JP2018197318A - 硬化性組成物、硬化物及び積層体 - Google Patents
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Abstract
Description
そこで、特許文献1では、有機EL素子の封止材に適した樹脂組成物と、硬化性に優れ、可視光透過率、硬化収縮率、水蒸気透過度の低い硬化物を得るために、2つの芳香環構造を有する化合物を硬化性組成物に含有させることが提案されている。
気バリア性、硬度、耐傷付き性の観点から工業的な実用化には更なる改良が必要であることを見出した。
成分(A):不飽和二重結合及び多環構造を有し、重量平均分子量(Mw)が3,000〜150,000である(メタ)アクリル酸エステル系重合体
成分(B):多官能(メタ)アクリレート
(2)前記成分(A)及び前記成分(B)の合計量に対して、前記成分(A)を40〜90重量%含む、(1)に記載の硬化性組成物。
(3)前記成分(A)における不飽和二重結合が、(メタ)アクリロイル基である、(1)又は(2)に記載の硬化性組成物。
(4)前記成分(A)における多環構造が、芳香族炭化水素構造及び脂環族炭化水素構造からなる群から選択される少なくとも1つの炭化水素構造を含む、(1)〜(3)のいずれかに記載の硬化性組成物。
(5)前記成分(A)における多環構造が、ビフェニル構造、ナフタレン構造、トリシクロデカン構造及びアダマンチル構造からなる群から選択される少なくとも1つを含む、(1)〜(4)のいずれかに記載の硬化性組成物。
(6)前記成分(A)が、前記(メタ)アクリル化合物及び前記(メタ)アクリル酸エステル系重合体のブロック共重合体またはグラフト共重合体である、(1)〜(5)のいずれかに記載の硬化性組成物。
(7)前記成分(A)として、多環構造を有する(メタ)アクリル化合物の重合体を側鎖に有する(メタ)アクリル酸エステル系重合体を含む、(6)に記載の硬化性組成物。
(8)有機溶媒を含み、硬化性組成物中の固形分濃度が5〜95重量%である、(1)〜(7)のいずれかに記載の硬化性組成物。
(9)前記有機溶媒が、飽和炭化水素系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶媒、アルコール系溶媒及びケトン系溶媒からなる群から選択される少なくとも1つを含む、(8)に記載の硬化性組成物。
(10)重合開始剤を含み、かつその含有量が、成分(A)及び成分(B)の合計100重量部に対して0.01〜20重量部である、(1)〜(9)のいずれかに記載の硬化性組成物。
(11)(1)〜(10)のいずれかに記載の硬化性組成物からなる硬化物。
(12)基材とハードコート層とを有する積層体であり、該ハードコート層が(1)〜(10)のいずれかに記載の硬化性組成物からなる積層体。
(13)前記基材がプラスチック基材である、(12)に記載の積層体。
(14)前記プラスチック基材が、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、トリアセチルセルロース樹脂からなる群から選択される少なくとも1つを含む、(13)に記載の積層体。
本発明の硬化性組成物は、下記成分(A)及び成分(B)を含むものである。
成分(A):不飽和二重結合及び多環構造を有し、重量平均分子量(Mw)が3,000〜150,000である(メタ)アクリル酸エステル系重合体
成分(B):多官能(メタ)アクリレート
本発明の硬化性組成物は、下記成分(A)を含む硬化性組成物である。
成分(A):不飽和二重結合及び多環構造を有し、重量平均分子量(Mw)が3,000〜150,000である(メタ)アクリル酸エステル系重合体
ここで、不飽和二重結合としては、特に限定されないが、ビニル基、ビニルエーテル基、アリル基、(メタ)アクリロイル基が挙げられる。これらのなかでも、紫外線硬化時の反応率に優れるビニルエーテル基、(メタ)アクリロイル基が好ましく、(メタ)アクリロイル基が特に好ましい。
これらのなかでも、ヘテロ原子を含まず低極性となりやすい、芳香族炭化水素構造及び脂環族炭化水素構造のうちの少なくとも一方であることが特に好ましい。より具体的には、多環構造がビフェニル構造、ナフタレン構造、トリシクロデカン構造及びアダマンチル構造から選ばれる少なくとも1種であることが入手容易であるため、最も好ましい。
成分(a)の具体例としては、ナフチルアクリレート、4-アクリロイルオキシエチル
