JP6745110B2 - ガラスパネルの製造方法 - Google Patents
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特許文献1には、半透明で平滑な板ガラスの製造方法として、透明で平坦なフロートガラスの一方の表面を砂などの研磨剤を用いて研削することにより、5.0μm以下のRaを有する表面に形成することが記載されている。
また、特許文献2には、ロールアウト成形により、片面が型板模様を有し、他面が平滑である型板ガラスの製造方法が開示されており、溶融ガラスを下側の型ロールと上側の平滑ロールから成る一対の成形ロールで成形し、得られたガラスリボンの型模様を有する面をデリバリープレートの波形形状の接触面上を滑らせることが記載されている。
このような表面凹凸を付けたガラスパネルでは、可視光透過率はほとんど変化がないが、視認性が大きく低下し、ガラスパネルを通して見る像がほとんど認識できず、意匠性にも劣る。また、特許文献1のような擦りガラスの場合は、凹凸面に水が付着すると、付着部分のみ透明度が変化し、意匠性が損なわれるという問題もある。
物体が歪んで見え、かつ凹部及び凸部が複数形成されていることから、全体がゆらいでいるような独特の模様で視認でき、意匠性に優れるものである。後述するように、その平滑面は、成形時の成形型の突起部に接触していない部分であり、火づくりの平滑面である。
このガラスパネルは、通常、板厚が2mm以上26mm以下で、その公差は±0.2mm以上±1.2mm以下である。この場合、板厚が薄いほど公差は小さくなり、厚くなると公差が大きくなる。
この場合、一方の面の凹部と他方の面の凸部とは、その曲率半径が板厚分の差で対応する曲面となるが、一方の面の凹部と凸部、あるいは他方の面の凸部と凹部とは、その曲率半径は必ずしも同一ではない。
いわゆる化学強化ガラスであり、高い耐風圧強度を有し、建築物の壁材等に適している。
ガラスパネルを複数枚貼り合わせた構造とすることにより、耐衝撃性が向上し、割れた際の飛散も生じにくく安全性が高められる。各ガラスパネルの間には接着剤層とが介在するが、この接着剤層をガラスとほぼ同じ屈折率、光透過率のものを用いることにより、採光性、視認性を損なうことなく耐衝撃性を高めることができる。
複層ガラスパネルとすることにより、各ガラスパネルの間の密閉された中間層によって断熱性能が高められる。ガラスパネルの間の中間層は空気層としてもよいし、真空層としてもよく、アルゴン等の不活性ガスを封入してもよい。また、中間層の周縁部に吸湿剤を封入してもよい。
を介してさらに板ガラスを重ね合わせた状態で前記突起部の上に載置することにより、複数枚のガラスパネルを同時に製造することができる。
そして、このようにして製造されたガラスパネルは、重ね合わせられていた面が両ガラスパネルでほぼ反転した表面形状に形成されるので、合わせガラスパネルや複層ガラスパネルに容易に加工することができる。
図1〜図4は第1実施形態のガラスパネル1及びその製造の際に用いられる成形型11を示している。このガラスパネル1は、図1及び図2に示すように、全体としては矩形の板状に形成されるが、一方の面1aの全面に複数の凹部2及び凸部3が形成されるとともに、他方の面1bに、その一方の面1aの凹部2に対応する凸部4及び一方の面1aの凸部3に対応する凹部5を有し、全体として一様の板厚に形成されている。このガラスパネルの組成は特に限定されるものではないが、JIS R3106に準じて測定する可視光透過率が75%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは84%以上であり、そのようなガラスパネルとしては、ソーダライムガラスパネル、及びソーダライムガラスから鉄の含有量を低下させた高透過ガラスパネルが挙げられる。
部3は、ガラスパネル1の矩形の四辺において若干波打って形成される場合もあるが、全体としては分離されずに連続して形成されている。
