JP6733379B2 - 鋼片断面形状測定装置及び鋼片断面形状測定方法 - Google Patents

鋼片断面形状測定装置及び鋼片断面形状測定方法 Download PDF

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Description

本発明は、搬送中の鋼片の断面形状を計測する鋼片断面形状測定装置及び鋼片断面形状測定方法に関する。
従来、厚鋼板等の厚みの測定に、γ線やX線を利用する技術や、レーザ光を利用する技術が採用されている。
γ線やX線を利用する技術は、鋼片を通過する際のγ線やX線の減衰量から鋼片の厚みを計測するもので、外乱等の影響が少ないという利点がある。一方、γ線やX線はビーム形状を絞り込むことができず、特定範囲の平均厚みの測定は可能であるものの、位置によって厚みにばらつきがある鋼片に対して、厚みを高分解能で測定することができない。更に、高精度で計測可能な厚みの上限は、X線の場合で数十mm程度、γ線の場合で百数十mm程度であり、厚みが200mm以上の鋼片の厚み測定には適さない。
これに対して、特許文献1、2に具体例が開示されているレーザ光を利用する技術は、三角測量の原理を用いた高精度で応答性の高いレーザ距離計を鋼片の上下に配置し、各レーザ距離計から鋼片までの距離を基に、鋼片の厚みを計測する。レーザ光を利用する技術は、応答性が高く、計測スポット(レーザ光の径や、太さ)が細かく高分解能であり、しかも測定可能な厚みの制限がない。
特開2004−108961号公報 特開2009−109355号公報
しかしながら、特許文献1、2に記載の装置は特定の箇所のみを厚み計測するものであり、厚鋼板のように厚みが均一なものを計測対象とする場合はよいが、幅圧下や表面疵の手入れを受けて、その表面が必ずしも平坦ではない鋼片が測定対象である場合、幅方向の特定箇所の厚みだけではなく幅方向全ての位置の厚み、さらには断面形状の測定が必要であり、それには適さないという課題があった。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされるもので、幅方向で厚みが異なる鋼片の断面形状を計測可能な鋼片断面形状測定装置及び鋼片断面形状測定方法を提供することを目的とする。
前記目的に沿う第1の発明に係る鋼片断面形状測定装置は、パスラインを長手方向に搬送中の鋼片の断面形状を計測する鋼片断面形状測定装置であって、前記鋼片の上方から該鋼片の上面に垂直に該鋼片の幅方向に長い第1のライン光を照射して、該鋼片の幅方向に長いライン状の第1の反射光を該鋼片の上面で反射させる第1のレーザ照射部、及び、前記第1の反射光を斜め上方から撮像する第1の撮像部を有し、前記鋼片までの距離の計測値D1を求める第1の2次元距離計と、前記鋼片の下方の前記第1のレーザ照射部に対向する位置から該鋼片の下面に垂直に該鋼片の幅方向に長い第2のライン光を照射して、該鋼片の幅方向に長いライン状の第2の反射光を該鋼片の下面で反射させる第2のレーザ照射部、及び、前記第2の反射光を斜め下方から撮像する第2の撮像部を有し、前記鋼片までの距離の計測値D2を求める第2の2次元距離計と、前記計測値D1、前記計測値D2、前記第1の2次元距離計から前記パスラインまでの距離として予め定められた値D3、及び、前記第2の2次元距離計から前記パスラインまでの距離として予め定められた値D4を基にして、前記鋼片の幅方向の断面形状を導出する断面形状導出手段と、前記第1、第2のライン光の照射タイミングを制御する制御手段とを備え、対向配置された対となる前記第1、第2のレーザ照射部は、前記第1の反射光それぞれの前記鋼片で反射した領域が全て合わせて該鋼片の幅方向全体にわたり、前記第2の反射光それぞれの前記鋼片で反射した領域が全て合わせて該鋼片の幅方向全体にわたるように、前記鋼片の幅方向に複数組配置され、前記各第1の反射光及び前記各第2の反射光は、前記鋼片の同じ搬送位置で該鋼片で反射し、前記制御手段は、対向配置された対となる前記第1、第2のレーザ照射部に、同じタイミングで前記第1、第2のライン光をそれぞれ照射させ、前記鋼片の幅方向の隣り合う前記第1のレーザ照射部に、異なるタイミングで前記第1のライン光を照射させ、前記鋼片の幅方向の隣り合う前記第2のレーザ照射部に、異なるタイミングで前記第2のライン光を照射させる。
