JP6732138B2 - 赤外吸収材料、赤外センサー、波長選択光源及び放射冷却システム - Google Patents

赤外吸収材料、赤外センサー、波長選択光源及び放射冷却システム Download PDF

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Description

本開示は、赤外吸収材料、赤外センサー、波長選択光源及び放射冷却システムに関する。
近年、赤外センサー、波長選択光源、又は、放射冷却システム等の用途において、波長選択吸収性を有する赤外吸収材料が求められている。
例えば、特許文献1には、「導電体表面から離間して複数の導電体ディスクを配列した、電磁波吸収及び輻射材料。」が記載されている。
また、非特許文献1には、シリコン基材上に、チタン、銀、シリカ、酸化ハフニウムのそれぞれによる層を、計9層積層させた赤外線吸収材料が記載されている。
特許文献1:国際公開第2016/031547号
非特許文献1:Aaswath P. Raman, Marc Abou Anoma, Linxiao Zhu, Eden Rephaeli and Shanhui Fan, Passive radiative cooling below ambient air temperature under direct sunlight, Nature, 515, 540-544
本発明者らは、特許文献1に記載の電磁波吸収及び輻射材料においては、導電体ディスクをリソグラフィ法等により形成することが必要であり、生産性が低いという問題点があることを見出した。
また、本発明者らは、非特許文献1に記載の緻密な層設計及び膜厚の制御を行う必要があり、やはり生産性が低いという問題点があることを見出した。
本発明の実施形態が解決しようとする課題は、2μm〜50μmの波長範囲に含まれるいずれかの波長の赤外光に対して優れた波長選択吸収性を示し、生産性に優れた赤外吸収材料、並びに、上記赤外吸収材料を備えた赤外センサ、波長選択光源及び放射冷却システムを提供することである。
上記課題を解決するための手段には、以下の態様が含まれる。
<1> 波長2μm〜50μmの赤外光に対する屈折率が3.0以上であり、かつ、厚さが8nm〜15,000nmである高屈折率層と、
上記高屈折率層の一方の面上に位置する反射層と、を有する
赤外吸収材料。
<2> 上記高屈折率層において、厚さdと屈折率nとの積よりなる光路長n×dが、下記式1を満たす、上記<1>に記載の赤外吸収材料。
式1中、mは0以上の整数を表し、λは吸収したい赤外線の波長を表し、λ及びdの単位はnmである。
<3> m=0である、上記<2>に記載の赤外吸収材料。
<4> 上記高屈折率層が、バインダー及び扁平状金属粒子を含み、上記扁平状金属粒子の平均粒子径を平均厚みにより除して得られる値が、5以上であり、上記扁平状金属粒子の主平面が、上記高屈折率層の表面に対して0°〜30°の範囲で面配向しており、上記扁平状金属粒子の上記高屈折率層における体積分率が30体積%以上であり、上記扁平状金属粒子が2層以上積層している、上記<1>〜<3>のいずれか1つに記載の赤外吸収材料。
<5> 上記扁平状金属粒子が、上記高屈折率層の表面方向にランダムに配列している、上記<4>に記載の赤外吸収材料。
<6> 上記扁平状金属粒子が、少なくとも銀を含む、上記<4>又は<5>に記載の赤外吸収材料。
<7> 上記扁平状金属粒子の主平面の形状が六角形以上の多角形状又は円形状である、上記<4>〜<6>のいずれか1つに記載の赤外吸収材料。
<8> 上記高屈折率層の波長2μm〜50μmの赤外光に対する屈折率が、5.0〜30である、上記<1>〜<7>のいずれか1つに記載の赤外吸収材料。
<9> 上記<1>〜<8>のいずれか1つに記載の赤外吸収材料を備える、赤外センサー。
<10> 上記<1>〜<8>のいずれか1つに記載の赤外吸収材料を備える、波長選択光源。
<11> 上記<1>〜<8>のいずれか1つに記載の赤外吸収材料を備える、放射冷却システム。
本発明の実施形態によれば、2μm〜50μmの波長範囲に含まれるいずれかの波長の赤外光に対して優れた波長選択吸収性を示し、生産性に優れた赤外吸収材料、並びに、上記赤外吸収材料を備えた赤外センサー、波長選択光源及び放射冷却システムを提供することができる。
扁平状金属粒子の一例を示す概略図である。 扁平状金属粒子の他の一例を示す概略図である。 扁平状金属粒子20を含む高屈折率層12の一例を示す概略断面図である。 実施例A1及びA4の吸収スペクトルを示すグラフである。 実施例A4の吸収スペクトルを示すグラフである。 実施例A9の吸収スペクトルを示すグラフである。 実施例B11に係る高屈折率層の構造の概略断面図である 実施例B11に係る高屈折率層の構造の概略上面図である 実施例B6に係る高屈折率層の屈折率の波長分散特性を示すグラフである。 実施例C1に係る赤外吸収材料の吸収スペクトルを示すグラフである。 実施例C2〜C4に係る赤外吸収材料の吸収スペクトルを示すグラフである。
以下において、本開示の内容について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本開示の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本開示はそのような実施態様に限定されるものではない。
なお、本開示において、数値範囲を示す「〜」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
本開示において「工程」との語は、独立した工程だけでなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
本開示において、特に断りのない限り、ポリマー成分における分子量は、テトラヒドロフラン(THF)を溶剤とした場合のゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)で測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)又は数平均分子量(Mn)である。
なお、本開示において、好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
(赤外吸収材料)
本開示に係る赤外吸収材料は、波長2μm〜50μmの赤外光に対する屈折率が3.0以上であり、かつ、厚さが8nm〜15,000nmである高屈折率層と、高屈折率層の一方の面上に位置する反射層と、を有する。
上述の通り、従来の波長選択性を示す赤外線吸収材料として知られている、導電体ディスクを用いた電磁波吸収及び輻射材料、又は、シリコン基材上に、チタン、銀、シリカ、酸化ハフニウムのそれぞれによる層を、計9層積層させた赤外線吸収材料においては、生産性が低いという問題点があった。
そこで、本発明者らが鋭意検討した結果、本開示に係る赤外吸収材料は、2μm〜50μmの波長範囲に含まれるいずれかの波長の赤外光に対して優れた波長選択吸収性を示し、かつ、生産性が高いことを見出した。
本構造により優れた波長選択吸収性が得られる理由は、以下のように推測している。
