図12は、従来のプレハブ式の電力ケーブル接続構造100の一例を示す断面図である。一対の電力ケーブル101は、先端部において、外部半導電体101cが剥離されてケーブル絶縁体101bが露出し、さらにその先端側にはケーブル導体101aが露出する。ケーブル導体101a同士は、導体接続管109で接続される。
導体接続管109等は、エポキシユニット105に挿入される。エポキシユニット105は、補強絶縁体105aと埋込電極105bと遮蔽電極105c等からなる。
また、エポキシユニット105の両側から、ストレスコーン107が挿入される。ストレスコーン107は、絶縁部107aと導電部107bからなる。ストレスコーン107は、図示しない押圧装置によりエポキシユニット105とケーブル絶縁体101bの間に押し込まれる。ストレスコーン107の導電部107bは、電力ケーブル101の外部半導電体101cと接触し、同電位となる。
図13(a)は、電力ケーブル101に交流課電した場合における、電力ケーブル101の先端部近傍における等電位線の分布を示す概念図である。図中の点線が等電位線を示す。図に示すように、この場合は、等電位線がストレスコーン107の絶縁部107a内に入り込むため特に問題は生じない。
これに対し、図13(b)は、電力ケーブル101に直流課電した場合における、電力ケーブル101の先端部近傍における等電位線の分布を示す概念図である。電力ケーブル101に直流課電すると、電力ケーブル接続構造100における等電位線は、高電圧側へ片寄って、ストレスコーン107の絶縁部107aの先端部の先にある空気層(空間)Sに入り込むようになる。このような状態になると、電界の集中により微小放電が起こったり、温度上昇を招いたりして、電力ケーブル接続構造100に不具合が生じる懸念がある。
これに対し、特許文献1では、ストレスコーンの先端部に導電ゴムが配置される。また、特許文献2では、ストレスコーン先端に導電塗料を塗ることが記載されている。このように、ストレスコーンの先端に導電部を設ける場合には、エポキシユニットの高電圧部と接触させる必要がある。
ストレスコーンの先端とエポキシユニットの埋込電極とを接触させるものとしては、例えば、ストッパーが用いられる場合がある。リング状のストッパーは、ストレスコーン絶縁部の先端面と埋込電極との間に設置される。ストッパーはストレスコーンの絶縁部の先端部が押圧力によって埋込電極に接近し過ぎないようにするためのものである。
一方、前述したように、ストレスコーンは、図示しない押圧装置によりエポキシユニットとケーブル絶縁部の間に押し込まれる。しかし、このようなストッパーは剛体であるため、熱等によるストレスコーンの組立初期からの変形に対応できないという問題点がある。しかし、ストレスコーンの先端の導電部が高電圧部と接続されていないと、前述したような部分放電の発生など、絶縁破壊の起点となってしまう。
これに対し、特許文献3にはストッパーとエポキシユニット導電部とをロック棒で接続することが記載されている。また、特許文献4には、電力ケーブルの軸ずれを防止するため、円周方向へのスプリングの設置する旨の記載がある。しかし、特許文献3、4においても、ストッパー部は剛体であるため、ストレスコーンの組立初期からの変形に対応することはできない。
このように、ストレスコーンは、接地側から押圧装置によって押し込まれるため、時間とともに変形する。この際、ストッパーがあると、ストレスコーンの変形が阻害され、高電圧部近傍の面圧が低下するという問題がある。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、時間とともにストレスコーンが変形しても、ストレスコーンの先端とエポキシユニットの埋込電極とを接触させることが可能なプレハブ式の電力ケーブル接続構造を提供することを目的とする。
