以下、本発明の実施形態に係る自動洗髪装置、及び、それを備える入浴装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。
<自動洗髪装置>
図1は、本発明の実施形態に係る自動洗髪装置1の構成を示す概略正面図である。図2は、本発明の実施形態に係る自動洗髪装置1の構成を示す概略側面図である。図3は、本発明の実施形態に係る自動洗髪装置1の構成を示す概略上面図である。図1から図3に示すように、自動洗髪装置1は、支持フレーム10と、洗髪部20と、駆動部30と、を備えている。
支持フレーム10は、洗髪部20及び駆動部30を支持する部分である。支持フレーム10は、その他、不図示の給水配管やバルブ等も支持する。本実施形態においては、支持フレーム10は、後述する入浴装置に取り付け易い構造になっている。ただし、支持フレームは、入浴装置に限らず、例えば洗髪専用の台等、他の部品に取り付け易い構造とされても勿論構わない。
洗髪部20は、液体を噴射するノズル21を含み、人の頭に向けて液体を噴射する部分である。ノズル21から噴射される液体としては、水及び/又は剤液(シャンプー液、コンディショナー液、その他の薬液等)が挙げられる。なお、水や剤液は、温度を適宜調整された状態で噴射されるのが好ましい。
図4は、本発明の実施形態に係る自動洗髪装置1が備える洗髪部20の構成を示す概略側面図である。図5は、図4のA−A位置における概略断面図である。図1から図3に加えて、図4及び図5も参照しながら、洗髪部20の構成について説明する。
洗髪部20は、断面視略T字状の回動軸部22と、回動軸部22の側方から延出する3つの湾曲した回動パイプ23a〜23cと、を備えている。回動軸部22は、一部(幅が狭くなった部分)が回動胴体部24の空洞24aに挿入されて、回動胴体部24にネジ止めにて固定されている。回動胴体部24は、支持フレーム10に固定されるベース部26にベアリング25を介して取り付けられており、ベース部26に対して回動可能になっている。回動軸部22は、回動胴体部24に固定されているので、回動軸部22もベース部26に対して回動可能になっている。
なお、回動胴体部24は、一端部(前端部)がシール部材271を保持するシールホルダー27の貫通孔27aに貫入している。シールホルダー27は、支持フレーム10に固設されるシールホルダー台11にネジ止めにて固定されている。また、回動胴体部24の内周と回動軸部22の外周との間にはシールリング241が配置されている。
ベース部26は、断面視略逆T字状に構成されており、幅が狭くなった部分が回動胴体部24の空洞24aに挿入されている。ベース部26には、貫通孔26aが形成されており、回動軸部22の一方の端部(幅が狭くなった方向の端部)が、この貫通孔26aに挿入されている。ベース部26の外周と、回動胴体部24の内周との間には、シール部材242や緩衝材243が配置されている。
ベース部26の背面側には、外部からの給液を可能とするジョイント部261が設けられている。ジョイント部261は、ベース部26と一体成形されてもよいし、別部材として設けられてベース部26に固設されてもよい。ジョイント部261に供給された液体は、ベース部26に設けられる貫通孔26a、及び、回動軸部22内に設けられる空洞部22aを介して、回動パイプ23a〜23cに供給可能になっている。
また、ベース部26には、ジョイント部261の外壁を貫通するとともに、ジョイント部261内の空洞及びベース部26の貫通孔26aに挿入される給液パイプ262が取り付けられている。給液パイプ262は、回動胴体部24に取り付けられる回動軸部22の空洞22aに更に挿入され、回動軸部22の一端面221(前端面)に設けられる軸部用ノズル222へと繋がっている。すなわち、給液パイプ262に外部から液体を供給することによって、軸部用ノズル222から液体を噴射できるようになっている。
一端が回動軸部22の側面に取り付けられる回動パイプ23a〜23cは、内部に空洞が設けられ、他端(回動軸部22に取り付けられるのと反対側の端部)が塞がれている。3つの回動パイプ23a〜23cは、回動軸部22の側面に、周方向に等間隔に取り付けられている。すなわち、3つの回動パイプ23a〜23cは、回動軸部22の周方向に略120°間隔で並んでいる。3つの回動パイプ23a〜23cは、図1において、回動軸部22に連結される根元側よりも先端側が手前に突出するように湾曲している。
