以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。なお、各図面において、同一の構成要素には、同一の参照符号を付与している。
[第1の実施形態]
図1は、本発明の実施形態に係る放射線画像撮影システム100の構成を示す図である。放射線画像撮影システム100は、放射線画像撮影装置10と、コンソール70と、放射線照射装置90と、を含んで構成されている。なお、放射線画像撮影装置10は、本発明における放射線画像撮影装置の一例であり、コンソール70は、本発明における制御装置の一例である。
放射線照射装置90は、コンソール70から通知されたX線照射条件(管電圧、管電流およに照射時間)に従って、被写体Oに向けてX線を照射する機能を有する。放射線画像撮影装置10は、被写体Oを透過して撮影面10Sに到達したX線の線量分布に応じた放射線画像を生成し、生成した放射線画像をコンソール70に送信する機能を有する。コンソール70は、放射線照射装置90および放射線画像撮影装置10を統括的に制御するとともに、放射線画像撮影装置10から送信された放射線画像を表示する機能を有する。コンソール70と放射線画像撮影装置10、コンソール70と放射線照射装置90は、それぞれ通信ケーブル110、111を介して画像データや制御信号等を送受信する。なお、コンソール70と放射線画像撮影装置10との間およびコンソール70と放射線照射装置90との間の通信を無線によって行うように構成してもよく、この場合には、通信ケーブル110および111は不要となる。
図2は、放射線画像撮影装置10の構造を示す断面図である。図2に示すように、放射線画像撮影装置10は、筐体12と、筐体12の内部に収容された3つの撮影ユニット11A、11B、11Cと、を含んでいる。撮影ユニット11A、11B、11Cは、互いに同一の構成を有しており、それぞれ、TFT基板21、光電変換層22およびシンチレータ23を積層して構成される放射線検出パネル20A、20Bおよび20Cを含んでいる。なお、図2においては、放射線検出パネル20A、20Bおよび20C以外の他の構成要素(図5に示す、ゲート線駆動部41、信号処理部42、撮影ユニット制御部50等)については図示を省略している。放射線検出パネル20A、20Bおよび20Cは、本発明における放射線検出パネルの一例である。なお、以下において、撮影ユニット11A、11Bおよび11Cを区別しない場合や総称する場合には、撮影ユニット11と表記する。また、放射線検出パネル20A、20Bおよび20Cを区別しない場合や総称する場合には放射線検出パネル20と表記する。
シンチレータ23は、放射線を吸収して可視光を放射する蛍光体を含む。放射線としてX線を用いる場合、シンチレータ23に用いる蛍光体としては、ヨウ化セシウム(CsI)を含むものが好ましく、X線照射時の発光スペクトルが400nm〜700nmにあるCsI(Tl)(タリウムが添加されたヨウ化セシウム)を用いることが特に好ましい。
光電変換層22は、シンチレータ23とTFT基板21との間に設けられ、シンチレータ23が発する光を吸収することにより電荷を発生させる有機光電変換材料により構成されている。有機光電変換材料を含む光電変換層22は、可視域にシャープな吸収スペクトルを持ち、シンチレータ23から発せられた可視光以外の電磁波が光電変換層22に吸収されることが殆どない。従って、X線等の放射線が光電変換層22で吸収されることによって発生するノイズを効果的に抑制することができる。光電変換層22を構成する有機光電変換材料は、吸収ピーク波長がシンチレータ23の発光ピーク波長と近いほど好ましい。このような条件を満たすことが可能な有機光電変換材料としては、例えばキナクリドン系有機化合物およびフタロシアニン系有機化合物が挙げられる。なお、図示は省略されているが、光電変換層22を間に挟むように電極が設けられており、撮影時においてはこの電極を介して光電変換層22にバイアス電圧が印加される。また、TFT基板21側の電極は、複数の画素に対応してマトリックス状に分割されている。
TFT基板21は、光電変換層22において生成された電荷を読み出すためのスイッチング素子(図3に示すTFT34)が設けられたガラス基板を含んで構成されている。
放射線検出パネル20A、20Bおよび20Cにおいて、TFT基板21の周辺端部は、光電変換層22およびシンチレータ23が積層されていない不感領域RAX、RBXおよびRCXとされており、不感領域RAX、RBXおよびRCXに隣接する内側(放射線検出パネル20の中心側)が光電変換層22およびシンチレータ23が積層された撮影領域RA、RB、RCとされている。撮影領域RA、RB、RCにおいて、放射線画像を生成することが可能である。
放射線画像撮影装置10において、放射線検出パネル20A、20Bおよび20Cが、X線の入射方向と交差する方向に並置されている。より具体的には、放射線検出パネル20Aにおける撮影領域RAの一方の端部と、放射線検出パネル20Bにおける撮影領域RBの一方の端部とがX線の照射方向に互いに重ねられ、撮影領域RBの他方の端部と放射線検出パネル20Cにおける撮影領域RCの一方の端部がX線の照射方向に互いに重ねられている。また、中央に配置される放射線検出パネル20Bは、両端の放射線検出パネル20Aおよび20Cに対してX線の照射方向の下流側に配置されている。このように、放射線画像撮影装置10において、3つの放射線検出パネル20A、20Bおよび20Cを連結することで、長尺状の撮影領域を形成している。互いに隣り合う放射線検出パネルにおいて、撮影領域の端部をオーバラップさせることで撮影領域の連続性を確保することができる。すなわち、製造ばらつき、衝撃、振動および周囲温度変動等によって放射線検出パネル20A、20Bおよび20Cの相対位置が変動した場合でも放射線検出パネルの繋ぎ目において撮像領域の不連続部分(すなわち画像の欠落部分)が生じることを防止することができる。また、X線が撮影面10Sに対して斜め方向から入射した場合においても、撮像領域の不連続部分が生じることを防止することができる。
なお、放射線画像撮影装置10は、X線の入射側に光電変換層22を配置する、いわゆる表面読取方式(ISS:Irradiation Side Sampling)による撮影方式を採用している。表面読取方式を採用することで、X線の入射側にシンチレータ23を配置する、いわゆる裏面読取方式(PSS:Pentration Side Sampling)を採用した場合と比較して、シンチレータ23における強発光位置と光電変換層22との間の距離を短くすることができ、その結果、放射線画像の解像度を高めることができる。なお、放射線画像撮影装置10は、裏面読取方式を採用するものであってもよいし、それぞれを含み構成されていてもよい。
図3は、放射線検出パネル20の電気的構成を示す図である。放射線検出パネル20は、放射線画像を生成する機能のみならず、X線の照射の有無を検出する照射検出機能を有する。上記の照射検出機能を実現するために、放射線検出パネル20には、放射線画像を撮影するための複数の撮影用画素31に加えてX線の照射有無を検出するための複数の照射検出用画素32を有する。
撮影用画素31の各々は、光電変換層22を含んで構成される放射線画像撮影用のセンサ310と、センサ310で生じた電荷を読み出す際にオン状態とされるスイッチング素子としてのTFT34とを含んでいる。撮影用画素31は、TFT基板21の全面に行および列をなして二次元状に配列されている。
放射線検出パネル20は、撮影用画素31の配列に沿った一定方向(行方向)に延設され、各TFT34をオンオフさせるためのゲート信号を各TFT34に供給するための複数のゲート線35を有する。また、放射線検出パネル20は、ゲート線35の伸長方向と交差する方向(列方向)に延設され、オン状態のTFT34を介してセンサ310で生じた電荷を読み出すための複数の信号線36と、が設けられている。撮影用画素31の各々は、ゲート線35と信号線36との各交差部に対応して設けられている。
照射検出用画素32は、光電変換層22を含んで構成される照射検出用のセンサ320により構成される。照射検出用のセンサ320は、信号線36に直接接続されており、センサ320で発生した電荷はそのまま信号線36を流れる。照射検出用のセンサ320は、TFT基板21上の全域に亘り分散して配置されている。本実施形態において、照射検出用のセンサ320の数は、放射線画像撮影用のセンサ310の数よりも少ない。すなわち、TFT基板21上において照射検出用画素32は、撮影用画素31よりも低密度で形成されている。放射線画像撮影用のセンサ310と照射検出用のセンサ320には、図示しないバイアス線を介してバイアス電圧が供給され、いずれも照射された放射線の線量に応じた大きさの検出信号を出力する。なお、放射線画像撮影用のセンサ310と照射検出用のセンサ320のサイズは互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。なお、本実施形態いおいては、X線の照射の有無を検出する手段として照射検出用画素32を用いているが、これに限定されるものではなく、例えば、以下に例示する他の手段を用いることも可能である。
(1)撮影用画素31の中から任意に選択した画素を、専らX線の照射の有無を検出するための画素(照射検出用画素)として機能させてもよい。この場合、照射検出用画素として機能する撮影用画素31のTFT34のソースとドレインを短絡させてもよい(ショート画素方式)。
(2)放射線画像撮影用のセンサ310の各々に対するバイアス電圧の印加に伴ってセンサ310の各々に流れるバイアス電流を検出するバイアス電流検出手段を設け、バイアス電流検出手段によって検出されたバイアス電流の大きさに基づいてX線の照射の有無を検出してもよい。
(3)撮影用画素31の中から選択された画素に、追加のTFTを設け、追加で設けられたTFTのリーク電流に基づいてX線の照射の有無を検出してもよい。
(4)ゲート線駆動部41から各ゲート線35に流れる電流の大きさを検出し、検出した電流の大きさに基づいてX線の照射の有無を検出してもよい。
(5)放射線の照射の有無を検出するセンサを、放射線検出パネル20内の撮影用画素31が設けられた層とは別の層に設けてもよい。また、放射線の照射の有無を検出するセンサを、放射線検出パネル20とは別体として設けてもよい。
図4は、照射検出用画素32の放射線検出パネル20上における配置を例示した平面図である。信号線36の各々には照射検出用画素32が接続されており、照射検出用画素32が放射線検出パネル20内において均一に分散するように配置されている。図4においては、1つの信号線36に対して1つの照射検出用画素32を接続した場合が示されているが、信号線36の伸長方向において隣接する複数の照射検出用画素32が1つの信号線36に接続されていてもよい。この場合、同一の信号線36に接続された複数の照射検出用画素32により生成された電荷は、信号線36上で合流することにより加算される。なお、本実施形態では、照射検出用画素32を、撮影用画素31とともに、TFT基板21上に設ける構成としているが、照射検出用画素32を撮影用画素31とは異なる層に設けてもよい。
図5は、3つの撮影ユニット11A、11Bおよび11Cを含んで構成される放射線画像撮影装置10全体の電気的構成を示すブロック図である。撮影ユニット11Aは、放射線検出パネル20Aの隣り合う2辺のうちの一辺に沿って配置されたゲート線駆動部41と、他辺に沿って配置された信号処理部42と、を有する。ゲート線35の各々はゲート線駆動部41に接続され、信号線36の各々は信号処理部42に接続されている。また、撮影ユニット11Aは、画像メモリ43、通信部44、電源部45および撮影ユニット制御部50を備えている。撮影ユニット11Bおよび11Cは、撮影ユニット11Aと同一の構成を有するので、撮影ユニット11Bおよび11Cについて重複する説明は省略する。
放射線検出パネル20A、20Bおよび20Cにおいて、撮影用画素31を構成するTFT34は、ゲート線駆動部41からゲート線35を介して供給されるゲート信号により行単位でオン状態とされる(図3、図5参照)。TFT34がオン状態とされることにより撮影用のセンサ310で生成された電荷が電気信号として各信号線36に読み出され、信号処理部42に伝送される(図3、図5参照)。一方、照射検出用画素32を構成する照射検出用のセンサ320で生成された電荷は、ゲート線駆動部41からのゲート信号にかかわらず信号線36に流れ出し信号処理部42に伝送される(図3、図5参照)。
信号処理部42は、個々の信号線36毎に設けられた増幅器およびサンプルホールド回路(図示せず)を備えている。個々の信号線36に伝送された電荷信号は、信号処理部42内の増幅器で増幅された後にサンプルホールド回路で保持される。また、サンプルホールド回路の出力側にマルチプレクサ、A/D(アナログ/デジタル)変換器(図示せず)が順に接続されている。個々のサンプルホールド回路で保持された電荷信号はマルチプレクサに順に入力され、A/D変換器によってデジタル信号に変換され、撮影ユニット制御部50に供給される。撮影ユニット制御部50は、A/D変換器によって生成されたデジタル信号と撮影用画素31の位置情報とを対応付けたデータを画像データとして生成する。