前述した目的を達成するため、本発明は、プレハブ式の電力ケーブル接続構造であって、一対の電力ケーブルの接続部を覆うエポキシユニットと、前記エポキシユニットと前記電力ケーブルの被覆部の間に配置されて圧縮されるストレスコーンと、前記ストレスコーンの先端と前記エポキシユニットに設けられる埋込電極との間に配置され、前記ストレスコーンと前記埋込電極とに接触する導電部材と、を具備し、前記導電部材は、前記電力ケーブルの接続部の軸方向に伸縮可能な弾性変形部を有することを特徴とする電力ケーブル接続構造である。
前記導電部材は、略環状の複数の環状部材と、前記環状部材の間に配置されたばね部材からなることが望ましい。この場合、前記環状部材の間には、前記ばね部材の伸縮方向以外の前記環状部材の動きを規制するガイドを具備してもよい。
前記導電部材の前記エポキシユニットとの接触部に凸部が設けられ、前記凸部は、前記エポキシユニットの内面に挿入されてもよい。この場合、前記凸部には、前記導電部材を前記エポキシユニットに固定するための固定構造が形成されてもよい。前記固定構造は、前記凸部の外面の雄ねじ部と、前記エポキシユニットの内面の雌ねじ部との螺合構造であってもよい。
前記ストレスコーンと前記導電部材の接触面の少なくとも一方に凸状部が形成されてもよい。
前記導電部材の前記ストレスコーンとの接触部に前記凸状部が設けられ、前記凸状部は、前記ストレスコーンの対応する凹部に挿入されてもよい。
前記導電部材の前記ストレスコーンとの接触部に凹部が設けられ、前記凹部には、前記ストレスコーンの対応する前記凸状部が挿入されてもよい。
前記ストレスコーンの先端には、内導電極が露出し、前記内導電極と前記導電部材とが接触し、前記内導電極と前記導電部材の接触面の少なくとも一方に前記凸状部が形成されてもよい。
本発明によれば、ストレスコーンの先端とエポキシユニットの埋込電極との間に導電部材が配置され、導電部材が、軸方向に伸縮可能であるため、ストレスコーンの先端とエポキシユニットの埋込電極との接触を維持した状態で、ストレスコーンの変形に追従することができる。このため、電力ケーブルに直流課電した場合においても、等電位線がストレスコーンの先端部にある空気層(空間)に入り込むことを抑制することができる。
このような導電部材の弾性変形部が、環状部材とばね部材とからなれば、構造が簡易であり、確実に両者の導通を確保しつつ、ストレスコーンの大きな変形にも対応することができる。
また、一対の環状部材の間に、ばね部材の伸縮方向以外の環状部材の動きを規制するガイドを設けることで、環状部材の自重によって軸ずれが生じることを抑制することができる。
また、導電部材のエポキシユニットとの接触部に凸部を設け、凸部をエポキシユニットの内面に挿入することで、導電部材のエポキシにユニットに対する軸ずれを抑制することができる。
また、凸部に、導電部材をエポキシユニットに固定するための固定構造を形成することで、導電部材がエポキシユニットから外れることを抑制することができる。このような固定構造が、凸部の外面の雄ねじ部と、エポキシユニットの内面の雌ねじ部との螺合構造であれば、確実に両者を固定することができる。
また、ストレスコーンと導電部材の接触面の少なくとも一方に凸状部を形成することで、確実に両者を接触させることができる。
また、導電部材のストレスコーンとの接触部に凸状部を設け、凸状部をストレスコーンの対応する凹部に挿入することで、導電部材のストレスコーンに対する軸ずれを抑制することができる。
また、導電部材のストレスコーンとの接触部に凹部を設け、凹部にストレスコーンの対応する凸状部を挿入しても、同様の効果を得ることができる。
また、ストレスコーンの先端に内導電極が露出する場合において、内導電極と導電部材の少なくとも一方に凸状部を形成することで、内導電極がストレスコーンの内部に押し込まれた際にも、両者の接触を維持することができる。
