以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る氷ディスペンサの外観図である。図2は、本実施形態の氷ディスペンサの内部構造を示す斜視図である。
本発明の一実施形態の氷ディスペンサ1は、例えばコンビニエンスストアのレジ近辺のカウンタ上に設置され、冷却された飲料を提供する際に、従業員等がカップに氷を入れるために使用される。
本実施形態の氷ディスペンサ1は、製氷機を備えず氷のみを提供する機器であり、製氷業者等から仕入れた、製氷機を備える氷ディスペンサで製氷された氷より低温で製氷され飲料に投入した場合に解けにくいロックアイス(登録商標)、クラッシュアイスなどと言われる塊状の氷、特に概ね所定の範囲の大きさにある不定形の氷を貯留し、カップに所定量ずつ提供するものである。
図1に示すように、氷ディスペンサ1は、略矩形状の筐体2を有している。筐体2の上面には塊状の氷を投入する氷投入口を覆う蓋部3が設けられている。
筐体2の前面には、前面の上部及び中間部を覆う前面扉4が設けられている。また、筐体2の前面には、前面扉4の下端部から下方に向けて塊状の氷を排出する排出口5が設けられている。排出口5の後方には氷排出レバー6(操作レバー、第2の排出操作手段、排出操作手段)が設けられている。氷排出レバー6は、ユーザーが排出口5の下方にカップの口部をかざした際に、カップまたはカップを持った手の甲や指によって後方に押すことが可能となるように配置されている。なお、氷排出レバー6については、代りにプッシュ式の操作手段を備えてもよい。
筐体2の前面扉4の表面には、氷の排出を指示するボタンスイッチが上下方向に4個並べて配置されている。4個のボタンスイッチのうち、上側の3個が定量(第1の所定量)の排出をするための氷定量排出ボタン7(第1の排出操作手段、排出操作手段、報知手段)であり、例えば上側から順番に、氷定量排出ボタン7aが多、氷定量排出ボタン7bが中、氷定量排出ボタン7cが少の排出量を設定可能となっている。4個のボタンスイッチのうちの最下方に配置されたボタンスイッチは、微量(例えば数個:第2の所定量)の氷を排出させるための氷微量排出ボタン8(排出操作手段)である。なお、氷定量排出ボタン7a、7b、7c及び氷微量排出ボタン8は、LEDを内蔵したボタンスイッチである。
排出口5の下方には、こぼれた氷等を受けて溜める受け皿部9が設けられている。
図2に示すように、氷ディスペンサ1の内部には、塊状の氷を貯留する貯氷庫20が備えられている。
貯氷庫20は、上下方向に軸線が延びるように配置される略円筒状のタンクであり、アルミニウムやステンレス等の伝熱性の高い材質で形成され、その周囲を断熱材で覆うようにして構成されている。貯氷庫20は、上部が開口して氷投入口21が設けられ、底部が閉塞されている。
貯氷庫20の前側側面の下部には、貯氷庫20内の氷を排出する開口部22(搬出口)が設けられている。また、貯氷庫20の開口部22から前下方に氷を導く氷誘導ユニット23が設けられている。
氷誘導ユニット23は、貯氷庫20の側面に固定され、開口部22から前側下方斜めに氷を導くスロープ24(固定氷誘導ユニット)と、スロープ24の先端から下方に氷を導くシュート25(排出路)と、氷ディスペンサ1の筐体に固定され、シュート25を支持するブラケット26(固定氷誘導ユニット)により構成されている。シュート25の下端は、氷排出レバー6の前方で下方に向けて開口しており、この開口が氷を排出する排出口5となる。
氷誘導ユニット23には、後述するように、通過する氷の量を検出する氷センサが配置されるが、従来の氷ディスペンサにおいて、シュートにセンサを装着したものがあった。しかるに、シュートの内面は、通過する氷の破片等が付着し、それが解けて濡れるため、汚れやすい部位であり、定期的に取り外して清掃する必要がある。このようなシュートにセンサが装着されていると、清掃のためにシュートを取り外す際、センサをシュートから取り外す(または、センサに接続された配線を、コネクタにおいて、制御部に接続された配線から取り外す)必要があり、作業性が良くない。また、誤ってセンサが装着されたままシュートを取り外そうとして、センサや、センサに接続された配線を破損させる虞もある。
そこで、本実施形態の氷誘導ユニット23は、清掃のためのシュート25の取り外しが容易に行えるように構成されている。
以下、図3A〜図3Dを参照しつつ、氷誘導ユニット23の構造を詳細に説明する。
ここで、図3Aは氷誘導ユニット23の構造を示す斜視図、図3Bはシュート25の斜視図、図3Cは図3Aからシュート25を取り外した状態を示す斜視図、図3Dはさらにブラケット26のハウジング26bを取り外した状態を示す斜視図である。
スロープ24は、フランジ部24aと斜路部24bとから構成されている。
フランジ部24aは、スロープ24の上端部に設けられ、スロープ24を貯氷庫20の前側側面の下部に固定する機能を有している。フランジ部24aには、貯氷庫20の開口部22と略同一の形状を有する開口部24cが設けられており、スロープ24が貯氷庫20の前側側面の下部に固定された時、両開口部の位置が揃うようになっている。
斜路部24bは、フランジ部24aにおける開口部24cの下縁から下方へ離隔した位置から斜め下方へ延びる平面に沿って延在する下部壁24dと、開口部24cの上縁から斜め上方へ延在する上部壁24eとを備え、上部壁24eは下部壁24dよりも短く形成されている。また、斜路部24bは、開口部24cの左右両縁からそれぞれ前方へ延在する側部壁(側壁)24fを備えている。側部壁24fは、開口部24cの左右両縁と略同一の高さのまま斜め下方へ延在する下方部分と、当該下方部分と上部壁24eとを接続する三角形の上方部分とを、一体にした形状を有している。これにより、斜路部24bの開口部24cに近い部位は、上部壁24e、側部壁24f(上方部分及び下方部分)及び下部壁24dから成る角錐状に形成され、開口部24cから遠い部位は、側部壁24f(下方部分)及び下部壁24dから成る略コの字状に形成されている。
なお、図3A〜図3Dに示した実施形態では、斜路部24bは上記のように樋状に形成されているが、全体を筒状に形成してもよい。
