JP6729128B2 - 波長変換シート及びそれに用いられるバリアフィルム - Google Patents
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Description
量子ドットを用いた蛍光体層の両表面側にバリア層がそれぞれ配置されており、
前記蛍光体層と、それぞれの前記バリア層とは、プライマー層を介して積層されており、
前記プライマー層がポリウレタン系樹脂組成物を含む波長変換シート。
本実施形態の波長変換シート1は、図1に示すように、蛍光体112と封止樹脂111とが含有される蛍光体層11と、蛍光体層11の両表面に配置されるバリアフィルム12と、が積層された表示装置のバックライト光源に用いられる波長変換シートである。蛍光体層11の両表面に、バリアフィルム12を積層させることにより、バリア性に優れる波長変換シートとすることができる。尚、本明細書において蛍光体層の両表面側とは、波長変換シート1をバックライト光源として用いた場合に、光源が配置されている側(入光面側)と、バックライト光源が配置されている側から反対側(出光面側)と、の両方の表面側であることを意味する。
本実施形態の波長変換シートにおいて、バリアフィルム12とは、図1に示すように蛍光体層11の両表面側に配置される層である。蛍光体層11の両表面に、バリアフィルム12を積層させることにより、バリア性に優れる波長変換シートとすることができる。
基材層121に用いることのできる材質は、波長変換シートの機能を害することのない材質であれば特に制限はされず、例えば、ポリイミド(PI)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、非晶ポリアリレート、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルイミド、フッ素樹脂、液晶ポリマー等の樹脂を挙げることができる。波長変換シートの機能を害することのない透明性と耐熱性等の観点からポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)であることが好ましい。
バリア層は、バリアフィルムにバリア性を付与する層であり、一般にポリビニルアルコール等の水溶性高分子等を含むコーティング剤を塗布して形成される有機被覆層、及び/又は、無機酸化物を蒸着することにより形成される無機酸化物薄膜層である。図2に示した本実施形態に関するバリア層は、有機被覆層と無機酸化物薄膜層とが積層された複数の層からなる層である。尚、本発明に関するバリア層は、有機被覆層と無機酸化物薄膜層とが積層された複数の層に限定されるものではなく、有機被覆層と無機酸化物薄膜層がそれぞれ単層であってもよく、又は有機被覆層と無機酸化物薄膜層とが交互に2層以上積層されるような層であってもよい。又、図2に示したバリアフィルム12のように、有機被覆層がプライマー層と密着して積層されることにより有機被覆層よりも内層に積層される無機酸化物薄膜層に傷や割れの発生を軽減することができる。
本実施形態に関するプライマー層123は、バリア層122と、蛍光体層11との間に積層され、ポリウレタン系樹脂組成物を含むプライマー層である。プライマー層123は、更に、シランカップリング剤と、充填材と、を含むことが好ましい。
本実施形態の波長変換シートにおいて、蛍光体層11とは、バックライト光源から発せられた光の発光波長を調整するための層である。蛍光体層11には、量子ドットからなる1種又は2種以上の蛍光体が含有される。
本実施形態の波長変換シートの製造方法は、例えば、基材フィルムの一方の表面にバリア層を積層するバリア層積層工程と、バリアフィルムのバリア層の表面にプライマー層を積層するプライマー層積層工程と、一対のバリアフィルムを蛍光体層を介してプライマー層同士が対向するように積層し、波長変換シートを製造する蛍光体層積層工程と、を含む波長変換シートの製造方法を挙げることができる。
バリア層積層工程は、基材フィルムの一方の表面にバリア層として有機被覆層、及び/又は、無機酸化物薄膜層を積層する。有機被覆層は、ポリビニルアルコール等の水溶性高分子等を含むコーティング剤を塗布、硬化して形成することができる。コーティング剤を塗布する方法は、ロールコート、グラビアコ−ト、ナイフコート、デップコート、スプレイコ−ト、その他のコ−ティング法の塗布方式を挙げることができる。無機酸化物薄膜層は、無機酸化物を蒸着することにより形成することができる。無機酸化物を蒸着する方法は、真空蒸着、イオンプレーティング、スパッタリング等の物理的蒸着法を挙げることができる。尚、基材フィルムの一方の表面に予め、プライマーコート剤層、アンダーコート剤層、アンカーコ−ト剤層、接着剤からなる層、あるいは、蒸着アンカーコ−ト剤層等を任意に形成して、表面処理層とすることもできる。
プライマー層は、バリアフィルムのバリア層の表面にポリウレタン系樹脂を包含するプライマー剤を塗布、硬化して形成することができる。プライマー剤を塗布する方法は、上記のコーティング剤を塗布する方法と同様の塗布方法を使用することができる。
蛍光体層積層工程は、一対のプライマー層付バリアフィルムのうち1のバリアフィルムのプライマー層の表面に蛍光体110と封止樹脂111とが含有された混合液(インク)を塗布し、他のプライマー層付バリアフィルムのプライマー層の積層側の面と混合液(インク)の塗布面とを接触させ、硬化させる工程である。蛍光体層積層工程を経ることによって、図1の実施形態のような波長変換シートを製造することができる。