撮影ユニット制御部50には画像メモリ43が接続されており、撮影ユニット制御部50にて生成された画像データは、画像メモリ43に記憶される。画像メモリ43は複数フレーム分の画像データを記憶可能な記憶容量を有しており、放射線画像の撮影が行われる毎に、撮影によって得られた画像データが画像メモリ43に順次記憶される。なお、本発明の第1の実施形態に係る画像メモリ43は、本発明における記憶媒体の一例である。また、本実施形態においては、画像メモリ43を撮影ユニット11に内蔵する構成としているが、画像メモリ43は、撮影ユニット11に着脱可能な形態であってもよい。
通信部44は、外部機器である他の撮影ユニット11およびコンソール70との間で行われる通信を制御する。撮影ユニット11A、11Bおよび11Cは、通信部44に接続された通信配線46によって相互に通信可能に接続されている。これにより、撮影ユニット11A、11Bおよび11Cにおいて、各種情報が共有される。更に、撮影ユニット11A、11B、11C相互間において、動作を同期させることも可能となる。また、各撮影ユニット11A、11Bおよび11Cの通信部44は、それぞれ、通信配線46を介して通信端子47に接続されている。通信端子47には、通信ケーブル110の一方の端部が接続され、通信ケーブル110の他方の端部はコンソール70に接続されている。撮影ユニット11A、11Bおよび11Cは、通信ケーブル110を介してコンソール70との間で画像データや制御信号等の送受信を行う。
電源部45は、撮影ユニット11の各構成要素(放射線検出パネル20、撮影ユニット制御部50、ゲート線駆動部41、信号処理部42、画像メモリ43および通信部44)に電力を供給する。なお、図5では、電源部45と各種回路とを接続する電源配線の図示を省略している。また、本実施形態においては、撮影ユニット11A、11B、11Cの各々が電源部45を備える構成としているが、これに限定されるものではなく、放射線画像撮影装置10に少なくとも1つの電源部が設けられていればよい。
撮影ユニット制御部50は、ゲート線駆動部41、信号処理部42、画像メモリ43および通信部44に接続され、これらの動作を統括的に制御するマイクロコンピュータを含んで構成されている。図6は、撮影ユニット制御部50の詳細な構成を示すブロック図である。撮影ユニット制御部50は、CPU(Central Processing Unit)51、RAM(Random Access Memory)52、ROM(Read Only Memory)53およびこれらを相互に接続するバス54を含んで構成されている。ROM53には、後述する撮影制御プログラム55、表示対象画像指定プログラム56および送信制御プログラム57が格納されている。
図7は、本発明の実施形態に係る放射線画像撮影システム100を構成するコンソール70の詳細な構成を示すブロック図である。コンソール70は、コンピュータとして構成されている。コンソール70は、操作メニューや撮影された放射線画像等を表示する表示部71、複数のキーを含んで構成され、各種の情報や操作指示が入力可能な操作入力部72を備えている。操作入力部72は、一例としてキーボードの形態を有するものであってもよいし、表示部71と一体化されたタッチパネルの形態を有するものであってもよい。また、操作入力部72は、カメラを含んで構成され、このカメラに操作者のジェスチャーを認識させることにより操作指示を入力する形態を有するものであってもよい。また、コンソール70は、CPU73、RAM74、HDD(Hard disk drive)75およびROM76を備えている。また、コンソール70は、表示部71への各種情報の表示を制御する表示駆動部77、操作入力部72に対する操作入力を検出する操作入力検出部78を備えている。また、コンソール70は、放射線画像撮影装置10および放射線照射装置90との間の通信を制御する通信部79を備えている。通信部79は、通信端子80および通信ケーブル110を介して放射線画像撮影装置10に接続されるとともに、通信端子80および通信ケーブル111を介して放射線照射装置90に接続されている。CPU73、RAM74、ROM76、HDD75、表示駆動部77、操作入力検出部78、および通信部79は、バス81を介して相互に接続されている。ROM76には、後述する撮影準備プログラム82および表示制御プログラム83が格納されている。
図8は、本発明の実施形態に係る放射線画像撮影システム100を構成する放射線照射装置90の詳細な構成を示すブロック図である。放射線照射装置90は、X線を発生させる放射線源91と、通信ケーブル111を介して行われるコンソール70との間の通信を制御する通信部92と、通信ケーブル111を介してコンソール70から受信したX線照射条件に基づいて放射線源91を制御する放射線源制御部93と、を備えている。通信部92は、通信端子94および通信ケーブル111を介してコンソール70に接続されている。放射線源制御部93はマイクロコンピュータを含んで構成されており、コンソール70から送信されたX線照射条件等を記憶する。コンソール70から送信されるX線照射条件には管電圧、管電流および照射時間等の情報が含まれている。なお、放射線照射装置90は、ユーザが、管電圧、管電流および照射時間等のX線照射条件を放射線照射装置90に対して直接手動で設定するための操作入力部や、設定されたX線照射条件等を表示するための表示部を備えていてもよい。また、放射線照射装置90は、手動設定されたこと、手動設定による設定値、現在のステータス(待機状態、準備状態、曝射中、曝射終了)を示す情報をコンソール70に送信する。
(撮影準備処理)
図9は、コンソール70のCPU73がROM76に格納された撮影準備プログラム82を実行することにより実施される撮影準備処理の流れを示すフローチャートである。撮影準備プログラム82は、例えば、ユーザが操作入力部72を介して撮影準備の開始を指示した場合に開始される。
ステップS11において、CPU73は、被写体情報入力画面を表示部71に表示させるように表示駆動部77を制御する。被写体情報入力画面では、被写体である患者の性別、年齢、身長、体重、体厚、撮影対象部位、撮影時の姿勢およびX線照射条件等の入力を促すメッセージと、これらの情報の入力領域が表示される。ステップS12において、CPU73は、被写体情報の入力待ちを行う。操作入力部72を介して、被写体情報の入力がなされるとステップS12において肯定判定がなされて次のステップS13に移行する。
ステップS13において、CPU73は、入力された被写体情報を、通信部79を介して放射線画像撮影装置10に送信する。ステップS14において、CPU73は、ステップS12において入力されたX線照射条件を、通信部79を介して放射線照射装置90へ送信する。放射線照射装置90の放射線源制御部93は、通信部92を介して受信したX線照射条件にてX線照射を行うべくX線の照射準備を行う。
その後、X線の照射を実行するための操作スイッチ(図示せず)が操作されると、放射線照射装置90の放射線源91は、コンソール70から受信したX線照射条件に従った管電圧、管電流および照射時間にてX線を出射する。放射線照射装置90から出射されたX線は、被写体Oを透過して放射線画像撮影装置10に照射される。
(撮影制御処理)
図10は、撮影ユニット11A、11B、11Cの各々の撮影ユニット制御部50を構成するCPU51がROM53に格納された撮影制御プログラム55を実行することにより実施される撮影制御処理の流れを示すフローチャートである。撮影制御プログラム55は、例えば、上記の撮影準備処理のステップS15において、コンソール70から送信されたX線の照射開始を指示する制御信号を受信することで開始される。
ステップS21において、各撮影ユニット11(撮影ユニット11A、11Bおよび11C)の撮影ユニット制御部50を構成するCPU51は、それぞれ、放射線照射装置90から照射されたX線を検出した否かを判定する。すなわち、各撮影ユニット11のCPU51は、自身に対応する放射線検出パネル20に設けられた照射検出用画素32によって生成された電荷の量によって示されるX線の線量が、所定の閾値に達した場合にX線を検出したと判定する。
ここで、撮影ユニット11A、11B、11Cのうちの一部を使用して放射線画像を撮影する場合には、通常、撮影に使用する一部の撮影ユニット11にのみX線が照射され、撮影に使用しない撮影ユニット11にはX線が照射されない。従って、撮影ユニット11A、11B、11Cのうちの一部を使用して放射線画像を撮影する場合には、撮影に使用する撮影ユニット11のみがX線を検出する。各撮影ユニット11のCPU51は、ステップS21においてX線を検出したと判定した場合には、処理をステップS22に移行し、X線を検出しない場合には、処理をステップS23に移行する。
X線を検出した撮影ユニット11のCPU51は、ステップS22において、X線を検出したことを示すX線検出信号を、通信部44および通信配線46を介して他の撮影ユニット11に向けて送信し、処理をステップS24に移行する。一方、X線を検出しない撮影ユニット11は、ステップS23において、他の撮影ユニットからのX線検出信号の受信待ちを行う。X線を検出しない撮影ユニット11は、他の撮影ユニット11からX線検出信号を受信すると処理をステップS24に移行し、他の撮影ユニット11からX線検出信号を受信しない場合には、処理をステップS21に戻す。
以上のステップS21〜S23の処理により、一部の撮影ユニット11においてX線が検出された場合に、一部の撮影ユニット11においてX線が検出されたことを示す検出情報が、X線を検出しない他の撮影ユニット11にも共有されることとなる。
ステップS24において、各撮影ユニット11のCPU51は、撮影動作に移行する。すなわち、各撮影ユニット11のCPU51は、自身に対応するゲート線駆動部41に制御信号を供給して撮影用画素31のTFT34を全てオフ状態に駆動する。これにより、X線の照射に伴って各撮影用画素31のセンサ310で発生した電荷は、センサ310内に蓄積される。本ステップS24においては、ステップS21においてX線を検出しない(撮影に使用しない)撮影ユニット11を含む全ての撮影ユニット11において電荷蓄積処理が行われる。一方、X線の照射に伴って、照射検出用画素32のセンサ320で発生した電荷は、蓄積されることなく信号線36を介して信号処理部42に供給される。
ステップS25において、各撮影ユニット11のCPU51は、ステップS24にて電荷蓄積を開始してから所定の蓄積時間が経過した否かを判定する。各撮影ユニット11のCPU51は、所定の蓄積時間が経過したと判定した場合には、処理をステップS26に移行する。
ステップS26において、各撮影ユニット11のCPU51は、ゲート線駆動部41に制御信号を供給して各放射線検出パネル20の撮影用画素31のセンサ310に蓄積された電荷の読み出しを行う。CPU51から上記の制御信号を受信した各撮影ユニット11のゲート線駆動部41は、各ゲート線35に順次オン信号を出力し、各ゲート線35に接続されたTFT34を1ラインずつ順にオンさせる。これにより、各撮影用画素31のセンサ310に蓄積された電荷が電気信号として各信号線36に読み出され、信号処理部42に伝送される。各撮影ユニット11の信号処理部42は、各信号線36を介して供給される電気信号に基づいて、撮影用画素31の各々の画素値を示すデジタル信号(各撮影用画素31の画素値)を生成し、生成したデジタル信号をCPU51に供給する。本ステップS26においては、ステップS21においてX線を検出しない(撮影に使用しない)撮影ユニット11を含む全ての撮影ユニット11において電荷の読み出し処理が行われる。
ステップS27において、各撮影ユニット11のCPU51は、信号処理部42から供給されたデジタル信号(各撮影用画素31の画素値)と、撮影用画素31の位置情報とを対応付けたデータを画像データとして生成する。本ステップS27においては、ステップS21においてX線を検出しない(撮影に使用しない)撮影ユニット11を含む全ての撮影ユニット11において画像データの生成処理が行われる。
ステップS28において、各撮影ユニット11のCPU51は、生成した画像データを自身に対応する画像メモリ43に記憶して本ルーチンを終了する。本ステップS28においては、ステップS21においてX線を検出しない(撮影に使用しない)撮影ユニット11を含む全ての撮影ユニット11において画像データの記憶処理が行われる。
以上のように、放射線画像撮影装置10においては、撮影ユニット11A、11B、11Cのうちの一部の撮影ユニットを用いて撮影を行う場合でも、全ての撮影ユニットが、同じタイミングで、電荷蓄積処理、電荷読み出し処理、画像データ生成処理および画像データ記憶処理を実施する。すなわち、X線の1回の照射に対して、いずれかの撮影ユニット11において放射線の照射開始が検出された場合には、撮影ユニット11A、11B、11Cの各々は、自身がX線を検出していなくても、放射線画像を生成し、画像データを画像メモリ43に記憶する。例えば、撮影ユニット11Bのみを用いて放射線画像の撮影を行う場合に、撮影ユニット11Aおよび11Cにおいても、放射線画像を生成するための処理が実施され、生成された放射線画像が各撮影ユニット11の画像メモリ43に記憶される。
(表示対象画像指定処理)
