以下に添付図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る撮像装置、画像形成装置、距離計測方法およびプログラムについて詳しく説明する。なお、以下で説明する実施形態では、本発明を適用した画像形成装置の一例としてインクジェットプリンタを例示するが、本発明は、記録媒体に画像を形成する様々なタイプの画像形成装置に対して広く適用可能である。
<画像形成装置の機械的構成>
まず、図1乃至図3を参照しながら、本実施形態の画像形成装置100の機械的な構成例について説明する。図1は、画像形成装置100の内部を透視して示す斜視図、図2は、画像形成装置100の内部の機械的構成を示す上面図、図3は、キャリッジ5に搭載される記録ヘッド6の配置例を説明する図である。
図1に示すように、本実施形態の画像形成装置100は、主走査方向(図中矢印A方向)に往復移動するキャリッジ5を備える。キャリッジ5は、主走査方向に沿って延設された主ガイドロッド3により支持されている。また、キャリッジ5には連結片5aが設けられている。連結片5aは、主ガイドロッド3と平行に設けられた副ガイド部材4に係合し、キャリッジ5の姿勢を安定化させる。
キャリッジ5には、図2に示すように、記録ヘッド6y,6m,6c,6kが搭載されている。記録ヘッド6yは、イエロー(Y)インクを吐出する記録ヘッドである。記録ヘッド6mは、マゼンタ(M)インクを吐出する記録ヘッドである。記録ヘッド6cは、シアン(C)インクを吐出する記録ヘッドである。記録ヘッド6kは、ブラック(Bk)インクを吐出する複数の記録ヘッドである。以下、これら記録ヘッド6y,6m,6c,6kを総称する場合は、記録ヘッド6という。記録ヘッド6は、その吐出面(ノズル面)が下方(記録媒体M側)に向くように、キャリッジ5に支持されている。
記録ヘッド6にインクを供給するためのインク供給体であるカートリッジ7は、キャリッジ5には搭載されず、画像形成装置100内の所定の位置に配置されている。カートリッジ7と記録ヘッド6はパイプで連結されており、このパイプを介して、カートリッジ7から記録ヘッド6に対してインクが供給される。
キャリッジ5は、駆動プーリ9と従動プーリ10との間に張架されたタイミングベルト11に連結されている。駆動プーリ9は、主走査モータ8の駆動により回転する。従動プーリ10は、駆動プーリ9との間の距離を調整する機構を有し、タイミングベルト11に対して所定のテンションを与える役割を持つ。キャリッジ5は、主走査モータ8の駆動によりタイミングベルト11が送り動作されることにより、主走査方向に往復移動する。キャリッジ5の主走査方向の移動は、例えば図2に示すように、キャリッジ5に設けられたエンコーダセンサ13がエンコーダシート14のマークを検知して得られるエンコーダ値に基づいて制御される。
また、本実施形態の画像形成装置100は、記録ヘッド6の信頼性を維持するための維持機構15を備える。維持機構15は、記録ヘッド6の吐出面の清掃やキャッピング、記録ヘッド6からの不要なインクの排出などを行う。
記録ヘッド6の吐出面と対向する位置には、図2に示すように、プラテン16が設けられている。プラテン16は、記録ヘッド6から記録媒体Mに対しインクを吐出する際に、記録媒体Mを支持するためのものである。記録媒体Mは、後述の副走査モータ12(図9参照)によって駆動される搬送ローラにより挟持され、プラテン16上を、副走査方向に間欠的に搬送される。
記録ヘッド6は、プラテン16上の記録媒体Mに対しインクを吐出することで、記録媒体M上に画像を形成する。本実施形態では、キャリッジ5の1回の走査で形成できる画像の幅を多く確保するため、図3に示すように、キャリッジ5に、上流側の記録ヘッド6と下流側の記録ヘッド6とを搭載している。また、ブラックのインクを吐出する記録ヘッド6kは、カラーのインクを吐出する記録ヘッド6y,6m,6cの2倍の数だけキャリッジ5に搭載している。また、記録ヘッド6y,6mは左右に分離して配置されている。これは、キャリッジ5の往復動作で色の重ね順を合わせ、往路と復路とで色が変わらないようにするためである。なお、図3に示す記録ヘッド6の配列は一例であり、図3に示す配列に限定されるものではない。
本実施形態の画像形成装置100を構成する上記の各構成要素は、外装体1の内部に配置されている。外装体1にはカバー部材2が開閉可能に設けられている。画像形成装置100のメンテナンス時やジャム発生時には、カバー部材2を開けることにより、外装体1の内部に設けられた各構成要素に対して作業を行うことができる。
本実施形態の画像形成装置100は、記録媒体Mを副走査方向(図中矢印B方向)に間欠的に搬送し、記録媒体Mの副走査方向の搬送が停止している間に、キャリッジ5を主走査方向に移動させながら、キャリッジ5に搭載された記録ヘッド6からプラテン16上の記録媒体Mに対しインクを吐出して、記録媒体M上に画像を記録する。
特に、画像形成装置100の色調整を行う際には、図2に示すように、キャリッジ5に搭載された記録ヘッド6からプラテン16上の記録媒体Mに対しインクを吐出してカラーパターンCPを形成し、このカラーパターンCPに対する測色を行う。このカラーパターンCPは、画像形成装置100が実際にインクを用いて記録媒体M上に形成した画像であり、画像形成装置100に固有の特性を反映している。したがって、このカラーパターンCPの測色値を用いて、画像形成装置100に固有の特性を記述したデバイスプロファイルを生成、あるいは修正することができる。そして、このデバイスプロファイルに基づいて標準色空間と機器依存色との間の色変換を行うことで、画像形成装置100は再現性の高い画像を出力することができる。
本実施形態の画像形成装置100は、記録媒体Mに形成したカラーパターンCPに対する測色を行うための測色カメラ(撮像装置)20を備える。測色カメラ20は、図2に示すように、記録ヘッド6が搭載されたキャリッジ5に支持されている。そして、測色カメラ20は、記録媒体Mの搬送およびキャリッジ5の移動によりカラーパターンCPが記録された記録媒体M上を移動して、カラーパターンCPと対向する位置にきたときに、画像の撮像を行う。そして、撮像により得られたカラーパターンCPのRGB値に基づいて、カラーパターンCPの測色値を算出する。なお、本実施形態では、撮像により得られたカラーパターンCPのRGB値から算出されるカラーパターンCPの測色値を用いて画像形成装置100の色調整を行う例を説明するが、撮像により得られたカラーパターンCPのRGB値を用いて画像形成装置100の色調整を行うことも可能である。この場合、色調整によって、例えば記録ヘッド6から吐出されるインクの量が調整される。
<測色カメラの機械的構成>
次に、図4乃至図7を参照しながら、本実施形態の測色カメラ20の機械的な構成例について説明する。図4は、測色カメラ20の外観を示す斜視図、図5は、測色カメラ20の分解斜視図、図6は、図4中のX1方向から見た測色カメラ20の縦断面図、図7は、図4中のX2方向から見た測色カメラ20の縦断面図である。
測色カメラ20は、図4および図5に示すように、取り付け片22が一体形成された筐体21を備える。筐体21は、例えば、所定の間隔を空けて対向する底板部21aおよび天板部21bと、これら底板部21aと天板部21bとを繋ぐ側壁部21c,21d,21e,21fを有する。筐体21の底板部21aと側壁部21d,21e,21fは、例えばモールド成形により取り付け片22とともに一体に形成され、これに対して天板部21bと側壁部21cとが着脱可能な構成とされる。図5では天板部21bと側壁部21cとを取り外した状態を示している。
測色カメラ20は、例えば、筐体21の側壁部21eおよび取り付け片22をキャリッジ5の側面部に突き当てた状態で、ネジなどの締結部材を用いてキャリッジ5の側面部に締結されることにより、キャリッジ5に取り付けられる。このとき、測色カメラ20は、図6および図7に示すように、筐体21の底板部21aが間隙dを介してプラテン16上の記録媒体Mに対し略平行な状態で対向するように、キャリッジ5に取り付けられる。間隙dの大きさは、後述のセンサユニット25により撮像される被写体と筐体21との間の距離に相当する。この距離は、例えば、記録媒体Mの厚さの違いや記録媒体Mを支持するプラテン16表面の凹凸の影響などによって変動する。
