以下、本発明の好適な実施例を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に述べる実施例は、本発明の好適な実施例であるので、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明によって不当に限定されるものではなく、また、本実施の形態で説明される構成の全てが本発明の必須の構成要件ではない。
図1〜図29は、本発明の読取装置、画像形成装置、位置ずれ検出方法及びプログラムの一実施例を示す図であり、図1は、本発明の読取装置、画像形成装置、位置ずれ検出方法及びプログラムの一実施例を適用した画像形成装置1の概略斜視図である。
図1において、画像形成装置1は、本体筐体2が、本体フレーム3上に配設されており、本体筐体2内には、図1に両矢印Aで示す主走査方向に主ガイドロッド4と副ガイドロッド5が張り渡されている。主ガイドロッド4は、キャリッジ6を移動可能に支持しており、キャリッジ6には、副ガイドロッド5に係合してキャリッジ6の姿勢を安定化させる連結片6aが設けられている。
画像形成装置1は、主ガイドロッド4に沿って無端ベルト状のタイミングベルト7が配設されており、タイミングベルト7は、駆動プーリ8と従動プーリ9との間に張り渡されている。駆動プーリ8は、主走査モータ10によって回転駆動され、従動プーリ9は、タイミングベルト7に対して所定の張りを与える状態で配設されている。駆動プーリ8は、主走査モータ10によって回転駆動されることで、その回転方向に応じて、タイミングベルト7を主走査方向に回転移動させる。
キャリッジ6は、タイミングベルト7に連結されており、タイミングベルト7が駆動プーリ8によって主走査方向に回転移動されることで、主ガイドロッド4に沿って主走査方向に往復移動する。
画像形成装置1は、本体筐体2内の主走査方向両端部位置に、カートリッジ部11と維持機構部12が収納されており、カートリッジ部11は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各インクをそれぞれ収納するカートリッジが、交換可能に収納されている。カートリッジ部11の各カートリッジは、キャリッジ6が搭載する記録ヘッド20の対応する色の記録ヘッド20y、20m、20c、20k(図2参照)と、図示しないパイプで連結されている。カートリッジ部11の各カートリッジは、パイプを通して記録ヘッド20y、20m、20c、20kに対してインクを供給する。なお、以下の説明において、記録ヘッド20y、20m、20c、20kを総称するときには、記録ヘッド20という。
画像形成装置1は、後述するように、キャリッジ6を主走査方向に移動させながら、プラテン14(図2参照)上を、主走査方向と直交する副走査方向(図1の矢印B方向)に間欠的に搬送される被記録媒体Pにインクを吐出することで、被記録媒体Pに画像を記録出力する。
すなわち、本実施例の画像形成装置1は、被記録媒体Pを副走査方向に間欠的に搬送し、被記録媒体Pの副走査方向の搬送が停止している間に、キャリッジ6を主走査方向に移動させながら、キャリッジ6に搭載された記録ヘッド20のノズル列からプラテン14上の被記録媒体P上にインクを吐出して、被記録媒体Pに画像を形成する。
維持機構部12は、記録ヘッド20の吐出面の清掃、キャッピング、不要なインクの吐出等を行って、記録ヘッド20からの不要なインクの排出や、記録ヘッド20の信頼性の維持を図っている。
画像形成装置1は、被記録媒体Pの搬送部分を開閉可能に、カバー13が設けられており、画像形成装置1のメンテナンス時やジャム発生時に、カバー13を開けることで、本体筐体2内部のメンテナンス作業やジャム被記録媒体Pの除去等の作業を行うことができる。
キャリッジ6は、図2に示すように、記録ヘッド20y、20m、20c、20kを搭載しており、記録ヘッド20y、20m、20c、20kは、それぞれ上記カートリッジ部11の対応する色のカートリッジにパイプで連結されて、それぞれ対応する色のインクを、対向する被記録媒体Pに吐出する。すなわち、記録ヘッド20yは、イエロー(Y)インクを、記録ヘッド20mは、マゼンタ(M)インクを、記録ヘッド20cは、シアン(C)インクを、記録ヘッド20kは、ブラック(K)インクを、それぞれ吐出する。
記録ヘッド20は、その吐出面(ノズル面)が、図1の下方(被記録媒体P側)に向くように、キャリッジ6に搭載されており、被記録媒体Pにインクを吐出する。
画像形成装置1は、タイミングベルト7、すなわち、主ガイドロッド4に平行に、少なくともキャリッジ6の移動範囲に亘ってエンコーダシート15が配設されており、キャリッジ6には、エンコーダシート15を読み取るエンコーダセンサ21が取り付けられている。画像形成装置1は、エンコーダセンサ21によるエンコーダシート15の読み取り結果に基づいて主走査モータ10の駆動を制御することで、キャリッジ6の主走査方向の移動を制御する。
キャリッジ6に搭載されている記録ヘッド20は、図3に示すように、それぞれの記録ヘッド20y、20m、20c、20kが、複数のノズル列で構成されており、プラテン14上を搬送される被記録媒体P上にノズル列からインクを吐出することで、被記録媒体Pに画像を形成する。画像形成装置1では、キャリッジ6の1回の走査で被記録媒体Pに形成できる画像の幅を広く確保するため、キャリッジ6に、上流側の記録ヘッド20と下流側の記録ヘッド20とを搭載している。また、ブラックのインクを吐出する記録ヘッド20kは、黒の印字速度を向上させるために、カラーのインクを吐出する記録ヘッド20y、6m、6cの2倍の数がキャリッジ6に搭載されている。さらに、記録ヘッド20y、6mは、キャリッジ6の往復動作で色の重ね順を合わせて、往路と復路とで色が変わらないようにするために、主走査方向に分割されて隣接する状態で配置されており、記録ヘッド20の各記録ヘッド20y、20m、20c、20kの配置は、図3に示す配置に限るものではない。
キャリッジ6には、図2に示したように、複数(図2では、5つ)の撮像部(読取装置)30a〜30eが、主走査方向に並んで取り付けられており、撮像部30a〜30eは、色調整処理時に被写体(測色対象物)を測色するために、被写体を撮像する。なお、以下の説明では、適宜、複数の撮像部30a〜30eを纏めて撮像ユニット(二次元読取センサ手段)30という。
