以下、本発明の実施の形態について、図を用いて説明する。なお、各図中、同一または相当する部分には、同一符号を付している。実施の形態の説明において、同一または相当する部分については、説明を適宜省略または簡略化する。また、実施の形態の説明において、「上」、「下」、「左」、「右」、「前」、「後」、「表」、「裏」といった配置または向きは、説明の便宜上、そのように記しているだけであって、装置、器具、部品等の配置または向きを限定するものではない。装置、器具、部品等の構成について、材質、形状、大きさ等は、本発明の範囲内で適宜変更することができる。
実施の形態1.
本実施の形態について、図1から図14を用いて説明する。
***構成の説明***
図1および図2を参照して、本実施の形態に係る照明装置90の構成を説明する。
図1は、照明装置90を斜め下方から見た図、および、その図の一部を拡大した図である。図2は、照明装置90を側方から見た図であるが、便宜上、照明装置90の一部の構成要素を省略している。なお、本実施の形態の説明において、「上方」、「下方」、「側方」、「前方」、「後方」、「斜め上方」、「斜め下方」といった方向は、照明装置90が天井に設けられた穴に埋め込まれているときの方向を示している。
照明装置90は、本実施の形態では、天井に設けられた穴に埋め込まれて使用されるが、壁等、天井以外の被取付部に設けられた穴に埋め込まれて使用されてもよいし、被取付部に直接取り付けられて使用されてもよい。また、照明装置90は、本実施の形態では、黒板を照射するために使用されるが、壁面等、黒板以外の被照射物を照射するために使用されてもよい。
照明装置90は、照明器具80と、光源ユニット20とを備える。
照明器具80は、被取付部に設けられた埋込用穴に挿入される器具本体10と、光源ユニット20が取り付けられる可動部30と、可動部30が取り付けられる取付部40と、光源ユニット20が照射する光を黒板がある方向へ反射する反射部50と、光源ユニット20が照射する光の一部を遮光する遮光部60とを備えている。
図1および図2のほかに、図3から図7を参照して、本実施の形態に係る照明器具80の構成を説明する。
図3は、照明器具80を斜め下方から見た図、および、その図の一部を拡大した図である。すなわち、図3は、図1の照明装置90から光源ユニット20を取り外した状態を示している。図4は、照明器具80を側方から見た図であるが、便宜上、照明器具80の一部の構成要素を省略している。すなわち、図4は、図2の照明装置90から光源ユニット20を取り外した状態を示している。図5は、照明器具80を分解した図、および、その図の一部を拡大した図である。図6は、図4の照明器具80から可動部30を取り外した状態を示している。図7は、照明器具80を下方から見た図である。
器具本体10は、1つの面が開口された箱状である。本実施の形態において、器具本体10の開口された面は、器具本体10の高さ方向Zの一端面、すなわち、器具本体10の下端面である。つまり、本実施の形態では、器具本体10の下端面に開口17が設けられている。器具本体10は、任意の形状でよいが、本実施の形態では、幅方向Xの寸法よりも長さ方向Yの寸法が大きい長尺状である。器具本体10の高さ方向Zの寸法は、任意の寸法でよいが、本実施の形態では、幅方向Xの寸法よりも小さい。
器具本体10は、開口された面に対向する面である、器具本体10の高さ方向Zの他端面、すなわち、器具本体10の上端面を形成する本体平板部11を有する。本体平板部11には、器具本体10を天井に固定するための固定具が挿し込まれる固定孔14と、図示していない電線を引き込むための電源穴15が形成されている。また、本体平板部11には、端子台12が取り付けられている。
図示していないが、端子台12には、商用電源から電力供給を受けるために器具本体10の外部から引き込まれる電線が接続される。端子台12は、光源ユニット20の電源コネクタと接続する端子台コネクタ16を有しており、商用電源から供給された電力を、端子台コネクタ16を介して光源ユニット20に供給する。
