JP7031325B2 - バリアフィルム、及びバリアフィルムを用いた波長変換シート - Google Patents
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基材層と、バリア層と、が積層され、
前記蛍光体層が積層される側における前記バリアフィルムの表面にはプライマー層が更に積層され、
前記プライマー層はポリウレタン系樹脂を含有し、
前記プライマー層のインデンテーション硬度は10MPa以上100MPa以下であるバリアフィルム。
基材層と、バリア層と、が積層された積層体の1の表面に、ポリウレタン系樹脂組成物と、硬化剤と、を含有するプライマー剤を塗布するプライマー剤塗布工程と、
前記積層体の1の表面に塗布されたプライマー剤を硬化させてプライマー層を形成するプライマー層形成工程と、
を含む、バリアフィルムの製造方法。
前記2つの積層体の表面に塗布された前記プライマー剤をそれぞれ硬化させてプライマー層をそれぞれ形成して2つのバリアフィルムを製造するプライマー層形成工程と、
前記2つのバリアフィルムの1のバリアフィルムにおける前記プライマー層の表面に蛍光体と封止樹脂組成物とが含有された混合液を塗布し、前記2つのバリアフィルムの他のバリアフィルムのプライマー層の積層側の面と混合液の塗布面とを接触させ、前記混合液を硬化させて蛍光体層を形成する蛍光体層形成工程と、
を含む、波長変換シートの製造方法。
本実施形態の波長変換シート1は、図1に示すように、蛍光体112と封止樹脂111とが含有される蛍光体層11と、蛍光体層11の両表面に配置されるバリアフィルム12と、が積層された表示装置のバックライト光源に用いられる波長変換シートである。蛍光体層11の両表面にバリアフィルム12を積層させて、蛍光体層への水蒸気の侵入を抑制することができる。尚、本明細書において蛍光体層の両表面側とは、波長変換シート1をバックライト光源として用いた場合に、光源が配置されている側(入光面側)と、バックライト光源が配置されている側から反対側(出光面側)と、の両方の表面側であることを意味する。
本実施形態の波長変換シートにおいて、バリアフィルム12とは、図1に示すように蛍光体層11の両表面側に配置される層である。蛍光体層11の両表面に、バリアフィルム12を積層させることにより、バリア性を向上させることができる。
基材層121に用いることのできる材質は、波長変換シートの機能を害することのない材質であれば特に制限はされず、例えば、ポリイミド(PI)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、非晶ポリアリレート、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルイミド、フッ素樹脂、液晶ポリマー等の樹脂を挙げることができる。波長変換シートの機能を害することのない透明性と耐熱性等の観点からポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)であることが好ましい。
バリア層は、バリアフィルムにバリア性を付与する層であり、一般にポリビニルアルコール等の水溶性高分子等を含むコーティング剤を塗布して形成される有機被覆層、及び/又は、無機酸化物を蒸着することにより形成される無機酸化物薄膜層である。図1又は図2に示した本実施形態に関するバリア層122は、有機被覆層122aと無機酸化物薄膜層とが積層された複数の層からなる層である。尚、バリア層は、有機被覆層と無機酸化物薄膜層とが積層された複数の層に限定されるものではなく、有機被覆層と無機酸化物薄膜層がそれぞれ単層であってもよく、又は有機被覆層と無機酸化物薄膜層とが交互に2層以上積層されるような層であってもよい。又、図2に示したバリアフィルム12のように、有機被覆層がプライマー層と密着して積層されることにより有機被覆層よりも基材層が積層されている側に積層される無機酸化物薄膜層に傷や割れの発生を軽減することができる。
本実施形態に関するプライマー層123は、蛍光体層が積層される側の表面に積層され、ポリウレタン系樹脂を含み、プライマー層123のインデンテーション硬度が10MPa以上100MPa以下である層である。プライマー層123を形成するためのプライマー剤は、ポリウレタン系樹脂組成物と、硬化剤と、シランカップリング剤と、充填剤と、を含むことが好ましい。
本実施形態の波長変換シートにおいて、蛍光体層11とは、バックライト光源から発せられた光の発光波長を調整するための層である。蛍光体層11には、量子ドットからなる1種又は2種以上の蛍光体が含有される。