特に、画像形成装置1は、色調整を行う際には、図2に示すように、キャリッジ6に搭載された記録ヘッド20からプラテン14上の被記録媒体Pに対してインクを吐出してカラーパターンを形成する。画像処理装置1は、このカラーパターンを撮像ユニット30により撮像して、測色を行う。このカラーパターンは、画像形成装置1が実際に記録ヘッド20によりインクを用いて被記録媒体P上に形成した画像であり、画像形成装置1に固有の特性を反映している。したがって、このカラーパターンの測色値を用いて、画像形成装置1に固有の特性を記述したデバイスプロファイルを生成、あるいは修正することができる。そして、このデバイスプロファイルに基づいて標準色空間と機器依存色との間の色変換を行うことで、画像形成装置1は再現性の高い画像を出力することができる。
画像形成装置1は、被記録媒体Pに形成したカラーパターンに対する測色を行うため等に用いる撮像ユニット30を備える。撮像ユニット30は、図2に示すように、記録ヘッド20が搭載されているキャリッジ6に、主走査方向に、5つの撮像部30a〜30eが並んで配設されているが、撮像部の数は、限定されるものではない。
撮像ユニット30は、キャリッジ6に配設されている場合、被記録媒体Pの搬送及びキャリッジ6の移動によりカラーパターンが記録された被記録媒体P上を移動して、カラーパターンと対向する位置にきたときに、画像の撮像を行う。そして、画像処理装置1は、撮像により得られたカラーパターンのRGB値に基づいて、カラーパターンの測色値を算出する。
ところが、撮像ユニット30は、後述するように、複数の撮像部30a〜30eの取付位置の相互の位置精度が、撮影精度に影響するため、位置ずれ補正を行う必要がある。この位置ずれ検出と位置ずれ補正については、後で詳細に説明する。
撮像部30a〜30eは、図4及び図5に示すように、それぞれが、略四角の箱形状の筐体31に取付片32が一体形成されている。筐体31は、例えば、所定の間隔を空けて対向する底板部31a及び天板部31bと、底板部31aと天板部31bとを繋ぐ側壁部31c、31d、31e、31fを有する。筐体31の底板部31aと側壁部31d、31e、31fは、モールド成形等により取付片32とともに一体成形されており、これに対して、天板部31bと側壁部31cが着脱可能に取り付けられている。図5では、天板部31bと側壁部31cとを取り外した状態の撮像部30a〜30eが示されている。
撮像部30a〜30eは、例えば、筐体31の側壁部31e及び取付片32をキャリッジ6の側面部に突き当てた状態で、ネジ等の締結部材を用いてキャリッジ6の側面部に締結されることで、キャリッジ6に取り付けられる。
撮像部30a〜30eは、図6及び図7に示すように、筐体31の底板部31aが間隙dを空けてプラテン14上の被記録媒体Pに対して略平行に対向する状態で、キャリッジ6に取り付けられる。間隙dの大きさは、後述のセンサユニット35により撮像される被写体と筐体31との間の距離に相当する。この距離は、例えば、被記録媒体Pの厚さの違いや被記録媒体Pを支持するプラテン14表面の凹凸の影響などによって変動する。
筐体31は、底板部31aに、筐体31の外部の被写体(カラーパターンの測色を行う場合は被記録媒体P上に形成されたカラーパターン)を筐体31の内部から撮像するための開口部33が設けられている。また、筐体31は、底板部31aの内面側に、支え部材43を介して開口部33と隣り合う位置に、基準チャートKCが配置されている。基準チャートKCは、カラーパターンの測色やRGB値の取得を行う際に、後述のセンサユニット35によりカラーパターンとともに撮像されるものである。なお、基準チャートKCの詳細については後述する。
筐体31は、内部の天板部31b側に、回路基板34が配置されている。筐体31は、天板部31bと回路基板34との間に、画像を撮像するセンサユニット35が配置されている。センサユニット35は、図6に示すように、二次元イメージセンサ(二次元読取センサ)35aとレンズユニット35bを備えている。二次元イメージセンサ35aは、複数の素子が二次元に配列されたセンサであり、CCD(Charge Coupled Device )センサまたはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor )センサ等が用いられている。レンズユニット35bは、センサユニット35の撮像範囲の光学像を、二次元イメージセンサ35aの受光面(撮像領域)に結像する。
センサユニット35は、例えば、筐体31の側壁部31eと一体に形成されたセンサホルダ36により保持されている。センサホルダ36には、回路基板34に形成された貫通孔34aと対向する位置にリング部36aが設けられている。リング部36aは、センサユニット35のレンズユニット35b側の突出した部分の外形形状に倣った大きさの貫通孔が形成されている。センサユニット35は、レンズユニット35b側の突出した部分がセンサホルダ36のリング部36aに挿通されることで、レンズユニット35bが回路基板34の貫通孔34aを介して筐体31の底板部31a側を臨む状態で、センサホルダ36により保持される。
センサユニット35は、図7において一点鎖線で示す光軸が、筐体31の底板部31aに対して略垂直となり、かつ、開口部33と基準チャートKCとが撮像範囲に含まれるように、センサホルダ36により位置決めされた状態で保持されている。センサユニット35は、二次元イメージセンサ35aの撮像領域の一部で、筐体31外部の被写体を、開口部33を介して撮像するとともに、二次元イメージセンサ35aの撮像領域の他の一部で、筐体31の内部に配置された基準チャートKCを撮像することができる。
なお、センサユニット35は、各種の電子部品が実装される回路基板34に対して、例えば、フレキシブルケーブルを介して電気的に接続される。また、回路基板34には、後述する画像形成装置1のメイン制御基板(図示略)に対して撮像部30を接続するための接続ケーブルが装着される外部接続コネクタ37が設けられている。
また、筐体31は、内部に、センサユニット35による撮像時にその撮像範囲を略均一に照明する光源38が設けられている。光源38は、例えば、LED(Light Emitting Diode)が用いられている。光源38は、図7に示すように、センサユニット35のレンズユニット35bの中心を基準として、開口部33と基準チャートKCが並ぶ方向と直交する方向に均等に配置されている。
光源38は、回路基板34の底板部31a側の面に実装されているが、センサユニット35の撮像範囲を拡散光により略均一に照明できる位置に配置されていれば、必ずしも回路基板34に直接実装されていなくてもよい。また、光源38は、LEDに限定されるものではなく、例えば、有機EL(electroluminescence)等であってもよい。なお、光源38として、有機ELを用いた場合、太陽光の分光分布に近い照明光が得られるため、測色精度を向上させることができる。
