JP6732033B2 - 培地評価方法、培地、及び培養方法 - Google Patents

培地評価方法、培地、及び培養方法 Download PDF

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Description

開示の技術は、培地評価方法、培地、及び培養方法に関する。
一般的に、細胞塊(細胞)を浮遊させた状態で培養する、いわゆる3次元培養と呼ばれる培養方法が知られている。3次元培養に用いられる培地は、同様のプロセスを用いて製造しても僅かな条件の差で、細胞塊の保持性能や細胞塊の回収効率に差が生じることが知られている。そのため、培地について、細胞塊の保持性能や細胞塊の回収効率を評価することが望まれている。しなしなから、保持性能や回収効率の差は非常に小さく、保持性能や回収効率を直接、測定することが困難な場合があった。
これに対して、例えば、国際公開第2004/078961号には、培地に投入した鉄球の沈降速度に基づいて、培地を評価する技術が記載されている。国際公開第2004/078961号には、鉄球の沈降速度が速い場合、培養中の細胞が培地を沈降しやすく、すなわち保持性能が高くなり、鉄球の沈降速度が遅い場合、細胞の回収操作が困難となる、すなわち回収効率が低下する可能性が生じることが記載されている。さらに、国際公開第2004/078961号には、細胞の沈降を回避するためには、培地が適度な比重と粘度とを有することが記載されている。
従来の技術では、培地の粘度に基づいた観点から、培地における細胞塊の保持性能や回収効率を評価している。しかしながら、培地の粘度の観点からのみでは、培地における、細胞塊の保持性能や回収効率を適切に評価できない場合があった。例えば、粘度が同一でも、保持性能や回収効率が異なる培地があった(表1参照)。
そのため、培地について、細胞の保持性能及び細胞の回収効率の両方について適切で有るか否かの評価を行うには、従来の技術では充分ではなかった。
開示の技術は、細胞の保持性能及び細胞の回収効率の両方について適正で有るか否かの評価が可能となる培地評価方法、培地、及び培養方法を提供する。
開示の第の態様の培地評価方法は、細胞塊を浮遊させた状態で培養する培地の適性を評価する培地評価方法であって、容器内に収容された培地中に複数の磁性粒子を分散させ、容器内に磁場を印加し、磁場発生源からの予め定められた距離から予め定められた領域の範囲に含まれる磁性粒子の磁場印加前後の粒子数の個数比が、予め定められた値となる距離xを測定し、測定された距離xを培地の適性を示す指標値とする。
本開示の第の態様の培地評価方法は、第の態様の培地評価方法において、予め定められた領域の範囲は、磁性粒子の粒径の3倍以上、100倍以下の範囲である。
本開示の第の態様の培地評価方法は、第の態様または第の態様の培地評価方法において、磁性粒子として、粒径が100μmであり、かつ密度が1.4g/cmであり、かつマグネタイト含有率が40%の磁性ポリ乳酸粒子を使用する。
本開示の第の態様の培地評価方法は、第の態様から第の態様のいずれか1態様の培地評価方法において、磁場の印加は、表面磁束密度が150mT以上、250mT以下の磁石を容器の予め定められた一方向の面に配置することにより行う。
本開示の第の態様の培地評価方法は、第の態様または第の態様の培地評価方法において、磁性粒子として、粒径が100μmであり、かつ密度が1.4g/cmであり、かつマグネタイト含有率が40%の磁性ポリ乳酸粒子を使用し、磁場の印加は、表面磁束密度が200mTの磁石を容器の予め定められた一方向の面に配置することにより行われ、測定された指標値が予め定められた範囲内である培地を適正な培地であると判定する。
本開示の第の態様の培地評価方法は、第の態様の培地評価方法において、における予め定められた範囲の上限値は、培地が細胞塊を保持する保持性能に基づいて予め定められた値である。
本開示の第の態様の培地評価方法は、第の態様または第の態様の培地評価方法において、予め定められた範囲の下限値は、培地から細胞塊を回収する回収効率に基づいて予め定められた値である。
本開示によれば、細胞の保持性能及び細胞の回収効率の両方について、適正で有るか否かの評価が可能となる。
第1実施形態の培地評価方法の流れの一例を表すフローチャートである。 第1実施形態の評価方法における粒子が沈降する様子を撮影する方法を説明するための説明図である。 第1実施形態の評価方法により、適正であると判定された培地について、粘度と、評価の指標値となる沈降速度との対応関係の一例を示す図である。 第2実施形態の培地評価方法の流れの一例を表すフローチャートである。 第2実施形態の評価方法における磁場印加前後の磁性粒子の状態を説明するための説明図である。 第2実施形態における予め定められた領域範囲に存在する磁性粒子の個数比の導出についての一例を説明するための説明図である。 第2実施形態におけるつり合い距離xhalfを説明するために、容器の底面からの距離と、磁場印加前後の粒子数の比との対応関係の一例を表した図である。 図6に示した一例における、つり合い距離xhalfについて、容器の底面からの距離と、磁場印加前後の粒子数の比との対応関係を表した図である。