プラテン16上の記録媒体Mと対向する筐体21の底板部21aには、筐体21の外部の被写体(カラーパターンCPの測色を行う場合は記録媒体M上に形成されたカラーパターンCP)を筐体21の内部から撮像可能にするための開口部23が設けられている。また、筐体21の底板部21aの内面側には、支え部材33を介して開口部23と隣り合うようにして、基準チャート40が配置されている。基準チャート40は、カラーパターンCPの測色やRGB値の取得を行う際に、後述のセンサユニット25によりカラーパターンCPとともに撮像されるものである。なお、基準チャート40の詳細については後述する。
一方、筐体21内部の天板部21b側には、回路基板24が配置されている。また、筐体21の天板部21bと回路基板24との間には、画像を撮像するセンサユニット25が配置されている。センサユニット25は、図6に示すように、CCDセンサまたはCMOSセンサなどの二次元イメージセンサ25aと、センサユニット25の撮像範囲の光学像を二次元イメージセンサ25aの受光面(撮像領域)に結像するレンズ25bとを備える。
センサユニット25は、例えば、筐体21の側壁部21eと一体に形成されたセンサホルダ26により保持される。センサホルダ26には、回路基板24に形成された貫通孔24aと対向する位置にリング部26aが設けられている。リング部26aは、センサユニット25のレンズ25b側の突出した部分の外形形状に倣った大きさの貫通孔を有する。センサユニット25は、レンズ25b側の突出した部分をセンサホルダ26のリング部26aに挿通することで、レンズ25bが回路基板24の貫通孔24aを介して筐体21の底板部21a側を臨むようにして、センサホルダ26により保持される。
このとき、センサユニット25は、図6中の一点鎖線で示す光軸が筐体21の底板部21aに対して略垂直となり、且つ、開口部23と後述の基準チャート40とが撮像範囲に含まれるように、センサホルダ26により位置決めされた状態で保持される。これにより、センサユニット25は、二次元イメージセンサ25aの撮像領域の一部で、筐体21外部の被写体(記録媒体M上に形成されたカラーパターンCP)を開口部23を介して撮像するとともに、二次元イメージセンサ25aの撮像領域の他の一部で、筐体21の内部に配置された基準チャート40を撮像することができる。
なお、センサユニット25は、各種の電子部品が実装される回路基板24に対して、例えばフレキシブルケーブルを介して電気的に接続される。また、回路基板24には、後述する画像形成装置100のメイン制御基板120(図9参照)に対して測色カメラ20を接続するための接続ケーブルが装着される外部接続コネクタ27が設けられている。
また、筐体21の内部には、センサユニット25による撮像時にその撮像範囲を略均一に照明するための光源28が設けられている。光源28としては、例えばLED(Light Emitting Diode)が用いられる。本実施形態においては、図7に示すように、センサユニット25のレンズ25bの中心を基準として、開口部23と基準チャート40が並ぶ方向と直交する方向に均等に配置された2つのLEDを光源28として用いている。
光源28として用いる2つのLEDは、例えば回路基板24の底板部21a側の面に実装される。ただし、光源28は、センサユニット25の撮像範囲を拡散光により略均一に照明できる位置に配置されればよく、必ずしも回路基板24に直接実装されていなくてもよい。また、本実施形態では、光源28としてLEDを用いたが、光源28の種類はLEDに限定されるものではない。例えば、有機ELなどを光源28として用いるようにしてもよい。有機ELを光源28として用いた場合は、太陽光の分光分布に近い照明光が得られるため、測色精度の向上が期待できる。
また、筐体21の内部には、センサユニット25と該センサユニット25により開口部23を介して撮像される筐体21外部の被写体(記録媒体M上に形成されたカラーパターンCP)との間の光路中に、光路長変更部材29が配置されている。光路長変更部材29は、光源28の光に対して十分な透過率を有する屈折率nの光学素子である。光路長変更部材29は、筐体21外部の被写体の光学像の結像面を筐体21内部の基準チャート40の光学像の結像面に近づける機能を持つ。つまり、本実施形態の測色カメラ20では、センサユニット25と筐体21外部の被写体との間の光路中に光路長変更部材29を配置することによって光路長を変更し、筐体21外部の被写体となるパッチの光学像の結像面と、筐体21内部の基準チャート40の結像面とを、ともにセンサユニット25の二次元イメージセンサ25aの受光面に合わせるようにしている。これによりセンサユニット25は、筐体21外部の被写体と筐体21内部の基準チャート40との双方にピントの合った画像を撮像することができる。
光路長変更部材29は、例えば図6に示すように、一対のリブ30,31によって、底板部21a側の面の両端部が支持されている。また、光路長変更部材29の天板部21b側の面と回路基板24との間に押さえ部材32が配置されることで、光路長変更部材29が筐体21内部で動かないようになっている。光路長変更部材29は、筐体21の底板部21aに設けられた開口部23を塞ぐように配置されるため、筐体21外部から開口部23を介して筐体21内部に進入するインクミストや塵埃などの不純物が、センサユニット25や光源28、基準チャート40などに付着するのを防止する機能も有することになる。
本実施形態の測色カメラ20は、カラーパターンCPの測色を行う際に、筐体21の内部に設けられた光源28を点灯し、この光源28の光を筐体21の外部の記録媒体M上に形成されたカラーパターンCPに照射した状態で、センサユニット25による撮像を行う。したがって、筐体21とカラーパターンCPが形成された記録媒体Mの記録面との間の距離(隙間dの大きさ)に応じてカラーパターンCPに照射される光量が変動し、撮像により得られたカラーパターンCPのRGB値が不安定になる場合がある。そこで、本実施形態の測色カメラ20は、筐体21とカラーパターンCPが形成された記録媒体Mの記録面との間の距離を算出し、算出した距離に基づいて、センサユニット25による撮像によって得られるカラーパターンCPのRGB値を補正する機能を有している。このような測色カメラ20の機能については、詳細を後述する。
なお、以上説明した測色カメラ20の機械的な構成はあくまで一例であり、これに限らない。本実施形態の測色カメラ20は、少なくとも、筐体21の内部に設けられた光源28が点灯している間に、筐体21の内部に設けられたセンサユニット25により、筐体21の外部の被写体を開口部23を介して撮像する構成であればよく、上記の構成に対して様々な変形や変更が可能である。例えば、上述した測色カメラ20では、筐体21の底板部21aの内面側に基準チャート40を配置しているが、筐体21の底板部21aの基準チャート40が配置される位置に開口部23とは別の開口部を設けるとともに、この開口部が設けられた位置に筐体21の外側から基準チャート40を取り付ける構成であってもよい。この場合、センサユニット25は、開口部23を介して記録媒体M上に形成されたカラーパターンCPを撮像するとともに、開口部23とは別の開口部を介して、筐体21の底板部21aに外側から取り付けられた基準チャート40を撮像することになる。この例では、基準チャート40に汚れなどの不良が生じた場合に、交換を容易に行える利点がある。
<基準チャートの具体例>
次に、図8を参照しながら、測色カメラ20の筐体21に配置される基準チャート40の具体例について説明する。図8は、基準チャート40の具体例を示す図である。
図8に示す基準チャート40は、測色用の基準パッチを配列した複数の基準パッチ列41〜44、ドット径計測用パターン列46、距離計測用ライン45、およびチャート位置特定用マーカ47を有する。
基準パッチ列41〜44は、YMCKの1次色の基準パッチを階調順に配列した基準パッチ列41と、RGBの2次色の基準パッチを階調順に配列した基準パッチ列42と、グレースケールの基準パッチを階調順に配列した基準パッチ列(無彩色の階調パターン)43と、3次色の基準パッチを配列した基準パッチ列44と、を含む。ドット径計測用パターン列46は、大きさが異なる円形パターンが大きさ順に配列された幾何学形状測定用のパターン列であり、記録媒体Mに印刷された画像のドット径の計測に用いることができる。