放射線画像撮影装置10は、上記の撮影制御処理によって、各撮影ユニット11A、11B、11Cにおいて生成された放射線画像のうち、コンソール70の表示部71に表示すべき画像(以下、表示対象画像という)を指定する。例えば、放射線画像撮影装置10は、各撮影ユニット11A、11B、11Cにおいて生成された放射線画像のうち、被写体像を含むと推定される画像を表示対象画像として指定する。例えば、放射線画像撮影装置10は、撮影ユニット11Bにおいて生成された画像にのみ被写体像を含むと推定した場合には、撮影ユニット11Bによって生成された画像のみを表示対象画像として指定し、指定した画像をコンソール70に送信する。
図11は、撮影ユニット11A、11B、11Cの各々の撮影ユニット制御部50のCPU51がROM53に格納された表示対象画像指定プログラム56を実行することにより実施される表示対象画像指定処理の流れを示すフローチャートである。表示対象画像指定プログラム56は、例えば、上記の撮影制御処理(図10参照)の開始とともに開始される。すなわち、表示対象画像指定プログラム56は、撮影制御プログラム55と並行して実行される。なお、表示対象画像指定プログラム56を実行する各撮影ユニット11のCPU51は、本発明における指定部の一例である。
ステップS31において、各撮影ユニット11のCPU51は、照射検出用画素32の各々の画素値を信号処理部42から取得する。X線の照射に伴って、各撮影ユニット11の照射検出用画素32の各センサ320で発生した電荷による電気信号は、各信号線36を介して信号処理部42に供給される。各撮影ユニット11の信号処理部42は、各信号線36を介して供給される電気信号に基づいて、照射検出用画素32の各々の画素値を示すデジタル信号を生成し、これをCPU51に供給する。なお、本ステップS31は、上記の撮影制御処理(図10参照)におけるステップS26(電荷読み出し)よりも前に実行される。
本ステップS31は、放射線検出パネル20上におけるX線の照射の有無を検出するための処理である。本実施形態においては、放射線検出パネル20上におけるX線の照射の有無を検出するために照射検出用画素32を用いているが、上記したように、照射検出用画素32は、他の手段によって代替することが可能であり、代替手段によっても放射線検出パネル20上におけるX線の照射の有無を検出することが可能である。
例えば、照射検出用画素32に代えて、撮影用画素31の中から任意に選択した画素を、専らX線の照射の有無を検出するための画素(ショート画素)として機能させた場合(上記(1)の場合)には、本ステップS31において、各撮影ユニット11のCPU51は、専らX線の照射の有無を検出するための画素(ショート画素)の画素値を信号処理部42から取得することにより、放射線検出パネル20上におけるX線の照射の有無を検出する。
また、センサ310の各々に流れるバイアス電流を検出するバイアス電流検出手段を設け、バイアス電流検出手段によって検出されたバイアス電流の大きさに基づいてX線の照射の有無を検出する方式(上記(2)の場合)を用いた場合には、本ステップS31において、各撮影ユニット11のCPU51は、バイアス電流検出手段からバイアス電流の大きさを示す情報を取得することにより、放射線検出パネル20上におけるX線の照射の有無を検出する。
また、撮影用画素31の中から選択された画素に、追加のTFTを設け、追加で設けられたTFTのリーク電流に基づいてX線の照射の有無を検出する方式(上記(3)の場合)を用いた場合には、本ステップS31において、各撮影ユニット11のCPU51は、追加のTFTのリーク電流の大きさを示す情報を取得することにより、放射線検出パネル20上におけるX線の照射の有無を検出する。
また、ゲート線駆動部41から各ゲート線35に流れる電流の大きさを検出し、検出した電流の大きさに基づいてX線の照射の有無を検出する方式(上記(4)の場合)を用いた場合には、本ステップS31において、各撮影ユニット11のCPU51は、各ゲート線35に流れる電流の大きさを示す情報を取得することにより、放射線検出パネル20上におけるX線の照射の有無を検出する。
また、放射線の照射の有無を検出するセンサを、放射線検出パネル20内の撮影用画素31が設けられた層とは別の層に設ける方式および放射線の照射の有無を検出するセンサを、放射線検出パネル20とは別体として設ける方式(上記(5)の場合)を用いる場合には、各撮影ユニット11のCPU51は、撮影用画素31が設けられた層とは別の層に設けられたセンサの出力値または放射線検出パネル20とは別体として設けられたセンサの出力値(画素値)に基づいて放射線検出パネル20上におけるX線の照射の有無を検出する。
ステップS32において、各撮影ユニット11のCPU51は、ステップS31にて取得した照射検出用画素32の各々の画素値に基づいて、自身に対応する放射線検出パネル20上に被写体が配置されているか否かを判定する。例えば、各撮影ユニット11のCPU51は、複数の照射検出用画素32のうち、所定の閾値を超える画素値を出力する画素の割合が、所定値以上であると判定した場合に、自身に対応する放射線検出パネル20上に被写体が配置されていると判定する。
例えば、撮影ユニット11Bのみを用いて放射線画像の撮影を行う場合には、通常、撮影に使用しない撮影ユニット11Aおよび11Cに対してはX線が照射されない。この場合、撮影に使用する撮影ユニット11Bの照射検出用画素32の画素値と、撮影に使用しない撮影ユニット11Aおよび11Cの照射検出用画素32の画素値との間に顕著な差が現れるので、上記のような判定により被写体の有無を判定することができる。ここで、撮影ユニット11B上に配置された被写体に照射されたX線が散乱して、撮影に使用しない撮影ユニット11Aおよび11CにもX線が入射する場合がある。この場合において、撮影ユニット11Aおよび11Cにおいて、散乱線が検出され、放射線検出パネル20Aおよび20C上に被写体が配置されていると誤判定がなされるおそれがある。従って、このような誤判定を防止するために、画素値に対する閾値を適切に設定することが好ましい。散乱線の線量は非常に小さいので、画素値に対する閾値を適切に設定することにより、散乱線の影響を排除することが可能である。
また、各撮影ユニット11の放射線検出パネル20には、それぞれ、複数の照射検出用画素32が均一に設けられているので、各照射検出用画素32の画素値に基づいて簡易的な放射線画像を生成することが可能である。従って、各撮影ユニット11のCPU51は、各照射検出用画素32の画素値に基づいて生成した簡易的な放射線画像を解析することによって自身に対応する放射線検出パネル20上に被写体が配置されているか否かを判定してもよい。ここで、放射線検出パネル20上におけるX線の照射線量が相対的に小さい連続領域は、被写体を透過してX線が照射された領域である可能性が高い。そこで、各撮影ユニット11のCPU51は、一例として、照射検出用画素32の画素値に基づいて、X線の線量が相対的に大きい領域と、X線の線量が相対的に小さい連続領域が検出された場合に、その放射線検出パネル20上に被写体が配置されていると判定してもよい。この場合においても散乱線の影響を排除するために、散乱線によって生成される画像のパターンを予め特定しておき、散乱線による画像のパターンを被写体像と峻別できるようにしておくことが好ましい。
なお、上記した照射検出用画素32の代替手段を用いた場合には、代替手段を用いることによって取得した情報に基づいて、自身に対応する放射線検出パネル20上に被写体が配置されているか否かを判定する。
各撮影ユニット11のCPU51は、ステップS32における判定処理の結果、自身に対応する放射線検出パネル20上に被写体が配置されていると判定した場合には処理をステップS33に移行する。ステップS33において、各撮影ユニット11のCPU51は、上記の撮影制御処理(図10参照)のステップS27において自身が生成する放射線画像(撮影用画素31に基づく放射線画像)を表示対象画像として指定する。
一方、各撮影ユニット11のCPU51は、ステップS32における判定処理の結果、自身に対応する放射線検出パネル20上に被写体が配置されていないと判定した場合には処理をステップS34に移行する。ステップS34において、各撮影ユニット11のCPU51は、上記の撮影制御処理(図10参照)のステップS27において自身が生成する放射線画像を非表示対象画像として指定する。
ステップS35において、各撮影ユニット11のCPU51は、ステップS33またはステップS34における指定結果を、放射線画像に対応付けてRAM52に記憶する。
以上のように、撮影ユニット11A、11B、11Cの各々において、各撮影用画素31の画素値に基づく放射線画像の生成に並行して、各照射検出用画素32の画素値に基づいて放射線画像内における被写体像の有無が判定される。また、被写体像の有無の判定の結果に基づいて、撮影ユニット11A、11B、11Cの各々において生成された放射線画像に対して表示対象画像および非表示対象画像のいずれかの指定がなされる。このように、放射線画像撮影装置10は、1回の放射線の照射に対して、各撮影ユニット11において放射線画像を生成する処理と、各撮影ユニット11において生成される放射線画像のうちから表示対象画像を指定する処理を並行して行う。
本実施形態においては、照射検出用画素32の各々の画素値に基づいて、自身に対応する放射線検出パネル20上に被写体が配置されているか否かを判定する処理(ステップS32)を放射線画像撮影装置10が行うこととしているが、この処理をコンソール70が行ってもよい。この場合、放射線画像撮影装置10の各撮影ユニット11は、照射検出用画素32の画素値に照射検出用画素32の位置情報を対応づけたデータをコンソール70に送信する。コンソール70は、このデータに基づいていずれの放射線検出パネル20上に被写体が配置されているかを判定し、判定結果を放射線画像撮影装置10に送信する。放射線画像撮影装置10は、コンソール70から受信した判定結果に基づいて表示対象画像および非表示対象画像の指定を行う。
(送信制御処理)
放射線画像撮影装置10は、上記した表示対象画像指定処理(図11参照)によって指定された表示対象画像のみをコンソール70に送信する。本実施形態に係る表示対象画像指定処理によれば、複数の撮影ユニット11の各々によって生成された複数の放射線画像が表示対象画像として指定される場合がある。例えば、2つの撮影ユニット11Aおよび11Bによって生成された放射線画像にそれぞれ被写体像が含まれていると判定された場合には、その2つの放射線画像が表示対象画像として指定される。このように複数の放射線画像が表示対象画像として指定された場合には、放射線画像撮影装置10は、表示対象画像として指定された複数の放射線画像の各々について送信順序を導出し、導出した送信順序に従って表示対象画像の各々をコンソール70に送信する。
図12は、撮影ユニット11A、11B、11Cの各々の撮影ユニット制御部50を構成するCPU51がROM53に格納された送信制御プログラム57を実行することにより実施される送信制御処理の流れを示すフローチャートである。送信制御プログラム57は、例えば、上記の撮影制御処理(図10参照)および表示対象画像指定処理(図11参照)の終了後に、各撮影ユニット11のCPU51によって実行される。なお、送信制御プログラム57を実行する各撮影ユニット11のCPU51は、本発明における送信部の一例である。
ステップS41において、表示対象画像を生成した各撮影ユニット11のCPU51は、上記の表示対象画像指定処理(図11参照)のステップS31において取得した照射検出用画素32の画素値に基づいて、自身に対応する放射線画像(表示対象画像)に含まれる被写体像の面積の推定値を導出する。ここで、放射線検出パネル20上におけるX線の照射線量が相対的に小さい連続領域は、X線が被写体を透過して照射された領域である可能性が高い。そこで、表示対象画像を生成した各撮影ユニット11のCPU51は、一例として、照射検出用画素32の画素値に基づいて、X線の照射線量が相対的に小さい連続領域を特定し、連続領域の面積を被写体像の面積の推定値として導出してもよい。
ステップS42において、表示対象画像を生成した各撮影ユニット11のCPU51は、先のステップS41にて導出した被写体像の面積の推定値を、通信配線46を介して他の撮影ユニット11に送信するとともに、他の撮影ユニット11において導出された被写体像の面積の推定値を、通信配線46を介して他の撮影ユニット11から受信する。これにより、各撮影ユニット11において導出された被写体像の面積の推定値が、他の撮影ユニット11において共有されることとなる。
ステップS43において、表示対象画像を生成した各撮影ユニット11のCPU51は、自身で導出した被写体像の面積の推定値と、他の撮影ユニット11において導出された被写体像の面積の推定値とを比較することによって、自身に対応する放射線画像(表示対象画像)の送信順序を導出する。すなわち、表示対象画像を生成した各撮影ユニット11のCPU51は、表示対象画像に含まれる被写体像の面積の推定値がより大きい表示対象画像を先行してコンソール70に送信するように表示対象画像の送信順序を導出する。
ステップS44において、表示対象画像を生成した各撮影ユニット11のCPU51は、それぞれ、ステップS43にて導出した送信順序に従って、自身が生成した表示対象画像を、通信ケーブル110を介してコンソール70に送信する。送信される表示対象画像の各々に対して、それらの画像が表示対象画像である旨およびそれらの画像の送信順序を示す識別情報を付与してもよい。なお、表示対象画像以外の画像(非表示対象画像)は、コンソール70に送信されず、画像メモリ43に保持される。コンソール70に送信された各表示対象画像は、コンソール70のRAM74またはHDD75に格納される。
