JP6745151B2 - 触媒の製造方法 - Google Patents
触媒の製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP6745151B2 JP6745151B2 JP2016129019A JP2016129019A JP6745151B2 JP 6745151 B2 JP6745151 B2 JP 6745151B2 JP 2016129019 A JP2016129019 A JP 2016129019A JP 2016129019 A JP2016129019 A JP 2016129019A JP 6745151 B2 JP6745151 B2 JP 6745151B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- group
- formula
- catalyst
- bond
- ligand
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
- HEQCJVIBHAOFTB-UHFFFAOYSA-N C1C2C(CCCC3)C3C(CCCC3)C3C12 Chemical compound C1C2C(CCCC3)C3C(CCCC3)C3C12 HEQCJVIBHAOFTB-UHFFFAOYSA-N 0.000 description 1
- 0 CC1(**(*)N(C)*)*CCCC1 Chemical compound CC1(**(*)N(C)*)*CCCC1 0.000 description 1
Landscapes
- Transition And Organic Metals Composition Catalysts For Addition Polymerization (AREA)
Description
以下では、ハプト数5(η5)である錯体と、ハプト数3(η3)である錯体と、ハプト数1(η1)である錯体との間での平衡を示している。
なお、特許文献1において、メチルリチウムやメチルマグネシウムブロマイドの使用量の下限である4モル当量とは、下記構造のリガンドを用いて上記構造の触媒を製造する場合の化学量論的に必要な最少の量である。また、特許文献1において、触媒の製造は、ワンポットでの操作により実施される。
また、非特許文献2には、リガンドに対して5.3モル当量のメチルリチウムを反応させ、次いでTiCl4を反応させて、非特許文献1に記載される上記構造の触媒を製造する方法が記載されている。しかし、非特許文献2に記載される方法でも、高純度の触媒を高収率で製造することは困難である。なお、非特許文献2に記載の具体的な方法は、特許文献1に記載の方法に包含される。
より具体的には、本発明は以下のものを提供する。
で表される触媒の製造方法であって、
(I)下記式(1a):
で表される配位子を、配位子に対して2.2〜3.8モル当量の下記式(1b):
LiR4・・・(1b)
(式(1b)中、R4は、前記の通りであり、C−Li結合によりリチウム原子に結合する。)
で表される化合物と反応させる工程と、
(II)工程(I)で得られる生成物を、配位子に対して1モル当量以上の下記式(1c):
MR7 4・・・(1c)
(式(1c)中、Mは、前記の通りであり、R7は、ハロゲン原子、又は−OR8で表される基であり、R8は、ヘテロ原子を有してもよい炭素原子数1〜20の炭化水素基であり、R8はC−O結合により酸素原子に結合する。)
で表される化合物と反応させる工程と、
(III)工程(I)で用いた式(1b)で表される化合物の量と、工程(III)で用いる式(1b)で表される化合物の量との合計が、配位子に対して4モル当量以上であるように、工程(II)の生成物と、式(1b)で表される化合物とを反応させる工程と、を含む、触媒の製造方法。
本発明にかかる触媒の製造方法では、以下に説明する式(1)で表される構造の触媒を製造する。
また、本発明にかかる触媒の製造方法は、
それぞれ後述する、式(1a)で表される配位子と、式(1b)で表されるリチウム化合物とを反応させる工程である工程(I)と、
工程(I)で得られる生成物を、後述する式(1c)で表される金属化合物と反応させる工程である工程(II)と、
工程(II)で得られる生成物と、式(1b)で表されるリチウム化合物とを反応させる工程である工程(III)と、を含む。
以下、触媒と、工程(I)、工程(II)、及び工程(III)と、その他の工程とについて説明する。
R1及びR2は、それぞれC−Si結合、O−Si結合、Si−Si結合、又はN−Si結合によりケイ素原子に結合する。
R3はC−N結合、O−N結合、Si−N結合、又はN−N結合により窒素原子に結合する。
R4はC−M結合により金属原子Mに結合する。
