以下、本発明を具体化した実施例1、2を図面を参照しつつ説明する。
(実施例1)
図1及び図2に示すように、実施例1の車両用ドアロック装置1(以下、単に「ドアロック装置1」と呼ぶ。)は、本発明の車両用ドアロック装置の具体的態様の一例である。ドアロック装置1は、図示は省略するが、自動車、バス、産業車両等の車両の車体に対して開閉可能なドアに固定されている。そして、ドアロック装置1は、車体に固定されたストライカを保持することによって、車体に対してドアを閉じた状態で保持可能である。
図1及び図2では、車体の左側面に設けられたドアの後端側の内部に配設されたドアロック装置1を図示している。なお、ドアロック装置1が車体の右側面に設けられたドアの後端側の内部に配設される場合には、勝手違いになるだけである。さらに、ドアロック装置1は、テールゲート等にも設けられ得る。
図1及び図2に示す前後方向及び上下方向は、車両の前後方向及び上下方向を基準としている。また、図1及び図2に示す車両内外方向は、車両の車室内に搭乗する者を基準として、車両の左側面側を車両外側とし、その反対側を車両内側としている。図3以降に示す前後方向、上下方向及び車両内外方向は、図1及び図2に対応させて表示している。
図1に示すように、ドアロック装置1が固定された図示しないドアの外面には、外側ドアハンドルH1及びキーシリンダH2が配設されている。ドアの車室内に露出する内面には、室内ロックノブH3及び内側ドアハンドルH4が配設されている。
外側ドアハンドルH1には、伝達ロッドC1の上端部が連結されている。ドアロック装置1は、ドアの内部において外側ドアハンドルH1よりも下方に配設されている。伝達ロッドC1の下端部は、ドアロック装置1のO/Sオープンレバー20に連結されている。
キーシリンダH2は、ドアロック装置1の上端部に回動可能に設けられたキーシリンダ保持部C2Aに一体回転可能に保持されている。図2に示すように、キーシリンダ保持部C2Aには、リンクロッドC2Bの上端部が連結されている。リンクロッドC2Bの下端部は、リンクレバーC2Cを介し、図4等を示して後述するO/Sロックレバー30に接続されている。
図1に示すように、室内ロックノブH3には、伝達ケーブルC3の一端部が接続されている。内側ドアハンドルH4には、伝達ケーブルC4の一端部が接続されている。図2に示すように、伝達ケーブルC3の他端部は、ドアロック装置1内に引き込まれており、図4等を示して後述するI/Sロックレバー35に接続されている。伝達ケーブルC4の他端部は、ドアロック装置1内に引き込まれており、図4等を示して後述するI/Sオープンレバー25に接続されている。
ドアロック装置1は、図1〜図3に示すラッチハウジング9と、図1、図2及び図4〜図7に示す作動ハウジング7とを備えている。図1及び図2に示すように、作動ハウジング7は、ラッチハウジング9に組み付けられている。ラッチハウジング9及び作動ハウジング7は、本発明の「ハウジング」の一例である。
図5〜図7等に示すように、作動ハウジング7は、それぞれ樹脂製である第1ハウジング70及び第2ハウジング80を有している。図6に示すように、第1ハウジング70は、第1基壁部71と、第1基壁部71を囲む第1周縁部73とを有している。図7に示すように、第2ハウジング80は、第2基壁部81と、第2基壁部81を囲む第2周縁部83とを有している。第1基壁部71と第2基壁部81とが対向し、第1周縁部73と、第2周縁部83とが溶着されることによって、第2ハウジング80が第1ハウジング70に組み付けられ、作動ハウジング7の内部に、収納室7Aが形成されている。収納室7A内には、図4、図5及び図8〜図14に示す作動機構6が収納されている。
図3に示すように、ラッチハウジング9は、樹脂製である第3ハウジング90と、それぞれ鋼板製であるベースプレート99及びバックプレート98とを有している。第3ハウジング90にフォーク揺動軸11S及びポール揺動軸12Sを挿通し、第3ハウジング90の後方にベースプレート99を配置し、第3ハウジング90の前方にバックプレート98を配置する。そして、フォーク揺動軸11S及びポール揺動軸12Sのそれぞれの後端部をベースプレート99に加締め固定し、フォーク揺動軸11S及びポール揺動軸12Sのそれぞれの前端部をバックプレート98に加締め固定することによって、ラッチハウジング9の内部に、ラッチ室9Aが形成されている。ラッチ室9Aには、図2、図3及び図10〜図13に示すラッチ機構8が収納されている。
図4〜図6に示すように、第1ハウジング70には、2本の支持部76P、76Qが形成されている。支持部76Pは、第1ハウジング70の第1周縁部73における後方、かつ上方の端部の近傍で、第1基壁部71に凸設されている。支持部76Qは、第1ハウジング70の第1周縁部73における後方、かつ下方の端部の近傍で、第1基壁部71に凸設されている。支持部76P、76Qは、第2ハウジング80の第2基壁部81に向かって延びている。
図3に示すように、第3ハウジング90には、2つの挿通孔96P、96Qが形成されている。挿通孔96Pは、第3ハウジング90の上端側で、車両内外方向に貫設されている。挿通孔96Qは、第3ハウジング90の下端側で、車両内外方向に貫設されている。
図7に示すように、第2ハウジング80には、2つの抜止部位86P、86Qが凹設されている。抜止部位86Pは、第2ハウジング80の第2周縁部83における後方、かつ上方の端部の近傍に凹設されている。抜止部位86Pは、支持部76Pの先端部と整合している。抜止部位86Qは、第2ハウジング80の第2周縁部83における後方、かつ下方の端部の近傍に凹設されている。抜止部位86Qは、支持部76Qの先端部と整合している。
第2ハウジング80が第1ハウジング70に組み付けられる前に、第3ハウジング90を第1ハウジング70に仮り組みする。この際、図6等に示すように、第1ハウジング70には、第1基壁部71の後端部に、ガイド溝71Jが凹設されている。図3に示すように、第3ハウジング90の車両外側、かつ上方の端面には、リブ90Jが凸設されている。そして、ガイド溝71Jによってリブ90Jを案内させながら、第3ハウジング90を第1ハウジング70に接近させることにより、第3ハウジング90が適正位置で第1ハウジング70に仮り組みされる。
その結果、第1ハウジング70の支持部76Pの中間部が第3ハウジング90の挿通孔96Pに挿通される。第1ハウジング70の支持部76Qの中間部が第3ハウジング90の挿通孔96Qに挿通される。
