JP6740276B2 - 基礎杭、該基礎杭を用いた基礎の構築方法 - Google Patents

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本願発明は、既製杭を用いた基礎杭であって、施工及び施工管理が容易で、基礎杭の杭先端支持力や杭周摩擦力が良好な基礎杭、及び、基礎杭を用いたビルディングなどの大型上部構造物の下方に設けられる基礎の構築方法に関する。
ビルディング、商業施設、倉庫などの大型構造物の基礎として既製杭を用いた基礎杭からなる基礎が知られている。
基礎杭は、一般的には図4に示すように、杭先端支持力を向上させるべく杭孔の底部に拡径部を設けたものとなっている。例えば、特許文献1には底部側に内径を拡大した拡大掘削部が形成された杭孔に基礎杭を設ける基礎杭の施工方法が記載されている。そして、この文献では拡大比ω(既製杭の先端部の外径Donに対する拡大掘削部の内径Dの割合)は1.0〜2.0の範囲に設定されている。
また、特許文献2にも同様の基礎杭構造のものが記載されており、この文献では根固め柱の径Dを杭径Dの1.2〜2.0倍とることが記載されている。
また、特許文献3には、根固め部での先端支持力や周面摩擦力などを考慮した埋込み杭の構造仕様決定方法が記載されている。この文献では、根固め部径Dは節部を有する既製杭の節部径Dに対しD>D+50にすることが記載されている。
以上のように、従来技術では杭先端支持力を得るべく杭先端部径Dに対する杭孔底部(根固め部)の径Dの比D/Dを大きくすることが行われており、D/D=1.25程度が主流となっている。
特許第6065155号公報 特開2006−249928号公報 特許第5798376号公報
また、基礎杭の配置位置によって大型上部構造物からの柱荷重は変わってくるので、表1に一例を示すように、用いる杭の杭径を変えて複数径の既製杭を用いてきた。しかし、従来のように杭孔底部に拡径部を設ける基礎杭では施工面や施工管理面で様々な課題があった。
例えば、施工面では、
(1)杭孔を削孔する際、杭孔底部に拡径部を設ける先端部拡底の工程があるため、拡大掘削ヘッドのある掘削機を用いるなど特殊な掘削装置が必要になる。
(2)上記先端部拡底の工程があるため施工効率が悪くなる。
(3)削孔中に杭孔内壁の崩壊が起こり杭の挿入不能に陥ることがある。
(4)根固め部(拡径部)の構築中に根固め部に掘削残土が多く入り込むことがある。
(5)大型上部構造物は柱ごとに必要な支持力が異なるので、柱ごとに杭径の違う杭を用意するか杭本数を増やさなければならず、手間やコストが掛かる。
などが挙げられる。
施工管理面では、
(a)品質管理に対する要求が年々高くなる中、杭孔の底部に確実に拡径部が構築されているか否かを確認する必要がある。
などが挙げられる。
このような中、最近では、基礎杭の施工において、杭孔に拡径部を設けないストレートな杭孔を用いた工法も開発されてきているが十分ではない。この場合のD/Dは、1.1〜1.25程度である。
本願発明は、上記課題を鑑みつつ、既製杭を用いて大型上部構造物の基礎を構築する際に施工性や施工管理性が良く、高い杭支持力が得られる基礎杭と基礎杭を用いた基礎の構築方法を提供することを目的とする。
本願発明は、施工区画に設けられた複数の基礎杭によって構成される大型上部構造物の基礎であって、前記複数の基礎杭は、それぞれ掘削機により削孔された杭孔に既製杭が挿入され、前記杭孔の内壁と前記既製杭との間に根固め液及び杭周固定液が充填されてなる基礎杭であって、前記杭孔は、根固め部に拡径部を有さず、根固め部からその上方の杭周部に亘って同一の杭孔径を有するストレートな杭孔であり、周囲を前記根固め液で充たされた前記既製杭の先端部における杭径Dは300〜1200mmであり、かつ前記杭径Dと前記杭孔径Dとの比D/Dが1.3〜2.5であり、前記複数の基礎杭のうち、前記基礎における設置位置の違いにより必要とする杭先端支持力が異なる複数の基礎杭について、同一の杭径Dを有する既製杭が用いられ、個々の基礎杭が必要とする杭先端支持力に応じて、根固め部からその上方の杭周部に亘って同一の杭孔径とした前記ストレートな杭孔の杭孔径Dが、D/D=1.3〜2.5となる範囲で基礎杭ごとに設定されていることを特徴とするものである。