また、筐体31は、内部に、センサユニット35と該センサユニット35により開口部33を介して撮像される筐体31外部の被写体との間の光路中に、光路長変更部材39が配置されている。光路長変更部材39は、光源38の光に対して十分な透過率を有する屈折率nの光学素子である。光路長変更部材39は、筐体31外部の被写体の光学像の結像面を筐体31内部の基準チャートKCの光学像の結像面に近づける機能を有している。すなわち、撮像部30では、センサユニット35と筐体31外部の被写体との間の光路中に光路長変更部材39を配置することで光路長を変更し、筐体31外部の被写体の光学像の結像面と、筐体31内部の基準チャートKCの結像面とを、二次元イメージセンサ35aの受光面に合わせる。したがって、センサユニット35は、筐体31外部の被写体と筐体31内部の基準チャートKCとの双方にピントの合った画像を撮像することができる。なお、筐体31の底板部31aの内面、特に、開口部33と基準チャートKCとの間の内面は、正反射光を吸収する所定の表面処理等が施されていてもよい。
光路長変更部材39は、例えば、図6に示すように、一対のリブ40、41によって、底板部31a側の面の両端部が支持されている。また、光路長変更部材39は、その天板部31b側の面と回路基板34との間に配置されている押さえ部材42により、筐体31内部で動かないように固定されている。光路長変更部材39は、筐体31の底板部31aに設けられた開口部33を塞ぐように配置されているため、筐体31外部から開口部33を介して筐体31内部に進入するインクミストや塵埃などの不純物が、センサユニット35、光源38及び基準チャートKC等に付着するのを防止する機能も有することになる。
撮像部30a〜30eは、被写体の撮像を行う際に、筐体31の内部に設けられた光源38を点灯し、この光源38の光を筐体31の外部の被記録媒体P上に形成された被写体に照射した状態で、センサユニット35による撮像を行う。したがって、筐体31と被記録媒体Pの記録面との間の距離(隙間dの大きさ)に応じて、被写体に照射される光量が変動し、撮像により得られた撮像結果、例えば、カラーパターンのRGB値が不安定になる場合がある。また、撮像ユニット30は、複数の撮像部30a〜30eが、相互間で、センサユニット35の配列や隙間dの位置ずれがあると、撮像結果が不安定となる。
そこで、本実施例の撮像ユニット30について、後述するように、個々の撮像部30a〜30eにおける高精度な位置ずれ検出を行う。
なお、上記基準チャートKCは、例えば、図8に示すように、測色用の複数の基準色パッチ列Pa〜Pd、ドット径計測用パターン列Pe、距離計測用ラインlk及びチャート位置特定用マーカmkが形成されている。
測色用のパッチ列Pa〜Pdは、YMCの1次色の色パッチを階調順に配列したパッチ列Paと、RGBの2次色の色パッチを階調順に配列したパッチ列Paと、グレースケールのパッチを階調順に配列したパッチ列(無彩色の階調パターン)Pcと、3次色のパッチを配列したパッチ列Pdと、があり、ドット径計測用パターン列Peは、大きさが異なる円形パターンを大きさ順に配列された幾何学形状測定用のパターン列である。
距離計測用ラインlkは、測色用のパッチ列Pa〜Pdやドット径計測用パターン列Peを囲む矩形の枠線として形成されている。チャート位置特定用マーカmkは、距離計測用ラインlkの四隅の位置に設けられていて、各パッチ位置を特定するためのマーカである。
画像形成装置1は、撮像部30a〜30eから取得した基準チャートKCの画像データから距離計測用ラインlkとその四隅のチャート位置特定用マーカmkを特定することで、基準チャートKCの位置及び各パターンの位置を特定する。
測色用の基準色パッチ列Pa〜Pdを構成する各パッチは、分光器を用いて、標準色空間であるL*a*b*色空間における表色値(L*a*b*値)が予め計測されており、測色する際の基準値となる。
なお、基準チャートKCに配置されている測色用のパッチ列Pa〜Pdの構成は、図8に示す配置例に限定されるものではなく、任意のパッチ列を用いることができる。基準チャートKCは、例えば、可能な限り色範囲を広く特定することのできるパッチを用いてもよいし、また、YMCKの1次色のパッチ列Paや、グレースケールのパッチ列Pcは、画像形成装置1に使用されるインクの測色値のパッチで構成されていてもよい。また、基準チャートKCのRGBの2次色のパッチ列Paは、画像形成装置1で使用されるインクで発色可能な測色値のパッチで構成されていてもよく、さらに、JapanColor等の測色値が定められた基準色票を用いてもよい。
そして、画像形成装置1は、図9に示すようにブロック構成されており、CPU(Central Processing Unit )101、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103、主走査ドライバ104、記録ヘッドドライバ105、読取/測色制御部106、紙搬送部107及び副走査ドライバ108等を備えているとともに、上述のようにキャリッジ6に搭載されている記録ヘッド20、エンコーダセンサ21及び撮像部30a〜30e等を備えている。
また、撮像部30a〜30e及び読取/測色制御部106は、後述するが、図10に示すようにブロック構成されている。
ROM102は、画像形成装置1としての基本プログラム及び位置ずれ検出用プログラム、色調整処理プログラム等のプログラム及び必要なシステムデータ等を記憶し、CPU101は、ROM102内のプログラムに基づいて、RAM103をワークメモリとして利用しつつ、画像形成装置1の各部を制御して、画像形成装置1としての基本処理を実行するとともに、撮像部30a〜30eが撮像したRGB値に基づいて、読取/測色制御部106での、各撮像部30a〜30eのセンサユニット35の位置ずれ検出・調整処理及び測色処理で求められた測色値に基づく画像形成時における色調整処理を実行する。
CPU101は、キャリッジ6及び紙搬送部107の制御においては、エンコーダセンサ21からのエンコーダ値に基づいて主走査ドライバ104の駆動を制御して、キャリッジ6の主走査方向の移動を制御し、また、CPU101は、副走査ドライバ108を介して、図示しない副走査モータや搬送ローラ等の紙搬送部107の駆動を制御する。さらに、CPU101は、記録ヘッドドライバ105を介して、記録ヘッド20によるインクの吐出タイミング及びインク吐出量を制御する。また、CPU101は、読取/測色制御部106を介して、撮像部30a〜30eの光源38の点灯駆動を制御する。
