JP6738938B1 - 樹脂成形体 - Google Patents

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Abstract

【課題】熱可塑性樹脂中にセルロース繊維を分散してなる樹脂成形体であって、連続的な生産性に優れ、また優れた耐衝撃特性を示す樹脂成形体を提供する。【解決手段】熱可塑性樹脂中にセルロース繊維を分散してなるセルロース繊維分散樹脂複合材を成形してなる樹脂成形体であって、該樹脂成形体は肉厚が0.1mm以上であり、前記セルロース繊維分散樹脂複合材中には前記セルロース繊維の凝集物が含まれ、該凝集物の少なくとも一部が、平面視において2.0×104〜2.0×105μm2の面積の凝集物である、樹脂成形体。【選択図】なし

Description

本発明は、熱可塑性樹脂中にセルロース繊維が分散してなる樹脂成形体に関する。
樹脂製品の機械的物性を高めるために、樹脂にガラス繊維、炭素繊維、セルロース繊維等の繊維を配合した繊維強化樹脂が知られている。
ガラス繊維を用いた場合、不燃性の無機物であるガラス繊維は、サーマルリサイクル等により燃焼させても灰分として多く残留し、リサイクルにおけるエネルギー回収率に課題がある。また、ガラス繊維の比重は樹脂よりも大きく、繊維強化樹脂の重量が増大する問題もある。さらに、ガラス繊維は樹脂よりも熱容量が大きく、したがって成形後の冷却固化に時間を要し、その結果樹脂製品の製造効率の向上にも制約がある。
また、ガラス繊維に代えて炭素繊維を用いることにより、上記の問題は解決できる。しかし、炭素繊維は高価であり、これを用いると樹脂製品のコストが上昇する問題がある。
他方、セルロース繊維は軽量であり、サーマルリサイクル等における燃焼残渣も少なく、また比較的安価であるため、軽量化、リサイクル性、コスト面等において有利である。
セルロース繊維を用いた繊維強化樹脂に関する技術が報告されている。
例えば、特許文献1には、植物繊維の繊維原料が十分に微細化された状態で樹脂組成物中に分散し、かつ粗大な植物繊維凝集物が存在しない植物繊維含有樹脂組成物の製造方法が開示されている。この製造方法では、熱可塑性樹脂と、特定形状の植物繊維を含む植物繊維組成物と、植物繊維修飾剤とを溶融混練しながら複合化している。
また、特許文献2には、熱による着色を抑制でき、また、ポリオレフィン系樹脂への微細セルロース繊維の分散性を高めることができ、機械的物性にも優れた繊維含有樹脂組成物の製造方法が開示されている。この製造方法では、微細セルロース繊維と、水と、反応性官能基を有する極性基含有ポリオレフィン系樹脂と、疎水基と親水基とを有する低分子化合物と、反応性官能基と親水性基を有しないポリオレフィン系樹脂とを100℃以上で加熱混練するとともに脱揮する。
また、特許文献3には、熱可塑性合成樹脂とセルロースとイオン化合物とを特定の量比として混練し、微細化された植物繊維が熱可塑性樹脂中に均一分散した複合樹脂であるセルロース強化熱可塑性樹脂を得たことが記載されている。特許文献3の実施例には、熱可塑性樹脂中のセルロース凝集体の面積を所定面積である19121μm以下へと微細化できたことが記載されている。
特開2014−193959号公報 特開2015−209439号公報 国際公開第2017/170745号
セルロース繊維を使用した繊維強化樹脂を用いて、様々な形状を有する樹脂成形体が成形されている。しかし、セルロース繊維強化樹脂を用いた樹脂成形体を、複雑な形状にしたり、薄肉部(例えば肉厚1mm以下の部位)を有する形状にしたりすると、成形性ないしは生産性(歩留り)が十分でない場合があることが分かってきた。
例えば、薄肉部を有する成形体の当該薄肉部に穴空きが生じたりする場合がある。また、セルロース繊維強化樹脂を用いた樹脂成形体を射出成形する場合には、スプール(溶融樹脂材料が流れ込む通路)等において溶融樹脂材料が破断する場合があり、破断が生ずると、上流側(固定金型側)で固化した残留物の除去が必要となり、目的の成形体の連続的な生産が困難となる。
さらに、セルロース繊維を用いた繊維強化樹脂成形体は、必ずしも十分な機械的物性を示すには至っておらず、衝撃特性等の機械特性のさらなる向上が望まれている。
本発明は、熱可塑性樹脂中にセルロース繊維を分散してなる樹脂成形体であって、肉厚0.1mm以上の部位を有し、薄肉部を有する形態とした場合にも、連続的な生産性に優れ、また優れた耐衝撃特性を示す樹脂成形体を提供することを課題とする。
上記特許文献3に記載されるように、セルロース繊維は樹脂中において少なからず凝集物を形成する。本発明者らは上記課題に鑑み、この凝集物の状態と上記の成形性ないし生産性の問題との関連性について検討を行った。その結果、樹脂成形体の構成材料とするセルロース繊維分散樹脂複合材において、当該複合材中のセルロース繊維の凝集物の大きさを特許文献3に記載されるように単に微細化するのではなく、特定の大きさの凝集物を含むように制御することにより、樹脂組成物の流動性を効果的に高めることができること、その結果、これを成形して得られる樹脂成形体に欠陥のない肉厚0.1mm以上の部位をより確実に付与できること、また、この樹脂成形体が連続的生産性にも優れることを見出した。さらに本発明者らは、当該樹脂成形体が耐衝撃特性にも優れることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち上記課題は以下の手段により解決された。
〔1〕
熱可塑性樹脂中にセルロース繊維を分散してなるセルロース繊維分散樹脂複合材を成形してなる樹脂成形体であって、
該樹脂成形体は肉厚が0.1mm以上であり、
前記セルロース繊維分散樹脂複合材中には前記セルロース繊維の凝集物が含まれ、該凝集物の少なくとも一部が、平面視において2.0×10〜2.0×10μmの面積の凝集物である、樹脂成形体。
〔2〕
前記セルロース繊維分散樹脂複合材中に含まれるセルロース繊維の凝集物の少なくとも一部が、平面視において3.0×10〜1.3×10μmの面積の凝集物である、〔1〕に記載の樹脂成形体。
〔3〕
前記セルロース繊維分散樹脂複合材中に含まれるセルロース繊維の凝集物が、平面視において1.0×10μm未満の面積の凝集物である、〔1〕又は〔2〕に記載の樹脂成形体。
〔4〕
肉厚1mm以下の部位を少なくとも有する〔1〕〜〔3〕のいずれか1つに記載の樹脂成形体。
〔5〕
繊維長0.3mm以上のセルロース繊維を含む、〔1〕〜〔4〕のいずれか1つに記載の樹脂成形体。
〔6〕
繊維長0.8mm以上のセルロース繊維を含む、〔1〕〜〔5〕のいずれか1つに記載の樹脂成形体。
〔7〕
前記セルロース繊維分散樹脂複合材中、下記測定方法により決定される前記セルロース繊維の含有量が1質量%以上70質量%未満である、〔1〕〜〔6〕のいずれか1つに記載の樹脂成形体。
<測定方法>
セルロース繊維分散樹脂複合材の試料を、窒素雰囲気下において+10℃/分の昇温速度で熱重量分析(TGA)に付し、下記[式1]によりセルロース繊維の含有量を算出する。
[式1] (セルロース繊維の含有量[質量%])=(200〜380℃の間における試料の質量減少量[mg])×100/(熱重量分析に付す前の試料の質量[mg])
〔8〕
前記セルロース繊維分散樹脂複合材中、前記セルロース繊維の含有量が5質量%以上50質量%未満である、〔1〕〜〔7〕のいずれか1つに記載の樹脂成形体。
〔9〕
前記熱可塑性樹脂が、ポリオレフィン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂、ポリアミド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリスチレン樹脂、及び3−ヒドロキシブチレート−co−3−ヒドロキシヘキサノエート重合体樹脂のいずれか1つ以上である、〔1〕〜〔8〕のいずれか1つに記載の樹脂成形体。
〔10〕
前記熱可塑性樹脂がポリオレフィン樹脂である、〔1〕〜〔9〕のいずれか1つに記載の樹脂成形体。
〔11〕
アルミニウムを含む、〔1〕〜〔10〕のいずれか1つに記載の樹脂成形体。
〔12〕
前記ポリオレフィン樹脂が、低密度ポリエチレン樹脂、高密度ポリエチレン樹脂、及びポリプロピレン樹脂の1つ以上を含む、〔10〕に記載の樹脂成形体。
〔13〕
前記複合材が、カーボンブラック、光安定剤、及び屈折率が2以上の無機質粉体のいずれか1つ以上を含むポリオレフィン樹脂組成物である、〔1〕〜〔11〕のいずれか1つに記載の樹脂成形体。
〔14〕
前記樹脂成形体が、環状構造を有するもの、又は環構造を有するものの多分割体である、〔1〕〜〔13〕のいずれか1つに記載の樹脂成形体。
〔15〕
前記樹脂成形体が、長手方向に波形状が付与された波付管用の、接手部材又は端部材である、〔1〕〜〔14〕のいずれか1つに記載の樹脂成形体。
〔16〕
前記樹脂成形体が射出成形体である、〔1〕〜〔15〕のいずれか1つに記載の成形体。
〔17〕
構成材料の少なくとも一部が再生材に由来する、〔1〕〜〔16〕のいずれか1つに記載の樹脂成形体。
〔18〕
土木用、建材用、又は自動車用の部材である、〔1〕〜〔17〕のいずれか1つに記載の樹脂成形体。
本発明において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本発明の成形体は、製造効率に優れ、さらに耐衝撃特性にも優れる。
図1は、複合材の一実施形態において、複合材に含まれるセルロース繊維の凝集物の面積分布を示すグラフである。 図2は、ワイヤーハーネスプロテクタ用模擬部品の模式図である。図2(a)は右側面図、図2(b)は正面図、図2(c)は平面図である。 図3は、波付け管端部部材の模式図である。図3(a)は正面図、図3(b)は右側面図である。 図4は、接手部材の模式図である。図4(a)は正面図、図4(b)は右側面図である。
本発明の好ましい実施の形態について説明する。
本発明の樹脂成形体(以下、単に「本発明の成形体」とも称す。)は、熱可塑性樹脂中にセルロース繊維を分散してなるセルロース繊維分散樹脂複合材を構成材料とし、この複合材を成形してなる繊維強化樹脂成形体である。本発明の成形体は、肉厚が0.1mm以上である。前記セルロース繊維分散樹脂複合材中には前記セルロース繊維の凝集物が含まれ、該凝集物の少なくとも一部は平面視において2.0×10〜2.0×10μmの面積の凝集物である。
このような構成により、本発明の成形体は優れた耐衝撃特性(衝撃強度)を発現する。また、本発明の成形体はその製造において形成性に優れ、また、例えば射出成形により得る場合はスプール(射出成形機から射出注入された複合材が流れ込む通路)やランナー(型間を結ぶ、複合材が流れ込む通路)等で成形材料の破断が生じにくい。すなわち、本発明の成形体は連続的生産性に優れ、歩留りが高い。本発明の成形体は、薄肉部を有する場合であっても上記の特性を示す。
まず、樹脂成形体を構成するセルロース繊維分散樹脂複合材について説明する。なお、下記において、複合材を構成するセルロース繊維の凝集物の大きさの説明は、成形体を構成するセルロース繊維の凝集物の大きさにそのまま適用される。つまり、複合材を成形して得られる成形体(射出成形体、プレス成形体等)において、そのセルロース繊維の凝集物の大きさは、複合材のセルロース繊維の凝集物の大きさと事実上同じである。
[セルロース繊維分散樹脂複合材]
セルロース繊維分散樹脂複合材(以下、単に「複合材」とも称す。)は、熱可塑性樹脂中にセルロース繊維が分散しており、複合材中には前記セルロース繊維の凝集物が含まれ、これらの凝集物の少なくとも一部は平面視において2.0×10〜2.0×10μmの面積の凝集物である。また、複合材は、使用する原料の種類に応じてアルミニウム等の無機物、各種添加剤等を含有する形態とすることができる。
−セルロース繊維−
複合材中には、上記のとおり、セルロース繊維の凝集物が含まれている。これらの個々の凝集物の少なくとも一部は、平面視において2.0×10〜2.0×10μmの面積を有している。複合材をこのような凝集物を含有する形態とすることにより、単にセルロース繊維を含有させた形態に比べて耐衝撃特性を高めることができる。また、成形体が薄肉部を有する形態であっても連続生産性ないし歩留りも効果的に高めることができる。なお、ここでμmとは、(μm)のことである。この観点から、セルロース繊維の凝集物の少なくとも一部が平面視において3.0×10〜1.3×10μmの面積の凝集物であることが好ましく、セルロース繊維の凝集物の少なくとも一部が平面視において5.0×10〜1.0×10μmの面積の凝集物であることがより好ましい。
本発明において単に凝集物の「面積」や「長軸直径」等のサイズを記載する場合、個々の凝集物についてのサイズである。また、本明細書において、凝集物の「平面視における面積」あるいは単に「面積」という場合、複合材を一方向から平面視したときの面積を意味する。このことは「長軸直径」についても同様である。具体的な測定方法は後述する。
本発明においてセルロース繊維の凝集物は、通常はセルロース繊維同士が絡み合って形成された凝集物であるが、使用する原料によってはその一部には原料由来成分が混在していてもよい。複合材中に凝集物が分散している場合、当該凝集物が複合材中に点在して存在するので点在物として観察される。複合材中のセルロース繊維の含有量が多い場合は、セルロース繊維の重なりが多くなるため、セルロース繊維の凝集物の判別が明瞭でなくなる場合がある。このような場合には、複合材を構成する樹脂と同系統(同種)の樹脂を用いて複合材を希釈することにより、セルロース繊維の凝集物を浮き出させることができ、凝集物を明瞭に観察することができる。通常は、複合材をシート状として、透過光の暗色部としてセルロース繊維の凝集物を観察することができる。また、カーボンブラック等に代表される着色材や着色成分等の影響により複合材の樹脂部分が暗色の場合は、反射光の明色部としてセルロース繊維の凝集物を観察することができる。
より詳細には、複合材中に含まれるセルロース繊維の凝集物の面積は、複合材を薄膜シート(例えば厚さ0.1mm)とし、反射光又は透過光にて顕微鏡画像をとり、これを解析することにより決定することができる。また、複合材中のセルロース繊維量が多い場合には、そのままでは樹脂中に分散したセルロース繊維同士の重なりが著しく、セルロース繊維同士の重なりと凝集物とを判別して観察するのが簡単でない場合も想定される。この場合でも、複合材を、複合材を構成する樹脂と相溶性を有する樹脂(好ましくは複合材を構成する樹脂と同種の樹脂)と混合し、混練することにより希釈して、希釈物を薄膜シート(例えば厚さ0.1mm)とし、このシートを顕微鏡観察して顕微鏡画像をとり、凝集物の面積をより確実に決定することができる。
上記薄膜シートは複合材をスライスしたり、プレスしたりして調製することができる。なお、1.0×10μm以上の大きな凝集物の有無については、薄膜シートにしなくても、また複合材を希釈しなくても、複合材の表面観察によって判定することができる。
本発明において、凝集物の観察は、例えば、セルロース繊維の濃度をある範囲に希釈して観察した方が、見やすい場合がある。複合材を希釈してセルロース繊維の濃度を3〜7%とした場合について、平面視観察において、観察面積に占める、3.0×10〜1.3×10の面積の凝集物の当該面積の総和の割合s1が、0.01〜1.0%が好ましい。この場合s1は、0.015〜0.8%がより好ましく、0.015〜0.7%がさらに好ましく、0.018〜0.6%とすることも好ましい。この観察面積や、観察面積に占める、3.0×10〜1.3×10μmの面積の凝集物の当該面積の総和の割合は、後述する実施例に記載の方法(s1の測定方法)により決定される。
複合材の希釈により観察面積に占める凝集物の総和の面積は変わる。例えば、実際の観察において、観察面積に占める、3.0×10〜1.3×10μmの面積の凝集物の当該面積の総和の割合s1’を、セルロース繊維の含有量が5%となるように複合材を希釈して得た試料(薄膜シート)の観察結果に換算した値(5%換算値)sr1は、下記式により算出することができる。