次に、第2ハウジング80が第1ハウジング70に組み付けられる際、第1ハウジング70の支持部76Pの先端部を第2ハウジング80の抜止部位86Pに嵌入させる。また、第1ハウジング70の支持部76Qの先端部を第2ハウジング80の抜止部位86Qに嵌入させる。そして、第1ハウジング70の第1周縁部73と、第2ハウジング80の第2周縁部83とを溶着することにより、第3ハウジング90が第1ハウジング70及び第2ハウジング80と接合される。
図2及び図3に示すように、ベースプレート99には、複数の固定穴99Hと、進入口99Aとが形成されている。図示しない複数の止めネジがドアの後端面に挿通され、さらに、ベースプレート99の各固定穴99Hに捩じ込まれることによって、ドアロック装置1は、進入口99Aをドアの後端面に露出させた状態でドアに固定される。進入口99Aには、ドアの開閉に伴ってドアロック装置1が移動する際、車体に固定されたストライカが相対的に進入又は離脱する。
図3に示すように、ラッチ機構8は、フォーク11とポール12とを有している。フォーク11は、進入口99Aに対して上方に位置するフォーク揺動軸11Sに揺動可能に支持されている。フォーク揺動軸11Sには、捩じりコイルバネ11Tが装着されている。ポール12は、進入口99Aに対して下方に位置するポール揺動軸12Sに揺動可能に支持されている。ポール揺動軸12Sには、捩じりコイルバネ12Tが装着されている。
図10に示すように、フォーク11は、捩じりコイルバネ11Tにより、フォーク揺動軸11S周りでD11方向に揺動するように付勢されている。フォーク11の進入口99A側に位置する部位は、内側凸部11Aと外側凸部11Bとに分岐している。そして、内側凸部11Aと外側凸部11Bとの間に形成された切り欠き部11Cには、進入口99A内に進入したストライカS1が収まるようになっている。図10に示す状態では、フォーク11が進入口99Aの底部でストライカS1を保持している。内側凸部11Aのポール12に対面する先端側には、後述するストッパ面12Aと当接可能なラッチ面11Dが形成されている。
ポール12は、捩じりコイルバネ12Tにより、ポール揺動軸12S周りでD12方向に揺動するように付勢されて、図10に示す姿勢を保持している。
ポール12における進入口99Aの底部側に位置する部位には、ストッパ面12Aが形成されている。ストッパ面12Aは、上述のラッチ面11Dに対面するように形成されている。ストッパ面12Aを構成する円弧は、フォーク11側で途切れており、そこからポール揺動軸12S側に延びる摺動面12Cが形成されている。一方、ポール12におけるポール揺動軸12Sを挟んでストッパ面12Aとは反対側には、当接凸部12Bが形成されている。図3に示すように、当接凸部12Bは、前方に向かって柱状に突出している。図示は省略するが、当接凸部12Bの前端は、ラッチ室9Aから第3ハウジング90を通過して前向きに突出し、収納室7A内に進入している。
図10に示すように、ポール12は、フォーク11が進入口99Aの底部でストライカS1を保持した状態で、内側凸部11Aのラッチ面11Dにストッパ面12Aが当接することにより、フォーク11をD11方向に揺動させないように固定する。図10に示すフォーク11の位置は、進入口99A内にストライカS1を保持するラッチ位置である。
また、図11に示すように、後述する慣性レバー29がポール12の当接凸部12Bに当接して押し上げると、ポール12は、捩じりコイルバネ12Tの付勢力に抗しつつ、ポール揺動軸12S周りでD12方向とは逆方向に揺動する。この際、ストッパ面12Aがラッチ面11Dから離間するので、ポール12がフォーク11の揺動を開放する。そして、フォーク11が捩じりコイルバネ11Tの付勢力によりフォーク揺動軸11S周りでD11方向に揺動して、進入口99A内からストライカS1が離反することを許容するアンラッチ位置に変位する。
逆に、ストライカS1が進入口99A内に進入する場合、ストライカS1が外側凸部11Bを押すので、フォーク11がD11方向とは逆方向に揺動し、図11に示すアンラッチ位置から図10に示すラッチ位置に復帰する。この際、外側凸部11B及び内側凸部11Aの先端が順次、摺動面12Cに摺接する。そして、内側凸部11Aが摺動面12Cから離間すると、ポール12は、D12方向に揺動して、図10に示す元の姿勢に復帰する。このため、ストッパ面12Aがラッチ面11Dと当接し、ラッチ位置にあるフォーク11の揺動を固定する。その結果、ラッチ機構8は、車体に対してドアを閉じた状態で保持する。
図3及び図4に示すように、第3ハウジング90における収納室7A側の面の上部には、フォーク追従レバー59が揺動軸心X59周りに揺動可能に支持されている。フォーク追従レバー59の一端部には、略円柱状の受動凸部59Aが後方に突出するように形成されている。図3に示すように、第3ハウジング90には、受動凸部59Aをラッチ室9Aに進入させる開口部90Hが前後方向に貫設されている。図10〜図13に示すように、受動凸部59Aの先端部分は、ラッチ室9A内で、フォーク11の外周面に当接している。
図3及び図4に示すように、フォーク追従レバー59は、受動凸部59Aの先端部分を除いて収納室7A内に収納されている。フォーク追従レバー59の他端部には、作動凸部59B及び当接部58が形成されている。作動凸部59Bは、略円柱状に前向きに突出し、先端部分が半球状に丸められている。当接部58は、作動凸部59Bよりも揺動軸心X59から離れた位置で、略柱状に前向きに突出している。当接部58の下端面は、前後方向に略平坦に延びており、その下端面の中間部から凸部58Aが下向きに突出するように形成されている。
図10〜図13に示すように、ラッチ位置とアンラッチ位置との間で変位するフォーク11の外周面に受動凸部59Aが摺接することにより、フォーク追従レバー59は、フォーク11に連動して揺動し、ブロック位置とアンブロック位置とに変位する。
より詳しくは、図10、図12及び図13に示すように、フォーク11がラッチ位置に変位すると、受動凸部59Aがフォーク揺動軸11Sに接近するように下方に変位する。これにより、フォーク追従レバー59は、図4及び図9に示すアンブロック位置に変位し、当接部58を上方に変位させる。
その一方、図11に示すように、フォーク11がアンラッチ位置に変位すると、受動凸部59Aがフォーク揺動軸11Sから離間するように上方に変位する。これにより、フォーク追従レバー59は、図14に示すブロック位置に変位し、当接部58を下方に変位させる。
