JP2016062804A - 波長変換シートを用いた照明装置、および表示装置 - Google Patents

波長変換シートを用いた照明装置、および表示装置 Download PDF

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【課題】
照明装置、および表示装置に使用する波長変換シートにおいて、バリア性と波長変換効率の向上を両立させるとともに、波長変換シートへ入射する光の散乱性を小さくすることで、使用されるレンズシートによらず均一な色光を発光することが可能な波長変換シートを提供する。
【解決手段】
波長変換シートの光入射面と光射出面に設けたバリア層として、光源の発光特性と、発光材料の発光特性に応じて所定の反射率となるような光学調整層を設けることで、光源から発光した光を高効率に異なる波長特性を有する光へと変換する。即ち、バリア性を有し、少量の発光材料で、厚みが薄い波長変換シートを提供することが出来る。
【選択図】図1

Description

本発明は、波長変換シートを用いた照明装置、および表示装置に関する。
最近の液晶テレビに代表されるフラットパネルディスプレイ等においては主に、直下型方式の照明装置と、エッジライト方式の照明装置とが採用されている。直下型方式の照明装置では、光源として複数のLED(Light Emitting Diode)が、パネルの背面に規則的に配置される。液晶パネル等の画像表示素子と光源との間には、光散乱性の強い拡散板が用いられ、光源であるLEDが視認されないようにしている。
一方、エッジライト方式の照明装置は、複数のLEDが、導光板と呼ばれる透光性の板の端面(入射面)に配置される。一般的に、導光板の射出面(画像表示素子と対向する面)の逆側の面(光偏向面)には、該導光板の端面から入射する光を効率良く射出面へと導く光偏向要素が形成される。現在、光偏向面に形成される光偏向要素としては白色のインキがドット状に印刷されたものが一般的(例えば特許文献1参照)である。
近年、液晶ディスプレイの高精細化、広色域化を目指し、RGB三色のLEDを用いて白色を表示する手法が注目を集めている。ところが、RGB三色のLED光源を同時に点灯させ混色することで白色表示を行う手法において、十分に混色された均一な白色を得るためには、直下型方式では厚い拡散板が必要であり、エッジライト型では長い導光距離を保たなければならず、ディスプレイの小型、薄型化は困難である。そこで、青色LED光源と蛍光体の組み合わせで白色を表示する手法が提案されている。この方式には、青色LEDチップを蛍光体樹脂で封止する手法と、青色LEDとは隔離して蛍光体シートを配置し面発光させる手法(例えば特許文献2,3参照)がある。
青色LED光源と蛍光体を利用した手法の一つに量子ドットを用いたものがある。量子ドットとは、発光性の半導体ナノ粒子で、直径の範囲は1〜20nm程度であり、幅広い励起スペクトルを示し量子効率が高い。さらに、ドットサイズや半導体材料の種類を変更するだけで、発光の波長を可視域全体にわたって完全に調整することができるという利点がある。そのため、量子ドットは事実上あらゆる色、特に照明業界で強く望まれている暖かい白色を作り出せる可能性を秘めているといえる。加えて、発光波長が赤、緑、青に対応する3種類のドットを組み合わせて、演色評価数の異なる白色光を得ることが可能となる。
量子ドットを利用した照明装置では、青色光波長を他波長に変換する波長変換層を、バリアフィルムもしくはその積層体にて封止して用いることで高寿命化を図っている。
バリアフィルムとは、酸素等の気体や空気中に含まれる水分の透過を防ぐため、プラスチックフィルム等の基材の表面に蒸着等によって薄膜を形成した保護フィルムである。
特開平1−241590号公報 特開2010−170961号公報 特開2010−225373号公報
しかしながら、上記文献2、3の手法による波長変換シートでは、蛍光体を均等に分散させるために、波長変換シートに散乱剤が分散されている。しかし、散乱剤により入射光も散乱されるため、ディスプレイの正面輝度が低下してしまう。液晶ディスプレイの正面輝度を向上させるためには、波長変換シートの光射出面側に、拡散フィルムやレンズシートを配置しなければならない。しかし、レンズシートに入射した光は、レンズ面と空気界面での反射により、正面方向に進行する光と、反射光として波長変換シート側に戻される光が存在する。このため、レンズシートにより戻された光が、再度波長変換シートを透過することで蛍光が発光してしまう。レンズシートにより戻される光量はレンズ形状により異なるため、波長変換シートの上に配置するレンズシートにより、ディスプレイ正面に射出される光の色が異なるという問題が生じる。
また、波長変換シートをレンズシートの射出面側に配置すると、上述したように波長変換シートに分散されている散乱剤により光が散乱されるため、ディスプレイの正面輝度が低下すると共に、レンズシートからの反射光が波長変換シートを透過しないため、蛍光発光量が低下する。十分な色変換効率を達成するためには、蛍光体層を厚くしなければならない。
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、バリアフィルムが持つバリア性と、波長変換シートの色変換効率の向上とを両立させるとともに、使用されるレンズシートの位置や形状によらず均一な色光を発光することが可能な波長変換シートを提供することにある。
上記課題を達成するための手段として、請求項1に記載の発明は、
波長変換層と、前記波長変換層を挟む位置関係で互いに対向して配置された光入射面と光射出面を有する波長変換シートであって、前記波長変換層は、入射光の波長を長波長側に変換する少なくとも1種類以上の発光材料を含有し、前記光入射面には、前記波長変換層側に形成された第一の基材層と、前記第一の基材層上に少なくとも第一の光学調整層が積層されている第一の機能層を備えており、前記第一の光学調整層は少なくとも酸化ケイ素又は酸化アルミニウムからなる層を有し、前記第一の光学調整層の前記第一の基材層とは反対側の表面における分光反射率は、波長領域が300nm以上500nm以下の範囲において最小値が0.5%以上10%以下となることを特徴とする波長変換シートである。
