JP6743672B2 - ポリカーボネート樹脂成形体及びその製造方法 - Google Patents

ポリカーボネート樹脂成形体及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、透明面状発熱体、透明電磁波シールド樹脂板、透明タッチパネルセンサー、液晶パネルや有機EL、太陽電池の透明電極等として有用な、ポリカーボネート樹脂層間に透明導電層を有するポリカーボネート樹脂成形体(以下、ポリカーボネート樹脂成形体を「PC成形体」と称す場合がある。)と、その製造方法に関する。
近年、自動車分野等において、軽量化の目的で、ガラス代替の樹脂窓(グレージング)についての検討が種々なされている。グレージング用樹脂材料としては、透明性、機械的強度、易加工性等の観点から、芳香族ポリカーボネート樹脂が一般的に用いられている。また、このような用途において、一般的なビスフェノールA型のポリカーボネート樹脂に対して硬度に優れるビスフェノールC型のポリカーボネート樹脂の適用についても種々提案がなされている(例えば特許文献1,2)。
自動車用窓材、特にリアウィンドウには主として防曇目的で、発熱用の透明導電層の積層が検討されている。
この透明導電層の形成には、一般的に、図8(a)に示すようなポリエチレンテレフタレート(PET)等よりなる剥離性の基材シート1上に、銀メッシュ等の導電回路2と接着樹脂層3が形成された転写シート4が用いられる。具体的には、図9(a)に示すように、この転写シート4を射出成形機の金型5A,5Bのうちのいずれかに配置して、金型のキャビティ内に溶融したポリカーボネート樹脂(以下、「溶融PC」と称す場合がある。)6を射出成形するインサート成形により、転写シート4の導電回路2及び接着樹脂層3をポリカーボネート樹脂層側に転写して、図9(b)に示す透明導電層付PC成形体7を取り出す。
このようにして得られた透明導電層付PC成形体7を各種用途に供するには、耐摩耗性、耐擦傷性、耐衝撃性を高めると共に、透明導電層の保護、感電防止、ショートの防止等の目的で、少なくとも透明導電層7a側に保護膜としてのハードコート層を形成する必要がある(例えば特許文献3)。
特に、自動車用窓材としての用途においては、透明導電層7a側が車内側、ポリカーボネート樹脂層側が車外側となるため、図9(c)に示すように、両面にハードコート層8A,8Bが形成される。
このように、透明導電層の形成に、PETシート等の基材シート上に透明導電層が形成された転写シートを用いる従来法では、以下の問題がある。
(1) ポリカーボネート樹脂層に透明導電層を転写した後は、透明導電層が露出するため、この表面にハードコート層を形成する必要がある。このため、射出成形工程の後に、ハードコート層形成のための工程が必要となる。
(2) ハードコート層を形成しても、その下地となる透明導電層の転写成形用の接着樹脂層の硬度が低い場合が多く、ハードコート層本来の高硬度特性を発揮し得ない。
(3) 転写シートとして接着樹脂層のないもの(図8(b))を使用すると透明導電層はほとんど転写しない。
ポリカーボネート樹脂シートに直接透明導電層を形成することができれば、これを用いて、透明導電層側の表面にもポリカーボネート樹脂層を有する透明導電層付PC成形体を得ることができる。この場合、特に、ポリカーボネート樹脂シートとしてビスフェノールC型のポリカーボネート樹脂よりなるものを用いることで、透明導電層側の表面硬度を高くしてハードコート層を不要とすることもできる。また、ハードコート層を形成する場合であっても、下地が高硬度のポリカーボネート樹脂層であることにより、より表面硬度の高いハードコート層とすることができる。
しかしながら、導電回路を形成する工程では、通常、導電性を高めるために金属微粒子の場合焼成し、或いは、印刷や塗布法で導電回路を形成した場合には、インクや塗布液に含まれる分散剤や溶剤などの有機物を除去するために、焼成時に蒸発か熱分解させるか、溶剤を用いて除去することが必要で、耐熱性と耐溶剤性の低いポリカーボネート樹脂シートに直接導電回路を形成することはできない。このようなことから、従来においては、ポリカーボネート樹脂シート上に導電回路が形成されたものは提供されていない。
特開2015−93888号公報 特開2012−177089号公報 特開2012−221858号公報
本発明は、ポリカーボネート樹脂シート上に透明導電層が形成された透明導電層付ポリカーボネート樹脂シートを用いて、ポリカーボネート樹脂層間に透明導電層を有するポリカーボネート樹脂成形体を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく検討を重ねた結果、図8に示すような従来の転写シートを用い、これをポリカーボネート樹脂シートに圧着することにより、導電回路をポリカーボネート樹脂シート側に転写することができ、このようにして透明導電層を形成した透明導電層付ポリカーボネート樹脂シートを用いて、透明導電層側がポリカーボネート樹脂層で被覆されたポリカーボネート樹脂成形体を得ることができることを見出した。
本発明はこのような知見に基づいて達成されたものであり、以下を要旨とする。
[1] 少なくとも2層のポリカーボネート樹脂層と、該2層のポリカーボネート樹脂層の間に設けられた透明導電層とを有するポリカーボネート樹脂成形体。
[2] 前記2層のポリカーボネート樹脂層のうちの一方又は双方が、下記一般式(1)で表される構造単位を有するポリカーボネート樹脂を含む層であることを特徴とする[1]に記載のポリカーボネート樹脂成形体。
Figure 0006743672
(一般式(1)中、Rはメチル基を示し、R及びRはそれぞれ独立して水素原子またはメチル基を示し、Xはアルキレン基又はアルキリデン基を示す。)
[3] [1]又は[2]に記載のポリカーボネート樹脂成形体を製造する方法であって、剥離性を有する基材シート上に透明導電層が形成された転写シートの透明導電層形成面側に第1のポリカーボネート樹脂層を圧着した後、得られた積層シートから該基材シートを剥離除去する転写工程と、該転写工程で得られた透明導電層付ポリカーボネート樹脂シートの透明導電層側に第2のポリカーボネート樹脂層を積層一体化する積層工程とを有することを特徴とするポリカーボネート樹脂成形体の製造方法。