sr1[%]=s1’[%]×5[質量%]/(観察対象とした試料のセルロース繊維の含有量[質量%])

上記sr1は、0.01〜1.0%が好ましく、0.015〜0.8%がより好ましく、0.015〜0.7%がさらに好ましく、0.018〜0.6%とすることも好ましい。
また、複合材を希釈してセルロース繊維の濃度を3〜7%とした場合について、平面視観察において、観察面積に占める、1.0×10〜1.0×10μmの面積の凝集物の当該面積の総和の割合s2が、0.015〜1.5%が好ましく、0.02〜1.2%がより好ましく、0.02〜1.0%がさらに好ましく、0.03〜1.0%とすることも好ましい。この観察面積や、観察面積に占める、1.0×10〜1.0×10μmの面積の凝集物の当該面積の総和の割合は、後述する実施例に記載の方法(s2の測定方法)により決定される。
例えば、実際の観察において、観察面積に占める、1.0×10〜1.0×10μmの面積の凝集物の当該面積の総和の割合s2’を、セルロース繊維の含有量が5%となるように複合材を希釈して得た試料(薄膜シート)の観察結果に換算した値(5%換算値)sr2は、下記式により算出することができる。

sr2[%]=s2’[%]×5[質量%]/(観察対象とした試料のセルロース繊維の含有量[質量%])