上記した送信制御処理の流れを具体例を挙げて説明する。例えば、撮影ユニット11Aにおいて生成された放射線画像IAと、撮影ユニット11Bにおいて生成された放射線画像IBとが、表示対象画像として指定された場合において、放射線画像IBに含まれる被写体像の面積の推定値が、放射線画像IAに含まれる被写体像の面積の推定値よりも大きい場合について考える。この場合、撮影ユニット11BのCPU51は、自身が生成した放射線画像IBの送信順序として“1”を導出する。一方、撮影ユニット11AのCPU51は、自身が生成した放射線画像IAの送信順序として“2”を導出する。
1番目に送信すべき表示対象画像である放射線画像IBを生成した撮影ユニット11BのCPU51は、放射線画像IBをコンソール70に送信する。撮影ユニット11BのCPU51は、放射線画像IBの送信を完了したことを他の撮影ユニット11A、11Cに通知する。放射線画像IBの送信完了の通知を受けた撮影ユニット11A、11Cのうち、2番目に送信すべき表示対象画像である放射線画像IAを生成した撮影ユニット11AのCPU51は、放射線画像IAをコンソール70に送信する。撮影ユニット11Cによって生成された放射線画像ICは、表示対象画像として指定されていないので、放射線画像ICは、この段階ではコンソール70に送信されず、画像メモリ43に保持される。
以上のように、本実施形態に係る放射線画像撮影装置10は、複数の撮影ユニット11において生成された複数の表示対象画像のコンソール70への送信順序を、表示対象画像に含まれる被写体像の面積の推定値に基づいて導出する。より具体的には、表示対象画像に含まれる被写体像の面積の推定値がより大きい表示対象画像を先行してコンソール70に送信するように表示対象画像の送信順序を導出する。また、放射線画像撮影装置10は、導出した順序に従って複数の表示対象画像を順次コンソール70へ送信する。一方、放射線画像撮影装置10は、表示対象画像以外の画像(非表示対象画像)はコンソール70に送信せずに、画像メモリ43に保持しておく。
本実施形態に係る送信制御処理によれば、より重要度の高い画像を先行してコンソール70に送信することができる。また、表示対象画像以外の画像(非表示対象画像)は、コンソール70には送信されないので、コンソール70に送信されるデータの量を抑制することができる。これにより、各撮影ユニット11で生成された全ての放射線画像をコンソール70に送信する場合と比較してデータ転送時間を短縮することができる。
本実施形態においては、照射検出用画素32の画素値に基づいて被写体像の面積の推定値を導出する処理(ステップS41)、導出された被写体像の面積の推定値を各撮影ユニット11において共有し(ステップS42)、放射線画像(表示対象画像)の送信順序を導出する処理(ステップS43)を放射線画像撮影装置10が行うこととしているが、これらの各処理をコンソール70が行ってもよい。
この場合、放射線画像撮影装置10の各撮影ユニット11は、照射検出用画素32の画素値に照射検出用画素32の位置情報を対応づけたデータをコンソール70に送信する。コンソール70は、このデータに基づいて被写体像の面積の推定値を導出し、導出した推定値に基づいて放射線画像の送信順序を導出する。コンソール70は、導出した放射線画像の送信順序を示す情報を各撮影ユニット11に送信する。各撮影ユニット11は、コンソールにおいて導出された送信順序に従って、表示対象画像をコンソール70に送信する。
(表示制御処理)
図13は、コンソール70のCPU73がROM76に格納された表示制御プログラム83を実行することにより実施される表示制御処理の流れを示すフローチャートである。表示制御プログラム83は、例えば、放射線画像撮影装置10から送信された表示対象画像をコンソールが受信すると開始される。なお、表示制御プログラム83を実行するコンソール70のCPU73は、本発明における表示制御部の一例である。
ステップS51において、コンソール70のCPU73は、表示駆動部77を制御して、放射線画像撮影装置10から送信された撮影ユニット11毎の表示対象画像を、受信した順に表示部71に表示させる。すなわち、表示部71には、放射線画像撮影装置10において設定された送信順で表示対象画像が表示される。なお、コンソールのCPU73は、表示対象画像の各々に対して付与された識別情報に示される送信順序に従う順序で各表示対象画像を表示部71に表示させてもよい。
ステップS52において、コンソール70のCPU73は、表示部71に既に表示されている表示対象画像の解析を行い、ステップS53において表示対象画像以外の画像(非表示対象画像)を表示部71において表示する必要の有無を判定する。
上記したように、放射線画像撮影装置10は、各撮影ユニット11の放射線検出パネル20にそれぞれ設けられた照射検出用画素32の画素値に基づいて被写体像の有無を判定し、被写体像が含まれていると判定された画像を表示対象画像として指定する。しかしながら、各放射線検出パネル20に設けられた照射検出用画素32の画素数は、撮影用画素31の画素数と比較して少なく、被写体像の有無を適切に判定できない場合もある。すなわち、放射線画像撮影装置10において、表示対象画像として指定された画像に被写体像が含まれていない場合や、非表示対象画像に被写体像が含まれている場合が想定される。そこで、コンソール70のCPU73は、放射線画像撮影装置10から送信された表示対象画像について画像解析を行い、表示対象画像に被写体像が適切に含まれているか否かを判定する。表示対象画像は、撮影用画素31を用いて生成された高精細画像であるので、照射検出用画素32を用いた解析よりも高精度な解析を行うことが可能である。
コンソール70のCPU73は、例えば、放射線画像撮影装置10から送信された表示対象画像に基づいて形状認識を行い、被写体像と推定される形状が表示対象画像に含まれていない場合に表示対象画像以外の画像(非表示対象画像)を表示部71に表示する必要があると判定してもよい。また、コンソール70のCPU73は、例えば、放射線画像撮影装置10から送信された表示対象画像における画素値のヒストグラムのパターンが所定の条件を満たさない場合に表示対象画像以外の画像(非表示対象画像)を表示部71に表示する必要があると判定してもよい。また、コンソール70のCPU73は、例えば、図14に示すように、放射線画像撮影装置10から送信された表示対象画像Iにおいて認識した被写体像Zが、画像端部Eに接しており、被写体像Zが、放射線画像撮影装置10から送信されていない非表示対象画像にも含まれていると判定した場合に、非表示対象画像を表示部71に表示する必要があると判定してもよい。
コンソール70のCPU73は、ステップS53において、表示対象画像以外の画像(非表示対象画像)を表示部71に表示する必要があると判定した場合には、処理をステップS54に移行し、必要がないと判定した場合には本ルーチンを終了させる。
ステップS54において、コンソール70のCPU73は、表示対象画像以外の画像(非表示対象画像)を表示部71において表示する必要がある旨を示す情報を生成し、かかる情報を放射線画像撮影装置10に送信することによって、表示対象画像以外の画像(非表示対象画像)の送信を放射線画像撮影装置10に対して要求する。例えば、コンソール70のCPU73は、放射線画像撮影装置10から送信された表示対象画像において、被写体像を認識できない場合には、放射線画像撮影装置10の画像メモリ43に保持されている全ての非表示対象画像の送信を要求してもよい。また、コンソール70のCPU73は、放射線画像撮影装置10から送信された表示対象画像が、図14に示すように途切れている場合には、被写体像Zの欠落部分を含むと推定される非表示対象画像の送信を要求してもよい。コンソール70から非表示対象画像の送信要求を受信した放射線画像撮影装置10は、送信要求に係る非表示対象画像を画像メモリ43から読み出して、これをコンソール70送信する。
ステップS55において、コンソール70のCPU73は、非表示対象画像の受信待ちを行い、非表示対象画像を受信するとステップS56に移行する。
ステップS56において、コンソール70のCPU73は、受信した非表示対象画像を、既に表示部71に表示されている表示対象画像とともに表示するように表示駆動部77を制御する。すなわち、表示部71には、放射線画像撮影装置10において表示対象画像として指定された画像と、コンソール70からの要求に応じて後発的に送信された非表示対象画像との合成画像が表示される。なお、コンソール70のCPU73は、ステップS52における画像解析の結果、表示対象画像において被写体像を認識できない場合には、表示対象画像に代えて後発的に送信された非表示対象画像を表示部71に表示するように、表示駆動部77を制御してもよい。
以上のように、コンソール70は、放射線画像撮影装置10から受信した表示対象画像を受信順に表示部71に表示させ、非表示対象画像の表示要求に応じて、放射線画像撮影装置10の画像メモリ43から読み出された非表示対象画像を表示対象画像とともに若しくは表示対象画像に代えて表示部71に表示させる。
(システム全体の処理)
図15は、放射線画像撮影装置10において実施される上記の撮影制御処理(図10参照)、表示対象画像指定処理(図11参照)、送信制御処理(図12参照)と、コンソール70において実施される上記の撮影準備処理(図9参照)、表示制御処理(図13参照)と、を含むシステム全体の処理の流れを示す図である。
初めに、コンソール70において図9に示す撮影準備処理P1が実施される。撮影準備処理P1において、X線の照射開始の指示を示す制御信号がコンソール70から放射線画像撮影装置10に送信されると(図9のステップS15)、放射線画像撮影装置10において、撮影制御処理P2および表示対象画像指定処理P3が並行して実施される。
撮影制御処理P2において、各撮影ユニット11は、撮影用画素31の画素値に基づいて放射線画像を生成し、生成した放射線画像を各々が有する画像メモリ43に記憶する。各撮影ユニット11は、X線が検出されたことを示す検出情報を共有し、かかる検出情報に基づいて、放射線画像を生成するための動作を開始する。各撮影ユニット11は、互いに同じタイミングで電荷蓄積、電荷読み出し等の撮影処理を実施する。例えば、撮影ユニット11B上に被写体を配置して、撮影ユニット11Bのみを用いて放射線画像の撮影を行う場合であっても、撮影ユニット11Bのみならず、撮影ユニット11A、11Cは、放射線画像を生成するための処理を実施し、生成された放射線画像を自身の画像メモリ43に記憶する。
表示対象画像指定処理P3において、各撮影ユニット11は、それぞれ、照射検出用画素32の画素値に基づいて、自身が生成する放射線画像に被写体像を含むか否かを判定する。各撮影ユニット11は、自身が生成する放射線画像に被写体像を含むと判定した場合に、その画像を表示対象画像に指定し、自身が生成する放射線画像に被写体像を含まないと判定した場合に、その画像を非表示対象画像に指定する。
撮影制御処理P2および表示対象画像指定処理P3の完了後、放射線画像撮影装置10において送信制御処理P4が実施される。送信制御処理P4において、表示対象画像を生成した各撮影ユニット11は、照射検出用画素32の画素値に基づいて、自身が生成する表示対象画像に含まれる被写体像の面積の推定値を導出する。表示対象画像を生成した各撮影ユニット11は、表示対象画像に含まれる被写体像の面積の推定値がより大きい表示対象画像を先行してコンソール70に送信するように表示対象画像の送信順序を導出し、導出した送信順序に従って、表示対象画像を順次コンソール70に送信する。
放射線画像撮影装置10から送信された表示対象画像がコンソール70において受信されると、コンソール70において表示制御処理P5が実施される。表示制御処理P5において、コンソール70の表示部71には、放射線画像撮影装置10から送信された表示対象画像が受信順に表示される。また、コンソール70において表示対象画像の画像解析が行われ、表示対象画像に被写体像が適切に含まれているか否かの判定結果に応じて非表示対象画像を表示部71に表示する必要の有無が判定される。コンソール70は、非表示対象画像を表示部71に表示する必要があると判定した場合には、放射線画像撮影装置10に対して非表示対象画像の送信を要求する。コンソール70から非表示対象画像の送信要求を受信した放射線画像撮影装置10は、送信要求に係る非表示対象画像を画像メモリ43から読み出して、これをコンソール70送信する。コンソール70は、放射線画像撮影装置10から後発的に送信された非表示対象画像を、既に表示部71に表示されている表示対象画像とともに若しくは既に表示部71に表示されている表示対象画像に代えて表示部71に表示させる。
以上の説明から明らかなように、本発明の実施形態に係る放射線画像撮影システム100においては、複数の撮影ユニット11A、11B、11Cにおいてそれぞれ生成された放射線画像のうち、被写体像を含むと推定される画像のみが、表示対象画像として指定されてコンソール70に送信される。このように、コンソール70に送信する画像を厳選することで、コンソール70へ送信されるデータの量を抑制することができ、これにより、各撮影ユニット11で生成された全ての放射線画像をコンソール70に送信する場合と比較してデータ転送時間を短縮することができる。従って、コンソール70の表示部71における画像表示までの待ち時間を従来よりも短縮することが可能となる。
