JP6744151B2 - エネルギ吸収構造体 - Google Patents

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Description

本発明は、車両の衝突発生時に圧壊して衝突荷重を吸収する繊維強化樹脂製のエネルギ吸収部材を含むエネルギ吸収構造体に関する。
車両には、衝突時に軸圧壊して衝突荷重を吸収するエネルギ吸収部材が備えられている。エネルギ吸収部材の代表的な例として、フロントバンパビームとフロントフレームとの間に配置されるクラッシュボックスが挙げられる。従来、鉄鋼板等の金属材料により構成されたクラッシュボックスが用いられているが、近年、車体の軽量化のために、炭素繊維強化樹脂(CFRP)製のエネルギ吸収部材が実用化されている。かかる繊維強化樹脂製のエネルギ吸収部材は、例えば筒形状を有し、衝突荷重の入力時に先端側から軸方向に逐次的に破壊され、衝突荷重を吸収する。例えば、繊維強化樹脂製のエネルギ吸収部材は、先端側が内巻きに、又は、外巻きに開きながら逐次圧壊が進展する。
ここで、筒形状のエネルギ吸収部材は、例えば、ブレーディング法やフィラメントワインディング法を用いて、強化繊維からなる連続繊維を軸方向に対して左右に傾けて編み込みつつ、マトリックス樹脂を含浸させて製造される。例えば、特許文献1には、軸方向に対する連続繊維の配設方向(以下、「配向方向」ともいう。)が異なる複数の層を積層して構成された繊維強化樹脂製のエネルギ吸収部材が開示されている。かかる特許文献1に記載されたエネルギ吸収部材は、強化繊維の配向方向が異なる2層の管状部を有するエネルギ吸収部材であって、軸方向に対する強化繊維の配向角度の組み合わせとして「0°−90°(−10〜+10°−80°〜100°)」とされたエネルギ吸収部材の例が記載されている。
特開2008−202714号公報
特許文献1に記載されたエネルギ吸収部材は、軸方向に対する強化繊維の配向角度の違いによって、荷重吸収特性が異なることを考慮して構成されてはいるものの、エネルギ吸収部材の軸方向に対して斜め方向から入力された荷重に対するエネルギ吸収特性については考慮されていない。車両の衝突には、車体前面の幅全体で衝突を受けるフルラップ衝突だけでなく、車体前面の幅の半分で衝突を受けるオフセット(オーバーラップ)衝突、あるいは、車体前面の幅の狭い部分で衝突を受けるスモールオーバーラップ衝突がある。このため、軸方向を車体の前後方向に合わせて配置されたエネルギ吸収部材に対して、斜め方向から荷重が入力される場合がある。したがって、エネルギ吸収部材は、衝突荷重の入力方向に依存せずに、衝突荷重を安定的に吸収し、あるいは、衝突荷重を効率的に逃がすようにできることが望ましい。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、エネルギ吸収部材の軸方向に対する衝突荷重の入力方向の違いにかかわらず、衝突荷重を安定的に吸収し、あるいは、衝突荷重を効率的に逃がすことが可能な、新規かつ改良されたエネルギ吸収構造体を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、荷重入力時に軸方向に圧壊して衝突荷重を吸収する繊維強化樹脂製のエネルギ吸収部材を備えたエネルギ吸収構造体であって、連続繊維を用いて構成され、軸方向に対して斜め方向からの荷重入力に対するロバスト性が等方性を有する筒状の第1のエネルギ吸収部材と、第1のエネルギ吸収部材の内周部又は外周部に配置され、先端面の位置が第1のエネルギ吸収部材の先端面の位置よりも後退し、軸方向に対する連続繊維の配向角度が第1のエネルギ吸収部材の配向角度よりも小さい、筒状の第2のエネルギ吸収部材と、第2のエネルギ吸収部材の先端側、かつ、第1のエネルギ吸収部材の先端部の内周部又は外周部に配置され、第1のエネルギ吸収部材及び第2のエネルギ吸収部材よりも高い剛性を有する荷重伝達部材と、を備えた、エネルギ吸収構造体が提供される。
第2のエネルギ吸収部材が、第1のエネルギ吸収部材の内周部に配置され、荷重伝達部材が、第2のエネルギ吸収部材の先端側、かつ、第1のエネルギ吸収部材の先端部の内周部に配置されてもよい。
荷重伝達部材が、第1のエネルギ吸収部材の外周部にも配置されてもよい。
荷重伝達部材は、第2のエネルギ吸収部材側に向かって縮径し、第2のエネルギ吸収部材の圧壊前に荷重伝達部材と第2のエネルギ吸収部材とが接触した状態で、第2のエネルギ吸収部材の先端と荷重伝達部材との間に隙間が形成されてもよい。
第1のエネルギ吸収部材が、斜め方向からの荷重入力時に第1のエネルギ吸収部材を径方向に破壊させるための脆弱部を有してもよい。
脆弱部が、薄肉部、孔部、又は切り込みのいずれか一つであってもよい。
以上説明したように本発明によれば、エネルギ吸収部材の軸方向に対する衝突荷重の入力方向の違いにかかわらず、衝突荷重を安定的に吸収し、あるいは、衝突荷重を効率的に逃がすことができる。