屈折率が3以上の高屈折率層を備える事によって、高屈折率層の反射層とは反対側の高屈折率層表面において、前後の層、又は、空気との屈折率差に起因する表面反射が大きくなる。上記表面反射による反射光と、高屈折率層の一方の面上に位置する反射層との間でファブリペロー共振が生じると考えられる。すなわち、高屈折率層自体がファブリペロー共振器となると考えられる。
従来のファブリペロー共振器は、誘電体層と、誘電体層の両面に形成された反射層により形成される。しかし、本開示に係る赤外吸収材料は、高屈折率層の波長2μm〜50μmの赤外光に対する屈折率が3.0以上であることにより、上記表面反射が大きいため、一方の面上に位置する反射層を有すれば、ファブリペロー共振が生じると考えられる。
また、高屈折率層の厚さを8nm〜15,000nmとすることにより、2μm〜50μmの波長範囲に含まれる赤外光のうち、特定の波長においてファブリペロー共振が発生するため、特定の波長の赤外光を選択的に吸収することが可能となり、波長選択吸収性に優れると考えられる。
また、本開示に係る赤外吸収材料は、反射層と高屈折率層の2層と、極めて単純な構成で波長選択吸収性を示す赤外吸収材料を構成することができるため、生産性に優れる。
また、本開示に係る赤外吸収材料は、高屈折率層の屈折率が3.0以上と大きいため、ファブリペロー共振の共振器長を短くすることが可能であり、角度依存性が小さい赤外吸収材料が得られやすい。
赤外吸収材料の角度依存性が小さいとは、赤外吸収材料に入射する赤外光の角度の変化に対する、吸収される赤外光の波長の変化が小さいことを意味している。
<高屈折率層>
本開示に係る赤外吸収材料は、波長2μm〜50μmの赤外光に対する屈折率が3.0以上であり、かつ、厚さが8nm〜15,000nmである高屈折率層を含む。
〔屈折率〕
高屈折率層の波長2μm〜50μmの赤外光に対する屈折率は、3.0以上であり、5.0以上であることが好ましく、7.0以上であることがより好ましい。
屈折率の上限は特に限定されず、例えば50以下であればよく、30以下であることが好ましい。
上記屈折率は、フーリエ変換赤外分光光度計(FTIR)を用いて分光反射率及び分光透過率を測定し、多重反射理論及びフレネル干渉理論に基づき算出される。屈折率は、波長2μm〜50μmの波長範囲において1μm刻みで測定を行った結果の算術平均値として求められる。また、測定は25℃において行われる。
〔厚さ〕
高屈折率層の厚さ(膜厚)は、8nm〜15,000nmである。
また、本開示に係る赤外吸収材料は、高屈折率層の厚さに応じたファブリペロー共振器を形成し、波長選択吸収を生じる。そのため、本開示に係る赤外吸収材料により特定の波長の赤外線を吸収させるには、高屈折率層の厚さを波長に応じて設定する必要がある。
波長λの赤外線を吸収させたい場合、高屈折率層の厚さdと屈折率nとの積よりなる光路長n×dを、下記式1を満たす値とすることが好ましく、下記式2を満たす値とすることがより好ましい。
式1中、mは0以上の整数を表し、λは吸収したい赤外線の波長を表し、λ及びdの単位はnmである。また、屈折率nは波長λにおける高屈折率層の屈折率であり、フーリエ変換赤外分光光度計(FTIR)を用いて分光反射率及び分光透過率を測定し、多重反射理論及びフレネル干渉理論に基づき算出される。屈折率は、波長2μm〜50μmの波長範囲において1μm刻みで測定を行った結果の算術平均値として求められる。
式1中、角度依存性を小さくする観点からは、mは0以上3以下の整数であることが好ましく、0以上2以下の整数であることが好ましく、0又は1であることがより好ましく、0であることが更に好ましい。
例えば、屈折率nが5.0、吸収したい赤外線の波長が10μm(10,000nm)である場合には、高屈折率層の厚さdは、250nm以上750nm以下(m=0)、1,250以上1,750nm以下(m=1)、2,250nm以上2,750nm以下(m=2)、3,250nm以上3,750nm以下(m=3)等の値とすることが好ましい。
式2中、m、λ、d及びnは式1中のm、λ、d及びnと同義であり、好ましい態様も同義である。
また、本開示における高屈折率層は、波長2μm〜50μmの赤外光に対する屈折率が3.0以上であれば特に限定されないが、バインダー及び扁平状金属粒子を含み、上記扁平状金属粒子の平均粒子径を平均厚みにより除して得られる値が、5以上であり、上記扁平状金属粒子の主平面が、上記高屈折率層の表面に対して0°〜30°の範囲で面配向しており、上記扁平状金属粒子の高屈折率層における体積分率が30体積%以上であり、上記扁平状金属粒子が2層以上積層していることが好ましい。以下、上記態様における高屈折率層を、「特定高屈折率層」ともいう。
特定高屈折率層は、液相成膜により成膜することが可能であるため、本開示に係る赤外吸収材料が特定高屈折率層を含む場合、更に生産性に優れやすいと考えられる。
特定高屈折率層は、バインダーと、扁平状金属粒子とを含む。扁平状金属粒子の粒子径及び厚みが赤外光よりも十分に小さい場合、特定高屈折率層における屈折率は、有効媒質近似にて実効的な均質膜に置き換えて考えることができる。
上記均質膜の屈折率は、特定高屈折率層に含まれる扁平状金属粒子の分極に依存すると考えられる。すなわち、扁平状金属粒子の分極を大きくすることにより、均質膜の屈折率を大きくすることができると考えられる。
ここで、本構造において用いられる扁平状金属粒子には、多数の自由電子が存在するため、入射電場により自由電子の分布に大きな偏りが生じやすく、分極が非金属粒子を用いた場合よりも大きくなると考えられる。
更に、本構造においては、上記扁平状金属粒子の平均粒子径を平均厚みにより除して得られる値が、3以上であり、上記扁平状金属粒子の主平面が、特定高屈折率層の表面に対して0°〜30°の範囲で面配向している。この扁平状の粒子が面配向していることにより、入射光に対して更に大きな分極を示すと考えられる。
加えて、このような扁平状金属粒子の高屈折率層における体積分率が20体積%以上であることにより、屈折率を更に大きくすることができる。
また、扁平状金属粒子が2層以上積層していることにより、膜内での光路長が大きくなり、入射光と高屈折率層との相互作用が起こりやすいため、屈折率の高い特定高屈折率層が形成されやすいと考えられる。
〔扁平状金属粒子〕
特定高屈折率層は、扁平状金属粒子を含有する。
−形状−
扁平状金属粒子とは、対向する2つの主平面を備えた粒子であり、その主平面の形状としては、特に限定されないが、例えば、八角形状、六角形状、三角形状、円形状などが挙げられる。これらの中でも、赤外線の透過率を高める観点から、主平面の形状が六角形以上の多角形状又は円形状であることが好ましい。
本開示において、円形状とは、後述する扁平状金属粒子の平均円相当径の50%以上の長さを有する辺の個数が1個の扁平状金属粒子当たり0個である形状のことを言う。円形状の扁平状金属粒子としては、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて扁平状金属粒子を主平面の上方から観察した際に、角が無く、丸い形状であれば特に制限はない。
