以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1乃至図9は、本実施の形態に係る紙幣処理機および紙幣処理方法を示す図である。このうち、図1は、本実施の形態による紙幣処理機の内部構成を概略的に示す概略構成図であり、図2は、図1に示す紙幣処理機の制御系の構成を示す機能ブロック図である。また、図3乃至図9は、図1に示す紙幣処理機において装着部に装着されている紙幣収納袋の開口を封止部により封止する動作の様々な例を示す側面図である。
本実施の形態による紙幣処理機10は、概してスーパーマーケット等の店舗のフロント領域やバックヤード領域に配置されるものであり、当該紙幣処理機10は、紙幣の入金処理等の様々な処理を行うことができるようになっている。図1に示すように、本実施の形態による紙幣処理機10は略直方体形状の筐体12を有している。なお、図1における筐体12の左側の面が当該筐体12の前面(すなわち、操作者が対向する面)となっている。また、筐体12の内部には、上部ユニット14および下部ユニット16がそれぞれ当該筐体12の前面から前方(具体的には、図1における左方向)に引き出し可能となるよう収容されている。上部ユニット14において、筐体12の前面上部(図1における左側の面の上部)には、筐体12の外部から内部に紙幣を投入するための受入ホッパ等の投入部20が設けられている。また、上部ユニット14において、筐体12の前面(図1における左側の面)における投入部20の下方には、筐体12の内部から外部に紙幣を投出するための投出部22が設けられている。
投入部20には、操作者により当該投入部20に積層状態で載置された紙幣を1枚ずつ筐体12の内部に繰り出すための紙幣繰出機構20aが設けられている。また、上部ユニット14において、紙幣処理機10の筐体12の内部には、当該筐体12内で紙幣を1枚ずつ搬送する搬送部24が設けられており、紙幣繰出機構20aにより投入部20から繰り出された紙幣は当該搬送部24により1枚ずつ搬送されるようになっている。また、搬送部24には識別部26が設けられており、紙幣繰出機構20aにより搬送部24に繰り出された紙幣は識別部26によりその金種、真偽、表裏、正損、新旧、搬送状態等が識別されるようになっている。
図1に示すように、搬送部24には投出部22が接続されており、搬送部24から投出部22に送られた紙幣は当該投出部22に集積されるようになっている。また、投出部22は筐体12の外部からアクセス可能となっており、操作者は投出部22に集積された紙幣を筐体12の前面から取り出すことができるようになっている。また、搬送部24における投出部22との接続箇所には羽根車22aが設けられており、当該羽根車22aは図1における反時計回りの方向に回転するようになっている。そして、搬送部24から投出部22に紙幣が送られる際に、羽根車22aにおける2つの羽根の間に紙幣が挟まれた状態で当該羽根車22aが図1における反時計回りの方向に回転することにより、羽根車22aの2つの羽根の間に挟まれた紙幣は投出部22に整列された状態で集積されるようになる。
また、上部ユニット14において、搬送部24にはテープ式の収納繰出部30が設けられており、搬送部24から収納繰出部30に送られた紙幣が当該収納繰出部30に収納されるとともにこの収納繰出部30に収納されている紙幣を1枚ずつ搬送部24に繰り出すことができるようになっている。より詳細には、収納繰出部30は正逆両方向に回転可能なドラム30aが設けられており、当該ドラム30aの外周面には一対の帯状のテープ31の一端が接続されている。そして、搬送部24から収納繰出部30に紙幣が送られると、これらの帯状のテープ31により当該紙幣は1枚ずつテープ31ごとドラム30aに巻き取られるようになっている。一方、ドラム30aを逆方向に回転させることにより各テープ31をドラム30aから巻き戻すとドラム30aに巻き取られている紙幣も各テープ31から放出されて搬送部24に繰り出されるようになる。
図1に示すように、本実施の形態では、下部ユニット16には、パウチ袋等の紙幣収納袋34を装着可能な装着部32が複数(図1に示す例では2つ)設けられている。より詳細には、下部ユニット16において2つの装着部32が筐体12からの当該下部ユニット16の引き出し方向(すなわち、図1における左方向)に沿って並ぶよう設けられている。
各装着部32は、互いに対向するよう離間して設けられた一対の保持部材32aを有しており、紙幣収納袋34の開口近傍における互いに対向する2つの箇所が各保持部材32aによりそれぞれ保持されるようになっている。ここで、ある保持部材32aはその位置が固定されているのに対し、別の保持部材32aは位置固定の保持部材32aに向かって移動することができるようになっている。また、各装着部32には、当該装着部32に装着されている紙幣収納袋34の開口を封止する封止部38が設けられている。封止部38は、装着部32に装着されている紙幣収納袋34の開口を封止する封止部材38aを有している。ここで、封止部材38aは、装着部32に装着されている紙幣収納袋34の開口を熱により封止するようになっている。より詳細には、封止部材38aは各保持部材32aにそれぞれ設けられており、装着部32に装着された紙幣収納袋34に紙幣が収納された後、一方の保持部材32aが他方の保持部材32aに向かって移動してこれらの保持部材32aが互いに接合した状態で、各封止部材38aによって紙幣収納袋34の開口近傍の箇所に熱が与えられることにより当該紙幣収納袋34の開口はヒートシール(熱封止)されるようになっている。また、各装着部32において、一対の保持部材32aのうちある1つの保持部材32aが他の保持部材32aに向かって移動する代わりに、両方の保持部材32aがそれぞれ他の保持部材32aに向かって移動してこれらの保持部材32aが互いに接合するようになっていてもよい。
なお、後述するように、封止部38は、装着部32に装着されている紙幣収納袋34に印字を行う印字部材38bまたは装着部32に装着されている紙幣収納袋34に刻印を行う刻印部材38cを有していてもよい。また、封止部38は、装着部32に装着されている紙幣収納袋34を部分的に切断する切断部材38dを有していてもよい。切断部材38dは、装着部32に装着されている紙幣収納袋34の開口の近傍の箇所に穴を開けたり紙幣収納袋34の端縁に切り欠きを形成したりするようになっている。これらの印字部材38b、刻印部材38cおよび切断部材38dの機能の詳細については後述する。なお、本実施の形態では、印字部材38b、刻印部材38cおよび切断部材38dは、それぞれ封止部38の一部をなす構成部材として用いられるが、印字部材38b、刻印部材38cおよび切断部材38dのうち少なくとも一つの部材または全ての部材を、封止部38とは別の構成部材としてもよい。
