JP4909489B2 - 流体放出装置及び管路システム - Google Patents
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Description
本発明は、畑地かんがい等にとって便利な、流体の放出口を自動的に移動させる流体放出装置、及び該装置を使用する管路システムに関するものである。
なお、本明細書中の「水」の語は液体を、「空気」の語は気体を、「流体」の語は液体と気体を総称的に代表するものとする。
背景技術
最近の畑地かんがいは、ポンプ等によって送水しスプリンクラー、有孔パイプ、ノズル等(以下、まとめて「放出口」と称する。)から散布するパイプラインシステムが一般的になっている。そして、省力化、多目的自動化の見地から、散水を行うのみならず、混入機器によって農薬や液体肥料等(以下、まとめて「薬液」と称する。)を混入し、同じ放出口から散布する方法が普及している。
この薬液を散布する場合には、その対象物例えば作物の葉の表裏に均一に散布するのが理想であるが、そのために放出口の位置は固定したままで射出方向を変化させることが従来一般的に行われており、自動スプリンクラー装置においては各種の自動運動機構により散布角度や散布幅を自動的に変化させるなどの方法が採用されている。
しかし、これら自動スプリンクラー装置においては、あくまで放出口の位置は固定されているため、散布の行き渡らない死角が生じるという問題がある。その解決方法として、放出口の位置そのものを移動させることが考えられ、従来各種提案が行われてきたが、問題の本質的な解決には至っていない。
例えば、従来技術の一例として、スプリンクラーを移動車に乗せて移動しつつ散布する方法があるが、この場合は当然移動車の運転に人手を要するので自動化には程遠い。
従来技術の他の一例として、放出口の位置の移動を自動的に行うための電動式や水力式の自動移動装置を設ける方法もあるが、電動式の場合は、駆動電源が必要になるという大きな問題がある。又、水力式の場合は、散布液体の供給配管の他に別途駆動用水の供給配管が必要となるという問題がある上、特に薬液を散布する場合には、駆動の仕事を終えた駆動用水は薬液への混入を避けるために別の場所に廃棄する必要があり、無駄が生じるという問題もあった。
以上の理由より、スプリンクラー等の放出口の位置の移動を自動化することは容易ではないと見られていた。
そこで、本発明は、これら従来技術の問題点を抜本的に解決し、設計・製作・維持管理が容易且つコンパクトで、コストが低廉であり、確実且つ安定的な作動によって自動的に放出流体の放出口を移動させて均一な流体散布を可能とし、その放出流体そのものを放出口移動用の駆動流体として利用して流体供給配管を簡素化し且つ駆動流体の無駄な廃棄をなくし、運転操作の全行程にわたる完全自動化ができる流体放出装置を得ることを目的とする。又、この流体放出装置を使用して、容易且つ経済的に自動制御できる管路システムを得る事を目的とする。
発明の開示
前記目的を達成するため、本発明の構成は、入口流路が流体供給管路に接続され少なくとも1つの放出口から該流体を放出する装置であって、シリンダー内を往復動するピストンによって該放出口を駆動する駆動装置と、該ピストンの往復動と連係作動して該ピストン前後の各シリンダー室を該入口流路と該放出口の内の少なくとも1つに選択的に切替え連通させるパイロット装置とを備え、該シリンダー内を経由した流体が該放出口から放出される構造に構成されたことを特徴としている。
本発明においては、前記ピストンの往動行程において、前記シリンダー室の内の一方が前記入口流路に連通され、ピストンを挟んで反対側のシリンダー室が前記放出口に連通されるよう構成されてもよい。
又、前記ピストンの復帰動行程において、往動行程中に前記入口流路に連通されていたシリンダー室が前記放出口に連通され、ピストンを挟んで反対側のシリンダー室が前記入口流路に連通されるよう構成されてもよい。
又、前記ピストンの復帰動行程において、前記シリンダー室の両方が共に前記入口流路にも前記放出口にも連通され、別途に設けられた付勢力手段によって前記ピストンが復帰動するよう構成されてもよい。
