以下、印刷装置の稼動スケジュールを作成する印刷制御装置を、印刷装置に設けられた印刷制御装置として具体化した一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。この印刷制御装置は、複数の印刷ジョブを受け付けたとき、印刷装置の稼動スケジュールを作成して、その稼動スケジュールに基づいて印刷装置の印刷動作を制御する。
図1に示すように、印刷装置11は、印刷装置11の動作を制御する印刷制御装置20と、この印刷制御装置20と通信回線12により接続されたホストコンピューター13とを備える。ホストコンピューター13には、外部通信回線14を介して、印刷装置11に印刷ジョブを送信する複数の外部機器(本実施形態では、3台の外部機器15A,15B,15C)が接続されている。つまり、顧客から印刷の注文を受け付けた依頼者(本実施形態では3人)が印刷装置11を管理している管理者(印刷オペレーター)に外部機器15A〜15Cを操作して印刷ジョブを送信することにより印刷を依頼する。なお、印刷ジョブは、印刷する文字や画像のデータ、文字や画像の解像度、印刷枚数に相当する印刷距離、文字や画像を印刷するためのパス数、印刷に用いる媒体(フィルム)の種類やサイズ、印刷を完了させる期限などを含む。また、以降の説明において、外部機器15Aからの印刷ジョブを「印刷ジョブ1」とし、外部機器15Bからの印刷ジョブを「印刷ジョブ2」とし、外部機器15Cからの印刷ジョブを「印刷ジョブ3」とする。
印刷装置11は、媒体の一例としてのフィルムに、液体の一例としてのインクを吐出することで、フィルムに文字や画像を形成するインクジェット式プリンターである。印刷装置11では、シールラベルを製造するために、長尺状のフィルムがロール状に巻き重ねられて形成されたロール体を搬送装置16により繰出し、インクを吐出する印刷部17に搬送してラベル印刷を行う。そして印刷装置11では、ラベル印刷されたフィルムは、搬送装置16により搬送され、巻取軸(図示略)により巻き取られる。
ホストコンピューター13は、印刷装置11と一体に設けられている。ホストコンピューター13は、マウスやキーボード等の入力装置18と、入力装置18による入力結果が表示される表示パネル19とを備える。入力装置18による入力情報は、印刷制御装置20に出力される。そして印刷制御装置20は、入力情報を表示パネル19に出力する。表示パネル19は、表示パネル19の画面上でタッチ操作することにより操作内容を印刷制御装置20に出力可能なタッチパネルである。ホストコンピューター13では、印刷装置11の管理者が例えば1日の印刷量や1日の稼動時間などの印刷装置11のラベル印刷の上限を規定する情報、すなわち所定期間内の印刷に関する制限情報が入力される。
外部機器15A〜15Cの一例は、デスクトップ型パーソナルコンピューターである。なお、外部機器15A〜15Cは、デスクトップ型パーソナルコンピューターに代えて、スマートフォン、携帯情報端末(PDA(Personal Digital Assistants))、タブレット型パーソナルコンピューター、ラックトップ型パーソナルコンピューター等の携帯端末であってもよい。
印刷制御装置20は、CPU、RAM、ROM等を備え、CPUはROM等に記憶された各種の制御プログラムや処理プログラムを実行する。印刷制御装置20は、印刷装置11の印刷動作を制御するために印刷部17に印刷制御信号を出力する印刷制御部21と、印刷装置11のフィルムの搬送動作を制御するために搬送装置16に搬送制御信号を出力する搬送制御部22と、印刷装置11の稼動スケジュールを管理する印刷管理部23とを備える。
印刷管理部23は、ジョブ管理部24、スケジュール作成部25及び表示出力部26を含んで構成されている。ジョブ管理部24は、外部機器15A〜15Cからの印刷ジョブ1〜3を、稼動スケジュールを作成するために管理する。スケジュール作成部25は、ジョブ管理部24に管理された印刷ジョブ1〜3に基づいて、印刷装置11の所定期間内の稼動スケジュールを作成する。表示出力部26は、スケジュール作成部25により作成された稼動スケジュールを表示パネル19に通信回線12を通じて出力する。