本願発明の基礎杭は、アースオーガ、掘削攪拌ロッド、スパイラルオーガなど従来の掘削機により削孔された杭孔に従来からある既製杭が従来の方法で挿入され、杭孔の内壁と既製杭との間に杭孔底部ではW/C40〜100%程度のセメントミルクなどの根固め液が、その上部の隙間にはW/C50〜200%程度のセメントミルクなどの杭周固定液と泥水の混合物が充填されてなるものである。
既製杭は単杭、上杭と下杭からなる継ぎ杭、上杭と中杭と下杭からなる継ぎ杭などである。既製杭の種類は特に限定されないが、PHC杭やPRC杭などのコンクリート杭、SC杭などの複合杭、コンクリート杭と複合杭の組み合わせからなる杭が、杭に作用する水平力に効率的に抵抗する観点からして好ましい。根固め液と杭周固定液は、従来と同様のものである。
本願発明では、杭孔は孔底などの根固め部に拡径部を有せず、根固め部からその上方の杭周部に亘って同一な杭孔径を有するストレートな杭孔である。杭孔の杭孔径は特に限定されないが、従来の拡径部を有する杭孔における拡径部の杭孔径に匹敵するものである。例えば、400〜3000mmである。ストレート形状の杭孔は、従来から若干あるものの、大きくても杭径1000mmに対して掘削径1250mm程度の拡径率になっており、それより大きな拡径率のものはなかった。
これは、杭孔径を大径にすることによって、施工の仕方によっては発生残土が増加する、杭孔に挿入する既製杭を鉛直に挿入することが難しくなるなどの問題点も若干あるとみられる。
上記の通り、本願発明の基礎杭における杭孔はストレート形状のものなので、施工面の課題である(1)〜(4)の問題は生じ難くなる。また、施工管理面の課題であった(a)の問題も解消される。
周囲を根固め液で満たされた既製杭の先端部における杭径Dは300〜1200mmであり、かつ、杭径Dと杭孔径Dとの比D/Dが1.3〜2.5であるとよい。
前述の通り、杭孔に挿入された既製杭の先端部外周は根固め液で充たされているが、この根固め液に接する先端部における杭径Dは300〜1200mmが好ましい。
本願発明の基礎杭は、前述の通り、ビルディング等の大型上部構造物の柱荷重を支持するものなので大径の杭を用いるのが好ましい。300mm未満では既製鋼管杭が主流であり、また、1200mmを超えると場所打ちコンクリート杭が主流となる。
なお、杭径Dは、杭の先端部がストレート形状のものであればその部分の外径を示し、拡底部を有するものであれば拡底部における杭の最外径を示す。本願発明での既製杭とは、先端部に支持力向上のための鋼板を巻き付けたものなど先端部が加工されたものも含まれるが、杭径Dは杭本体部の外径である。
また、本願発明の基礎杭では、杭径Dと杭孔径Dとの比D/Dを1.3〜2.5とするのが好ましい。前述の通り、拡径部を有する従来の杭孔においてはD/Dを2.0程度まですることも考えられているが、実際は発生残土量の増加といった理由で1.25程度にすることが主流となっている。前述の通り、本願発明のようなストレート形状の杭孔を用いた工法も最近開発されてきているが、D/Dについては十分検討されていない。
杭径Dと杭孔径Dとの比D/Dが1.3未満では支持力増加の効果が低く、また2.5を超えると掘削装置が大きくなりすぎて施工が困難となるなどのデメリットが生じやすくなる。支持力増加の面では、D/Dを1.4または1.5〜2.5とするのがより好ましい。
本願発明の既製杭は、コンクリート杭、鋼管とコンクリートとからなる複合杭、コンクリート杭と複合杭とを組み合わせてなる杭のいずれかであることを特徴とするものである。