本発明によれば、時間とともにストレスコーンが変形しても、ストレスコーンの先端とエポキシユニットの埋込電極とを接触させることが可能なプレハブ式の電力ケーブル接続構造を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態にかかる電力ケーブルの接続構造について説明する。図1は、電力ケーブル接続構造1を示す断面図である。電力ケーブル接続構造1は、例えば、直流用のプレハブ式の電力ケーブルの接続構造である。電力ケーブル接続構造1は、主に、電力ケーブル3、エポキシユニット5、ストレスコーン7、導体接続管9、導電部材11等から構成される。なお、ストレスコーン7をエポキシユニット5に押圧する押圧装置については、図示を省略する。
電力ケーブル3は、中心側からケーブル導体3a、ケーブル絶縁体3b、外部半導電体3c等を有する。電力ケーブル3の先端部近傍は、所定の長さの外部半導電体3cが除去されて、内層のケーブル絶縁体3bが露出する。また、電力ケーブル3のさらに先端側は、所定の長さのケーブル絶縁体3bが除去されて、内部のケーブル導体3aが露出する。
電力ケーブル3の先端を対向させた状態で、それぞれの電力ケーブル3のケーブル導体3aが導体接続管9に挿入されて、電力ケーブル3同士が接続される。導体接続管9を含めた電力ケーブル3同士の接続部の外周部にはエポキシユニット5が配置される。すなわち、一対の電力ケーブル3の接続部が、エポキシユニット5で覆われる。
エポキシユニット5は全体として略筒状部材であり、主に、補強絶縁体5a、埋込電極5b、遮蔽電極5c等からなる。補強絶縁体5aの内面の一部には、埋込電極5bが配置される。また、補強絶縁体5aの両端部近傍には、遮蔽電極5cが配置される。なお、埋込電極5bと導体接続管9とは接触して導通する。すなわち、埋込電極5bは導体接続管9と接触し、ケーブル導体3aと同電位となる。
エポキシユニット5の両端近傍の内面の一部には、開口部に向けて拡径するテーパ形状を有する。エポキシユニット5の両端部からは、ストレスコーン7が挿入される。ストレスコーン7はゴム製であり、挿入先端側が絶縁部7aとなり、後端側が導電部7bとなる。導電部7bは、電力ケーブル3の外部半導電体3cと接触して導通する。また、絶縁部7aはケーブル絶縁体3bの外周に配置される。
なお、前述したように、ストレスコーン7は、図示しない押圧装置によってエポキシユニット5の内方へ押圧され、ストレスコーン7とエポキシユニット5の面圧と、ストレスコーン7と電力ケーブル3との面圧を確保することができる。すなわち、ストレスコーン7は、エポキシユニット5と電力ケーブル3の被覆部の間に配置されて圧縮される。
ストレスコーン7の先端とエポキシユニット5に設けられる埋込電極5bとの間には、導電部材11が配置される。導電部材11は、ストレスコーン7と埋込電極5bとに接触する。導電部材11は、全体として、略リング状の部材である。
図2(a)は、導電部材11の側面図であり、図2(b)は、図2(a)のA−A線断面図である。導電部材11は、略環状の複数の環状部材13a、13bと、環状部材13a、13bの間に配置されたばね部材15等からなる。図示した例では、一対の環状部材13a、13bの間に、複数のばね部材15が周方向に所定の間隔で配置される。環状部材13a、13bとばね部材15は導電材であり、環状部材13aと環状部材13bは、ばね部材15を介して導通する。
弾性体であるばね部材15が弾性変形することによって、環状部材13a、13bの距離は変化する。すなわち、ばね部材15は、導電部材11の弾性変形部17であり、導電部材11は、電力ケーブル3の接続部の軸方向に対して伸縮可能である。
次に、導電部材11の機能について説明する。図3(a)は、組立初期における導電部材11の近傍を示す断面図である。前述したように、導電部材11は、エポキシユニット5の埋込電極5bと、ストレスコーン7の絶縁部7aと接触する。例えば、エポキシユニット5の内面から埋込電極5bの一部が突出して段差が形成され、導電部材11の一方の環状部材13aがこの段差において埋込電極5bと接触する。また、導電部材11の他方の環状部材13bは、ストレスコーン7の絶縁部7aの端面と接触する。