上記sr2は、0.015〜1.5%が好ましく、0.02〜1.2%がより好ましく、0.02〜1.0%がさらに好ましく、0.03〜1.0%とすることも好ましい。
複合材に含まれるセルロース繊維の凝集物の形態は種々の形態があり一義的に特定できないが、セルロース繊維が凝集したものであればよく、少なくとも一部は、長軸直径が1.6×10〜5.0×10μmであることが好ましい。長軸直径は、個々の凝集物において観察される平面視形状における最大直径を意味する。すなわち、上記のように顕微鏡観察した画像において、凝集物の外周上のある一点から別の点までの距離が最大となる場合の当該距離を、長軸直径とする。複合材をこのような凝集物を含有する形態とすることにより、複合材の耐衝撃特性をより高めることができる。この観点から、複合材中には、セルロース繊維の凝集物の少なくとも一部が1.6×10〜4.0×10μmの長軸直径を有する凝集物であることがより好ましい。
複合材は、上記の通り面積が特定範囲にあるセルロース繊維の凝集物を含有し、かつ、複合材中に含まれるそれぞれのセルロース繊維の凝集物の面積は、平面視において1.0×10μm未満であることが好ましい。凝集物の面積を1.0×10μm未満とすることにより、複合材の衝撃強度及び成形加工性をより高めることができる。成形加工性の観点から、複合材に含まれるセルロース繊維の凝集物の面積は3.0×10μm未満であることがより好ましい。他方、複合材の必須の成分である、面積が2.0×10〜2.0×10μmの凝集物は、後述のように、耐衝撃特性の向上に寄与する。また流動性の向上にも影響すると考えられる。
複合材中に含まれるセルロース繊維の凝集物のうち、1.0×10〜1.0×10μmの面積の凝集物の当該面積の総和(面積が1.0×10〜1.0×10μmの範囲にある個々の凝集物の面積の総和)s2に占める、3.0×10〜1.3×10μmの面積の凝集物の当該面積の総和(面積が3.0×10〜1.3×10μmの範囲にある個々の凝集物の面積の総和)s1の割合(s1/s2)×100)が10〜95%であることが好ましい。この割合を10%以上とすることにより、耐衝撃特性をより高めることができ、また、耐衝撃特性と成形性のバランスをより好ましいものとすることができる。この観点から、上記割合は20%以上がより好ましく、40%以上がさらに好ましい。なお、上記割合を高度に高めるのは技術的に難しい。この点を踏まえると、上記の割合は90%以下とするのが実際的であり、通常は80%以下である。上記割合は40〜80%であることが特に好ましい。
複合材中に分散しているセルロース繊維は繊維長が0.3mm以上のセルロース繊維を含むことが好ましい。繊維長0.3mm以上のセルロース繊維を含むことにより、衝撃強度等の機械強度をより向上させることができる。この点から複合材は、好ましくは、0.5mm以上、より好ましくは0.8mm以上、さらに好ましくは1mm以上の繊維長のセルロース繊維を含む。
また、複合材において、セルロース繊維の長さ加重平均繊維長が0.3mm以上であることが好ましい。長さ加重平均繊維長が0.3mm以上であることにより耐衝撃特性等の機械強度をより向上させることができる。この点から、セルロース繊維の長さ加重平均繊維長は、より好ましくは0.4mm以上、さらに好ましくは0.5mm以上である。長さ加重平均繊維長の上限は特に限定されないが、1.3mm以下が好ましい。ここで長さ加重平均繊維長は、複合材をその樹脂分の可溶な溶媒へ浸漬したときの複合材の溶解残さ(不溶分)についてISO 16065 2001(JIS P8226 2006)で規定されたパルプ−光学的自動分析法による繊維長測定方法により決定される。例えば、複合材を構成する樹脂がポリオレフィン樹脂である場合は、熱キシレン(130〜150℃)への溶解残さ(不溶分)について、同測定法により、長さ加重平均繊維長を決定することができる。長さ加重平均繊維長は、測定に供したそれぞれの繊維の繊維長の2乗の総和を、測定したそれぞれの繊維長の合計で割ったものである。この平均の特徴としては、繊維長の単純平均である数平均繊維長に比べて繊維長の長い繊維の繊維長さの影響と、数平均繊維長より長い繊維の確率密度の影響が大きくなる。そのため、複合材に含有される繊維中の、繊維長の長い繊維の複合材の機械的性質への影響を評価するには数平均繊維長より適している。
また、複合材中のセルロース繊維の平均繊維径は、5〜40μmであることが好ましい。セルロース繊維が上記の繊維長を有し、かつ上記の繊維径を有することにより、得られる成形体の機械強度をより高めることができる。また、セルロース繊維の平均繊維径を5μm以上とすることにより、セルロース材の前処理が不要となり、また後述の複合材の調製における処理の負荷も軽減することができる。また、セルロース繊維の平均繊維径を40μ以下とすることにより、薄肉部を有する成形体であっても良好な成形性で得ることができる。複合材中のセルロース繊維の平均繊維径は好ましくは10〜30μmである。
複合材は、複合材中のセルロース繊維の含有量が1質量%以上であることが好ましい。複合材中のセルロース繊維の含有量を1質量%以上とすることにより、機械強度を向上させることができる。この観点からは、複合材中のセルロース繊維の含有量は3質量%以上であることがより好ましく、さらに好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは7質量%以上、特に好ましくは9質量%以上である。また、曲げ強度をより向上させる点も考慮すれば、複合材中のセルロース繊維の含有量は25質量%以上であることが好ましい。
複合材は、セルロース繊維の含有量が70質量%未満であることが好ましい。複合材中のセルロース繊維の含有量を70質量%未満とすることにより、溶融混練によりセルロース繊維が均一に分散した複合材が得られやすくなる。吸水性をより抑える観点から、複合材中のセルロース繊維の含有量は、好ましくは50質量%未満であり、40質量%未満であることも好ましい。
複合材は、セルロース繊維の含有量が1質量%以上70質量%未満であることが好ましく、3質量%以上70質量%未満であることがより好ましく、5質量%以上50質量%未満であることがさらに好ましく、7質量%以上40質量%未満であることがさらに好ましく、9質量%以上40質量%未満であることが特に好ましい。
複合材中に含まれるセルロース繊維の含有量(質量%)は、下記のようにして熱重量分析により求められる値を採用して決定する。

<セルロース繊維の含有量(セルロース有効質量比)の決定方法>
事前に大気雰囲気にて80℃で1時間乾燥した複合材試料(10mg)を、窒素雰囲気下において+10℃/分の昇温速度で、23℃から400℃まで熱重量分析(TGA)を行い、下記[式1]によりセルロース繊維の含有量(質量%、セルロース有効質量比とも称す。)を算出する。

[式1](セルロース繊維の含有量[質量%])=(200〜380℃の間における複合材試料の質量減少量[mg])×100/(熱重量分析に付す前の乾燥状態の複合材試料の質量[mg])