本発明の第1の実施の形態に係るエネルギ吸収構造体を示す説明図である。 図1に示すエネルギ吸収構造体のI−I断面を矢印方向に見た断面図である。 同実施形態に係るエネルギ吸収構造体の中心軸を含む断面を示す断面図である。 エネルギ吸収部材の連続繊維の配向角度を示す説明図である。 同実施形態に係るエネルギ吸収構造体に斜め方向から荷重が入力されたときの圧壊初期の様子を示す説明図である。 同実施形態に係るエネルギ吸収構造体に斜め方向の圧壊が進展する様子示す説明図である。 同実施形態の第1の変形例に係るエネルギ吸収構造体を示す説明図である。 同実施形態の第2の変形例に係るエネルギ吸収構造体を示す説明図である。 同実施形態の第2の変形例に係るエネルギ吸収構造体に軸方向荷重が入力されたときの様子を示す説明図である。 同実施形態の第2の変形例に係るエネルギ吸収構造体に斜め方向から荷重が入力されたときの様子を示す説明図である。 同実施形態の第3の変形例に係るエネルギ吸収構造体を示す説明図である。 同実施形態の第3の変形例に係るエネルギ吸収構造体の荷重特性を示す説明図である。 本発明の第2の実施の形態に係るエネルギ吸収構造体を示す断面図である。 同実施形態に係るエネルギ吸収構造体に軸方向荷重が入力されたときの圧壊初期の様子を示す説明図である。 同実施形態に係るエネルギ吸収構造体に斜め方向から荷重が入力されたとの様子示す説明図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。また、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素を、同一の符号の後に異なるアルファベットを付して区別する場合もある。ただし、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素の各々を特に区別する必要がない場合、同一符号のみを付する。
<<1.第1の実施の形態>>
<1−1.エネルギ吸収構造体>
図1〜図3は、本発明の第1の実施の形態に係るエネルギ吸収構造体1の一例を示す。図1は、エネルギ吸収構造体1が、車両の右前方のフロントバンパビーム2とフロントフレーム4との間に取り付けられた様子を示す断面図である。図1は、エネルギ吸収構造体1が保持されている様子を車両の上方側から見た図である。図2は、図1のエネルギ吸収部材60のI−I断面を矢印方向に見た断面図である。図3は、エネルギ吸収部材60を軸方向に切断した断面図である。図4は、第1のエネルギ吸収部材61の連続繊維の配向角度θ1、及び、第2のエネルギ吸収部材63の連続繊維の配向角度θ2について説明するための模式図である。以下の説明においては、エネルギ吸収構造体1のフロントバンパビーム2側を先端側といい、フロントフレーム4側を後端側という場合がある。
エネルギ吸収構造体1は、エネルギ吸収部材60と、荷重伝達部材20と、保持部材40とを備える。エネルギ吸収部材60は、先端側がフロントバンパビーム2に固定され、後端側が保持部材40によって保持されている。荷重伝達部材20は、フロントバンパビーム2に接合されている。保持部材40は、フロントフレーム4の先端側に接合されている。エネルギ吸収構造体1は、フロントバンパビーム2とフロントフレーム4との間に配置され、フロントバンパビーム2に固定された先端側が、衝突荷重の入力側となっている。
(1−1−1.エネルギ吸収部材)
エネルギ吸収部材60は、車両が、先行車両や障害物その他の対象物に衝突したときに衝突荷重を受けて軸圧壊し、衝突荷重を吸収する。また、エネルギ吸収部材60は、衝突荷重が大きい場合には、衝突荷重をフロントフレーム4に効率的に伝達する役割も担う。エネルギ吸収部材60は、繊維強化樹脂により形成されている。本実施形態では、エネルギ吸収部材60は、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂と炭素繊維とからなる炭素繊維強化樹脂(CFRP)を用いて形成される複数層の複合材料であり、高強度、かつ、軽量化を実現可能になっている。
本実施形態に係るエネルギ吸収構造体1では、エネルギ吸収部材60は、軸方向が、車両の前後方向に沿うようにして配置される。エネルギ吸収部材60は、それぞれ円筒形状を有する第1のエネルギ吸収部材61及び第2のエネルギ吸収部材63により構成される。本実施形態に係るエネルギ吸収構造体1において、第2のエネルギ吸収部材63は、第1のエネルギ吸収部材61の内周部に重ねて配置されている。
繊維強化樹脂製の第1のエネルギ吸収部材61及び第2のエネルギ吸収部材63は、衝突荷重の入力時に先端が破断し、以降、逐次的に破壊しながら潰れることによって圧壊荷重が発現する。繊維強化樹脂製のエネルギ吸収部材60は、鉄鋼板製のクラッシュボックスに比べて、小さい間隔で逐次破壊が生じるために、荷重変動の少ない安定した衝突荷重吸収特性を実現することができる。また、繊維強化樹脂製のエネルギ吸収部材60は、潰れ残りが比較的少なく、単位重量当たりの衝突荷重吸収量が大きいという特性を有する。
繊維強化樹脂製の円筒形状の第1のエネルギ吸収部材61及び第2のエネルギ吸収部材63は、例えば、ブレーディング法や、フィラメントワインディング法を用いて、強化繊維からなる複数の連続繊維を軸方向に対して左右に傾けて編み込みつつ、マトリックス樹脂を含浸させることにより製造され得る。また、第1のエネルギ吸収部材61及び第2のエネルギ吸収部材63は、それぞれ、連続繊維を含む繊維強化樹脂シートが複数積層された積層構造体であってもよい。