撮像部30a〜30eは、上述したように、例えば、図11から図14に示すような位置ずれ調整チャートIKCを読み取って、センサユニット35、具体的には、二次元イメージセンサ35aの位置ずれを検出する。画像形成装置1は、この位置ずれ検出結果に基づいて各撮像部30a〜30eの位置ずれ調整を行い、撮像部30a〜30eのセンサユニット35の取付位置の位置ずれによる誤った色調整処理を防止する。
なお、図11は、相互に平行で撮像部30a〜30eの配列方向である主走査方向に平行な線部を有す平行基準線部1HLと、主走査方向に対して傾斜する線部を有す傾斜線部1KLと、を有している位置ずれ調整チャートIKC1が示されている。平行基準線部1HLは、主走査方向に平行で、かつ、相互に平行な1対(2本)の線部HL1と線部HL2を有している。傾斜線部1KLは、主走査方向に平行な平行線部HKL1と、該平行線部HKL1に対して所定の傾斜角度で傾斜している傾斜線部KL1と、を有している。
図12は、相互に平行で撮像部30a〜30eの配列方向である主走査方向に平行な線部を有す平行基準線部2HLと、主走査方向に対して傾斜する線部を有す傾斜線部2KLと、を有している位置ずれ調整チャートIKC2が示されている。平行基準線部2HLは、主走査方向に平行で、かつ、相互に平行な1対(2本)の線部HL1と線部HL3を有している。傾斜線部2KLは、平行線部2HLと共用している主走査方向に平行な線部HL3と、該線部HL3に対して所定の傾斜角度で傾斜している傾斜線部KL2と、を有している。
図13は、相互に平行で撮像部30a〜30eの配列方向である主走査方向に平行な線部を有す平行基準線部3HLと、主走査方向に対して傾斜する線部を有す傾斜線部3KLと、を有している位置ずれ調整チャートIKC3が示されている。平行基準線部3HLは、図12と同様であり、主走査方向に平行で、かつ、相互に平行な1対(2本)の線部HL1と線部HL3を有している。傾斜線部3KLは、平行基準線部3HLと共用している主走査方向に平行な線部HL3、HL1のうち少なくとも一方と、該線部HL3、HL1のうち少なくとも一方に対して所定の傾斜角度で傾斜している傾斜線部KL3と、を有している。傾斜した線部である傾斜線部3KLは、平行基準線部3HLの間に位置している。
図14は、相互に平行で撮像部30a〜30eの配列方向である主走査方向に平行な線部を有す平行基準線部4HLと、主走査方向に対して傾斜する線部を有す傾斜線部4KLと、を有する位置ずれ調整チャートIKC4が示されている。平行基準線部4HLは、図12と同様であり、主走査方向に平行で、かつ、相互に平行な1対(2本)の線部HL1と線部HL3を有している。傾斜線部4KLは、平行基準線部4HLと共用している主走査方向に平行な線部HL3、HL1のうち少なくとも一方と、該線部HL3、HL1のうち少なくとも一方に対して所定の傾斜角度で傾斜している傾斜線部KL3と、を有している。傾斜した線部である傾斜線部4KLは、平行基準線部3HLの間に位置している。そして、位置ずれ調整チャートIKC4は、傾斜線部KL3と一方の線部HL1、HL3(図14では、線部HL1)との間に施されたベタ画像部BGを有している。すなわち、傾斜した傾斜線部KL3と線部HL1は、ベタ画像部BGからなる多面体の辺となっている。
また、撮像部30a〜30eは、上述したように、画像を記録出力する際の画像データの色を、ユーザの意図する色に正確に再現する色調整用の測色値を生成するために、測色時に記録媒体P上に記録ヘッド20によって形成された測色調整パッチを撮像する。撮像部30a〜30eは、撮像したRGB値をCPU101に出力する。
そして、撮像部30a〜30e及び読取/測色制御部106は、図10に示すようにブロック構成されている。撮像部30a〜30eは、上記光源38、センサユニット35を備えているとともに、画像処理部110及びインターフェイス部111等を備えており、画像処理部110は、A/D変換部112、シェーディング補正部113、ホワイトバランス補正部114、Y補正部115及び画像フォーマット変換部116を備えている。
撮像部30a〜30eは、センサユニット35が、被写体と基準チャートKCを同時に撮像したアナログのRGB画像データを画像処理部110に出力する。また、撮像部30a〜30eは、センサユニット35が、位置ずれ調整チャートIKC1〜IKC4を撮像したアナログのRGB画像データを画像処理部110に出力する。画像処理部110は、センサユニット35から送られてくるアナログのRGB画像データに対して必要な画像処理を施して読取/測色制御部106に出力する。
画像処理部110のA/D変換部112は、センサユニット35から入力されるアナログのRGB画像データをデジタル変換してシェーディング補正部113に出力する。
シェーディング補正部113は、A/D変換部112から入力されるRGB画像データに対して、センサユニット35の撮像範囲に対する光源38からの照明光の照度ムラに起因する画像データの誤差の補正を行って、ホワイトバランス補正部114に出力する。
ホワイトバランス補正部114は、シェーディング補正後のRGB画像データに対してホワイトバランスを補正して、Y補正部115に出力する。
Y補正部115は、ホワイトバランス補正部114から入力される画像データに対して、センサユニット35の感度のリニアリティを補償するように補正して、画像フォーマット変換部116に出力する。
画像フォーマット変換部116は、Y補正後の画像データを任意のフォーマットに変換して、インターフェイス部111を介して読取/測色制御部106に出力する。
インターフェイス部111は、読取/測色制御部106から送られた各種設定信号、タイミング信号及び光源駆動信号を撮像部30が取得し、また、撮像部30から読取/測色制御部106へ画像データを送るためのインターフェイスである。
読取/測色制御部106は、フレームメモリ121、タイミング信号発生部122、光源駆動制御部123、演算部124及び不揮発性メモリ125を備えており、演算部124は、測色値算出部126と位置ずれ調整部127を備えている。
フレームメモリ121は、撮像部30から送られてきた画像データを一時的に記憶するメモリであり、保管した画像データを演算部124に出力する。
不揮発性メモリ125は、色調整処理に必要な各種データを格納し、また、撮像部30の位置ずれ調整処理に必要な各種データを格納している。
