JP6745151B2 - 触媒の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、触媒の製造方法に関する。
従来より、種々の配位子を金属に配位させた所謂メタロセン触媒が、不飽和二重結合を有する単量体化合物の重合用の触媒として広く使用されている。具体的には、例えば、αオレフィン−ノルボルネンの共重合を良好に進行させる触媒として、下記構造の触媒が知られている(非特許文献1を参照)。
Figure 0006745151
なお、非特許文献1に記載される上記構造の触媒は、以下に示されるように、平衡によって、ハプト数が互いに異なり、Tiとフルオレン配位子との配位の形態が異なる、複数の錯体を含み得る。ここで、フルオレン配位子を用いる場合、ハプト数の範囲は1〜5である。
以下では、ハプト数5(η)である錯体と、ハプト数3(η)である錯体と、ハプト数1(η)である錯体との間での平衡を示している。
Figure 0006745151
上記構造の触媒を製造し得る方法としては、下記構造のリガンド(配位子)に対して、メチルリチウム等のメチル化されたアルカリ金属化合物、又はメチルマグネシウムブロマイドのようなメチル基を有するグリニャール試薬を4モル当量以上反応させた後、かかる反応の生成物を引き続きTiClのような金属化合物と反応させる方法が提案されている(特許文献1を参照。)。特許文献1には、下記構造のリガンドを含む一般式が記載されている。
なお、特許文献1において、メチルリチウムやメチルマグネシウムブロマイドの使用量の下限である4モル当量とは、下記構造のリガンドを用いて上記構造の触媒を製造する場合の化学量論的に必要な最少の量である。また、特許文献1において、触媒の製造は、ワンポットでの操作により実施される。
Figure 0006745151
特表2001−516367号公報
Living polymerization of olefins with ansa−dimethylsilylene(fluorenyl)(amido)dimethyltitanium−based catalystsTakeshi ShionoPolymer Journal,2011,43,p.331−351 Stereospecific polymerization of propylene with group 4 ansa−fluorenylamidodimethyl complexesTakeshi Shiono et al.Journal of Organometallic Chemistry,2006,vol.691,p.193−201
特許文献1に記載の方法は、確かにメタロセン触媒を高収率で製造し得る方法である。しかし、非特許文献1に記載される上記構造の触媒や、当該触媒に類似する構造の触媒を製造する場合には、特許文献1に記載の方法では、必ずしも良好な収率で、高純度の触媒を製造することができない。
また、非特許文献2には、リガンドに対して5.3モル当量のメチルリチウムを反応させ、次いでTiClを反応させて、非特許文献1に記載される上記構造の触媒を製造する方法が記載されている。しかし、非特許文献2に記載される方法でも、高純度の触媒を高収率で製造することは困難である。なお、非特許文献2に記載の具体的な方法は、特許文献1に記載の方法に包含される。
本発明は、上記の課題に鑑みなされたものであって、フルオレン骨格を含む特定の構造の配位子を用いて、メタロセン化合物である触媒を、高純度且つ高収率で製造できる触媒の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、フルオレン骨格を含む特定の構造の配位子と、当該配位子に対して2.2〜3.8モル当量の特定の構造の有機リチウム化合物を反応させる工程(I)と、工程(I)の生成物に、ハロゲン原子等を有するTi化合物、Zr化合物、又はHf化合物を、配位子に対して1モル当量以上反応させる工程(II)と、工程(I)で用いた有機リチウム化合物の量と、工程(III)で用いる有機リチウム化合物の量との合計が、配位子に対して4モル当量以上であるように、工程(II)の生成物と、特定の構造の有機リチウム化合物とを反応させる工程(III)と、を含む方法により上記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
より具体的には、本発明は以下のものを提供する。
(1) 下記式(1):
Figure 0006745151
(式(1)中、R、R、R、及びRは、それぞれ独立に、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1〜20の炭化水素基であり、R及びRは、それぞれC−Si結合、O−Si結合、Si−Si結合、又はN−Si結合によりケイ素原子に結合し、RはC−N結合、O−N結合、Si−N結合、又はN−N結合により窒素原子に結合し、RはC−M結合により金属原子Mに結合し、R及びRは、それぞれ独立に、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1〜20の有機置換基、又は無機置換基であり、m及びnは、それぞれ独立に0〜4の整数であり、R及びRがそれぞれ複数である場合、複数のR及びRは異なる基であってもよく、複数のRのうちの2つの基、又は複数のRのうちの2つの基が芳香環上の隣接する位置に結合する場合、当該2つの基が相互に結合して環を形成してもよく、Mは、Ti、Zr、又はHfである。)
で表される触媒の製造方法であって、
(I)下記式(1a):
Figure 0006745151
(式(1a)中、R、R、R、R、R、m、及びnについて、前記の通り。)
で表される配位子を、配位子に対して2.2〜3.8モル当量の下記式(1b):
LiR・・・(1b)
(式(1b)中、Rは、前記の通りであり、C−Li結合によりリチウム原子に結合する。)
で表される化合物と反応させる工程と、
(II)工程(I)で得られる生成物を、配位子に対して1モル当量以上の下記式(1c):
MR ・・・(1c)
(式(1c)中、Mは、前記の通りであり、Rは、ハロゲン原子、又は−ORで表される基であり、Rは、ヘテロ原子を有してもよい炭素原子数1〜20の炭化水素基であり、RはC−O結合により酸素原子に結合する。)
で表される化合物と反応させる工程と、
(III)工程(I)で用いた式(1b)で表される化合物の量と、工程(III)で用いる式(1b)で表される化合物の量との合計が、配位子に対して4モル当量以上であるように、工程(II)の生成物と、式(1b)で表される化合物とを反応させる工程と、を含む、触媒の製造方法。
(2) 配位子が、下記式(1a−1):
Figure 0006745151
で表される化合物である、(1)に記載の触媒の製造方法。
(3) 式(1c)で表される化合物がTiClである、(1)又は(2)に記載の触媒の製造方法。
本発明によれば、フルオレン骨格を含む特定の構造の配位子を用いて、メタロセン化合物である触媒を、高純度且つ高収率で製造できる触媒の製造方法を提供することができる。
≪触媒の製造方法≫
本発明にかかる触媒の製造方法では、以下に説明する式(1)で表される構造の触媒を製造する。
また、本発明にかかる触媒の製造方法は、
