以下、本発明の一実施形態を図1〜図16に基づいて説明する。図1に示すように、本実施形態のブロイラ容器用蓋10(以下、単に「蓋10」という。)は、蓋本体11と、回動扉50とからなり、ブロイラ容器80の上部に取り付けられる。
図2に示すように、ブロイラ容器80は、平面視長方形状の底壁81の外周部から側壁82が起立した略直方体状をなし、上面に上部開口80A(図3参照)を有している。底壁81及び側壁82は貫通孔84を複数有する略格子構造になっていて、ブロイラ容器80は籠構造となっている。側壁82は、ブロイラ容器80の下端から上端に向かうに従って縦横の開口幅が徐々に大きくなるように傾斜している。なお、側壁82には、強度保持のための補強部82Hが複数形成されている。
図3に示すように、ブロイラ容器80の上端部には、周方向全体に亘って嵌合部85が形成されている。嵌合部85は、ブロイラ容器80の側壁82における上端部を外側に折り返してなる。具体的には、嵌合部85は、側壁82の上端部から外側水平方向に張り出した鍔壁85Aと、その鍔壁85Aの先端部から下方に垂下した折返壁85Bとを備え、これにより側壁82における上端部を外側に折り返した構造になっている。また、側壁82の外面には複数のリブ83が垂直方向に延びており、それら複数のリブ83が嵌合部85の鍔壁85A及び折返壁85Bにも繋がっている。
図2に示すように、側壁82のうち底壁81の短辺部から起立した短辺側壁82Sには、手を差し込むことが可能な持ち手孔86が貫通形成されている。持ち手孔86は、横長の長方形状をなし、短辺側壁82Sの上端寄り位置における幅方向の中央に配されている。
ブロイラ容器80は、ロボットアームRAによって持ち上げ可能に構成されている。具体的には、図3に示すように、ロボットアームRAは、ブロイラ容器80の高さ方向における中間部を短辺方向に挟み、側壁82のうち底壁81の長辺部から起立した長辺側壁82Lに形成されたリブ83に下方から当接することで、ブロイラ容器80を持ち上げる。
図1、図3及び図5に示すように、蓋本体11は、ブロイラ容器80の平面形状に対応した長方形状をなし、ブロイラ容器80の上面に取り付けられて上部開口80Aを閉塞する。図3及び図6に示すように、蓋本体11は、矩形板状の主壁20の外側に溝形枠部12を備えた構造になっていて、溝形枠部12の溝内部にブロイラ容器80の嵌合部85が収容される。詳細には、溝形枠部12は、嵌合部85の鍔壁85Aに上方から重なる上面壁12Aと、上面壁12Aの外縁全体から下方に垂下して嵌合部85を側方から包囲する包囲壁12Bと、ブロイラ容器80の上部開口80Aの内側に収まって側壁82に外側から囲まれる内周壁12Cと、を備えている。なお、内周壁12Cの下端部は主壁20の外縁部に繋がっている。
図5に示すように、蓋本体11の主壁20には、短辺方向に延びて溝形枠部12の長辺部同士を連絡する1対の梁21,21が備えられ、主壁20のうち1対の梁21,21で挟まれる部分には、開口部11Kが形成されている。また、主壁20の各短辺部の中央部分には、端部開口23が形成されている。なお、主壁20のうち1対の梁21,21、開口部11K及び端部開口23を除く部分は、略格子構造になっていて、主壁20には、複数の貫通孔22が備えられている。
図6に示すように、1対の梁21,21は、下方に開放した溝形構造になっていて、各梁21の裏側には、棒状の補強部材(例えば、金属シャフト等)を受容可能な補強部材挿入部25が形成されている。補強部材挿入部25に挿入された補強部材は、補強部材保持部25Hによって保持される。なお、補強部材保持部25Hは、梁21の溝形構造部分における溝内側面から突出する係止突部で構成されている。
