JP6737966B2 - 5,5−ジ置換−4,5−ジヒドロイソオキサゾールの新規な製造方法 - Google Patents

5,5−ジ置換−4,5−ジヒドロイソオキサゾールの新規な製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、式(3):
Figure 0006737966
(式中、R及びRは、後述の通りである。)の化合物、すなわち5,5−ジ置換−4,5−ジヒドロイソオキサゾールの製造方法に関する。本明細書中、式(3)の化合物は5,5−ジ置換−2−イソオキサゾリンとも言う。
式(3)の5,5−ジ置換−4,5−ジヒドロイソオキサゾールは、医薬及び農薬等の製造中間体として有用である。WO2002/062770(特許文献1)は有用な除草剤を開示する。その中でも、ピロキサスルホン(Pyroxasulfone)は優れた除草活性を有する除草剤としてよく知られている。更に、特表2013-512202(特許文献2)は、式(3)の5,5−ジ置換−4,5−ジヒドロイソオキサゾールが特許文献1に記載の除草剤の重要中間体であることを開示する。
特表2013-512202(特許文献2)は、5,5−ジ置換−4,5−ジヒドロイソオキサゾールの製造方法を開示する。
特許文献2のスキーム2:
Figure 0006737966
上図に示すように、特許文献2に記載の方法では、酸触媒又は酸塩基触媒の存在下で式(II)のオキシムを式(III)のカルボニル化合物(β−ジ置換−α,β−不飽和アルデヒド)と反応させて、式(I)の5,5−ジ置換−4,5−ジヒドロイソオキサゾールを得る。
特許文献2に記載の方法では、原料となる式(II)のオキシムは、ケトンオキシムである。その結果、ケトン(RC(=O)R)が副生成物として生成する(上図を参照)。実際に、特許文献2の実施例では、アセトンオキシムが用いられ、副生成物としてアセトンが生成された(特許文献2の実施例を参照)。副生成物としてのケトンは環境に負荷を与える廃棄物となる。従って、この方法は環境に負荷を与えるという問題を有している。
また、ケトンが副生成物として生成するから、この方法は原子効率の低下を招く。従って、目的の5,5−ジ置換−4,5−ジヒドロイソオキサゾールの生産性が低下する。更に、副生成物のケトンを分離する工程及び/又は廃棄物としてのケトンの処理が必要であるから、操作性及び/又は経済性が低下する。従って、この方法は経済的でなく、工業的に好ましくない。
Synlett 2008, No. 6, 827-830(非特許文献1)及びChem. Eur. J. 2010, Vol. 16, 11325-11339(非特許文献2)は、ケトンオキシムを用いて4,5−ジヒドロイソオキサゾール誘導体を製造する方法を開示する。原料のオキシムとしてケトンオキシムを用いるから、非特許文献1及び2に記載の方法は特表2013-512202(特許文献2)に記載の方法と同じ問題を有する。つまり、非特許文献1及び2に記載の方法も、生産性及び操作性が悪く、環境への負荷も大きく、経済的でなく、工業的に好ましくない。
国際公開第2002/062770号 特表2013−512202号公報
Synlett 2008, No. 6, 827-830 Chem. Eur. J. 2010, Vol. 16, 11325-11339
上記した従来技術における1以上の欠点又は問題を解決することができる、上記式(3)の化合物、すなわち目的の5,5−ジ置換−4,5−ジヒドロイソオキサゾールの工業的に好ましい製造方法が望まれていた。従って、本発明の目的は、工業的に好ましく、経済的であり、そして環境にも優しい、目的化合物の製造方法を提供することにある。本発明のより具体的な目的は、副生成物及び/又は廃棄物の生成を抑制でき、そして原子効率を改善できる方法を提供することにある。
本発明のより具体的な他の目的は、簡単な操作により、且つ安価な触媒を用いても効率的に、目的化合物を製造できる方法を提供することにある。
上記のような状況に鑑み、本発明者が式(3)の化合物の製造方法について鋭意研究した。その結果、意外にも、式(3)の化合物の以下の製造方法を提供することにより、前記課題が解決可能であることが見出された。本発明者はこの知見に基づき本発明を完成するに至った。
すなわち、一つの態様では、本発明は以下の通りである。
〔I−1〕 式(3):
Figure 0006737966
(式中、R及びRは、それぞれ独立して、置換されていてもよい(C1−C6)アルキル;置換されていてもよい(C3−C6)シクロアルキル;置換されていてもよい(C2−C6)アルケニル;置換されていてもよい(C2−C6)アルキニル;置換されていてもよい(C1−C6)アルコキシ;又は置換されていてもよいフェニルであり;あるいは
及びRは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、4〜12員の炭素環を形成し、ここで形成された環は置換されていてもよい。)の化合物の製造方法であって、以下の工程を含む方法:
工程(B) 酸触媒の存在下で式(2)の化合物を反応させて、式(3)の化合物を製造する。
Figure 0006737966
(式中、R及びRは上記で定義した通りである。)
〔I−2〕 式(2)の化合物が以下の工程(A)を含む方法により製造される、〔I−1〕に記載の方法。
工程(A) 式(1)の化合物をオキシム化剤と反応させて、式(2)の化合物を製造する。
Figure 0006737966
(式中、R及びRは上記で定義した通りである。)
〔I−3〕 式(3):
Figure 0006737966
(式中、R及びRは上記で定義した通りである。)の化合物の製造方法であって、以下の工程を含む方法:
工程(A) 式(1)の化合物をオキシム化剤と反応させて、式(2)の化合物を製造する。
Figure 0006737966
(式中、R及びRは上記で定義した通りである。)
工程(B) 酸触媒の存在下で式(2)の化合物を反応させて、式(3)の化合物を製造する。
Figure 0006737966
(式中、R及びRは上記で定義した通りである。)
〔I−4〕 工程(A)のオキシム化剤がヒドロキシルアミン又はその塩である、〔I−2〕又は〔I−3〕に記載の方法。
〔I−5〕 工程(A)のオキシム化剤が、ヒドロキシルアミン、塩酸ヒドロキシルアミン又は硫酸ヒドロキシルアミンである、〔I−2〕又は〔I−3〕に記載の方法。
〔I−6〕 工程(A)のオキシム化剤が、45%〜50%ヒドロキシルアミン水溶液、塩酸ヒドロキシルアミン又は硫酸ヒドロキシルアミンである、〔I−2〕又は〔I−3〕に記載の方法。
〔I−7〕 工程(A)のオキシム化剤が、塩酸ヒドロキシルアミン又は硫酸ヒドロキシルアミンである、〔I−2〕又は〔I−3〕に記載の方法。
〔I−8〕 工程(A)のオキシム化剤が塩酸ヒドロキシルアミンである、〔I−2〕又は〔I−3〕に記載の方法。
〔I−9〕 工程(A)のオキシム化剤が硫酸ヒドロキシルアミンである、〔I−2〕又は〔I−3〕に記載の方法。
〔I−10〕 工程(A)の反応が塩基の存在下で行われる、〔I−2〕〜〔I−9〕のいずれか1項に記載の方法。
〔I−11〕 工程(A)の塩基が、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム又はアンモニアである、〔I−10〕に記載の方法。
〔I−12〕 工程(A)の塩基が、水酸化ナトリウム又はアンモニアである、〔I−10〕に記載の方法。
〔I−13〕 工程(A)の反応が、アセトニトリル、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、及びジクロロメタンから選ばれる1個以上(好ましくは1又は2個、更に好ましくは1個)の溶媒、及び水溶媒の存在下で行われる、〔I−2〕〜〔I−12〕のいずれか1項に記載の方法。
〔I−14〕 工程(A)の反応が、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、及びジクロロメタンから選ばれる1個以上(好ましくは1又は2個、更に好ましくは1個)の溶媒、及び水溶媒の存在下で行われる、〔I−2〕〜〔I−12〕のいずれか1項に記載の方法。
〔I−15〕 工程(A)の反応が、アセトニトリル、及びジクロロメタンから選ばれる1個以上(好ましくは1又は2個、更に好ましくは1個)の溶媒、及び水溶媒の存在下で行われる、〔I−2〕〜〔I−12〕に記載の方法。
〔I−16〕 工程(A)の反応が、水とジクロロベンゼンの組み合わせの溶媒(すなわち、水とジクロロベンゼンの混合溶媒)の存在下で行われる、〔I−2〕〜〔I−12〕のいずれか1項に記載の方法。
〔I−17〕 工程(A)の反応が0℃〜80℃で行われる、〔I−2〕〜〔I−16〕のいずれか1項に記載の方法。
〔I−18〕 工程(A)の反応が10℃〜50℃で行われる、〔I−2〕〜〔I−16〕のいずれか1項に記載の方法。
〔I−19〕 工程(B)の酸触媒が、鉱酸類、カルボン酸類、スルホン酸類、リン酸類及びルイス酸類からなる群より選ばれる1個以上(好ましくは1〜3個、より好ましくは1又2個、更に好ましくは1個)の酸触媒である、〔I−1〕〜〔I−18〕のいずれか1項に記載の方法。
〔I−20〕 工程(B)の酸触媒が、塩酸、硫酸、硝酸、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、マレイン酸、無水マレイン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、10−カンファースルホン酸、リン酸、リン酸エチル、リン酸フェニル、リン酸ジエチル、リン酸ジフェニル、遷移金属トリフレート、及びヨウ素からなる群より選ばれる1個以上(好ましくは1〜3個、より好ましくは1又2個、更に好ましくは1個)の酸触媒である、〔I−1〕〜〔I−18〕のいずれか1項に記載の方法。
〔I−21〕 工程(B)の酸触媒が、塩酸、硫酸、硝酸、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、マレイン酸、無水マレイン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、10−カンファースルホン酸、リン酸ジフェニル、銅(II)トリフラート、銀(I)トリフラート、及びヨウ素からなる群より選ばれる1個以上(好ましくは1〜3個、より好ましくは1又2個、更に好ましくは1個)の酸触媒である、〔I−1〕〜〔I−18〕のいずれか1項に記載の方法。
〔I−22〕 工程(B)の酸触媒が、硝酸、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、マレイン酸、無水マレイン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、10−カンファースルホン酸、及びリン酸ジフェニルからなる群より選ばれる1個以上(好ましくは1〜3個、より好ましくは1又2個、更に好ましくは1個)の酸触媒である、〔I−1〕〜〔I−18〕のいずれか1項に記載の方法。
〔I−23〕 工程(B)の酸触媒が、硝酸、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、マレイン酸、無水マレイン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、及びリン酸ジフェニルからなる群より選ばれる1個以上(好ましくは1〜3個、より好ましくは1又2個、更に好ましくは1個)の酸触媒である、〔I−1〕〜〔I−18〕のいずれか1項に記載の方法。
〔I−24〕 工程(B)の酸触媒が、硝酸、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、マレイン酸、無水マレイン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、及びリン酸ジフェニルからなる群より選ばれる1個以上(好ましくは1〜3個、より好ましくは1又2個、更に好ましくは1個)の酸触媒である、〔I−1〕〜〔I−18〕のいずれか1項に記載の方法。
〔I−25〕 工程(B)の酸触媒が、硝酸、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、マレイン酸、無水マレイン酸、p−トルエンスルホン酸、及びリン酸ジフェニルからなる群より選ばれる1個以上(好ましくは1〜3個、より好ましくは1又2個、更に好ましくは1個)の酸触媒である、〔I−1〕〜〔I−18〕のいずれか1項に記載の方法。
〔I−26〕 工程(B)の酸触媒が、硝酸、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、マレイン酸、無水マレイン酸、ベンゼンスルホン酸、及びp−トルエンスルホン酸からなる群より選ばれる1個以上(好ましくは1〜3個、より好ましくは1又2個、更に好ましくは1個)の酸触媒である、〔I−1〕〜〔I−18〕のいずれか1項に記載の方法。
〔I−27〕 工程(B)の酸触媒が、硝酸、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、マレイン酸、無水マレイン酸、及びp−トルエンスルホン酸からなる群より選ばれる1個以上(好ましくは1〜3個、より好ましくは1又2個、更に好ましくは1個)の酸触媒である、〔I−1〕〜〔I−18〕のいずれか1項に記載の方法。
〔I−28〕 工程(B)の酸触媒が、硝酸、トリフルオロ酢酸、マレイン酸、及びp−トルエンスルホン酸からなる群より選ばれる1個以上(好ましくは1〜3個、より好ましくは1又2個、更に好ましくは1個)の酸触媒である、〔I−1〕〜〔I−18〕のいずれか1項に記載の方法。
〔I−29〕 工程(B)の酸触媒が、トリフルオロ酢酸、マレイン酸、又は無水マレイン酸である、〔I−1〕〜〔I−18〕のいずれか1項に記載の方法。
〔I−30〕 工程(B)の酸触媒が、トリフルオロ酢酸又はマレイン酸である、〔I−1〕〜〔I−18〕のいずれか1項に記載の方法。
〔I−31〕 工程(B)の酸触媒が、トリフルオロ酢酸である、〔I−1〕〜〔I−18〕のいずれか1項に記載の方法。
〔I−32〕 工程(B)の酸触媒が、マレイン酸又は無水マレイン酸である、〔I−1〕〜〔I−18〕のいずれか1項に記載の方法。
〔I−33〕 工程(B)の酸触媒が、マレイン酸である、〔I−1〕〜〔I−18〕のいずれか1項に記載の方法。
〔I−34〕 工程(B)の反応が、塩基触媒の非存在下で行われる、〔I−1〕〜〔I−33〕のいずれか1項に記載の方法。
〔I−35〕 工程(B)の反応が、塩基触媒の存在下で行われる、〔I−1〕〜〔I−33〕のいずれか1項に記載の方法。
〔I−36〕 工程(B)の反応が、酸触媒の当量よりも少ない当量の塩基触媒の存在下で行われる、〔I−1〕〜〔I−33〕のいずれか1項に記載の方法。
〔I−37〕 工程(B)の反応が、酸触媒1当量に対して、0.1〜0.5当量の塩基触媒の存在下で行われる、〔I−1〕〜〔I−33〕のいずれか1項に記載の方法。
〔I−38〕 工程(B)の反応が、酸触媒1当量に対して、0.2〜0.4当量の塩基触媒の存在下で行われる、〔I−1〕〜〔I−33〕のいずれか1項に記載の方法。
〔I−39〕 工程(B)の塩基触媒が、N−メチルアニリン、モルホリン又はピロリジンである、〔I−35〕〜〔I−38〕のいずれか1項に記載の方法。
〔I−40〕 工程(B)の塩基触媒が、N−メチルアニリンである、〔I−35〕〜〔I−38〕のいずれか1項に記載の方法。
〔I−41〕 工程(B)の反応が、アセトニトリル、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、及びジクロロメタンから選ばれる1個以上(好ましくは1又は2個、更に好ましくは1個)の溶媒、及び水溶媒の存在下で行われる、〔I−1〕〜〔I−40〕のいずれか1項に記載の方法。