斜路部24bの下端部近傍の両側部壁24fの外側面には、それぞれボス24gが形成されており、当該ボス24gには、1対の氷センサハウジング24hが装着されている。なお、両側部壁24fの外側面と1対の氷センサハウジング24hの内側面との間には、後述するシュート25の周壁の左右両縁を収容し得る隙間が形成されている。
一方の氷センサハウジング24hには発光素子、受光素子が例えばこの順に上下方向に配置され、他方の氷センサハウジング24hには受光素子、発光素子が上下方向に配置されている。発光素子と受光素子は、両側部壁24f間の氷通路を挟んで対向して配置されたものが対となって、それぞれ氷センサ33a、33b(検出手段)を構成しており、発光素子から発せられた光線が受光素子によって受光されるようになっている(以下、氷センサ33a、33bを、まとめて氷センサ33と称する)。そして、氷通路に氷が存在すると、発光素子から発せられた光線が氷により遮られ、受光素子によって受光されなくなることを利用して、氷通路内の氷の通過を検知し、検知された氷の通過の時間や回数に基づいて、通過した氷の量を検出するようになっている。
シュート25は、図3Bに示すように、スクープ部25aと、その下部に連なる筒部25bとから構成されている。
スクープ部25aは、後側(スロープ24の斜路部24bと対向する側)及び上部が開放された平面視略U字状の断面を有する周壁と、後側の開放端部近傍において周壁の左右両縁を下部において連結する底壁とから構成されており、スロープ24の斜路部24bから放出される氷を受け止め、筒部25bに誘導する機能を有している。また、スクープ部25aの周壁の左右両縁の開放端部近傍の下部には、上下方向に延在する1対のスリット25cが形成されている。
筒部25bは、略円筒状に形成されており、スロープ24の斜路部24b及びスクープ部25aを経て到達した氷を下方に誘導し、シュート25の下方にセットされた図示しないカップ内に搬出する機能を有している。筒部25bの外面の左右両側には、それぞれ同じ高さ位置から突出する各1対の上ガイド25d及び下ガイド25eが形成されている。これら上ガイド25d及び下ガイド25eは、いずれも、実質的に水平面内を延在する板状の部材として形成されており、後述するブラケット26にシュート25を装着する際に、シュート25を案内及び支持する機能を有している。
スロープ24の斜路部24bの下端部の下方の氷ディスペンサ1の筐体には、シュート25を支持するブラケット26が固定されている。
ブラケット26は、図3C及び図3Dに示すように、支持体26aと、支持体26aを収容するハウジング26bとから構成されている。
支持体26aは、平面視において前側が開放された略コの字状の支持バネ26cと、支持バネ26cの開放端部のそれぞれに取り付けられた挿入ガイド26dとから構成されている。
支持バネ26cは弾性材料から成り、基部26eと、基部26eの両端からそれぞれ鋭角をなして前方へ突出する1対の腕部26fとを有している。各腕部26fの先端には、平面視において頂部を内側に向けた山形の形状を有する挿入ガイド26dが取り付けられている。そして、支持バネ26cの両腕部26fの間隔はシュート25の筒部25bの左右方向の幅と略同一とされており、また、両挿入ガイド26dの頂部の間隔はシュート25の筒部25bの左右方向の幅より狭く設定されている。
ハウジング26bは、基部26gと、基部26gの両端からそれぞれ直角をなして前方へ突出する1対の腕部26hとから構成されており、平面視において前側が開放されたコの字状に形成されている。基部26g及び腕部26hは、下方が開放された略コの字状の断面を有しており、内部に形成された空間に支持バネ26cの基部26e及び腕部26fを、それぞれ収容している。ハウジング26bの腕部26hの前端部は開放されており、ここから、支持バネ26cの腕部26fに取り付けられた挿入ガイド26dが突出している。
シュート25をブラケット26に取り付けるには、シュート25の筒部25bの外面の左右両側に形成された上ガイド25dと下ガイド25eの間にブラケット26のハウジング26bの腕部26hが挟まれるようにシュート25の位置を合わせた後、シュート25を後方へ押し込めばよい。その際、シュート25の筒部25bが、支持体26aの挿入ガイド26dに案内されつつ、支持バネ26cの腕部26fを外側へ押し広げながら挿入ガイド26dの間を通過し、ブラケット26のハウジング26bの基部26gと腕部26hによって囲まれた空間に収容される。このとき、支持バネ26cの腕部26fは元の状態、すなわち両挿入ガイド26dの頂部の間隔がシュート25の筒部25bの左右方向の幅より狭まった状態となっているため、シュート25の筒部25bが前方へ脱落することが防止される。なお、シュート25をブラケット26から取り外すには、シュート25を単に前方へ引き抜くだけでよい。
さらに、シュート25がブラケット26に取り付けられた状態においては、スクープ部25aの周壁の左右両縁のうちスリット25cより開放端部側の部位が、スロープ24の側部壁24fの外側面と氷センサハウジング24hの内側面との間に形成された隙間に収容される。これにより、氷センサハウジング24h内に収容された光センサである氷センサ33(発光素子及び受光素子)は、スリット25cと対向し、発光素子から発せられた光線は、スリット25cを通過して受光素子へ向かうことになる。
以上に述べたように、氷誘導ユニット23において、通過する氷の量を検出する氷センサ33は、スロープ24の側部壁24fに装着された氷センサハウジング24hの内部に収容されている。すなわち、シュート25には、氷センサ33及びその関連部品が装着されていない。そのため、清掃のためにシュート25を取り外す際、装着された部品を事前に取り外す必要がない。また、シュート25のブラケット26への取り付け及び取り外しは、締結部材を用いることなく、シュート25を後方へ押し込み、または、前方へ引き抜くだけで簡単に行える。このように、本実施形態の氷誘導ユニット23は、清掃のためのシュート25の脱着が簡単に行えるという優れた効果を有する。