ここで、本実施形態では、主壁20のうち梁21が形成された部分は、表側に段付き状に突出する。このため、蓋10が取り付けられた状態でブロイラ容器80が段積みされると、上側に配置されるブロイラ容器80の載置が不安定になるという問題が考えられる。この問題を解決すべく、本実施形態では、主壁20の表側面(上面)における長辺方向の両端寄り部分(詳細には、長辺方向で梁21の外側に配置される部分)に、梁21と同じく主壁20の短辺方向に延びる載置リブ26が形成されている。また、主壁20の表側面には、載置リブ26から主壁20の長辺方向に沿って延びた複数の補強リブ27が設けられている。なお、本実施形態の例では、載置リブ26は、1対の梁21,21の外側に1つずつ設けられているが、複数ずつ設けられていてもよい。
図6に示すように、主壁20の長辺方向における両端部の裏側には、孔カバー17が設けられている。孔カバー17は、端部開口23の開口縁から突出したカバー突壁17Aと、端部開口23に裏側から対向する裏側対向壁17Bとからなり、主壁20の長辺方向の外側に向かって開放した略ポケット構造をなしている。孔カバー17は、蓋本体11の溝形枠部12の溝内部にブロイラ容器80の嵌合部85(図3参照)が収容された状態で、持ち手孔86をブロイラ容器80の内側から塞ぐように配置される。これにより、ブロイラ容器80に収容された鳥等の内容物が持ち手孔86から飛び出ることが防がれている。
図6に示すように、溝形枠部12の包囲壁12Bのうち蓋本体11の短辺部に配された短辺側包囲壁12BSには、外側係止部13が設けられている。外側係止部13は、短辺側包囲壁12BSの下端部から内側に向けて突出した係止片によって構成されている。外側係止部13は、溝形枠部12の溝内部にブロイラ容器80の嵌合部85(図3参照)が収容された状態で、嵌合部85における折返壁85Bの下端面に係止する。なお、図5に示すように、溝形枠部12の上面壁12Aには、蓋本体11同士を重ねたときに上側に配置される蓋本体11の外側係止部13との干渉を避けるための外側係止部受容孔13Aが形成されている。
また、図6に示すように、溝形枠部12の内周壁12Cのうち蓋本体11の長辺部に配された長辺側内周壁12CLからは、内側係止部14が下方に突出している。内側係止部14は、長辺側内周壁12CLから下方に突出した突片14Tと、突片14Tの下端部から外側に向けて突出した係止片14Kと、からなる。内側係止部14の係止片14Kは、溝形枠部12の溝内部にブロイラ容器80の嵌合部85が収容された状態で、ブロイラ容器80の側壁82に形成された貫通孔84の上縁部に係止する(図4参照)。
図5及び図6に示すように、溝形枠部12の包囲壁12Bのうち蓋本体11の長辺部に配された長辺側包囲壁12BLの中央部には、外側に突出する複数の縦リブ15が形成されている。詳細には、互いに対向する1対の長辺側包囲壁12BL,12BLのうち一方の長辺側包囲壁12BLに形成される縦リブ15の数は、他方の長辺側包囲壁12BLに形成される縦リブ15の数よりも1つ少なくなっている。そして、蓋10が取り付けられた複数のブロイラ容器80が短辺方向に並べられて、隣り合うブロイラ容器80同士の間で一方の長辺側包囲壁12BLと他方の長辺側包囲壁12BLとが突き合わされると、一方の長辺側包囲壁12BLに形成された複数の縦リブ15が、他方の長辺側包囲壁12BLに形成された複数の縦リブ15の隙間に入り込む。これにより、複数のブロイラ容器80の間で、ブロイラ容器80が長辺方向にずれることが抑制される。なお、本実施形態の例では、一方の長辺側包囲壁12BLに形成された縦リブ15の数が5つで、他方の長辺側包囲壁12BLに形成された縦リブ15の数が6つとなっている。
図6に示すように、長辺側包囲壁12BLの両端寄り部分からは、ガイド片16が下方に突出している。ガイド片16の外側を向く面には、蓋本体11の表側へ向かうにつれて外側へ向かうように傾斜する傾斜ガイド面16Mが形成されている(図4参照)。ガイド片16は、ブロイラ容器80を持ち上げるロボットアームRA(図3参照)によって、そのブロイラ容器80に取り付けられた蓋10が外れることを抑制する。より詳しく説明すると、ブロイラ容器80を短辺方向に挟んでいたロボットアームRAがブロイラ容器80から外れるときに、溝形枠部12の包囲壁12BにロボットアームRAが下方から当たることがある。このとき、ロボットアームRAは、ガイド片16の傾斜ガイド面16Mによって、包囲壁12Bから外側へ離れるように案内される。これにより、ロボットアームRAが蓋10を引っ掛けてブロイラ容器80から外すという事態の発生が抑制される。
