、好ましくは5×10-6以上2.5×10-2以下であり、より好ましくは1×10-5以上1.5×10-2以下であり、更に好ましくは2×10-5以上8×10-3以下であり、更に好ましくは3×10-5以上1×10-3以下であり、更に好ましくは4×10-5以上7×10-4以下であり、殊更に好ましくは4×10-5以上5×10-4以下である。なお、質量比[(B)/(A)]の算出は、成分(A)及び成分(B)の含有量について同一の単位に揃えて行うものとする。
本発明のインスタント茶飲料は、成分(C)としてテルピノレンを含有することができる。ここで、本明細書おいて「テルピノレン」は、モノテルペンに分類される化合物であって、IUPAC系統名は1−メチル−4−(1−メチルエチリデン)−シクロヘキセンである。成分(C)は、原料に由来するものでも、新たに加えられたものでもよい。また、成分(C)は、飲食品の分野において通常使用されているものであれば由来は特に限定されず、例えば、化学合成品でも、テルピノレンを含有する植物の抽出物又は精油でもよい。成分(C)の市販品としては、例えば、テルピノレン(東京化成工業株式会社)等を挙げることができる。
本発明のインスタント茶飲料中の成分(C)の含有量は、異味抑制の観点から、0.01質量ppm以上が好ましく、0.04質量ppm以上がより好ましく、0.07質量ppm以上が更に好ましく、また風味の観点から、100質量ppm以下が好ましく、50質量ppm以下がより好ましく、5質量ppm以下が更に好ましく、0.5質量ppm以下が殊更に好ましい。かかる成分(C)の含有量の範囲としては、本発明のインスタント茶飲料中に、好ましくは0.01質量ppm以上100質量ppm以下であり、より好ましくは0.04質量ppm以上50質量ppm以下であり、更に好ましくは0.07質量ppm以上5質量ppm以下であり、殊更に好ましくは0.07質量ppm以上0.5質量ppm以下である。なお、成分(C)の含有量は、通常知られている測定法のうち測定試料の状況に適した分析法により測定することが可能であり、例えば、GC/MS法で分析することが可能である。具体的には、後掲の実施例に記載の方法が挙げられる。なお、測定の際には装置の検出域に適合させるため、試料を凍結乾燥したり、装置の分離能に適合させるため試料中の夾雑物を除去したりする等、必要に応じて適宜処理を施してもよい。
本発明のインスタント茶飲料は、成分(D)として甘味料を含有することができるが、本発明のインスタント茶飲料中の成分(D)の含有量は、風味の観点から、ショ糖甘味換算濃度で、好ましくは10質量%以下、より好ましくは8質量%以下、更により好ましくは5質量%以下、殊更に好ましくは1質量%以下である。
成分(D)としては、飲食品に使用されるものであれば特に限定されないが、例えば、糖質系甘味料、高甘味度甘味料等を挙げることができる。ここで、本明細書において「高甘味度甘味料」とは、ショ糖と比べて数十倍から数百倍の甘味を有し、微量の添加で飲食品に甘味を付与することができる人工又は天然の甘味料を意味する。糖質系甘味料としては、例えば、果糖、ブドウ糖、タガトース、アラビノース、D−プシコース、D−アロース等の単糖;乳糖、トレハロース、麦芽糖、ショ糖、セロビオース等の二糖;エリスリトール、キシリトール、マルチトール、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、還元パラチノース、ラクチトール、還元デンプン糖化物等の糖アルコールが挙げられる。また、また、高甘味度甘味料としては、例えば、スクラロース、アセスルファムカリウム、アスパルテーム、ステビア(レバウディオサイド、ステビオサイド)、ソーマチン、サッカリン、サッカリンナトリウム、甘草、羅漢果、ネオテーム、マビンリン、ブラゼイン、モネリン、グリチルリチン、アリテーム、チクロ、ズルチン、ネオヘスペリジン等が挙げられる。成分(D)は、1種又は2種以上を含有することができる。