なお、窒素雰囲気下において+10℃/minの昇温速度で200〜380℃まで昇温させた場合、セルロース繊維はほぼ熱分解して消失する。本発明では、上記[式1]により算出される質量%を、複合材中に含まれるセルロース繊維の含有量とみなす。ただし、セルロース繊維の一部はこの温度範囲内で消失せずに残る場合があるが、この温度範囲を超えると例えば樹脂成分の消失や、高温分解性の化合物が共存する場合にその加熱分解減量や残存成分と区別することができず、セルロース繊維量の測定が困難になる。そのため、本発明においては、[式1]により算出される質量%を、セルロース繊維量の把握に用いるが、このようにして求めたセルロース繊維量と複合材の機械的特性の関係は、関連性が高いものである。
−熱可塑性樹脂−
本発明のセルロース繊維分散樹脂複合材を構成する熱可塑性樹脂に特に制限はなく、射出成形等が可能なものであれば広く適用することができる。一例として、ポリオレフィン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体樹脂(ABS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂(AS樹脂)、ポリアミド樹脂(例えば、ナイロン)、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリスチレン樹脂等の熱可塑性樹脂、3−ヒドロキシブチレート−co−3−ヒドロキシヘキサノエート重合体樹脂(PHBH樹脂)、ポリブチレンサクシネート樹脂、ポリ乳酸樹脂等の熱可塑性の生分解性の樹脂等があげられる。熱可塑性樹脂は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
ポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、あるいはポリエチレンとポリプロピレンとの混合物(ブレンド樹脂)などがあげられる。また、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体等のエチレン系共重合体、あるいはこれらを含む混合物も、ポリオレフィン樹脂としてあげられる。ポリオレフィン樹脂は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。ポリオレフィン樹脂は、ポリエチレン樹脂及び/又はポリプロピレン樹脂であることが好ましく、ポリエチレン樹脂であることがより好ましい。
上記ポリエチレン樹脂としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)があげられる。上記ポリエチレン樹脂は低密度ポリエチレンであることが好ましい。上記ポリエチレン樹脂は高密度ポリエチレンであることも好ましい。
上記低密度ポリエチレンは、密度が880kg/m以上940kg/m未満のポリエチレンを意味する。上記高密度ポリエチレンは、上記低密度ポリエチレンの密度より密度が大きいポリエチレンを意味する。
低密度ポリエチレンは、長鎖分岐を有する、いわゆる「低密度ポリエチレン」及び「超低密度ポリエチレン」といわれるものでもよく、エチレンと少量のα−オレフィンモノマーを共重合させた直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)でもよく、さらには上記密度範囲に包含される「エチレン−α−オレフィン共重合体エラストマー」であってもよい。
ポリオレフィン樹脂は、低密度ポリエチレン樹脂、高密度ポリエチレン樹脂、及びポリプロピレン樹脂の1種以上を含むことが好ましい。
ポリオレフィン樹脂は、通常用いられる不飽和カルボン酸又はその誘導体等で酸変性されていてもよい。
複合材は、複数の樹脂成分を含有してもよい。例えば、ポリエチレン樹脂及び/又はポリプロピン樹脂にエチレンとα−オレフィンとの共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、ポリブテン等の、ポリエチレン樹脂及び/又はポリプロピレン樹脂以外のポリオレフィン系樹脂を含むものであってもよい。
また、複合材は、例えば、ポリオレフィン樹脂とポリエチレンテレフタレート及び/又はナイロンを含有してもよい。この場合、ポリオレフィン樹脂100質量部に対し、ポリエチレンテレフタレート及び/又はナイロンの総量が10質量部以下であることが好ましい。
本発明に用いる複合材を構成する熱可塑性樹脂はポリオレフィン樹脂を含むことが好ましく、さらにポリエチレンを含むことが好ましく、特に低密度ポリエチレンを含むことが好ましい。上記熱可塑性樹脂はポリオレフィン樹脂であることも好ましい。
また、上記熱可塑性樹脂は、低密度ポリオレインとエチレン−アクリル酸共重合体との組合せであることも好ましく、低密度ポリエチレンと高密度ポリエチレンとエチレン−酢酸ビニル共重合体との組合せも好ましい。
−その他の成分−
複合材は、熱可塑性樹脂中に、セルロース繊維に加え、アルミニウムが分散してなる形態であることも好ましい(分散している個々のアルミニウムをアルミニウム分散質とも称す)。複合材中においてアルミニウムは、フレーク状構造及び/又は薄膜の不規則な折り畳み構造をとることができる。
複合材中にアルミニウムが分散されている場合、アルミニウムの含有量は、複合材中、1質量%以上30質量%以下が好ましい。アルミニウムの含有量をこの範囲内とすることにより、複合材の加工性をより高めることができ、また、複合材の加工時にアルミニウムの塊まりがより生じにくくなる。
上記複合材がアルミニウムを含有する場合、このアルミニウムにはX−Y最大長が0.005mm以上のアルミニウム分散質が含まれることが好ましい。X−Y最大長が0.005mm以上のアルミニウム分散質の数に占めるX−Y最大長が1mm以上のアルミニウム分散質の数の割合は1%未満であることが好ましい。この割合を1%未満とすることにより、複合材の加工性をより高めることができ、また、複合材の加工時にアルミニウムの塊まりがより生じにくくなる。
上記X−Y最大長は、複合材を用いて形成した層(例えば層(A))の断面や表面を観察して決定される。具体的には、この観察面において、アルミニウム分散質に対し、無作為の一方向(X軸方向)に直線を引き、当該直線とアルミニウムの外周とが交わる2つの交点間を結ぶ距離が最大となる当該距離(X軸最大長)を測定し、また、当該特定方向に対して垂直方向(Y軸方向)に直線を引き、この直線とアルミニウムの外周とが交わる2つの交点間を結ぶ距離が最大となる当該距離(Y軸最大長)を測定し、X軸最大長とY軸最大長のうち長い方の長さをX−Y最大長とする。X−Y最大長は画像解析ソフトを用いて決定することができる。
本発明において複合材中に分散しているアルミニウム分散質は、X−Y最大長の平均が0.02〜0.2mmであることが好ましく、0.04〜0.1mmであることがより好ましい。X−Y最大長の平均は、画像解析ソフトを用いて測定されるX−Y最大長の平均とする。
複合材中の熱可塑性樹脂がポリオレフィン樹脂の場合を例にとると、当該ポリオレフィン樹脂の含有量(質量%)及びアルミニウムの含有量(質量%)は、以下のようにして求めることができる。
複合材中のポリオレフィン樹脂の含有量(質量%)は、熱キシレン溶解質量比Ga(質量%)として下記式より求めることができる。熱キシレン溶解質量比の決定方法については後述する。
Ga〔質量%〕={(W0−Wa)/W0}×100
W0:熱キシレンに浸漬する前の複合材の乾燥質量
Wa:138℃の熱キシレンに浸漬後、キシレンを乾燥除去した後の複合材の質量
ここで、複合材がポリオレフィン樹脂、セルロース繊維、及び、アルミニウム等の他の成分により構成される場合、複合材中のアルミニウム等の他の成分の含有量(質量%)は、次により示される。
アルミニウム等の他成分の含有量(質量%)=100−{(セルロース有効質量比(質量%)+ポリオレフィン樹脂の含有量(質量%)}
セルロース繊維、ポリオレフィン樹脂、アルミニウム以外の成分を含まないか、含むとしても無視できる程度であるときは、複合材中のアルミニウムの含有量(質量%)は、次により示される。
アルミニウムの含有量(質量%)=100−{(セルロース有効質量比(質量%)+ポリオレフィン樹脂の含有量(質量%)}
−熱キシレン溶解質量比−
複合材中に混入しうる樹脂の種類が分かっていれば、各樹脂の量は、複合材の熱キシレン溶解質量比に基づき決定することができる。
本発明において、熱キシレン溶解質量比は次のように決定される。
自動車電線用規格JASOD618の架橋度測定に準拠し、複合材の成形シートから0.1〜1gを切だし試料とし、この試料を400メッシュのステンレスメッシュで包み、所定温度のキシレン100mlに24時間浸漬する。次いで試料を引き上げ、その後試料を80℃の真空中で24時間乾燥させる。試験前後の試料の質量から、次式より熱キシレン溶解質量比G(%)が算出される。
G={(W0−W)/W0}×100
W0:熱キシレン中に浸漬する前の乾燥複合材の質量
W:熱キシレンに浸漬後、キシレンを乾燥除去した後の複合材の質量
例えば、複合材を構成するポリオレフィン樹脂が、ポリエチレン樹脂とポリプロピレン樹脂で構成される場合を想定する。複合材の、138℃の熱キシレン溶解質量比をGa(%)、105℃の熱キシレン溶解質量比をGb(%)としたとき、Gaがポリオレフィン樹脂の質量比(%)に、Ga−Gbがポリプロピレン樹脂の質量比(%)に、Gbがポリエチレンの質量比(%)に相応する。
即ち、複合材中のポリオレフィン樹脂の含有量は、上記の、138℃の熱キシレン溶解質量比Ga(%)として求めることができる。
ここで、
Ga={(W0−Wa)/W0}×100
Gb={(W0−Wb)/W0}×100
W0:熱キシレンに浸漬する前の乾燥複合材の質量
Wa:138℃の熱キシレンに浸漬後、キシレンを乾燥除去した後の複合材の質量
Wb:105℃の熱キシレンに浸漬後、キシレンを乾燥除去した後の複合材の質量
複合材を構成する上記の熱可塑性樹脂とセルロース繊維は、これらの少なくとも一部が再生材に由来するものとすることができる。また、複合材に含まれ得るアルミニウム、ポリエチレンテレフタレート及び/又はナイロンも、これらの少なくとも一部が再生材に由来することができる。再生材を利用することにより、複合材の製造コストを抑えることができる。
再生材としては、例えば、紙とポリオレフィン薄膜層とを有するポリオレフィンラミネート加工紙、紙とポリオレフィン薄膜層とアルミニウム薄膜層とを有するポリオレフィンラミネート加工紙、これらの加工紙からなる飲料パック及び/又は食品パック等があげられる。
より好ましくは、上記のラミネート加工紙及び/又は飲料・食品パックをパルパーで処理して紙部分を剥ぎ取り除去して得られた、セルロース繊維が付着してなるポリオレフィン薄膜片(以下、「セルロース繊維付着ポリオレフィン薄膜片」とも称す。)を再生材として用いることが好ましい。ラミネート加工紙や飲料・食品パックがアルミニウム薄膜層を有する場合には、上記のセルロース繊維付着ポリオレフィン薄膜片にはアルミニウムも付着した状態にある。
このような再生材を原料とした場合にも、(後述のように水の存在下で溶融混練する方法を採用し)セルロース繊維の凝集物を制御することにより、優れた成形性を実現でき、また、得られる成形体の機械物性も効果的に高めることができる。
複合材は、含水率が1質量%未満であることが好ましい。
上記含水率は、複合材の製造後6時間以内に窒素雰囲気下において、23℃から120℃まで、+10℃/minの昇温速度で熱重量分析(TGA)を行った際の質量減少率(質量%)を意味する。
複合材は、無機質材を含有してもよい。無機質材を含有することにより曲げ弾性、耐衝撃特性、難燃性が向上し得る。無機質材としては、炭酸カルシウム、タルク、クレー、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化チタン等があげられる。無機質材は、屈折率が2以上のものが好ましい。屈折率が2以上の無機質材としては、酸化チタン等があげられる。無機質剤は、無機質紛体の形態で含有されることが好ましい。
複合材は、セルロース繊維以外の繊維状材料を含有してもよい。セルロース繊維以外の繊維状材料としては、ガラス繊維、セラミックス繊維、炭素繊維、セルロース繊維以外の樹脂繊維等があげられる。セルロース繊維以外の樹脂繊維としては、アラミド繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール(PBO)繊維等があげられる。ガラス繊維としては、チョップドストランド、ミルドファイバが好ましくあげられる。