本開示の技術は、細胞塊の3次元培養に用いる培地の適性を評価する評価方法に関する技術である。3次元培養は、細胞を培地の中で浮遊させて状態で培養する技術であり、従来の2次元培養(接着培養)と比較して、高品質の細胞を安定的に大量供給できる特徴を有する。
3次元培養に用いる培地には、細胞塊の浮遊を安定させかつ濃縮処理等を行う場合に細胞塊と培地との分離が容易にできることが望まれる。そのため培地の適性として、本開示の技術では、細胞塊の保持性能と、細胞塊の回収効率との観点を評価する。なお、「保持性能」とは、細胞塊を培地中に保持する性能であり、保持性能が高いほど、細胞培養の過程で、細胞が成長して増大した場合であっても、沈殿や相互に融合しないことを意味する。そのため、保持性能は高い方が好ましい。また、「回収効率」とは、培地の中の細胞だけを分離する際の細胞の回収効率(分離細胞数/培地に含まれる細胞数)であり、回収効率が高いほど、細胞が容易に回収できる。そのため、回収効率は高い方が好ましい。なお、保持性能が高くなるほど、細胞が培地から分離しにくくなるため、回収効率は低下する場合がある。
なお、本開示の技術において、「細胞塊」とは、一般的な細胞の塊、幹細胞の塊または分化した体細胞の塊またはそれらが混在した細胞塊、及びiPS(induced pluripotent stem )細胞塊等である。なお、本開示の技術は、大きさが70μm〜500μm程度の大きさの細胞塊を培養する培地の適性を評価する場合に、より高精度な評価を行うことができる。
また、以下では、「細胞塊」について、単に「細胞」と称する場合がある。
一般的に培地の評価方法として、粘度に基づいて評価する方法が知られているが、3次元培養に用いる培地は、粘度が同じでも、保持性能が異なる場合があった。
表1には、培地I、培地II、培地IIIの各々について、粘度、粒径が200μmで密度が2.5g/cmの小ビーズ(粒子)を分散させた場合の沈降速度、粒径が1mmで密度が6g/cmの大ビーズ(粒子)を分散させた場合の沈降速度、及び細胞保持性能について示している。表1に示した場合では、細胞保持性能について、細胞塊の保持性能について目視により官能評価を行い、培地Iの保持性能を「A」とし、保持性能が培地Iと同等以上の場合は「A」を付与し、培地Iの保持性能よりも低い場合は「B」を付与している。
表1に示すように、培地Iと培地IIとでは、粘度が等しく、小ビーズ(粒子)の沈降速度は、培地IIの方が速いが、大ビーズ(粒子)の沈降速度は、同一である。また、保持性能は、培地Iは「A」、すなわち、適切であるが、培地IIでは「B」、すなわち、不適切である。
また、培地IIIは、培地I及び培地IIに比べて、粘度が高く、小ビーズ(粒子)及び大ビーズ(粒子)の沈降速度も遅い。また、培地IIIの保持性能は、「A」、すなわち、適切である。
このように、培地の粘度が同一であっても、粒子の沈降速度が異なり、細胞塊の保持性能も異なる場合がある。
この現象について、本発明者らは、培地に浮遊する細胞は、培地の粘度抵抗のみにより沈降しないのではなく、さらに、培地に添加された高分子が形成する網目に保持されているためであることを、検討の結果見出した。高分子が形成する網目による保持力はとても小さく、細胞程度の大きさと密度の物体を支えられる程度であると考えられる。
そこで、本開示の技術では、培地に添加された高分子が形成する保持力もふまえて、培地における、細胞の保持性能と細胞の回収効率との両方について、適正で有るか否かの評価を可能とした。
以下、本開示の技術の例を、図面を参照しつつ説明する。なお、各図面において同一または等価な構成要素および部分には同一の参照符号を付与し、重複する説明は省略する。
[第1実施形態]
本実施形態では、培地中に分散させた粒子の沈降速度を測定し、測定された沈降速度を培地の適性を示す指標値とした。
図1には、本実施形態の培地評価方法の流れの一例を表すフローチャートを示す。
図1に示すように、ステップS100では、3mlの培地を充填させた10mm×10mm×50(縦×横×高さ)mmの透明な容器に、粒子を5mg、投入し、攪拌により分散させた後、22℃の温度で1時間、静置した。ここで、容器の高さは特に限定されないが、50mmが好ましい。
粒子は、ソーダ石灰製、密度が2.5g/cm、及び粒径が200μm(精度:200±10μm、標準偏差6以下)(ユニチカ社製 SPL200)を用いた。