第1のエネルギ吸収部材61及び第2のエネルギ吸収部材63を構成する繊維強化樹脂に使用される連続繊維としては、代表的には炭素繊維が用いられるが、炭素繊維以外の繊維も用いられ得る。例えば、ガラス繊維等のセラミックス繊維、アラミド繊維等の有機繊維、さらにはこれらを組み合わせた強化繊維を使用することができる。中でも、高い機械特性を有することや、強度設計の行いやすさ等の観点から、炭素繊維を含むことが好ましい。
繊維強化樹脂のマトリックス樹脂には、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂が用いられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合合成樹脂)、ポリスチレン樹脂、AS樹脂(アクリロニトリル−スチレン共重合合成樹脂)、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、PPS(ポリフェニレンサルファイド)樹脂、フッ素樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、又はポリイミド樹脂等が例示される。
マトリックス樹脂としては、これらの熱可塑性樹脂のうちの1種類、あるいは2種類以上の混合物が使用され得る。あるいは、マトリックス樹脂は、これらの熱可塑性樹脂の共重合体であってもよい。熱可塑性樹脂が混合物である場合には、さらに相溶化剤が併用されてもよい。さらに、熱可塑性樹脂には、難燃剤として臭素系難燃剤、シリコン系難燃剤、赤燐などが加えられてもよい。
また、熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコン樹脂等が例示される。マトリックス樹脂としては、これらの熱硬化性樹脂のうちの1種類、あるいは2種類以上の混合物が使用され得る。これらの熱硬化性樹脂が用いられる場合、熱硬化性樹脂に、適宜の硬化剤や反応促進剤が加えられてもよい。
ここで、第1のエネルギ吸収部材61は、軸方向に対して斜め方向からの荷重入力に対するロバスト性が疑似等方性を有する。つまり、第1のエネルギ吸収部材61は、荷重入力方向の違いにかかわらず、発現荷重が安定するという特性を有する。一般に、繊維強化樹脂は、繊維の配向方向によって得られる特性が異なり得る、いわゆる異方性材料であるが、第1のエネルギ吸収部材61は、軸方向に対して左右に傾けた連続繊維の配向角度θ1を適切に設定することによって、斜め方向からの荷重入力に対するロバスト性が、疑似的に等方性を示すように構成される。また、かかる第1のエネルギ吸収部材61は、荷重の入力方向にかかわらず、発現する荷重吸収特性が安定しているという特性を有する。
図4に示したように、斜め方向からの荷重入力に対するロバスト性が疑似等方性を有する第1のエネルギ吸収部材61は、例えば、連続繊維の配向方向を、軸方向に対して左右に60°傾けて編み込んだ繊維強化樹脂により構成され得る。ただし、本発明において、連続繊維の配向角度θ1が60°とは、配向角度θ1が50〜70°の範囲内にあるものを含む。より好ましくは、第1のエネルギ吸収部材61の連続繊維の配向角度θ1は、55〜65°の範囲内の値であってもよい。したがって、エネルギ吸収部材60のうちの第1のエネルギ吸収部材61は、斜め方向からの荷重入力時においても発現荷重が安定するという特性を有する。
一方、第2のエネルギ吸収部材63は、軸方向に対する連続繊維の配向角度θ2が、第1のエネルギ吸収部材61の連続繊維の配向角度θ1よりも小さくされている。本実施形態に係るエネルギ吸収構造体1において、第2のエネルギ吸収部材63の連続繊維の配向角度θ2は、30°とされている。ただし、連続繊維の配向角度θ2は20〜40°の範囲内にあるものを含む。より好ましくは、第2のエネルギ吸収部材63の連続繊維の配向角度θ2は、25〜35°の範囲内の値であってもよい。第2のエネルギ吸収部材63の連続繊維の配向角度θ2が、かかる範囲内となっていれば、斜め方向からの荷重入力に対するロバスト性は低いものの、軸圧壊時に高い荷重吸収特性を発現し得る。一方、かかる第2のエネルギ吸収部材63は、荷重の入力方向によって、発現する荷重吸収特性が変動するという特性を有する。
第2のエネルギ吸収部材63の先端面の位置は、第1のエネルギ吸収部材61の先端面の位置よりも後退している。後退した第2のエネルギ吸収部材63の先端側、かつ、第1のエネルギ吸収部材61の先端部の内周部は、荷重伝達部材20が配置される空間となる。第1のエネルギ吸収部材61及び第2のエネルギ吸収部材63の軸方向の長さや径方向の長さ(直径)あるいは幅(厚さ)は、実現させたいロバスト性や荷重吸収特性等に応じて、適宜設定されてよい。また、第1のエネルギ吸収部材61の軸方向長さと第2のエネルギ吸収部材63の軸方向長さとの差についても、実現させたいロバスト性や荷重吸収特性等に応じて、適宜設定されてよい。例えば、第1のエネルギ吸収部材61の軸方向長さを50〜200mm、内側空間の直径を40〜70mm、厚さを2〜4mmとし、第2のエネルギ吸収部材63の軸方向長さを50〜150mm、内側空間の直径を37〜65mm、厚さを2〜6mmとしてもよい。