R5及びR6は、それぞれ独立に、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1〜20の有機置換基、又は無機置換基であり、m及びnは、それぞれ独立に0〜4の整数である。
R5及びR6がそれぞれ複数である場合、複数のR5及びR6は異なる基であってもよい。
複数のR5のうちの2つの基、又は複数のR6のうちの2つの基が芳香環上の隣接する位置に結合する場合、当該2つの基が相互に結合して環を形成してもよい。
Mは、Ti、Zr、又はHfである。
炭化水素基がヘテロ原子を含む場合、ヘテロ原子の種類は本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。ヘテロ原子の具体例としては、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子、ケイ素原子、セレン原子、及びハロゲン原子等が挙げられる。
炭化水素基がヘテロ原子を含む場合、炭素原子数と、ヘテロ原子数との合計は30以下が好ましく、25以下がより好ましく、20以下が特に好ましい。
炭化水素基がヘテロ原子を含む場合、ヘテロ原子の数は10以下が好ましく、5以下がより好ましく、3以下が特に好ましい。
炭化水素基は、これらのヘテロ原子を含む結合を単独で含んでいてもよく、2種以上を組み合わせて含んでいてもよい。
O−Si結合によりケイ素原子に結合するR1及びR2の好適な例としては、−OR、及び−O−C(=O)−Rで表される基が挙げられる。
Si−Si結合によりケイ素原子に結合するR1及びR2の好適な例としては、−SiR3、−Si(OR)R2、−Si(OR)2R、及び−Si(OR3)で表される基が挙げられる。
N−Si結合によりケイ素原子に結合するR1及びR2の好適な例としては、−NHR、及び−NR2で表される基が挙げられる。
ここで、上記のRはいずれも炭化水素基である。
O−N結合により窒素原子に結合するR3の好適な例としては、−OR、及び−O−C(=O)−Rで表される基が挙げられる。
Si−N結合により窒素原子に結合するR3の好適な例としては、−SiR3、−Si(OR)R2、−Si(OR)2R、及び−Si(OR3)で表される基が挙げられる。
N−N結合により窒素原子に結合するR3の好適な例としては、−NHR、及び−NR2で表される基が挙げられる。
ここで、上記のRはいずれも炭化水素基である。
かかる炭化水素基としては、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、二重結合及び/又は三重結合を有してもよい直鎖状又は分岐鎖状の不飽和脂肪族炭化水素基、シクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、芳香族炭化水素基、及びアラルキル基が好ましい。
より好ましくは、ビニル基、アリル基、1−プロペニル基、3−ブテニル基、2−ブテニル基、1−ブテニル基、エテニル基、及びプロパルギル基が挙げられる。
R5及びR6がそれぞれ複数である場合、複数のR5及びR6は異なる基であってもよい。
かかる有機基としては、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1〜20の炭化水素基であって、上記式(1)で表される触媒の生成反応を阻害しない基が挙げられる。
炭化水素基がヘテロ原子を含む場合、炭素原子数と、ヘテロ原子数との合計は30以下が好ましく、25以下がより好ましく、20以下が特に好ましい。
炭化水素基がヘテロ原子を含む場合、ヘテロ原子の数は10以下が好ましく、5以下がより好ましく、3以下が特に好ましい。
炭化水素基が含んでいてもよいヘテロ原子を含む結合としては、R1〜R4について説明した結合が挙げられる。
これらの有機置換基の中では、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、炭素原子数3〜8のシクロアルキル基、炭素原子数2〜6の脂肪族アシル基、ベンゾイル基、フェニル基、ベンジル基、及びフェネチル基が好ましい。
有機置換基の中では、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、アセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基、及びフェニル基がより好ましい。
無機基の具体例としては、ハロゲン原子、ニトロ基、及びシアノ基等が挙げられる。
式(1)で表される触媒を製造するために、まず工程(I)において、下記式(1a):
で表される配位子を、前記配位子に対して2.2〜3.8モル当量の下記式(1b):
LiR4・・・(1b)
(式(1b)中、R4は、前記の通りであり、C−Li結合によりリチウム原子に結合する。)