又、前記の連通する流路中の少なくとも1箇所に流量調節手段が介設されてもよい。
又、前記駆動装置から前記放出口への駆動力伝達部に、運動の拡幅機構、倍力機構、変速機構、速度調節機構、逆転機構、変向機構、間欠運動機構、早戻り機構、緩衝機構、制動機構の内の少なくとも1つが介設されてもよい。
又、前記放出口にスプリンクラーが付設されてもよい。
本発明のもう一つの構成は、流体供給管路において、少なくとも1つの管路端末に前記のいずれかの流体放出装置が付設されたことを特徴としている。
本発明においては、液体を通した後に気体を通そうとすると管路を遮断する弁装置が介設されてもよい。
これらの構成によって、本発明においては、確実且つ安定的な作動によって自動的に放出流体の放出口を移動させて均一な流体散布を可能とし、その放出流体そのものを放出口移動用の駆動流体として利用して流体供給配管を簡素化し且つ駆動流体の無駄な廃棄をなくし、運転操作の全行程にわたる完全自動化ができる流体放出装置及び管路システムを得たものである。
発明を実施するための最良の形態
以下、実施例を示した図面に基づき本発明をより詳細に説明する。なお、各図において共通する部分には共通の図面符号を付してある。
第1図は、本発明の流体放出装置Aの第1実施例を示したものである。本装置の入口流路aは管路を介して流体の供給元に接続され、出口流路bは放出口E例えばスプリンクラーに接続される。
駆動装置Bの容器の内部にはシリンダー1が形成され、そのシリンダー1内にピストン2がシール部2sを介して滑動自在に収容されている。シリンダー1内を往復動するピストン2には、シリンダー1の蓋部を密封的に貫通するロッド3が固着され、そのロッド3の延設された一端は駆動力伝達機構Dを介して放出口Eに連結され、放出口Eを往復駆動する。ピストン2を挟んで形成されるシリンダー室e1;e2は、夫々連通路を介してパイロット装置Cに連通されている。
パイロット装置Cは、ピストン2の往復動と連係作動して各シリンダー室e1;e2を入口流路aと放出口Eの内の少なくとも1つに選択的に切替え連通させる構造になっている。本実施例においては、パイロット装置Cは、室f1;f2;f3;f4;f5;f6;f7;f8を有する容器11を密封的に貫通するロッド16;17に装着された弁体12;13;14;15が、対応する弁座開口部を開閉するように構成され、ロッド16;17は、連動係合部31を介してピストン2の往復動と連係作動する。その流路選択の仕組みは、まずピストン2の往動行程(図中の上方向)において、シリンダー室e1が入口流路aに連通され、シリンダー室e2が放出口Eに連通され、そして、ピストン2の復帰動行程(図中の下方向)においては、往動行程中に入口流路aに連通されていたシリンダー室e1が今度は放出口Eに連通され、その反対側のシリンダー室e2が今度は入口流路aに連通されるようになっている。なお、図示例においては、パイロット装置Cは上下2つの容器11;11に分割してあるが、これは一体の容器にしてもよいことは言うまでもない。
連動係合部31に介設されている付勢力手段32は、連動係合部31の当接時に弾性を持たせることによって連係作動を確実にするためのものである。即ち、パイロット装置Cの弁体12;13;14;15は、一旦閉鎖されればその前後の圧力差によって対応する弁座に吸い付くので、これら弁体の往復範囲のいずれか一端に片寄せされる傾向にあり、この付勢力手段32が、ピストン2からの作用力を蓄積して所定限度を超えた時に初めてパイロット装置Cを反転させるという、一種のトグルスイッチの役割を果たすものである。但し、この付勢力がなくとも一応のパイロット作動は行うので、付勢力手段32は省略可能である。
駆動装置Bから放出口Eへの駆動力伝達機構Dには、運動の拡幅機構、倍力機構、変速機構、速度調節機構、逆転機構、変向機構、間欠運動機構、早戻り機構、緩衝機構、制動機構等を適宜に介設することによって、放出口Eの運動形態を各種変化させることができ、本実施例においてはその一例として、パンタグラフ形式の拡幅機構によってピストン2の運動幅を放出口Eに拡大して伝え、放出口Eを大きく動かすようにしたものが例示されている。