また、第1のエネルギ吸収部材61及び第2のエネルギ吸収部材63の少なくとも一方は、先端側に、端部に向かって縮径するテーパ部62,64を有してもよい(図3を参照。)。かかるテーパ部62,64により、第1のエネルギ吸収部材61及び第2のエネルギ吸収部材63の先端側に衝突荷重が入力されたときに、第1のエネルギ吸収部材61及び第2のエネルギ吸収部材63を構成する複数の層間で剥離が生じやすくなる。これにより、第1のエネルギ吸収部材61及び第2のエネルギ吸収部材63の先端側の破断のきっかけが与えられ、第1のエネルギ吸収部材61及び第2のエネルギ吸収部材63を先端側から容易に逐次破壊させることができる。
第1のエネルギ吸収部材61と第2のエネルギ吸収部材63との間は接していてもよいし、隙間が設けられていてもよい。なお、第1のエネルギ吸収部材61及び第2のエネルギ吸収部材63は、連続繊維の配向角度を異ならせつつ一体的に積層されてマトリックス樹脂が含浸された成形体の部分要素ではなく、それぞれ個別に成形されて径方向に重ねて配置されるものであることが望ましい。本実施形態に係るエネルギ吸収構造体1では、第1のエネルギ吸収部材61の内周部に第2のエネルギ吸収部材63が重ねて配置され、第2のエネルギ吸収部材63の外周面と第1のエネルギ吸収部材61の内周面との一部又は全部が接着剤等を用いて接合されている。使用可能な接着剤としては、エポキシ樹脂系、アクリル樹脂系、ウレタン樹脂系の接着剤等を適宜使用することができる。
(1−1−2.保持部材)
保持部材40は、フロントフレーム4の先端に取り付けられ、エネルギ吸収部材60の後端側を保持する。保持部材40は、例えば鉄鋼板等に代表される金属材料やアルミニウム等からなるプレート状の部材であってもよい。かかる保持部材40は、例えばエネルギ吸収部材60の軸方向に立ち上がる環状の保持部47を有し、当該保持部47の内周面に対して第1のエネルギ吸収部材61の外周面が接着剤等によって接合されている。第1のエネルギ吸収部材61と保持部47との接合に使用可能な接着剤としては、エポキシ樹脂系、アクリル樹脂系、ウレタン樹脂系の接着剤等を適宜使用することができる。なお、保持部47が第2のエネルギ吸収部材63の内周面側に設けられ、保持部47の外周面に対して第2のエネルギ吸収部材63の後端部の内周面が接合されていてもよい。
また、保持部材40は、第2のエネルギ吸収部材63の内側空間に対応する位置に、開口部43を有する。かかる開口部43は、エネルギ吸収部材60の圧壊時に、内巻きに破壊された繊維強化樹脂を、エネルギ吸収部材60の外部に排出する通路となり得る。したがって、破壊された繊維強化樹脂が第2のエネルギ吸収部材63の内側空間に詰まることによるエネルギ吸収部材60の潰れ残りの発生が抑制される。なお、開口部43の代わりに、フロントフレーム4側に突出する凹部が設けられてもよい。
(1−1−3.荷重伝達部材)
荷重伝達部材20は、フロントバンパビーム2に接合され、エネルギ吸収部材60の先端側を支持する部材である。車両の衝突発生時において、荷重伝達部材20は、フロントバンパビーム2が受けた荷重を、主として第2のエネルギ吸収部材63の先端部に伝達する。かかる荷重伝達部材20は、少なくとも第1のエネルギ吸収部材61及び第2のエネルギ吸収部材63よりも大きい剛性を有する。好ましくは、荷重伝達部材20の剛性は、フロントバンパビーム2の剛性よりも大きくされてよい。荷重伝達部材20は、例えば鉄鋼板等に代表される金属材料やアルミニウム等から構成されてよい。
かかる荷重伝達部材20は、例えば、第1のエネルギ吸収部材61の内周面に対応する外周面を有する略円筒形の外形を有する。荷重伝達部材20の外周面と、第1のエネルギ吸収部材61の内周面とは、部分的に又は全体的に、接着剤等により接合されていてもよい。また、荷重伝達部材20の後端面(第2のエネルギ吸収部材63側の面)は、第2のエネルギ吸収部材63の先端部に当接していてもよい。荷重伝達部材20の後端面と第2のエネルギ吸収部材63の先端面とは、接着剤等により接合されていてもよい。
かかる荷重伝達部材20は、外周が、軸方向に対して斜め方向からの荷重入力に対するロバスト性の高い第1のエネルギ吸収部材61によって包囲されているために、径方向への移動が規制され、衝突荷重の入力方向にかかわらず軸方向に移動しやすくなっている。このため、荷重伝達部材20は、フロントバンパビーム2に衝突荷重が入力された場合に、軸圧壊による衝突荷重の吸収量が大きい第2のエネルギ吸収部材63に対して、軸方向に確実に荷重を伝達することができる。これにより、軸圧壊による荷重吸収量が大きい第2のエネルギ吸収部材63が軸圧壊されやすくなって、効率的に衝突荷重を吸収させることができる。
したがって、本実施形態に係るエネルギ吸収構造体1によれば、フロントバンパビーム2への衝突荷重の入力方向にかかわらず、第2のエネルギ吸収部材63を軸方向に圧壊させて、衝突荷重吸収量を増大させることができる。これにより、疑似等方性の第1のエネルギ吸収部材61により、荷重の入力方向にかかわらず一定の衝突荷重吸収量を得つつ、第2のエネルギ吸収部材63による衝突荷重吸収量を増大させて、合計の衝突荷重吸収量を増大させることができる。