〔I−42〕 工程(B)の反応が、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、及びジクロロメタンから選ばれる1個以上(好ましくは1又は2個、更に好ましくは1個)の溶媒、及び水溶媒の存在下で行われる、〔I−1〕〜〔I−40〕のいずれか1項に記載の方法。
〔I−43〕 工程(B)の反応が、アセトニトリル、及びジクロロメタンから選ばれる1個以上(好ましくは1又は2個、更に好ましくは1個)の溶媒、及び水溶媒の存在下で行われる、〔I−1〕〜〔I−40〕のいずれか1項に記載の方法。
〔I−44〕 工程(B)の反応が、水とジクロロベンゼンの組み合わせの溶媒(すなわち、水とジクロロベンゼンの混合溶媒)の存在下で行われる、〔I−1〕〜〔I−40〕のいずれか1項に記載の方法。
〔I−45〕 工程(B)の反応が、アセトニトリル、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、及びジクロロメタンから選ばれる1個以上(好ましくは1又は2個、更に好ましくは1個)の溶媒の存在下で行われる、〔I−1〕〜〔I−40〕のいずれか1項に記載の方法。
〔I−46〕 工程(B)の反応が、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、及びジクロロメタンから選ばれる1個以上(好ましくは1又は2個、更に好ましくは1個)の溶媒の存在下で行われる、〔I−1〕〜〔I−40〕のいずれか1項に記載の方法。
〔I−47〕 工程(B)の反応が、アセトニトリル、及びジクロロメタンから選ばれる1個以上(好ましくは1又は2個、更に好ましくは1個)の溶媒の存在下で行われる、〔I−1〕〜〔I−40〕のいずれか1項に記載の方法。
〔I−48〕 工程(B)の反応が、ジクロロベンゼン溶媒の存在下で行われる、〔I−1〕〜〔I−40〕のいずれか1項に記載の方法。
〔I−49〕 工程(B)の反応が10℃〜100℃で行われる、〔I−1〕〜〔I−48〕のいずれか1項に記載の方法。
〔I−50〕 工程(B)の反応が10℃〜50℃で行われる、〔I−1〕〜〔I−48〕のいずれか1項に記載の方法。
〔I−51〕 R及びRが、それぞれ独立して、(C1−C6)アルキル;(C1−C6)ハロアルキル;(C3−C6)シクロアルキル;(C2−C6)アルケニル;(C2−C6)アルキニル;(C1−C6)アルコキシ;又は、ハロゲン原子、(C1−C4)アルキル及び(C1−C4)ハロアルキルから独立して選択される1〜5個の置換基により置換されていてもよいフェニルであり;あるいは
及びRは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、4〜6員の炭素環を形成する、〔I−1〕〜〔I−50〕のいずれか1項に記載の方法。
〔I−52〕 R及びRが、それぞれ独立して、(C1−C4)アルキル;(C1−C4)ハロアルキル;(C3−C6)シクロアルキル;(C2−C4)アルケニル;(C2−C4)アルキニル;(C1−C4)アルコキシ;又はハロゲン原子、(C1−C4)アルキル及び(C1−C4)ハロアルキルから独立して選択される1〜5個の置換基により置換されていてもよいフェニルであり;あるいは
及びRは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、4〜6員の炭素環を形成する、〔I−1〕〜〔I−50〕のいずれか1項に記載の方法。
〔I−53〕 R及びRが、それぞれ独立して、(C1−C4)アルキル又は(C1−C4)ハロアルキルである、〔I−1〕〜〔I−50〕のいずれか1項に記載の方法。
〔I−54〕 R及びRが、それぞれ独立して、(C1−C4)アルキルである、〔I−1〕〜〔I−50〕のいずれか1項に記載の方法。
〔I−55〕 式(2)の化合物が3−メチル−2−ブテナールオキシムであり、式(3)の化合物が5,5−ジメチル−4,5−ジヒドロイソオキサゾールである、〔I−1〕〜〔I−50〕のいずれか1項に記載の方法。
〔I−56〕 式(1)の化合物が3−メチル−2−ブテナールであり、式(2)の化合物が3−メチル−2−ブテナールオキシムであり、式(3)の化合物が5,5−ジメチル−4,5−ジヒドロイソオキサゾールである、〔I−2〕〜〔I−50〕のいずれか1項に記載の方法。
〔I−57〕 R及びRがメチルである、〔I−1〕〜〔I−50〕のいずれか1項に記載の方法。
別の態様では、本発明は以下の通りである。
〔II−1〕 式(3):
Figure 0006737966
(式中、R及びRは、それぞれ独立して、置換されていてもよい(C1−C6)アルキル;置換されていてもよい(C3−C6)シクロアルキル;置換されていてもよい(C2−C6)アルケニル;置換されていてもよい(C2−C6)アルキニル;置換されていてもよい(C1−C6)アルコキシ;又は置換されていてもよいフェニルであり;あるいは
及びRは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、4〜12員の炭素環を形成し、ここで形成された環は置換されていてもよい。)の化合物の製造方法であって、以下の工程を含む方法:
工程(B) 酸触媒の存在下で式(2)の化合物を反応させて、式(3)の化合物を製造する。
Figure 0006737966
(式中、R及びRは上記で定義した通りである。)
〔II−2〕 式(2)の化合物が以下の工程(A)を含む方法により製造される、〔II−1〕に記載の方法。
工程(A) 式(1)の化合物をオキシム化剤と反応させて、式(2)の化合物を製造する。
Figure 0006737966
(式中、R及びRは上記で定義した通りである。)
〔II−3〕 工程(A)のオキシム化剤がヒドロキシルアミン又はその塩である、〔II−2〕に記載の方法。
〔II−4〕 工程(A)のオキシム化剤が、ヒドロキシルアミン、塩酸ヒドロキシルアミン又は硫酸ヒドロキシルアミンである、〔II−2〕に記載の方法。
〔II−5〕 工程(A)の反応が塩基の存在下で行われる、〔II−2〕〜〔II−4〕のいずれか1項に記載の方法。
〔II−6〕 工程(A)の塩基が、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム又はアンモニアである、〔II−5〕に記載の方法。
〔II−7〕 工程(A)の反応が、水、アセトニトリル、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、及びジクロロメタンから選ばれる1個以上(好ましくは1又は2個、更に好ましくは2個)の溶媒の存在下で行われる、〔II−2〕〜〔II−6〕のいずれか1項に記載の方法。
〔II−8〕 工程(A)の反応が、水とジクロロベンゼンの組み合わせの溶媒(すなわち、水とジクロロベンゼンの混合溶媒)の存在下で行われる、〔II−2〕〜〔II−6〕のいずれか1項に記載の方法。
〔II−9〕 工程(B)の酸触媒が、鉱酸類、カルボン酸類、スルホン酸類、リン酸類及びルイス酸類からなる群より選ばれる1個以上(好ましくは1〜3個、より好ましくは1又2個、更に好ましくは1個)の酸触媒である、〔II−1〕〜〔II−8〕のいずれか1項に記載の方法。
〔II−10〕 工程(B)の酸触媒が、硝酸、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、マレイン酸、無水マレイン酸、ベンゼンスルホン酸、及びp−トルエンスルホン酸からなる群より選ばれる1個以上(好ましくは1〜3個、より好ましくは1又2個、更に好ましくは1個)の酸触媒である、〔II−1〕〜〔II−8〕のいずれか1項に記載の方法。
〔II−11〕 工程(B)の酸触媒が、トリフルオロ酢酸又はマレイン酸である、〔II−1〕〜〔II−8〕のいずれか1項に記載の方法。
〔II−12〕 工程(B)の反応が、酸触媒1当量に対して、0.1〜0.5当量の塩基触媒の存在下で行われる、〔II−1〕〜〔II−11〕のいずれか1項に記載の方法。
〔II−13〕 工程(B)の塩基触媒が、N−メチルアニリン、モルホリン又はピロリジンである、〔II−12〕に記載の方法。
〔II−14〕 工程(B)の反応が、水、アセトニトリル、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、及びジクロロメタンから選ばれる1個以上(好ましくは1又は2個、更に好ましくは1個)の溶媒の存在下で行われる、〔II−1〕〜〔II−13〕のいずれか1項に記載の方法。
〔II−15〕 工程(B)の反応が、ジクロロベンゼン溶媒の存在下で行われる、〔II−1〕〜〔II−13〕のいずれか1項に記載の方法。
〔II−16〕 式(2)の化合物が3−メチル−2−ブテナールオキシムであり、式(3)の化合物が5,5−ジメチル−4,5−ジヒドロイソオキサゾールである、〔II−1〕〜〔II−15〕のいずれか1項に記載の方法。
本発明により式(3)の化合物の新規な製造方法が提供される。本発明によれば、上記した従来技術における1以上の欠点又は問題を解決することができる、式(3)の化合物の製造方法が提供される。
特表2013-512202(特許文献2)並びにSynlett 2008, No. 6, 827-830(非特許文献1)及びChem. Eur. J. 2010, Vol. 16, 11325-11339(非特許文献2)の方法では、アセトン又はジエチルケトンのようなケトンを副生成物として生成するケトンオキシムを原料として用いていた。しかしながら、本発明によれば、ケトンオキシムは不要であることが見出された。従って、本発明の方法では、副生成物及び/又は廃棄物としてのケトンが生成しない。言い換えれば、目的化合物のオキシイミノ部分(−O−N=)を導入するために必要な最小限の構造を有する原料は、ヒドロキシアミン(HO−NH)であることが判明した。その結果、本発明者は、ケトンオキシムを用いないで、目的化合物を製造することに成功したのである。
従って、本発明により、副生成物及び/又は廃棄物の生成を抑制でき、そして原子効率を改善できる。更に、本発明によれば、簡単な操作により、且つ安価な触媒を用いても効率的に、目的化合物を製造できる。結果として、本発明によりピロキサスルホン等の除草剤の製造中間体を簡便且つ安価に工業的規模で製造できる方法が提供された。従って、本発明の方法は、工業的に好ましく、経済的であり、そして環境にも優しく、高い工業的な利用価値を有する。
以下、本発明について詳細に説明する。
本明細書において用いられる用語及び記号について以下に説明する。
ハロゲン原子の例は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素を含む。
(Ca−Cb)は、炭素原子数がa〜b個であることを意味する。例えば、「(C1−C4)アルキル」の「(C1−C4)」は、アルキルの炭素原子数が1〜4であることを意味する
本明細書中、「アルキル」のような一般的用語は、ブチル及びtert−ブチルのような直鎖及び分枝鎖の両方を含むと理解される。しかしながら、「ブチル」のような具体的な用語が使用された場合は、これは「ノルマルブチル」、すなわち「n−ブチル」に対して特異的である。言い換えれば、具体的な用語「ブチル」は直鎖の「ノルマルブチル」を意味する。そして「tert−ブチル」のような分枝鎖異性体は、意図した場合に具体的に言及される。
接頭語「n−」、「s−」及び「sec−」、「i−」、「t−」及び「tert−」、[neo−]、「c−」及び「cyc−」、「o−」、「m−」、並びに「p−」は、それらの以下の通常の意味を有する:ノルマル、セカンダリー(「s−」及び「sec−」)、イソ、ターシャリー(「t−」及び「tert−」)、ネオ、シクロ(「c−」及び「cyc−」)、オルソ、メタ、並びにパラ。
本明細書中、以下の略語が使用されることがある:
「Me」はメチルを意味する。
「Et」はエチルを意味する。「Pr」、「n−Pr」及び「Pr−n」はプロピル(すなわち、ノルマルプロピル)を意味する。
「i−Pr」及び「Pr−i」はイソプロピルを意味する。
「Bu」、「n−Bu」及び「Bu−n」はブチル(すなわち、ノルマルブチル)を意味する。
「s−Bu」及び「Bu−s」はsec−ブチルを意味する。
「i−Bu」及び「Bu−i」はイソブチルを意味する。
「t−Bu」及び「Bu−t」はtert−ブチルを意味する。
「Pen」、「n−Pen」及び「Pen−n」はペンチル(すなわち、ノルマルペンチル)を意味する。
「Hex」、「n−Hex」及び「Hex−n」はヘキシル(すなわち、ノルマルヘキシル)を意味する。
「Dec」、「n−Dec」及び「Dec−n」はデシル(すなわち、ノルマルデシル)を意味する。
「c−Pr」及び「Pr−c」はシクロプロピルを意味する。
「c−Bu」及び「Bu−c」はシクロブチルを意味する。
「c−Pen」及び「Pen−c」はシクロペンチルを意味する。
「c−Hex」及び「Hex−c」はシクロヘキシルを意味する。
「Ph」はフェニルを意味する。
「Bn」はベンジルを意味する。
「Ms」はメチルスルホニル(CHSO−)を意味する。
「Ts」はトシル(4−CH−CSO−)を意味する。
「Tf」はトリフルオロメチルスルホニル(CFSO−)を意味する。
「Ac」は、アセチル(CHCO−)を意味する。
(C1−C6)アルキルは、1〜6個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖のアルキルを意味する。(C1−C6)アルキルの例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル,ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル等を含むが、これらに限定されない。
(C1−C4)アルキルは、1〜4個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖のアルキルを意味する。(C1−C4)アルキルの例は、上記の(C1−C6)アルキルの例のうちの適切な例である。
(C1−C6)ハロアルキルとは、同一又は異なる1〜13個のハロゲン原子により置換されている、炭素原子数が1〜6の直鎖又は分岐鎖のアルキルを意味する(ここで、ハロゲン原子は上記の定義と同じ意味を有する。)。(C1−C6)ハロアルキルの例は、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロジフルオロメチル、2−フルオロエチル、2−クロロエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、ペンタフルオロエチル、3−フルオロプロピル、3−クロロプロピル、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル、2,2,2−トリフルオロ−1−トリフルオロメチルエチル、ヘプタフルオロプロピル、1,2,2,2−テトラフルオロ−1−トリフルオロメチルエチル、4−フルオロブチル、4−クロロブチル、4−ブロモブチル、2,2,3,3,4,4,4−へプタフルオロブチル、5−フルオロペンチル、6−フルオロヘキシル等を含むが、これらに限定されるものではない。
(C1−C4)ハロアルキルは、同一又は異なる1〜9個のハロゲン原子により置換されている、炭素原子数が1〜4の直鎖又は分岐鎖のアルキルを意味する(ここで、ハロゲン原子は上記の定義と同じ意味を有する。)。(C1−C4)ハロアルキルの例は、上記の(C1−C6)ハロアルキルの例のうちの適切な例を含むが、これらに限定されない。
(C3−C6)シクロアルキルは、3〜6個の炭素原子を有するシクロアルキルを意味する。(C3−C6)シクロアルキルの例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルである。