本明細書中、六角形状とは、後述する扁平状金属粒子の平均円相当径の20%以上の長さを有する辺の個数が1個の扁平状金属粒子当たり6個である形状のことを言う。なお、その他の多角形についても同様である。六角形状の扁平状金属粒子としては、透過型電子顕微鏡(TEM)で扁平状金属粒子を主平面の上方から観察した際に、六角形状であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、六角形状の角が鋭角のものでも、鈍角のものでもよいが、可視光域の吸収を軽減し得る点で、少なくとも1つの鈍角を有するものであることが好ましく、6つ全ての角が鈍角であることがより好ましい。鈍角の角度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
また、六角形状の角については、角が鈍っていてもよい。角が鈍っているとは、角が2つの直線により形成されているのではなく、角の頂点が丸みを帯びた形状となった状態をいう。角の鈍りの程度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
−平均粒子径(平均円相当径)−
円相当径は、個々の粒子の投影面積と等しい面積を有する円の直径で表される。個々の粒子の投影面積は、電子顕微鏡写真上での面積を測定し、撮影倍率で補正する公知の方法により得ることができる。また、平均粒子径(平均円相当径)は、200個の扁平状金属粒子の円相当径Dの粒径分布(粒度分布)が得られ、算術平均を計算することにより得られる。
上記平均粒子径は、特に制限はないが、50nm〜2,000nmが好ましく、70nm〜1,500nmがより好ましく、100nm〜1,000nmが更に好ましい。
−平均厚み及びアスペクト比−
扁平状金属粒子の平均厚みは50nm以下であることが好ましく、2nm〜25nmであることがより好ましく、4nm〜15nmであることが特に好ましい。
粒子厚みTは、扁平状金属粒子の主平面間距離に相当し、例えば、図1及び図2に示す通りである。粒子厚みTは、透過型電子顕微鏡(TEM)により測定することができる。
TEMによる平均粒子厚みの測定方法としては、扁平状金属粒子を含む膜をカーボン蒸着、金属蒸着による被覆処理を施し、集束イオンビーム(FIB)加工により断面切片を作成し、その断面をTEMによる観察することにより、粒子の厚み測定を行う方法などが挙げられる。
扁平状金属粒子の平均粒子径Dを平均厚みTにより除して得られる値D/T(「アスペクト比」ともいう。)は3以上であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、高屈折率と入射光の散乱損失のトレードオフの観点から5〜100が好ましく、5〜60がより好ましい。
アスペクト比が3以上であれば高屈折率を得ることが可能であり、100以内であれば入射光の散乱損失も抑制できる。
粒子を上方向から観察した際の主平面における最大長さと最小長さの比については特に制限は無く、目的に応じて適宜選択することができるが、屈折率の異方性を抑制する観点から、10以下であることが好ましい。
−面配向−
特定高屈折率層中において、扁平状金属粒子の主平面は、特定高屈折率層の表面に対して0°〜30°の範囲で面配向している。
以下、図3を用いて説明する。
図3は、本開示に係る特定高屈折率層において、扁平状金属粒子20を含む特定高屈折率層12の一例を示す概略断面図である。図3における赤外吸収材料30は、特定高屈折率層12と、反射層10と、を有している。以下、図3を用いて反射層10と扁平状金属粒子20の主平面(円相当径Dを決定する面)とのなす角度θを説明する。
図3において、特定高屈折率層12の表面(反射層10との界面)と、扁平状金属粒子20の主平面(円相当径Dを決める面)または主平面の延長線とのなす角度(角度θの絶対値)が0°〜30°である。なお、角度θは特定高屈折率層12の表面と、扁平状金属粒子20の主平面(円相当径Dを決める面)または主平面の延長線とのなす角度のうち小さい方の角度をいう。
本開示において、扁平状金属粒子の主平面が、特定高屈折率層の表面に対して0°〜30°の範囲で面配向しているとは、任意の100個の粒子について測定した上記θの絶対値の算術平均値が0°〜30°であることをいう。なお、上記算術平均値を「面配向度」ともいう。
上記θの絶対値は、特定高屈折率層の断面切片を作製し、この切片における高屈折率層及び扁平状金属粒子を観察して評価する方法により測定される。
具体的には、集束イオンビーム(FIB)を用いて特定高屈折率層の断面切片サンプルを作製し、これを、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて観察して得た画像から評価する方法が挙げられる。
上述の通り作製した断面切片サンプルの観察方法としては、サンプルにおいて高屈折率層の表面に対して扁平状金属粒子の主平面が面配向しているかどうかを確認し得るものであれば、特に制限はないが、例えば、TEMなどを用いる方法が挙げられる。断面切片サンプルの場合は、TEMにより観察を行ってもよい。
扁平状金属粒子の主平面が、特定高屈折率層の表面に対して0°〜30°の範囲で面配向しており、0°〜20°の範囲で面配向していることが好ましく、0°〜10°の範囲で面配向していることがより好ましい。特定高屈折率層の断面を観察した際、扁平状金属粒子20は、図3に示す角度(±θ)が小さい状態で配向していることがより好ましい。θが30°以下であれば、扁平状金属粒子内に生じる分極の大きさが大きくなり、高屈折率(例えば、波長2μm〜50μmの屈折率が5.0以上など)が得られやすい。
−材料−
扁平状金属粒子の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、赤外線に対する吸収率が低い点から、銀、金、アルミニウム、銅、ロジウム、ニッケル、白金、チタン又はそれらの合金などが好ましく、その中でも銀がより好ましい。
−扁平状金属粒子の含有率−
本開示において、扁平状金属粒子は1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
扁平状金属粒子の特定高屈折率層における体積分率は、屈折率を増加させる観点から、30体積%以上であることが好ましく、35体積%以上であることがより好ましく、40体積%以上であることが更に好ましい。
扁平状金属粒子の特定高屈折率層における体積分率は、例えば、適当な断面切片を作製し、この切片における扁平状金属粒子の存在割合を観察して評価する方法を採ることができる。断面切片の観察方法は、上述の面配向におけるθの絶対値を測定する場合の断面切片の観察方法と同様である。
−扁平状金属粒子の積層状態−
扁平状金属粒子は、特定高屈折率層内で2層以上積層していることが好ましく、3層以上積層していることがより好ましい。上限は特に限定されないが、50層以下であることが好ましい。
ここで、2層以上積層していることは、断面切片を作製し、この切片における扁平状金属粒子の積層状態を観察して確認することができる。具体的には、集束イオンビーム(FIB)等を用いて特定高屈折率層の断面切片サンプルを作製し、これを、各種顕微鏡(例えば、TEM等)を用いて観察した際に、膜面と垂直方向に、平均粒子径の間隔で100本の線を引いた際に、75本以上が2個以上の扁平状金属粒子を横切る場合、扁平状金属粒子が2層以上積層していると定義するものとする。