<1−2.エネルギ吸収構造体の軸圧壊作用>
ここまで、本実施形態に係るエネルギ吸収構造体1の構成について説明した。次に、本実施形態に係るエネルギ吸収構造体1に対して斜め方向に衝突荷重が入力されたときに、エネルギ吸収部材60が圧壊する様子について説明する。図5〜図6は、エネルギ吸収部材60の圧壊初期の様子を示す模式図である。
例えば、車両斜め方向からの衝突が発生し、軸方向に対して斜め方向からエネルギ吸収構造体1に衝突荷重が入力されるとする。図5に示したように、フロントバンパビーム2に入力された荷重は、荷重伝達部材20を介して第1のエネルギ吸収部材61及び第2のエネルギ吸収部材63に対して荷重を伝達する。このとき、荷重伝達部材20は、その外周面を介して第1のエネルギ吸収部材61に対して荷重を伝達する一方、後端面を介して第2のエネルギ吸収部材63に対して荷重を伝達する。
このとき、第1のエネルギ吸収部材61は、斜め方向からの荷重入力に対するロバスト性が高い疑似等方性を有することから、エネルギ吸収部材60は倒れることなく、保持され得る。これにより、荷重伝達部材20は軸方向に移動して、第2のエネルギ吸収部材63に対して軸方向に荷重を伝達する。したがって、図6に示したように、第1のエネルギ吸収部材61及び第2のエネルギ吸収部材63は、それぞれ先端部が押圧されて、層間剥離等をきっかけとして破壊が開始される。その後、第1のエネルギ吸収部材61及び第2のエネルギ吸収部材63ともに、逐次的に軸方向に圧壊する。
第1のエネルギ吸収部材61は、荷重の入力方向にかかわらず一定の荷重吸収特性を発現する特性を有する一方、第2のエネルギ吸収部材63は、軸圧壊によって発現する荷重吸収量が大きい特性を有している。したがって、本実施形態に係るエネルギ吸収構造体1によれば、荷重の入力方向にかかわらず、第2のエネルギ吸収部材63を軸圧壊させることができるために、安定した荷重吸収特性を得ることができる。
<1−3.変形例>
ここまで、本実施形態に係るエネルギ吸収構造体1の構成例について説明したが、本実施形態に係るエネルギ吸収構造体1は、種々の変形が可能である。以下、変形例の幾つかを説明する。
(1−3−1.第1の変形例)
図7は、本実施形態の第1の変形例に係るエネルギ吸収構造体1Aを示す説明図である。第1の変形例に係るエネルギ吸収構造体1Aは、径方向の内側に、軸方向に対して斜め方向からの荷重入力に対するロバスト性が疑似等方性を有する第1のエネルギ吸収部材66が配置され、当該第1のエネルギ吸収部材66の外周部に、先端面の位置が第1のエネルギ吸収部材66の先端面の位置よりも後退し、軸方向に対する連続繊維の配向角度が第1のエネルギ吸収部材66の配向角度よりも小さい第2のエネルギ吸収部材68が配置されている。また、フロントバンパビーム2に入力された衝突荷重を第2のエネルギ吸収部材68に伝達する荷重伝達部材21が、第1のエネルギ吸収部材66の先端側の外周部に配置されている。
第1の変形例に係るエネルギ吸収構造体1Aにおいて、荷重伝達部材21は、内周が、第1のエネルギ吸収部材66によって支持されているために、径方向への移動が規制され、衝突荷重の入力方向にかかわらず軸方向に移動しやすくなっている。このため、荷重伝達部材21は、フロントバンパビーム2に衝突荷重が入力された場合に、軸圧壊による衝突荷重の吸収量が大きい第2のエネルギ吸収部材68に対して、軸方向に確実に荷重を伝達することができる。これにより、軸圧壊による荷重吸収量が大きい第2のエネルギ吸収部材68が軸圧壊されやすくなって、効率的に衝突荷重を吸収させることができる。
したがって、第1の変形例に係るエネルギ吸収構造体1Aによっても、フロントバンパビーム2への衝突荷重の入力方向にかかわらず、第2のエネルギ吸収部材68を軸方向に圧壊させて、衝突荷重吸収量を増大させることができる。これにより、疑似等方性の第1のエネルギ吸収部材66により、荷重の入力方向にかかわらず一定の衝突荷重吸収量を得つつ、第2のエネルギ吸収部材68による衝突荷重吸収量を増大させて、合計の衝突荷重吸収量を増大させることができる。
(1−3−2.第2の変形例)
図8は、本実施形態の第2の変形例に係るエネルギ吸収構造体1Bを示す説明図である。第2の変形例に係るエネルギ吸収構造体1Bは、荷重伝達部材22が、第1のエネルギ吸収部材61の内周部だけではなく、第1のエネルギ吸収部材61の車体の幅方向外側にも設けられている。図8に例示した荷重伝達部材22は、第1のエネルギ吸収部材61の内周部及び外周部に設けられる部分が一体的に形成されている。
第2の変形例に係るエネルギ吸収構造体1Bでは、スモールオーバーラップ衝突等によって、エネルギ吸収構造体1Bが設けられた位置よりも、車幅方向のさらに外側で、フロントバンパビーム2に衝突荷重が入力された場合であっても、より効率的に第2のエネルギ吸収部材63に対して荷重を伝達させやすくなる。また、荷重伝達部材22が、第1のエネルギ吸収部材61の外周部にも設けられることから、第1のエネルギ吸収部材61の一部が荷重伝達部材22により拘束される。したがって、スモールオーバーラップ衝突時等に、第1のエネルギ吸収部材61に対しても荷重が伝達され、スモールオーバーラップ衝突に対しても、エネルギ吸収部材によりエネルギを吸収することができる。