ジョブ管理部24は、受付部24a、印刷キュー24b及び設定変更部24cを含んで構成されている。受付部24aは、外部機器15A〜15Cからの印刷ジョブ1〜3や制限情報などの印刷制御装置20の外部からの情報を受け付ける。印刷キュー24bは、外部機器15A〜15Cからの印刷ジョブ1〜3を所定条件に基づいて並び替える。なお、所定条件としては、外部機器15A〜15Cからの印刷ジョブ1〜3を受け付けた時間や印刷ジョブ1〜3における印刷を完了させる期限が挙げられる。設定変更部24cは、印刷装置11の稼動スケジュールに組み入れ予定の印刷ジョブ(印刷ジョブ1〜3)における印刷時間に影響を与える印刷設定項目の印刷設定の値を、制限情報に基づいて印刷ジョブ(印刷ジョブ1〜3)が所定期間内に印刷を完了できない場合には、所定期間内に印刷を完了できるよう予め設定された値に変更する。本実施形態では、設定変更部24cは、制限情報に基づいて印刷ジョブ(印刷ジョブ1〜3)の印刷時間が短くなるように変更する。印刷時間に影響を与える印刷設定項目としては、文字や画像の解像度及び文字や画像を印刷するためのパス数が挙げられる。なお、以降の説明において、印刷時間に影響を与える印刷設定項目を「印刷時間に関する印刷設定項目」と称する場合もある。また、本実施形態では、稼動スケジュールに組み入れ予定の印刷ジョブが、印刷制御装置20が外部機器15A〜15Cから受け付けた印刷ジョブ1〜3となる。
このような印刷制御装置20の構成により、外部機器15A〜15Cからの印刷ジョブ1〜3は、ジョブ管理部24により例えば印刷ジョブ1〜3における印刷を完了させる期限や受付部24aが印刷ジョブ1〜3の受け付けた順に基づいて、印刷ジョブ1〜3の印刷を行う順番を設定する。本実施形態では、印刷ジョブ1、印刷ジョブ2及び印刷ジョブ3の順に印刷を行う。
図2では、外部機器15A〜15Cのうちの一台の外部機器(例えば外部機器15A)の表示パネル15aに表示された印刷依頼用のインターフェースである。依頼者は、外部機器15Aの図示しない入力装置(マウスやキーボード)を操作して、インターフェースに印刷ジョブを入力する。これにより、外部機器15Aは、外部通信回線14を通じて印刷制御装置20(ともに図1参照)に印刷ジョブを出力する。
図2に示すように、本実施形態では、依頼者は、インターフェースにおいて印刷時間に関する印刷設定項目の印刷設定の値を変更した3種類の印刷ジョブ1を入力装置により入力する。3種類の印刷ジョブ1は、印刷時間に関する印刷設定項目の印刷適用の優先度が高い順に、「優先1」、「優先2」及び「優先3」とされ、優先1、優先2及び優先3が付されたタブを有する表示領域により区分されている。
印刷時間に関する印刷設定項目の1つである文字や画像を形成するためのパス数は、図3の表に示すとおり、優先1、優先2及び優先3の印刷ジョブ1の順に小さくなっている。これにより、優先3、優先2及び優先1の印刷ジョブ1の順に印刷時間が短くなる一方、優先3、優先2及び優先1の印刷ジョブ1の順に品質が低下する。このように、印刷時間に関する複数の印刷設定項目の印刷設定の値が変更可能であり、図2に示す優先1、優先2及び優先3のようなタブを有する表示領域により印刷設定項目のうちの解像度の値及びパス数の値のそれぞれが複数種類に亘って設定可能となる。このため、印刷ジョブの印刷時間に関する複数の印刷設定項目の印刷設定の値が変更可能な場合、複数の印刷設定項目に印刷適用の優先順位が設定可能となる。本実施形態の印刷ジョブ1では、解像度の優先度が高く、パス数の優先度が低いため、優先1、優先2及び優先3の印刷ジョブ1における印刷設定項目のうちの解像度が一定である一方、パス数が小さくなるように変更されている。
また印刷ジョブ1自体の優先順位を示す印刷ジョブ1の印刷の優先度が設定可能である。この印刷ジョブ1の印刷の優先度も依頼者が入力装置により入力する。その一例として印刷ジョブ1〜3の印刷の優先度は、「高」、「中」及び「低」により規定される。本実施形態では、印刷ジョブ2の印刷の優先度が「高」に設定され、印刷ジョブ3の印刷の優先度が「中」に設定され、印刷ジョブ1の印刷の優先度が「低」に設定されている。すなわち図4に示すとおり、印刷ジョブ1〜3の印刷の優先順位が印刷ジョブ2、印刷ジョブ3及び印刷ジョブ1の順に設定されている。なお、印刷制御装置20は、依頼者が設定した印刷の優先度が同じ印刷ジョブを受け付けた場合、例えば印刷ジョブを受け付けた順に基づいて印刷ジョブの印刷の優先順位を設定する。
そして図2に示すように、依頼者は、優先1、優先2及び優先3の印刷ジョブ1を作成後、インターフェース中のOKボタン27を操作することにより、優先1、優先2及び優先3の印刷ジョブ1を印刷制御装置20(図1参照)に出力する。なお、外部機器15B及び外部機器15C(図1参照)についても外部機器15Aと同様に、印刷ジョブ2,3自体の印刷の優先度を設定し、且つ印刷時間に関する印刷設定項目の印刷設定の値を変更した優先1、優先2及び優先3を含む印刷ジョブ2,3が印刷制御装置20に出力される。
そして、印刷制御装置20は外部機器15A〜15Cから優先1〜3を含む印刷ジョブ1〜3を受け付けたとき、印刷キュー24b(図1参照)により印刷ジョブ1〜3の印刷順に印刷ジョブ1〜3を並べる。