本願発明の基礎杭で用いる杭は、従来から大型上部構造物の基礎を施工する際に用いる既製杭であれば特に限定されず鋼管杭や合成杭なども用いることができるが、中でもPC杭、PHC杭、PRC杭などのコンクリート杭、SC杭などの鋼管とコンクリートとからなる複合杭、コンクリート杭と複合杭とを組み合わせてなる杭が、杭に作用する水平力に効率的に抵抗する観点からして好ましい。
また、既製杭は、根固め部からその上方の杭周部に亘って同一径のストレート形状の杭、もしくは、その杭底部及び/又は杭頭部に拡径部を有する杭であるとよい。もちろん、全長に亘って同一径のストレート形状の杭でもよく、その場合製造は最も容易となる。
既製杭の形状も特に限定されず従来から大型上部構造物の基礎を施工する際に用いる形状、形態が適用できるが、基本的には、施工性や施工管理性の観点から、既製杭(単杭、継ぎ杭)はその全長に亘って同一径のストレート形状の杭が好適であるが、必要に応じてST杭など拡底部及び/又は杭頭部に拡径部を有するものも用いることができる。
本願発明の基礎杭における杭孔は、杭周固定液と泥水の混合物が充填される部分(杭軸部)もその全長に亘って杭孔径が大きいので杭孔の内壁と杭外周面との間の隙間が大きくなり、従来の基礎杭より多くの杭周固定液と泥水の混合物が充填される。
よって、ST杭などを用いて杭頭部を拡径することにより杭の水平支持力は向上し耐震性の高い基礎杭が得られる。また、ST杭などを用いて杭底部を拡径すれば杭先端部の支持力の高い基礎杭が得られる。さらに、杭の拡頭部と拡底部の両方を拡径したST杭を用いればさらに水平抵抗力が大きな基礎杭が得られる。なお、上記拡頭部や拡底部は従来から知られているものと同様の形状、形態のものである。
また、本願発明の基礎の構築方法は、上述の基礎杭を利用して大型構造物下方の地盤に設けられる基礎の構築方法であって、施工区画に基礎杭を複数設け、設置位置の違いにより必要とする杭先端支持力が異なる複数の基礎杭について同一の杭径Dを有する既製杭を用い、個々の基礎杭が必要とする杭先端支持力に応じて、杭孔径Dを、D/D=1.3〜2.5となる範囲で基礎杭ごとに設定することを特徴とする。
本願発明の基礎は、ビルディング、商業施設、倉庫などの大型構造物の下方の地盤に設けられる基礎であり、杭基礎の施工区画に基礎杭を複数設けてなるものである。
また、設置位置の違いにより必要とする杭先端支持力が異なる複数の基礎杭について同一の杭径Dを有する既製杭を用い、個々の基礎杭が必要とする杭先端支持力に応じて、杭孔径Dを、D/D=1.3〜2.5となる範囲で基礎杭ごとに設定する。例えば杭径Dを基礎杭ごとに替えることなく、全て同一径の既製杭を用いて、あるいは2種類、場合によって3種類程度の径の既製杭を用いて、杭孔径Dを替える、すなわち、D/Dの比を替えることで得られる杭先端支持力を変える。このようにすることにより、i)用いる杭の種類を減らせる、ii)施工ミスが少なくなる、iii)既製杭の製造コスト減につなげられる、iv)杭の製造から杭基礎施工までの杭や基礎杭の管理が容易となるといった効果が得られる。
杭孔径Dは、従来の拡径部を有する杭孔における拡径部の杭孔径に匹敵するものであり、杭孔径Dは、例えば、400〜3000mmの範囲で必要な杭先端支持力に応じて変えればよい。
本願発明の基礎では、必要な杭先端支持力を得るのに、削孔する杭孔径を替えるだけでよく、しかも、杭孔はストレート形状のものなので、良好な杭先端支持力を維持しつつ基礎の施工性や施工管理性の向上が図れる。
本願発明の基礎杭を用いれば、少なくとも従来並みの良好な杭耐力を維持しつつ施工性や施工管理性の良い大型上部構造物の基礎を得ることができる。また、本願発明の基礎の構築方法によれば、施工性や施工管理性の良い施工で基礎を構築することができるだけでなく、施工コストの低減も図れる。