上記課題を達成するための手段として、請求項2に記載の発明は、
波長変換層と、前記波長変換層を挟む位置関係で互いに対向して配置された光入射面と光射出面を有する波長変換シートであって、前記波長変換層は、入射光の波長を長波長側に変換する少なくとも1種類以上の発光材料を含有し、前記光射出面には、前記波長変換層側に形成された第二の基材層と、前記第二の基材層上に少なくとも第二の光学調整層が積層されている第二の機能層を備えており、前記第二の光学調整層は、少なくとも酸化ケイ素又は酸化アルミニウムからなる層を有し、波長領域が500nm以上680nm以下の範囲における分光反射率の最小値より、波長領域が300nm以上500nm以下の範囲における分光反射率の最大値が高くなっていることを特徴とする波長変換シートである。
上記課題を達成するための手段として、請求項3に記載の発明は、
前記波長変換層を構成する透光性樹脂と前記透光性樹脂中に含有されている分散粒子との屈折率差が0.1以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の波長変換シートである。
上記課題を達成するための手段として、請求項4に記載の発明は、
前記第一の光学調整層及び前記第二の光学調整層は、前記酸化ケイ素又は酸化アルミニウムからなる層に加えて、無機物、有機物、無機物と有機物の混合物のいずれかのうち、隣接する層と異なる屈折率を持つ層が積層されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の波長変換シートである。
上記課題を達成するための手段として、請求項5に記載の発明は、
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の波長変換シートを用いた照明装置であって、前記光源から射出した光は前記波長変換シートの前記光入射面側から入射することを特徴とする照明装置である。
上記課題を達成するための手段として、請求項6に記載の発明は、
波長領域が300nm以上500nm以下の範囲に最大発光波長を有する光源を用いることを特徴とする請求項5に記載の照明装置である。
上記課題を達成するための手段として、請求項7に記載の発明は、
前記光源から発光する光の発光強度の最大値が半分になるときの発光分布の波長幅が10nm以上60nm以下の範囲であることを特徴とする請求項5又は6に記載の照明装置である。
上記課題を達成するための手段として、請求項8に記載の発明は、
請求項5乃至請求項7のいずれか1項に記載の照明装置を備え、前記波長変換シートの観測者側に画像を表示する表示パネルおよびカラーフィルターが配置されていることを特徴とする表示装置である。
上記課題を達成するための手段として、請求項9に記載の発明は、
前記波長変換シートの光射出面側に、プリズム形状、マイクロレンズ形状のいずれかが形成された光学シートが積層されていることを特徴とする請求項8に記載の表示装置である。
本発明の波長変換シートによれば、波長変換シートの光入射面と光射出面の少なくとも一方に、光源の発光特性と、発光材料の発光特性を考慮して設計された、所定の反射率となるような光学調整層を形成することで、バリア性と光源から発光した光を高効率に異なる波長特性を有する光へ変換することの両立が可能となる。従って、バリア層と光学調整層を一体化できるので、ディスプレイの小型、薄型化や製造工程の簡便化が可能となる。
本発明の実施形態の表示装置の構成を示す模式的な断面図である。 本発明の実施形態の波長変換シートの拡大図である。 本発明の実施形態の光源の発光特性の一例を示す図である。 本発明の実施形態の波長変換シートの発光特性の一例を示す図である。 本発明の実施形態の光源の発光特性の一例を示す図である。 本発明の実施形態の光源の発光特性の一例を示す図である。 本発明の実施形態の波長変換シートの発光特性の一例を示す図である。 (a)本発明の実施形態の光学調整層の構成を示す模式的な断面図である。(b)本発明の実施形態の光学調整層の反射率特性図である。 (a)本発明の実施形態の光学調整層の構成を示す模式的な断面図である。(b)本発明の実施形態の光学調整層の反射率特性図である。 (a)本発明の実施形態の照明装置の発光特性図である。(b)本発明の比較例の照明装置の発光特性図である。 (a)本発明の実施形態の光学調整層の構成を示す模式的な断面図である。(b)本発明の実施形態の光学調整層の反射率特性図である。 (a)本発明の実施形態の光学調整層の構成を示す模式的な断面図である。(b)本発明の実施形態の光学調整層の反射率特性図である。 (a)本発明の実施形態の光学調整層の構成を示す模式的な断面図である。(b)本発明の実施形態の光学調整層の反射率特性図である。 (a)本発明の実施形態の光学調整層の構成を示す模式的な断面図である。(b)本発明の実施形態の光学調整層の反射率特性図である。 (a)本発明の実施形態の光学調整層の構成を示す模式的な断面図である。(b)本発明の実施形態の光学調整層の反射率特性図である。 (a)本発明の実施形態の光学調整層の構成を示す模式的な断面図である。(b)本発明の実施形態の光学調整層の反射率特性図である。 (a)本発明の実施形態の照明装置の視野角特性図である。(b)本発明の比較例の照明装置の視野角特性図である。 本発明の別の実施形態の表示装置の構成を示す模式的な断面図である。 本発明の別の実施形態の表示装置の構成を示す模式的な断面図である。 なお、各図面は、模式図のため、寸法、形状、個数等は、誇張・省略して記載している。
以下では、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。すべての図面において、実施形態が異なる場合であっても、同一または相当する部材には同一の符号を付し、共通する説明は省略する。
はじめに、本実施形態の機能、特徴における作用効果について説明する。