一方、印刷制御装置20は、印刷装置11の管理者から印刷装置11に関する制限情報(1日の印刷量や1日の稼動時間など)を受け付ける。印刷装置11の管理者は、外部機器15A〜15Cから印刷ジョブ1〜3を受け付ける前に制限情報を印刷制御装置20に出力しても、外部機器15A〜15Cから印刷ジョブ1〜3を受け付けた後に制限情報を印刷制御装置20に出力してもよい。
そして、印刷制御装置20は、外部機器15A〜15Cからの印刷ジョブ1〜3及び管理者からの制限情報に基づいて、スケジュール作成部25により印刷装置11の所定期間内の稼動スケジュールを作成する。図5では、所定期間内の稼動スケジュールの一例として、印刷装置11の1日の稼動スケジュールを示している。
ところで、管理者により設定された制限情報の範囲内(例えば印刷装置11による1日の印刷量の範囲内又は印刷装置11の1日の稼動時間として9:00〜17:30の期間)に、稼動スケジュールに組み入れ予定の印刷ジョブ1〜3が収まる場合、印刷制御装置20は印刷ジョブ1〜3の印刷設定項目の印刷設定の値をそのままの状態で実行できる。すなわち、印刷ジョブ1〜3の全てにおいて印刷時間に関する印刷設定項目の印刷適用の優先度(優先1、優先2及び優先3)を下げることなく、印刷装置11の稼動スケジュールを作成することができる。
一方、印刷装置11の管理者により設定された制限情報の範囲内において、稼動スケジュールに組み入れ予定の印刷ジョブ1〜3が収まらない場合、印刷ジョブ1〜3の印刷設定項目の印刷設定の値をそのままの状態で実行できない。そこで、印刷制御装置20は、印刷ジョブ1〜3の印刷設定項目の印刷設定の値がそのままの状態では稼動スケジュールが作成できない場合、印刷ジョブ1〜3の少なくとも1つの印刷時間に関する印刷設定項目の印刷適用の優先度を下げて、制限情報の範囲内に印刷ジョブ1〜3が収まるように稼動スケジュールを調整するジョブ調整処理を実行する。その処理手順について、図6のフローチャートを用いて説明する。
印刷制御装置20は、印刷時間に関する印刷設定項目の印刷設定の値を変更可能な印刷ジョブが存在するか否かを判定する(ステップS11)。なお、印刷時間に関する印刷設定項目の印刷設定の値を変更可能な印刷ジョブが存在するとは、例えば印刷ジョブ1〜3の全てが優先3ではない、すなわち印刷ジョブ1〜3の少なくとも1つの印刷ジョブが優先1又は優先2であることをいう。このため、印刷制御装置20は、印刷ジョブ1〜3における印刷時間に関する印刷設定項目の印刷適用の優先度を下げることができるか否かに基づいて、ステップS11の判定を行う。
印刷制御装置20は、印刷時間に関する印刷設定項目の印刷設定の値を変更可能な印刷ジョブが存在すると判定したとき(ステップS11:YES)、印刷時間に関する印刷設定項目の印刷設定の値を変更可能な印刷ジョブのうちの最も優先順位が低い印刷ジョブを選択する(ステップS12)。例えば図4に示すとおり、印刷ジョブ2、印刷ジョブ3及び印刷ジョブ1の順に印刷の優先順位が低いため、印刷制御装置20は、まず印刷ジョブ1を選択する。
そして、印刷制御装置20は、選択した印刷ジョブにおける印刷設定項目の印刷適用の優先度を下げる(ステップS13)。例えば、図3に示すように、印刷制御装置20は、選択した印刷ジョブが印刷ジョブ1の場合、印刷ジョブ1を優先1の印刷ジョブ1から優先2の印刷ジョブ1に変更する。これにより、印刷ジョブ1のパス数が16passから12passに変更されるため、印刷ジョブ1の印刷時間が短縮される。
次に、印刷制御装置20は、制限情報の範囲内において、全ての印刷ジョブが収まるか否かを判定する(ステップS14)。印刷制御装置20は、例えば制限情報として例えば1日の稼動時間内に全ての印刷ジョブが入るか否かを判定する。
印刷制御装置20は、制限情報の範囲内に全ての印刷ジョブが収まると判定したとき(ステップS14:YES)、これら印刷ジョブに基づいて稼動スケジュールを作成し(ステップS15)、処理を終了する。一方、印刷制御装置20は、制限情報の範囲内に全ての印刷ジョブが収まらないと判定したとき、ステップS11に移行し、再び印刷ジョブにおける印刷時間に関する印刷設定項目の印刷適用の優先度を下げる調整を行う。このように、制限情報の範囲内に全ての印刷ジョブが収まるか、印刷時間に関する変更可能な印刷設定項目が存在しなくなるまで、印刷ジョブにおける印刷時間に関する印刷設定項目の印刷適用の優先度を繰り返し下げていく。
しかし、稼動スケジュールに組み入れ予定の全ての印刷ジョブにおける印刷時間に関する印刷設定項目の印刷適用の優先度の全てを最下位に設定しても、制限情報の範囲内に全ての印刷ジョブが収まらない場合がある。この場合、印刷ジョブにおける印刷時間に関する印刷設定項目の印刷設定の値の変更のみでは稼動スケジュールを作成することができない。すなわち、印刷制御装置20は、印刷時間に関する印刷設定項目の印刷設定の値を変更可能な印刷ジョブが存在しないと判定したとき(ステップS11:NO)、稼動スケジュールの作成が不可能である旨を管理者に通知する(ステップS16)。