本願発明の基礎杭の例を示す断面図である。(a)は既製杭がストレート形状の単杭である場合、(b)は既製杭がストレート形状の単杭を接続してなる継ぎ杭である場合、(c)は既製杭が拡底部を有する単杭である場合、(d)は既製杭が拡頭部を有する単杭である場合である。 本願発明の基礎の一例を示す平面図である。 図2におけるXの位置に設けられた側杭bとXの位置に設けられた中杭cの基礎杭を示す断面図であり、図2に示す本願発明の基礎の説明を補完するものである。 従来の代表的な基礎杭を示す断面図である。(a)は杭孔の底部と既製杭の先端部に杭先端支持力を強固にするための拡径部がある場合、(b)は既製杭がストレート形状で杭孔の底部のみに拡径部がある場合である。 図2に対応するものであり、従来の基礎の一例を示す平面図である。
以下、本願発明の実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、本願発明は、以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
図1は本願発明の基礎杭1の例を示す断面図である。(a)は既製杭5がストレート形状の単杭である場合、(b)は既製杭5がストレート形状の単杭を接続してなる継ぎ杭である場合、(c)は既製杭5が拡底部を有する単杭である場合、(d)は既製杭5が拡頭部を有する単杭である場合である。
図に示すように、本願発明では、地盤中に掘削された杭孔2はその全長に亘って同径のストレート形状のものである。従来のように杭孔2の底部や頭部を拡径しないので、特殊な掘削機を用いることなく簡便かつ確実に杭孔2を形成できる。杭孔2は地盤における支持層の支持層上端から、挿入される杭の径の2倍〜4倍の深さまで掘削する。
杭孔2の杭孔径Dは、従来の杭孔において杭孔底部などに設けられる拡径部杭孔径に匹敵する寸法のものであり、例えば、400〜3000mmである。杭孔2の底部には、従来の杭孔と同様、W/C40〜100%程度のセメントミルクなどの根固め液3が充填され、その上方にはW/C50〜200%程度のセメントミルクなどの杭周固定液と泥水の混合物4が充填されている。
そして、この杭孔2に杭径Dの既製杭5が挿入されている。既製杭5は、(a)と(c)と(d)の例ではPHC杭、(b)の例では既製杭5は上杭5aと中杭5bと下杭5cとからなり、中杭5bと下杭5cがPHC杭で上杭5aがSC杭である。杭径Dは、図に示すように、杭本体の先端部における杭径であり、300〜1200mmが好ましい。
既製杭5の先端面と杭孔2の底面との離間距離Hは、挿入される杭の径の1倍〜2倍の高さが好ましい。この範囲にすることによって、根固め部が押し抜き破壊されないといった効果が得られる。また、根固め液3の充填高さHはH以上であって、挿入される杭の径の1〜2倍程度が好ましい。この範囲にすることによって杭と根固め液が一体化される効果が得られる。
また、杭孔径Dと杭径Dとの比D/Dは1.3〜2.5にするのが好ましい。この範囲にすることによって、杭先端支持力係数などを大きくとることができる。
理論上では、D/Dを1.3〜2.5とすることにより、杭先端支持力係数は350程度が375〜1250程度に、砂質土地盤での摩擦力係数は6程度が6.2〜12.0程度に、粘土質地盤の摩擦力係数は0.5程度が0.62〜1.20程度に大きくなる。
また、D/Dを1.4〜2.5とした場合、杭先端支持力係数は350程度が430〜1250程度に、砂質土地盤での摩擦力係数は6程度が6.7〜12.0程度に、粘土質地盤の摩擦力係数は0.5程度が0.67〜1.20程度に大きくなる。
例えば、杭径600mmでモデル地盤(杭長20m、先端地盤N値60、摩擦砂質土:N=5,10m、粘土:q=100N/mm、10m)での杭の地盤から決まる支持力を算出すると、従来では一般的なD/D=1.25の場合は2543kNであったものが、D/Dを1.3〜2.5とすることで2703〜8195kNにまで大きくなる。
なお、本願発明の基礎杭5は従来からある基礎杭施工装置を用いて従来方法で施工することにより得ることができる。(a)に示すように、既製杭5を杭孔2に鉛直に建て込むべくスペーサ6などは、従来から用いられている位置調整治具を用いてもよい。また、(d)に示すように、杭先端支持力を増すため杭先端部に外面に突起のある巻き付け鋼板7を巻き付けるなどすることもできる。