評価に用いる粒子の粒径は、評価対象の培地により培養する細胞塊(例えば、幹細胞)に対しての保持性能を評価するためには、細胞塊と同等であることが好ましい。例えば、幹細胞の場合、細胞塊の大きさは70μm〜500μm程度であり、細胞塊がこれよりも小さいと細胞死を起こし、大きいと細胞塊内部が壊死する。そのため、本実施形態のように粒子の粒径は、70μm以上、500μm以下であることが好ましく、200μmであることがより好ましい。
また、評価に用いる粒子の密度は、評価対象の培地により培養する細胞塊に応じた密度が好ましく、詳細を後述する理由から、細胞塊の密度の2倍程度以上が好ましい。例えば、iPS細胞の場合、細胞塊の密度は、1.1g/cm以上であるため、上記例では、2g/cm以上が好ましく、2.5g/cm以上がより好ましい。
また、粒子の密度及び粒径のばらつきが測定結果のばらつきにつながるため、評価に用いる粒子は、できるだけ密度及び粒径が均一であることが好ましい。本実施形態では、標準偏差6以下の粒子を用いた。また、沈降速度は粒径の二乗に比例するため、重量ばらつき精度を維持するためには測定精度に影響を及ぼさない範囲として、粒径のばらつきは、±10%であることが好ましい。
培地に投入する粒子の数量は、少ない方が好ましいが、粒子の数が少ない場合、N数が少ない(サンプル数が少ない)ことになる。一方、粒子の数量が多い場合、沈降中に粒子同士が影響し合って、測定した沈降速度が不正確になる場合がある。そのため、粒子の数は、本実施形態のように、5mg(密度2.5g/cm、粒径200μmの場合)であることが好ましい。
次のステップS102では、粒子の沈降速度を測定する。本実施形態では、沈降速度を測定する前に、まず、粒子が分散された状態の培地を、ピペッターで1ml吸って戻すことで、培地を攪拌(〜1ml/mm・s)する。
そして、上述のように撹拌された培地の対流が収まり、粒子が一定の速度で培地中を沈降していく様子を、撮影した。本実施形態では、一例として図2に示すように、粒子14が分散された培地12が充填された容器10に、光源20から平行光22を照射し、動画として、30fpsの条件で、カメラ24により撮影を行う。
本実施形態では、上記培地の撹拌及び粒子が沈降していく様子の撮影を組み合わせた操作を、5回以上(上限20回程度)繰り返し行う。
なお、培地を攪拌する速さが速い場合等、攪拌条件が強すぎると培地が有する網目構造のネットワークが破壊されて沈降速度が速くなる。一方、培地を攪拌する速さが遅い場合等、攪拌条件が弱すぎると粒子が十分に舞い上がらないため沈降速度を正確に測定できない懸念が生じる。そのため、攪拌する量と速さは測定毎に異ならないことを要する。
このようにして撮影した動画から粒子が静かに沈降する部分を指定して粒子の移動量と移動時間とを画像解析により導出し、粒子個々の平均沈降速度を導出する。さらに、一度の攪拌に対して50個〜100個の粒子の沈降速度の平均値を導出し、その回の沈降速度とする。またさらに、数回分(最低5回以上必要)の沈降速度を平均して平均値を導出し、導出した平均値を、その培地中を沈降する粒子の沈降速度とした。
次のステップS104では、沈降速度を指標値とすることにより、本実施形態の培地評価方法による評価を終了する。
上記評価方法により培地の適性を評価する指標である沈降速度が得られた培地について、実際に細胞塊を投入して保持性能及び回収効率を評価した。なお、保持性能については、「浮遊性」として、細胞の沈降具合について評価を行い、また、「培養」として、細胞の融合や沈殿についての評価を行った。
評価対象の培地としては、水分解性の維持培地にゲル形成性の浮遊担体(メビオール、セルロースナノファイバー、ジェランガム、及びメチルセルロース等)と増粘剤とが添加された培地を用いた。また、同一成分、かつ粘度等にも有意差が無いが、製造プロセス等が異なる3種類の培地(培地1、2、3)について評価を行った。なお、培地の成分の濃度は、評価に用いた細胞塊のサイズによって変えており、細胞塊のサイズが120μm以上の場合は濃度の高い(Medium2という組成)培地(培地1、2、3)を用い、細胞塊のサイズが上記よりも小さい場合(80μm以上、120μm未満)は濃度の低い(Medium1という組成)培地(培地1#、2#、3#)を用いた。なお、一般的な維持培地であるmTesR1中に、ゲル形成性素材のセルローズナノファイバーをMedium1は0.025%(重量比)添加し、Medium2は0.05%(重量比)添加している。
サイズが120μm以上の細胞塊を用いて評価を行った結果を表2に示す。また、サイズが80μm以上、120μm未満の細胞塊を用いて評価を行った結果を表3に示す。
