JP6311549B2 - 硬化性組成物、硬化物及び積層体 - Google Patents
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Description
成分(A):重量平均分子量(Mw)が5,000〜100,000であり、(メタ)アクリロイル基を有し、かつ当該(メタ)アクリロイル基に含まれる不飽和二重結合量(以下、単に「不飽和二重結合量」という。)が2.0〜5.0mmol/gである(メタ)アクリル酸エステル系重合体
成分(B):チオール化合物
射してなる硬化物。
本発明の硬化性組成物は、下記成分(A)、成分(B)及び有機溶媒を含み、成分(A)100重量部に対し、成分(B)を0.01〜30重量部含有し、かつ固形分濃度が5〜95重量%であるものである。
成分(A):重量平均分子量(Mw)が5,000〜100,000であり、不飽和二重結合を有し、かつ不飽和二重結合量が2.0〜5.0mmol/gである(メタ)アクリル酸エステル系重合体
成分(B):チオール化合物
本発明に用いる成分(A)の(メタ)アクリル酸エステル系重合体は、重量平均分子量(Mw)が5,000〜100,000であり、不飽和二重結合を有し、かつ不飽和二重結合量が2.0〜5.0mmol/gであるものであれば特に制限されない。ここで、「(メタ)アクリル酸エステル系重合体」とは、原料として用いる炭素間不飽和二重結合(C=C)を有するラジカル重合性モノマー全量に対し、(メタ)アクリル酸エステルを50モル%以上用いて得られる重合体を意味する。
とする観点から、重量平均分子量(Mw)は、7,000以上であることが好ましく、9,000以上であることがより好ましく、11,000以上であることが更に好ましく、13,000以上であることが特に好ましく、一方、80,000以下であることが好ましく、60,000以下であることがより好ましく、40,000以下であることが更に好ましい。なお、(メタ)アクリル酸エステル系重合体の重量平均分子量(Mw)は、GPC法(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法)を用いて、ポリスチレン標準による換算値として決定することができる。成分(A)の重量平均分子量の具体的な測定方法は後掲の実施例に示す。
イソシアネートエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
リレート、ラウロキシ(ポリ)エチレングリコール(メタ)アクリレート、ステアロキシ(ポリ)エチレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは1種のみを用いても、2種以上を用いてもよい。
好ましくは1.0〜15重量部である。
本発明に用いる成分(B)のチオール化合物は分子中に少なくとも1個のチオール基を有する化合物であれば、特に制限されない。
本発明の硬化性組成物は、有機溶媒を含み、固形分濃度が5〜95重量%である。固形分濃度が5重量%以上であることが、硬化性組成物の意図しない硬化反応(ゲル化等)を防ぐために必要であり、また、95重量%以下であることが塗工性の観点から必要である。これらの観点から固形分濃度は、好ましくは10重量%以上であり、より好ましくは15重量%以上であり、また、好ましくは90重量%以下であり、より好ましくは85重量%以下であり、更に好ましくは80重量%以下である。なお、本発明において、「固形分」とは溶媒を除いた成分を意味するものであり、固体の成分のみならず、半固形や粘稠な液状物のものをも含むものとする。
本発明の硬化性組成物は、活性エネルギー線による硬化性を向上させるために、重合開始剤を含有することが好ましい。
シ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル-プロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイル-ジフェニル−フォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド等が挙げられる。これらの重合開始剤は1種をのみで用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の硬化性組成物は、更に、平均一次粒子径が1μm以下の無機粒子を含有することが好ましい。このような無機粒子を含有することにより、硬度、アンチブロッキング性が更に優れたハードコート層を形成し得る硬化性組成物を得ることができる。
[平均一次粒子径(nm)]=6,000/〔[比表面積(m2/g)]×[密度(g/cm3)]〕
また、上記上限値以下であると透明性の観点から好ましい。
本発明の硬化性組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲で成分(A)、成分(B)、有機溶媒、重合開始剤及び無機粒子以外のその他の成分を含んでいてもよい。その他の成分としては、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤、無機粒子以外の充填剤、シランカップリング剤、反応性希釈剤、帯電防止剤、有機顔料、スリップ剤、分散剤、チクソトロピー性付与剤(増粘剤)、消泡剤、酸化防止剤等が挙げられる。