この一方の面1aに対して、他方の面1bに形成される凸部4は、ほぼ球殻凸面の一部をなす形状で、縦横に整列し、凹部5により分離して形成されており、凹部5は、凸部4の間を直線状に連なって形成される。
他方の面(図1の下面)1bにおいては、凹部5間のピッチが、一方の面1aの凸部3間のピッチpと同一に形成され、凸部4の高さが一方の面1aの凹部2の深さdとほぼ同一に形成される。
板厚がほぼ一様であるので、一方の面1aの凹部2と他方の面1bの凸部4とは、その曲率半径が板厚分の差で対応する曲面となる。ただし、一方の面1aの凹部2と凸部3、あるいは他方の面1bの凸部4と凹部5とは、その曲率半径は必ずしも同一ではない。
ガラス原料は一般的なフロートガラスに用いられるものと同じであり、ソーダライムガラス、またはソーダライムガラスから鉄の含有量を低下させた高透過ガラスを溶融炉内で溶解された後に融解すずを満たしたフロートバスの表面に送り出され、融解すずの上を帯状となって浮きながら送られ、ロールにより取り出されて徐冷されることにより、平板状の板ガラス(フロート板ガラス)10となる。
この成形型11は、例えばステンレス鋼等からなる金属製であり、図示例では、複数の帯状の板材からなる突起部12が上下方向に沿って形成され、これら突起部12が相互に間隔をおいて縦横に整列され、その縦列の突起部12と横列の突起部12とが直交することにより、正面視で全体として矩形の格子形状となるように組み合わせられて枠体を構成している。各突起部12は、高さがすべて同一とされ、その上端の頂部13が、横断面半円弧状に丸められて、後述するように板ガラス10を支持する支持部とされており、その頂部13の円弧の頂点の高さが揃えられている。また、突起部12の間は横断面矩形状の空間部14が形成される。
そして、これら突起部12の頂部13における頂点により形成される面が板ガラス載置
面15とされる。
そして、この成形型11に載置した状態で板ガラス10をガラスの軟化温度(例えば、ソーダライムガラスで730±10℃)以上に加熱する。成形型11の上で板ガラス10が軟化すると、突起部12の線状の頂部13の間が空間部14とされているので、板ガラス10は、図3(b)に示すように、突起部12の頂部13の間に架け渡された部分が自重により空間部14内に垂れ下がり、頂部13の間で凹状に撓んだ状態となる。そして、板ガラス10への加熱を停止して冷却すると、その上面に複数の部分的な凹部2と凸部3とを有するガラスパネル1が成形される(変形工程)。
なお、板ガラス10を載置する前に、頂部13の表面に離型剤等を塗布しておいてもよい。
(採光性の説明)
採光性は、JIS R3106の可視光透過率測定に準じて、評価することができ、可視光透過率が高いほど、採光性が高い。
(視認性の説明)
視認性は、JIS R3202の透視ひずみ試験に準じて、白地に斜め45°幅20mmの黒線を20mm間隔で複数本並べた900mm角のゼブラ板を、試験体となるガラスパネルから1〜5mの距離に設置して、試験体越しにゼブラ板を観察して、黒線のひずみの度合いを測定することにより評価できる。
図5は、このガラスパネル1を建築物の壁材に用いて、内部に配置した複数の椅子を反対側から視認したときの見え方を表したものであり、(a)が実施形態のガラスパネル越しに見える風景を示し、(b)が平滑なガラス越しに見える風景を示している。このように、実施形態のガラスパネル越しの場合は、椅子が存在することは認識できるものの、全体がゆらいでおり、独特の意匠を呈している。
このガラスパネル21は、図6及び図7に示すように、矩形状の一方の面21aの半分に、第1実施形態と同様に、複数の凹部2及び凸部3が形成されるとともに、他方の面21bにも、その一方の面21aの半分の位置に対応して、一方の面21aの凹部2に対応する凸部4及び一方の面21aの凸部3に対応する凹部5を有しているが、残りの半分は平板状に形成され、この平板部22及び凹部2,5、凸部3,4が設けられた部分の全体が一様の板厚に形成されている。以下では、凹部2,5及び凸部3,4が設けられた部分を平板部22に対して装飾部23と称する。
