以下に添付図面を参照しながら、本発明の一実施形態に係るノズル検査装置、画像形成装置およびノズル検査方法について詳しく説明する。なお、以下で示す実施形態は、インクジェットプリンタとして構成された画像形成装置に搭載され、画像形成装置が記録媒体に形成した測色用パターンの画像を撮像して測色値を算出する機能を持った測色カメラに対して、本発明のノズル検査装置としての機能を持たせた例である。
<画像形成装置の機械的構成>
まず、図1乃至図3を参照しながら、本実施形態の画像形成装置100の機械的構成について説明する。図1は、画像形成装置100の内部を透視して示す斜視図、図2は、画像形成装置100の内部の機械的構成を示す上面図、図3は、キャリッジ5に搭載される記録ヘッド6をインク吐出面側から見た平面図である。
図1に示すように、本実施形態の画像形成装置100は、主走査方向(図中矢印A方向)に往復移動するキャリッジ5を備える。キャリッジ5は、主走査方向に沿って延設された主ガイドロッド3により支持されている。また、キャリッジ5には連結片5aが設けられている。連結片5aは、主ガイドロッド3と平行に設けられた副ガイド部材4に係合し、キャリッジ5の姿勢を安定化させる。
キャリッジ5には、図2に示すように、例えば5つの記録ヘッド6y,6m,6c,6k,6clが搭載されている。記録ヘッド6yは、イエローのインクを吐出する記録ヘッドである。記録ヘッド6mは、マゼンタのインクを吐出する記録ヘッドである。記録ヘッド6cは、シアンのインクを吐出する記録ヘッドである。記録ヘッド6kは、ブラックのインクを吐出する記録ヘッドである。記録ヘッド6clは、クリアインクを吐出する記録ヘッドである。以下、これら記録ヘッド6y,6m,6c,6k,6clを総称する場合は、記録ヘッド6という。記録ヘッド6は、インク吐出面(ノズル面)が下方(記録媒体M側)に向くように、キャリッジ5に支持されている。
記録ヘッド6にインクを供給するためのインク供給体であるカートリッジ7は、キャリッジ5には搭載されず、画像形成装置100内の所定の位置に配置されている。カートリッジ7と記録ヘッド6とは図示しないパイプで連結されており、このパイプを介して、カートリッジ7から記録ヘッド6に対してインクが供給される。
キャリッジ5は、駆動プーリ9と従動プーリ10との間に張架されたタイミングベルト11に連結されている。駆動プーリ9は、主走査モータ8の駆動により回転する。従動プーリ10は、駆動プーリ9との間の距離を調整する機構を有し、タイミングベルト11に対して所定のテンションを与える役割を持つ。キャリッジ5は、主走査モータ8の駆動によりタイミングベルト11が送り動作されることにより、主走査方向に往復移動する。キャリッジ5の主走査方向の移動は、例えば図2に示すように、キャリッジ5に設けられたエンコーダセンサ13がエンコーダシート14のマークを検知して得られるエンコーダ値に基づいて制御される。
また、本実施形態の画像形成装置100は、記録ヘッド6の信頼性を維持するための維持機構15を備える。維持機構15は、記録ヘッド6の吐出面の清掃やキャッピング、記録ヘッド6からの不要なインクの排出などを行う。本実施形態では、記録ヘッド6のノズルに吐出不良が検出された場合、維持機構15により吐出面のワイピングやインクの空吐出などの回復動作を行って、吐出不良を解消させる。
記録ヘッド6のインク吐出面と対向する位置には、図2に示すように、プラテン16が設けられている。プラテン16は、記録ヘッド6から記録媒体M上にインクを吐出する際に、記録媒体Mを支持するためのものである。本実施形態の画像形成装置100は、キャリッジ5の主走査方向の移動距離が長い広幅機である。このため、プラテン16は、複数の板状部材を主走査方向(キャリッジ5の移動方向)に繋いで構成している。記録媒体Mは、図示しない副走査モータによって駆動される搬送ローラにより挟持され、プラテン16上を、図中矢印Bで示す副走査方向(主走査方向と直交する方向)に間欠的に搬送される。
記録ヘッド6は、図3に示すように、複数のノズルが副走査方向(図中矢印B方向)に沿って配列されたノズル列17を有する。記録ヘッド6は、キャリッジ5が主走査方向(図中矢印A方向)に往復移動することに伴って、プラテン16上の記録媒体Mに対して主走査方向に相対移動しながらノズル列17からインクを吐出し、記録媒体Mに画像を形成する。図3に示す記録ヘッド6では、このノズル列17が2列設けられている。一方のノズル列17は、他方のノズル列17に対して、各ノズルが副走査方向にそれぞれ略1/2・pずれた位置となるように形成される。これにより、副走査方向の解像度が高い画像を形成することができる。
本実施形態の画像形成装置100を構成する上記の各構成要素は、外装体1の内部に配置されている。外装体1にはカバー部材2が開閉可能に設けられている。画像形成装置100のメンテナンス時やジャム発生時には、カバー部材2を開けることにより、外装体1の内部に設けられた各構成要素に対して作業を行うことができる。
本実施形態の画像形成装置100は、色調整を行う色調整時において、記録ヘッド6のノズル列17からプラテン16上の記録媒体M上にインクを吐出して多数の測色用パターンを形成し、この測色用パターンの測色を行う。測色用パターンは、画像形成装置100が実際にインクを用いて記録媒体Mに形成するものであり、画像形成装置100に固有の特性を反映している。したがって、多数の測色用パターンの測色値を用いて、画像形成装置100に固有の特性を記述したデバイスプロファイルを生成、あるいは修正することができる。そして、このデバイスプロファイルに基づいて標準色空間と機器依存色との間の色変換を行うことで、画像形成装置100は再現性の高い画像を出力することができる。