図2は、本願発明の基礎8の一例を示す平面図である。基礎8は大型上部構造物(例えば、ビルディング、商業施設、倉庫など)直下の地盤に設けられ、施工区画に図1に示すような本願発明の基礎杭1が複数設けられている。この例では、X〜XとY〜Yとの交点に各々基礎杭1が設けられ、a〜aは隅杭、b〜bは側杭、cとcは中杭となっている。
図2に示した基礎8では、全ての基礎杭1に杭径Dが同径の既製杭5を用いる。この例では、大型上部構造物からの柱荷重に関係なく、隅杭、側杭、中杭のいずれにおいても杭径600mmのものを用いている。このように杭径Dを同径のものにすることで施工や施工管理が容易となる。既製杭5の杭径Dは、杭周囲の地盤の固さや杭に作用する水平力の大きさに応じて決められる。
本願発明では、各柱荷重に対して必要な杭支持力を杭孔2の杭孔径Dを各基礎杭1で替える(すなわち、D/Dの比を替える)ことによって得る。この例では、隅杭a〜aの杭孔径Dを780mm(D/D=1.30)、側杭b〜bの杭孔径D2’を850mm(D/D=1.42)、中杭c〜cの杭孔径D”を1000mm(D/D=1.67)としている。杭孔径Dと杭径Dとの比D/Dは必要とされる柱荷重によって決められる。
このように、本願発明の基礎8では、必要な杭先端支持力に応じて掘削する杭孔2の杭孔径Dを変えるだけでよく、しかも、杭孔2は拡径部を有しないストレート形状のものなので施工や施工管理が容易となるとともに、掘削土砂の必要以上の混入などの施工ミスがなくなり、品質の高い基礎8が得られる。
図3は、図2におけるXの位置に設けられた側杭bとXの位置に設けられた中杭cの基礎杭1を示す断面図であり、図2に示す本願発明の基礎8の説明を補完するものである。基礎杭1の形態は図1の(a)に対応している。
図に示すように、Xの位置での基礎杭1とXの位置での基礎杭1とでは、杭径Dが同径の既製杭5を用いるものの、杭孔2の杭孔径DはD’とD”とで異なっている。したがって、根固め液3や杭周固定液4の杭孔2への充填量も杭孔径Dが変われば変わる。これらの液の充填量が増えれば杭と杭孔との一体化強固になるので、既製杭5の杭径Dを変えなくても必要な杭先端支持力は十分得ることができる。
図2には、全ての基礎杭1に杭径Dが同径の既製杭5を用いた例を示したが、施工区画に基礎杭1を複数設ける場合、設置位置の違いにより必要とする杭先端支持力が異なる複数の基礎杭について同一の杭径Dを有する既製杭を用い、個々の基礎杭が必要とする杭先端支持力に応じて、杭孔径Dを、D/D=1.3〜2.5となる範囲で基礎杭ごとに設定すればよい。
図4は、従来の代表的な基礎杭1を示す断面図である。(a)は杭孔2の底部と既製杭5の先端部に杭先端支持力を強固にするための拡径部がある場合、(b)は既製杭5がストレート形状で杭孔2の底部のみに拡径部がある場合である。既製杭5は、(a)ではPHC杭の単杭、(b)ではSC杭の上杭とPHC杭の中杭と下杭からなる継ぎ杭である。
本願発明の基礎杭1と同様、杭孔2の底部には根固め液3が充填され、その上方に杭周固定液と泥水の混合物4が充填されている。(a)では、杭孔2の底部は杭孔拡底部9となっており、そこに先端部が拡径した既製杭5の該先端部が挿入されている。また、(b)では、既製杭5の先端部は拡径していないものの杭孔2には杭孔拡底部9が設けられている。
そのため、従来の基礎杭1を施工しようとすると杭孔拡底部9の施工が必須のものとなるので、施工に手間やコストが掛かるとともに施工管理がし難く、杭孔拡底部9への掘削土砂の混入が発生することがある。
図5は図2に対応するものであり、従来の基礎8の一例を示す平面図である。施工区画に図4に示すような基礎杭1が複数設けられている。図2と比較しやすいように、この例でも、X〜XとY〜Yとの交点に各々基礎杭1が設けられ、e〜eは隅杭、f〜fは側杭、gとgは中杭となっている。