このガラスパネル21の板厚t、一方の面21aの凸部3のピッチp、凹部2の深さd、他方の面21bの凹部5間のピッチ、凸部4の高さは、第1実施形態のものと同様に設定される。
この成形型31に、第1実施形態と同様に、平板状の板ガラス10を載置して軟化温度以上に加熱すると、成形型31の板状部32では板ガラス10の変形はないが、突起部12の頂部13により支持されている部分で第1実施形態の場合と同様に、板ガラス10が頂部13の間で凹状に撓んだ状態となり、その状態で冷却することにより、矩形状の半分が平板部22で、残る半分が複数の凹部2,5と凸部3,4とを有する装飾部23とされたガラスパネル21が製造される。
このガラスパネル41は、図9及び図10に示すように、合わせガラスパネルであり、2枚のガラスパネル42,43が、一方のガラスパネル42の裏面(他方の面)42bの凸部4と他方のガラスパネル43の表面(一方の面)43aの凹部2とを対向させ、これらを係合させた状態で有機樹脂フィルムからなる接着剤層44を介して貼り合わせられている。後述するように一方のガラスパネル42の凹部、凸部と、他方のガラスパネル43の凹部、凸部とは、その曲率半径は異なるが、便宜上、第1実施形態のものと同一の符号を付して説明する。
接着剤層44は、ポリビニルアセタール系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂等からなる層であり、ガラスとほぼ同じ屈折率、光透過率としたものが用いられ、厚さが0.3mm〜3.2mmに形成される。
2枚の板ガラス10を成形すると、その下層のガラスパネル43の上面(一方の面)43aの凹部2と上層のガラスパネル42の下面(他方の面)42bの凸部4の形状、及び下層のガラスパネル43の上面43aの凸部3と上層のガラスパネル42の下面42bの凹部5の形状は、それぞれほぼ反転した表面形状に形成され、下層のガラスパネル43の上面43aの凹部2と上層のガラスパネル42の下面42bの凸部4とはほぼ同じ曲率半径に形成され、下層のガラスパネル43の上面43aの凸部3と上層のガラスパネル42の下面42bの凹部5ともほぼ同じ曲率半径に形成される。
また、上層のガラスパネル42の上面42aの凹部2の深さd、凸部3間のピッチpと、下層のガラスパネル43の上面43aの凹部2の深さd、凸部3間のピッチpとは同一に形成される。
そして、これら2枚のガラスパネル42,43を成形時の重ね合わせ面どうしを対向させるようにして、その間に有機樹脂フィルムからなる接着剤層44を介して重ね合わせ、常法にしたがい加熱圧着することにより、合わせガラスパネル41を製造する。前述したように、2枚を重ね合わせて成形しているので、合わせガラスパネル41としても、その対向面が隙間なく合わせられ、内部に気泡等を生じさせることなく、正確な合わせガラスパネル41を得ることができる。
なお、3枚以上のガラスパネルを接着剤層を介して重ね合わせた形態とすることも可能である。また、複数枚のガラスパネルとして厚さの異なるものを重ね合わせて構成してもよい。
このガラスパネル51は、複層ガラスパネルである。第2実施形態では2枚のガラスパネル42,43を接着剤層44を介して密接させたが、この第3実施形態の複層ガラスパネル51は、第2実施形態で図11及び図12で示した方法と同様にして製作した2枚のガラスパネル42,43が相互に間隔をおいて対向し、その周縁部にスペーサー52及び封着シール部53が設けられており、両ガラスパネル42,43の間の中間層54は空気層、真空層あるいは、アルゴン等の不活性ガス層とされている。この場合、両ガラスパネル42,43は、一方のガラスパネル42の裏面(他方の面)42bの凸部4と他方のガラスパネル43の表面(一方の面)43aの凹部2とを対向させるようにして配置されている。つまり、前述したほぼ同じ曲率半径の一方のガラスパネル42の凸部4と、他方のガラスパネル43の凹部2とを対向させている。
