JP6737157B2 - 銅ペースト組成物 - Google Patents
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Description
[式(1)中、mは0〜3の整数、nは0〜2の整数であり、n=0のとき、mは0〜3のいずれか、n=1またはn=2のとき、mは1〜3のいずれかである。]
[式(3)中、R1及びR3は、それぞれ独立に、−(CH2)a−CH3、又は−(CH2)b−C6H5を表す。aは0〜7の整数であり、bは0〜4の整数である。R2は、−(CH2)c−を表す。cは2〜4の整数である。xは1〜6の整数である。]
[式(4)中、R4及びR5は、それぞれ独立に、−(CH2)d−(CR6R7)e−(CH2)f−CH3を表す。ここで、R6及びR7はそれぞれ独立に、水素原子または−(CH2)g−CH3を表す。また、dは0〜4の整数、eは0〜2の整数、fは0〜4の整数、gは0〜3の整数である。]
[式(5)中、R8及びR9は、それぞれ独立に、−(CH2)h−(CR11R12)i−(CH2)j−CH3を表す。ここで、R11及びR12はそれぞれ独立に、水素原子または−(CH2)k−CH3を表す。また、hは0〜4の整数、iは0〜2の整数、jは0〜4の整数、kは0〜3の整数である。R10は、−(CH2)l−を表す。lは2〜4の整数である。yは1〜4の整数、zは1〜4の整数である。]
さらに、本発明の銅ペースト組成物は該表面被覆銅粒子(A)及び特定成分を特定の配合割合で含有しているので、可とう性が高い銅硬化膜を得ることができる。そのため、繊維基板上に銅硬化膜を形成した場合、高温高湿環境下において、繊維基板が吸湿して膨張した際においても、基板の変形に追随することができ、優れた耐断線性を示す。
すなわち、本発明の銅ペースト組成物は、耐断線性及び高導電性を高度に両立する銅硬化膜を得ることができるので、紙などの繊維基板を用いたRFIDタグを製造することができる。
本発明において銅硬化膜とは、銅のみからなる硬化膜ではなく、銅、高導電性維持に寄与する上記被覆層、および可とう性付与に寄与する銅ペースト組成物中の一部の成分が含まれている硬化膜を意味する。
<銅ペースト組成物の構成成分>
[表面被覆銅粒子(A);以後、単に(A)と称する場合がある]
(A)用の表面被覆前の銅粒子は、その平均粒子径D50が1〜10μmである。D50は、4μm以上、7μm以下が好ましい。平均粒子径が小さいほど、銅硬化膜の表面が滑らかとなり、特に高周波領域での表面効果を抑制することができる。しかしその一方で、粒子の比表面積が増大し、酸化により導電性のない酸化銅に粒子表面が覆われやすくなるため、形成する配線の導電性が低下するおそれがある。よって、D50が1μm未満であると、配線の導電性が低下するおそれがある。一方、D50が10μmを超えると、導電性は確保できるものの、銅硬化膜表面が粗くなり、高周波領域での表面効果がより大きくなり、アンテナ性能を低下させるおそれがある。
以後、特に断らない限り、銅粒子と称したときは原料である表面被覆前の銅粒子を指すものとする。
また、(A)に用いる銅粒子は、1種類でも良いが、異なる形状の銅粒子を混合して用いても良い。
[式(1)中、mは0〜3の整数、nは0〜2の整数であり、n=0のとき、mは0〜3のいずれか、n=1またはn=2のとき、mは1〜3のいずれかである。]
従って、本発明における第1被覆層とは、アミン化合物が銅表面を均一に被覆している層だけでなく、アミン化合物が未吸着の銅表面が一部存在する被覆層をも含むものとする。
なお、銅表面にアミン化合物が吸着して第1被覆層を形成していることは、後述する銅表面のIR測定により確認するものとする。
また、アミン化合物同士が、例えば水素結合等により結合して2分子以上積層している部分があってもよい。
ここで、化学結合とは、脂肪族モノカルボン酸のカルボキシル基とアミン化合物のアミノ基とが静電的な相互作用により結合していることを意味する。ここでいう静電的な相互作用とは、水素結合、イオン間相互作用(イオン結合)などを指す。すなわち、第2被覆層とは、第1被覆層のアミン化合物と静電的な相互作用によって結合している脂肪族モノカルボン酸の層である。理想的には、第1被覆層のアミン化合物と脂肪族モノカルボン酸が1:1で反応して第2被覆層が形成されていることが好ましいが、実際上は、そのような理想状態となることは難しい。従って、一部脂肪族モノカルボン酸と結合していない第1被覆層のアミン化合物があってもよく、また、第2被覆層において、脂肪族モノカルボン酸が物理吸着等により2分子以上が積層して吸着している部分があってもよい。
従って、本発明における第2被覆層とは、第1被覆層と同様、脂肪族モノカルボン酸が第1被覆層を均一に被覆している層だけでなく、脂肪族モノカルボン酸がアミン化合物と結合していない部分が一部存在するように形成されている被覆層をも含むものとする。