[4] 前記透明導電層付ポリカーボネート樹脂シートの 透明導電層と反対側の面にハードコート層が形成されていることを特徴とする[3]に記載のポリカーボネート樹脂成形体の製造方法。
[5] 前記積層工程において、前記第2のポリカーボネート樹脂層を積層一体化すると共に、前記第2のポリカーボネート樹脂層の積層面と反対側の面にハードコート層を積層一体化することを特徴とする[3]又は[4]に記載のポリカーボネート樹脂成形体の製造方法。
[6] 前記積層工程において、前記透明導電層付ポリカーボネート樹脂シートと前記第2のポリカーボネート樹脂層と共に更に第3のポリカーボネート樹脂層をこの順で積層一体化することを特徴とする[3]又は[4]に記載のポリカーボネート樹脂成形体の製造方法。
[7] 前記第3のポリカーボネート樹脂層の積層面と反対側の面にハードコート層が形成されていることを特徴とする[6]に記載のポリカーボネート樹脂成形体の製造方法。
[8] 前記積層工程は、前記透明導電層付ポリカーボネート樹脂シートが配置された金型に、前記第2のポリカーボネート樹脂層を形成するための溶融樹脂を射出するインサート成形によることを特徴とする[3]ないし[5]のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂成形体の製造方法。
[9] 前記積層工程は、前記透明導電層付ポリカーボネート樹脂シートと前記第3のポリカーボネート樹脂層用のポリカーボネート樹脂シートが配置された金型内に、前記第2のポリカーボネート樹脂層を形成するための溶融樹脂を射出するインサート成形によることを特徴とする[6]又は[7]に記載のポリカーボネート樹脂成形体の製造方法。
本発明のポリカーボネート樹脂成形体は、ポリカーボネート樹脂層間に透明導電層が形成され、透明導電層が露出していないため、ハードコート層を不要とすることができ、ハードコート層を形成した場合であっても、その下地がポリカーボネート樹脂層であるため高い表面硬度を実現することができる。
本発明のポリカーボネート樹脂成形体の製造方法によれば、このようなポリカーボネート樹脂成形体を少ない工程数で容易かつ効率的に製造することができる。
本発明における転写工程の実施の形態の一例を示す模式的な断面図である。 本発明における転写工程の実施の形態の別の例を示す模式的な断面図である。 本発明における連続的転写工程の一例を示す模式図である。 本発明における積層工程の一例を示す模式的な断面図である。 本発明における積層工程の別の例を示す模式的な断面図である。 本発明における積層工程の別の例を示す模式的な断面図である。 本発明における積層工程の別の例を示す模式的な断面図である。 従来の転写シートを示す模試的な断面図である。 従来の透明導電層付PC成形体の製造方法を示す模式的な断面図である。
以下に本発明の実施の形態について詳細に説明する。
なお、本明細書において、「シート」と「フィルム」とは同義であり、シートの中でも比較的厚さの薄いものをフィルムと称し、シートはフィルムを包含するものとする。
よって、以下の説明において、「フィルム」は「シート」であってもよい。
また、本明細書において、「ポリカーボネート樹脂」を「PC」と略記する場合がある。
[透明導電層付ポリカーボネート樹脂シートの製造]
まず、本発明のポリカーボネート樹脂成形体の製造方法で用いる透明導電層付ポリカーボネート樹脂シートを製造する方法、即ち、本発明のポリカーボネート樹脂成形体の製造方法における転写工程について説明する。
<転写シート>
(基材シート)
転写シートの基材シートとしては、後述の透明導電層形成時の金属微粒子の焼成温度や、転写工程における熱圧着時の温度に対する耐熱性を有し、かつ、導電回路を塗布法で形成する場合は、塗布液の塗工や印刷に耐える機械的強度、分散剤除去のための溶剤やパターニングのための溶剤に耐える耐溶剤性を有し、また、この上に形成された導電回路が転写工程でポリカーボネート樹脂シートと密着後、容易に剥離し得る剥離性を有するものであればよく、特に制限はないが、PET等のポリエステル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、環状オレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂などの樹脂フィルム、グラシン紙、コート紙、セロハンなどのセルロース系シート、或いはこれらのフィルムないしシートの積層体などを用いることができる。基材シートとしては、二軸延伸処理により結晶性を高めたものが、剥離性の観点から好ましく、PET等のポリエステル系樹脂や、ポリイミド系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂のシートやフィルム、特に、PETフィルムが好適に用いられる。
基材シートの厚みは、取り扱い性、強度等の面から10〜200μmであることが好ましく、30〜100μmであることがより好ましい。
基材シートには、透明導電層形成時の塗工性や印刷性の改良のための層を形成したり、表面処理を施してもよい。また、剥離性が不足する場合は剥離層(離型層)を形成してもよい。さらに剥離層(離型層)上に塗装や印刷性改良のためのプライマー層を重ねて形成してもよい。また、透明導電層形成面とは反対側の面に、静電気防止層等を設けてもよい。
(透明導電層)
本発明において、透明導電層とは、転写シートに図8(a)に示されるように導電パターン等の導電回路2と接着樹脂層3とが形成されている場合は、これらを合わせて透明導電層と称す。また、接着樹脂層が形成されていない場合は、導電パターンや金属薄膜等の導電回路のみで透明導電層と称す。
導電回路としては、基材シート上に金属や炭素の微粒子の分散液を印刷、塗布などにより付着させたものや、金属薄膜を貼りあわせてからレジストを載せてエッチングしたものなどが挙げられ、いずれも常法に従って形成される。
金属の微粒子としてはナノ粒子やナノワイヤー等が望ましく、炭素の微粒子としてはカーボンナノチューブ、グラフェンなどが望ましい。
金属ナノ粒子や金属ナノワイヤーを構成する金属材料としては、金、銀、銅、ニッケル、白金、アルミニウム、パラジウム、ロジウム等、またはこれらを含む合金、化合物や混合物等が挙げられる。金属としては、銀又は銅を用いることが好ましい。