図1に示すように、本実施形態の液晶表示装置1(表示装置)は、画像表示素子2と、この画像表示素子2の光入射側に臨ませて配置された照明装置3とを備える。また、図2は図1における波長変換シート4の拡大図を示している。
本実施形態では光学調整層13a,13bの膜厚や、積層する材質を適宜設定することで、機能層8a,8bにバリア性を付与しつつ、光源6の発光特性と、発光材料の発光特性を考慮して設計された、所定の反射率となるような反射特性を持たせている。
以下では光源6に、波長領域が青色光波長帯である300nm以上500nm以下の範囲に最大発光波長を有する光源を使用した場合の波長変換シートの特性、及び効果について説明する。なお、以下の説明における分光反射率とは、機能層8の、波長変換層15とは反対側の表面における分光反射率と定義する。
(機能層(光入射側))
まず、光源6からの光入射面側である機能層8aの反射特性と作用効果について説明する。
光源6から発光した光は、導光体7に備わる光偏向要素18により正面方向に偏向され、集光シート20で集光される。集光シート20から射出された光は、拡散シート28で拡散された後に、波長変換シート4に機能層8a側から入射する。
機能層8aは、分光反射率の最小値を、光源6が最大発光波長を有する波長領域である300nm以上500nm以下の範囲において、0.5%以上10%以下となるように使用する部材とその膜厚を決定する。また、波長領域が500nm以上680nm以下の範囲における分光反射率は、500nm以下での分光反射率より高くなるよう設定する。即ち、光源6から入射した青色光450nm付近より、緑色光550nmや赤色光600nm付近における反射率を高く設定している。
上記設定により、光源6から発光した青色光は、機能層8aの500nm以下の帯域が低反射率のため透過し、波長変換層15に入射する。ここで、波長変換層15中の発光材料15aに青色光が入射することで波長が長波長側に変換されるが、その際に、発光材料15aを中心に入射面側と射出面側の様々な方向に発光される。
ここで、機能層8aが本実施形態の反射特性を有さない場合、波長変換シート4の光入射面側に向かって発光した光は、下層の吸収により光をロスしてしまうため、効率よく光を視覚側へ進行させることが困難となる。
しかし、本実施形態では、機能層8aが長波長側に高反射率を有するため、光入射面側に向かった光を反射することができる。その結果、光射出面方向へと光の進行方向を偏向し、波長変換シート4の射出面側から射出することが可能となる。即ち、発光効率が高まる効果を有する。また、本発明にあっては、機能層8a又は機能層8aの一部を酸化ケイ素又は酸化アルミニウムからなる層とすることにより、発光層の発光特性の低下を防ぐことができる。
(機能層(光射出側))
次に、光源6からの光射出面側である機能層8bの反射特性と作用効果について説明する。
機能層8bは上述した機能層8aとは反対に、波長領域が500nm以上680nm以下の範囲において、分光反射率の最小値を0.5%以上10%以下となるよう使用する部材とその膜厚を決定する。また、波長領域が300nm以上500nm以下の範囲における分光反射率を、500nm以上(長波長側)での分光反射率より高くなるよう設定する。即ち、光源6から入射した青色光450nm付近の反射率を、緑色光550nmや赤色光600nm付近における反射率より高く設定している。
上記設定により、波長変換層15で長波長側に変換された光は、機能層8bの長波長側が低反射率となっているため透過し、波長変換シート4の射出面側から射出することができる。
ここで、機能層8bが本実施形態の反射特性を有さない場合、波長変換層15で変換されずに機能層8bに達した光(青色波長光)は変換されずに射出面側から放出されるため、波長変換効率が低下する。
しかし、本実施形態では、機能層8bが短波長側に高反射率特性を有するため、変換されずに機能層8bに達した光は反射されて再度波長変換層15に入射する。その結果、発光材料15aにより長波長側に変換されて発光する確率が高まり、発光変換効率が良くなるといった効果を奏する。また、本発明にあっては、機能層8a又は機能層8aの一部を酸化ケイ素又は酸化アルミニウムからなる層とすることにより、発光層の発光特性の低下を防ぐことができる。
なお、機能層8a,8bを単体で使用しても変換効率は高まるが、波長変換シート4の光入射側と射出側の両面に形成し、波長変換層15を挟むような構成とすることで更なる変換効率の向上が可能となる。
また、上記では、波長領域が300nm以上500nm以下の範囲に最大発光波長を有する光源を用いた場合について説明したが、これに限定されず、光源の最大発光波長と対応するように機能層の反射特性を適宜設定すればよい。
上記では本実施形態の機能、特徴作用効果について説明した。以下では、本実施形態における各層の構成の詳細を説明する。
(画像表示素子)
画像表示素子2は、液晶層9を2つの偏光板10、11で挟んで構成されている。
画像表示素子2は、画素単位で光を透過/遮光して画像を表示する素子であることが好ましく、液晶表示素子であることがより好ましい。液晶表示素子は、画素単位で光を透過/遮光して画像を表示する代表的な素子であり、他の表示素子に比べて、画像品位を高くすることができるとともに、製造コストを低減することができる。
(照明装置)
照明装置3は、波長変換シート4、拡散シート28、集光シート20および導光体7を画像表示素子2の方からこの順に配置した積層体21と、導光体7の側面に配置された光源6と、導光体7および光源6を囲む反射板5(反射部材)とを少なくとも含んで構成される。
この照明装置3は、波長変換シート4を画像表示素子2に臨ませて配置される。
(反射板)
反射板5(反射部材)は、導光体7から漏れる光を導光体7側に反射するもので、例えば、白色のポリエチレンテレフタレートフィルムのような反射シートや金属蒸着シート、誘電体が多数積層された反射シートなどによって構成される。
(光源)
光源6は、導光体7が波長変換シート4に向けて射出する光を、導光体7の側面から供給するものであり、点状、線状、または面状の光源を採用することができる。