(C2−C6)アルケニルは、2〜6個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖のアルケニルを意味する。(C2−C6)アルケニルの例は、ビニル、1−プロペニル、イソプロペニル、2−プロペニル、1−ブテニル、1−メチル−1−プロペニル、2−メチル−1−プロペニル、2−ブテニル、1,3−ブタジエニル、1−ペンテニル、1−ヘキセニル等を含むが、これらに限定されない。
(C2−C4)アルケニルは、2〜4個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖のアルケニルを意味する。C2〜C6アルケニルの例は、上記の(C2−C6)アルケニルの例のうちの適切な例を含むが、これらに限定されない。
(C2−C6)アルキニルは、2〜6個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖のアルキニルを意味する。(C2〜C6)アルキニルの例は、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニル、1−メチル−2−プロピニル、2−ブチニル、1−ペンチニル、1−ヘキシニル等を含むが、これらに限定されない。
(C2−C4)アルキニルは、2〜4個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖のアルケニルを意味する。(C2−C4)アルキニルの例は、上記の(C2−C6)アルキニルの例のうちの適切な例を含むが、これらに限定されない。
(C1−C6)アルコキシは、(C1−C6)アルキル−O−を意味する(ここで、(C1−C6)アルキル部分は上記の定義と同じ意味を有する。)。
(C1−C6)アルコキシの例は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、sec−ブトキシ、イソブトキシ、tert−ブトキシ、ペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ、ヘキシルオキシ等を含むが、これらに限定されない。
(C1−4)アルコキシは、(C1−C4)アルキル−O−を意味する(ここで、(C1−C4)アルキル部分は上記の定義と同じ意味を有する。)。(C1−C4)アルコキシの例は、上記の(C1−C6)アルコキシの例のうちの適切な例を含むが、これらに限定されない。
環式の炭化水素基は、環を構成する原子が全て炭素原子である芳香族又は非芳香族の、単環式又は多環式の環式基を意味する。
一つの態様では、環式の炭化水素基の例は、芳香族又は非芳香族の、単環式、二環式又は三環式の3〜14員(好ましくは5〜14員、より好ましくは5〜10員)の環式の炭化水素基を含むが、これらに限定されない。別の態様では、環式の炭化水素基の例は、芳香族又は非芳香族の、単環式又は二環式(好ましくは単環式)の4〜8員(好ましくは5〜6員)の環式の炭化水素基を含むが、これらに限定されない。
環式の炭化水素基の例は、シクロアルキル、アリール等を含むが、これらに限定されない。
アリールは、上記で定義した通りの環式の炭化水素基のうち、芳香族の環式基である。
上記で定義又は例示した通りの環式の炭化水素基は、可能であれば、非縮合環式(例えば、単環式又はスピロ環式)及び縮合環式の環式基を包含してもよい。
上記で定義又は例示した通りの環式の炭化水素基は、可能であれば、不飽和、部分飽和又は飽和のいずれでもよい。
上記で定義又は例示した通りの環式の炭化水素基は炭素環基とも言う。
炭素環は、上記で定義又は例示した通りの環式の炭化水素基に相当する環である。
本明細書中、用語「置換されていてもよい」における「置換基」については、それらが化学的に許容され、本発明の効果を示す限りは、特に制限はない。
本明細書中、「置換されていてもよい」との用語に関する「置換基」の例は、置換基群(a)から独立して選択される1以上の置換基(好ましくは1〜4個の置換基)を含むが、これらに限定されない。
置換基群(a)は、ハロゲン原子;ニトロ基;シアノ基;ヒドロキシ基;アミノ基;(C1−C6)アルキル;(C1−C6)ハロアルキル;(C3−C6)シクロアルキル;(C2−C6)アルケニル;(C2−C6)アルキニル;(C1−C6)アルコキシ;フェニル;フェノキシ等を含む群である。
加えて、置換基群(a)から独立して選択される1以上の置換基(好ましくは1〜4個の置換基)は、それぞれ独立して、置換基群(b)から独立して選択される1以上の置換基(好ましくは1〜4個の置換基)を有していてもよい
ここで、置換基群(b)は置換基群(a)と同じである。
本明細書中、異性体を有する化合物は、全ての異性体と任意の割合のそれらの任意の混合物を含む。
例えば、キシレンは、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン及び任意の割合のそれらの任意の混合物を含む。
例えば、ジクロロベンゼンは、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、p−ジクロロベンゼン及び任意の割合のそれらの任意の混合物を含む。
例えば、ある化合物に幾何異性体(cis−trans異性体)が存在する場合は、
(E)−異性体(anti−異性体)、(Z)−異性体(syn−異性体)及びそれらの混合物が本発明の範囲に含まれる。具体的には、例えば、式(2):
Figure 0006737966
の化合物は、式(2−E):
Figure 0006737966
の化合物だけであってもよく、又は式(2−Z):
Figure 0006737966
の化合物だけであってもよく、又は上記式(2−E)及び上記式(2−Z)の任意の割合のそれらの任意の混合物であってもよい。
本発明による方法は、以下のスキーム(式中、R及びRは、上記の〔1〕に記載の通りである。)を含む。
Figure 0006737966
(工程(A))
工程(A)について説明する。
工程(A)の反応は、オキシム化である。
工程(A)は、式(1)の化合物(β−ジ置換−α,β−不飽和アルデヒド)をオキシム化剤と反応させて、式(2)の化合物(β−ジ置換−α,β−不飽和アルドキシム)を製造する工程である。
Figure 0006737966
(式中、R及びRは上記で定義した通りである。)
(工程(A)の原料;式(1)の化合物)
工程(A)の原料として、式(1)の化合物を用いる。式(1)の化合物は公知の化合物であるか、又は公知の化合物から公知の方法に準じて製造することができる。
式(1)の化合物の具体的な例は、以下を含むが、これらに限定されない;3−メチル−2−ブテン−1−アール(3-methyl-2-butene-1-al)(3−メチル−2−ブテン−1−アールは3−メチル−2−ブテナール、3−メチルブタ−2−エナール(3-methylbut-2-enal)又はプレナール(prenal)とも言う)、3−メチル−2−ペンテン−1−アール、3−エチル−2−ペンテン−1−アール、3,4−ジメチル−2−ペンテン−1−アール、3,4,4−トリメチル−2−ペンテン−1−アール、4−クロロ−3−メチル−2−ブテン−1−アール、4,4,4−トリフルオロ−3−メチル−2−ブテン−1−アール、3−シクロプロピル−2−ブテン−1−アール、2−シクロブチリデンアセトアルデヒド、2−シクロペンチリデンアセトアルデヒド、2−シクロヘキシリデンアセトアルデヒド、3−メチル−2−ヘプテン−1−アール、3,7−ジメチル−2,6−オクタジエン−1−アール、3,7−ジメチル−2−オクタン−1−アール、2−(9H−フルオレン−9−イリデン)アセトアルデヒド、3,3−ジフェニル−2−プロペン−1−アール、3,3−ビス(4−フェニル)−2−プロペン−1−アール、3,3−ビス(4−メトキシフェニル)−2−プロペン−1−アール、3,3−ビス(4−メトキシフェニル)−2−プロペン−1−アール、3−フェニル−2−ブテン−1−アール、3−(4−メチルフェニル)−2−ブテン−1−アール、3−(4−メトキシフェニル)−2−ブテン−1−アール、3−(4−クロロフェニル)−2−ブテン−1−アール等。生成物の有用性等の観点から、式(1)の化合物の好ましい具体的な例は、3−メチル−2−ブテン−1−アールである。
(工程(A)のオキシム化剤)
工程(A)で使用されるオキシム化剤は、反応が進行する限りは、いずれのオキシム化剤でもよい。工程(A)で使用できるオキシム化剤の例は、ヒドロキシルアミン(フリー)及びその塩を含むが、これらに限定されない。ヒドロキシルアミン(フリー)の例は、50%ヒドロキシルアミン水溶液、60%ヒドロキシルアミン水溶液、70%ヒドロキシルアミン水溶液、80%ヒドロキシルアミン水溶液、90%ヒドロキシルアミン水溶液等を含むが、これらに限定されない。一般的に「50%ヒドロキシルアミン水溶液(50% hydroxylamine aqueous solution)」は「ヒドロキシルアミン(50%水溶液)(Hydroxylamine (50% solution in water))」とも言う。ヒドロキシルアミン塩の例は、塩酸ヒドロキシルアミン、硫酸ヒドロキシルアミン、硝酸ヒドロキシルアミン(例えば、50%水溶液)、炭酸ヒドロキシルアミン、リン酸ヒドロキシルアミン、酢酸ヒドロキシルアミン、シュウ酸ヒドロキシルアミン等を含むが、これらに限定されない。
工程(A)のオキシム化剤は、単独で又は任意の割合の2種以上の組み合わせで使用してもよい。工程(A)のオキシム化剤の形態は、反応が進行する限りは、いずれの形態でもよい。その形態の例は、オキシム化剤のみの固体及び液体、並びに任意の濃度の水溶液及び水以外の溶媒(例えば、有機溶媒)の溶液等を含む。工程(A)のオキシム化剤の形態は、当業者が適切に選択することができる。
工程(A)のオキシム化剤としてヒドロキシルアミン(フリー)を用いるときは、ヒドロキシルアミンの形態は、反応が進行する限りは、いずれの形態でもよい。安全性と経済効率を考慮して、ヒドロキシルアミン(フリー)の形態の好ましい例は、10%以上70%未満の濃度の水溶液、好ましくは45%以上55%以下の濃度の水溶液を含む。
安全性、取り扱いの容易さ、経済効率等の観点から、工程(A)のオキシム化剤の好ましい例は、ヒドロキシルアミン(フリー)、塩酸ヒドロキシルアミン、硫酸ヒドロキシルアミン、より好ましくは45%〜50%ヒドロキシルアミン水溶液、塩酸ヒドロキシルアミン、硫酸ヒドロキシルアミン、更に好ましくは塩酸ヒドロキシルアミン、硫酸ヒドロキシルアミン、更に好ましくは硫酸ヒドロキシルアミンを含む。
工程(A)のオキシム化剤の使用量は、反応が進行する限りは、いずれの量でもよい。収率、副生成物抑制、経済効率等の観点から、一つの態様では、式(1)の化合物1モルに対して、0.9〜1.5当量、好ましくは0.9〜1.2当量の範囲を例示できる。別の態様では、式(1)の化合物1モルに対して、1.0〜1.5当量、好ましくは1.0〜1.2当量の範囲もまた例示できる。しかしながら、その使用量は当業者が適切に調整することができる。
従って、工程(A)のオキシム化剤としてヒドロキシルアミン及び/又はその塩を用いるときは、ヒドロキシルアミン及び/又はその塩の使用量は、反応が進行する限りは、いずれの量でもよい。上記と同様の観点から、一つの態様では、式(1)の化合物1モルに対して、ヒドロキシルアミン(NHOH)として、0.9〜1.5モル、より好ましくは0.9〜1.2モルの範囲を例示できる。別の態様では、式(1)の化合物1モルに対して、ヒドロキシルアミン(NHOH)として、1.0〜1.5モル、好ましくは1.0〜1.2モルの範囲もまた例示できる。しかしながら、その使用量は当業者が適切に調整することができる。
工程(A)のオキシム化剤としてヒドロキシルアミン及び/又はその塩を用いるときは、反応を酸触媒の存在下で行ってもよい。酸触媒の例は、塩酸、硫酸、酢酸等を含むが、これらに限定されない。酸触媒は当業者が適切に選択することができる。酸触媒の使用量は、当業者が適宜調整することができる。酸触媒はヒドロキシルアミンと塩を形成していてもよく、その塩の例は、塩酸ヒドロキシルアミン、硫酸ヒドロキシルアミン、酢酸ヒドロキシルアミン等を含むが、これらに限定されない。酸触媒の形態は、当業者が適切に選択することができる。
工程(A)のオキシム化剤としてヒドロキシルアミン塩類(例えば、塩酸ヒドロキシルアミン、硫酸ヒドロキシルアミン、酢酸ヒドロキシルアミン等)を用いるときは、反応を塩基の存在下で行ってもよい。塩基の例は、アルカリ金属水酸化物類(例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)、アルカリ土類金属水酸化物類(例えば、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム等)、アルカリ金属炭酸塩類(例えば、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等)、アルカリ土類金属炭酸塩類(例えば、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム等)、アルカリ金属炭酸水素塩類(例えば、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等)、アルカリ金属カルボン酸塩類(例えば、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム等)、金属アルコキシド類(例えば、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムtert−ブトキシド等)、アミン類(例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデカ−7−エン(DBU)、ピリジン等)、アンモニア(例えば、25〜30%アンモニア水、アンモニアガス、好ましくは25〜30%アンモニア水)を含むが、これらに限定されない。塩基の好ましい例は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、アンモニア、より好ましくは、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、アンモニア、更に好ましくは水酸化ナトリウム、アンモニアを含む。塩基は、単独で又は任意の割合の2種以上の組み合わせで使用してもよい。塩基の形態は、反応が進行する限りは、いずれの形態でもよい。その形態の例は、塩基のみの固体、液体及びガス、並びに任意の濃度の水溶液及び水以外の溶媒(例えば、有機溶媒)の溶液等を含む。塩基の形態は、当業者が適切に選択することができる。
工程(A)の塩基の使用量は、反応が進行する限りは、いずれの量でもよい。塩基の使用量としては、ヒドロキシルアミン塩を中和してフリーのヒドロキシルアミンを遊離できる量が例示できる。収率、副生成物抑制及び経済効率等の観点から、ヒドロキシルアミン塩1当量に対して、0.9〜1.5当量、好ましくは0.9〜1.1当量、より好ましくは1.0当量を例示できる。しかしながら、その使用量は当業者が適切に調整することができる。
(工程(A)の溶媒)