本発明の硬化性組成物の製造方法は特に制限されないが、例えば、成分(A)、(B)、有機溶媒及び必要により適宜、重合開始剤、無機粒子、その他の成分等を混合することにより得ることができる。各成分の混合に際しては、ディスパーザー、撹拌機等で均一に混合することが好ましい。
本発明の硬化性組成物に活性エネルギー線を照射する等して硬化させることにより、本発明の硬化物を得ることができる。特に、本発明の硬化性組成物を基材の上等に塗布して硬化させることにより、本発明の硬化性組成物よりなる硬化層を基材上に形成してなる積層体とすることができる。また、このように、本発明の硬化性組成物を基材の上等に塗布し、フィルム状に硬化させることで、ハードコートフィルム(ハードコート層)を得ることができる。また、基材として他の樹脂フィルム上に本発明の硬化性組成物を塗布し、硬化させてハードコートフィルムを成形することで、他の樹脂フィルム上にハードコートフィルムを積層してなるフィルム積層体が得られる。なお、本発明において、「塗布」とは一般的に「塗工」と呼ばれるものも含む概念として用いることとする。
外線、電子線、X線、赤外線及び可視光線が含まれる。これらの活性エネルギー線のうち硬化性と樹脂劣化防止の観点から好ましいのは紫外線及び電子線である。
本発明の硬化性組成物より得られる硬化物は、硬度、アンチブロッキング性に優れるため、転写フィルム用の硬化性組成物として好適に用いることができる。例えば内装・外装用の建装材や自動車、家電、情報電子材料等の各種部材等に有効に適用することが可能である。特に、本発明の硬化性組成物より得られる硬化物は、これをトップコート層とする加飾フィルムとして有用である。
以下の実施例及び比較例で調製した塗液(硬化性組成物)を用いて製造した硬化膜(ハードコートフィルム)を用い、以下の方法によりアンチブロッキング性を評価した。
ハードコートフィルムの全光線透過率(Tt(%))は、ハードコートフィルムに対する入射光強度(T0)とハードコートフィルムを透過した全透過光強度(T1)とを測定し、下記式により算出した。なお、全光線透過率の測定は、濁度計(日本電色工業株式会社製)を用いて測定した。全光線透過率は85.0%以上であることが好ましい。
Tt(%)=(T1/T0)×100
H(%)=(Td/Tt)×100
H:ヘーズ(曇価)(%)
Td:拡散透光率(%)
Tt:全光線透過率(%)
得られた硬化膜に対し、JIS−K5600に従い鉛筆硬度を測定した。
硬化性重合体組成物1.2gを用いて、E型粘度計(トキメック社製「TVE−20H」)で回転数10rpm、ローター1°34’×R24に設定し、25℃で粘度を測定した。
以下の実施例1〜3、比較例1に示す硬化性組成物を、A4サイズのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚み:125μm)上に乾燥後膜厚4〜5μmとなるように塗布し、80℃×1分で乾燥を行った。
樹脂塗布フィルム及びPETフィルムを1枚ずつ用意し、23℃、相対湿度60%下で樹脂塗布フィルムとPETフィルムを重ね合わせた。その上から400g/cm2の荷重
を24時間負荷した後、樹脂塗布フィルム上の樹脂がPETフィルムに張り付き(ブロッキング)を評価した。その時の外観を以下のように評価した。また、重ねたフィルムを剥離したときに樹脂の凝集破壊が生じるかを評価した。
◎:張り付きが全く起きなかった。
○:重ねあわせた面積のうち、張り付きが起きた面積は40%未満であった。
×:重ねあわせた面積のうち、張り付きが起きた面積は40%以上であった。
◎:剥離したフィルムに痕は残らなかった。
○:剥離時わずかに剥離に伴う音がするものの、痕は残らなかった。
×:剥離時バリバリと剥離に伴う音が生じ、樹脂の凝集破壊による痕が残った。
以下の実施例及び比較例で用いた成分(A)(A−1及びA−2)と成分(B)(B−1)は以下の方法で合成した。
温度計、攪拌機及び還流冷却管を備えたフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテル157.3g、グリシジルメタクリレート98.0g、メチルメタクリレート1.0g、エチルアクリレート1.0g、メルカプトプロピルトリメトキシシラン1.9g、及び2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1.0gを入れ、65℃
で3時間反応させた。その後、更に2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリ
ル)0.5gを加えて3時間反応させた後、プロピレングリコールモノメチルエーテル138.1gとp−メトキシフェノール0.45gを加え100℃まで加熱した。次に、アクリル酸50.7g、及びトリフェニルホスフィン3.08gを添加して、110℃で6時間反応させることで、アクリロイル基とメトキシシリル基を有する、重量平均分子量(Mw)20,100で不飽和二重結合量4.5mmol/g(ここではアクリロイル当量(アクリロイル基の導入量)も4.5mmol/gであった。)、のアクリル酸エステル系重合体を得た(固形分:30重量%)。以下、このアクリル酸エステル系重合体を「A−1」と表記する。