また、同様に75本以上が3個以上の扁平状金属粒子を横切る場合、扁平状金属粒子が3層以上積層していると定義する。以下、4層以上についても同様である。
−扁平状金属粒子の配列状態−
上記扁平状金属粒子は、特定高屈折率層の表面方向にランダムに配列していることが好ましい。
扁平状金属粒子が特定高屈折率層の表面方向にランダムに配列しているとは、特定高屈折率層の表面と水平方向の粒子座標が、ランダムであることをいう。ここで、ランダムであるとは、特定高屈折率層と水平方向の粒子座標をフーリエ変換して得られる空間周波数のパワースペクトラムにおいて、原点以外に有意な極大点が生じていないことをさす。ここで、粒子同士の排斥により生じる空間周波数1/R(Rは平均粒子径を指す)のピークは極大点とは見なさないものとする。
具体的には、集束イオンビーム(FIB)等を用いて特定高屈折率層の断面サンプルまたは断面切片サンプルを作製し、これを、各種顕微鏡(透過型電子顕微鏡(TEM)等)を用いて観察した際に、扁平状金属粒子100個について、特定高屈折率層の表面方向、及び、上記方向と水平な方向の中心座標を求め、この座標のフーリエ変換を行った空間周波数のパワースペクトルからランダム性を評価することができる。
−プラズモン共鳴−
上記扁平状金属粒子が局在表面プラズモン共鳴を示すことが好ましく、0.5μm〜5μmの波長域にプラズモン共鳴波長を有することがより好ましく、0.8μm〜5μmの波長域にプラズモン共鳴波長を有することが更に好ましい。
また、上記扁平状金属粒子は、局在表面プラズモン共鳴を示すことにより、例えば可視光(波長400nm以上780nm未満の光)の吸収が生じ、可視光の透過率を低くすることも可能となる。
扁平状金属粒子のプラズモン共鳴波長は、扁平状金属粒子の材質及び後述するバインダーの屈折率により調整することが可能である。
上記プラズモン共鳴波長は、フーリエ変換赤外分光光度計(FTIR)、又は、分光光度計を用いて分光反射率を測定し、分光反射率の極大点を算出することによって測定される。プラズモン共鳴波長を0.8μm〜2.5μmに有する場合には分光光度計を用いることが好ましく、プラズモン共鳴波長を2.5μm〜5.0μmに有する場合にはフーリエ変換赤外分光光度計を用いることが好ましい。
−扁平状金属粒子の合成方法−
扁平状金属粒子の合成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、化学還元法、光化学還元法、電気化学還元法等の液相法などが扁平状金属粒子(特に、六角形以上の多角形状又は円形状の扁平状金属粒子)を合成し得るものとして挙げられる。これらの中でも、形状とサイズ制御性の点で、化学還元法、光化学還元法などの液相法が特に好ましい。六角形〜三角形状の扁平状金属粒子を合成後、例えば、硝酸、亜硫酸ナトリウム等の銀を溶解する溶解種によるエッチング処理、加熱によるエイジング処理などを行うことにより、六角形〜三角形状の扁平状金属粒子の角を鈍らせて、六角形状乃至円形状の扁平状金属粒子を得てもよい。
扁平状金属粒子の合成方法としては、その他、予め後述する反射層の表面に種晶を固定後、扁平状に金属粒子(例えばAg)を結晶成長させてもよい。
本開示における特定高屈折率層において、扁平状金属粒子は、所望の特性を付与するために、更なる処理を施してもよい。更なる処理としては、例えば、高屈折率シェル層の形成、分散剤、酸化防止剤等の各種添加剤を添加することなどが挙げられる。
〔バインダー〕
本開示における特定高屈折率層はバインダーを含む。
バインダーとしては、特に制限はないが、扁平状金属粒子が分散された状態で保持できる材料であることが好ましい。また、生産性の観点から、液相で製膜できる材質であることが好ましい。
金属粒子含有層におけるバインダーは、ポリマー、ゴム、又はゾルゲル法により形成される無機物を含むことが好ましく、ポリマーを含むことが好ましい。
好ましいポリマーの例としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、(飽和)ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ゼラチン、セルロース等の天然高分子等の高分子などが挙げられる。
その中でも、赤外光に対する透明性の観点から、主ポリマーがポリオレフィン樹脂、環状ポリオレフィン樹脂であることが好ましい。
ポリマーとしては、商業的に入手できるものを好ましく用いることもでき、例えば、ユニチカ(株)製の変性ポリオレフィン樹脂であるアローベース、三井化学(株)製のポリオレフィン水性ディスパージョンであるケミパール、東洋紡(株)製の変性ポリオレフィン樹脂であるハードレン、東邦化学工業(株)製のハイテックなどを挙げる事ができる。
また、本開示中、主ポリマーとは、特定高屈折率層に含まれるポリマーの50質量%以上を占めるポリマー成分のことをいう。
ゴムとしては、既知のものを用いることができるが、赤外光に対する透過性の観点からニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、ブチルゴム等を用いる事が好ましい。
ゾルゲル法により形成される無機物としては、既知のものを用いることができる。このような材料として例えば、シリカ、酸化チタン等の酸化物、フッ化マグネシウムなどのフッ化物をあげることができる。
また、本開示におけるバインダーは、赤外光に対して透明であることが好ましい。本開示において、「赤外光に対して透明である」とは、2μm〜50μmの範囲のいずれかの波長の赤外光の透過率が、20%以上であることを意味し、30%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましい。透過率の上限は特に限定されず、100%以下であればよい。上記透過率は、フーリエ変換赤外分光光度計(FTIR)、又は、分光光度計を用いて分光反射率を用いて測定される。
−屈折率−
本開示において用いられるバインダーの屈折率は、1.3以上であることが好ましく、1.4以上であることがより好ましく、1.5以上であることが更に好ましい。
バインダーの屈折率が上記範囲内であれば、特定高屈折率層の屈折率をより高くすることができる。
バインダーの屈折率は、フーリエ変換赤外分光光度計(FTIR)を用いて分光反射率及び分光透過率を測定し、多重反射理論及びフレネル干渉理論に基づき算出される。
−含有率−
本開示における特定高屈折率層は、バインダーを10体積%〜70体積%含有することが好ましく、15体積%〜70体積%含有することがより好ましく、25体積%〜60体積%含有することが更に好ましい。
上記バインダーの含有率は、上述の扁平状金属粒子の含有率と同様の方法により算出される。
〔その他の成分〕
本開示における特定高屈折率層は、扁平状金属粒子とバインダー以外に、その他の成分を含有してもよい。その他の成分としては、空気、公知の添加剤等が挙げられる。
<反射層>
本開示に係る赤外吸収材料は、反射層を有する。
