JP6733379B2 - 鋼片断面形状測定装置及び鋼片断面形状測定方法 - Google Patents
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Description
γ線やX線を利用する技術は、鋼片を通過する際のγ線やX線の減衰量から鋼片の厚みを計測するもので、外乱等の影響が少ないという利点がある。一方、γ線やX線はビーム形状を絞り込むことができず、特定範囲の平均厚みの測定は可能であるものの、位置によって厚みにばらつきがある鋼片に対して、厚みを高分解能で測定することができない。更に、高精度で計測可能な厚みの上限は、X線の場合で数十mm程度、γ線の場合で百数十mm程度であり、厚みが200mm以上の鋼片の厚み測定には適さない。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされるもので、幅方向で厚みが異なる鋼片の断面形状を計測可能な鋼片断面形状測定装置及び鋼片断面形状測定方法を提供することを目的とする。
図1、図2、図5に示すように、本発明の一実施の形態に係る鋼片断面形状測定装置10は、パスラインGを長手方向に搬送中の鋼片11の上面11aに鋼片11の幅方向に長いライン光P1(第1のライン光)を照射して、鋼片11までの距離の計測値D1を求める複数の2次元距離計17(第1の2次元距離計)と、鋼片11の下面11bに鋼片11の幅方向に長いライン光P2(第2のライン光)を照射して、鋼片11までの距離の計測値D2を求める複数の2次元距離計18(第2の2次元距離計)と、計測値D1、計測値D2、2次元距離計17からパスラインGまでの距離として予め定められた値D3、及び、2次元距離計18からパスラインGまでの距離として予め定められた値D4を基にして、鋼片11の幅方向の断面形状を導出する断面形状導出手段22とを備えている。以下、これらについて詳細に説明する。
鋼片11の幅方向に配置された各2次元距離計17は、図1、図2、図3(A)、(B)に示すように、搬送中の鋼片11の上方から鋼片11の上面11aに対して垂直にライン光P1を照射して、鋼片11の幅方向に長いライン状の反射光L1(第1の反射光)を鋼片11の上面11aで反射させるレーザ照射部12(第1のレーザ照射部)、及び、反射光L1を斜め上方から撮像する撮像部13(第1の撮像部)を有している。
本実施の形態では、対向配置された対となるレーザ照射部12、14の各組においては、反射光L1の中心及び反射光L2の中心が、それぞれ鋼片11の幅方向の同位置に配される。
2次元距離計17は、撮像部13が撮像した画像を基に三角測量の原理を用いて、2次元距離計17から鋼片11の上面11aで反射している反射光L1までの距離を測定し、計測値D1を得る。2次元距離計18は、撮像部15が撮像した画像を基に三角測量の原理を用いて、2次元距離計18から鋼片11の下面11bで反射している反射光L2までの距離を測定し、計測値D2を得る。
本実施の形態では、制御機20にPLC(Programmable logic controller)が採用され、主として制御機20及び鋼片搬送制御機21によって、各レーザ照射部12、14のライン光P1、P2の照射タイミングを決定する制御手段が構成されている。
断面形状導出手段22には、各2次元距離計17についての値D3(2次元距離計17からパスラインGまでの距離として設定された値)及び各2次元距離計18についての値D4(2次元距離計18からパスラインGまでの距離として設定された値)が登録されている(図5参照)。本実施の形態では、断面形状導出手段22に、断面形状導出手段22とデータのやり取りを行う電子計算機23が接続されている。
なお、図6(A)、(B)には、鋼片11が移動した距離Rを図中に示すため、鋼片11の搬送方向Sの特定位置に配した仮想点Uを記している。