上記表2及び表3には、粒子IIとして、上述した、評価に用いた細胞塊の2倍程度の密度を有する密度が2.5g/cm、の粒子の評価結果を記載した。また、上記表2及び表3には、粒子IIと密度が異なる(他の条件は同一)粒子として、粒子I及び粒子IIIについても、上述した培地の評価方法(図1参照)と同様に、沈降速度を測定した測定結果も記載した。なお、粒子Iは、評価に用いた細胞塊と同程度である、1.2g/cmの密度を有するアクリル製の粒子である。また、粒子IIは、評価に用いた細胞塊の5倍以上である、密度6.0g/cmの密度を有するジルコニア製の粒子である。
表2及び表3における「X」は、粒子が沈降(沈殿)しなかったため沈降速度を測定できなかったことを示している。また、表2及び表3における「(Y)」は、沈降速度が10mm/sを超えた場合、攪拌によって舞い上がった粒子が対流が収まる前に沈降しきってしまい沈降速度を正確に測れない懸念があることから、不正確なデータであることを表している。また、表2及び表3における「Z」は、培養ができなかった培地であったため、回収率を評価できないことを表している。
浮遊性、培養、及び回収率の評価について、細胞塊の培養に適している(適性が高い)場合は、「A」を付与し、細胞塊の培養に適していない(適性が低い)場合は、「B」を付与した。具体的には、以下のように「A」または、「B」を付与した。
浮遊性の評価は、温度が37℃の培地中に細胞塊を分散させ、24時間以内に細胞塊の5割以上が沈殿しなければ「A」、沈殿したら「B」を付与した。ここで沈殿とは、容器の底から1mm以内の位置に、分散させた細胞塊が沈降している状態のことをいう。
培養の評価は、細胞塊を培地中で、温度が37℃、かつCOが5%の条件で培養し、48時間後の培地交換までに細胞塊が融合や沈殿をせずに増殖していれば「A」、融合や沈殿が発生して増殖しなければ「B」を付与した。なお、本実施形態において、「融合」とは、隣接した細胞塊同士が1つになった状態であり、融合したか否かについては、顕微鏡観察にて判断を行った。培地3ml中、5個以上の融合物が確認された場合、「B」を付与した。
回収率を評価するにあたり、細胞塊のサイズが80μm〜120μmの場合、細胞を含む培地を5倍に希釈し、180gで3分間、遠心分離して上澄みを捨てることにより回収を行った。また、細胞塊のサイズが120μm以上の場合、細胞を含む培地を5倍に希釈し、100gで3分間、遠心分離して上澄みを捨てることにより回収を行った。
回収率の評価は、細胞の回収過程で回収効率(回収できた細胞数/培地中の全細胞数)が80%以上ならば「A」を付与し、80%未満ならば「B」を付与した。
表2及び表3に示すように、培地1、1#は、浮遊性、培養、及び回収率のいずれの評価もよい(「A」)。一方、培地2、2#は、浮遊性及び培養の評価はよい(「A」)が、回収率の評価が低い(「B」)。これは、培地2、2#の保持性能が高すぎるため、培養は可能であるが回収率が低くなっためである。一方、培地3、3#は、浮遊性及び培養の評価が低い(「B」)。これは、培地3、3#では、保持性能が低いため、細胞の培養ができなかったためであり、そのため、回収率の評価は、上記「Z」が付与されている。
表2及び表3からわかるように、粒子の粒径が200μm、かつ密度が2.5g/cmの場合、沈降速度が1.0mm/s以上、4.0mm/s以下、より好ましくは沈降速度が2.5mm/s以上、4.0mm/s以下である培地が適正な培地であると判定することができる。
このように、本実施形態の培地評価方法によれば、沈降速度を指標値とすることにより、培地の適正を評価することが可能である。また、沈降速度の上限は、培地が細胞塊を培養中に保持する保持性能に基づいて予め定めればよく、沈降速度の下限は、細胞塊を回収する回収効率に基づいて予め定めればよい。
さらに、表2及び表3に示すように、粒子Iは、密度が低いため、培地1、2のいずれもでも沈降せずに浮遊してしまうため、浮遊性の違いを評価できないことがわかる。一方、粒子IIIは、いずれの培地でも沈降するが保持性能(浮遊性及び培養)の評価が低い培地では、沈降が速すぎて正確な速度を計測できていない懸念がある。
そのため、評価に用いる粒子の密度は、上記のように2g/cm以上が好ましく、本実施形態の評価系を考慮すると、粒子の密度は、2g/cm〜6g/cmがより好ましいが、密度が6g/cmより高い場合でも、原理的には培地の評価が可能である。
このようにして、上記培地の評価方法により、適正であると判定された培地について、粘度と、上記評価の指標値となる沈降速度との対応関係の一例を図3に示す。図3には、適正であると判定された、ゲル形成性の浮遊担体(メビオール、セルロースナノファイバー、ジェランガム、及びメチルセルロース等)が0.5%以下添加された希薄な4種の培地A〜Dについて、粘度と沈降速度との対応関係の一例が示されている。図3によれば、適正であると判定された培地A及び培地Cは、培地の粘度(粘度計による計測値)と密度、及び粒子の粒径と密度をストークスの式(定理)に代入して得られる終端速度よりも沈降速度が遅い(3分の2以下)ことがわかる。