図4、図5、図8及び図9に示すように、作動機構6は、O/Sオープンレバー20、I/Sオープンレバー25、慣性レバー29、O/Sロックレバー30、I/Sロックレバー35、ロックレバー40、電動モータM1、ウォームホイール39、アジャSWレバー50、第1スイッチSW1、第2スイッチSW2、第3スイッチSW3及び複数の端子T1を有している。これらは、図1に示すように、O/Sオープンレバー20における作動ハウジング7の外部に突出する一端部と、図2に示すように、複数の端子T1におけるコネクタ80Cに突出する突端部とを除いて、収納室7A内に収納されている。上述したフォーク追従レバー59も作動機構6の一部を構成している。ロックレバー40は、本発明の「変位部材」の一例である。
図5及び図6に示すように、第1ハウジング70において、第1基壁部71における後方かつ下方の部位には、O/Sオープンレバー揺動軸20Sが後向きに凸設されている。
図4〜図6に示すように、第1ハウジング70の第1基壁部71における後方かつ下方の部位には、第1軸部75Pが形成されている。第1基壁部71における第1軸部75Pよりも前方の部位には、第2軸部75Qが形成されている。第1基壁部71の略中央に位置する部位には、第3軸部75Rが形成されている。第1軸部75P、第2軸部75Q及び第3軸部75Rはそれぞれ、第2ハウジング80の第2基壁部81に向かって延びている。
O/Sオープンレバー20は、O/Sオープンレバー揺動軸20Sに揺動可能に支持されている。図5に示すように、O/Sオープンレバー揺動軸20Sには、捩じりコイルバネ20Tが装着されている。図10に示すように、O/Sオープンレバー20は、捩じりコイルバネ20Tにより、O/Sオープンレバー揺動軸20S周りでD20方向に揺動するように付勢されている。
図1及び図10に示すように、O/Sオープンレバー20の一端部は、作動ハウジング7の外部に突出しており、その一端部に、伝達ロッドC1の下端部が連結されている。
図4及び図5に示すように、慣性レバー29は、前後方向に延びる揺動軸心X29周りで揺動可能にO/Sオープンレバー20の他端部20Bに支持されている。慣性レバー29は、図5に示す捩じりコイルバネ29Tにより、揺動軸心X29周りで図10に示すD29方向に揺動するように付勢されている。
外側ドアハンドルH1が開操作されて伝達ロッドC1が下降すると、図11に示すように、O/Sオープンレバー20の一端部が押し下げられて、O/Sオープンレバー20がD20方向とは逆方向に揺動し、慣性レバー29を上昇させる。
図4及び図5に示すように、I/Sオープンレバー25は、第1軸部75Pに揺動可能に支持されている。I/Sオープンレバー25における第1軸部75Pから下方に離間する一端部25Aには、図1及び図2に示す伝達ケーブルC4の他端部が連結されている。つまり、I/Sオープンレバー25は、伝達ケーブルC4を介して、内側ドアハンドルH4に連結されている。
図4及び図5に示すように、I/Sオープンレバー25の一端部25Aよりも上方の部位には、作用部25Bが形成されている。I/Sオープンレバー25は、内側ドアハンドルH4に対する開操作により、図4の紙面に向かって反時計方向に揺動する。これにより、作用部25BがO/Sオープンレバー20の他端部20Bを押し上げ、慣性レバー29を上昇させる。
図6に示すように、第1ハウジング70において、第1基壁部71における上方の部位には、アジャSWレバー揺動軸50Sが車両内側に向かって凸設されている。そして、アジャSWレバー揺動軸50Sの車両内側を向く端面から、アジャSWレバー揺動軸50Sよりも小径であるO/Sロックレバー揺動軸30Sが車両内側に向かって凸設されている。
図4、図5、図9及び図14に示すように、アジャSWレバー50は、アジャSWレバー揺動軸50Sに揺動可能に支持されている。アジャSWレバー50は、図5に示す捩じりコイルバネ50Tによって、図4等の紙面に向かって時計方向に付勢されている。
アジャSWレバー50は、入力部50A及び出力部50Bを有している。入力部50Aは、アジャSWレバー揺動軸50Sに対して後向きに離間するように突出している。入力部50Aには、フォーク追従レバー59の作動凸部59Bが連結されている。出力部50Bは、アジャSWレバー揺動軸50Sに対して前向き、かつ下向きに離間するように突出し、第1スイッチSW1の近傍まで延びている。
アジャSWレバー50は、フォーク追従レバー59に連動し、フォーク11がラッチ位置にあるか又はアンラッチ位置にあるかを検知して第1スイッチSW1を断接する。
より詳しくは、フォーク追従レバー59がアンラッチ位置に変位するフォーク11に追従して、図4及び図9に示す位置から図14に示す位置に揺動すると、作動凸部59Bによって、その揺動がアジャSWレバー50に伝達される。このため、アジャSWレバー50は、図4及び図9に示す位置から図14に示す位置に揺動して、第1スイッチSW1をONにする。図4及び図9に示すアジャSWレバー50の位置は、フォーク11のラッチ位置に対応する室内灯オフ位置である。図14に示すアジャSWレバー50の位置は、フォーク11のアンラッチ位置に対応する室内灯オン位置である。第1スイッチSW1のON/OFF信号は、車両の室内灯を点灯又は消灯するための制御に利用される。
図5に示すように、O/Sロックレバー30は、O/Sロックレバー揺動軸30Sに揺動可能に支持されている。図示は省略するが、O/Sロックレバー30には、O/Sロックレバー揺動軸30Sの外径よりも僅かに大きな内径に設定された軸穴が凹設され、その軸穴に図6に示すO/Sロックレバー揺動軸30Sを挿入させることで、O/Sロックレバー30がアジャSWレバー50に対して車両内側から隣接した状態になっている。つまり、アジャSWレバー50及びO/Sロックレバー30は、車両内外方向で積層されている。
図4及び図9に示すように、O/Sロックレバー30は、連結軸部30J、係合凹部30D及びスイッチ係合部30Aを有している。連結軸部30Jは、O/Sロックレバー30の車両内側を向く端面からO/Sロックレバー揺動軸30Sと同軸で車両内側に向かって突出している。係合凹部30Dは、O/Sロックレバー30におけるO/Sロックレバー揺動軸30Sよりも後方の部分に設けられ、O/Sロックレバー揺動軸30Sの径内方向に凹んでいる。スイッチ係合部30Aは、O/Sロックレバー30におけるO/Sロックレバー揺動軸30Sよりも前方の部分に設けられ、第2スイッチSW2のレバーと係合している。
図2に示すように、連結軸部30Jは、第2ハウジング80の外部に突出している。連結軸部30Jの先端部には、リンクレバーC2Cが一体回転可能に固定されている。