なお、3つの回動パイプ23a〜23cのサイズ(長さや径等)や形状は、全て同じとしてもよいし、少なくとも一つのパイプが異なるようにしてもよい。本実施形態では、3つの回動パイプ23a〜23cのサイズや形状は同じとしている。また、本実施形態では、3つの回動パイプ23a〜23cは、一例として円弧状に湾曲している。また、本実施形態では、回動パイプの数を3つとしているが、回動パイプの数は3つ以外であってもよい。場合によっては、回動パイプの数は一つでもよい。回動パイプの数を複数とする場合には、回動軸部22の側面に、周方向に等間隔で並ぶように配置するのが好ましい。
3つの回動パイプ23a〜23cのそれぞれにおいては、側面に複数のノズル21が取り付けられて、ノズル21が複数並んだノズル列21Lが形成されている。複数のノズル列21は、回動軸部22の周方向に等角度間隔で並ぶ。なお、回動パイプ23a〜23cに設けられるノズル21は、いずれも、回動パイプ23a〜23cの同じ側の側面(例えば図1において前側面)に設けられている。すなわち、回動パイプ23a〜23cに設けられるノズル21は、いずれも同一面側(図1において前面側)に向けて液体を噴射する。なお、回動パイプ23a〜23cへの液体の供給は、ジョイント部26を介して行われる。
3つの回動パイプ23a〜23cのそれぞれに設けられるノズル21の数は、3つに限られず、その数は適宜変更されてよい。各回動パイプ23a〜23cでノズル21の数が異なっていてもよい。各ノズル列21Lにおけるノズル21間の間隔は、等間隔でもよいし、等間隔でなくてもよい。また、各ノズル列21L間で、ノズル21を配置する位置は、ずれていてもよいし、同じ位置とされてもよい。
なお、回動軸部22、3つの回動パイプ23a〜23c、及び、回動胴体部24は、本発明の回動部の一例である。
駆動部30は、水圧を利用して回動胴体部24を回動する。すなわち、駆動部30は、水圧を利用して回動軸部22及び回動パイプ23a〜23cも回動する。図6は、本発明の実施形態に係る自動洗髪装置1が備える駆動部30の構成を示す概略側面図である。図7は、図6と異なる方向(90°異なる方向)から駆動部30を見た場合の概略側面図である。図8は、図6のB−B位置における概略断面図である。図1から図3に加えて、図6から図8も参照しながら、駆動部30の構成について説明する。
駆動部30は、水圧シリンダーを用いて構成されている。駆動部30は、円筒形状のシリンダー31と、シリンダー31の一端側に被せられるフロントキャップ32と、シリンダー32の他端側に被せられるエンドキャップ33と、を備えている。フロントキャップ32とエンドキャップ33とは、4つの連結バー34によって連結されている。
フロントキャップ32の内部には空洞部321が形成されている。フロントキャップ32の外側面には、空洞部321に連通するホール322が設けられている。ホール322を介して、外部から空洞部321に水を供給したり、空洞部321内の水を外部に排出したりすることが可能になっている。なお、空洞部321はシリンダー31の空洞部311に繋がっており、両空洞部311、321内で水の行き来ができる。また、フロントキャップ32の空洞部321内の水が、ホール322以外の部分から外部に漏れ出さないように、適宜シール部材が配置されている。
エンドキャップ33の内部にも空洞部331が形成されている。エンドキャップ33の側面(フロントキャップ32のホール322が設けられる面と90°ずれた面)には、空洞部331に連通するホール332が設けられている。ホール332を介して、外部から空洞部331に水を供給したり、空洞部331内の水を外部に排出したりすることが可能になっている。なお、空洞部331はシリンダー31の空洞部311に繋がっており、両空洞部311、331内で水の行き来ができる。また、エンドキャップ33の空洞部331内の水が、ホール332以外の部分から外部に漏れ出さないように、適宜シール部材が配置されている。
エンドキャップ33の端面には、駆動部30を支持フレーム10に取り付けるための取付金具35が配置されている。駆動部30は、取付金具35を介して、支持フレーム10に回動可能に取り付けられている。なお、駆動部30は、取付金具35を支持フレーム10に取り付けるためのボルト351を中心として回動可能になっている(図1の矢印R1参照)。また、駆動部30が支持フレーム10に対して回動可能に取り付けられていることを考慮して、フロントキャップ32には、駆動部30を滑らかなに回動させるための滑り板38が取り付けられている。
シリンダー31内には、空洞部311を進退可能に設けられるピストン36が配置されている。ピストン36には、ピストンロッド37が固定されている。ピストンロッド37はフロントキャップ32を貫いて、その先端が外部に突出している。ピストンロッド37の先端には、連結部371が設けられている。当該連結部371は、洗髪部20の回動胴体部24の側面に設けられる突出片24bと連結されている。