演算部124は、測色値算出部126及び位置ずれ調整部127等を備えており、CPU101に接続されている。測色値算出部126は、CPU101の制御下で、撮像部30a〜30eの読取結果に基づいて、不揮発性メモリ125のデータを用いて、測色処理を実行する。位置ずれ調整部127は、撮像部30a〜30eによる位置ずれ調整チャートIKC1〜IKC4の読取結果からセンサユニット35の位置ずれを検出し、測色処理時において必要な位置ずれ調整を行う。なお、画像形成装置1における位置ずれとしては、測色対象物の位置ずれと、センサユニット35の位置ずれ、すなわち、撮像部30a〜30eの位置ずれと、があるが、位置ずれ調整部127は、撮像部30a〜30eの相互間の位置ずれを検出して、調整する。
そして、上記撮像部30、撮像部30を搭載するキャリッジ6、CPU101、主走査ドライバ104、読取/測色制御部106、紙搬送部107、副走査ドライバ108は、全体として、読取部(読取装置)130を構成している。
本実施例の画像形成装置1は、ROM、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory )、EPROM、フラッシュメモリ、フレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory )、CD−RW(Compact Disc Rewritable )、DVD(Digital Versatile Disk)、SD(Secure Digital)カード、MO(Magneto-Optical Disc)等のコンピュータが読み取り可能な記録媒体に記録されている本実施例の位置ずれ検出方法を実行するプログラムを読み込んでROM102または不揮発性メモリ125等に導入することで、後述するセンサユニット35の位置ずれを精度よく検出する位置ずれ検出方法を実行する読取部130を備えた画像形成装置1として構築されている。この位置ずれ検出方法のプログラムは、アセンブラ、C、C++、C#、Java(登録商標)等のレガシープログラミング言語やオブジェクト指向ブログラミング言語等で記述されたコンピュータ実行可能なプログラムであり、上記記録媒体に格納して頒布することができる。
画像形成装置1は、上記位置ずれ検出方法のプログラムが導入されることで、その読取部130に、図15に示すような機能ブロックが構築される。すなわち、読取部130は、位置ずれ検出方法のプログラムが導入されると、図15に示すように、二次元センサユニット部131、読取制御部132及び検出部133が構築される。
二次元読取センサユニット部131は、複数の撮像部30の二次元イメージセンサ35aを有するセンサユニット35により構築されている。二次元読取センサユニット部131は、複数の二次元イメージセンサ(二次元読取センサ)35a、すなわち、複数の撮像部30a〜30eが主走査方向(所定方向)に配列されている。したがって、二次元読取センサユニット部131は、二次元読取センサ手段として機能している。
読取制御部132は、キャリッジ6、主走査ドライバ104、紙搬送部107、副走査ドライバ108及び読取/測色制御部106により構築されている。読取制御部132は、位置ずれ調整チャートIKC1〜IKC4の線部1HL〜4HL及び傾斜線部1KL〜4KLを、二次元イメージセンサ35aによって読み取らせる。この位置ずれ調整チャートIKC1〜IKC4は、図11〜図14に示したように、線部1HL〜4HLと、傾斜線部1KL〜4KLを有している。線部1HL1〜4HLは、二次元イメージセンサ35aの配列方向に平行で相互に平行な少なくとも2本の線部HL1〜HL4を有し、傾斜線部1KL〜4KLは、二次元イメージセンサ35aの配列方向に対して角度を有す傾斜線部KL1〜KL3を有している。したがって、読取制御部132は、読取制御手段として機能している。
検出部133は、CPU101及び読取/測色制御部106により構築されている。検出部133は、位置ずれ調整チャートIKC1〜IKC4の二次元イメージセンサ35aの読取結果に基づいて該二次元イメージセンサ35aの位置ずれを検出する。したがって、検出部133は、検出手段として機能している。
次に、本実施例の作用を説明する。本実施例の画像形成装置1は、その読取部130が、二次元イメージセンサ135の取付位置を精度よく検出する。
画像形成装置1は、キャリッジ6を、主走査方向に移動させながら、プラテン14上を搬送される被記録媒体Pに、各色の記録ヘッド20y、20m、20c、20kのノズル列からプラテン14上の被記録媒体P上にインクを吐出して、カラー画像を形成する。
画像形成装置1は、この画像形成において、各色の記録ヘッドヘッド20y、20m、20c、20kからのインクの吐出を適切に調整することで、意図する画像品質の画像を形成することができる。
そこで、画像形成装置1は、適時のタイミングに、記録ヘッド20からプラテン14上の被記録媒体Pに対してインクを吐出してカラーパターンを形成し、このカラーパターンを、基準チャートKCの配設されている撮像部30で撮像する。
一方、画像形成装置1は、例えば、分光器によって、基準シートに配列形成されている複数の基準色パッチの測色結果の測色値であるLab値とXYZ値のうち、少なくともいずれかが、基準測色値として、不揮発性メモリ125に、テーブル形式で格納されている。
画像形成装置1は、カラーパターンを読み取った読取画像データと不揮発性メモリ125のデータに基づいて、記録ヘッド20による画像形成における色調整する。この色調整処理については、例えば、特開2013ー197713号公報に開示されている色調整処理を用いることができる。
そして、画像形成装置1は、色調整においては、主走査方向に複数配列されている撮像部30によりカラーパターン等を読み取ることで、色調整に必要な画像データを取得している。したがって、色調整を適切に行うためには、複数の撮像部30の取付位置に位置ずれがないことが、正確な色調整を行う上で、重要である。
すなわち、いま、図16及び図17に示すように、5つの撮像部30a〜30e(なお、以下、適宜、撮像部30a〜30eを、纏めて、撮像ユニット30という。)が、主走査方向に並んでキャリッジ6に取り付けられているものとする。そして、便宜上、図16及び図17に矢印で示すように、主走査方向を、x方向、被記録媒体Pの搬送方向(副走査方向)を、y方向、被記録媒体Pの面に対して垂直上方向を、z方向とする。