放出口Eの先端には、その放出の形態に合わせてスプリンクラー、有孔パイプ、ノズル等を付設してよく、本実施例においてはその一例としてスプリンクラーが付設されたものが例示されている。
本発明の作動態様について、第1図に基づいて説明する。
ピストン2とパイロット装置Cの各弁体が当初位置にある状態(図中の下降しきった状態)で管路から流体供給を開始すると、流体は、弁体12が開弁しているため入口流路a→室f1→室f2→連通路p1の経路を経てシリンダー室e1に流入するが、その流体は弁体13が閉鎖しているため室f3を経て漏れ出ることはできず、シリンダー室e1内の圧力が上昇してピストン2が往動行程(図中の上方向)を開始する。一方、シリンダー室e2内の流体は、ピストン2に押されるが、その流体は弁体15が閉鎖しているため室f8を経て漏れ出ることはできず、弁体14の開弁によって通過可能な室f5→室f6→出口流路bを経て放出口Eに向け押し出される。この過程中、放出口Eはピストン2及び駆動力伝達機構Dによって上昇しながら流体を放出する。
このピストン2の往動行程に伴いロッド3が上昇して行くと、付勢力手段32が、ピストン2からの作用力を蓄積し、やがて所定限度を超えると連動係合部31がパイロット装置Cのロッド16;17を図中の上方向に押して反転させる。
すると、管路からの供給流体は、弁体15が開弁しているため入口流路a→室f8→室f7→連通路p2の経路を経てシリンダー室e2に流入するが、その流体は弁体14が閉鎖しているため室f6を経て漏れ出ることはできず、シリンダー室e2内の圧力が上昇してピストン2が復帰動行程(図中の下方向)を開始する。一方、シリンダー室e1内の流体は、ピストン2に押されるが、その流体は弁体12が閉鎖しているため室f1を経て漏れ出ることはできず、弁体13の開弁によって通過可能な室f4→室f3→出口流路bを経て放出口Eに向け押し出される。この過程中、放出口Eはピストン2及び駆動力伝達機構Dによって下降しながら流体を放出する。
このピストン2の復帰動行程に伴いロッド3が下降して行くと、付勢力手段32が、ピストン2からの作用力を蓄積し、やがて所定限度を超えると連動係合部31がパイロット装置Cのロッド16;17を図中の下方向に押して反転させる。そして再び前記のピストン2の往動行程を開始し、以後これらの作動を繰り返すものである。
なお、連通路p1;p2中に介設されている流量調節手段41;42によって、ピストン2の往復動の速度を調節でき、流量調節手段41を絞ればピストン2の往動行程が遅くなり、流量調節手段42を絞ればピストン2の復帰動行程が遅くなる。
以上の一連の作動は全て自動的に且つ確実に行われ、運転者は流体の供給元での運転操作をすれば事足りるので、個々の放出口Eについては直接操作も遠隔操作も一切不要であり、運転操作の全行程にわたる完全自動化ができ、極めて便利である。又、供給流体はシリンダー1内のピストン2を往復動させ、そのシリンダー1を経由した流体が放出口Eから放出されるので、本装置への流体供給配管は本来放出するべき流体の配管一本で済み、放出口Eの駆動のための作用流体を別途供給する必要もその後別途廃棄する必要もなく、勿論電源も不要であり、標準化が容易で低廉なコストで製作できるという格別の利点がある。
第2図は、本発明の第2実施例を示したものであり、第1実施例のものにおけるパイロット装置Cの室f3;f6から放出口への連通路を一本にまとめる代わりに、それぞれ出口流路b1;b2を経て放出口E1;E2に向け連通するようにしたものである。この場合、放出口E1;E2に例えば放出角度の異なるスプリンクラーを設けるなどして、流体放出の態様をより多様化させることができる。
その他の構成及び作動態様は第1実施例と同様なので詳説は省略する。
第3図は、本発明の第3実施例を示したものであり、第1実施例のものにおけるパイロット装置C内の各室や各弁体の配置を変更して一体の容器11に収納したものである。この変更に伴って、ピストン2とパイロット装置Cの連動係合部31も、反転レバーを介して第1実施例のものとは逆方向に作用する形式のものに変更されている。この第3実施例においても第2実施例と同様に、パイロット装置Cの室f3;f6から放出口への連通路を一本にまとめる代わりに、2つの放出口を設けてそれぞれに連通することもできる。