図9及び図10は、車両のフルラップ衝突又はスモールオーバーラップ衝突時における第2の変形例に係るエネルギ吸収部材60への荷重伝達の様子を示す模式図である。図9に示したように、車両のフルラップ衝突時においては、フロントバンパビーム2に対して軸方向に衝突荷重が入力され、さらに、フロントバンパビーム2あるいは荷重伝達部材22を介して第1のエネルギ吸収部材61及び第2のエネルギ吸収部材63に対して軸方向に荷重が入力される。したがって、荷重の入力方向にかかわらず一定の荷重吸収特性を発現する第1のエネルギ吸収部材61と、軸圧壊による発現荷重の大きい第2のエネルギ吸収部材63とによって、衝突荷重が効率的に吸収される。
また、図10に示したように、車両のスモールオーバーラップ衝突時においては、フロントバンパビーム2における、エネルギ吸収構造体1Bの軸方向からずれた位置に対して衝突荷重が入力される。このとき、第1のエネルギ吸収部材61のうち、衝突位置側の先端部が荷重伝達部材22により拘束されているために、第1のエネルギ吸収部材61の先端部の一部に対して荷重が集中することが避けられる。したがって、第1のエネルギ吸収部材61が折れることがなく、荷重伝達部材22が斜め方向に対して大きく移動することが避けられる。これにより、荷重の入力方向にかかわらず一定の荷重吸収特性を発現する第1のエネルギ吸収部材61と、軸圧壊による発現荷重の大きい第2のエネルギ吸収部材63とによって、衝突荷重が効率的に吸収される。
なお、荷重伝達部材22は、第1のエネルギ吸収部材61の内周部及び外周部に設けられる部分が一体的に形成されていなくてもよい。第1のエネルギ吸収部材61の内周部に設けられる部分と、外周部に設けられる部分とが別体として構成されて、それぞれフロントバンパビーム2に固定されていてもよい。
(1−3−3.第3の変形例)
図11は、本実施形態の第3の変形例に係るエネルギ吸収構造体1Cを示す説明図である。第3の変形例に係るエネルギ吸収構造体1Cにおいて、荷重伝達部材23の後端部(フロントフレーム4側の部分)が、端部に向けて縮径するテーパ形状を有する。また、第2のエネルギ吸収部材63の先端部は、荷重伝達部材23のテーパ部分23aに接し得る。このため、荷重伝達部材23と第2のエネルギ吸収部材63とが接するときには、第1のエネルギ吸収部材61と、第2のエネルギ吸収部材63と、荷重伝達部材23とにより、空間29が形成される(破線で囲んだ領域を参照)。
図12は、第3の変形例に係るエネルギ吸収構造体1Cの荷重特性を示す説明図であって、横軸に圧壊ストローク(mm)が示され、縦軸に発現荷重(N)が示されている。第3の変形例に係るエネルギ吸収構造体1Cでは、車両の衝突が発生し、エネルギ吸収構造体1Cに衝突荷重が入力されると、フロントバンパビーム2あるいは荷重伝達部材23によってエネルギ吸収部材60が圧縮され、先端部から圧壊し始める。これに伴って、エネルギ吸収部材60の発現荷重が上昇し始める(ストローク領域St0〜St1)。
破断したエネルギ吸収部材60の繊維強化樹脂を詰まらせる空間29を設けない場合、第1のエネルギ吸収部材61及び第2のエネルギ吸収部材63は、それぞれ外巻き又は内巻きに開きながら軸圧壊するため、発現荷重が所定の荷重まで上昇した後は、荷重変動が少ない状態で、発現荷重が安定的に推移する(図12中の点線で示した特性線を参照。)。一方、第3の変形例に係るエネルギ吸収構造体1Cでは、圧壊初期において、先端部から破断した第2のエネルギ吸収部材63の繊維強化樹脂は、当該空間29から逃がされることなく、空間29内に詰まっていく。この間、エネルギ吸収部材60の発現荷重は上昇し続ける(ストローク領域St1〜St2)。
さらに荷重の入力が継続され、空間29内に詰まった繊維強化樹脂に加えられる荷重が大きくなると、空間29内に詰まった繊維強化樹脂は、テーパ部分23aによりガイドされて、第2のエネルギ吸収部材63の内部空間に逃がされる。これにより、エネルギ吸収部材60の発現荷重は一旦低下する(ストローク領域St2〜St3)。以降は、入力される衝突荷重によって、第1のエネルギ吸収部材61及び第2のエネルギ吸収部材63が外巻きあるいは内巻きに開きながら、エネルギ吸収部材60の軸圧壊が進展する。この間、圧壊初期の発現荷重のピークよりも小さい発現荷重に戻って、荷重変動の少ない安定した荷重で推移する(ストローク領域St3以降)。第2のエネルギ吸収部材63が内巻きに逃がされるようになった後は、発現荷重が過大な状態ではないことから、エネルギ吸収部材60の潰れ残りは少なくなり得る。したがって、エネルギ吸収部材60の全体の衝突荷重吸収量が低下することがない。
第3の変形例に係るエネルギ吸収構造体1Cでは、衝突発生時に、エネルギ吸収部材60の圧壊初期に発現する荷重のピークを増大させることができる。したがって、例えば、加速度センサを用いて検出される加速度の変化度合い、あるいは、加速度の絶対値によって、エアバッグを展開させるか否かの判定を容易に行うことができるようになる。