それぞれ後述する、式(1a)で表される配位子と、式(1b)で表されるリチウム化合物とを反応させる工程である工程(I)と、
工程(I)で得られる生成物を、後述する式(1c)で表される金属化合物と反応させる工程である工程(II)と、
工程(II)で得られる生成物と、式(1b)で表されるリチウム化合物とを反応させる工程である工程(III)と、を含む。
以下、触媒と、工程(I)、工程(II)、及び工程(III)と、その他の工程とについて説明する。
<触媒>
まず、本発明の方法により製造される触媒について説明する。本発明の方法により製造されるのは、フルオレン骨格を有する配位子を含む下記式(1)で表される構造の触媒である。
Figure 0006745151
式(1)中、R、R、R、及びRは、それぞれ独立に、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1〜20の炭化水素基である。
及びRは、それぞれC−Si結合、O−Si結合、Si−Si結合、又はN−Si結合によりケイ素原子に結合する。
はC−N結合、O−N結合、Si−N結合、又はN−N結合により窒素原子に結合する。
はC−M結合により金属原子Mに結合する。
及びRは、それぞれ独立に、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1〜20の有機置換基、又は無機置換基であり、m及びnは、それぞれ独立に0〜4の整数である。
及びRがそれぞれ複数である場合、複数のR及びRは異なる基であってもよい。
複数のRのうちの2つの基、又は複数のRのうちの2つの基が芳香環上の隣接する位置に結合する場合、当該2つの基が相互に結合して環を形成してもよい。
Mは、Ti、Zr、又はHfである。
なお、式(1)中の金属原子Mは、ハプト数1〜5の範囲において、フルオレン骨格を有する配位子と、任意の配位形式をとることができる。
、R、R、及びRは、それぞれ独立に、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1〜20の炭化水素基である。
炭化水素基がヘテロ原子を含む場合、ヘテロ原子の種類は本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。ヘテロ原子の具体例としては、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子、ケイ素原子、セレン原子、及びハロゲン原子等が挙げられる。
炭化水素基がヘテロ原子を含む場合、ヘテロ原子の数は特に限定されない。
炭化水素基がヘテロ原子を含む場合、炭素原子数と、ヘテロ原子数との合計は30以下が好ましく、25以下がより好ましく、20以下が特に好ましい。
炭化水素基がヘテロ原子を含む場合、ヘテロ原子の数は10以下が好ましく、5以下がより好ましく、3以下が特に好ましい。
炭化水素基が含んでいてもよいヘテロ原子を含む結合としては、例えば、−O−、−C(=O)−、−C(=O)−O−、−C(=O)−O−C(=O)−、−O−C(=O)−O−、−C(=O)−N<、>N−C(=O)−N<、−S−、−S(=O)−、−S(=O)−、−S−S−、−C(=O)−S−、−C(=S)−O−、−C(=S)−S−、−C(=S)−N<、−N=、−N<、−N=N−、=N−O−、=N−S−、=N−N<、=N−Se−、−S(=O)−N<、−C=N−O−、−P<、−P(=O)<−Se−、−Se(=O)−、>Si<、及びシロキサン結合が挙げられる。
炭化水素基は、これらのヘテロ原子を含む結合を単独で含んでいてもよく、2種以上を組み合わせて含んでいてもよい。
及びRは、それぞれC−Si結合、O−Si結合、Si−Si結合、又はN−Si結合によりケイ素原子に結合する。
O−Si結合によりケイ素原子に結合するR及びRの好適な例としては、−OR、及び−O−C(=O)−Rで表される基が挙げられる。
Si−Si結合によりケイ素原子に結合するR及びRの好適な例としては、−SiR、−Si(OR)R、−Si(OR)R、及び−Si(OR)で表される基が挙げられる。
N−Si結合によりケイ素原子に結合するR及びRの好適な例としては、−NHR、及び−NRで表される基が挙げられる。
ここで、上記のRはいずれも炭化水素基である。
は、C−N結合、O−N結合、Si−N結合、又はN−N結合により窒素原子に結合する。
O−N結合により窒素原子に結合するRの好適な例としては、−OR、及び−O−C(=O)−Rで表される基が挙げられる。
Si−N結合により窒素原子に結合するRの好適な例としては、−SiR、−Si(OR)R、−Si(OR)R、及び−Si(OR)で表される基が挙げられる。
N−N結合により窒素原子に結合するRの好適な例としては、−NHR、及び−NRで表される基が挙げられる。
ここで、上記のRはいずれも炭化水素基である。
配位子として使用する化合物の調製や入手が容易であることから、RとRとは同一の基であるのが好ましい。
、R、R、及びRとしては、化学的な安定性に優れることから、ヘテロ原子を含まない炭化水素基が好ましい。
かかる炭化水素基としては、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、二重結合及び/又は三重結合を有してもよい直鎖状又は分岐鎖状の不飽和脂肪族炭化水素基、シクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、芳香族炭化水素基、及びアラルキル基が好ましい。
直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、及びn−イコシル基が挙げられる。
二重結合及び/又は三重結合を有してもよい直鎖状又は分岐鎖状の不飽和脂肪族炭化水素基の好ましい例としては、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基の具体例として挙げた基において、1以上の単結合を二重結合及び/又は三重結合に置き換えた基が挙げられる。
より好ましくは、ビニル基、アリル基、1−プロペニル基、3−ブテニル基、2−ブテニル基、1−ブテニル基、エテニル基、及びプロパルギル基が挙げられる。
シクロアルキル基の具体例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、シクロウンデシル基、シクロドデシル基、シクロトリデシル基、シクロテトラデシル基、シクロペンタデシル基、シクロヘキサデシル基、シクロヘプタデシル基、シクロオクタデシル基、シクロノナデシル基、及びシクロイコシル基が挙げられる。