なお、脂肪族モノカルボン酸が吸着して第2被覆層を形成していることは、第1被覆層と同様、後述する銅表面のIR測定により確認するものとする。
炭素数が7以下であると、アルキル鎖長が短いため表面被覆銅粒子の分散性が低くなるおそれがある。また、炭素数21以上では、脂肪族モノカルボン酸の疎水性が高まるためにバインダーとの相溶性が高くなり、銅ペースト組成物とした際、第2被覆層から脂肪族モノカルボン酸が脱離してバインダー側に溶出しやすくなる。
アミン化合物は、アミノ基が還元性を有するため金属表面の酸化物の除去効果と酸化抑制効果がある。
また、アミン化合物は、脂肪族モノカルボン酸よりもアミノ基の窒素の孤立電子対の効果により金属に対する配位能が高く、脂肪族モノカルボン酸よりも強い結合で銅表面と結びつくため脂肪族モノカルボン酸よりも表面被覆率が高いと考えられる。また、アミン化合物は、脂肪族モノカルボン酸と静電的な相互作用による結合を形成しやすい。ここで静電的な相互作用とは、水素結合およびイオン間相互作用を指す。従って、表面被覆率が高いアミン化合物で銅表面を被覆した後、脂肪族モノカルボン酸でさらにその外側を被覆することで、脂肪族モノカルボン酸を銅粒子に直接被覆するよりも、高い表面被覆率で脂肪族モノカルボン酸を銅粒子に被覆することができる。そのため、本発明の表面被覆銅粒子は、アミン化合物の酸化抑制効果と脂肪族モノカルボン酸の高い被覆率により、脂肪族モノカルボン酸のみを被覆した銅粒子よりも高い耐酸化性を有している。
一例として、図1にエチレンジアミンおよびミリスチン酸により被覆された表面被覆銅粒子のIRスペクトルを示す(後述の実施例に使用した表面被覆銅粒子)。
被覆に用いたアミン化合物を単独で測定した場合は、N−H変角振動のピークが1598cm−1に出現する(図2)のに対して、表面被覆銅粒子に観測されるN−H変角振動のピークは1576cm−1と低波数側にシフトしており、アミン化合物が銅粒子表面に配位して存在していることを示している。また、図1において、脂肪族モノカルボン酸のC=O伸縮振動のピークが1700cm−1に観察されず、カルボン酸アニオン(−COO−)のピークが1400cm−1付近に観測されており、カルボン酸がアミン化合物と静電的な相互作用により結合して存在していることを示している。
(B)はバインダーとして作用する成分であり、銅ペースト組成物中の(B)の含有量は、(A)100質量部に対して10〜25質量部が好ましく、15〜20質量部がより好ましい。(B)の含有量が10質量部以上であれば、銅硬化膜としたときの銅粒子同士の接着性が良好で、銅ペースト組成物の印刷時に十分な流動性を有する。また、25質量部以下であれば、(B)の有する還元性により低抵抗値の銅硬化膜が得られやすい。
(B)は、公知の方法に従って適宜製造可能であるが、市販品としても入手可能である。
レゾール型フェノール樹脂の市販品の例としては、レジトップ(RESITOP:登録商標)PL−5208、PL−2211、およびPL−6220(群栄化学工業株式会社製)を挙げることができる。
(C)は(B)と共にバインダーとして作用する成分であり、銅ペースト組成物中の(C)の含有量は、(A)100質量部に対して0.5〜3.0質量部が好ましく、0.8〜2.0質量部がより好ましい。(C)の含有量が0.5質量部以上であれば、(B)と(C)とが各々の有する水酸基を基点として架橋するため、(B)のみで形成する銅硬化膜よりも直鎖状高分子の含有量が多くなり、架橋密度が低下すると考えられる。よって、可とう性に優れ、高湿度環境下において基板の繊維材料が水分を吸収し膨潤した際にも、基板の変形に追随できる耐断線性の高い銅硬化膜が得られる。しかし、3.0質量部を超えると、銅ペースト組成物中での(A)の分散性が低下して均一分散性が低下するおそれがあり、硬化後の銅硬化膜の導電性が低下する可能性がある。
かかる市販品の例としては、マルカリンカー(MARUKA LYNCUR:登録商標)S−1(ビニルフェノールのホモポリマー、重量平均分子量2,000)、マルカリンカーS−4P(ビニルフェノールのホモポリマー、重量平均分子量9,500)、マルカリンカーCBA(ビニルフェノール55mol%とアクリル酸ブチル45mol%のコポリマー、重量平均分子量12,500)、マルカリンカーCMM(ビニルフェノール55mol%とメタクリル酸メチル45mol%のコポリマー、重量平均分子量10,000)、およびマルカリンカーCHM(ビニルフェノール55mol%とメタクリル酸2−ヒドロキシエチル45mol%のコポリマー、重量平均分子量10,000)(以上丸善石油化学株式会社製)を挙げることができる。
(C)としてこれら市販品を用いる場合、マルカリンカーS−4Pが特に好ましい。