図6〜図8に示す状態において、エンドキャップ33の空洞部331内にホール332を介して水が供給されると、ピストン36が水圧によって押圧されてフロントキャップ32側(図の右側)に移動する。これに伴い、ピストンロッド37のフロントキャップ32からの突出量が増えると共に、シリンダー31内においてピストン36よりフロントキャップ32側(図の右側)にあった水がフロントキャップ32のホール322を介して外部に排出される。ピストンロッド37が延び出すのに伴って、回動胴体部24及び回動軸部22が回動する(図1において反時計回り方向に回動する)。また、回動胴体部24の回動に伴って、上述のように回動可能に設けられる駆動部30自体も同じ方向に回動する。
一方、ピストンロッド37が延び出した状態において、フロントキャップ32の空洞部321内にホール322を介して水が供給されると、ピストン36が水圧によって押圧されてエンドキャップ33側(図の左側)に移動する。これに伴い、ピストンロッド37のフロントキャップ32からの突出量が減少すると共に、シリンダー31内においてピストン36よりエンドキャップ33側(図の左側)にあった水がエンドキャップ33のホール332を介して外部に排出される。ピストンロッド37の突出量が減じられるのに伴って、回動胴体部24及び回動軸部22は、ピストンロッド37が延び出す場合と反対方向に回動する(図1において時計回り方向に回動する)。また、この回動胴体部24の反対方向の回動に伴って駆動部30自体も同じ方向に回動する。
すなわち、フロントキャップ32のホール322側から水が供給されている第1の状態と、エンドキャップ33のホール332側から水が供給されている第2の状態とを、適当なタイミングで入れ替えることによって、回動軸部22の回動方向は切り替えられる。本実施形態では、例えば回動胴体部24の突出片24bとの接触及び非接触によってオンオフが切り替わる2つのリミットスイッチ(図18の符号64、65で示されるリミットセンサーの一例)を設けることによって、上述の第1の状態と第2の状態とが切り替わるように構成している。また、本実施形態では、一例として、回動軸部22は、回動角度130°の範囲で往復運動するように設けられている。すなわち、ノズル列21Lが設けられた各回動パイプ23a〜23cも、回動角度130°の範囲で往復運動(図1のR2参照)する。
図9は、本発明の実施形態に係る自動洗髪装置1が備える給液路の構成を説明するための概略図である。洗髪が行われる者に対して快適な温度の液体がノズル21から噴射されるように、自動洗髪装置1においては貯湯タンクに溜められた湯が利用される。貯湯タンクから供給された湯は、例えば複数のチューブやパイプを介して回動パイプ23a〜23c及び水圧シリンダー30に供給される。複数のチューブやパイプの間には、適宜、ジョイントやバルブ(弁)が連結されている。
詳細には、図9に示すように、貯湯タンクから供給された湯は、第1のジョイント41によって、回動パイプ23a〜23cに供給される湯と、水圧シリンダー30に供給される湯とに分けられる。回動パイプ23a〜23cに供給される湯として第1のジョイント41から供給された湯は、湯を二つの方向に分ける第2のジョイント42を通過する。
第1のバルブ43が開状態(第2のバルブ44は閉状態)の場合には、第2のジョイント42に供給された湯は第1のバルブ43を介して第3のジョイント45へと供給される。一方、第2のバルブ44が開状態(第1のバルブ43が閉状態)の場合には、第1のチューブ46、第2のバルブ44、及び、第2のチューブ47を介して第3のジョイント45へと供給される。ここで、第1のチューブ46に比べて第2のチューブ47は小径となっている。このために、第2のバルブ44が開状態の場合には、第1のバルブ43が開状態の場合に比べて、少量の湯が第3のジョイント45に供給されることになる。なお、第1のバルブ43及び第2のバルブ44は例えば電磁弁とできる。
第3のジョイント45を通過した湯は、チューブを介してベース部26(洗髪部20を構成する)のジョイント部261へと供給され、回動パイプ23a〜23cへと送られる。なお、第3のジョイント45には、剤液タンクから剤液(シャンプー液やコンディショナー液)が供給可能になっている。すなわち、剤液も回動パイプ23a〜23cに供給可能になっている。
水圧シリンダー30に供給される湯として第1のジョイント41から供給された湯は、電磁弁として構成できる第1の三方バルブ48と第2の三方バルブ49とによって流れる向きが制御される。なお、本実施形態では、第1の三方バルブ48と第2の三方バルブ49とは、一方が通電されている場合には他方も通電され、一方が通電されていない場合には他方も通電されないように制御される。2つの三方バルブ48、49は、いずれも、非通電時にはNO(ノーマルオープン)ポートが開となり、NC(ノーマルクローズ)ポートは閉となる。また、2つの三方バルブ48、49は、いずれも、通電時にはNO(ノーマルオープン)ポートが閉となり、NC(ノーマルクローズ)ポートが開となる。