金属ナノ粒子や金属ナノワイヤーは、粒径(或いは長さや径)が小さいと、導電回路形成時の焼成温度を低くすることができ、逆に大きいと導電率が高くなるが分散性が悪くなることから、これらの特性がいずれも良好となるように選択して用いることが好ましい。
これら金属ナノ粒子、ナノワイヤー、ナノ炭素は、分散剤によって分散された分散液として塗装や印刷による導電回路の形成に用いられる。導電回路のパターニングとしては、インクジェット印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷などの印刷によるパターニング、あるいは塗装による不規則網目状のパターニング等が挙げられる。
金属ナノ粒子またはナノワイヤーは導電性を得るために焼成工程、この焼成で分散剤を除去できない場合は分散剤が溶解可能な有機溶剤で除去する工程が必要であり、基材シートには、前述の通り、焼成時の高温や溶剤に耐えるものであることが要求される。
金属薄膜の貼りあわせにより導電回路を形成する場合は、必要に応じて基材シートと金属薄膜の間に、剥離性を維持できる程度に両者を張り合わせるための接着層が設けられていてもよい。
なお、導電性のITOは抵抗が高く必要な発熱が得られず、また高硬度で曲面の形成が困難であり、本発明には適さない。
(接着樹脂層)
本発明で用いる転写シートは、上記の導電回路上に接着樹脂層が形成されたものであってもよい。接着樹脂層は、転写工程において、ポリカーボネート樹脂シートへの導電回路の接着性を高め、転写効率を高めることができるものであればよく、特に制限はないが、例えば、アクリル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ブチラール系樹脂、ゼラチン、セルロース系樹脂、ポリアミド系樹脂、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体、ウレタン系樹脂等の樹脂から適切なものが選択される。これらの樹脂は、必要に応じてTダイ等から溶融押し出しにより、あるいは溶剤に溶解した組成物を塗布あるいは印刷などによって接着樹脂層の形成に用いられる。
接着樹脂層の厚みは、0.1〜50μmが好ましく、さらに好ましくは1〜10μmである。接着樹脂層が上記範囲より薄い場合には接着樹脂層による接着性向上効果が不十分となる傾向にあり、上記範囲を超えると転写成形の際にフィルム切れなどの不具合が発生しやすい。
(抵抗値)
転写シートに形成された導電回路の抵抗値は、後述の本発明のポリカーボネート樹脂成形体に含まれる透明導電層に要求される抵抗値を満足し得るように、転写工程を経た後に、後述の抵抗値を満たすように設計される。
<転写工程>
本発明のポリカーボネート樹脂成形体の製造方法の転写工程では、図1(a)に示すように、基材シート1上に、導電回路2と接着樹脂層3からなる透明導電層10が形成された転写シート4を用い、この転写シート4の透明導電層10側を図1(b)に示すように、第1のPC層となるPCフィルム(前述の通り、PCシートであってもよい。)11に圧着して転写シート4の透明導電層10をPCフィルム11側に転写した後、転写シート4の基材シート1を剥離して、図1(c)に示すような透明導電層付PCフィルム20を得る。
図1は、接着樹脂層3を有する転写シート4を用いた場合を示すが、接着樹脂層3が形成されていない導電回路2のみの転写シート4Aを用いる場合は、図2(a),(b)に示すように、導電回路2が転写された透明導電層付PCフィルム20Aが得られる。
第1のポリカーボネート樹脂層となるPCフィルム11には、得られるポリカーボネート樹脂成形体において、透明導電層を保護する層となることから、ポリカーボネート樹脂として、硬度の高い後述のビスフェノールC型のポリカーボネート樹脂を含むポリカーボネート樹脂を用いることが好ましい。
第1のポリカーボネート樹脂層の厚み(即ち、PCフィルム11の厚み)は、得られるポリカーボネート樹脂成形体の用途や、用いるポリカーボネート樹脂の種類、後述のハードコート層の有無等によっても異なるが、薄肉化を損なうことなく、表面硬度や機械的特性、透明導電層の保護効果を十分に得る観点から、20μm〜2mmであることが好ましく、30〜500μmであることがより好ましい。
転写シートへの第1のポリカーボネート樹脂層の圧着方法としては、次のような方法が挙げられる。
(1) Tダイで第1のポリカーボネート樹脂層用のポリカーボネート樹脂を転写シート上に溶融押出して積層した後、ロールで圧着し成形する。
(2) 予め成形したポリカーボネート樹脂シートを転写シートに積層し、熱ロールあるいは熱プレスで圧着し成形する。
例えば、上記(2)の方法の場合、図3に示すように、PCフィルム11の巻回体21から連続的に送り出されるPCフィルム11と、同様に連続的に送り出される転写シート4(又は4A)とを熱圧着のための加熱ロール22と押圧ロール23との間を通過させて加熱加圧し、透明導電層付PCフィルム20(又は20A)を送り出すと共に転写シート4(又は4A)の基材シート1を剥離し、剥離された基材シート1を巻取ロール24で巻き取ることにより、透明導電層付PCフィルム20(又は20A)を連続的に製造することができる。
上記(1)の方法であっても、連続的に送り出される転写シート上にポリカーボネート樹脂を溶融押出して加熱加圧した後、基材シートを剥離して巻き取ることにより、連続生産が可能である。
このような転写シートと第1のポリカーボネート樹脂層とを圧着する際の圧着条件は、転写シートの接着樹脂層の有無、第1のポリカーボネート樹脂層のポリカーボネート樹脂の種類等によっても異なるが、圧着時の加熱温度としては、上記(2)の方法の場合、接着樹脂層付であれば接着樹脂の種類にもよるが、100℃〜180℃が好ましく、100℃〜140℃がより好ましく、接着樹脂層がない場合は160〜180℃程度とすることが好ましい。この温度が低過ぎると透明導電層を転写することができず、高過ぎると基材シートを剥離し得なくなるおそれがある。上記(1)の方法の場合は、溶融したポリカーボネート樹脂を押し出すことで、特に加熱することなく、加圧のみで転写することができる場合もあるが、加熱を行う場合は、上記の温度範囲とすることが好ましい。