距離計測用ライン45は、複数の基準パッチ列41〜44やドット径計測用パターン列46を囲む矩形の枠として形成されている。チャート位置特定用マーカ47は、距離計測用ライン45の四隅の位置に設けられていて、各基準パッチの位置を特定するためのマーカとして機能する。センサユニット25により撮像される基準チャート40の画像から、距離計測用ライン45とその四隅のチャート位置特定用マーカ47を特定することで、基準チャート40の位置および各基準パッチやパターンの位置を特定することができる。
測色用の基準パッチ列41〜44を構成する各基準パッチは、測色カメラ20の撮像条件を反映した色味の基準として用いられる。なお、基準チャート40に配置されている測色用の基準パッチ列41〜44の構成は、図8に示す例に限定されるものではなく、任意の基準パッチ列を適用することが可能である。例えば、可能な限り色範囲が広く特定できる基準パッチを用いてもよいし、また、YMCKの1次色の基準パッチ列41や、グレースケールの基準パッチ列43は、画像形成装置100に使用されるインクの測色値のパッチで構成されていてもよい。また、RGBの2次色の基準パッチ列42は、画像形成装置100で使用されるインクで発色可能な測色値のパッチで構成されていてもよく、さらに、Japan Color等の測色値が定められた基準色票を用いてもよい。
なお、本実施形態では、一般的なパッチ(色票)の形状の基準パッチ列41〜44を有する基準チャート40を用いているが、基準チャート40は、必ずしもこのような基準パッチ列41〜44を有する形態でなくてもよい。基準チャート40は、測色に利用可能な複数の色が、それぞれの位置を特定できるように配置された構成であればよい。
基準チャート40は、上述したように、筐体21の底板部21aの内面側に開口部23と隣り合うように配置されているため、センサユニット25によって、筐体21の外部の被写体と同時に撮像することができる。なお、ここでの同時に撮像とは、筐体21の外部の被写体と基準チャート40とを含む1フレームの画像データを取得することを意味する。つまり、画素ごとのデータ取得に時間差があっても、筐体21の外部の被写体と基準チャート40とが1フレーム内に含まれる画像データを取得すれば、筐体21の外部の被写体と基準チャート40とを同時に撮像したことになる。
<画像形成装置の制御機構の概略構成>
次に、図9を参照しながら、本実施形態の画像形成装置100の制御機構の概略構成について説明する。図9は、画像形成装置100の制御機構の構成例を示すブロック図である。
本実施形態の画像形成装置100は、図9に示すように、CPU101、ROM102、RAM103、記録ヘッドドライバ104、主走査ドライバ105、副走査ドライバ106、制御用FPGA(Field-Programmable Gate Array)110、記録ヘッド6、測色カメラ20、エンコーダセンサ13、主走査モータ8、および副走査モータ12を備える。CPU101、ROM102、RAM103、記録ヘッドドライバ104、主走査ドライバ105、副走査ドライバ106、および制御用FPGA110は、メイン制御基板120に搭載されている。記録ヘッド6、エンコーダセンサ13、および測色カメラ20は、上述したようにキャリッジ5に搭載されている。
CPU101は、画像形成装置100の全体の制御を司る。例えば、CPU101は、RAM103を作業領域として利用して、ROM102に格納された各種の制御プログラムを実行し、画像形成装置100における各種動作を制御するための制御指令を出力する。
記録ヘッドドライバ104、主走査ドライバ105、副走査ドライバ106は、それぞれ、記録ヘッド6、主走査モータ8、副走査モータ12を駆動するためのドライバである。
制御用FPGA110は、CPU101と連携して画像形成装置100における各種動作を制御する。制御用FPGA110は、機能的な構成要素として、例えば、CPU制御部111、メモリ制御部112、インク吐出制御部113、センサ制御部114、およびモータ制御部115を備える。
CPU制御部111は、CPU101と通信を行って、制御用FPGA110が取得した各種情報をCPU101に伝えるとともに、CPU101から出力された制御指令を入力する。
メモリ制御部112は、CPU101がROM102やRAM103にアクセスするためのメモリ制御を行う。
インク吐出制御部113は、CPU101からの制御指令に応じて記録ヘッドドライバ104の動作を制御することにより、記録ヘッドドライバ104により駆動される記録ヘッド6からのインクの吐出タイミングを制御する。
センサ制御部114は、エンコーダセンサ13から出力されるエンコーダ値などのセンサ信号に対する処理を行う。
モータ制御部115は、CPU101からの制御指令に応じて主走査ドライバ105の動作を制御することにより、主走査ドライバ105により駆動される主走査モータ8を制御して、キャリッジ5の主走査方向への移動を制御する。また、モータ制御部115は、CPU101からの制御指令に応じて副走査ドライバ106の動作を制御することにより、副走査ドライバ106により駆動される副走査モータ12を制御して、プラテン16上の記録媒体Mの副走査方向への移動を制御する。
なお、以上の各部は、制御用FPGA110により実現する制御機能の一例であり、これら以外にも様々な制御機能を制御用FPGA110により実現する構成としてもよい。また、上記の制御機能の全部または一部を、CPU101または他の汎用のCPUにより実行されるプログラムによって実現する構成であってもよい。また、上記の制御機能の一部を、制御用FPGA110とは異なる他のFPGAやASIC(Application Specific Integrated Circuit)などの専用のハードウェアにより実現する構成であってもよい。
記録ヘッド6は、CPU101および制御用FPGA110により動作制御される記録ヘッドドライバ104により駆動され、プラテン16上の記録媒体Mにインクを吐出して画像を形成する。
エンコーダセンサ13は、エンコーダシート14のマークを検知して得られるエンコーダ値を制御用FPGA110に出力する。このエンコーダ値は制御用FPGA110からCPU101へと送られて、例えば、キャリッジ5の位置や速度を計算するために用いられる。CPU101は、このエンコーダ値から計算したキャリッジ5の位置や速度に基づき、主走査モータ8を制御するための制御指令を生成して出力する。
測色カメラ20は、上述したように、画像形成装置100の色調整を行う際に、記録媒体M上に形成されたカラーパターンCPを基準チャート40とともにセンサユニット25により撮像し、撮像画像から得られるカラーパターンCPのRGB値と基準チャート40の各基準パッチのRGB値とに基づいて、カラーパターンCPの測色値(標準色空間における表色値であり、例えばL*a*b*色空間におけるL*a*b*値)を算出する。測色カメラ20が算出したカラーパターンCPの測色値は、制御用FPGA110を介してCPU101に送られる。なお、カラーパターンCPの測色値を算出する具体的な方法としては、例えば特開2013−051671号公報に開示される方法を利用することができる。
なお、画像形成装置100の色調整は、上述したように、撮像により得られたカラーパターンCPのRGB値を用いて実施することもできる。この場合、測色カメラ20は、カラーパターンCPを基準チャート40とともにセンサユニット25により撮像し、撮像画像から得られるカラーパターンCPのRGB値に対し、基準チャート40の各基準パッチのRGB値を用いて、光源28の変動などに起因する誤差を補正する処理を行う。補正されたカラーパターンCPのRGB値は、例えば、測色カメラ20から制御用FPGA110を介してCPU101に送られる。そして、CPU101が、このRGB値を用いて記録ヘッド6のインク吐出量を制御するためのパラメータなどを調整することにより、記録ヘッド6から記録媒体Mに対して吐出されるインクの量が調整される。
<測色カメラの制御機構の構成>
次に、図10を参照しながら、本実施形態の測色カメラ20の機能について説明する。図10は、測色カメラ20の機能的な構成例を示すブロック図である。