第2スイッチSW2は、レバーが中立位置から一方と他方とに揺動して、2つの接点を断接可能である。第2スイッチSW2のレバーが図4等に示す中立位置にある場合、2つの接点はOFFとなっている。図示は省略するが、O/Sロックレバー30は、キーシリンダH2に対する施錠操作により、図4等の紙面に向かって時計方向に揺動し、第2スイッチSW2の一つの接点をONにする。その一方、O/Sロックレバー30は、キーシリンダH2に対する開錠操作により、図4等の紙面に向かって反時計方向に揺動し、第2スイッチSW2の別の接点をONにする。第2スイッチSW2内の2つの接点のON/OFF信号は、ドアの施錠/開錠の制御及びドアロック装置1の状態把握に利用される。
図4及び図5に示すように、I/Sロックレバー35は、第2軸部75Qに揺動可能に支持されている。I/Sロックレバー35の一端部35Aには、図1及び図2に示す伝達ケーブルC3の他端部が連結されている。つまり、I/Sロックレバー35は、伝達ケーブルC3を介して室内ロックノブH3に連結されている。I/Sロックレバー35は、室内ロックノブH3に対する施錠操作により、図4に示す位置から図9に示す位置に揺動する。また、I/Sロックレバー35は、室内ロックノブH3に対する開錠操作により、図9に示す位置から図4に示す位置に揺動する。図14に示すI/Sロックレバー35の位置は、図4に示す位置と同じである。
図4及び図5に示すように、I/Sロックレバー35の上部には、カム35Cが形成される。図8に示すように、I/Sロックレバー35の車両外側を向く面には、作用部35Bが車両外側を向かって凸設されている。
図4及び図5に示すように、ウォームホイール39は、第3軸部75Rに回動可能に支持されている。図8に示すように、ウォームホイール39の車両外側を向く面には、I/Sロックレバー35のカム35Cと係合可能なカム部39Cが形成されている。リモコンキー等に対する施錠操作又は開錠操作により、電動モータM1が作動すると、ウォームホイール39は、電動モータM1に回転駆動されて、図4の紙面に向かって時計方向又は反時計方向に回動する。そして、ウォームホイール39は、カム部39Cとカム35Cとの係合により、I/Sロックレバー35を図4に示す位置と、図9に示す位置との間で揺動させる。
図4、図5、図8、図9、図14及び図16〜図18に示すように、ロックレバー40は、上下方向に延びる本体部41と、本体部41の上端に接続し、上方かつ後方に傾斜するように突出する傾斜突出部42とを含んでいる。図16に示すように、ロックレバー40は、第1ガイド部110、第2ガイド部120、第3ガイド部130及び第4ガイド部140によって、上下方向に直動可能に、より詳しくは、直線状に延びる軌跡K1を描いて上下方向に往復移動可能に支持されている。
第1ガイド部110及び第2ガイド部120は、本発明の「少なくとも2つのガイド部」の一例である。第3ガイド部130及び第4ガイド部140は、第1ガイド部110及び第2ガイド部120を補助するものである。
第1ガイド部110の構成について、ここでは概略を説明し、後で詳しく説明する。図4〜図6、図8、図9及び図14〜図18に示すように、第1ガイド部110は、ロックレバー40に設けられた長穴111と、作動ハウジング7に設けられたガイド凸部115とからなる。長穴111は、ロックレバー40の本体部41に貫設され、上下方向に延びる略矩形穴である。ガイド凸部115は、第1ハウジング70の第1基壁部71の略中央に位置する部位に形成され、第2ハウジング80の第2基壁部81に向かって延びている。第1ガイド部110は、ガイド凸部115が長穴111に摺接可能に挿入されることによって、ロックレバー40を案内する。
第2ガイド部120の構成についても、ここでは概略を説明し、後で詳しく説明する。図5、図6、図8、図16及び図18に示すように、第2ガイド部120は、作動ハウジング7に設けられたガイド溝121と、ロックレバー40に設けられたガイド凸部125とからなる。ガイド溝121は、第1ハウジング70の第1基壁部71におけるガイド凸部115よりも下方に位置する部位に形成され、車両外側に向かって凹んでいる。ガイド溝121は、上下方向に長い長円形の凹部である。ガイド凸部125は、ロックレバー40の本体部41の下端部から車両外側に向かって突出する円柱状の凸部である。第2ガイド部120は、ガイド凸部125がガイド溝121に摺接可能に挿入されることによって、ロックレバー40を案内する。
図5、図6、図8及び図16に示すように、第3ガイド部130は、作動ハウジング7に設けられたガイド溝131と、ロックレバー40に設けられたガイド凸部135とからなる。ガイド溝131は、第1ハウジング70の第1基壁部71におけるガイド凸部115よりも上方かつ後方に位置する部位に形成されている。ガイド溝131は、上下方向に平行に延びる一対のリブの間で、車両外側に向かって凹んでいる。ガイド凸部135は、ロックレバー40の傾斜突出部42の中間部から車両外側に向かって突出する角柱状の凸部である。第3ガイド部130は、ガイド凸部135がガイド溝131に摺接可能に挿入されることによって、ロックレバー40を案内する。
図4、図5、図7〜図9、図14及び図16に示すように、第4ガイド部140は、作動ハウジング7に設けられたガイド溝141と、ロックレバー40に設けられたガイド凸部145とからなる。ガイド溝141は、第2ハウジング80の第2基壁部81に形成されている。ガイド溝141は、上下方向に平行に延びる一対のリブの間で、車両内側に向かって凹んでいる。ガイド凸部145は、ロックレバー40の傾斜突出部42の上端部から車両内側に向かって突出する角柱状の凸部である。第4ガイド部140は、ガイド凸部145がガイド溝141に摺接可能に挿入されることによって、ロックレバー40を案内する。
第3ガイド部130及び第4ガイド部140が第1ガイド部110及び第2ガイド部120を補助するものであることから、ガイド溝131とガイド凸部135との隙間と、ガイド溝141とガイド凸部145との隙間とは、こじれる不具合が生じない程度の大きさに設定されている。
図4及び図5に示すように、ロックレバー40の本体部41の下端部には、凹部40Bが凹設されている。図4、図9及び図14に示すように、凹部40Bには、I/Sロックレバー35の作用部35Bが係合している。