シクロアルキルアルキル基の具体例としては、シクロプロピルメチル基、シクロブチルメチル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシルメチル基、シクロへプチルメチル基、シクロオクチルメチル基、シクロノニルメチル基、シクロデシルメチル基、シクロウンデシルメチル基、シクロドデシルメチル基、シクロトリデシルメチル基、シクロテトラデシルメチル基、シクロペンタデシルメチル基、シクロヘキサデシルメチル基、シクロヘプタデシルメチル基、シクロオクタデシルメチル基、シクロノナデシルメチル基、2−シクロプロピルエチル基、2−シクロブチルエチル基、2−シクロペンチルエチル基、2−シクロヘキシルエチル基、2−シクロへプチルエチル基、2−シクロオクチルエチル基、2−シクロノニルエチル基、2−シクロデシルエチル基、2−シクロウンデシルエチル基、2−シクロドデシルエチル基、2−シクロトリデシルエチル基、2−シクロテトラデシルエチル基、2−シクロペンタデシルエチル基、2−シクロヘキサデシルエチル基、2−シクロヘプタデシルエチル基、2−シクロオクタデシルエチル基、3−シクロプロピルプロピル基、3−シクロブチルプロピル基、3−シクロペンチルプロピル基、3−シクロヘキシルプロピル基、3−シクロへプチルプロピル基、3−シクロオクチルプロピル基、3−シクロノニルプロピル基、3−シクロデシルプロピル基、3−シクロウンデシルプロピル基、3−シクロドデシルプロピル基、3−シクロトリデシルプロピル基、3−シクロテトラデシルプロピル基、3−シクロペンタデシルプロピル基、3−シクロヘキサデシルプロピル基、3−シクロヘプタデシルプロピル基、4−シクロプロピルブチル基、4−シクロブチルブチル基、4−シクロペンチルブチル基、4−シクロヘキシルブチル基、4−シクロヘプチルブチル基、4−シクロオクチルブチル基、4−シクロノニルブチル基、4−シクロデシルブチル基、4−シクロドデシルブチル基、4−シクロトリデシルブチル基、4−シクロテトラデシルブチル基、4−シクロペンタデシルブチル基、及び4−シクロヘキサデシルブチル基が挙げられる。
芳香族炭化水素基の具体例としては、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、2,3−ジメチルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、2,5−ジメチルフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、3,4−ジメチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、2,3,4−トリメチルフェニル基、2,3,5−トリメチルフェニル基、2,3,6−トリメチルフェニル基、2,4,5−トリメチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、3,4,5−トリメチルフェニル基、o−エチルフェニル基、m−エチルフェニル基、p−エチルフェニル基、o−イソプロピルフェニル基、m−イソプロピルフェニル基、p−イソプロピルフェニル基、o−tert−ブチルフェニル基、2,3−ジイソプロピルフェニル基、2,4−ジイソプロピルフェニル基、2,5−ジイソプロピルフェニル基、2,6−ジイソプロピルフェニル基、3,4−ジイソプロピルフェニル基、3,5−ジイソプロピルフェニル基、2,6−ジ−tert−ブチルフェニル基、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル基、α−ナフチル基、β−ナフチル基、ビフェニル−4−イル基、ビフェニル−3−イル基、ビフェニル−2−イル基、アントラセン−1−イル基、アントラセン−2−イル基、アントラセン−9−イル基、フェナントレン−1−イル基、フェナントレン−2−イル基、フェナントレン−3−イル基、フェナントレン−4−イル基、フェナントレン−9−イル基、ピレン−1−イル基、ピレン−2−イル基、ピレン−3−イル基、及びピレン−4−イル基が挙げられる。
アラルキル基の具体例としては、ベンジル基、フェネチル基、1−フェニルエチル基、3−フェニルプロピル基、2−フェニルプロピル基、1−フェニルプロピル基、2−フェニル−1−メチルエチル基、1−フェニル−1−メチルエチル基(クミル基)、4−フェニルブチル基、3−フェニルブチル基、2−フェニルブチル基、1−フェニルブチル基、3−フェニル−2−メチルプロピル基、3−フェニル−1−メチルプロピル基、2−フェニル−1−メチルプロピル基、2−メチル−1−フェニルプロピル基、2−フェニル−1,1−ジメチルエチル基、2−フェニル−2,2,−ジメチルエチル基、α−ナフチルメチル基、β−ナフチルメチル基、2−α−ナフチルエチル基、2−β−ナフチルエチル基、1−α−ナフチルエチル基、及び1−β−ナフチルエチル基が挙げられる。
以上説明した基の中でも、R、及びRとしては、炭素原子数1〜20のアルキル基及び炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素基が好ましく、炭素原子数1〜10のアルキル基及び炭素原子数6〜10の芳香族炭化水素基がより好ましく、炭素原子数1〜6のアルキル基及びフェニル基がさらに好ましく、炭素原子数1〜4のアルキル基が特に好ましい。
としては、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素基、及び炭素原子数7〜20のアラルキル基が好ましい。
としては、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数2〜20のアルケニル基、炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素基、及び炭素原子数7〜20のアラルキル基が好ましい。
式(1)中、R及びRは、それぞれ独立に、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1〜20の有機置換基、又は無機置換基であり、m及びnは、それぞれ独立に0〜4の整数である。
及びRがそれぞれ複数である場合、複数のR及びRは異なる基であってもよい。
有機置換基としては、従来芳香環上に置換し得ることが知られている有機基であって、上記式(1)で表される触媒の生成反応を阻害しない基であれば特に限定されない。
かかる有機基としては、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1〜20の炭化水素基であって、上記式(1)で表される触媒の生成反応を阻害しない基が挙げられる。
炭化水素基がヘテロ原子を含む場合、ヘテロ原子の種類は本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。ヘテロ原子の具体例としては、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子、ケイ素原子、セレン原子、及びハロゲン原子等が挙げられる。
炭化水素基がヘテロ原子を含む場合、ヘテロ原子の数は特に限定されない。
炭化水素基がヘテロ原子を含む場合、炭素原子数と、ヘテロ原子数との合計は30以下が好ましく、25以下がより好ましく、20以下が特に好ましい。
炭化水素基がヘテロ原子を含む場合、ヘテロ原子の数は10以下が好ましく、5以下がより好ましく、3以下が特に好ましい。
炭化水素基が含んでいてもよいヘテロ原子を含む結合としては、R〜Rについて説明した結合が挙げられる。