なお、以上の実施形態では、氷センサ33をスロープ24の斜路部24bの下端部近傍に配置しているが、氷センサ33は、斜路部24bの途中に配置しても良く、斜路部24bの上端部近傍、すなわちフランジ部24aの開口部24cの近傍に配置しても良い。後述するように、本実施形態の氷ディスペンサ1は、氷センサ33により検出された氷の量が所定量に達すると推定された時にシャッター27が閉じられるように構成されているが、この時点で氷センサ33より上流側にある氷は、氷センサ33によって実際には検出されてはいないものの排出はされるため、実際の排出量は所定量に対して誤差が多くなってしまう。そのため、氷センサ33は、シャッター27になるべく近い位置、すなわちフランジ部24aの開口部24cの近傍に配置することが好ましい。
なお、氷センサ33をスロープ24の斜路部24bの何れかの部位に配置する場合において、氷センサハウジング24hは、スロープ24の何れかの部位に取り付けても良いし、貯氷庫20、筐体2等に取り付けられた専用のブラケットに取り付けても良い。
また、スペースの制約等により、氷センサ33をスロープ24の斜路部24bの何れかの部位に配置できない場合には、氷センサ33を、シュート25、例えば筒部25bの途中に配置しても良い。この場合、氷センサハウジング24hは、ブラケット26のハウジング26bの腕部26hに取り付けることが好ましいが、貯氷庫20、筐体2等に取り付けられた専用のブラケットに取り付けても良い。
なお、以上の実施形態では、シュート25が、ブラケット26に対して前後方向に着脱可能に取り付けられているが、ブラケット26を設けることなく、スロープ24に着脱機構を設けて、シュート25を、スロープ24に対して前後方向に着脱可能に取り付けられるように構成してもよい。
貯氷庫20の前部には、開口部22を覆うシャッター27が設けられている。シャッター27は、スプリング28によって開口部22を閉じる方向に付勢されている。また、シャッター27は、開閉モータ29(排出手段)の作動によってスプリング28の付勢力に抗して開方向に揺動される。
開閉モータ29の出力軸は、歯車減速機構を介してカム(図示省略)に接続されている。したがって、開閉モータ29の出力軸が回転すると、その回転運動は歯車減速機構を経てカムに伝達され、カムが回転する。カムの側面には、シャッター27に取り付けられたバー(図示省略)が当接している。シャッター27は、スプリング28によって開口部22を閉じる方向に付勢されているが、カムの回転によって、シャッター27に取り付けられたバーがカムの側面に沿って運動すると、開口部22の上方に位置する回動軸27aを中心に開方向に回動される。そして、カムが所定角度だけ回転すると、カムの側面によるバーのシャッター27開方向への押圧が解除され、スプリング28の作用によりシャッター27は一気に閉鎖される。
シャッター27のこのような一連の運動によって、シャッター27の開度は時間と共に変化するが、排出される氷の量は、開度を時間積分した総開度に概ね比例すると考えられる。したがって、開閉モータ29の回転速度を増減させることで、総開度を増減させることにより、排出される氷の量を調整することができる。
なお、開閉モータ29によるシャッター27の開閉駆動方法は、上記したものに限定されない。開閉モータ29として正転・逆転が可能なモータを用いれば、モータの正転によりシャッター27を開き、モータの逆転によりシャッター27を閉じることができる。このとき、モータの正転・逆転の回転速度を一定として、シャッター27の最大開度を増減させることにより、または、シャッター27の最大開度を一定としてモータの正転・逆転の回転速度を増減させることにより、排出される氷の量を調整することができる。
このように、シャッター27の駆動にモータを用いることにより、従来のようにソレノイドを用いる場合と比較して、所要スペースを小さくできる、起動時電力を小さくできる、大きな動作トルクを得ることができる、静粛性が向上する等の優れた効果を得ることができる。
ところで、シャッター27が開いて開口部22から氷が排出されつつある時にシャッター27が閉じると、シャッター27の下端部とスロープ24との間に氷が挟まる可能性がある。
これを防止するために、スロープ24の斜路部24bの下部壁24dは、フランジ部24aにおける開口部24cの下縁から下方へ離隔した位置から斜め下方へ延びる平面に沿って延在するように構成されている。すなわち、下部壁24dが延在する平面は、フランジ部24aにおける開口部24cの下縁、すなわち、閉鎖位置近傍にあるシャッター27の下端部から離隔した位置にある。
さらに、貯氷庫20の外面とスロープ24の斜路部24bの下部壁24dとの接続部、一実施例において下部壁24dの表面と、フランジ部24aにおける開口部24cより下の部位の表面との間に形成される隅部は、氷堆積防止部を備えている。
以下、氷堆積防止部の実施例について、図4(A)〜(F)を参照しつつ説明する。
一実施例において、下部壁24dとフランジ部24aとは、図4(A)に示すように、開口部24cの下縁から下方へ離隔した位置で交わるように構成されており、このような構成により形成される隅部、すなわちフランジ部24aにおける開口部24cの下縁よりも下方の部位と下部壁24dとの間に形成される隅部に、突起部24m(充填部材)が設けられている。突起部24mは、下部壁24dの全幅にわたって設けられ、その表面は上に凸の曲面、好ましくは上に凸の円筒面、または上に凸の屈曲面として形成されている。
突起部24mによって、上記した隅部がデッドスペースとして残されることが回避される。また、突起部24mは、その表面が上に凸の円筒面として形成されているので、粉状の氷が付着しにくい。これにより、上記した隅部に粉状の氷が堆積することが防止され、衛生上の問題を引き起こすことがなく、また、堆積した粉状の氷によってシャッター27の開閉が妨げられる虞もない。
なお、図4(D)に示すように、突起部として、その表面が上に凹の曲面、好ましくは上に凹の円筒面、または上に凹の屈曲面として形成された突起部24q(充填部材)を設けても、上記と同様の効果を得ることができる。
