JP6744937B2 - 容器詰めアルコール飲料 - Google Patents
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Description
具体的には、本発明は、以下の事項を含んでいる。
〔1〕柑橘系香料と、
2-メチル-3-フランチオールとを含有し、
糖質の含有量が2.0g/100ml未満であり、
果汁の含有量が3.0g/100ml未満である
容器詰めアルコール飲料。
〔2〕糖類の含有量が0.5g/100ml未満である、
前記〔1〕に記載のアルコール飲料。
〔3〕「甘味料の使用量(g/100ml)」に「砂糖を1.00とした場合の甘味度」を乗じた値として求められる「甘味の強さ」が、1/100ml未満である、
前記〔1〕または〔2〕に記載のアルコール飲料。
〔4〕炭酸飲料である、前記〔1〕から〔3〕のいずれかに記載のアルコール飲料。
〔5〕アルコール飲料中の2-メチル-3-フランチオールの含有量が、0.00005〜0.5ppbである、前記〔1〕から〔4〕のいずれかに記載のアルコール飲料。
〔6〕前記柑橘系香料が、レモン香料を含む
前記〔1〕から〔5〕のいずれかに記載のアルコール飲料。
〔7〕前記柑橘系香料が、リモネン及び/又はシトラールを含有する、
前記〔1〕から〔6〕のいずれかに記載のアルコール飲料。
〔8〕原料として蒸留酒を用いた炭酸飲料である、前記〔1〕から〔7〕のいずれかに記載のアルコール飲料。
〔9〕プリン体の含有量が0.2mg/100ml以下である、前記〔1〕から〔8〕のいずれかに記載のアルコール飲料。
〔10〕アルコール度数が1%以上である、前記〔1〕から〔9〕のいずれかに記載のアルコール飲料。
本実発明の容器詰めアルコール飲料は、柑橘系香料と、2-メチル-3-フランチオールとを含有し、糖質の含有量が2.0g/100ml未満であり、果汁の含有量が3.0g/100ml未満である。このアルコール飲料は、2-メチル-3-フランチオールを含有しているため、甘さを抑えつつも、果汁感及びボディ感を付与することができる。
本発明のアルコール飲料は、果汁感が付与された容器詰めの飲料である。好ましくは、本発明のアルコール飲料は、原料酒として蒸留酒を用いた飲料であり、より好ましくは蒸留酒を用いた炭酸飲料、すなわちチューハイ飲料である。
また、本明細書において、「蒸留酒」とは、酒税法に規定される蒸留酒を指す。蒸留酒としては、焼酎、ウォッカ、ラム、ジン、ウイスキー及び原料用アルコール等が好ましく用いられる。このうち、糖蜜などを原料とした原料用アルコールがより好ましく用いられる。
また、本発明のアルコール飲料は、糖類の含有量が0.5g/100ml未満であることが好ましく、糖類の含有量がゼロであることがより好ましい。糖質及び糖類の含有量を低くすることにより、甘さを抑えることができる。また、健康志向の観点からも好ましい。
ここで、「糖質」とは、炭水化物のうち、食物繊維を除いたものを指す。
また、「糖類」とは、糖質のうち、単糖類及び二糖類に含まれる成分を指す。
「糖類」の具体例としては、グルコース(ブドウ糖)、ガラクトース、マンノース、フルクトース(果糖)、スクロース(ショ糖)、ラクトース(乳糖)、ラクトース(麦芽糖)、果糖ぶどう糖液糖、等が挙げられる。
「砂糖を1.00とした場合の甘味度」(以下、単に「甘味度」ということがある。)とは、砂糖の甘さを1.00とした場合の、甘味料の甘味の強さを官能検査により評価したものである。甘味料の甘味度は、精糖工業会発行「甘味料の総覧」(1990年5月発行)及び株式会社光琳発行「高甘味度甘味料スクラロースのすべて」(2003年5月発行)に記載されている値を採用する。例えば、甘味料の甘味度は、アセスルファムカリウムであれば200、スクラロースであれば600である。
したがって甘味料の使用量を甘味の強さから算出すると、本発明のアルコール飲料における甘味料の使用量は、例えば砂糖の場合は1g/100ml未満、アセスルファムカリウムの場合は0.005g/100ml未満、スクラロースの場合は0.0017g/100ml未満であることが好ましい。
本発明のアルコール飲料の「甘味の強さ」は、好ましくは、0.2/100ml以下であり、甘味料が不使用であることがより好ましい。甘味料の含有量を抑えることにより、甘さを抑えることができる。