圧着時の加圧の程度、加圧時間は、加熱温度によっても異なるが、5〜25MPaで、0.01〜5分程度とすることが好ましい。加圧力が低過ぎたり、加圧時間が短過ぎたりすると、透明導電層の転写を十分に行えない場合があり、加圧力が高過ぎたり、加圧時間が長過ぎたりすると、基材シートの剥離性が悪くなり、接着樹脂層やポリカーボネート樹脂が劣化したりするおそれがある。
<積層工程>
次に、本発明のポリカーボネート樹脂成形体の製造方法における積層工程について説明する。
本発明における積層工程は、上記のようにして得られた透明導電層付ポリカーボネート樹脂シートの透明導電層側に第2のポリカーボネート樹脂層を積層一体化する工程である。
この積層工程においては、第2のポリカーボネート樹脂層を中間層として、更に第3のポリカーボネート樹脂層を積層一体化してもよい。
この積層工程は、透明導電層付ポリカーボネート樹脂シートを金型内に配置して第2のポリカーボネート樹脂層用の溶融ポリカーボネート樹脂を射出又は射出圧縮するインサート成形、或いはプレス成形等により行うことができる。
この際、第3のポリカーボネート樹脂層として、予め成形されたポリカーボネート樹脂シートを金型内の透明導電層付ポリカーボネート樹脂シートの反対側に配置することで、透明導電層付ポリカーボネート樹脂シート(第1のポリカーボネート樹脂層/透明導電層)/第2のポリカーボネート樹脂層/第3のポリカーボネート樹脂層がこの順で積層されたポリカーボネート樹脂成形体を製造することができる。
なお、射出成形条件としては特に制限はなく、通常のポリカーボネート樹脂の射出成形条件を採用することができる。
図4(a),(b)は、第2のPC層を射出成形により積層一体化する方法を示し、金型5A,5Bのうちの一方の金型(可動金型)5A側に透明導電層付PCフィルム20を透明導電層側が金型5Aと反対に向くように配置し、その後型締めして第2のPC層用の溶融PC6を射出する。これにより、透明導電層付PCフィルム20、即ち第1のPC層31及び透明導電層10と第2のPC層32とが積層一体化されたPC成形体30を得ることができる。
図5(a),(b)は、透明導電層付PCフィルムとして、接着樹脂層のない透明導電層付PCフィルム20Aを用いて第2のPC層を射出成形により積層一体化する方法を示し、この場合においても、図4(a),(b)におけると同様に、金型5A,5Bのうちの一方の金型(可動金型)5A側に透明導電層付PCフィルム20Aを透明導電層(導電回路)側が金型5Aと反対に向くように配置し、その後型締めして第2のPC層用の溶融PC6を射出する。これにより、透明導電層付PCフィルム20A、即ち第1のPC層31及び導電回路よりなる透明導電層10Aと第2のPC層32とが積層一体化されたPC成形体30Aを得ることができる。
このようにして成形される第2のPC層32の厚みは、ポリカーボネート樹脂成形体の用途によっても異なるが、0.1〜20mmであることが好ましく、0.5〜15mmであることがより好ましく、1〜10mmであることが更に好ましい。
なお、第2のPC層32を形成するための好ましいポリカーボネート樹脂については後述する。
(ハードコート層)
本発明のPC成形体は、一方又は双方の面にハードコート層が形成されたものであってもよい。
この場合、ハードコート層を形成するためのハードコート剤としては、公知の材料を適宜使用することができ、例えば、シリコーン系、アクリル系、シラザン系、ウレタン系などの種々のハードコート剤を使用することができる。接着性や耐候性を向上させるために、ハードコート剤を塗布する前にプライマー層を設ける2コートタイプのハードコート剤であってもよい。ハードコート剤のコーティング方法としては、特に制限はないが、スプレーコート、ディップコート、フローコート、スピンコート、バーコート、カーテンコート、ダイコート、グラビアコート、ロールコート、ブレードコート及びエアーナイフコート等のいずれの塗工方法によって塗布することもできる。
ハードコート層の厚みは、好ましくは1〜50μm、より好ましくは5〜30μmである。
ハードコート層は、射出成形後のPC成形体に形成してもよいが、金型内にハードコート層用のフィルムを配置しておくインサート成形により形成することにより、射出成形後のハードコート層形成のための工程を省略することができる。また、透明導電層付PCフィルムや後述の第3のポリカーボネート樹脂層用のPCフィルムに予めハードコート層を形成しておいてもよい。
図6(a),(b)は、射出成形による積層工程でハードコート層を一体成形する方法を示し、透明導電層付PCフィルム20の透明導電層10とは反対側の面にハードコート層8が形成されたフィルム20Bと、基材シート1の表面にハードコート層8が形成されたハードコート層形成用の転写シート4Bとを用い、一方の金型5A側にハードコート層及び透明導電層付PCフィルム20Bを、透明導電層側が金型5Aと反対側となるように配置し、他方の金型5B側に、ハードコート層用転写シート4Bをハードコート層側が金型5Bと反対側となるように配置した後、溶融PC6をキャビティに射出成形する。
これにより、第1のPC層31、透明導電層10及び第2のPC層32の積層体であって、両面にハードコート層8A,8Bを有するPC成形体30Bを得ることができる。
(第3のPC層)
図7(a),(b)は、第1のPC層/透明導電層/第2のPC層/第3のPC層がこの順で積層された積層体の両面にハードコート層を有するPC成形体を射出成形により一体成形する方法を示し、透明導電層付PCフィルム20の透明導電層10とは反対側の面にハードコート層8が形成されたフィルム20Bと、一方の面にハードコート層8が形成された第3のPC層形成用のPCフィルム9とを用い、一方の金型5A側にハードコート層及び透明導電層付PCフィルム20Bを、透明導電層側が金型5Aと反対側となるように配置し、他方の金型5B側に、ハードコート層付PCフィルム9をハードコート層側が金型5B側となるように配置した後、溶融PC6をキャビティに射出成形する。
これにより、第1のPC層31、透明導電層10、第2のPC層32及び第3のPC層33の積層体であって、両面にハードコート層8A,8Bを有するPC成形体30Cを得ることができる。