測色カメラ20は、図10に示すように、上述したセンサユニット25および光源28のほか、光源駆動制御部51、タイミング信号発生部52、フレームメモリ53、平均化処理部54、第1の補正部55、測色演算部56、不揮発性メモリ57および距離算出部58を備える。これらの各部は、例えば、プロセッサやメモリを含むコンピュータシステム、あるいは、FPGAやASICなどの専用ハードウェアを用いて実現される。これらの各部の機能を実現するハードウェアは、例えば、測色カメラ20の筐体21内部に配置された回路基板24に実装される。
センサユニット25は、レンズ25bを介して入射した光を二次元イメージセンサ25aにより電気信号に変換して、光源28により照明された撮像範囲の画像データを出力する。センサユニット25は、二次元イメージセンサ25aの光電変換により得られたアナログ信号をデジタルの画像データにAD変換し、その画像データに対してシェーディング補正やホワイトバランス補正、γ補正、画像データのフォーマット変換などの各種の画像処理を行った後に出力する機能を内蔵している。二次元イメージセンサ25aの各種動作条件の設定は、CPU101からの各種設定信号に従って行われる。なお、画像データに対する各種の画像処理は、その一部あるいは全部をセンサユニット25の外部で行うようにしてもよい。
光源駆動制御部51は、センサユニット25による画像の撮像時に、光源28を点灯させるための光源駆動信号を生成して、光源28に供給する。
タイミング信号発生部52は、センサユニット25による撮像開始のタイミングを制御するタイミング信号を生成し、センサユニット25に供給する。
フレームメモリ53は、センサユニット25から出力された画像を一時的に格納する。
平均化処理部54は、カラーパターンCPに対する測色を行う際に、センサユニット25から出力されてフレームメモリ53に一時的に格納された画像から、筐体21の開口部23により区切られる画像領域(以下、この画像領域を「被写体画像領域」という)と、基準チャート40を映した画像領域(以下、この画像領域を「基準チャート画像領域」という)とを抽出する。そして、平均化処理部54は、被写体画像領域の中央部の予め定められた大きさの領域の画像データを平均化して、得られた値をカラーパターンCPのRGB値として出力する。また、平均化処理部54は、基準チャート画像領域内の各基準パッチの領域の画像データを平均化して、得られた値を各基準パッチのRGB値として出力する。カラーパターンCPのRGB値は、第1の補正部55により、距離算出部58により算出された距離に応じて補正された上で測色演算部56に渡される。一方、基準チャート40の各基準パッチのRGB値は、第1の補正部55による補正が行われることなく、測色演算部56に渡される。
第1の補正部55は、距離算出部58により算出された筐体21と筐体21外部の被写体との間の距離、より詳しくは、筐体21の底板部21aとカラーパターンCPが形成された記録媒体Mの紙面との間の距離(図6および図7に示した間隙dの大きさ)に応じて、平均化処理部54から出力されるカラーパターンCPのRGB値を補正する。上述したように、筐体21と筐体21外部の被写体との間の距離が変わると、光源28から被写体に照射される光量が変動し、撮像により得られた被写体のRGB値が変化する。そこで、本実施形態の測色カメラ20では、筐体21と筐体21外部の被写体との間の距離を距離算出部58により算出し、算出された距離に応じて、平均化処理部54から出力されるカラーパターンCPのRGB値を補正することにより、上述した距離の変化が生じた場合であってもカラーパターンCPのRGB値を安定的に取得して、カラーパターンCPの測色値を正しく算出できるようにしている。
撮像により得られる筐体21外部の被写体のRGB値は、筐体21と被写体との間の距離に応じて概ね線形に変化する。すなわち、筐体21と被写体との間の距離が大きくなるほど光源28から被写体に照射される光量が低下するため、被写体のRGB値が小さくなる。したがって、筐体21と被写体との間の距離から被写体のRGB値の補正量を算出する補正量算出パラメータを予め実験などによって求めておけば、第1の補正部55は、この補正量算出パラメータを用いて、距離算出部58により算出された距離に応じた補正量を算出し、平均化処理部54から出力されるカラーパターンCPのRGB値を適切に補正することができる。また、筐体21と被写体との間の距離とRGB値の補正量との対応関係を定めた補正テーブルや高次元関数を予め求めておけば、第1の補正部55は、これら補正テーブルや高次元関数を用いて、距離算出部58により算出された距離に応じた補正量をより精度よく算出し、平均化処理部54から出力されるカラーパターンCPのRGB値をより高精度に補正することもできる。なお、筐体21と被写体との間の距離の変化に応じて被写体のRGB値を補正する具体的な方法については、特開2013−228370号公報に詳細が記載されている。
測色演算部56は、第1の補正部55により補正されたカラーパターンCPのRGB値と、基準チャート40の各基準パッチのRGB値とに基づいて、カラーパターンCPの測色値を算出する。測色演算部56が算出したカラーパターンCPの測色値は、メイン制御基板120上のCPU101へと送られる。なお、測色演算部56は、例えば特開2013−051671号公報に開示される方法によりカラーパターンCPの測色値を算出できるため、ここでは測色演算部56の処理の詳細な説明は省略する。
不揮発性メモリ57は、測色演算部56がカラーパターンCPの測色値を算出するために必要な各種データなどを記憶する。
距離算出部58は、センサユニット25により撮像されてフレームメモリ53に一時的に格納された画像を解析することにより、筐体21と筐体21外部の被写体との間の距離、より詳しくは、筐体21の底板部21aとカラーパターンCPが形成された記録媒体Mの紙面との間の距離(図6および図7に示した間隙dの大きさ)を算出する。
図11乃至図13は、センサユニット25により撮像された画像例を示す図である。なお、図11乃至図13は、カラーパターンCPが形成されていない状態の記録媒体Mの紙面を被写体としてセンサユニット25により撮像を行った場合の画像例を示している。
図11乃至図13に示すように、センサユニット25により撮像された画像Imには、筐体21内部の基準チャート40を映した画像領域である基準チャート画像領域RCと、筐体21の開口部23を介して筐体21外部の被写体を映した画像領域、つまり、筐体21の開口部23により区切られる画像領域である被写体画像領域ROとが含まれる。そして、被写体画像領域ROは、高い輝度を示す高輝度領域RO_hの外側(基準チャート40と開口部23とが並ぶ方向と直交する方向の外側であり、図11乃至図13の例では高輝度領域RO_hの上下)に、低い輝度を示す低輝度領域RO_lが帯状に現れた画像となっている。
センサユニット25により撮像された画像Imにおいて、被写体画像領域ROの高輝度領域RO_hよりも外側に低輝度領域RO_lが現れるのは、筐体21の開口部23に対するセンサユニット25と光源28との位置関係の違いにより、センサユニット25により撮像される筐体21外部の被写体の撮像範囲の外側部分に、2つの光源28の一方からの光が照射されない領域が生じるためである。ここで、センサユニット25および光源28は、開口部23を有する筐体21に固定的に設けられているため、センサユニット25により撮像された画像Imにおける被写体画像領域ROの大きさは変化しない。しかし、被写体画像領域ROの高輝度領域RO_hの大きさに対する低輝度領域RO_lの大きさの比率は、筐体21と筐体21外部の被写体との間の距離に応じて変化する。
図12に示す画像Imは、図11に示す画像Imよりも、筐体21と筐体21外部の被写体(記録媒体Mの紙面)との間の距離が小さい状態でセンサユニット25により撮像された画像例を示している。図12に示す画像Imと図11に示す画像Imとを比較すると分かるように、筐体21と筐体21外部の被写体との間の距離が小さくなると、被写体画像領域ROの高輝度領域RO_hの大きさに対する低輝度領域RO_lの大きさの比率は小さくなる。
図13に示す画像Imは、図11に示す画像Imよりも、筐体21と筐体21外部の被写体(記録媒体Mの紙面)との間の距離が大きい状態でセンサユニット25により撮像された画像例を示している。図13に示す画像Imと図11に示す画像Imとを比較すると分かるように、筐体21と筐体21外部の被写体との間の距離が大きくなると、被写体画像領域ROの高輝度領域RO_hの大きさに対する低輝度領域RO_lの大きさの比率は大きくなる。