本開示において、反射層とは、少なくとも波長2μm〜50μmの赤外光を反射する層であり、波長2μm〜50μmの赤外光の反射率は、50%〜100%であることが好ましい。
反射層における上記反射率は、フーリエ変換赤外分光光度計(FTIR)を用いて分光反射率及び分光透過率を測定し、波長2μm〜50μmの波長範囲において1μm刻みで測定を行った結果の算術平均値として求められる。
反射層は、高屈折率層に接していることが好ましい。
反射層としては、ブラッグミラー層又は金属層であることが好ましく、金属層であることがより好ましい。
ブラッグミラー層としては、誘電体層を積層させたブラッグミラーが挙げられ、具体的には、例えば、低屈折率層と高屈折率層を交互に積層させた公知のブラッグミラー等が用いられる。
金属層としては、アルミニウム、銀、金、銅、白金、クロム、ニッケル、タングステン、チタン等の金属材料を含む層が挙げられ、アルミニウム、銀、金又は銅を含むことが好ましい。
反射層の膜厚としては、高屈折率層との界面で反射を生じさせるため、3nm以上であることが好ましく、特に10nm以上の膜厚とすることが好ましい。膜厚の上限は特に限定されず、例えば1mm以下であればよい。
反射層の製造方法としては特に制限はなく、既知の液相法、気相法の製造方法の中から選択することができる。中でも、高品質で高屈折率層との界面で強い反射を生じさせることができる気相法で製造することが好ましい。このような気相法による製造方法として、蒸着法、スパッタ法等を挙げる事ができる。
<その他の層>
本開示に係る赤外吸収材料は、その他の層を有していてもよい。
その他の層としては、例えば、特開2015−129909号公報の段落0075〜段落0080に記載の、粘着剤層、ハードコート層、バックコート層等が挙げられる。またその他の層として例えば、紫外線吸収層、防汚層等が挙げられる。
また、本開示に係る赤外吸収材料は、高屈折率層の反射層とは反対側、又は、反射層の高屈折率層とは反対側などに、基材層を有していてもよい。
基材層は、基材からなる層であり、基材としては、特に制限されないが、赤外線に対する透過率が高い基材を用いることが好ましい。
赤外線に対する透過率が高い基材としては、例えば、2μm〜50μmの範囲のいずれかの波長の赤外光の透過率が、50%以上である基材が挙げられる。
赤外線に対する透過率が高い基材として、無機材料としてはシリコン、ゲルマニウム、カルコゲナイドガラス、石英ガラス、サファイア、フッ化カルシウム、フッ化バリウム、フッ化マグネシウム、セレン化亜鉛、硫化亜鉛、ダイヤモンド等が挙げられる。
特に赤外線透過率が高く、耐環境性能にも優れるシリコン、ゲルマニウム、カルコゲナイドガラス、石英ガラス等を用いる事が好ましい。
また赤外線に対する透過率が高い基材として、有機材料としてはポリオレフィン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリ(4−メチルペンテン−1)、ポリブテン−1等のポリオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリカーボネート系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂、ポリエーテルサルフォン系樹脂、ポリエチレンサルファイド系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、セルロースアセテート等のセルロース系樹脂などからなるフィルム又はこれらの積層フィルムが挙げられる。これらの中で、ポリオレフィン系樹脂フィルム、環状ポリオレフィン系樹脂フィルムが好適である。具体的な商業的に入手できるものを好ましく用いることもでき、例えばJSR(株)製のアートン、日本ゼオン(株)製のゼオネックス、ポリプラスチックス(株)製のTOPAS等を具体例として挙げる事ができる。
<赤外吸収材料の製造方法>
本開示に係る赤外吸収材料は、例えば、基材上に、気相法により反射層を形成し、反射層上に、液相法により高屈折率層(好ましくは、特定高屈折率層)を形成することにより作製することができる。
一実施態様としては、例えば、基材上に反射層を形成する工程(反射層形成工程)、反射層上に高屈折率層形成用塗布液を塗布する工程(塗布工程)、必要に応じて塗布された高屈折率層形成用塗布液を乾燥する工程(乾燥工程)、及び、を含む方法が挙げられる。
〔反射層形成工程〕
反射層形成工程においては、基材上に反射層が形成されることが好ましい。
反射層の形成方法としては、特に限定されず、上述の液相法又は気相法により行われ、蒸着法、スパッタ法等を挙げる事ができる。
〔塗布工程〕
塗布工程における塗布方法は、特に制限されず、公知の方法を使用することが可能である。
塗布方法としては、例えば、スピンコーター、ディップコーター、ダイコーター、スリットコーター、バーコーター、グラビアコーター等により塗布する方法、LB(ラングミュア−ブロジェット)膜法、自己組織化法、スプレー塗布などの方法で面配向させる方法等が挙げられる。
−高屈折率層形成用塗布液−
高屈折率層形成用塗布液は、扁平状金属粒子と、バインダーとを含むことが好ましく、公知の溶媒、公知の添加剤等を更に含有していてもよい。
扁平状金属粒子は、上記塗布液中で分散されていることが好ましい。
また、高屈折率層形成用塗布液は、バインダーの原料を含んでいてもよい。バインダーの原料としては、例えば、重合性化合物と、重合開始剤が挙げられ、特に重合性化合物と光重合開始剤を含有することにより、露光により高屈折率層をパターン形成することが可能となる。
高屈折率層形成用塗布液が上記バインダーの原料を含む場合、本開示に係る高屈折率層の製造方法は、バインダーを形成する工程を更に含むことが好ましい。
上記バインダーを形成する工程においては、例えば、塗布された高屈折率層形成用塗布液の少なくとも一部を露光又は加熱等の公知の方法により硬化する方法が行われる。
〔乾燥工程〕
乾燥工程における乾燥方法としては、特に制限なく公知の乾燥方法が用いられる。例えば、常圧下、又は、減圧下での加熱乾燥、自然乾燥等が挙げられる。加熱乾燥における加熱方法としても特に限定されず、例えば、ホットプレート、オーブン等の装置を用いて加熱する方法が挙げられる。
(赤外センサー)
本開示に係る赤外センサーは、本開示に係る赤外吸収材料を備えることが好ましい。
赤外センサーとしては、例えば、固体撮像素子と、本開示に係る赤外吸収材料とを備えてなるものが挙げられる。
固体撮像素子としては、CCD(Charge-Coupled Device)センサー、CMOS(complementary metal oxide semiconductor)センサー、有機CMOSセンサー等が挙げられる。
(波長選択光源)
本開示に係る波長選択光源は、本開示に係る赤外吸収材料を備える。
放射エネルギーに関するキルヒホッフの法則により、物体の吸収率と放射率は等しくなる。すなわち、本開示に係る赤外吸収材料は波長2μm〜50μmの任意の波長の波長選択的な赤外放射材料として用いることができる。
このため、本開示に係る赤外吸収材料は、波長選択的な赤外放射材料としても用いる事ができ、波長選択光源用の放射材料として好適に用いられる。