ここで、導電部材11に外力が付与されていない状態における環状部材13aと環状部材13bの両端面の距離をt(図2(a)参照)とする。この際、組立初期におけるストレスコーン7(絶縁部7a)の端面と、段差部における埋込電極5bまでの距離t0は、導電部材11の初期厚さtよりも小さいことが望ましい。すなわち、導電部材11は、組立初期において、わずかにばね部材15が圧縮された状態で埋込電極5bと絶縁部7aとに接触する。このようにすることで、導電部材11を確実に埋込電極5bと絶縁部7aとに接触させることができる。
一方、ストレスコーン7は、外側からの押圧や熱によって、変形することがある。例えば、図3(b)は、ストレスコーン7の変形が進行して、ストレスコーン7の先端位置がエポキシユニット5の内方に移動した状態を示す図である。すなわち、図3(b)は、ストレスコーン7(絶縁部7a)の端面と、埋込電極5bの段差部までの距離t1が初期の距離t0よりも小さくなった状態である。
この状態でも、ばね部材15が縮むことで、導電部材11は、この距離変化に追従することができる。すなわち、導電部材11と埋込電極5bおよび絶縁部7aとの接触状態を維持することができる。また、導電部材11の環状部材13a、13bとの距離が変化するため、ストレスコーン7の変形を許容することができる。このため、導電部材11と埋込電極5bおよび絶縁部7aとの面圧の変化も抑制することができる。
また、熱等によってストレスコーン7が収縮した際にも、導電部材11の環状部材13a、13bとの距離が変化するため、ばね部材15の通常長さに戻るまでの範囲において、導電部材11と、埋込電極5bおよび絶縁部7aとの接触状態を維持することができる。なお、ばね部材15は、ストレスコーン7(絶縁部7a)の硬さにもよるが、ストレスコーン7(絶縁部7a)の変形を阻害しないものを選定することが望ましい。
以上、本実施の形態によれば、導電部材11が埋込電極5bと接触するため、導電部材11を埋込電極5bと等電位とすることができる。また、絶縁部7aと導電部材11とが接触するため、絶縁部7aの先端の空間に、等電位線が入り込むことがない。すなわち、直流課電の際においても、等電位線が、絶縁部7aの先端側の空気層に入り込むことがない。
また、導電部材11は、電力ケーブル3の接続方向に対して、距離が変化する。このため、ストレスコーン7の変形に追従することができ、ストレスコーン7の変形を阻害することなく、常にストレスコーン7の絶縁部7aと埋込電極5bとに接触させることができる。
特に、このような弾性変形部17がばね部材15であれば、簡易な構造で、大きな弾性変形量を確保することができる。
また、導電部材は、従来の剛体のストッパーに代えて使用することができるため、組立作業も容易である。
次に、他の実施形態にかかる導電部材11aについて説明する。図4(a)は、導電部材11aの側面図であり、図4(b)は、図4(a)のB−B線断面図である。導電部材11aは、導電部材11と略同様の構成であるが、ばね部材15の形態が異なる。導電部材11aのばね部材15は、周方向に複数個配置されるのではなく、環状部材13a、13bの間に一つ配置される。この場合、電力ケーブル接続構造においては、電力ケーブル3は、ばね部材15の中心を貫通するように配置される。導電部材11aも、導電部材11と同様に、軸方向に伸縮可能である。
以上のように、導電部材11に代えて導電部材11aを用いても、前述したものと同様の効果を得ることができる。すなわち、ばね部材15は、周方向に複数個配置してもよく、全体で一つであってもよい。
次に、導電部材11bについて説明する。図5(a)は、導電部材11bの側面図であり、図5(b)は、図5(a)のC−C線断面図である。導電部材11bは、導電部材11と略同様の構成であるが、環状部材13a、13bが一体ではなく、周方向に複数に分割されている点で異なる。この場合でも、環状部材13a、13bは、全体として略環状であればよい。なお、環状部材13aの分割位置と環状部材13bの分割位置を周方向の異なる位置としてもよい。導電部材11bも、導電部材11と同様に、軸方向に伸縮可能である。