以上説明したように、本実施形態に係るエネルギ吸収構造体1は、軸方向に対して斜め方向からの荷重の入力に対するロバスト性の高い疑似等方性の第1のエネルギ吸収部材61と、軸圧壊によって発現する衝突荷重吸収量が大きい第2のエネルギ吸収部材63とが、径方向に重ねて配置されたエネルギ吸収部材60を備える。第2のエネルギ吸収部材63の先端面の位置は、第1のエネルギ吸収部材61の先端面の位置よりも後退しており、この第2のエネルギ吸収部材63の先端側、かつ、第1のエネルギ吸収部材61の内周部又は外周部には、剛性の高い荷重伝達部材20が配置される。
このため、エネルギ吸収構造体1に対して斜め方向から荷重が入力された場合であっても、荷重伝達部材20の径方向への移動が抑制されて、荷重伝達部材20を介して、第2のエネルギ吸収部材63に対して軸方向に荷重を伝達させることができる。したがって、荷重の入力方向にかかわらず一定の荷重吸収特性を発現し得る第1のエネルギ吸収部材61と、軸圧壊時に良好な荷重吸収特性を発現し得る第2のエネルギ吸収部材63とにより、安定的に、かつ、効率的に、衝突荷重を吸収させることができる。
<<2.第2の実施の形態>>
次に、本発明の第2の実施の形態に係るエネルギ吸収構造体について説明する。本実施形態に係るエネルギ吸収構造体は、略軸方向からの荷重入力を受けた場合には、第1のエネルギ吸収部材及び第2のエネルギ吸収部材によって効率的に衝突荷重を吸収する。一方、エネルギ吸収構造体は、軸方向に対して斜め方向からの荷重入力を受けたときには、軸方向に対して斜め方向からの荷重入力に対するロバスト性が疑似等方性を有する第1のエネルギ吸収部材を積極的に破壊し、車両のすり抜け挙動を誘発させる。これにより、エネルギ吸収部材の軸圧壊によって衝突荷重を吸収する代わりに、衝突エネルギを運動エネルギとして消費させるようになっている。
図13は、本実施形態に係るエネルギ吸収構造体1Dを示す説明図であって、エネルギ吸収構造体1Dの中心軸を含む断面を示す断面図である。かかるエネルギ吸収構造体1Dは、荷重伝達部材20と、エネルギ吸収部材70と、保持部材40とを備える。また、エネルギ吸収部材70は、軸方向に対して斜め方向からの荷重入力に対するロバスト性が疑似等方性を有する第1のエネルギ吸収部材71と、第1のエネルギ吸収部材71の内周部に配置され、軸圧壊時に高い荷重吸収特性を発現し得る第2のエネルギ吸収部材73とを有する。これらの荷重伝達部材20、第1のエネルギ吸収部材71、第2のエネルギ吸収部材73、及び保持部材40の基本的な構成は、図3に示した荷重伝達部材20、第1のエネルギ吸収部材61、第2のエネルギ吸収部材63、及び保持部材40の構成と同様とすることができる。
ただし、本実施形態に係るエネルギ吸収構造体1Dは、第1のエネルギ吸収部材71に、軸方向に対して斜め方向からの荷重入力時に第1のエネルギ吸収部材71を径方向に破壊させるための脆弱部79を有する。脆弱部79は、第1のエネルギ吸収部材71の他の部分に比べて強度が低下された部分であり、第1のエネルギ吸収部材71に対して斜め方向の荷重が入力されたときに、第1のエネルギ吸収部材71の破壊の基点となって、第1のエネルギ吸収部材71を径方向に破壊させる。一方、第1のエネルギ吸収部材71に対して軸方向の荷重が入力された際には、第1のエネルギ吸収部材71は脆弱部79を基点に破壊することなく、軸圧壊可能になっている。
脆弱部79は、例えば、荷重伝達部材20の後端面の縁の位置に合わせて設けられる。図13に示した脆弱部79は、荷重伝達部材20の後端面の縁の位置に対応する、第1のエネルギ吸収部材71の外周面及び内周面にそれぞれ溝を設けることによって形成された薄肉部となっている。荷重伝達部材20の後端面の縁の位置は、第2のエネルギ吸収部材73の先端部の位置でもあり、エネルギ吸収部材70全体として見た場合に強度の変化点となる。したがって、かかる位置に脆弱部79が設けられることにより、エネルギ吸収構造体1Dに対して斜め方向に荷重が入力されたときに、第1のエネルギ吸収部材71が脆弱部79を基点として径方向に破壊されやすくなる。なお、脆弱部79の位置は、荷重伝達部材20の後端面の縁に対応する位置に限られない。
薄肉部は、例えば。第1のエネルギ吸収部材71の周方向に沿って連続して設けられた薄肉部であってもよいし、ドット状に複数設けられた薄肉部であってもよい。また、第1のエネルギ吸収部材71の内周面にのみ溝を設けることにより形成された薄肉部であってもよい。ただし、脆弱部79は、薄肉部の態様に限られない。例えば、第1のエネルギ吸収部材71の外周面又は内周面に形成された切り込みであってもよく、周方向に所定間隔で配列した複数の小孔であってもよい。
図14及び図15は、車両のフルラップ衝突又は斜め衝突時におけるエネルギ吸収構造体1Dの変形の様子を示す模式図である。図14に示したように、車両のフルラップ衝突時においては、フロントバンパビーム2に対して軸方向に衝突荷重が入力され、さらに、フロントバンパビーム2あるいは荷重伝達部材20を介して第1のエネルギ吸収部材61及び第2のエネルギ吸収部材63に対して軸方向に荷重が入力される。このとき、第1のエネルギ吸収部材71は、脆弱部79を基点に径方向に破壊することなく軸圧壊可能になっている。したがって、荷重の入力方向にかかわらず一定の荷重吸収特性を発現する第1のエネルギ吸収部材61と、軸圧壊による発現荷重の大きい第2のエネルギ吸収部材63とによって、衝突荷重が効率的に吸収される。