例えば、本開示に係る赤外吸収材料によれば、波長選択光源として用いる場合、加熱する対象の吸収ピークに合わせた波長を放射することが実現される。
(放射冷却システム)
本開示に係る放射冷却システムは、本開示に係る赤外吸収材料を備える。
放射冷却システムによれば、内部に収容された冷却対象物が放射冷却現象を利用して冷却される。即ち、本一例に係る放射冷却装置は、冷却対象物を収容する内部空間を有する。例えば、本開示に係る赤外吸収材料は、上記内部空間を確定するための隔壁の一部を構成し、内部空間からみて天空側に配置される。
放射冷却システムとしては、より具体的には、例えば、A. P. Ramanら著”Passive radiative cooling below ambient air temperature under direct sunlight” Nature, Vol. 515, 540, 2014.に記載された放射冷却システムが挙げられる。
放射冷却システムに用いられる場合、本開示に係る赤外吸収材料は、大気の窓と呼ばれる8μm〜14μmの波長域の赤外光を少なくとも吸収することが好ましい。上述の通り、本開示に係る赤外吸収材料は、波長2μm〜50μmの任意の波長の波長選択的な赤外放射材料として用いることができるため、放射冷却システム用の放射材料として好適に用いられる。
以下、実施例により本開示を詳細に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、及び、処理手順等は、本開示の実施形態の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。したがって、本開示の実施形態の範囲は以下に示す具体例に限定されない。なお、本実施例において、「部」、「%」とは、特に断りのない限り、「質量部」、「質量%」を意味する。
<多層膜シミュレーション結果>
Thin Film Center社製薄膜計算ソフトEssential Macleodを用い、反射層と高屈折率層の積層構造の吸収率の光学シミュレーションを行った。
各実施例又は比較例において、高屈折率層の屈折率、消衰係数及び膜厚を表1に記載の値とした赤外吸収材料を設計した。反射層としては銀を用いた。正面入射時と45°入射時における、波長λ=10000nmに最も近い吸収ピークの波長、正面入射時の吸収ピーク波長における吸収率と、吸収の半値全幅(FWMH)Γを評価し、Γ/λが0.4未満の時に波長選択性が良好(1)、Γ/λが0.4以上0.6未満の時に波長選択性あり(2)、Γ/λが0.6以上の時に波長選択性不良(3)とした。評価結果は表1中の「波長選択性」の欄に記載した。Γ/λが小さいほど波長選択性に優れているといえる。また、正面入射時と、45°入射時のそれぞれの場合における吸収ピークの波長の差が小さいほど、角度依存性が小さいといえる。
評価結果を下記表1に記す。
本シミュレーションにおいては、各実施例及び比較例について、屈折率は、波長2μm〜50μmの波長範囲において1μm刻みでシミュレーションを行った結果の算術平均値として計算した。
表1中、膜厚d及び吸収ピーク波長の単位はnmであり、m=0(又はm=1)の欄には、波長λ=10,000、屈折率n及び膜厚dを表1に記載の各例の値とした場合に、m=0(又はm=1)とした場合の式1を満たすか否かを、それぞれ記載した。また、比較例2においては、反射層を形成しなかった。
表1に記載した結果から、波長2μm〜50μmのいずれかの波長の赤外光に対する屈折率が3.0以上であり、かつ、厚さが8nm〜15,000nmである高屈折率層と、高屈折率層の一方の面上に位置する反射層と、を有する赤外吸収材料は、波長2μm〜50μmのいずれかの波長において、波長選択性が得られることがわかった。
また、波長λ=10,000nm、m=0又は1の場合に、屈折率n及び膜厚dが式1を満たす場合に、波長10,000nmにおける波長選択的な吸収が得られることがわかった。
図4に、実施例A1及びA4における吸収スペクトルを示す。
図4において、縦軸は吸収率(%)を、横軸は波長(nm)を、それぞれ表す。
いずれの実施例においても、波長10,000nm付近に選択的な吸収を有していることがわかる。
また、図5に、実施例A4における吸収スペクトルを、図6に、実施例A9における吸収スペクトルをそれぞれ示す。
図5及び図6において、縦軸は吸収率(%)を、横軸は波長(nm)を、それぞれ表す。
いずれの実施例においても、2μm〜50μmの波長範囲に含まれる複数の波長において、選択的な吸収を有していることがわかる。
<特定高屈折率層の屈折率の評価>
特定高屈折率層について、屈折率の評価を行った。
特定高屈折率層とは、バインダー及び扁平状金属粒子を含み、上記扁平状金属粒子の平均粒子径を平均厚みにより除して得られる値(アスペクト比)が、5以上であり、上記扁平状金属粒子の主平面が、上記高屈折率層の表面に対して0°〜30°の範囲で面配向しており、上記扁平状金属粒子の高屈折率層における体積分率が30体積%以上であり、上記扁平状金属粒子が2層以上積層している層である。
〔扁平状金属粒子のアスペクト比の評価〕
FDTD法(Finite-difference time-domain method)により、高屈折率層の屈折率解析を行った。
X軸1μm×Y軸1μm×Z軸0.1μmの領域を、0.005μm刻みで空間を分割し、各領域での電磁場の計算を行った。
X軸とY軸方向の境界条件としては周期境界条件、Z軸方向の境界条件としては完全吸収境界条件を適用した。
波長10μmにおける屈折率1.5の媒質中の厚みZ軸方向の厚み0.1μmの領域に、表2に記載した形状、平均粒子径、平均厚み、扁平状金属粒子の平均粒子径Dを平均厚みTにより除して得られる値(アスペクト比)、体積分率、材料の粒子が、ランダムに面配向して分散している構造の解析を行った。厚み0.1μmの領域が、高屈折率層に相当する。
一例として、実施例B11に係る高分子膜の構造の概略断面図を図7に、概略上面図を図8にそれぞれ示す。
表2に記載の高屈折率層のそれぞれについて、Z軸原点から波長10μmの平面波を入射し、D.R.Smith et.al., Phys.Rev. B65, 195104 (2002)に記載の方法を用いて、波長10μmでの高屈折率層の屈折率の導出を行った。
アスペクト比の異なる様々な粒子について、検討を行った結果を表2に記載した(実施例B1〜B7、比較例B1〜B3)。
表2中、扁平状金属粒子の欄の「平板六角形」の記載は、扁平状金属粒子が有する2つの主平面がいずれも正六角形であることを意味している。
実施例B1〜B7に示したように、アスペクト比が3より大きな場合には、3を超える屈折率の高屈折率層となっていることが分かった。一方、比較例B1〜B3に示したように、アスペクト比が3よりも小さな場合には、3を超える屈折率は得られないことが分かった。
また、実施例B6に係る高屈折率層の構造について、高屈折率層の屈折率の波長分散特性を図9に示した。図9において、縦軸は屈折率を、横軸は波長(nm)を、それぞれ表す。波長1,000nm〜2,000nmの付近にプラズモン共鳴に起因して屈折率が特異的に大きくなる領域があることが分かった。また、これより長波側の領域では少なくとも50μm付近まで、ほぼ平坦な屈折率特性となっており、3以上の屈折率が得られることが分かった。