光源6として好適な光源の例としては、例えば、LEDやレーザーを挙げることができる。LEDやレーザーの種類としては、例えば、白色や、赤色、緑色、青色、紫外のLEDやレーザー等が挙げられる。特に光源の波長が300nm以上500nm以下の領域に最大発光波長を有していれば、波長変換シート4による変換後も可視光領域に収まりやすいため望ましい。
また、光源の発光強度の最大値が半分になるときの発光分布の波長幅は、10nmから60nmの範囲であることが望ましい。より好ましくは10nmから50nmの範囲であり、さらに好ましくは10nmから40nmの範囲であり、さらに好ましくは10nmから30nmの範囲であることが望ましい。
光源6は、導光体7の光入射面の近傍において複数の光源が離間して配置された点状光源を採用している。各光源6の光軸は、一例として、光入射面に略直交する(直交する場合を含む)方向に配置されている。
(集光シート)
集光シート20は、導光体7を透過した光を、視覚方向へと集光する機能を有する部材であり、例えば、基材23の表面に複数のプリズム24が形成されたプリズムシートを採用することができる。
(拡散シート)
拡散シート28は、集光シート20によって集光された光を拡散し、また集光シート20を保護する機能、および集光シート20に形成される周期構造と画像表示素子2の周期構造とによるモアレの発生を低減する機能を有する。
拡散シート28としては、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム上に球状粒子を分散させたアクリル樹脂を塗布したシート部材を採用することができる。
また、拡散シート28は、集光シート20によって集光された光の偏光を分離する機能を有していてもよい。
このような偏光分離機能を有する拡散シート28としては、例えば、DBEF(登録商標)(スリーエム社製)に代表されるような、一方の偏光を透過し、もう一方の偏光を反射する反射型偏光分離シートを用いることができる。
(波長変換シート)
波長変換シート4は、例えば光源6から青色の光が発光したとき、この青色光により励起され波長変換を行い、例えば緑色や赤色の光を取り出し可能にする部材である。
波長変換シート4は、波長変換層15を、一対の機能層8で挟み込んだ構成となっている。
(波長変換層)
波長変換層15は、入射した光の一部をより長波長側の光に変換するものであり、透明樹脂15cに発光材料15aが分散して含まれている。
(透明樹脂)
透明樹脂15cの例としては、例えば、PMMA(ポリメチルメタクリレート)に代表されるアクリル樹脂、PET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂、PC(ポリカーボネート)樹脂、COP(シクロオレフィンポリマー)樹脂、PAN(ポリアクリロニトリル共重合体)樹脂、AS(アクリロニトリルスチレン共重合体)樹脂等の透明樹脂を挙げることができる。
(発光材料)
発光材料15aとしては、光源により励起され、異なる発光波長で発光する材料であればよく、例えばアルカリ土類元素Ca,Sr,BaやSc,Y,Laなどの化合物からなる蛍光材料や燐光材料、蓄光材料やCdSe、III族〜V族元素の化合物からなる量子ドットなどを挙げることが出来る。
発光材料15aとして、蓄光を使用することで、LEDが消灯した後も、一定時間発光する照明装置とすることが可能である。また、発光材料15aとして、量子ドットを使用することで、発光波長ピークが鋭い照明装置とすることが可能である。
量子ドットとしては、例えば、発光部としてのコアが保護膜としてのシェルにより被膜されたものが挙げられる。上記コアとしては、例えば、セレン化カドミウム(CdSe)等が挙げられ、上記シェルとしては、例えば、硫化亜鉛(ZnS)等が挙げられる。CdSeの粒子の表面欠陥がバンドギャップの大きいZnSにより被覆されることで量子効率が向上する。また、蛍光体3は、コアが第1シェル及び第2シェルにより二重に被覆されたものであってもよい。この場合、コアにはCsSe、第1シェルにはセレン化亜鉛(ZnSe)、第2シェルにはZnSが使用できる。
発光材料15aの平均粒子径は、好ましくは1nmから20nmである。
波長変換層15における発光材料15aの含有量は、波長変換層15全量を基準として、1質量%から20質量%であることが好ましく、さらには3質量%から10質量%であることがより好ましい。
(分散粒子)
波長変換層15には、発光材料15aが凝集することを抑制するために、分散粒子15bが分散されていてもよい。分散粒子15bとしては、無機酸化物からなる粒子又は樹脂からなる粒子が使用できる。例えば、無機酸化物からなる粒子としてはシリカやアルミナ等からなる粒子を挙げることができる。また、樹脂からなる粒子としては、アクリル粒子、スチレン粒子、スチレンアクリル粒子及びその架橋体、メラミン−ホルマリン縮合物の粒子、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PFA(ペルフルオロアルコキシ樹脂)、FEP(テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体)、PVDF(ポリフルオロビニリデン)、及びETFE(エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体)等の含フッ素ポリマー粒子、シリコーン樹脂粒子等を挙げることができる。これら粒子は、2種類以上を混合して使用してもよい。
透明樹脂15cと透明樹脂中の分散粒子15bとの屈折率差が大きいと、透明樹脂15cと分散粒子15bとの界面で光が散乱されてしまうため、レンズシートにより集光されていた光が再度散乱されてしまう。このため、透明樹脂15cと分散粒子15bとの屈折率差は小さい方が好ましく、両者の屈折率差が0.1以下であることが好ましい。より好ましくは0.05以下である。さらに好ましくは、0.01以下である。屈折率差が0.1より大きいと散乱光が増加し集光効果が損なわれるためである。