前記目的に沿う第2の発明に係る鋼片断面形状測定方法は、パスラインを長手方向に搬送中の鋼片の断面形状を計測する鋼片断面形状測定方法であって、第1の2次元距離計が、前記鋼片の上方から該鋼片の幅方向に長い第1のライン光を該鋼片の上面に垂直に照射して、該鋼片の上面で反射させた該鋼片の幅方向に長いライン状の第1の反射光を、該鋼片の上面に対し斜め上方から撮像して、前記鋼片までの距離の計測値D1を求め、前記第1の2次元距離計に対向して配置された第2の2次元距離計が、前記鋼片の下方から該鋼片の幅方向に長い第2のライン光を該鋼片の下面に垂直に照射して、該鋼片の下面で反射させた該鋼片の幅方向に長いライン状の第2の反射光を、該鋼片の下面に対し斜め下方から撮像して、前記鋼片までの距離の計測値D2を求める工程と、前記計測値D1と前記第1の2次元距離計から前記パスラインまでの距離として予め定められた値D3とから前記鋼片の上面の形状を導出し、前記計測値D2と前記第2の2次元距離計から前記パスラインまでの距離として予め定められた値D4とから前記鋼片の下面の形状を導出し、導出された前記鋼片の上面及び下面の形状を基に前記鋼片の幅方向の断面形状を導出する工程とを有し、対向配置された対となる前記第1、第2の2次元距離計は、前記鋼片の幅方向に複数組配置されており、前記鋼片の上面でそれぞれ反射する前記第1の反射光の領域は、全て合わせて前記鋼片の幅方向全体にわたり、前記鋼片の下面でそれぞれ反射する前記第2の反射光の領域は、全て合わせて前記鋼片の幅方向全体にわたり、前記各第1の反射光及び前記各第2の反射光は、前記鋼片の同じ搬送位置で該鋼片で反射し、対向配置された対となる前記第1、第2の2次元距離計は、同じタイミングで前記第1、第2のライン光をそれぞれ照射し、前記鋼片の幅方向の隣り合う前記第1の2次元距離計は、異なるタイミングで前記第1のライン光を照射し、前記鋼片の幅方向の隣り合う前記第2の2次元距離計は、異なるタイミングで前記第2のライン光を照射する。
第1の発明に係る鋼片断面形状測定装置及び第2の発明に係る鋼片断面形状測定方法は、鋼片の上面側と下面側に対向配置された対となる第1、第2の2次元距離計(第1、第2のレーザ照射部)が、鋼片の上下の表面でそれぞれ反射されたライン状の第1、第2の反射光の領域が全て合わせて鋼片の幅方向全体にわたるように、複数組配置されているので、幅方向で厚みが異なる鋼片の断面形状を計測可能である。
本発明の一実施の形態に係る鋼片断面形状測定装置の説明図である。 鋼片に対する2次元距離計の配置を示す説明図である。 (A)、(B)はそれぞれ、異なるタイミングにおける反射光の反射の様子を示す説明図である。 (A)、(B)はそれぞれ、2次元距離計のライン光の照射タイミングを示す説明図である。 鋼片の厚みの算出を示す説明図である。 (A)、(B)はそれぞれ、反射光が鋼片の幅方向の隣り合う位置で反射するタイミングを示す説明図である。 鋼片の断面形状を計測した実験結果を示す説明図である。
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