このように、適正であると判定された培地が、ストークスの定理に従わないのは、上述したように、培地に添加された高分子が形成する網目に粒子が保持されているためであると考えられる。このように、適正な培地としては、ストークスの定理により導出される終端速度の3分の2以下であることが好ましい。
以上説明したように、本実施形態の培地評価方法は、細胞塊を浮遊させた状態で培養する培地の適性を評価する培地評価方法であって、培地中に複数の粒子を分散させ、複数の粒子が培地中を沈降する沈降速度を測定し、測定された沈降速度を培地の適性を示す指標値とする。
これにより、培地に添加された高分子が形成する網目構造の影響を考慮し、細胞の保持性能及び細胞の回収効率の両方について適正で有るか否かの評価が可能となる。
また、本実施形態の培地評価方法により、適正であると評価された培地を用いて3次元培養により細胞塊を培養することにより、適切に細胞塊の培養を行うことが可能となる。 保持性能が適切な培地であれば粒子はゆっくり沈降していくが、保持性能が弱い場合、粒子は速く沈降する。また、保持性能が強すぎる場合、粒子は沈降せずに止まってしまう。本実施形態によれば、この粒子の粒径と密度とを選択することによって培地の細胞保持性のわずかな差を、さらに感度良く検出できる。
[第2実施形態]
本実施形態では、培地中に分散させた磁性粒子に磁場を印加した場合の移動量を用いて培地の適性の評価を行った。
図4には、本実施形態の培地評価方法の流れの一例を表すフローチャートを示す。
図4に示すように、ステップS200では、5mlの培地を充填させた10mm×10mm×50(縦×横×高さ)mmの透明な容器に、磁性粒子を100μl(測定時の粒子の密度を200〜500個/mlに調整)を投入し、撹拌により分散させた。本実施形態では、磁性粒子の一例として、粒径が100μm、密度が1.4g/cm、かつ磁性体としてマグネタイト(Fe)の含有率が40%(w/w)の磁性ポリ乳酸粒子(Micromod社製粒子、PLA−M 12−00−105)を用いた。また、磁性粒子を投入して撹拌した後、22℃の温度で1時間静置した。なお、図5に模式的に示した静置状態のように、容器40に充填された培地42中に、磁性粒子44を分散させ、浮力が安定した状態とするためには、本実施形態のように1時間以上静置することが好ましい。また、静置中及び後述の距離xの測定を行う間の温度は22℃が好ましい。
なお、ここで用いる容器40のサイズは、後述する磁場発生源となる磁石50の直径よりも容器40の幅が広いとうまく磁力が働かないため、磁石50の直径よりも幅が狭いことが好ましい。
次のステップS202では、磁石50からの距離が予め定められた距離である位置から予め定められた領域の範囲に含まれる磁性粒子44の磁場印加前後の粒子数の個数比が、0.5となる距離x(後述する、つり合い距離xhalf)を導出した。図5に示すように、容器40の底面41から磁石50により磁場を印加することにより、磁性粒子44には、重力及び磁力が、底面41方向に作用し、これに対する抗力が発生する。
本実施形態では、まず、磁場を印加する前に、上記静置状態における容器40を真横からカメラで撮影し、磁性粒子44の分散状態を画像に記録する。ここで、分散状態を記録する画像の視野は、横が容器の幅(10mm)以上、かつ縦が20mm以上、50mm(培地42の底面から上面までの距離)以下が好ましい。
続いて、容器40の底面41に磁石50を配置させ容器40内に磁場を印加して、1分間、磁性粒子44を磁石50の方向に引き寄せた後、上記磁場印加前と同様に、カメラを用いて、磁性粒子44の分散状態を画像に記録する。この場合における分散状態を記録する画像の視野および撮影範囲は磁場印加前と同じである。なお、本実施形態の底面41が、本開示の技術の予め定められた一方向の面の一例である。
評価に用いる磁石50は、直径が15mm〜20mm、厚みが2mm〜3mmの円形であり、表面磁束密度が200±50mTのネオジム磁石を用いた。なお、磁石50の材質は、特に限定されないが、表面磁束密度は、150mT以上、250mT以下が好ましい。表面磁束密度が250mT以下であれば、磁力による吸引力が強くなっても、磁石50の磁力により吸引される磁性粒子44の分散範囲が適切に抑え込まれる。そのため、磁性粒子44の分散状態の記録に用いるカメラの視野角が広くなるのを抑制できるため、上記カメラを含む測定装置の小型化に寄与することができる。
一方、表面磁束密度が150T未満の場合、磁力により吸引されて移動する磁性粒子44の移動量が小さくなるため、測定誤差が生じやすくなる場合がある。そのため、表面磁束密度が150T以上であれば、磁力により吸引されて移動する磁性粒子44の移動量を適切に確保することができるので、測定精度の低下を抑制することができる。