即ち、当該鋼片断面形状測定方法は、2次元距離計17が、鋼片11の上方からライン光P1を鋼片11の上面11aに垂直に照射して、鋼片11の上面11aで反射させた反射光L1を、鋼片11の上面11aに対し斜め上方から撮像して、鋼片11の上面11aまでの距離の計測値D1を求め、2次元距離計17に対向して配置された2次元距離計18が、鋼片11の下方からライン光P2を鋼片11の下面11bに垂直に照射して、鋼片11の下面11bで反射させた反射光L2を、鋼片11の下面11bに対し斜め下方から撮像して、鋼片11の下面11bまでの距離の計測値D2を求める工程と、計測値D1と値D3とから鋼片11の上面11aの形状を導出し、計測値D2と値D4とから鋼片11の下面11bの形状を導出し、導出された鋼片11の上面11a及び下面11bの形状を基に鋼片11の幅方向の断面形状を導出する工程とを有する。
例えば、鋼片11の幅方向一側から奇数番目に配された2次元距離計17からのライン光P1の照射によって鋼片11で反射する反射光L1と、鋼片11の幅方向一側から偶数番目に配された2次元距離計17からのライン光P1の照射によって鋼片11で反射する反射光L1を、鋼片11の異なる搬送位置で反射させるように、各レーザ照射部12を配置し、各2次元距離計18についても同様にした場合でも、各ライン光P1、P2の照射タイミングを調整することで、各ライン光P1、L2を全て鋼片11の長手方向同位置に当てることができ、鋼片11の幅方向全体の断面形状を導出可能である。
実験においては、厚さ約250mm、幅約2000mmの鋼片を対象として、第1、第2の反射光が全て、鋼片の同じ搬送位置で鋼片で反射するように、第1、第2の2次元距離計を配置し、各第1の2次元距離計(各第2の2次元距離計についても同じ)は、鋼片の幅方向の隣り合う位置へタイミングをずらして第1のライン光(第2の2次元距離計については、第2のライン光)を照射するようにして、鋼片の幅方向全体について鋼片の幅方向の断面形状を計測した。
計測結果を図7に示す。図7において、縦軸はパスラインを基準とした鋼片の厚みの方向位置を示し、横軸は鋼片の幅方向一側を基準とした鋼片の幅方向の位置を示す。そして、鋼片の厚み方向の250mm付近にプロットされた複数の丸印は、計測された鋼片の上面であり、鋼片の厚み方向0mm付近にプロットされた複数の丸印は、計測された鋼片の下面を表している。図7に示す結果より、鋼片の幅方向の断面形状を、鋼片の上面及び下面の凹凸も含めて安定的に導出できることが確認された。
例えば、対向配置された第1、第2の2次元距離計それぞれが第1、第2のライン光を異なる搬送位置で鋼片に当てるようにしてもよい。この場合、第1、第2の2次元距離計それぞれが第1、第2のライン光を照射するタイミングをずらして、第1、第2の反射光が鋼片の長手方向同位置で反射するようにすればよい。
また、鋼片は、板状物に限定されない。
Claims (3)
- パスラインを長手方向に搬送中の鋼片の断面形状を計測する鋼片断面形状測定装置であって、
前記鋼片の上方から該鋼片の上面に垂直に該鋼片の幅方向に長い第1のライン光を照射して、該鋼片の幅方向に長いライン状の第1の反射光を該鋼片の上面で反射させる第1のレーザ照射部、及び、前記第1の反射光を斜め上方から撮像する第1の撮像部を有し、前記鋼片までの距離の計測値D1を求める第1の2次元距離計と、
前記鋼片の下方の前記第1のレーザ照射部に対向する位置から該鋼片の下面に垂直に該鋼片の幅方向に長い第2のライン光を照射して、該鋼片の幅方向に長いライン状の第2の反射光を該鋼片の下面で反射させる第2のレーザ照射部、及び、前記第2の反射光を斜め下方から撮像する第2の撮像部を有し、前記鋼片までの距離の計測値D2を求める第2の2次元距離計と、