図1、図2、図5に示すように、本発明の一実施の形態に係る鋼片断面形状測定装置10は、パスラインGを長手方向に搬送中の鋼片11の上面11aに鋼片11の幅方向に長いライン光P1(第1のライン光)を照射して、鋼片11までの距離の計測値D1を求める複数の2次元距離計17(第1の2次元距離計)と、鋼片11の下面11bに鋼片11の幅方向に長いライン光P2(第2のライン光)を照射して、鋼片11までの距離の計測値D2を求める複数の2次元距離計18(第2の2次元距離計)と、計測値D1、計測値D2、2次元距離計17からパスラインGまでの距離として予め定められた値D3、及び、2次元距離計18からパスラインGまでの距離として予め定められた値D4を基にして、鋼片11の幅方向の断面形状を導出する断面形状導出手段22とを備えている。以下、これらについて詳細に説明する。
本実施の形態において、鋼片11は、図1、図2に示すように、搬送方向Sに長い板状物であり、図示しないローラコンベア上を長手方向に搬送される。パスラインGは、本実施の形態において、ローラコンベアの鋼片11が接する面の位置を意味する。
鋼片11の幅方向に配置された各2次元距離計17は、図1、図2、図3(A)、(B)に示すように、搬送中の鋼片11の上方から鋼片11の上面11aに対して垂直にライン光P1を照射して、鋼片11の幅方向に長いライン状の反射光L1(第1の反射光)を鋼片11の上面11aで反射させるレーザ照射部12(第1のレーザ照射部)、及び、反射光L1を斜め上方から撮像する撮像部13(第1の撮像部)を有している。
鋼片11の幅方向に配置された各2次元距離計18は、搬送中の鋼片11の下方から鋼片11の下面11bに対して垂直にライン光P2を照射して、鋼片11の幅方向に長いライン状の反射光L2(第2の反射光)を鋼片11の下面11bで反射させるレーザ照射部14(第2のレーザ照射部)、及び、反射光L2を斜め下方から撮像する撮像部15(第2の撮像部)を有している。各2次元距離計18は各2次元距離計17に対向して配置され、各レーザ照射部14は各レーザ照射部12に対向して配置されている。よって、レーザ照射部14は、鋼片11の下方のレーザ照射部12に対向する位置から鋼片11にライン光P2を照射することとなる。
複数のレーザ照射部12は、図1に示すように、パスラインGの上方で鋼片11の幅方向に所定の間隔で配列され、複数のレーザ照射部14は、パスラインGの下方で鋼片11の幅方向に所定の間隔で配列されている。各対となるレーザ照射部12、14は、鋼片11の幅方向の異なる位置に設けられている。本実施の形態では、各レーザ照射部12及び各レーザ照射部14は、鋼片11の搬送方向Sの同位置に配されている。
レーザ照射部12からのライン光P1の照射によって、図3(A)、(B)に示すように、鋼片11の上面11aで鋼片11の幅方向に長い反射光L1が反射され、レーザ照射部14からのライン光P2の照射によって、鋼片11の下面11bで鋼片11の幅方向に長い反射光L2が反射される。これによって、各反射光L1は、鋼片11の搬送方向Sの同位置(鋼片11の同じ搬送位置)で鋼片11の上面11aで反射し、各反射光L2は、鋼片11の搬送方向Sの同位置で鋼片11の下面11bで反射する。反射光L1はライン光P1が鋼片11の上面11aに当たっている光であり、反射光L2はライン光P2が鋼片11の下面11bに当たっている光である。
複数組の対向配置された対となるレーザ照射部12、14は、反射光L1それぞれの鋼片11で反射した領域が全て合わせて鋼片11の幅方向全体にわたり、反射光L2それぞれの鋼片11で反射した領域が鋼片11の幅方向全体にわたるように、鋼片11の幅方向に沿って配置されている。
本実施の形態では、対向配置された対となるレーザ照射部12、14の各組においては、反射光L1の中心及び反射光L2の中心が、それぞれ鋼片11の幅方向の同位置に配される。
撮像部13は、図2に示すように、鋼片11の上面11aに対し撮像方向を斜めに配して、反射光L1を鋼片11の上方から撮像し、撮像部15は、鋼片11の下面11bに対し撮像方向を斜めに配して、反射光L2を鋼片11の下方から撮像する。
