JP6737634B2 - 放熱チップ及び放熱構造 - Google Patents

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本発明は、放熱チップ及びこれを用いた放熱構造に関するものである。
近年、回路基板に対する電子部品の高密度実装化が進んでいる。こうした高密度実装化の進展に伴い、電子部品から生じる熱による電子部品の機能低下や誤作動等の問題が発生している。そのため、電子部品から生じる熱を効率的に発散することが重要となっている。
こうした放熱対策の例として、特許文献1には基板に貫通孔を形成し高熱伝導性金属体を埋設し、更に基板と埋設された高熱伝導性金属体の表裏両面を覆うようにして高熱伝導絶縁層が形成された放熱構造が記載されている。
この放熱構造では、表面に更に電極用パッドとボンディングパッドを介して電子部品が実装され、下面には放熱金属層が形成される。そして電子部品から発せられた熱は、高熱伝導金属体と下面側の高熱伝導金属体を介して放熱金属層に伝わり、放熱金属層から大気中に発散される。
特開平5−259669号公報
特許文献1に記載されているような放熱構造は、特別な加工を施した専用の基板を用いて形成されていたが、こうした専用の基板を用いることなく、多様な基板に容易に形成することができる放熱構造があれば望ましい。
そこで本発明は上述した課題に鑑みてなされたものであり、専用の基板を用いることなく、簡易に放熱構造を形成することのできる放熱チップ及びこれを用いた放熱構造を提供することを目的とする。
本発明は、絶縁性の熱伝導性セラミック基材と、熱伝導性セラミック基材の一端部の一面側に形成された第1伝熱層と、熱伝導性セラミック基材の他端部の一面側に第1伝熱層から離間して形成された第2伝熱層と、熱伝導性セラミック基材の一端部の他面側に形成された第3伝熱層と、熱伝導性セラミック基材の他端部の他面側に第3伝熱層から離間して形成された第4伝熱層と、第1伝熱層と第3伝熱層とを接続する第1接続電極と、第2伝熱層と第4伝熱層とを接続する、第1接続電極と離間して設けられた第2接続電極と、を備える放熱チップであることを特徴とする。
これによると、放熱チップの第1接続電極と基板の電気配線、及び第2接続電極とグランド配線とを熱的に接続することで、専用の基板を用いることなく簡易に放熱構造を形成することができる。また、第1接続電極及び第2接続電極を設けることで、放熱チップをはんだ付けにより基板に実装することができる。更に、従来は行うことができなかった、電気配線側からグランド配線への放熱を可能とすることができる。
本発明は、第1伝熱層と前記第4伝熱層とが平面視において熱伝導性セラミック基材を介して部分的に重なる態様とすることができる。
これによると、重なり合った部分の面積全体を用いた近距離(熱伝導性セラミック基材の厚みに相当する距離)の熱伝導を行うことができ、効率的に伝熱を行うことができる。
本発明は、第1伝熱層と第4伝熱層、及び第2伝熱層と第3伝熱層とが平面視において互いに離間している態様とすることができる。
これによると、静電容量を形成する電極面積及び電極間の距離を短くすることができ、静電容量を低下させることができる。
本発明は、第1接続電極及び前記第2接続電極の離間部分を覆う絶縁性の保護層を備える態様とすることができる。
これによると、第1接続電極と第2接続電極との間の絶縁性を更に高めることができる。
本発明は、電子部品の接地を行うグランド配線と、電子部品に電源から電力を供給する電気配線と、グランド配線と電気配線とにはんだ付けされ熱的に接続される絶縁性の放熱チップと、を備え、放熱チップは上述した放熱チップである放熱構造であることを特徴とする。
これによると、放熱構造が形成される回路基板については専用品を用意する必要が無く、従来の回路基板に放熱チップを取り付けることで放熱構造を形成することができる。また、放熱チップを介することにより、絶縁性を確保しつつ電気配線をグランド配線に熱的に接続することができるため、電子機器から発生する熱を電気配線側においても放熱することができ、放熱効率を高めることができる。
上述した本発明によると、放熱チップを既存の基板に取り付けるだけで電源から電子機器に電力を供給する電気配線とグランド配線とを絶縁性を確保しつつ伝熱できる。そのため基板自体に加工を施すことなく、簡易に放熱構造を形成することができる。また、従来行うことができなかった、電気回路とグランド回路との熱的接続を確保し、従来よりも高い放熱効率で放熱を行うことができる。これにより基板への電子部品の更なる高密度実装を実現することができる。