なお、本図中には、入口流路aと出口流路bの間にバイパス連通路p3を設け、その連通路p3中に介設した流量調節手段43を調節する方法によっても、ピストン2の往復動の速度を調節できることを例示した。この流量調節手段43を開けばピストン2の往動行程、復帰動行程共に遅くなる。
その他の構成及び作動態様は第1実施例及び第2実施例と同様なので詳説は省略する。
第4図は、本発明の第4実施例を示したものであり、第3実施例のものにおけるパイロット装置Cの構成を簡略化しながらピストン2の往復動を実現するものである。ピストン2の往動行程においては、第3実施例のものと同様にシリンダー室e1が入口流路aに連通され、その反対側のシリンダー室e2が放出口Eに連通されるが、ピストン2の復帰動行程においては、シリンダー室e1;e2の両方が共に入口流路aにも放出口Eにも連通され、別途に設けられた付勢力手段4によってピストン2が復帰動する仕組みとなっている。
本実施例においては、パイロット装置Cは、室g1;g2を有する容器11を密封的に貫通するロッド16に装着された1つの弁体21が、対応する弁座開口部を開閉するように構成され、ロッド16は連動係合部31を介してピストン2の往復動と連係作動する。その流路選択の仕組みは、まずピストン2の往動行程(図中の上方向)において、シリンダー室e1が入口流路aに連通され、シリンダー室e2が放出口Eに連通され、そして、ピストン2の復帰動行程(図中の下方向)においては、弁体21の開弁によってシリンダー室e1;e2及び室g1;g2の全てがほぼ同じ内圧力となり、ピストン2前後の圧力差が消失し、従ってピストン2は付勢力手段4(図中のばね)の力によって復帰動し、同時に、それらシリンダー室e1;e2は放出口Eに連通されるようになっている。
その作動態様について、第4図に基づいて説明する。
ピストン2とパイロット装置Cの弁体21が当初位置にある状態(図中でピストン2が下降しきっており、それにつれて弁体21が持ち上げられ閉鎖している状態)で管路から流体供給を開始すると、流体は入口流路a→室g1→連通路p6の経路を経てシリンダー室e1に流入するが、その流体は弁体21が閉鎖しているため室g2を経て漏れ出ることはできず、シリンダー室e1内の圧力が上昇してピストン2が往動行程(図中の上方向)を開始する。一方、シリンダー室e2内の流体は、ピストン2に押されるが、その流体は弁体21が閉鎖しているため室g1を経て漏れ出ることはできず、通過可能な出口流路bを経て放出口Eに向け押し出される。この過程中、放出口Eはピストン2及び駆動力伝達機構Dによって上昇しながら流体を放出する。又、パイロット装置Cの弁体21は、室g1;g2の圧力差によって弁座に吸い付き閉鎖した状態を維持する。
このピストン2の往動行程に伴いロッド3が上昇して行くと、付勢力手段32が、ピストン2からの作用力を蓄積し、やがて所定限度を超えると連動係合部31がパイロット装置Cのロッド16を図中の下方向に押して反転させ、弁体21の弁座への吸い付きを解除し、弁体21はその自重及び付勢力手段18(図中の重錘)の力によって開弁する。
すると、管路からの供給流体は、弁体21が開弁しているため、シリンダー室e1のみならず室g1→室g2→連通路p5の経路を経てシリンダー室e2にも流入し、シリンダー室e1;e2及び室g1;g2の全てがほぼ同じ内圧力となる。このため、ピストン2前後の圧力差が消失し、従って、ピストン2は前後の圧力差によることなく、むしろ付勢力手段4(図中のばね)の力によって復帰動行程(図中の下方向)を開始する。シリンダー室e1内の流体は、弁体21の開弁によって通過可能な室g1→室g2→連通路p5を経て、シリンダー室e2内の流体と合流し、共に出口流路bを経て放出口Eに向け流れ出る。この過程中、放出口Eはピストン2及び駆動力伝達機構Dによって下降しながら流体を放出する。
このピストン2の復帰動行程に伴いロッド3が下降して行くと、付勢力手段32が、ピストン2からの作用力を蓄積し、やがて所定限度を超えると連動係合部31がパイロット装置Cのロッド16を図中の上方向に押して反転させる。そして再び前記のピストン2の往動行程を開始し、以後これらの作動を繰り返すものである。