ジフェニルエーテル(例えば、共栄社化学株式会社製、製品名:POB-A)、9,9-ビス[4-(2-アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン(例えば、新中村化学工業株式会社製、製品名:A−BPEF)、エトキシ化オルトフェニルフェノールアクリレート(例えば、新中村化学工業株式会社製、製品名:A−LEN−10T)、アダマンチルアクリ
レート、トリシクロデシルアクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート(例えば、共栄社化学株式会社製、製品名:DCP-A)が挙げられる。これらのなかでも
、4-アクリロイルオキシエチルジフェニルエーテル、トリシクロデシルアクリレート、
エトキシ化オルトフェニルフェノールアクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレートが特に好ましい。
また、成分(A)の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは3,000以上であり、より好ましくは5,000以上であり、特に好ましくは7,000以上であり、最も好ましくは7,500以上である。一方、好ましくは150,000以下であり、より好ましくは100,000以下であり、特に好ましくは80,000以下であり、最も好ましくは40,000以下である。上記範囲において、成分(A)の重量平均分子量(Mw)が上記範囲内であれば、透湿防止性と他成分との相溶性が良好であるため好ましい。
機器 :東ソー株式会社製「HLC−8120GPC」
カラム:東ソー株式会社製「TSKgel Super H3000+H4000+H6000」
検出器:示差屈折率検出器(RI検出器/内蔵)
溶媒 :テトラヒドロフラン
温度 :40℃
流速 :0.5ml/分
注入量:10μL
濃度 :0.2重量%
較正試料:単分散ポリスチレン
較正法:ポリスチレン換算
反応器に、上記の成分(a)、エポキシ基を有する(メタ)アクリレート、必要に応じてその他の成分、溶媒を仕込み、撹拌開始後に系内を窒素置換し、昇温し、ここへラジカル重合開始剤、連鎖移動剤を添加した後、系内をさらに昇温し、撹拌した後、更にラジカル重合開始剤を添加して数時間撹拌する。さらに、系内を昇温し、撹拌した後、溶媒を加え、再度系内を昇温する。ここへ、触媒等を添加した後、不飽和二重結合を有する化合物等を加え、さらに昇温して数時間撹拌する。
と透湿防止性が良好であることから好ましい。
。
本発明の硬化性組成物は、成分(A)に加え、成分(B)として多官能(メタ)アクリレートを含む。
メタ)アクリレートであると、形成するハードコート層等の硬度を確保し易くなる。また、本発明の硬化性組成物に含むことのできる多官能(メタ)アクリレートは、1種類に限られず、2種類以上が含まれていてもよい。
本発明の硬化性組成物は、硬化性を向上させるために、成分(C)として、ラジカル重合開始剤を含有することが好ましい。
本発明の硬化性組成物は、有機溶媒を含むことが好ましい。また、本発明の硬化性組成物が有機溶媒を含む場合、固形分濃度が5〜95重量%であることが好ましい。固形分濃度が5重量%以上であることが、各成分の分散性を良好なものとし、透明性を良好なものとする観点から好ましく、また、硬化性組成物の意図しない硬化反応(ゲル化等)を防ぐためにも好ましい。また、固形分濃度が95重量%以下であることが塗工性、保存安定性の観点から好ましい。これらの観点から固形分濃度は、より好ましくは10重量%以上であり、更に好ましくは15重量%以上であり、特に好ましくは20重量%以上であり、最も好ましくは25重量%以上であり、また、より好ましくは90重量%以下であり、更に好ましくは80重量%以下であり、特に好ましくは70重量%以下、最も好ましくは60重量%以下である。なお、本発明において、「固形分」とは溶媒を除いた成分を意味するものであり、固体の成分のみならず、半固形や粘稠な液状物のものをも含むものとする。
ソプロピル、エチレングリコールジアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル系溶媒;ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミド系溶媒;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ系溶媒;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン系溶媒等が挙げられる。