有機置換基としては、例えば、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜20のアルコキシ基、炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、炭素原子数2〜20の脂肪族アシル基、ベンゾイル基、α−ナフチルカルボニル基、β−ナフチルカルボニル基、炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素基、及び炭素原子数7〜20のアラルキル基が挙げられる。
これらの有機置換基の中では、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、炭素原子数3〜8のシクロアルキル基、炭素原子数2〜6の脂肪族アシル基、ベンゾイル基、フェニル基、ベンジル基、及びフェネチル基が好ましい。
有機置換基の中では、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、アセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基、及びフェニル基がより好ましい。
無機置換基としては、従来芳香環上に置換し得ることが知られている無機基であって、上記式(1)で表される触媒の生成反応を阻害しない基であれば特に限定されない。
無機基の具体例としては、ハロゲン原子、ニトロ基、及びシアノ基等が挙げられる。
複数のRのうちの2つの基、又は複数のRのうちの2つの基が芳香環上の隣接する位置に結合する場合、当該2つの基が相互に結合して環を形成してもよい。かかる環は、式(1)中のフルオレン骨格に含まれる芳香環と縮合する、縮合環である。縮合環は、芳香環でもよく、脂肪族環でもよく、脂肪族環が好ましい。縮合環は、酸素原子、窒素原子、及び硫黄原子等のヘテロ原子を環中に有していてもよい。
2つのR及び/又は2つのRにより形成された縮合環を備えるフルオレン骨格の具体例は、下式の骨格が挙げられる。
Figure 0006745151
式(1)中、Mは、Ti、Zr、又はHfであり、Tiが好ましい。
以上説明した式(1)で表される触媒の好適な例としては、以下の構造の触媒が挙げられる。
Figure 0006745151
<工程(I)>
式(1)で表される触媒を製造するために、まず工程(I)において、下記式(1a):
Figure 0006745151
(式(1a)中、R、R、R、R、R、m、及びnについて、前記の通り。)
で表される配位子を、前記配位子に対して2.2〜3.8モル当量の下記式(1b):
LiR・・・(1b)
(式(1b)中、Rは、前記の通りであり、C−Li結合によりリチウム原子に結合する。)
で表される化合物と反応させる。
工程(I)において進行する反応により、下記式(1d)で表される中間体が生成する。
Figure 0006745151
(式(1d)中、R、R、R、R、R、m、及びnについて、前記の通り。)
式(1a)で表される配位子の構造は、製造すべき触媒の構造に応じて適宜選択される。式(1a)で表される配位子の中では、良好な反応性や、合成や入手が容易で安価である点等から、下記式(1a−1)で表される配位子が好ましい。
Figure 0006745151
工程(I)では、式(1a)で表される配位子に対して、2.2〜3.8モル当量の上記式(1b)で表されるリチウム化合物を反応させる。
かかる範囲の量のリチウム化合物を、式(1a)で表される配位子に対して反応させることにより、最終的に、高純度の触媒を高収率で製造することができる。
工程(I)での式(1b)で表される化合物の使用量の下限は、例えば、2.3モル当量が好ましく、2.4モル当量がより好ましく、2.6モル当量が特に好ましい。
工程(I)での式(1b)で表される化合物の使用量の上限は、例えば、3.7モル当量が好ましく、3.6モル当量がより好ましく、3.4モル当量が特に好ましい。
式(1b)で表されるリチウム化合物について、前述の通り、Rとしては、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数4〜20のトリアルキルシリルアルキル基、炭素原子数2〜20のアルケニル基、炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素基、及び炭素原子数7〜20のアラルキル基が好ましい。
式(1b)で表されるリチウム化合物の好適な具体例としては、メチルリチウム、エチルリチウム、n−プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、n−ブチルリチウム、イソブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、n−ペンチルリチウム、n−ヘキシルリチウム、トリメチルシリルメチルリチウム、フェニルリチウム、p−トリルリチウム、m−トリルリチウム、o−トリルリチウム、ベンジルリチウム、ビニルリチウム、及びアリルリチウム等が挙げられる。
工程(I)では、通常、溶媒が使用される。溶媒の種類は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。典型的には、非プロトン性溶媒が使用される。
非プロトン性溶媒の種類は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。非プロトン性溶媒は、極性溶媒であっても、非極性溶媒であってもよい。好ましい非プロトン性溶媒としては、エーテル系溶媒と、炭化水素系溶媒とが挙げられる。
非プロトン性溶媒の好適な具体例としては、ジエチルエーテル、ジ−n−プロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、及びジオキサン等のエーテル系溶媒、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、及びオクタン等の脂肪族炭化水素溶媒、ベンゼン、トルエン、及びキシレン等の芳香族炭化水素溶媒が挙げられる。
特に好ましくは、ジエチルエーテルを含有する非プロトン性溶媒が使用される。
ジエチルエーテルは、ジエチルエーテル以外のエーテル系溶媒と組み合わせて用いられてもよく、脂肪族炭化水素溶媒と組み合わせて用いられてもよく、芳香族炭化水素溶媒と組み合わせて用いられてもよい。
溶媒の使用量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。溶媒の使用量は、典型的には、配位子のモル濃度が、0.001〜2mol/Lである量が好ましく、0.01〜1mol/Lである量がより好ましく、0.05〜0.5mol/Lである量が特に好ましい。
式(1a)で表される配位子と、式(1b)で表される化合物を反応させる温度は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。
典型的には、−78〜60℃が好ましく、0〜50℃がより好ましく、10〜40℃が特に好ましい。
反応温度は溶媒の沸点を超えてもよい。反応温度が溶媒の沸点を超える場合、密閉可能な耐圧容器を用いて反応を行えばよい。
式(1a)で表される配位子と、式(1b)で表される化合物とを反応させる際の雰囲気は特に限定されないが、副反応を抑制しやすいことから、不活性ガス雰囲気が好ましい。
不活性ガスとしては、窒素、アルゴン等が挙げられる。