ここで、本明細書において「ショ糖甘味換算濃度」とは、本発明のインスタント茶飲料中の成分(D)の濃度と同一濃度の成分(D)の水溶液の甘味をショ糖濃度に換算した値をいう。具体的には、下記の表1に示す数式のxに、本発明のインスタント茶飲料中の成分(D)濃度(質量%)を当て嵌めることにより、成分(D)のショ糖甘味換算濃度yを算出することができる。なお、表1に示す数式は、所定濃度のショ糖水溶液の甘味と同等の甘さを有する成分(D)の濃度を決定し、その操作を繰り返して、得られたショ糖濃度と成分(D)の濃度との測定値から最小二乗法により求めたものである。なお、表1に記載のない甘味料についても同様の操作により最小二乗法により数式を求め、被験甘味料のショ糖甘味換算濃度を算出することができる。
Figure 0006745260
本発明のインスタント茶飲料は、所望により、有機酸、有機酸塩、無機酸、無機酸塩、pH調整剤、酸化防止剤、香料(シネオールを除く)、ミネラル、ビタミン、pH調整剤、エステル、乳化剤、保存料、調味料、界面活性剤、分散剤、緩衝剤、希釈剤、品質安定剤等の添加剤を1種又は2種以上を含有することができる。添加剤の含有量は、本発明の目的を損なわない範囲内で適宜設定することができる。
本発明のインスタント茶飲料は、所定の希釈倍率にしたがって水で希釈したときのpHが、風味の観点から、3以上が好ましく、4以上がより好ましく、4.5以上が更に好ましく、5以上が殊更に好ましく、そして7以下が好ましく、6.5以下がより好ましく、6以下が更に好ましい。かかるpHの範囲としては、好ましくは3〜7であり、より好ましくは4〜6.5であり、更に好ましくは4.5〜6であり、更に好ましくは5〜6である。なお、pHは、20℃に温度調整しpHメータにより測定するものとする。
また、本発明のインスタント茶飲料が固形の場合、インスタント茶飲料の固形分量は、防腐・防菌やハンドリングの観点から、好ましくは90質量%以上、より好ましくは92質量%以上、更に好ましくは94質量%以上、殊更に好ましくは95質量%以上である。なお、かかる固形分量の上限は特に限定されず、100質量%であっても構わない。ここで、本明細書において「固形分量」とは、固形インスタント飲料組成物を105℃の電気恒温乾燥機で3時間乾燥して揮発物質を除いた残分をいう。
本発明のインスタント茶飲料の製品形態としては、インスタント茶飲料が固形の場合、例えば、瓶等に容器詰し飲用する際にカップ1杯分をスプーン等で計量するもの、1杯分を収容したカップタイプ、カップ1杯分毎に小分け包装したもの等とすることができる。インスタント茶飲料が濃縮液状の場合、例えば、瓶等に容器詰し飲用する際にカップ1杯分をスプーン等で計量するもの、1杯分を収容したカップタイプ、カップ1杯分毎に小分け包装したポーションタイプのものが挙げられる。なお、カップの容量は80〜320mLであることが好ましく、また小分け包装の内容量はカップ容量に適合するように適宜設定することが可能である。中でも、本発明の効果を享受しやすい点から、カップ1杯分毎に小分け包装したものが好ましく、例えば、スティック包装したもの、ピロー包装したものを挙げることができる。小分け包装は、一般の粉末飲料又は粉末食品と同様に、アルミ蒸着フィルム等を材質とする包装材料で包装することができる。なお、容器内及び包材内は窒素ガスを充填してもよく、また包材は酸素透過性の低いものが品質維持の点で好ましい。
本発明のインスタント茶飲料は常法にしたがって製造することが可能であり、適宜の方法を採り得る。例えば、成分(A)及び(B)、必要により他の成分を、成分(A)及び(B)の各含有量、質量比[(B)/(A)]が上記範囲内となるように混合して製造することができる。成分(A)及び(B)の混合順序は特に限定されず、任意の順序で添加しても、2者を同時に添加してもよい。混合方法としては、例えばインスタント茶飲料が固体の場合、撹拌、震盪等の適宜の方法を採用することができるが、混合装置を使用しても構わない。混合装置の混合方式は、容器回転型でも、容器固定型でもよい。容器回転型として、例えば、水平円筒型、V型、ダブルコーン型、立方体型等を採用することができる。また、容器固定型として、例えば、リボン型、スクリュー型、円錐形スクリュー型、パドル型、流動層型、フィリップスブレンダ−等を採用することができる。また、公知の造粒法により造粒物としてもよい。造粒方法としては、例えば、噴霧造粒、流動層造粒、圧縮造粒、転動造粒、撹拌造粒、押出造粒、粉末被覆造粒等が挙げられる。なお、造粒条件は、造粒方法により適宜選択することができる。
1.アスコルビン酸の分析