照明装置に本実施形態の波長変換シートを組み込む場合、透明樹脂と分散粒子での散乱光を抑制することで、波長変換シートを集光シートの上に配置することが可能となるため、照明装置に使用される集光シートの種類や枚数によらず、安定した波長変換効果を発現することが可能となる。
分散粒子15bの平均粒径は1μm以上100μm以下であることが望ましい。好ましくは1.0μm以上50μm以下である。前記粒子の粒径が1μmより小さくなると、発光材料15aを十分に分散させることが困難であり、100μmより大きくなると分散粒子が大きすぎるため発光材料15aの分散状態が低下するためである。
(機能層)
機能層8は、基材12上に光学調整層13が積層されており、基材12の光学調整層13が形成されていない面が波長変換層15に貼り合わされている。
基材12と波長変換層15は接着剤により貼り合わされていてもよく、接着層としては、例えばUV硬化型接着剤、熱硬化型接着剤、粘着材、ホットメルト剤などにより構成され、水蒸気バリア性を有することが望ましい。
(基材)
基材12としては、ガスバリア性を有するとともに、透明性、加工性および耐熱性などを有する材料により構成されることが望ましい。このような材料としては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、環状非晶性ポリオレフィンなどの熱可塑性樹脂や、多官能アクリレート、多官能ポリオレフィン、不飽和ポリエステル、エポキシ樹脂などが挙げられる。
(光学調整層)
光学調整層は、積層する材質やその膜厚を適宜設定することで、機能層8にバリア性を付与しつつ、冒頭で述べた作用効果を得るための所定の反射特性を持たせるための層である。
光学調整層13に用いる材料としては、特に限定されるものではないが、例えば、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化マグネシウムあるいはそれらの混合物を用いることができる。これらの中でも、反射性とバリア性を両立させる観点から、酸化アルミニウム又は酸化ケイ素を用いることが好ましい。
なお、本発明において、酸化ケイ素SiOxについて、xは1又は2の値を取り得る。同様に、酸化アルミニウムもAlに限定されるものではない。
なお、光学調整層13は互いに隣接する層とは異なる屈折率を有する層を複数積層してもよい。例えば、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化チタンなどの無機膜、ジルコニウムアクリレート、ハフニウムアクリレート、芳香族高分子などの有機膜、または、有機物中に酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウムなどの無機粒子が分散された有機膜等の高屈折率層を挙げることが出来る。低屈折率層としては、酸化ケイ素、フッ化マグネシウムなどの無機薄膜、または、有機物中に中空構造の粒子が分散された有機薄膜などを挙げることが出来る。これらを単体もしくは複合して積層して良いが、反射性とバリア性を両立させる観点から、少なくとも酸化アルミニウム又は酸化ケイ素を一層以上含むことが好ましい。
光学調整層13の膜厚は、バリア性を有しつつ反射性を付与する観点からは10nmから500nmの範囲内とすることが好ましく、さらには50nmから300nmの範囲内にすることがより好ましい。ここで、膜厚が10nm未満であると、膜厚が薄すぎるために均一な膜が形成できないことや、バリア材としての機能を十分に果たすことができないといった状態が生じるために好ましくない。一方、膜厚が500nmを越えると、薄膜にフレキシビリティを保持させることができず、成膜後に折り曲げ、引っ張りなどの外的要因により、薄膜に亀裂を生じる恐れがある。
(ガスバリア性被覆層)
後工程での二次的な各種損傷を防止すると共に、光学調整層13と組み合わせて高いバリア性を付与する目的で、光学調整層13の基材層12との反対側に、ガスバリア性被覆層14を形成しても良い。
ガスバリア性被覆層14は、水酸基含有高分子化合物、金属アルコキシド、金属アルコキシド加水分解物及び金属アルコキシド重合物のうち、少なくとも1種類以上を成分として有している。
水酸基含有高分子化合物としては、具体的には、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、デンプン等の水溶性高分子が挙げられるが、特にポリビニルアルコールを用いた場合にバリア性が最も優れる。
金属アルコキシドは、一般式、M(OR)n(M:Si,Ti,Al,Zr等の金属、R:CH,C等のアルキル基)で表せる化合物である。具体的にはテトラエトキシシラン[Si(OC]、トリイソプロポキシアルミニウム[Al(O−iso−C]などがあげられ、中でもテトラエトキシシラン、トリイソプロポキシアルミニウムが加水分解後、水系の溶媒中において比較的安定であるので好ましい。加水分解物および重合物としては、例えば、テトラエトキシシランの加水分解物や重合物としてケイ酸(Si(OH))などが、トリプロポキシアルミニウムの加水分解物や重合物として水酸化アルミニウム(Al(OH))などが挙げられる。
ガスバリア性被覆層14には、前述の金属アルコキシドを分解させるために、塩化錫等の触媒を添加しても良い。例えば塩化第一錫、塩化第二錫或いはこれらの混合物であってもよく、無水物でも水和物でもよい。
ガスバリア性被覆層14の膜厚は特に限定されないが、10〜500nmであることがバリア性を付与する観点から好ましい。
(プライマー層)
基材と光学調整層の間にプライマー層を設けると、光学調整層が均一に形成されてバリア性が向上し得る。また光学調整層の組成および存在比に影響されることなく、密着性が安定して得られるため、プライマー層を設けることが好ましい。