本発明の硬化性組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲で成分(A)、成分(B)、成分(C)以外のその他の成分を含んでいてもよい。その他の成分としては、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤、充填剤(無機粒子に該当するものを除く。)、反応性希釈剤(ただし、成分(A)、成分(B)、成分(C)のいずれかに該当するものを除く。)、帯電防止剤、有機顔料、スリップ剤、分散剤、チクソトロピー性付与剤(増粘剤)、消泡剤、酸化防止剤、熱可塑性樹脂(ただし、成分(A)、成分(B)、成分(C)のいずれかに該当するものを除く。)等が挙げられる。
本発明の硬化性組成物の製造方法は特に制限されないが、例えば、成分(A)、成分(B)、成分(C)及び必要により適宜、有機溶媒、その他の成分等を混合することにより得ることができる。各成分の混合に際しては、ディスパーザー、撹拌機等で均一に混合することが好ましい。
本発明の硬化性組成物に活性エネルギー線を照射する等して硬化させることにより、本発明の硬化性組成物が硬化した硬化物(「本発明の硬化物」と称することがある。)を得ることができる。また、本発明の硬化性組成物を基材の上に塗布し、これに活性エネルギー線を照射してハードコート層を形成することにより、基材上に本発明の硬化物が形成されている積層体を得ることができる。特に、本発明の硬化性組成物を基材の上等に塗布し、フィルム状に硬化させることで、ハードコートフィルムを得ることができる。なお、本発明において、「塗布」とは一般的に「塗工」と呼ばれるものも含む概念として用いることとする。
材、ガラス基材に好適であり、特にプラスチック基材に適しており、プラスチック基材の中でもトリアセチルセルロース樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂に特に好適である。なお、以上に挙げた基材は1種のみを用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の硬化性組成物は、紫外線硬化性が良好であるため生産性が良好である。加えて、耐傷付性と透明性、水蒸気バリア性に優れるため、これらの性能が要求される用途においていずれの用途においても好適に用いることが可能である。具体的には、液晶表示装置(液晶ディスプレイ)、発光ダイオードディスプレイ(LED)、エレクトロルミネセンスディスプレイ(ELD)、蛍光ディスプレイ(VFD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)等のパネルディスプレイ、;銀行ATM、自動販売機、携帯情報端末(スマートホン、タブレット端末、PDA)、複写機、ファクシミリ、ゲーム機、博物館、デパート等の施設に設置される案内表示装置;カーナビゲーション、マルチメディアステーション(コンビニエンスストアに設置される多機能端末機)、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末等のモニタ装置として広く好適にも用いることができる。
なお、以下の実施例における各種の製造条件や評価結果の値は、本発明の実施態様における上限又は下限の好ましい値としての意味をもつものであり、好ましい範囲は前記した
上限又は下限の値と、下記実施例の値又は実施例同士の値との組み合わせで規定される範囲であってもよい。
以下の実施例、比較例においては以下の方法により各種評価を行った。
ハードコートフィルムの全光線透過率(Tt(%))は、ハードコートフィルムに対する入射光強度(T0)とハードコートフィルムを透過した全透過光強度(T1)とを測定し、下記式により算出した。
なお、全光線透過率の測定は、濁度計(日本電色工業株式会社製)を用いて測定した。
全光線透過率は85.0%以上であることが好ましい。
Tt(%)=(T1/T0)×100
なお、ヘイズメーター(村上色彩技術研究所)を用いて測定した。
ヘイズ値が低いほど好ましく、5.0%以下であることが好ましい。
H(%)=(Td/Tt)×100
H:ヘイズ(曇価)(%)
Td:拡散透光率(%)
Tt:全光線透過率(%)
ハードコートフィルムの透湿度はJIS Z−2808(1976年)に準拠して下記式より算出した。
透湿度[g/m2・24h]= 240× m / (t × s)
ここに、
s:透湿面積 (cm2)
t:試験を行った最後の二つのひょう量間隔の時間の合計 (h)
m:試験を行った最後の二つのひょう量間隔の増加質量の合計 (mg)
なお、本発明で使用した透湿カップの透湿面積は28cm2、透湿度の測定環境は、40℃、相対湿度90%、測定時間は24時間である。
よって、
透湿度[g/m2・24h]= 0.36× m となる。
また、各カップに塩化カルシウム(無水)を10g入れて透湿度の測定を実施した。