このように、ジョブ調整処理によっても制限情報の範囲内に全ての印刷ジョブ1〜3が収まらない場合、管理者は、制限情報の範囲を拡大することを検討する。例えば、制限情報の範囲として、稼働時間を9:00〜17:30から9:00〜18:30に拡大させる。そしてこの拡大した制限情報の範囲内に全ての印刷ジョブ1〜3が収まる場合、印刷装置11の稼動スケジュールを作成する。このように、印刷制御装置20は、管理者による制限情報の範囲の拡大に基づいて稼動スケジュールを作成するスケジュール調整処理を実行する。このスケジュール調整処理の処理手順について図7のフローチャートを用いて説明する。
印刷制御装置20は、制限情報において指定された項目を変更する(ステップS21)。印刷装置11の管理者は、例えば表示パネル19(図1参照)に表示された制限情報の項目の変更を行うためのインターフェースに入力装置18(図1参照)により制限情報の項目における制限情報の内容を変更する。制限情報として、例えば1日の印刷量、1日の稼動時間及び管理者が予め設定した解像度の下限値がある。そこで、印刷制御装置20は、例えば1日の印刷量の上限値を高くしたり、1日の稼動時間を長くしたり、管理者が設定した解像度の下限値を下げたりすることにより、制限情報の範囲を拡大する。
そして印刷制御装置20は、拡大された制限情報の範囲内に全ての印刷ジョブが収まるか否かを判定する(ステップS22)。印刷制御装置20は、例えば1日の稼動時間を9:00〜18:30の期間に拡大したとき、その期間が、始業メンテナンス、終業メンテナンス、基材交換、定期メンテナンス及び全ての印刷ジョブの合計時間よりも長いか否かを判定する。
印刷制御装置20は、拡大された制限情報の範囲内に全ての印刷ジョブが収まると判定したとき(ステップS22:YES)、この拡大された制限情報の範囲に基づいて稼動スケジュールを作成し(ステップS23)、処理を終了する。
一方、印刷制御装置20は、拡大された制限情報の範囲内に全ての印刷ジョブが収まらないと判定したとき(ステップS22:NO)、制限情報において範囲を拡大可能な項目が存在するか否かを判定する(ステップS24)。
印刷制御装置20は、制限情報において範囲を拡大可能な項目が存在すると判定したとき(ステップS24:YES)、ステップS21に移行する。すなわち、印刷制御装置20は、表示パネル19に制限情報の項目における制限情報の内容の変更を行うためのインターフェースを表示する。このとき、表示パネル19には、稼動スケジュールを作成できなかった旨が表示されてもよい。そして管理者は、制限情報の項目を再び変更する。このように、印刷制御装置20は、制限情報において範囲を拡大可能な項目が存在する限り、制限情報の項目を変更して全ての印刷ジョブが制限情報の範囲内に収まるようにする。
一方、印刷制御装置20は、制限情報において範囲を拡大可能な項目が存在しないと判定したとき(ステップS24:NO)、すなわち制限情報の範囲を最大限に亘って拡大しても制限情報の範囲内に全ての印刷ジョブが収まらなかった場合、稼動スケジュールの作成が不可能である旨を印刷装置11の管理者に通知する(ステップS25)。印刷制御装置20は、稼動スケジュールの作成が不可能である旨を例えば表示パネル19(図1参照)に表示する。この場合、印刷装置11の管理者は、各依頼者に印刷装置11では全ての印刷ジョブが完遂できない旨を連絡する。
以上説明したように、印刷制御装置20により印刷装置11の所定期間内の稼動スケジュールを作成する印刷制御方法においては、受け付け工程、設定変更工程および制限情報変更工程を含む。受け付け工程では、管理者から所定期間内の印刷に関する制限情報を受け付ける。設定変更工程では、印刷装置11の稼動スケジュールに組み入れ予定の印刷ジョブにおける印刷時間に影響を与える印刷設定項目の印刷設定の値を、制限情報に基づいて所定期間内に印刷を完了できない場合には所定期間内に印刷を完了できるように予め設定された値に変更する。制限情報変更工程は、設定変更工程による印刷設定項目の印刷設定の値の変更を行ったとしても所定期間内に印刷を完了できない場合に、制限情報の範囲を拡大するように変更する。
ところで、稼動スケジュールが作成された後、印刷制御装置20が依頼者から新たな印刷ジョブの追加依頼を受け付ける場合がある。この場合、追加の印刷ジョブを含めて、全ての印刷ジョブが制限情報の範囲内に収まれば、稼動スケジュールが再び作成可能である。このとき、印刷制御装置20は、複数の稼動スケジュールを印刷装置11の管理者に提示することもできる。一方、追加の印刷ジョブにより制限情報の範囲内に全ての印刷ジョブが収まらずに稼動スケジュールが作成できなくなる場合がある。この場合、制限情報の範囲内に収まるように、ジョブ調整処理又はスケジュール調整処理を実行する。このように、印刷制御装置20は、稼動スケジュールが作成された後に追加の印刷ジョブを受け付けたとき、稼動スケジュールを再び作成するジョブ追加調整処理を実行する。その処理手順について図8のフローチャートを用いて説明する。