なお、連通路p4;p5中に介設されている流量調節手段44;45によって、ピストン2の往復動の速度を調節でき、流量調節手段44を開けばピストン2の往動行程が遅くなり、流量調節手段45を絞ればピストン2の復帰動行程が遅くなる。
又、ピストン2の付勢力手段4については、ばねを装着する代わりに所定の自重を持たせたままにしたり、あるいは重錘を装着しておく方法もあり、弁体21の付勢力手段18については、重錘を装着する代わりに所定の自重を持たせたままにしたり、あるいはばねを装着しておく方法もある。
以上のように、本実施例のものは、第3実施例の場合と同様に一連の作動が全て自動的に且つ確実に行われ、運転者は流体の供給元での運転操作をすれば事足りるので、個々の放出口Eについては直接操作も遠隔操作も一切不要であり、運転操作の全行程にわたる完全自動化ができる。又、供給流体はシリンダー1を経由して放出口Eから放出されるので、本装置への流体供給配管は本来放出するべき流体の配管一本で済み、放出口Eの駆動のための作用流体を別途供給する必要もその後別途廃棄する必要もなく、勿論電源も不要であり、標準化が容易で低廉なコストで製作できるという格別の利点がある。
その他の構成及び作動態様は第3実施例と同様なので詳説は省略する。
第5図は、本発明の第5実施例を示したものであり、第4実施例のものにおけるピストン2の作動方向を反対方向にしたものである。それに伴って、パイロット装置Cとの配管が変更され、連動係合部31も第1実施例の形式のものに変更され、更に、駆動装置Bから放出口Eへの駆動力伝達機構Dについても、パンタグラフへの作用力を与える支点を第4実施例のものから変更して作用方向を逆転させたものが例示されている。
その他の構成及び作動態様は第4実施例と同様なので詳説は省略する。
第6図は、本発明の第6実施例を示したものであり、第4実施例のもののパイロット装置Cを駆動装置Bのピストン2上に装着し、コンパクト化を図った例である。
本実施例においては、ピストン2とパイロット装置Cとの連係は、パイロット装置Cのロッド16がシリンダー1の上下の蓋に当接することにより行われる。ロッド16の両端に装着されているばね32は、第4実施例における連動係合部31の付勢力手段32に相当するもので、該当接時には、このばね32がピストン2からの作用力を蓄積して所定限度を超えた時に初めて急激にロッド16を動かすことによって、パイロット装置Cの弁体21を弁座への吸付き及び離間の状態に二者択一させ、作動を明確にするという、一種のトグルスイッチの役割を果たす。
なお、パイロット装置Cの室g2からシリンダー室e2への連通路p5を一旦シリンダー1の外部に出し再びシリンダー室e2に連通しているのは、流量調節手段45の操作を外部から可能とするためである。
その他の構成及び作動態様は第4実施例と同様なので詳説は省略する。
第7図は、本発明の第7実施例を示したものであり、第6実施例のもののパイロット装置Cの室g2からシリンダー室e2への連通配管を省略してそのままシリンダー室e2内に開放することによって、更に構造を簡略化した例である。この場合も、単純に開放する代わりに流量調節手段45を備えておく方が、軽度の分解によって調節が可能となるので好ましい。
その他の構成及び作動態様は第6実施例と同様なので詳説は省略する。
第8図は、本発明の第8実施例を示したものであり、本発明の装置の典型的な外観を例示すると共に、駆動装置Bから放出口Eへの配管の様子などを例示したものである。駆動力伝達機構Dとして例示されているパンタグラフは、図示のような複列のもののほかにも、単列にしたり、蛇腹と組み合わせるなど、各種のものが周知であり、適宜に選択してよい。
その他の構成及び作動態様は前記各実施例と同様なので詳説は省略する。