で表される化合物と反応させる。
かかる範囲の量のリチウム化合物を、式(1a)で表される配位子に対して反応させることにより、最終的に、高純度の触媒を高収率で製造することができる。
工程(I)での式(1b)で表される化合物の使用量の下限は、例えば、2.3モル当量が好ましく、2.4モル当量がより好ましく、2.6モル当量が特に好ましい。
工程(I)での式(1b)で表される化合物の使用量の上限は、例えば、3.7モル当量が好ましく、3.6モル当量がより好ましく、3.4モル当量が特に好ましい。
非プロトン性溶媒の種類は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。非プロトン性溶媒は、極性溶媒であっても、非極性溶媒であってもよい。好ましい非プロトン性溶媒としては、エーテル系溶媒と、炭化水素系溶媒とが挙げられる。
非プロトン性溶媒の好適な具体例としては、ジエチルエーテル、ジ−n−プロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、及びジオキサン等のエーテル系溶媒、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、及びオクタン等の脂肪族炭化水素溶媒、ベンゼン、トルエン、及びキシレン等の芳香族炭化水素溶媒が挙げられる。
特に好ましくは、ジエチルエーテルを含有する非プロトン性溶媒が使用される。
ジエチルエーテルは、ジエチルエーテル以外のエーテル系溶媒と組み合わせて用いられてもよく、脂肪族炭化水素溶媒と組み合わせて用いられてもよく、芳香族炭化水素溶媒と組み合わせて用いられてもよい。
典型的には、−78〜60℃が好ましく、0〜50℃がより好ましく、10〜40℃が特に好ましい。
反応温度は溶媒の沸点を超えてもよい。反応温度が溶媒の沸点を超える場合、密閉可能な耐圧容器を用いて反応を行えばよい。
不活性ガスとしては、窒素、アルゴン等が挙げられる。
工程(I)での反応時間は、式(1b)で表される化合物の使用量、溶媒の使用量、反応温度等により変化するが、典型的には、1〜24時間であり、2〜4時間が好ましい。
なお、反応生成物は、工程(I)の反応液として工程(II)に供されてもよく、工程(I)の反応液から分離回収された状態で工程(II)に供されてもよい。分離回収作業での生成物のロスがない点では、工程(I)の反応液を、工程(II)に供するのが好ましい。
また、反応液は、工程(II)に供される前に、必要に応じて、濃縮されても、希釈されてもよい。
工程(II)では、工程(I)で得られる生成物を、前述の配位子に対して1モル当量以上の下記式(1c):
MR7 4・・・(1c)
(式(1c)中、Mは、前記の通りであり、R7は、ハロゲン原子、又は−OR8で表される基であり、R8は、ヘテロ原子を有してもよい炭素原子数1〜20の炭化水素基であり、R8はC−O結合により酸素原子に結合する。)
で表される化合物と反応させる。
で表される中間体が生成する。
かかる中間体が、前述の式(1b)で表されるリチウム化合物と反応すると、R7がR4に置き換わり、式(1)で表される触媒が生成する。
R7が−OR8である場合、R8はヘテロ原子を有してもよい炭素原子数1〜20の炭化水素基であって、C−O結合により酸素原子に結合する。
ヘテロ原子を有してもよい炭素原子数1〜20の炭化水素基について、C−O結合により酸素原子に結合するという制限を除いて、式(1)におけるR1〜R4について説明した通りである。
R8としては、ヘテロ原子を含まない炭化水素基が好ましく、アルキル基、アラルキル基、又は芳香族炭化水素基が好ましい。
−OR8の好ましい具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、フェノキシ基、及びベンジルオキシ基が挙げられる。
これらの中では、入手が容易である点や、反応性が良好であること等からTiCl4、ZrCl4、HfCl4、TiBr4、ZrBr4、及びHfBr4が好ましく、TiCl4、ZrCl4、HfCl4がより好ましく、TiCl4が特に好ましい。
式(1c)で表される化合物は、そのまま用いられてもよく、溶媒に懸濁又は溶解した状態で用いられてもよい。工程(II)での副反応を抑制しやすい点から、式(1c)で表される化合物は溶液として使用されるのが好ましい。式(1c)で表される化合物を溶解させる溶媒の種類は特に限定されないが、非プロトン性溶媒が好ましい。非プロトン性溶媒としては、工程(I)について説明した溶媒を好ましく使用できる。
式(1c)で表される化合物の使用量の上限は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。式(1c)で表される化合物の使用量の上限は、1.5モル当量が好ましく、1.25モル当量がより好ましく、1モル当量が特に好ましい。