銅ペースト組成物中の(D)の含有量は、(A)100質量部に対して0.5〜3.0質量部が好ましく、1.0〜2.0質量部がより好ましい。(D)の含有量が0.5質量部以上であれば、良好な酸化防止性能が発揮され、高導電性の銅硬化膜が得られやすくなる。しかし、3.0質量部を超えると、ペースト組成物の貯蔵安定性が低下する可能性がある。
銅ペースト組成物中の(E)の含有量は、(A)100質量部に対して10〜40質量部が好ましく、10〜20質量部がより好ましい。
本発明の銅ペースト組成物は、光または熱を加えることで、溶剤の揮発やバインダーの硬化に伴い収縮が生じ、この収縮により銅粒子同士が接近し導電性を発現する。よって、導電性発現のためには溶剤はできるだけ少ないほうが良いが、基板への塗布性に好適な粘度とする点において、上記範囲とすることが好ましい。
(E)としては、(B)、(C)、(D)及び後述の(F)を溶解するものであれば特に限定されず、例えば、エーテル系アルコール類、非エーテル系アルコール類、エステル類、ケトン類、テルペン類、その他炭化水素類等が挙げられる。
バインダーとして作用する成分(B)及び(C)の溶解性に優れ、溶剤揮発性が適度であるために、スクリーン印刷法等による連続印刷に対する適性及び熱硬化後の銅硬化膜の導電性が良好であるという観点で、ジエチレングリコールモノエチルエーテルおよびジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテートが好ましい。
銅ペースト組成物中の(F)の含有量は、(A)100質量部に対して0.5〜3.0質量部が好ましく、1.0〜2.0質量部がより好ましい。(F)の含有量が0.5質量部以上であれば、形成される銅硬化膜中の(B)および(C)による架橋反応物に可とう性を付与し、耐断線性の高い銅硬化膜が得られやすくなる。しかし、3.0質量部を超えると、非導電性成分の増加によって銅硬化膜の導電性が低下する可能性がある。
式(3)中、R1及びR3は、それぞれ独立に、−(CH2)a−CH3、又は−(CH2)b−C6H5を表す。aは0〜7の整数であり、bは0〜4の整数である。R2は、−(CH2)c−を表す。cは2〜4の整数である。xは1〜6の整数である。
R1、R3としては、それぞれ−(CH2)a−CH3であることが好ましく、それぞれaが2〜4であることが好ましく、2であることがより好ましい。また、cは2〜3であることが好ましく、2であることがより好ましい。
かかる市販品の例としては、アデカサイザー(ADK−CIZER:登録商標)RS−966(重量平均分子量470)、アデカサイザーRS−700(重量平均分子量550)、およびアデカサイザーRS−1000(重量平均分子量550)(以上株式会社ADEKA製)を挙げることができる。
式(4)中、R4及びR5は、それぞれ独立に、−(CH2)d−(CR6R7)e−(CH2)f−CH3を表す。ここで、R6及びR7はそれぞれ独立に、水素原子または−(CH2)g−CH3を表す。また、dは0〜4の整数、eは0〜2の整数、fは0〜4の整数、gは0〜3の整数である。
R6は−(CH2)g−CH3であり、R7は水素原子であることが好ましい。また、dは1〜3であり、eは0〜1であり、fは1〜3であり、gは1〜2であることが好ましい。さらに、dは1であり、eは1であり、fは3であり、gは1であることがより好ましい。
式(5)中、R8及びR9は、それぞれ独立に、−(CH2)h−(CR11R12)i−(CH2)j−CH3を表す。ここで、R11及びR12はそれぞれ独立に、水素原子または−(CH2)k−CH3を表す。またhは0〜4の整数、iは0〜2の整数、jは0〜4の整数、kは0〜3の整数である。R10は、−(CH2)l−を表す。lは2〜4の整数である。yは1〜4の整数、zは1〜4の整数である。
R11は−(CH2)k−CH3であり、R12は水素原子であることが好ましい。また、hは1〜3であり、iは0〜1であり、jは1〜3であり、kは1〜2であることが好ましい。また、lは2〜3であることが好ましい。さらに、hは1であり、iは1であり、jは3であり、kは1であり、lは2であることがより好ましい。
かかる市販品の例としては、アデカサイザーRS−107(重量平均分子量434)、アデカサイザーP−200(重量平均分子量2000)(以上株式会社ADEKA製)を挙げることができる。
次に、本発明の(A)の製造方法について説明する。
(A)は、下記の工程1〜工程5を有する方法により製造することができる。好ましくは、工程1の前に、以下に説明する前処理工程を実施する。銅粒子は、その製造に由来する銅塩、分散剤、酸化銅等の不純物を表面に付着させている場合があるため、工程1の前にこれらの不純物を除去することが好ましい。それによって、水等の高極性溶媒への銅粒子の分散性の向上や、銅粒子表面のアミン化合物および脂肪族モノカルボン酸の被覆率を向上させることができるからである。