可動部30は、光源ユニット20が取り付けられる取付面31を有する。可動部30は、器具本体10の内側において複数の位置から選択された1つの位置に固定されている。可動部30が固定された位置に応じて、可動部30の取付面31の向きが変わる。よって、光源ユニット20が可動部30の取付面31に取り付けられた状態では、可動部30が固定された位置に応じて、光源ユニット20から照射される光の方向が変わる。可動部30を固定可能な「複数の位置」としては、2つ以上の位置があればよいが、本実施の形態では、3つの位置が設定されている。また、必須ではないが、本実施の形態では、これら3つの位置とは別に、施工時に可動部30を固定する位置も設定されている。可動部30は、任意の形状でよいが、本実施の形態では、器具本体10の形状にあわせて、器具本体10の幅方向Xにおける寸法よりも器具本体10の長さ方向Yにおける寸法が大きい長尺状になっている。可動部30は、具体的には、長尺状のケースとして形成されている。
本実施の形態において、可動部30は、器具本体10の長さ方向Yに沿って延びる軸を中心に回転させられて位置が調整される。このため、可動部30を器具本体10の長さ方向Yと平行にした状態を保ちながら、可動部30の取付面31の向きを調整することができる。よって、光源ユニット20が可動部30の取付面31に取り付けられた状態では、黒板の高さ位置に応じて、光源ユニット20から照射される光の方向を適切かつ簡単に調整することができる。
可動部30の回転の軸を形成する要素としては、任意の要素を採用してよいが、本実施の形態において、可動部30は、器具本体10の長さ方向Yにおける可動部30の両端から突出する回転軸部34を有する。
また、可動部30の回転により可動部30の位置が調整されてから、可動部30を当該位置に固定する要素としては、任意の要素を採用してよいが、本実施の形態において、可動部30は、器具本体10の長さ方向Yにおける可動部30の両端から突出するピン部35を有する。
可動部30は、1つの面が開口された直方体形状である。可動部30の開口された面に対向する取付面31には、端子台コネクタ16を引き込むためのコネクタ孔37が形成されている。また、取付面31には、バネ32が配置されている。バネ32は、取付面31の長手方向の両端付近に1つずつ配置されている。バネ32は、先端部分が折れ曲がっており、中間部分が湾曲している。
可動部30の回動の軸となる回転軸部34と、スライド可能に設けられたピン部35は、可動部30の長手方向の端面である長手端面33から突き出すように設けられている。ピン部35は、つまみ部38を有する。つまみ部38は、可動部30の開口の周縁部に形成された鍔部36から突き出すように設けられている。つまみ部38を操作することでピン部35のスライド動作を制御することができる。
反射部50は、器具本体10の内側において可動部30とは別個に設置されている。反射部50は、光源ユニット20が可動部30の取付面31に取り付けられた状態で光源ユニット20からの光を器具本体10の外側に向けて反射する。本実施の形態では、可動部30と反射部50とが別々に設置されているため、組立性および操作性が向上する。反射部50は、本実施の形態では、板状に形成されている。
反射部50は、光源ユニット20からの光を黒板がある方向へ反射する反射面51を有する。反射面51は、光源ユニット20および可動部30と対向するように形成されている。
反射部50は、反射部50が器具本体10の内側に設置されている状態で器具本体10の開口17の周縁部に形成された鍔部18と並行および隣接する鍔部54を有する。鍔部54は、反射部50の一端部に相当する。反射部50の他端部には、挿込片52が設けられている。鍔部54には、スライド可能なピン部53が設けられている。ピン部53は、操作部55を有する。操作部55は、鍔部54から突き出すように設けられている。操作部55を操作することでピン部53のスライド動作を制御することができる。
取付部40は、一対備えられている。これら一対の取付部40は、器具本体10の内側において器具本体10の長さ方向Yに沿って互いに離れて設置されている。具体的には、一対の取付部40は、器具本体10の長さ方向Yの両端を塞ぐ長手端板13に対向および隣接するように設けられている。可動部30および反射部50は、一対の取付部40の両方に別々に取り付けられて固定されている。取付部40は、本実施の形態では、板状に形成されている。
一対の取付部40のそれぞれには、回転軸部34が引っ掛けられるスリット部41が設けられている。本実施の形態では、回転軸部34をスリット部41に引っ掛けて固定することで、可動部30を回転させることができるようになる。
また、一対の取付部40のそれぞれには、可動部30を固定可能な「複数の位置」に1対1で対応する複数の調整部42が設けられている。複数の調整部42から選択された1つの調整部42には、ピン部35が引っ掛けられる。本実施の形態では、ピン部35を調整部42に挿し込んで引っ掛けることで、可動部30を回転しないようにする、すなわち、可動部30を固定することができる。一対の取付部40のそれぞれに設けられる調整部42の数は、可動部30を固定可能な「複数の位置」と同数であり、本実施の形態では、3つである。調整部42は、具体的には、それぞれ円形の孔である。