式(1c)で表される化合物を1.5モル当量超用いても触媒の製造は可能である。しかし、コスト増に見合う触媒の収率及び/又は純度向上の効果が奏されるわけではなく、また触媒の精製が若干困難になる場合があり、式(1c)で表される化合物を1.5モル当量超用いる必要性は特段無い。
反応温度は溶媒の沸点を超えてもよい。反応温度が溶媒の沸点を超える場合、密閉可能な耐圧容器を用いて反応を行えばよい。
不活性ガスとしては、窒素、アルゴン等が挙げられる。
濃縮により副生塩の析出、除去を行う場合、副生塩除去後の濾液から溶媒を留去して残渣を得、残渣を再び溶媒に溶解させて副生塩を再度析出させてもよい。かかる残渣の取得と、副生塩の再析出との操作は、繰り返し行われてもよい。
析出した副生塩の除去は、濾過、デカンテーション等の公知の方法により行われる。
このため、除去された副生塩を溶媒により洗浄して、副生塩に付着する工程(II)の反応生成物を回収するのが好ましい。かかる有機溶媒による副生塩の洗浄操作は、必要に応じて複数回行われてもよい。
溶媒を用いる洗浄後に回収される洗浄液は、工程(II)の反応液と合わせて、工程(III)に供される。
なお、反応生成物は、工程(II)の反応液として工程(III)に供されてもよく、工程(II)の反応液から分離回収された状態で工程(III)に供されてもよい。
高純度の触媒を得やすい点では、工程(II)の反応液から分離回収された反応生成物を工程(III)に供するのが好ましい。また、分離回収作業での生成物のロスがない点では、工程(II)の反応液を、工程(III)に供することも好ましい。
工程(II)の反応液から分離回収された反応生成物が固体状である場合、反応生成物を溶媒に溶解させた後、得られた溶液を工程(III)に供するのが好ましい。反応生成物の溶解に使用される溶媒の好適な種類、及び溶媒の使用量の好適な範囲は、工程(I)について説明した溶媒の好適な種類、及び溶媒の使用量の好適な範囲と同様である。
反応生成物を溶解させる溶媒としては、工程(I)について説明した溶媒を用いることができるが、芳香族炭化水素溶媒が好ましい。芳香族炭化水素溶媒としては、トルエン、キシレン、メシチレン等が挙げられ、トルエンが好ましい。
また、反応液は、工程(III)に供される前に、必要に応じて、濃縮されても、希釈されてもよい。
工程(III)では、工程(II)で得られる生成物と、前述の式(1b)で表される化合物とを反応させる。
工程(III)において、式(1b)で表される化合物は、工程(I)での使用量と、工程(III)での使用量との合計が、工程(I)で使用された配位子の量に対して4モル当量以上であるような量用いられる。
式(1b)で表される化合物の、工程(I)での使用量と、工程(III)での使用量との合計は、工程(I)で使用された配位子の量に対して4モル当量以上が好ましく、4.6モル当量以上がより好ましい。
かかる合計量の上限は、工程(I)で使用された配位子の量に対して6.5モル当量が好ましく、6モル当量がより好ましく、5.5モル当量が特に好ましい。
式(1b)で表される化合物を、工程(I)での使用量と、工程(III)での使用量の合計として6.5モル当量超用いても触媒の製造は可能である。
しかし、コスト増に見合う触媒の収率及び/又は純度向上の効果が奏されるわけではなく、また触媒の精製が若干困難になる場合があり、式(1b)で表される化合物を、工程(I)での使用量と、工程(III)での使用量の合計として、工程(I)で使用された配位子の量に対して6.5モル当量超用いる必要性は特段無い。
特に好ましくは、トルエン等の芳香族炭化水素溶媒を含有する非プロトン性溶媒が使用される。芳香族炭化水素溶媒としては、トルエン、キシレン、メシチレン等が挙げられ、トルエンが好ましい。
トルエン等の芳香族炭化水素溶媒は、エーテル系溶媒と組み合わせて用いられてもよく、脂肪族炭化水素溶媒と組み合わせて用いられてもよい。
反応温度は溶媒の沸点を超えてもよい。反応温度が溶媒の沸点を超える場合、密閉可能な耐圧容器を用いて反応を行えばよい。
不活性ガスとしては、窒素、アルゴン等が挙げられる。
工程(I)、工程(II)、及び工程(III)を経て生成した触媒は、通常、塩等の不純物を含んでいるため、例えば、後述するその他の工程を経て精製された後に、重合反応に用いられるのが好ましい。
以上説明した、工程(I)、工程(II)、及び工程(III)に加えて、さらにその他の工程を実施することで、工程(III)の反応液から、合成された触媒を回収することができる。
その際、触媒の精製の目的で、工程(III)で得られた反応液を濃縮する前に、工程(III)の反応液にメチルマグネシウムブロマイド等の所謂グリニャール試薬を添加してもよい。