本明細書において、「甘味料」は、糖質系甘味料及び非糖質系甘味料を指す。糖質系甘味料としては、前述した「糖類」に分類される、グルコース(ブドウ糖)、ガラクトース、マンノース、フルクトース(果糖)、スクロース(ショ糖)、ラクトース(乳糖)、ラクトース(麦芽糖)、果糖ぶどう糖液糖、及び、水飴、異性化糖、イソマルトオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、乳果オリゴ糖、大豆オリゴ糖、ラフィノース、トレハロース、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、還元水飴、還元パラチノース、キシリトール及びエリスリトール等を指すものとする。また、非糖質系甘味料とは、天然甘味料(ステビア、甘草(グリチルリチン)等)、及び人工甘味料(サッカリン、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース等)を指すものとする。
本発明のアルコール飲料は、好ましくは、炭酸飲料である。アルコール飲料中における炭酸ガスボリュームは、例えば1.0〜5.0、好ましくは1.9〜3.6である。
アルコール飲料のpHは、例えば2.0〜5.0、好ましくは2.5〜4.0である。
プリン体の含有量を低減することで、健康志向に合致した飲料が得られる。
2-1:柑橘系香料
本発明のアルコール飲料には、果汁感を付与するため、香料として柑橘系香料が含まれている。柑橘系香料としては、例えば、レモン、みかん、オレンジ、ライム、グレープフルーツ、及びゆず等の香料が挙げられる。これらのうち、柑橘系香料としては、レモン香料が好ましく用いられる。また柑橘系香料としては、リモネン及び/又はシトラールを含有する香料が好ましく用いられる。
アルコール飲料中における柑橘系香料の含有量は、好ましくは0.5g/100ml以下、より好ましくは0.01〜0.3g/100mlである。
更に、本発明のアルコール飲料には、香料として、2−メチル−3−フランチオールが含まれている。2−メチル−3−フランチオールを含有させることにより、果汁、糖質、糖類及び甘味料の含有量が極めて少なくとも、果汁感及びボディ感に優れた香味をアルコール飲料に付与することができる。
アルコール飲料中における2−メチル−3−フランチオールの含有量は、好ましくは0.00005〜0.5ppb、より好ましくは0.0005〜0.05ppbである。2−メチル−3−フランチオールの含有量が0.00005ppb未満である場合、十分な果汁感及びボディ感を付与することが難しくなる。一方、2−メチル−3−フランチオールの含有量が0.5ppbを超える場合、スッキリ感や後切れの良さに劣る飲料となる傾向がある。
また、本発明のアルコール飲料には、上記の柑橘系香料及び2−メチル−3−フランチオール以外の香料が含まれていてもよい。その他の香料としては、一般の食品に用いられる香料であれば特に限定されず、目的に応じて用いるフレーバーや含有量が適宜選択される。
本発明のアルコール飲料には、酸味料が添加されていてもよい。酸味料としては、例えば、アジピン酸、クエン酸(無水)、クエン酸三ナトリウム(クエン酸ナトリウム)、グルコノデルタラクトン、グルコン酸、グルコン酸カリウム、グルコン酸ナトリウム、コハク酸、コハク酸一ナトリウム、コハク酸二ナトリウム、酢酸ナトリウム、DL−酒石酸、L−酒石酸、DL−酒石酸ナトリウム、L−酒石酸ナトリウム、二酸化炭素、乳酸、乳酸ナトリウム、氷酢酸、フマル酸、フマル酸一ナトリウム、DL−リンゴ酸、DL−リンゴ酸ナトリウム、及びリン酸等が挙げられる。このうち、好ましくは、クエン酸(無水)及びクエン酸ナトリウムである。
アルコール飲料中における酸味料の含有量は、好ましくは0.01〜1.0g/100ml、より好ましくは0.05〜0.3g/100mlである。
本実施態様に係るアルコール飲料の製造方法は、例えば、アルコール飲料を製造する際に通常行われる工程を包含する。飲用水、アルコール、柑橘系香料及び2−メチル−3−フランチオールを所定量混合し、必要に応じて、甘味料、酸味料、果汁、その他の香料、食品添加物を所定量、均一に混合する。次いで、得られた混合液を冷却し、ガスボリュームが1.0〜5.0の範囲になるようにカーボネーションを行う。その後、容器に充填・密封することにより目的とする炭酸アルコール飲料を製造することができる。カーボネーション前、または容器詰め後に加熱殺菌の工程を加えたり、カーボネーション後に異物除去の為のろ過をしても良い。これにより、容器詰めアルコール飲料が得られる。
試験例1のアルコール飲料に、異なる濃度で2−メチル−3−フランチオールを添加し、例1〜5のアルコール飲料を得た。2−メチル−3−フランチオールを添加しなかったサンプルを参照例1とした。例1〜5のアルコール飲料を、参照例1を基準として、4名の専門パネルによる官能評価により評価した。