また、図1では図示していないが、各装着部32において一対の保持部材32aの上方には、搬送部24から送られた紙幣を一時的に保持するための一時保留部と、一時保留部に一時的に保留される紙幣を紙幣収納袋34の内部に押し込む押し込み板とがそれぞれ設けられている。具体的には、搬送部24から各装着部32に送られた紙幣は一時保留部に積層状態で集積されるようになっており、一時保留部に積層状態で集積された紙幣を紙幣収納袋34に収納させる際には押し込み板が下方に移動することによってこの一時保留部に集積されている紙幣が下方に押されて紙幣収納袋34の内部に送られるようになっている。また、紙幣収納袋34に所定枚数の紙幣が収納されると、押し込み板が下方に移動して紙幣収納袋34の内部に進入し、この押し込み板によって紙幣収納袋34に収納されている紙幣が下方に押し込まれて圧縮されるようになっている。
また、操作者は、下部ユニット16を筐体12の前面から前方(すなわち、図1における左方向)に引き出すことによって、紙幣が収納された紙幣収納袋34を装着部32から取り外したり空の紙幣収納袋34を装着部32に装着させたりすることができるようになっている。
また、上部ユニット14において、搬送部24からは各装着部32に対応して複数(図1に示す例では2つ)の分岐搬送部25が分岐しており、搬送部24から分岐搬送部25に分岐させられた紙幣が当該分岐搬送部25から各装着部32に装着された紙幣収納袋34に送られて当該紙幣収納袋34に収納されるようになっている。
また、本実施の形態の紙幣処理機10には、当該紙幣処理機10の各構成部材の制御を行う制御部50が設けられている。より詳細には、図2に示すように、制御部50には、投入部20に設けられた紙幣繰出機構20a、投出部22に設けられた羽根車22aを駆動するための羽根車駆動部22b、搬送部24、分岐搬送部25、識別部26、収納繰出部30、装着部32、封止部38等がそれぞれ接続されている。そして、識別部26による紙幣の識別結果に係る信号が制御部50に送られるとともに、制御部50は紙幣処理機10の各構成部材に指令信号を送ることによりこれらの構成部材の動作を制御するようになっている。
また、図2に示すように、制御部50には操作表示部52、記憶部54、印字部56および通信インターフェース部58がそれぞれ接続されている。図1に示すように、操作表示部52は例えば筐体12の上面に設けられたタッチパネル等からなり、紙幣処理機10における紙幣の入金処理等の処理状況や、各紙幣収納袋34に収納されている紙幣の在高等に関する情報が操作表示部52に表示されるようになっている。また、操作者は操作表示部52を操作することにより制御部50に対して様々な指令を与えることができるようになっている。
記憶部54には、紙幣処理機10における紙幣の入金処理等の処理履歴や、各紙幣収納袋34に収納されている紙幣の在高等に関する情報が記憶されるようになっている。また、印字部56は、紙幣処理機10における紙幣の入金処理等の処理履歴や、各紙幣収納袋34に収納されている紙幣の在高等に関する情報をレシート等に印字するようになっている。また、制御部50は通信インターフェース部58を介して本実施の形態による紙幣処理機10とは別に設けられた外部装置(具体的には、例えば上位端末)に対して信号の送受信を行うことができるようになっている。例えば、警送会社の警備員等により紙幣収納袋34が回収される際に、制御部50はこの紙幣収納袋34に関する情報を通信インターフェース部58により警送会社に送信するようになっている。
また、図2に示すように、制御部50には、識別部26による識別結果に基づいて、紙幣収納袋34の開口の封止方法を複数の封止方法から選択して設定する設定部40が接続されている。このような設定部40の機能の詳細については後述する。
また、図2に示すように、制御部50には電源スイッチ42が接続されている。電源スイッチ42は紙幣処理機10の筐体12に設けられており、操作者が電源スイッチ42のオン/オフを行うことにより紙幣処理機10が作動または休止するようになっている。
次に、このような構成からなる紙幣処理機10の動作について説明する。なお、以下に示すような紙幣処理機10の動作は、制御部50が紙幣処理機10の各構成部材を制御することにより行われるようになっている。
まず、紙幣処理機10において紙幣の入金処理を行う際の動作について説明する。操作者が投入部20に紙幣を投入した後、操作表示部52により入金処理開始の指令を制御部50に与えると、投入部20に投入された紙幣は紙幣繰出機構20aにより1枚ずつ筐体12内に繰り出され、搬送部24により1枚ずつ搬送されるようになる。そして、搬送部24により搬送される紙幣は識別部26によりその金種、真偽、表裏、正損、新旧、搬送状態等が識別される。また、識別部26のイメージセンサにより紙幣が撮像され、この紙幣の画像に基づいて当該紙幣の記番号が取得される。識別部26により取得された紙幣の記番号に係る情報は記憶部54に記憶される。識別部26により正常な紙幣ではないと識別された紙幣、すなわちリジェクト紙幣は搬送部24により投出部22に送られ、当該投出部22に集積される。このことにより、操作者は投出部22に集積されたリジェクト紙幣を筐体12の前面から手動で取り出し、投入部20に再投入等することができるようになる。一方、識別部26により正常な紙幣であると識別された紙幣は搬送部24から分岐搬送部25に分岐させられ、当該分岐搬送部25から紙幣収納袋34に送られ、この紙幣収納袋34に収納されるようになる。
また、識別部26により識別された紙幣が送られるべき紙幣収納袋34がフル状態またはニアフル状態となっており、紙幣収納袋34に紙幣を収納させることができない場合には、識別部26により識別された紙幣は収納繰出部30に送られ、当該収納繰出部30に収納されるようになっている。そして、フル状態またはニアフル状態となっている紙幣収納袋34が警送会社の警備員等や店舗の店員等によって下部ユニット16の装着部32から取り外され、空の紙幣収納袋34が装着部32に装着されると、収納繰出部30から紙幣が1枚ずつ搬送部24に繰り出されて当該搬送部24により紙幣収納袋34に送られるようになる。
また、フル状態またはニアフル状態となっている紙幣収納袋34が警送会社の警備員等や店舗の店員等によって下部ユニット16の装着部32から取り外される際に、装着部32に装着されている紙幣収納袋34の開口が封止部38によって封止されるようになっている。具体的には、一方の保持部材32aが他方の保持部材32aに向かって移動してこれらの保持部材32aが互いに接合した状態で、各封止部材38aによって紙幣収納袋34の開口近傍の箇所に熱が与えられることにより当該紙幣収納袋34の開口はヒートシール(熱封止)されるようになる。