合成された触媒の結晶性が低い場合、グリニャール試薬を添加することで、結晶性が向上し、再結晶による精製を行うことができる。この場合、グリニャール試薬が添加された反応液から溶媒を留去して触媒を含む残渣を得た後、得られた残渣に有機溶媒を加え、有機溶媒中の不溶物を濾過やデカンテーション等の方法で分離することでグリニャール試薬、及び副生物を除去することができる。有機溶媒の添加後、触媒は有機溶媒に溶解し、副生物が析出する。残渣に含まれる触媒を溶解させる有機溶媒としては、グリニャール試薬、及び副生物が析出しやすい点で、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素溶媒が好ましい。
かかる副生物の除去操作は、所望する純度の触媒が得られるまで繰り返し行ってもよい。
グリニャール試薬の使用量は特に限定されないが、配位子に対して0.5〜4モル当量が好ましく、1〜2モル当量が好ましい。
このようにして得られる触媒の結晶を、そのまま重合反応に用いてもよいが、所望の純度まで精製された触媒を重合反応に用いるのが好ましい。
触媒を所望の純度に精製する方法は、特に限定されないが、典型的には有機溶媒による再結晶が好ましい。
再結晶溶媒としては、工程(I)〜工程(III)で使用可能な溶媒を用いることができる。再結晶時に結晶を析出させる方法は特に限定されず、冷却、濃縮等の方法が挙げられる。再結晶後、濾過やデカンテーション等の方法により析出した結晶を回収することで、精製された触媒が得られる。
また、NMRによる内部標準法(エチルベンゼン基準)により定められる、工程(III)終了段階での触媒の純度は、90%以上が好ましく、95%以上が特に好ましい。なお、NMRによる内部標準法により定められる純度であるため、純度が100%を超える場合がある。
(工程(I))
乾燥された窒素雰囲気に置換されたグローブボックス内で、シュレンクフラスコに、ジエチルエーテル50mLと、下記構造の配位子1.56g(5.28mmol)とを加えた。配位子をジエチルエーテルに溶解させた後、シュレンクフラスコに、メチルリチウムのジエチルエーテル溶液12.3mL(1.12M、メチルリチウム含有量:13.8mmol(2.6モル当量(対配位子)))を加えた後、配位子とメチルリチウムとを室温で2.5時間反応させた。
窒素雰囲気に置換された2口フラスコに、ヘキサン50mLと、TiCl40.58mL(5.29mmol(1.0モル当量(対配位子)))を加えた。
次いで、工程(I)で得られた反応液を、キャニュラーを用いて2口フラスコ内に滴下した。滴下後、2口フラスコの内容物を室温にて14時間撹拌して、工程(I)の反応生成物と、TiCl4とを反応させた。反応により、濃褐色の反応液が得られた。
得られた反応液から、溶媒を留去して黒色粉末を残渣として得た。得られた黒色粉末をトルエン20mLに懸濁し、トルエン中に工程(II)の反応生成物を抽出した。ガラスフィルターを通して、懸濁液から不溶成分を取り除いた。懸濁液から除かれた不溶性分に対して、同様の抽出操作をさらにトルエン20mLを使用して3回繰り返した。得られた濾液(抽出液)を、減圧下で乾燥し、工程(II)の反応生成物1.99gを得た。
フラスコに、工程(II)の反応生成物とトルエン50mLとを加えて、反応生成物をトルエンに溶解させた。
次いで、工程(II)の反応生成物の溶液に、メチルリチウムのジエチルエーテル溶液9.4mL(1.12M、メチルリチウム含有量:10.5mmol(2.0モル当量(対配位子)))を加えた後、工程(II)の反応生成物と、メチルリチウムとを室温で15時間反応させた。工程(III)での反応により、下記構造の触媒が生成した。
工程(III)で得られたフラスコ内の反応液に、MeMgBr3mL(濃度3M、9mmol)のジエチルエーテル溶液を加えた。次いで、フラスコの内容物を室温で1時間撹拌した。
フラスコの内容物から、溶媒を減圧留去して黒色粉末として残渣を得た。得られた黒色粉末をヘキサン40mLに懸濁し、ヘキサン中に触媒を抽出した。ガラスフィルターを通して、懸濁液から不溶成分を取り除いた。懸濁液から除かれた不溶成分に対して、同様の抽出操作をさらにヘキサン40mLを使用して1回、ヘキサン20mLを使用して2回繰り返した。得られた濾液(触媒の抽出液)を、減圧下で乾燥し、触媒918mgを得た。
得られた触媒の、NMRによる内部標準法(エチルベンゼン基準)により定められる、配位子の使用量に対する収率は47%であり、同じくNMRによる内部標準法(エチルベンゼン基準)により定められる触媒の純度は99%超であった。
測定用サンプル管は、J−YOUNG NMRサンプル管を使用した。
NMRによる定量分析は、内部標準物質として純度99%以上のエチルベンゼンを使用し、使用量と、エチルベンゼンの2.44ppm(三重線、2H)のピークと、触媒の7.71ppm(二重線、2H)のピークとの積分比を算出して行った。