第1の三方バルブ48の供給ポートCOM(常時開)へと湯が送られると、非通電時には、第1の三方バルブ48のNOポートを介して、水圧シリンダー30のフロントキャップ32側に湯が供給される。これにより、水圧シリンダー30のエンドキャップ33側から湯が排出される。水圧シリンダー30から排出された湯は、第2の三方バルブ49のNOポート、排出ポートCOM(常時開)、及びチューブを介して、軸部用ノズル222へと繋がる給液パイプ262へと送られる。
一方、通電時には、第2の三方バルブ48の供給ポートCOM(常時開)へと湯が送られると、第1の三方バルブ48のNCポートを介して、水圧シリンダー30のエンドキャップ33側に湯が供給される。これにより、水圧シリンダー30のフロントキャップ32側から湯が排出される。水圧シリンダー30から排出された湯は、第2の三方バルブ49のNCポート、排出ポートCOM、及びチューブを介して給液パイプ262へと送られる。
ところで、本実施形態の自動洗髪装置1においては、ジョイント部261(図2等参照)に供給された液体(水や剤液)は、各回動パイプ23a〜23cへと均等に供給されない。3つの回動パイプ23a〜23cのうちの1つに大量の液体が供給され、残りの2つには少量の液体が供給されるようになっている。すなわち、3つの回動パイプ23a〜23cのうちの1つ(1つのノズル列21L)から多量の液体が噴出され、残りの2つ(2つのノズル列21L)からは少量の液体が噴出される。そして、本実施形態の自動洗髪装置1では、多量の液体が噴出される1つの回動パイプ(ノズル列21L)が機械的に順次切り替わるように構成されている。以下、これについて説明する。
図5に示すように、自動洗髪装置1には切替機構50が備えられている。この切替機構50は、駆動部30が回動軸部22(ノズル21)の回動方向を反転させるのに連動して、各回動パイプ23a〜23cのノズル列21Lから噴射される液体の噴射量を切り替える。
切替機構50を構成する要素には、回動軸部22の空洞部22a内に一部が配置されて液体の流れる方向を制御可能な切替え筒51が含まれる。図10は、本発明に実施形態に係る自動洗髪装置1が備える切替え筒51の構成を示す概略側面図である。図11は、図10に示す切替え筒51を他の方向(図10と90°異なる方向)から見た概略側面図である。図12は、図10に示す切替え筒51の概略上面図である。図13は、図10に示す切替え筒51の概略下面図である。
切替え筒51は、略円筒状に設けられる。切替え筒51の一端側(図10、11において上端側)には、液体の流れる方向を決めるための切欠き部511が設けられている。また、切替え筒51の他端側(図10、11において下端側)には、互いに対向するように一対の突片512a、512bが設けられている。
切替え筒51の外周には、フランジ部52が一体的に形成されている。フランジ部52上には、切替え筒51の外周に沿うように、側面視略台形状の凸部521が等間隔に3つ配置されている。当該3つの凸部521は、回動軸部22の下端に周方向に等間隔に3つ設けられる係合溝223(後述の図17A〜図17C参照)と対をなして、回動軸部22と切替え筒51の間の連結状態(連結と非連結)を切り替える機能を発揮する。なお、係合溝223は、凸部521より若干大きいが、その形状は凸部521とほぼ同じである。また、凸部521が設けられるフランジ部52と、回動軸部22の端面(下端面)に設けられる係合溝223も切替機構50を構成する要素である。
切替機構50を構成する要素には、ベース部26の貫通孔26a内に配置されるラチェットリング53も含まれる(図5参照)。図14は、本発明に実施形態に係る自動洗髪装置1が備えるラチェットリング53の構成を示す概略側面図である。図15は、図14に示すラチェットリング53の概略上面図である。図16は、図14に示すラチェットリング53の概略下面図である。
ラチェットリング53は、略円盤状に設けられる。ラチェットリング53の一端面53a(図14において上端面)側には、平面視略円形状の第1の開口部531が設けられて凹部が形成されている。ラチェットリング53の他端面53b(図14において下端面)側には、平面視略円形状の第2の開口部532が形成されて凹部が形成されている。ラチェットリング53には、これらの凹部を貫くように、平面視略レモン状の貫通孔533が形成されている。ラチェットリング53の他端面53bの外周寄りには、側面視略台形状の3つの突起部534が周方向に等間隔で配置されている。3つの突起部534は、ベース部26内に設けられる係合穴26b(周方向に等間隔に3つ設けられる)に係合する(図5参照)。