また、本実施の形態では、装着部32に装着されている紙幣収納袋34に収納されるべき紙幣が識別部26により識別されるようになっており、設定部40は、この識別部26による識別結果に基づいて、封止部38による紙幣収納袋34の開口の封止方法を複数の封止方法から選択して設定するようになっている。また、制御部50は、設定部40により設定された封止方法に基づいて、装着部32に装着されている紙幣収納袋34の開口を封止させるよう封止部38を制御するようになっている。ここで、記憶部54が、識別部26による識別結果と封止方法との対応関係を記憶し、設定部40が、識別部26による識別結果に対応する封止方法を記憶部54から読み出して設定するようになっていてもよい。また、操作表示部52による入力によって、記憶部54に記憶されている識別部26による識別結果と封紙方法との対応関係が変更されるようになっていてもよい。このような動作の詳細について以下に説明する。
設定部40は、紙幣収納袋34の開口の封止方法として、装着部32に装着されている紙幣収納袋34における封止部材38aにより封止される場所を識別部26による識別結果に基づいて複数の場所の中から選択して設定するようになっている。また、制御部50は、装着部32に装着されている紙幣収納袋34における設定部40により設定された場所を封止するよう封止部38の封止部材38aを制御するようになっている。このような動作について図3を用いて説明する。図3に示すように、装着部32に装着されている紙幣収納袋34に対して封止部材38aは図3における上下方向および左右方向にそれぞれ移動自在となっている。また、装着部32に装着されている紙幣収納袋34における、封止部38の封止部材38aにより封止される場所を図3において参照符合35が指す斜線領域で示す。ここで、本実施の形態では、封止部38の封止部材38aは、紙幣収納袋34の全幅に亘って1箇所で当該紙幣収納袋34の開口を封止してもよく(すなわち、図3において参照符合35で示す2本の封止箇所のうち1本の封止箇所のみで封止してもよく)、あるいは、紙幣収納袋34の全幅に亘って2箇所で当該紙幣収納袋34の開口を封止してもよい(すなわち、図3において参照符合35で示す2本の封止箇所で封止してもよい)。ここで、設定部40は、識別部26による識別結果に基づいて、封止部38の封止部材38aが紙幣収納袋34の全幅に亘って1箇所で紙幣収納袋34の開口を封止するかあるいは2箇所で紙幣収納袋34の開口を封止するかを設定する。より詳細には、識別部26による識別結果に基づいて、装着部32に装着されている紙幣収納袋34に収納された紙幣の枚数または金額が確定されている場合(すなわち、装着部32に装着されている紙幣収納袋34に収納された紙幣が在高確定状態である場合)には、設定部40は、封止部38の封止部材38aが紙幣収納袋34の全幅に亘って1箇所で紙幣収納袋34の開口を封止することを設定する。一方、識別部26による識別結果に基づいて、装着部32に装着されている紙幣収納袋34に収納された紙幣の枚数または金額が確定されていない場合(すなわち、装着部32に装着されている紙幣収納袋34に収納された紙幣が在高不確定状態である場合)には、設定部40は、封止部38の封止部材38aが紙幣収納袋34の全幅に亘って2箇所で紙幣収納袋34の開口を封止することを設定する。このことにより、装着部32に装着されている紙幣収納袋34に収納された紙幣の枚数または金額が確定されている場合には、装着部32に装着されている紙幣収納袋34は、その全幅に亘って1箇所で開口が封止部38の封止部材38aにより封止されるようになり、一方、装着部32に装着されている紙幣収納袋34に収納された紙幣の枚数または金額が確定されていない場合には、装着部32に装着されている紙幣収納袋34は、その全幅に亘って2箇所で開口が封止部38の封止部材38aにより封止されるようになる。このことにより、操作者は紙幣収納袋34の外観を見ただけで当該紙幣収納袋34に収納された紙幣の枚数または金額が確定されているか否かを容易に認識することができるようになる。
なお、本実施の形態では、紙幣処理機10において紙幣の入金処理を行う際に、識別部26による識別結果に基づいて金種を特定することができなかった紙幣を紙幣収納袋34に強制的に収納するような強制入金モードを操作者は操作表示部52により設定することができるようになっている。このような強制入金モードが設定されているときに、識別部26による識別結果に基づいて金種を特定することができなかった紙幣が紙幣収納袋34に強制的に収納された場合には、装着部32に装着されている紙幣収納袋34に収納された紙幣の枚数または金額が確定されていない状態となる。また、紙幣処理機10において紙幣の入金処理を行う際に、搬送部24において紙幣の搬送異常が生じてしまい紙幣処理機10による処理が停止した場合に、紙幣収納袋34に収納される直前の紙幣や紙幣収納袋34に収納される途中の紙幣は、紙幣収納袋34に収納されているか否かが未確定となるが、このような場合にも、装着部32に装着されている紙幣収納袋34に収納された紙幣の枚数または金額が確定されていない状態となる。
また、封止部38の封止部材38aは、装着部32に装着されている紙幣収納袋34の全幅に亘って1箇所で当該紙幣収納袋34の開口を封止するとともに、識別部26による識別結果によっては、紙幣収納袋34における全幅に亘る封止箇所の上方の箇所に追加の封止を行うようになっていてもよい。このような動作について図4(a)〜(c)を用いて説明する。図4(a)〜(c)において、装着部32に装着されている紙幣収納袋34における、封止部38の封止部材38aにより封止される場所を参照符合35、35a、35bが指す斜線領域で示す。ここで、識別部26による識別結果に基づいて、装着部32に装着されている紙幣収納袋34に収納された紙幣の枚数または金額が確定されていない場合(すなわち、装着部32に装着されている紙幣収納袋34に収納された紙幣が在高不確定状態である場合)には、設定部40は、図4(a)に示すように、封止部38の封止部材38aが紙幣収納袋34における参照符合35および参照符合35aで示す場所で封止を行うことを設定する。また、識別部26による識別結果に基づいて、装着部32に装着されている紙幣収納袋34に収納された紙幣の枚数または金額が予め設定されている所定の枚数または所定の金額よりも多い場合には、設定部40は、図4(b)に示すように、封止部38の封止部材38aが紙幣収納袋34における参照符合35および参照符合35bで示す場所で封止を行うことを設定する。また、識別部26による識別結果に基づいて、装着部32に装着されている紙幣収納袋34に収納された紙幣に真正な紙幣以外の紙幣が少なくとも1つ含まれる場合には、設定部40は、図4(c)に示すように、封止部38の封止部材38aが紙幣収納袋34における参照符合35、参照符合35aおよび参照符合35bで示す場所で封止を行うことを設定する。また、識別部26による識別結果に基づいて、装着部32に装着されている紙幣収納袋34に収納された紙幣の状態が上記の何れにも当てはまらない場合には、設定部40は、封止部38の封止部材38aが紙幣収納袋34における図4の参照符合35で示す場所のみで封止を行うことを設定する。このことにより、操作者は紙幣収納袋34の外観を見ただけで当該紙幣収納袋34に収納された紙幣に係る情報を容易に認識することができるようになる。