上記の実施形態の波長変換シート1とは異なる他の実施形態の波長変換シートについて図3及び図4を用いて説明をする。上記の実施形態の波長変換シートと共通する部分は適宜省略する。本実施形態の波長変換シート2は、図3に示すように第1の基材層221と第2の基材層225とを備える2つの層から構成され、第1の基材層221と第2の基材層225とが接着剤層224を介して接着されている。尚、本実施形態のバリアフィルム12は、図4に示すように第1の基材層221と第2の基材層225とを備える2つの層から構成され、第1の基材層221と第2の基材層225とが接着剤層224を介して接着されている。
本実施形態の波長変換シートの製造方法は、例えば、基材フィルムの一方の表面にバリア層を積層するバリア層積層工程と、基材層と、バリア層と、が積層された積層体の一方の表面に、プライマー剤を塗布するプライマー剤塗布工程と、プライマー剤を硬化させてプライマー層を形成するプライマー層形成工程を含むバリアフィルムの製造方法を挙げることができる。
バリア層積層工程は、基材フィルム(基材層)の一方の表面にバリア層として有機被覆層、及び/又は、無機酸化物薄膜層を積層する。有機被覆層は、ポリビニルアルコール等の水溶性高分子等を含むコーティング剤を塗布、硬化して形成することができる。コーティング剤を塗布する方法は、ロールコート、グラビアコート、ナイフコート、デップコート、スプレイコート、その他のコーティング法の塗布方式を挙げることができる。無機酸化物薄膜層は、無機酸化物を蒸着することにより形成することができる。無機酸化物を蒸着する方法は、真空蒸着、イオンプレーティング、スパッタリング等の物理的蒸着法を挙げることができる。尚、基材フィルムの一方の表面に予め、プライマーコート剤層、アンカーコート剤層、アンカーコート剤層、接着剤からなる層、あるいは、蒸着アンカーコート剤層等を任意に形成して、表面処理層とすることもできる。
プライマー剤塗布工程とは、基材層と、バリア層と、が積層された積層体の1の表面に、ポリウレタン系樹脂組成物と、硬化剤と、を含有するプライマー剤を塗布する工程である。プライマー剤を塗布する方法は、上記のコーティング剤を塗布する方法と同様の塗布方法を使用することができる。
プライマー層形成工程とは、基材層と、バリア層と、が積層された積層体の1の表面に塗布されたプライマー剤を硬化させてプライマー層を形成する工程である。プライマー剤を硬化させる方法は、例えば、所定時間加熱することにより、プライマー剤に所定量含有された硬化剤とポリウレタン系樹脂組成物とを反応させてプライマー剤を硬化させる方法を挙げることができる。これにより、プライマー層のインデンテーション硬度を調整することができる。プライマー層形成工程を経ることによって、図2又は図4の実施形態のようなバリアフィルムを製造することができる。
本実施形態の波長変換シートの製造方法は、例えば、上記のバリア層積層工程と、上記のプライマー剤塗布工程と、上記のプライマー剤塗布工程と、によって2つのバリアフィルムを製造し、2つのバリアフィルムのうちの1のバリアフィルムにおけるプライマー層の表面に蛍光体と封止樹脂組成物とが含有された混合液を塗布し、2つのバリアフィルムのうちの他のバリアフィルムのプライマー層の積層側の面と混合液の塗布面とを接触させ、混合液を硬化させて蛍光体層を形成する蛍光体層形成工程を含む波長変換シートの製造方法を挙げることができる。尚、上記の実施形態のバリアフィルムの製造方法と共通する部分は適宜省略する。尚、2つのバリアフィルムは、本発明の効果を奏するバリアフィルムであれば、その層構成等が同一のバリアフィルムであってもよく、異なるバリアフィルムであってもよい。
蛍光体層形成工程は、一対のプライマー層付バリアフィルムのうち1のバリアフィルムのプライマー層の表面に蛍光体110と封止樹脂111とが含有された混合液を塗布し、他のバリアフィルムのプライマー層の積層側の面と混合液の塗布面とを接触させ、硬化させる工程である。蛍光体層形成工程を経ることによって、図1又は図3の実施形態のような波長変換シートを製造することができる。
波長変換シートを用いることにより、バックライト光源の発光波長の可視領域全体に渡って調整可能である。そのため、色純度の優れた三原色の光で照明することが可能となり、優れた色再現性を有する表示装置とすることができる。更に本実施形態のバリアフィルムと蛍光体層との密着性、密着耐久性に優れる波長変換シートを備えたバックライト光源を用いた表示装置であれば、高温高湿環境下においても蛍光体層の劣化を抑制することができる。そのため、環境安定性に優れたバックライト光源を用いた表示装置とすることができる。