また、各撮影ユニット11で生成された表示対象画像に含まれる被写体の面積の推定値に応じて表示対象画像の送信順序が定められるので、より重要度の高い画像をいち早くコンソール70の表示部71に表示させることができる。
また、放射線画像撮影装置10において実施される表示対象画像の指定処理や表示対象画像の送信順序の導出処理は、画素数が撮影用画素31に比べて少ない照射検出用画素32を用いて行われるので、上記の各処理は比較的短時間で行うことが可能である。従って、表示対象画像の指定処理や表示対象画像の送信順序の導出処理による表示待ち時間への影響は限定的である。
また、コンソール70において、表示対象画像が解析され、放射線画像撮影装置10において非表示対象画像として指定された画像の表示が必要であると判定された場合には、放射線画像撮影装置10に対して非表示対象画像の送信要求がなされる。各撮影ユニット11A、11B、11Cにおいて生成された放射線画像は、その画像が、表示対象画像であるか否かにかかわらず画像メモリ43に格納され、表示対象画像をコンソール70に送信した後においても画像メモリ43に保持される。従って、コンソール70から非表示対象画像の送信要求があった場合に、放射線画像撮影装置10は、送信要求に応じて、非表示対象画像をコンソール70に送信することができる。このように、放射線画像撮影システム100においては、放射線画像撮影装置10における表示対象画像の指定が適切ではなかった場合でも非表示対象画像を表示できるようにしているので、再撮影のリスクを回避することができる。
また、各撮影ユニット11A、11B、11Cは、いずれかの撮影ユニットにおいて生成されたX線を検出したことを示す検出情報を共有することによって一斉に撮影動作を開始するので、使用することを想定していない撮影ユニット11においても放射線画像を生成することができる。これにより、当初使用することを想定していなかった撮影ユニット11が生成する放射線画像に被写体像が含まれている場合でも、被写体像を表示することができる。本発明の実施形態に係る放射線画像撮影装置10によれば、このような観点においても再撮影のリスクを回避することができる。また、ユーザは、各撮影ユニット11A、11B、11Cの境界に配慮することなく、放射線画像撮影装置10に対する被写体の配置を設定することができる。
以上のように、本発明の実施形態にかかる放射線画像撮影システム100によれば、再撮影のリスクを回避しつつ外部装置における画像表示までの待ち時間を従来よりも短縮することが可能となる。
なお、本実施形態では、表示対象画像をコンソール70に送信した後も、撮影ユニット11A、11B、11Cの各画像メモリ43に、それぞれ、対応する放射線画像(表示対象画像または非表示対象画像)を保持することとしたが、この態様に限定されるものではない。例えば、表示対象画像をコンソール70に送信した後(コンソール70が表示対象画像を受信した後)は、非表示対象画像のみを画像メモリ43に保持しておくこととしてもよい。すなわち、表示対象画像をコンソール70へ送信した後(コンソール70が表示対象画像を受信した後)は、表示対象画像を画像メモリ43から消去するようにしてもよい。これにより、画像メモリ43の記憶領域を確保することができる。
また、各撮影ユニット11の画像メモリ43の記憶領域を確保する観点から、画像メモリ43に記憶した画像は、適宜消去することが好ましい。画像メモリ43からの画像消去は、例えば、以下のタイミングで行うこととしてもよい。(1)次のX線の照射が行われる前、(2)同一患者の撮影の終了後、(3)コンソール70を操作するユーザが診断に使用する画像を確定した後、(4)放射線画像撮影装置10によって生成された画像が、放射線画像撮影システム100とネットワークを介して接続されたPACS(Picture Archiving and Communication System)に送信された後、(5)医師の診断が完了して電子カルテ等への入力が完了した後、(6)コンソール70を操作するユーザが操作入力部72を操作することによって画像消去を指示した後。
いずれの場合もコンソール70から画像を消去すべき指示が放射線画像撮影装置10に送信される。放射線画像撮影装置10は、上記の指示に基づいて画像メモリ43から全部または一部の画像を消去する。なお、ユーザが、放射線画像撮影装置10を直接手動で操作することによって、画像メモリ43に記憶された画像の全部または一部の画像を消去してもよい。
[第2の実施形態]
図16は、撮影ユニット11A、11B、11Cの各々の撮影ユニット制御部50を構成するCPU51がROM53に格納された送信制御プログラム57を実行することにより実施される本発明の第2の実施形態に係る送信制御処理の流れを示すフローチャートである。
第2の実施形態に係る送信制御処理におけるステップS61〜S63の処理は、上記した第1の実施形態に係る送信制御処理(図12参照)におけるステップS41〜S43の処理と同様であるので、重複する説明は省略する。
ステップS64において表示対象画像を生成した各撮影ユニット11のCPU51は、それぞれ、ステップS63にて導出した送信順序に従って、自身が生成した表示対象画像を、通信ケーブル110を介してコンソール70に送信する。送信される表示対象画像の各々に対して、それらの画像が表示対象画像である旨およびそれらの画像の送信順序を示す識別情報が付与される。ステップS65において、各撮影ユニット11のCPU51は、非表示対象画像が存在するか否かを判定する。各撮影ユニット11のCPU51は、非表示対象画像が存在すると判定した場合には、処理をステップS66に移行し、非表示対象画像が存在しないと判定した場合には、本ルーチンを終了させる。
ステップS66において、非表示対象画像を生成した各撮影ユニット11のCPU51は、自身が生成した非表示対象画像を通信ケーブル110を介してコンソール70に送信する。送信される非表示画像に対して、その画像が非表示対象画像である旨の識別情報が付与される。コンソール70に送信された表示対象画像および非表示対象画像は、コンソール70のRAM74またはHDD75に格納される。なお、本発明の第2の実施形態に係るRAM74またはHDD75は、本発明における記憶媒体の一例である。
このように、第2の実施形態に係る送信制御処理においては、撮影ユニット11A、11B、11Cの各々において生成された全ての放射線画像が、表示対象画像であるか非表示対象画像であるにかかわらずコンソール70に送信される。表示対象画像は、非表示対象画像に対して先行して送信されるので、コンソール70には、表示対象画像が非表示対象画像に先行して受信される。
なお、本実施形態においては、照射検出用画素32の画素値に基づいて被写体像の面積の推定値を導出する処理(ステップS61)、導出された被写体像の面積の推定値を各撮影ユニット11において共有し(ステップS62)、放射線画像(表示対象画像)の送信順序を導出する処理(ステップS63)を放射線画像撮影装置10が行うこととしているが、これらの各処理をコンソール70が行ってもよい。
図17は、コンソール70のCPU73がROM76に格納された表示制御プログラム83を実行することにより実施される本発明の第2の実施形態に係る表示制御処理の流れを示すフローチャートである。
第2の実施形態に係る表示制御処理におけるステップS71〜S73の処理は、上記した第1の実施形態に係る表示制御処理(図13参照)におけるステップS51〜S53の処理と同様であるので、重複する説明は省略する。なお、ステップS71において、コンソールのCPU73は、表示対象画像をRAM74またはHDD75から読み出して表示部71に表示する。この場合、表示対象画像に付与された識別情報を参照することにより表示対象画像を識別してもよい。
ステップS74において、コンソール70のCPU73は、放射線画像撮影装置10から送信され、RAM74またはHDD75に格納されている非表示対象画像を読み出す。この場合、非表示対象画像に付与された識別情報を参照することにより非表示対象画像を識別してもよい。
ステップS75において、コンソール70のCPU73は、RAM74またはHDD75から読み出した非表示対象画像を、既に表示部71に表示されている表示対象画像とともに表示するように表示駆動部77を制御する。すなわち、表示部71には、放射線画像撮影装置10において表示対象画像として指定された画像と、非表示対象画像との合成画像が表示される。なお、コンソール70のCPU73は、ステップS72における画像解析の結果、表示対象画像において被写体像を認識できない場合には、表示対象画像に代えてRAM74またはHDD75から読み出した非表示対象画像を表示部71に表示するように、表示駆動部77を制御してもよい。
以上のように、本発明の第2の実施形態に係る放射線画像撮影システム100においては、各撮影ユニット11A、11B、11Cにおいて生成された放射線画像の全てがコンソール70に送信される。各撮影ユニット11A、11B、11Cにおいて生成された放射線画像のうち、表示対象画像として指定された画像は、非表示対象画像に対して先行してコンソール70に送信され、コンソール70の表示部71に表示される。従って、第2の実施形態に係る放射線画像撮影システム100によれば、第1の実施形態と同様、画像表示までの待ち時間を従来よりも短縮することが可能となる。
また、放射線画像撮影装置10における表示対象画像の指定が適切ではなかった場合でも非表示対象画像を表示できるようにしているので、再撮影のリスクを回避することができる。
第2の実施形態に係る放射線画像撮影システム100によれば、非表示対象画像がコンソール70のRAM74またはHDD75に保持されるので、非表示対象画像の表示が必要であると判定されてから非表示対象画像を表示部71に表示させるまでの時間を第1の実施形態と比較して短縮することができる。なお、第1の実施形態に係る放射線画像撮影システム100によれば、放射線画像撮影装置10は、コンソール70からの送信要求がない限り非表示対象画像を送信することを要しないので、データ転送時間を短縮することができる。これにより、第1の実施形態に係る放射線画像撮影装置10においては、次の撮影処理に速やかに移行することができる。
なお、コンソール70のRAM74またはHDD75の記憶領域を確保する観点から、これらに記憶した画像は、適宜消去することが好ましい。RAM74またはHDD75からの画像消去は、例えば、上記した(1)〜(6)のタイミングで行うこととしてもよい。
[第3の実施形態]
図18は、撮影ユニット11A、11B、11Cの各々の撮影ユニット制御部50を構成するCPU51がROM53に格納された送信制御プログラム57を実行することにより実施される本発明の第3の実施形態に係る送信制御処理の流れを示すフローチャートである。
第3の実施形態に係る送信制御処理におけるステップS81〜S83の処理は、上記した第1の実施形態に係る送信制御処理(図12参照)におけるステップS41〜S43の処理と同様であるので、重複する説明は省略する。
ステップS84において、1番目に送信すべき表示対象画像を生成した撮影ユニット11のCPU51は、自身で生成した表示対象画像を、通信ケーブル110を介してコンソール70に送信する。
ステップS85において、各撮影ユニット11のCPU51は、2番目に送信すべき表示対象画像が存在するか否かを判定する。各撮影ユニット11のCPU51は、2番目に送信すべき表示対象画像が存在すると判定した場合には、処理をステップS86に移行し、2番目に送信すべき表示対象画像が存在しないと判定した場合には、本ルーチンを終了させる。
ステップS86において、2番目に送信すべき表示対象画像を生成した撮影ユニット11のCPU51は、自身で生成した表示対象画像を、1番目に送信された表示対象画像と隣接する端部側から順にコンソール70に送信する。すなわち、2番目に送信すべき表示対象画像を生成した撮影ユニット11のCPU51は、自身で生成した表示対象画像を、1番目に送信された表示対象画像と隣接する端部側の画像データの送信が先行するように、コンソール70に送信する。換言すれば、2番目に送信すべき表示対象画像を生成した撮影ユニット11のCPU51は、自身で生成した表示対象画像を、1番目に送信された表示対象画像を生成した放射線検出パネル20と自身に対応する放射線検出パネル20との撮影領域の重なり部を形成する端部側から順にコンソール70に送信する。
ステップS87において、各撮影ユニット11のCPU51は、3番目に送信すべき表示対象画像が存在するか否かを判定する。各撮影ユニット11のCPU51は、3番目に送信すべき表示対象画像が存在すると判定した場合には、処理をステップS88に移行し、3番目に送信すべき表示対象画像が存在しないと判定した場合には、本ルーチンを終了させる。
ステップS88において、3番目に送信すべき表示対象画像を生成した撮影ユニット11のCPU51は、自身で生成した表示対象画像を、1番目または2番目に送信された表示対象画像と隣接する端部側から順にコンソール70に送信する。3番目に送信すべき表示対象画像を生成した撮影ユニット11のCPU51は、自身で生成した表示対象画像を、1番目または2番目に送信された表示対象画像と隣接する端部側の画像データの送信が先行するようにコンソール70に送信する。換言すれば、3番目に送信すべき表示対象画像を生成した撮影ユニット11のCPU51は、自身で生成した表示対象画像を、1番目または2番目に送信された表示対象画像を生成した放射線検出パネル20と自身に対応する放射線検出パネル20との撮影領域の重なり部を形成する端部側から順にコンソール70に送信する。