図5及び図7に示すように、主壁20のうち1対の梁21,21に挟まれた部分には、上述した開口部11Kが形成されていて、この開口部11Kが回動扉50(図1及び図12参照)により開閉される。本実施形態では、開口部11Kは、梁21と平行な短辺を有する略長方形状をなし、回動扉50は、開口部11Kの開口縁に回動可能に支持されている。また、開口部11Kの開口縁のうち回動扉50の回動軸50Jから離れた側の部分には、開口部11Kから外側に張り出した切欠部32が形成されている。
詳細には、図3及び図5に示すように、主壁20のうち1対の梁21,21に囲まれた部分の中央には、回動扉50を受容する中央凹部30が形成されていて、この中央凹部30の底部に開口部11Kが形成されている。そして、閉状態において、回動扉50は、主壁20の表側面より下方(蓋本体11の裏側)に配置される。開口部11Kは、中央凹部30の底部中央に配され、中央凹部30の底部のうち開口部11Kの外側に配される部分が、閉状態の回動扉50を下方から支持する扉支持壁31を構成している。なお、扉支持壁31は、1対の梁21,21に沿って延在する1対の短辺支持壁31A,31Aと、1対の短辺支持壁31A,31Aの一端部同士を連絡する第1長辺支持壁31Bと、1対の短辺支持壁31A,31Aの他端部から互いに近づくように延びて切欠部32を挟む第2長辺支持壁31C,31Cと、からなる。
図7に示すように、開口部11Kの開口縁のうち切欠部32と対向する長辺部分の中央には、後述する回動扉50の中央軸受部61と係合する中央軸部41が形成されている。中央軸部41は、第1長辺支持壁31Bの中央部を貫通する受容孔42と、開口部11Kの長辺方向で受容孔42を挟むように第1長辺支持壁31Bから起立した1対の対向起立壁43,43と、それら1対の対向起立壁43,43に差し渡された軸部44と、からなる。また、開口部11Kの開口縁のうち切欠部32と対向する長辺部分の両端には、後述する回動扉50の側方軸部66と係合する側方軸受部46が形成されている。側方軸受部46は、第1長辺支持壁31Bの両端部に形成された端部貫通孔47と、端部貫通孔47の縁部から蓋本体11の表側に突出する箱形壁48と、からなる。端部貫通孔47は、箱形壁48よりも第1長辺支持壁31Bの中央側へ延びていて(図8参照)、箱形壁48のうち第1長辺支持壁31Bの中央側を向く壁部には、端部貫通孔47に繋がる軸部挿通孔49が形成されている。
図9及び図10に示すように、回動扉50は、矩形枠部51の内側に複数の梁部52が縦横に張り巡らされた略格子構造をなしている。複数の梁部52の裏面からは格子リブ52Kが突出し、その格子リブ52Kを矩形枠部51から突出する包囲突部51Tが外側から囲んでいる。包囲突部51T及び格子リブ52Kは、回動扉50が閉状態となったときに蓋本体11の開口部11Kに受容される。
矩形枠部51の長辺部51A,51Bのうち一方の長辺部である第1長辺部51Aには、中央軸受部61が形成されている。具体的には、第1長辺部51Aの中央部には、矩形枠部51の外側へ向かって開放した1対の切欠部60K,60Kが間隔をあけて設けられていて、中央軸受部61は、第1長辺部51Aのうち1対の切欠部60K,60Kに挟まれた部分が回動扉50の表側へ向けて略円弧状に折り曲げられることで形成されている。
図14(A)及び図14(B)に示すように、中央軸受部61は、蓋本体11の中央軸部41と係合して、軸部44の回りを回動する。軸部44は、後述する回動扉50の側方軸部66と同軸に配置される。そして、軸部44と側方軸部66の中心軸が、回動扉50の回動軸50Jとなる。詳細には、中央軸受部61は、中央軸部41における1対の対向起立壁43,43の間に挟まれ、中央軸受部61の表側面に形成された溝部62に、蓋本体11に形成された軸部44が受容される。なお、閉状態において、中央軸受部61は、中央軸部41の受容孔42に隙間を有した状態に受容される(図14(A)参照)。