一対の取付部40のそれぞれには、複数の調整部42のほかに、施工時に可動部30を固定する位置に対応する施工用の孔48も設けられている。本実施の形態では、調整部42である3つの孔が、スリット部41の入口47とは反対側の端部であるスリット端部46を中心として一定の角度の間隔を空けて形成されているとともに、施工用の孔48が、それら3つの孔のうち最も上に位置する孔よりもさらに上に、上記「一定の角度」よりも大きい角度の間隔を空けて形成されている。
一対の取付部40のそれぞれには、さらに、反射部50の挿込片52が挿し込まれるスリット状の受部43と、反射部50に設けられたピン部53が挿し込まれる固定孔44と、器具本体10の長手端板13に向かって突き出すように形成された鍔部45とが設けられている。
遮光部60は、可動部30が複数の位置のいずれに固定されている状態でも可動部30に対して反射部50がある側とは反対側に位置するように器具本体10の内側に設置されている。このため、遮光部60は、照明装置90に対して黒板がある側とは反対側に漏れる光を遮ることができる。よって、グレアの発生を防ぐことができる。遮光部60は、本実施の形態では、板状に形成されている。遮光部60は、可動部30と対向する対向面61を有している。
本実施の形態において、遮光部60は、器具本体10の内側においてスリット部41の入口47と器具本体10の高さ方向Zの一端面の開口17との間に設置されている。遮光部60は、回転軸部34がスリット部41の入口47から抜け出た場合の開口17までの通り道を塞いでいる。具体的には、図6に示すように、照明器具80を側方から見たときに、スリット部41の入口47から器具本体10の開口17までつながる空間の幅が途中で回転軸部34の直径よりも小さい幅Wになるように遮光部60と一対の取付部40のそれぞれとが互いに近接している。このため、回転軸部34がスリット部41の入口47から誤って抜け落ちても、器具本体10の開口17まで落下することがなくなり、意図しない可動部30の落下を防ぐことができる。なお、幅Wは「0」でもよい。すなわち、遮光部60と一対の取付部40のそれぞれとが互いに接触していてもよい。
本実施の形態では、図2に示すように、可動部30が、「複数の位置」のいずれに固定されている状態でも器具本体10の幅方向Xにおける中心線Lに対して片側に位置する。そして、反射部50の少なくとも一部が、器具本体10の幅方向Xにおける中心線Lに対して可動部30がある側とは反対側に位置する。そのため、「反対側」に照射される光の量を増大させることができる。なお、図2では、「片側」は左側であり、「反対側」は右側であり、図示していない黒板は、照明装置90の右側下方に配置されることになる。
本実施の形態では、図7に示すように、天井に埋め込まれる器具本体10の開口17から器具本体10の内側を覗いても、可動部30の可動領域R以外の部分が反射部50と遮光部60と取付部40の鍔部45によって隠されている。したがって、器具本体10の本体平板部11の露出を防ぐことができ、固定孔14に挿し込まれる固定具、電源穴15から引き込まれる電線、端子台12等を隠すことができるため、意匠性が向上する。
図8を参照して、本実施の形態に係る光源ユニット20の構成を説明する。
図8は、光源ユニット20を斜め上方から見た図である。
光源ユニット20は、可動部30の取付面31に取り付けられる。光源ユニット20は、本実施の形態では、可動部30に着脱自在に取り付けられる。光源ユニット20は、可動部30に取付可能な形状であればよいが、本実施の形態では、可動部30の形状にあわせて、器具本体10の幅方向Xにおける寸法よりも器具本体10の長さ方向Yにおける寸法が大きい長尺状になっている。
光源ユニット20は、図示していない光源部と、フレーム22と、カバー21と、光源蓋部27と、バネ受部23と、電源装置24とを有する。
光源部は、光を照射する。本実施の形態において、光源部は、複数のLEDと、これら複数のLEDが実装された基板とからなる。基板は、光源ユニット20が可動部30に装着された状態で長尺方向が可動部30の長尺方向とほぼ一致するように長尺状に形成されている。LEDは、基板の長尺方向に沿って直線状に並ぶように基板に配置されている。なお、LEDに代えて、有機EL、レーザダイオード等、他の種類の固体発光素子が用いられてもよい。固体発光素子の数は、複数に限らず、1つであってもよい。