〔扁平状金属粒子の体積分率の評価〕
扁平状金属粒子の体積分率の異なるモデルを作製して、検討を行った結果を実施例B1、B8〜B11及び比較例B4〜B5に記載した。
実施例B8〜B11及び比較例B4〜B5においては、扁平状金属粒子の体積分率を表2に記載のように変更した。FDTD法による屈折率解析は、上述の実施例B1〜B7及び比較例B1〜B3と同様の方法により行った。
評価結果は表3に記載した。
表3中、扁平状金属粒子の形状等の欄に記載の「−」の記載は、扁平状金属粒子を含有していないことを示している。
〔扁平状金属粒子の形状の評価〕
形状の異なる様々な扁平状金属粒子について、検討を行った結果を実施例B5、B12〜B14に記載した。
実施例B12〜B14において、扁平状金属粒子の形状を表4に記載のように変更した。FDTD法による屈折率解析は、上述の実施例B1〜B7及び比較例B1〜B3と同様の方法により行った。
評価結果は表4に記載した。
表4中、扁平状金属粒子の形状の欄の「平板三角形」の記載は、扁平状金属粒子の2つの主平面がいずれも正三角形状であることを意味し、「平板八角形」の記載は、扁平状金属粒子の2つの主平面がいずれも正八角形状であることを意味し、「平板円形」の記載は、扁平状金属粒子の2つの主平面がいずれも円形状であることを意味している。
実施例B5、B8〜B14に示したように、主平面の形状が多角形であれば、屈折率が3.0以上である高屈折率層が得られることが分かった。特に、B5、B13、B14に記載したように、六角形以上の多角形状又は円形状であれば、特に屈折率が高くなることが分かった。
〔扁平状金属粒子の材料の評価〕
材料の異なる様々な粒子について、検討を行った結果を実施例B5、B15〜B17、比較例B6に記載した。
実施例B15〜B17及び比較例B6においては、扁平状金属粒子の材料を表5に記載のように変更した。FDTD法による屈折率解析は、上述の実施例B1〜B7及び比較例B1〜B3と同様の方法により行った。
評価結果は表5に記載した。
実施例B5、B15〜B17に示したように、Ag、Au、Cu、Alといった金属粒子を用いた場合には、3を超える屈折率の高屈折率層が得られることが分かった。特に、Agを用いた場合にもっとも屈折率が高くなった。一方、比較例B6に示したように、SiOを用いる場合には、3を超える屈折率は得られないことが分かった。
〔扁平状金属粒子の面配向の評価〕
面配向度の異なる粒子が分散した膜について、検討を行った結果を実施例B5、B18及び比較例B7に記載した。評価結果は表6に記載した。面配向度が30°よりも小さい場合には、3を超える屈折率の高屈折率層となっていることが分かった。一方、面配向していない(面配向度が30°よりも大きい)場合には、3を超える屈折率は得られないことが分かった。
以上のように、バインダー及び扁平状金属粒子を含み、上記扁平状金属粒子の平均粒子径を平均厚みにより除して得られる値(アスペクト比)が、5以上であり、上記扁平状金属粒子の主平面が、上記高屈折率層の表面に対して0°〜30°の範囲で面配向しており、上記扁平状金属粒子の高屈折率層における体積分率が30体積%以上であり、上記扁平状金属粒子が2層以上積層している層である特定高屈折率層は、赤外線に対して3.0以上の屈折率を示すため、本開示に係る赤外吸収材料に好適に用いることができる。
<赤外吸収材料の評価>
〔高屈折率層の製造〕
−扁平状金属粒子分散液A1の調製−
NTKR−4(日本金属工業(株)製)製の反応容器にイオン交換水13Lを計量し、SUS316L製のシャフトにNTKR−4製のプロペラ4枚およびNTKR−4製のパドル4枚を取り付けたアジターを備えるチャンバーを用いて撹拌しながら、10g/Lのクエン酸三ナトリウム(無水物)水溶液1.0Lを添加して35℃に保温した。8.0g/Lのポリスチレンスルホン酸水溶液0.68Lを添加し、更に0.04mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を用いて23g/Lに調製した水素化ホウ素ナトリウム水溶液0.041Lを添加した。0.10g/Lの硝酸銀水溶液13Lを5.0L/minで添加した。
10g/Lのクエン酸三ナトリウム(無水物)水溶液1.0Lとイオン交換水11Lを添加して、更に80g/Lのヒドロキノンスルホン酸カリウム水溶液0.68Lを添加した。撹拌を800rpmに上げて、0.10g/Lの硝酸銀水溶液8.1Lを0.95L/minで添加した後、30℃に降温した。
44g/Lのメチルヒドロキノン水溶液8.0Lを添加し、次いで、後述する40℃のゼラチン水溶液を全量添加した。撹拌を1,200rpmに上げて、後述する亜硫酸銀白色沈殿物混合液を全量添加した。
調製液のpH変化が止まった段階で、1mol/LのNaOH水溶液5.0Lを0.33L/minで添加した。その後、70g/Lの1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン(NaOHで水溶液をアルカリ性に調節して溶解した)0.078Lを添加した。このようにして扁平状金属粒子分散液A1を調製した。
−ゼラチン水溶液の調製―
SUS316L製の溶解タンクにイオン交換水16.7Lを計量した。SUS316L製のアジターで低速撹拌を行いながら、脱イオン処理を施したアルカリ処理牛骨ゼラチン(GPC重量平均分子量20万)1.4kgを添加した。更に、脱イオン処理、蛋白質分解酵素処理、および過酸化水素による酸化処理を施したアルカリ処理牛骨ゼラチン(GPC重量平均分子量2.1万)0.91kgを添加した。その後40℃に昇温し、ゼラチンの膨潤と溶解を同時に行って完全に溶解させた。
−亜硫酸銀白色沈殿物混合液の調製―
SUS316L製の溶解タンクにイオン交換水8.2Lを計量し、100g/Lの硝酸銀水溶液8.2Lを添加した。SUS316L製のアジターで高速撹拌を行いながら、140g/Lの亜硫酸ナトリウム水溶液2.7Lを短時間で添加して、亜硫酸銀の白色沈澱物を含む混合液を調製した。この混合液は、使用する直前に調製した。
−扁平状金属粒子分散液B1の調製−