複合材は、目的に応じて、難燃剤、酸化防止剤、安定剤(光安定剤を含む)、耐候剤、相溶化剤、衝撃改良剤、改質剤等を含んでもよい。光安定剤としては、ポリメチルプロピル3−オキシ−[4(2,2,6,6テトラメチル)ピペリジニル]シロキサン、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールとコハク酸とのポリエステル、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]等のヒンダードアミン系化合物等があげられる。また、加工性向上のため、オイル成分や各種の添加剤を含むことができる。パラフィン、変性ポリエチレンワックス、ステアリン酸塩、ヒドロキシステアリン酸塩、フッ化ビニリデン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体等のフッ化ビニリデン系共重合体、有機変性シロキサン等があげられる。
複合材は、カーボンブラック、各種の顔料、染料を含有することができる。複合材は、金属光沢系の着色材を含有することもできる。また、導電性カーボンブラック等の、アルミニウム以外の導電性付与成分を含むことができる。さらに、複合材はアルミニウム以外の熱伝導性付与成分を含むことができる。
複合材は、カーボンブラック、光安定剤、及び屈折率が2以上の無機質粉体のいずれか1つ以上を含むポリオレフィン樹脂組成物であることが好ましい。
複合材は、架橋されていてもよい。架橋剤としては、有機過酸化物等があげられ、具体例としてジクミルパーオキサイドがあげられる。複合材はシラン架橋法により架橋された形態であってもよい。
複合材のメルトフローレート(以後、MFRと記すことがある。MFRは本発明において、特に断らない限り、JIS−K−7210に準拠して、温度230℃、荷重5kgの条件で、測定した値をいう。)は、用途等に応じて一義的ではないが、好ましくは0.05〜50(g/10min)であり、より好ましくは、0.1〜10(g/10min)である。
[複合材の製造方法]
本発明に用いる複合材は、熱可塑性樹脂とセルロース繊維を混練することにより得ることができる。
複合材は、以下のように調製することが好ましい。
熱可塑性樹脂と、セルロース繊維又はその供給源(以下、これらをまとめて「セルロース材」とも称す。詳細は後述する。)とを混練する。この際の混練条件を調整したり、混練時に添加剤を添加したりすることにより、特定サイズのセルロース凝集物を含む複合材を得ることができる。例えば、熱可塑性樹脂とセルロース材とを混練するに当たり、セルロース繊維との親和性の高い極性溶媒を添加して混練することにより、複合材を得ることができる。極性溶媒は、複合材を構成する樹脂との親和性がある程度低いものが好ましい。混練時に添加する極性溶媒として、水が好適である。
混練の際の、極性溶媒の添加量、添加タイミング、混練時間、混練速度、温度等をコントロールすることにより、得られる複合材中のセルロース繊維の凝集物の量と大きさを調整することができる。例えば、水の添加量が多いと、凝集物の量は多くなる傾向にあり、凝集物の大きさは大きくなる傾向にある。凝集物の量と大きさの制御には、特に極性溶媒の存在下における混錬時間が大きく影響する。本発明で規定する凝集物を形成させるためには、水の存在下の混錬を長時間行うことが好ましい。例えば、長時間の混練において水を分割して添加することにより、水の存在下における混練時間を十分に確保することができる。この混練により生じたセルロース繊維の凝集物は、水の非存在下における混練においてはその量と大きさはあまり変化しない傾向にある。従って、水の存在下の混錬条件が重要となる一方、得られた複合材は、その後の加工や樹脂とのブレンド(希釈)等においてもセルロースの凝集状態を保持でき、衝撃強度等の所望の特性を発現することができる。
混練において、極性溶媒の添加を複数回に分けて行うことが好ましい。例えば、まず、熱可塑性樹脂とセルロース繊維とを、極性溶媒の全量の一部の存在下で混練し、その後、極性溶媒の全量の残部の存在下で、さらに混練することが好ましい。
混練装置としては、ニーダや二軸押出機等、通常の混練装置を適用することができる。
上記の混練は溶融混練が好ましい。
ここで「溶融混練」は、原料中の熱可塑性樹脂が溶融する温度で混練することを意味する。好ましくは、セルロース繊維が変質しない温度と処理時間で溶融混練する。「セルロース繊維が変質しない」とは、セルロース繊維が著しい変色や燃焼、炭化を生じないことを意味する。
上記溶融混練における温度(溶融混練物の温度)は、例えばポリエチレン樹脂を用いる場合を例にとると、110〜280℃とすることが好ましく、130〜220℃とすることがより好ましい。
また、複合材の熱可塑性樹脂がポリオレフィン樹脂を主体とし、さらにポリエチレンテレフタレート及び/又はナイロンとを含む場合も、例えばポリオレフィン樹脂100質量部に対し、ポリエチレンテレフタレート及び/又はナイロンの総量が10質量部以下である場合は、溶融混練は上記と同様の温度とすることができる。
上記溶融混練に当たり、セルロース材の使用量は、得られる複合材中のセルロース繊維の含有量が上述した好ましい範囲となるように調整することが好ましい。
セルロース材としては、セルロースを主体とするものがあげられ、より具体的には、紙、古紙、紙粉、再生パルプ、ペーパースラッジ、ラミネート加工紙、ラミネート加工紙の損紙等があげられる。なかでもコストと資源の有効活用の点から古紙及び/又はペーパースラッジを使用することが好ましく、ペーパースラッジを使用することがより好ましい。
このペーパースラッジは、セルロース繊維以外に無機質材を含んでいてもよい。複合材の弾性率を高める観点からは、無機質材を含むペーパースラッジが好ましい。
ここで、ラミネート加工紙の損紙とは、飲料パック等を製造する際に、その製造工程において発生するラミネート加工紙の幅方向や長手方向の余長を切り落とした材料をいう。また、複合材の衝撃強度を重視する場合は、ペーパースラッジは無機質材を含まないか、無機質材を含むとしてもその含有量の少ないものが好ましい。
古紙等の紙を混合する場合は、溶融混練の前に紙は予め水で湿潤されていることが好ましい。水で湿潤された紙を使用することにより、セルロース繊維が樹脂中に均一に分散した複合材が得られやすくなる。
上記溶融混練を、水の存在下で行う場合には、溶融混練の最中に、水を蒸気として除去し、複合材の含水率を1質量%未満とすることが好ましい。このようにすると、水分を含むセルロース繊維付着ポリオレフィン薄膜片を原料とした場合には、水分の除去と溶融混練とを別のプロセスで行う場合に比べて、水分除去にかかるエネルギー使用量(消費電力等)を大幅に抑えることができる。
[樹脂成形体]
本発明の成形体は、上述の複合材を成形してなる。すなわち、本発明の成形体は、熱可塑性樹脂中にセルロース繊維を分散してなり、このセルロース繊維として上述したセルロース繊維の凝集物を含み(すなわち、成形体中にはセルロース繊維の凝集物が含まれ、該凝集物の少なくとも一部が、2.0×10〜2.0×10μmの面積の凝集物であり)、肉厚が0.1mm以上である樹脂成形体である。
本発明の成形体の構成は、特定形状に成形されていること以外は、上述の複合材と同じである。
本発明の成形体は、肉厚が0.1mm以上であることが必要である。本発明の成形体は、肉厚が0.1mm以上であることと所定の大きさのセルロース繊維の凝集物を有することにより成形時の成形性に優れるとともに十分な機械強度を有することが可能となる。また、成形時に問題を生じず成形性に優れる。
本発明の成形体は、肉厚1mm以下の部位(薄肉部)を有してもよい。薄肉部は、成形体の全体にわたって形成されていてもよく、成形体の一部に形成されていてもよい。また、薄肉部は、成形体の端部に形成されていてもよく、端部ではない部位に形成されていてもよい。また薄肉部の長さ及び幅は、例えば、それぞれ、好ましくは0.5mm以上、より好ましくは1mm以上、さらに好ましくは10mm以上とすることができる。本発明の成形体の薄肉部は、肉厚0.5mm以下の部位を有してもよい。さらに肉厚0.2mm以下の部位を有してもよい。薄肉部の肉厚の下限は0.1mm以上である。本発明の成形体は、肉厚0.5mm以下かつ0.1mm以上の部位を有してもよい。
本発明の成形体の構造としては、肉厚が0.1mm以上である以外は、特に限定されず、各種の構造とすることができる。本発明の成形体として、シート状、板状、環状(管状)、箱状等各種構造の成形体、また、これらの成形体の多分割体があげられる。環状構造を有する成形体としては、断面略円形、四角形状の直管、曲がり管、波付け(凹部と凸部とが交互に配置された部位)が付与された波付管等があげられる。また、環状構造を有する成形体の多分割体としては、断面略円形、四角形状の直管、曲がり管、波付けが付与された波付管等の環状成形体を半割れ等により分割した多分割体があげられる。好ましくは、長手方向に波付けが付与された部位を有する環状構造を有する成形体、又は長手方向に波付けが付与された部位を有する環状構造を有する成形体の多分割体があげられる。また、管の接手部材又は端部材の他、土木用、建材用、自動車用又は電線保護用の部材として本発明の成形体を用いることができる。
本発明の成形体は、射出成形体、押出成形体、プレス成形体、ブロー成形体等のいずれであってもよい。セルロース繊維の含有による外観への影響をおさえる点と製造性からは射出成形体であることが好ましい。
本発明の成形体は、面積が特定範囲にあるセルロース繊維の凝集物、即ち面積が2.0×10〜2.0×10μmの凝集物を含有することにより耐衝撃特性に優れる。したがって、衝撃強度が要求される成形品(樹脂製品)として好適である。本発明の成形体が衝撃強度に優れる理由は定かではないが、セルロース繊維の少なくとも一部が上記特定のサイズ、好ましくは面積が3.0×10〜1.3×10μmのセルロース繊維の凝集物として存在することにより、高速の変形に対するセルロース繊維による補強作用と、セルロース繊維の凝集物による衝撃の吸収緩和作用等が複合的に働き、衝撃強度が効果的に高められるものと推定される。
また、面積が特定範囲にあるセルロース繊維の凝集物、即ち面積が2.0×10〜2.0×10μmの凝集物を含有することにより複合材の流動性に優れる。即ち、成形体が薄肉部を有する場合でも、連続生産性ないし歩留りも効果的に高めることができる。この理由は定かではないが、流動性の要求される熱可塑性樹脂の軟化溶融した状態においては、セルロース繊維の少なくとも一部が特定のサイズ、好ましくは面積が3.0×10〜1.3×10μmのセルロース繊維の凝集物として存在することにより、マトリックスである樹脂の流動性が確保されることと、このセルロース繊維の凝集物自体が、例えば無機質粉体の凝集物と異なり変形性を高度に有すること等が総合的に働き、流動性が高められていると推定される。
[樹脂成形体の製造方法]
続いて本発明の成形体の製造方法について、好ましい実施形態を以下に説明する。本発明の成形体は、本発明の規定を満たす限り、下記方法により得られたものに限定されるものではない。
本発明の成形体は、本発明に用いる複合材を通常の成形手段に付して得ることができる。
複合材の成形方法は、特に限定されず、射出成形、押出成形、プレス成形、ブロー成形等の通常の成形方法を採用することができる。複雑な形状の付与性の観点からは、射出成形が好ましい。
上述のようにすることで、本発明の成形体を、形状不良を抑制して、成形性良く製造できる。例えば、射出成形の場合、形状不良が生じにくいのみならず、スプール、ランナー等において材料の破断を起こしにくく、成形性ないし生産性に優れる。
また本発明は、環境負荷の低減にも寄与しうる発明である。
本発明を実施例に基づきさらに説明するが、本発明はこれらの形態に限定されるものではない。本発明における各指標の測定方法、評価方法は次のとおりである。
[複合材中のセルロース繊維含有量]
事前に大気雰囲気にて80℃×1時間乾燥した複合材試料(10mg)を、窒素雰囲気下において+10℃/minの昇温速度で、23℃から400℃まで熱重量分析(TGA)を行い、下記[式1]によりセルロース繊維の含有量(質量%)を算出した。同一の複合材試料を5つ調製し、各複合材試料について上記と同様にして熱重量分析を行い、算出されたセルロース繊維の含有量(質量%)の5つの値の平均値を求めて、その平均値をセルロース繊維の含有量(質量%)とした。