試料1〜5gを5%メタリン酸溶液に加え(50mL)適宜希釈する。次いで、遠心分離後、ろ過する。次いで、ろ液1mLを小試験管にとり、5%メタリン酸溶液1mLを加えた後、0.2%ジクロロフェノールインドフェノール溶液100μLと2%チオ尿素−5%メタリン酸溶液2mLを加える。次いで、これに2%2,4-ジニトロフェニルヒドラジン−4.5mol/L硫酸0.5mLを加え、38〜42℃で16時間反応を行う。
反応後、酢酸エチル3mL(振盪60分間)で抽出して無水硫酸ナトリウムで乾燥し、HPLCにより分析を行う。HPLCはLC−10AS(島津製作所製)を、UV−VIS検出器はSPD−10AV(島津製作所製)を、カラムはSenshupak Silca−1100(4.6mm×長さ100mm、カラム温度35℃)を、それぞれ用い、移動相に酢酸エチル、ヘキサン、酢酸及び水の混合液(60:40:5:0.05)を流量1.5mL/minで波長495nmにて検出する。
2.シネオール及びテルピノレンの分析
試料10mLをGC用ヘッドスペースバイアル(20mL)に採取し、塩化ナトリウム3gを添加した。バイアルに攪拌子を入れて密栓し、スターラーで30分間撹拌しながら、SPMEファイバー(シグマアルドリッチ社製,50/30μm、DVB/CAR/PDMS)に含有成分を吸着させた。吸着後、SPMEファイバーを注入口で加熱脱着し、GC/MS測定を行った。分析機器は、Agilent 6890N/5975C(アジレント・テクノロジー社製)を使用した。
分析条件は次のとおりである。
・カラム :VF―WAX(長さ60m、内径0.25mm、膜厚0.25μm)
・カラム温度 :35℃(4min)→3℃ /min→130℃→5℃/min→240℃(15min)
・カラム圧力 :定流量モード(31kPa)
・カラム流量 :l.5mL/min(He)
・注入口温度 :240℃
・注入方式 :スプリットレス
・検出器 :MS
・イオン源温度:240℃
・イオン化方法:EI(70eV)
購入試薬をエタノールで溶解し、段階希釈して標品を調製した。所定濃度の標品を試料に添加し、試料単体と同様にSPMEファイバーに吸着させ、GC/MS測定を行った。なお、シネオールの定量にはm/z154、テルピノレンの定量にはm/z93のイオンのピーク面積を用いた。
3.pH測定
pHメータ(HORIBA コンパクトpHメータ、堀場製作所製)を用いて、官能評価で使用した還元飲料を20℃に温度調整をして測定した。
製造例1
緑茶抽出物の製造
生茶葉を90℃のイオン交換水に210秒間浸漬し、その後金網により濾過して茶葉洗液を廃棄し、熱水浸漬茶葉を得た。なお、イオン交換水の使用量は、温水/生茶葉の質量比として28であった。次に、該熱水浸漬茶葉に対してCTC(Crush, Tear, Curl)処理を行い、乾燥して乾燥茶葉を得た。該乾燥茶葉を78℃のイオン交換水で10分間、攪拌抽出し、その後金網により濾過して緑茶抽出液Iを得た。なお、イオン交換水の使用量は、水/生茶葉の質量比として120であった。得られた緑茶抽出液Iを精密濾過モジュールであるペンシル型モジュール(旭化成ケミカルズ社製、細孔径0.2μm、材質:ポリフッ化ビニリデン)を用いて、ゲージ圧100kPa、温度25℃にて、加圧濾過し緑茶抽出液IIを得た。得られた緑茶抽出液IIをエバポレーターで濃縮し、その後スプレードライヤーで乾燥させ、粉末状の緑茶抽出乾燥物を得た。
得られた緑茶抽出乾燥物0.2gに対し、デキストリン(サンデック#100、三和澱粉株式会社)0.6gを混合し、緑茶抽出物とした。
製造例2
ほうじ茶粉砕物の製造
ほうじ茶葉(株式会社静茶園製)をコーヒーミル(カリタ 電気コーヒーミルCM−50)に30g投入し、20秒粉砕してほうじ茶粉砕物を得た。
実施例1〜6、比較例1及び参考例1
表2に示す各成分を混合し、スティック包装してインスタント粉末茶飲料を調製した。得られた各インスタント粉末茶飲料について分析及び官能評価を行った。得られたインスタント粉末茶飲料の固形分量はいずれも96質量%であり、還元飲料としたときのpHは5.5であった。
なお、官能評価は以下の手順で行った。その結果を表2に示す。
官能評価1