なお、上記した隅部に、下部壁24dとは別体の突起部24mを設けることに代えて、突起部を下部壁24dと一体に設ける、すなわち、下部壁24dを、フランジ部24aの近傍の部位において、上に凸の曲面、好ましくは上に凸の円筒面、または上に凸の屈曲面として形成された表面を有するものとして構成することによっても、上記と同様の効果が得られる。例えば、図4(B)に示すように、下部壁24dとフランジ部24aとを、下部壁24dの上端部に接続され、その表面が上に凸の曲面、好ましくは上に凸の円筒面、または上に凸の屈曲面として形成された壁部24nによって接続してもよい。また、図4(C)に示すように、下部壁24dとフランジ部24aとを、下部壁24dの上端部に接続され、その表面が下に凸の曲面、好ましくは下に凸の円筒面として形成された第1壁部24p1と、フランジ部24aに接続され、その表面が上に凸の曲面、好ましくは上に凸の円筒面として形成された第2壁部24p2とから成る断面S字状の壁部24pによって接続してもよい。
なお、図4(E)に示すように、下部壁24dとフランジ部24aとを、下部壁24dの上端部に接続され、その表面が上に凹の曲面、好ましくは上に凹の円筒面として形成された壁部24rによって接続してもよい。また、図4(F)に示すように、下部壁24dとフランジ部24aとを、下部壁24dの上端部に接続され、その表面が上に凹の屈曲面として形成された壁部24sによって接続してもよい。
蓋部3は、その一側部(左部)がヒンジ30を介して筐体2に揺動可能に支持されている。筐体2の上部には、氷投入口21を閉じた蓋部3をロックする電動のロック機構31が備えられている。ロック機構31は、前面扉4を閉じることで蓋部3のロックを行なう。ロック機構31は、前面扉4を開けた状態で操作可能な図示しないロック解除スイッチを操作することで、蓋部3のロックが解除される。なお、氷ディスペンサ1に電源が供給されていない場合でも、前面扉4を開けた状態で手動によりロック機構31のロック解除が可能となっている。
貯氷庫20に塊状の氷を補充するには、ロック機構31のロックを解除して蓋部3を開き、氷投入口21から塊状の氷を投入する。
ここで、氷ディスペンサ1は、前述したように、例えばコンビニエンスストアのレジ近辺のカウンタ上に設置されるため、氷投入口21の床面からの高さは、人の平均的な身長と同程度となる。そのため、塊状の氷を投入する人の身長が低い場合、貯氷庫20の内部を直接的に視認できず、貯氷庫20が満杯になったか否かを確認するために氷投入口21から貯氷庫20の中に手を差し入れることが予想され、衛生上好ましくない。
そこで、本実施形態の氷ディスペンサ1は、貯氷庫20の内部を直接的に視認できない場合であっても、貯氷庫20が満杯になったか否かを確認できるような満氷検知手段を備えている。
一実施例の満氷検知手段は、蓋部3の裏面に配置された鏡により構成される。このような構成により、蓋部3を開放した際、その裏面に配置された鏡によって貯氷庫20の内部を間接的に視認でき、貯氷庫20が満杯になったか否かを容易に確認することができる。
鏡は、結露防止ヒータを備えていることが好ましい。蓋部3を開放した際、貯氷庫20内部と同等の低温になっている鏡に外気が接触すると、外気に含まれる水蒸気が鏡の表面に結露して曇り、貯氷庫20の内部を視認できなくなることが予想される。そのため、蓋部3の開放、または、その前段階(例えば、ロック機構31のロックを解除するための前面扉4の開放)の検知をトリガーとして、結露防止ヒータへの通電を開始するように構成するとよい。これにより、貯氷庫20の内部を視認する時点までに、鏡が結露防止ヒータによって加熱され、外気に含まれる水蒸気が鏡の表面に結露して曇ることを防止したり解消したりすることができる。
なお、鏡は、蓋部3の裏面に代えて、筐体2上部の氷投入口21の周囲(例えば、氷投入口21の後部または右部)に配置してもよい。この場合、鏡は、蓋部3を閉じた状態で貯氷庫20の外部となる位置に配置されることになるので、結露防止ヒータを設ける必要はない。
また、他の実施例の満氷検知手段は、貯氷庫20の上端部(氷投入口21の近傍)に配置された光センサと、当該光センサに接続された満氷報知手段とにより構成される。より具体的には、光センサは1対または複数対の発光素子及び受光素子を含み、それぞれの素子は、貯氷庫20が満杯になった時に、発光素子から受光素子へ向かう光線が堆積した氷により遮られるような位置に配置される。そして、発光素子から受光素子へ向かう光線が遮られた状態が所定時間以上継続した場合に、光センサに接続された満氷報知手段が、貯氷庫20が満杯であることを報知する。満氷報知手段は、表示灯、ディスプレイ、ブザー等、適宜の装置により構成することができる。このような構成により、投入される氷が貯氷庫20内へ落下する時、または、貯氷庫20内に氷が一時的に高く積み上がり、その後崩れた時など、発光素子から受光素子へ向かう光線が遮られる時間が所定時間に満たない場合は、満氷報知は行われず、貯氷庫20が満杯になり、堆積した氷により発光素子から受光素子へ向かう光線が遮られる時間が所定時間以上となった場合にのみ、満氷報知が行われる。そのため、貯氷庫20が満杯になったか否かを確実に確認することができる。
さらに他の実施例の満氷検知手段は、貯氷庫20内の氷の重量を計測し得るように配置された重量センサと、当該重量センサに接続された満氷報知手段とにより構成される。重量センサは、貯氷庫20内の氷の重量を直接的に計測し得るように配置してもよいし、貯氷庫20全体の重量を計測することにより、貯氷庫20内の氷の重量を間接的に計測し得るように配置してもよい。いずれの場合においても、重量センサにより計測された重量が、貯氷庫20の満氷状態に相当する重量に達した時に、重量センサに接続された満氷報知手段が、貯氷庫20が満杯であることを報知する。満氷報知手段は、表示灯、ディスプレイ、ブザー等、適宜の装置により構成することができる。満氷報知手段をディスプレイにより構成した場合には、重量センサにより計測された重量を、例えば貯氷庫20の満氷状態に相当する重量に対するパーセンテージに変換して表示させるようにしてもよい。このように構成することにより、貯氷庫20内の氷の量をリアルタイムで把握できるので、満杯状態を大きく超えて氷を投入してしまうといった不都合を回避することが容易となる。