本実施形態の画像形成装置100は、記録媒体Mに形成した測色用パターンの画像を撮像して測色値を算出する機能を持った測色カメラ20を備える。測色カメラ20は、図2に示すように、記録ヘッド6が搭載されたキャリッジ5に支持されている。そして、測色カメラ20は、記録媒体Mの搬送およびキャリッジ5の移動により測色用パターンが形成された記録媒体M上を移動して、測色用パターンと対向する位置にきたときに、画像の撮像を行う。そして、撮像により得られた測色用パターンのRGB値に基づいて、測色用パターンの測色値を算出する。
また、本実施形態の画像形成装置100では、測色カメラ20を用いて、記録ヘッド6のノズルに吐出不良が生じているか否かの検査を行う。記録ヘッド6におけるノズルの吐出不良を検査する際には、記録ヘッド6y,6m,6c,6k,6clをそれぞれ単独で使用して形成されるテストパターン(以下、測色用パターンと区別して「検査用パターン」という。)を被写体として、測色カメラ20による撮像を行う。この際、検査用パターンの照明に後述の光源部31を使用する。光源部31は、撮像された画像に正反射領域と拡散反射領域とが含まれるように照明する照明手段である。正反射領域は、被写体での正反射光に基づく画像領域であり、後述の二次元イメージセンサ25が正反射光を受光することで形成される画像内の領域である。拡散反射領域は、被写体での拡散反射光に基づく画像領域であり、二次元イメージセンサ25が拡散反射光を受光することで形成される画像内の領域(正反射領域以外の領域)である。
測色カメラ20は、色インクを吐出する記録ヘッド6y,6m,6c,6kにおけるノズルの吐出不良を検査する場合は、これら記録ヘッド6y,6m,6c,6kを単独で使用して形成される単色の色インクからなる検査用パターン(以下、色インクからなる検査用パターンを特に「第1パターン」という。)が拡散反射領域に入るようにして画像を撮像する。そして、画像内の拡散反射領域を解析し、拡散反射領域に位置する第1パターンの画像に生じる高輝度(低濃度)のスジ状の欠陥である欠陥ラインを検出することで、色インクを吐出する記録ヘッド6y,6m,6c,6kにおけるノズルの吐出不良を検査する。
一方、クリアインクを吐出する記録ヘッド6clにおけるノズルの吐出不良を検査する場合は、記録ヘッド6clを使用して形成されるクリアインクからなる検査用パターン(以下、クリアインクからなる検査用パターンを特に「第2パターン」という。)が正反射領域に入るようにして画像を撮像する。そして、画像内の正反射領域を解析し、正反射領域に位置する第2パターンの画像に生じる低輝度のスジ状の欠陥である欠陥ラインを検出することで、クリアインクを吐出する記録ヘッド6clにおけるノズルの吐出不良を検査する。
色インクを吐出する記録ヘッド6y,6m,6c,6kにおけるノズルの吐出不良と、クリアインクを吐出する記録ヘッド6clにおけるノズルの吐出不良とを同時に検査する場合は、測色カメラ20は、第1パターンが拡散反射領域に入るとともに、第2パターンが正反射領域に入るようにして画像を撮像する。そして、拡散反射領域を解析して欠陥ラインを検出することで、色インクを吐出する記録ヘッド6y,6m,6c,6kにおけるノズルの吐出不良を検査するとともに、正反射領域を解析して欠陥ラインを検出することで、クリアインクを吐出する記録ヘッド6clにおけるノズルの吐出不良を検査する。
<測色カメラの具体例>
次に、図4−1および図4−2を参照しながら、測色カメラ20の具体例について詳細に説明する。図4−1および図4−2は、測色カメラ20の機械的構成の一例を示す図であり、図4−1は、測色カメラ20の縦断面図(図4−2中のX2−X2線断面図)、図4−2は、測色カメラ20の筐体23の内部を図4−1のX1方向に見た平面図である。なお、図4−2においては、測色カメラ20の筐体23の内部に配置された各部材の位置関係を分かり易く示すために、これらの部材を支持する構造体などの図示を適宜省略している。
測色カメラ20は、枠体21と基板22とを組み合わせて構成された筐体23を備える。枠体21は、筐体23の上面となる一端側が開放された有底筒状に形成されている。基板22は、枠体21の開放端を閉塞して筐体23の上面を構成するように枠体21に締結され、枠体21と一体化されている。
筐体23は、その底面部23aが所定の間隙dを介してプラテン16上の記録媒体Mと対向するように、キャリッジ5に固定される。記録媒体Mと対向する筐体23の底面部23aには、記録媒体Mに形成されたパターン(測色用パターンや検査用パターン)を筐体23の内部から撮影可能にするための開口部24が設けられている。
筐体23の内部には、画像を撮像する二次元イメージセンサ25が設けられている。二次元イメージセンサ25は、CCDセンサまたはCMOSセンサなどの撮像素子や結像レンズなどを備え、受光面が筐体23の底面部23a側に向くように、例えば基板22の内面側(部品実装面)に実装されている。
また、筐体23の内部には、測色用パターンの測色を行う際に二次元イメージセンサ25によって測色用パターンとともに撮像される基準チャート40と、この基準チャート40の光学像を二次元イメージセンサ25に導くための反射ミラー26とが設けられている。基準チャート40は、例えば緩衝部材27の圧縮復元力により構造体に押し付けられ、枠体21の側面部に対して平行となる状態で固定されて配置される。反射ミラー26は、例えば緩衝部材28の圧縮復元力により構造体に押し付けられ、筐体23の底面部23aに対して所定角度で傾斜した状態で固定されて配置される。なお、基準チャート40の詳細については後述する。