フレーム22は、光源部を片面である光源設置面で保持し、電源装置24を別の片面である保持部背面25で保持している。本実施の形態において、フレーム22は、長手状である。フレーム22は、光源部が取り付けられる矩形板状の底壁部71と、底壁部71の長手方向の両側辺から垂直に突出した側壁部72とからなる。すなわち、フレーム22は、片面が光源設置面であり、別の片面が保持部背面25である底壁部71と、この別の片面の両側から立ち上がる側壁部72とを有する。底壁部71の光源部が取り付けられる面である光源設置面の反対側の保持部背面25には、電源装置24だけでなく、バネ受部23も配置されている。保持部背面25におけるバネ受部23の設置箇所は、可動部30の取付面31におけるバネ32の設置箇所と対応している。
カバー21は、フレーム22の光源設置面がある側に取り付けられ、光源部を覆っている。カバー21は、光源部から照射される光を、外側に露出している発光面26から出射する。本実施の形態において、カバー21は、長手状である。カバー21は、光源部の光軸方向に配置されて光源部から遠ざかる方向に張り出す第1湾曲部73と、第1湾曲部73の両側に形成されて光源部に近づく方向に凹む第2湾曲部74とを有する。第1湾曲部73は、断面が円弧状に形成されている。第1湾曲部73は、光源部から照射される光を拡散させることで配光を制御する。第2湾曲部74は、光源ユニット20の着脱時に作業者によってつまんで保持される。カバー21は、さらに、断面がコ字状であり、第2湾曲部74の端部に形成され、フレーム22を側壁部72側より挟み込むようにフレーム22に固定される接続部75を有する。カバー21は、押出成形が可能な樹脂材料で形成されている。樹脂材料としては、ポリカーボネート(PC)等が使用される。カバー21には、光の波長変換の機能が付加されていてもよい。
光源蓋部27は、フレーム22およびカバー21の長手方向の両端部に形成される開口を塞いでいる。
バネ受部23は、光源ユニット20を可動部30に固定するための金具である。バネ受部23には、穴が開けられている。バネ受部23は、フレーム22の底壁部71の2箇所にネジで固定されている。
電源装置24は、光源部に電力を供給する。これにより、電源装置24は、光源部を点灯させる。具体的には、電源装置24は、可動部30のコネクタ孔37から引き込まれた端子台コネクタ16を介して入力される商用電源からの交流電力を直流電力に変換し、この直流電力を光源部に供給することで、光源部を点灯させる。図示していないが、電源装置24は、交流電力を直流電力に変換する点灯回路部を有する。点灯回路部は、電源装置24の箱状のケースに収容されている。
***組立方法の説明***
図1から図8のほかに、図9から図14を参照して、本実施の形態に係る照明装置90の各部の組立方法を説明する。
図9から図13を参照して、器具本体10の内側に取付部40、可動部30、遮光部60を順番に設置する手順を説明する。なお、図9から図13では、器具本体10の長手端板13を省略している。また、ここでは、器具本体10の長さ方向Yの一端側に関して説明を行うが、他端側も同じ手順で組み立てられる。
最初に、図9に示すように、取付部40が器具本体10の本体平板部11に取り付けられる。ここでは、器具本体10の長さ方向Yの一端を見たときに、取付部40の可動部30が取り付けられる部分が左側、取付部40の反射部50が取り付けられる部分が右側に位置しているものとする。
次に、取付部40に可動部30が取り付けられる。このとき、図10に示すように、可動部30の取付面31が左側を向いた状態で、回転軸部34がスリット部41に挿し込まれる。そして、図11に示すように、回転軸部34がスリット部41のスリット端部46までスライド移動させられる。回転軸部34がスリット端部46に到達したら、回転軸部34を回転の中心として可動部30が反時計回りに回転させられ、ピン部35が施工用の孔48に挿し込まれる。これにより、図12に示すように、可動部30が固定される。端子台コネクタ16は、コネクタ孔37から引き込まれ、可動部30内に配置される。なお、ピン部35は、調整部42である3つの孔のいずれかに挿し込まれてもよい。
次に、図13に示すように、遮光部60が可動部30の下方に固定される。このとき、遮光部60は、スリット部41につながる空間をほとんど塞いでいる。よって、前述したような可動部30の外れ防止の効果が得られる。