2次元距離計17は、撮像部13が撮像した画像を基に三角測量の原理を用いて、2次元距離計17から鋼片11の上面11aで反射している反射光L1までの距離を測定し、計測値D1を得る。2次元距離計18は、撮像部15が撮像した画像を基に三角測量の原理を用いて、2次元距離計18から鋼片11の下面11bで反射している反射光L2までの距離を測定し、計測値D2を得る。
各2次元距離計17、18は、図1に示すように、アンプ19を介して制御機20に接続されている。制御機20は、制御機20に接続された鋼片搬送制御機21から発信される指令信号に従って、各レーザ照射部12、14にそれぞれライン光P1、P2を照射させ、各撮像部13、15にそれぞれ反昇光L1、L2を撮像させる。
本実施の形態では、制御機20にPLC(Programmable logic controller)が採用され、主として制御機20及び鋼片搬送制御機21によって、各レーザ照射部12、14のライン光P1、P2の照射タイミングを決定する制御手段が構成されている。
また、各2次元距離計17、18には、鋼片11の断面形状を求める断面形状導出手段22がアンプ19を介して接続されており、2次元距離計17、18がそれぞれ求めた計測値D1、D2は、断面形状導出手段22に送られる。断面形状導出手段22は、例えば、ソフトウェアプログラムがインストールされた電子計算機によって構成できる。
断面形状導出手段22には、各2次元距離計17についての値D3(2次元距離計17からパスラインGまでの距離として設定された値)及び各2次元距離計18についての値D4(2次元距離計18からパスラインGまでの距離として設定された値)が登録されている(図5参照)。本実施の形態では、断面形状導出手段22に、断面形状導出手段22とデータのやり取りを行う電子計算機23が接続されている。
制御機20は、対向配置された対となる2次元距離計17、18(具体的には、レーザ照射部12、14)に対し、同じタイミングでライン光P1、P2を照射させ、鋼片11で同じタイミングで反射光L1、L2が反射するように指令信号を送信する。そのため、対向配置された対となる2次元距離計17、18は、搬送中の鋼片11に対し、鋼片11の長手方向同位置で反射光L1、L2を反射させることとなる。そして、鋼片11の上面11aで反射する反射光L1の領域が、複数の反射光L1全体で、鋼片11の幅方向全体にわたり、鋼片11の下面11bに当たる反射光L2の領域が、複数の反射光L2全体で、鋼片11の幅方向全体にわたる。
断面形状導出手段22は、各2次元距離計17から得た計測値D1全体及び各2次元距離計17に対応する値D3全体を基にして、鋼片11の幅方向全体について鋼片11の上面11aの形状を導出し、各2次元距離計18から得た計測値D2全体及び各2次元距離計18に対応する値D4全体を基にして、鋼片11の幅方向全体について鋼片11の下面11bの形状を導出し、導出された鋼片11の上面11aの形状及び鋼片11の下面11bの形状を基に鋼片11の幅方向全体にわたる鋼片11の断面形状を導出できる。
ここで、仮に、鋼片11の幅方向に隣り合う位置で反射する反射光L1が、同じタイミングで鋼片11で反射すると、一方の反射光L1の鋼片11の幅方向一側が他方の反射光L1の鋼片11の幅方向他側に重なることになる(図1参照)。反射光L1が重なった部分では、光の干渉が生じ、計測値D1を正確に計測することができない。これは、反射光L2と計測値D2の関係においても同じである。
そこで、制御機20は、鋼片11の幅方向の隣り合う2次元距離計17(レーザ照射部12)に、異なるタイミングでライン光P1を照射させ、鋼片11の幅方向の隣り合う2次元距離計18(レーザ照射部14)に、異なるタイミングでライン光P2を照射させるように制御し、反射光L1、L2に干渉が生じるのを回避している。本実施の形態では、具体的に、ライン光P1、P2を以下のタイミングで照射するように制御している。