切替機構50を構成する要素には、フランジ部52とラチェットリング53との間に配置される圧縮コイルバネ54も含まれる。この圧縮コイルバネ54の付勢力によって、切替え筒51に一体的に設けられるフランジ部52は回転軸部22の下端に向けて押圧されている。
図17A、図17B及び図17Cは、本発明の実施形態に係る自動洗髪装置1が備える切替機構50の作用について説明するための模式図である。図17Aに示す状態としては、例えば回動軸部22の回動方向が第1の方向X1から第2の方向X2へ、或いは、第2の方向X2から第1の方向X1へ反転を開始する直前の状態が想定される。図17Bに示す状態としては、例えば、回動軸部22が第2の方向X2から第1の方向X1に回動方向を反転して少し時間が経過した状態が想定される。図17Cに示す状態としては、例えば、回動軸部22が第1の方向X1から第2の方向X2に回動方向を反転して少し時間が経過した状態が想定される。
なお、第1の方向X1は、図1において回動軸部22が時計回りに回動する方向である。また、第2の方向X2は、図1において回動軸部22が反時計回りに回動する方向である。また、図17A〜図17Cにおいては、破線の円内に、ラチェットリング53及びその周辺の構造を示す概略断面図が示されている。破線の円内には、説明の都合上、ベース部26の一部も示されている。
図17Aに示す状態では、各凸部521は各係合溝223に嵌り込んだ状態になっており、回動軸部22と切替え筒51とは連結した状態になっている。なお、切替え筒51は、その突片512a、512bが貫通孔533に嵌り込むことによって、ラチェットリング53とも連結されている(図10〜図16も参照)。ラチェットリング53の突起部534は、ベース部26内に設けられる係合穴26bに入り込んでいる。
図17Aに示す状態では、ジョイント部261(図5参照)から供給されて回動軸部22の空洞部22a内に入る液体は、概ね切替え筒51内を通り抜ける。そして、切替え筒51内を通り抜けた液体は、切欠き部511と向かい合う位置に存在する1つの回動パイプ(3つの回動パイプ23a〜23cのいずれか1つ)に、その大半が供給されることになる。
図17Aに示す状態から、第1の方向X1に回動軸部22が回動する場合について説明する。第1の方向X1に回動軸部22が回動する場合、各凸部521と各係合溝223とは、その形状から、噛み合った状態を維持する。すなわち、回動軸部22と切替え筒51とが連結した状態が維持される。このために、回動軸部22の回動とともに切替え筒51も回動する。したがって、第2の方向X2から第1の方向X1に回動軸部22の回動方向が反転する場合には、切替え筒51と各回動パイプ23a〜23cとの位置関係は変わらない。すなわち、各回動パイプ23a〜23cのノズル列21Lから噴射される液体の噴射量の切り替えは、当該回動方向の反転によっては起こらない。
なお、第1の方向X1に回動軸部22が回動する場合、図17Bに示すように、切替え筒51に連結されるラチェットリング53もベース部26内で回動する。ラチェットリング53が回動する場合、その突起部534がベース部26の係合穴26bから抜け出し、ラチェットリング53の位置が図17Bに示すように、圧縮コイルバネ54を縮めながらフランジ部52に近づく。この状態で、回動軸部22が第1の方向X1に回動を続け、回動方向が反転する位置(或いはその近傍)に至ると、突起部534は別の係合穴26bに嵌り込む。
次に、図17Aに示す状態から、第2の方向X2に回動軸部22が回動する場合について説明する。第2の方向X2に回動軸部22が回動する場合、回動軸部22は、図17Cに示すように、凸部521に対して、その傾斜面を滑り上がろうとする。これに伴い、圧縮コイルバネ54が縮み、切替え筒51はラチェットリング53に近づく方向に移動する。ラチェットリング53は、圧縮コイルバネ54によってベース部26に強く押し付けられる。
この結果、ラチェットリング53及びそれに連結される切替え筒51は、その位置に留まろうとし、回動軸部22だけが、回動方向が反転する位置に至るまで回動を続ける。回動方向が反転する位置(或いはその近傍)で、凸部521と係合溝223とは嵌め合った状態に戻る。このため、図17Aに示す状態から第2の方向X2に回動軸部22が回動すると、切替え筒51と各回動パイプ23a〜23cとの位置関係が変わる。回動軸部22が所定量回動した時点で、切替え筒51の切欠き部511と対向する回動パイプが1つずれて別の回動パイプになる。これにより、大量の液体を噴射するノズル列21Lが変更されることになる。