工程(I)における、メチルリチウムの使用量を15.9mmol(3.0モル当量(対配位子))に変更することの他は、実施例1と同様にして触媒1039mgを得た。
得られた触媒の、NMRによる内部標準法(エチルベンゼン基準)により定められる、配位子の使用量に対する収率は53%であり、同じくNMRによる内部標準法(エチルベンゼン基準)により定められる触媒の純度は99%超であった。
工程(I)における、メチルリチウムの使用量を18.1mmol(3.4モル当量(対配位子))に変更することの他は、実施例1と同様にして触媒1125mgを得た。
得られた触媒の、NMRによる内部標準法(エチルベンゼン基準)により定められる、配位子の使用量に対する収率は57%である、同じくNMRによる内部標準法(エチルベンゼン基準)により定められる触媒の純度は99%超であった。
メチルリチウムの使用量を10.5mmol(2.0モル当量(対配位子))に変更することの他は、実施例1の工程(I)と同様にして、配位子とメチルリチウムとの反応液を得た。
次いで、配位子とメチルリチウムとの反応液を、キャニュラーを用いて2口フラスコ内に滴下した。滴下後、2口フラスコの内容物を室温にて17時間撹拌して、配位子とメチルリチウムとの反応生成物と、TiCl4とを反応させた。反応により、濃褐色の反応液が得られた。
得られた反応液から、溶媒を留去して黒色粉末を残渣として得た。得られた黒色粉末をトルエン20mLに懸濁し、トルエン中に反応生成物を抽出した。ガラスフィルターを通して、懸濁液から不溶成分を取り除いた。懸濁液から除かれた不溶性分に対して、同様の抽出操作をさらにトルエン20mLを使用して3回繰り返した。得られた濾液(抽出液)を、減圧下で乾燥し、反応生成物1.90gを得た。
次いで、反応生成物の溶液に、メチルリチウムのジエチルエーテル溶液9.4mL(1.12M、メチルリチウム含有量:10.5mmol(2.0モル当量(対配位子)))を加えた後、反応生成物と、メチルリチウムとを室温で12時間反応させて、触媒を生成させた。
フラスコの内容物から、溶媒を減圧留去して黒色粉末として残渣を得た。得られた黒色粉末をヘキサン40mLに懸濁し、ヘキサン中に触媒を抽出した。ガラスフィルターを通して、懸濁液から不溶成分を取り除いた。懸濁液から除かれた不溶成分に対して、同様の抽出操作をさらにヘキサン40mLを使用して1回、ヘキサン20mLを使用して2回繰り返した。得られた濾液(触媒の抽出液)を、減圧下で乾燥し、触媒933mgを得た。
得られた触媒の、NMRによる内部標準法(エチルベンゼン基準)により定められる、配位子の使用量に対する収率は38%であり、同じくNMRによる内部標準法(エチルベンゼン基準)により定められる触媒の純度は81%であった。
メチルリチウムの使用量を28.0mmol(5.3モル当量(対配位子))に変更することの他は、実施例1の工程(I)と同様にして、配位子とメチルリチウムとの反応液を得た。
次いで、配位子とメチルリチウムとの反応液を、キャニュラーを用いて2口フラスコ内に滴下した。滴下後、2口フラスコの内容物を室温にて22時間撹拌して、配位子とメチルリチウムとの反応生成物と、TiCl4とを反応させた。反応により、濃褐色の反応液が得られた。
得られた反応液から、溶媒を留去して黒色粉末を残渣として得た。得られた黒色粉末をヘキサン40mLに懸濁し、ヘキサン中に反応生成物を抽出した。ガラスフィルターを通して、懸濁液から不溶成分を取り除いた。懸濁液から除かれた不溶性分に対して、同様の抽出操作をさらにヘキサン40mLを使用して1回、ヘキサン20mLを使用して2回繰り返した。得られた濾液(抽出液)を、減圧下で乾燥し、反応生成物を得た。
撹拌後の溶液から、溶媒を減圧留去して黒色粉末として残渣を得た。得られた黒色粉末をヘキサン40mLに懸濁し、ヘキサン中に触媒を抽出した。ガラスフィルターを通して、懸濁液から不溶成分を取り除いた。懸濁液から除かれた不溶成分に対して、同様の抽出操作をさらにヘキサン40mLを使用して1回、20mLを使用して2回繰り返した。得られた濾液(触媒の抽出液)を、減圧下で乾燥し、触媒958mgを得た。
得られた触媒の、NMRによる内部標準法(エチルベンゼン基準)により定められる、配位子の使用量に対する収率は39%であり、同じくNMRによる内部標準法(エチルベンゼン基準)により定められる触媒の純度は80%であった。
なお、比較例2は、非特許文献2に記載される方法に相当する。
メチルリチウムの使用量を21.1mmol(4.0モル当量(対配位子))に変更することの他は、実施例1の工程(I)と同様にして、配位子とメチルリチウムとの反応液を得た。