即ち、制御機20は、鋼片11の幅方向一側から奇数番目に対向配置された対となる2次元距離計17、18の奇数グループと偶数番目に対向配置された対となる2次元距離計17、18の偶数グループとに分け、まず、図4(A)に示すように、奇数グループの2次元距離計17、18にそれぞれライン光P1、P2を照射させ、図3(A)に示すように、反射光L1が間隔を空けて鋼片11の上面11aで反射され、反射光L2が間隔を空けて鋼片11の下面11bで反射されるようにする。
次に、制御機20は、図4(B)に示すように、奇数グループの2次元距離計17、18にそれぞれライン光P1、P2の照射を停止させ、偶数グループの2次元距離計17、18にそれぞれライン光P1、P2を照射させる。これによって、図3(B)に示すように、反射光L1が間隔を空けて鋼片11の上面11aで反射され、反射光L2が間隔を空けて鋼片11の下面11bで反射される。
そして、本実施の形態では、鋼片11の幅方向に隣り合う一方の2次元距離計17によるライン光P1の照射を停止してから他方の2次元距離計17によるライン光P1の照射を開始するまでの時間及び鋼片11の幅方向に隣り合う一方の2次元距離計18によるライン光P2の照射を停止してから他方の2次元距離計18によるライン光P2の照射を開始するまでの時間をそれぞれ△tとし、図6(A)、(B)に示すように、反射光L1、L2の鋼片11の搬送方向の長さをそれぞれLwとし、鋼片11の搬送速度をVとして、制御機20は、△t<Lw/Vの関係を充足するタイミングで、各2次元距離計17、18によるライン光P1、P2の照射を制御する。
なお、図6(A)、(B)には、鋼片11が移動した距離Rを図中に示すため、鋼片11の搬送方向Sの特定位置に配した仮想点Uを記している。
△t<Lw/Vの関係を満たすことによって、鋼片11の幅方向に隣り合う一方の2次元距離計17によるライン光P1の照射を停止してから他方の2次元距離計17によるライン光P1の照射を開始するまでに鋼片11が搬送方向Sに移動する距離RはLw未満(△t×V<Lw)になる。なお、これは2次元距離計18及びライン光P2に対しても同様である。従って、鋼片11の幅方向に隣り合う2次元距離計17(2次元距離計18についても同じ)で照射タイミングが異なっていても、断面形状導出手段22は、反射光L1、L2全体で、実質的に、鋼片11の長手方向同位置における鋼片11の幅方向の断面形状を導出可能である。
以上より、鋼片断面形状測定装置10を用いた本発明の一実施の形態に係る鋼片断面形状測定方法は、以下に記すようになる。
即ち、当該鋼片断面形状測定方法は、2次元距離計17が、鋼片11の上方からライン光P1を鋼片11の上面11aに垂直に照射して、鋼片11の上面11aで反射させた反射光L1を、鋼片11の上面11aに対し斜め上方から撮像して、鋼片11の上面11aまでの距離の計測値D1を求め、2次元距離計17に対向して配置された2次元距離計18が、鋼片11の下方からライン光P2を鋼片11の下面11bに垂直に照射して、鋼片11の下面11bで反射させた反射光L2を、鋼片11の下面11bに対し斜め下方から撮像して、鋼片11の下面11bまでの距離の計測値D2を求める工程と、計測値D1と値D3とから鋼片11の上面11aの形状を導出し、計測値D2と値D4とから鋼片11の下面11bの形状を導出し、導出された鋼片11の上面11a及び下面11bの形状を基に鋼片11の幅方向の断面形状を導出する工程とを有する。
また、本実施の形態では、反射光L1、L2の全てが鋼片11の同じ搬送位置(パスラインGに対し相対的に同じ位置)で鋼片11で反射するが、鋼片11の長手方向の特定位置における鋼片11の幅方向全体の断面形状を求める点においては、反射光L1、L2の全てが鋼片11の同じ搬送位置で鋼片11で反射する必要は必ずしもない。