第9図は、本発明の第9実施例で、駆動装置Bから放出口Eへの駆動力伝達機構Dの一例として、プーリー52とワイヤー53を介して放出口Eの支持部材51を駆動する例を示し、又、第10図は本発明の第10実施例で、駆動力伝達機構Dのその他の一例として、ラック・ピニオンによって回転力に変換した後、可撓性のある線材55をドラム54から巻き出したり巻き戻すことによって放出口Eの支持部材51を駆動する例を示したものである。両実施例共に支持部材51を望遠鏡のように多重な入れ子式にしたものを例示したが、プーリー、ギヤー、レバー等を組み合わせることによって更に運動を拡幅したり、支持部材51の入れ子の数を増やして更に大きく伸縮させることもできる。このほかにも、支持部材51の運動機構としては、既述のパンタグラフやその他の伸縮アームなど各種のものが周知であり、使用条件に応じて適宜に適用すればよいので、これ以上の一々の例示は省略する。
なお、これら第9、第10実施例の駆動装署Bについては、ピストン2の作動方向を第7実施例のものとは反対方向にしたものが例示してある。それに伴って、パイロット装置Cの弁体21の作動方向も第7実施例のものから逆転させてあり、そのため、弁体21と対応する弁座との間にばねを装着して、弁体21を常に開弁方向に付勢してある。
又、図示は省略したが、入口流路aと出口流路bの間にバイパス連通路を設け、そのバイパス流量を調節することによってピストン2の往復動の速度を調節できることは前記各実施例と同様である。
その他の構成及び作動態様は前記各実施例と同様なので詳説は省略する。
第11図は、本発明の第11実施例を示したものであり、第7実施例のもののピストン2そのものを入れ子式とし、放出口Eの支持部材を兼ねるようにしたものである。この場合、隔壁部材2が第7実施例のピストン2に相当し、室e1、及び連通路p7や連通孔によって互いに連通された室e2が第7実施例のシリンダー室e1;e2にそれぞれ相当し、パイロット装置Cの弁体21と駆動装置Bの底部との間に張設されたワイヤー31、及び弁体21の外縁部と駆動装置Bの底部との当接点31が第7実施例の連動係合部31に相当する。
隔壁部材2の往動行程(図中の上方向)においては、相互にシール部2sによってシールされた入れ子式の隔壁部材2が室e1の内圧力によって上昇伸展するにつれて、室e2の容積が縮小し内圧力が上昇して内部流体が放出口Eに向け押し出され、往動行程の終端にて、パイロット装置Cの弁体21が伸びきったワイヤー31によって弁座への吸付きを引き剥がされた時点から、室e1;e2と放出口Eが全て連通し、別途に設けられた付勢力手段(本実施例においては隔壁部材2の自重)によって隔壁部材2の復帰動行程が開始し、室e1内の流体がそのまま室e2を経て放出口Eに向け流出する。このようにして、第7実施例と同様の作動を行うものである。なお、ワイヤー31のたるみを防ぐテンショナーを設けておけば更に好ましい。
その他の構成及び作動態様は第7実施例と同様なので詳説は省略する。
第12図は、本発明の第12実施例を示したものであり、第11実施例のものの入れ子式の隔壁部材2のシール部2sを簡略化したものである。本実施例においては、室e2は隔壁部材2の往動行程において容積が縮小することはないので、流体は隔壁部材2の往動行程においては放出口Eから流出せず、復帰動行程においてのみ流出することとなる。
その他の構成及び作動態様は第11実施例と同様なので詳説は省略する。
第13図は、本発明の流体放出装置を組み込んだ新規な管路システムの一実施例として、畑地かんがいに適用した一例を示したものであり、管路81の各端末には本発明の流体放出装置Aが設置され、その放出口が自動的に昇降しながら液体を散布するようになっている。
又、本実施例においては、畑地かんがいにおける更に高度な使い方の一例として、液体を通した後に気体を通そうとすると管路を遮断する弁装置F(以下、便宜上「液開気閉弁」と称する。)を介設して、薬液の散布運転後に管路81内の残留液を圧縮空気によって押し出し完全散布する管路システムが図示されている。
この液開気閉弁Fの役割とは、薬液の散布が終了した時点で、供給元を送液から送気に切り替えて圧縮空気を管路81内に圧入し、残留液を一斉に各流体放出装置Aから噴出させると、残留液が噴出し終わった流体放出装置Aについては、液開気閉弁Fが閉鎖作動して空気噴出が自動的に停止し、空気圧のロスを防ぐというものである。これに使用される液開気閉弁としては、国際出願PCT/JP01/03762に記載のものが好ましい。又、その介設位置は、図示のような流体放出装置Aの入口流路側でもよいが、流体放出装置Aの出口流路側即ち放出口の直前に介設する方法もある。