各インスタント粉末茶飲料0.6gを、80℃の温水100mLに溶解して還元飲料を調製した後、室温で30℃にまで放冷した。放冷後の還元飲料の「異味」について、専門パネル4名が飲用試験を行った。飲用試験では、各パネリストが「異味の評価基準」を下記の評価基準とすることに合意したうえで、各還元飲料について実施した。その後パネリストの評点の平均値を求めた。なお、評点の平均値は、小数点以下第2位を四捨五入するものとする。
異味の評価基準
参考例1の還元飲料の異味の評点を「5」とし、実施例1の還元飲料の異味の評点を「3」とし、比較例1の還元飲料の異味の評点を「1」として評価する。具体的な評価基準は以下のとおりである。
5:異味を感じない(参考例1と同等である)
4:異味をほとんど感じない(参考例1に比べ異味がややあるが、実施例1に比べて異味がない)
3:異味をやや感じる(実施例1と同等である)
2:異味を感じる(実施例1に比べて異味がややあるが、比較例1に比べて異味がない)
1:異味を強く感じる(比較例1と同等である)
Figure 0006745260
実施例7及び比較例2
表3に示す各成分を混合し、スティック包装してインスタント粉末茶飲料を調製した。得られた各インスタント粉末茶飲料について分析及び官能評価を行った。
なお、官能評価は、官能評価1と同様の操作により各インスタント粉末茶飲料から還元飲料を調製し、放冷後の各還元飲料について、専門パネル4名が「異味の評価基準」を下記の評価基準とすることに合意したうえで実施した。その後パネリストの評点の平均値を求めた。なお、評点の平均値は、小数点以下第2位を四捨五入するものとする。その結果を、参考例1の結果とともに表3に示す。得られたインスタント粉末茶飲料の固形分量は96質量%であり、還元飲料としたときのpHは5.5であった。
異味の評価基準
比較例2の還元飲料の異味の評点を「1」とし、参考例1の還元飲料の異味の評点を「5」として評価する。具体的な評価基準は以下のとおりである。
5:異味がない(参考例1と同等である)
4:異味をほとんど感じない
3:異味をやや感じる
2:異味を感じる
1:異味を強く感じる(比較例2と同等である)
Figure 0006745260
実施例8〜11及び比較例3
表4に示す各成分を混合し、スティック包装してインスタント粉末茶飲料を調製した。得られた各インスタント粉末茶飲料について分析及び官能評価を行った。
なお、官能評価は、官能評価1と同様の操作により各インスタント粉末茶飲料から還元飲料を調製し、放冷後の各還元飲料について、専門パネル4名が「異味の評価基準」を下記の評価基準とすることに合意したうえで実施した。その後パネリストの評点の平均値を求めた。なお、評点の平均値は、小数点以下第2位を四捨五入するものとする。その結果を、参考例1の結果とともに表4に示す。得られたインスタント粉末茶飲料の固形分量はいずれも96質量%であり、還元飲料としたときのpHは5.5であった。
異味の評価基準
比較例3の還元飲料の異味の評点を「1」とし、参考例1の還元飲料の異味の評点を「5」として評価する。具体的な評価基準は以下のとおりである。
5:異味がない(参考例1と同等である)
4:異味をほとんど感じない
3:異味をやや感じる
2:異味を感じる
1:異味を強く感じる(比較例3と同等である)
Figure 0006745260
実施例12〜14
表5に示す各成分を混合し、スティック包装してインスタント粉末茶飲料を調製した。得られた各インスタント粉末茶飲料について実施例1と同様に分析を行った。
なお、官能評価は、官能評価1と同様の操作により各インスタント粉末茶飲料から還元飲料を調製し、放冷後の各還元飲料について、専門パネル4名が「異味の評価基準」を官能評価1と同一基準で行うことに合意したうえ実施した。その後パネリストの評点の平均値を求めた。その結果を、実施例2、比較例1及び参考例1の結果とともに表5に示す。なお、得られたインスタント粉末茶飲料の固形分量はいずれも96質量%であり、還元飲料としたときのpHは5.5であった。
Figure 0006745260
実施例15〜20、比較例4〜6及び参考例2〜4
表6に示す各成分を混合し、スティック包装してインスタント粉末茶飲料を調製した。得られた各インスタント粉末茶飲料について分析及び官能評価を行った。
なお、官能評価は以下の手順で行った。その結果を表6に示す。また、得られたインスタント粉末茶の固形分量はいずれも96質量%であり、還元飲料としたときのpHはいずれも5.5であった。
官能評価2