なお、本実施の形態では、紙幣収納袋34に収納される紙幣の上限枚数または上限金額が制御部50において予め設定されており、装着部32に装着されている紙幣収納袋34に収納された紙幣の枚数または金額が、制御部50において予め設定されている上記の紙幣の上限枚数または上限金額よりも多い場合には、設定部40は、図4(b)に示すように、封止部38の封止部材38aが紙幣収納袋34における参照符合35および参照符合35bで示す場所で封止を行うことを設定するようになっている。あるいは、紙幣収納袋34を紙幣処理機10から取り外して運搬する場合における、安全上の理由から定めされている金額(例えば、保険の限度額)が制御部50において予め設定されており、装着部32に装着されている紙幣収納袋34に収納された紙幣の金額が、制御部50において予め設定されている上記の紙幣の金額よりも多い場合には、設定部40は、図4(b)に示すように、封止部38の封止部材38aが紙幣収納袋34における参照符合35および参照符合35bで示す場所で封止を行うことを設定するようになっていてもよい。
また、本実施の形態では、装着部32に装着されている紙幣収納袋34に収納された紙幣に偽紙幣が含まれる場合のみならず、装着部32に装着されている紙幣収納袋34に収納された紙幣に、真偽が不確定である紙幣(以下、真偽不確定券ともいう)が含まれる場合や、紙幣ではないと判定された媒体(例えば、商品券や小切手)が含まれる場合にも、装着部32に装着されている紙幣収納袋34に収納された紙幣に真正な紙幣以外の紙幣が含まれるとみなされるようになっている。また、装着部32に装着されている紙幣収納袋34に収納された紙幣に、自国以外の国や組織が発行した紙幣や旧券が含まれる場合にも、装着部32に装着されている紙幣収納袋34に収納された紙幣に真正な紙幣以外の紙幣が含まれるとみなされるようになっていてもよい。
また、設定部40は、紙幣収納袋34の開口の封止方法として、装着部32に装着されている紙幣収納袋34における封止部材38aにより封止される場所を識別部26による識別結果に基づいて設定するにあたり、装着部32に装着されるべき紙幣収納袋34に互いに色が異なる複数の感熱発光層が設けられており、設定部40は、装着部32に装着されている紙幣収納袋34における封止部材38aにより封止される場所を設定する際に、識別部26による識別結果に基づいて、紙幣収納袋34に設けられている複数の感熱発光層のうち封止部材38aにより封止される感熱発光層を選択して設定するようになっていてもよい。このような動作について図5を用いて説明する。図5に示すように、紙幣収納袋34の開口の近傍には、封止部材38aによりヒートシールされたときに赤色で発光する第1感熱発光層34a、封止部材38aによりヒートシールされたときに青色で発光する第2感熱発光層34bおよび封止部材38aによりヒートシールされたときに黄色で発光する第3感熱発光層34cが当該紙幣収納袋34の幅方向に沿って並ぶよう形成されている。そして、設定部40は、装着部32に装着されている紙幣収納袋34における封止部材38aにより封止される場所を設定する際に、装着部32に装着されている紙幣収納袋34の全幅に亘って1箇所で当該紙幣収納袋34の開口を封止することに加えて、識別部26による識別結果に基づいて、3つの感熱発光層34a〜34cのうち封止部材38aにより封止される感熱発光層を選択して設定するようになっている。このことにより、装着部32に装着されている紙幣収納袋34に収納された紙幣の状態によって、紙幣収納袋34の開口の近傍に設けられた感熱発光層が発光する色が異なるようになり、操作者は紙幣収納袋34の開口の近傍における感熱発光層が発光する色を見ただけで当該紙幣収納袋34に収納された紙幣に係る情報を容易に認識することができるようになる。
また、封止部38が封止部材38aおよび印字部材38bを有している場合には、設定部40は、紙幣収納袋34の開口の封止方法として、印字部材38bにより紙幣収納袋34に印字される印字内容を識別部26による識別結果に基づいて設定するようになっており、制御部50は、設定部40により設定された印字内容に基づいて、装着部32に装着されている紙幣収納袋34に印字を行うよう封止部38の印字部材38bを制御するようになっていてもよい。このような動作について図6を用いて説明する。本実施の形態では、印字部材38bとして、例えばインクジェットプリンター等のプリンターが用いられるようになっている。また、図6に示すように、装着部32に装着されている紙幣収納袋34に対して封止部材38aおよび印字部材38bはそれぞれ図6における左右方向に移動自在となっている。ここで、封止部38の封止部材38aは、装着部32に装着されている紙幣収納袋34の全幅に亘って1箇所で当該紙幣収納袋34の開口を封止するようになる。また、印字部材38bは、紙幣収納袋34における封止部材38aにより封止された箇所の上方の場所に様々な文字を印字するようになっている。具体的には、識別部26による識別結果に基づいて、装着部32に装着されている紙幣収納袋34に収納された紙幣の枚数または金額が確定されていない場合には、設定部40は、印字部材38bにより紙幣収納袋34に「在高異常」という文字を印字することを設定する。また、識別部26による識別結果に基づいて、装着部32に装着されている紙幣収納袋34に収納された紙幣に真正な紙幣ではない紙幣(例えば、偽券や真偽不確定券)が少なくとも1つ含まれている場合には、設定部40は、印字部材38bにより紙幣収納袋34に「真偽不確定券有り」という文字を印字することを設定する。このことにより、操作者は紙幣収納袋34に印字された文字を見ただけで当該紙幣収納袋34に収納された紙幣に係る情報を容易に認識することができるようになる。
なお、本実施の形態では、印字部材38bは、装着部32に装着されている紙幣収納袋34における封止部材38aにより封止された箇所の上方の場所に様々な文字を印字する代わりに、装着部32に装着されている紙幣収納袋34における封止部材38aにより封止された箇所に様々な文字を印字するようになっていてもよい。具体的には、封止部材38aおよび印字部材38bが一体化されたものとなっていてもよい。