なお、ハードコート層のない透明導電層付PCフィルム20,20Aやハードコート層のないPCフィルム9を用いてもよい。
この第3のPC層を形成するためのPCフィルム9には、PC成形体30Cにおいて、ハードコート層がない場合は表面層となり、また、ハードコート層がある場合はハードコート層の下地層となることから、硬度の高い後述のビスフェノールC型のポリカーボネート樹脂を用いることが好ましい。
第3のPC層の厚み(即ち、PCフィルム9の厚み)は、得られるPC成形体の用途や、用いるポリカーボネート樹脂の種類、ハードコート層の有無等によっても異なるが、薄肉化を損なうことなく、表面硬度や機械的特性を十分に得る観点から、20μm〜2mmであることが好ましく、30〜500μmであることがより好ましい。
[ポリカーボネート樹脂成形体]
本発明のポリカーボネート樹脂成形体は、少なくとも2層のポリカーボネート樹脂層と、ポリカーボネート樹脂層との間にこれらの層と直接接するように形成された透明導電層とを有するものであり、好ましくは、前述の本発明のポリカーボネート樹脂成形体の製造方法により製造される。
本発明のポリカーボネート樹脂成形体の透明導電層は、前述の通り、導電回路のみで形成されるものであってもよく、導電回路と接着樹脂層とで形成されるものであってもよい。この透明導電層の導電回路の抵抗値は、発熱体としての用途において、0.1〜200Ω/□であることが好ましく、1〜30Ω/□であることが好ましく、2〜10Ω/□であることがより好ましい。導電回路の抵抗値が高過ぎると、発熱量が小さくなり、発熱のための電力量を大きくする必要がある。抵抗値が小さいと少ない電力でも発熱可能になるが、低すぎると高温になり、樹脂の変形の恐れがある。
本発明のポリカーボネート樹脂成形体の少なくとも2つのポリカーボネート樹脂層のうち、一方は、前述の透明導電層付PCフィルムの製造における第1のPC層であり、前述の通り、その厚みは好ましくは20μm〜2mm、より好ましくは30〜500μmである。他方のポリカーボネート樹脂層は、前述の第2のPC層であり、前述の通り、その厚みは好ましくは0.1〜20mm、より好ましくは0.5〜15mm、特に好ましくは1〜10mmである。
また、本発明のポリカーボネート樹脂成形体が、前述の第3のPC層を有し、透明導電層付PCフィルム(第1のPC層/透明導電層)/第2のPC層/第3のPC層の積層構造である場合、第3のPC層の厚みは、前述の通り、好ましくは20μm〜2mmであり、より好ましくは30〜500μmである。
また、本発明のポリカーボネート樹脂成形体は、その一方又は双方の面にハードコート層が形成されたものであってもよい。
また、ハードコート層の上に、更に各種機能(熱線遮蔽、紫外線吸収、サーモクロミック、フォトクロミック、エレクトロクロミックの各機能)を持つ機能性層が形成されてもよい。
<各ポリカーボネート樹脂層の構成材料>
(ポリカーボネート樹脂)
以下に、本発明のポリカーボネート樹脂成形体の各ポリカーボネート樹脂層の成形材料として好適なポリカーボネート樹脂について説明する。
ポリカーボネート樹脂としては、通常の芳香族ポリカーボネート樹脂であればビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂に限られず、その他のポリカーボネート樹脂も使用することができる。また、ポリカーボネート樹脂は1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
<ビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂>
ビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂(以下「A−PC」と略記する場合がある。)は、原料のジヒドロキシ化合物として、ビスフェノールA、すなわち2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンとカーボネート前駆体とから製造されるものである。
ポリカーボネート樹脂の原料となるモノマーのうち、カーボネート前駆体の例を挙げると、カルボニルハライド、カーボネートエステル等が使用される。なお、カーボネート前駆体は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
カルボニルハライドとしては、具体的には例えば、ホスゲン;ジヒドロキシ化合物のビスクロロホルメート体、ジヒドロキシ化合物のモノクロロホルメート体等のハロホルメート等が挙げられる。
カーボネートエステルとしては、具体的には例えば、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート等のジアリールカーボネート類;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等のジアルキルカーボネート類;ジヒドロキシ化合物のビスカーボネート体、ジヒドロキシ化合物のモノカーボネート体、環状カーボネート等のジヒドロキシ化合物のカーボネート体等が挙げられる。
A−PCは、ビスフェノールA以外の他のジヒドロキシ化合物を併用した共重合ポリカーボネート樹脂であってもよい。ビスフェノールA以外の他のジヒドロキシ化合物としては、例えば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)デカン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロオクタン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、4,4’−ジヒドロキシフェニルエーテル等の芳香族ジヒドロキシ化合物が挙げられる。
共重合ポリカーボネート樹脂とする場合は、ビスフェーノールA由来の成分が50モル%以上であることが好ましく、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上、中でも90質量%以上、特には95質量%以上であることが好ましい。
またA−PCは、直鎖状でもよく、分岐鎖状でもよい。