以上のように、センサユニット25により撮像された画像Imにおいて、被写体画像領域ROの高輝度領域RO_hの大きさに対する低輝度領域RO_lの大きさの比率は、筐体21と筐体21外部の被写体との間の距離に依存した値となる。したがって、被写体画像領域ROの高輝度領域RO_hの大きさに対する低輝度領域RO_lの大きさの比率を求めることで、筐体21と筐体21外部の被写体との間の距離を算出することができる。
距離算出部58は、例えば以下のような方法により、筐体21と筐体21外部の被写体との間の距離を算出する。すなわち、距離算出部58は、まず、センサユニット25により撮像されてフレームメモリ53に一時的に格納された画像Imから、被写体画像領域ROを抽出する。そして、距離算出部58は、例えば、抽出した被写体画像領域ROに対して所定の閾値を用いた二値化処理を行って、被写体画像領域RO内の高輝度領域RO_hを白画素、低輝度領域RO_lを黒画素とする二値化画像を生成する。
次に、距離算出部58は、生成した二値化画像に対し、画像Imにおいて基準チャート画像領域RCと被写体画像領域ROとが並ぶ方向と直交する方向における白画素の画素数と黒画素の画素数とをカウントし、白画素の画素数に対する黒画素の画素数の割合を、高輝度領域RO_hの大きさに対する低輝度領域RO_lの大きさの比率として算出する。なお、本実施形態の測色カメラ20では、上述したように、2つの光源28を、センサユニット25のレンズ25bの中心を基準として、開口部23と基準チャート40が並ぶ方向と直交する方向に均等に配置している。このため、筐体21と被写体との間に相対的な傾きが生じていない状態、より詳しくは、筐体21の底板部21aとカラーパターンCPが形成された記録媒体Mの紙面とが平行な状態が保たれているものと仮定すると、被写体画像領域ROにおける低輝度領域RO_lは、高輝度領域RO_hに対し、画像Imにおいて基準チャート画像領域RCと被写体画像領域ROとが並ぶ方向と直交する方向の両側に、均等な大きさで現れる。したがって、白画素の画素数と黒画素の画素数のカウントは、被写体画像領域ROの半分の大きさ、つまり、被写体画像領域ROの中心から一方の低輝度領域RO_lに向かう方向でのみ行えばよい。
距離算出部58は、被写体画像領域ROの高輝度領域RO_hの大きさに対する低輝度領域RO_lの大きさの比率を以上のように算出したら、得られた比率に基づいて、筐体21と筐体21外部の被写体との間の距離を算出する。なお、高輝度領域RO_hの大きさに対する低輝度領域RO_lの大きさの比率から、筐体21と筐体21外部の被写体との間の距離を算出する方法は、筐体21の開口部23に対する光源28の位置関係によって、3通り考えられる。以下、これら3通りの算出方法を個別に説明する。
<距離算出方法1>
図14は、高輝度領域RO_hの大きさに対する低輝度領域RO_lの大きさの比率から、筐体21と筐体21外部の被写体との間の距離を算出する方法を説明する図であり、光源28が、開口部23のエッジ部分の直上に位置するように回路基板24に実装されている場合の例である。
図14に示すように、光源28の位置をM、センサユニット25のレンズ25bの中心位置をA、開口部23の下側エッジ位置をB、線分ABの延長線と被写体との交点をC、レンズ25bの中心位置Aから被写体に対して垂直に下した直線(センサユニット25の光軸)と、開口部23の下側エッジ位置Bを通る被写体と平行な直線との交点をD、線分ADの延長線と被写体との交点をE、光源28の位置Mから開口部23の下側エッジ位置Bを通る直線と被写体との交点をFとする。このとき、線分ADの長さをL1、線分DEの長さをL2とすると、L2が、筐体21と被写体との間の距離であり、求める長さとなる。また、線分CFの長さをX、線分FEの長さをYとすると、X/Yが、高輝度領域RO_hの大きさに対する低輝度領域RO_lの大きさの比率に相当する。
図14から分かるように、筐体21と被写体との間の距離であるL2の値が変化しても、Yの値は変わらず、線分BDの長さと等しい値となる。一方、Xの値は、L2の値が小さくなるほど小さくなり、L2の値が大きくなるほど大きくなる。したがって、高輝度領域RO_hの大きさに対する低輝度領域RO_lの大きさの比率であるX/Yが分かれば、筐体21と被写体との間の距離であるL2の値が分かる。
図14において、直角三角形BCFと直角三角形ABDは相似形であるため、X:L2=Y:L1である。したがって、X・L1=L2・Yであり、これを変形するとX/Y=L2/L1となる。ここで、L1の値はセンサユニット25の取り付け位置によって決まる固定値であるため、高輝度領域RO_hの大きさに対する低輝度領域RO_lの大きさの比率であるX/Yが分かれば、筐体21と被写体との間の距離であるL2の値が分かる。
<距離算出方法2>
図15は、高輝度領域RO_hの大きさに対する低輝度領域RO_lの大きさの比率から、筐体21と筐体21外部の被写体との間の距離を算出する方法を説明する図であり、光源28が、開口部23のエッジ部分の直上よりもセンサユニット25のレンズ25b寄りに位置するように回路基板24に実装されている場合の例である。
図15に示すように、光源28の位置をM、センサユニット25のレンズ25bの中心位置をA、開口部23の下側エッジ位置をB、線分ABの延長線と被写体との交点をC、レンズ25bの中心位置Aから被写体に対して垂直に下した直線(センサユニット25の光軸)と、開口部23の下側エッジ位置Bを通る被写体と平行な直線との交点をD、線分ADの延長線と被写体との交点をE、開口部23の下側エッジ位置Bから被写体に対して垂直に下した直線と被写体との交点をF、光源28から開口部23の下側エッジ位置Bを通る直線と被写体との交点をG、光源28の位置Mから線分BDに対して垂直に下した直線と線分BDとの交点をI、線分MIの延長線と線分FEとの交点をJ、レンズ25bの中心位置Aを通って線分BDに平行な直線と線分IMの延長線との交点をKとする。このとき、線分ADの長さをL1、線分DEの長さをL2、線分KMの長さをL3とすると、L2が、筐体21と被写体との間の距離であり、求める長さとなる。また、線分CGの長さをX’、線分GEの長さをY’とすると、X’/Y’が、高輝度領域RO_hの大きさに対する低輝度領域RO_lの大きさの比率に相当する。
図15から分かるように、筐体21と被写体との間の距離であるL2の値が0の場合は、X’の値は0となり、Y’の値は、線分BDの長さに等しいYとなる。そして、L2の値が大きくなるほど、X’の値が所定の割合で大きくなるとともに、Y’の値も所定の割合で大きくなる。したがって、高輝度領域RO_hの大きさに対する低輝度領域RO_lの大きさの比率であるX’/Y’が分かれば、筐体21と被写体との間の距離であるL2の値が分かる。
図15において、線分GFの長さをkとおく。このとき、直角三角形BCFと直角三角形ABDは相似形であるため、(X’+k):L2=Y:L1である。したがって、X’=(Y・L2/L1)−kと表すことができる。また、Y’=Y+kである。
ここで、kの値を求めたい。線分BIの長さをmとおく。このとき、直角三角形MBIと直角三角形BGFは相似形であるため、m:L1−L3=k:L2である。したがって、k=L2・m/(L1−L3)と表すことができる。ここで、m/(L1−L3)はレイアウトによって一意に定まる定数である。このm/(L1−L3)をαとすると、k=α・L2と表すことができる。
したがって、X’=(Y・L2/L1)−α・L2となり、Y’=Y+α・L2となる。また、X’ =(Y・L2/L1)−α・L2を変形すると、X’=L2((Y/L1)−α)と表すことができる。ここで、Y/L1もレイアウトによって一意に定まる定数であるため、Y/L1をβとすると、X’=L2(β−α)と表すことができる。
以上より、X’/Y’=L2(β−α)/Y+α・L2となる。α=m/(L1−L3)、β=Y/L1は、上述したように、それぞれレイアウトによって一意に定まる定数であるため、高輝度領域RO_hの大きさに対する低輝度領域RO_lの大きさの比率であるX’/Y’が分かれば、筐体21と被写体との間の距離であるL2の値が分かる。
<距離算出方法3>
図16は、高輝度領域RO_hの大きさに対する低輝度領域RO_lの大きさの比率から、筐体21と筐体21外部の被写体との間の距離を算出する方法を説明する図であり、光源28が、開口部23のエッジ部分の直上よりも側壁部21c寄りに位置するように回路基板24に実装されている場合の例である。