さらに、上記で算出した透湿度を以下の基準で評価した。
◎:透湿度が 300g/m2・24h未満
○:透湿度が 300g/m2・24h以上 500g/m2・24h未満
×:透湿度が 500g/m2・24h以上
ハードコートフィルムの鉛筆硬度は、JIS K−5600(2014年)に準拠し、荷重750gで引っ掻き試験を実施した。
ハードコートフィルムの耐擦傷性は、ボンスター製スチールウール(#0000)を125g/cm2の荷重をかけながら、塗膜に対して20回往復摩擦した後の塗膜の傷付性
を目視で評価した。
◎:塗膜は無傷である
○:塗膜に10本未満の傷付きが見える
△:塗膜に10本以上、100本未満の傷付きが見える
×:塗膜に無数の傷が入り、傷により塗膜が白化する
硬化性組成物の原料として用いた成分(a−1)、成分(a−2)、成分(A)〜(C)は以下の通りである。
a−1:エトキシ化オルトフェニルフェノールアクリレート(新中村化学工業株式会社製、商品名:A−LEN−10T)
a−2:ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート(共栄社化学株式会社製、商品名:DCP-A)
A−1:
撹拌機、還流冷却管及び温度計を取り付けた反応器に、成分(a−1) 80g、グリ
シジルメタクリレート20g、メチルイソブチルケトン(MIBK)103.25gを仕込み、撹拌開始後に系内を窒素置換し、55℃まで昇温し、ここへ2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬工業社製「V−65」)1.0g、1−ドデカンチオール(和光純薬社製)2.0gを添加した後、系内を65℃まで昇温し、3時間撹拌した後、更にV−65を0.25g添加して65℃で3時間撹拌した。系内を100℃まで昇温し、30分間撹拌した後、MIBK37.27gを加え、再度系内を100℃まで昇温した。ここへ、p−メトキシフェノール0.28gとトリフェニルホスフィン1.12gを添加した後、アクリル酸10.34gを加え、110℃まで昇温して6時間撹拌した。重量平均分子量7,100の共重合体(A−1)のMIBK溶液を得た。なお、共重合体(A−1)のMIBK溶液の組成は[共重合体(A−1)の重量]/[MIBKの重量]=45/55(固形分45重量%)となるようにした。
撹拌機、還流冷却管及び温度計を取り付けた反応器に、成分(a−1) 60g、グリ
シジルメタクリレート40g、メチルイソブチルケトン(MIBK)103.25gを仕込み、撹拌開始後に系内を窒素置換し、55℃まで昇温し、ここへ2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬工業社製「V−65」)1.0g、1−ドデカンチオール(和光純薬社製)2.0gを添加した後、系内を65℃まで昇温し、3時間撹拌した後、更にV−65を0.25g添加して65℃で3時間撹拌した。系内を100℃まで昇温し、30分間撹拌した後、MIBK50.06gを加え、再度系内を100℃まで昇温した。ここへ、p−メトキシフェノール0.26gとトリフェニルホスフィン1.23gを添加した後、アクリル酸20.68gを加え、110℃まで昇温して6時間撹拌した。重量平均分子量8,400の共重合体(A−2)のMIBK溶液を得た。なお、共重合体(A−2)のMIBK溶液の組成は[共重合体(A−2)の重量]/[MIBKの重量]=45/55(固形分45重量%)となるようにした。
B−1:ジペンタエリスリトールテトラアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとの混合物(日本化薬社製、商品名:カヤラッドDPHA)
C−1:1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(BASF社製、商品名:Irgacure184)
る。
機器 :東ソー株式会社製「HLC−8120GPC」
カラム:東ソー株式会社製「TSKgel Super H3000+H4000+H6000」
検出器:示差屈折率検出器(RI検出器/内蔵)
溶媒 :テトラヒドロフラン
温度 :40℃
流速 :0.5ml/分
注入量:10μL
濃度 :0.2重量%
較正試料:単分散ポリスチレン
較正法:ポリスチレン換算
原料として、「A−1」、「A−2」、「a−1」、「a−2」、「B−1」、「C−1」のそれぞれを用い、表1の組成となるように配合した。さらにメチルエチルケトン(MEK)の混合溶媒で固形分濃度が30重量%となるように希釈し、硬化性組成物を得た。