印刷制御装置20は、追加の印刷ジョブを含めた全ての印刷ジョブが制限情報の範囲内に収まるか否かを判定する(ステップS31)。印刷制御装置20は、追加の印刷ジョブを含めた全ての印刷ジョブが制限情報の範囲内に収まると判定したとき(ステップS31:YES)、複数の稼動スケジュールを印刷装置11の管理者に提示可能か否かを判定する(ステップS32)。
印刷制御装置20は、複数の稼動スケジュールを印刷装置11の管理者に提示可能であると判定したとき(ステップS32:YES)、その複数の稼動スケジュールを印刷装置11の管理者に提示する(ステップS33)。印刷制御装置20は、例えば表示パネル19(図1参照)に複数の稼動スケジュールを表示することにより、印刷装置11の管理者に複数の稼動スケジュールを提示する。印刷制御装置20は、複数の稼動スケジュールの一例として、図9に示すように、品質を重視した稼動スケジュールのプラン1と、生産性を重視した稼動スケジュールのプラン2とを印刷装置11の管理者に提示する。生産性を重視した稼動スケジュールでは、品質を重視した稼動スケジュールに比べ、全ての印刷ジョブ2〜4のパス数を減らしている。すなわち、生産性を重視した稼動スケジュールでは、印刷ジョブ2〜4における印刷設定項目の印刷適用の優先度を低くして生産性を向上させている。
そして印刷制御装置20は、複数の稼動スケジュールのうちの1つの稼動スケジュールが選択されたか否かを判定する(ステップS34)。印刷制御装置20は、複数の稼動スケジュールのうちの1つの稼動スケジュールが選択されたと判定したとき(ステップS34:YES)、処理を終了する。これにより、印刷装置11は、選択された稼動スケジュールに基づいて印刷を行う。一方、印刷制御装置20は、複数の稼動スケジュールのうちの1つの稼動スケジュールが選択されていないと判定したとき(ステップS34:NO)、ステップS34の判定に戻る。
また印刷制御装置20は、複数の稼動スケジュールを印刷装置11の管理者に提示不能であると判定したとき(ステップS32:NO)、処理を終了する。これにより、印刷制御装置20は、例えば表示パネル19に1つの稼動スケジュールを表示する。そして管理者がその稼動スケジュールを承認したとき、その稼動スケジュールに基づいて印刷装置11が印刷を行う。
一方、印刷制御装置20は、追加の印刷ジョブを含めた全ての印刷ジョブが制限情報の範囲内に収まらないと判定したとき(ステップS31:NO)、ジョブ調整処理を実行する(ステップS35)。これにより、ジョブ調整処理により制限情報の範囲内に全ての印刷ジョブが収まる場合、ジョブ調整処理に基づく稼動スケジュールが作成される。
そして印刷制御装置20は、ジョブ調整処理の実行後に全ての印刷ジョブが制限情報の範囲内に収まるか否かを判定する(ステップS36)。印刷制御装置20は、全ての印刷ジョブが制限情報の範囲内に収まると判定したとき(ステップS36:YES)、ジョブ調整処理において作成された稼動スケジュールに基づいて印刷装置11が印刷を行う。
一方、印刷制御装置20は、全ての印刷ジョブが制限情報の範囲内に収まらないと判定したとき(ステップS36:NO)、スケジュール調整処理を実行する(ステップS37)。これにより、スケジュール調整処理により拡大された制限情報の範囲内に全ての印刷ジョブが収まる場合、スケジュール調整処理に基づく稼動スケジュールが作成され、拡大された制限情報の範囲内に全ての印刷ジョブが収まらない場合、稼動スケジュールの作成が不可能である旨を管理者に通知する。
このように、印刷制御装置20により印刷装置11の所定期間内の稼動スケジュールを作成する印刷制御方法においては、調整工程及びスケジュール提示工程をさらに含む。調整工程では、印刷装置11の稼動スケジュールの作成後に新規の印刷ジョブが追加された場合に、印刷制御装置20は、所定期間内に全ての印刷ジョブが印刷を完了できるように印刷設定項目の印刷設定の値の変更や制限情報の範囲の拡大を行うことにより稼動スケジュールを再度作成する。スケジュール提示工程では、調整工程において稼動スケジュールを再度作成するときに、制限情報の範囲内において複数の稼動スケジュールが作成可能な場合、印刷制御装置20は、作成可能な複数の稼動スケジュールを管理者に提示する。
本実施形態の作用について図3、図4及び図10を用いて説明する。図10では、印刷装置11の管理者が制限情報として印刷装置11の1日の稼動時間を「9:00〜17:30」に設定している。