図14を参照して、取付部40、可動部30および遮光部60が内側に設置された器具本体10を天井に取り付ける手順、すなわち、施工の手順を説明する。
器具本体10の内側に反射部50が設置されている場合には、反射部50が取り外される。操作部55を操作してピン部53を固定孔44から外し、挿込片52を受部43から引き抜くことで、反射部50を取付部40から取り外すことができる。
図14に示すように、ピン部35が調整部42から外され、回転軸部34がスリット部41に引っ掛けられているだけで、可動部30が回転できる状態でも、施工は可能であるが、本実施の形態では、可動部30がそのような状態になっている場合には、器具本体10の内側に固定される。可動部30を反時計回りに回転させ、つまみ部38を操作してピン部35を施工用の孔48に挿し込むことで、可動部30を器具本体10の内側に固定することができる。
上記のように、施工時は、器具本体10が図13に示した状態となる。そして、この状態において、本体平板部11の幅方向Xの中心線上に設けられた固定孔14に、前述した固定具の例であるボルト81が挿通され、ナット82が締め込まれる。これにより、器具本体10は、天井に固定される。
本実施の形態では、可動部30と反射部50とを別々に設け、可動部30を施工用の位置に固定することで、固定孔14を露出させ、ナット82を工具等で締め込む作業空間を容易に確保することができ、器具本体10を被取付部に容易に固定することができる。つまり、本実施の形態では、被取付部に固定するための固定具が挿し込まれる固定孔14が別々に設けられた可動部30と反射部50とで隠されているが、反射部50は容易に外すことができ、可動部30は作業の邪魔にならない位置に固定することができるため、器具本体10を被取付部に容易に固定することができる。なお、固定孔14の数および位置は、施工作業のスペースを確保できる範囲で任意に設定することができる。
図4を参照して、器具本体10の内側に反射部50を設置する手順を説明する。
取付部40に反射部50が取り付けられる際には、挿込片52が受部43に挿し込まれる。そして、ピン部53が固定孔44に挿し込まれる。これにより、反射部50が固定される。結果として、照明器具80が組み立てられたことになる。
図2、図3および図8を参照して、光源ユニット20を可動部30に取り付ける手順を説明する。
まず、可動部30のバネ32の先端部分が、光源ユニット20のバネ受部23の穴に引っ掛けられる。
次に、光源ユニット20が可動部30側へ押し込まれることで、光源ユニット20の一部が可動部30の内側に挿入される。このとき、バネ32の中間部分がバネ受部23の穴の縁部で摺動しながら、バネ受部23の先端部分が可動部30の取付面31に当たるまで、光源ユニット20が押し込まれる。これにより、光源ユニット20が可動部30に固定される。結果として、照明装置90が組み立てられたことになる。
図2を参照して、可動部30の位置を調整する手順を説明する。
可動部30の位置が調整されることで、光源ユニット20からの光の照射方向が調整される。このとき、つまみ部38が操作されてピン部35が施工用の孔48から外される。そして、可動部30が時計回りに回転させられ、再びつまみ部38が操作されてピン部35が、調整部42である3つの孔のいずれかに挿し込まれる。これにより、可動部30が「複数の位置」のいずれかに固定される。
光の照射方向が変更される場合も、同様に、つまみ部38が操作されてピン部35が1つの調整部42から外される。そして、可動部30が時計回りまたは反時計回りに回転させられ、再びつまみ部38が操作されてピン部35が他の調整部42に挿し込まれる。これにより、可動部30を固定する位置が変更される。
可動部30の位置の調整および変更は、光源ユニット20が可動部30に取り付けられていない状態でも可能であるが、光源ユニット20が取り付けられた状態で行われることで、可動部30の長手方向の両端でピン部35が異なる調整部42に挿し込まれるという事態を回避しやすくなる。これは、長手方向の両端でピン部35が異なる調整部42に挿し込まれると、可動部30がねじれた状態になるが、光源ユニット20が取り付けられていれば、可動部30がねじれ難いからである。また、仮に可動部30がねじれた状態で固定されたとしても、光源ユニット20との間に隙間が形成され、誤装着の認識が容易になるからである。