また、バーコーターにて乾燥後の膜厚が3μmとなるようにTAC(富士フィルム社製、製品名:TG40UL、40μm)に塗工し、80℃にて1分間乾燥させた。乾燥後、紫外線(UV)照射(条件:500mJ/cm2、450mW/cm2)によって硬化させ、ハードコート層を形成して積層体(ハードコートフィルム)を得た。この積層体について、前記の方法により、全光線透過率、ヘイズ、透湿度の評価を行った。その結果を表1に示す。
表1より、本発明の構成を充足する実施例の硬化性組成物は、基材の上等に塗布し、フ
ィルム状に硬化させることで、ハードコートフィルムとした場合に、透明性が良好でヘイズも低く、水蒸気バリア性が良好であり、硬度、耐傷付き性に優れることが分かる。一方、単に多官能アクリレートを含んでいるのみの硬化性組成物である比較例1は、水蒸気バリア性が不合格となっている。また、単に不飽和二重結合及び多環構造を有するモノマーである成分aを用いた硬化性組成物である比較例2〜4は、ヘイズも高く、耐傷付き性も
改善の余地があり、水蒸気バリア性も不十分であった。
本発明が効果を奏する理由は未だ明らかでないが、以下のとおり推察される。
つまり、本発明の硬化性組成物では、成分(A)が多環構造を有していることで、芳香環が効率よくスタッキングされるものと推察する。そのため、硬化性組成物が低極性であり、さらに芳香環のスタッキングが水分子の透過を阻害する結果となり、フィルム状に硬化させることで、ハードコートフィルムとした場合に、高温での水蒸気バリア性を向上できる。さらに、成分(A)が特定の重量平均分子量をもっていることで、水蒸気バリア性や耐傷付き性が向上している。そのため、本発明の効果を奏するものとなった。
Claims (14)
- 下記成分(A)及び成分(B)を含む、硬化性組成物。
成分(A):不飽和二重結合及び多環構造を有し、重量平均分子量(Mw)が3,000〜150,000である(メタ)アクリル酸エステル系重合体
成分(B):多官能(メタ)アクリレート - 前記成分(A)及び前記成分(B)の合計量に対して、前記成分(A)を40〜90重量%含む、請求項1に硬化性組成物。
- 前記成分(A)における不飽和二重結合が(メタ)アクリロイル基である、請求項1又は2に記載の硬化性組成物。
- 前記成分(A)における多環構造が、芳香族炭化水素構造及び脂環族炭化水素構造からなる群から選択される少なくとも1つの炭化水素構造を含む、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
- 前記成分(A)における多環構造が、ビフェニル構造、ナフタレン構造、トリシクロデカン構造及びアダマンチル構造からなる群から選択される少なくとも1つを含む、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
- 前記成分(A)が、(メタ)アクリル化合物及び(メタ)アクリル酸エステル系重合体のブロック共重合体またはグラフト共重合体である請求項1乃至5のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
- 前記成分(A)として、多環構造を有する(メタ)アクリル化合物の重合体を側鎖に有する(メタ)アクリル系重合体を含む、請求項6に記載の硬化性組成物。
- 有機溶媒を含み、硬化性組成物中の固形分濃度が5〜95重量%である、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
- 前記有機溶媒が、飽和炭化水素系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶媒、アルコール系溶媒及びケトン系溶媒からなる群から選択される少なくとも1つを含む、請求項8に記載の硬化性組成物。
- 重合開始剤を含み、かつその含有量が、成分(A)及び成分(B)の合計100重量部に対して0.01〜20重量部である、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
- 請求項1乃至10のいずれか1項に記載の硬化性組成物からなる硬化物。
- 基材とハードコート層とを有する積層体であり、該ハードコート層が請求項1乃至10のいずれか1項に記載の硬化性組成物からなる積層体。
- 前記基材がプラスチック基材である、請求項12に記載の積層体。
- 前記プラスチック基材が、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、トリアセチルセルロース樹脂からなる群から選択される少なくとも1つを含む、請求項13に記載の積層体。
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