また、筐体23の内部には、測色用パターンの測色を行う際に二次元イメージセンサ25の撮像範囲を拡散光によって概ね均一に照明するための測色用光源30が設けられている(図4−2参照)。測色用光源30としては、例えばLED(Light Emitting Diode)が用いられる。測色用光源30は、例えば、基板22の内面側に実装される。ただし、測色用光源30は、二次元イメージセンサ25の撮像範囲を概ね均一に照明できる位置に配置されていればよく、必ずしも基板22に直接実装されていなくてもよい。また、本実施形態では、測色用光源30としてLEDを用いているが、光源の種類はLEDに限定されるものではない。例えば、有機ELなどを測色用光源30として用いるようにしてもよい。有機ELを測色用光源30として用いた場合は、太陽光の分光分布に近い照明光が得られるため、測色精度の向上が期待できる。
また、筐体23の内部には、記録ヘッド6におけるノズルの吐出不良を検査する際に、記録媒体Mに形成された検査用パターンを含む撮像範囲を照明する光源部31が設けられている。光源部31は、検査用パターンを被写体として二次元イメージセンサ25が撮像した画像のうち、特に、筐体23の開口部24を介して撮像される範囲(以下、「被写体領域」という。)の画像に上述した正反射領域と拡散反射領域とが含まれるように、開口部24の周辺を照明する。
本実施形態の測色カメラ20では、二次元イメージセンサ25が撮像する被写体領域の画像において、正反射領域が、検査用パターンを形成する際の記録ヘッド6と記録媒体Mとの相対移動方向である主走査方向(図中矢印A方向)に対応する方向に長くなるように形成される。つまり、光源部31は、二次元イメージセンサ25が撮像する被写体領域の画像に、副走査方向に対応する方向の長さよりも主走査方向に対応する方向の長さの方が長い形状の正反射領域が形成されるように構成される。なお、以下では説明の便宜上、検査用パターンの画像における主走査方向に対応する方向を単に主走査方向と呼び、検査用パターンの画像における副走査方向に対応する方向を単に副走査方向と呼ぶ。
光源部31は、例えば図4−2に示すように、主走査方向(図中矢印A方向)に沿って直線状に並ぶように筐体23の内部に配置された複数の検査用光源32を有する構成とされる。検査用光源32としては、例えばLEDが用いられる。測色カメラ20は記録ヘッド6を搭載するキャリッジ5に固定されているため、複数の検査用光源32が並ぶ方向と、検査用パターンを形成する際の記録ヘッド6と記録媒体Mとの相対移動方向が一致する。したがって、二次元イメージセンサ25が撮像する被写体領域の画像には、複数の検査用光源32からの正反射光が主走査方向に並んだ正反射領域が形成される。
なお、光源部31は、二次元イメージセンサ25が撮像する被写体領域の画像において、副走査方向よりも主走査方向に長い正反射領域が形成される構成であればよく、例えば、主走査方向に長い帯状の正反射領域を形成する単一の検査用光源から構成されていてもよい。
また、筐体23の内部には、開口部24を介して筐体23内部に入り込むインクミストや塵埃などが二次元イメージセンサ25や測色用光源30、光源部31の検査用光源32、基準チャート40などに付着するのを防止するためのカバー部材33が設けられている。カバー部材33は、測色用光源30や光源部31の検査用光源32からの光に対して十分な透過率を持つ透明な光学部材であり、開口部24と平行に筐体23内部に配置されている。
カバー部材33は、光源部31の検査用光源32から被写体領域に照射される光の光路に配置される。このため、検査用光源32からの光は、被写体領域だけでなくカバー部材33でも正反射する。このカバー部材33での正反射光が二次元イメージセンサ25に入射すると、記録ヘッド6のノズル吐出不良の検査に悪影響を与える虞がある。このため、筐体23の内部には、さらに、カバー部材33での正反射光を遮断して二次元イメージセンサ25に入射することを防止する遮光部材34が設けられている。この遮光部材34は、例えば図4−1に示すように、カバー部材33に対して垂直に配置された隔壁として構成される。
なお、被写体領域で正反射した正反射光が二次元イメージセンサ25に入射し、かつ、カバー部材33で正反射した正反射光が二次元イメージセンサ25に入射しない位置に光源部31の検査用光源32を配置できる場合は、遮光部材34を設けない構成であってもよい。
本実施形態の測色カメラ20は、測色用パターンの測色時は、測色用光源30を点灯させて、記録媒体Mに形成された測色用パターンを測色用光源30による照明下で二次元イメージセンサ25により撮像する。一方、記録ヘッド6のノズル検査時は、光源部31の複数の検査用光源32を点灯させて、記録媒体Mに形成された検査用パターンを検査用光源32の照明下で二次元イメージセンサ25により撮像する。そして、検査用パターンを被写体として撮像された被写体領域の画像を解析して、記録ヘッド6におけるノズルの吐出不良を検出する。
<基準チャートの具体例>
次に、図5を参照しながら、測色カメラ20の筐体23内部に配置される基準チャート40について詳細に説明する。図5は、基準チャート40の具体例を示す図である。
図5に示す基準チャート40は、測色用の基準パッチを配列した複数の基準パッチ列41〜44、ドット径計測用パターン列46、距離計測用ライン45、およびチャート位置特定用マーカ47を有する。
基準パッチ列41〜44は、YMCKの1次色の基準パッチを階調順に配列した基準パッチ列41と、RGBの2次色の基準パッチを階調順に配列した基準パッチ列42と、グレースケールの基準パッチを階調順に配列した基準パッチ列43と、3次色の基準パッチを配列した基準パッチ列44と、を含む。ドット径計測用パターン列46は、大きさが異なる円形パターンが大きさ順に配列された幾何学形状測定用のパターン列であり、記録媒体Mに形成された画像のドット径の計測に用いることができる。