また、封止部38が封止部材38aおよび刻印部材38cを有している場合には、設定部40は、紙幣収納袋34の開口の封止方法として、刻印部材38cにより紙幣収納袋34に刻印される刻印内容を識別部26による識別結果に基づいて設定するようになっており、制御部50は、設定部40により設定された刻印内容に基づいて、装着部32に装着されている紙幣収納袋34に刻印を行うよう封止部38の刻印部材38cを制御するようになっていてもよい。このような動作について図7を用いて説明する。図7に示すように、装着部32に装着されている紙幣収納袋34の高さ方向に沿って複数(図7に示す例では3つ)の刻印部材38cが設けられており、各刻印部材38cには封止部材38aがそれぞれ設けられている。すなわち、封止部材38aおよび刻印部材38cが一体化された部材が3つ設けられている。また、装着部32に装着されている紙幣収納袋34に対して各刻印部材38cはそれぞれ図7における左右方向に移動自在となっている。ここで、封止部38の封止部材38aは、装着部32に装着されている紙幣収納袋34の全幅に亘って1箇所で当該紙幣収納袋34の開口を封止するようになる。また、各刻印部材38cは、紙幣収納袋34における封止部材38aにより封止された箇所に様々な文字を刻印するようになっている。ここで、3つの刻印部材38cのうち最も上側に位置する刻印部材38cは、紙幣収納袋34に「在高異常」という文字を刻印するようになっており、3つの刻印部材38cのうち上から2番目に位置する刻印部材38cは、紙幣収納袋34に「真偽不確定券有り」という文字を刻印するようになっており、3つの刻印部材38cのうち最も下側に位置する刻印部材38cは、紙幣収納袋34に「収納量オーバー」という文字を刻印するようになっている。そして、識別部26による識別結果に基づいて、装着部32に装着されている紙幣収納袋34に収納された紙幣の枚数または金額が確定されていない場合には、設定部40は、最も上側の封止部材38aおよび刻印部材38cにより装着部32に装着されている紙幣収納袋34に対して封止および刻印を行うことを設定する。また、識別部26による識別結果に基づいて、装着部32に装着されている紙幣収納袋34に収納された紙幣に真正な紙幣ではない紙幣(例えば、偽券や真偽不確定券)が少なくとも1つ含まれている場合には、設定部40は、上から2番目の封止部材38aおよび刻印部材38cにより装着部32に装着されている紙幣収納袋34に対して封止および刻印を行うことを設定する。また、識別部26による識別結果に基づいて、装着部32に装着されている紙幣収納袋34に収納された紙幣の枚数または金額が予め設定されている所定の枚数または所定の金額よりも多い場合には、設定部40は、最も下側の封止部材38aおよび刻印部材38cにより装着部32に装着されている紙幣収納袋34に対して封止および刻印を行うことを設定する。このことにより、操作者は紙幣収納袋34に刻印された文字を見ただけで当該紙幣収納袋34に収納された紙幣に係る情報を容易に認識することができるようになる。
また、封止部38が封止部材38aおよび切断部材38dを有している場合には、設定部40は、紙幣収納袋34の開口の封止方法として、装着部32に装着されている紙幣収納袋34における切断部材38dにより切断される場所を識別部26による識別結果に基づいて設定するようになっており、制御部50は、装着部32に装着されている紙幣収納袋34における設定部40により設定された場所を切断するよう封止部38の切断部材38dを制御するようになっていてもよい。このような動作について図8および図9を用いて説明する。図8および図9に示す例では、切断部材38dは、装着部32に装着されている紙幣収納袋34の開口の近傍の箇所に穴を開けるようになっている。また、図8に示すように、装着部32に装着されている紙幣収納袋34に対して封止部材38aおよび切断部材38dはそれぞれ図8および図9における左右方向に移動自在となっている。ここで、封止部38の封止部材38aは、装着部32に装着されている紙幣収納袋34の全幅に亘って1箇所で当該紙幣収納袋34の開口を封止するようになる。図9において、装着部32に装着されている紙幣収納袋34における、封止部38の封止部材38aにより封止される場所を参照符合35が指す斜線領域で示す。また、切断部材38dは、紙幣収納袋34における封止部材38aにより封止された箇所の上方の場所で当該紙幣収納袋34に穴を開けるようになっている。図9(a)〜(c)において、装着部32に装着されている紙幣収納袋34における、切断部材38dにより穴が開けられる箇所を参照符合39a、39bで示す。ここで、識別部26による識別結果に基づいて、装着部32に装着されている紙幣収納袋34に収納された紙幣の枚数または金額が確定されていない場合(すなわち、装着部32に装着されている紙幣収納袋34に収納された紙幣が在高不確定状態である場合)には、設定部40は、図9(a)に示すように、封止部38の切断部材38dが紙幣収納袋34における参照符合39aで示す場所で穴を開けることを設定する。また、識別部26による識別結果に基づいて、装着部32に装着されている紙幣収納袋34に収納された紙幣の枚数または金額が予め設定されている所定の枚数または所定の金額よりも多い場合には、設定部40は、図9(b)に示すように、封止部38の切断部材38dが紙幣収納袋34における参照符合39bで示す場所で穴を開けることを設定する。また、識別部26による識別結果に基づいて、装着部32に装着されている紙幣収納袋34に収納された紙幣に偽紙幣が含まれる場合には、設定部40は、図9(c)に示すように、封止部38の切断部材38dが紙幣収納袋34における参照符合39aおよび参照符合39bで示す場所で穴を開けることを設定する。また、識別部26による識別結果に基づいて、装着部32に装着されている紙幣収納袋34に収納された紙幣の状態が上記の何れにも当てはまらない場合には、設定部40は、封止部38の切断部材38dにより紙幣収納袋34に穴を開けないことを設定する。このことにより、操作者は紙幣収納袋34の開口の近傍に形成された穴を見ただけで当該紙幣収納袋34に収納された紙幣に係る情報を容易に認識することができるようになる。