既製杭5における杭径Dは本願発明のように統一されておらず、杭の打設位置によって異なった杭が用いられている。この例では、隅杭では杭径Dが600mmのものを、側杭では杭径D’が800mmのものを、中杭では杭径D”が1000mmのものを用いている。したがって、杭孔2の杭孔径Dも使用する杭の杭径D〜D”によってD〜D”も750mm、1000mm、1250mmと変わっている。この例では、杭孔径Dと杭径Dとの比D/Dを1.25に設定しているが、従来は1.1〜1.25程度にするのが一般的である。
このように、従来の基礎8では基礎杭1の設置位置によって杭径Dの異なる既製杭5を数種用い、それによって杭孔径Dも変わってくる。加えて、基礎杭1はその多くが図4に示すような杭孔拡底部9を有するものである。したがって、基礎8を従来の方法で構築しようとすると、既製杭5も杭径Dの異なる杭を用意しなければならないなど設計から施工までの手間が掛かるとともに施工管理も大変である。また、図4のところで述べたような基礎杭1の施工での問題が生じる惧れもある。
表1は、図2に示す本願発明の基礎8と図5に示す従来の基礎8との対比表である。
Figure 0006740276
この表からわかるように、従来の基礎ではD/Dの比を替えるのではなく、大型上部構造物からの柱荷重に応じて既製杭の杭径Dを替えた複数種の既製杭を用い、それに応じて杭孔径Dが変わることにより杭の先端支持力を得ているのに対し、本願発明では用いる既製杭の杭径Dは一定とし杭孔径Dを替えて(すなわち、D/Dの比を替えて)先端支持力を得ている。
これまで、既製杭による基礎杭を用いて基礎を構築するのに、施工区画における全ての基礎杭で用いる既製杭の杭径Dを一定とする、杭孔径Dを替えて(すなわち、D/Dの比を替えて)必要な杭の先端支持力を得るといった発想はなかったが、本願発明の既製杭と基礎によれば施工ミスを低減できるとともに施工性、施工管理性、品質性の良好な基礎を構築することができる。
1…基礎杭、2…杭孔、3…根固め液、4…杭周固定液と泥水の混合物、5…既製杭、5a…上杭、5b…中杭、5c…下杭、6…スペーサ、7…巻き付け鋼鈑、8…基礎、9…杭孔拡底部、D…杭径、D…杭孔径、H…杭の先端面と杭孔の底面との離間距離、H…根固め液の充填高さ

Claims (3)

  1. 施工区画に設けられた複数の基礎杭によって構成される大型上部構造物の基礎であって、前記複数の基礎杭は、それぞれ掘削機により削孔された杭孔に既製杭が挿入され、前記杭孔の内壁と前記既製杭との間に根固め液及び杭周固定液が充填されてなる基礎杭であって、前記杭孔は、根固め部に拡径部を有さず、根固め部からその上方の杭周部に亘って同一の杭孔径を有するストレートな杭孔であり、周囲を前記根固め液で充たされた前記既製杭の先端部における杭径Dは300〜1200mmであり、かつ前記杭径Dと前記杭孔径Dとの比D/Dが1.3〜2.5であり、前記複数の基礎杭のうち、前記基礎における設置位置の違いにより必要とする杭先端支持力が異なる複数の基礎杭について、同一の杭径Dを有する既製杭が用いられ、個々の基礎杭が必要とする杭先端支持力に応じて、根固め部からその上方の杭周部に亘って同一の杭孔径とした前記ストレートな杭孔の杭孔径Dが、D/D=1.3〜2.5となる範囲で基礎杭ごとに設定されていることを特徴とする大型上部構造物の基礎。
  2. 請求項1記載の基礎において、前記既製杭は、コンクリート杭、鋼管とコンクリートとからなる複合杭、前記コンクリート杭と前記複合杭とを組み合わせてなる杭のいずれかであることを特徴とする基礎。
  3. 請求項1または2に記載の基礎において、前記既製杭は、その全長に亘って同一径のストレート形状の杭、もしくは、その杭底部及び/又は杭頭部に拡径部を有する杭であることを特徴とする基礎。
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