前記計測値D1、前記計測値D2、前記第1の2次元距離計から前記パスラインまでの距離として予め定められた値D3、及び、前記第2の2次元距離計から前記パスラインまでの距離として予め定められた値D4を基にして、前記鋼片の幅方向の断面形状を導出する断面形状導出手段と、
前記第1、第2のライン光の照射タイミングを制御する制御手段とを備え、
対向配置された対となる前記第1、第2のレーザ照射部は、前記第1の反射光それぞれの前記鋼片で反射した領域が全て合わせて該鋼片の幅方向全体にわたり、前記第2の反射光それぞれの前記鋼片で反射した領域が全て合わせて該鋼片の幅方向全体にわたるように、前記鋼片の幅方向に複数組配置され、
前記各第1の反射光及び前記各第2の反射光は、前記鋼片の同じ搬送位置で該鋼片で反射し、
前記制御手段は、対向配置された対となる前記第1、第2のレーザ照射部に、同じタイミングで前記第1、第2のライン光をそれぞれ照射させ、前記鋼片の幅方向の隣り合う前記第1のレーザ照射部に、異なるタイミングで前記第1のライン光を照射させ、前記鋼片の幅方向の隣り合う前記第2のレーザ照射部に、異なるタイミングで前記第2のライン光を照射させることを特徴とする鋼片断面形状測定装置。 - パスラインを長手方向に搬送中の鋼片の断面形状を計測する鋼片断面形状測定方法であって、
第1の2次元距離計が、前記鋼片の上方から該鋼片の幅方向に長い第1のライン光を該鋼片の上面に垂直に照射して、該鋼片の上面で反射させた該鋼片の幅方向に長いライン状の第1の反射光を、該鋼片の上面に対し斜め上方から撮像して、前記鋼片までの距離の計測値D1を求め、前記第1の2次元距離計に対向して配置された第2の2次元距離計が、前記鋼片の下方から該鋼片の幅方向に長い第2のライン光を該鋼片の下面に垂直に照射して、該鋼片の下面で反射させた該鋼片の幅方向に長いライン状の第2の反射光を、該鋼片の下面に対し斜め下方から撮像して、前記鋼片までの距離の計測値D2を求める工程と、
前記計測値D1と前記第1の2次元距離計から前記パスラインまでの距離として予め定められた値D3とから前記鋼片の上面の形状を導出し、前記計測値D2と前記第2の2次元距離計から前記パスラインまでの距離として予め定められた値D4とから前記鋼片の下面の形状を導出し、導出された前記鋼片の上面及び下面の形状を基に前記鋼片の幅方向の断面形状を導出する工程とを有し、
対向配置された対となる前記第1、第2の2次元距離計は、前記鋼片の幅方向に複数組配置されており、前記鋼片の上面でそれぞれ反射する前記第1の反射光の領域は、全て合わせて前記鋼片の幅方向全体にわたり、前記鋼片の下面でそれぞれ反射する前記第2の反射光の領域は、全て合わせて前記鋼片の幅方向全体にわたり、
前記各第1の反射光及び前記各第2の反射光は、前記鋼片の同じ搬送位置で該鋼片で反射し、
対向配置された対となる前記第1、第2の2次元距離計は、同じタイミングで前記第1、第2のライン光をそれぞれ照射し、前記鋼片の幅方向の隣り合う前記第1の2次元距離計は、異なるタイミングで前記第1のライン光を照射し、前記鋼片の幅方向の隣り合う前記第2の2次元距離計は、異なるタイミングで前記第2のライン光を照射することを特徴とする鋼片断面形状測定方法。 - 前記鋼片の幅方向に隣り合う一方の前記第1の2次元距離計による前記第1のライン光の照射を停止してから他方の前記第1の2次元距離計による前記第1のライン光の照射を開始するまでの時間及び前記鋼片の幅方向に隣り合う一方の前記第2の2次元距離計による前記第2のライン光の照射を停止してから他方の前記第2の2次元距離計による前記第2のライン光の照射を開始するまでの時間をそれぞれ△tとし、前記第1、第2の反射光の前記鋼片の搬送方向の長さをそれぞれLwとし、前記鋼片の搬送速度をVとして、△t<Lw/Vの関係を充足することを特徴とする請求項2記載の鋼片断面形状測定方法。
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