プライマー層としては、例えばアクリルポリオール、ポリビニルアセタール、ポリ−スチルポリオール、及びポリウレタンポリオール等から選択されるポリオール類と、イソシアネート化合物との2液反応によって得られる有機高分子、またはポリイソシアネート化合物および水との反応によりウレア結合を有する有機化合物、ポリエチレンイミンまたはその誘導体、ポリオレフィン系エマルジョン、ポリイミド、メラミン、フェノール、また有機変性コロイダルシリカのような無機シリカ、シランカップリング剤およびその加水分解物のような有機シラン化合物を主剤とするものなどが挙げられる。特にアクリルポリオールとイソシアネート化合物、シランカップリング剤の組み合わせが好ましい。この組み合わせからなるプライマー層を用いると、基材と光学調整層の間に、安定したさらに高い密着性を得ることができる。
プライマー層の厚みは、一般的には乾燥後の厚さで、5nmから500nmの範囲になるようにコーティングする事が望ましく、より好ましくは10nmから100nmである。5nm未満の場合は塗工技術の点から均一な塗膜が得られ難く、逆に500nmを越える場合は不経済となる傾向がある。
(光源と波長変換シートの関係)
光源6と波長変換シート4の組み合わせとしては、例えば図3に示すような400nmから500nmの範囲に最大発光波長を有する青色光源と、図4に示すような図3の青色光源により励起され500nmから600nmの範囲に最大発光波長を有する発光材料が含まれる透光性部材を用いることが出来る。
また、波長変換シート4に含まれる発光材料は1種類でなくてもよく,図5に示すような図3の青色光源により励起され500nmから600nmの範囲に一つ目の最大発光波長を有する発光材料と、550nmから650nmの範囲に2つ目の最大発光波長を有する発光材料が含まれる透光性部材を用いることが出来る。
さらに、光源6の発光波長は400nmから800nmの可視光領域でなくてもよく、例えば図6に示すような300nmから400nmの範囲に最大発光波長を有する紫外光源と、図7に示すような図6の紫外光源により励起され400nmから800nmの可視光領域においてブロードな発光波長を有する発光材料が含まれる透光性部材を用いることが出来る。
このように、光源6と波長変換シート4の組み合わせは用途に応じて適宜設定することができる。
(凹凸レンズ形状)
波長変換シート4の射出面側に、プリズム形状やマイクロレンズ形状、シリンドリカル形状などの凹凸形状を形成してもよい。上述したように、波長変換層に含まれる粒子と透明樹脂の屈折率差が大きいと、波長変換シートから射出した光は拡散性の高い配向特性を有する射出光となる。しかし、透明樹脂と分散粒子の屈折率差を小さくすることで、透明樹脂中の分散粒子による散乱性が抑制される。散乱性の強いシートの射出面にレンズ形状を形成しても、レンズ形状による集光効果は発揮されない。一方、散乱性の低いシートの射出面にレンズ形状を形成した場合、レンズ形面に入射した光は、レンズ形状に基づいた配向特性を有する光となって射出される。散乱性の小さい波長変換シートの射出面にレンズ形状を形成することで、集光効果が高まるので、集光性のある波長変換シートとすることが可能となる。
(製造方法)
波長変換シート4は、例えば次のようにして製造することができる。
始めに、基材12上に光学調整層13を形成する。このとき、光学調整層13が無機物である場合は、蒸着法や反応性スパッタ法などを用いて成膜する。一方、光学調整層13が有機物からなる場合は、スクリーン印刷などのコーティング法により成膜する。
必要に応じて、水溶性高分子(水酸基含有高分子化合物)と、(a)1種以上の金属アルコキシド及び加水分解物又は(b)塩化錫の少なくとも一方と、を含む水溶液あるいは水/アルコール混合溶液を主剤とするコーティング剤を光学調整層13の表面上に塗布して、ガスバリア性被覆層14を形成する。
次に、発光材料15aと透明樹脂15cと分散粒子15bと必要に応じて溶剤とを混合して混合液を調製し、機能層8の光学調整層13が形成されていない側の表面に塗布する。ここで、透明樹脂15cが感光性樹脂である場合、紫外線の照射によって感光性樹脂を硬化(UV硬化)させることで、本実施形態の波長変換シート4を得ることができる。なお、感光性樹脂は、UV硬化の後に更に熱硬化させてもよい。UV硬化は、例えば、100mJ/cmから1000mJ/cmで行うことができる。また、熱硬化は、例えば、60℃から120℃で0.1分から3分加熱することで行うことができる。また、透明樹脂15cとしては、感光性樹脂以外にも、熱硬化性樹脂や化学硬化性樹脂等を用いてもよい。
最後に波長変換層15を挟みこむような形で、反対側からもう一方の機能層13を積層することで、透光性波長変換部材である波長変換シート4を作成する。なお、製造方法はこれに限定されるものではない。
以下、本発明に係る波長変換シートの具体的な実施例及び比較例について説明する。なお、本発明は各実施例に限るものではない。
(実施例1)
機能層8aとして、図8(a)に示すように、基材12aとしてポリエチレンテレフタレートフィルムを100μm、基材12a上に光学調整層13aとして酸化アルミニウム膜を70nm、その上に酸化ケイ素膜を115nm、その上に酸化チタン膜を70nmとなるように真空蒸着法により成膜することで、図8(b)に示すように、波長領域が500nm以下の範囲において、分光反射率が最小値5%となり、波長領域が500nm以上の領域において分光反射率が最大値67%となる反射率特性をもつ機能層8aを得た。
また、機能層8bとして、図9(a)に示すように、基材12bとしてポリエチレンテレフタレートフィルムを100μm、基材12b上に光学調整層13bとして酸化アルミニウム膜を35nm、その上に酸化ケイ素膜を80nm、その上に酸化アルミニウム膜を70nm、以後交互に酸化ケイ素膜が80nm、酸化アルミニウム膜が70nmとなるように積層し、基材上に全部で11層積層されるように真空蒸着法により成膜することで、図9(b)に示すように、波長領域が500nm以下の範囲において、分光反射率が最大値50%となり、波長領域が500nm以上の領域において分光反射率が最小値0.5%となる反射率特性をもつ機能層8bを得た。