図10の紙面左側の稼動スケジュールに示すように、印刷ジョブ1〜3のそれぞれを「優先1」とした場合、制限情報の範囲である稼働時間(9:00〜17:30)の範囲内に印刷ジョブ1〜3が収まらない。一方、印刷ジョブ1〜3のそれぞれが「優先1」、すなわち印刷ジョブ1〜3のそれぞれの印刷時間に関する印刷設定項目の印刷適用の優先度を下げることができるため、印刷制御装置20は、ジョブ調整処理を実行する。ジョブ調整処理では、図4に示すとおり印刷ジョブ1〜3のうちで印刷ジョブ1の印刷の優先順位が最も低いため、印刷ジョブ1における印刷時間に関する印刷設定項目の印刷適用の優先度を下げる。具体的には、印刷制御装置20は、印刷ジョブ1を「優先1」から「優先2」に優先度を下げる。これにより、図3に示すとおり、印刷ジョブ1のパス数が減るため、印刷ジョブ1の印刷時間が短縮される。
しかし、印刷ジョブ1の印刷時間が短縮されたものの、制限情報の範囲内に全ての印刷ジョブ1〜3を収めることができない。そこで、印刷制御装置20は、ジョブ調整処理において、印刷ジョブ1を「優先2」から「優先3」に優先度を再び下げる。これにより、図3に示すとおり、印刷ジョブ1のパス数が減るため、印刷ジョブ1の印刷時間が更に短縮される。その結果、図10の紙面右側の稼動スケジュールに示すように、制限情報の範囲内に全ての印刷ジョブ1〜3が収まる稼動スケジュールを作成することができる。
本実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)印刷制御装置20は、ジョブ調整処理において、稼動スケジュールに組み入れ予定の印刷ジョブにおける印刷時間に影響を与える印刷設定項目の印刷設定の値を、制限情報に基づいて印刷ジョブが印刷に関する制限情報の範囲内、すなわち所定期間内に印刷を完了できない場合には印刷時間を短くするように変更する。この構成によれば、所定期間内に印刷装置11が印刷可能な範囲内に全ての印刷ジョブが収まらない場合であっても、印刷ジョブの印刷時間を短くするように印刷設定項目の印刷設定の値を変更することにより、制限情報の範囲内に全ての印刷ジョブが収まるように調整することができる。したがって、印刷装置の所定期間内の稼動スケジュールを容易に作成することができる。
ところで、印刷に関する制限情報の範囲内に全ての印刷ジョブが収まらないとき、例えば依頼者が複数人の場合には依頼者同士が話し合い、印刷ジョブを調整することがある。しかし、依頼者が出張などにより不在の場合、その話し合いができず、印刷ジョブを調整することができない虞がある。その点、本実施形態では、印刷制御装置20が稼動スケジュールの作成時にジョブ調整処理により印刷ジョブを自動的に調整するため、依頼者同士の話し合いが不要となる。したがって、印刷装置の稼動スケジュールを容易に作成することができる。
(2)印刷ジョブが印刷時間に影響を与える印刷設定項目を複数含むことにより、すなわち複数の印刷設定項目の印刷設定の値が変更可能となることにより、変更可能な印刷設定項目が1つのみの場合に比べ、印刷ジョブの印刷時間の短縮幅がより大きくなる。したがって、制限情報の範囲内に全ての印刷ジョブが収まり易くなる。
(3)印刷ジョブの印刷時間に関する複数の印刷設定項目の印刷設定の値が変更可能な場合、複数の印刷設定項目に印刷適用の優先順位が設定可能であるため、印刷制御装置20が印刷ジョブにおける印刷設定項目の印刷適用の優先順位に基づいて変更する印刷設定項目を選択することができる。したがって、印刷ジョブに基づいて印刷装置11を管理する管理者に印刷を依頼する依頼者にとって印刷適用の優先度の低い印刷設定項目の印刷設定の値を変更することにより、制限情報の範囲内に全ての印刷ジョブを収めることができると共に、依頼者の意図に沿った印刷を行う印刷装置11の稼動スケジュールを作成することができる。
(4)印刷ジョブ自体に印刷の優先順位が設定されることにより、その優先順位に基づいて、変更する印刷設定項目を選択することができる。したがって、複数の依頼者から複数の印刷ジョブが依頼された場合に複数の依頼者の意図に沿った印刷を行う印刷装置11の稼動スケジュールを作成することができる。
(5)印刷制御装置20は、追加ジョブ調整処理において、複数の稼動スケジュールを提示可能であるため、その複数の稼動スケジュールから印刷装置11の管理者の意図通り又は意図に近い稼動スケジュールを選択することができる。したがって、管理者の意図に即した設定で印刷を行うことができる。
(変形例)
なお、上記実施形態は以下に示す変形例のように変更してもよい。また、上記実施形態と各変形例とは、任意に組み合わせることができる。
・上記実施形態において、印刷ジョブ1における印刷時間に関する印刷設定項目として、パス数に代えて、解像度を下げてもよい。例えば優先1の印刷ジョブ1の解像度が2880dpiに設定され、優先2の印刷ジョブ1の解像度が1440dpiに設定され、優先3の印刷ジョブ1の解像度が720dpiに設定されてもよい。なお、他の印刷ジョブ(例えば印刷ジョブ2,3)についても同様に変更することができる。