以上のように、導電部材11に代えて導電部材11bを用いても、前述したものと同様の効果を得ることができる。すなわち、環状部材13a、13bは、周方向に複数に分割されてもよく、一体であってもよい。
次に、導電部材11cについて説明する。図6(a)は、導電部材11cの使用状態を示す断面図である。導電部材11cは、導電部材11と略同様の構成であるが、環状部材13aに凸部19aが形成される点で異なる。
導電部材11cは、エポキシユニット5との接触部に、凸部19aが設けられる。すなわち、環状部材13aの外面に、略円形の凸部19aが形成される。凸部19aは、エポキシユニット5の埋込電極5bの内面に挿入される。すなわち、凸部19aの外径は、概ね、埋込電極5bの内径と一致する。この状態で、導電部材11cも、導電部材11と同様に、軸方向に伸縮可能である。
以上のように、導電部材11に代えて導電部材11cを用いても、前述したものと同様の効果を得ることができる。また、環状部材13aに凸部19aを形成して、エポキシユニット5に挿入することで、エポキシユニット5に対して導電部材11cの軸ずれを抑制することができる。
次に、導電部材11dについて説明する。図6(b)は、導電部材11dの使用状態を示す断面図である。導電部材11dは、導電部材11と略同様の構成であるが、環状部材13bに凸状部19bが形成される点で異なる。
導電部材11dは、ストレスコーン7との接触部に凸状部が設けられる。すなわち、環状部材13bの外面に、略円形の凸状部19bが形成される。また、凸状部19bに対応するストレスコーン7の絶縁部7aには凹部21が形成される。凸状部19bは、ストレスコーン7の対応する凹部21に挿入される。この状態で、導電部材11dも、導電部材11と同様に、軸方向に伸縮可能である。
以上のように、導電部材11に代えて導電部材11dを用いても、前述したものと同様の効果を得ることができる。また、環状部材13bに凸状部19bを形成して、ストレスコーン7に形成された凹部21に挿入することで、ストレスコーン7に対して導電部材11dの軸ずれを抑制することができる。
次に、導電部材11eについて説明する。図7(a)は、導電部材11eの使用状態を示す断面図である。導電部材11eは、導電部材11と略同様の構成であるが、環状部材13bに凹部19cが形成される点で異なる。
導電部材11eは、ストレスコーン7との接触部に凹部が設けられる。すなわち、環状部材13bの外面に、略円形の凹部19cが形成される。また、凹部19cに対応するストレスコーン7の絶縁部7aには凸状部21aが形成される。凹部19cには、ストレスコーン7の対応する凸状部21aが挿入される。この状態で、導電部材11eも、導電部材11と同様に、軸方向に伸縮可能である。
以上のように、導電部材11に代えて導電部材11eを用いても、前述したものと同様の効果を得ることができる。また、環状部材13bに凹部19cを形成して、ストレスコーン7に形成された凸状部21aを挿入することで、ストレスコーン7に対して導電部材11eの軸ずれを抑制することができる。
なお、ストレスコーン7の先端部には、内導電極を設けてもよい。例えば、図7(b)に示すように、ストレスコーン7の先端部近傍の絶縁部7aの内部に、内導電極23を配置してもよい。この場合、図示したように、内導電極23をストレスコーン7の先端からわずかに突出させてもよい。このようにすることで、内導電極23と導電部材11cとを確実に接触させることができる。なお、図示した例では、導電部材11cを示すが、前述した他の導電部材も適用可能である。
また、図8(a)は、導電部材11fの使用状態を示す断面図である。導電部材11fは、導電部材11d等と同様に、環状部材13bに凸状部19bが形成される。
ストレスコーン7の先端部には、内導電極23が設けられて外面に露出する。この際、内導電極23はストレスコーン7の先端からわずかに突出する。したがって、確実に内導電極23と導電部材11fとを導通させることができる。しかし、このような態様から、何らかの原因で内導電極23がストレスコーン7に押し込まれてしまうと、導電部材11fとの接触が離れてしまう恐れがある。しかし、環状部材13bに凸状部19bを形成することで、仮に内導電極23がストレスコーン7に押し込まれても、接触を維持することができる。