距離計測用ライン45は、複数の基準パッチ列41〜44やドット径計測用パターン列46を囲む矩形の枠として形成されている。チャート位置特定用マーカ47は、距離計測用ライン45の四隅の位置に設けられていて、各基準パッチの位置を特定するためのマーカとして機能する。二次元イメージセンサ25により撮像される基準チャート40の画像から、距離計測用ライン45とその四隅のチャート位置特定用マーカ47を特定することで、基準チャート40の位置および各基準パッチやパターンの位置を特定することができる。
測色用の基準パッチ列41〜44を構成する各基準パッチは、測色カメラ20の撮像条件を反映した色味の基準として用いられる。なお、基準チャート40に配置されている測色用の基準パッチ列41〜44の構成は、図5に示す例に限定されるものではなく、任意の基準パッチ列を適用することが可能である。例えば、可能な限り色範囲が広く特定できる基準パッチを用いてもよいし、また、YMCKの1次色の基準パッチ列41や、グレースケールの基準パッチ列43は、画像形成装置100に使用されるインクの測色値のパッチで構成されていてもよい。また、RGBの2次色の基準パッチ列42は、画像形成装置100で使用されるインクで発色可能な測色値のパッチで構成されていてもよく、さらに、Japan Color等の測色値が定められた基準色票を用いてもよい。
なお、本実施形態では、一般的なパッチ(色票)の形状の基準パッチ列41〜44を有する基準チャート40を用いているが、基準チャート40は、必ずしもこのような基準パッチ列41〜44を有する形態でなくてもよい。基準チャート40は、測色に利用可能な複数の色が、それぞれの位置を特定できるように配置された構成であればよい。
本実施形態の測色カメラ20では、測色用パターンの測色を行う際に、二次元イメージセンサ25が、測色用光源30による照明下で、記録媒体Mに形成された測色用パターンと筐体23内部の基準チャート40とを同時に撮像する。そして、得られた画像を用いて測色用パターンの測色値を算出する。この際、筐体23外部の測色用パターンと筐体23内部の基準チャート40との双方に焦点の合った画像を撮像できるように、反射ミラー26の位置および角度が調整されている。なお、ここでの同時に撮像とは、測色用パターンと基準チャート40とを含む1フレームの画像データを取得することを意味する。つまり、画素ごとのデータ取得に時間差があっても、1フレーム内に測色用パターンと基準チャート40とを含む画像データを取得すれば、測色用パターンと基準チャート40とを同時に撮像したことになる。
なお、以上説明した測色カメラ20の機械的構成は一例であり、これに限らない。本実施形態の測色カメラ20は、少なくとも二次元イメージセンサ25を用いて測色用パターンの測色や、検査用パターンを用いた記録ヘッド6のノズル吐出不良の検査を行える構成であればよく、上記の構成に対して様々な変形や変更が可能である。
また、本実施形態では、測色用パターンの測色を行う機能を持った測色カメラ20にノズル検査装置としての機能を持たせているが、ノズル検査装置を、測色カメラ20とは別の撮像装置を用いて実現する構成であってもよい。この場合、測色カメラ20とは別の撮像装置は、上述した二次元イメージセンサ25と同様の二次元イメージセンサと、上述した光源部31に相当する光源部とを備える。そして、光源部による照明下で二次元イメージセンサにより検査用パターンを撮像し、被写体領域の画像を解析して欠陥ラインを検出することにより、記録ヘッド6のノズルの吐出不良を検出する。
<画像形成装置の制御機構の概略構成>
次に、図6を参照しながら、本実施形態の画像形成装置100の制御機構の概略構成について説明する。図6は、画像形成装置100の制御機構の概略構成を示すブロック図である。
本実施形態の画像形成装置100は、図6に示すように、CPU101、ROM102、RAM103、記録ヘッドドライバ104、主走査ドライバ105、副走査ドライバ106、制御用FPGA(Field-Programmable Gate Array)110、記録ヘッド6、測色カメラ20、エンコーダセンサ13、主走査モータ8、および副走査モータ12を備える。CPU101、ROM102、RAM103、記録ヘッドドライバ104、主走査ドライバ105、副走査ドライバ106、および制御用FPGA110は、メイン制御基板120に搭載されている。記録ヘッド6、エンコーダセンサ13、および測色カメラ20は、上述したようにキャリッジ5に搭載されている。
CPU101は、画像形成装置100の全体の制御を司る。例えば、CPU101は、RAM103を作業領域として利用して、ROM102に格納された各種の制御プログラムを実行し、画像形成装置100における各種動作を制御するための制御指令を出力する。
記録ヘッドドライバ104、主走査ドライバ105、副走査ドライバ106は、それぞれ、記録ヘッド6、主走査モータ8、副走査モータ12を駆動するためのドライバである。
制御用FPGA110は、CPU101と連携して画像形成装置100における各種動作を制御する。制御用FPGA110は、機能的な構成要素として、例えば、CPU制御部111、メモリ制御部112、インク吐出制御部113、センサ制御部114、およびモータ制御部115を備える。
CPU制御部111は、CPU101と通信を行って、制御用FPGA110が取得した各種情報をCPU101に伝えるとともに、CPU101から出力された制御指令を入力する。
メモリ制御部112は、CPU101がROM102やRAM103にアクセスするためのメモリ制御を行う。
インク吐出制御部113は、CPU101からの制御指令に応じて記録ヘッドドライバ104の動作を制御することにより、記録ヘッドドライバ104により駆動される記録ヘッド6からのインクの吐出タイミングを制御する。