ここで、閉状態において、回動扉50の中央部が表側から押されると、回動扉50の外縁部、即ち、矩形枠部51が開口部11K側に引き込まれ、中央軸受部61と中央軸部41との係合が外れるという問題が生じ得る。このような問題を防ぐべく、本実施形態では、図10に示すように、中央軸受部61の裏側を向く部分から第1ストッパー突部63が突出していて、図14(A)に示すように、閉状態のときに、第1ストッパー突部63が受容孔42に受容されるようになっている。第1ストッパー突部63は、中央軸部41の受容孔42のうち開口部11K側の開口縁に対して若干の隙間を有して配置される。これにより、閉状態のときに回動扉50の中央部が表側から押されても、第1ストッパー突部63が受容孔42の開口縁と当接することで、矩形枠部51が開口部11K側へ引き込まれることが抑えられ、中央軸受部61と中央軸部41との係合を保持することが可能となる。
図9及び図10に示すように、第1長辺部51Aの両端部には、側方軸部66が設けられている。側方軸部66は、第1長辺部51Aの両端部から回動扉50の長辺方向の外側へ向かって延びるシャフト状をなして、蓋本体11の側方軸受部46の軸部挿通孔49(図7参照)に挿通される。側方軸部66の先端部には、外径が大きくなった抜止部67が形成されている。ここで、軸部挿通孔49への側方軸部66の挿入を容易にするために、抜止部67の先端部はテーパー状に形成されている。なお、第1長辺部51Aのうち矩形枠部51の隅に配される部分は四角形状に切り欠かれていて、側方軸部66は、切り欠き部分の縁部から切り欠き部分の内側へ突出するように延びている。
図9に示すように、矩形枠部51の長辺部51A,51Bのうち他方の長辺部である第2長辺部51Bの中間部には、両端部よりも回動扉50の表側に突出する段差部53が形成されている。段差部53は、矩形枠部51の外側へ向かうにつれて突出量が大きくなるように傾斜している。詳細には、図15(A)に示すように、第2長辺部51Bの中間部は、開口部11Kから離れるように傾斜していて、その傾斜部分によって段差部53が形成されている。
回動扉50のうち矩形枠部51に囲まれた部分には、段差部53の中間部に隣接する補助操作孔55(本発明の「操作補助部」に相当する。)が設けられている。補助操作孔55は、例えば、平面視長方形状になっていて、作業者の手又は指を挿入可能な大きさをなしている。そして、段差部53のうち補助操作孔55の縁部となる部分に、作業者が把持可能な把持部54が形成されている。
ここで、回動扉50の開操作の一例について説明する。図12及び図13に示すように、切欠部32は、閉状態の回動扉50よりも蓋本体11の外側に張り出し、切欠部32のうち回動扉50より外側に配置された部分は、作業者の手や指が挿通可能な操作孔33を構成する。作業者は、回動扉50の操作補助孔55に親指をかけた状態で、操作孔33に残りの指を挿通させて、把持部54を握る。ここで、把持部54は、矩形枠部51の外側へ向かうにつれて突出量が大きくなるように傾斜する段差部53により形成されているので、上述の如く把持部54を把持する場合には、手首を返し易くなり、把持が容易となる。そして、把持部54を握った状態で作業者が回動扉50を上側(表側)に引くと、回動扉50が開いて蓋本体11の開口部11Kが開放される(図11参照)。なお、切欠部32が構成する操作孔33は、本発明の「操作スペース」に相当し、閉状態において回動軸50Jから離れた側から回動扉50に手や指がかかることを許容する。また、閉状態において操作孔33を構成する切欠部32は、本発明の「操作スペース形成部」に相当する。