・上記実施形態において、印刷ジョブ1における印刷時間に関する印刷設定項目として、パス数に加えて、解像度を下げてもよい。例えば優先1の印刷ジョブ1のパス数が16pass及び解像度が2880dpiに設定され、優先2の印刷ジョブ1のパス数が12pass及び解像度が1440dpiに設定され、優先3の印刷ジョブ1のパス数が8pass及び解像度が720dpiに設定されてもよい。なお、他の印刷ジョブ(例えば印刷ジョブ2,3)についても同様に変更することができる。要するに、印刷ジョブは、設定変更部により変更可能な複数の印刷設定項目を含んでもよい。
・上記実施形態において、印刷ジョブの印刷時間に関する印刷設定項目として、印刷装置11がシリアルプリンターの場合に印刷部17が一方向に移動するときのみ、インクをフィルムに吐出してフィルムに印刷を行う片方向印刷と、印刷部17が双方向に移動するときにインクをフィルムに吐出してフィルムに印刷を行う双方向印刷とが挙げられる。この場合、片方向印刷に比べ、双方向印刷の印刷時間が短いため、印刷制御装置20は、印刷ジョブ1の優先度を下げるとき、片方向印刷から双方向印刷に変更する。
・上記実施形態において、印刷ジョブの印刷の優先度の数は依頼者が任意に設定可能である。例えば依頼者は印刷ジョブの印刷の優先度を設定しなくてもよい。この場合、例えば印刷の優先度が設定されていない印刷ジョブの印刷の優先順位は最も高くなる、又は最も低くなる。
・上記実施形態において、印刷制御装置20は、スケジュール作成部25により印刷装置11の稼動スケジュールの期間を任意に設定可能である。例えば稼動スケジュールの期間を数時間としてもよいし、1週間又は1ヶ月としてもよい。
・上記実施形態において、制限情報として印刷装置11の1日の印刷量を制限する場合、例えば基材となるフィルムの残量に応じて印刷量の上限値が決められる。このような場合、印刷制御装置20は、印刷時間に関する印刷設定項目として印刷距離を変更する。例えば印刷ジョブ1の印刷距離を変更する場合、優先1の印刷ジョブ1の印刷距離が100mに設定され、優先2の印刷ジョブ1の印刷距離が80mに設定され、優先3の印刷ジョブ1の印刷距離が50mに設定される。これにより、制限情報の範囲内すなわち1日の印刷量の上限以下となるように、全ての印刷ジョブ1〜3が収まるように調整される。
・上記実施形態において、印刷ジョブの削除又は所定期間外への移動により、所定期間内の稼動スケジュールに時間の余裕ができた場合、印刷ジョブの印刷設定項目の印刷設定の値を印刷時間が長くなるようにしてもよい。このとき、優先順位の高い印刷ジョブから印刷時間が長くなるように印刷設定項目の印刷設定の値を変更してもよい。これにより、出来る限り高画質で印刷したい印刷ジョブがあった場合、高画質で印刷したいという依頼者の希望に沿った印刷を行うことができる。
・印刷制御装置は、複数台の印刷装置の稼動スケジュールを作成してもよい。その一例として、図11に示すような2台の印刷装置11A,11Bの稼動スケジュールを作成してもよい。なお、印刷装置11A,11Bの各構成要素は、印刷装置11の各構成要素と同じであるため、印刷装置11Aについては印刷装置11の各構成要素に「A」を付し、印刷装置11Bについては印刷装置11の各構成要素に「B」を付し、その説明を省略する。また図11に示すとおり、外部機器15A〜15Cは、外部通信回線14を介して印刷ジョブ1〜3を印刷装置11Aに送信する。また外部機器15D,外部機器15E及び外部機器15Fは、外部通信回線14を介して印刷ジョブを送信する。ここで、外部機器15Dからの印刷ジョブを「印刷ジョブ4」とし、外部機器15Eからの印刷ジョブを「印刷ジョブ5」とする。
印刷制御装置20Aと印刷制御装置20Bとが外部通信回線14を介して通信可能であるため、印刷制御装置20A及び印刷制御装置20Bの一方が印刷装置11A,11Bの稼動スケジュールを作成し、その稼動スケジュールを印刷制御装置20A及び印刷制御装置20Bの他方に送信する。また印刷制御装置20A及び印刷制御装置20Bの一方が稼動スケジュールを作成する場合、印刷ジョブ1〜5を印刷装置11A,11Bに振り分ける。なお、印刷装置11A,11Bの稼動スケジュールの作成において、制限情報の範囲内に全ての印刷ジョブ1〜5が収まらない場合、上記実施形態と同様にジョブ調整処理及びスケジュール調整処理が実行される。