工程(I)において、式(1a)で表される配位子と、式(1b)で表される化合物とを反応させる時間は特に限定されない。
工程(I)での反応時間は、式(1b)で表される化合物の使用量、溶媒の使用量、反応温度等により変化するが、典型的には、1〜24時間であり、2〜4時間が好ましい。
以上説明した方法により得られる、式(1a)で表される配位子と、式(1b)で表される化合物との反応生成物は、工程(II)に供される。
なお、反応生成物は、工程(I)の反応液として工程(II)に供されてもよく、工程(I)の反応液から分離回収された状態で工程(II)に供されてもよい。分離回収作業での生成物のロスがない点では、工程(I)の反応液を、工程(II)に供するのが好ましい。
また、反応液は、工程(II)に供される前に、必要に応じて、濃縮されても、希釈されてもよい。
<工程(II)>
工程(II)では、工程(I)で得られる生成物を、前述の配位子に対して1モル当量以上の下記式(1c):
MR ・・・(1c)
(式(1c)中、Mは、前記の通りであり、Rは、ハロゲン原子、又は−ORで表される基であり、Rは、ヘテロ原子を有してもよい炭素原子数1〜20の炭化水素基であり、RはC−O結合により酸素原子に結合する。)
で表される化合物と反応させる。
工程(II)では、前述の式(1d)で表される中間体と、式(1c)で表される化合物との反応によって、下記式(1e):
Figure 0006745151
(式(1e)中、R、R、R、R、R、R、m、及びnについて、前記の通り。)
で表される中間体が生成する。
かかる中間体が、前述の式(1b)で表されるリチウム化合物と反応すると、RがRに置き換わり、式(1)で表される触媒が生成する。
式(1c)で表される化合物における、Rはハロゲン原子である。ハロゲン原子は、所望する反応が進行する限り特に限定されないが、塩素原子又は臭素原子が好ましい。
が−ORである場合、Rはヘテロ原子を有してもよい炭素原子数1〜20の炭化水素基であって、C−O結合により酸素原子に結合する。
ヘテロ原子を有してもよい炭素原子数1〜20の炭化水素基について、C−O結合により酸素原子に結合するという制限を除いて、式(1)におけるR〜Rについて説明した通りである。
としては、ヘテロ原子を含まない炭化水素基が好ましく、アルキル基、アラルキル基、又は芳香族炭化水素基が好ましい。
−ORの好ましい具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、フェノキシ基、及びベンジルオキシ基が挙げられる。
式(1c)で表される化合物の好適な具体例としては、TiCl、ZrCl、HfCl、TiBr、ZrBr、HfBr、Ti(OMe)、Zr(OMe)、Hf(OMe)、Ti(OEt)、Zr(OEt)、Hf(OEt)、Ti(On−Pr)、Zr(On−Pr)、Hf(On−Pr)、Ti(Oi−Pr)、Zr(Oi−Pr)、Hf(Oi−Pr)、Ti(OPh)、Zr(OPh)、Hf(OPh)、Ti(On−Bu)、Zr(On−Bu)、Hf(On−Bu)、Ti(OBn)、Zr(OBn)、及びHf(OBn)が挙げられる。
これらの中では、入手が容易である点や、反応性が良好であること等からTiCl、ZrCl、HfCl、TiBr、ZrBr、及びHfBrが好ましく、TiCl、ZrCl、HfClがより好ましく、TiClが特に好ましい。
式(1c)で表される化合物は、工程(I)で使用された配位子の量に対して1モル当量以上使用される。式(1c)で表される化合物を、かかる範囲の量用いることにより、工程(II)での副反応が抑制され、その結果、最終的に得られる触媒の純度及び収率が良好である。
式(1c)で表される化合物は、そのまま用いられてもよく、溶媒に懸濁又は溶解した状態で用いられてもよい。工程(II)での副反応を抑制しやすい点から、式(1c)で表される化合物は溶液として使用されるのが好ましい。式(1c)で表される化合物を溶解させる溶媒の種類は特に限定されないが、非プロトン性溶媒が好ましい。非プロトン性溶媒としては、工程(I)について説明した溶媒を好ましく使用できる。
式(1c)で表される化合物の使用量の上限は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。式(1c)で表される化合物の使用量の上限は、1.5モル当量が好ましく、1.25モル当量がより好ましく、1モル当量が特に好ましい。
式(1c)で表される化合物を1.5モル当量超用いても触媒の製造は可能である。しかし、コスト増に見合う触媒の収率及び/又は純度向上の効果が奏されるわけではなく、また触媒の精製が若干困難になる場合があり、式(1c)で表される化合物を1.5モル当量超用いる必要性は特段無い。
工程(II)における、溶媒の好適な種類、溶媒の使用量の好適な範囲は、工程(I)と同様である。工程(I)の反応生成物を工程(I)の反応液から分離して使用する場合、工程(I)の反応生成物は、所望する量の溶媒に溶解させた状態で使用される。
工程(II)で実施される反応について、温度は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。典型的には、−78〜60℃が好ましい。
反応温度は溶媒の沸点を超えてもよい。反応温度が溶媒の沸点を超える場合、密閉可能な耐圧容器を用いて反応を行えばよい。
工程(II)で実施される反応を行う際の雰囲気は特に限定されないが、副反応を抑制しやすいことから、不活性ガス雰囲気が好ましい。
不活性ガスとしては、窒素、アルゴン等が挙げられる。
工程(II)において実施される反応の時間は特に限定されない。工程(II)での反応時間は、典型的には、1〜24時間である。生成物の分解を防ぐ点から、反応時間は過度に長くないのが好ましい。
なお、工程(II)では、反応の進行にともない副生塩が析出する場合がある。また、工程(II)の反応液を濃縮して副生塩を析出させることもできる。
濃縮により副生塩の析出、除去を行う場合、副生塩除去後の濾液から溶媒を留去して残渣を得、残渣を再び溶媒に溶解させて副生塩を再度析出させてもよい。かかる残渣の取得と、副生塩の再析出との操作は、繰り返し行われてもよい。
析出した副生塩の除去は、濾過、デカンテーション等の公知の方法により行われる。
このため、除去された副生塩を溶媒により洗浄して、副生塩に付着する工程(II)の反応生成物を回収するのが好ましい。かかる有機溶媒による副生塩の洗浄操作は、必要に応じて複数回行われてもよい。
溶媒を用いる洗浄後に回収される洗浄液は、工程(II)の反応液と合わせて、工程(III)に供される。
以上説明した方法により得られる、工程(II)の反応生成物は、工程(III)に供される。
なお、反応生成物は、工程(II)の反応液として工程(III)に供されてもよく、工程(II)の反応液から分離回収された状態で工程(III)に供されてもよい。
高純度の触媒を得やすい点では、工程(II)の反応液から分離回収された反応生成物を工程(III)に供するのが好ましい。また、分離回収作業での生成物のロスがない点では、工程(II)の反応液を、工程(III)に供することも好ましい。
工程(II)の反応液から分離回収された反応生成物が固体状である場合、反応生成物を溶媒に溶解させた後、得られた溶液を工程(III)に供するのが好ましい。反応生成物の溶解に使用される溶媒の好適な種類、及び溶媒の使用量の好適な範囲は、工程(I)について説明した溶媒の好適な種類、及び溶媒の使用量の好適な範囲と同様である。