また、図12及び図13に示すように、蓋本体11における切欠部32の縁部には、蓋本体11の裏側へ向かうにつれて切欠部32を狭めるように傾斜した傾斜壁34が設けられている。この傾斜壁34によって、閉状態においてブロイラ容器80の内容物が切欠部32(詳細には、操作孔33)から飛び出ることが抑制される。しかも、本実施形態では、傾斜壁34は、開口部11から離れた側の縁部、即ち、閉状態において回動扉50の把持部54と対向する縁部に設けられているので、傾斜壁34によって、操作孔33へ挿通された作業者の指を回動扉50の把持部54側へ誘導することが可能となる。
図15(A)及び図15(B)に示すように、回動扉50と蓋本体11とには、係合部57と被係合部35とが設けられていて、回動扉50が閉状態のときに、回動扉50の係合部57が蓋本体11の被係合部35と係合することにより、回動扉50は閉状態に保持されるようになっている。以下、回動扉50の係合部57と蓋本体11の被係合部35について詳説する。
図9及び図10に示すように、回動扉50における矩形枠部51の段差部53には、長方形状の貫通孔56が把持部54を挟むように対をなして設けられている。図15(A)に示すように、貫通孔56の開口縁のうち第1長辺部51Aから離れた側(即ち、回動扉50の回動軸50Jから離れた側)の縁部からは、弾性片57Hが回動扉50の裏側に突出している。弾性片57Hは、矩形枠部51の長辺に沿って延びる突片状に構成されていて、回動扉50の裏側へ向かうにつれて貫通孔56の内側(即ち、回動扉50の回動軸50Jへ近づく側)へ向かうようにするように傾斜している。弾性片57Hの先端部からは、貫通孔56の内側(即ち、回動扉50の回動軸50Jへ近づく側)へ向かって係合突部57Kが突出している。そして、弾性片57Hと係合突部57Kとによって係合部57が構成されている。なお、本実施形態では、係合突部57Kは、弾性片57Hの先端部から突出しているが、中間部から突出してもよい。
図7及び図8に示すように、蓋本体11における扉支持壁31の各第2長辺支持壁31Cには、係合孔36が設けられている。係合孔36は、平面視長方形状になっていて、係合孔36の長手方向は、蓋本体11の長辺方向と平行になっている。詳細には、第2長辺支持壁31Cの裏側を向く部分には、ブロック状をなす突部36Tが形成されていて、係合孔36は、突部36Tを貫通するように形成されている。図15(B)に示すように、回動扉50が閉状態になると、係合孔36に係合部57の弾性片57Hが挿通され、突部36Tのうち蓋本体11の裏側を向く面(下面)に係合部57の係合突部57Kが係止する。即ち、係合部57と係合する被係合部35は、係合孔36(詳細には、係合孔36が形成された突部36T)によって構成されている。
ここで、係合孔36は、第2長辺支持壁31Cのうち切欠部32に近い側の端部に配置され、被係合部35は、閉状態において回動扉50の把持部54の近傍(操作孔33の近傍でもある。)に配置されている。従って、把持部54が操作されたときに、回動扉50の曲げ変形によって係合部57と被係合部35の係合が外れ易くなっている。また、本実施形態では、係合孔36は、切欠部32を挟む1対の第2長辺支持壁31C,31Cのそれぞれに設けられているので、被係合部35が蓋本体11の1箇所にだけ設けられている場合(例えば、一方の第2長辺支持壁31Cにのみ設けられている場合)と比較して、係合部57と被係合部35の係合の安定化が図られる。
図15(A)に示すように、係合孔36の開口縁のうち開口部11Kに近い側の壁部は、閉状態で係合部57の弾性片57Hと対向する対向壁37となっている。対向壁37のうち回動扉50の回動軸50Jと反対側を向く面には、蓋本体11の裏側へ向かうにつれて第1長辺支持壁31Bから離れる(即ち、回動扉50の回動軸50Jから離れる)ように傾斜する対向傾斜面37Mが形成されている。そして、対向傾斜面37Mの傾斜により、回動扉50が閉状態になるときに、係合突部57Kが係合孔36に挿入され易くなる。なお、本実施形態の例では、対向壁37の全体が蓋本体11の裏側へ向かうにつれて回動軸50Jから離れるように傾斜しているが、少なくとも回動軸50Jと反対側を向く面が傾斜していればよい。