さらに他の実施例の満氷検知手段は、貯氷庫20の上部(氷投入口21の近傍)に配置された温度センサと、当該温度センサに接続された満氷報知手段とにより構成される。貯氷庫20内で氷が堆積して満杯状態に近づくにつれて、貯氷庫20の上部の温度は低下するので、貯氷庫20内の氷の量と貯氷庫20の上部の温度との相関関係を予め把握しておけば、貯氷庫20の上部の温度から貯氷庫20内の氷の量を推定することができる。そこで、貯氷庫20の上部に配置された温度センサで計測された温度が所定温度以下になった時に、温度センサに接続された満氷報知手段が、貯氷庫20が満杯であることを報知するように構成すればよい。満氷報知手段は、表示灯、ディスプレイ、ブザー等、適宜の装置により構成することができる。
なお、上記いずれの満氷検知手段を採用する場合においても、満杯状態を超えて氷を投入してしまう可能性はある。また、投入された氷は、貯氷庫20内で円錐状に堆積することが多いと考えられ、満杯状態に相当する量の氷を投入した場合であっても、堆積した氷の頂部が貯氷庫20の上端(氷投入口21)より高くなることがある。
そこで、上記のような場合においても、堆積した氷の頂部が収容され得るよう、蓋部3の裏面をドーム状に形成する(すなわち、凹部を設ける)と良い。このような構成により、堆積した氷によって蓋部3を閉めることができなくなるという事態を回避することができる。
また、円錐状に堆積した氷の頂部が貯氷庫20の上端(氷投入口21)より高くなった場合であっても、貯氷庫20内の氷を撹拌することによって当該円錐を崩すことにより、堆積した氷の頂部の高さを低くすることができる。そこで、蓋部3が開いている状態であっても、所定のボタンを押下等することにより、後述する撹拌機構36(排出手段)が作動するように構成すると良い。または、蓋部3が閉じたことが検知された場合に、撹拌機構36が自動的に作動するように構成しても良い。
図5は、本実施形態の氷ディスペンサ1における貯氷庫及び撹拌機構の構造を示す斜視図である。
氷ディスペンサ1の筐体2内には、貯氷庫20を冷却する冷却機構と、貯氷庫20内の氷を撹拌する撹拌機構36が備えられている。
冷却機構は、冷媒を圧縮する電動コンプレッサ40と、圧縮した冷媒を冷却するコンデンサ41を有している。電動コンプレッサ40及びコンデンサ41は、図2に示すように、貯氷庫20の下部に配置されている。コンデンサ41には、コンデンサ41を冷却するための電動のファンモータ42が備えられている。
図5に示すように、貯氷庫20の外側面上部には、冷却機構のエバポレータ43が設けられている。エバポレータ43は、銅やアルミニウム等の伝熱性の高いパイプを貯氷庫20の外側面に巻き回すように配置して構成されている。エバポレータ43内を低温の冷媒が通過することで、貯氷庫20と熱交換して、貯氷庫20内を冷却することが可能となっている。
なお、エバポレータ43は貯氷庫20の上部にのみ巻き回されている。これは、貯氷庫20の下部を冷却し過ぎないようにするためである。例えば貯氷庫20内に氷が貯留している状態で蓋部3を開放したり電源オフとなったりして、貯氷庫20内の温度が上昇して氷が一部解けた後に、冷却機構のエバポレータ43により貯氷庫20の下部を冷却し過ぎると、氷同士が固着したり、氷と開口部22やスロープ24とが付着して、氷の排出が妨げられる虞がある。本実施形態では、エバポレータ43を貯氷庫20の上部にのみ巻き回して、貯氷庫20の下部を冷却し過ぎないようにすることで、このような氷の排出の妨げが回避される。したがって、冷却機構により貯氷庫20の下部において摂氏0度程度に冷却するように、エバポレータ43の位置や能力を設定すればよい。
撹拌機構36は、撹拌器45及び電動の撹拌モータ46によって構成されている。撹拌器45は、円柱状の軸部47に複数の撹拌棒48を備えて構成されている。軸部47は貯氷庫20内の底部に貯氷庫20と同軸に配置されている。撹拌棒48は、円柱状の棒材により形成され、軸部47から上下方向に斜めに屈曲し、貯氷庫20の内周壁近辺まで径方向外方に延びている。撹拌棒48は、軸部47の外周面に例えば数十度ずつ離間して放射状に、かつ上下方向3段に配置されている。撹拌モータ46は、貯氷庫20の下部に配置されている。撹拌モータ46は、その出力軸が軸部47に連結されており、軸部47を回転させることで貯氷庫20内において撹拌器45を回転させる。また、貯氷庫20の底壁49の上面は、中心部から外周部に向かって下方に傾斜している。
貯氷庫20の底壁49には、貯氷庫20内の水抜きkのパイプ50が設けられており、貯氷庫20内の水を氷ディスペンサ1の外部に排出可能となっている。
図6は、氷ディスペンサ1における冷却機構35の回路図である。
図6に示すように、氷ディスペンサ1の冷却機構35は、冷媒の循環路51に、順番に電動コンプレッサ40(圧縮機)、電動の第1の開閉弁52、コンデンサ41(凝縮器)、ドライヤ53、逆止弁54、キャピラリーチューブ(毛細管:膨張弁の機能を有する)55、エバポレータ43(蒸発器)、アキュムレータ56を備えている。冷却機構35は、電動コンプレッサ40を駆動して冷媒を循環させて圧縮・膨張し、低温となった冷媒との熱交換により冷却する公知の冷却回路であって、詳細な説明は省略する。
また、電動コンプレッサ40と第1の開閉弁52との間の循環路51と、キャピラリーチューブ55とエバポレータ43との間の循環路51とを連通する連通路57を備えている。連通路57には、電動の第2の開閉弁58が備えられている。
そして、第1の開閉弁52を開弁し、第2の開閉弁58を閉弁させた状態で、電動コンプレッサ40を稼働することで、図6中の実線矢印で示すように循環路51内を冷媒が循環し、エバポレータ43において低温の冷媒と熱交換して貯氷庫20を冷却する。
また、第1の開閉弁52を閉弁し、第2の開閉弁58を開弁した状態で、電動コンプレッサ40を稼働することで、図6中の破線矢印で示すように循環路51及び連通路57内を冷媒が循環し、電動コンプレッサ40によって圧縮され高温となった冷媒がエバポレータ43において熱交換して貯氷庫20を加熱する。このように貯氷庫20を加熱することで、貯氷庫20の内壁に付着した霜を除去する除霜機能が可能となっている。
図7は、氷ディスペンサ1の制御系の構成を示すブロック図である。