反応の円滑な進行等の観点から、工程(A)の反応は溶媒の存在下で実施することが好ましい。工程(A)の溶媒は、工程(A)の反応が進行する限りは、いずれの溶媒でもよい。その溶媒は当業者が適切に選択することができる。工程(A)の溶媒の例は、水、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノール、ブタノール、tert−ブタノール(tert−ブタノールはtert−ブチルアルコールとも言う)等)、エーテル類(例えば、テトラヒドロフラン(THF)、1,4−ジオキサン、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジ−tert−ブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)、メチル−tert−ブチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン(DME)、ジグリム(diglyme)、トリグリム(triglyme)等)、ニトリル類(例えば、アセトニトリル等)、アミド類(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)、N−メチルピロリドン(NMP)等)、アルキル尿素類(例えば、N,N’−ジメチルイミダゾリジノン(DMI)等)、スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)等)、スルホン類(例えば、スルホラン等)、カルボン酸エステル類(例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル等)、芳香族炭化水素誘導体類(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン等)、ハロゲン化脂肪族炭化水素類(例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン(EDC)等)、脂肪族炭化水素類(例えば、ヘキサン、へプタン、オクタン、シクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等)及び任意の割合のそれらの任意の組み合わせを含むが、これらに限定されない。
反応性、収率、経済効率等の観点から、一つの態様では、工程(A)の溶媒の好ましい例は、水、アルコール類、ニトリル類、エーテル類、芳香族炭化水素誘導体類、ハロゲン化脂肪族炭化水素類及び任意の割合のそれらの任意の組み合わせ、より好ましくは水、ニトリル類、芳香族炭化水素誘導体類、ハロゲン化脂肪族炭化水素類及び任意の割合のそれらの任意の組み合わせ、更に好ましくは水、芳香族炭化水素誘導体類、ハロゲン化脂肪族炭化水素類及び任意の割合のそれらの任意の組み合わせ、更に好ましくは水、ハロゲン化脂肪族炭化水素類及び任意の割合のそれらの任意の組み合わせ、特に好ましくは任意の割合の水とハロゲン化脂肪族炭化水素類の組み合わせを含む。工程(A)の溶媒の好ましい具体的な例は、水、メタノール、エタノール、2−プロパノール、tert−ブタノール、アセトニトリル、テトラヒドロフラン(THF)、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジクロロメタン及び任意の割合のそれらの任意の組み合わせ、より好ましくは水、アセトニトリル、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジクロロメタン及び任意の割合のそれらの任意の組み合わせ、更に好ましくは水、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジクロロメタン及び任意の割合のそれらの任意の組み合わせ、更に好ましくは水、ジクロロメタン及び任意の割合のそれらの任意の組み合わせ、特に好ましくは任意の割合の水とジクロロメタンの組み合わせを含む。ただし、いずれの場合も水の存在が好ましい。別の態様では、工程(A)の溶媒の好ましい例は、水、アルコール類、ニトリル類、エーテル類、芳香族炭化水素誘導体類、ハロゲン化脂肪族炭化水素類及び任意の割合のそれらの任意の組み合わせ、より好ましくは水、アルコール類、ニトリル類、ハロゲン化脂肪族炭化水素類及び任意の割合のそれらの任意の組み合わせ、更に好ましくは水、ニトリル類、ハロゲン化脂肪族炭化水素類及び任意の割合のそれらの任意の組み合わせ、更に好ましくは水、ハロゲン化脂肪族炭化水素類及び任意の割合のそれらの任意の組み合わせ、特に好ましくは任意の割合の水とハロゲン化脂肪族炭化水素類の組み合わせを含む。工程(A)の溶媒の好ましい具体的な例は、水、メタノール、エタノール、2−プロパノール、tert−ブタノール、アセトニトリル、テトラヒドロフラン(THF)、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジクロロメタン及び任意の割合のそれらの任意の組み合わせ、より好ましくは水、メタノール、エタノール、2−プロパノール、tert−ブタノール、アセトニトリル、ジクロロメタン及び任意の割合のそれらの任意の組み合わせ、更に好ましくは水、アセトニトリル、ジクロロメタン及び任意の割合のそれらの任意の組み合わせ、更に好ましくは水、ジクロロメタン及び任意の割合のそれらの任意の組み合わせ、特に好ましくは任意の割合の水とジクロロメタンの組み合わせを含む。ただし、いずれの場合も水の存在が好ましい。
工程(A)の溶媒の使用量は、反応系の撹拌が十分にできる限りは、いずれの量でもよい。収率、副生成物抑制、経済効率等の観点から、式(1)の化合物1モルに対して、0(ゼロ)〜10L(リットル)、好ましくは0.02〜5L、より好ましくは0.02〜1L、更に好ましくは0.1〜1Lの範囲を例示できる。しかしながら、その使用量は当業者が適切に調整することができる。2種以上の溶媒の組み合わせを用いるときは、2種以上の溶媒の割合は、反応が進行する限りは、いずれの割合でもよい。その割合は当業者が適切に調整することができる。溶媒は、反応が進行する限りは、単層でも2層に分離してもよい。
(工程(A)の反応温度)
工程(A)の反応温度は、特に制限されない。収率、副生成物抑制、経済効率等の観点から、−30℃(マイナス30℃)〜160℃、好ましくは−10℃〜80℃、より好ましくは0℃〜80℃、更に好ましくは10℃〜50℃の範囲、更に好ましくは室温(10℃〜35℃)を例示できる。しかしながら、反応温度は当業者が適切に調整することができる。
(工程(A)の反応時間)
工程(A)の反応時間は、特に制限されない。収率、副生成物抑制及び経済効率等の観点から、0.5時間〜48時間、好ましくは0.5時間〜24時間、より好ましくは1時間〜12時間の範囲を例示できる。しかしながら、反応時間は当業者が適切に調整することができる。
(工程(A)の生成物;式(2)の化合物)
工程(A)の生成物は、原料として用いた式(1)の化合物に相当するオキシムである。
式(2)の化合物の具体的な例は、以下を含むが、これらに限定されない;3−メチル−2−ブテン−1−アールオキシム(3-methyl-2-butene-1-al oxime)(3−メチル−2−ブテン−1−アールオキシムは3−メチル−2−ブテナールオキシム、3−メチルブタ−2−エナールオキシム又はプレナールオキシムとも言う)、3−メチル−2−ペンテン−1−アールオキシム、3−エチル−2−ペンテン−1−アールオキシム、3,4−ジメチル−2−ペンテン−1−アールオキシム、3,4,4−トリメチル−2−ペンテン−1−アールオキシム、4−クロロ−3−メチル−2−ブテン−1−アールオキシム、4,4,4−トリフルオロ−3−メチル−2−ブテン−1−アールオキシム、3−シクロプロピル−2−ブテン−1−アールオキシム、2−シクロブチリデンアセトアルドキシム、2−シクロペンチリデンアセトアルドキシム、2−シクロヘキシリデンアセトアルドキシム、3−メチル−2−ヘプテン−1−アールオキシム、3,7−ジメチル−2,6−オクタジエン−1−アールオキシム、3,7−ジメチル−2−オクタン−1−アールオキシム、2−(9H−フルオレン−9−イリデン)アセトアルドキシム、3,3−ジフェニル−2−プロペン−1−アールオキシム、3,3−ビス(4−フェニル)−2−プロペン−1−アールオキシム、3,3−ビス(4−メトキシフェニル)−2−プロペン−1−アールオキシム、3,3−ビス(4−メトキシフェニル)−2−プロペン−1−アールオキシム、3−フェニル−2−ブテン−1−アールオキシム、3−(4−メチルフェニル)−2−ブテン−1−アールオキシム、3−(4−メトキシフェニル)−2−ブテン−1−アールオキシム、3−(4−クロロフェニル)−2−ブテン−1−アールオキシム等。生成物の有用性等の観点から、式(2)の化合物の好ましい具体的な例は、3−メチル−2−ブテン−1−アールオキシム(3−メチル−2−ブテナールオキシム)である。
工程(A)の生成物である式(2)の化合物は、工程(B)の原料として使用することができる。工程(A)で得られる式(2)の化合物は、単離して次工程に用いてもよく、さらに精製して次工程に用いてもよく、又は単離することなく次工程に用いてもよい。
(工程(B))
工程(B)について説明する。
工程(B)の反応は、環化反応である。工程(B)は、酸触媒の存在下で式(2)の化合物(β−ジ置換−α,β−不飽和アルドキシム)を反応させて、式(3)の化合物を製造する工程である。酸触媒に加えて、塩基触媒の存在下で反応を行ってもよい。
Figure 0006737966
(式中、R及びRは上記で定義した通りである。)
(工程(B)の原料;式(2)の化合物)
工程(B)の原料として、式(2)の化合物を用いる。式(2)の化合物は公知の化合物であるか、又は公知の化合物から公知の方法に準じて製造することができる。加えて、式(2)の化合物は上記工程(A)の方法により製造することができる。式(2)の化合物の具体的な例及び好ましい具体的な例は、上記の通りである。
(工程(B)の酸触媒)
工程(B)の反応では、酸触媒が必須である。工程(B)の酸触媒は、反応が進行する限りは、いずれの酸触媒でもよい。加えて、反応が進行する限りは、以下のいずれの形態が使用されてもよく、本発明の範囲に含まれる。酸触媒として、遊離の酸を使用できる。酸触媒は塩の形態で使用してもよい。酸触媒が塩の場合は、酸触媒は単塩でもよく、複塩でもよい。酸触媒は無水物の形態で使用してもよい。酸触媒は水和物の形態で使用してもよい。酸触媒は二量体等の形態で使用してもよい。
工程(B)の酸触媒の例は、以下を含むが、これらに限定されない。
a)鉱酸類
工程(B)の酸触媒として、鉱酸を使用することができる。鉱酸の例は、塩酸、硫酸、硝酸を含む。
b)カルボン酸類
工程(B)の酸触媒として、カルボン酸、その塩及び無水物を使用することができる。
従って、カルボン酸は、遊離の酸として使用してもよく、又はその塩として使用してもよい。加えて、カルボン酸はその無水物として使用してもよい。
一つの態様では、カルボン酸の例は、1以上のハロゲン原子により置換されていてもよい飽和又は不飽和脂肪族(C1−C8)のモノカルボン酸、ジカルボン酸及びトリカルボン酸、並びにハロゲン原子、(C1−C4)アルキル及び(C1−C4)ハロアルキルから独立して選択される1以上の置換基により置換されていてもよい芳香族の(C7−C11)モノカルボン酸、ジカルボン酸及びトリカルボン酸を含む。好ましいカルボン酸の例は、1以上のハロゲン原子により置換されていてもよい飽和又は不飽和脂肪族(C1−C8)カルボン酸を含む。カルボン酸塩及びカルボン酸無水物の例は、それらの塩及び無水物である。別の態様では、カルボン酸の例は、1以上のハロゲン原子により置換されていてもよい飽和又は不飽和脂肪族(C1−C8)カルボン酸、並びにハロゲン原子、(C1−C4)アルキル及び(C1−C4)ハロアルキルから独立して選択される1以上の置換基により置換されていてもよい安息香酸を含む。好ましいカルボン酸の例は、1以上のハロゲン原子により置換されていてもよい飽和又は不飽和脂肪族(C1−C8)カルボン酸を含む。カルボン酸塩及びカルボン酸無水物の例は、それらの塩及び無水物である。
カルボン酸の具体的な例は、酢酸、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、マレイン酸、クエン酸、安息香酸、フタル酸を含む。好ましいカルボン酸の具体的な例は、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、マレイン酸を含む。カルボン酸塩の具体的な例は、トリフルオロ酢酸アンモニウム(CFCOONH ))、トリフルオロ酢酸N−メチルアニリウム(CFCOO(CH)H)を含む。カルボン酸無水物の具体的な例は、無水トリフルオロ酢酸、無水マレイン酸、無水フタル酸を含む。好ましいカルボン酸無水物の具体的な例は、無水マレイン酸を含む。
c)スルホン酸類
工程(B)の酸触媒として、スルホン酸、その塩及び無水物を使用することができる。
従って、スルホン酸は、遊離の酸として使用してもよく、又はその塩として使用してもよい。加えて、スルホン酸はその無水物として使用してもよい。スルホン酸の例は、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸(TfOH)、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸(p−トルエンスルホン酸一水和物(TsOH・HO)を含む)、10−カンファースルホン酸を含む。スルホン酸塩の例は、p−トルエンスルホン酸ピリジニウム(PPTS)を含む。スルホン酸無水物の例は、無水メタンスルホン酸、無水トリフルオロメタンスルホン酸を含む。
d)リン酸類
工程(B)の酸触媒として、リン酸類を使用することができる。リン酸類は、リン酸及びその誘導体である。それらが化学的に許容され、本発明の効果を示す限りは、リン酸類は特に制限されない。リン酸類の例は以下を含むが、これらに限定されない。
d−1)リン酸、その塩及び無水物
リン酸は、遊離の酸として使用してもよく、又はその塩として使用してもよい。加えて、リン酸はその無水物として使用してもよい。リン酸、その塩及び無水物の例は、リン酸(オルトリン酸;HPO)、リン酸二水素アンモニウム、ポリリン酸、ピロリン酸(二リン酸)及び五酸化二リンを含む。
d−2)リン酸モノエステル、その塩及び無水物
リン酸モノエステルは、遊離の酸として使用してもよく、又はその塩として使用してもよい。リン酸モノエステルは、それが化学的に許容される限りは、その無水物として使用してもよい。リン酸モノエステルの例は、リン酸エチル(すなわち、リン酸二水素エチル;(CO)P(=O)(OH))及びリン酸フェニル(すなわち、リン酸二水素フェニル;(CO)P(=O)(OH))を含む。
d−3)リン酸ジエステル、その塩及び無水物
リン酸ジエステルは、遊離の酸として使用してもよく、又はその塩として使用してもよい。リン酸ジエステルは、それが化学的に許容される限りは、その無水物として使用してもよい。リン酸ジエステルの例は、リン酸ジエチル(すなわち、リン酸水素ジエチル;(CO)P(=O)OH)及びリン酸ジフェニル(すなわち、リン酸水素ジフェニル;(CO)P(=O)OH)を含む。リン酸ジエステル塩の例は、リン酸ジフェニルN−メチルアニリウム((CO)P(=O)O(CH)H)を含む。
e)ルイス酸類
工程(B)の酸触媒として、ルイス酸を使用することができる。ルイス酸の例は以下を含むが、これらに限定されない。
e−1)一つの態様では、ルイス酸の例は、カチオンとアニオンから形成される化合物を含むが、これに限定されない。ルイス酸を形成するカチオンは、単独でもよく、又は2種以上の組み合わせでもよい。ルイス酸を形成するアニオンは、単独でもよく、又は2種以上の組み合わせでもよい。
カチオンとアニオンから形成されるルイス酸は、カチオンとアニオン以外の成分を含んでもよい。
ルイス酸を形成するカチオンの例は、長周期型周期表上の1属、2属、3属(ランタノイドを含む)、4属、5属、6属、7属、8属、9属、10属、11属、12属、13属、14属及び15属の元素のカチオンを含む。
本明細書中、長周期型周期表に関しては、例えば、以下を参照することができる。
IUPAC Periodic Table of the Elements, dated 28 November 2016.