図8に示すように、ロックレバー40の傾斜突出部42の上端部には、係合凸部40Cが車両外側に向かって凸設されている。図4及び図9に示すように、係合凸部40Cは、O/Sロックレバー30の係合凹部30D内に突出している。
また、ロックレバー40の傾斜突出部42の上端部には、被当接部48が形成されている。被当接部48の上端面は、前後方向に略平坦に延びており、その上端面の中間部から凹部48Aが下向きに凹むように形成されている。
ロックレバー40は、以下に説明するように、フォーク追従レバー59がアンブロック位置にある状態では、室内ロックノブH3に対する施錠操作及び開錠操作や、キーシリンダH2に対する施錠操作及び開錠操作や、リモコンキー等に対する施錠操作及び開錠操作によって直動する。
すなわち、図4及び図9に示すように、フォーク追従レバー59がアンブロック位置にある状態では、ロックレバー40の位置に関係なく、当接部58がロックレバー40の被当接部48に対して当接不能に上方に離間する。つまり、アンブロック位置にあるフォーク追従レバー59は、ロックレバー40が上下に直動することを許容する。
この状態において、I/Sロックレバー35が室内ロックノブH3に対する施錠操作、又はリモコンキー等に対する施錠操作により、図4に示す位置から図9に示す位置に揺動すると、凹部40B及び作用部35Bを介して、その変位がロックレバー40に伝達され、ロックレバー40が図4に示す位置から図9に示す位置に押し上げられる。
その一方、I/Sロックレバー35が室内ロックノブH3に対する開錠操作、又はリモコンキー等に対する開錠操作により、図9に示す位置から図4に示す位置に揺動すると、凹部40B及び作用部35Bを介して、その変位がロックレバー40に伝達され、ロックレバー40が図9に示す位置から図4に示す位置に引き下げられる。
図示は省略するが、O/Sロックレバー30がキーシリンダH2に対する施錠操作により、図4等の紙面に向かって時計方向に揺動すると、係合凹部30D及び係合凸部40Cを介してその変位がロックレバー40に伝達され、ロックレバー40が図4に示す位置から図9に示す位置に引き上げられる。その一方、O/Sロックレバー30がキーシリンダH2に対する開錠操作により、図4等の紙面に向かって反時計方向に揺動すると、係合凹部30D及び係合凸部40Cを介してその変位がロックレバー40に伝達され、ロックレバー40が図9に示す位置から図4に示す位置に押し下げられる。
図14に示すように、フォーク追従レバー59がブロック位置にある状態では、下方に変位した状態のロックレバー40の被当接部48がフォーク追従レバー59の当接部58によって上方から当て止められる。この際、当接部58の凸部58Aが被当接部48に向かって突出し、凹部48Aに進入することにより、当接部58と被当接部48とのずれが抑制される。つまり、ブロック位置にあるフォーク追従レバー59は、下方に変位した状態のロックレバー40が図9に示す位置に変位することを禁止する。
図8及び図10〜図13に示すように、ロックレバー40における長穴111と凹部40Bとの間には、第1面44A、第2面44B及び第3面44Cが形成されている。第1面44A、第2面44B及び第3面44Cは、ロックレバー40の車両外側を向く面に形成されている。第1面44A及び第3面44Cはそれぞれ、上下方向に延在する平坦面であり、第1面44Aが第3面44Cよりも車両内側にずれている。第2面44Bは、第1面44Aの下端と、第3面44Cの上端とに接続する傾斜面である。
図4、図5及び図9〜図13に示すように、慣性レバー29の前面には、突出部29Aが前向きに凸設されている。突出部29Aは、ロックレバー40の直動に応じて、第1面44A、第2面44B及び第3面44Cに摺接する。
図10〜図13に示すように、第3ハウジング90の収納室7A側には、慣性レバー案内面90Gが形成されている。慣性レバー案内面90Gは、ポール12の当接凸部12Bよりも車両外側に位置する下向きの平坦面である。慣性レバー案内面90Gは、当接凸部12Bから離間するように車両外側に向かって延びている。
図10及び図11に示すロックレバー40の位置は、図4、図14及び図16に示すロックレバー40の位置と同じである。図12及び図13に示すロックレバー40の位置は、図9に示すロックレバー40の位置と同じである。
ロックレバー40が図10及び図11等に示す位置にある状態では、慣性レバー29の突出部29Aがロックレバー40の第1面44Aに当接することにより、慣性レバー29が上向きに起立する状態に保持される。この場合において、図11に示すように、慣性レバー29が上昇すれば、当接凸部12Bに当接して、ポール12にフォーク11を開放させる。
その一方、ロックレバー40が図12及び図13等に示す位置に変位すると、慣性レバー29の突出部29Aがロックレバー40の第2面44Bに摺接し、さらに、第3面44Cに当接することにより、慣性レバー29が車両外側に向かって傾斜する状態に保持される。この場合において、図13に示すように、慣性レバー29が上昇すれば、慣性レバー案内面90Gに当接して、慣性レバー29が当接凸部12Bから離間し、ポール12がフォーク11を固定したままとなる。
図10及び図11に示す慣性レバー29の位置は、ポール12に作用可能なアンロック位置である。図12及び図13に示す慣性レバー29の位置は、ポール12に作用不能なロック位置である。ロックレバー40は、図9、図12及び図13に示す位置では、第3面44Cが突出部29Aに当接して、慣性レバー29をロック位置に保持する。図9、図12及び図13に示すロックレバー40の位置は、施錠位置である。
その一方、ロックレバー40は、図4、図10、図11及び図14に示す位置では、第3面44Cが突出部29Aから離間して、慣性レバー29を図12及び図13に示すロック位置に保持しない。慣性レバー29は、捩じりコイルバネ29Tの付勢力によって、突出部29Aを第1面44Aに当接させる。また、慣性レバー29に側面衝突による慣性力が作用した場合、慣性レバー29は、第1面44Aから突出部29Aが離間して、車両外側に向かって傾斜する。図4、図10、図11及び図14に示すロックレバー40の位置は、開錠位置である。
ロックレバー40は、図4及び図10等に示す開錠位置では、慣性レバー29を起立させて、図10に示すラッチ位置にあるフォーク11を図11に示すアンラッチ位置に変位可能とする。その一方、図9及び図12等に示す施錠位置では、慣性レバー29を傾斜させて、図10又は図12に示すラッチ位置にあるフォーク11を図11に示すアンラッチ位置に変位不能とする。