なお、このような効果は、図8(b)に示すように、内導電極23の接触面に凸状部19dを形成しても得ることができる。すなわち、内導電極23と導電部材11fの接触面の少なくとも一方に凸状部19b、19dが形成されれば上述した効果を得ることができる。
なお、内導電極23が配置されない場合であっても、ストレスコーン7と導電部材11等との接触面の少なくとも一方に凸状部19b、19dが形成されれば、両者を確実に接触させることができる。
次に、導電部材11gについて説明する。図9(a)は、導電部材11gの側面図であり、図9(b)、図9(c)は、図9(a)のD−D線における部分断面図である。導電部材11gは、導電部材11と略同様の構成であるが、環状部材13a、13bの間にガイドピン25が配置される点で異なる。ガイドピン25は、例えば、環状部材13a、13bの間に、周方向に対して所定の間隔で複数配置される。
図9(b)に示すように、ガイドピン25は、例えばボルトであって、環状部材13a、13bにまたがるように、環状部材13a、13bに対して略垂直に配置される。ガイドピン25の一端(先端)は環状部材13aに固定される。また、ガイドピン25の他端(頭部)は、環状部材13bの孔27に挿入される。
図9(c)に示すように、環状部材13a、13bの間隔(ばね部材15)が縮むと、環状部材13bは、ガイドピン25に沿って移動する。すなわち、ガイドピン25によって、環状部材13a、13bの自重による互いの中心軸のずれが抑制される。このように、環状部材13a、13bの間に配置されるガイドピン25は、ばね部材15の伸縮方向以外の環状部材13a、13bの動きを規制するガイドとして機能する。
以上のように、導電部材11に代えて導電部材11gを用いても、前述したものと同様の効果を得ることができる。また、環状部材13a、13bの間にガイドピン25を配置することで、環状部材13a、13bの互いの中心軸のずれを抑制することができる。なお、ガイドピン25は、ガイドとして機能できれば、ボルトでなくてもよい。
次に、導電部材11hについて説明する。図10(a)は、導電部材11hの側面図であり、図10(b)は、電力ケーブルに組み込んだ際の、導電部材11h近傍の拡大図である。導電部材11hは、導電部材11cと略同様に、凸部19aを有する構成であるが、凸部19aに雄ねじ部29が形成される点で異なる。
図10(b)に示すように、エポキシユニット5の内面(埋込電極5bの内面)には、雌ねじ部31が形成される。導電部材11hの凸部19aを埋込電極5bに挿入する際には、凸部19aの外面に形成された雄ねじ部29と埋込電極5bの内面の雌ねじ部31とを螺合させる。以上により、導電部材11hがエポキシユニット5へ固定される。すなわち、凸部19aに設けられる雄ねじ部29は、導電部材11gをエポキシユニット5に固定するための固定構造として機能し、凸部19aの外面の雄ねじ部29と、エポキシユニット5の内面の雌ねじ部31との螺合構造によって、導電部材11hがエポキシユニット5へ固定される。
なお、このような固定構造としては、雄ねじ部29と雌ねじ部31との螺合構造には限られない。図11(a)は、導電部材11iの側面図であり、図11(b)は、図11(a)のE−E線における凸部19aの部分断面図である。導電部材11iは、固定構造として、雄ねじ部29に代えて凸部19aの外面にばね33が配置される。
凸部19aの外周面には、溝35が形成される。図示した例では、周方向に2本の溝35が形成される。溝35には、金属製のばね33がそれぞれ配置される。なお、ばね33の軸方向は、凸部19aの周方向となる。図11(b)に示すように、ばね33は、凸部19aの全周にわたって配置され、端部同士が連結される。