波長変換層15は、量子ドットとしてCdSe/ZnS 530(商品名、SIGMA−ALDRICH社製)を濃度調整し、図5で示した500nmから600nmの範囲に一つ目の最大発光波長、550nmから650nmの範囲に2つ目の最大発光波長を有した発光材料15aと、透明樹脂15cにPMMA(ポリメチルメタクリレート)と、分散粒子15bに透明樹脂15cとの屈折率差が0.005であるアクリル粒子との混合液を、600mJ/cmでUV硬化することで波長変換層15を得た。
作成した波長変換層15、機能層8をUV硬化ラミネートにより積層することで波長変換シート4を得た。
光源6には、図3で示した400nmから500nmの範囲に最大発光波長を有する青色光源を導光板と共に使用し、得られた波長変換シート4と組み合わせることで照明装置3を作成した。
(比較例1)
光学調整層13を設けず、基材12のみからなる機能層8を波長変換層15上に積層し、波長変換シート4を得た。その他の構成は実施例1と同様にして、波長変換シート4及び照明装置3を作成した。
<光学調整層の有効性評価>
実施例1と比較例1で作成した照明装置の発光分布を計測し、光学調整層の有効性評価を行った。
機能層8に光源6に対応した反射特性を持つ光学調整層13を形成した実施例1の発光分布図を図10(a)に示す。
また、機能層8に光学調整層13を形成していない比較例1の発光分布図を図10(b)に示す。
図10(a)(b)より、機能層に反射特性を持たせることで、500nm以上の波長領域において発光強度が増していることが確認できる。即ち、本発明の波長変換シートにより、光源からの入射光を効率的に変換できていることが確認できた。
(実施例2)
図11(a)に示すように、基材12aとしてポリエチレンテレフタレートフィルムの膜厚を100μm、基材12a上に光学調整層13aとして酸化ケイ素膜を真空蒸着法により60nmの膜厚に設け、ガスバリア性被覆層14aとして、テトラエトキシシランとポリビニルアルコールとを含む塗液をウエットコーティング法により170nmに成膜することで、図11(b)に示すように、波長領域が500nm以下の範囲において、分光反射率が最小値6%となり、波長領域が500nm以上の領域において分光反射率が最大値10%となる反射率特性を持つ機能層8aを形成した。
また、図12(a)に示すように、基材12bとしてポリエチレンテレフタレートフィルムの膜厚を100μm、基材12b上に光学調整層13bとして酸化ケイ素膜を真空蒸着法により70nmの膜厚に設け、ガスバリア性被覆層14bとして、テトラエトキシシランとポリビニルアルコールとを含む塗液をウエットコーティング法により240nmに成膜することで、図12(b)に示すように、波長領域が500nm以下の範囲において、分光反射率が最大値11%となり、波長領域が500nm以上の領域において分光反射率が最小値7%となる反射率特性を持つ機能層8bを形成した。
その他の構成は実施例1と同様にして、波長変換シート4及び照明装置3を作成した。
(実施例3)
図13(a)に示すように、基材12aとしてポリエチレンテレフタレートフィルムの膜厚を100μm、光学調整層13aとして酸化ケイ素膜を10nm、ガスバリア性被覆層14aとして、テトラエトキシシランとポリビニルアルコールとを含む塗液をウエットコーティング法により110nmに製膜し、同じ構成の光学調整層13aとガスバリア性被覆層14aをさらに1層ずつ積層することで、図13(b)に示すように、波長領域が500nm以下の範囲において、分光反射率が最小値7%となり、波長領域が500nm以上の領域において分光反射率が最大値9.5%となる反射率特性を持つ機能層8aを形成した。
また、図14(a)に示すように、基材12bとしてポリエチレンテレフタレートフィルムの膜厚を100μm、光学調整層13bとして酸化ケイ素膜を30nm、ガスバリア性被覆層14bとして、テトラエトキシシランとポリビニルアルコールとを含む塗液をウエットコーティング法により120nmに製膜し、同じ構成の光学調整層13bとガスバリア性被覆層14bをさらに1層ずつ積層することで、図14(b)に示すように、波長領域が500nm以下の範囲において、分光反射率が最大値11%となり、波長領域が500nm以上の領域において分光反射率が最小値7%となる反射率特性を持つ機能層8bを形成した。
その他の構成は実施例1と同様にして、波長変換シート4及び照明装置3を作成した。
(比較例2)
機能層8aについて、図15(a)に示すように、基材12aとしてポリエチレンテレフタレートフィルムの膜厚を100μmとし、光学調整層13aに酸化チタン膜を230nmとして成膜することで、図15(b)に示すように、波長領域が500nm以下の範囲において、分光反射率が最小値5%となり、波長領域が500nm以上の領域において分光反射率が最大値32%となる反射率特性をもつ機能層8aを得た。
また、機能層8bについて、図16(a)に示すように、基材12bとしてポリエチレンテレフタレートフィルムの膜厚を100μm、光学調整層13bに酸化チタン膜を190nmとして成膜することで、図16(b)に示すように、波長領域が500nm以下の範囲において、分光反射率が最大値32%となっており、波長領域が500nm以上の領域において分光反射率が最小値7%となる反射率特性をもつ機能層8bを得た。
その他の構成は実施例1と同様にして、波長変換シート4及び照明装置3を作成した。
<外観評価>
実施例1乃至3と比較例1、2で作成した照明装置の発光状態を確認し、輝度向上性(面発光の明るさ)の観点から目視評価を行った。
実施例1乃至3の波長変換シートを用いた照明装置では、光学調整層を設けていない比較例1と比べて輝度が向上していることを確認できた。
比較例2の、基材上に酸化チタン膜のみを単層で形成した波長変換シートを組み込んだ照明装置では、発光直後は実施例1乃至3と同様に輝度が向上したものの、バリア性がやや劣ることにより、時間経過と共に輝度の低下がみられた。
(比較例3)
分散粒子15bに透明樹脂との屈折率差が0.1より大きい酸化チタンを使用した。
その他の構成は実施例1と同様にして、波長変換シート4及び照明装置3を作成した。
<視野角特性評価>