氷ディスペンサ1は、電動コンプレッサ40、第1の開閉弁52、第2の開閉弁58、ファンモータ42を作動制御するコントロールユニット60(制御手段)を備えている。コントロールユニット60は、入出力装置、記憶装置(ROM、RAM、不揮発性RAM等)、タイマ及び中央演算処理装置(CPU)等を含んで構成されている。コントロールユニット60は、電源スイッチ61のオン操作状態で稼働する。電源スイッチ61は、例えば前面扉4の表面や、前面扉4内に配置されている。コントロールユニット60は、前面扉4内に配置された冷却スイッチ62がオン操作されることで上記冷却機構35の各機器を作動させ、貯氷庫20の冷却を行なう。また、コントロールユニット60は、前面扉4内に配置された除霜スイッチ63がオン操作されることで、上記冷却機構35の第1の開閉弁52、第2の開閉弁58を切換えて電動コンプレッサ40を駆動し、除霜機能を実行する。
更に、コントロールユニット60は、氷定量排出ボタン7、氷微量排出ボタン8、氷排出レバー6の操作信号、氷センサ33からの検出信号を入力し、開閉モータ29を作動制御して、シャッター27を開作動させるとともに撹拌モータ46を作動させ、氷定量排出ボタン7または氷微量排出ボタン8によって設定された所定量あるいは微量の氷を排出させる。
また、コントロールユニット60は、電源オン時に所定期間(例えば数10分〜数時間)毎に撹拌モータ46を所定時間(例えば数分)作動させる。これにより、貯氷庫20内で塊状の氷同士の固着が抑制される。
なお、シャッター27を閉状態でロックするシャッターロック機構を備え、シャッター27を常時閉状態でロックし、氷を排出させるときのみロックを解除するように制御するとよい。このようなシャッターロック機構を設けることで、上記のように氷が固着しないように撹拌モータ46を作動させた際に、開口部22からの氷の不要な排出を防止することができる。
また、コントロールユニット60は、撹拌モータ46の作動時にロック機構31を作動制御して蓋部3の開放を規制する安全機能を備えている。また、蓋部3には、開閉を検出する開閉センサ66が備えられており、コントロールユニット60は、蓋部3が開いたことが検出された場合に、撹拌モータ46の回転を停止させる安全機能も備えている。
また、撹拌器45または撹拌モータ46の回転軸には、回転速度を検出する回転センサ67が設けられている。コントロールユニット60は、撹拌モータ46の回転制御に拘わらず回転軸の回転が所定時間(例えば数秒)以上検出されない場合には、撹拌モータ46の作動制御を停止するモータ保護機能を有している。これにより、例えば氷が開口部22付近に付着したり、撹拌棒48と開口部22の縁部との間で挟み込まれたりして、撹拌器45の回転が不能となった場合に撹拌モータ46の作動を停止して撹拌モータ46を保護することができる。
また、氷ディスペンサ1には、氷付着防止機構が備えられている。氷付着防止機構は、例えばスロープ24、蓋部3、シャッター27に設けられたヒータ68によって構成されている。
これらのヒータ68は、例えば氷ディスペンサ1の電源オン時に比較的弱い発熱量で加熱し続けてもよいし、所定時間経過毎に加熱してもよい。または、氷が補充された場合に所定時間経過、または所定量排出されるまで、比較的強い発熱量で加熱してもよい。これにより、スロープ24やシャッター27に氷が付着することが抑制され、氷の排出性を向上させることができる。
また、コントロールユニット60は、貯氷庫20内における氷の残量を判定する残量判定機能を有している。貯氷庫20の底部には、貯氷庫20の底部の庫内温度を検出する温度センサ70が備えられている。コントロールユニット60は、温度センサ70により検出した貯氷庫20の底部の庫内温度が、摂氏0度付近に設定した所定温度以下であれば、氷が貯氷庫20内に排出可能な所定量以上残っていると判定する。これは、氷が貯氷庫20内に所定量以上残っていれば、その氷によって貯氷庫20の底部の庫内温度が摂氏0度付近以下に低下するためである。
なお、エバポレータ43は、貯氷庫20の外側面上部に配置され、貯氷庫20の下部には設けられていないので、エバポレータ43による冷却が温度センサ70の検出値に与える影響は抑制される。即ち、氷が貯氷庫20内に殆ど残っていないにも拘わらず、エバポレータ43による冷却によって貯氷庫20の底部の庫内温度が所定温度以下に低下して氷の残量が少ないと誤判定することを防止することができる。
コントロールユニット60は、電源オン状態で氷の残量が所定量以上であると判定すれば、氷定量排出ボタン7a、7b、7c及び氷微量排出ボタン8を点灯させ、ユーザーに氷の排出が可能であることを報知する。また、コントロールユニット60は、氷の残量が所定量未満であると判定した場合には、氷定量排出ボタン7a、7b、7c及び氷微量排出ボタン8を消灯させる。また、氷の残量が所定量未満である場合だけでなく、例えば氷ディスペンサ1の機器が故障している場合にも、氷定量排出ボタン7a、7b、7c及び氷微量排出ボタン8を消灯させる。
また、コントロールユニット60は、氷定量排出ボタン7a、7b、7cの操作により、氷の定量排出中であるときには、選択した氷定量排出ボタン7a、7b、7cを点滅作動し、他の氷定量排出ボタン7a、7b、7c及び氷微量排出ボタン8は消灯させる。
なお、残量判定機能については、上記のように温度センサ70により検出した貯氷庫20の底部の庫内温度に基づいて判定するのではなく、他の方法でも可能である。例えば、氷定量排出ボタン7を操作して氷を排出した際に、氷センサ33により検出した単位時間あたりの氷の排出量が所定量より少ない場合に、氷の残量が少ないと判定してもよい。また、氷の残量が所定量未満であると判定した場合に、ブザー等の音により報知してもよい。
本実施形態では、氷の排出を指示する操作手段として、多、中、少の排出量を設定可能な3種類の氷定量排出ボタン7a、7b、7cの他に氷排出レバー6を備えており、氷定量排出ボタン7a、7b、7cと氷排出レバー6の両方の操作によって、定量の氷の搬出が可能となっている。
氷定量排出ボタン7a、7b、7cのみを備えた氷ディスペンサでは、例えば排出口5の下にカップを配置していない状態で誤って氷定量排出ボタン7a、7b、7cを押した場合、あるいは排出口5の下にカップを置いて氷定量排出ボタン7a、7b、7cを操作した後に誤ってカップを倒してしまったり、排出(落下)した氷の勢いでカップが倒れてしまったりした場合では、氷が無駄に排出されてしまう虞がある。また、一度氷定量排出ボタン7a、7b、7cを押して氷の排出が開始すると設定された量を排出するまで停止することができず、氷を多量に無駄にしてしまう虞がある。