上記不純物を銅粒子表面から除去できれば特にその方法に限定はないが、例えば、有機溶剤または酸を用いた洗浄方法がある。有機溶剤としては、種類は特に制限されないが、銅粒子表面への濡れ性がよく、洗浄処理後に除去しやすいものがよく、単独もしくは混合して用いることができる。具体的にはアルコール類、ケトン類、炭化水素類、エーテル類、ニトリル類、イソブチロニトリル類、水ならびに1−メチル−2−ピロリドン等が挙げられる。酸としては、有機酸、無機酸を好適に用いることができる。有機酸としては、酢酸、グリシン、アラニン、クエン酸、リンゴ酸、マレイン酸、マロン酸等が挙げられる。無機酸としては、塩酸、硝酸、硫酸、臭化水素、リン酸などが挙げられる。酸の濃度としては、0.1〜50質量%が好ましく、反応熱を抑制するため、0.1〜10質量%がより好ましい。0.1質量%未満であると不純物の除去が不十分となるおそれがあり、50質量%を超えても効果に差はなく、不純物除去コストが高くなるおそれがある。
なお、酸による洗浄処理を実施した場合は、銅粒子表面への酸の残留を防止するため、酸洗浄後に水や有機溶剤でさらに洗浄することが好ましい。
工程1は、銅粒子表面に式(1)で表されるアミン化合物を被覆する工程である。
[式(1)中、mは0〜3の整数、nは0〜2の整数であり、n=0のとき、mは0〜3のいずれか、n=1またはn=2のとき、mは1〜3のいずれかである。]
具体的には、アミン化合物を含むアミン化合物溶液に、前処理を行った銅粒子または前処理を行っていない銅粒子を投入して混合物aとし、当該混合物aを撹拌することによって、銅粒子表面にアミン化合物の第1被覆層を形成させる。撹拌方法は特に限定されず、銅粒子とアミン化合物が十分接触するように撹拌すればよく、パドル撹拌機、ラインミキサー等、公知の撹拌機を用いて一般的な撹拌方法を用いればよい。
具体的には、銅粒子の粒子径にもよるが、銅粒子100質量部に対して0.1〜200質量部が好ましい。遊離のアミン化合物が表面被覆銅粒子中に残存するのを抑制する点で、1〜100質量部がより好ましい。銅粒子の粒子径が小さいほど単位質量当たりの表面積が大きくなるので、小さい粒子径のものほどアミン化合物の混合量を多くすることが好ましい。
また、処理時間は特に限定はないが、5分間〜10時間が好ましい。また、製造コストの点で、5分間〜3時間がより好ましい。5分間未満であると、アミン化合物による被覆が不十分となるおそれがあり、10時間を超えると、アミン化合物が大気中から混入してくる二酸化炭素と塩を形成し、表面被覆銅粒子中に不純物として残留するおそれがある。
工程2は、第1被覆層の形成に使用されなかった遊離のアミン化合物を含むアミン化合物溶液を上記混合物aから除去し、第1被覆層形成銅粒子を含有する中間体1を得る工程である。すなわち、過剰のアミン化合物溶液を除去する工程である。このとき、過剰のアミン化合物を完全に除去する必要はなく、自然沈降もしくは遠心分離による分離によって、または濾過によって上記中間体1を得ることができる。つまり、中間体1中には少量の遊離アミン化合物および溶媒が含まれているが、そのまま次の工程3に移行してよい。操作が簡便である点で、第1被覆層が形成された銅粒子を自然沈降によって沈降させた後、上澄みのアミン化合物溶液をデカンテーション、またはアスピレーターによる吸引によって除去する方法が好ましい。
また、当該分離後の沈殿物または濾過物を、アミン化合物および炭素数8〜20の脂肪族モノカルボン酸の両者を溶解可能な溶媒で洗浄して中間体1としてもよい。当該洗浄により遊離アミン化合物の混入量を低減できるので好ましい。ただし、水洗は第1被覆層を形成したアミン化合物が脱離するおそれがあるため好ましくない。
なお、中間体1を乾燥させて含有溶媒(アミン化合物溶液の溶媒)を低減させてもよいが、この段階で乾燥させると銅表面が酸化されるおそれがあるので、乾燥、特に加熱乾燥は実施しない方が好ましい。
従って、中間体1中のアミン化合物量は、第1被覆層を形成するアミン化合物と遊離アミン化合物の合計量として、銅粒子量の10質量%以下にするのが好ましい。脂肪族モノカルボン酸の第2被覆層形成に影響を与えない点で、1.0質量%以下にするのがより好ましい。なお、中間体1中のアミン化合物量は、上澄み液等のアミン化合物量を測定し、工程1で使用したアミン化合物量との差から求めることができる。
工程3は、第1被覆層上に炭素数8〜20の脂肪族モノカルボン酸の第2被覆層を形成する工程である。
具体的には、上記中間体1に炭素数8〜20の脂肪族モノカルボン酸を含む脂肪族モノカルボン酸溶液を加えて混合物bとし、当該混合物bを撹拌することによって、第1被覆層上に脂肪族モノカルボン酸の第2被覆層を形成させる。なお、炭素数8〜20の脂肪族モノカルボン酸を含む脂肪族モノカルボン酸溶液に、上記中間体1を投入して混合物bとしてもよい。撹拌方法は特に限定されず、第1被覆層が形成された銅粒子と脂肪族モノカルボン酸が十分接触するように撹拌すればよく、パドル撹拌機、ラインミキサー等、公知の撹拌機を用いて一般的な撹拌方法を用いればよい。