厚さ20nmの酸化珪素(無機酸化物薄膜層)が蒸着された厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(基材層)のロールを準備した。
プライマー剤として、プライマー剤全質量に対し、ポリウレタン系樹脂(ウレタン及びエステルの共重合体)15質量%、ニトロセルロ-ス4質量%、及び溶剤として、トルエン、メチルエチルケトン、イソプロピルアルコールと、ポリウレタン系樹脂全質量に対し、硬化剤(ヘキサメチレンジイソシアネート)及びシランカップリング剤(γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)を表1に記載の含有量(ポリウレタン系樹脂全量中の含有量(質量比))になるようにプライマー剤を調製した。
上記の実施例及び比較例に関するバリアフィルムを用いて波長変換シートを製造し、下記の密着性試験及び蛍光体層輝度劣化評価を行った。
上記の実施例及び比較例に関するバリアフィルムを用いて波長変換シートを製造した。具体的には、コアがセレン化カドニウム(CdSe)、シェルが硫化亜鉛(ZnS)からなる蛍光体(平均粒径3~5nmの量子ドット)に、封止樹脂(ウレタンアクリレート系樹脂であって、電離放射線硬化性化合物)を封止樹脂100質量部に対して蛍光体が1質量部となるように混合して蛍光体層を形成する混合液(インク)を製造した。
実施例及び比較例の波長変換シートについて、密着性試験を行った。具体的には、実施例及び比較例の波長変換シートを180℃ピール、剥離強度50mm/分の条件でテンシロン型引張試験機を用いて、蛍光体層とバリアフィルムとが剥離する際に要する力を測定した。測定結果が1.5N/25mm以上のサンプルを「○」とし、1.5N/25mm未満のサンプルを「×」とした。測定結果を表1に示す(表1中、「初期密着」と表記)。
それぞれの波長変換シートについて、環境試験を行い、環境試験後の密着性試験を行った。具体的には、実施例及び比較例の波長変換シートを60℃90%RH環境試験に500時間放置し、500時間放置後の密着性試験を上記の密着性試験と同様に測定した。測定結果が1.5N/25mm以上のサンプルを「○」とし、1.5N/25mm未満のサンプルを「×」とした。測定結果を表1に示す(表1中、「環境試験後密着」と表記)。
実施例及び比較例の波長変換シートについて、蛍光体層輝度劣化評価を行った。具体的には、バックライト光源を用いてそれぞれの波長変換シートに光を照射し、その色を目視で確認した。波長変換シートの周縁部の色味と中央値の色味が同等であったサンプルを「○」とし、波長変換シートの周縁部の色味が中央値の色味が異なっていたサンプルを「×」とした。又、上記の環境試験前の蛍光体層輝度劣化評価(表1中、「初期輝度劣化」と表記)及び上記の環境試験後の蛍光体層輝度劣化評価(表1中、「環境試験後輝度劣化」と表記)について行った。測定結果を表1に示す。
11、21 蛍光体層
111、211 封止樹脂
112、212 蛍光体
12、22 バリアフィルム
121 基材層
221 第1の基材層
122、222 バリア層
122a、222a 有機被覆層
122b、222b 無機酸化物薄膜層
123、223 プライマー層
224 接着剤層
225 第2の基材層
Claims (6)
- 表示装置のバックライト光源に用いられる波長変換シートを構成し、蛍光体と封止樹脂とを含有する蛍光体層の両表面側に積層されるバリアフィルムであって、
基材層と、バリア層と、が積層され、
前記蛍光体層が積層される側における前記バリアフィルムの表面にはプライマー層が更に積層され、
前記プライマー層はポリウレタン系樹脂と硬化剤との硬化物を含有し、
前記硬化剤を、前記ポリウレタン系樹脂に対して2質量%以上18質量%以下含有する、バリアフィルム。 - 前記蛍光体層に含有される前記封止樹脂は、ウレタンアクリレート系である、請求項1に記載のバリアフィルム。
- 前記蛍光体層に含有される前記封止樹脂は、電離放射線硬化性化合物に電離放射線を照射して硬化した樹脂、熱硬化性樹脂、及び熱可塑性樹脂に架橋剤を含有して硬化した樹脂から選択される少なくとも1の樹脂を含有する、請求項1又は2に記載のバリアフィルム。
- 前記プライマー層と前記バリア層とが密着して積層された請求項1から3のいずれかに記載のバリアフィルム。
- 前記プライマー層が更にシランカップリング剤を含有する、請求項1から4のいずれかに記載のバリアフィルム。
- 蛍光体と封止樹脂とを含有する蛍光体層の両表面側に請求項1から5のいずれかに記載のバリアフィルムが前記プライマー層と前記蛍光体層とが密着して積層された波長変換シート。
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