[式1](セルロース繊維の含有量[質量%])=(200〜380℃の間における複合材試料の質量減少量[mg])×100/(熱重量分析に付す前の乾燥状態の複合材試料の質量[mg])
[凝集物]
<セルロース繊維の凝集物の評価−1>
複合材を樹脂で希釈し、0.1mm厚のシートを作製した。このシートを透過光により顕微鏡撮影し、暗色部(セルロース繊維の凝集物)の大きさ(面積)と分布を解析した。上記の希釈は、複合材と樹脂とをロールにより混練することにより行った。また、シートの作製にはプレス加工(プレス圧:4.2MPa)を、顕微鏡撮影と解析には、実体顕微鏡と解析ソフト(画像解析ソフトPixs2000 Pro、inotec社製)を使用した。上記の樹脂による複合材の希釈は、希釈後のセルロース繊維の濃度で3〜7質量%の範囲となるようにして行った。ただし、樹脂で希釈せずとも0.1mm厚のシートにて、凝集物の観察が行いうる場合は、希釈せず行った。
上記のように解析したセルロース繊維の凝集物の平面視面積について、下記評価基準により評価した。

「凝集物1の有無」:
面積が2.0×10〜2.0×10μmの凝集物が有るものを「有」、無いものを「無」とした。
「凝集物1bの有無」:
面積が3.0×10〜1.3×10μmの凝集物が有るものを「有」、無いものを「無」とした。
「凝集物1cの有無」:
面積が5.0×10〜1.0×10μmの凝集物が有るものを「有」、無いものを「無」とした。
<セルロース繊維の凝集物の評価−2>
面積が1.0×10μm以上の凝集物の有無は、射出成形により試験片(厚さ4mm、幅10mm、長さ80mm)を作製し、得られた試験片10個について両面の表面を観察して判定した。
「凝集物2の有無」:
面積が1.0×10μm以上の凝集物が有るものを「有」、無いものを「無」とした。
[メルトフローレート(MFR)]
温度=230℃、荷重=5kgの条件で、JIS−K7210に準拠して測定した。MFRの単位は「g/10min」である。
[耐衝撃特性(衝撃強度)]
射出成形により複合材から試験片(厚さ4mm、幅10mm、長さ80mm)を作製し、JIS−K7110に準拠して、ノッチ有りの試験片を用いてアイゾット衝撃強度を測定した。耐衝撃特性の単位は「kJ/m」である。
[セルロース繊維長]
複合材の成形シートから0.1〜1gを切だし、これを試料とし、この試料を400メッシュのステンレスメッシュで包み、138℃のキシレン100mLに24時間浸漬した。次いで試料を引き上げ、その後、試料を80℃の真空中で24時間乾燥させた。乾燥試料0.1gをエタノール50ml中に十分に分散させ、シャーレに滴下し、顕微鏡にて15mm×12mmの範囲を観察した。繊維長0.3mm以上のセルロース繊維が観察され、かつ0.8mm以上のセルロース繊維が観察されないものを(○)、繊維長0.3mm以上のセルロース繊維が観察され、かつ0.8mm以上のセルロース繊維が観察されるものを(◎)とし、それ以外を(×)とした。
[長さ加重平均繊維長]
長さ加重平均繊維長は、複合材の熱キシレン溶解残さ(不溶分)についてISO 16065 2001(JIS P8226 2006)で規定されるパルプ−光学的自動分析法による繊維長測定方法により測定した。具体的には、複合材の成形シートから0.1〜1gを切だし、これを試料とし、この試料を400メッシュのステンレスメッシュで包み、138℃の熱キシレン100mlに24時間浸漬した。次いで試料を引き上げ、その後、試料を80℃の真空中で24時間乾燥させて、複合材の熱キシレン溶解残さ(不溶分)を得た。この複合材の熱キシレン溶解残さ(不溶分)について、TECHPAP社製MORFI COMPACTを使用してパルプ−光学的自動分析法により、長さ加重平均繊維長を決定した。
[成形性1]
複合材を用いて、肉厚1mm、肉厚0.7mm、及び肉厚0.5mmの3箇所の薄肉部を有するワイヤーハーネスプロテクタ用模擬部品(図2)を射出成形により成形し、成形体の成形性を評価した。
各実施例と各比較例との成形条件は同じとした。具体的には、成形条件は、シリンダー温度200℃、金型温度40℃、射出速度150mm/secとした。
模擬部品の形状は、全体的な形状は、内部が直方形状の空洞となっている直方体の一面を取って開口部を設けた箱状で、1つの底面と4つの側面を有している。この箱の側面の外側には突起部が複数設けられる。箱状部11の外寸は、高さ30mm×幅80mm×奥行25mmであり、壁厚は2mmである。
上記複数の突起部のうち突起部12は、突起部12を有する側面(80mm×25mm、面A)を平面視したときにコの字状の屋根と、面Aから垂直方向に延びる3つの壁を有し、3つの壁の肉厚は1mmの薄肉である(図(c)参照)。また、この突起部12の、面Aから垂直方向の高さは5mmである。
上記複数の突起部のうち突起部13は、高さ5mm×幅10mm×長さ10mmの中空の直方体で(この中空部は箱状部の空洞と繋がっている)、突起部12が設けられた側面Aと隣接する側面(30mm×80mm、面B)に設けられる。突起部13は、薄肉の壁及び屋根(面Bから垂直方向に延びる4面の壁の肉厚1mm、屋根の肉厚0.5mm)を有する。
上記複数の突起部のうち突起部14は、突起部12が設けられた側面と対向する側面(80mm×25mm、面A’)に設けられる。この側面の平面視において短辺方向に平行に長さ7mmで厚さ1mm、かつ、この側面から垂直方向に高さ4mmの形状の突起を、10mmの間隔で離間して設け、これらを2つの壁として、この2つ壁の端部同士を屋根状に繋いだ厚さ0.7mmの薄肉の面(屋根)を有する角筒状の構造である。
上記模擬部品形成用の金型のゲートは、面A’の、面Bと接合するのと反対側にあり、ゲート出口は6mm×1.5mmm、金型のランナーとスプールはT字状のランナー両端にゲートを配して2個の成形体部を配し、ランナーのサイズは直径4mm、長さ35mmであり、スプールのサイズは、長さ130mmで下流側に向かって拡径形状のもので、下流側(ランナー側)が直径7mmであり、上流側が直径3mmである。
厚みを記載した薄肉の箇所を含め成形体の形状が所望のサイズに問題なく成形できるとともに、スプール、及びランナーでの材料破断の無いものを〇とし、成形体の形状が問題なく成形できたがスプール、ランナーでの材料破断が生じるときがあったものを△、成形体の薄肉部が設計の形状サイズに成形できない等の問題あるものを×とした。
[成形性2]
複合材を用いて、肉厚0.9mm、肉厚0.4mm及び肉厚0.2mm厚の薄肉部を有する、波付管用の端部部材(図3(a)、(b))を射出成形により成形し、成形体の成形性を評価した。
各実施例と各比較例との成形条件は同じとした。具体的には、成形条件は、シリンダー温度200℃、金型温度40℃、射出速度150mm/secとした。
上記波付管用の端部部材は、具体的には、中空の円柱部21と、円柱部21の長さ方向の片側の端部に連なる、小径部が円柱部21と同径で端部に向かってラッパ状に広がった中空の円柱状の拡径部22とを有する。円柱部21は、内径が25.5mm、厚さが1.5mmであり、拡径部22は、端部(最大径部)の外径が50mm、厚さが1.2mmである。円柱部21と拡径部22を合わせた全長は40mmである。さらに円柱部21と拡径部22との境となる内側に、円柱部21の中空を塞ぐ形で円盤状の蓋部23を有し、この蓋部23は、円柱部21と繋がる箇所に幅1mmで全周に渡り、厚さ0.4mmと特に薄肉の部位24を有しており、蓋部23のこの箇所を除く中央部の厚さは0.9mmと薄肉である。蓋部23は、さらに蓋部23の拡径部22側面の円周よりに直径3mm、蓋部23からの高さ14mmの円柱状の突起25を有し、かつこの突起25の立ち上がりの外周部となる蓋部23の部分に幅1mmで厚さ0.2mmとなった極端に薄肉の部位26を有する。さらに、蓋部23は、蓋部23の拡径部22側面の中央部に長さ10mm、幅1mm、蓋部23からの高さ10mmの突起27を有する。さらに、円柱部21の側面の外周には螺旋状の山の突起部、即ち、波付管(螺旋波付け管)の内面にねじ込むことにより勘合可能とする部位を有する。
上記端部部材形成用の金型のゲートは、拡径部22の端部にあり、ゲート出口は6mm×1.5mmm、金型のランナーとスプールはT字状のランナー両端にゲートを配して2個の成形体部を配し、ランナーのサイズは直径4mm、長さ35mmであり、スプールのサイズは、長さ130mmで下流側に向かって拡径形状のもので、下流側(ランナー側)が直径7mmであり、上流側が直径3mmである。
薄肉の箇所を含め成形体の形状が所望のサイズに穴を生じる等の問題なく成形できるとともに、スプール、及びランナーでの材料破断の無いものを〇とし、成形体の薄肉部に穴を生じる等の成形に問題あるものを×とした。
[成形性3]
複合材を用いて、管用の接手部材(図4)であって、半円筒構造31の両側に設けた接合面32に雄ねじ構造33を有するものを射出成形により成形した。この接手部材は、肉厚1mm以下の部分を雄ねじ構造部に有している。この成形体を成形したときの成形性を評価した。
各実施例と各比較例との成形条件は同じとした。具体的には、成形条件は、シリンダー温度200℃、金型温度40℃、射出速度150mm/secとした。
接手部材の形状は、具体的には、内面に波付け管と接合するための螺旋状の溝が形成された半円筒構造31の両側に、半円筒構造31同士の接合のための接合面32を有する形状であり、この接合面32の4角に雄ねじ構造33が設けられている。この接手部材は、平面視において矩形状(幅60mm×長さ85mm)であり、その長さ方向の中央部には、外径50mm、肉厚3mmの円筒を略半割りした半円筒構造31が幅方向(60mm)全体に亘り設けられている。当該平面視矩形の4角には雄ねじ構造33を有している。雄ねじ構造33のサイズは、それぞれ、最大径9.2mm、最小径8mm、ピッチ1.2mm、及び長さ16mm(接合面からの高さ)であるものである。雄ねじ構造33は、ねじ山の先端付近は1mm厚以下となるとともにねじ山の先端へ向かった減厚構造である。
上記接手部材形成用の金型のゲートは、長さ方向の側面にあり、ゲート出口は6mm×1.5mmm、金型のランナーとスプールはT字状のランナー両端にゲートを配して2個の成形体部を配し、ランナーのサイズは直径4mm、長さ35mmであり、スプールのサイズは、長さ130mmで下流側に向かって拡径形状のもので、下流側(ランナー側)が直径7mmであり、上流側が直径3mmである。
雄ねじ構造を含めた成形体の形状が所望のサイズに問題なく成形できるとともにスプール、ランナーでの材料破断の無いものを〇とし、成形体の形状が問題なく成形できたがスプール、ランナーでの材料破断が生じるときがあったものを△、成形体の成形(雄ねじ構造を含む成形)に問題あるものを×とした。
[試験例1]
試験例1では、樹脂として低密度ポリエチレン樹脂とエチレン−アクリル酸共重合体樹脂を用い、またセルロース材としてパルプを用いて複合材を調製した。詳細を下記実施例1及び2、比較例1及び2として説明する。
(実施例1、2)
実施例1、2では、低密度ポリエチレン1(LDPE1:ノバテックLC600A(商品名)、日本ポリエチレン(株)製)、エチレン−アクリル酸共重合体1(EAA1:ニュークレル(商品名)、三井・デュポンポリケミカル社製)、及びパルプ1又は2を、表1の上段に示す配合比で混合し、ニーダを用いて溶融混練して複合材を得た。溶融混練においては、樹脂とセルロース繊維の合計100質量部に対して、最初に水20質量部を添加し、さらに混練途中で水20質量部を添加した。こうして、パルプの種類の異なる実施例1、2のセルロース繊維分散樹脂複合材を得た。
こうして得られた複合材について、成形性1〜3に記載のように射出成形を行うことにより実施例1の、薄肉部を有する成形体を得た。
また、以降の各実施例及び各比較例においても、得られた複合材について上記射出成形を行うことにより薄肉部を有する成形体を得た。
(比較例1、2)
低密度ポリエチレン1(ノバテックLC600A(商品名)、日本ポリエチレン(株)製)、エチレン−アクリル酸共重合体1(ニュークレル(商品名)、三井・デュポンポリケミカル社製)、及びパルプ1又は2を、表1の上段に示す配合比で混合し、ニーダを用いて溶融混練して複合材を得た。こうしてパルプの種類の異なる比較例1、2のセルロース繊維分散樹脂複合材を作製した。
各複合材のセルロース繊維の含有量を表1中段に、評価結果等を表1下段に示す。
凝集物1、1b、1cの有無については、得られた複合材と低密度ポリエチレン1とを、複合材:低密度ポリエチレン1=6:44の質量比で混合することにより、複合材を樹脂で希釈し、これを用いて得たシートにて評価した。なお、希釈して得たシートのセルロース繊維の含有量は、3.5〜4.2質量%となった。シートの縦7mm×横8mmの範囲を1か所として、無作為に5カ所を観察面積とした。
観察面積に占める、面積が3.0×10〜1.3×10μm(面積範囲r1)である凝集物の面積の総和の割合をs1とし、また、観察面積に占める、面積が1.0×10〜1.0×10μm(面積範囲r2)である凝集物の面積の総和の割合をs2とし表1に示す。また、s2に占めるs1の割合も表1に示す。また、実施例1の複合材中の凝集物の面積の分布を図1に示す。
なお、下表中、(s1/s2)×100は、「セルロース繊維分散樹脂複合材中に含まれるセルロース繊維の凝集物のうち、平面視において1.0×10〜1.0×10μmの面積の凝集物の当該面積の総和に占める、3.0×10〜1.3×10μmの面積の凝集物の当該面積の総和の割合」を意味する。
実施例1、2の複合材は、本発明で規定する面積のセルロース繊維の凝集物が形成されていたのに対し、比較例1、2の複合材は、面積が2.0×10〜1.0×10μmの凝集物は観察されなかった。実施例1、2と比較例1、2との間で、同じパルプを配合したもので比較すると、実施例1、2の複合材が、衝撃強度が高いことがわかる。また、実施例1、2の複合材はMFRの値も高く成形加工時の流動性に優れることもわかる。
また、前記の特定の大きさの凝集物を有する実施例1、2の複合材をみると、s2に占めるs1の割合が大きいものが特に衝撃強度が高いことがわかる。この複合材の衝撃強度は、当該複合材を成形してなる成形体の衝撃強度の指標となる。
実施例1、2の複合材は、繊維長が0.3mm以上のセルロース繊維を有し、繊維長が0.8mm以上のセルロース繊維を有し、長さ加重平均繊維長も0.3mm以上のものであった。
凝集物1を有するが凝集物2を有さない、実施例1、2を用いた成形体は、成形性に優れるものであった。凝集物1を有さない比較例1、2の複合材を用いた成形体は、薄肉部に欠陥を生じ、成形性に劣るものであった。
Figure 0006738938
[試験例2]
試験例2では、ラミネート加工紙の損紙と低密度ポリエチレン樹脂を使用して複合材を作製した。詳細を下記実施例3〜5として説明する。
(実施例3、4)
ポリエチレンラミネート加工紙(紙、ポリエチレン薄膜層及びアルミニウム薄膜層を有する)の損紙を、回転刃式の粉砕機(ホーライ社製)を使用して粉砕したものと、低密度ポリエチレン1(LDPE1:ノバテックLC600A(商品名)、日本ポリエチレン(株)製)とを、表2の上段に示す配合比で混合した。ポリエチレンラミネート加工紙の損紙の粉砕の際には、粉砕機のメッシュの孔径を表2上段に示した2種を使用した。この混合物を、ニーダに投入し、溶融混練した。溶融混練においては最初に樹脂とセルロース繊維の合計100質量部に対して水20質量部を添加し、さらに混練途中で水20質量部を添加した。こうして、実施例3、4のセルロース繊維分散樹脂複合材を得た。
(実施例5)
ポリエチレンラミネート加工紙(紙、ポリエチレン薄膜層及びアルミニウム薄膜層を有する)の損紙を、回転刃式の粉砕機(ホーライ社製)を使用して粉砕したものと、低密度ポリエチレン1(LDPE1:ノバテックLC600A(商品名)、日本ポリエチレン(株)製)とを、表2の上段に示す配合比で水の添加を行わずに混合した。ポリエチレンラミネート加工紙の損紙の粉砕の際には、粉砕機のメッシュの孔径を表2上段に示したものを使用した。この混合物を、ニーダに投入し、溶融混練した。こうしてセルロース繊維分散樹脂複合材(実施例5)を作製した。
各複合材のセルロース繊維の含有量を表2中段に、評価結果等を表2下段に示す。
凝集物1、1b、1cの有無については、得られた複合材と低密度ポリエチレン1とを、複合材:低密度ポリエチレン1=8:42の質量比で混合することにより、複合材を樹脂で希釈し、これを用いて得たシートにて行った。なお、希釈して得たシート中のセルロース繊維量は、3.1質量%となった。シートの縦7mm×横8mmの範囲を1か所として、無作為に5カ所を観察面積とした。
なお、損紙に由来するアルミニウムも透過光では暗色で観察されるが、透過光では、アルミニウムよりセルロース繊維の凝集物の方が明度が高いため、セルロース繊維の凝集物を判別できる。
観察面積に占める、面積が3.0×10〜1.3×10μm(面積範囲r1)である凝集物の面積の総和の割合をs1とし、また、観察面積に占める、面積が1.0×10〜1.0×10μm(面積範囲r2)である凝集物の面積の総和の割合をs2とし表2に示す。また、s2に占めるs1の割合も表2に示す。
実施例3〜5の複合材を用いた成形体はいずれも、衝撃強度に優れていた。凝集物2を有しない実施例3、4の複合材を用いた成形体において、衝撃強度がより優れていた。また、実施例5の複合材を用いた成形体は、射出成形の際、ランナー、スプールで、材料が切れて材料が成形機側に残ってしまう傾向があるのに対し、実施例3、4の複合材を用いた成形体はそのような不具合を生じず成形性にも優れていた。また、実施例4の複合材にについて、成形性1に加えて、成形性1の評価に用いた模擬部品の突起部12の、肉厚1mmの壁の厚さを0.05mmとした以外は成形性1と同様の模擬部品にて、成形性1と同様にして成形性を評価したところ、突起部12において穴あきを生じ成形性が悪いものであった。
Figure 0006738938
[試験例3]
試験例3では、各種材料を使用して、複合材を作製した。詳細を下記実施例6〜11、参考例1として説明する。
(実施例6、8〜10)
各材料を表3の上段に示す配合比で混合した。ポリエチレンラミネート加工紙の損紙については予め粉砕して使用し、粉砕の際には、粉砕機のメッシュの孔径を表3上段に示したものを使用した。この混合物を、ニーダに投入し、溶融混練した。溶融混練においては最初に樹脂とセルロース繊維の合計100質量部に対して水20質量部を添加し、さらに混練途中で水20質量部を添加した。こうして、実施例6、8〜10のセルロース繊維分散樹脂複合材を得た。