実施例15及び16、比較例4並びに参考例2の各インスタント粉末茶飲料0.8gを、80℃の温水100mLに溶解して還元飲料を調製した後、室温で30℃にまで放冷した。放冷後の各還元飲料の「異味」について、専門パネル4名が飲用試験を行った。飲用試験は、専門パネル4名が「異味の評価基準」を下記の評価基準とすることに合意したうえで、各還元飲料について実施した。その後パネリストの評点の平均値を求めた。なお、評点の平均値は、小数点以下第2位を四捨五入するものとする。
異味の評価基準
比較例4の還元飲料の異味の評点を「1」とし、参考例2の還元飲料の異味の評点を「5」として評価する。具体的な評価基準は以下のとおりである。
5:異味がない(参考例2と同等である)
4:異味をほとんど感じない
3:異味をやや感じる
2:異味を感じる
1:異味を強く感じる(比較例4と同等である)
官能評価3
実施例17及び18、比較例5並びに参考例3の各インスタント粉末茶飲料0.8gを、80℃の温水100mLに溶解して還元飲料を調製した後、室温で30℃にまで放冷した。放冷後の各還元飲料の「異味」について、専門パネル4名が飲用試験を行った。飲用試験は、専門パネル4名が「異味の評価基準」を下記の評価基準とすることに合意したうえで、各還元飲料について実施した。その後パネリストの評点の平均値を求めた。なお、評点の平均値は、小数点以下第2位を四捨五入するものとする。
異味の評価基準
比較例5の還元飲料の異味の評点を「1」とし、参考例3の還元飲料の異味の評点を「5」として評価する。具体的な評価基準は以下のとおりである。
5:異味がない(参考例3と同等である)
4:異味をほとんど感じない
3:異味をやや感じる
2:異味を感じる
1:異味を強く感じる(比較例5と同等である)
官能評価4
実施例19及び20、比較例6並びに参考例4の各インスタント粉末茶飲料0.5gを、80℃の温水100mLに溶解して還元飲料を調製した後、室温で30℃にまで放冷した。放冷後の各還元飲料の「異味」について、専門パネル4名が飲用試験を行った。飲用試験は、専門パネル4名が「異味の評価基準」を下記の評価基準とすることに合意したうえで、各還元飲料について実施した。その後パネリストの評点の平均値を求めた。なお、評点の平均値は、小数点以下第2位を四捨五入するものとする。
異味の評価基準
比較例6の還元飲料の異味の評点を「1」とし、参考例4の還元飲料の異味の評点を「5」として評価する。具体的な評価基準は以下のとおりである。
5:異味がない(参考例4と同等である)
4:異味をほとんど感じない
3:異味をやや感じる
2:異味を感じる
1:異味を強く感じる(比較例6と同等である)
Figure 0006745260
表2〜6から、アスコルビン酸又はその塩を含有するインスタント茶飲料に、シネオールを含有させ、アスコルビン酸又はその塩とシネオールとの質量比を特定範囲内に制御することで、温水で溶解して還元飲料を調製後、該還元飲料が冷めたときの異味を抑制できることが分かる。

Claims (4)

  1. 原料茶葉としてCamellia属の茶葉を使用し、液体にて希釈溶解して烏龍茶飲料又は緑茶飲料として飲用に供される固形形態のインスタント茶飲料であって、
    当該インスタント茶飲料100質量部あたり、
    次の成分(A)及び(B);
    (A)アスコルビン酸又はその塩0.182.6質量%、及び
    (B)シネオール0.03〜50質量pp
    を含有し
    成分(A)と成分(B)との質量比[(B)/(A)]が0.46×10 -5 以上2778×10 -5 以下であ
    所定の希釈倍率にしたがって水で希釈したときのpHが3〜7である、
    インスタント茶飲料。
  2. 成分(C)としてテルピノレンを含有し、該成分(C)の含有量が0.01質量ppm以上100質量ppm以下である、請求項1記載のインスタント茶飲料。
  3. 成分(D)として甘味料を含有し、該成分(D)の含有量がショ糖甘味換算濃度で10質量%未満である、請求項1又は2記載のインスタント茶飲料。
  4. 少なくとも茶抽出乾燥物を含有するものである、請求項1〜のいずれか1項に記載のインスタント茶飲料。
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