https://www.iupac.org/cms/wp-content/uploads/2015/07/IUPAC_Periodic_Table-28Nov16.pdf
長周期型周期表上の1属から15属の元素のカチオンの例は、以下を含むが、これらに限定されない。
1属の元素のカチオンの例は、以下を含む;リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)又はセシウム(Cs)のイオン。
2属の元素のカチオンの例は、以下を含む;マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)又はバリウム(Ba)のイオン。
3属の元素のカチオンの例は、以下を含む;スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、サマリウム(Sm)又はイッテルビウム(Yb)のイオン。
4属の元素のカチオンの例は、以下を含む;チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)又はハフニウム(Hf)。
5属の元素のカチオンの例は、以下を含む;バナジウム(V)。
6属の元素のカチオンの例は、以下を含む;モリブデンイオン(Mo)又はタングステン(W)のイオン。
7属の元素のカチオンの例は、以下を含む;マンガン(Mn)のイオン。
8属の元素のカチオンの例は、以下を含む;鉄イオン(Fe)又はルテニウム(Ru)のイオン。
9属の元素のカチオンの例は、以下を含む;コバルト(Co)、ロジウム(Rh)又はイリジウム(Ir)のイオン。
10属の元素のカチオンの例は、以下を含む;ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)又は白金(Pt)のイオン。
11属の元素のカチオンの例は、以下を含む;銅(Cu)、銀(Ag)又は金(Au)のイオン。
12属(すなわち、亜鉛族金属)の元素のカチオンの例は、以下を含む;亜鉛のイオン。
13属(すなわち、土類金属)の元素のカチオンの例は、以下を含む;ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)又はインジウム(In)のイオン。
14属の元素のカチオンの例は、以下を含む;ゲルマニウム(Ge)又はスズ(Sn)のイオン。
15属の元素のカチオンの例は、以下を含む;ビスマスのイオン。
カチオンの好ましい例は、以下を含むが、これらに限定されない;
マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、スカンジウム(Sc)、イッテルビウム(Yb)、鉄イオン(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)、亜鉛、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、スズ(Sn)のイオン。
長周期型周期表上の1属から15属の元素のカチオンの具体的な例は、以下を含むが、これらに限定されない。
1属の元素(すなわち、アルカリ金属)のカチオンの具体的な例は、以下を含む;リチウムイオン(Li)、ナトリウムイオン(Na)、カリウムイオン(K)及びセシウムイオン(Cs)。
2属の元素(すなわち、アルカリ土類金属)のカチオンの具体的な例は、以下を含む;マグネシウムイオン(Mg+)、カルシウムイオン(Ca2+)及びバリウムイオン(Ba2+)。
3属(ランタノイドを含む)の元素のカチオンの具体的な例は、以下を含む;スカンジウムイオン(Sc3+)、イットリウムイオン(Y3+)、ランタンイオン(La3+)、セリウム(III)イオン(Ce3+)、セリウム(IV)イオン(Ce4+)、サマリウム(II)(Sm2+)イオン、サマリウム(III)(Sm3+)イオン及びイッテルビウム(III)(Yb3+)。
4属の元素のカチオンの具体的な例は、以下を含む;チタン(III)イオン(Ti3+)、チタン(IV)イオン(Ti4+)、ジルコニウム(IV)イオン(Zr4+)及びハフニウム(IV)イオン(Hf4+)。
5属の元素のカチオンの具体的な例は、以下を含む;バナジウム(II)イオン(V2+)、バナジウム(III)イオン(V3+)、バナジウム(IV)イオン(V4+)及びバナジウム(V)イオン(V5+)、
6属の元素のカチオンの具体的な例は、以下を含む;モリブデンイオン(IV)(Mo4+)、モリブデン(VI)イオン(Mo6+)及びタングステン(VI)イオン(W6+)。
7属の元素のカチオンの具体的な例は、以下を含む;マンガン(II)イオン(Mn2+)、マンガン(IV)イオン(Mn5+)及びマンガン(VII)イオン(Mn7+)。
8属の元素のカチオンの具体的な例は、以下を含む;
鉄イオン(II)(Fe2+)、鉄イオン(III)(Fe3+)及びルテニウム(III)イオン(Ru3+)。
9属の元素のカチオンの具体的な例は、以下を含む;コバルト(II)イオン(Co2+)、コバルト(III)イオン(Co3+)、ロジウム(II)イオン(Rh2+)、ロジウム(III)イオン(Rh3+)及びイリジウム(III)イオン(Ir3+)。
10属の元素のカチオンの具体的な例は、以下を含む;ニッケル(II)イオン(Ni2+)及びパラジウム(II)イオン(Pd2+)、白金(II)イオン(Pt2+)。
11属の元素のカチオンの具体的な例は、以下を含む;銅(I)イオン(Cu)、銅(II)イオン(Cu2+)、銀(I)イオン(Ag)、金(I)イオン(Au)及び金(III)イオン(Au3+)。
12属(すなわち、亜鉛族金属)の元素のカチオンの具体的な例は、以下を含む;亜鉛イオン(Zn2+)。
13属(すなわち、土類金属)の元素のカチオンの具体的な例は、以下を含む;ホウ素イオン(B3+)、アルミニウムイオン(Al3+)、ガリウム(III)イオン(Ga3+)及びインジウムイオン(III)イオン(In3+)。
14属の元素のカチオンの具体的な例は、以下を含む;ゲルマニウム(II)イオン(Ge2+)、ゲルマニウム(IV)イオン(Ge4+)、スズ(II)イオン(Sn2+)及びスズ(IV)イオン(Sn4+)。
15属の元素のカチオンの具体的な例は、以下を含む;ビスマス(III)イオン(Bi3+)。
カチオンの好ましい具体的な例は以下を含む;マグネシウムイオン(Mg+)、カルシウムイオン(Ca2+)、スカンジウムイオン(Sc3+)、イッテルビウム(III)(Yb3+)、鉄イオン(II)(Fe2+)、鉄イオン(III)(Fe3+)、コバルト(II)イオン(Co2+)、コバルト(III)イオン(Co3+)、ニッケル(II)イオン(Ni2+)、パラジウム(II)イオン(Pd2+)、白金(II)イオン(Pt2+)、銅(I)イオン(Cu)、銅(II)イオン(Cu2+)、銀(I)イオン(Ag)、金(I)イオン(Au)、亜鉛イオン(Zn2+)、ホウ素イオン(B3+)、アルミニウムイオン(Al3+)、スズ(II)イオン(Sn2+)及びスズ(IV)イオン(Sn4+)。
カチオンのより好ましい具体的な例は以下を含む;カルシウムイオン(Ca2+)、
銅(II)イオン(Cu2+)及び銀(I)イオン(Ag)。
カチオンの別の好ましい例は遷移金属イオンを含む。本明細書中、遷移金属イオンは、長周期型周期表上の3属(ランタノイドを含む)から11属の元素のカチオンである。従って、遷移金属イオンの例は、上記の3属(ランタノイドを含む)から11属の元素のカチオンを含む。
遷移金属イオンの好ましい例は、以下を含むが、これらに限定されない;
スカンジウム(Sc)、イッテルビウム(Yb)、
鉄イオン(Fe)、
コバルト(Co)、
ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、
銅(Cu)、銀(Ag)及び金(Au)、のイオン。
遷移金属イオンの具体的な例は、上記の3属(ランタノイドを含む)から11属の元素のカチオンの具体的な例を含む。
遷移金属イオンの好ましい具体的な例は、
スカンジウムイオン(Sc3+)、イッテルビウム(III)(Yb3+)、
鉄イオン(II)(Fe2+)、鉄イオン(III)(Fe3+)、
コバルト(II)イオン(Co2+)、コバルト(III)イオン(Co3+)、
ニッケル(II)イオン(Ni2+)、パラジウム(II)イオン(Pd2+)、白金(II)イオン(Pt2+)、
銅(I)イオン(Cu)、銅(II)イオン(Cu2+)、銀(I)イオン(Ag)及び金(I)イオン(Au)を含む。
遷移金属イオンのより好ましい具体的な例は、
銅(II)イオン(Cu2+)及び銀(I)イオン(Ag)を含む。
遷移金属イオンの更に好ましい具体的な例は、銅(II)イオン(Cu2+)を含む。
ルイス酸を形成するアニオンの例は、以下を含むが、これらに限定されない;
ハロゲン化物イオン(例えば、フッ化物イオン(F)、塩化物イオン(Cl)、臭化物イオン(Br)、ヨウ化物イオン(I))、
硫酸イオン(SO 2−)、硝酸イオン(NO )、酸化物イオン(O2−)、過塩素酸イオン(ClO )、テトラフルオロホウ酸イオン(BF )、ヘキサフルオロリン酸イオン(PF )、ヘキサフルオロアンチモン酸イオン(SbF )、
カルボン酸イオン(例えば、酢酸イオン(CHCO ;AcO)、トリフルオロ酢酸イオン(CFCO ))
スルホン酸イオン(例えば、メタンスルホン酸イオン(CHSO ;MsO;メシレートイオンとも言う)、トリフルオロメタンスルホン酸イオン(CFSO ;TfO;トリフレートイオンとも言う)、ヘプタデカフルオロオクタンスルホン酸イオン(C17SO ;パーフルオロオクタンスルホン酸イオンとも言う)、ベンゼンスルホン酸イオン(CSO ;ベシレートイオンとも言う)、p−トルエンスルホン酸イオン(4−CH−CSO ;TsO;トシレートイオンとも言う))、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドイオン((CFSO;Tf;ビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミドイオンとも言う)、
アルコキシドイオン(例えば、メトキシドイオン(CH;MeO)、エトキシドイオン(C;EtO)、イソプロポキシドイオン((CHCHO;i−PrO)。
ルイス酸を形成するアニオンの好ましい例は、以下を含む;
フッ化物イオン(F)、塩化物イオン(Cl)、臭化物イオン(Br)、ヨウ化物イオン(I))、
トリフルオロメタンスルホン酸イオン(CFSO ;TfO;トリフレートイオンとも言う)、
ビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミドイオン((CFSO;Tf)。
e−2)別の態様では、ルイス酸の例は、以下の式で表される化合物を含むが、これに限定されない;
MZn
(式中、Mは長周期型周期表上の1属、2属、3属(ランタノイドを含む)、4属、5属、6属、7属、8属、9属、10属、11属、12属、13属、14属及び15属の元素のカチオンであり、
Zは、同一又は異なって、Mの対アニオンであり、
nは1〜4の整数である。)
上式で表されるルイス酸は、ZとM以外の成分を含んでもよい。
e−2における長周期型周期表上の1属から15属の元素のカチオンの例は、上記e−1におけるそれらと同じである。e−2におけるカチオンの好ましい例は、上記e−1におけるそれらと同じである。e−2における長周期型周期表上の1属から15属の元素のカチオンの具体的な例は、上記e−1におけるそれらと同じである。e−2におけるカチオンの好ましい具体的な例は、上記e−1におけるそれらと同じである。e−2におけるカチオンのより好ましい具体的な例は、上記e−1におけるそれらと同じである。
e−2におけるカチオンの別の好ましい例は、上記e−1におけるそれと同じであり、遷移金属イオンを含む。e−2における遷移金属イオンの例は、上記e−1におけるそれらと同じである。e−2における遷移金属イオンの好ましい例は、上記e−1におけるそれらと同じである。e−2における遷移金属イオンの具体的な例、好ましい具体的な例及びより好ましい具体的な例は、上記e−1におけるそれらと同じである。
Zの例は、上記e−1におけるルイス酸を形成するアニオンの例と同じである。e−2における好ましいアニオンの例は、上記e−1におけるそれらと同じである。e−2におけるより好ましいアニオンの例は、上記e−1におけるそれらと同じである。
上記e−1及びe−2について、ルイス酸の具体的な例は、以下を含むが、これらに限定されない;
臭化リチウム(LiBr)、過塩素酸リチウム(LiClO)、臭化ナトリウム(NaBr)、臭化カリウム(KBr)、臭化セシウム(CsBr)、塩化マグネシウム(MgCl)、臭化マグネシウム(MgBr)、マグネシウムトリフラート(Mg(OTf))、マグネシウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(Mg(NTf)塩化カルシウム(CaCl)、臭化カルシウム(CaBr)(水和物を含む)、カルシウムトリフラート(Ca(OTf))、カルシウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(Ca(NTf)、塩化スカンジウム(III)(ScCl)、スカンジウム(III)トリフラート(Sc(OTf))(スカンジウム(III)トリフラートは、スカンジウム(III)トリフルオロメタンスルホネート(Sc(OSOCF)とも言う)スカンジウム(III)ヘプタデカフルオロオクタンスルホネート(Sc(OSO17)(スカンジウム(III)ヘプタデカフルオロオクタンスルホネートは、スカンジウム(III)パーフルオロオクタンスルホネートとも言う)スカンジウム(III)ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(Sc(III)(NTf)、塩化イットリウム(III)(YCl)、イットリウム(III)トリフラート(Y(OTf))、塩化ランタン(III)(LaCl)、ランタン(III)トリフラート(La(OTf))、塩化セリウム(III)(CeCl)、セリウム(III)トリフラート(Ce(OTf))、塩化サマリウム(III)(SmCl)、サマリウム(III)トリフラート(Sm(OTf))、塩化イッテルビウム(III)(YbCl)、イッテルビウム(III)トリフラート(Yb(OTf))、塩化チタン(IV)(TiCl)、テトラメトキシチタン(IV)(Ti(OMe))(テトラメトキシチタン(IV)は、チタン(IV)テトラメトキシドとも言う)、テトライソプロポキシチタン(IV)(Ti(OPr−i))(テトライソプロポキシチタン(IV)は、チタン(IV)テトライソプロポキシドとも言う)、塩化ジルコニウム(IV)(ZrCl)、ハフニウム(IV)トリフラート(Hf(OTf))、ハフニウム(IV)ヘプタデカフルオロオクタンスルホネート(Hf(OSO17)、塩化バナジウム(III)(VCl)、酸化バナジウム(V)(V)、塩化マンガン(II)(MnCl)(四水和物等を含む)、硫酸マンガン(II)(MnSO)(五水和物等を含む)、塩化鉄(II)(FeCl)(四水和物を含む)、酢酸鉄(II)(Fe(OAc))、鉄(II)トリフラート(Fe(OTf))、塩化鉄(III)(FeCl)、臭化鉄(III)(FeBr)、鉄(III)トリフラート(Fe(OTf))、塩化ルテニウム(III)(RuCl)、塩化コバルト(II)(CoCl)(六水和物を含む)、硫酸コバルト(II)(CoSO)(七水和物を含む)、酢酸コバルト(II)、(Co(OAc))(四水和物を含む)、酢酸ロジウム(II)(Rh(OAc))(水和物及び二量体を含む)、塩化ロジウム(III)(RhCl)(三水和物を含む)、塩化イリジウム(III)(IrCl)、塩化ニッケル(II)(NiCl)(六水和物を含む)、酢酸ニッケル(II)、(Ni(OAc))(四水和物を含む)、ニッケル(II)トリフラート(Ni(OTf))、塩化パラジウム(II)(PdCl)、酢酸パラジウム(II)、(Pd(OAc))、塩化白金(II)(PtCl)、塩化銅(I)(CuCl)、臭化銅(I)(CuBr)、ヨウ化銅(I)(CuI)、銅(I)トリフラートベンゼン錯体(CuOTf・C)、銅(I)トリフラートトルエン錯体(CuOTf・CCH)、塩化銅(II)(CuCl)(二水和物を含む)、臭化銅(II)(CuBr)、酢酸銅(II)(Cu(OAc))、銅(II)トリフラート(Cu(OTf))(銅(II)トリフラートは、銅(II)トリフルオロメタンスルホネート(Cu(OSOCF)とも言う)、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド銅(II)(Cu(NTf)、塩化銀(AgCl)、銀(I)トリフラート(AgOTf)、塩化亜鉛(ZnCl)、臭化亜鉛(ZnBr)、ヨウ化亜鉛(ZnI)、亜鉛(II)トリフラート(Zn(OTf))、三フッ化ホウ素エチルエーテル錯体(ボロントリフルオリド エチルエーテル コンプレックス)(BF・OEt)、三フッ化ホウ素ブチルエーテル錯体(BF・n−BuO)、三フッ化ホウ素テトラヒドロフランエーテル錯体(BF・THF)、三フッ化ホウ素メタノール錯体(BF・MeOH)、三フッ化ホウ素アセトニトリル錯体(BF・MeCN)、トリメトキシボラン(B(OMe))、塩化アルミニウム(AlCl)、臭化アルミニウム(AlBr)、トリメトキシアルミニウム(Al(OMe))、塩化ガリウム(III)(GaCl)、塩化インジウム(III)(InCl)、塩化ゲルマニウム(II)(GeCl)、塩化ゲルマニウム(IV)(GeCl)、塩化ビスマス(III)(BiCl)、ビスマス(III)トリフラート(Bi(OTf))、塩化スズ(II)(SnCl)、スズ(II)トリフラート(Sn(OTf))、塩化スズ(IV)(SnCl)。