センサ制御部114は、エンコーダセンサ13から出力されるエンコーダ値などのセンサ信号に対する処理を行う。
モータ制御部115は、CPU101からの制御指令に応じて主走査ドライバ105の動作を制御することにより、主走査ドライバ105により駆動される主走査モータ8を制御して、キャリッジ5の主走査方向への移動を制御する。また、モータ制御部115は、CPU101からの制御指令に応じて副走査ドライバ106の動作を制御することにより、副走査ドライバ106により駆動される副走査モータ12を制御して、プラテン16上の記録媒体Mの副走査方向への移動を制御する。
なお、以上の各部は、制御用FPGA110により実現する制御機能の一例であり、これら以外にも様々な制御機能を制御用FPGA110により実現する構成としてもよい。また、上記の制御機能の全部または一部を、CPU101または他の汎用のCPUにより実行されるプログラムによって実現する構成であってもよい。また、上記の制御機能の一部を、制御用FPGA110とは異なる他のFPGAやASIC(Application Specific Integrated Circuit)などの専用のハードウェアにより実現する構成であってもよい。
記録ヘッド6は、CPU101および制御用FPGA110により動作制御される記録ヘッドドライバ104により駆動され、プラテン16上の記録媒体Mにインクを吐出して画像を形成する。
測色カメラ20は、上述したように、画像形成装置100の色調整時に、記録媒体Mに形成された測色用パターンを基準チャート40とともに撮像し、撮像画像から得られる測色用パターンのRGB値と基準チャート40の各基準パッチのRGB値とに基づいて、測色用パターンの測色値(標準色空間における表色値であり、例えばL*a*b*色空間におけるL*a*b*値)を算出する。測色カメラ20が算出した測色用パターンの測色値は、制御用FPGA110を介してCPU101に送られる。なお、測色用パターンの測色値を算出する具体的な方法としては、例えば特開2013−051671号公報に開示される方法を利用することができる。
また、測色カメラ20は、上述したように、記録ヘッド6におけるノズルの吐出不良を検査する機能を有している。記録ヘッド6におけるノズルの吐出不良を検査する場合、測色カメラ20は、上述したように、光源部31による照明下で二次元イメージセンサ25により検査用パターンを被写体とした撮像を行い、得られた被写体領域の画像を解析して欠陥ラインを検出することにより、ノズルの吐出不良を検出する。ノズルの吐出不良の検査結果は、測色カメラ20から制御用FPGA110を介してCPU101に送られる。
エンコーダセンサ13は、エンコーダシート14のマークを検知して得られるエンコーダ値を制御用FPGA110に出力する。このエンコーダ値は制御用FPGA110からCPU101へと送られて、例えば、キャリッジ5の位置や速度を計算するために用いられる。CPU101は、このエンコーダ値から計算したキャリッジ5の位置や速度に基づき、主走査モータ8を制御するための制御指令を生成して出力する。
<測色カメラの制御機構の構成>
次に、図7を参照しながら、測色カメラ20の制御機構について具体的に説明する。図7は、測色カメラ20の制御機構の一構成例を示すブロック図である。
測色カメラ20は、図7に示すように、上述した二次元イメージセンサ25、測色用光源30および光源部31のほか、タイミング信号発生部51、フレームメモリ52、平均化処理部53、測色演算部54、不揮発性メモリ55、光源駆動制御部56、および検出部57を備える。
二次元イメージセンサ25は、当該二次元イメージセンサ25に入射した光を電気信号に変換して、撮像範囲を撮像した画像データを出力する。二次元イメージセンサ25は、光電変換により得られたアナログ信号をデジタルの画像データにAD変換し、その画像データに対してシェーディング補正やホワイトバランス補正、γ補正、画像データのフォーマット変換などの各種の画像処理を行った後に出力する機能を内蔵している。二次元イメージセンサ25の各種動作条件の設定は、CPU101からの各種設定信号に従って行われる。なお、画像データに対する各種の画像処理は、その一部あるいは全部を二次元イメージセンサ25の外部で行うようにしてもよい。
タイミング信号発生部51は、二次元イメージセンサ25による撮像開始のタイミングを制御するタイミング信号を生成し、二次元イメージセンサ25に供給する。本実施形態では、測色用パターンの測色を行う場合だけでなく、記録ヘッド6におけるノズルの吐出不良の検査を行う際にも、二次元イメージセンサ25による撮像を行う。タイミング信号発生部51は、これら測色パターンの測色時および記録ヘッド6のノズルの検査時に、二次元イメージセンサ25による撮像開始のタイミングを制御するタイミング信号を生成し、二次元イメージセンサ25に供給する。
フレームメモリ52は、二次元イメージセンサ25から出力された画像を一時的に格納する。
平均化処理部53は、測色用パターンの測色を行う際に、二次元イメージセンサ25により撮像されてフレームメモリ52に一時的に格納された画像から、測色用パターンを映した領域の中央部付近に設定された測色対象領域と、基準チャート40の各基準パッチを映した領域とを抽出する。そして、平均化処理部53は、抽出した測色対象領域の画像データを平均化して、得られた値を測色用パターンのRGB値として測色演算部54に出力するとともに、各基準パッチを映した領域の画像データを各々平均化して、得られた値を各基準パッチのRGBとして測色演算部54に出力する。