波長変換シートを用いることにより、バックライト光源の発光波長の可視領域全体に渡って調整可能である。そのため、色純度の優れた三原色の光で照明することが可能となり、優れた色再現性を有する表示装置とすることができる。更に本実施形態のバリアフィルムと蛍光体層との密着性、密着耐久性に優れる波長変換シートを備えたバックライト光源を用いた表示装置であれば、高温高湿環境下においても蛍光体層の劣化を抑制することができる。そのため、環境安定性に優れたバックライト光源を用いた表示装置とすることができる。
[バリアフィルムの製造]
(無機被覆層の形成)
基材層の表面にバリア層を積層した。具体的には、まず、基材層(二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、12μm)を巻き取り式の真空蒸着装置の送り出しロールに装着し、次いで、これを繰り出し、その二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの一方の面に、アルミニウムを蒸着源に用いて、酸素ガスを供給しながら、エレクトロンビーム(EB)加熱方式による真空蒸着法により、膜厚20nmの酸化アルミニウムの無機被覆層(バリア層)を形成した。
次に、他方、組成a.ポリビニルアルコールと、イソプロピルアルコール及びイオン交換水からなる混合液に、予め調製した組成b.エチルシリケート、塩酸、イソプロピルアルコール、イオン交換水からなる加水分解液を加えて攪拌し、無色透明のガスバリア性組成物を得た。
蛍光体層の形成に用いられる蛍光体と封止樹脂とが含有された混合液(インク)を製造した。具体的には、コアがセレン化カドニウム(CdSe)、シェルが硫化亜鉛(ZnS)からなる蛍光体(平均粒径3〜5nmの量子ドット)に、封止樹脂(ウレタンアクリレート系樹脂)を封止樹脂100質量部に対して蛍光体が1質量部となるように混合して蛍光体層を形成する混合液(インク)を製造した。
上記の実施例1に関するバリアフィルム及び混合液(インク)を用いて実施例1の波長変換シートを製造した。具体的には、実施例1に関するバリアフィルムのプライマー層側の表面に蛍光体層を形成する混合液(インク)を塗布し、膜厚が100μmとなるように蛍光体層を積層した。
プライマー層を300nm積層せず、バリア層である有機被覆層の表面に蛍光体層を形成する混合液(インク)を塗布して、蛍光体層と有機被覆層とが密着するように積層したこと以外、実施例1の波長変換シートと同様に波長変換シートを製造し、比較例1の波長変換シートを製造した。
プライマー層の積層において、ポリウレタン系樹脂を含まないプライマー剤(アクリル系紫外線硬化型塗料)を膜厚1μmになるように塗布してプライマー層を積層したこと以外、実施例1の波長変換シートと同様に波長変換シートを製造し、比較例2の波長変換シートを製造した。
実施例及び比較例の波長変換シートについて、密着性試験を行った。具体的には、実施例及び比較例の波長変換シートを180℃ピール、剥離強度50mm/分の条件でテンシロン型引張試験機を用いて、蛍光体層とバリアフィルムとが剥離する際に要する力を測定した。測定結果が1.5N/25mm以上のサンプルを「○」とし、1.5N/25mm未満のサンプルを「×」とした。測定結果を表1に示す(表1中、「初期密着」と表記)。
実施例及び比較例の波長変換シートについて、環境試験を行い、環境試験後の密着性試験を行った。具体的には、実施例及び比較例の波長変換シートを60℃90%RH環境試験に500時間放置し、500時間放置後の密着性試験を上記の密着性試験と同様に測定した。測定結果が1.5N/25mm以上のサンプルを「○」とし、1.5N/25mm未満のサンプルを「×」とした。測定結果を表1に示す(表1中、「環境試験後密着」と表記)。
実施例及び比較例の波長変換シートについて、蛍光体層輝度劣化評価を行った。具体的には、バックライト光源を用いて実施例及び比較例の波長変換シートに光を照射し、その色を目視で確認した。波長変換シートの周縁部の色味と中央値の色味が同等であったサンプルを「○」とし、波長変換シートの周縁部の色味が中央値の色味が異なっていたサンプルを「×」とした。又、上記の環境試験前の蛍光体層輝度劣化評価(表1中、「初期輝度劣化」と表記)及び上記の環境試験後の蛍光体層輝度劣化評価(表1中、「環境試験後輝度劣化」と表記)について行った。測定結果を表1に示す。
11 蛍光体層
111 封止樹脂
112 蛍光体
12 バリアフィルム
121 基材層
122 バリア層
122a 有機被覆層
122b 無機酸化物薄膜層
123 プライマー層
Claims (3)
- 表示装置のバックライト光源に用いられる波長変換シートであって、
量子ドットを用いた蛍光体層の両表面側にバリア層がそれぞれ配置されており、
前記バリア層は、基材層と、無機酸化物層と、水溶性高分子を含む有機被覆層と、がこの順に積層されており、
前記蛍光体層と、それぞれの前記バリア層の前記有機被覆層とは、プライマー層を介して積層されており、
前記蛍光体層が、ウレタンアクリレート系樹脂の硬化物を含み、
前記プライマー層が、ポリウレタン系樹脂と、エポキシ基を有するシランカップリング剤の反応物と、を含む波長変換シート。 - 前記プライマー層には、更に、充填材を含む、請求項1に記載の波長変換シート。
- 前記プライマー層の膜厚が0.05μm以上10μm以下である請求項1又は2に記載の波長変換シート。
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