具体的には、銅粒子の粒子径にもよるが、銅粒子100質量部に対して0.1〜50質量部が好ましい。遊離の脂肪族モノカルボン酸が表面被覆銅粒子中に残存するのを抑制する点で、0.5〜10質量部がより好ましい。銅粒子の粒子径が小さいほど単位質量当たりの表面積が大きくなるので、小さい粒子径のものほど脂肪族モノカルボン酸の混合量を多くすることが好ましい。
好ましい溶媒は、アルコール類、ケトン類、エーテル類、ニトリル類、スルホキシド類、ピロリドン類から選ばれる1種類以上を含む溶剤である。具体的には、アルコール類は、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、1−ペンタノール、tert−アミルアルコール、エチレングリコール、ブトキシエタノール、メトキシエタノール、エトキシエタノール、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテルおよびジプロピレングリコールモノメチルエーテルなどが挙げられる。ケトン類は、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどが挙げられる。エーテル類は、ジエチルエーテル、ジブチルエーテルなどが挙げられる。ニトリル類は、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリルおよびイソブチロニトリルが挙げられる。スルホキシド類では、ジメチルスルホキシドが挙げられる。ピロリドン類としては、1−メチル−2−ピロリドンなどが挙げられる。
また、処理時間は特に限定はないが、5分間〜10時間が好ましい。また、製造コストの点で、5分間〜3時間がより好ましい。5分間未満であると、脂肪族モノカルボン酸による被覆が不十分となるおそれがあり、10時間を超えると、銅−アミン化合物−脂肪酸の錯体として脱離した成分が表面被覆銅粒子中に残留するおそれがあり、銅ペースト組成物の導電性に悪影響を与える可能性があるため好ましくない。
工程4は、第2被覆層の形成に使用されなかった遊離の脂肪族モノカルボン酸を含む脂肪族モノカルボン酸溶液を上記混合物bから除去し、第1および第2被覆層形成銅粒子を含有する中間体2を得る工程である。具体的には、濾過によって中間体2を得ることができる。濾過方法としては、公知の方法を適用でき、自然濾過、減圧濾過、加圧濾過等を例示できる。また、遊離の脂肪族モノカルボン酸および遊離のアミン化合物を可能な限り除去する点で、濾過物を、炭素数8〜20の脂肪族モノカルボン酸およびアミン化合物の両者を溶解可能な溶媒で洗浄して中間体2とすることが好ましい。洗浄によって、遊離の脂肪族モノカルボン酸量を低減することにより、銅ペースト組成物としたときの該組成物の基板への密着性が良好となる。
工程5は、上記中間体2を乾燥させて本発明の表面被覆銅粒子(A)を得る工程である。
当該乾燥方法には特に限定はないが、例えば、減圧乾燥や凍結乾燥を例示できる。製造コストの点で減圧乾燥が好ましく、乾燥温度としては、20〜120℃が好ましい。20℃未満では乾燥時間が長くなるおそれがあり、120℃より高い温度では、銅が酸化されるおそれがある。減圧度、乾燥温度、および乾燥時間は、各々の条件の組み合わせおよび使用した溶媒の種類等によって適宜決定すればよく、乾燥後の表面被覆銅粒子中の溶媒量が1質量%以下になる程度まで乾燥させ得る条件であれば好ましい。
以上の製造方法により、表面被覆銅粒子(A)を製造することができる。
(A)〜(F)、および所望によりその他の添加剤を混練(混合)装置によって混合することにより、本発明の銅ペースト組成物を製造することができる。混練装置としては、三本ロール混練機を用いることができる。混練温度は10〜60℃の範囲で、混練回数は粒子をペースト中に均一に分散することができる条件であればよい。(A)〜(F)の添加(混合)順は任意の順番でよく、一括添加して混練、混合してもよい。
銅ペースト組成物を基板上にスクリーン印刷法により塗布し、100℃〜200℃で、10〜120分間の加熱をすることにより銅硬化膜を形成することができる。加熱は、乾燥オーブン、ホットプレート、IR焼成装置、光焼成装置などを用いて行うことができる。銅硬化膜において、十分に(B)および(C)が熱により架橋が進行して熱硬化し、溶剤(E)が乾燥除去される条件で、加熱を行う。
各実施例および比較例で用いた銅粒子、ならびに銅粒子の処理方法、測定方法、加工方法および評価方法を下記に示す。
銅粒子;1400YP(平均粒子径D50;5.8μm、粒子の平均厚み;1.1μm、D50/平均厚み;5.3、三井金属鉱業株式会社製)。
銅粒子の前処理を下記方法により行った。