ロックレバー40の本体部41の上端部には、第3スイッチSW3のレバーが係合している。ロックレバー40は、図4に示すように、開錠位置に変位すると、第3スイッチSW3内の一つの接点をONにする。その一方、ロックレバー40は、図9に示すように、施錠位置に変位すると、第3スイッチSW3内の別の接点をONにする。第3スイッチSW3内の2つの接点のON/OFF信号は、ドアの施錠/開錠の制御及びドアロック装置1の状態把握に利用される。
図2に示すように、複数の端子T1は、第2ハウジング80の外側に形成されたコネクタ80Cに突端部が突出する状態で、その他の部分が、図4等に示すように、収納室7A内に収納されている。複数の端子T1は、第1スイッチSW1、第2スイッチSW2及び第3スイッチSW3のそれぞれのON/OFF信号を外部に伝達するとともに、ドアの施錠/開錠の制御時に、外部電源から電動モータM1に電力を供給する。
このような構成であるドアロック装置1は、車両の搭乗者の各種操作に応じて、車体に対してドアを閉じた状態で保持したり、ドアを開放させたり、ドアを閉じた状態で施錠又は開錠したりすることができる。
<第1ガイド部及び第2ガイド部の具体的構成>
次に、第1ガイド部110及び第2ガイド部120の具体的構成を詳しく説明する。
図16〜図18に示すように、第1ガイド部110において、長穴111は、第1ガイド面111A及び第2ガイド面111Bを有している。第1ガイド面111Aは、長穴111における後方に位置する長辺部分の内壁面を構成している。第2ガイド面111Bは、長穴111における前方に位置する長辺部分の内壁面を構成している。
第1ガイド面111A及び第2ガイド面111Bは、上下方向に直線状に延びる軌跡K1に沿って互いに対向しつつ平行に延びる平坦面である。図17に示すように、本実施例では、ロックレバー40と他の部品との干渉防止等のために、第1ガイド面111Aは第2ガイド面111Bに対して車両外側にずれた位置に配置されている。
また、第1ガイド部110において、ガイド凸部115は、基部116、第1接触部115A、第2接触部115B及び爪部119を含んでいる。
図15〜図18に示すように、基部116は、第1ハウジング70の第1基壁部71から第2ハウジング80の第2基壁部81に向かって延びる柱状体である。基部116は、第1ハウジング70の第1基壁部71に近い部分が断面略矩形状であり、第2ハウジング80の第2基壁部81に近い部分が断面略C字形状である。
図16に示すように、基部116の後方を向く面は、第1ガイド面111Aに対して所定の隙間W1を有して対向し、かつ軌跡K1に沿って延びている。基部116の前方を向く面は、第2ガイド面111Bに対して所定の隙間W2を有して対向し、かつ軌跡K1に沿って延びている。隙間W1、W2は、基部116が第1ガイド面111A及び第2ガイド面111Bに接触不能な大きさに設定されている。
基部116における軌跡K1に沿う方向、すなわち上下方向の長さL1は、基部116における第1ガイド面111Aと第2ガイド面111Bとが対向する方向、すなわち前後方向の長さL2よりも大きく設定されている。
図15及び図16に示すように、第1接触部115A及び第2接触部115Bは、基部116における軌跡K1に沿う方向、すなわち上下方向の両端部116U、116Dのうち、軌跡K1に沿う方向において第2ガイド部120とは反対側に位置する一端部116Uから突出している。
第1接触部115Aは、基部116から第1ガイド面111Aに向かって後向きに突出している。第1接触部115Aの後方を向く面は、凸状の曲面、より詳しくは半円筒面となっている。
第2接触部115Bは、基部116から第2ガイド面111Bに向かって前向きに突出している。第2接触部115Bの前方を向く面も、凸状の曲面、より詳しくは半円筒面となっている。
図16に示すように、ガイド凸部115が第1ガイド面111Aと第2ガイド面111Bとの間に突出する状態で、第1接触部115Aが凸状の曲面によって第1ガイド面111Aに1つの接線で接触する。また、第2接触部115Bが凸状の曲面によって第2ガイド面111Bに1つの接線で接触する。こうして、ガイド凸部115は、第1ガイド面111A及び第2ガイド面111Bと摺接可能となっている。
なお、第1接触部115Aと第1ガイド面111Aとの隙間や、第2接触部115Bと第2ガイド面111Bとの隙間は、ロックレバー40がスムーズに変位可能な範囲で可能な限り小さく設定されている。このため、ロックレバー40が変位する際、第1接触部115Aと第1ガイド面111Aとが接触する一方で第2接触部115Bと第2ガイド面111Bとが僅かに離間する状態や、その逆の状態や、第1接触部115Aと第1ガイド面111Aとが接触し、かつ第2接触部115Bと第2ガイド面111Bとが接触する状態が生じ得る。
図15〜図17に示すように、爪部119は、基部116の先端側の断面略C字形状部分の内側に形成されている。爪部119は、鍵爪状に形成されて後向きに突出し、第1ガイド面111Aを越えている。これにより、爪部119が第1ガイド面111Aに引っ掛かることが可能であるので、ガイド凸部115が第1ガイド面111Aと第2ガイド面111Bとの間から抜けることを抑制できる。
図6、図16及び図18に示すように、第2ガイド部120において、ガイド溝121は、第1ガイド面121A及び第2ガイド面121Bを有している。第1ガイド面121Aは、ガイド溝121における後方に位置する長辺部分の内壁面を構成している。第2ガイド面121Bは、ガイド溝121における前方に位置する長辺部分の内壁面を構成している。第1ガイド面121A及び第2ガイド面121Bは、上下方向に直線状に延びる軌跡K1に沿って互いに対向しつつ平行に延びる平坦面である。
図8、図16及び図18に示すように、第2ガイド部120において、ガイド凸部125は、第1接触部125Aと第2接触部125Bとからなる。
第1接触部125Aは、円柱状の凸部であるガイド凸部125の後方を向く面であって、凸状の曲面、より詳しくは半円筒面となっている。
第2接触部125Bは、円柱状の凸部であるガイド凸部125の前方を向く面であって、凸状の曲面、より詳しくは半円筒面となっている。
図16に示すように、ガイド凸部125が第1ガイド面121Aと第2ガイド面121Bとの間に突出する状態で、第1接触部125Aが凸状の曲面によって第1ガイド面121Aに1つの接線で接触する。また、第2接触部125Bが凸状の曲面によって第2ガイド面121Bに1つの接線で接触する。こうして、ガイド凸部125は、第1ガイド面121A及び第2ガイド面121Bと摺接可能となっている。