なお、本実施形態においては、照射検出用画素32の画素値に基づいて被写体像の面積の推定値を導出する処理(ステップS81)、導出された被写体像の面積の推定値を各撮影ユニット11において共有し(ステップS82)、放射線画像(表示対象画像)の送信順序を導出する処理(ステップS83)を放射線画像撮影装置10が行うこととしているが、これらの各処理をコンソール70が行ってもよい。
第3の実施形態に係る送信制御処理の内容を、図19を参照しつつ説明する。ここでは、被写体Oが3つの撮影ユニット11A、11B、11Cに跨って配置されているものとする。また、撮影ユニット11Bによって生成された放射線画像IBが、表示対象画像として指定されており、放射線画像IBの送信順序が1番目に設定されているものとする。また、撮影ユニット11Aによって生成された放射線画像IAが、表示対象画像として指定されており、放射線画像IAの送信順序が2番目に設定されているものとする。また、撮影ユニット11Cによって生成された放射線画像ICが、表示対象画像として指定されており、放射線画像ICの送信順序が3番目に設定されているものとする。
2番目に送信すべき表示対象画像IAを生成した撮影ユニット11AのCPU51は、自身が生成した表示対象画像IAを、1番目に送信された表示対象画像IBと隣接する端部EB1側から反対側の端部EB2側に向かう順序でコンソール70に送信する。換言すれば、2番目に送信すべき表示対象画像IAを生成した撮影ユニット11AのCPU51は1番目に送信された表示対象画像IBを生成した放射線検出パネル20Bと、2番目に送信すべき表示対象画像IAを生成した放射線検出パネル20Aとの撮影領域の重なり部Y1を形成する端部EB1側から反対側の端部EB2に向かう順序で表示対象画像IAをコンソール70に送信する。つまり、端部EB1側の画像データの送信が、端部EB2側の画像データの送信よりも先行するように表示対象画像IAが送信される。
同様に、3番目に送信すべき表示対象画像ICを生成した撮影ユニット11CのCPU51は、自身が生成した表示対象画像ICを、1番目に送信された表示対象画像IBと隣接する端部EC1側から反対側の端部EC2側に向かう順序でコンソール70に送信する。換言すれば、3番目に送信すべき表示対象画像ICを生成した撮影ユニット11CのCPU51は、1番目に送信された表示対象画像IBを生成した放射線検出パネル20Bと、3番目に送信すべき表示対象画像ICを生成した放射線検出パネル20Cとの撮影領域の重なり部Y2を形成する端部EC1側から反対側の端部EC2に向かう順序で表示対象画像ICをコンソール70に送信する。つまり、端部EC1側の画像データの送信が、端部EC2側の画像データの送信よりも先行するように表示対象画像ICが送信される。
コンソール70の表示部71には、表示対象画像IBが表示された後、表示対象画像IAが、表示対象画像IBと隣接する端部EB1側から順に表示され、表示対象画像IAが表示された後、表示対象画像ICが、表示対象画像IBと隣接する端部EC1側から順に表示される。
このように、互いに隣接する2つの放射線検出パネル20の各々によって生成された表示対象画像のうち、後に送信する方の画像を、2つの放射線検出パネル20の重なり部を形成する端部側から順に送信することにより、被写体の全体像をいち早くコンソール70の表示部71に表示させることが可能となる。
[第4の実施形態]
図20は、撮影ユニット11A、11B、11Cの各々の撮影ユニット制御部50を構成するCPU51がROM53に格納された送信制御プログラム57を実行することにより実施される本発明の第4の実施形態に係る送信制御処理の流れを示すフローチャートである。
第4の実施形態に係る送信制御処理におけるステップS91〜S94の処理は、上記した第1の実施形態に係る送信制御処理(図12参照)におけるステップS41〜S44の処理と同様であるので、重複する説明は省略する。
ステップS95において、各撮影ユニット11のCPU51は、非表示対象画像が存在するか否かを判定する。各撮影ユニット11のCPU51は、非表示対象画像が存在すると判定した場合には、処理をステップS96に移行し、非表示対象画像が存在しないと判定した場合には、本ルーチンを終了させる。
ステップS96において、非表示対象画像を生成した撮影ユニット11のCPU51は、非表示対象画像のうち、表示対象画像と隣接する側の端部を起点とする所定範囲に含まれる画像部分をコンソール70に送信する。
第4の実施形態に係る送信制御処理の内容を、図21を参照しつつ説明する。ここでは、撮影ユニット11Bによって生成された放射線画像IBのみが、表示対象画像として指定され、撮影ユニット11Aによって生成された放射線画像IAおよび撮影ユニット11Cによって生成された放射線画像ICは、非表示対象画像とされているものとする。
撮影ユニット11AのCPU51は、自身が生成した非表示対象画像IAのうち、表示対象画像IBと隣接する側の端部EB1を起点とする所定範囲IAEに含まれる画像部分をコンソール70に送信する。同様に、撮影ユニット11CのCPU51は、自身が生成した非表示対象画像ICのうち、表示対象画像IBと隣接する側の端部EC1を起点とする所定範囲ICEに含まれる画像部分をコンソール70に送信する。
なお、本実施形態においては、照射検出用画素32の画素値に基づいて被写体像の面積の推定値を導出する処理(ステップS91)、導出された被写体像の面積の推定値を各撮影ユニット11において共有し(ステップS92)、放射線画像(表示対象画像)の送信順序を導出する処理(ステップS93)を放射線画像撮影装置10が行うこととしているが、これらの各処理をコンソール70が行ってもよい。
上記したように、表示対象画像指定処理(図11参照)における照射検出用画素32を用いた被写体認識の精度は高くないため、図21に示すように、被写体像の一部を含む放射線画像IAおよびICが、表示対象画像として指定されない場合がある。この場合、上記の第1の実施形態に係る送信制御処理(図12)の態様では、放射線画像IAおよびICはコンソール70に送信されない。従って、コンソール70にて実施される表示制御処理(図13参照)における画像解析の結果に応じて放射線画像IAおよびICが、放射線画像IBに遅れて表示されることとなり、被写体の全体像が表示部71に表示されるまでの待ち時間が長くなる。
第4の実施形態に係る送信制御処理によれば、非表示対象画像であっても、表示対象画像と隣接する側の端部を起点とする所定範囲に含まれる画像部分がコンソール70に送信される。従って、図21に示すように、被写体Oが撮影ユニット11A、11B、11C(放射線検出パネル20A、20B、20C)を跨いで配置され且ついずれかの撮影ユニット11において生成された画像が非表示対象画像とされた場合でも、被写体の全体像をいち早くコンソール70の表示部71に表示させることが可能となる。
[第5の実施形態]
図22は、中央に配置されている撮影ユニット11Bの放射線検出パネル20Bに対して一様な線量のX線を照射した場合に生成される放射線画像の輝度分布を示す図である。放射線検出パネル20Bは、撮影ユニット11Aの放射線検出パネル20Aおよび撮影ユニット11Cの放射線検出パネル20Cに対してX線の照射方向の下流側に配置されている。また、放射線検出パネル20Bにおける撮影領域RBの一方の端部は、放射線検出パネル20Aにおける撮影領域RAの一方の端部とX線の照射方向に重ねられ、放射線検出パネル20Bにおける撮影領域RBの他方の端部は放射線検出パネル20Cにおける撮影領域RCの一方の端部とX線の照射方向に重ねられている。以下、撮影領域RAと撮影領域RBとが重なる部分を重なり部Y1と称し、撮影領域RBと撮影領域RCとが重なる部分を重なり部Y2と称する。
放射線検出パネル20Bの重なり部Y1およびY2には、それぞれ、放射線検出パネル20Aの撮影領域RAおよび放射線検出パネル20Cの撮影領域RCを透過することによって減衰したX線が照射される。このため、図22に示すように、放射線検出パネル20Bによって生成される放射線画像の重なり部Y1およびY2に対応する部分の輝度は、他の部分における輝度よりも低くなる。従って、放射線検出パネル20Bによって生成された放射線画像の重なり部Y1およびY2に対応する部分について輝度補正を行うことが好ましい。
放射線検出パネル20Bによって生成される放射線画像の重なり部Y1に対応する画像部分の輝度補正は、放射線検出パネル20Aによって生成される放射線画像の重なり部Y1に対応する画像部分の画素値を用いて行うことができる。上記画素値は、放射線検出パネル20Bによって生成される放射線画像の重なり部Y1に対応する画像部分に対応する画像情報を含み且つ減衰を生じていないX線に基づくものだからである。
同様に、放射線検出パネル20Bによって生成される放射線画像の重なり部Y2に対応する画像部分の輝度補正は、放射線検出パネル20Cによって生成される放射線画像の重なり部Y2に対応する画像部分の画素値を用いて行うことができる。上記画素値は、放射線検出パネル20Bによって生成される放射線画像の重なり部Y2に対応する画像部分に対応する画像情報を含み且つ減衰を生じていないX線に基づくものだからである。
そこで、本発明の第5の実施形態に係る放射線画像撮影システムにおいて、放射線画像撮影装置10は、撮影ユニット11A(放射線検出パネル20A)および撮影ユニット11C(放射線検出パネル20C)によって生成される放射線画像が、非表示対象画像とされた場合においても、重なり部Y1およびY2に対応する画像部分を補正用画像としてコンソール70に送信する。コンソール70は、撮影ユニット11B(放射線検出パネル20B)によって生成された表示対象画像としての放射線画像を、補正用画像を用いて補正する。
図23は、撮影ユニット11A、11B、11Cの各々の撮影ユニット制御部50を構成するCPU51がROM53に格納された送信制御プログラム57を実行することにより実施される本発明の第5の実施形態に係る送信制御処理の流れを示すフローチャートである。
第5の実施形態に係る送信制御処理におけるステップS101〜S104の処理は、上記した第1の実施形態に係る送信制御処理(図12参照)におけるステップS41〜S44の処理と同様であるので、重複する説明は省略する。
ステップS105において、各撮影ユニット11のCPU51は、X線の照射方向の下流側に配置された撮影ユニット11Bにおいて生成された放射線画像が表示対象画像であるか否かを判定する。各撮影ユニット11のCPU51は、撮影ユニット11Bにおいて生成された放射線画像が表示対象画像であると判定した場合には、処理をステップS106に移行し、表示対象画像ではないと判定した場合には本ルーチンを終了させる。
ステップS106において、各撮影ユニット11のCPU51は、X線の照射方向上流側に配置された撮影ユニット11A、11Cにおいて生成された放射線画像が非表示対象画像であるか否かを判定する。各撮影ユニット11のCPU51は、撮影ユニット11A、11Cにおいて生成された放射線画像が非表示対象画像であると判定した場合には、処理をステップS107に移行し、非表示対象画像ではないと判定した場合には本ルーチンを終了させる。
ステップS107において、非表示対象画像を生成した撮影ユニット11(撮影ユニット11Aおよび11Bのいずれか一方または双方)のCPU51は、自身が生成した非表示対象画像のうち、重なり部Y1またはY2に対応する画像部分を補正用画像としてコンソール70に送信する。
なお、本実施形態においては、照射検出用画素32の画素値に基づいて被写体像の面積の推定値を導出する処理(ステップS101)、導出された被写体像の面積の推定値を各撮影ユニット11において共有し(ステップS102)、放射線画像(表示対象画像)の送信順序を導出する処理(ステップS103)を放射線画像撮影装置10が行うこととしているが、これらの各処理をコンソール70が行ってもよい。
第5の実施形態に係る送信制御処理の内容を、図24を参照しつつ説明する。ここでは、撮影ユニット11B(放射線検出パネル20B)によって生成された放射線画像IBのみが、表示対象画像として指定され、撮影ユニット11A(放射線検出パネル20A)によって生成された放射線画像IAおよび撮影ユニット11C(放射線検出パネル20C)によって生成された放射線画像ICが非表示対象画像とされているものとする。
撮影ユニット11AのCPU51は、自身が生成した非表示対象画像IAのうち、重なり部Y1に対応する画像部分IAPを補正用画像としてコンソール70に送信する。同様に、撮影ユニット11CのCPU51は、自身が生成した非表示対象画像ICのうち、撮影領域の重なり部Y2に対応する画像部分ICPを補正用画像としてコンソール70に送信する。
図25は、コンソール70のCPU73がROM76に格納された表示制御プログラム83を実行することにより実施される本発明の第5の実施形態に係る表示制御処理の流れを示すフローチャートである。