図16に示すように、光源28の位置をM、センサユニット25のレンズ25bの中心位置をA、開口部23の下側エッジ位置をB、開口部23の上側エッジ位置をH、線分ABの延長線と被写体との交点をC、レンズ25bの中心位置Aから被写体に対して垂直に下した直線(センサユニット25の光軸)と、開口部23の下側エッジ位置Bを通る被写体と平行な直線との交点をD、線分ADの延長線と被写体との交点をE、開口部23の下側エッジ位置Bから被写体に対して垂直に下した直線と被写体との交点をF、光源28の位置Mから開口部23の上側エッジ位置Hを通る直線と被写体との交点をG’、線分HG’と線分BDとの交点をI、Iから被写体に対して垂直に下した直線と被写体との交点をJ、光源28の位置Mから筐体21の底板部21aに対して垂直に下した直線と底板部21aとの交点をO、レンズ25bの中心位置Aを通って線分BDに平行な直線と線分OMの延長線との交点をKとする。このとき、線分ADの長さをL1、線分DEの長さをL2とすると、L2が、筐体21と被写体との間の距離であり、求める長さとなる。また、線分BIの長さをx、線分IDの長さをyとし、線分CG’の長さをX’’、線分G’Eの長さをY’’とすると、X’’/Y’’が、高輝度領域RO_hの大きさに対する低輝度領域RO_lの大きさの比率に相当する。
図16から分かるように、筐体21と被写体との間の距離であるL2の値が0の場合は、X’’の値はxとなり、Y’’の値はyとなる。そして、L2の値が大きくなるほど、X’’の値がxから所定の割合で大きくなるとともに、Y’’の値はyから所定の割合で小さくなる。したがって、高輝度領域RO_hの大きさに対する低輝度領域RO_lの大きさの比率であるX’’/Y’’が分かれば、筐体21と被写体との間の距離であるL2の値が分かる。
まず最初に、xの大きさを求めたい。図16において、線分HBの長さ(底板部21aの厚み)をa、線分MOの長さをb、線分OHの長さをcとおく。このとき、直角三角形MOHと直角三角形HBIは相似形であるため、L1−L3−a:a=c:xである。したがって、x=a・c/(L1−L3−a)と表すことができる。ここで、L2=0のとき、X’’=x、Y’’=yであるので、線分BDの長さをdとおくと、X’’/Y’’=x/y={a・c/(L1−L3−a)}/{d−a・c/(L1−L3−a)}となる。ここで、L1,L3,a,b,c,dの値はいずれもレイアウトによって定まる値であるため、{a・c/(L1−L3−a)}/{d−a・c/(L1−L3−a)}は固定値である。したがって、高輝度領域RO_hの大きさに対する低輝度領域RO_lの大きさの比率であるX’’/Y’’がこの値であれば、L2=0であることが分かる。
次に、線分CFの大きさと、線分FG’の大きさを求めたい。図16において、線分CFの長さをe、線分FG’の長さをfとおく。このとき、直角三角形ABDと直角三角形BCFは相似形であるため、L1:d=L2:eである。したがって、e=d・L2/L1と表すことができる。また、直角三角形HBIと直角三角形IJG’は相似形であるため、a:x=L2:f−xである。したがって、f=x・(a+L2)/aと表すことができる。
ここで、CG’=CF+FG’であるから、X’’=d・L2/L1+x・(a+L2)/a=L2・(d/L1+x/a)+xと表すことができる。ここで、d/L1+x/aはレイアウトによって一意に定まる定数である。このd/L1+x/aをαとすると、X’’=L2・α+xと表すことができる。
また、X’’+Y’’の値を求めると、直角三角形ABDと直角三角形ACEは相似形であるため、d:L1=(X’’+Y’’):(L1+L2)である。したがって、X’’+Y’’=d・(L1+L2)/L1=L2・d/L1+dと表すことができる。ここで、d/L1はレイアウトによって一意に定まる定数である。このd/L1をβとすると、X’’+Y’’=L2・β+dと表すことができる。したがって、Y’’ =L2・β+d−X’’=L2・β+d−(L2・α+x)と表すことができる。
以上より、X’’/Y’’=(L2・α+x)/{L2・β+d−(L2・α+x)}となる。ここで、α=d/L1+x/a、β=d/L1は、上述したように、それぞれレイアウトによって一意に定まる定数である。また、xの値もdの値もレイアウトによって一意に定まる値である。したがって、高輝度領域RO_hの大きさに対する低輝度領域RO_lの大きさの比率であるX’’/Y’’が分かれば、筐体21と被写体との間の距離であるL2の値が分かる。
<その他の方法>
なお、以上の説明では、被写体画像領域ROの高輝度領域RO_hの大きさに対する低輝度領域RO_lの大きさの比率に基づいて、筐体21と筐体21外部の被写体との間の距離を算出するものとしている。しかし、低輝度領域RO_lの大きさと高輝度領域RO_hの大きさ(図14の例では低輝度領域RO_lの大きさのみ)は、上述したように、筐体21と被写体との間の距離に応じて線形に変化する。したがって、低輝度領域RO_lまたは高輝度領域RO_hの大きさと、筐体21と被写体との間の距離との対応関係を示す対応テーブルを事前に作成しておき、この対応テーブルを用いて筐体21と被写体との間の距離を算出するようにしてもよい。
この場合、上記の対応テーブルは、筐体21と被写体との間の距離を順次変更しながらセンサユニット25による撮像を行い、得られた画像を解析して取得した低輝度領域RO_lまたは高輝度領域RO_hの大きさと、その画像を撮像したときの筐体21と被写体との間の距離とを対応付けることにより作成され、不揮発性メモリ57(第1のテーブル保持部の一例)などに格納される。そして、距離算出部58は、筐体21と被写体との間の距離を算出する際に、センサユニット25により撮像された画像を解析して低輝度領域RO_lまたは高輝度領域RO_hの大きさを取得し、不揮発性メモリ57が保持する対応テーブルを参照して、取得した低輝度領域RO_lまたは高輝度領域RO_hの大きさに対応する、筐体21と被写体との間の距離を算出する。
距離算出部58により算出された筐体21と被写体との間の距離は、上述したように、第1の補正部55に渡されて、第1の補正部55においてカラーパターンCPのRGB値(高輝度領域RO_hの色情報)を補正するために用いられる。これにより、筐体21と被写体との間の距離の変動によりカラーパターンCPのRGB値が不安定になるといった不都合を解消し、精度のよい測色を行うことができる。
<動作>
次に、本実施形態の測色カメラ20による距離計測動作を簡単に説明する。図17は、本実施形態の測色カメラ20による距離計測の手順を示すフローチャートである。
本実施形態の測色カメラ20は、筐体21と筐体21外部の被写体との間の距離を計測する場合、まず、光源駆動制御部51により光源28を点灯させる(ステップS101)。そして、光源28が点灯している状態で、センサユニット25による撮像を行う(ステップS102)。センサユニット25により撮像され、センサユニット25から出力された画像Imは、フレームメモリ53に格納される。
次に、距離算出部58が、センサユニット25により撮像されてフレームメモリ53に格納された画像Imから、被写体画像領域ROを抽出する(ステップS103)。そして、距離算出部58は、例えば、抽出した被写体画像領域ROに対する二値化処理や黒画素および白画素の画素数をカウントする処理などを行い、高輝度領域RO_hの大きさに対する低輝度領域RO_lの大きさの比率を算出する(ステップS104)。そして、距離算出部58は、算出した比率に基づいて筐体21と被写体との間の距離を算出し(ステップS105)、算出した距離を第1の補正部55に渡す。これにより、本実施形態の測色カメラ20による距離計測動作が終了する。
<実施形態の効果>
以上、具体的な例を挙げながら詳細に説明したように、本実施形態の測色カメラ20は、センサユニット25により撮像された画像Imに含まれる被写体画像領域ROの高輝度領域RO_hの大きさに対する低輝度領域RO_lの大きさの比率に基づいて、筐体21と筐体21外部の被写体との間の距離を算出するようにしている。したがって、従来技術のように距離計測用のマーク部などを光透過部材に設ける必要がなく、筐体21と被写体との間の距離を簡便に計測することができる。
