以下に実施例について添付図面を参照して説明する。図1に示すように、実施例に係る計測装置1は、固定具62によって透明な管61に固定されて使用される。管61内に流路60が形成されている。計測装置1は、流路60を流れる流体F中の粒子Rの速度vを計測する装置である。これによって、流体Fの流速を知ることができる。
流路60を流れる流体F中には無数の粒子Rが存在している。無数の粒子Rは流体F中に拡散して存在している。したがって、無数の粒子Rの中には、例えば、流路60の中心部を通過する粒子Rもあれば、流路60の周縁部を通過する粒子Rもある。また、無数の粒子Rの速度は様々である。速度が速い粒子Rもあれば、速度が遅い粒子Rもある。流路60を流れる流体F中の粒子Rの速度vを計測する際に、流路60内の特定の計測点10に絞って粒子Rの速度vを計測することがある。流路60内の計測点10の位置は特に限定されるものではないが、例えば、流路60の中心部を計測点10として、流路60の中心部を通過する粒子Rの速度vを計測することができる。一般的に、層流の場合、流路60の中心部を流れる流体Fの流速は、流路60の全体を流れる流体Fの平均流速の2倍に相当することが知られている。
流路60を流れる流体Fとしては、例えば血液が挙げられる。流体F中の粒子Rとしては、例えば赤血球が挙げられる。計測装置1によって血液中の赤血球の速度を計測することができる。これによって、血液の流速を知ることができる。医療現場では、患者の体内を流れる血液を体外に送り出し、体外に送り出した血液を再び体内に送り戻す体外循環が行われることがある。この体外循環では、体外循環用の管が患者の血管に接続され、患者の血管を流れる血液が体外循環用の管に流入し、体外循環用の管を流れた血液が再び患者の血管に戻される。図1に示す計測装置1によって体外循環用の管61を流れる血液(流体F)中の赤血球(粒子R)の速度vを計測することができる。
図1に示すように、計測装置1は、レーザー光照射装置2と、受光装置3と、処理装置9を備えている。レーザー光照射装置2は、発光素子21と、コリメーターレンズ22と、回折格子23と、第1のミラー241と、第2のミラー242を備えている。発光素子21は、例えばレーザーダイオード(LD)である。発光素子21は、コリメーターレンズ22と対向するように配置されている。発光素子21は、コリメーターレンズ22に向けてレーザー光Lを発光する。発光素子21が発光したレーザー光Lがコリメーターレンズ22に入射する。発光素子21は、第1のミラー241及び第2のミラー242が配置されている方向とは反対側にレーザー光Lを発光する。発光素子21は、回折格子23と第1のミラー241及び第2のミラー242との間に配置されている。
コリメーターレンズ22は、発光素子21と回折格子23の間に配置されている。コリメーターレンズ22は、発光素子21が発光したレーザー光Lを平行光にして出射する。コリメーターレンズ22から出射したレーザー光L(平行光)は、回折格子23に入射する。
回折格子23は、コリメーターレンズ22と対向するように配置されている。回折格子23は、可動式になっており、移動装置25によって回折格子23を移動させることができる。移動装置25は、回折格子23と第1のミラー241及び第2のミラー242との間の距離を変えることができる。移動装置25は、例えば機械式の装置であり、ボルトを回すことによって回折格子23を上下動させることができる。回折格子23の位置を変えることによって、流路60内の計測点10の位置を変えることができる。回折格子23は、光の回折を利用して回折格子23に入射したレーザー光Lを第1のレーザー光L1と第2のレーザー光L2に分ける。回折格子23は、反射型の回折格子である。回折格子23に入射したレーザー光Lが回折格子23で反射するときに第1のレーザー光L1と第2のレーザー光L2に分かれる。発光素子21が発光したレーザー光Lが回折格子23で反射することによって第1のレーザー光L1と第2のレーザー光L2に分かれる。
回折格子23によって生じた第1のレーザー光L1と第2のレーザー光L2は、異なる方向に進行する。第1のレーザー光L1と第2のレーザー光L2は、発光素子21とコリメーターレンズ22を結ぶ線に関して線対称になるように進行する。図1に示す例では、第1のレーザー光L1が右斜め上方に向かって進行し、第2のレーザー光L2が左斜め上方に向かって進行する。第1のレーザー光L1が第1のミラー241に向かって進行し、第2のレーザー光L2が第2のミラー242に向かって進行する。第1のレーザー光L1の波長と第2のレーザー光L2の波長は同じ波長である。また、第1のレーザー光L1の周波数と第2のレーザー光L2の周波数は同じ周波数である。
第1のミラー241と第2のミラー242は、回折格子23と管61の間に配置されている。第1のミラー241と第2のミラー242は、互いに向かい合っている。回折格子23によって生じた第1のレーザー光L1が第1のミラー241に入射し、第2のレーザー光L2が第2のミラー242に入射する。第1のミラー241は第1の反射面43を備えている。第2のミラー242は第2の反射面44を備えている。第1の反射面43と第2の反射面44は、互いに向かい合っている。第1の反射面43では、第1のミラー241に入射した第1のレーザー光L1が反射する。第2の反射面44では、第2のミラー242に入射した第2のレーザー光L2が反射する。
第1のミラー241の第1の反射面43で反射した第1のレーザー光L1は、管61内の流路60に入射する。また、第2のミラー242の第2の反射面44で反射した第2のレーザー光L2も、管61内の流路60に入射する。第1のレーザー光L1と第2のレーザー光L2は、流路60内の計測点10に向かって進行する。
第1のレーザー光L1と第2のレーザー光L2は、互いに異なる方向から計測点10に向かって進行する。すなわち、レーザー光照射装置2から流路60内の計測点10に向かって第1のレーザー光L1と第2のレーザー光L2が互いに異なる方向から照射される。第1のレーザー光L1は、流路60の下流側から計測点10に向かって進行する。第2のレーザー光L2は、流路60の上流側から計測点10に向かって進行する。第1のレーザー光L1と第2のレーザー光L2は、流路60内の計測点10で干渉して重なり合う。
流路60には流体F(例えば血液)が流れており、流体F中には無数の粒子R(例えば赤血球)が存在している。無数の粒子Rのうち、流路60内の計測点10を通過する粒子Rが存在する。計測点10を通過する粒子Rに第1のレーザー光L1と第2のレーザー光L2が当たると、第1のレーザー光L1と第2のレーザー光L2が散乱する。第1のレーザー光L1と第2のレーザー光L2は、異なる方向から粒子Rに当たる。第1のレーザー光L1は、流路60の下流側から粒子Rに当たる。すなわち、第1のレーザー光L1は、粒子Rの進行方向側から粒子Rに当たる。一方、第2のレーザー光L2は、流路60の上流側から粒子Rに当たる。すなわち、第2のレーザー光L2は、粒子Rの進行方向と反対側から粒子Rに当たる。第1のレーザー光L1と第2のレーザー光L2が粒子Rに当たって散乱したときに散乱光が生じる。第1のレーザー光L1が粒子Rに当たって散乱することによって第1の散乱光P1が生じる。また、第2のレーザー光L2が粒子Rに当たって散乱することによって第2の散乱光P2が生じる。散乱によって生じた第1の散乱光P1と第2の散乱光P2は計測点10の周囲の様々な方向に向かって進行する。そのうち、計測点10から受光装置3に向かって進行する第1の散乱光P1と第2の散乱光P2が存在する。受光装置3が第1の散乱光P1と第2の散乱光P2を受光する。
第1のレーザー光L1と第2のレーザー光L2が粒子Rに当たって散乱するときにそれぞれの周波数が変化する。ドップラーシフトによって周波数が変化する。第1のレーザー光L1の散乱によって生じた第1の散乱光P1の周波数f1は、第1のレーザー光L1の周波数と異なる周波数である。また、第2のレーザー光L2の散乱によって生じた第2の散乱光P2の周波数f2は、第2のレーザー光L2の周波数と異なる周波数である。また、第1の散乱光P1の周波数f1と第2の散乱光P2の周波数f2は、互いに異なる周波数である。
受光装置3は、管61とレーザー光照射装置2の間に配置されている。受光装置3は、流路60と対向するように配置されている。受光装置3は、図示しない固定具によってレーザー光照射装置2の第1のミラー241と第2のミラー242に固定されている。図2に示すように、受光装置3は、受光素子31と、遮光性の箱体38を備えている。箱体38内に受光素子31が配置されている。
箱体38は、前壁38aと、後壁38bと、一対の側壁38c、38cを備えている。前壁38aは、管61(図2には図示せず)と受光素子31の間に配置されている。後壁38bは、受光素子31とレーザー光照射装置2(図2には図示せず)の間に配置されている。一対の側壁38c、38cは、前壁38aと後壁38bの間に配置されている。箱体38の後壁38bに受光素子31が固定されている。箱体38の前壁38aは受光素子31から離れた位置に配置されている。前壁38aには中空の光通過孔35が形成されている。
光通過孔35は、計測点10と受光素子31の間に形成されている。光通過孔35は、計測点10から受光素子31に向かう方向に延びている。光通過孔35と計測点10と受光素子31が同軸の位置にあることが好ましい。光通過孔35は、入射口36と出射口37を備えている。計測点10を通過する粒子Rによって生じた第1の散乱光P1と第2の散乱光P2が光通過孔35の入射口36から光通過孔35に入射する。計測点10から受光素子31に向かって進行する第1の散乱光P1と第2の散乱光P2が光通過孔35に入射する。光通過孔35に入射した第1の散乱光P1と第2の散乱光P2は、光通過孔35を通過して、光通過孔35の出射口37から出射する。光通過孔35の出射口37から出射した第1の散乱光P1と第2の散乱光P2が受光素子31に入射する。
図3に示すように、箱体38の前壁38aは、支持部材71と、支持部材71の表面に配置されている被膜72を備えている。支持部材71と被膜72は、受光素子31と流路60(図4には図示せず)の間に配置されている。支持部材71は、光透過性を有する部材である。支持部材71は、被膜72を支持している。被膜72は、遮光性の膜である。被膜72の厚みは、支持部材71の厚みより薄い。被膜72は、支持部材71の表面を覆っている。被膜72は、支持部材71の受光素子31と反対側(流路60側)の表面に配置されている。
支持部材71と被膜72には貫通孔が形成されており、その貫通孔によって光通過孔35が形成されている。光通過孔35の内周面351に支持部材71と被膜72が露出している。光通過孔35の内周面351の一部が支持部材71で構成されている。光通過孔35の内周面351の他の一部が被膜72で構成されている。支持部材71の表面に被膜72を貼り付けた後に光通過孔35を形成する。
図2に示すように、受光素子31は、光通過孔35を通過した第1の散乱光P1と第2の散乱光P2を受光する。受光素子31は、例えばフォトダイオード(PD)である。受光素子31は、光通過孔35の出射口37と対向している。出射口37から出射した散乱光P1、P2が受光素子31に入射する。
図4及び図5に示すように、受光素子31は、有効受光領域312と受光面313を備えている。受光素子31は、有効受光領域312に入射する散乱光P1、P2を有効に受光することができる。一方、受光素子31は、有効受光領域312以外の部分に入射する散乱光P1、P2を有効に受光することができない。有効受光領域312は、入射する光を電気信号に変換することができる領域である。有効受光領域312は、受光素子31の中央部に形成されている。受光素子31の有効受光領域312は、例えば受光素子31の製品仕様書から知ることができる。受光面313は、有効受光領域312の表面である。受光素子31は、受光面313に入射する散乱光P1、P2を受光することができる。
図6に示すように、処理装置9は、発光素子21と受光素子31に電気的に接続されている。処理装置9は、発光素子21が発光するレーザー光Lと、受光素子31が受光する第1の散乱光P1と第2の散乱光P2に基づいて、計測点10を通過する粒子Rの速度vを演算する。処理装置9は、ドップラーシフトに基づく演算方法によって粒子Rの速度vを演算する。また、処理装置9は、流路60を流れる流体Fの濃度dを演算する。
次に、処理装置9が粒子Rの速度vを演算する方法の一例について説明する。処理装置9はまず、受光素子31が受光した光(第1の散乱光P1と第2の散乱光P2が干渉した光)についてスペクトル解析する。スペクトル解析は、例えばFFTアナライザーを用いて行うことができる。スペクトル解析については、公知の解析方法であるので詳細な説明を省略する。図7は、スペクトル解析の結果の一例を示すグラフである。図7のグラフにおける横軸が周波数であり、縦軸が各周波数成分の強度である。図7では、流路60を流れる流体Fの濃度dに応じたグラフが描かれている。本実施例では、第1の濃度da、第2の濃度db、第3の濃度dcに応じた3つのグラフが描かれている。
処理装置9は、下記の第1の演算式(1)に基づいて粒子Rの速度v
Aを演算することができる。また、処理装置9は、下記の第2の演算式(2)に基づいて粒子Rの速度v
Bを演算することができる。第1の演算式(1)は、流体Fの濃度dに影響されずに流体F中の粒子Rの速度を演算する式である。第1の演算式(1)によって算出される速度v
Aは、流体Fの濃度dの影響を受けない。第2の演算式(2)は、角度θを使わない簡素な数式構成で濃度に応じて変化する相対速度を算出する演算式である。第2の演算式(2)によって算出される速度v
Bは、流体Fの濃度dの影響を受ける。
上記の第1の演算式(1)において、λは、発光素子21のレーザー光Lの波長である。fdは、受光素子31が受光する光(第1の散乱光P1と第2の散乱光P2が干渉した光)のドップラー周波数である。θは、計測点10に向かって進行する第1のレーザー光L1と、計測点10と受光装置3を結んだ線とのなす角度(あるいは、計測点10に向かって進行する第2のレーザー光L2と、計測点10と受光装置3を結んだ線とのなす角度)である。
また、上記の第2の演算式(2)において、Aは、濃度成分を含んだ補正係数である。Mは、図7のグラフに基づいて算出される一次モーメントである。このMは、下記の数3の式によって算出される。数3の式において、xは、図7のグラフにおける周波数(横軸)の値である。f(x)は、図7のグラフにおける周波数xのときの強度(縦軸)の値である。処理装置9は、流体Fの濃度dに応じて各一次モーメントMを演算する。処理装置9は、第1の濃度da、第2の濃度db、第3の濃度dcのそれぞれについて一次モーメントMを演算する。
次に、処理装置9が流体Fの濃度dを演算する方法の一例について説明する。処理装置9は、上記の第1の演算式(1)と第2の演算式(2)に基づいて流体Fの濃度dを演算することができる。演算方法について以下に詳細に説明する。
まず、上記の第1の演算式(1)を下記の数4のように変形する。また、上記の第2の演算式(2)を下記の数5のように変形する。また、数4を数5に代入して整理すると下記の数6のようになる。
次に、下記の数7のように定数Bを定義する。また、下記の数8のように数Dを定義する。そして、数7と数8を上記の数6に代入して整理すると下記の数9のようになる。
上記の数9におけるAは、濃度成分を含んだ補正係数である。補正係数Aにおける濃度成分以外を右辺のBに移項すると、下記の数10のように表すことができる。
以上によって、流体Fの濃度dを算出することができる。処理装置9は、第1の濃度da、第2の濃度db、第3の濃度dcのそれぞれについて上記の演算を行う。図8は、上記の数8で定義したDと流体Fの濃度dの関係を示すグラフである。図8に示すように、Dの値が高くなると、流体Fの濃度dが低くなる。
以上の説明から明らかなように、実施例の計測装置1は、流路60を流れる流体F中の粒子Rの速度vを計測するための装置であって、レーザー光照射装置2と受光装置3を備えている。レーザー光照射装置2は、流路60内の計測点10に向かって進行する第1のレーザー光L1と、第1のレーザー光L1と異なる方向から流路60内の計測点10に向かって進行する第2のレーザー光L2を照射する。受光装置3は、レーザー光照射装置2から照射された第1のレーザー光L1と第2のレーザー光L2が計測点10を通過する粒子Rに当たったときにそれぞれ生じる散乱光P1、P2を受光する。受光装置3は、受光素子31と、受光素子31と流路60の間に配置されている光透過性の支持部材71と、支持部材71の表面に配置されている遮光性の被膜72を備えている。そして、計測点10から受光素子31に向かう方向に沿って支持部材71と被膜72を貫通する中空の光通過孔35が形成されている。光通過孔35の内周面351の一部が光透過性の支持部材71で構成され、内周面351の他の一部が遮光性の被膜72で構成されている。計測点10を通過する粒子Rによって生じた散乱光P1、P2は、光通過孔35を通過して受光素子31に入射する。
上記の構成によれば、計測点10を通過する粒子Rによって生じた散乱光P1、P2を受光装置3が受光する。受光装置3が受光した散乱光P1、P2の周波数に基づいて、計測点10を通過する粒子Rの速度vを演算することができる。計測点10を通過する粒子Rの速度vを計測するためには、レーザー光照射装置2から第1のレーザー光L1と第2のレーザー光L2を照射する際に、計測点10のみに第1のレーザー光L1と第2のレーザー光L2を照射することが好ましい。しかしながら現実的には、計測点10のみに第1のレーザー光L1と第2のレーザー光L2を照射することは困難であり、光の拡散等によって、計測点10の周辺にも第1のレーザー光L1と第2のレーザー光L2が照射されてしまう。そうすると、レーザー光照射装置2から照射された第1のレーザー光L1と第2のレーザー光L2が流体F中の粒子Rに当たって散乱するときに、計測点10を通過する粒子Rに当たって散乱するだけでなく、計測点10の周辺を通過する粒子Rにも当たって散乱してしまう。その結果、計測点10を通過する粒子Rによって散乱光が生じるだけでなく、計測点10の周辺を通過する粒子Rによっても散乱光が生じてしまう。しかしながら上記の構成では、光通過孔35を備えているので、計測点10を通過する粒子Rによって生じた散乱光を受光するとともに、計測点10の周辺を通過する粒子Rによって生じた散乱光を受光することを抑制できる。すなわち、上記の構成によれば、計測点10と受光素子31の間で光通過孔35が計測点10から受光素子31に向かう方向に延びているので、計測点10を通過する粒子Rによって生じた散乱光は光通過孔35を通過して受光素子31に入射するが、計測点10の周辺を通過する粒子Rによって生じた散乱光は、光通過孔35の存在によって受光素子31に入射しにくくなる。これによって、余分な散乱光を受光することを抑制できる。
また、計測点10の周辺を通過する粒子Rによって生じた散乱光が、光通過孔35に入射して光通過孔35の内周面351に当たることがある。このとき、上記の構成によれば、光通過孔35の内周面351の一部が光透過性の支持部材71で構成され、内周面351の他の一部が遮光性の被膜72で構成されているので、光通過孔35の内周面351に当たる散乱光の一部のみが内周面351で反射する。具体的には、図3に示すように、光通過孔35の内周面351に当たる散乱光P3、P4のうち、一部の散乱光P3は遮光性の被膜72で反射し、他の一部の散乱光P4は光透過性の支持部材71で反射せずに支持部材71の内部に入射する。光透過性の支持部材71と遮光性の被膜72を組み合わせることによって、光通過孔35の内周面351のうち、散乱光が反射する範囲を相対的に小さくすることができる。図3の散乱光P3のように、光通過孔35の内周面351で散乱光が反射すると、反射光が様々な方向に進行する。そうすると、受光素子31が様々な方向から光を受光する可能性が高くなる。しかしながら、上記の構成によれば、光通過孔35の内周面351で散乱光が反射する範囲が相対的に小さくなるので、受光素子31が様々な方向から光を受光する可能性が低くなる。これによって、受光素子31が余分な散乱光を受光することを抑制できる。また、上記の構成によれば、支持部材71と被膜72を組み合わせることにより、支持部材71によって被膜72の強度を維持することができるので、被膜72の厚みを薄くすることができる。遮光性の被膜72の厚みを薄くすると、光通過孔35の内周面351で散乱光が反射する範囲をより小さくすることができるので、受光素子31が余分な散乱光を受光することをより抑制できる。
受光素子31が様々な散乱光を受光すると、処理装置9が粒子Rの速度vを正確に演算することができなくなる。しかしながら、上記の構成によれば、受光素子31が余分な散乱光を受光することを抑制することができるので、処理装置9が粒子Rの速度vを正確に演算することができる。
また、処理装置9は、流体Fの濃度dに影響されずに流体F中の粒子Rの速度を演算する第1の演算式と、角度θを使わない簡素な数式構成で濃度に応じて変化する相対速度を演算する第2の演算式とに基づいて、流体Fの濃度dを演算することができる。したがって、粒子Rの速度vと流体Fの濃度dを併せて算出することができる。
以上、一実施例について説明したが、具体的な態様は上記実施例に限定されるものではない。以下の説明において、上述の説明における構成と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
上記で説明した光通過孔35の形状は特に限定されるものではない。例えば、図9に示すように、光通過孔35の形状が平面視において円形状であってもよい。または、図10に示すように、光通過孔35の形状が平面視において多角形状であってもよい。また、図11に示すように、複数の光通過孔35が平面視においてスリット状に形成されていてもよい。
また、上記の実施例では、支持部材71の受光素子31と反対側の表面に被膜72が配置されていたが、この構成に限定されるものではない。他の実施例では、図12に示すように、支持部材71の受光素子31側の表面に被膜72が配置されていてもよい。すなわち、支持部材71の流路60と反対側の表面に被膜72が配置されていてもよい。
このような構成によれば、被膜72が流路60と反対側に配置され、被膜72が箱体38の外部に露出することが抑制される。そのため、被膜72を保護することができる。
また、更に他の実施例では、支持部材71の両面(支持部材71の受光素子31側の表面と受光素子31と反対側の表面の両方)に被膜72が配置されていてもよい。
また、計測装置1におけるレーザー光照射装置2の構成は、上記の実施例に限定されるものではない。例えば、レーザー光照射装置2の発光素子21、第1のミラー241、第2のミラー242等の配置構成は上記の実施例に限定されるものではない。図13は、他の実施例に係る計測装置の概略構成を示す図である。図13に示すように、レーザー光照射装置2は、発光素子21と、コリメーターレンズ22と、ビームスプリッタ26と、第1のミラー241と、第2のミラー242を備えている。発光素子21は、管61の長手方向に対して斜めにレーザー光Lを発光する。コリメーターレンズ22は、発光素子21が発光したレーザー光Lを平行光にして出射する。コリメーターレンズ22から出射したレーザー光L(平行光)は、ビームスプリッタ26に入射する。
ビームスプリッタ26では、入射したレーザー光Lの一部が反射し、他の一部が透過する。ビームスプリッタ26は、レーザー光Lを透過及び反射する。このビームスプリッタ26をハーフミラーと呼ぶ場合もある。ビームスプリッタ26で反射したレーザー光Lが第1のレーザー光L1となり、ビームスプリッタ26を透過したレーザー光Lが第2のレーザー光L2となる。レーザー光Lがビームスプリッタ26で透過及び反射して、第1のレーザー光L1と第2のレーザー光L2に分かれる。
ビームスプリッタ26は、第1のミラー241と第2のミラー242の間に配置されている。ビームスプリッタ26で反射したレーザー光L(第1のレーザー光L1)は、第1のミラー241に向かって進行する。また、ビームスプリッタ26を透過したレーザー光L(第2のレーザー光L2)は、第2のミラー242に向かって進行する。第1のレーザー光L1は、第1のミラー241の第1の反射面43で反射し、その後、管61内の流路60に入射する。また、第2のレーザー光L2は、第2のミラー242の第2の反射面44で反射し、その後、管61内の流路60に入射する。このような構成によっても、第1のレーザー光L1と第2のレーザー光L2を流路60内の計測点10に向かって照射することができる。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。