上記e−1及びe−2について、ルイス酸の好ましい具体的な例は、以下を含む;
マグネシウムトリフラート(Mg(OTf))、マグネシウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(Mg(NTf)、カルシウムトリフラート(Ca(OTf))、カルシウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(Ca(NTf)、スカンジウム(III)トリフラート(Sc(OTf))、塩化チタン(IV)(TiCl)、テトラメトキシチタン(IV)(Ti(OMe))、テトライソプロポキシチタン(IV)(Ti(OPr−i))、塩化鉄(III)(FeCl)、臭化鉄(III)(FeBr)、鉄(III)トリフラート(Fe(OTf))、塩化ニッケル(II)(NiCl)(六水和物を含む)、酢酸ニッケル(II)、(Ni(OAc))(四水和物を含む)、ニッケル(II)トリフラート(Ni(OTf))、塩化銅(I)(CuCl)、臭化銅(I)(CuBr)、ヨウ化銅(I)(CuI)、銅(I)トリフラートベンゼン錯体(CuOTf・C)、銅(I)トリフラートトルエン錯体(CuOTf・CCH)、塩化銅(II)(CuCl)(二水和物を含む)、臭化銅(II)(CuBr)、酢酸銅(II)(Cu(OAc))、銅(II)トリフラート(Cu(OTf))、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド銅(II)(Cu(NTf)、塩化銀(AgCl)、銀(I)トリフラート(AgOTf)、塩化亜鉛(ZnCl)、臭化亜鉛(ZnBr)、亜鉛(II)トリフラート(Zn(OTf))、三フッ化ホウ素エチルエーテル錯体(BF・OEt)、三フッ化ホウ素ブチルエーテル錯体(BF・n−BuO)、三フッ化ホウ素テトラヒドロフランエーテル錯体(BF・THF)、塩化アルミニウム(AlCl)、臭化アルミニウム(AlBr)、スズ(II)トリフラート(Sn(OTf))、塩化スズ(IV)(SnCl)。
上記e−1及びe−2について、ルイス酸のより好ましい具体的な例は、以下を含む;マグネシウムトリフラート(Mg(OTf))、マグネシウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(Mg(NTf)、カルシウムトリフラート(Ca(OTf))、カルシウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(Ca(NTf)、スカンジウム(III)トリフラート(Sc(OTf))、塩化銅(II)(CuCl)(二水和物を含む)、臭化銅(II)(CuBr)、酢酸銅(II)(Cu(OAc))、銅(II)トリフラート(Cu(OTf))、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド銅(II)(Cu(NTf)、塩化銀(AgCl)、銀(I)トリフラート(AgOTf)。
上記e−1及びe−2について、ルイス酸のさらに好ましい具体的な例は、以下を含む;
カルシウムトリフラート(Ca(OTf))、銅(II)トリフラート(Cu(OTf))、銀(I)トリフラート(AgOTf)。
遷移金属トリフレートについて説明する。一つの態様では、カチオンとしての遷移金属イオンとアニオンとしてのトリフレートイオンから形成される化合物である。遷移金属イオンは上記の通りである。トリフレートイオンは、上記の通り、トリフルオロメタンスルホン酸イオン(CFSO ;TfO)である。
遷移金属イオンとトリフレートイオンから形成される遷移金属トリフレートは、遷移金属イオンとトリフレートイオン以外の成分を含んでもよい。
別の態様では、遷移金属トリフレートは、以下の式で表される化合物である。
M’Z’m
(式中、M’はカチオンとしての遷移金属イオンであり、
Zは、アニオンとしてのトリフレートイオンであり、
mは1〜4の整数である。
ここで、遷移金属イオンは上記の通りであり、トリフレートイオンは上記の通りである。
遷移金属トリフレートの具体的な例は、上記のルイス酸の具体的な例のうちの適切な例である。遷移金属トリフレートの好ましい具体的な例は、上記のルイス酸の好ましい具体的な例のうちの適切な例である。遷移金属トリフレートのより好ましい具体的な例は、上記のルイス酸のより好ましい具体的な例のうちの適切な例である。遷移金属トリフレートのさらに好ましい具体的な例は、上記のルイス酸のさらに好ましい具体的な例のうちの適切な例である。
e−3)更に別の態様では、ルイス酸の例は、ヨウ素、臭素、塩素等のハロゲン類を含む。ハロゲン類のさらに好ましい具体的な例は、ヨウ素である。
f)固体酸類
工程(B)の酸触媒として、固体酸を使用することができる。
固体酸の例は、陽イオン交換樹脂、ヘテロポリ酸、ゼオライト、モンモリロナイト、アルミナ等を含むが、これらに限定されない。
本明細書中、用語「陽イオン交換樹脂」は、特に限定されず、強酸性又は弱酸性の公知の陽イオン交換樹脂を意味する。陽イオン交換樹脂の例は、三菱化学社製のダイヤイオン(登録商標)シリーズ(例えば、ダイヤイオンSK1B、SK110、SK116、P206、WK40等)、ロームアンドハース社製のアンバーライト(登録商標)シリーズ(例えば、アンバーライトIR−120B、IR−200CT、IRC50、IR−124等)、ザ・ダウケミカル・カンパニー社製のダウエックス(登録商標)シリーズ(例えば、50W-X8等)等を含むが、これらに限定されない。
ヘテロポリ酸の例は12モリブド(VI)リン酸n水和物(12-molybdo(VI)phosphoric acid n-hydrate;H[PMo1240]・nHO(n≒30))、12タングスト(VI)リン酸n水和物(12-tungsto(VI)phosphoric acid n-hydrate;H[PW1240]・nHO(n≒30))、12タングスト(VI)ケイ酸n水和物(12-tungsto(VI)silicic acid n-hydrate;H[SiW1240]・nHO (n≒30、例えばn≒26))等を含むが、これらに限定されない。12モリブド(VI)リン酸n水和物はリンモリブデン酸n水和物(phosphomolybdic acid n-hydrate)とも言う。12タングスト(VI)リン酸n水和物はリンタングステン酸n水和物(phosphotungstic acid n-hydrate)とも言う。12タングスト(VI)ケイ酸n水和物はケイタングステン酸n水和物(silicotungstic acid n-hydrate)とも言う。
工程(B)の酸触媒として、ヘテロポリ酸の塩も使用することができる。
ヘテロポリ酸の塩の例は、12モリブド(VI)リン酸ナトリウムn水和物(sodium 12-molybdo(VI)phosphate n-hydrate;Na[PMo1240]・nHO(n≒30))等を含むが、これに限定されない。12モリブド(VI)リン酸ナトリウムn水和物はリンモリブデン酸ナトリウムn水和物(sodium phsophomolybdate n-hydrate)とも言う。
ゼオライトの例は、ZSM−5型、モルデナイト型、L型、Y型、X型及びベータ型、等を含むが、これらに限定されない
上記の例の中でも、好ましい群は以下の通りであるが、これらに限定されない。
鉱酸類、カルボン酸類、スルホン酸類、リン酸類及びルイス酸類からなる群より選ばれる1個以上(好ましくは1〜3個、より好ましくは1又2個、更に好ましくは1個)の酸触媒が好ましい。
塩酸、硫酸、硝酸、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、マレイン酸、無水マレイン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、10−カンファースルホン酸、リン酸、リン酸エチル、リン酸フェニル、リン酸ジエチル、リン酸ジフェニル、遷移金属トリフレート、及びヨウ素からなる群より選ばれる1個以上(好ましくは1〜3個、より好ましくは1又2個、更に好ましくは1個)の酸触媒がより好ましい。
塩酸、硫酸、硝酸、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、マレイン酸、無水マレイン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、10−カンファースルホン酸、リン酸ジフェニル、銅(II)トリフラート、銀(I)トリフラート、及びヨウ素からなる群より選ばれる1個以上(好ましくは1〜3個、より好ましくは1又2個、更に好ましくは1個)の酸触媒が更に好ましい。
硝酸、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、マレイン酸、無水マレイン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、10−カンファースルホン酸、及びリン酸ジフェニルからなる群より選ばれる1個以上(好ましくは1〜3個、より好ましくは1又2個、更に好ましくは1個)の酸触媒が更に好ましい。
硝酸、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、マレイン酸、無水マレイン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、及びリン酸ジフェニルからなる群より選ばれる1個以上(好ましくは1〜3個、より好ましくは1又2個、更に好ましくは1個)の酸触媒が更に好ましい。
硝酸、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、マレイン酸、無水マレイン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、及びリン酸ジフェニルからなる群より選ばれる1個以上(好ましくは1〜3個、より好ましくは1又2個、更に好ましくは1個)の酸触媒が更に好ましい。
硝酸、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、マレイン酸、無水マレイン酸、ベンゼンスルホン酸、及びp−トルエンスルホン酸からなる群より選ばれる1個以上(好ましくは1〜3個、より好ましくは1又2個、更に好ましくは1個)の酸触媒が更に好ましい。
硝酸、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、マレイン酸、無水マレイン酸、及びp−トルエンスルホン酸からなる群より選ばれる1個以上(好ましくは1〜3個、より好ましくは1又2個、更に好ましくは1個)の酸触媒が更に好ましい。
硝酸、トリフルオロ酢酸、マレイン酸、及びp−トルエンスルホン酸からなる群より選ばれる1個以上(好ましくは1〜3個、より好ましくは1又2個、更に好ましくは1個)の酸触媒が更に好ましい。
トリフルオロ酢酸、マレイン酸、又は無水マレイン酸が更に好ましい。
トリフルオロ酢酸又はマレイン酸が更に好ましい。
工程(B)の酸触媒は、単独で又は任意の割合の2種以上の組み合わせで使用してもよい。工程(B)の酸触媒の形態は、反応が進行する限りは、いずれの形態でもよい。その形態の例は、酸触媒のみの固体、液体及び気体、並びに任意の濃度の水溶液及び水以外の溶媒(例えば、有機溶媒)の溶液等を含む。その形態は当業者が適切に選択することができる。
工程(B)の酸触媒の使用量は、反応が進行する限りは、いずれの量でもよい。収率、副生成物抑制、経済効率等の観点から、式(2)の化合物1モルに対して、0.001〜1.0モル、好ましくは0.001〜0.5モル、より好ましくは0.01〜0.5モル、更に好ましくは0.01〜0.3モル、更に好ましくは0.01〜0.2モル、更に好ましくは0.02〜0.2モルの範囲を例示できる。
(工程(B)の塩基触媒)
工程(B)の反応では、酸触媒の存在が必須であるが、酸触媒に加えて、塩基触媒の存在下で反応を行ってもよい。工程(B)の塩基触媒は、反応が進行する限りは、いずれの塩基触媒でもよい。加えて、反応が進行する限りは、以下のいずれの形態が使用されてもよく、本発明の範囲に含まれる。塩基触媒として、遊離の塩基を使用できる。塩基触媒は塩の形態で使用してもよい。塩基触媒が塩の場合は、塩基触媒は単塩でもよく、複塩でもよい。
工程(B)の塩基触媒の例は、以下を含むが、これらに限定されない。
塩基触媒としては、アミン類が好ましい。
アミン類は、下記式:
(式中、R、R及びRはそれぞれ独立して、水素、置換されていてもよい(C1−C6)アルキル;置換されていてもよい(C3−C6)シクロアルキル;置換されていてもよい(C2−C6)アルケニル;置換されていてもよい(C2−C6)アルキニル;又は置換されていてもよいアリールであり;あるいはR、R及びRのいずれか2つはそれらが結合している窒素原子と一緒になって、4〜12員の複素環を形成し、ここで形成された環は置換されていてもよい。ここで、R、R及びRの少なくとも一つは水素ではない)
の第1級アミン、第2級アミン、第3級アミン、又は複素環式アミンであってよい。
第1級アミンの具体的な例は、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、アニリン等を含むが、これらに限定されない。
第2級アミンの具体的な例は、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、N−メチルアニリン(PhNHMe)、N−エチルアニリン、ピペリジン、モルホリン等を含むが、これらに限定されない。
第3級アミンの具体的な例は、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン等を含むが、これらに限定されない。
複素環式アミンの具体的な例は、ピリジン、4−(ジメチルアミノ)−ピリジン、4−ピロリジノピリジン、2,6−ルチジン、キノリン、イソキノリン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデカ−7−エン(DBU)、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン(DBN)等を含むが、これらに限定されない。
4−(ジメチルアミノ)−ピリジン、4−ピロリジノピリジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデカ−7−エン(DBU)、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン(DBN)は、3級アミンにも属する。
アミン類の例は、イミダゾリノン類もまた含む。イミダゾリノン類の具体的な例は、(2S,5S)−2−tert−ブチル−3−メチル−5−ベンジル−4−イミダゾリノン及びそのジアステレオマー等の光学異性体、並びにそれらの類縁体を含む。しかしながら、イミダゾリノン類は高価であるから、イミダゾリノン類を使用しないことが工業的に好ましい。
収率、経済効率等の観点から、塩基触媒の好ましい具体的な例は、N−メチルアニリン、モルホリン、及びピロリジン、より好ましくはN−メチルアニリンを含む。
工程(B)の塩基触媒の使用量は、反応が進行する限りは、いずれの量でもよい。しかしながら、塩基触媒の当量は酸触媒の当量よりも少ないことが好ましい。収率、副生成物抑制、経済効率等の観点から、酸触媒1当量に対して、0(ゼロ)〜1当量、好ましくは0〜0.9当量、より好ましくは0〜0.5当量、更に好ましくは0〜0.4当量の範囲を例示できる。酸触媒1当量に対して、0.05〜1当量、好ましくは0.05〜0.9当量、より好ましくは0.1〜0.5当量、更に好ましくは0.1〜0.4当量、更に好ましくは0.2〜0.4当量の範囲もまた例示できる。
(工程(B)の溶媒)
工程(B)の反応は、溶媒の存在下又は非存在下で行うことができる。工程(B)で溶媒を用いるか否かは、当業者が適切に決定することができる。工程(B)の溶媒は、工程(B)の反応が進行する限りは、いずれの溶媒でもよい。その溶媒は当業者が適切に選択することができる。