上述したように、本実施の形態では、設定部40は、識別部26による識別結果に基づいて、装着部32に装着されている紙幣収納袋34に収納された紙幣の枚数または金額が確定されていない場合には、紙幣収納袋34の開口の封止方法を、装着部32に装着されている紙幣収納袋34に収納された紙幣の枚数または金額が確定されている場合と異なるものとするようになっている。また、設定部40は、識別部26による識別結果に基づいて、装着部32に装着されている紙幣収納袋34に収納された紙幣の枚数または金額が予め設定されている所定の枚数または所定の金額よりも多い場合には、紙幣収納袋34の開口の封止方法を、装着部32に装着されている紙幣収納袋34に収納された紙幣の枚数または金額が予め設定されている所定の枚数または所定の金額以下である場合と異なるものとするようになっている。また、設定部40は、識別部26による識別結果に基づいて、装着部32に装着されている紙幣収納袋34に収納された少なくとも1つの紙幣が真正な紙幣ではない場合には、紙幣収納袋34の開口の封止方法を、装着部32に装着されている紙幣収納袋34に収納された全ての紙幣が真正な紙幣である場合と異なるものとするようになっている。なお、設定部40による紙幣収納袋34の開口の封止方法の設定は、上述した態様に限定されることはない。他の態様として、設定部40は、識別部26による識別結果に基づいて、装着部32に装着されている紙幣収納袋34に収納された紙幣の枚数または金額に対応する収納袋の開口の封止方法を複数の封止方法から選択して設定するようになっていてもよい。例えば、装着部32に装着されている紙幣収納袋34に収納された紙幣の枚数または金額の情報が印字部材38bにより当該紙幣収納袋34の開口の近傍に印字されるようになっていてもよい。また、設定部40は、識別部26による識別結果に基づいて、装着部32に装着されている紙幣収納袋34に収納された紙幣の金種に対応する紙幣収納袋34の開口の封止方法を複数の封止方法から選択して設定するようになっていてもよい。この場合、設定部40は、識別部26による識別結果に基づいて、装着部32に装着されている紙幣収納袋34に複数の金種の紙幣が収納された場合には、紙幣収納袋34の開口の封止方法を、装着部32に装着されている紙幣収納袋34に収納された紙幣の金種が1種類である場合と異なるものとするようになっていてもよい。
また、本実施の形態では、設定部40は、識別部26による識別結果に基づいて紙幣収納袋34の開口の封止方法を複数の封止方法から選択して設定するような態様に限定されることはない。他の態様として、設定部40は、操作表示部52により入力された情報に基づいて、紙幣収納袋34の開口の封止方法を複数の封止方法から選択して設定し、制御部50は、設定部40により設定された封止方法に基づいて装着部32に装着されている紙幣収納袋34の開口を封止させるよう封止部38を制御するようになっていてもよい。例えば、紙幣処理機10による紙幣の処理日時、封止部38により紙幣収納袋34の開口が封止される日時、紙幣処理機10における紙幣の処理担当者、紙幣処理機10が設置される場所(例えば、紙幣処理機10が設置される店舗の情報)、および紙幣処理機10の次工程の情報のうちいずれかの情報が操作者によって操作表示部52により入力された場合に、封止部38の印字部材38bによって、この操作表示部52により入力された情報が紙幣収納袋34の開口の近傍の箇所に印字されるようになっていてもよい。なお、紙幣処理機10の次工程の情報とは、紙幣収納袋34が処理される次工程に係る情報のことをいう。具体的には、紙幣処理機10から取り出された紙幣収納袋34が整理処理所に運ばれ、この紙幣収納袋34に収納されている紙幣が整理処理所に設置されている整理機で処理される場合には、封止部38の印字部材38bによって紙幣収納袋34の開口の近傍の箇所に「整理機処理」という文字が印字されるようになる。また、紙幣処理機10から取り出された紙幣収納袋34が紙幣処理センターに運搬される場合に、封止部38の印字部材38bによって紙幣収納袋34の開口の近傍の箇所に紙幣処理センターの名称が印字されるようになっていてもよい。また、紙幣処理機10から取り出された紙幣収納袋34の移送を行う警備会社の名称が封止部38の印字部材38bによって紙幣収納袋34の開口の近傍の箇所に印字されるようになっていてもよい。
また、本実施の形態の紙幣処理機10では、フル状態またはニアフル状態となっている紙幣収納袋34を警送会社の警備員等や店舗の店員等が下部ユニット16の装着部32から取り外すとき以外にも、所定の条件が満たされたときに、装着部32に装着されている紙幣収納袋34の開口が封止部38により封止されるようになっていてもよい。具体的には、操作者によって電源スイッチ42がオフとされたときに、装着部32に装着されている紙幣収納袋34に収納されている紙幣の枚数が予め設定されている所定の枚数よりも多い場合に、装着部32に装着されている紙幣収納袋34の開口が封止部38により封止される。また、操作表示部52により入力された紙幣の入金金額に基づいて算出される、紙幣収納袋34に収納されるべき紙幣の金額と、識別部26による識別結果に基づく、紙幣収納袋34に実際に収納された紙幣の金額との差が一定金額以上となった場合に、違算が発生したとして、装着部32に装着されている紙幣収納袋34の開口が封止部38により封止されるようになっていてもよい。あるいは、このような違算の発生回数が所定の回数を超えたときに、装着部32に装着されている紙幣収納袋34の開口が封止部38により封止されるようになっていてもよい。また、紙幣収納袋34に収納されている紙幣が立位状態となってしまい、当該紙幣収納袋34に収納されている紙幣が封止部38の封止部材38aにより封止されるべき箇所に達してしまうという収納障害が発生した場合や、紙幣処理機10における翌日の紙幣の入金予測枚数が、装着部32に装着されている紙幣収納袋34の空き容量を超えた場合(すなわち、このまま紙幣収納袋34を翌日に使用すればオーバーフローになると予測される場合)、紙幣収納袋34の運搬を委託している警備会社のスケジュールが翌営業日よりも直近に設定されている場合、操作表示部52により入力された情報や外部装置から通信インターフェース部58を介して制御部50に送られた情報に基づいて紙幣収納袋34を収納している筐体12の施錠を解錠する必要が生じた場合に、装着部32に装着されている紙幣収納袋34の開口が封止部38により封止されるようになっていてもよい。このように、フル状態またはニアフル状態となっている紙幣収納袋34を警送会社の警備員等や店舗の店員等が下部ユニット16の装着部32から取り外すとき以外にも、所定の条件が満たされたときに、装着部32に装着されている紙幣収納袋34の開口を封止部38により封止することによって、紙幣収納袋34の回収の運用を臨機応変かつ円滑に行うことができるようになる。