反応生成物を溶解させる溶媒としては、工程(I)について説明した溶媒を用いることができるが、芳香族炭化水素溶媒が好ましい。芳香族炭化水素溶媒としては、トルエン、キシレン、メシチレン等が挙げられ、トルエンが好ましい。
また、反応液は、工程(III)に供される前に、必要に応じて、濃縮されても、希釈されてもよい。
<工程(III)>
工程(III)では、工程(II)で得られる生成物と、前述の式(1b)で表される化合物とを反応させる。
工程(III)において、式(1b)で表される化合物は、工程(I)での使用量と、工程(III)での使用量との合計が、工程(I)で使用された配位子の量に対して4モル当量以上であるような量用いられる。
式(1b)で表される化合物の、工程(I)での使用量と、工程(III)での使用量との合計は、工程(I)で使用された配位子の量に対して4モル当量以上が好ましく、4.6モル当量以上がより好ましい。
工程(III)において、式(1b)で表される化合物を上記の条件を満たす量用いることによって、所望する触媒を、高純度且つ高収率で製造できる。
工程(III)における式(1b)で表される化合物の使用量を定めるための条件である、式(1b)で表される化合物の、工程(I)での使用量と、工程(III)での使用量との合計の上限は、特に限定されない。
かかる合計量の上限は、工程(I)で使用された配位子の量に対して6.5モル当量が好ましく、6モル当量がより好ましく、5.5モル当量が特に好ましい。
式(1b)で表される化合物を、工程(I)での使用量と、工程(III)での使用量の合計として6.5モル当量超用いても触媒の製造は可能である。
しかし、コスト増に見合う触媒の収率及び/又は純度向上の効果が奏されるわけではなく、また触媒の精製が若干困難になる場合があり、式(1b)で表される化合物を、工程(I)での使用量と、工程(III)での使用量の合計として、工程(I)で使用された配位子の量に対して6.5モル当量超用いる必要性は特段無い。
式(1b)で表される化合物については、工程(I)について前述した通りである。工程(II)の反応生成物を工程(II)の反応液から分離して使用する場合、前述の通り、工程(II)の反応生成物は、所望する量の溶媒に溶解させた状態で使用される。
工程(III)における、溶媒の好適な種類、及び溶媒の使用量の好適な範囲は、工程(I)と同様である。
特に好ましくは、トルエン等の芳香族炭化水素溶媒を含有する非プロトン性溶媒が使用される。芳香族炭化水素溶媒としては、トルエン、キシレン、メシチレン等が挙げられ、トルエンが好ましい。
トルエン等の芳香族炭化水素溶媒は、エーテル系溶媒と組み合わせて用いられてもよく、脂肪族炭化水素溶媒と組み合わせて用いられてもよい。
工程(III)で実施される反応について、温度は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。典型的には、−78〜60℃が好ましい。
反応温度は溶媒の沸点を超えてもよい。反応温度が溶媒の沸点を超える場合、密閉可能な耐圧容器を用いて反応を行えばよい。
工程(III)で実施される反応を行う際の雰囲気は特に限定されないが、副反応を抑制しやすいことから、不活性ガス雰囲気が好ましい。
不活性ガスとしては、窒素、アルゴン等が挙げられる。
工程(III)において実施される反応の時間は特に限定されない。工程(III)での反応時間は、典型的には、1〜24時間である。生成物の分解を防ぐ点から反応時間は過度に長くないのが好ましい。
以上説明した、工程(I)、工程(II)、及び工程(III)を含む方法により製造される、式(1)で表される構造の触媒は、必要に応じて、精製されたり、反応液から分離回収されたりした後、重合反応用の触媒として使用される。
工程(I)、工程(II)、及び工程(III)を経て生成した触媒は、通常、塩等の不純物を含んでいるため、例えば、後述するその他の工程を経て精製された後に、重合反応に用いられるのが好ましい。
<その他の工程>
以上説明した、工程(I)、工程(II)、及び工程(III)に加えて、さらにその他の工程を実施することで、工程(III)の反応液から、合成された触媒を回収することができる。
例えば、工程(III)の反応液を濃縮して得られる残渣から有機溶媒により触媒を抽出した後、不溶物を含む抽出液から、濾過等の方法により残渣中の不溶な副生物を分離し、次いで、触媒を含む抽出液から触媒を析出させることにより、精製された触媒が得られる。
その際、触媒の精製の目的で、工程(III)で得られた反応液を濃縮する前に、工程(III)の反応液にメチルマグネシウムブロマイド等の所謂グリニャール試薬を添加してもよい。
合成された触媒の結晶性が低い場合、グリニャール試薬を添加することで、結晶性が向上し、再結晶による精製を行うことができる。この場合、グリニャール試薬が添加された反応液から溶媒を留去して触媒を含む残渣を得た後、得られた残渣に有機溶媒を加え、有機溶媒中の不溶物を濾過やデカンテーション等の方法で分離することでグリニャール試薬、及び副生物を除去することができる。有機溶媒の添加後、触媒は有機溶媒に溶解し、副生物が析出する。残渣に含まれる触媒を溶解させる有機溶媒としては、グリニャール試薬、及び副生物が析出しやすい点で、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素溶媒が好ましい。
かかる副生物の除去操作は、所望する純度の触媒が得られるまで繰り返し行ってもよい。
グリニャール試薬の使用量は特に限定されないが、配位子に対して0.5〜4モル当量が好ましく、1〜2モル当量が好ましい。
上述の通り、工程(III)で得られた反応液を濃縮するか、上記のグリニャール試薬を用いた不溶性の副生物の除去処理後の濾液を濃縮して、触媒の結晶が得られる。
このようにして得られる触媒の結晶を、そのまま重合反応に用いてもよいが、所望の純度まで精製された触媒を重合反応に用いるのが好ましい。
触媒を所望の純度に精製する方法は、特に限定されないが、典型的には有機溶媒による再結晶が好ましい。
再結晶溶媒としては、工程(I)〜工程(III)で使用可能な溶媒を用いることができる。再結晶時に結晶を析出させる方法は特に限定されず、冷却、濃縮等の方法が挙げられる。再結晶後、濾過やデカンテーション等の方法により析出した結晶を回収することで、精製された触媒が得られる。
上記の工程を経て得られる触媒の、NMRによる内部標準法(エチルベンゼン基準)により定められる収率は、配位子の使用量に対して40%以上が好ましく、45%以上がより好ましい。
また、NMRによる内部標準法(エチルベンゼン基準)により定められる、工程(III)終了段階での触媒の純度は、90%以上が好ましく、95%以上が特に好ましい。なお、NMRによる内部標準法により定められる純度であるため、純度が100%を超える場合がある。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔実施例1〕
(工程(I))