工程(B)の溶媒の例は、水、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノール、ブタノール、tert−ブタノール(tert−ブタノールはtert−ブチルアルコールとも言う)等)、エーテル類(例えば、テトラヒドロフラン(THF)、1,4−ジオキサン、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジ−tert−ブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)、メチル−tert−ブチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン(DME)、ジグリム(diglyme)、トリグリム(triglyme)等)、ニトリル類(例えば、アセトニトリル等)、アミド類(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)、N−メチルピロリドン(NMP)等)、アルキル尿素類(例えば、N,N’−ジメチルイミダゾリジノン(DMI)等)、スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)等)、スルホン類(例えば、スルホラン等)、カルボン酸エステル類(例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル等)、芳香族炭化水素誘導体類(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン等)、脂肪族炭化水素類(例えば、ヘキサン、へプタン、オクタン、シクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等)、ハロゲン化脂肪族炭化水素類(例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン(EDC)等)及び任意の割合のそれらの任意の組み合わせを含むが、これらに限定されない。
反応性、収率、経済効率等の観点から、一つの態様では、工程(B)の溶媒の好ましい例は、水、アルコール類、ニトリル類、エーテル類、芳香族炭化水素誘導体類、ハロゲン化脂肪族炭化水素類及び任意の割合のそれらの任意の組み合わせ、より好ましくは水、ニトリル類、芳香族炭化水素誘導体類、ハロゲン化脂肪族炭化水素類及び任意の割合のそれらの任意の組み合わせ、更に好ましくは水、芳香族炭化水素誘導体類、ハロゲン化脂肪族炭化水素類及び任意の割合のそれらの任意の組み合わせ、更に好ましくは水、ハロゲン化脂肪族炭化水素類及び任意の割合のそれらの任意の組み合わせ、更に好ましくは任意の割合の水とハロゲン化脂肪族炭化水素類の組み合わせを含む。工程(B)の溶媒の好ましい具体的な例は、水、メタノール、エタノール、2−プロパノール、tert−ブタノール、アセトニトリル、テトラヒドロフラン(THF)、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジクロロメタン及び任意の割合のそれらの任意の組み合わせ、より好ましくは水、アセトニトリル、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジクロロメタン及び任意の割合のそれらの任意の組み合わせ、更に好ましくは水、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジクロロメタン及び任意の割合のそれらの任意の組み合わせ、更に好ましくは水、ジクロロメタン及び任意の割合のそれらの任意の組み合わせ、更に好ましくは任意の割合の水とジクロロメタンの組み合わせを含む。ただし、いずれの場合も水が存在する。別の態様では、工程(B)の溶媒の好ましい例は、水、アルコール類、ニトリル類、エーテル類、芳香族炭化水素誘導体類、ハロゲン化脂肪族炭化水素類及び任意の割合のそれらの任意の組み合わせ、より好ましくは水、アルコール類、ニトリル類、ハロゲン化脂肪族炭化水素類及び任意の割合のそれらの任意の組み合わせ、更に好ましくは水、ニトリル類、ハロゲン化脂肪族炭化水素類及び任意の割合のそれらの任意の組み合わせ、更に好ましくは水、ハロゲン化脂肪族炭化水素類及び任意の割合のそれらの任意の組み合わせ、更に好ましくは任意の割合の水とハロゲン化脂肪族炭化水素類の組み合わせを含む。工程(B)の溶媒の好ましい具体的な例は、水、メタノール、エタノール、2−プロパノール、tert−ブタノール、アセトニトリル、テトラヒドロフラン(THF)、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジクロロメタン及び任意の割合のそれらの任意の組み合わせ、より好ましくは水、メタノール、エタノール、2−プロパノール、tert−ブタノール、アセトニトリル、ジクロロメタン及び任意の割合のそれらの任意の組み合わせ、更に好ましくは水、アセトニトリル、ジクロロメタン及び任意の割合のそれらの任意の組み合わせ、更に好ましくは水、ジクロロメタン及び任意の割合のそれらの任意の組み合わせ、更に好ましくは任意の割合の水とジクロロメタンの組み合わせを含む。ただし、いずれの場合も水が存在する。更に別の態様では、工程(B)の溶媒の好ましい例は、アルコール類、ニトリル類、エーテル類、芳香族炭化水素誘導体類、ハロゲン化脂肪族炭化水素類及び任意の割合のそれらの任意の組み合わせ、より好ましくはニトリル類、芳香族炭化水素誘導体類、ハロゲン化脂肪族炭化水素類及び任意の割合のそれらの任意の組み合わせ、更に好ましくは芳香族炭化水素誘導体類、ハロゲン化脂肪族炭化水素類及び任意の割合のそれらの任意の組み合わせ、特に好ましくはハロゲン化脂肪族炭化水素類を含む。工程(B)の溶媒の好ましい具体的な例は、メタノール、エタノール、2−プロパノール、tert−ブタノール、アセトニトリル、テトラヒドロフラン(THF)、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジクロロメタン及び任意の割合のそれらの任意の組み合わせ、より好ましくはアセトニトリル、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジクロロメタン及び任意の割合のそれらの任意の組み合わせ、更に好ましくはトルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジクロロメタン及び任意の割合のそれらの任意の組み合わせ、特に好ましくはジクロロメタンを含む。更に別の態様では、工程(B)の溶媒の好ましい例は、アルコール類、ニトリル類、エーテル類、芳香族炭化水素誘導体類、ハロゲン化脂肪族炭化水素類及び任意の割合のそれらの任意の組み合わせ、より好ましくはアルコール類、ニトリル類、ハロゲン化脂肪族炭化水素類及び任意の割合のそれらの任意の組み合わせ、更に好ましくはニトリル類、ハロゲン化脂肪族炭化水素類及び任意の割合のそれらの任意の組み合わせ、特に好ましくはハロゲン化脂肪族炭化水素類を含む。工程(B)の溶媒の好ましい具体的な例は、メタノール、エタノール、2−プロパノール、tert−ブタノール、アセトニトリル、テトラヒドロフラン(THF)、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジクロロメタン及び任意の割合のそれらの任意の組み合わせ、より好ましくはメタノール、エタノール、2−プロパノール、tert−ブタノール、アセトニトリル、ジクロロメタン及び任意の割合のそれらの任意の組み合わせ、更に好ましくはアセトニトリル、ジクロロメタン及び任意の割合のそれらの任意の組み合わせ、特に好ましくはジクロロメタンを含む。
工程(B)の溶媒の使用量は、反応系の撹拌が十分にできる限りは、いずれの量でもよい。収率、副生成物抑制、経済効率等の観点から、式(2)の化合物1モルに対して、0(ゼロ)〜10L(リットル)、好ましくは0〜5L、より好ましくは0.05〜2L、更に好ましくは0.1〜2L、更に好ましくは0.1〜1Lの範囲を例示できる。しかしながら、その使用量は当業者が適切に調整することができる。2種以上の溶媒の組み合わせを用いるときは、2種以上の溶媒の割合は、反応が進行する限りは、いずれの割合でもよい。その割合は当業者が適切に調整することができる。溶媒は、反応が進行する限りは、単層でも2層に分離してもよい。
(工程(B)の反応温度)
工程(B)の反応温度は、特に制限されない。収率、副生成物抑制、経済効率等の観点から、−10℃(マイナス10℃)〜160℃、より好ましくは0℃〜100℃、更に好ましくは10℃〜100℃、更に好ましくは10℃〜80℃、更に好ましくは10℃〜50℃の範囲を例示できる。しかしながら、反応温度は当業者が適切に調整することができる。
(工程(B)の反応時間)
(工程(B)の反応時間は、特に制限されない。収率、副生成物抑制、経済効率等の観点から、0.5時間〜72時間、好ましくは1時間〜48時間、より好ましくは1時間〜24時間、好ましくは2時間〜24時間の範囲を例示できる。しかしながら、反応時間は当業者が適切に調整することができる。
(工程(B)の生成物;式(3)の化合物)
工程(B)の生成物は、原料として用いた式(2)の化合物に相当する5,5−ジ置換−4,5−ジヒドロイソオキサゾールである。工程(B)で得られる式(3)の化合物の具体的な例は、以下を含むが、これらに限定されない;5,5−ジメチル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール、5−エチル−5−メチル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール、5,5−ジエチル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール、5−イソプロピル−5−メチル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール、5−(tert−ブチル)−5−メチル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール、5−(クロロメチル)−5−メチル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール、5−メチル−5−(トリフルオロメチル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール、5−シクロプロピル−5−メチル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール、5−オキサ−6−アザスピロ[3.4]オクタ−6−エン、1−メチル−2−メチル[4.4]ノナ−2−エン、1−メチル−2−メチル[4.5]デカ−2−エン、5−ブチル−5−メチル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール、5−メチル−5−(4−メチルペンタ−3−エン−1−イル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール、5−メチル−5−(4−メチルペンチル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール、4’H−スピロ[フルオレン−9,5’−イソオキサゾール]、5,5−ジフェニル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール、5,5−ビス(4−メチルフェニル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール、5,5−ビス(4−メトキシフェニル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール、5,5−ビス(4−クロロフェニル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール、5−メチル−5−フェニル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール、5−エチル−5−フェニル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール、5−(4−メチルフェニル)−5−メチル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール、5−(4−メトキシフェニル)−5−メチル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール、5−(4−クロロフェニル)−5−メチル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール等。生成物の有用性等の観点から、式(3)の化合物の好ましい具体的な例は、5,5−ジメチル−4,5−ジヒドロイソオキサゾールである。
別段に示されない限り、本明細書で使用される量、大きさ、濃度、反応条件などの特徴を表す数字は、用語「約」によって修飾されると理解される。いくつかの態様では、開示された数値は、報告された有効数字の桁数と、通常の丸め手法を適用して解釈される。いくつかの態様では、開示された数値は、それぞれの試験測定方法に見られる標準偏差から必然的に生じる誤差を含むと解釈される。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、これら実施例によって何ら限定されない。
本明細書中、室温は10℃から35℃である。
実施例1
3−メチル−2−ブテナールオキシム(2−a)の製造
工程(A;オキシム化)
Figure 0006737966
3−メチル−2−ブテナール(1−a、10.0g、119mmol、100mol%)をジクロロメタン(60ml、0.5L/mol)に溶解した。内温が30〜40℃になるように、そこに50%ヒドロキシルアミン水溶液(7.9g、119mmol、100mol%)を滴下した(発熱反応)。滴下終了後、混合物を室温で4時間撹拌した。反応終了後、食塩水(10ml)を加えて、撹拌した。得られた混合物を有機層と水層に分配した。有機層と水層を分離し、有機層を得た。得られた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮して、3−メチル−2−ブテナールオキシム(2−a、無色半固体、11.9g、純度:98%(GC面積百分率)、118mmol、収率:99%(定量的)、E/Z比:61/39(GC面積百分率))を得た。
H−NMR(400MHz,CDCl)δ(ppm,TMS基準):1.82−1.84(m,3H,E異性体),1.85−1.87(m,3H,E異性体),1.87−1.89(m,3H,Z異性体),1.90−1.92(m,3H,Z異性体),5.91(dq,J=1.3,10.4Hz,1H,E異性体),6.52(dq,J=1.3,9.9Hz,1H,Z異性体),7.34(d,J=9.9Hz,1H,Z異性体),8.04(d,J=10.4Hz,1H,E異性体),8.40(bs,1H,E及び/又はZ異性体).
13C−NMR(100MHz,CDCl)δ(ppm):18.5(E及びZ異性体),26.1(Z異性体),26.4(E異性体),113.5(Z異性体),118.1(E異性体),144.1(E異性体),145.1(Z異性体),146.5(Z異性体),148.7(E異性体).
実施例2
5,5−ジメチル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール(3−a)の製造
工程(B;環化)
Figure 0006737966
実施例1と同じように調製した3−メチル−2−ブテナールオキシム(2−a、11.9g、純度:98%(GC面積百分率)、118mmol、100mol%、E/Z比:61/39(GC面積百分率))をジクロロメタン(24ml、0.2L/mol)に溶解した。そこに69%硝酸(1.1g、11.8mmol、10mol%)を加えて、室温で48時間撹拌した。反応混合物のGC分析(面積百分率)の結果、反応混合物中の溶媒等を除く主な成分は次の通りであった;5,5−ジメチル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール(3−a;目的生成物):95%、3−メチル−2−ブテナールオキシム(2−a;原料):3%。反応混合物にジエチルエーテル(30ml)を加え、得られた混合物を有機層と水層に分配した。有機層と水層を分離し、有機層を得た。炭酸ナトリウム水溶液、食塩水で順次洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧で濃縮した。得られた粗生成物を減圧蒸留により精製して、5,5−ジメチル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール(3−a、無色油状物、8.4g、純度:99%(GC面積百分率)、85.6mmol、収率:73%、沸点:75〜77℃/50Torr)を得た。
H−NMR(400MHz,CDCl)δ(ppm,TMS基準):1.40(s,6H),2.75(d,J=1.9Hz,2H),7.06(s,1H).