また、印刷装置11A,11Bの稼動スケジュールが作成された後、依頼者から新たな印刷ジョブ(印刷ジョブ6)の追加依頼を受け付ける場合、上記実施形態と同様にジョブ追加調整処理が実行される。ここで、複数台の印刷装置(例えば2台の印刷装置11A,11B)の稼動スケジュールの場合、図12に示すとおり、印刷制御装置20は、品質を重視した稼動スケジュールであるプラン1、生産性を重視した稼動スケジュールであるプラン2に加え、コストを重視した稼動スケジュールであるプラン3を提示することができる。このプラン3は、印刷装置11A,11Bの始業メンテナンス、基材交換、定期メンテナンス及び終業メンテナンスの時間を調整することにより、印刷装置11A,11Bの管理者を1人とすることができ、その結果、人件費を低減することができる。
・印刷制御装置は、印刷装置とは個別に設けられてもよい。その一例として、図13に示すように、印刷制御装置20は、印刷装置11と外部通信回線14により通信可能に接続され、例えば外部機器15A〜15Cと外部通信回線14により通信可能に接続される。この場合、印刷装置11は、印刷制御装置20に代えて、印刷管理部23(図1参照)を有していない制御装置30を備える。一方、印刷制御装置20は、印刷制御部21及び搬送制御部22を有していない。すなわち印刷制御装置20は、印刷装置11の所定期間内の稼動スケジュールを作成し、印刷装置11に稼動スケジュールを出力する装置となる。このような構成の印刷制御装置20は、例えばパーソナルコンピューターに内蔵された制御装置である。
・上記実施形態において、印刷制御装置20が外部機器15A〜15Cから受け付けた印刷ジョブ1〜3における印刷時間に関する印刷設定項目の印刷適用の優先度や制限情報は、図14に示すように、印刷装置11とは個別に設けられた外部機器15Fにより変更可能としてもよい。外部機器15Fは、印刷装置11の管理者が操作する機器であり、例えばデスクトップ型パーソナルコンピューターである。なお、外部機器15Fは、デスクトップ型パーソナルコンピューターに代えて、スマートフォン、携帯情報端末(PDA(Personal Digital Assistants))、タブレット型パーソナルコンピューター、ラックトップ型パーソナルコンピューター等の携帯端末であってもよい。このように、印刷制御装置20は、印刷装置11のホストコンピューター13に設けられた入力装置18からの印刷設定項目の変更及び印刷装置11とは個別に設けられた外部機器15Fからの印刷設定項目の変更を受け付ける。この構成によれば、印刷装置11の管理者が印刷設定項目の印刷設定の値の変更や制限情報の変更を手動で実行する場合、外部機器15F及び印刷装置11の入力装置18の両方から印刷設定項目の値が変更可能となるため、印刷設定項目の値を変更する手段が増える。このため、印刷設定項目の印刷設定の値を手動で変更する際の利便性が向上する。
・上記実施形態において、印刷装置11は、媒体に印刷することができるものであれば、ドットインパクトプリンターやレーザープリンターであってもよい。また、印刷装置11は、印刷機能だけを備えた構成に限定されず、複合機であってもよい。さらに、印刷装置11は、シリアルプリンター、ラインプリンター又はページプリンターであってもよい。また印刷装置11は、フィルム等の媒体に液体を直接吐出することにより媒体に印刷を行うものに限らず、印刷版に塗布した液体を媒体に転写する平版印刷、凸版印刷、凹版印刷、孔版印刷等であってもよい。
・上記実施形態において、印刷制御装置が印刷装置と一体化して、印刷装置として機能してもよい。この場合、印刷装置上で印刷ジョブの操作を行うことができるため、印刷の状態を確認しながら印刷ジョブの送信ができる。したがって、依頼者は印刷ジョブを送信する外部機器(例えば外部機器15A)まで移動する手間がなくなるため、利便性が向上する。
・媒体は、フィルムに限定されず、単票紙、連続紙、金属箔、金属フィルム、樹脂と金属の複合体フィルム(ラミネートフィルム)、織物、不織布、セラミックシート等であってもよい。
・印刷に用いられる印刷材は、インク以外の流体(液体や、機能材料の粒子が液体に分散又は混合されてなる液状体、ゲルのような流状体、流体として噴射できる固定を含む)であってもよい。例えば、液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ及び面発光ディスプレイの製造などに用いられる電極材や色材(画素材料)などの材料を分散又は溶解のかたちで含む液状体を噴射して印刷を行う構成にしてもよい。
また印刷装置11は、ゲル(例えば物理ゲル)などの流状体を噴射する流状体噴射装置、トナーなどの粉体(粉粒体)を例とする固体を噴射する粉粒体噴射装置(例えばトナージェット式記録装置)であってもよい。なお、本明細書において「流体」とは、気体のみからなる流体を含まない概念であり、流体には、例えば液体(無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属溶融)等を含む)、液状体、流状体、粉粒体(粒体及び粉体を含む)などが含まれる。