乾燥された窒素雰囲気に置換されたグローブボックス内で、シュレンクフラスコに、ジエチルエーテル50mLと、下記構造の配位子1.56g(5.28mmol)とを加えた。配位子をジエチルエーテルに溶解させた後、シュレンクフラスコに、メチルリチウムのジエチルエーテル溶液12.3mL(1.12M、メチルリチウム含有量:13.8mmol(2.6モル当量(対配位子)))を加えた後、配位子とメチルリチウムとを室温で2.5時間反応させた。
Figure 0006745151
(工程(II))
窒素雰囲気に置換された2口フラスコに、ヘキサン50mLと、TiCl0.58mL(5.29mmol(1.0モル当量(対配位子)))を加えた。
次いで、工程(I)で得られた反応液を、キャニュラーを用いて2口フラスコ内に滴下した。滴下後、2口フラスコの内容物を室温にて14時間撹拌して、工程(I)の反応生成物と、TiClとを反応させた。反応により、濃褐色の反応液が得られた。
得られた反応液から、溶媒を留去して黒色粉末を残渣として得た。得られた黒色粉末をトルエン20mLに懸濁し、トルエン中に工程(II)の反応生成物を抽出した。ガラスフィルターを通して、懸濁液から不溶成分を取り除いた。懸濁液から除かれた不溶性分に対して、同様の抽出操作をさらにトルエン20mLを使用して3回繰り返した。得られた濾液(抽出液)を、減圧下で乾燥し、工程(II)の反応生成物1.99gを得た。
(工程(III))
フラスコに、工程(II)の反応生成物とトルエン50mLとを加えて、反応生成物をトルエンに溶解させた。
次いで、工程(II)の反応生成物の溶液に、メチルリチウムのジエチルエーテル溶液9.4mL(1.12M、メチルリチウム含有量:10.5mmol(2.0モル当量(対配位子)))を加えた後、工程(II)の反応生成物と、メチルリチウムとを室温で15時間反応させた。工程(III)での反応により、下記構造の触媒が生成した。
Figure 0006745151
(その他の工程)
工程(III)で得られたフラスコ内の反応液に、MeMgBr3mL(濃度3M、9mmol)のジエチルエーテル溶液を加えた。次いで、フラスコの内容物を室温で1時間撹拌した。
フラスコの内容物から、溶媒を減圧留去して黒色粉末として残渣を得た。得られた黒色粉末をヘキサン40mLに懸濁し、ヘキサン中に触媒を抽出した。ガラスフィルターを通して、懸濁液から不溶成分を取り除いた。懸濁液から除かれた不溶成分に対して、同様の抽出操作をさらにヘキサン40mLを使用して1回、ヘキサン20mLを使用して2回繰り返した。得られた濾液(触媒の抽出液)を、減圧下で乾燥し、触媒918mgを得た。
得られた触媒の、NMRによる内部標準法(エチルベンゼン基準)により定められる、配位子の使用量に対する収率は47%であり、同じくNMRによる内部標準法(エチルベンゼン基準)により定められる触媒の純度は99%超であった。
なおNMR分析は、ブルカー(Bruker)分光計AVANCE III 400を使用し、重溶媒として重トルエンを用いてH−NMRにより行った。
測定用サンプル管は、J−YOUNG NMRサンプル管を使用した。
NMRによる定量分析は、内部標準物質として純度99%以上のエチルベンゼンを使用し、使用量と、エチルベンゼンの2.44ppm(三重線、2H)のピークと、触媒の7.71ppm(二重線、2H)のピークとの積分比を算出して行った。
〔実施例2〕
工程(I)における、メチルリチウムの使用量を15.9mmol(3.0モル当量(対配位子))に変更することの他は、実施例1と同様にして触媒1039mgを得た。
得られた触媒の、NMRによる内部標準法(エチルベンゼン基準)により定められる、配位子の使用量に対する収率は53%であり、同じくNMRによる内部標準法(エチルベンゼン基準)により定められる触媒の純度は99%超であった。
〔実施例3〕
工程(I)における、メチルリチウムの使用量を18.1mmol(3.4モル当量(対配位子))に変更することの他は、実施例1と同様にして触媒1125mgを得た。
得られた触媒の、NMRによる内部標準法(エチルベンゼン基準)により定められる、配位子の使用量に対する収率は57%である、同じくNMRによる内部標準法(エチルベンゼン基準)により定められる触媒の純度は99%超であった。
〔比較例1〕
メチルリチウムの使用量を10.5mmol(2.0モル当量(対配位子))に変更することの他は、実施例1の工程(I)と同様にして、配位子とメチルリチウムとの反応液を得た。
窒素雰囲気に置換された2口フラスコに、ヘキサン50mLと、TiCl0.58mL(5.29mmol(1.0モル当量(対配位子)))を加えた。
次いで、配位子とメチルリチウムとの反応液を、キャニュラーを用いて2口フラスコ内に滴下した。滴下後、2口フラスコの内容物を室温にて17時間撹拌して、配位子とメチルリチウムとの反応生成物と、TiClとを反応させた。反応により、濃褐色の反応液が得られた。
得られた反応液から、溶媒を留去して黒色粉末を残渣として得た。得られた黒色粉末をトルエン20mLに懸濁し、トルエン中に反応生成物を抽出した。ガラスフィルターを通して、懸濁液から不溶成分を取り除いた。懸濁液から除かれた不溶性分に対して、同様の抽出操作をさらにトルエン20mLを使用して3回繰り返した。得られた濾液(抽出液)を、減圧下で乾燥し、反応生成物1.90gを得た。
フラスコに、TiClを用いて得た反応生成物とトルエン45mLとを加えて、反応生成物をトルエンに溶解させた。
次いで、反応生成物の溶液に、メチルリチウムのジエチルエーテル溶液9.4mL(1.12M、メチルリチウム含有量:10.5mmol(2.0モル当量(対配位子)))を加えた後、反応生成物と、メチルリチウムとを室温で12時間反応させて、触媒を生成させた。
フラスコ内の触媒を含む反応液に、MeMgBr3mL(濃度3M、9mmol)のジエチルエーテル溶液を加えた。次いで、フラスコの内容物を室温で1時間撹拌した。
フラスコの内容物から、溶媒を減圧留去して黒色粉末として残渣を得た。得られた黒色粉末をヘキサン40mLに懸濁し、ヘキサン中に触媒を抽出した。ガラスフィルターを通して、懸濁液から不溶成分を取り除いた。懸濁液から除かれた不溶成分に対して、同様の抽出操作をさらにヘキサン40mLを使用して1回、ヘキサン20mLを使用して2回繰り返した。得られた濾液(触媒の抽出液)を、減圧下で乾燥し、触媒933mgを得た。
得られた触媒の、NMRによる内部標準法(エチルベンゼン基準)により定められる、配位子の使用量に対する収率は38%であり、同じくNMRによる内部標準法(エチルベンゼン基準)により定められる触媒の純度は81%であった。
比較例1からは、最初に配位子と反応させるメチルリチウムの量が、配位子に対して2.0モル当量では、配位子に対して合計4.0モル当量のメチルリチウムを反応させても、純度に優れる触媒を高収率で得られないことが分かる。
〔比較例2〕
メチルリチウムの使用量を28.0mmol(5.3モル当量(対配位子))に変更することの他は、実施例1の工程(I)と同様にして、配位子とメチルリチウムとの反応液を得た。
窒素雰囲気に置換された2口フラスコに、ヘキサン50mLと、TiCl0.58mL(5.29mmol(1.0モル当量(対配位子)))を加えた。