本実施形態では、コントロールユニット60は、氷定量排出ボタン7a、7b、7cと氷排出レバー6の両方の操作が行なわれた場合に、シャッター27の開作動と、撹拌器45による撹拌作動を行ない、氷の排出を行なう。この氷定量排出ボタン7a、7b、7cと氷排出レバー6の両方の操作とは、氷定量排出ボタン7a、7b、7cの操作後に氷排出レバー6を操作することと、氷排出レバー6を操作したまま氷定量排出ボタン7a、7b、7cを押すことのいずれでもよい。コントロールユニット60は、氷定量排出ボタン7a、7b、7cが操作されると、氷排出レバー6の操作状態を確認し、氷排出レバー6が操作されている場合に氷が排出するように制御することで、氷排出レバー6を操作したまま氷定量排出ボタン7a、7b、7cを押すことが確認される。なお、氷定量排出ボタン7a、7b、7cにより設定した設定量の氷が排出されている途中で氷排出レバー6の操作が解除された場合には、氷の排出が停止される。
氷排出レバー6は、排出口5の近辺(下方奥側)に設けられ、ユーザーがカップを持って排出口5の下方に近づけた際に操作可能な位置に配置されているので、氷排出レバー6が操作されている際には排出口5の下方にカップが位置していることになる。
したがって、排出口5の下方に近接してカップが配置されていない状態では、誤って氷定量排出ボタン7a、7b、7cあるいは氷微量排出ボタン8を押したとしても氷が排出されず、無駄な氷の排出を抑制することができる。
また、氷排出レバー6の付勢力(戻り力)は、排出口5の下方の受け皿部9に紙製等の軽量のカップを置いた場合でも操作が解除される程度に比較的大きく設定するとよい。これにより、ユーザーがカップを持たずに受け皿部9に置いたとしても、氷排出レバー6が操作されず、例え氷定量排出ボタン7a、7b、7c氷微量排出ボタン8を押したとしても、氷の排出が抑制される。これにより、カップが倒れた状態で氷が排出されることを防止することができる。
また、コントロールユニット60は、氷の定量排出中に氷排出レバー6の操作解除により氷の排出を停止してから所定時間経過するまでに氷排出レバー6が再操作された場合には氷の排出を再開し、それまでの定量排出中における氷の排出量と合わせて、氷定量排出ボタン7a、7b、7cにより設定した設定量の氷が排出されるように制御する。
これにより、氷の定量排出中に氷排出レバー6を誤って操作解除しても、所定時間経過する前に氷排出レバー6を再操作することで、氷の定量排出が再開され、所定量の排出が可能となる。
コントロールユニット60は、氷の定量排出中に氷排出レバー6が操作解除されて所定時間経過した場合には氷の定量排出を中止する。そして、この氷の定量排出が中止された以降に氷排出レバー6が操作されても、氷定量排出ボタン7a、7b、7cが再度操作されるまで氷の定量排出は行なわない。
コントロールユニット60は、定量排出中では、操作された氷定量排出ボタン7a、7b、7cを点滅作動させるよう制御するが、氷の定量排出中に氷排出レバー6が操作解除された際に所定時間経過するまで、この点滅作動を継続させるように制御するとよい。これにより、氷定量排出ボタン7a、7b、7cが点滅作動中においては、氷の定量排出の再開が可能であることをユーザーに知らせる報知手段となり、氷の定量排出の再開可能、不可をユーザーが容易に判断することが可能となり、使用性の優れたものとなる。
なお、氷の定量排出を再開可能から不可に切換えるタイミングについては、上記のように氷排出レバー6が操作解除されたときから所定時間経過するまで定量排出が再開可能とするようにしてもよいし、定量排出開始から適宜設定された所定時間経過するまでに氷排出レバー6が再操作された場合に定量排出が再開可能とするようにしてもよい。
また、本実施形態では、氷の排出を指示する操作手段として、微量(例えば数個)の氷を排出させる氷微量排出ボタン8が備えられている。氷微量排出ボタン8については、氷定量排出ボタン7a、7b、7cと同様に、氷排出レバー6と両方が操作されることで、氷の排出が可能となっている。
氷微量排出ボタン8を備えていない従来の氷ディスペンサでは、氷定量排出ボタン7a、7b、7cの操作によって氷を排出させた際に、例えば氷の一部がカップからこぼれた場合では、カップへの氷の供給量が足りなくなる。ここで氷を追加しようとして、再度氷定量排出ボタン7a、7b、7cを操作すると、氷が過剰にカップ内に供給されることになり、氷を無駄に消費してしまう虞がある。
これに対して、本実施形態のように、氷微量排出ボタン8を備えることで、カップへ少量(数個)の氷を供給することが可能となる。なお、氷微量排出ボタン8が操作される毎に何度でも数個ずつ氷が排出される。
これにより、氷定量排出ボタン7a、7b、7cの操作によって指示した定量の氷を排出させた際に、例えば氷の一部がカップからこぼれてカップ内への氷の供給が不足している場合には、氷微量排出ボタン8を押すことで、氷のカップへの供給量を調整することができる。
また、氷ディスペンサ1には、微量排出量設定器8a(第2の排出量設定手段)が備えられている。微量排出量設定器8aは、例えばダイヤル式スイッチであって、氷微量排出ボタン8を押した際の排出量を設定する。微量排出量設定器8aは、前面扉4の表面、あるいは前面扉4の内側に設けるとよい。この微量排出量設定器8aにより、氷微量排出ボタン8を押した際の氷の排出量を適宜設定しておくことで、氷の供給量の調整を更にし易いものとすることができる。
なお、氷微量排出ボタン8については、一度操作する毎に少量の氷を排出するようにしてもよいし、氷微量排出ボタン8の操作している間に連続して少量ずつ排出するようにしてもよい。また、氷微量排出ボタン8による氷の排出については、氷排出レバー6の操作がなくとも行なわれるように制御してもよい。