前述の扁平状金属粒子分散液A1を遠沈管に800g採取して、1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液又は0.5mol/Lの硫酸を用いて25℃でpH=9.2±0.2の範囲内に調整した。遠心分離機(日立工機(株)製himacCR22GIII、アングルローターR9A)を用いて、35℃に設定して9,000rpm60分間の遠心分離操作を行った後、上澄液を784g捨てた。沈殿した平板粒子に0.2mmol/LのNaOH水溶液を加えて合計400gとし、撹拌棒を用いて手撹拌して粗分散液にした。これと同様の操作で遠沈管24本分の粗分散液を調製して合計9,600gとし、SUS316L製のタンクに添加して混合した。更に、Pluronic31R1(BASF社製)の10g/L溶液(メタノール:イオン交換水=1:1(体積比)の混合液で希釈)を10cc添加した。プライミクス(株)製オートミクサー20型(撹拌部はホモミクサーMARKII)を用いて、タンク中の粗分散液混合物に9,000rpmで120分間のバッチ式分散処理を施した。分散中の液温は50℃に保った。このように得られた分散液を、再び遠沈管に800g採取して、遠心分離機(日立工機(株)製himacCR22GIII、アングルローターR9A)を用いて、35℃に設定して9,000rpm60分間の遠心分離操作を行った後、上澄液を760g捨てた。沈殿した平板粒子に0.2mmol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を加えて合計800gとし、撹拌棒を用いて手撹拌して粗分散液にした。これと同様の操作で遠沈管12本分の粗分散液を調製して合計9,600gとし、SUS316L製のタンクに添加して混合した。更に、Pluronic31R1(BASF社製)の10g/L溶液(メタノール:イオン交換水=1:1(体積比)の混合液で希釈)を10mL添加した。プライミクス(株)製オートミクサー20型(撹拌部はホモミクサーMARKII)を用いて、タンク中の粗分散液混合物に9,000rpmで120分間のバッチ式分散処理を施した。分散中の液温は50℃に保った。分散後、25℃に降温してから、プロファイルIIフィルタ(日本ポール(株)製、製品型式MCY1001Y030H13)を用いてシングルパスの濾過を行った。
このようにして、扁平状金属粒子分散液A1に脱塩処理および再分散処理を施して、扁平状金属粒子分散液B1を調製した。
<高屈折率層形成用塗布液の調製>
塗布液C1を表8に示す材料の組成比で調製した。表中の数値は質量部を表している。
ここで、50Lの塗布液C1に対し、0.1質量%塩化金酸(和光純薬(株)製)水溶液を2.78L添加し、60℃、4時間で撹拌し、高屈折率層形成用塗布液C1Bとした。
<赤外吸収材料C1の作製>
厚み0.28mm、2インチのシリコンウエハー上に、アルバックテクノ社製電子ビーム蒸着装置EBX−8Cを用い、厚さ200nmの銀を蒸着した。次に蒸着した銀膜上に、高屈折率層形成用塗布液C1Bを、ミカサ製スピンコーターを用いて、500rpmの回転数で回転塗布を行った。その後、ホットプレート上で110℃で1分間加熱、乾燥、固化した。以上の手続きを、膜厚が400nmとなるまで繰り返し、赤外吸収材料C1(実施例C1)を作製した。
<赤外吸収材料C2〜4の作製>
高屈折率層形成用塗布液C1Bを用い、高屈折率層の膜厚を表9に記載の膜厚としたほかは赤外吸収材料C1の作製方法と同様に、赤外吸収材料C2〜C4(実施例C2〜C4)の作製を行った。
<赤外吸収特性の評価>
Varian社製FTS−7000を用い、実施例C1〜C4の赤外吸収材料の正面入射時の赤外反射率R(%)及び透過率T(%)を測定した。得られた赤外反射率及び透過率から、次の式に従って赤外吸収率Aを算出した。得られた赤外吸収率は、吸収率として表9に記載した。
A=100−T−R
また、赤外吸収材料C1〜C4について、上記赤外吸収率Aとして計算した吸収スペクトルを図10又は図11に示した。
図10において、縦軸は吸収率(%)を、横軸は波長(nm)を、それぞれ表す。
また図11において、縦軸は吸収率(%)を、横軸は波長(μm)を、それぞれ表す。
上記吸収スペクトルから、吸収の半値全幅Γを評価し、Γ/λが0.4未満の時に波長選択性が良好(1)、Γ/λが0.4以上0.6未満の時に波長選択性あり(2)、Γ/λが0.6以上の時に波長選択性不良(3)とした。評価結果は表9中の「波長選択性」の欄に記載した。Γ/λが小さいほど波長選択性に優れているといえる。
また、表9中の消減係数は、フーリエ変換赤外分光光度計(FTIR)を用いて分光反射率及び分光透過率を測定し、多重反射理論及びフレネル干渉理論に基づき算出される。
表9中、膜厚d及び波長λの単位はnmである。
また、表9中の屈折率は、波長2μm〜50μmの波長範囲において1μm刻みで測定を行った結果の算術平均値として計算した。
赤外吸収材料C1〜C4のいずれにおいても、波長選択性が得られていることが確認された。
以上、実施例において示された通り、本開示によれば、2μm〜50μmの波長範囲に含まれるいずれかの波長の赤外光に対して優れた波長選択吸収性を示す赤外吸収材料が得られることが確認された。
2017年9月25日に出願された日本国特許出願第2017−183426号の開示は、その全体が参照により本明細書に取り込まれる。
本明細書に記載された全ての文献、特許出願、及び、技術規格は、個々の文献、特許出願、及び、技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。
10:反射層
12:高屈折率層
20:扁平状金属粒子
30:赤外吸収材料
D:粒子径(円相当径)
T:扁平状金属粒子の厚み

Claims (11)

  1. 波長2μm〜50μmの赤外光に対する屈折率が3.0以上であり、かつ、厚さが8nm〜15,000nmである高屈折率層と、
    前記高屈折率層の一方の面上に位置する反射層と、を有する
    赤外吸収材料。
  2. 前記高屈折率層の厚さdと屈折率nとの積よりなる光路長n×dが、下記式1を満たす、請求項1に記載の赤外吸収材料。

    式1中、mは0以上の整数を表し、λは吸収したい赤外線の波長を表し、λ及びdの単位はnmである。
  3. m=0である、請求項2に記載の赤外吸収材料。
  4. 前記高屈折率層が、バインダー及び扁平状金属粒子を含み、前記扁平状金属粒子の平均粒子径を平均厚みにより除して得られる値が、5以上であり、前記扁平状金属粒子の主平面が、前記高屈折率層の表面に対して0°〜30°の範囲で面配向しており、上記扁平状金属粒子の前記高屈折率層における体積分率が30体積%以上であり、上記扁平状金属粒子が2層以上積層している、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の赤外吸収材料。
  5. 前記扁平状金属粒子が、前記高屈折率層の表面方向にランダムに配列している、請求項4に記載の赤外吸収材料。
  6. 前記扁平状金属粒子が、少なくとも銀を含む、請求項4又は請求項5に記載の赤外吸収材料。
  7. 前記扁平状金属粒子の主平面の形状が六角形以上の多角形状又は円形状である、請求項4〜請求項6のいずれか1項に記載の赤外吸収材料。
  8. 前記高屈折率層の波長2μm〜50μmの赤外光に対する屈折率が、5.0〜30である、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の赤外吸収材料。
  9. 請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の赤外吸収材料を備える、赤外センサー。
  10. 請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の赤外吸収材料を備える、波長選択光源。
  11. 請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の赤外吸収材料を備える、放射冷却システム。
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