ステップS111において、コンソール70のCPU73は、放射線画像撮影装置10から送信された表示対象画像を受信順に表示部71に表示する。この場合、撮影ユニット11B(放射線検出パネル20B)によって生成された表示対象画像の端部(重なり部Y1およびY2に対応する画像部分)については、非表示もしくは黒色表示としておく。
ステップS112において、コンソール70のCPU73は、撮影ユニット11B(放射線検出パネル20B)によって生成された表示対象画像の端部(重なり部Y1およびY2に対応する画像部分)を、放射線画像撮影装置10から送信された補正用画像を用いて補正する。すなわち、撮影ユニット11B(放射線検出パネル20B)によって生成された表示対象画像の端部(重なり部Y1およびY2に対応する画像部分)における各画素の輝度値を、補正用画像における対応する画素の輝度に基づいて補正する。かかる補正により、撮影ユニット11B(放射線検出パネル20B)によって生成された表示対象画像の端部(重なり部Y1およびY2に対応する画像部分)において、X線の減衰による影響が排除される。
ステップS113において、コンソール70のCPU73は、ステップS112おいて補正した画像部分を表示部71に表示する。すなわち、ステップS111において非表示もしくは黒色表示とされていた画像部分が、補正処理を経て表示される。上記の補正処理により、撮影ユニット11B(放射線検出パネル20B)によって生成された放射線画像において、図21に示すような輝度段差が解消される。
以降のステップS114〜S118の処理は、上記した第1の実施形態に係る表示制御処理(図13参照)におけるステップS52〜S56における処理と同様であるので、重複する説明は省略する。
以上のように、本発明の第5の実施形態に係る放射線画像撮影システムによれば、撮影ユニット11A(放射線検出パネル20A)および撮影ユニット11C(放射線検出パネル20C)において生成された放射線画像の少なくとも一方が非表示対象画像とされた場合でも、非表示対象画像の一部を補正用画像として用いて輝度補正処理を行うことができ、撮影ユニット11B(放射線検出パネル20B)において生成された表示対象画像の画質を改善することができる。
また、撮影ユニット11B(放射線検出パネル20B)で生成された表示対象画像の端部(重なり部Y1およびY2に対応する画像部分)以外の表示対象画像については、コンソール70によって受信された後、上記の補正処理の終了を待つことなく、直ちに表示されるので、画像表示までの待ち時間の増大を回避することができる。なお、上記の補正処理が完了した後に、全ての表示対象画像を一斉に表示部71に表示してもよい。
また、放射線画像撮影装置10は、非表示対象画像のうち補正に必要な画像部分のみをコンソール70に送信するので、非表示対象画像の全体を送信する場合と比較して、データ伝送時間および補正処理時間を短縮することが可能となり、結果として、補正処理後の画像の表示待ち時間を短縮することができる。
なお、本実施形態では、撮影ユニット11Bにおいて生成された放射線画像が表示対象画像とされ、且つ撮影ユニット11Aおよび11Cにおいて生成された放射線画像の少なくとも一方が非表示対象画像とされた場合には、常に非表示対象画像を補正用画像としてコンソール70に送信することとしているが、この態様に限定されるものではない。例えば、放射線画像撮影装置10は、コンソール70からの送信要求に応じて補正用画像をコンソール70に送信してもよい。コンソール70は、例えば、表示対象画像の解析の結果またはユーザが操作入力部72を介して行う指示に基づいて放射線画像撮影装置10に補正用画像の送信要求を発し、補正用画像の受信後に補正処理を実施してもよい。
ここで、図26は、撮影ユニット11Aを構成する放射線検出パネル20Aおよび信号処理部42の模式的な構成図である。信号処理部42は、各々が複数の信号線36に接続されている複数の信号処理回路42aを含んでいる。すなわち、放射線検出パネル20Aに設けられた信号線36の各々に伝送される信号は、対応する信号処理回路42aによって処理される。図26において、撮影領域RAと撮影領域RB(図26において図示せず)とが重なる部分を重なり部Y1がハッチングで示されている。図26に示すように、重なり部Y1が、単一の信号処理回路42aにおける処理対象範囲内に収められていることが好ましい。これにより、撮影ユニット11Aにおいて、単一の信号処理回路42a(図26において一番右側の信号処理回路42a)を駆動すれば補正用画像の画像データを生成することが可能となり、補正用画像の生成を迅速に行うことができる。同様に、撮影ユニット11Cにおいて、重なり部Y2が、単一の信号処理回路42aにおける処理対象範囲内に収められていることが好ましい。
[第6の実施形態]
画像処理の分野において画像のボケを、点拡がり関数(PSF:Point spread Function)によって特定する手法が知られている。すなわち、点像は、そのまま投影されるのではなく、点拡がり関数にともない拡散されつつ投影される。
ここで、劣化前の原画像をf(x,y)、劣化後の画像をg(x,y)、点拡がり関数に相当する空間フィルタをh(x,y)とすると、劣化後の画像はg(x,y)は、下記の(1)式によって表すことができる。
g(x,y)=f(x,y)*h(x,y) ・・・(1)
(1)式をフーリエ変換すると、下記の(2)式を得る。
G(u,v)=F(u,v)H(u,v) ・・・(2)
(2)式より、下記の(3)式を得る。
F(u,v)=G(u,v)/H(u,v) ・・・(3)
従って、劣化画像のフーリエ変換G(u,v)と、逆フィルタ1/H(u,v)の積を逆フーリエ変換することで、劣化前の原画像を復元することができる。以下において、このような復元処理を、点拡散補正処理と称する。
劣化後の画像は、劣化前の原画像を構成する各点像が拡散されて形成された画像であるから、点拡散補正処理を行うためには、劣化後の画像の拡がり範囲(原画像が拡散する範囲、ボケ画像の外縁)、すなわち点拡がり関数に基づく点像の拡散範囲を特定する必要がある。劣化後の画像の拡がり範囲は、拡散角度と、拡散距離に応じて変化すると考えられ、拡散角度および拡散距離は、被写体の厚さ(撮影面からの高さ、体厚)に相関を有すると考えられる。すなわち、被写体の厚さ(体厚)が厚い程、点像の拡散範囲は大きくなり、被写体像の拡がり範囲は大きくなると考えられる。
そこで、本発明の第6の実施形態に係る放射線画像撮影システムにおいて、放射線画像撮影装置10は、上記の撮影準備処理(図9参照)のステップS13において、コンソール70から通知された被写体情報に含まれる被写体の厚さ(体厚)に基づいて、点拡がり関数に基づく被写体像の拡がり範囲を特定する。放射線画像撮影装置10は、特定された被写体像の拡がり範囲が非表示対象画像に含まれている場合には、非表示対象画像のうち、少なくとも被写体像の拡がり範囲が含まれている画像部分を点拡散補正処理のための補正用画像としてコンソール70に送信する。なお、非表示対象画像の全体を点拡散補正処理のための補正用画像としてコンソール70に送信してもよい。コンソール70は、被写体像の拡がり範囲が、非表示対象画像に及んでいる場合には、表示対象画像および補正用画像である非表示対象画像の画像部分と、を含む一連の画像を劣化後の画像g(x、y)として上記の点拡散補正処理を行う。
図27は、撮影ユニット11A、11B、11Cの各々の撮影ユニット制御部50を構成するCPU51がROM53に格納された送信制御プログラム57を実行することにより実施される本発明の第6の実施形態に係る送信制御処理の流れを示すフローチャートである。
第6の実施形態に係る送信制御処理におけるステップS121〜S124の処理は、上記した第1の実施形態に係る送信制御処理(図12参照)におけるステップS41〜S44の処理と同様であるので、重複する説明は省略する。
ステップS125において、各撮影ユニット11のCPU51は、上記の撮影準備処理(図9参照)のステップS13において、コンソール70から通知された被写体情報に含まれる被写体の厚さ(体厚)および照射検出用画素32を用いた被写体認識の結果に基づいて、被写体像の拡がり範囲(原画像が拡散する範囲、ボケ画像の外縁)を推定する。被写体像の拡がり範囲の推定には、例えば、被写体の厚さ(体厚)と被写体像の拡がり範囲との対応関係を定めたテーブルを用いてもよい。上記テーブルは、例えばファントムを用いた実測に基づいて作成してもよい。
ステップS126において、各撮影ユニット11のCPU51は、ステップS125にて推定した被写体像の拡がり範囲が、非表示対象画像に含まれているか否かを判定する。各撮影ユニット11のCPU51は、被写体像の拡がり範囲が非表示対象画像に含まれていると判定した場合には、処理をステップS127に移行し、被写体像の拡がり範囲が非表示対象画像に含まれていないと判定した場合には、本ルーチンを終了させる。
ステップS127において、被写体像の拡がり範囲が含まれている非表示対象画像を生成した撮影ユニット11のCPU51は、自身が生成した非表示対象画像のうち、被写体像の拡がり範囲が含まれている画像部分をコンソール70に送信する。
なお、本実施形態においては、照射検出用画素32の画素値に基づいて被写体像の面積の推定値を導出する処理(ステップS121)、導出された被写体像の面積の推定値を各撮影ユニット11において共有し(ステップS122)、放射線画像(表示対象画像)の送信順序を導出する処理(ステップS3)を放射線画像撮影装置10が行うこととしているが、これらの各処理をコンソール70が行ってもよい。
第6の実施形態に係る送信制御処理の内容を、図28を参照しつつ説明する。ここでは、撮影ユニット11B(放射線検出パネル20B)によって生成された放射線画像IBのみが、表示対象画像として指定され、撮影ユニット11A(放射線検出パネル20A)によって生成された放射線画像IAおよび撮影ユニット11C(放射線検出パネル20C)によって生成された放射線画像ICが非表示対象画像とされているものとする。また、各撮影ユニット11において推定された被写体像の拡がり範囲Qは、図27に示すように、各放射線画像IA、IB、ICに含まれているものとする。
撮影ユニット11AのCPU51は、自身が生成した非表示対象画像IAのうち、被写体像の拡がり範囲Qが含まれている画像部分IAPを補正用画像としてコンソール70に送信する。同様に、撮影ユニット11CのCPU51は、自身が生成した非表示対象画像ICのうち、被写体像の拡がり範囲Qが含まれている画像部分ICPを補正用画像としてコンソール70に送信する。
図29は、コンソール70のCPU73がROM76に格納された表示制御プログラム83を実行することにより実施される本発明の第6の実施形態に係る表示制御処理の流れを示すフローチャートである。
ステップS131において、コンソール70のCPU73は、表示駆動部77を制御して、RAM74またはHDD75に格納された撮影ユニット11毎の表示対象画像を、放射線画像撮影装置10から受信した順に表示部71に表示させる。すなわち、本ステップS131において、表示部71には、点拡散補正処理前の画像が表示される。
ステップS132において、コンソール70のCPU73は、表示部71に表示されている表示対象画像について点拡散補正処理を実施する。コンソール70のCPU73は、放射線画像撮影装置10から非表示対象画像の画像部分が補正用画像として送信されている場合には、表示対象画像および補正用画像である非表示対象画像の画像部分と、を含む一連の画像を、劣化後の画像g(x、y)として点拡散補正処理を行う。
ステップS133において、コンソール70のCPU73は、点拡散補正処理を施した表示対象画像を表示部71に表示させる。
以降のステップS134〜S138の処理は、上記した第1の実施形態に係る表示制御処理(図13参照)におけるステップS52〜S56における処理と同様であるので、重複する説明は省略する。
以上のように、本発明の第6の実施形態に係る放射線画像撮影システムによれば、非表示対象画像であっても、被写体像の拡がり範囲が含まれている画像部分については、補正用画像として点拡散補正処理に用いられるので、非表示対象画像に被写体像の拡がり範囲が含まれている場合でも、表示対象画像について点拡散補正処理を行うことが可能となる。
また、表示対象画像については、コンソール70によって受信された後、点拡散補正処理の終了を待つことなく、補正処理前の状態で直ちに表示されるので、画像表示までの待ち時間の増大を回避することができる。なお、点拡散補正処理が完了した後に、補正処理後の表示対象画像を表示部71に表示してもよい。
また、放射線画像撮影装置10は、非表示対象画像のうち補正に必要な画像部分のみをコンソール70に送信するので、非表示対象画像の全体を送信する場合と比較して、データ伝送時間および補正処理時間を短縮することが可能となり、結果として、補正処理後の画像の表示待ち時間を短縮することができる。
本実施形態では、被写体像の拡がり範囲が非表示対象画像に含まれている場合には、非表示対象画像の画像部分を補正用画像として常にコンソール70に送信することとしているが、この態様に限定されるものではない。例えば、放射線画像撮影装置10は、コンソール70からの送信要求に応じて、補正用画像をコンソール70に送信してもよい。コンソール70は、例えば、表示対象画像の解析の結果またはユーザが操作入力部72を介して行う指示に基づいて放射線画像撮影装置10に補正用画像の送信要求を発し、補正用画像の受信後に補正処理を実施してもよい。