温度計、攪拌機及び還流冷却管を備えたフラスコに、アクリル酸エステル系重合体「A−1」を100g(固形分:30g)、コロイダルシリカゾル(日産化学製MEK-ST
、シリカ含有量:30重量%)33.3g、アセチルアセトンアルミニウム0.027g、水0.033gを入れ、70℃で4時間シランカップリング反応を行った。以下、このコロイダルシリカとアクリル酸エステル系重合体のシランカップリング反応を行ったものを「A−2」と表記する。
機器 :東ソー株式会社製「HLC−8120GPC」
カラム:東ソー株式会社製「TSKgel Super H3000+H4000+H6000」
検出器:示差屈折率検出器(RI検出器/内蔵)
溶媒 :テトラヒドロフラン
温度 :40℃
流速 :0.5ml/分
注入量:10μL
濃度 :0.2重量%
較正試料:単分散ポリスチレン
較正法:ポリスチレン換算
(硬化性組成物の製造)
四つ口フラスコに、成分(A)として、(A−1)の溶液を固形分として100重量部、成分(B)として、トリス−((3−メルカプトプロピオニルオキシ)−エチル)−イソシアヌレート(SC有機化学株式会社性 TEMPIC)(B−1)のメチルエチルケトン20重量%溶液を固形分として5.3重量部、重合開始剤として1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(BASF社製「イルガキュア(登録商標)184」)を0.53重量部加え、更にプロピレングリコールモノメチルエーテルを固形分濃度が20重量%となるように加えることで、硬化性組成物を得た。
得られた硬化性組成物を、厚さ125μmの透明な二軸延伸PETフィルム(ヘーズ値:0.8%、三菱樹脂社製 商品名:ダイアホイル(登録商標)O321E)に、バーコーターを用いて、乾燥後の塗膜厚さが4〜5μmとなるように塗布し、80℃で1分間加熱乾燥した。
硬化性組成物の塗膜が形成されたPETフィルムを、出力密度120W/cmの高圧水銀灯を光源として、光源下15cmの位置で、アイグラフィック社製EYE UV METER UVPF−A1、PD365を使用して積算光量500mJ/cm2となるように紫外線を照射して、硬化膜を得た。
調製した硬化性組成物(塗液)と形成された硬化膜(ハードコートフィルム)について、前述の評価を行い、その結果を表−1に示した。
表−1に示したように原料、溶媒とこれらの含有量を変更した以外は実施例1と同様にして硬化性組成物を製造した。また、それぞれの硬化性組成物を実施例1と同様にして評価し、その結果を表−1に示した。
表−1より、本発明に該当する実施例1〜3は、比較例1に対していずれも高硬度を有し、かつ良好なアンチブロッキング性を示すことがわかる。
Claims (10)
- 下記成分(A)、成分(B)及び有機溶媒を含み、成分(A)100重量部に対し、成分(B)を0.01〜30重量部含有し、かつ固形分濃度が5〜95重量%である硬化性組成物。
成分(A):重量平均分子量(Mw)が5,000〜100,000であり、(メタ)アクリロイル基を有し、かつ当該(メタ)アクリロイル基に含まれる不飽和二重結合量が2.0〜5.0mmol/gである(メタ)アクリル酸エステル系重合体
成分(B):チオール化合物 - 成分(B)が多官能チオール化合物である、請求項1に記載の硬化性組成物。
- 前記有機溶媒が、飽和炭化水素系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶媒、アルコール系溶媒及びケトン系溶媒から選ばれる少なくとも1種である、請求項1又は2に記載の硬化性組成物。
- 成分(A)が、エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステル系重合体と(メタ)アクリル酸とが反応して得られるものである、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
- 平均一次粒子径が1μm以下である無機粒子を含み、かつその含有量が成分(A)100重量部に対し、0.05〜100重量部である、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
- 前記無機粒子がシリカである、請求項5に記載の硬化性組成物。
- 前記無機粒子が、成分(A)により表面修飾されたものである、請求項5又は6に記載の硬化性組成物。
- 重合開始剤を含み、かつその含有量が成分(A)及び成分(B)の合計100重量部に対し、0.01〜20重量部である、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
- 請求項1乃至8のいずれか1項に記載の硬化性組成物に活性エネルギー線を照射してなる硬化物。
- 基材とハードコート層とを有する積層体であり、ハードコート層が請求項1乃至9のいずれか1項に記載の硬化性組成物を該基材上に塗布し、これに活性エネルギー線を照射して形成されたものである積層体。
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