また、氷微量排出ボタン8の操作による微量の氷の排出については、氷定量排出ボタン7a、7b、7cの操作によって指示された定量の氷を排出させた後に、所定時間(第1の所定時間)内で受け付けるようにするとよい。あるいは、定量排出ボタン7a、7b、7cの操作によって指示された定量の氷を排出させた後に、所定回数まで氷微量排出ボタン8の操作による微量の氷の排出を受け付けるようにしてもよい。これにより、氷定量排出ボタン7a、7b、7cの操作による定量の氷の排出後に、氷微量排出ボタン8の操作による微量の氷の排出が可能であることが限定され、氷微量排出ボタン8の必要以上の操作を抑制することができる。
また、上記実施形態では、定量の氷の排出後に、氷微量排出ボタン8によって微量の氷の排出が行なわれるが、氷定量排出ボタン7a、7b、7cの操作によって微量の氷の排出を行なうようにしてもよい。例えば、コントロールユニット60は、氷定量排出ボタン7a、7b、7cの操作によって指示された定量の氷を排出させた後、所定時間(第2の所定時間)経過するまでに、その氷定量排出ボタン7a、7b、7cを再度操作することで、微量の氷の排出を行なうように制御する。即ち、定量の氷の排出後においては、微量の氷の排出の操作指示をする排出操作手段を氷微量排出ボタン8から氷定量排出ボタン7a、7b、7cに変更する。これにより、1つのボタンで氷の提供及び調整が可能となり、操作性を向上させることができる。そして、所定時間(第2の所定時間)経過後は、微量の氷の排出の操作指示をする排出操作手段を氷定量排出ボタン7a、7b、7cから氷微量排出ボタン8に戻す。これにより、所定時間経過後は、氷定量排出ボタン7a、7b、7cの操作によって、新たに定量の氷の排出が可能となる。
なお、微量の氷の排出の操作指示をする排出操作手段を氷微量排出ボタン8から氷定量排出ボタン7a、7b、7cに変更しているときには、例えば当該氷定量排出ボタン7a、7b、7cを点滅させるようにして、ユーザに報知させるとよい。これにより、ユーザーが微量の氷の排出の操作指示をする際に、間違えることなく容易に操作をすることができる。
次に、氷の搬出量の検出方法について詳細に説明する。
本実施形態のように、塊状の氷を貯留し、所定量ずつ排出するような氷ディスペンサでは、氷の大きさは概ね所定の範囲にあるものの、全ての氷の大きさが一定ではない。したがって、塊状の氷の排出量を正確に検知することは難しく、設定量の氷を精度よく提供することは困難である。
そこで、本実施形態では、氷の排出量を検出する氷センサ33が、氷センサハウジング24h内に配置された2つ(2組)の氷センサ33a、33bによって構成されている。氷センサ33a、33bは、貯氷庫20の開口部22から斜め下方に延在するスロープ24の下端部(下端部近傍を含む)に設けられ、スロープ24の延在方向と略垂直方向に、すなわちスロープ24上の氷の移動方向(排出方向)氷の排出方向に対して略垂直方向(例えば上下方向)に、互いに離間して配置されており、夫々の設置位置における氷の通過を検出可能となっている。
コントロールユニット60には、2つの氷センサ33a、33bから所定時間(例えば1msec)毎に検出信号を入力されることにより、氷の通過量を推定する氷排出量計測部80が備えられている。
氷排出量計測部80は、2つの氷センサ33a、33bにより検出した検出信号に基づいて、氷の大きさを推定する。スロープ24が斜め下方に傾斜しているので、開口部22から排出されてスロープ24を通過する氷は、スロープ24の下部壁24d上を滑り落ち、スロープ24の下端部において、比較的小さい氷は概ねスロープ24の下部壁24dの先端部(下端部)近くを通過する。したがって、2つの氷センサ33a、33bのうち下方に配置された氷センサ33bのみで氷を検出した場合には、比較的小さい氷が通過し、両方の氷センサ33a、33bで氷を検出した場合には、比較的大きな氷が通過したものと精度良く推定することができる。
そして、氷排出量計測部80は、氷の大きさと氷センサ33a、33bにより検出した氷の検出時間とに基づいて、氷の通過量を演算する。具体的には、例えば1つのセンサの場合Ag、2つのセンサの場合B(≒2×A)g、夫々1回(1msec)氷の通過を検出する毎に、氷が通過したものと推定する。なお、このA及びBは、本発明の体積情報に該当し、試験等であらかじめ確認して設定すればよい。
したがって、例えば1000msecの間に1つの氷センサ33aまたは33bで600msec氷を検出した場合に、600×Agの氷が通過したと推定し、また、2つの氷センサ33a、33bで同時に400msec氷を検出した場合には、400×Bgの氷が通過したと推定する。そして、この氷の通過量を加算して、全体的な氷の通過量、即ち氷の排出量を演算する。
このように、氷センサ33a、33bの検出時間だけでなく、2つの氷センサ33a、33bの検出結果に基づいて氷の大きさを推定し氷の排出量を演算するので、精度良く氷の排出量を推定することができる。したがって、氷定量排出ボタン7a、7b、7cの操作による氷の定量排出の際に、この氷の排出量の推定値に基づいてシャッター27を閉じるタイミングを制御することで、精度のよい氷の排出が可能となる。
なお、氷センサ33については、スロープ24の下端部ではなく、スロープ24上の範囲内に設けてもよい。
また、氷センサ33を例えばシュート25に設けてもよい。この場合、氷排出量計測部80は、2つの氷センサ33a、33bにより略同時に氷の通過が検出された場合には大型の氷が通過し、2つの氷センサ33a、33bのいずれか一方のみ氷の通過が検出された場合には、小型の氷が通過したものと推定すればよい。
また、氷センサ33を3個以上設けてもよい。この場合には同時に氷を検出した氷センサ33の数が多いほど、大型の氷であると推定すればよい。
そして、本実施形態の氷ディスペンサ1は、塊状の氷を外部から供給して貯留し、カップ等に対して適量ずつ供給するものであって、製氷機能を設けていないので、氷ディスペンサ1を小型化することができる。これにより、設置スペースの限られた場所に設置しやすく、また複数台設置することで氷の供給量を増加させることもでき、使用範囲の広い氷ディスペンサにすることができる。
なお、本発明の氷ディスペンサは、以上の実施形態に限定されるものではない。本発明は、貯留した塊状の氷を適量ずつ供給する氷ディスペンサに広く適用することができる。その際、氷ディスペンサは、製氷機を備えるものであってもよい。