ここで、回動扉50が開状態のときに、回動扉50の中央部が表側から押されると、回動扉50の外縁部、即ち、矩形枠部51が開口部11K側に引き込まれ、係合部57と被係合部35に負荷が集中して、係合部57及び被係合部35が破損するという問題が生じ得る。このような問題を防ぐべく、本実施形態では、図10に示すように、矩形枠部51の他方の長辺部である第2長辺部51Bに、裏側に突出する第2ストッパー突部58が設けられている。この第2ストッパー突部58は、第2長辺部51Bの両端寄り位置に配されていて、回動扉50が閉状態のときに、蓋本体11の扉支持壁31における各第2長辺支持壁31Cに形成された位置決め孔38に受容される(図4参照)。従って、閉状態の回動扉50の中央部が表側から押されても、第2ストッパー突部58が位置決め孔38の開口縁(詳細には、開口部11Kに近い側の開口縁)と当接することで、係合部57及び被係合部35に負荷が集中することが抑制され、それら係合部57及び被係合部35の破損を抑えることが可能となる。
本実施形態の蓋10の構成に関する説明は以上である。次に、蓋10の作用効果について説明する。
本実施形態の蓋10では、蓋本体11と係合する係合突部57Kは、回動扉50の回動軸50J側に突出し、蓋本体11には、回動扉50に回動軸50Jから離れた側から作業者の指を掛けるための操作孔33を形成する切欠部32が備えられている。従って、回動軸50Jから離れた側から回動扉50に作業者の指が掛けられて回動扉50が開操作されると、回動軸50Jから離れた側の端部が蓋本体11から離れるように回動扉50が曲げ変形され、係合部57の係合突部57Kが回動軸50Jから離れる方向に移動する(図16(A)参照)。その結果、係合突部57Kと蓋本体11の被係合部35との係合が外れ易くなる。このように、本実施形態の蓋10によれば、回動扉50を開操作するときに、係合突部57Kと被係合部35との係合が外れ易くなり、回動扉50の開操作を容易に行うことが可能となる。また、蓋10では、上記した係合突部57Kが操作孔33の近傍に配置されている(即ち、係合突部57Kは、回動扉50のうち回動軸50Jから離れた側の部分に配置されている)ので、回動扉50が閉状態のときにブロイラ容器80の内側から鳥などが回動扉50を押圧した場合に、回動扉50における回動軸50Jから離れた側の端部が蓋本体11を押し付けるように回動扉50が曲げ変形され、係合突部57Kが回動軸50J側へ移動する(図16(B)参照)。その結果、係合突部57Kと被係合部35との係合が外れ難くなり、係合突部57Kと被係合部35との係合を維持することが可能となる。
また、本実施形態では、作業者の指を切欠部32(詳細には、操作孔33)に通して回動扉50の把持部54に引っ掛けることが可能となり、回動扉50の開操作時の操作性の向上が図られる。しかも、回動扉50には、把持部54に回動軸50J側から隣接する補助操作孔55が備えられているので、作業者による把持部54の把持の安定化が図られる。
また、本実施形態では、回動扉50の係合部57の弾性片57Hは、突出先端側へ向かうにつれて回動扉50の回動軸50J側へ近づくように傾斜しているので、回動扉50の開閉が繰り返されることで、突出先端部が回動扉50の回動軸50Jから離れるように弾性片57Hが変形して、係合突部57Kと被係合部35との係合が外れ易くなることが抑制される。
さらに、本実施形態では、被係合部35に、閉状態において弾性片57Hに回動扉50の回動軸50J側から対向して係合突部57Kと係合する対向壁37が備えられ、対向壁57のうち回動軸50Jと反対側を向く面には、蓋本体11の裏側へ向かうにつれて回動軸50Jから離れるように傾斜する対向傾斜面37Mが形成されているので、回動扉50が閉操作されるときに、対向壁37の対向傾斜面37Mに沿って係合突部57Kが回動扉50の回動軸50Jから離れるように弾性片57Hが変形する。そして、係合突部57Kが対向傾斜面37Mよりも蓋本体11の裏側に配置されたときに、弾性片57Hが復元して、係合突部57Kが対向壁37と係合する。本実施形態によれば、回動扉50の閉操作時における係合突部57Kと被係合部35の係合を容易に行うことが可能となる。