このようにして、磁場印加前と磁場印加後の磁性粒子44の分散状態を画像に記録した後、上述のように培地42を撹拌させて磁性粒子44を分散させた後、磁場印加前と磁場印加後の磁性粒子44の分散状態を画像に記録する処理を行った。本実施形態では、上記処理を5回行った。
さらに、磁場印加前と磁場印加後の画像を解析して磁性粒子の移動量を導出する。磁性粒子の移動量の導出方法は特に限定されないが、例えば、以下の二通りの方法が挙げられる。
第1の方法では、まず、一対の磁場印加前後の2つの画像に対して画像解析を行い、容器40の底面41からの各磁性粒子44の距離xを導出する。
次に、図6に示した一例のように、底面41からの距離が0.5mm毎、すなわち磁性粒子の直径の5倍の領域の範囲(本開示の技術の予め定められた領域の範囲の一例)に、存在する磁性粒子44の個数の磁場印加前後の粒子数の比(印加後/印加前)を、各範囲毎にそれぞれ導出する。なお、予め定められた領域の範囲は、特に限定されるものではないが、測定精度を確保するために、磁性粒子の粒径の3倍以上、100倍以下の範囲が好ましい。予め定められた領域の範囲が3倍未満の場合、測定回数が増加すると共に、予め定められた領域の範囲が狭くなることにより、範囲内に含まれる磁性粒子44の数が減少するため、ばらつきが増加する傾向にある。一方、予め定められた領域の範囲が、100倍を超えると、予め定められた領域の範囲が広くなることにより、範囲内に含まれる磁性粒子44の数が増加するため、計測し難くなるともに、図7を参照して後述するプロット数が減少する。
例えば、図6に示した例では、距離xが2.0mm以上、2.5mm未満の範囲における磁場印加前の磁性粒子44の数が50個であり、磁場印加後の磁性粒子44の数が10個の場合、粒子数の比は、0.2となる。また、例えば、距離xが2.5mm以上、3.0mm未満の範囲における磁場印加前の磁性粒子44の数が50個であり、磁場印加後の磁性粒子44の数が20個の場合、粒子数の比は0.4となる。
上記粒子数の比の導出後、図7に一例を示すように、横軸に容器40の底面41(磁場発生源である磁石50)からの距離x、縦軸に磁場印加前後の粒子数の比をプロットする。なお、図7に示した例では、添加したゲル形成性の浮遊担体(メビオール、セルロースナノファイバー、ジェランガム、及びメチルセルロース等)の濃度が異なる3種類の培地の評価を行った場合を示している。また、図7には、磁場印加前後の磁性粒子44の分散の様子の一例を示す。
さらに、このプロットに対してシグモイド関数でフィッティングを行う。具体的には、下記(1)式によりフィッティングを行う。なお、(1)式におけるAは最大値が1.0であり、aはばらつきの指標値である。

・・・(1)
上記(1)式により導出された、粒子数の比が0.5となるXhalfの値が、培地42における磁性粒子44に作用する磁力と保持力とがつり合う距離x(以下、「つり合い距離xhalf」という)を示す。
例えば、上記図6に示した一例の場合、図8に示すように、上記(1)式により導出された、つり合い距離xhalfは、3.20(mm)となる。
この場合、次のステップS204では、上記5回の測定におけるつり合い距離xhalfを導出して平均した、平均つり合い距離xhalfをその培地42の保持性能を示す指標値とすることにより、本実施形態の培地評価方法による評価を終了する。
一方、第2の方法は、第1の方法に比べて、簡易的に、保持性能を示す指標値となるつり合い距離xhalfを導出することができる。
第2の方法では、まず、一対の磁場印加前後の2つの画像に対して画像解析を行い、各々の画像について、底面41に沈降した磁性粒子44を除いた、培地42中に保持されている磁性粒子44の粒子数をカウントする。
次に、カウントした磁場印加後の粒子数を磁場印加前の粒子数で除算することにより、粒子数の比を導出する。さらに、導出した粒子数の比に、容器40の底面41から画像の上限までの長さを乗算した値を、磁性粒子44のつり合い距離xhalfとする。
この場合、次のステップS204では、上記5回の測定におけるつり合い距離xhalfを導出して平均した、平均つり合い距離xhalfをその培地42の保持性能を示す指標値とすることにより、本実施形態の培地評価方法による評価を終了する。
上記評価方法により培地の適性を評価する指標値であるつり合い距離xhalfが得られた培地について、実際に細胞塊を投入して保持性能及び回収効率を評価した。なお、保持性能については、第1実施形態と同様に「浮遊性」として、細胞の沈降具合について評価を行い、また、「培養」として、細胞の融合や沈殿についての評価を行った。
評価対象の培地としては、水分解性の維持培地にゲル形成性の浮遊担体(メビオール、セルロースナのファイバー、ジェランガム、及びメチルセルロース等)と増粘剤とが添加された培地を用いた。また、同一成分、かつ粘度等にも有意差が無いが、製造プロセス等が異なる3種類の培地(培地1、2、3)について評価を行った。なお、培地の成分の濃度は、評価に用いた細胞塊のサイズによって変えており、細胞塊のサイズが120μm以上の場合は濃度の高い(Medium2という組成)培地(培地1、2、3)を用い、細胞塊のサイズが上記よりも小さい場合(80μm以上、120μm未満)は濃度の低い(Medium1という組成)培地(培地1#、2#、3#)を用いた。