図18は、本発明の実施形態に係る自動洗髪装置1が備える電気的構成を示すブロック図である。自動洗髪装置1は、例えばマイクロコンピューターで構成できる制御部60を備える。制御部60は、操作部61に入力される洗髪に関わる条件にしたがって、装置の各部を制御する。操作部61は、例えば、装置本体に設けられるボタン群やタッチパネル、リモコンに設けられるボタン群やタッチパネル等であってよい。洗髪に関する条件としては、例えば、噴射される水の温度、噴射される水の量、剤液の種類、剤液の量、洗髪コースの種類等が挙げられる。
制御部60は、洗髪部20供給される湯の量を切り替える第1のバルブ43と第2のバルブ44との動作を制御する。また、制御部60は、操作部61に入力された洗髪コース等にしたがって、貯湯タンクに溜めた湯をノズル21及び水圧シリンダー30に供給するための水供給ポンプ62を動作させる。また、制御部60は、操作部61に入力された洗髪コース等にしたがって、シャンプー液等の剤液をノズル21に供給するための剤液供給ポンプ63を動作させる。
更に、制御部60は、第1のリミットセンサー64と第2のリミットセンサー64とから得られる情報(信号)に基づいて、第1の三方バルブ48及び第2の三方バルブ49を制御して、水圧シリンダー30に供給する液体の流れを切り替える。リミットセンサー64、65としては、機械的にオンオフが切り替わるリミットスイッチの代わりに、光学センサーや磁気センサー等が使用されてよい。
図19は、本発明の実施形態に係る自動洗髪装置1を利用して洗髪を行う場合の、洗髪される者Mと自動洗髪装置1との関係を示す模式図である。自動洗髪装置1を使用して洗髪を行う場合、洗髪される者Mは、例えば寝台70(ストレッチャー等)に仰向けになって、後頭部側を支持体71によって支持された状態になる。この状態において、洗髪部20は、回動軸部22が洗髪される者Mの頭頂部P(頭のてっぺん及びその近傍)に対向した位置となるように配置される。回動軸部22から延出する各回動パイプ23a〜23cは、洗髪される者Mの頭に沿うように配置される。
洗髪時には、各回動パイプ23a〜23cが回動軸部22の回動によって回動角度130°(一例にすぎない)の範囲で往復運動する。更には、軸部用ノズル222によって洗髪される者Mの頭頂部Pにも湯が噴射される。このために、洗髪される者Mは、その頭全体に対して湯が噴射されている感覚を得られる。また、各回動パイプ23a〜23cが360°回転するのではなく、一定の範囲で往復運動する構成としているために、被洗髪者Mの髪が回動パイプ23a〜23c等に絡まる可能性を低下できる。
複数のノズル列21Lから洗髪される者Mの頭に湯が噴射されるために、洗髪される者Mは、一時に様々な方向から刺激を与えられ、快適な洗髪感を得られる。また、切替機構50の作用によって、多くの液体が噴射されるノズル列21Lと、少しの液体が噴射されるノズル列21Lの位置が適宜変更されていく。このために、洗髪にリズム感(強弱)が与えられ、マッサージ効果を期待できる。更に、回動軸部22の回動方向の反転時に、水圧シリンダー30の構造に由来して、軸部用ノズル222から噴射される湯の量が一時的に変動する。この変動も、洗髪される者Mの頭に刺激を与え、マッサージ効果を期待できる。
また、水圧シリンダー30を用いて洗髪部20を駆動しているために、モーターを用いる場合に比べて、ランニングコストの低減が期待できる。また、水圧シリンダー30からの排水も洗髪される者Mに噴射する構成のために、貯湯タンクの湯の利用効率がよい。また、水供給ポンプ62を用いて供給される湯が、ノズル21から噴射される液体としてだけではなく、水圧シリンダー30の駆動にも使用されるために、電気の利用効率もよい。
<入浴装置>
以上のように構成される自動洗髪装置1は、洗髪専用の台等に取り付けられて洗髪専用の装置として利用されても良いが、他の装置と組み合わせて利用されてもよい。例えば、自動洗髪装置1は、介助が必要な者(要介助者)を入浴させるのに使用される入浴装置等に取り付けられても構わない。以下、一例として、自動洗髪装置1がシャワー入浴装置に取り付けられる場合の構成例を示す。
まず、シャワー入浴装置がどのようなものかについて、図23〜図25を参照しながら簡単に説明しておく。シャワー入浴装置は、シャワー浴槽部SBと、シャワー浴槽部SBに受け入れられるシャワー入浴用搬送車SSと、によって構成される。なお、図23は、従来のシャワー入浴装置が備えるシャワー浴槽部SBの構成を示す概略正面図である。図24は、従来のシャワー入浴装置が備えるシャワー浴槽部SBの構成を示す概略側面図である。図25は、従来のシャワー入浴装置において、シャワー浴槽部SBにシャワー入浴用搬送車SSが受け入れられた状態を示す概略側面図で、シャワー浴槽部SBについては奥側半分のみが描かれ、手前側半分は描かれていない。