[他の実施形態]
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に説明するような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)上記実施形態では、回動扉50に備えられた係合部57の弾性片57Hは、突出先端側(即ち、回動扉50の裏側)へ向かうにつれて回動扉50の回動軸50J側へ近づくように傾斜していたが、回動扉50の表裏の方向(即ち、回動扉50の厚み方向)と平行であってもよい。
(2)上記実施形態では、対向壁37のうち回動軸50Jと反対側を向く面が、蓋本体11の裏側へ向かうにつれて回動軸50Jから離れるように傾斜する対向傾斜面37Mとなっていたが、蓋本体11の表裏の方向(即ち、蓋本体11の厚み方向)と平行な面であってもよい。
(3)上記実施形態では、蓋本体11における切欠部32の縁部に設けられた傾斜壁34は、開口部11から離れた側の縁部、即ち、閉状態において回動扉50の把持部54と対向する縁部に設けられていたが、それ以外の縁部(具体的には、回動扉50の回動軸50J方向で対向する1対の縁部のうち少なくとも一方の縁部)に設けられていてもよい。本構成によっても、切欠部32によって構成される操作孔33からブロイラ容器80の内容物が飛び出すことが抑制される。
(4)上記実施形態では、蓋本体11における切欠部32の縁部に、蓋本体11の裏側へ向かうにつれて切欠部32を狭めるように傾斜した傾斜壁34が設けられていたが、傾斜壁34を設けない構成、即ち、切欠部32の内面が蓋本体11の表裏の方向(即ち、蓋本体11の厚み方向)に延在する構成であってもよい。特に、切欠部32によって構成される操作孔33が小さい場合には、本構成によっても、ブロイラ容器80の内容物が操作孔33から飛び出すことが防がれる。
(5)上記実施形態では、本発明に係る「被係合部」は、蓋本体11の扉支持壁31を貫通する係合孔36で構成されていたが、蓋本体11の表側で開放する凹部で構成されてもよい。この場合、凹部の内面(詳細には、回動扉50の回動軸50J側に配置される部分)に突部又は段差を設けて、その突部又は段差に係合突部57Kが係合するようにすればよい。
(6)上記実施形態では、本発明に係る「操作補助部」は、回動扉50を貫通する操作補助孔55によって構成されていたが、回動扉50の表側で開放する凹部で構成されてもよい。この構成であっても、作業者は、当該凹部に、例えば、親指を通して、把持部54を把持することが可能となる。
(7)上記実施形態では、閉状態の回動扉50は、蓋本体11の主壁20の表側面に対して下方(裏側)に配置されていたが、主壁20の表側面と面一に配置されてもよいし、図17に示すように、主壁20の表側面に対して突出するように配置されてもよい。また、後者の場合、図17に示されるように、蓋本体11に切欠部32を備えない構成としてもよい。切欠部32を備えない場合であっても、作業者は、回動軸50Jから離れた側から回動扉50に手又は指をかけることが可能となる。図17の例では、回動扉50に対して回動軸50Jと反対側に位置し且つ蓋本体11の表側に位置するスペースが本発明の「操作スペース」に相当し、閉状態において回動扉50を蓋本体11の主壁20の表側面に対して突出させた状態に支持する主壁20(詳細には、開口部11Kの開口縁)によって、本発明の「操作スペース形成部」が構成される。
(8)上記実施形態において、切欠部32は、蓋本体11(詳細には、主壁20)を貫通する構成であったが、蓋本体11の表側で開放していればよく、例えば、上記実施形態において、傾斜壁34の下端部から開口部11K側に延設された底壁によって切欠部32の裏側が閉塞されていてもよい。