ここで、溝35の深さに対してばね33の外径が大きいため、溝35からばね33が外周に突出する。導電部材11iの軸方向から見た際のばね33の外接円の外径は、エポキシユニット5(埋込電極5b)の内径よりも大きい。また、前述したように、凸部19aの外径は、エポキシユニット5(埋込電極5b)の内径よりも小さい。
ばね33は、縮径する方向に容易に変形可能である。このため、導電部材11iをエポキシユニット5(埋込電極5b)の内部に挿入すると、ばね33(ばね33による外接円)は縮径し、ばね33の外周部が、エポキシユニット5(埋込電極5b)の内面に押圧される。この際、ばね33は、金属製であるため、導電部材11iとエポキシユニット5とを確実に導通させることができる。
以上のように、導電部材11に代えて導電部材11h、11iを用いても、前述したものと同様の効果を得ることができる。また、凸部19aに対して、エポキシユニット5に対する固定構造を形成することで、導電部材11h、11iが、エポキシユニット5から抜け落ちることがない。なお、上述した、各種の実施形態の各構成は、互いに組み合わせることができる。
実際に、前述した導電部材を用いて、ストレスコーンとエポキシユニットの導通の有無を確認した。この際、ストレスコーン(絶縁部)の先端部に、電極を埋め込み、電極をストレスコーンの先端に露出させた。この電極には導線を接続し、エポキシユニットとストレスコーンとの隙間から外部へ取出した。
この状態で、70℃の高温にし、変形前後における、電力ケーブルの導体と当該電線との導通を見ることで、導電部材がエポキシユニット(埋込電極)およびストレスコーンの両方に接触しているかどうかを評価した。なお、ストレスコーンとエポキシユニットの埋込電極までの距離は、13mmとした。
(実施例1)
導電部材は、一対の環状部材とばね部材とで構成される。導電部材の外力が付与されていない状態の厚みは28mmで、最も縮んだ状態では、6mmまで縮むことができる。この際に使用されるばね部材は、外径8mm、自由長26mm、密着高さ4.5mm、ばね定数0.22N/mmのものを用いた。ばね部材は、周方向に8個取り付けた。なお、ばね部材の素材はステンレスであり、環状部材はアルミニウムとした。ばね部と環状部材は導通がある。
(実施例2)
導電部材は、一対の環状部材とばね部材とで構成される。導電部材の外力が付与されていない状態の厚みは24mmで、最も縮んだ状態では、9.5mmまで縮むことができる。この際に使用されるばね部材は、外径8mm、自由長20mm、密着高さ8.5mm、ばね定数0.65N/mmのものを用いた。ばね部材は、周方向に8個取り付けた。なお、ばね部材の素材はステンレスであり、環状部材はアルミニウムとした。ばね部と環状部材は導通がある。
(比較例1)
従来の剛体のリング状のストッパーを用いた。ストッパーの厚みは11mmとした。ストッパーの素材はアルミニウム製とした。
以上の結果を表1に示す。
表中において、導通のあったものを「○」とし、導通のないものを「×」とした。本発明の実施例1、2は、いずれも初期から変形後も埋込電極とストレスコーンとの導通が確認された。
一方、剛体であるストッパーを用いた比較例では、初期において埋込電極とストレスコーンとが導通しなかった。変形後には、埋込電極とストレスコーンとの導通が確認されたが、これ以上のストレスコーンの変形は、ストッパーによって抑制される。
以上、添付図を参照しながら、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の技術的範囲は、前述した実施の形態に左右されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、弾性変形部17は、環状部材13a、13bの距離を変化させることができれば、ばね部材15に代えて、導電性の柔らかいゴム(シリコーンゴムなど)または導電のスポンジでもよい。但し、伸縮しないワイヤーや銅線などによる接続は、エポキシユニット5とストレスコーン7の間に入り込む可能性があるため、好ましくない。また、導電部材11等は、終端接続部にも用いることができる。