このような撮像部30a〜30eは、キャリッジ6への取付において、例えば、図18に示すように、主走査方向(x方向)及び副走査方向(y方向)において、相互に位置ずれして取り付けられることがある。また、撮像部30a〜30eは、キャリッジ6への取付において、例えば、図19に示すように、被記録媒体Pの面に対して垂直方向(z方向)で、位置ずれして取り付けられることがある。
このような撮像部30a〜30eの相互間における位置ずれが発生していると、撮像部30a〜30eで撮像した画像が、異なった画像となる。例えば、図20(a)に示すように、撮像部30aと撮像部30bで、画像Gaを撮像した場合、撮像部30aと撮像部30bに、z方向の位置ずれがあると、図20(b)に示すように、撮像画像に倍率の相違が発生する。すなわち、図20(b)において、撮像部30aで撮像した撮像画像Gas1は、撮像部30bで撮像した撮像画像Gas2よりも倍率が大きくなっており、z方向での撮像部30a、30bの位置ずれが、撮像画像Gas1、Gas2の倍率の相違となっている。
このような撮像部30の相互の位置ずれによる画像への影響は、例えば、図21に示すように、z方向の位置ずれがある撮像部30aと撮像部30bで、2本の平行線Gbを読み取ったときにも、同様に、撮像画像Gbs1、Gbs2として現れる。すなわち、図21において、撮像画素Gbs1の平行線の間隔GL1と、撮像画素Gbs2の平行線の間隔GL2とが、撮像部30a、30bのz方向の位置ずれに応じて、異なった間隔となっている。
この場合、撮像部30bによる撮像画像Gbs2の間隔GL2は、撮像部30aによる撮像画像Gbs1の間隔GL1を用いて、次式(1)から求めることができる。
Gbs2=Gbs1(GL2/GL1)・・・(1)
すなわち、撮像画像Gbs2に対して、撮像画像Gbs1と倍率を合わせるための補正値は、(GL2/GL1)の逆数である(GL1/GL2)となる。
したがって、基準となる撮像部30と対称の撮像部30の間で倍率補正することで、複数の撮像部30の間での倍率を相対的に補正することができる。
例えば、平行線Gbの間隔GLが既知である場合、図21の撮像画像Gbs1、Gbs2は、間隔GLを用いて次式(2)のように表すことができる。
Gbs1=L×(GL1/L)
Gbs2=L×(GL2/L)・・・(2)
式(2)から、図21の場合、倍率補正値は、撮像部30aに対しては、(L/GL1)、撮像部30bに対しては、(L/GL2)となる。したがって、基準の撮像部30の間隔GLを予め設定するか、複数の撮像部30のうちの1つの倍率を明確にして、他の撮像部の倍率補正値を求めることで、複数の撮像部30の間における倍率ずれを補正することができる。
なお、このような撮像部30の相互の位置ずれは、x方向、y方向における位置ずれ、xーy方向の回転の位置ずれ、z方向の位置ずれがある。そして、x方向、y方向における撮像部30の位置ずれは、位置ずれの測定において絶対位置が定まらなくなり、z方向の位置ずれは、画像の倍率の変化として現れる。
そして、二次元イメージセンサ35aが、例えば、図22に示すような被記録媒体P上に記録された幅Hを空けて平行な線Laと線Lbからなる平行線Lを、破線で示されるX−Xの位置が撮像範囲に含まれるように読み取る。この場合、二次元イメージセンサ35aの備える複数の素子のうち、主走査方向と直交する方向に配列された所定の列の素子群の出力信号Sは、図23に示すようになる。すなわち、平行線Lを読み取った所定の列の素子群の出力信号Sは、図23に示すように、線Laと線Lbの部分で、画像の濃度がピークであるため、出力信号Sが、ピーク値Sa、Sbとなる。したがって、読取部130は、出力信号Sの傾き「0」の点、すなわち、出力信号Sの波形を微分して、「0」との交点が線La、線Lbの位置として求めることができる。また、読取部130は、線La、Lbの濃度が基本的に対称であることから、閾値shを設定して、出力信号Sが閾値shを切った2点の中間点を、線La、Lbの位置として求めることができる。読取部130は、これらの線La、Lbの位置を求めることで、線Laと線Lbの間隔Hを求めることができる。
また、位置ずれ調整チャートIKC1〜IKC4は、図14に示したように、線部と線部の間が、ベタ画像となっている場合がある。このようなベタ画像を撮像部30で読み取った場合、例えば、図24に示すような平行な2本の線の間をベタ画像とした線部BLを読み取った場合、撮像部30の出力信号Sは、図25に示すように、線部BLでの出力信号Sの値が線部BL以外の出力信号Sの値よりも低くなる。読取部130は、この撮像部30の出力信号Sを、適宜な閾値shを設定して、出力信号Sが閾値shを切った2点間を線部BLの間隔として求めることができる。
さらに、位置ずれ調整チャートIKC1〜IKC4は、例えば、図26に示すように、撮像部30の配列方向に平行な線部Lc以外に、該線部Lcに対して角度を有する傾斜した線部Ldを有している。この線部Lcと傾斜した線部Ldは、撮像部30の配列方向(x方向)、配列方向に直交する副走査方向(y方向)及び回転方向の位置ずれを検出するための線部である。
すなわち、図26のような線部Lcと傾斜した線部Ldからなる位置ずれ調整チャートが被記録媒体Pに形成されているときに、撮像部30によってX1−X1の位置と、X2−X2の位置と、で読み取りを行うと、二次元イメージセンサ35aの備える複数の素子のうち、主走査方向と直交する方向に配列された所定の列の素子群は、図27に示すような出力信号S1、S2を出力する。すなわち、図26の位置ずれ調整チャートは、図26の左下角部を、原点として、X座標の変化に合わせて、線部Lcと傾斜線部LdとのY方向の間隔が一意に決まるものとなっている。いま、図26の位置ずれ調整チャートにおいて、線部Lcは、原点O(0,0)から距離ycで水平な直線であり、傾斜線部Ldは、x=0での交点が距離ydの所定傾きaを有する直線である。
図26の位置ずれ調整チャートを、2台の撮像部30a、30bにより、それぞれX1−X1(x1)、X2−X2(x2)の位置で、読み取ると、所定の列の素子群は、図27に示したような出力信号S1、S2を出力する。図27において、線部Lc、傾斜線部Ldの中心位置は、上記同様に、信号S1、S2のピーク、閾値との交点等によって求めることができる。この場合も、図24と同様に、線部Lcと傾斜線部Ldの間をベタ画像とすることで、精度を向上させることができる。特に、図26のような傾斜線部Ldを有する位置ずれ調整チャートは、2つの線部の間隔が狭くなっていくため、2本の線のみで構成すると、線間隔より高解像度の撮像精度を有していないと、正確に測定することができない。ところが、線部Lcと傾斜線部Ldの間をベタ画像とすると、精度を向上させることができる。