次いで、配位子とメチルリチウムとの反応液を、キャニュラーを用いて2口フラスコ内に滴下した。滴下後、2口フラスコの内容物を室温にて22時間撹拌して、配位子とメチルリチウムとの反応生成物と、TiClとを反応させた。反応により、濃褐色の反応液が得られた。
得られた反応液から、溶媒を留去して黒色粉末を残渣として得た。得られた黒色粉末をヘキサン40mLに懸濁し、ヘキサン中に反応生成物を抽出した。ガラスフィルターを通して、懸濁液から不溶成分を取り除いた。懸濁液から除かれた不溶性分に対して、同様の抽出操作をさらにヘキサン40mLを使用して1回、ヘキサン20mLを使用して2回繰り返した。得られた濾液(抽出液)を、減圧下で乾燥し、反応生成物を得た。
得られた反応生成物にヘキサン120mLと、MeMgBr3mL(濃度3M、9mmol)のジエチルエーテル溶液を加えた後、室温で5時間撹拌を行った。
撹拌後の溶液から、溶媒を減圧留去して黒色粉末として残渣を得た。得られた黒色粉末をヘキサン40mLに懸濁し、ヘキサン中に触媒を抽出した。ガラスフィルターを通して、懸濁液から不溶成分を取り除いた。懸濁液から除かれた不溶成分に対して、同様の抽出操作をさらにヘキサン40mLを使用して1回、20mLを使用して2回繰り返した。得られた濾液(触媒の抽出液)を、減圧下で乾燥し、触媒958mgを得た。
得られた触媒の、NMRによる内部標準法(エチルベンゼン基準)により定められる、配位子の使用量に対する収率は39%であり、同じくNMRによる内部標準法(エチルベンゼン基準)により定められる触媒の純度は80%であった。
比較例2によれば、配位子に対して、所望する構造の触媒を得るための化学量論的な最少量である4.0モル当量を超える5.3モル当量のメチルリチウムを反応させた後に、TiClを反応させても、純度に優れる触媒を高収率で得られないことが分かる。
なお、比較例2は、非特許文献2に記載される方法に相当する。
〔比較例3〕
メチルリチウムの使用量を21.1mmol(4.0モル当量(対配位子))に変更することの他は、実施例1の工程(I)と同様にして、配位子とメチルリチウムとの反応液を得た。
窒素雰囲気に置換された2口フラスコに、ヘキサン50mLと、TiCl0.58mL(5.29mmol(1.0モル当量(対配位子)))を加えた。
次いで、配位子とメチルリチウムとの反応液を、キャニュラーを用いて2口フラスコ内に滴下した。滴下後、2口フラスコの内容物を室温にて17時間撹拌して、配位子とメチルリチウムとの反応生成物と、TiClとを反応させた。反応により、濃褐色の反応液が得られた。
得られた反応液から、溶媒を留去して黒色粉末を残渣として得た。得られた黒色粉末をトルエン20mLに懸濁し、トルエン中に触媒を抽出した。ガラスフィルターを通して、懸濁液から不溶成分を取り除いた。懸濁液から除かれた不溶性分に対して、同様の抽出操作をさらにトルエン20mLを使用して3回繰り返した。得られた濾液(触媒の抽出液)を、減圧下で乾燥し、触媒2.271gを得た。
得られた触媒の、NMRによる内部標準法(エチルベンゼン基準)により定められる、配位子の使用量に対する収率は41%であった。
また、同じくNMRにより、得られた触媒の組成を調べたところ、触媒中の、所望の構造の触媒の物質量(Nc)と、前述の式(1e)で表される中間体に相当する、チタン原子に2つの塩素原子が結合した中間体の物質量(Ni)との比率(Nc:Ni)とが、66:34であった。
つまり比較例3で得られた触媒は、多量の中間体を含み低純度であった。
比較例3によれば、配位子に対して、所望する構造の触媒を得るための化学量論的な最少量である4.0モル当量のメチルリチウムを反応させた後に、TiClを反応させても、良好な純度で触媒を製造できないことが分かる。
〔比較例4〕
実施例1において、工程(II)の反応生成物1.99gを、比較例3で得られた触媒2.271gに変えることの他は、実施例1と同様にして触媒1064mgを得た。
つまり、比較例4では、比較例3で得られた触媒に対して、さらに配位子に対して2.0モル当量のメチルリチウムを反応させた。
得られた触媒の、NMRによる内部標準法(エチルベンゼン基準)により定められる、配位子の使用量に対する収率は35%であり、同じくNMRによる内部標準法(エチルベンゼン基準)により定められる触媒の純度は65%であった。
比較例4によれば、中間体を多量に含む比較例3で得られた触媒に対して、さらにメチルリチウムを反応させても、高純度の触媒を高収率で製造することが困難であることが分かる。

Claims (3)

  1. 下記式(1):
    Figure 0006745151
    (式(1)中、R、R、R、及びRは、それぞれ独立に、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1〜20の炭化水素基であり、R及びRは、それぞれC−Si結合、O−Si結合、Si−Si結合、又はN−Si結合によりケイ素原子に結合し、RはC−N結合、O−N結合、Si−N結合、又はN−N結合により窒素原子に結合し、RはC−M結合により金属原子Mに結合し、R及びRは、それぞれ独立に、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1〜20の有機置換基、又は無機置換基であり、m及びnは、それぞれ独立に0〜4の整数であり、R及びRがそれぞれ複数である場合、複数のR及びRは異なる基であってもよく、複数のRのうちの2つの基、又は複数のRのうちの2つの基が芳香環上の隣接する位置に結合する場合、当該2つの基が相互に結合して環を形成してもよく、Mは、Ti、Zr、又はHfである。)
    で表される触媒の製造方法であって、
    (I)下記式(1a):
    Figure 0006745151
    (式(1a)中、R、R、R、R、R、m、及びnについて、前記の通り。)
    で表される配位子を、前記配位子に対して2.2〜3.8モル当量の下記式(1b):
    LiR・・・(1b)
    (式(1b)中、Rは、前記の通りであり、C−Li結合によりリチウム原子に結合する。)
    で表される化合物と反応させる工程と、
    (II)前記工程(I)で得られる生成物を、前記配位子に対して1モル当量以上の下記式(1c):
    MR ・・・(1c)
    (式(1c)中、Mは、前記の通りであり、Rは、ハロゲン原子、又は−ORで表される基であり、Rは、ヘテロ原子を有してもよい炭素原子数1〜20の炭化水素基であり、RはC−O結合により酸素原子に結合する。)
    で表される化合物と反応させる工程と、
    (III)前記工程(I)で用いた前記式(1b)で表される化合物の量と、工程(III)で用いる前記式(1b)で表される化合物の量との合計が、前記配位子に対して4モル当量以上であるように、前記工程(II)の生成物と、前記式(1b)で表される化合物とを反応させる工程と、を含む、触媒の製造方法。
  2. 前記配位子が、下記式(1a−1):
    Figure 0006745151
    で表される化合物である、請求項1に記載の触媒の製造方法。
  3. 前記式(1c)で表される化合物がTiClである、請求項1又は2に記載の触媒の製造方法。
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