測色演算部54は、平均化処理部53の処理によって得られた測色用パターンのRGB値と、基準チャート40の各基準パッチのRGB値とに基づいて、測色用パターンの測色値を算出する。測色演算部54が算出した測色用パターンの測色値は、メイン制御基板120上のCPU101へと送られる。なお、測色演算部54は、例えば特開2013−051671号公報に開示される方法により測色用パターンの測色値を算出できるため、ここでは測色演算部54の処理の詳細な説明は省略する。
不揮発性メモリ55は、測色演算部54が測色用パターンの測色値を算出するために必要な各種データなどを記憶する。
光源駆動制御部56は、測色用光源30や光源部31(検査用光源32)を駆動するための光源駆動信号を生成して、測色用光源30や光源部31に供給する。本実施形態の測色カメラ20は、上述したように、測色パターンの測色時には測色用光源30を駆動し、記録ヘッド6のノズル検査時には光源部31を駆動する。光源駆動制御部56は、測色用光源30を駆動するタイミングで光源駆動信号を測色用光源30に供給し、光源部31を駆動するタイミングで光源駆動信号を光源部31(検査用光源32)に供給する。
検出部57は、記録ヘッド6におけるノズルの吐出不良の検査を行う際に、光源部31による照明下で二次元イメージセンサ25により撮像され、フレームメモリ52に一時的に格納された画像から被写体領域の画像を抽出し、この被写体領域の画像を解析して、ノズルの吐出不良を検出する。
図8は、記録ヘッド6のノズル検査時に二次元イメージセンサ25が撮像した画像から抽出された被写体領域の画像Imを模式的に示す図である。本実施形態の測色カメラ20は、記録ヘッド6のノズル検査時に光源部31を駆動して二次元イメージセンサ25による画像の撮像を行うため、被写体領域の画像Imには、図8に示すように、正反射領域R1と、正反射領域R1以外の領域である拡散反射領域R2とが形成される。正反射領域R1は、上述したように、記録媒体Mに検査用パターンを形成した際の記録ヘッド6と記録媒体Mとの相対移動方向に対応する方向(本実施形態では図中矢印Aで示す主走査方向)に沿って長い領域として、被写体領域の画像Imに形成される。
ここで、クリアインクを吐出する記録ヘッド6clにおけるノズルの吐出不良を検査する場合、二次元イメージセンサ25は、上述したように、クリアインクを吐出する記録ヘッド6clにより形成された第2パターンP2が正反射領域R1に入るように、画像の撮像を行う。このため、記録ヘッド6clに吐出不良が生じているノズルがある場合、被写体領域の画像Imの正反射領域R1に、主走査方向に沿った低輝度の欠陥ラインが現れる。検出部57は、被写体領域の画像Imの正反射領域R1を解析し、このような欠陥ラインを検出することにより、クリアインクを吐出する記録ヘッド6clにおけるノズルの吐出不良を検出できる。
例えば検出部57は、まず、フレームメモリ52に一時的に格納された二次元イメージセンサ25の撮像画像から、被写体領域の画像Imを抽出する。そして、検出部57は、抽出した被写体領域の画像Imの正反射領域R1に含まれる各画素の画素値を主走査方向に加算平均し、副走査位置ごとの画素平均値を近似曲線で近似する。そして、検出部57は、副走査位置ごとの画素平均値と近似曲線との差分(残差)を所定の閾値と比較し、残差が閾値を超えている位置があれば、その位置のノズルに吐出不良が生じていると判断する。
図9は、記録ヘッド6clにおけるノズルの吐出不良を検査する場合の検出部57による処理の一例を説明する図である。図9(a)は、正反射領域R1に含まれる各画素の画素値を主走査方向に加算平均し、副走査位置ごとの画素平均値(実線)を近似曲線(一点鎖線)で近似した例を示しており、縦軸が主走査方向の画素平均値、横軸が副走査位置である。また、図9(b)は、図9(a)に示した副走査位置ごとの画素平均値と近似曲線との差分(残差)を示しており、縦軸が残差の値、横軸が副走査位置である。記録ヘッド6clに吐出不良が生じているノズルがある場合、図9(b)に示すように、副走査位置のいずれかにおいて残差の値(絶対値)が極端に大きくなる。したがって、検出部57は、このようなノズルの吐出不良に起因する残差の変動を判定可能な適切な閾値を定めておき、副走査位置ごとの残差をこの閾値と比較することで、記録ヘッド6clにおけるノズルの吐出不良を検出することができる。
また、色インクを吐出する記録ヘッド6y,6m,6c,6kにおけるノズルの吐出不良を検査する場合、二次元イメージセンサ25は、上述したように、これら記録ヘッド6y,6m,6c,6kを単独で使用して形成された第1パターンP1が拡散反射領域R2に入るように、画像の撮像を行う。このため、これら記録ヘッド6y,6m,6c,6kに吐出不良が生じているノズルがある場合、被写体領域の画像Imの拡散反射領域R2に、主走査方向に沿った高輝度(低濃度)の欠陥ラインが現れる。検出部57は、被写体領域の画像Imの拡散反射領域R2を解析し、このような欠陥ラインを検出することにより、色インクを吐出する記録ヘッド6y,6m,6c,6kにおけるノズルの吐出不良を検出できる。
例えば検出部57は、まず、フレームメモリ52に一時的に格納された二次元イメージセンサ25の撮像画像から、被写体領域の画像Imを抽出する。そして、検出部57は、抽出した被写体領域の画像Imの拡散反射領域R2のうち、第1パターンP1の位置における各画素の画素値を主走査方向に加算平均し、副走査位置ごとの画素平均値を求める。そして、検出部57は、副走査位置ごとの画素平均値を所定の閾値と比較し、画素平均値が閾値を超えている位置があれば、その位置のノズルに吐出不良が生じていると判断する。
図10は、記録ヘッド6mにおけるノズルの吐出不良を検査する場合の検出部57による処理の一例を説明する図である。図10は、拡散反射領域R2のうち、マゼンタのインクで形成された第1パターンP1の位置における各画素の画素値(RGBデータ)を主走査方向に加算平均した例を示しており、図10(a)がRデータの画素平均値、図10(b)がGデータの画素平均値、図10(c)がBデータの画素平均値をそれぞれ示している。