いま、撮像部30aと撮像部30bの倍率が等しく、それぞれ位置ズレがなく、理想的な位置に設置されているものとすると、X1−X1、X2−X2における線部Lcと傾斜線部Ldの差L1、L2は、次式(3)により得ることができる。なお、いま、撮像部30aが、X1−X1で撮像し、撮像部30bが、X2−X2で撮像するものとする。
L1=(a×x1+yb)−yc
L2=(a×x2+yb)−yc・・・(3)
いま、撮像部30aが、X方向にx’1位置ずれしていると、差L1は、次式(4)による値となる。
L1=(a×(x1+x’1)+yb)−yc・・・(4)
この式(2)から位置ずれ量x’1は、次式(5)により得ることができる。
x’1=(L1+yc−yb)/a−x1・・・(5)
同様に、撮像部30bが、X方向にx’2位置ずれしている場合、次式(6)により、位置ずれ量x’2を得ることができる。
x’2=(L1+yc−Yb)/a−x2・・・(6)
なお、撮像部30a、30bのY方向における位置ずれ量y’1、y’2は、線部Lcとの差として求めることができる。
すなわち、画像形成装置1は、位置ずれ調整タイミングになると、図28に示すように、位置ずれ調整処理を実行する。まず、画像形成装置1は、位置ずれ調整タイミングになると、位置ずれ調整チャートIKC1〜IKC4のいずれかが被記録媒体Pに記録されて用意されているかチェックする(ステップS101)。
ステップS101で、位置ずれ調整チャートIKC1〜IKC4のいずれかがあると(ステップS101で、YESのとき)、画像形成装置1は、撮像部30により位置ずれ調整チャートIKC1〜IKC4のいずれかの読み取りを行わせる(ステップS102)。すなわち、読取制御部132が、二次元読取センサユニット部131により位置ずれ調整チャートIKC1〜IKC4の読み取りを行わせる。撮像部30は、位置ずれ調整チャートIKC1〜IKC4のいずれかの上に停止した状態で読み取りを行う。位置ずれ調整チャートIKC1〜IKC4のいずれかと撮像部30との相対速度が撮像部30の撮像が可能な程度に小さい場合は、動きながら撮像してもよい。
ステップS101で、位置ずれ調整チャートIKC1〜IKC4がないと(ステップS101で、NOのとき)、画像形成装置1は、記録ヘッド20により、被記録媒体P上に、位置ずれ調整チャートIKC1〜IKC4を記録させる(ステップS103)。画像形成装置1は、位置ずれ調整チャートIKC1〜IKC4を形成すると、読取制御部132が、二次元読取センサユニット部131により位置ずれ調整チャートIKC1〜IKC4の読み取りを行わせる(ステップS102)。
画像形成装置1は、位置ずれ調整チャートIKC1〜IKC4の読み取りを行うと、検出部133が、読取結果、特に、位置ずれ調整チャートIKC1〜IKC4の平行な線部1HL1〜4HLの読取結果から倍率ずれ検出処理を行う(ステップS104)。
画像形成装置1は、検出した倍率ずれ量を不揮発性メモリ125に記憶する(ステップS105)。
画像形成装置1は、次に、検出部133が、読取結果、特に、位置ずれ調整チャートIKC1〜IKC4の傾斜線部1KL〜4KLの読取結果から位置ずれ量を検出する位置ずれ検出処理を行う(ステップS106)。
画像形成装置1は、検出した位置ずれ量を不揮発性メモリ125に記憶する(ステップS107)。
画像形成装置1は、検出した倍率ズレ量、位置ずれ量を補正する補正処理を行って、処理を終了する(ステップS108)。なお、画像形成装置1は、補正処理を行ってから、上記倍率ズレ量の記憶と位置ずれ量の記憶を行ってもよい。画像形成装置1は、倍率補正処理として、画像を調整する方法、二次元イメージセンサ35aの位置自体を移動させる方法及び光学的にレンズユニット35bのレンズを調整する方法等を用いることができる。画像形成装置1は、画像を調整する方法では、倍率補正値を画像の対角方向の大きさに対して乗算処理することで対応することができ、簡易に倍率補正値を画像に反映することができる。画像形成装置1は、位置を移動させる方法では、撮像部30内で二次元イメージセンサ35aを移動させてもよいし、撮像部30自体の被写体との距離を移動させてもよい。画像形成装置1は、レンズを調整する方法では、レンズユニット35bのズームレンズを調整してもよいし、ピントレンズを調整することで倍率調整することができる。
画像形成装置1は、位置ずれ補正処理として、画像を調整する方法と二次元イメージセンサ35aを相対的に移動させる方法等を用いることができる。画像形成装置1は、画像を調整する位置ずれ補正方法では、トリミングで位置を補正する方法と画像の原点情報を修正する方法を用いることができる。画像形成装置1は、二次元イメージセンサ35aを相対的に移動させる位置ずれ補正方法では、ネジやカムを用いて二次元イメージセンサ35aの位置調整を行う手動調整方法、アクチュエータを用いて二次元イメージセンサ35aの位置調整を行う自動調整方法を用いることができる。
なお、撮像部30の位置ずれのうち、X方向、Y方向及びZ方向の位置ずれの他に、回転位置ずれがあるが、機械的精度を考慮すると、回転による位置ずれが画像に及ぼす影響が小さい。
撮像部30は、図2に示したように、記録ヘッド20が搭載されているキャリッジ6に配設されている場合に限るものではなく、例えば、図29に示すように、主走査方向において被記録媒体Pの主走査方向全域にわたって、多数が並んで配設されていてもよい。なお、図29では、15個の撮像部30a〜30oが主走査方向に配列されている状態が示されているが、撮像部30の数は、1つの撮像部30の大きさと主走査方向の最大画像領域によって適宜決定される。
このように、本実施例の画像形成装置1は、その読取部130が、複数の二次元イメージセンサ35aを有する撮像部30a〜30eが所定方向に配列されている撮像ユニット(二次元読取センサ手段)30と、前記二次元イメージセンサ35aの配列方向に延在し相互に平行な少なくとも2本の線部を有する平行基準線部(平行線部)1HL〜4HLと、該配列方向に対して角度を有す線部を有する傾斜線部1KL〜4KLと、を有する位置ずれ調整チャートIKC1〜IKC4を、前記二次元イメージセンサ35aによって読み取らせる読取制御部(読取制御手段)132と、前記二次元イメージセンサ35aによる前記位置ずれ調整チャートIKC1〜IKC4の読取結果に基づいて該二次元イメージセンサ35aの位置ずれを検出する検出部(検出手段)133と、を備えている。