サイズが120μm以上の細胞塊を用いて評価を行った結果を表4に示す。また、サイズが80μm以上、120μm未満の細胞塊を用いて評価を行った結果を表5に示す。
表4及び表5における「X」は、培地42の保持性能が弱く、磁性粒子44が自然沈降してしまい、測定ができなかったことを示している。また、表4及び表5における「Z」は、培養ができなかった培地42であったため、回収率を評価できないことを表している。
第1実施形態と同様に、浮遊性、培養、及び回収率の評価について、細胞塊の培養に適している(適性が高い)場合は、「A」を付与し、細胞塊の培養に適していない(適性が低い)場合は、「B」を付与した。具体的には、以下のように「A」または、「B」を付与した。
浮遊性の評価は、温度が37℃の培地中に細胞塊を分散させ、24時間以内に細胞塊の5割以上が沈殿しなければ「A」、沈殿したら「B」を付与した。ここで沈殿とは、分散させた容器の底から1mm以内の位置に、細胞塊が沈降している状態のことをいう。
培養の評価は、細胞塊を培地中で、温度が37℃、かつCOが5%の条件で培養し、48時間後の培地交換までに細胞塊が融合や沈殿をせずに増殖していれば「A」、融合や沈殿が発生して増殖しなければ「B」を付与した。なお、本実施形態において、「融合」とは、隣接した細胞塊同士が1つになった状態であり、融合したか否かについては、顕微鏡観察にて判断を行った。培地3ml中、5個以上の融合物が確認された場合、「B」を付与した。
回収率を評価するにあたり、細胞塊のサイズが80μm〜120μmの場合、細胞を含む培地を5倍に希釈し、180gで3分間、遠心分離して上澄みを捨てることにより回収を行った。また、細胞塊のサイズが120μm以上の場合、細胞を含む培地を5倍に希釈し、100gで3分間、遠心分離して上澄みを捨てることにより回収を行った。
回収率の評価は、細胞の回収過程で回収効率(回収できた細胞数/培地中の全細胞数)が80%以上なら「A」を付与し、80%未満ならば「B」を付与した。
表4及び表5に示すように、培地1、1#は、浮遊性、培養、及び回収率のいずれの評価もよい(「A」)。一方、培地2、2#は、浮遊性及び培養の評価はよい(「A」)が、回収率の評価が低い(「B」)。これは、培地2、2#の保持性能が高すぎるため、培養は可能であるが回収率が低くなっためである。一方、培地3、3#は、浮遊性及び培養の評価が低い(「B」)。これは、培地3、3#では、保持性能が低いため、細胞の培養ができなかったためであり、そのため、回収率の評価は、上記「Z」が付与されている。
表4及び表5からわかるように、複数の磁性粒子44を培地42に分散させ、磁石50を容器40の底面41に配置して磁場を印加した後、磁石50からの移動距離xとなる位置から磁石50までの範囲に存在する磁性粒子44の個数比が、0.5を初めて上回る移動距離x(Xhalf)を測定した場合、移動距離x(Xhalf)が、4mm以上、8mm以下である培地が適正な培地であると判定することができる。なお、この場合の磁性粒子44は、粒径が100μm、密度が1.4g/cm、かつマグネタイト含有率が40%である磁性ポリ乳酸粒子を使用した磁性粒子であり、磁石50の表面磁束密度は、200mTである。
このように、本実施形態の培地評価方法によれば、移動距離x(Xhalf)を指標値とすることにより、培地の適正を評価することが可能である。また、移動距離x(Xhalf)の上限は、培地が細胞塊を培養中に保持する保持性能に基づいて予め定めればよく、移動距離x(Xhalf)の下限は、細胞塊を回収する回収効率に基づいて予め定めればよい。
以上説明したように、本実施形態の培地評価方法は、細胞塊を浮遊させた状態で培養する培地の適性を評価する培地評価方法であって、容器40内に収容された培地42中に複数の磁性粒子44を分散させ、磁場を印加した後、磁場発生源である磁石50からの移動距離xとなる位置から磁石50までの範囲に存在する磁性粒子44の個数比が、予め定められた値(0.5)を初めて上回る移動距離x(Xhalf)を測定し、測定された移動距離x(Xhalf)を培地42の適性を示す指標値とする。
これにより、培地に添加された高分子が形成する網目構造の影響を考慮し、細胞の保持性能及び細胞の回収効率の両方について適正で有るか否かの評価が可能となる。
また、本実施形態の培地評価方法により、適正であると評価された培地を用いて3次元培養により細胞塊を培養することにより、適切に細胞塊の培養を行うことが可能となる。