なお、第1接触部125Aと第1ガイド面121Aとの隙間や、第2接触部125Bと第2ガイド面121Bとの隙間は、ロックレバー40がスムーズに変位可能な範囲で可能な限り小さく設定されている。このため、ロックレバー40が変位する際、第1接触部125Aと第1ガイド面121Aとが接触する一方で第2接触部125Bと第2ガイド面121Bとが僅かに離間する状態や、その逆の状態や、第1接触部125Aと第1ガイド面121Aとが接触し、かつ第2接触部125Bと第2ガイド面121Bとが接触する状態が生じ得る。
図18に示すように、第2ガイド部120は、ガイド凸部115の突出方向、すなわち、車両内外方向において、第1ガイド部110に対してずれた位置にある。
<作用効果>
実施例1のドアロック装置1では、図16等に示すように、第1ガイド部110において、第1、2ガイド面111A、111Bとガイド凸部115とは、第1、2接触部115A、115Bによって2つの接線で摺接可能である。これにより、第1ガイド部110がロックレバー40を案内する際、第1、2ガイド面111A、111Bとガイド凸部115とが平行な状態から傾斜しても、第1ガイド部110がこじれる不具合を抑制できる。
また、第2ガイド部120において、第1、2ガイド面121A、121Bとガイド凸部125とは、第1、2接触部125A、125Bによって2つの接線で摺接可能である。これにより、第2ガイド部120がロックレバー40を案内する際、第1、2ガイド面121A、121Bとガイド凸部125とが平行な状態から傾斜しても、第2ガイド部120がこじれる不具合を抑制できる。
さらに、第3ガイド部130のガイド溝131及びガイド凸部135と、第4ガイド部140のガイド溝141及びガイド凸部145とは、第1ガイド部110及び第2ガイド部120を補助して、ロックレバー40を案内する。
したがって、実施例1のドアロック装置1では、ロックレバー40をスムーズに変位させることができ、ひいては、ロックレバー40が止まってしまう不具合を抑制できる。
また、このドアロック装置1では、所定の軌跡K1は直線状に延びている。これにより、第1、2ガイド面111A、111B、121A、121Bも直線状に延びるので、第1、2ガイド面111A、111B、121A、121Bを精度良く形成することができる。その結果、このドアロック装置1では、ロックレバー40を一層スムーズに変位させることできる。
さらに、このドアロック装置1では、第1ガイド部110において、ガイド凸部115は、第1ガイド面111Aと第2ガイド面111Bとに対して所定の隙間W1、W2を有して対向し、かつ軌跡K1に沿って延びる基部116を含んでいる。第1接触部115Aは、基部116から第1ガイド面111Aに向かって突出している。第2接触部115Bは、基部116から第2ガイド面111Bに向かって突出している。そして、基部116における軌跡K1に沿う方向の長さL1は、基部116における第1ガイド面111Aと第2ガイド面111Bとが対向する方向の長さL2よりも大きく設定されている。これにより、ロックレバー40の剛性の低下を抑制しつつ、第1、2ガイド面111A、111Bとガイド凸部115とが摺接する2つの接線を細くすることができる。その結果、このドアロック装置1では、第1、2ガイド部110、120がこじれる不具合を一層抑制できるとともに、作動ハウジング7の小型化を実現できる。
また、このドアロック装置1では、第1ガイド部110において、第1接触部115A及び第2接触部115Bは、基部116における軌跡K1に沿う方向の両端部116U、116Dのうち、軌跡K1に沿う方向において第2ガイド部120とは反対側に位置する一端部116Uから突出している。これにより、第1接触部115A及び第2接触部115Bが軌跡K1に沿う方向において第2ガイド部120から離間する距離を大きく確保できる。その結果、このドアロック装置1では、第1、2ガイド部110、120がこじれる不具合を一層抑制できる。
さらに、このドアロック装置1では、図16及び図17等に示すように、第1ガイド部110において、ガイド凸部115は爪部119を含んでいる。そして、爪部119は、ガイド凸部115の先端側から後向きに突出し、第1ガイド面111Aを越えている。これにより、爪部119が第1ガイド面111A又は第2ガイド面111Bに引っ掛かることが可能であるので、ガイド凸部115が第1ガイド面111Aと第2ガイド面111Bとの間から抜けることを抑制できる。
また、このドアロック装置1では、図18に示すように、第2ガイド部120は、車両内外方向において第1ガイド部110に対してずれた位置にある。これにより、ロックレバー40がガイド凸部115の突出方向に対して傾斜することを確実に抑制できる。
(実施例2)
図19及び図20に示すように、実施例2のドアロック装置では、ロックレバー40から傾斜突出部42を無くしたロックレバー240を採用するとともに、O/Sロックレバー30、アジャSWレバー50及びフォーク追従レバー59を無くしている。ロックレバー240も、本発明の「変位部材」の一例である。また、このドアロック装置では、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2と、それらに接続していた複数の端子T1の一部とを無くしている。つまり、このドアロック装置は、キーシリンダH2が設けられていないドアに搭載され、室内ロックノブH3に対する施錠操作及び開錠操作と、リモコンキー等に対する施錠操作及び開錠操作とによって、ロックレバー240が直線状の軌跡K1を描くように往復移動する。
実施例2のその他の構成は、実施例1と同様である。このため、実施例1と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略又は簡略する。
実施例2のドアロック装置では、実施例1で説明したように、第1ガイド部110の第1、2ガイド面111A、111Bとガイド凸部115との作用効果により、第1ガイド部110がロックレバー40を案内する際、第1、2ガイド面111A、111Bとガイド凸部115とが平行な状態から傾斜しても、第1ガイド部110がこじれる不具合を抑制できる。
また、このドアロック装置では、第2ガイド部120の第1、2ガイド面121A、121Bとガイド凸部125との作用効果により、第2ガイド部120がロックレバー40を案内する際、第1、2ガイド面121A、121Bとガイド凸部125とが平行な状態から傾斜しても、第2ガイド部120がこじれる不具合を抑制できる。