官能評価は、おいしさ、レモン果汁感の強さ、ボディ感、苦味の強さ、酸味の強さ、飲み応え、及びアルコール臭のそれぞれについて5段階で評価し、4名の専門パネルの平均値を結果として求めた。尚、数値が高いほど、おいしく、レモン果汁感が強く、ボディ感が強く、苦味が強く、酸味が強く、飲み応えがあり、アルコール臭が強いことを示す。
なお、試験例1のアルコール飲料は、甘味料不使用、無果汁である。また、酸味料(無水クエン酸およびクエン酸三ナトリウム)には糖質が含まれているが、酸味料の使用量は0.13g/100mlであるため、糖質の含有量は最大でも0.13g/100mlである。
結果を下記表2に示す。
試験例1と同様に、試験例2のアルコール飲料に異なる濃度で2−メチル−3−フランチオールを添加し、例6〜10のアルコール飲料を得た。2−メチル−3−フランチオールを添加しなかったサンプルを参照例2とした。参照例2を基準として、例6〜10のアルコール飲料の官能評価を行った。なお、参照例2及び例6〜例10のアルコール飲料の甘味の強さは、アスセルファムカリウムの含有量が0.002g/100mlであり、アスセルファムカリウムの甘味度が200であるので、0.4/100mlである。
結果を表3に示す。
試験例1と同様に、試験例3のアルコール飲料に異なる濃度で2−メチル−3−フランチオールを添加し、例11〜15のアルコール飲料を得た。2−メチル−3−フランチオールを添加しなかったサンプルを参照例3とした。参照例3を基準として、例11〜15のアルコール飲料の官能評価を行った。なお、参照例3及び例11〜15の糖質の含有量について、55%果糖ブドウ糖液糖の糖分濃度が約75%であり、55%果糖ブドウ糖液糖使用量が4.00g/100mlであるから、55%果糖ブドウ糖液糖由来の糖質は3g/100mlである。更にレモン果汁、酸味料にも糖質が含まれることから、参照例3及び例11〜15のアルコール飲料における糖質の含有量は、少なくとも3g/100ml以上である。また、果汁の含有量は3.1g/100mlである。
結果を表4に示す。
試験例1と同様に、試験例4のアルコール飲料に異なる濃度で2−メチル−3−フランチオールを添加し、例16〜20のアルコール飲料を得た。2−メチル−3−フランチオールを添加しなかったサンプルを参照例4とした。参照例4を基準として、例16〜20のアルコール飲料の官能評価を行った。
結果を表5に示す。
以上のように、甘味料不使用、低糖質含有量、無果汁、フレーバー(香料)有りのアルコール飲料において、2−メチル−3−フランチオールを添加することにより、果汁感、ボディ感及び飲み応えが顕著に増加することが確認された(試験例1)。
また、甘味料を使用した場合(試験例2)、糖質及び果汁を添加した場合(試験例3)においては、2−メチル−3−フランチオールの添加により、ボディ感及び飲み応えが顕著に増加し、果汁感も増加する傾向がみられた。
一方、フレーバーを使用しなかった場合(試験例4)においては、2−メチル−3−フランチオールの添加により、ボディ感及び飲み応えが増加するものの、試験例1と比較すると果汁感は増強されにくい傾向にあった。
Claims (8)
- 0.00005〜0.005ppbの量で2−メチル−3−フランチオールを含有し、
糖質の含有量が2.0g/100ml未満であり、
果汁の含有量が3.0g/100ml未満である、
果汁感及びボディ感に優れた香味を有する容器詰めアルコール飲料(但し、ビール様発泡性飲料を除く)。 - リモネン又はシトラールを含有する、請求項1に記載の容器詰めアルコール飲料。
- 糖類の含有量が0.5g/100ml未満である、請求項1又は2に記載のアルコール飲料。
- 「甘味料の使用量(g/100ml)」に「砂糖を1.00とした場合の甘味度」を乗じた値として求められる「甘味の強さ」が、1/100ml未満である、
請求項1から3のいずれかに記載のアルコール飲料。 - 炭酸飲料である、請求項1から4のいずれかに記載のアルコール飲料。
- 原料として蒸留酒を用いた炭酸飲料である、請求項1から5のいずれかに記載のアルコール飲料。
- プリン体の含有量が0.2mg/100ml以下である、請求項1から6のいずれかに記載のアルコール飲料。
- アルコール度数が1%以上である、請求項1から7のいずれかに記載のアルコール飲料。
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