なお、シャワー浴槽部SBは、通常外装カバーが装着されるが、図23〜図25においては、構造を理解し易いように外装カバーが取り外されている。
シャワー浴槽部SBは、4本の脚部111によって支持された水受け浴槽112を備えている。水受け浴槽112上には、フレーム構造体113が形成されている。フレーム構造体113の一部は液体(水や剤液)を流す配管として使用される。フレーム構造体113の上部には、長手方向に間隔をあけて並ぶ複数の上シャワーノズル114が取り付けられている。上シャワーノズル114は下方に向けてシャワー水を噴射する。また、フレーム構造体113の側部(左右の側部)には、長手方向に間隔をあけて並ぶ複数の横シャワーノズル115が取り付けられている。横シャワーノズル115は、内側横向きにシャワー水を噴射する。
水受け浴槽112の長手方向の一端側(図23の手前側、図24の右側)には、開口部112aが形成されている。開口部112aは、水受け浴槽112の長手方向の一端から他端に向けて所定の長さ(例えば水受け浴槽112の長手方向の長さの1/3程度の長さ)延びている。また、開口部112aは、水受け浴槽112の短手方向(左右方向)の中央部分に幅狭で設けられている。また、開口部112aは、水受け浴槽112を上下方向に貫通している。
水受け浴槽112には、その長手方向の一端(開口部112aが設けられる側)から他端の手前まで細長く延びるガイド溝112bが形成されている。ガイド溝112bは、水受け浴槽112の短手方向(幅方向)の中央部分に、開口部112aよりもやや幅広に設けられている。ガイド溝112bは、水受け浴槽112の一端寄りで開口部112aと重なる。その他、水受け浴槽112には、浴槽内の水を排出する排水部112cが形成されている。
シャワー入浴用搬送車SSは、台座部120と、台座部120の上に設けられる寝台部121とを備える。台座部120を構成する台座フレーム122の四隅の下部には車輪123が設けられている。台座部120には、台座フレーム122に対して上下動可能に設けられるとともに、寝台部121を支持する支柱124が備えられる。その他、台座部120には水受け体125が設けられている。
寝台部121は、寝台フレーム126と、寝台フレーム126上に載置されるマット127と、入浴者の頭部を載せる枕部128と、を備えている。寝台フレーム126の下面側には、複数のガイドローラー126aが長手方向に間隔をあけて配置されている。複数のガイドローラー126aは、いずれも寝台部121の短手方向(幅方向)の中央に位置するように設けられている。また、複数のガイドローラー126aは、いずれも上下方向に平行な方向に延びる軸を中心軸として回動可能に設けられている。
寝台部121の両側面(左右の側面)には、寝台部121の長手方向に沿って長く延びる板状のサイドフェンス129が取り付けられている。サイドフェンス129は、シャワー入浴用搬送車SSに搭乗する入浴者の安全を確保するために設けられている。
シャワー入浴用搬送車SSは、その長手方向とシャワー浴槽部SBの長手方向とが略平行となるような姿勢にされて、シャワー浴槽部SBに受け入れられる。シャワー入浴用搬送車SSは、枕部128が設けられる側と反対側(入浴者の足側)の端部から先にシャワー浴槽部SBに入れられる。
シャワー入浴用搬送車SSがシャワー浴槽部SBに受け入れられる際には、搬送車SSに設けられるガイドローラー126aが水受け浴槽112に設けられるガイド溝112bに案内される。また、当該押し込みの際に、シャワー入浴用搬送車SSに設けられる支柱124が、水受け浴槽112の開口部112aに嵌り込む。
図20は、本発明の実施形態に係る自動洗髪装置1を備えるシャワー入浴装置2の構成を示す概略側面図である。なお、図20においては、シャワー浴槽部80のみが描かれ、シャワー入浴用搬送車は省略されている。シャワー入浴用搬送車の構成は、従来の構成と同様であるので、その説明は省略する。本実施形態のシャワー入浴装置2は、シャワー浴槽部80に、上述した自動洗髪装置1が取り付けられている点で異なる。以下、この異なる点に絞って説明を行う。なお、シャワー浴槽部80は、上述のシャワー浴槽部SBと概ね同様の構成であり、従来のシャワー浴槽部SBと重複する部分には同一の符号を付している。
シャワー浴槽部80を構成する4つの脚部111のうちの一つ(図20おいて、右奥側の脚部)に、扉81がヒンジ部82を介して支持されている。扉81は、上面視した場合に略円弧状に設けられている。扉81のヒンジ部82に支えられていない側の端部には、扉81が閉じられた状態を維持するためのロック機構83が設けられている。図20は、扉81がロック機構83によってロックされた状態を示している。