銅粒子220gを、トルエン352gとイソプロパノール88gの混合液に投入し、攪拌して分散させながら70℃で30分間還流させた。還流後、減圧濾過により、銅粒子含有混合液からトルエンおよびイソプロパノールを除去した。濾別した銅粒子を3.5%塩酸水溶液440gに投入し、30℃で30分間攪拌した。撹拌後、減圧濾過により、銅粒子含有塩酸水溶液から塩酸水溶液を除去した。つづいて、濾別した銅粒子をイソプロパノール440gに投入し、30℃で15分間攪拌した。撹拌後、減圧濾過により、銅粒子含有イソプロパノールからイソプロパノールを除去し、濾別した銅粒子を25℃で12時間減圧乾燥して、前処理実施銅粒子を得た。
なお、減圧濾過は、5C濾紙の桐山ロートをダイヤフラムポンプで減圧することで実施した。また、減圧乾燥は、濾別した銅粒子を真空オーブン内に入れ、該オーブンをオイルポンプで減圧することで実施した。
[工程1]
上記前処理実施銅粒子200gを、水600g中に投入し、25℃で攪拌しながら窒素バブリングを30分間行った。該銅粒子含有水を60℃まで昇温した後、当該銅粒子含有水に50質量%のエチレンジアミン水溶液400gを30mL/分で滴下し、60℃を保持して40分間攪拌を行った。撹拌は、メカニカルスターラーを使用し、回転数150rpmで実施した。以下、撹拌は同様の撹拌装置を使用して同じ回転数で行った。
[工程2]
撹拌を止めて5分間静置した後、上澄み液約800gを抜き取って除去した。つづいて、沈殿物に洗浄用溶媒としてイソプロパノール800gを添加し、30℃で3分間攪拌を行った。撹拌を止めて5分間静置した後、上澄み液約800gを抜き取って除去し、中間体1を得た。
[工程3]
中間体1に2質量%のミリスチン酸のイソプロパノール溶液1000gを添加した後、30℃で30分間攪拌を行った。
[工程4]
攪拌停止後、減圧ろ過によりミリスチン酸のイソプロパノール溶液を除去し、中間体2を得た。減圧濾過は、5C濾紙の桐山ロートをダイヤフラムポンプで減圧することで実施した。
[工程5]
中間体2を25℃で3時間減圧乾燥することにより表面被覆銅粒子(A)を得た。減圧乾燥は、中間体2を真空オーブン内に入れ、該オーブンをオイルポンプで減圧することで実施した。
測定器機種;日本分光(株)製 FT/IR−6100
測定方法:ATR法、分解;2cm−1、積算回数;80回
得られた(A)の表面のIRスペクトルを、上記測定器を用いて上記方法により測定した。(A)のIRスペクトル図を図1に示す。
被覆に用いたエチレンジアミンを単独で同様に測定した場合は、N−H変角振動のピークが1598cm−1に出現する(図2)のに対して、表面被覆銅粒子(A)に観測されるN−H変角振動のピークは1576cm−1と低波数側にシフトしており、エチレンジアミンが銅粒子表面に配位して存在していることを示している。また、図1において、ミリスチン酸のC=O伸縮振動のピークが1700cm−1に観察されず、カルボン酸アニオン(−COO−)のピークが1400cm−1付近に観測されており、ミリスチン酸がアミン化合物と静電的な相互作用により結合して存在していることを示している。
IRスペクトルから、第1被覆層のエチレンジアミンおよび第2被覆層のミリスチン酸の両者とも化学結合により結合して各被覆層を形成していると判断できる。
(B)として、(B)含有溶液のPL−5208[(B)の58.5質量%ジエチレングリコールモノエチルエーテル溶液、群栄化学工業(株)製]を使用した。溶媒のジエチレングリコールモノエチルエーテルは溶剤(E)の一部とした。
(C)として、下記3種類の(C1)〜(C3)含有溶液を使用した。いずれも溶媒のジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテートは溶剤(E)の一部とした。
(C1):ビニルフェノールのホモポリマー(重量平均分子量9,500)[マルカリンカーS−4P;(C1)の50.0質量%ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液、丸善石油化学株式会社製]
(C2):ビニルフェノールのホモポリマー(重量平均分子量2,000)[マルカリンカーS−1;(C2)の50.0質量%ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液、丸善石油化学株式会社製]
(C3):ビニルフェノール55mol%とメタクリル酸メチル45mol%のコポリマー(重量平均分子量10,000)[マルカリンカーCMM;(C3)の50.0質量%ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液、丸善石油化学株式会社製]
(D)として下記2種類を使用した。
(D1):1,4−フェニレンジアミン
(D2):N,N’−ビス(サリチリデン)−1,2−プロパンジアミン