LDPE1:低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製、ノバテックLC600A(商品名))
HDPE1:高密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製、ノバテックHJ490(商品名))
EVA1:エチレン−酢酸ビニル共重合体
酸変性PE1:マレイン酸変性ポリエチレン(デュポン社製、フサボンド(商品名))
CB−MB1:カーボンブラックマスターバッチ(ベース樹脂;ポリエチレン)
(実施例11)
表3の上段に示す配合比で混合した。ポリエチレンラミネート加工紙の損紙については予め粉砕して使用し、粉砕の際には、粉砕機のメッシュの孔径を表3上段に示したものを使用した。この混合物を、ニーダに投入し、溶融混練した。溶融混練において水は添加しなかった。
(参考例1)
表3の上段に示すHDPE1をそのまま用いた。
(実施例7)
紙、ポリエチレン薄膜層及びアルミニウム薄膜層を有するポリエチレンラミネート加工紙からなる飲料容器の回収物からパルパーによって紙部分を剥ぎ取り除去してセルロース繊維アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片(セルロース・アルミ付着PE薄膜片)を得た。この薄膜片は、数cm〜100cm程度のさまざまな形状、大きさの小片に切断されており、紙部分の剥ぎ取り工程において水に浸漬されたことで濡れた状態であった(含水率30%)。このセルロース・アルミ付着PE薄膜片を構成するポリエチレンは低密度ポリエチレンである。次に、セルロース・アルミ付着PE薄膜片と他の材料を表3上段に示す配合比(乾燥質量を基準とした質量部)でニーダに投入し溶融混練し、樹脂複合材(含水率1質量%以下)を得た。溶融混練においては混練途中で、樹脂とセルロース繊維の合計100質量部に対して水20質量部を添加した。
各複合材のセルロース繊維の含有量を表3中段に、評価結果等を表3下段に示す。
凝集物1については、得られた複合材を樹脂で希釈し、これを用いて得たシートにて行った。なお、希釈樹脂には実施例6〜9は低密度ポリエチレン、実施例10、11は高密度ポリエチレンを使用し、希釈して得たシート中のセルロース繊維量は、3.5〜4.5質量%となるようにした。シートの縦7mm×横8mmの範囲を1か所として、無作為に5カ所を観察面積とした。
実施例の複合材を用いた成形体はいずれも、衝撃強度に優れていた。また、同じ材料を使用したものである実施例10、11の両者を比べると、実施例11の複合材を用いた成形体は、射出成形の際、ランナー、スプールで、材料が切れて材料が成形機側に残ってしまう傾向があるのに対し、凝集物2を有しない実施例10の複合材はそのような不具合を生じず成形性にも優れていた。
Figure 0006738938