A−PCの製造方法は、特に限定されるものではなく、任意の方法を採用できる。その例を挙げると、界面重合法、溶融エステル交換法、ピリジン法、環状カーボネート化合物の開環重合法、プレポリマーの固相エステル交換法などを挙げることができる。
ポリカーボネート樹脂では、その末端水酸基量が熱安定性、加水分解安定性、色調等に大きな影響を及ぼす傾向がある。このため、公知の任意の方法によって末端水酸基量を必要に応じて調整してもよい。エステル交換反応においては、通常、炭酸ジエステルと芳香族ジヒドロキシ化合物との混合比率;エステル交換反応時の減圧度などを調整することにより、末端水酸基量を調整したポリカーボネート樹脂を得ることができる。なお、この操作により、通常は得られるポリカーボネート樹脂の分子量を調整することもできる。
A−PCの粘度平均分子量(Mv)は、16,000〜28,000であることが好ましい。粘度平均分子量がこの範囲であると、成形性が良く、且つ機械的強度の大きいポリカーボネート樹脂成形体が得られやすく、16,000を下回ると、耐面衝撃性が著しく低下しやすく、28,000を超えると溶融粘度が増大し射出成形が困難となりやすい。A−PCの分子量の下限は、より好ましくは17,000、さらに好ましくは18,000であり、その上限はより好ましくは27,000である。
なお、本発明において、ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量[Mv]は、溶媒としてメチレンクロライドを使用し、ウベローデ粘度計を用いて温度20℃での極限粘度[η](単位dl/g)を求め、以下のSchnellの粘度式から算出される値である。
η=1.23×10−4Mv0.83
A−PCの末端水酸基濃度は任意であり、適宜選択して決定すればよいが、通常1000ppm以下、好ましくは800ppm以下、より好ましくは600ppm以下である。これによりA−PCの滞留熱安定性及び色調をより向上させることができる。また、その下限は、特に溶融エステル交換法で製造されたA−PCでは、通常10ppm以上、好ましくは30ppm以上、より好ましくは40ppm以上である。これにより、分子量の低下を抑制し、樹脂組成物の機械的特性をより向上させることができる。
なお、末端水酸基濃度の単位は、ポリカーボネート樹脂の質量に対する、末端水酸基の質量をppmで表示したものである。その測定方法は、四塩化チタン/酢酸法による比色定量(Macromol.Chem.88 215(1965)に記載の方法)である。
上記のA−PCは、本発明のポリカーボネート樹脂成形体のうち、射出成形される第2のポリカーボネート樹脂層の構成材料として好適に用いられる。
<ビスフェノールC型ポリカーボネート樹脂>
本発明のポリカーボネート樹脂成形体において、前述の第1のポリカーボネート樹脂層及び第3のポリカーボネート樹脂層の形成に用いるポリカーボネート樹脂としては、その表面硬度に優れることから、下記一般式(1)で表される構造単位を有するポリカーボネート樹脂(以下「ビスフェノールC型ポリカーボネート樹脂」と称し、「C−PC」と略記する場合がある。)を含むポリカーボネート樹脂を用いることが好ましい。
Figure 0006743672
(一般式(1)中、Rはメチル基を示し、R及びRはそれぞれ独立して水素原子またはメチル基を示し、Xはアルキレン基又はアルキリデン基を示す。)
上記一般式(1)において、Rはメチル基であり、R及びRはそれぞれ独立に水素原子またはメチル基であるが、R及びRは特には水素原子であることが好ましい。
また、Xは、アルキレン基又はアルキリデン基であるが、アルキレン基としては炭素数1〜6のアルキレン基が好ましく、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。その例としては、メチレン、1,2−エチレン、1,3−プロピレン、1,4−ブチレン、1,6−へキシレン等を挙げることができる。
アルキリデン基としては、炭素数2〜10のアルキリデン基が好ましく、例えばエチリデン、2,2−プロピリデン、2,2−ブチリデン、3,3−ヘキシリデン等を挙げることができる。
Xは、アルキリデン基であるのが好ましく、2,2−プロピリデン基(即ち、イソプロピリデン基)が特に好ましい。
C−PCとしての好ましい具体例としては、以下のイ)、ロ)のポリカーボネート樹脂が挙げられる。
イ)2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン構造単位を有するもの、即ち、Rがメチル基、RとRが水素原子、Xがイソプロピリデン基である構造単位を有するもの、
ロ)2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン構造単位、即ちRがメチル基、RとRがメチル基、Xがイソプロピリデン基である構造単位を有するもの、
上記のうち、特に上記イ)のポリカーボネート樹脂が好ましい。
これらC−PCは、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパンを、ジヒドロキシ化合物として使用して製造することができる。
C−PCは、一般式(1)で表される構造単位以外のカーボネート構造単位を有することもでき、例えば、下記一般式(2)で表される構造単位、あるいは前述の<ビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂>の項で例示した、ビスフェノールA以外の他のジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を有していてもよい。この際の一般式(1)で表される構造単位以外の構造単位の共重合量は、通常60モル%以下であり、50モル%以下が好ましく、より好ましくは40モル%以下、さらには30モル%以下、特には20モル%以下であることが好ましい。
Figure 0006743672
(式中、Xは前記一般式(1)におけるXと同義である。)
上記一般式(2)で表されるポリカーボネート構造単位の好ましい具体例としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、即ち、ビスフェノールA由来のカーボネート構造単位である。