次いで、配位子とメチルリチウムとの反応液を、キャニュラーを用いて2口フラスコ内に滴下した。滴下後、2口フラスコの内容物を室温にて17時間撹拌して、配位子とメチルリチウムとの反応生成物と、TiCl4とを反応させた。反応により、濃褐色の反応液が得られた。
得られた反応液から、溶媒を留去して黒色粉末を残渣として得た。得られた黒色粉末をトルエン20mLに懸濁し、トルエン中に触媒を抽出した。ガラスフィルターを通して、懸濁液から不溶成分を取り除いた。懸濁液から除かれた不溶性分に対して、同様の抽出操作をさらにトルエン20mLを使用して3回繰り返した。得られた濾液(触媒の抽出液)を、減圧下で乾燥し、触媒2.271gを得た。
得られた触媒の、NMRによる内部標準法(エチルベンゼン基準)により定められる、配位子の使用量に対する収率は41%であった。
また、同じくNMRにより、得られた触媒の組成を調べたところ、触媒中の、所望の構造の触媒の物質量(Nc)と、前述の式(1e)で表される中間体に相当する、チタン原子に2つの塩素原子が結合した中間体の物質量(Ni)との比率(Nc:Ni)とが、66:34であった。
つまり比較例3で得られた触媒は、多量の中間体を含み低純度であった。
実施例1において、工程(II)の反応生成物1.99gを、比較例3で得られた触媒2.271gに変えることの他は、実施例1と同様にして触媒1064mgを得た。
つまり、比較例4では、比較例3で得られた触媒に対して、さらに配位子に対して2.0モル当量のメチルリチウムを反応させた。
得られた触媒の、NMRによる内部標準法(エチルベンゼン基準)により定められる、配位子の使用量に対する収率は35%であり、同じくNMRによる内部標準法(エチルベンゼン基準)により定められる触媒の純度は65%であった。
比較例4によれば、中間体を多量に含む比較例3で得られた触媒に対して、さらにメチルリチウムを反応させても、高純度の触媒を高収率で製造することが困難であることが分かる。
Claims (3)
- 下記式(1):
で表される触媒の製造方法であって、
(I)下記式(1a):
で表される配位子を、前記配位子に対して2.2〜3.8モル当量の下記式(1b):
LiR4・・・(1b)
(式(1b)中、R4は、前記の通りであり、C−Li結合によりリチウム原子に結合する。)
で表される化合物と反応させる工程と、
(II)前記工程(I)で得られる生成物を、前記配位子に対して1モル当量以上の下記式(1c):
MR7 4・・・(1c)
(式(1c)中、Mは、前記の通りであり、R7は、ハロゲン原子、又は−OR8で表される基であり、R8は、ヘテロ原子を有してもよい炭素原子数1〜20の炭化水素基であり、R8はC−O結合により酸素原子に結合する。)
で表される化合物と反応させる工程と、
(III)前記工程(I)で用いた前記式(1b)で表される化合物の量と、工程(III)で用いる前記式(1b)で表される化合物の量との合計が、前記配位子に対して4モル当量以上であるように、前記工程(II)の生成物と、前記式(1b)で表される化合物とを反応させる工程と、を含む、触媒の製造方法。 - 前記式(1c)で表される化合物がTiCl4である、請求項1又は2に記載の触媒の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016129019A JP6745151B2 (ja) | 2016-06-29 | 2016-06-29 | 触媒の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016129019A JP6745151B2 (ja) | 2016-06-29 | 2016-06-29 | 触媒の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2018002803A JP2018002803A (ja) | 2018-01-11 |
JP6745151B2 true JP6745151B2 (ja) | 2020-08-26 |
Family
ID=60948494
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2016129019A Active JP6745151B2 (ja) | 2016-06-29 | 2016-06-29 | 触媒の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6745151B2 (ja) |
Family Cites Families (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5719517B2 (ja) * | 2010-02-25 | 2015-05-20 | 東ソー・ファインケム株式会社 | α−オレフィン/スチレン類共重合体およびその製造方法 |
-
2016