マゼンタのインクを吐出する記録ヘッド6mに吐出不良が生じているノズルがある場合、図10(b)や図10(c)に示すように、特にGデータやBデータの値が副走査位置のいずれかにおいて極端に大きくなる。したがって、検出部57は、このようなノズルの吐出不良に起因するGデータやBデータの変動を判定可能な適切な閾値を定めておき、副走査位置ごとの残差をこの閾値と比較することで、記録ヘッド6mにおけるノズルの吐出不良を検出することができる。
なお、図8に示した被写体領域の画像Imのように、正反射領域R1にクリアインクで形成された第2パターンP2が位置し、かつ、拡散反射領域R2に色インクで形成された第1パターンP1が位置する画像を二次元イメージセンサ25が撮像する場合、検出部57は、この1つの画像を用いて、色インクを吐出する記録ヘッド6y,6m,6c,6kにおけるノズルの吐出不良と、クリアインクを吐出する記録ヘッド6clにおけるノズルの吐出不良とを同時に検査することができる。
記録ヘッド6におけるノズルの吐出不良の検査結果は、上述したように、測色カメラ20から制御用FPGA110を介してCPU101に送られる。本実施形態の画像形成装置100においては、記録ヘッド6にノズルの吐出不良が生じている旨の検査結果をCPU101が受け取ると、CPU101の指令に従って維持機構15が記録ヘッド6の吐出面のワイピングやインクの空吐出などの回復動作を行い、ノズルの吐出不良を解消させる。このとき、維持機構15による回復動作は、記録ヘッド6の吐出面の全体に対して行ってもよいし、吐出不良が検出されたノズルを含む領域である欠陥領域を対象に行ってもよい。記録ヘッド6における欠陥領域は、例えば、被写体領域の画像Imにおいて欠陥ラインが検出された副走査方向の位置と、欠陥ラインが検出された際の記録媒体Mの送り量(副走査方向の移動量)とに基づいて特定することができる。
また、本実施形態の画像形成装置100は、記録ヘッド6におけるノズルの吐出不良が検出された場合に、例えば図示しない操作パネルでの表示などにより、記録ヘッド6にノズルの吐出不良が生じていることをオペレータに通知してもよい。この場合、オペレータの操作に従って維持機構15が記録ヘッド6の回復動作を行うことで、ノズルの吐出不良を解消させることができる。
図11は、記録ヘッド6におけるノズルの吐出不良を検査する際の測色カメラ20の動作の一例を示すフローチャートであり、二次元イメージセンサ25による一度の撮像で、色インクを吐出する記録ヘッド6y,6m,6c,6kにおけるノズルの吐出不良と、クリアインクを吐出する記録ヘッド6clにおけるノズルの吐出不良とを同時に検査する場合の例である。
本例の場合、色インクを用いて形成された第1パターンと、クリアインクを用いて形成された第2パターンとが隣り合って並ぶように、記録媒体Mに検査用パターンが形成される。そして、これら第1パターンと第2パターンとが並ぶように形成された記録媒体Mが、画像形成装置100のプラテン16上の所定位置にセットされる。所定位置は、測色カメラ20の二次元イメージセンサ25が検査用パターンの画像を撮像したときに、上述した被写体領域の画像Im(図8参照)において、第2パターンP2が正反射領域R1に入り、第1パターンP1が拡散反射領域R2に入ることになる記録媒体Mの位置である。
記録媒体Mが所定位置にセットされると、まず、光源部31の検査用光源32が点灯し、被写体領域を照明する(ステップS101)。そして、二次元イメージセンサ25が、光源部31の検査用光源32による照明下で画像を撮像する(ステップS102)。二次元イメージセンサ25により撮像された画像は、フレームメモリ52に格納される。
次に、検出部57が、フレームメモリ52に格納された画像から、被写体領域の画像Imを抽出する(ステップS103)。そして、検出部57は、上述したように、被写体領域の画像Imの正反射領域R1を解析することにより、クリアインクを吐出する記録ヘッド6clにおけるノズルの吐出不良を検査する(ステップS104)。また、検出部57は、被写体領域の画像Imの拡散反射領域R2を解析することにより、色インクを吐出する記録ヘッド6y,6m,6c,6kにおけるノズルの吐出不良を検査する(ステップS105)。なお、ステップS104の処理とステップS105の処理は、順番が逆であってもよい。
次に、検出部57は、検査対象となる記録ヘッド6の全ノズルに対する検査が終了したか否かを判定する(ステップS106)。全ノズルに対する検査が終了していない場合は(ステップS106:No)、検査用パターンが形成された記録媒体Mが副走査方向に所定量搬送され(ステップS107)、ステップS102以降の処理が繰り返される。そして、全ノズルに対する検査が終了すると(ステップS106:Yes)、光源部31の検査用光源32が消灯し(ステップS108)、一連の処理が終了する。
なお、色インクを吐出する記録ヘッド6y,6m,6c,6kにおけるノズルの吐出不良と、クリアインクを吐出する記録ヘッド6clにおけるノズルの吐出不良とを個別に検査する場合は、二次元イメージセンサ25により第1パターンP1と第2パターンP2とを別々に撮像し、第1パターンP1を撮像した画像に対して上述したステップS105の処理を行い、第2パターンP2を撮像した画像に対して上述したステップS104の処理を行えばよい。