C−PCの粘度平均分子量(Mv)は、16,000〜28,000であることが好ましい。粘度平均分子量がこの範囲であると、成形性が良く、機械的強度が大きく、耐擦傷性のよいポリカーボネート樹脂成形体が得られやすく、16,000を下回ると、耐面衝撃性が著しく低下しやすく、28,000を超えると溶融粘度が増大し射出成形が困難となりやすい。C−PCの分子量の下限は、より好ましくは17,000、さらに好ましくは18,000、特に好ましくは20,000であり、その上限はより好ましくは27,000である。
C−PCを製造する方法は、特に限定されるものではなく、前記A−PCの製造方法で説明したとおりである。
上記のC−PCは、C−PC以外の他のポリカーボネート樹脂、即ち、前記一般式(1)で表される構造単位を有さないポリカーボネート樹脂と混合して使用することもでき、例えば、前記A−PC等の前記一般式(2)で表される構造単位を有するポリカーボネート樹脂、あるいは前述のビスフェノールA以外の他のジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を有するポリカーボネート樹脂や、ポリカーボネート樹脂以外のその他の樹脂と混合して用いてもよい。C−PCを他の樹脂と混合した樹脂組成物として用いる場合、この樹脂組成物中のC−PCの含有割合は、通常40質量%以上であり、50質量%以上が好ましく、より好ましくは60質量%以上であり、さらには70質量%以上が好ましく、特に80質量%以上が好ましい。以下において、C−PCと他のポリカーボネート樹脂を含有するポリカーボネート樹脂組成物(C−PCと他のポリカーボネート樹脂との混合樹脂)を「C−PC含有PC」と称す場合がある。
(その他の成分)
本発明のポリカーボネート樹脂成形体を構成する各ポリカーボネート樹脂層は、所望の諸物性を著しく損なわない限り、必要に応じて、上記のポリカーボネート樹脂以外のその他の成分を含有していてもよい。その他の成分の例を挙げると、ポリカーボネート樹脂以外の樹脂や各種樹脂添加剤などが挙げられる。なお、その他の成分は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていても良い。
樹脂添加剤としては、例えば、難燃剤、滴下防止剤、充填材、紫外線吸収剤、染顔料、帯電防止剤、防曇剤、滑剤、アンチブロッキング剤、可塑剤、分散剤、抗菌剤などが挙げられる。なお、樹脂添加剤は1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていても良い。
[用途]
本発明のポリカーボネート樹脂成形体は、透明性に優れる上に、透明導電層が第1のポリカーボネート樹脂層で保護されたものであるため表面硬度が高く、透明導電層が露出していないため安全に発熱させることができ、結露、曇り、氷着等を効果的に防止できる窓材として好適である。
透明性と発熱機能を兼備する本発明のポリカーボネート樹脂成形体の用途としては、自動車の窓材等の透明面状発熱体、透明電磁波シールド樹脂板、透明タッチパネルセンサー、液晶パネルや有機EL、太陽電池の透明電極等が挙げられるが、何らこれらに限定されるものではない。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
以下の実施例及び実験例で用いた各種材料の詳細は以下の通りである。
<転写シート>
導電回路が形成されたPETフィルム(接着樹脂層なし):銀の微粒子の分散液による導電回路をPETフィルム上に形成したもの(厚み100μm、表面抵抗値5Ω/□)
導電回路が形成されたPETフィルム(接着樹脂層あり):上記の導電回路が形成されたPETフィルムの導電回路側表面に、厚さ10μmのポリ酢酸ビニル系樹脂よりなる接着樹脂層を形成したもの
<転写用ポリカーボネート樹脂フィルム>
C−PC含有PCフィルム:下記C−PCとA−PCを質量比85:15にて配合し、タンブラーミキサーにて均一に混合した後、二軸押出機(日本製鋼所製TEX30HSST)を用いて、シリンダー温度260℃、スクリュー回転数200rpm、吐出量20kg/hrにて押出機上流部のバレルより押出機にフィードし、溶融混練してC−PC含有PCのペレットを得、このC−PC含有PCのペレットを、Tダイ成形にて厚み100μmに制御してフィルム成形したもの
C−PC:ビスフェノールC型ポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量(Mv):26000)
A−PC:三菱エンジニアリングプラスチックス社製ビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂「ユーピロンE−2000UR」(粘度平均分子量(Mv):26000)
なお、上記C−PCとして使用したビスフェノールC型ポリカーボネート樹脂は、以下の製造例により製造した。
<製造例:C−PCの製造>
2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下、「BPC」と記す。)26.14モル(6.75kg)と、ジフェニルカーボネート26.79モル(5.74kg)を、撹拌機及び留出凝縮装置付きのSUS製反応器(内容積10リットル)内に入れ、反応器内を窒素ガスで置換後、窒素ガス雰囲気下で220℃まで30分間かけて昇温した。
次いで、反応器内の反応液を撹拌し、溶融状態下の反応液にエステル交換反応触媒として炭酸セシウム(CsCO)を、BPC1モルに対し1.5×10−6モルとなるように加え、窒素ガス雰囲気下、220℃で30分、反応液を撹拌醸成した。次に、同温度下で反応器内の圧力を40分かけて100Torrに減圧し、さらに、100分間反応させ、フェノールを留出させた。
次に、反応器内を60分かけて温度を284℃まで上げるとともに3Torrまで減圧し、留出理論量のほぼ全量に相当するフェノールを留出させた。
次に、同温度下で反応器内の圧力を1Torr未満に保ち、さらに60分間反応を続け重縮合反応を終了させた。このとき、撹拌機の攪拌回転数は38回転/分であり、反応終了直前の反応液温度は289℃、攪拌動力は1.00kWであった。