本発明のガラスパネルは、建築物の壁材としての利用が期待されており、化学強化することにより、壁材として高い耐風圧強度を有することができる。
例えば、上記実施形態では、平板状の板ガラスを支持する突起部を帯状の板材により形成したが、柱状に形成してもよい。柱状の突起部を縦横に整列して配置することにより、ガラスパネルとしては、その一方の面には、凹部の周囲の四か所に、先端が丸いほぼ錐状の凸部が形成され、これら凸部の間も若干窪んだ形状の表面形状となる。他方の面は、その逆で、一つの凸部の周囲の四か所に、先端が丸いほぼ錐状の凹部が形成される。
突起部を柱状に形成する場合も同様であり、縦横に整列させる場合以外にも、三角形や六角形等の頂点上に配置する、千鳥状に配置するなど、種々の配置とすることができる。
(実施例1)
ガラスパネルとして、ソーダライムガラス組成の、厚さ10mmのフロート板ガラス(可視光透過率 88.3%)で、その全体が900mm×1500mmの矩形状とし、第1実施形態と同様の方法により、板厚、一方の面の凸部間のピッチ、凹部の深さを表1に示すように変えた複数の試料を作製した。
これら試料について、採光度、視認性を以下のようにして測定した。
採光度は、凸部頂点部分を30mm×30mmの大きさで切りだし、JIS R3106に準じて可視光透過率を測定した。
視認性は、凸部の頂点が中心となるように、200mm角で試験片を切り出し、凸部の頂点に合うように、カメラを設置した。試験片を挟んでカメラとは反対側に2000mm角のゼブラ板を設置した。カメラと試験片、試験片とゼブラ板の距離は4.5mとした。カメラにより試験片を通して歪んだゼブラ板を観察することができ、ひずみの度合いは、凸部の頂点部分を通して、観察できるゼブラ板の一本の黒線のひずみの大きさを何本分歪んだかを測定した。
その結果を表1に示す。
ガラスパネルとして、ソーダライムガラス組成の、厚さ5mmのフロート板ガラス(可視光透過率 87.6%)で、その全体が900mm×1500mmの矩形状とし、第1実施形態と同様の方法により、板厚、一方の面の凸部間のピッチ、凹部の深さを表1に示すように変えた複数の試料を複数作製した。同じ凸部間のピッチ及び凹部の深さを有する2枚のガラスパネルを厚さ1.5mmのポリビニルブチラールフィルムを介在させて合わせガラスを作成し、実施例1と同様の評価を行った。
その結果を表2に示す。
1a 一方の面
1b 他方の面
2 凹部
3 凸部
4 凸部
5 凹部
10 板ガラス
11 成形型
12 突起部
13 支持部(頂部)
14 空間部
15 ガラス載置面
21 ガラスパネル
21a 一方の面
21b 他方の面
22 平板部
23 装飾部
31 成形型
32 板状部
41 合わせガラスパネル
42,43 ガラスパネル
42a,43a 一方の面
42b、43b 他方の面
44 離型剤
45 接着剤層
51 複層ガラスパネル
52 スペーサー
53 封着シール部
54 中間層
55 筒体
56 吸湿剤
57 孔
61,65 ガラスパネル
66 板状部
Claims (2)
- 複数の点状又は線状の頂部を有する突起部を相互に間隔をおいて立設した成形型を用意しておき、該成形型の前記突起部の上に平板状の板ガラスを載置する準備工程と、前記突起部上の前記板ガラスを軟化温度以上まで加熱することにより、前記突起部の頂部間に架け渡されている部分を撓ませた後に、冷却する変形工程とを有し、
前記成形型は、前記突起部の頂部における頂点と同じ高さ位置に表面を配置した板状部を有し、
前記準備工程にて、前記板ガラスを前記突起部及び前記板状部の上に載置し、
前記変形工程にて、前記板状部上の前記板ガラスを加圧せずに加熱することを特徴とするガラスパネルの製造方法。 - 前記準備工程において、前記板ガラスに離型剤を介してさらに板ガラスを重ね合わせた状態で前記突起部の上に載置することを特徴とする請求項1記載のガラスパネルの製造方法。
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