また、本実施形態においては、コンソール70から通知された被写体情報に含まれる被写体の厚さ(体厚)および照射検出用画素32を用いた被写体認識の結果に基づいて、被写体像の拡がり範囲Qを推定して補正用画像としての画像部分IAP、ICPを抽出することとしているが、これに限定されるものではない。例えば、放射線画像撮影装置10は、自身が生成した画像を、各撮影ユニット11において画像解析を行うことによって被写体像の拡がり範囲を推定して補正用画像としての画像部分IAP、ICPを抽出してもよい。
また、放射線画像撮影装置10は、コンソール70から通知された被写体情報のうち体厚以外の他の情報(例えば、性別、体重、年齢)をも加味して補正用画像としての画像部分IAP、ICPを抽出してもよい。ここで、被写体像の拡がり範囲Qは、散乱線により定まることが想定され、散乱線は骨などの密度が高い部位で多く発生する。従って、被写体情報に含まれる各種情報(性別、体重、年齢、体厚)に基づいて被写体の骨格を推定することにより散乱線の発生状況を推定し、被写体像の拡がり範囲Qを推定することができる。
また、放射線画像撮影装置10は、コンソール70から通知される管電圧、管電流、SID(source-image distance)等のX線照射条件に基づいて補正用画像としての画像部分IAP、ICPを抽出してもよい。例えば、管電圧が高い程、X線の直線性が高くなり、散乱線の影響は小さくなり、被写体像の拡がり範囲Qは小さくなる。また、管電流は、X線の線量に比例するので、放射線画像の濃度に影響する。また、SIDに応じてX線の被写体への入射角度が変化する。すなわち、SIDが大きい程、被写体へのX線の入射角度は垂直に近くなる。その結果、散乱の影響を受けにくくなり、被写体像の拡がり範囲Qは小さくなる。一方、SIDが小さい程、被写体の端部側では斜め入射となる。その結果、散乱の影響を受けやすくなり、被写体像の拡がり範囲Qは大きくなる。
[変形例]
以上、本発明の実施形態に係る放射線画像撮影システムについて説明したが、本発明は、上記した各実施形態に限定されるものではなく、種々の改変が可能である。
上記した各実施形態においては、表示対象画像の指定を照射検出用画素32の画素値に基づいて行うこととしたが、これに限定されるものではない。例えば、放射線画像撮影装置10は、撮影準備処理(図9参照)のステップS13においてコンソール70から送信された被写体情報に含まれる、被写体である患者の性別、年齢、身長、対象部位、撮影時の姿勢等の被写体の属性情報に基づいて表示対象画像を指定してもよい。例えば、図1に示すように、放射線画像撮影装置10が立位撮影用の配置とされた場合において、被写体である患者が成人男性であり且つ撮影部位が胸部である場合には、撮影ユニット11A、11B、11Cのうち、最も上方に配置される撮影ユニット11Aおよび中央に配置される撮影ユニット11Bにおいて生成される放射線画像を、表示対象画像として指定してもよい。このように被写体情報に基づいて表示対象画像指定を行う場合には、被写体である患者の性別、年齢、身長、撮影対象部位、撮影時の姿勢等の被写体の属性情報と、撮影に使用する撮影ユニット11との対応関係を定めたテーブルを用いてもよい。このように、表示対象画像の指定を被写体の属性情報およびテーブルを用いてして行うことにより、照射検出用画素32の画素値に基づいて表示対象画像の指定を行う場合と比較して、処理時間を短縮することが可能となる。
また、撮影に先立って、ユーザが撮影に使用する撮影ユニット11を指定した場合には、指定された撮影ユニット11において生成された放射線画像を表示対象画像として指定してもよい。例えば、撮影準備処理(図9参照)のステップS13において被写体情報とともに、表示対象画像または使用する撮影ユニット11を指定する指定情報をコンソール70から放射線画像撮影装置10に送信してもよい。放射線画像撮影装置10は、指定情報に基づいて表示対象画像を指定してもよい。このように、ユーザ指定に基づいて表示対象画像の指定を行うことにより、表示対象画像の指定に係る処理時間の短縮が可能となるとともに、表示対画像としてより適切な画像を指定することができる。
また、表示対象画像指定処理(図11参照)において、各撮影ユニット11のCPU51が、照射検出用画素32の画素値に基づく被写体検出に失敗したと判定した場合(エラーケース)には、撮影ユニット11A、11B、11Cの各々において生成された全ての放射線画像を、表示対象画像として指定してもよい。このようにエラーケースの場合には、全ての画像を表示対象画像としておくことで、非表示対象画像を追加的に表示する処理が実施されなくなるので、結果的に所望の画像の表示待ち時間を短縮できる可能性が高い。また、両端の撮影ユニット11A、11Cにおいて被写体を検出した場合には、中央の撮影ユニット11Bにおいても被写体が検出されたものとして、撮影ユニット11A、11B、11Cの各々において生成された全ての放射線画像を、表示対象画像として指定してもよい。
また上記した各実施形態においては、表示対象画像のコンソール70への送信順序を照射検出用画素32の画素値に基づいて導出された被写体像の面積の推定値に基づいて導出することとしたが、これに限定されるものではない。例えば、放射線画像撮影装置10は、撮影準備処理(図9参照)のステップS13においてコンソール70から送信された被写体情報に含まれる、被写体である患者の性別、年齢、身長、撮影対象部位、撮影時の姿勢等の被写体の属性情報に基づいて表示対象画像の送信順序を導出してもよい。例えば、図1に示すように、放射線画像撮影装置10が立位撮影用の配置とされた場合において、被写体である患者が成人男性であり且つ撮影部位が胸部である場合には、最も上方に配置される撮影ユニット11Aにおいて生成される放射線画像を1番目にコンソール70に送信し、中央に配置される撮影ユニット11Bにおいて生成される放射線画像を2番目に送信するように送信順序を定めてもよい。このように、被写体の属性情報に基づいて表示対象画像の送信順序を定める場合、被写体の性別、年齢、身長、撮影対象部位、撮影時の姿勢等の被写体の属性情報と、表示対象画像の送信順序との対応関係を定めたテーブルを用いてもよい。このように、表示対象画像の送信順序を被写体の属性情報およびテーブルを用いて導出することにより、照射検出用画素32の画素値に基づいて送信順序を導出する場合と比較して、処理時間を短縮することが可能となる。
また、撮影に先立って、ユーザが撮影に使用する撮影ユニット11および表示対象画像の送信順序を指定した場合には、指定された撮影ユニット11において生成された放射線画像を表示対象画像として指定するとともに、指定された順序に従って表示対象画像のコンソール70への送信順序を定めてもよい。例えば、撮影準備処理(図9参照)のステップS13において被写体情報とともに、表示対象画像または使用する撮影ユニット11を指定する指定情報および複数の表示対象画像の各々の送信順序を示す送信順序情報をコンソール70から放射線画像撮影装置10に送信してもよい。放射線画像撮影装置10は、指定情報および送信順序情報に基づいて表示対象画像を指定するとともに表示対象画像の送信順序を定めてもよい。このように、ユーザ指定に基づいて表示対象画像の送信順序を定めることにより、送信制御処理(図12参照)の処理時間の短縮が可能となるとともに、ユーザが望む画像をいち早くコンソール70の表示部71に表示させることが可能となる。
また、各撮影ユニット11のCPU51が、照射検出用画素32の画素値に基づく被写体検出に失敗したと判定した場合(エラーケース)には、撮影ユニット11A、11B、11Cの各々において生成された全ての放射線画像を、表示対象画像として指定してもよく、この場合において、各表示対象画像の送信順序を、予め定められた順序で送信してもよい。また、両端の撮影ユニット11A、11Cにおいて被写体を検出した場合には、中央の撮影ユニット11Bにおいても被写体が検出されたものとして、撮影ユニット11A、11B、11Cの各々において生成された全ての放射線画像を、表示対象画像として指定してもよく、この場合において、撮影ユニット11A、11Cにおいて生成された放射線画像を先行してコンソール70に送信し、撮影ユニット11Bにおいて生成された放射線画像を最後にコンソール70に送信してもよい。
また、互いに隣接する2つの撮影ユニット11Aおよび11Bまたは撮影ユニット11Bおよび11Cにおいて生成された表示対象画像をコンソール70に送信する場合には、中央に配置されている撮影ユニット11Bによって生成された表示対象画像を常に最初にコンソール70に送信するようにしてもよい。一般的には、中央の撮影ユニット11B上に関心領域が配置される可能性が高いので、上記のように送信順序を定めることで、より重要度の高い画像を先行してコンソール70に送信することができる。
また、上記した各実施形態においては、表示対象画像の指定および表示対象画像の送信順序の導出を、各放射線検出パネル20設けられた照射検出用画素32の画素値に基づいて行うこととしたが、これに限定されるものではない。例えば、照射検出用画素32に代えて、放射線画像撮影装置10の外部に設けられるイオンチャンバ等の公知の放射線検出装置を用いることが可能である。イオンチャンバは、X線吸収係数の大きいキセノンガスなどの不活性ガスを封入した金属容器内に、高電圧電極と信号電極を対向配置して構成されている。イオンチャンバの金属容器内にX線が侵入すると封入ガスが電離して高電圧電極と信号電極の間に電流が流れるので、X線を検出することができる。照射検出用画素32に代えてイオンチャンバを用いる場合には、撮影ユニット11A、11B、11Cの各々に対して、複数のイオンチャンバを配置するのが好ましい。この場合、各イオンチャンバと放射線検出パネル20との位置関係を規定しておくことにより、イオンチャンバに照射検出用画素32と同等の役割を担わせることができる。すなわち、各イオンチャンバの出力に基づいて表示対象画像の指定や、表示対象画像の送信順序の導出を行うことが可能である。イオンチャンバを用いることにより、照射検出用画素を有しない放射線画像撮影装置においても、X線の照射線量に基づく表示対象画像の指定および表示対象画像の送信順序の導出を行うことが可能となる。
また、上記した各実施形態に係る表示制御処理においては、コンソール70において表示対象画像の画像解析を行った結果に基づいて非表示対象画像の表示の要否を判定することとしたが、この態様に限定されるものではない。例えば、ユーザがコンソール70の操作入力部72を介して行う指示に基づいて非表示対象画像の表示の要否を判定してもよい。すなわち、ユーザがコンソール70の表示部71に表示された表示対象画像を確認し、必要に応じて非表示対象画像の表示を要求する操作を操作入力部72に対して行う。かかるユーザ操作に応じて、第1の実施形態に係る表示制御処理(図13)の態様においては、非表示対象画像の送信要求をコンソール70から放射線画像撮影装置10に送信し、第2の実施形態に係る表示制御処理(図17参照)の態様においては、非表示対象画像をコンソール70のRAM74またはHDD75から読み出す。
また、上記した各実施形態においては、コンソール70は、表示対象画像を受信した順(すなわち、放射線画像撮影装置10において設定された送信順)に表示部71に表示することとしているが、この態様に限定されるものではない。例えば、コンソール70は、表示対象画像の表示を行う前に画像解析を行い、解析の結果に応じて導出された表示順序で表示対象画像を表示してもよい。
また、上記した各実施形態においては、放射線画像撮影装置10において生成された放射線画像をコンソール70の表示部71に表示させる場合を例示したが、この態様に限定されるものではない。放射線画像撮影装置10において生成された放射線画像を、例えば、携帯表示端末装置等のコンソール70とは別体とされた装置の表示画面上に表示させてもよい。この場合において、携帯表示端末装置等が、実質的にコンソール70と同等の機能を有し、上記した各実施形態に係る表示制御処理を実施してもよい。また、上記した各実施形態に係る表示制御処理をコンソール70が実施し、携帯表示端末装置等は、コンソール70による制御に基づいて画像表示のみを行ってもよい。すなわち、携帯表示端末装置等は、コンソール70の表示部71としての機能を有するものであってもよい。
また、上記した各実施形態においては、各撮影ユニット11A、11B、11Cにおいて生成された放射線画像を、放射線画像撮影装置10の画像メモリ43またはコンソール70のRAM74若しくはHDD75に格納することとしているが、この態様に限定されるものではない。例えば、各撮影ユニット11A、11B、11Cにおいて生成された放射線画像を、放射線画像撮影装置10およびコンソール70の双方と通信可能に接続された外部の記憶媒体に格納してもよい。この場合、コンソール70からの送信要求に応じて、外部の記憶媒体から非表示対象画像が読み出される。
また、上記の各実施形態において、間接変換方式を採用した放射線検出パネルを用いる場合を例示したが、直接変換方式を採用した放射線検出パネルを用いてもよい。また、上記の各実施形態において、放射線画像の撮影時に照射する放射線としてX線を使用する場合を例示したが、ガンマ線、紫外線、中性子線等の他の放射線を使用してもよい。また、上記した各実施形態における各処理は相互に組み合わせて実施することが可能である。