実施形態に係る放熱チップの斜視図。 図1の放熱チップの断面図。 図1の放熱チップを用いた放熱構造を示す模式図。 図3の放熱構造の断面図。 変形例に係る放熱チップの断面図。
以下、本発明の実施形態に係る放熱チップ及び放熱構造について図を参照しつつ説明する。
放熱チップ[図1、図2]
本実施形態に係る放熱チップ1は、熱伝導性セラミック基材2と、熱伝導性セラミック基材2の一端側の上面に形成された第1伝熱層3と、他端側の上面に第1伝熱層3から離間して形成された第2伝熱層4と、一端側の下面に形成された第3伝熱層5と、他端側の下面に第3伝熱層5から離間して形成された第4伝熱層6と、を備えている。また、放熱チップ1は、熱伝導性セラミック基材2の一端側を覆い第1伝熱層3と第3伝熱層5とを接続する第1接続電極7と、他端側を覆い第2伝熱層4と第4伝熱層6とを接続する、第1接続電極7と離間して形成された第2接続電極8と、を備えている。更に、放熱チップ1は、第1接続電極7と第2接続電極8の離間部分を覆う保護層9を備えている。
熱伝導性セラミック基材2は、絶縁性を有する高熱伝導性セラミック材料により形成された矩形の板状の部材である。高熱伝導性セラミック材料としては、炭化ケイ素、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム等が挙げられるが、この中でも絶縁性が高く安価である酸化アルミニウムが好ましい。
第1伝熱層3、第2伝熱層4、第3伝熱層5、第4伝熱層6は、何れも金属粒子を含有する導電性ペーストを塗布し硬化させることで形成されている、平面視が矩形の伝熱層である。こうした導電性ペーストの中でも銀粒子とガラスペーストよりなる導電性ペーストが、導電性と耐候性に優れた材料であるため好ましい。
第1伝熱層3と第3伝熱層5は、熱伝導性セラミック基材2を介する平面視において第1伝熱層3の下に第3伝熱層5が重なって形成されている。また、第1伝熱層3と第4伝熱層6は熱伝導性セラミック基材2を介する平面視において部分的に重なるように形成されている。また、第2伝熱層4と第4伝熱層6は、熱伝導性セラミック基材2を介する平面視において第4伝熱層6の上に第2伝熱層4が重なって形成されている。また、第2伝熱層4と第3伝熱層5は、熱伝導性セラミック基材2を介する平面視において重なる部分がないように形成されている。
第1伝熱層3と第4伝熱層6の形状及び面積は略同一である。また第2伝熱層4と第3伝熱層5の形状及び面積は略同一である。
第1接続電極7及び第2接続電極8は、銀粒子がエポキシ樹脂に混入しているペーストが硬化した導電性の基材の表面にニッケルめっきの下地を形成し、更に最表面にスズめっきが施されて形成されている。ニッケルスズめっきは後述する電気配線14への第1接続電極7のはんだ付けと、周縁グランド配線16への第2接続電極8のはんだ付けを行うために必要となる。
保護層9は、第1接続電極7と第2接続電極8の離間部分を覆う絶縁層である。保護層9は第1接続電極7に覆われていない第1伝熱層3の表面や、第2接続電極8に覆われていない第4伝熱層6の表面を覆うことでこれらの保護を行う。保護層9はエポキシ樹脂等の絶縁性樹脂により形成されている。
上述した構成を有する放熱チップ1は、絶縁性を確保しつつ、第1接続電極7から伝わる熱を第2接続電極8に効率的に伝えることができる。
具体的には、第1接続電極7に伝わった熱は、まずこれに接続されている第1伝熱層3及び第3伝熱層5へと伝わる。そして、第1伝熱層3へと伝わった熱は、更に熱伝導性セラミック基材2へと伝わる。
また、第3伝熱層5に伝わった熱も熱伝導性セラミック基材2へと伝わる。第3伝熱層5は第1伝熱層3よりも面積が小さいため、第3伝熱層5から熱伝導性セラミック基材2へと伝わる熱の量は第1伝熱層3から伝わる熱の量よりも少なくなる。
そして熱伝導性セラミック基材2へと伝わった熱は、第2伝熱層4及び第4伝熱層6へと伝わり、更に第2接続電極8へと伝わる。
このように熱が熱伝導率の高い経路を介して第1接続電極7から第2接続電極8へと伝わるため、伝熱を効率的に行うことができる。
特に、第1接続電極7と接続された第1伝熱層3と、第2接続電極8に接続された第4伝熱層6とが熱伝導性セラミック基材2を介して平面視で重なっていることで、当該重なり合った部分の面積全体を用いた近距離間(熱伝導性セラミック基材2の厚みに相当する距離W1)の熱伝導を行うことができ、効率的に伝熱を行うことができる。