***実施の形態の効果の説明***
本実施の形態では、光源ユニット20が取り付けられる可動部30と、光源ユニット20からの光を反射する反射部50とが、器具本体10の内側に別々に設置され、反射部50が個別に取り外せることで照明器具80を施工しやすくすることができる。また、可動部30を動かすことで光を照射する方向を変えることができるとともに、反射部50を小さく形成することで照明器具80を施工しやすくすることができる。
また、本実施の形態では、反射部50と遮光部60との間で、遮光部60に近い側に可動部30の回転の軸が設けられている。そのため、可動部30が回転しても光源ユニット20と遮光部60の対向面61との位置関係がほとんど変わらない。
さらに、本実施の形態では、可動部30が器具本体10の幅方向Xにおける中心線Lに対して被照射物が配置される側とは反対側に寄せられている。よって、遮光部60の小型化が可能であるとともに、器具本体10の大型化を抑制することができる。
本実施の形態によれば、遮光部60によって、被照射物が配置される側とは反対側へ照射される光に起因するグレアを防ぐことができる。本実施の形態では、被照射物が黒板であり、黒板と反対側には生徒がいることが想定される。グレアを防ぐことで生徒にまぶしさを感じさせないという効果が得られる。
本実施の形態によれば、容易に配光制御を行える照明装置90を提供することができる。
***他の構成***
本実施の形態では、可動部30および反射部50が、取付部40に取り付けられて固定されているが、変形例として、可動部30および反射部50は、器具本体10に直接取り付けられて固定されていてもよい。この変形例では、取付部40を省略することができる。
実施の形態2.
本実施の形態について、主に実施の形態1との差異を、図15から図18を用いて説明する。
実施の形態1では、反射部50の一端部に相当する鍔部54にピン部53が設けられ、反射部50の他端部に挿込片52が設けられている。反射部50は、挿込片52が取付部40の受部43に挿し込まれ、ピン部53が取付部40の固定孔44に挿し込まれることで、取付部40に固定されている。一方、本実施の形態では、反射部50の一端部に相当する鍔部54に引掛爪56が設けられ、反射部50の他端部に目隠し部57が設けられている。反射部50は、引掛爪56が、器具本体10の長さ方向Yに延びる側壁の下端付近に設けられた孔に挿し込まれ、目隠し部57よりも中央部に近い位置がつまみネジ58によって取付部40の受部43に締結されることで、取付部40に固定されている。
図15から図18を参照して、器具本体10の内側に反射部50を設置する手順を説明する。
最初に、図15に示すように、ピン部35が調整部42から外され、回転軸部34がスリット部41に引っ掛けられているだけで、可動部30が回転できる状態で、反射部50が器具本体10の内側に挿入される。
次に、図16に示すように、器具本体10の内側に挿入された反射部50の引掛爪56が器具本体10に設けられた孔に挿し込まれる。
次に、図17に示すように、引掛爪56が器具本体10に設けられた孔に挿し込まれた状態で、反射部50がつまみネジ58で取付部40の受部43にネジ止めされる。これにより、反射部50が固定される。
反射部50のネジ止め位置よりも上方に位置する目隠し部57は、可動部30の可動領域を避けるように、反射部50のネジ止め位置を含む、反射面51を形成する部分よりも大きな角度で傾斜している。目隠し部57は、本体平板部11の目隠しの役割も果たしている。
次に、図18に示すように、可動部30が回転させられ、ピン部35が調整部42に挿し込まれることで、可動部30が固定される。そして、光源ユニット20が可動部30に取り付けられる。ここで、遮光部60は、遮光機能を十分に発揮でき、かつ、光源ユニット20の着脱の妨げとならない形状になっている。
反射部50を外す手順は、上記手順と逆になる。なお、光源ユニット20が可動部30に取り付けられたままでも、反射部50を外すことは可能である。
本実施の形態では、引掛爪56とつまみネジ58との組み合わせによって反射部50が固定される構造を採用することで、構成を簡素化することができ、また、取付部40を小型化することができる。さらに、実施の形態1と比べて、反射部50も小型化することができる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、これらの実施の形態のうち、2つ以上の実施の形態を組み合わせて実施しても構わない。あるいは、これらの実施の形態のうち、1つの実施の形態または2つ以上の実施の形態の組み合わせを部分的に実施しても構わない。なお、本発明は、これらの実施の形態に限定されるものではなく、必要に応じて種々の変更が可能である。