なお、上記第1実施形態の培地評価方法と、第2実施形態の培地評価方法とを組み合わせて用いてもよい。
この場合、例えば、第1実施形態の培地評価方法において導出される沈降速度が1mm/s以上、かつ、第2実施形態の培地評価方法において導出される移動距離x(Xhalf)が10mm以下の培地を、適正であると評価することが好ましい。また、例えば、第1実施形態の培地評価方法において導出される沈降速度が4mm/s以上、12mm/s以下、かつ、第2実施形態の培地評価方法において導出される移動距離x(Xhalf)が5mm以下の培地を、適正であると評価することが好ましい。
また、上記各実施形態の表2〜表5を参照して説明したように、細胞塊の大きさに応じて、培地の評価結果が異なる場合がある。そのため、培養する細胞塊の大きさに応じて、培地の適正の評価基準を異ならせてもよい。例えば、第1実施形態の場合、培養初期の細胞塊が小さい場合(80μm以上、120μm未満)は、沈降速度が2.5mm/s以上、4.0mm/s以下となる培地Aが適正な培地であると評価し、培地Aにより細胞塊の培養及び回収を行う。また、細胞塊が大きくなった場合(120μm以上)は、沈降速度が1.0mm/s以上、4.0mm/s以下となる培地Bが適正な培地であると評価し、培地Bにより細胞塊の培養及び回収を行う。このように評価することにより、細胞塊の大きさに応じて、より適切な保持性能が得られるとともに、適切に細胞塊の培養を行うことができる。
なお、上記第1実施形態では、培地の適正を示す指標値として沈降速度そのものを用いたが、沈降速度に基づいた他の値を指標値として用いてもよい。例えば、沈降速度に、予め定められた係数を乗算した値を指標値として用いてもよいし、予め定められた基準により沈降速度をランク分けし、このランクを指標値として用いてもよい。同様に、上記第2実施形態では、培地の適正を示す指標値として移動距離x(Xhalf)そのものを用いたが、x(Xhalf)に基づいた他の値を指標値として用いてもよい。例えば、x(Xhalf)に、予め定められた係数を乗算した値を指標値として用いてもよいし、予め定められた基準によりx(Xhalf)をランク分けし、このランクを指標値として用いてもよい。
2016年9月30日出願の日本国特許出願2016−195053号の開示は、その全体が参照により本明細書に取り込まれる。
本明細書に記載された全ての文献、特許出願、及び技術規格は、個々の文献、特許出願、及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。
10 容器
12 培地
14 粒子
20 光源
22 平行光
24 カメラ
40 容器
41 底面
42 培地
44 磁性粒子
50 磁石

Claims (7)

  1. 細胞塊を浮遊させた状態で培養する培地の適性を評価する培地評価方法であって、
    容器内に収容された培地中に複数の磁性粒子を分散させ、
    前記容器内に磁場を印加し、
    磁場発生源からの予め定められた距離から予め定められた領域の範囲に含まれる前記磁性粒子の磁場印加前後の粒子数の個数比が、予め定められた値となる距離xを測定し、
    測定された距離xを培地の適性を示す指標値とする、
    培地評価方法。
  2. 前記予め定められた領域の範囲は、磁性粒子の粒径の3倍以上、100倍以下の範囲である、
    請求項1に記載の培地評価方法。
  3. 前記磁性粒子として、粒径が100μmであり、かつ密度が1.4g/cmであり、かつマグネタイト含有率が40%の磁性ポリ乳酸粒子を使用する、
    請求項1または請求項2に記載の培地評価方法。
  4. 前記磁場の印加は、表面磁束密度が150mT以上、250mT以下の磁石を前記容器の予め定められた一方向の面に配置することにより行う、
    請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の培地評価方法。
  5. 前記磁性粒子として、粒径が100μmであり、かつ密度が1.4g/cmであり、かつマグネタイト含有率が40%の磁性ポリ乳酸粒子を使用し、
    前記磁場の印加は、表面磁束密度が200mTの磁石を前記容器の予め定められた一方向の面に配置することにより行われ、測定された指標値が予め定められた範囲内である前記培地を適正な培地であると判定する、
    請求項1または請求項2に記載の培地評価方法。
  6. 前記予め定められた範囲の上限値は、培地が前記細胞塊を保持する保持性能に基づいて予め定められた値である、
    請求項5に記載の培地評価方法。
  7. 前記予め定められた範囲の下限値は、培地から細胞塊を回収する回収効率に基づいて予め定められた値である、
    請求項5または請求項6に記載の培地評価方法。
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