したがって、線部1KL〜4KL及び傾斜線部1KL〜4KLを有する位置ずれ調整チャートIKC1〜IKC4を、複数の二次元イメージセンサ35aを搭載する撮像部30a〜30eからなる撮像ユニット30で読み取って、位置ずれを検出することができる。その結果、二次元イメージセンサ35aの2次元の位置ずれだけでなく、倍率の位置ずれについても、正確に検出することができる。したがって、撮像ユニット30の撮像部30a〜30eの位置ずれを補正することで、撮像ユニット30を利用した測色調整を適切に行うことができ、画像形成装置1の画像品質を向上させることができる。
また、本実施例の画像形成装置1は、その読取部130が、複数の二次元イメージセンサ35aを有する撮像部30a〜30eが所定方向に配列されている撮像ユニット(二次元読取センサ手段)30の該二次元イメージセンサ35aの配列方向に延在し相互に平行な少なくとも2本の線部を有する平行基準線部(平行線部)1HL〜4HLと、該配列方向に対して角度を有す線部を有する傾斜線部1KL〜4KLと、を有する位置ずれ調整チャートIKC1〜IKC4を、該二次元イメージセンサ35aによって読み取らせる読取制御処理ステップと、前記二次元イメージセンサ35aによる前記位置ずれ調整チャートIKC1〜IKC4の読取結果に基づいて該二次元イメージセンサ35aの位置ずれを検出する検出処理ステップと、を有する位置ずれ検出方法を実行する。
したがって、線部1KL〜4KL及び傾斜線部1KL〜4KLを有する位置ずれ調整チャートIKC1〜IKC4を、複数の二次元イメージセンサ35aを搭載する撮像部30a〜30eからなる撮像ユニット30で読み取って、位置ずれを検出することができる。その結果、二次元イメージセンサ35aの2次元の位置ずれだけでなく、倍率の位置ずれについても、正確に検出することができる。したがって、撮像ユニット30の撮像部30a〜30eの位置ずれを補正することで、撮像ユニット30を利用した測色調整を適切に行うことができ、画像形成装置1の画像品質を向上させることができる。
さらに、本実施例の画像形成装置1は、その読取部130が、コンピュータに、複数の二次元イメージセンサ35aを有する撮像部30a〜30eが所定方向に配列されている撮像ユニット(二次元読取センサ手段)30の該二次元イメージセンサ35aの配列方向に延在し相互に平行な少なくとも2本の線部を有する平行基準線部(平行線部)1HL〜4HLと、該配列方向に対して角度を有す線部を有する傾斜線部1KL〜4KLと、を有する位置ずれ調整チャートIKC1〜IKC4を、前記二次元イメージセンサ35aによって読み取らせる読取制御処理と、前記二次元イメージセンサ35aによる前記位置ずれ調整チャートIKC1〜IKC4の読取結果に基づいて該二次元イメージセンサ35aの位置ずれを検出する検出処理と、を実行させるプログラムを搭載している。
したがって、線部1KL〜4KL及び傾斜線部1KL〜4KLを有する位置ずれ調整チャートIKC1〜IKC4を、複数の二次元イメージセンサ35aを搭載する撮像部30a〜30eからなる撮像ユニット30で読み取って、位置ずれを検出することができる。その結果、二次元イメージセンサ35aの2次元の位置ずれだけでなく、倍率の位置ずれについても、正確に検出することができる。したがって、撮像ユニット30の撮像部30a〜30eの位置ずれを補正することで、撮像ユニット30を利用した測色調整を適切に行うことができ、画像形成装置1の画像品質を向上させることができる。
また、本実施例の画像形成装置1の読取部130は、前記位置ずれ調整チャートIKC1〜IKC4が、平行基準線部1HL〜4HLとして、前記二次元イメージセンサ35aの配列方向に平行で相互に平行な2本の直線である線部HL1〜HL3を有する。
したがって、簡単な位置ずれ調整チャートIKC1〜IKC4で、撮像ユニット30の各撮像部30a〜30eの位置ずれを正確に検出することができる。
さらに、本実施例の画像形成装置の読取部130は、前記位置ずれ調整チャートIKC1〜IKC4が、前記傾斜線部1KL〜4KLとして、前記二次元イメージセンサ35aの配列方向に平行な直線HKL1、HL3、HL1を有し、前記傾斜線部1KL〜4KLの前記角度を有する線部として、該直線HKL1、HL3、HL1に対して所定角度を有する傾斜直線KL1、KL2、KL3と、を有する。
したがって、簡単な位置ずれ調整チャートIKC1〜IKC4で、撮像ユニット30の各撮像部30a〜30eの位置ずれを正確に検出することができる。
また、本実施例の画像形成装置1の読取部130は、前記位置ずれ調整チャートIKC1〜IKC4が前記線部1HL〜4HLと前記傾斜線部1KL〜4KLが、前記二次元イメージセンサ35aの配列方向に平行な直線HL3、HL1を、共用している。
したがって、より一層簡単な位置ずれ調整チャートIKC1〜IKC4で、撮像ユニット30の各撮像部30a〜30eの位置ずれを正確に検出することができる。
さらに、本実施例の画像形成装置1の読取部130は、前記位置ずれ調整チャートIKC1〜IKC4が、前記平行基準線部1HL〜4HLの2本の線部の間に前記傾斜線部1KL〜4KLが位置している。
したがって、より一層簡単な位置ずれ調整チャートIKC1〜IKC4で、撮像ユニット30の各撮像部30a〜30eの位置ずれを正確に検出することができる。
また、本実施例の画像形成装置1の読取部130は、前記位置ずれ調整チャートIKC1〜IKC4が、前記平行基準線部1HL〜4HLの2本の線部のうちいずれかの線部と前記傾斜線部1KL〜4KLの角度を有する線部とが、それぞれ多面体の辺となっている。
したがって、より一層簡単な位置ずれ調整チャートIKC1〜IKC4で、撮像ユニット30の各撮像部30a〜30eの位置ずれを、より一層正確に検出することができる。
さらに、本実施例の画像形成装置1の読取部130は、その検出部133が、複数の前記二次元イメージセンサ35a、すなわち、撮像部30a〜30eの位置ずれとして、前記位置ずれ調整チャートIKC1〜IKC4の面に対して垂直方向における相互の位置ずれ、前記配列方向における位置ずれ、該配列方向に直交する方向における位置ずれ及び該配列方向に対する回転方向の位置ずれのうち、少なくとも1つを検出する。
したがって、撮像部30a〜30eの個々の位置ずれを細かく検出することができる。
以上、本発明者によってなされた発明を好適な実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施例で説明したものに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。