次に、溶融状態のままの反応液を2軸押出機に送入し、炭酸セシウムに対して4倍モルのp−トルエンスルホン酸ブチルを2軸押出機の第1供給口から供給し、反応液と混練し、その後、反応液を2軸押出機のダイを通してストランド状に押し出し、カッターで切断してC−PCのペレットを得た。
得られたC−PCの粘度平均分子量(Mv)は26,000であった。
A−PCフィルム:三菱エンジニアリングプラスチックス社製ビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂「ユーピロンE−2000」をTダイ成形にて厚み100μmに制御してフィルム成形したもの
<射出成形用ポリカーボネート樹脂>
A−PC:三菱エンジニアリングプラスチックス社製ビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂「ユーピロンS−3000UR」
表面抵抗値は、三菱化学アナリテック社製「ロレスタMCP−T610」にて直列4探針プローブを用いて測定した。
[実施例1]
導電回路が形成されたPETフィルム(接着樹脂層なし)の導電回路側に、厚み100μmのC−PC含有PCフィルムを重ねて、160℃の温度で、1MPaで5分予熱後、20MPaで1分間熱圧着することにより、C−PC含有PCフィルムに導電回路を転写した。PETフィルムは容易に剥がれ、導電回路付PCフィルムを得た。
転写後の導電回路付PCフィルム上の導電回路の表面抵抗値は、転写前と同じく5Ω/□で、導電回路の形状を維持したまま転写することができたことが確認された。
上述の方法で得た導電回路付PCフィルムを、導電回路側が金型と反対側、C−PC含有PCフィルム側が金型面に接するように金型にセットし、A−PCを射出成形することで厚み4mmのA−PC層と厚み100μmのC−PC含有PC層との間に導電回路を有するPC成形体を得ることができた。
[実験例]
転写シート、転写用ポリカーボネート樹脂フィルム(表1中、「PCフィルム」と記載する。)として、表1に示すものを用い、転写シートの圧着時の温度を表1に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にして転写を行い、導電回路の転写が行えるか否かを調べた。
また、一部のものについては、得られた導電回路付PCフィルム上の導電回路の表面抵抗値を測定した。これらの結果を実施例1の結果(No.1)と共に表1に示す。
表1中、転写の可否の欄は、導電回路を転写できたものを「○」、転写できなかったものを「×」で示してある。
Figure 0006743672
表1より、転写シートの接着樹脂層の有無や、転写用PCフィルムの種類に応じて、圧着温度を調整することにより、圧着という簡易な操作で導電回路をPCフィルム側に転写して導電回路付PCフィルムを得ることができることが分かる。
1 基材シート
2 導電回路
3 接着樹脂層
4,4A 転写シート
5A,5B 金型
6 溶融PC
8,8A,8B ハードコート層
10 透明導電層
9,11 PCフィルム
20,20A 透明導電層付PCフィルム
30,30A,30B,30C PC成形体
31 第1のPC層
32 第2のPC層
33 第3のPC層

Claims (8)

  1. 少なくとも2層のポリカーボネート樹脂層と、該2層のポリカーボネート樹脂層の間に設けられた透明導電層とを有するポリカーボネート樹脂成形体であって、
    前記2層のポリカーボネート樹脂層のうちの一方又は双方が、下記一般式(1)で表される構造単位を有するポリカーボネート樹脂を含む層であることを特徴とするポリカーボネート樹脂成形体。
    Figure 0006743672
    (一般式(1)中、R はメチル基を示し、R 及びR はそれぞれ独立して水素原子またはメチル基を示し、Xはアルキレン基又はアルキリデン基を示す。)
  2. 請求項1に記載のポリカーボネート樹脂成形体を製造する方法であって、
    剥離性を有する基材シート上に透明導電層が形成された転写シートの透明導電層形成面側に第1のポリカーボネート樹脂層を圧着した後、得られた積層シートから該基材シートを剥離除去する転写工程と、
    該転写工程で得られた透明導電層付ポリカーボネート樹脂シートの透明導電層側に第2のポリカーボネート樹脂層を積層一体化する積層工程と
    を有し、
    該第1のポリカーボネート樹脂層が、前記一般式(1)で表される構造単位を有するポリカーボネート樹脂を含む層であることを特徴とするポリカーボネート樹脂成形体の製造方法。
  3. 前記透明導電層付ポリカーボネート樹脂シートの透明導電層と反対側の面にハードコート層が形成されていることを特徴とする請求項に記載のポリカーボネート樹脂成形体の製造方法。
  4. 前記積層工程において、前記第2のポリカーボネート樹脂層を積層一体化すると共に、前記第2のポリカーボネート樹脂層の積層面と反対側の面にハードコート層を積層一体化することを特徴とする請求項又はに記載のポリカーボネート樹脂成形体の製造方法。
  5. 前記積層工程において、前記透明導電層付ポリカーボネート樹脂シートと前記第2のポリカーボネート樹脂層と共に更に第3のポリカーボネート樹脂層をこの順で積層一体化することを特徴とする請求項又はに記載のポリカーボネート樹脂成形体の製造方法。
  6. 前記第3のポリカーボネート樹脂層の積層面と反対側の面にハードコート層が形成されていることを特徴とする請求項に記載のポリカーボネート樹脂成形体の製造方法。
  7. 前記積層工程は、前記透明導電層付ポリカーボネート樹脂シートが配置された金型に、前記第2のポリカーボネート樹脂層を形成するための溶融樹脂を射出するインサート成形によることを特徴とする請求項ないしのいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂成形体の製造方法。
  8. 前記積層工程は、前記透明導電層付ポリカーボネート樹脂シートと前記第3のポリカーボネート樹脂層用のポリカーボネート樹脂シートが配置された金型内に、前記第2のポリカーボネート樹脂層を形成するための溶融樹脂を射出するインサート成形によることを特徴とする請求項又はに記載のポリカーボネート樹脂成形体の製造方法。
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