実施例1と比較例3で作成した照明装置の視野角特性を測定し、分散粒子の評価を行った。
実施例1で作成した、透明樹脂15cと分散粒子15bとの屈折率差を0.005とした場合の測定結果を図17(a)に示す。
また、比較例3で作成した、透明樹脂15cと分散粒子15bとの屈折率差が0.1より大きい場合の測定結果を図17(b)に示す。
図17(a)(b)より、透明樹脂と屈折率差の小さい分散粒子を使用することで、集光した光を拡散させることなく射出することが可能となっていることが確認できる。
なお、上記各実施形態および変形例の説明では、照明装置3が液晶表示装置1に用いられた場合の例で説明したが、照明装置3は液晶表示装置1のみに適用されるものではない。例えば、看板、電子ブックのような液晶表示装置以外の表示装置の照明装置として用いることも可能である。また、表示装置と組み合わせることも必須ではなく、例えば、単独の照明装置として使用することが可能である。
上記各実施形態および変形例の説明では、波長変換シート4と導光体との間に、拡散シート28、集光シート20を有する場合の例で説明したが、これは一例であって、他の構成も可能である。例えば、拡散シート28の代わりに集光シート20を使用することも可能である。
上記各実施形態および変形例の説明では、機能層8にガスバリア性被覆層14、光学調整層13をそれぞれ有する場合の例で説明したが、これは一例であって、機能層8に他の機能を有する層を付与しても良い。例えば、ハードコート層や導電膜などを最表面に形成することも可能である。
上記実施形態の説明では、エッジライト型のバックライトに配置した場合の例で説明したが、図18に示すように、直下型のバックライトを使用してもよく、図19に示すように、ELのような面発光する照明装置に対し、張り合わせて使用してもよい。
上記に説明したすべての構成要素は、本発明の技術的思想の範囲で適宜組み合わせを代えたり、削除したりして実施することができる。
1 液晶表示装置(表示装置)
2 画像表示素子
3 照明装置
4 波長変換シート
5 反射板(反射部材)
6 光源
7 導光体
8 機能層
9 液晶層
10、11 偏光板
12 基材
13 光学調整層
14 ガスバリア性被覆層
15 波長変換層
15a 発光材料
15b 分散粒子
15c 透明樹脂
18 光偏向要素
20 集光シート
23 基材
24 プリズム
28 拡散シート
H51 高屈折率層
H61 低屈折率層
H71,H72 高屈折率層
H81,H82,H83,H84,H85,H86 高屈折率層
L81,L82,L83,L84,L85 低屈折率層
H91,H92 高屈折率層
L91,L92 低屈折率層

Claims (9)

  1. 波長変換層と、前記波長変換層を挟む位置関係で互いに対向して配置された光入射面と光射出面を有する波長変換シートであって、
    前記波長変換層は、入射光の波長を長波長側に変換する少なくとも1種類以上の発光材料を含有し、
    前記光入射面には、前記波長変換層側に形成された第一の基材層と、前記第一の基材層上に少なくとも第一の光学調整層が積層されている第一の機能層を備えており、
    前記第一の光学調整層は少なくとも酸化ケイ素又は酸化アルミニウムからなる層を有し、
    前記第一の光学調整層の前記第一の基材層とは反対側の表面における分光反射率は、波長領域が300nm以上500nm以下の範囲において最小値が0.5%以上10%以下となることを特徴とする波長変換シート。
  2. 波長変換層と、前記波長変換層を挟む位置関係で互いに対向して配置された光入射面と光射出面を有する波長変換シートであって、
    前記波長変換層は、入射光の波長を長波長側に変換する少なくとも1種類以上の発光材料を含有し、
    前記光射出面には、前記波長変換層側に形成された第二の基材層と、前記第二の基材層上に少なくとも第二の光学調整層が積層されている第二の機能層を備えており、
    前記第二の光学調整層は、
    少なくとも酸化ケイ素又は酸化アルミニウムからなる層を有し、
    波長領域が500nm以上680nm以下の範囲における分光反射率の最小値より、波長領域が300nm以上500nm以下の範囲における分光反射率の最大値が高くなっていることを特徴とする波長変換シート。
  3. 前記波長変換層を構成する透光性樹脂と前記透光性樹脂中に含有されている分散粒子との屈折率差が0.1以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の波長変換シート。
  4. 前記第一の光学調整層及び前記第二の光学調整層は、
    前記酸化ケイ素又は酸化アルミニウムからなる層に加えて、無機物、有機物、無機物と有機物の混合物のいずれかのうち、隣接する層と異なる屈折率を持つ層が積層されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の波長変換シート。
  5. 請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の波長変換シートを用いた照明装置であって、
    前記光源から射出した光は前記波長変換シートの前記光入射面側から入射することを特徴とする照明装置。
  6. 前記光源の最大発光波長が、300nm以上500nm以下の波長領域に存在していることを特徴とする請求項5に記載の照明装置。
  7. 前記光源から発光する光の発光強度の最大値が半分になるときの発光分布の波長幅が10nm以上60nm以下の範囲であることを特徴とする請求項5又は6に記載の照明装置。
  8. 請求項5乃至請求項7のいずれか1項に記載の照明装置を備え、前記波長変換シートの観測者側に画像を表示する表示パネルおよびカラーフィルターが配置されていることを特徴とする表示装置。
  9. 前記波長変換シートの光射出面側に、プリズム形状、マイクロレンズ形状のいずれかが形成された光学シートが積層されていることを特徴とする請求項8に記載の表示装置。
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