本実施例の管路システムにおいては、送水ポンプ61等からなる送水ユニット、貯液タンク62や混入器63等からなる薬液混入ユニット、コンプレッサー66や圧力タンク67等からなる送気ユニット、開閉弁64;68や逆止弁65;69等からなる送液・送気切り替えユニット、大気開放用の開閉弁70、そして、管路81の各端末の液開気閉弁F及び流体放出装置Aを備えており、この送液・送気切り替え用の開閉弁64;68及び大気開放用の開閉弁70を操作・制御することによって、管路81の各端末の液開気閉弁Fが自動的に応動するので、送液散布から残留液の完全散布までの一連の運転が供給元での操作・制御のみで行える。
具体的な操作手順は、例えば薬液を散布する場合には、当初状態→送液散布→送液停止→送気により残留液の完全散布→送気停止→大気開放弁の開放により液開気閉弁Fを当初状態に復帰→大気開放弁の閉止となる。水を散布する場合もこれと同じ手順を繰り返せばよい。そうすることによって、薬液の無駄が防止できるのみならず、水と薬液とを明確に仕分けて散布できるので、水や薬液の管路内残留分が混じることによる悪影響(双方が混じって効果が薄れたり、一方が他方を洗い流してしまう等)を防止することもでき、極めて有用である。なお、前記操作手順は一例であって、この手順に限定する必要はないことは言うまでもない。
この管路システムの運転者は、送液・送気の供給元において運転操作をすればよく、管路端末の流体放出装置Aと液開気閉弁Fについては直接操作も遠隔操作も一切不要であり、従って、そのための制御管路や制御配線も一切不要であり、容易且つ経済的に集中制御ができる管路システムである。又、各開閉弁64;68;70は、手動操作の代わりにアクチュエーター等を付設して自動化することもでき、更に、それらの操作手順を、タイマー制御やシークエンス制御を行う制御装置71によって自動制御させ、全行程を完全自動化することもできる。
なお、使用条件に応じて管路の途中に流量や圧力の自動調整弁、排気弁、安全弁、逆止弁、ストレーナー、各種計器や制御機器を介設してもよい。又、送水ユニットや送気ユニット等の動力として、エンジンを用いたり、自動車やトラクター等の車両の動力に接続したり、それらのユニット全体を車両に積載して移動可能にしたりすることによって、電源のない場所での運転操作を行うこともできる。
次に、各実施例に共通の技術事項について説明する。
付勢力手段4;18;32に使用される付勢部材については、圧縮ばねや引っ張りばねを適宜に選択してよく、又、同じ作用をするものであればその形式は問わず、コイルばねの代わりに他の形式のばねや弾性部材を用いてもよいし、ばねケースに収納してもよい。又、付勢力として、部材の自重を利用したり、重錘を装着したり、気圧、液圧装置等を適用してもよいし、倍力機構を付加してもよい。その取付け位置も図示の位置に限る必要はないことは言うまでもない。
なお、図示は省略したが、これら付勢力手段4;18;32の付勢力を調節可能にすれば、使用条件に応じて微細な設定も可能となり好都合である。その方法は、調節ねじを用いる方法など周知であるから詳説は省略する。
ピストン2とシリンダー1の滑動部分や弁体12;13;14;15;21の閉鎖部分などの密封性を要する箇所に装着されるシール部材については、使用条件に応じて適宜にOリング、パッキン、シールリング、ダイヤフラム、ベローズ等を適用したり、その他の弾性部材を装着したりしてよく、又、直接接触により良好な密封性を保持できる場合は、該シール部材を省略してもよい。
本発明の流体放出装置及び管路システムの各構成要素の組合せ、配列関係、取付け位置については、図示例に限定する必要はなく、適宜に設計上の選択をすることができる。
放出口Eの運動方向についても、各実施例に図示した上下方向に限定する必要はなく、左右方向や回転方向など使用条件に応じて適宜に設計してよい。
又、放出口Eの先端には、その放出の形態に合わせてスプリンクラー、有孔パイプ、ノズル等を付設してよく、中でも、広範囲にわたって均一な流体散布を行う場合には、射出方向を自動的に変化させる自動スプリンクラー装置等を付設するのが好ましい。