したがって、実施例2のドアロック装置では、実施例1のドアロック装置1と同様に、ロックレバー40をスムーズに変位させることができ、ひいては、ロックレバー40が止まってしまう不具合を抑制できる。
以上において、本発明を実施例1、2に即して説明したが、本発明は上記実施例1、2に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
例えば、第1、2ガイド面は、切り欠きの内壁面に形成されていてもよい。具体例として図21(a)に変形例1を示す。変形例1では、実施例2のロックレバー240における長穴111の下方に位置する短辺部分が切り欠かれている。このような構成も本発明に含まれ、実施例1、2と同様の作用効果を奏することができる。
所定の軌跡は、円弧等の曲線状でもよい。この場合、第1、2ガイド面も円弧等の曲線状に延びることになる。具体例として図21(b)及び図22に変形例2を示す。変形例2では、実施例2のロックレバー240において、第1ガイド部110の第1ガイド面111A及び第2ガイド面111Bを図示しない仮想点を中心とする円弧面に変更している。また、図22に示すように、それに応じてガイド凸部115の姿勢を変更している。さらに、第2ガイド部120の第1ガイド面121A及び第2ガイド面121Bを上述した仮想点を中心とする円弧面に変更している。この場合のロックレバー240は、上述した仮想点を中心とする円弧状の軌跡K2を描いて往復移動する。このような構成も本発明に含まれ、実施例1、2と同様の作用効果を奏することができる。
第1、2接触部における凸状の曲面は球面であり、第1、2接触部がそれらの球面によって2つの接点で第1、2ガイド面に接触してもよい。
<一度引きオーバーライドの動作、及び二度引きオーバーライドの動作>
実施例1のドアロック装置1に係るI/Sオープンレバー25は、図23に一例として示すオーバーライド作用部25Mを設けることによって一度引きオーバーライドの動作を行うことができ、また、図24に一例として示すオーバーライド作用部25Nを設けることによって二度度引きオーバーライドの動作を行うことができる。
ドアロック装置1の組み付け時に、図23に示すオーバーライド作用部25Mが設けられたI/Sオープンレバー25を選択すれば、そのドアロック装置1は、一度引きオーバーライド仕様となる。その一方、ドアロック装置1の組み付け時に、図24に示すオーバーライド作用部25Nが設けられたI/Sオープンレバー25を選択すれば、そのドアロック装置1は、二度引きオーバーライド仕様となる。
一度引きオーバーライド仕様のドアロック装置1では、内側ドアハンドルH4に対する開操作が無く、I/Sオープンレバー25が揺動していない状態、かつロックレバー40が図12に示す施錠位置にある状態で、図23に示すように、I/Sオープンレバー25のオーバーライド作用部25MがI/Sロックレバー35のオーバーライド受動部35Mに小さな隙間を有して対向している。
図25に示すように、ラッチ位置にあるポール12の当接凸部12Bの下端部に接する車両内外方向に平行な直線を基準線(L)とする。内側ドアハンドルH4に対する開操作が始まると、上下方向において慣性レバー29がその基準線(L)より上側に変位するよりも前に、オーバーライド作用部25Mがオーバーライド受動部35Mを押圧し、I/Sロックレバー35を図23の紙面に向かって反時計方向に揺動させ、ロックレバー40を引き下げる。その結果、ロックレバー40が図10に示す開錠位置に変位し、慣性レバー29も同様に図10に示すアンロック位置に変位する。
さらに、内側ドアハンドルH4に対する開操作が継続されることによって、図11に示すように、慣性レバー29が上昇し、当接凸部12Bに当接して、ポール12にフォーク11を開放させる。その結果、フォーク11がアンラッチ位置に変位する。
二度引きオーバーライド仕様のドアロック装置1では、内側ドアハンドルH4に対する開操作が無く、I/Sオープンレバー25が揺動していない状態、かつロックレバー40が図12に示す施錠位置にある状態で、図24に示すように、I/Sオープンレバー25のオーバーライド作用部25NがI/Sロックレバー35のオーバーライド受動部35Mから下方に大きく離間している。
そして、内側ドアハンドルH4に対する開操作が始まると、I/Sオープンレバー25のオーバーライド作用部25NがI/Sロックレバー35のオーバーライド受動部35Mを押圧し、I/Sロックレバー35を図24の紙面に向かって反時計方向に揺動させ、ロックレバー40を引き下げるよりも前に、図25に示すように、慣性レバー29が基準線(L)より上側に変位又は案内面90Gに当接する。
さらに、内側ドアハンドルH4に対する開操作が継続されることによって、I/Sオープンレバー25のオーバーライド作用部25NがI/Sロックレバー35のオーバーライド受動部35Mを押圧し、I/Sロックレバー35を図24の紙面に向かって反時計方向に揺動させ、ロックレバー40を引き下げる。但し、このとき、慣性レバー29は図10に示すアンロック位置には変位せず、図25に示す案内面90Gに当接した状態が維持される。よって、一度目の内側ハンドルH4に対する開操作では、慣性レバー29が上昇しても当接凸部12Bに当接せず、フォーク11がラッチ位置に維持される。
次に、内側ドアハンドルH4に対する開操作を止めて内側ドアハンドルH4を元の位置に復帰させると、慣性レバー29は案内面90Gから離間し、図10に示すアンロック位置に変位する。もう1回、内側ドアハンドルH4に対する開操作を行うことにより、図11に示すように、慣性レバー29が上昇し、当接凸部12Bに当接して、ポール12にフォーク11を開放させる。その結果、フォーク11がアンラッチ位置に変位する。
なお、オーバーライド作用部25Nとオーバーライド受動部35Mとの相対位置関係については図24に示す例に限定されず、適宜変更できる。例えば、オーバーライド作用部25Nとオーバーライド受動部35Mとの相対位置関係について、慣性レバー29が基準線(L)より上側に変位又は案内面90Gに当接した直後に、I/Sオープンレバー25のオーバーライド作用部25NがI/Sロックレバー35のオーバーライド受動部35Mを押圧し、I/Sロックレバー35を図24の紙面に向かって反時計方向に揺動させ、ロックレバー40を引き下げるように設定することができる。この場合、一度目に内側ドアハンドルH4を引く量と、その引いた内側ドアハンドルH4を戻す量とを小さくできるので、利便性が向上する。