また、本実施形態の測色カメラ20は、算出した距離に応じて、センサユニット25の撮像により得られるカラーパターンCPのRGB値を補正するようにしているので、筐体21と被写体との間の距離の変動によりカラーパターンCPのRGB値が不安定になる不都合を有効に抑制することができる。また、本実施系形態の測色カメラ20は、算出した距離に応じて補正したカラーパターンCPのRGB値に基づいてカラーパターンCPの測色値を算出するようにしているので、カラーパターンCPの測色を高精度に行うことができる。
また、本実施形態の画像形成装置100は、本実施形態の測色カメラ20により算出されたカラーパターンCPの測色値、あるいはカラーパターンCPのRGB値を用いて、記録ヘッド6から記録媒体Mに吐出するインクの吐出量を調整する色調整が行われるので、適切な色調整を行って再現性の高い画像の記録を行うことができる。
<変形例>
上述した実施形態では、測色カメラ20の筐体21と被写体との間に相対的な傾きが生じていない状態が維持されているものと仮定したが、例えば、測色カメラ20の取り付け誤差や記録媒体Mの状態などによっては、測色カメラ20の筐体21の底面部21aに対して被写体が平行(水平)とならず、これらの間に相対的な傾きが生じる場合もある。この場合、傾きに応じて光源28から被写体に照射される光量が変動し、撮像により得られた被写体のRGB値が変化する。そこで、上述した測色カメラ20に、筐体21と被写体との間に相対的な傾きを算出する機能を付加してもよい。さらに、筐体21と被写体との間の相対的な傾きに応じてカラーパターンCPのRGB値(高輝度領域RO_hの色情報)を補正するように構成してもよい。
図18は、この変形例の測色カメラ20の機能的な構成例を示すブロック図である。この図18に示す構成は、図10に示した構成に対して、傾き算出部59と第2の補正部60とを付加したものである。
傾き算出部59は、センサユニット25により撮像されてフレームメモリ53に一時的に格納された画像を解析することにより、筐体21と被写体との間の相対的な傾き、より詳しくは、筐体21の底板部21aとカラーパターンCPが形成された記録媒体Mの紙面との間の傾きを算出する。
傾き算出部59は、例えば上述した距離算出部58と同様に、センサユニット25により撮像されてフレームメモリ53に一時的に格納された画像Imから、高輝度領域RO_hと低輝度領域RO_lとを含む被写体画像領域ROを抽出し、被写体画像領域ROに対して二値化処理を行って二値化画像を生成する。そして、傾き算出部59は、画像Imにおいて基準チャート画像領域RCと被写体画像領域ROとが並ぶ方向と直交する方向に、二値化画像の両端に現れる黒画素の画素数を各々カウントし、二値化画像の両端の黒画素カウント数の差分が所定の閾値を超える場合(つまり、一方の低輝度領域RO_lの大きさと他方の低輝度領域RO_lの大きさとの間に有意な差がみられる場合)に、筐体21と被写体との間に相対的な傾きが生じていると判定する。
傾き算出部59は、筐体21と被写体との間に相対的な傾きが生じていると判定した場合、さらに、上述の二値化画像における白画素の画素数を黒画素と同じ方向にカウントし、白画素の画素数に対する黒画素の画素数の割合を、高輝度領域RO_hの大きさに対する低輝度領域RO_lの大きさの比率として算出する。そして、傾き算出部59は、被写体画像領域ROの高輝度領域RO_hの大きさに対する低輝度領域RO_lの大きさの比率に基づいて、筐体21と被写体との間の相対的な傾きを算出する。なお、高輝度領域RO_hの大きさに対する低輝度領域RO_lの大きさの比率から傾きを算出する方法の具体例については、詳細を後述する。
第2の補正部60は、傾き算出部59により筐体21と被写体との間の相対的な傾きが算出された場合に、その傾きに応じて、第1の補正部55により補正されたカラーパターンCPのRGB値をさらに補正する。筐体21と被写体との間の相対的な傾きの大きさから被写体のRGB値の補正量を算出する補正量算出パラメータを予め実験などによって求めておけば、第2の補正部60は、この補正量算出パラメータを用いてカラーパターンCPのRGB値を適切に補正することができる。また、筐体21と被写体との間の相対的な傾きの大きさとRGB値の補正量との対応関係を定めた補正テーブルや高次元関数を予め求めておけば、第2の補正部60は、これら補正テーブルや高次元関数を用いて、傾き算出部59により算出された傾きに応じた補正量をより精度よく算出し、カラーパターンCPのRGB値をより高精度に補正することもできる。
ここで、高輝度領域RO_hの大きさに対する低輝度領域RO_lの大きさの比率から傾きを算出する方法の具体例について、図19を参照して説明する。図19は、図14に示した例と同様に、光源28が開口部23のエッジ部分の直上に位置するように回路基板24に実装されている場合において、筐体21の底面部21aに対して被写体が角度θ傾いた場合の例を示している。
被写体が水平(筐体21の底面部21aに対して平行)な場合、筐体21と被写体との間の距離であるL2の値は前記<距離算出方法1>で求まる。一方、筐体21の底面部21aに対して被写体が角度θ傾いている場合、被写体が撮像範囲で直線性を持っていると仮定すると、図19のL2は、下記の式(1)に示すように、2つの低輝度領域RO_lのうちの一方の低輝度領域RO_lの大きさをもとに算出される距離L3と、他方の低輝度領域RO_lの大きさをもとに算出される距離L4との平均値となる。
L2=(L3+L4)/2 ・・・(1)
ここで、図19において、筐体21の底面部21aに対して被写体が水平な場合の低輝度領域RO_lの範囲をx1,x2、高輝度領域RO_hの範囲をy1,y2とし、筐体21の底面部21aに対して被写体が角度θ傾いている場合の低輝度領域RO_lの範囲(図19の線分AP,線分QB)をx1’,x2’、高輝度領域RO_hの範囲(線分PO,線分OQ)をy1’,y2’とする。
また、図19において、センサユニット25のレンズ25bの中心から筐体21の底面部21aに対して垂直に下した垂線と被写体との交点を原点Oとし、図の左右方向をx方向、上下方向をy方向とすると、レンズ25bの中心から図の左側の開口部23の下側エッジ位置を通る傾きαの線は、下記式(2)で表すことができる。
y=(L1/y1)×(L1+L2) ・・・(2)
また、原点Oを通る傾きθの線は、下記式(3)で表すことができる。
y=−tanθx ・・・(3)
上記式(2)と式(3)を解くと、交点A(x,y)が求まる。この交点Aのy座標A(y)が距離L3である。この交点Aを通って筐体21の底面部21aに対して平行な線を考えたとき、この線における低輝度領域RO_lの範囲をx1’’、高輝度領域RO_hの範囲をy1’’とすると、x1’’とy1’’はそれぞれ下記式(4)で表すことができる。
x1’’=|A(x)|−|y1|
y1’’=y1 ・・・(4)
上記式(4)のx1’’およびy1’’とθとを用いて、上述のx1’およびy1’は下記式(5)のように求まる。
x1’=x1’’/cosθ
y1’=y1’’/cosθ ・・・(5)
上記式(4)と式(5)より、x1’およびy1’は下記式(6)で表すことができる。
x1’=(|A(x)|−|y1|)/cosθ
y1’=y1/cosθ ・・・(6)
上記式(6)より、画像における低輝度領域RO_lと高輝度領域RO_hの見かけの比率(x1’:y1’=線分AP:線分PO)は、下記式(7)のように表すことができる。
x1’:y1’=(|A(x)|−|y1|)/cosθ:y1/cosθ ・・・(7)
ここで、A(x)は上記式(2)と式(3)から求まるθの関数であるため、x1’:y1’が分かればθが求まる。なお、θが十分小さい場合、A(x)=x1+y1、B(x)=x2+y2と近似することができるため、上記式(2)との交点から求める過程を簡便にすることができる。
なお、以上の説明では、被写体画像領域ROの高輝度領域RO_hの大きさに対する低輝度領域RO_lの大きさの比率に基づいて、筐体21と被写体との相対的な傾きを算出するものとしているが、低輝度領域RO_lまたは高輝度領域RO_hの大きさと、筐体21と被写体との相対的な傾きとの対応関係を示す対応テーブルを事前に作成しておき、この対応テーブルを用いて筐体21と被写体と相対的な傾きを算出するようにしてもよい。