以上、具体的な例を挙げながら詳細に説明したように、本実施形態の測色カメラ20(ノズル検査装置の一例)は、二次元イメージセンサ25が、色インクにより形成された検査用パターンである第1パターンP1が拡散反射領域R2に位置し、クリアインクにより形成された検査用パターンである第2パターンP2が正反射領域R1に位置するように、被写体領域の画像Imを撮像する。そして、検出部57が、被写体領域の画像Imの正反射領域R1を解析してクリアインクを吐出する記録ヘッド6clにおけるノズルの吐出不良を検査し、被写体領域の画像Imの拡散反射領域R2を解析して色インクを吐出する記録ヘッド6y,6m,6c,6kにおけるノズルの吐出不良を検査する。したがって、従来技術のように拡散反射光検出用と正反射光検出用に2つのセンサを設ける必要がなく、1つの二次元イメージセンサ25のみを用いた簡素な構成により、色インクを吐出する記録ヘッド6y,6m,6c,6kにおけるノズルの吐出不良と、クリアインクを吐出する記録ヘッド6clにおけるノズルの吐出不良との双方を適切に検査することができる。
また、被写体領域の画像Imにおける正反射領域R1は、記録ヘッド6clのノズル列17と記録媒体Mとの相対移動方向(主走査方向)に対応する方向の大きさが、それと直交する方向の大きさよりも大きくされる。つまり、光源部31が、二次元イメージセンサ25により撮像された被写体領域の画像Imにこのような正反射領域R1が形成されるように、被写体領域を照明する。したがって、本実施形態の測色カメラ20によれば、クリアインクを吐出する記録ヘッド6clにおけるノズルの吐出不良を、画像における欠陥ラインとして検出することができ、クリアインクを吐出する記録ヘッド6clにおけるノズルの吐出不良を適切に検査することができる。
また、本実施形態の測色カメラ20によれば、検査用パターンを形成する記録媒体Mの種類によらず、二次元イメージセンサ25が撮像した検査用パターンの画像を用いて、記録ヘッド6clにおけるノズルの吐出不良を適切に検査することができる。例えば、コート層を有する光沢紙に検査用パターンを形成した場合であっても、コート層を有さない普通紙に検査用パターンを形成した場合であっても、クリアインクを吐出する記録ヘッド6clにノズルの吐出不良が生じていれば、被写体領域の画像Imの正反射領域R1に欠陥ラインが現れる。このため、本実施形態の測色カメラ20によれば、検査用パターンを形成する記録媒体Mの種類によらず、上述した方法によって記録ヘッド6clにおけるノズルの吐出不良を適切に検出することができる。
また、本実施形態の画像形成装置100は、上述した記録ヘッド6におけるノズルの吐出不良を検査する機能を持った測色カメラ20を備えるため、ノズルの吐出不良が検出された場合に記録ヘッド6の回復動作を行うことで、印刷画像の画質の低下を抑制することができる。
以上、本発明の具体的な実施形態について詳細に説明したが、本発明は上述した実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で様々な変形や変更を加えながら具体化することができる。例えば、上述した実施形態では、クリアインクを吐出する記録ヘッド6clにおけるノズルの吐出不良を検査する例を説明したが、本発明は、クリアインクを吐出する記録ヘッド6clに限らず、例えば白インクなど、記録媒体Mに吐出されると視認性が低下するインクを吐出する記録ヘッドにおけるノズルの吐出不良を検査する場合にも有効に適用できる。記録ヘッドから白色の記録媒体Mに白インクを吐出することで形成した検査用パターンは、測色用光源30による照明下では視認性が低下し、従来技術と同様の方法ではノズルの吐出不良を検査することが困難である。しかし、光源部31(検査用光源32)による照明下で、白インクで形成した検査用パターンが正反射領域R1に入るように被写体領域の画像Imを撮像し、この被写体領域の画像Imを解析することで、上述した例と同様に、白インクを吐出する記録ヘッドにおけるノズルの吐出不良を適切に検査することができる。
また、上述した実施形態は、記録ヘッド6を搭載したキャリッジ5を主走査方向に往復移動させながら記録ヘッド6のノズル列17から記録媒体Mにインクを吐出することで画像を形成するシリアルヘッド型の画像形成装置100への適用例である。しかし、本発明は、主走査方向に沿ったノズル列を有する記録ヘッド(ラインヘッド)を固定し、記録媒体を副走査方向に搬送しながら記録ヘッドのノズル列から記録媒体にインクを吐出することで画像を形成するラインヘッド型の画像形成装置に対しても有効に適用可能である。
ラインヘッド型の画像形成装置に本発明を適用する場合、上述した検査用パターンを形成する際のノズル列と記録媒体との相対移動方向は副走査方向となる。このため、ノズル検査装置は、二次元イメージセンサが撮像する検査用パターンの画像において、副走査方向に対応する方向の大きさが、主走査方向に対応する方向の大きさよりも大きい正反射領域が形成されるように構成される。
ラインヘッド型の画像形成装置に対応するノズル検査装置を、上述した実施形態の測色カメラ20と同様の構成(以下、測色カメラ20’という。)で実現する場合、測色カメラ20’は例えば図12に示すような構成とされる。すなわち、測色カメラ20’は、例えばラインヘッドに対して主走査方向(図中矢印A方向)に移動可能に取り付けられる。そして、測色カメラ20’の光源部31は、図12に示すように、副走査方向(図中矢印B方向)に沿って直線状に並ぶように筐体23の内部に配置された複数の検査用光源32を有する構成とされる。これにより、複数の検査用光源32が並ぶ方向と、検査用パターンを形成する際の記録ヘッド6clと記録媒体Mとの相対移動方向が一致する。したがって、二次元イメージセンサ25が撮像する被写体領域の画像Imには、複数の検査用光源32からの正反射光が主走査方向に並んだ正反射領域R1が形成されることになり、上述した実施形態と同様に、クリアインクを吐出する記録ヘッド6clにおけるノズルの吐出不良を適切に検査することができる。