例えば、鋼片11の幅方向一側から奇数番目に配された2次元距離計17からのライン光P1の照射によって鋼片11で反射する反射光L1と、鋼片11の幅方向一側から偶数番目に配された2次元距離計17からのライン光P1の照射によって鋼片11で反射する反射光L1を、鋼片11の異なる搬送位置で反射させるように、各レーザ照射部12を配置し、各2次元距離計18についても同様にした場合でも、各ライン光P1、P2の照射タイミングを調整することで、各ライン光P1、L2を全て鋼片11の長手方向同位置に当てることができ、鋼片11の幅方向全体の断面形状を導出可能である。
次に、本発明の作用効果を確認するために行った実験について説明する。
実験においては、厚さ約250mm、幅約2000mmの鋼片を対象として、第1、第2の反射光が全て、鋼片の同じ搬送位置で鋼片で反射するように、第1、第2の2次元距離計を配置し、各第1の2次元距離計(各第2の2次元距離計についても同じ)は、鋼片の幅方向の隣り合う位置へタイミングをずらして第1のライン光(第2の2次元距離計については、第2のライン光)を照射するようにして、鋼片の幅方向全体について鋼片の幅方向の断面形状を計測した。
計測結果を図7に示す。図7において、縦軸はパスラインを基準とした鋼片の厚みの方向位置を示し、横軸は鋼片の幅方向一側を基準とした鋼片の幅方向の位置を示す。そして、鋼片の厚み方向の250mm付近にプロットされた複数の丸印は、計測された鋼片の上面であり、鋼片の厚み方向0mm付近にプロットされた複数の丸印は、計測された鋼片の下面を表している。図7に示す結果より、鋼片の幅方向の断面形状を、鋼片の上面及び下面の凹凸も含めて安定的に導出できることが確認された。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、上記した形態に限定されるものでなく、要旨を逸脱しない条件の変更等は全て本発明の適用範囲である。
例えば、対向配置された第1、第2の2次元距離計それぞれが第1、第2のライン光を異なる搬送位置で鋼片に当てるようにしてもよい。この場合、第1、第2の2次元距離計それぞれが第1、第2のライン光を照射するタイミングをずらして、第1、第2の反射光が鋼片の長手方向同位置で反射するようにすればよい。
また、鋼片は、板状物に限定されない。
10:鋼片断面形状測定装置、11:鋼片、11a:上面、11b:下面、12:レーザ照射部、13:撮像部、14:レーザ照射部、15:撮像部、17、18:2次元距離計、19:アンプ、20:制御機、21:鋼片搬送制御機、22:断面形状導出手段、23:電子計算機、D1、D2:計測値、D3:第1の2次元距離計からパスラインまでの距離、D4:第2の2次元距離計からパスラインまでの距離、G:パスライン、L1、L2:反射光、Lw:ライン光の鋼片の搬送方向の長さ、P1、P2:ライン光、R:距離、S:搬送方向、U:仮想点

Claims (3)

  1. パスラインを長手方向に搬送中の鋼片の断面形状を計測する鋼片断面形状測定装置であって、
    前記鋼片の上方から該鋼片の上面に垂直に該鋼片の幅方向に長い第1のライン光を照射して、該鋼片の幅方向に長いライン状の第1の反射光を該鋼片の上面で反射させる第1のレーザ照射部、及び、前記第1の反射光を斜め上方から撮像する第1の撮像部を有し、前記鋼片までの距離の計測値D1を求める第1の2次元距離計と、
    前記鋼片の下方の前記第1のレーザ照射部に対向する位置から該鋼片の下面に垂直に該鋼片の幅方向に長い第2のライン光を照射して、該鋼片の幅方向に長いライン状の第2の反射光を該鋼片の下面で反射させる第2のレーザ照射部、及び、前記第2の反射光を斜め下方から撮像する第2の撮像部を有し、前記鋼片までの距離の計測値D2を求める第2の2次元距離計と、
    前記計測値D1、前記計測値D2、前記第1の2次元距離計から前記パスラインまでの距離として予め定められた値D3、及び、前記第2の2次元距離計から前記パスラインまでの距離として予め定められた値D4を基にして、前記鋼片の幅方向の断面形状を導出する断面形状導出手段と