(E)として下記2種類を使用した。
(E1):ジエチレングリコールモノエチルエーテル[(B)の溶媒]
(E2):ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート[(C)の溶媒として使用されているものを含む。]
(F)として下記4種類を使用した。
(F1):リン酸トリス(2−エチルヘキシル)
(F2):フタル酸ビス(2−エチルヘキシル)
(F3):アデカサイザーRS−1000(ポリエーテルエステル、重量平均分子量550、株式会社ADEKA製)
(F4):アデカサイザーP−200(アジピン酸ポリエステル、重量平均分子量2000、株式会社ADEKA製)
<銅ペースト組成物の製造>
(A) 100g、(B)のジエチレングリコールモノエチルエーテル溶液 25.6g[(B);15.0g、(E1);10.6g]、(C1)のジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液 2.0g[(C1);1.0g、(E2);1.0g]、(D1) 1.0g、および(F1) 2.0gを混合した。次に、プラネタリーミキサー[ARV−310、(株)シンキー製]を用いて、室温下、回転数1500rpmで30秒間撹拌し、1次混練を行った。
次に、3本ロールミル[EXAKT−M80S、(株)永瀬スクリーン印刷研究所製]を用いて、室温、ロール間距離5μmの条件下で5回通すことで、2次混練を行った。
ついで、2次混練で得られた混練物に、(E2) 3.9gを加え、プラネタリーミキサーを用いて、室温、真空条件下、回転数1000rpmで90秒間撹拌し脱泡混練することにより銅ペースト組成物を製造した。
また、銅ペースト組成物中の各成分の配合割合を表1に示す。
得られた銅ペースト組成物を紙基板上に、メタルマスクを用いて、幅×長さ×厚み=1.0mm×30mm×30μmのパターンを塗布した。銅ペースト組成物を塗布した紙基板を対流オーブンにて150℃で30分間加熱することにより銅硬化膜を作製した。
得られた銅硬化膜の導電性を下記の表面抵抗値測定により評価した。
銅硬化膜のパターンの両端に抵抗測定プローブを押し当て、デジタルマルチメータを用いて銅配線の表面抵抗値を測定した。表面抵抗値が低いほど、電流が流れやすい、つまり導電性が高いことになる。
測定器機種および測定条件を以下に示す。
測定器機種;デジタルマルチメータ PC7000[三和電気計器(株)製]
測定条件 ;2端子法
銅硬化膜の高温高湿度環境下での耐断線性を、該環境曝露前後の導電性(上記表面抵抗値)の変化および外観評価により行った。
(導電性変化の評価)
紙基板上の銅硬化膜サンプルを、環境試験機ENVIROS KCL−1000[東京理化器械(株)製]中で、85℃、85%RHの環境下で168時間保管することにより、高温高湿度環境曝露後の試料とした。該曝露後の表面抵抗値を上記と同様にして測定し、曝露前後での測定値の変化率を下記式(I)で求めた。
表面抵抗値変化率(%)
=[(高温高湿度環境曝露後の表面抵抗値)/(高温高湿度環境曝露前の表面抵抗値)]
×100 (I)
表面抵抗値変化率の値が小さいほど、高温高湿環境下において導電性の変化が少なく、耐断線性が高いことになる。結果を表1に示す。表1中、表面抵抗値1は高温高湿度環境曝露前の表面抵抗値、表面抵抗値2は高温高湿度環境曝露後の表面抵抗値を示す。
(外観評価)
高温高湿度環境曝露後の銅硬化膜の断線を外観観察にて評価した。評価の基準を以下に示す。評価結果を表1に示す。また、銅硬化膜の高温高湿度環境曝露後の外観観察結果を図3に示す。
○:クラックの発生が確認されなかった。
×:クラックの発生が確認された。
各成分の配合割合を表1に示す通りとした以外は、実施例1と同様にして銅ペースト組成物の製造、および銅硬化膜の形成を行った。
比較例2では、(C)の代わりに、次のフッ素エラストマー(X)を使用した。
(X):フッ素エラストマー(フッ化ビニリデンと6フッ化プロピレンの共重合体)[ダイエル(DAI_EL:登録商標)G−801;(X)の50.0質量%ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液、ダイキン工業株式会社製]
さらに、各銅硬化膜について、実施例1と同様にして導電性および耐断線性を評価した。結果を表1に示す。また、比較例1の銅硬化膜の高温高湿度環境曝露後の外観観察結果を図4に示す。
一方、レゾール型フェノール樹脂(B)のみをバインダーに用いた銅ペースト組成物の比較例1の場合、銅硬化膜の高温高湿度環境曝露前の表面抵抗値は1.0Ω以下であるものの、高温高湿度環境曝露前後の表面抵抗値の変化率が400%以上と大きく、かつ外観評価においてクラックの発生が見られた。この原因としては、バインダーに用いたレゾール型フェノール樹脂は、硬化時の収縮により粒子同士の接触を促進し、かつ還元性を有するため導電性を確保しやすいが、これらの硬化物は、バインダーが3次元架橋により強固なネットワークを形成し、可とう性に乏しいため、紙基板の吸湿による寸法変化に銅硬化膜の変形が追随することができずにクラックが発生してしまい、導電性を維持できなかったためと考えられる。