Claims (18)

  1. 熱可塑性樹脂中にセルロース繊維を分散してなるセルロース繊維分散樹脂複合材を成形してなる樹脂成形体であって、
    該樹脂成形体は肉厚が0.1mm以上であり、
    前記セルロース繊維分散樹脂複合材中には前記セルロース繊維の凝集物が含まれ、該凝集物の少なくとも一部が、平面視において3.0×10 〜1.3×10 μm の面積の凝集物である樹脂成形体。
  2. 前記セルロース繊維分散樹脂複合材中、1.0×10 〜1.0×10 μm の面積の凝集物の当該面積の総和s2に占める、3.0×10 〜1.3×10 μm の面積の凝集物の当該面積の総和s1の割合が20%以上である、請求項1に記載の樹脂成形体。
  3. 前記セルロース繊維分散樹脂複合材中に含まれるセルロース繊維の凝集物が、平面視において1.0×10μm未満の面積の凝集物である、請求項1又は2に記載の樹脂成形体。
  4. 肉厚1mm以下の部位を少なくとも有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂成形体。
  5. 繊維長0.3mm以上のセルロース繊維を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の樹脂成形体。
  6. 繊維長0.8mm以上のセルロース繊維を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の樹脂成形体。
  7. 前記セルロース繊維分散樹脂複合材中、下記測定方法により決定される前記セルロース繊維の含有量が1質量%以上70質量%未満である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の樹脂成形体。
    <測定方法>
    セルロース繊維分散樹脂複合材の試料を、窒素雰囲気下において+10℃/分の昇温速度で熱重量分析(TGA)に付し、下記[式1]によりセルロース繊維の含有量を算出する。
    [式1] (セルロース繊維の含有量[質量%])=(200〜380℃の間における試料の質量減少量[mg])×100/(熱重量分析に付す前の試料の質量[mg])
  8. 前記セルロース繊維分散樹脂複合材中、前記セルロース繊維の含有量が5質量%以上50質量%未満である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の樹脂成形体。
  9. 前記熱可塑性樹脂が、ポリオレフィン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂、ポリアミド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリスチレン樹脂、及び3−ヒドロキシブチレート−co−3−ヒドロキシヘキサノエート重合体樹脂のいずれか1つ以上である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の樹脂成形体。
  10. 前記熱可塑性樹脂がポリオレフィン樹脂である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の樹脂成形体。
  11. アルミニウムを含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載の樹脂成形体。
  12. 前記ポリオレフィン樹脂が、低密度ポリエチレン樹脂、高密度ポリエチレン樹脂、及びポリプロピレン樹脂の1つ以上を含む、請求項10に記載の樹脂成形体。
  13. 前記複合材が、カーボンブラック、光安定剤、及び屈折率が2以上の無機質粉体のいずれか1つ以上を含むポリオレフィン樹脂組成物である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の樹脂成形体。
  14. 前記樹脂成形体が、環状構造を有するもの、又は環構造を有するものの多分割体である、請求項1〜13のいずれか1項に記載の樹脂成形体。
  15. 前記樹脂成形体が、長手方向に波形状が付与された波付管用の、接手部材又は端部材である、請求項1〜14のいずれか1項に記載の樹脂成形体。
  16. 前記樹脂成形体が射出成形体である、請求項1〜15のいずれか1項に記載の樹脂成形体。
  17. 構成材料の少なくとも一部が再生材に由来する、請求項1〜16のいずれか1項に記載の樹脂成形体。
  18. 土木用、建材用、又は自動車用の部材である、請求項1〜17のいずれか1項に記載の樹脂成形体。
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