    前記第1、第2のライン光の照射タイミングを制御する制御手段とを備え、
    対向配置された対となる前記第1、第2のレーザ照射部は、前記第1の反射光それぞれの前記鋼片で反射した領域が全て合わせて該鋼片の幅方向全体にわたり、前記第2の反射光それぞれの前記鋼片で反射した領域が全て合わせて該鋼片の幅方向全体にわたるように、前記鋼片の幅方向に複数組配置され
    前記各第1の反射光及び前記各第2の反射光は、前記鋼片の同じ搬送位置で該鋼片で反射し、
    前記制御手段は、対向配置された対となる前記第1、第2のレーザ照射部に、同じタイミングで前記第1、第2のライン光をそれぞれ照射させ、前記鋼片の幅方向の隣り合う前記第1のレーザ照射部に、異なるタイミングで前記第1のライン光を照射させ、前記鋼片の幅方向の隣り合う前記第2のレーザ照射部に、異なるタイミングで前記第2のライン光を照射させることを特徴とする鋼片断面形状測定装置。
  2. パスラインを長手方向に搬送中の鋼片の断面形状を計測する鋼片断面形状測定方法であって、
    第1の2次元距離計が、前記鋼片の上方から該鋼片の幅方向に長い第1のライン光を該鋼片の上面に垂直に照射して、該鋼片の上面で反射させた該鋼片の幅方向に長いライン状の第1の反射光を、該鋼片の上面に対し斜め上方から撮像して、前記鋼片までの距離の計測値D1を求め、前記第1の2次元距離計に対向して配置された第2の2次元距離計が、前記鋼片の下方から該鋼片の幅方向に長い第2のライン光を該鋼片の下面に垂直に照射して、該鋼片の下面で反射させた該鋼片の幅方向に長いライン状の第2の反射光を、該鋼片の下面に対し斜め下方から撮像して、前記鋼片までの距離の計測値D2を求める工程と、
    前記計測値D1と前記第1の2次元距離計から前記パスラインまでの距離として予め定められた値D3とから前記鋼片の上面の形状を導出し、前記計測値D2と前記第2の2次元距離計から前記パスラインまでの距離として予め定められた値D4とから前記鋼片の下面の形状を導出し、導出された前記鋼片の上面及び下面の形状を基に前記鋼片の幅方向の断面形状を導出する工程とを有し、
    対向配置された対となる前記第1、第2の2次元距離計は、前記鋼片の幅方向に複数組配置されており、前記鋼片の上面でそれぞれ反射する前記第1の反射光の領域は、全て合わせて前記鋼片の幅方向全体にわたり、前記鋼片の下面でそれぞれ反射する前記第2の反射光の領域は、全て合わせて前記鋼片の幅方向全体にわたり、
    前記各第1の反射光及び前記各第2の反射光は、前記鋼片の同じ搬送位置で該鋼片で反射し、
    対向配置された対となる前記第1、第2の2次元距離計は、同じタイミングで前記第1、第2のライン光をそれぞれ照射し、前記鋼片の幅方向の隣り合う前記第1の2次元距離計は、異なるタイミングで前記第1のライン光を照射し、前記鋼片の幅方向の隣り合う前記第2の2次元距離計は、異なるタイミングで前記第2のライン光を照射することを特徴とする鋼片断面形状測定方法。
  3. 前記鋼片の幅方向に隣り合う一方の前記第1の2次元距離計による前記第1のライン光の照射を停止してから他方の前記第1の2次元距離計による前記第1のライン光の照射を開始するまでの時間及び前記鋼片の幅方向に隣り合う一方の前記第2の2次元距離計による前記第2のライン光の照射を停止してから他方の前記第2の2次元距離計による前記第2のライン光の照射を開始するまでの時間をそれぞれ△tとし、前記第1、第2の反射光の前記鋼片の搬送方向の長さをそれぞれLwとし、前記鋼片の搬送速度をVとして、△t<Lw/Vの関係を充足することを特徴とする請求項記載の鋼片断面形状測定方法。
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