また、第1伝熱層3、第2伝熱層4、第3伝熱層5及び第4伝熱層6はそれぞれ離間して形成されているとともに、これらの間隙部分には保護層9又は熱伝導性セラミック基材2が介在しているため、放熱チップ1の第1接続電極7と第2接続電極8との間は絶縁された状態となっている。
これにより放熱チップ1を既存の基板の電気配線とグランド配線との間に設けることができ、従来は行うことができなかった、電気配線14側から周縁グランド配線16への放熱を可能とすることができる。
放熱構造[図3、図4]
本実施形態に係る放熱構造10は、筐体(不図示)の内部に収容される基板101上に形成される構造であり、発熱体である電子部品11と電源12とを接続する電気配線14、電子部品11の電源12側と反対側の端部に接続して設けられたグランド配線13と基板101の周縁部に設けられグランド配線13に連続する周縁グランド配線16、及び電気配線14と周縁グランド配線16とを絶縁性を確保しつつ伝熱できる放熱チップ1を備えて構成されている。
電子部品11は撮像素子等の電子機器であり、電源12から電気配線14を通じて供給される電力により駆動する。
電気配線14はプリント配線であり、電源12と電子部品11とを接続している。
グランド配線13及び周縁グランド配線16は、電子部品11を接地する銅パターンよりなる接地用の配線である。こうしたグランド配線13及び周縁グランド配線16は電子基板に一般的に形成されているものである。なお本実施形態においては周縁グランド配線16に突出部15が設けられ、電気配線14と周縁グランド配線16との距離が近接した状態となっている箇所が形成されているが、こうした突出部15は本発明においては必須の構成ではない。
放熱チップ1は上述した実施形態に係る放熱チップ1である。放熱チップ1は、第1接続電極7が電気配線14に、第2接続電極8が周縁グランド配線16にそれぞれはんだ17により固定される。
本実施形態に係る放熱構造10によると、専用の基板を用意することなく、従来の基板に放熱チップ1を取り付けることで放熱構造10を形成することができる。
また、従来グランド配線は電子部品11の電源12側とは反対側にしか設けることができなかった。そのためグランド配線が形成される側においてのみ、電子部品11から発生する熱をグランド配線を通じて放熱することができた。
一方、電子部品11の電源12側にはグランド配線を設けることができず、グランド配線を通じた放熱を行うことはできなかった。
しかし本発明では、上述した放熱チップ1を介することにより、絶縁性を確保しつつ電源12側の電気配線14をグランド配線に熱的に接続することができるため、電子部品11から発生する熱を電源12側においても放熱することができ、放熱効率を高めることができる。
なお、本発明は上述した実施形態に限らず、種々の変形が可能である。以下、変形例に係る放熱チップ1’について説明する。
変形例[図5]
上述した実施形態に係る放熱チップ1は、第1伝熱層3と第4伝熱層6との間で静電容量が生じるが、変形例に係る放熱チップ1’を用いることで、静電容量をより小さいものとすることができる。電子機器の誤作動等を効果的に防止する観点から、静電容量を低下することはより好ましいことである。
変形例に係る放熱チップ1’は、第1伝熱層3’、第2伝熱層4’、第3伝熱層5’及び第4伝熱層6’の形成の態様が上述した放熱チップ1’に係る第1伝熱層3、第2伝熱層4、第3伝熱層5及び第4伝熱層6と異なる他は、上述した実施形態に係る放熱チップ1と同様の構成を備えている。そのため以下の説明では主に第1伝熱層3’、第2伝熱層4’、第3伝熱層5’及び第4伝熱層6’について説明する。なお、図5において上述した実施形態と同一の構成については同一の符号を付している。
第1伝熱層3’、第2伝熱層4’、第3伝熱層5’及び第4伝熱層6’は、何れも上述した放熱チップ1に係る第1伝熱層3、第2伝熱層4、第3伝熱層5及び第4伝熱層6と同様の素材及び製法で形成されている。
一方、変形例に係る放熱チップ1’では、第1伝熱層3’と第2伝熱層4’、及び第3伝熱層5’と第4伝熱層6’がそれぞれ互いに離間して形成されているとともに、第1伝熱層3’と第4伝熱層6’、及び第2伝熱層4’と第3伝熱層5’も平面視においてそれぞれ互いに離間して形成されている。
第1伝熱層3’は第2伝熱層4’よりも面積が広く形成されている。また、第3伝熱層5’は第4伝熱層6’よりも面積が広く形成されている。第1伝熱層3’と第3伝熱層5’の面積は略同一である。また第2伝熱層4’と第4伝熱層6’の面積は略同一である。第1伝熱層3’と第3伝熱層5’は熱伝導性セラミック基材2を介する平面視において重なって形成されている。また、第2伝熱層4’と第4伝熱層6’は熱伝導性セラミック基材2を介する平面視において重なって形成されている。