また、本実施の形態の紙幣処理機10において、テープ式の収納繰出部30は、店舗側で管理される紙幣を収納するものとして用いられるようになっていてもよい。具体的には、高額紙幣等の特定の金種の紙幣や、自国以外の特定の国や組織が発行する紙幣、クーポン券や小切手等の紙幣以外の紙葉類、偽紙幣等の特定紙幣が収納繰出部30に収納されるようになっていてもよい。また、翌日換算で売上金として扱われる紙幣や、回収してよいか分からない紙幣、翌日に釣銭として用いられるべき紙幣等が特定紙幣として収納繰出部30に収納されるようになっていてもよい。ここで、収納繰出部30に収納されている特定紙幣は、所定の条件が満たされたときに、収納繰出部30から搬送部24に繰り出されて当該搬送部24により装着部32に装着されている紙幣収納袋34に送られるようになっていてもよい。具体的には、例えば、翌日換算で売上金として扱われる紙幣が特定紙幣として収納繰出部30に収納されている場合に、当該紙幣の売上日となったときに、この翌日換算で売上金として扱われる紙幣が収納繰出部30から搬送部24に繰り出されて当該搬送部24により装着部32に装着されている紙幣収納袋34に送られるようになっていてもよい。
以上のような構成からなる本実施の形態の紙幣処理機10および紙幣処理方法によれば、装着部32に装着されている紙幣収納袋34に収納されるべき紙幣が識別部26により識別されるようになっており、設定部40は、識別部26による識別結果に基づいて、紙幣収納袋34の開口の封止方法を複数の封止方法から選択して設定するようになっている。また、制御部50は、設定部40により設定された封止方法に基づいて装着部32に装着されている紙幣収納袋34の開口を封止させるよう封止部38を制御するようになっている。このように、紙幣収納袋34に収納されるべき紙幣の識別結果に基づいて紙幣収納袋34の開口の封止方法を複数の封止方法から選択して設定することにより、紙幣収納袋34の外観を見ただけで当該紙幣収納袋34に収納されている紙幣に関する情報を操作者が容易に認識することができるようになる。
また、本実施の形態の紙幣処理機10においては、上述したように、封止部38は、装着部32に装着されている紙幣収納袋34の開口を封止する封止部材38aを有しており、設定部40は、紙幣収納袋34の開口の封止方法として、装着部32に装着されている紙幣収納袋34における封止部材38aにより封止される場所を識別部26による識別結果に基づいて設定するようになっている。また、制御部50は、装着部32に装着されている紙幣収納袋34における設定部40により設定された場所を封止するよう封止部38の封止部材38aを制御するようになっている(図3や図4参照)。
また、封止部材38aは、装着部32に装着されている紙幣収納袋34の開口を熱により封止するようになっており、装着部32に装着されるべき紙幣収納袋34には、互いに色が異なる複数の感熱発光層34a〜34cが設けられており、設定部40は、装着部32に装着されている紙幣収納袋34における封止部材38aにより封止される場所を設定する際に、識別部26による識別結果に基づいて、紙幣収納袋34に設けられている複数の感熱発光層34a〜34cのうち封止部材38aにより封止される感熱発光層を選択して設定するようになっており、制御部50は、設定部40により設定された感熱発光層を封止するよう封止部38の封止部材38aを制御するようになっていてもよい(図5参照)。なお、封止部材38aは、装着部32に装着されている紙幣収納袋34の開口を熱により封止するものに限定されることはない。封止部材38aとして、装着部32に装着されている紙幣収納袋34の開口を熱以外の方法により封止するものが用いられてもよい。
また、本実施の形態の紙幣処理機10においては、上述したように、封止部38は、装着部32に装着されている紙幣収納袋34の開口を封止する封止部材38aおよび装着部32に装着されている紙幣収納袋34に印字を行う印字部材38bを有しており、設定部40は、紙幣収納袋34の開口の封止方法として、印字部材38bにより紙幣収納袋34に印字される印字内容を識別部26による識別結果に基づいて設定するようになっていてもよい。この場合には、制御部50は、設定部40により設定された印字内容に基づいて、装着部32に装着されている紙幣収納袋34に印字を行うよう封止部38の印字部材38bを制御するようになる(図6参照)。また、この際に、印字部材38bは、装着部32に装着されている紙幣収納袋34における封止部材38aにより封止された箇所に印字を行うようになっていてもよい。
また、本実施の形態の紙幣処理機10においては、上述したように、封止部38は、装着部32に装着されている紙幣収納袋34の開口を封止する封止部材38aおよび装着部32に装着されている紙幣収納袋34に刻印を行う刻印部材38cを有しており、設定部40は、紙幣収納袋34の開口の封止方法として、刻印部材38cにより紙幣収納袋34に刻印される刻印内容を識別部26による識別結果に基づいて設定するようになっていてもよい。この場合には、制御部50は、設定部40により設定された刻印内容に基づいて、装着部32に装着されている紙幣収納袋34に刻印を行うよう封止部38の刻印部材38cを制御するようになる(図7参照)。また、この際に、刻印部材38cは、装着部32に装着されている紙幣収納袋34における封止部材38aにより封止された箇所に刻印を行うようになっていてもよい。
また、本実施の形態の紙幣処理機10においては、上述したように、封止部38は、装着部32に装着されている紙幣収納袋34の開口を封止する封止部材38aおよび装着部32に装着されている紙幣収納袋34を部分的に切断する切断部材38dを有しており、設定部40は、紙幣収納袋34の開口の封止方法として、装着部32に装着されている紙幣収納袋34における切断部材38dにより切断される場所を識別部26による識別結果に基づいて設定するようになっていてもよい。この場合には、制御部50は、装着部32に装着されている紙幣収納袋34における設定部40により設定された場所を切断するよう封止部38の切断部材38dを制御するようになる(図8および図9参照)。なお、図8および図9では、封止部38の切断部材38dが、装着部32に装着されている紙幣収納袋34の開口の近傍に穴を開けるような態様について示されているが、切断部材38dはこのような態様のものに限定されることはない。封止部38の切断部材38dとして、装着部32に装着されている紙幣収納袋34の端縁に切り欠きを形成するものが用いられてもよい。この場合には、設定部40は、紙幣収納袋34の開口の封止方法として、識別部26による識別結果に基づいて装着部32に装着されている紙幣収納袋34における切断部材38dにより切り欠きが形成される場所を複数の場所の中から選択して設定するようになる。