また比較例2は、ポリビニルフェノール系ポリマー(C)の代わりにフッ素エラストマー(X)を使用して製造した銅ペースト組成物であるが、高温高湿度環境曝露前後の表面抵抗値の増加率は200%程度で耐断線性の点では比較的良好であった。しかし、銅硬化膜の高温高湿度環境曝露前の表面抵抗値が高く、導電性が劣っていた。この原因としては、フッ素エラストマーはポリビニルフェノールとは異なり水酸基を有しておらず、レゾール型フェノール樹脂と架橋点を持たないために、バインダー中で各成分が分離を起こし、銅硬化膜中の銅粒子の分散を阻害して導電パスを形成できなかったためと考えられる。しかし、可とう性の点において、エラストマー成分が効果を示し、断線の発生が抑制されたものと考えられる。
比較例3、4は各成分の配合量の上限または下限の範囲外の組成であるが、これらは銅硬化膜中の各成分の分散性が悪く、そのため良好な導電性及び耐断線性が得られなかったものと考えられる。
Claims (5)
- 表面被覆銅粒子(A)、レゾール型フェノール樹脂(B)、ビニルフェノール系ポリマー(C)、キレート化剤(D)、溶剤(E)、および可とう性付与剤(F)を含有し、
前記表面被覆銅粒子(A)は、銅粒子の表面の銅と化学結合および/または物理結合によって結合している式(1)で表されるアミン化合物の第1被覆層と、該第1被覆層上に、前記アミン化合物と化学結合によって結合している炭素数8〜20の脂肪族モノカルボン酸の第2被覆層とを有し、
前記表面被覆銅粒子(A)100質量部に対して、前記レゾール型フェノール樹脂(B)10〜25質量部、前記ビニルフェノール系ポリマー(C)0.5〜3.0質量部、前記キレート化剤(D)0.5〜3.0質量部、前記溶剤(E)10〜40質量部、および前記可とう性付与剤(F)0.5〜3.0質量部を含有する、
銅ペースト組成物。
[式(1)中、mは0〜3の整数、nは0〜2の整数であり、n=0のとき、mは0〜3のいずれか、n=1またはn=2のとき、mは1〜3のいずれかである。] - 前記ビニルフェノール系ポリマー(C)は、ビニルフェノールのホモポリマー、ならびにビニルフェノールと、スチレン、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、およびメタクリル酸2−ヒドロキシエチルから選択される1種以上のモノマーとのコポリマーからなる群から選択される少なくとも1種以上の重合体であり、
前記重合体は式(2)で表される構造単位を有し、重量平均分子量が1,000〜20,000である、
請求項1に記載の銅ペースト組成物。
- 前記キレート化剤(D)は、芳香族ジアミンおよびシッフ塩基から選択される少なくとも1種類以上の化合物である、
請求項1または2に記載の銅ペースト組成物。 - 前記可とう性付与剤(F)は、リン酸エステル、フタル酸エステル、ポリエーテルエステル、およびアジピン酸エステルから選択される少なくとも1種類以上の化合物である、
請求項1〜3いずれか一項に記載の銅ペースト組成物。 - 前記可とう性付与剤(F)は、式(3)で表される重量平均分子量450〜650のポリエーテルエステル、ならびに式(4)および/または(5)で表される重量平均分子量200〜3,000のアジピン酸エステルから選択される少なくとも1種類以上の化合物である、
請求項4に記載の銅ペースト組成物。
[式(3)中、R1及びR3は、それぞれ独立に、−(CH2)a−CH3、又は−(CH2)b−C6H5を表す。aは0〜7の整数であり、bは0〜4の整数である。R2は、−(CH2)c−を表す。cは2〜4の整数である。xは1〜6の整数である。]
[式(4)中、R4及びR5は、それぞれ独立に、−(CH2)d−(CR6R7)e−(CH2)f−CH3を表す。ここで、R6及びR7はそれぞれ独立に、水素原子または−(CH2)g−CH3を表す。またdは0〜4の整数、eは0〜2の整数、fは0〜4の整数、gは0〜3の整数である。]
[式(5)中、R8及びR9は、それぞれ独立に、−(CH2)h−(CR11R12)i−(CH2)j−CH3を表す。ここで、R11及びR12はそれぞれ独立に、水素原子または−(CH2)k−CH3を表す。またhは0〜4の整数、iは0〜2の整数、jは0〜4の整数、kは0〜3の整数である。R10は、−(CH2)l−を表す。lは2〜4の整数である。yは1〜4の整数、zは1〜4の整数である。]
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