放熱チップ1’においても、絶縁性を確保しつつ、第1接続電極7から伝わる熱を第2接続電極8に効率的に伝えることができる。
具体的には、第1接続電極7に伝わった熱は、まずこれに接続されている第1伝熱層3’及び第3伝熱層5’へと伝わる。そして、第1伝熱層3’へと伝わった熱は、更に熱伝導性セラミック基材2へと伝わる。また、第3伝熱層5’に伝わった熱も熱伝導性セラミック基材2へと伝わる。
そして熱伝導性セラミック基材2へと伝わった熱は、第2伝熱層4’及び第4伝熱層6’へと伝わり、更に第2接続電極8へと伝わる。
このように熱が熱伝導率の高い経路を介して第1接続電極7から第2接続電極8へと伝わるため、伝熱を効率的に行うことができる。
また、第1伝熱層3’、第2伝熱層4’、第3伝熱層5’及び第4伝熱層6’はそれぞれ離間して形成されているとともに、これらの間隙部分には保護層9又は熱伝導性セラミック基材2が介在しているため、放熱チップ1’の第1接続電極7と第2接続電極8との間は絶縁された状態となっている。
これにより放熱チップ1’を既存の基板の電源から電子機器へと電力を供給する電気配線とグランド配線との間に設けることができ、従来は行うことができなかった、電気配線側からグランド配線への放熱を可能とすることができる。
更に、放熱チップ1’では、第1伝熱層3’と第2伝熱層4’の間、及び第3伝熱層5’と第4伝熱層6’との間に静電容量が生じる。静電容量は電極面積と電極間の距離に比例して大きくなる。
上述した実施形態に係る放熱チップ1では、静電容量を形成する電極面積は第1伝熱層3と第4伝熱層6との平面視における重複部分の面積である。
一方、放熱チップ1’では静電容量を形成する電極面積は第1伝熱層3’と第2伝熱層4’の対向する面の面積及び第3伝熱層5’と第4伝熱層6’の対向する面の面積、すなわち各伝熱層3’、4’、5’、6’の断面積であり、放熱チップ1と比較して極めて小さな面積となっている。
また、放熱チップ1’における静電容量を形成する電極間の距離は第1伝熱層3’と第2伝熱層4’の間の距離W2、及び第3伝熱層5’と第4伝熱層6’の間の距離W2であり、この距離は放熱チップ1における静電容量を形成する電極間の距離、すなわち熱伝導性セラミック基材2の厚さに相当する距離W1よりも小さな距離となっている。
そのため、上述した実施形態に係る放熱チップ1よりも静電容量を形成する電極面積及び電極間の距離の小さい放熱チップ1’の方が静電容量を小さくすることができる。
1、1’ 放熱チップ
2 熱伝導性セラミック基材
3、3’ 第1伝熱層
4、4’ 第2伝熱層
5、5’ 第3伝熱層
6、6’ 第4伝熱層
7 第1接続電極
8 第2接続電極
9 保護層
10 放熱構造
11 電子部品
12 電源
13 グランド配線
14 電気配線
15 突出部
16 周縁グランド配線
17 はんだ
101 基板

Claims (5)

  1. 絶縁性の熱伝導性セラミック基材と、
    前記熱伝導性セラミック基材の一端部の一面側に形成された第1伝熱層と、
    前記熱伝導性セラミック基材の他端部の前記一面側に前記第1伝熱層から離間して形成された第2伝熱層と、
    前記熱伝導性セラミック基材の前記一端部の他面側に形成された第3伝熱層と、
    前記熱伝導性セラミック基材の前記他端部の前記他面側に前記第3伝熱層から離間して形成された第4伝熱層と、
    前記第1伝熱層と前記第3伝熱層とを接続する第1接続電極と、
    前記第2伝熱層と前記第4伝熱層とを接続する、前記第1接続電極と離間して設けられた第2接続電極と、
    を備える放熱チップ。
  2. 前記第1伝熱層と前記第4伝熱層とが平面視において前記熱伝導性セラミック基材を介して部分的に重なる請求項1記載の放熱チップ。
  3. 前記第1伝熱層と前記第4伝熱層、及び前記第2伝熱層と前記第3伝熱層とが平面視において互いに離間している請求項1記載の放熱チップ。
  4. 前記第1接続電極及び前記第2接続電極の離間部分を覆う絶縁性の保護層を備える請求項1乃至3の何れか1項記載の放熱チップ。
  5. 電子部品の接地を行うグランド配線と、
    電子部品に電源から電力を供給する電気配線と、
    前記グランド配線と前記電気配線とにはんだ付けされ熱的に接続される絶縁性の放熱チップと、を備え、
    前記放熱チップは請求項1乃至4の何れか1項に記載の放熱チップである放熱構造。
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