また、本実施の形態の紙幣処理機10および紙幣処理方法によれば、紙幣の処理に係る情報が入力部としての操作表示部52により入力されるようになっており、設定部40は、入力部としての操作表示部52に入力された情報に基づいて、紙幣収納袋34の開口の封止方法を複数の封止方法から選択して設定するようになっている。また、制御部50は、設定部40により設定された封止方法に基づいて装着部32に装着されている紙幣収納袋34の開口を封止させるよう封止部38を制御するようになっている。このように、操作表示部52に入力された紙幣の処理に係る情報に基づいて紙幣収納袋34の開口の封止方法を複数の封止方法から選択して設定することにより、紙幣収納袋34の外観を見ただけで当該紙幣収納袋34に収納されている紙幣の処理に係る情報を操作者が容易に認識することができるようになる。
なお、本実施の形態による紙幣処理機10や紙幣処理方法は、上述したような態様に限定されることはなく、様々な変更を加えることができる。
例えば、本実施の形態による紙幣処理機10において、装着部32に装着される紙幣収納袋として、その内部領域が区画部材によって複数の領域に区画されたものが用いられてもよい。このような紙幣収納袋の構成について図10および図11を用いて説明する。
図10に示す紙幣収納袋60は、区画部材62によって内部領域が2つの領域60a、60bに区画されており、各領域60a、60bに対応して複数の開口が設けられている。この際に、2つの領域60a、60bは左右に並ぶよう、紙幣収納袋60の縦方向に沿って延びる区画部材62により当該紙幣収納袋60の内部領域が区画されるようになっている。また、紙幣収納袋60の各開口に対応するよう1つの装着部32に対して複数(図10に示す例では2つ)の分岐搬送部25が設けられており、各々の分岐搬送部25から、装着部32に装着された紙幣収納袋60の各領域60a、60bに紙幣が送られてこれらの60a、60bに収納されるようになっている。ここで、1つの紙幣収納袋60には同じ金種の紙幣が収納されるが、例えば一方の領域60aには識別部26による識別結果に基づいて真正な紙幣であると判別された紙幣が収納され、他方の領域60bには識別部26による識別結果に基づいて真正な紙幣ではないと判別された紙幣が収納されるようになっている。また、装着部32に紙幣収納袋60が装着されているときに、一方の領域60aに紙幣が収納されるとともに、他方の領域60bに紙幣以外の媒体(例えば、レシート等)が収納されるようになっていてもよい。また、本実施の形態による紙幣処理機10に硬貨処理機が併設されている場合には、一方の領域60aに紙幣が収納されるとともに、他方の領域60bに硬貨処理機から送られた硬貨が収納されるようになっていてもよい。
また、図10に示す例では紙幣収納袋60の内部領域が区画部材62によって2つの領域60a、60bに区画されているが、別の変形例において、紙幣収納袋の内部領域が複数の区画部材によって3つ以上の領域に区画されるようになっていてもよい。この場合には、ある領域には識別部26による識別結果に基づいて真正な紙幣であると判別された正券が収納され、別の領域には識別部26による識別結果に基づいて真正な紙幣であると判別された損券が収納され、更に別の領域には識別部26による識別結果に基づいて真正な紙幣ではないと判別された紙幣が収納されてもよい。あるいは、ある領域には識別部26による識別結果に基づいて自国が発行したものであると判別された紙幣が収納され、別の領域には識別部26による識別結果に基づいて自国以外の国や組織が発行したものであると判別された紙幣が収納され、更に別の領域には識別部26による識別結果に基づいて真正な紙幣ではないと判別された紙幣が収納されてもよい。あるいは、各領域に対してそれぞれ紙幣収納袋が運搬されるべき金融機関が割り当てられ、各領域に紙幣が運搬されるべき金融機関毎に収納されるようになっていてもよい。
また、その内部領域が区画部材によって複数の領域に区画された紙幣収納袋として図11に示すような構成のものが用いられてもよい。図11に示す紙幣収納袋70は、区画部材72によって内部領域が2つの領域70a、70bに区画されており、各領域70a、70bに対応して複数の開口が設けられている。この際に、2つの領域70a、70bは上下に並ぶよう、紙幣収納袋70の幅方向に沿って延びる区画部材72により当該紙幣収納袋70の内部領域が区画されるようになっている。また、紙幣収納袋70の各開口に対応するよう分岐搬送部25が分岐しており、分岐搬送部25における分岐した先から、装着部32に装着された紙幣収納袋70の各領域70a、70bに紙幣が送られてこれらの70a、70bに収納されるようになっている。ここで、1つの紙幣収納袋70には同じ金種の紙幣が収納されるが、例えば一方の領域70aには識別部26による識別結果に基づいて真正な紙幣であると判別された紙幣が収納され、他方の領域70bには識別部26による識別結果に基づいて真正な紙幣ではないと判別された紙幣が収納されるようになっている。
図10や図11に示すような紙幣収納袋60、70を用いた場合には、複数の種別の有価媒体(具体的には、紙幣や硬貨等)を1つの紙幣収納袋に収納して回収することができるようになる。
また、本発明に係る貨幣処理機は、紙幣の処理を行う紙幣処理機10に限定されることはない。本発明に係る貨幣処理機として、硬貨の処理を行う硬貨処理機に本発明の原理が適用されるようになっていてもよい。具体的には、硬貨の処理を行う硬貨処理機において、硬貨を収納する硬貨収納袋が装着される装着部、および装着部に装着されている硬貨収納袋の開口を封止する封止部が設けられているときに、装着部に装着されている硬貨収納袋に収納されるべき硬貨が識別部により識別されるようになっており、設定部は、識別部による識別結果に基づいて、硬貨収納袋の開口の封止方法を複数の封止方法から選択して設定するようになっている。また、制御部は、設定部により設定された封止方法に基づいて装着部に装着されている硬貨収納袋の開口を封止させるよう封止部を制御するようになっている。このように、硬貨収納袋に収納されるべき硬貨の識別結果に基づいて硬貨収納袋の開口の封止方法を複数の封止方法から選択して設定することにより、硬貨収納袋の外観を見ただけで当該硬貨収納袋に収納されている硬貨に関する情報を操作者が容易に認識することができるようになる。また、本発明に係る貨幣処理機として硬貨処理機が用いられる場合に、硬貨の処理に係る情報が入力部により入力されるようになっており、設定部は、入力部に入力された情報に基づいて、硬貨収納袋の開口の封止方法を複数の封止方法から選択して設定するようになっていてもよい。この場合にも、制御部は、設定部により設定された封止方法に基づいて装着部に装着されている硬貨収納袋の開口を封止させるよう封止部を制御するようになる。このような態様によれば、入力部に入力された硬貨の処理に係る情報に基づいて硬貨収納袋の開口の封止方法を複数の封止方法から選択して設定することにより、硬貨収納袋の外観を見ただけで当該硬貨収納袋に収納されている硬貨の処理に係る情報を操作者が容易に認識することができるようになる。