この場合、上記の対応テーブルは、筐体21と被写体との間の距離を順次変更するとともに、それぞれの距離において筐体21と被写体との相対的な傾きを順次変更しながらセンサユニット25による撮像を行い、得られた画像を解析して取得した低輝度領域RO_lまたは高輝度領域RO_hの大きさと、その画像を撮像したときの筐体21と被写体との相対的な傾きとを対応付けることにより作成され、不揮発性メモリ57(第2のテーブル保持部の一例)などに格納される。そして、傾き算出部59は、筐体21と被写体との相対的な傾きを算出する際に、センサユニット25により撮像された画像を解析して低輝度領域RO_lまたは高輝度領域RO_hの大きさを取得し、不揮発性メモリ57が保持する対応テーブルを参照して、取得した低輝度領域RO_lまたは高輝度領域RO_hの大きさに対応する、筐体21と被写体との相対的な傾きを算出する。
傾き算出部59により算出された筐体21と被写体との相対的な傾きは、上述したように、第2の補正部60に渡されて、第2の補正部60においてカラーパターンCPのRGB値(高輝度領域RO_hの色情報)を補正するために用いられる。これにより、筐体21と被写体との相対的な傾きの影響によりカラーパターンCPのRGB値が不安定になるといった不都合を解消し、精度のよい測色を行うことができる。
また、上述した実施形態では、カラーパターンCPの測色値を算出する機能を測色カメラ20に持たせるようにしているが、測色値の算出を測色カメラ20の外部で行う構成としてもよい。例えば、画像形成装置100のメイン制御基板120に実装されたCPU101や制御用FPGA110が、カラーパターンCPの測色値を算出するように構成することができる。この場合、測色カメラ20は、カラーパターンCPの測色値の代わりに、センサユニット25の撮像によって得られるカラーパターンCPのRGB値や基準チャート40に含まれる基準パッチのRGB値を、CPU101や制御用FPGA110に送る構成となる。つまり、測色カメラ20は、測色値を算出する機能を持たない撮像装置として構成される。
また、上述した実施形態では、シリアルヘッド方式のインクジェットプリンタとして構成された画像形成装置100を例示したが、本発明は上述した例に限らず、様々なタイプの画像形成装置に対して有効に適用可能である。例えば、ラインヘッド方式のインクジェットプリンタに本発明を適用する場合は、記録媒体Mの搬送方向と直交する方向に、複数の測色カメラ20を並べて配置する構成としてもよい。また、電子写真方式の画像形成装置に本発明を適用する場合は、少なくとも定着後の記録媒体Mの搬送経路のいずれかの位置に、複数の測色カメラ20を記録媒体Mの搬送方向と直交する方向に並べて配置する構成としてもよい。特に、記録媒体Mを搬送しながら複数の測色カメラ20を用いてカラーパターンCPの測色(RGB値の取得)を行う場合には、カラーパターンCPを、記録媒体Mの搬送方向に長い形状のパッチとして形成することが望ましい。
図20は、プロダクションプリンティング機として構成された電子写真方式の画像形成装置200の外観図である。図20に示す画像形成装置200は、色材としてトナーを用い、記録媒体Mに対して電子写真方式による画像形成を行う本体ユニット201を備える。そして、この本体ユニット201に対し、給紙を行う大容量給紙ユニット202、表紙などを供給するために利用されるインサータ203、画像が形成された記録媒体Mに対して折り加工を行う折りユニット204、ステープルやパンチなどを行うフィニッシャ205、裁断を行う裁断機206などの周辺機を用途に合わせて組み合わせた構成とされる。また、この画像形成装置200には、DFE(Digital Front End)と呼ばれる外部コントローラ300が接続されている。
このように構成される電子写真方式の画像形成装置200では、例えばフィニッシャ205内の記録媒体Mの搬送経路に、記録媒体Mの搬送方向と直交する方向に並ぶようにして、複数の測色カメラ20が配置される。図21は、この場合の測色カメラ20の配置例を説明する図である。図21に示す例では、8つの測色カメラ20を、記録媒体Mの搬送方向と直交する方向に並べてライン状に配置している。
これらの測色カメラ20は、例えば、本体ユニット201によってカラーパターンCPが形成された記録媒体Mが搬送されると、カラーパターンCPが筐体21に設けられた開口部23と対向する位置にきたタイミングでセンサユニット25による撮像を行い、カラーパターンCPのRGB値を取得する。そして、測色カメラ20は、センサユニット25の撮像により取得したカラーパターンCPのRGB値、あるいはこのRGB値をもとに算出したカラーパターンCPの測色値を、本体ユニット201に送る。本体ユニット201では、測色カメラ20から送られたカラーパターンCPのRGB値あるいはカラーパターンCPの測色値を用いて、記録媒体Mに付着させるトナー量の調整(色調整)が行われる。なお、定着後の記録媒体Mが本体ユニット201内で十分に冷却される構成であれば、冷却された記録媒体Mが搬送される本体ユニット201内の搬送経路に、複数の測色カメラ20を記録媒体Mの搬送方向と直交する方向に並べて配置してもよい。
なお、図21に示した例のように、複数の測色カメラ20を記録媒体Mの搬送方向と直交する方向に並べてライン状に配置した場合、これら複数の測色カメラ20において上述の距離算出部58による距離の算出や傾き算出部59による傾きの算出を同時に行うと、図22に示すように、隣り合う測色カメラ20同士で光源28の光が重なり合い、上述の低輝度領域RO_lの範囲を正確に求められず、距離や傾きの算出を適切に行えない場合がある。そこで、複数の測色カメラ20を記録媒体Mの搬送方向と直交する方向に並べてライン状に配置する構成の場合には、隣り合う測色カメラ20が、距離算出部58による距離の算出や傾き算出部59による傾きの算出を異なるタイミングで行うことが望ましい。
例えば、図23に示すように、ライン状に配置された複数の測色カメラ20が1つずつ順番に距離や傾きの算出を行う構成とすることで、隣り合う測色カメラ20同士で光源28の光が重なり合うことを防止し、距離や傾きの算出を適切に行うことができる。また、図24に示すように、隣り合っていない複数の測色カメラ20が距離や傾きの算出を同時に行う構成とすれば、1つずつ順番に距離や傾きの算出を行うよりも効率的である。さらに、図25に示すように、ライン状に配置された複数の測色カメラ20をその並び順に応じた番号で識別したときに、奇数番(1番、3番、5番・・・)の測色カメラ20と、偶数番(2番、4番、6番・・・)の測色カメラ20とで、距離や傾きの算出を交互に行う構成とすれば、測色カメラ20の数によらずにすべての測色カメラ20における距離や傾きの算出が2回の実施タイミングで完了するので、極めて効率的である。
なお、上述した実施形態や変形例の画像形成装置100,200および測色カメラ20(撮像装置)を構成する各部の制御機能は、ハードウェア、または、ソフトウェア、あるいは、両者の複合構成を用いて実現することができる。画像形成装置100,200および測色カメラ20(撮像装置)を構成する各部の制御機能をソフトウェアにより実現する場合は、画像形成装置100,200や測色カメラ20(撮像装置)が備えるプロセッサが処理シーケンスを記述したプログラムを実行する。プロセッサにより実行されるプログラムは、例えば、画像形成装置100,200や測色カメラ20(撮像装置)内部のROMなどに予め組み込まれて提供される。また、プロセッサが実行するプログラムを、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disc)などのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供するようにしてもよい。
また、プロセッサにより実行されるプログラムを、インターネットなどのネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、プロセッサにより実行されるプログラムを、インターネットなどのネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。
以上、本発明の具体的な実施形態について詳細に説明したが、本発明は上述した実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で様々な変形や変更を加えながら具体化することができる。