なお、本発明の実施用途については、畑地かんがいを典型的な適用例として説明したが、工業用、家庭用その他の分野にも適用可能なものであり、本発明の実施用途を前記の適用例に限定するものではない。
そのほかにも、本発明の趣旨の範囲内で種々設計変更が可能であり、又、各構成要素にわたり従来技術の援用が可能であり、本発明を前記の各実施例に限定するものではない。
産業上の利用可能性
本発明はこのように、簡潔で合理的な構造によって、設計・製作・維持管理が容易且つコンパクトで、コストが低廉であり、確実且つ安定的な作動によって自動的に放出流体の放出口を移動させて均一な流体散布を可能とし、その放出流体そのものを放出口移動用の駆動流体として利用して流体供給配管を簡素化し且つ駆動流体の無駄な廃棄をなくし、運転操作の全行程にわたる完全自動化ができる流体放出装置を得たものである。又、この流体放出装置を使用して、容易且つ経済的に自動制御できる管路システムを得たものである。従って、本発明は顕著な実施効果を上げるものである。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の流体放出装置の第1実施例の縦断面図(一部正面図)である。
第2図は、本発明の流体放出装置の第2実施例の縦断面図(一部正面図)である。
第3図は、本発明の流体放出装置の第3実施例の縦断面図(一部正面図)である。
第4図は、本発明の流体放出装置の第4実施例の縦断面図(一部正面図)である。
第5図は、本発明の流体放出装置の第5実施例の縦断面図(一部正面図)である。
第6図は、本発明の流体放出装置の第6実施例の要部縦断面図(一部正面図)である。
第7図は、本発明の流体放出装置の第7実施例の要部縦断面図(一部正面図)である。
第8図は、本発明の流体放出装置の第8実施例の斜視図である。
第9図は、本発明の流体放出装置の第9実施例の縦断面図(一部正面図)である。
第10図は、本発明の流体放出装置の第10実施例の縦断面図(一部正面図)である。
第11図は、本発明の流体放出装置の第11実施例の縦断面図(一部正面図)である。
第12図は、本発明の流体放出装置の第12実施例の縦断面図(一部正面図)である。
第13図は、本発明の管路システムの実施例の説明図である。
Claims (6)
- 入口流路が流体供給管路に接続され少なくとも1つの放出口から該流体を放出する装置であって、シリンダー内を往復動するピストンによって該放出口を駆動する駆動装置と、該ピストンの往復動と連係作動して該ピストン前後の各シリンダー室を該入口流路と該放出口の内の少なくとも1つに選択的に切替え連通させるパイロット装置とを備え、該シリンダー内を経由した流体が該放出口から放出される構造に構成され、
前記ピストンの往動行程において、前記シリンダー室の内の一方が前記入口流路に連通され、ピストンを挟んで反対側のシリンダー室が前記放出口に連通され、
前記ピストンの復帰動行程において、前記シリンダー室の両方が共に前記入口流路にも前記放出口にも連通され、別途に設けられた付勢力手段によって前記ピストンが復帰動することを特徴とする流体放出装置。 - 前記の連通する流路中の少なくとも1箇所に流量調節手段が介設されたことを特徴とする、請求の範囲第1項に記載の流体放出装置。
- 前記駆動装置から前記放出口への駆動力伝達部に、運動の拡幅機構、倍力機構、変速機構、速度調節機構、逆転機構、変向機構、間欠運動機構、早戻り機構、緩衝機構、制動機構の内の少なくとも1つが介設されたことを特徴とする、請求の範囲第1項又は第2項に記載の流体放出装置。
- 前記放出口にスプリンクラーが付設されたことを特徴とする、請求の範囲第1項〜第3項のいずれかに記載の流体放出装置。
- 流体供給管路において、少なくとも1つの管路端末に請求の範囲第1項〜第4項のいずれかに記載の流体放出装置が付設されたことを特徴とする管路システム。
- 液体を通した後に気体を通そうとすると管路を遮断する弁装置が介設されたことを特徴とする、請求の範囲第5項に記載の管路システム。
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