沸点:154.9℃/1atm(TG−DTA:熱重量−示差熱同時分析)。TG−DTAには次の機器を用いた。機器:DSC3100S(MAC Science Co.,Ltd.製)。
実施例3
5,5−ジメチル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール(3−a)の製造
工程(A;オキシム化)及び工程(B;環化)
Figure 0006737966
(1)オキシム化
3−メチル−2−ブテナール(1−a、15.0g、178mmol、100mol%)をジクロロメタン(90ml、0.5L/mol)に溶解した。内温が30〜40℃になるように、そこに50%ヒドロキシルアミン水溶液(11.8g、178mmol、100mol%)を滴下した(発熱反応)。滴下終了後、混合物を室温で4時間撹拌した。反応終了後、食塩水(10ml)を加えて、撹拌した。得られた混合物を有機層と水層に分配した。有機層と水層を分離し、有機層を得た。得られた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下(400Torr)で40℃(バス温度)で有機層の量が36gになるまで濃縮して、粗製の3−メチル−2−ブテナールオキシム(収率:定量的、ジクロロメタン約14mlを含む)を得た。
(2)環化反応
上記(1)で得られた3−メチル−2−ブテナールオキシムとジクロロメタンの混合物に、反応系内のジクロロメタンの合計量が約36ml(0.2L/mol)になるように、ジクロロメタン(22ml)を加えた。そこにトリフルオロ酢酸(TFA、2.03g、比重:1.49、1.36ml、17.8mmol、10mol%)を加えて、室温で48時間撹拌した。反応混合物のGC分析(面積百分率)の結果、反応混合物中の溶媒等を除く主な成分は次の通りであった;5,5−ジメチル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール(3−a;目的生成物):94%、3−メチル−2−ブテナールオキシム(2−a;中間体):1%。反応混合物にジエチルエーテル(40ml)を加え、得られた混合物を有機層と水層に分配した。有機層と水層を分離し、有機層を得た。炭酸ナトリウム水溶液、食塩水で順次洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧で濃縮した。得られた粗生成物を減圧蒸留により精製して、5,5−ジメチル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール(3−a、無色油状物、13.7g、純度:99%(GC面積百分率)、137mmol、収率:77%(2工程)、沸点:75〜77℃/50Torr)を得た。
実施例4
5,5−ジメチル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール(3−a)の製造
工程(A;オキシム化)及び工程(B;環化)
Figure 0006737966
(1)オキシム化
3−メチル−2−ブテナール(1−a、10.0g、119mmol、100mol%)をジクロロメタン(60ml、0.5L/mol)に溶解した。内温が30〜40℃になるように、そこに50%ヒドロキシルアミン水溶液(7.9g、119mmol、100mol%)を滴下した(発熱反応)。滴下終了後、混合物を室温で4時間撹拌した。反応終了後、食塩水(10ml)を加えて、撹拌した。得られた混合物を有機層と水層に分配した。有機層と水層を分離し、有機層を得た。得られた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下(400Torr)で40℃(バス温度)で有機層の量が31gになるまで濃縮して、粗製の3−メチル−2−ブテナールオキシム(収率:定量的、ジクロロメタン約14mlを含む)を得た。
(2)環化反応
上記(1)で得られた3−メチル−2−ブテナールオキシムとジクロロメタンの混合物に、反応系内のジクロロメタンの合計量が約24ml(0.2L/mol)になるように、ジクロロメタン(10ml)を加えた。そこにp−トルエンスルホン酸一水和物(PTS・HO、2.3g、11.9mmol、10mol%)を加えて、室温で60時間撹拌した。反応混合物のGC分析(面積百分率)の結果、反応混合物中の溶媒等を除く主な成分は次の通りであった;5,5−ジメチル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール(3−a;目的生成物):95%、3−メチル−2−ブテナールオキシム(2−a;中間体):3%。反応混合物にジエチルエーテル(30ml)を加え、得られた混合物を有機層と水層に分配した。有機層と水層を分離し、有機層を得た。炭酸ナトリウム水溶液、食塩水で順次洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧で濃縮した。得られた粗生成物を減圧蒸留により精製して、5,5−ジメチル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール(3−a、無色油状物、8.3g、純度:99%(GC面積百分率)、83mmol、収率:70%、沸点:75〜77℃/50Torr)を得た。
実施例5
5,5−ジメチル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール(3−a)の製造
工程(A;オキシム化)及び工程(B;環化)
Figure 0006737966
(1)オキシム化
3−メチル−2−ブテナール(1−a、10.0g、119mmol、100mol%)をジクロロメタン(60ml、0.5L/mol)に溶解した。内温が30〜40℃になるように、そこに50%ヒドロキシルアミン水溶液(7.9g、119mmol、100mol%)を滴下した(発熱反応)。滴下終了後、混合物を室温で4時間撹拌した。反応終了後、食塩水(10ml)を加えて、撹拌した。得られた混合物を有機層と水層に分配した。有機層と水層を分離し、有機層を得た。得られた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下(400Torr)で40℃(バス温度)で有機層の量が33gになるまで濃縮して、粗製の3−メチル−2−ブテナールオキシム(収率:定量的、ジクロロメタン約16mlを含む)を得た。
(2)環化反応
上記(1)で得られた3−メチル−2−ブテナールオキシムとジクロロメタンの混合物に、反応系内のジクロロメタンの合計量が約24ml(0.2L/mol)になるように、ジクロロメタン(8ml)を加えた。そこにマレイン酸(1.38g、11.9mmol、10mol%)を加えて、室温で60時間撹拌した。反応混合物のGC分析(面積百分率)の結果、反応混合物中の溶媒等を除く主な成分は次の通りであった;5,5−ジメチル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール(3−a;目的生成物):97%。3−メチル−2−ブテナールオキシム(2−a;中間体)は消失していた。反応混合物にジエチルエーテル(30ml)を加え、得られた混合物を有機層と水層に分配した。有機層と水層を分離し、有機層を得た。炭酸ナトリウム水溶液、食塩水で順次洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧で濃縮した。得られた粗生成物を減圧蒸留により精製して、5,5−ジメチル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール(3−a、無色油状物、9.3g、純度:99%(GC面積百分率)、94mmol、収率:79%、沸点:75〜77℃/50Torr)を得た。
実施例6
5,5−ジメチル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール(3−a)の製造
工程(B;環化)
Figure 0006737966
実施例1と類似の方法で調製した3−メチル−2−ブテナールオキシム(2−a;215mg、純度:95%(定量NMR、内部標準:ジメチルスルホン)、2.06mmol、100mol%、E/Z比:62/38(NMR))をジクロロメタン(0.43ml、0.2L/mol)に溶解した。そこにp−トルエンスルホン酸一水和物(PTS・HO、41mg、0.22mmol、10.5mol%)を加え、室温で72時間撹拌した。反応混合物のGC分析(面積百分率)の結果、反応混合物中の溶媒等を除く主な成分は次の通りであった;5,5−ジメチル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール(3−a;目的生成物):91%、3−メチル−2−ブテナールオキシム(2−a;原料):6%。ジメチルスルホン(62.4mg、0.663mmol)を内部標準として用いる定量NMR分析の結果、5,5−ジメチル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール(3−a;目的生成物)の収率は74%(151mg、1.52mmol)であった。
実施例7〜29及び比較例1
5,5−ジメチル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール(3−a)の製造
工程(B;環化);環化触媒の検討
Figure 0006737966
実施例1と類似の方法で調製した3−メチル−2−ブテナールオキシム(2−a)を原料として用いて、下記の表に示すように反応条件を変更して、上記の反応を行った。
つまり、原料としての3−メチル−2−ブテナールオキシム(2−a、100mg、E/Z比:62/38(NMR))を下表に示した溶媒に溶解して、そこに下表に示した触媒を加え、所定の温度で所定の時間撹拌した。実施例9では10mol%のヘキサフルオロリン酸テトラブチルアンモニウム(tetrabutylammonium hexafluorophosphate;BuPF )を加えた。実施例12では、0.5gの原料を使用した。結果を下表に示す。下表では、反応混合物のGC分析(面積百分率)の結果を収率として示す。
Figure 0006737966
r.t.:室温
CHCl:ジクロロメタン
EDC:エチレンジクロリド(1,2−ジクロロエタン)
AgOTf:銀(I)トリフラート
Cu(OTf):銅(II)トリフラート
Ca(NTf:カルシウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド
CAS:10−カンファースルホン酸
TsOH・HO:p−トルエンスルホン酸一水和物
TfOH:トリフルオロメタンスルホン酸
MsOH:メタンスルホン酸
di−Ph Phosphate:ジフェニルリン酸
PhNHMe:N−メチルアニリン
実施例7〜27の結果はルイス酸類、鉱酸類、スルホン酸類、カルボン酸類、リン酸類など種々の酸触媒が環化触媒として有用であることを示している。
実施例28及び29は、酸触媒と同じ当量の塩基触媒(N−メチルアニリン)を加えたこと以外は、実施例22及び27と同じ条件で行った。これらの実施例は、意外にも、酸触媒と同じ当量の塩基触媒の存在は収率の向上に寄与しないことを示している。
特表2013-512202(特許文献2)並びにSynlett 2008, No. 6, 827-830(非特許文献1)及びChem. Eur. J. 2010, Vol. 16, 11325-11339(非特許文献2)は、酸塩基触媒の存在下で環化反応を行う方法を開示している。特に、特許文献2は酸触媒のみよりも、酸触媒と同じ当量のN−メチルアニリンのような塩基触媒を含む酸塩基触媒の存在下で環化反応を行うことが好ましいことを開示している。しかしながら、本発明の方法では、酸触媒と同じ当量の塩基触媒の存在は環化反応の収率を向上させなかった。従って、本発明が完成した後で本発明と公知技術を対比すると、本発明の環化反応の反応機構は特許文献2並びに非特許文献1及び2の反応機構とは異なることが示唆された。一方で、後述の実施例32に示すように、酸触媒と塩基触媒の両方を用いても、塩基触媒よりも過剰量の酸触媒を用いた場合は(言い換えれば、酸触媒よりも少量の塩基触媒を用いた場合は)、反応が高い収率で進行した。従って、塩基触媒の存在は本発明の範囲から除外されない。しかしながら、いずれの場合においても、本発明の環化反応は、特許文献2並びに非特許文献1及び2のそれらとは異なることが理解される。
比較例1は酸触媒なしで且つ塩基触媒のみで環化反応を試みた例である。酸触媒なしで且つ塩基触媒のみでは環化反応は全く進行しなかった。
実施例30
5,5−ジメチル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール(3−a)の製造
工程(A;オキシム化)及び工程(B;環化)
Figure 0006737966
(1)オキシム化
25mlナスフラスコ中で塩酸ヒドロキシルアミン(8.91g、128mmol、110mol%)に水(12ml)とジクロロメタン(12ml、0.1L/mol)を加えた後、氷冷下で撹拌しながらアンモニア水(7.80g、純度28%、128mmol、110mol%)を加えた。30℃を超えないように、そこに3−メチル−2−ブテナール(10.0g、純度98%(GC面積%)、117mmol、100mol%)を加え、室温で1時間撹拌した。得られた混合物を有機層と水層に分配した。有機層と水層を分離した。水層を少量のジクロロメタンで抽出した。この時、水層のpHは6.6であった。
(2)環化反応
50mlナスフラスコ中で、上記(1)で得られた有機層を合わせた(用いたジクロロメタンは合計23ml、合計0.2L/mol)。そこにマレイン酸(1.35g、11.7mmol、10mol%)を加え、30℃で48時間撹拌した。反応混合物のGC分析(面積百分率)の結果、反応混合物中の溶媒等を除く成分は次の通りであった;5,5−ジメチル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール(3−a;目的生成物):96%。
反応終了後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(12ml)を加えて、撹拌した。得られた混合物を有機層と水層に分配した。有機層と水層を分離した。水層を少量のジクロロメタンで抽出し、合わせた有機層を減圧下で濃縮した。得られた粗生成物を減圧蒸留により精製して、5,5−ジメチル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール(3−a、無色油状物、9.5g、収率:82%,沸点:75〜77℃/50Torr)を得た。
実施例31
5,5−ジメチル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール(3−a)の製造
工程(A;オキシム化)及び工程(B;環化)
Figure 0006737966
(1)オキシム化
25mlナスフラスコ中で硫酸ヒドロキシルアミン(10.5g、ヒドロキシルアミン(NHOH)として128mmol、ヒドロキシルアミン(NHOH)として110mol%)に水(5ml)とジクロロメタン(12ml、0.1L/mol)を加えた後、氷冷下で撹拌しながら、pHが6.9になるまで、25%水酸化ナトリウム水溶液(約20g、128mmol、110mol%)を加えた。30℃を超えないように、そこに3−メチル−2−ブテナール(10.0g、純度98%(GC面積%)、117mmol、100mol%)を加え、室温で1時間撹拌した。得られた混合物を有機層と水層に分配した。有機層と水層を分離した。水層を少量のジクロロメタンで抽出した。
(2)環化反応
50mlナスフラスコ中で、上記(1)で得られた有機層を合わせた(用いたジクロロメタンは合計23ml、合計0.2L/mol)。そこに70%硝酸(1.05g、11.7mmol、10mol%)を加え、30℃で48時間撹拌した。反応混合物のGC分析(面積百分率)の結果、反応混合物中の溶媒等を除く成分は次の通りであった;5,5−ジメチル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール(3−a;目的生成物):84%。
反応終了後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(12ml)を加えて、撹拌した。得られた混合物を有機層と水層に分配した。有機層と水層を分離した。水層を少量のジクロロメタンで抽出し、合わせた有機層を減圧下で濃縮した。得られた粗生成物を減圧蒸留により精製して、5,5−ジメチル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール(3−a、無色油状物、9.2g、収率:80%,沸点:75〜77℃/50Torr)を得た。
実施例32
5,5−ジメチル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール(3−a)の製造
工程(A;オキシム化)及び工程(B;環化)
Figure 0006737966
(1)オキシム化
25mlナスフラスコ中で硫酸ヒドロキシルアミン(9.56g、ヒドロキシルアミン(NHOH)として117mmol,ヒドロキシルアミン(NHOH)として100mol%)に水(12ml)とジクロロメタン(12ml、0.1L/mol)を加えた後、氷冷下で撹拌しながらアンモニア水(7.09g、純度28%、117mmol、100mol%)を加えた。30℃を超えないように、そこに3−メチル−2−ブテナール(10.2g、純度98%(GC面積%)、119mmol、102mol%)を加え、室温で1時間撹拌した。得られた混合物を有機層と水層に分配した。有機層と水層を分離した。水層を少量のジクロロメタンで抽出した。
(2)環化反応
50mlナスフラスコ中で、上記(1)で得られた有機層を合わせた(用いたジクロロメタンは合計23ml、合計0.2L/mol)。そこにマレイン酸(406mg、3.50mmol、3mol%)とN−メチルアニリン(126μl、比重0.99(20℃)、125mg、1.17mmol、1mol%)を加え、30℃で48時間撹拌した。反応混合物のGC分析(面積百分率)の結果、反応混合物中の溶媒等を除く成分は次の通りであった;5,5−ジメチル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール(3−a;目的生成物):93%。
反応終了後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(12ml)を加えて、撹拌した。得られた混合物を有機層と水層に分配した。有機層と水層を分離した。水層を少量のジクロロメタンで抽出し、合わせた有機層を減圧下で濃縮した。得られた粗生成物を減圧蒸留により精製して、5,5−ジメチル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール(3−a、無色油状物、8.9g、収率:75%,沸点:75〜77℃/50Torr)を得た。
本発明の方法により製造される式(3)の5,5−ジ置換−4,5−ジヒドロイソオキサゾールは、医薬及び農薬等、とりわけ除草剤のピロキサスルホンの製造中間体として有用である。本発明によれば、副生成物及び/又は廃棄物の生成を抑制でき、そして原子効率を改善できる。更に、本発明によれば、簡単な操作により、且つ安価な触媒を用いても効率的に、目的化合物を製造できる。従って、本発明の方法は、工業的に好ましく、経済的であり、そして環境にも優しく、高い工業的な利用価値を有する。要するに、本発明は高い産業上の利用可能性を有する。

Claims (16)

  1. 式(3):
    Figure 0006737966
    (式中、R及びRは、それぞれ独立して、(C1−C)アルキルである。)の化合物の製造方法であって、以下の工程を含む方法:
    工程(B) 酸触媒の存在下で式(2)の化合物を反応させて、式(3)の化合物を製造する。
    Figure 0006737966
    (式中、R及びRは上記で定義した通りである。)
  2. 式(2)の化合物が以下の工程(A)を含む方法により製造される、請求項1に記載の方法。
    工程(A) 式(1)の化合物をオキシム化剤と反応させて、式(2)の化合物を製造する。
    Figure 0006737966
    (式中、R及びRは上記で定義した通りである。)
  3. 工程(A)のオキシム化剤がヒドロキシルアミン又はその塩である、請求項2に記載の方法。
  4. 工程(A)のオキシム化剤が、ヒドロキシルアミン、塩酸ヒドロキシルアミン又は硫酸ヒドロキシルアミンである、請求項2に記載の方法。
  5. 工程(A)の反応が塩基の存在下で行われる、請求項2〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 工程(A)の塩基が、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム又はアンモニアである、請求項5に記載の方法。
  7. 工程(A)の反応が、水、アセトニトリル、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、及びジクロロメタンから選ばれる1個以上の溶媒の存在下で行われる、請求項2〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 工程(A)の反応が、水とジクロロベンゼンの組み合わせの溶媒の存在下で行われる、請求項2〜6のいずれか1項に記載の方法。
  9. 工程(B)の酸触媒が、鉱酸類、カルボン酸類、スルホン酸類、リン酸類及びルイス酸類からなる群より選ばれる1個以上の酸触媒である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 工程(B)の酸触媒が、硝酸、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、マレイン酸、無水マレイン酸、ベンゼンスルホン酸、及びp−トルエンスルホン酸からなる群より選ばれる1個以上の酸触媒である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
  11. 工程(B)の酸触媒が、トリフルオロ酢酸又はマレイン酸である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
  12. 工程(B)の反応が、酸触媒1当量に対して、0.1〜0.5当量の塩基触媒の存在下で行われる、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
  13. 工程(B)の塩基触媒が、N−メチルアニリン、モルホリン又はピロリジンである、請求項12に記載の方法。
  14. 工程(B)の反応が、水、アセトニトリル、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、及びジクロロメタンから選ばれる1個以上の溶媒の存在下で行われる、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
  15. 工程(B)の反応が、ジクロロベンゼン溶媒の存在下で行われる、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
  16. 式(2)の化合物が3−メチル−2−ブテナールオキシムであり、式(3)の化合物が5,5−ジメチル−4,5−ジヒドロイソオキサゾールである、請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
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