一方、図15に示したように、車両の斜め衝突時においては、フロントバンパビーム2における、エネルギ吸収構造体1Dの軸方向からずれた位置に対して衝突荷重が入力される。フロントバンパビーム2の前面と衝突面との成す角度θ1で車両が衝突面に衝突したとする。このとき、荷重伝達部材20に入力される荷重は径方向成分の荷重を含み、荷重伝達部材20が径方向に移動するため、第1のエネルギ吸収部材71は、脆弱部79を基点として径方向に破壊される。これにより、フロントバンパビーム2の前面と衝突面との成す角度が増大する(θ1→θ2)ため、車両のすり抜け挙動が誘発される。したがって、車両の斜め衝突時においては、衝突荷重は運動エネルギとして消費されて、車体への衝撃が低減される。
以上説明したように、本実施形態に係るエネルギ吸収構造体1Dは、軸方向に対して斜め方向からの荷重の入力に対するロバスト性の高い疑似等方性の第1のエネルギ吸収部材71と、軸圧壊によって発現する衝突荷重吸収量が大きい第2のエネルギ吸収部材73とが、径方向に重ねて配置されたエネルギ吸収部材70を備える。第2のエネルギ吸収部材73の先端面の位置は、第1のエネルギ吸収部材71の先端面の位置よりも後退しており、この第2のエネルギ吸収部材73の先端側、かつ、第1のエネルギ吸収部材71の内周部又は外周部には、剛性の高い荷重伝達部材20が配置される。
そして、第1のエネルギ吸収部材71には、軸方向からの荷重入力時には破壊の基点とならない一方、斜め方向からの荷重入力時において第1のエネルギ吸収部材71を径方向に破壊させるための基点となる脆弱部79が設けられている。このため、本実施形態に係るエネルギ吸収構造体1Dは、例えば車両のフルラップ衝突時においては、エネルギ吸収部材70の軸圧壊によって効率的に衝突荷重を吸収する一方、車両のオーバーラップ衝突時においては、車両のすり抜け挙動を誘発することによって衝突エネルギを運動エネルギとして消費させることができる。これにより、車体への衝撃を緩和させることができる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は係る例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。また、上記の実施形態及び各変形例を互いに組み合わせた態様も、当然に本発明の技術的範囲に属する。
例えば、上記の各実施形態では、車体前方に備えられるエネルギ吸収構造体を例にとって説明したが、本発明は係る例に限定されない。エネルギ吸収構造体は、車体後方に備えられてもよい。この場合、フロントバンパビームがリアバンパビームに置き換えられ、荷重伝達部材20が、車体リア側に位置することとなる。
1 エネルギ吸収構造体
2 フロントバンパビーム
4 フロントフレーム
20 荷重伝達部材
29 空間
60 エネルギ吸収部材
61 第1のエネルギ吸収部材
63 第2のエネルギ吸収部材

Claims (6)

  1. 荷重入力時に軸方向に圧壊して衝突荷重を吸収する繊維強化樹脂製のエネルギ吸収部材を備えたエネルギ吸収構造体であって、
    連続繊維を用いて構成され、軸方向に対して斜め方向からの荷重入力に対するロバスト性が等方性を有する筒状の第1のエネルギ吸収部材と、
    前記第1のエネルギ吸収部材の内周部又は外周部に配置され、先端面の位置が前記第1のエネルギ吸収部材の先端面の位置よりも後退し、軸方向に対する連続繊維の配向角度が前記第1のエネルギ吸収部材の配向角度よりも小さい、筒状の第2のエネルギ吸収部材と、
    前記第2のエネルギ吸収部材の先端側、かつ、前記第1のエネルギ吸収部材の先端部の内周部又は外周部に配置され、前記第1のエネルギ吸収部材及び前記第2のエネルギ吸収部材よりも高い剛性を有する荷重伝達部材と、
    を備えた、エネルギ吸収構造体。
  2. 前記第2のエネルギ吸収部材が、前記第1のエネルギ吸収部材の内周部に配置され、前記荷重伝達部材が、前記第2のエネルギ吸収部材の先端側、かつ、前記第1のエネルギ吸収部材の先端部の内周部に配置される、請求項1に記載のエネルギ吸収構造体。
  3. 前記荷重伝達部材が、前記第1のエネルギ吸収部材の外周部にも配置される、請求項1又は2に記載のエネルギ吸収構造体。
  4. 前記荷重伝達部材は、前記第2のエネルギ吸収部材側に向かって縮径し、前記第2のエネルギ吸収部材の圧壊前に前記荷重伝達部材と前記第2のエネルギ吸収部材とが接触した状態で、前記第2のエネルギ吸収部材の先端と前記荷重伝達部材との間に隙間が形成される、請求項1〜3のいずれか1項に記載のエネルギ吸収構造体。
  5. 前記第1のエネルギ吸収部材が、斜め方向からの荷重入力時に前記第1のエネルギ吸収部材を径方向に破壊させるための脆弱部を有する、請求項1又は2に記載のエネルギ吸収構造体。
  6. 前記脆弱部が、薄肉部、孔部、又は切り込みのいずれか一つである、請求項5に記載のエネルギ吸収構造体。
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