- 2016-06-29 JP JP2016129019A patent/JP6745151B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2018002803A (ja) | 2018-01-11 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
EP2825573B1 (en) | Telechelic polyolefin and preparation thereof | |
EP3275886B1 (en) | Method for producing dialkylaminosilane | |
JP6851467B2 (ja) | アシルホスフィンを調製するための汎用的方法 | |
JP3744965B2 (ja) | メチル遷移金属化合物の製造方法 | |
JP6745151B2 (ja) | 触媒の製造方法 | |
JP6038375B1 (ja) | 触媒の製造方法 | |
JPH08253486A (ja) | ペンタフルオロフエニル化合物を製造するための方法 | |
JPH06157569A (ja) | メタロセン類の製造方法 | |
JP6722525B2 (ja) | 触媒の製造方法 | |
US7067686B1 (en) | Synthesis of benzyl-metal compounds | |
Cozzi et al. | Titanium ester homoenolates: a structural and synthetic study | |
JP5237966B2 (ja) | 有機アルカリ金属化合物および有機遷移金属化合物の製造方法 | |
CN104812487B (zh) | 钌基催化剂及其在选择性氢化芳族或多不饱和化合物中的用途 | |
FR3054222A1 (fr) | Procede de preparation d'un systeme catalytique a base d'un metallocene de terre rare | |
JP2021091592A (ja) | 水素化ポリシラン化合物の製造方法 | |
EP2800752B1 (en) | Method for preparing di-organo-dialkoxysilanes | |
CN103313994B (zh) | 金属烷基芳烃和其制备方法 | |
EP3947282B1 (en) | Method of preparing cyclosilane | |
JP3661825B2 (ja) | 有機インジウム化合物の製造方法 | |
JP6756434B2 (ja) | テッベ錯体の製造方法 | |
US20220041631A1 (en) | Lithium alkyl aluminates as alkyl transfer reagents | |
TW202325717A (zh) | 製備有機鈦化合物之方法 | |
CA1057305A (en) | Process for the preparation of diaminomaleonitrile | |
Li et al. | trans-Chlorido (phenyl) bis (triphenylphosphine) nickel (II) and its 1: 1 cocrystal with chloridobis (triphenylphosphine) nickel (I) | |
JP5754842B2 (ja) | p−ヨードフェノールの製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20190619 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20200626 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20200707 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20200803 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 6745151 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
S111 | Request for change of ownership or part of ownership |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313117 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |