JP6733820B2 - 計算機更新試験支援装置 - Google Patents

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Description

この発明は、計算機更新試験支援装置に係り、特に鉄鋼生産ラインの既設制御システムを新設制御システムへ更新する際の機能確認試験に適した計算機更新試験支援装置に関する。
上位計算機と下位プログラマブルロジックコントローラ(PLC)とがデータ通信可能に接続され、連携して鉄鋼生産ラインを構成する各機器の動作を制御する制御システムが知られている。制御システムの老朽化などに伴い、既設制御システムを新設制御システムに更新する際には、新設制御システムの機能確認試験を実施する必要がある。
試験手法の1つとして、パラレルランが知られている(日本特開2017−41000号公報)。パラレルランによれば、プラントを制御する既設制御装置と新設制御装置の両方に同じ信号を入力し、並行動作させることで更新の検証を行うことができる。しかしながら、両制御装置に同じ信号を入力するためには、操業中の既設制御システムにパラレルラン用の設備を組み込む改修が容易でなく、プラントの操業状態への影響が懸念される。また、新設制御装置に入力される信号の仕様が、老朽化した既設制御装置と同じ信号でなければならない制約がある。
日本特開2017−41000号公報
ところで、既設制御システムを新設制御システムに更新する際の機能確認試験の1つとして、新設制御システムの上位計算機(新設計算機)の動作確認が必要である。新設計算機の試験のために、計算機更新試験支援装置を用意する場合がある。従来の計算機更新試験支援装置では、新設計算機の演算処理に必要な試験用入力データをあらかじめ手入力で作成していた。しかしながら、試験用入力データを用意する作業コストが大きい、手入力で作成されたデータは実際の操業データとは異なる、といった課題がある。
また、新設計算機の試験のために、既設制御システムの下位PLC(既設PLC)が接続する下位制御ネットワーク(既設下位ネットワーク)と、新設制御システムの下位PLCが接続する下位制御ネットワーク(新設下位ネットワーク)とをゲートウェイで接続することも考えられる。これによれば、既設下位ネットワークの全入出力信号が新設下位ネットワークに転送されるため、操業中の既設PLCが出力する実際の操業データを新設計算機の試験に用いることができる。しかしながら、試験対象である新設計算機側に、機能確認試験のために必要なデータを取捨選択する仕組みが必要であり、新設計算機の試験にとって適切な環境ではない。
さらに、既設下位ネットワークは、メーカー専用の高速制御用データネットワークで構成されていることが多い。そのため、既設制御システムの建設当時(通常10年〜15年前)にその設計を担当しなかったメーカーが、既設下位ネットワークの送受信データを分析し、新設制御システムへ更新するのに必要な情報を得るのは困難である。そのため、既設制御システムを設計したメーカーに更新工事も依存せざるを得ないこととなり、更新工事の費用を安価に抑えられない、更新工事の時点での最新技術を導入するには制約が多い、といった課題がある。
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、既設制御システムの設計や動作に関する情報を得やすく、かつ、実際の操業データを用いて新設制御システムの新設計算機の機能確認試験を効率的にできる計算機更新試験支援装置を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するため、計算機更新試験支援装置は以下のように構成される。計算機更新試験支援装置は、既設制御システムと新設制御システムの両方に接続して新設計算機をテストするための装置である。
既設制御システムは、既設プログラマブルロジックコントローラ(以下、既設PLC)と既設ゲートウェイとを接続する既設下位ネットワークと、既設ゲートウェイと既設計算機との間でパケットを伝送する既設上位ネットワークとを備え、既設計算機と既設PLCとが連携して鉄鋼生産ラインを制御する。
新設制御システムは、コモンメモリを有するノードを複数有し該複数のノード間でのコモンメモリの同期によって1のノードに接続する新設プログラマブルロジックコントローラ(以下、新設PLC)と他の1のノードに接続する新設ゲートウェイとの間でデータを送受信する新設下位ネットワークと、新設ゲートウェイと新設計算機とを接続する新設上位ネットワークとを備え、新設計算機と新設PLCとが連携して鉄鋼生産ラインを制御する。
計算機更新試験支援装置は、HUBと、パケットデータ蓄積部と、データ表示部と、試験データ出力部とを備える。
HUBは、既設上位ネットワークに接続し、既設上位ネットワークを流れる鉄鋼生産ラインの実操業中のパケットをキャプチャーするポートミラーリング機能を有する。パケットはIPパケットを含む。
パケットデータ蓄積部は、HUBによりキャプチャーされたパケットの収集時刻およびデータ内容からなるパケットデータを蓄積する。データ内容はデータ値を含む。さらにデータ項目を含んでもよい。
データ表示部は、パケットデータ蓄積部に蓄積された各パケットデータを表示する。
試験データ出力部は、新設計算機の演算処理に必要なパケットのデータ内容と、該データ内容を書き込むコモンメモリの記憶領域を指定するアドレスとの対応関係が定義された試験データ定義テーブルに従って、HUBがキャプチャーした各パケットの収集時刻間の相対的なタイミングを保持したまま、新設計算機の演算処理に必要なパケットのデータ内容をコモンメモリのアドレスに応じた記憶領域に書き込む。
本実施形態に係る計算機更新試験支援装置によれば、パケットを伝送する一般的なネットワークプロトコルで通信する既設上位ネットワークからパケットを収集し、各パケットの収集時刻とデータ内容を蓄積し表示できる。そのため、メーカー特有のネットワークプロトコルで通信する既設下位ネットワークからデータを解析するのに比して、既設制御システムで用いられているデータの解析が容易であり、既設制御システムの設計、動作、機能分担を容易に調査できる。既設制御システムの設計製作に関わらなかったメーカーでも調査が容易となるため、品質の高い新設制御システムを短期間に安価に構築することができる。
また、新設計算機の演算処理に必要な実際の操業データのみを新設制御システム側に伝送できる。そのため、新設計算機側でデータを取捨選択する仕組みが不要であり、新設計算機の試験にとって適切な環境を提供できる。また、鉄鋼生産ラインの実際の操業データを用いることができるため、試験データの品質を高め、試験データの作成コストを低減できる。そのため、試験の効率を高め、品質の高い新設制御システムを構築できる。
また、既設上位ネットワークにHUBを接続する構成であるため、パラレルランに比して既設制御システムに対する改修を最小限に止め、鉄鋼生産ラインの操業への影響を抑制できる。
本実施形態に係る計算機更新試験支援装置によれば、既設制御システムの設計や動作に関する情報を得やすく、かつ、実際の操業データを用いて新設制御システムの新設計算機の機能確認試験を効率的にできる。
鉄鋼生産ライン(鉄鋼プラント)を制御する制御システムの構成を説明するための図である。 新設下位ネットワークにおけるスキャン伝送について説明するための図である。 本発明の実施の形態1に係る計算機更新試験支援装置の構成を説明するためのブロック図である。 試験支援部が有する処理回路のハードウェア構成例を示すブロック図である。 本発明の実施の形態2に係る計算機更新試験支援装置の構成を説明するためのブロック図である。 本発明の実施の形態3に係る計算機更新試験支援装置の構成を説明するためのブロック図である。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。尚、各図において共通する要素には、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
実施の形態1.
図1は、鉄鋼生産ライン(鉄鋼プラント)を制御する制御システムの構成を説明するための図である。図1には、新設制御システム1と既設制御システム2と計算機更新試験支援装置4が描かれている。
新設制御システム1の制御対象は、既設制御システム2と同じ鉄鋼生産ラインである。計算機更新試験支援装置4は、既設制御システム2を新設制御システム1に更新する際に必要な機能確認試験を支援するために、既設制御システム2における実際の操業データを新設制御システム1の試験対象装置に与えることができる。試験対象装置は、新設計算機11および新設ゲートウェイ(新設GW)12である。
(新設制御システム)
新設制御システム1は、新設計算機11、新設ゲートウェイ12、複数の新設プログラマブルロジックコントローラ13(新設PLC13)、新設上位ネットワーク14、新設下位ネットワーク15を備える。新設計算機11と新設ゲートウェイ12は、パケットを伝送する一般的なネットワークプロトコル(TCP/IPまたはUDP/IP)の新設上位ネットワーク14で接続している。新設ゲートウェイ12と新設PLC13は、新設上位ネットワーク14とは異なるプロトコルの新設下位ネットワーク15で接続している。新設下位ネットワーク15は、高速制御用データネットワークである。新設上位ネットワーク14における伝送は、非周期的なデータ伝送であり、任意のデータを任意のタイミングで伝達する。
制御システムは、複数のPLCにより鉄鋼生産ラインの制御範囲を分担する。図1では、複数の新設PLC13は、新設PLC131と132を備えているが、3つ以上の新設PLCを備えてもよい。以下の説明において新設PLC131、132を区別する必要がない場合は単に新設PLC13と記す。
新設下位ネットワーク15は、高信頼性とリアルタイム性を実現するプラント制御用ネットワークである。具体的には、新設下位ネットワーク15は、コモンメモリ方式によるスキャン伝送(周期的な同報伝送)で制御データの同時性を確保可能なネットワークである。
新設下位ネットワーク15は、複数のノード(ノードA31〜ノードD34)を備える。ノードA31は計算機更新試験支援装置4に、ノードB32は新設ゲートウェイ12に、ノードC33は新設PLC131に、ノードD34は新設PLC132に接続している。なお、ノード数はこれに限定されるものではない。
図2は、新設下位ネットワーク15におけるスキャン伝送について説明するための図である。図2に示すように、複数のノードA31〜ノードD34は、それぞれ同一構成のコモンメモリ310〜340を有する。各コモンメモリには、計算機更新試験支援装置4の出力データが書き込まれる記憶領域、新設計算機11による設定情報が書き込まれる記憶領域、新設PLC131の出力データ(ドライブ装置やセンサの出力データを含む)が書き込まれる記憶領域、新設PLC132の出力データ(ドライブ装置やセンサの出力データを含む)が書き込まれる記憶領域が重複しないように割り当てられている。
各ノードは、自ノードが管理するコモンメモリ上のデータを、他のすべてのノードに周期的に同報伝送する同報伝送機能を有する。例えば、ノードA31は、コモンメモリ310上に計算機更新試験支援装置4の出力データが書き込まれる記憶領域にあるデータを、他のすべてのノードに周期的に同報伝送して、各コモンメモリ上のデータを同期する。新設下位ネットワーク15は、数msec周期でスキャン伝送を実施可能である。
図1に戻り説明を続ける。新設計算機11は、鉄鋼生産ラインにおける製造プロセスを総合的に管理するプロセスコンピュータであり、例えば、圧延現象を模した物理モデルを用いてプラント制御のための設定計算を行う。設定計算の結果(設定情報)は、必要なタイミングで、新設上位ネットワーク14と新設下位ネットワーク15との間でプロトコルを変換する新設ゲートウェイ12を介して、新設PLC13に送られる。
新設PLC13は、新設計算機11の設定情報を用いて鉄鋼生産ラインを構成する各機器(図示省略するドライブ装置やセンサ)を制御する。ドライブ装置は、圧延機のロール、ランアウトテーブルの注水装置、コイラーなどを駆動する機器である。センサは、被圧延材の板厚・板幅・温度、電動機の回転速度などを検出する機器である。新設PLC13から出力されたデータは、新設ゲートウェイ12で新設上位ネットワーク14の伝送方式に変換されて、新設計算機11へ伝達される。このように、新設計算機11と新設PLC13とが連携して鉄鋼生産ラインを制御する。
(既設制御システム)
既設制御システム2は、旧式の制御システムであり、例えば新設制御システム1と同種の構成を有する。
既設制御システム2は、既設計算機21、既設ゲートウェイ22(既設GW22)、複数の既設プログラマブルロジックコントローラ23(既設PLC23)、既設上位ネットワーク24、既設下位ネットワーク25を備える。既設計算機21と既設ゲートウェイ22は、パケットを伝送する一般的なネットワークプロトコル(TCP/IPまたはUDP/IP)の既設上位ネットワーク24で接続している。既設ゲートウェイ22と既設PLC23は、既設上位ネットワーク24とは異なるプロトコルの既設下位ネットワーク25で接続している。既設上位ネットワーク24における伝送は、非周期的なデータ伝送であり、任意のデータを任意のタイミングで伝達する。
図1では、複数の既設PLC23は、既設PLC231、232を備えているが、3つ以上の既設PLCを備えてもよい。以下の説明において既設PLC231、232を区別する必要がない場合は単に既設PLC23と記す。
既設下位ネットワーク25は、既設制御システムの設計を担当したメーカー専用の高速制御用データネットワークであり、独自のネットワークプロトコルを有する。そのため、既設制御システムの設計を担当したメーカー以外によるデータ解析は容易ではない。
既設計算機21は、新設計算機11と同様に、鉄鋼生産ラインにおける製造プロセスを総合的に管理するプロセスコンピュータであり、例えば、圧延現象を模した物理モデルを用いてプラント制御のための設定計算を行う。設定計算の結果(設定情報)は必要なタイミングで、既設上位ネットワーク24と既設下位ネットワーク25との間でプロトコルを変換する既設ゲートウェイ22を介して、既設PLC23に送られる。
既設PLC23は、既設計算機21の設定情報を用いて鉄鋼生産ラインを構成する各機器(図示省略するドライブ装置やセンサ)を制御する。既設PLC23から出力されたデータは、既設ゲートウェイ22で既設上位ネットワーク24の伝送方式に変換されて、既設計算機21へ伝達される。このように、既設計算機21と既設PLC23とが連携して鉄鋼生産ラインを制御する。
(計算機更新試験支援装置)
次に、計算機更新試験支援装置4について説明する。図3は、計算機更新試験支援装置4の構成を説明するためのブロック図である。
計算機更新試験支援装置4は、既設上位ネットワーク24と新設下位ネットワーク15の両方に接続する。計算機更新試験支援装置4は、HUB5と試験支援部6とを備える。
HUB5は、既設計算機21と既設ゲートウェイ22と間の既設上位ネットワーク24に接続する。HUB5は、既設上位ネットワーク24を流れるパケットをキャプチャーするポートミラーリング機能を有する。具体的には、HUB5は、リピータハブや、ミラーポートを有するスイッチングハブである。これらは一般に市販されており容易かつ安価に入手可能である。また、HUB5は、既設上位ネットワーク24のLANケーブルを繋ぎかえることで容易に設置可能である。HUB5は、既設PLC23と既設計算機21との間で伝送されている鉄鋼生産ラインの実操業中のパケットを試験支援部6へも伝送する。
試験支援部6は、パケット収集部61、データ保存部62、データ表示部63、試験データ出力部64を備える。
パケット収集部61は、HUB5によりキャプチャーされた各パケットを収集する。試験支援部6には、既設上位ネットワーク24で使用されている通信データフォーマットを定義したファイルが格納されており、その定義に従って受信したデータの内容が識別される。
データ保存部62は、パケットデータ蓄積部621と、試験データ定義テーブル622とを備える。データ保存部62は、後述する図4のROM102やストレージ108により実現される。
パケットデータ蓄積部621は、HUB5によりキャプチャーされたパケットの収集時刻(収集タイミング)およびデータ内容からなるパケットデータを蓄積する。データ内容はデータ値を含む。さらにデータ項目を含んでもよい。
試験データ定義テーブル622には、新設計算機11の演算処理に必要なパケットのデータ内容と、データ内容を書き込むコモンメモリの記憶領域を指定するアドレスとの対応関係が定義されている。
データ表示部63は、オペレータの操作に応じて、データ保存部62に蓄積された各パケットデータ、すなわちパケットの収集時刻とそのデータ内容を表示する。表示手段には画面出力および/または印刷出力が含まれる。
試験データ出力部64は、試験データ定義テーブル622に従って、HUB5がキャプチャーした各パケットの収集時刻間の相対的なタイミングを保持したまま、新設計算機11の演算処理に必要なパケットのデータ内容をコモンメモリ310のアドレスに応じた格納領域に書き込む。例えば、HUB5がキャプチャーした各パケットについて、試験データ定義テーブルに定義されているデータを、即時に新設下位ネットワーク15の通信データフォーマットに変換して出力することで、実際の操業データによるリアルタイム性を確保した試験が実施可能である。
(効果)
本実施形態に係る計算機更新試験支援装置4によれば、パケットを伝送する一般的なネットワークプロトコルで通信する既設上位ネットワーク24からパケットを収集し、各パケットの収集時刻とデータ内容を蓄積し表示できる。そのため、メーカー特有のネットワークプロトコルで通信する既設下位ネットワーク25からデータを解析するのに比して、既設制御システム2で用いられているデータの解析が容易であり、既設制御システム2の設計、動作、機能分担を容易に調査できる。既設制御システム2の設計製作に関わらなかったメーカーでも調査が容易となるため、品質の高い新設制御システム1を短期間に安価に構築することができる。
また、新設計算機11の演算処理に必要な実際の操業データのみを新設制御システム1側に伝送できる。そのため、試験対象装置である新設計算機11や新設ゲートウェイ12でデータを取捨選択する仕組みが不要であり、試験対象装置の試験にとって適切な環境を提供できる。また、鉄鋼生産ラインの実際の操業データを用いることができるため、試験データの品質を高め、試験データを準備する作業コストを低減できる。そのため、試験の効率を高め、品質の高い新設制御システム1を構築できる。
また、既設上位ネットワーク24にHUB5を接続する構成であるため、パラレルランに比して既設制御システム2に対する改修を最小限に止め、操業中の鉄鋼生産ラインへの影響を抑制できる。
また、操業中の鉄鋼生産ラインに使用されている既設制御システム2と同じデータを、即時に新設制御システム1でも使用してその機能をシミュレーションできる。新設制御システム1の出力データを既設制御システム2の出力データと比較することで、新設制御システム1の品質を高めかつ試験の効率化を図ることができる。
また、試験データ定義テーブル622に設定漏れや設定誤りがあった場合でも、既設計算機21と既設PLC23間の送受信データを表示することで、オペレータは誤りの発見や修正を容易に行える。
(ハードウェア構成例)
試験支援部6のハードウェア構成について図4を参照しつつ説明する。図4は、図3の試験支援部6が有する処理回路のハードウェア構成例を示すブロック図である。図3に示す試験支援部6の各部は、試験支援部6が有する機能の一部を示し、各機能は処理回路により実現される。例えば、処理回路は、CPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103、入出力インターフェース104、システムバス105、入力装置106、表示装置107、ストレージ108を備えたコンピュータである。
CPU101は、ROM102やRAM103に格納されたプログラムやデータなどを用いて各種の演算処理を実行する処理装置である。ROM102は、コンピュータに各機能を実現させるための基本プログラムや環境ファイルなどを記憶する読み取り専用の記憶装置である。RAM103は、CPU101が実行するプログラムおよび各プログラムの実行に必要なデータを記憶する主記憶装置であり、高速な読み出しと書き込みが可能である。入出力インターフェース104は、各種のハードウェアとシステムバス105との接続を仲介する装置である。システムバス105は、CPU101、ROM102、RAM103および入出力インターフェース104で共有される情報伝達路である。
また、入出力インターフェース104には、入力装置106、表示装置107、ストレージ108などのハードウェアが接続されている。入力装置106は、オペレータによる入力を処理する装置であり、例えばキーボードやマウスである。上述した各部の処理は、入力装置106からの入力を起点として実行される。表示装置107は、例えばディスプレイである。ストレージ108は、プログラムやデータを蓄積する大容量の補助記憶装置であり、例えばハードディスク装置や不揮発性の半導体メモリなどである。データ保存部62は、RAM103および/またはストレージ108により実現されている。
実施の形態2.
次に、図5を参照して本発明の実施の形態2について説明する。上述した実施の形態1では、一例として、計算機更新試験支援装置4で収集したデータを、その収集タイミングでリアルタイムに新設下位ネットワーク15に出力する場合について述べた。ところで、実際の既設制御システム2での生産実施状況とは無関係に、過去に既設制御システム2で実施した制御と同じ状況を、新設制御システム1で繰り返しシミュレーションしたい場合もある。
図5は、本発明の実施の形態2に係る計算機更新試験支援装置4の構成を説明するためのブロック図である。図5に示す構成は、試験支援部6に設定情報65が追加されている点、試験データ出力部64の処理が拡張されている点を除いて、図3と同様である。
設定情報65は、オペレータにより設定される情報であり、パケットデータ蓄積部621に蓄積されたパケットデータのうち試験に用いるデータの時刻範囲を指定した情報である。
試験データ出力部64は、パケットデータ蓄積部621に蓄積されたパケットデータのうち、設定情報65に指定された範囲のパケットデータについて、試験データ定義テーブル622に従って、HUB5がキャプチャーした各パケットの収集時刻間の相対的なタイミングを保持したまま、新設計算機11の演算処理に必要なパケットのデータ内容をコモンメモリ310のアドレスに応じた記憶領域に繰り返し書き込む。
なお、設定情報65が未設定の場合には、試験データ出力部64は、実施の形態1で述べたように、計算機更新試験支援装置4が収集したデータをその収集タイミングでリアルタイムに新設下位ネットワーク15へ出力する。
本実施形態に係る計算機更新試験支援装置4によれば、実際の既設制御システム2での生産実施状況とは無関係に、過去に既設制御システム2で実施した制御と同じデータを同じタイミング(同じ時系列)で繰り返し新設下位ネットワーク15に出力できる。そのため、新設制御システム1の機能確認試験をより効率的に実施できる。
実施の形態3.
次に、図6を参照して本発明の実施の形態3について説明する。上述した実施の形態1ではパケットの収集タイミングとデータ内容を表示する機能について述べた。ところで、計算機更新前後の製品品質データを比較して表示する機能をさらに有すれば、より機能確認試験が効率的になる。
図6は、本発明の実施の形態3に係る計算機更新試験支援装置4の構成を説明するためのブロック図である。図6に示す構成は、試験支援部6にコモンメモリ収集部66と、品質データ集計部67と、コモンメモリデータ蓄積部623が追加されている点、データ表示部63の処理が拡張されている点を除いて、図5と同様である。
コモンメモリ収集部66は、新設下位ネットワーク15のコモンメモリ310に記憶されたデータを収集する。収集されるデータには、新設PLC13から出力される被圧延材の板厚、板幅、温度などの製品品質データ(実測データ)が含まれている。コモンメモリデータ蓄積部623は、新設下位ネットワーク15のコモンメモリ310に記憶された製品品質データを制御周期毎に蓄積する。
品質データ集計部67は、パケットデータ蓄積部621に蓄積された既設制御システム2の製品品質データ(既設PLC23が出力する被圧延材の板厚、板幅、温度)と、コモンメモリデータ蓄積部623に蓄積された新設制御システム1の製品品質データ(新設PLC13が出力する被圧延材の板厚、板幅、温度)とを比較する。品質データ集計部67は、比較した製品品質データ間に設定値を超える差がある場合は当該製品の品質に異常がある旨を、比較した製品品質データの値とともに比較結果として出力する。比較結果は、データ保存部62に記憶される。
データ表示部63は、オペレータの操作に応じて、データ保存部62に記憶された比較結果を表示する。表示手段には画面出力および/または印刷出力が含まれる。
(効果)
本実施形態に係る計算機更新試験支援装置4によれば、計算機の更新前後において同じ製品の製品品質データを比較することが可能である。そのため、新設制御システム1の評価が容易に行える。仮に、更新後の新設制御システム1の製品品質データが劣っている部分があれば、その原因を調査することが容易である。そのため、更新後の新設制御システム1の品質を更新前の品質以上に高めるための調整期間を短くできる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
1 新設制御システム
2 既設制御システム
4 計算機更新試験支援装置
5 HUB
6 試験支援部
11 新設計算機
12 新設ゲートウェイ(新設GW)
13 新設プログラマブルロジックコントローラ(新設PLC)
14 新設上位ネットワーク
15 新設下位ネットワーク
21 既設計算機
22 既設ゲートウェイ(既設GW)
23 既設プログラマブルロジックコントローラ(既設PLC)
24 既設上位ネットワーク
25 既設下位ネットワーク
31〜34 ノードA〜ノードD
61 パケット収集部
62 データ保存部
63 データ表示部
64 試験データ出力部
65 設定情報
66 コモンメモリ収集部
67 品質データ集計部
101 CPU(Central Processing Unit)
102 ROM(Read Only Memory)
103 RAM(Random Access Memory)
104 入出力インターフェース
105 システムバス
106 入力装置
107 表示装置
108 ストレージ
310〜340 コモンメモリ
621 パケットデータ蓄積部
622 試験データ定義テーブル
623 コモンメモリデータ蓄積部

Claims (3)

  1. 既設プログラマブルロジックコントローラ(以下、既設PLC)と既設ゲートウェイとを接続する既設下位ネットワークと、前記既設ゲートウェイと既設計算機との間でパケットを伝送する既設上位ネットワークとを備え、前記既設計算機と前記既設PLCとが連携して鉄鋼生産ラインを制御する既設制御システムと、
    コモンメモリを有するノードを複数有し該複数のノード間でのコモンメモリの同期によって1のノードに接続する新設プログラマブルロジックコントローラ(以下、新設PLC)と他の1のノードに接続する新設ゲートウェイとの間でデータを送受信する新設下位ネットワークと、前記新設ゲートウェイと新設計算機とを接続する新設上位ネットワークとを備え、前記新設計算機と前記新設PLCとが連携して前記鉄鋼生産ラインを制御する新設制御システムと、
    の両方に接続して前記新設計算機をテストするための計算機更新試験支援装置であって、
    前記既設上位ネットワークに接続し、前記既設上位ネットワークを流れる前記鉄鋼生産ラインの実操業中のパケットをキャプチャーするポートミラーリング機能を有するHUBと、
    前記HUBによりキャプチャーされたパケットの収集時刻およびデータ内容からなるパケットデータを蓄積するパケットデータ蓄積部と、
    前記パケットデータ蓄積部に蓄積された各パケットデータを表示するデータ表示部と、
    前記新設計算機の演算処理に必要なパケットのデータ内容と、該データ内容を書き込むコモンメモリの記憶領域を指定するアドレスとの対応関係が定義された試験データ定義テーブルに従って、前記HUBがキャプチャーした各パケットの収集時刻間の相対的なタイミングを保持したまま、前記新設計算機の演算処理に必要なパケットのデータ内容をコモンメモリのアドレスに応じた記憶領域に書き込む試験データ出力部と、
    を備えることを特徴とする計算機更新試験支援装置。
  2. 前記試験データ出力部は、前記パケットデータ蓄積部に蓄積されたパケットデータのうち、指定された範囲のパケットデータについて、前記試験データ定義テーブルに従って、前記相対的なタイミングを保持したまま、前記新設計算機の演算処理に必要なパケットのデータ内容をコモンメモリのアドレスに応じた記憶領域に繰り返し書き込むこと、
    を特徴とする請求項1記載の計算機更新試験支援装置。
  3. 前記新設下位ネットワークのコモンメモリに記憶された製品品質データを蓄積するコモンメモリデータ蓄積部と、
    前記パケットデータ蓄積部に蓄積された前記既設制御システムの製品品質データと、前記コモンメモリデータ蓄積部に蓄積された前記新設制御システムの製品品質データとの比較結果を出力する品質データ集計部と、
    をさらに備えることを特徴とする請求項1又は2記載の計算機更新試験支援装置。
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