自動洗髪装置1は、その支持フレーム10が、円弧状の扉81の内部側に支持された状態で取り付けられている。支持フレーム10は、その板面が傾斜した状態で扉81に取り付けられている。このような傾斜状態とすることにより、シャワー入浴用搬送車に仰向けに寝た人の頭を図19のように配置することができる。なお、シャワー入浴用搬送車は、図20の状態から、一旦扉81を開けてシャワー浴槽部80に受け入れる必要があり、シャワー入浴用搬送車がシャワー浴槽部80に受け入れられた状態で扉81を閉じることによって、自動洗髪装置1による洗髪が可能になる。
なお、ロック機構83が、ロックされていない場合には、自動洗髪装置1が作動しないように構成してもよい。また、自動洗髪装置1において必要となる制御部60、操作部61、貯湯タンク、剤液タンク、水供給ポンプ62、及び、剤液供給ポンプ63等は、シャワー入浴装置2と兼用とされてよい。
本実施形態のシャワー入浴装置によれば、入浴者は、洗身と同時に洗髪を行うことも可能である。また、洗身と洗髪とを別々に行うことも可能である。本実施形態のシャワー入浴装置によれば、要介助者の洗髪を自動で行えるために、介助者の労力の軽減を図れる。また、本実施形態のシャワー入浴装置では、自動洗髪装置1における排水を、シャワー浴槽部80の水受け浴槽112やシャワー入浴用搬送車の水受け体125を利用して流すことも可能である。
<その他>
以上に示した実施形態は、本発明の例示にすぎない。以上に示した実施形態の構成は、本発明の技術的思想を超えない範囲で適宜変更されて構わない。
例えば、以上で説明した自動洗髪装置1の回動パイプ23a〜23cを覆うように、図21及び図22に示すような外形がすり鉢状のカバー28が、回動胴体部24に取り付けてもよい。図21は、本発明の実施形態に係る自動洗髪装置1に備えられる回動パイプ23a〜23cを覆うカバー28の取り付け例を説明するための概略側面図である。図22は、本発明の実施形態に係る自動洗髪装置1に備えられる回動パイプ23a〜23cを覆うカバー28の取り付け例を説明するための概略正面図である。
図22に示すように、液体を噴射できるように回動パイプ23a〜23cに備えられるノズル列21Lはカバー28表面から露出している。また、回動軸部22の先端側の一部及び軸部用ノズル222もカバー28表面から露出している。このようにカバー28が取り付けられると、洗髪が行われる者の髪が回動パイプ23a〜23cに絡まる可能性を低減できる。
なお、カバー28の表面には、洗髪姿勢(例えば図19参照)となった人の頭に接触するように、例えばシリコン等で形成される突起を適当な箇所に複数配置しても構わない。当該突起が頭に接触しながらカバー28が回動することによって、マッサージ効果が期待できる。このような突起は、場合によっては回動パイプ23a〜23cに設けられてもよい。
また、以上に示した実施形態では、水圧シリンダーに水を共有する供給源と、ノズルに水を供給する供給源とを同じにした。ただし、これは一例であり、場合によっては、水圧シリンダーとノズルへは、別々の供給源から水が供給されてもよい。また、水圧を利用して回動部を回動できればよく、水圧シリンダー以外の部品が用いられてもよい。また、水圧シリンダーは複数用いられてもよい。
また、以上に示した実施形態では、各ノズル列21Lにおいて、複数のノズル21が湾曲したラインに沿って並ぶように(一例として円弧状に並ぶように)、回動パイプ23a〜23cを湾曲形状とした。しかし、この構成に限定される趣旨ではない。直線状のパイプを複数連結した構造を利用して、複数のノズル21が湾曲したラインに沿って並んだ状態を得てもよい。なお、場合によっては、ノズル列21Lが設けられる回動パイプは1本の直線状のパイプであっても構わない。
また、以上に示した自動洗髪装置1において、ノズル21、222から噴射される液体が飛び散るのを防止するためのフードを適宜設けてもよい。当該フードは、洗髪が行われる者に飛び散った液体がかかるのを防止するものであってもよい。
また、以上に示した自動洗髪装置1には、洗髪に用いた液体を適当な箇所に排出するための排液設備が適宜設けられてよい。
また、以上に示した自動洗髪装置1においては、駆動部30は、回動部を回動する方向を反転させる構成としたが、これに限らず、駆動部は、回動部を一方向にのみ回動させる構成であってもよい。
また、以上に示した自動洗髪装置1においては、洗髪動作にリズム感を与えてマッサージ効果を出すために、各ノズル列21Lから噴射される液体の量が所定の間隔で切り替えられる構成としたが、このような切り替えは行われなくてもよい。また、各ノズル列21Lから噴射される液体の量は、全て同じであってもよい。更に、噴射される液体の量を所定の間隔で切り替える構成は、以上に示した実施形態のように機械的に制御するのではなく、マイコン制御で行われても構わない。