JP6727572B2 - 多層からなる防音材 - Google Patents
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Description
しかしながら、従来の多層からなる防音材は、それぞれの発泡成形体層を別々に成形しておき、後工程で接着剤により貼り合せて一体化するものであった。しかも、それぞれの発泡成形体層を所定の大きさに切断加工して貼り合せるため、作業が煩雑で長時間かかるという問題があった。また製造コストも高くなるという問題もあった。
本発明は上記のような従来の問題点を解決して、通気性を有しない発泡成形体層と通気性を有する発泡成形体層の異なる複数の発泡成形体層を積層した発泡成形体を、二次加工で貼り合せるのではなく、1つの成形型で一体的に成形することができる多層からなる防音材を提供することを目的とするものである。
前記第1の発泡成形体層と第2の発泡成形体層の接合面が融着しているとともに、
前記第1の発泡成形体層には厚み方向に貫通する第1呼吸穴が形成されており、この第1呼吸穴の内部に第2の発泡成形体層が食い込んだ状態で融着していることを特徴とする多層からなる防音材であり、これを請求項1に係る発明とする。
また、前記第1の発泡成形体層および前記第2の発泡成形体層には厚み方向に貫通する第2呼吸穴が形成されていて、この第2呼吸穴の内部に前記第3の発泡成形体層が食い込んだ状態で融着している請求項1に記載の多層からなる防音材であり、これを請求項2に係る発明とする。
また、前記第1の発泡成形体層の空隙率は5%未満であり、前記第2および第3の発泡成形体層の空隙率は10〜40%であることが好ましく、これを請求項4に係る発明とする。
図1は、本発明に係る2層からなる防音材の斜視図、図2は、図1の要部の拡大断面図、図3は、本発明に係る3層からなる防音材の斜視図、図4は、図3の要部の拡大断面図である。
前記第1の発泡成形体層1aは、発泡粒子からなる原料ビーズが相互に略全面で融着するように成形されたもので、通気性を有しないため優れた遮音性を有するものである。また、第2の発泡成形体層1bと第3の発泡成形体層1cは、発泡粒子からなる原料ビーズが発泡粒子間に空隙を有するように相互に点融着するように成形されたもので、通気性を有しているため優れた吸音性を有するものするものである。
また、図4に示されるように3層からなる場合は、前記構成に加えて更に、前記第1の発泡成形体層1aおよび第2の発泡成形体層1bには厚み方向に貫通する第2呼吸穴8bが形成されていて、この第2呼吸穴8bの内部に第3の発泡成形体層1cが食い込んだ状態で融着している。
このような構造の積層体とすることで、各発泡成形体層の結合をより強固なものとしている。なお、前記呼吸穴8a、8bは、成形時における加熱用蒸気等の流通路としての役割を果たす意味もあり、この点については後述する。
以上のように、異なった層からなる多層の成形体とすることにより、それぞれの層の特徴を発揮して、従来にない複数の効果を奏する複合体を提供することができる。しかも、本発明の吸音材は、従来のように別々に成形したものを貼り合せて一体化したものではなく、発泡成形機により1サイクルで一体成形することができたものであり、効率よく安価に生産することができる。
次に、本発明の多層からなる防音材の製造方法について説明する。
図5において、2は凹型の固定型、3は凸型の移動型、4aはこれらの一対の固定型2と移動型3で形成した1次キャビティである。5は固定型2の背面に設けた原料ビーズの充填器、6aは呼吸穴形成用の第1ピンである。
この結果、通気性を有しない第1の発泡成形体層1aと通気性を有する第2の発泡成形体層1bとが積層一体化されるうえに、前記第1呼吸穴8a内には第2の発泡成形体樹脂が入り込んだ状態となっているので、より強固に接合した2層からなる発泡成形体が成形されることとなる。
最後に、移動型3が後退させられた後、エジェクトピン(図示せず)の作動により、発泡成形体は固定型2の外へ排出されて、成形の1サイクルが終了する。
次に、3層からなる発泡成形体の製造方法について説明する。
図10に示すように、一対の固定型2と移動型3で形成した1次キャビティ4a内(厚み:t1)に、呼吸穴形成用の第1ピン6aおよび第2ピン6bを侵入させた状態で、充填器5から原料ビーズを充填する。お、前記第1ピン6aおよび第2ピン6bは、例えばエアシリンダ7によって出没自在としてある。
この結果、通気性を有しない第1の発泡成形体層1aと通気性を有する第2の発泡成形体層1bとが積層一体化され、更に、前記第1呼吸穴8a内には第2の発泡成形体樹脂が入り込んだ状態となるため、より強固に接合した状態の2層からなる発泡成形体が成形されることとなる。
その後、前記第2ピン6bをその先端部が固定型2の底面と面一となる位置まで後退させて、厚み方向に貫通した第2呼吸穴8bを形成し、次いで、図15に示すように、移動型側にある充填器9から3次キャビティ4c内に原料ビーズを充填する。この時、前記第2呼吸穴8a内にも原料ビーズが充填される。
この結果、通気性を有しない第1の発泡成形体層1aを中心層として、その両側に通気性を有する第2の発泡成形体層1bと第3の発泡成形体層1cとが積層一体化される。しかも、前記第1呼吸穴8a内には第2の発泡成形体樹脂が入り込み、また前記第2呼吸穴8b内には第3の発泡成形体樹脂が入り込んだ状態となっているので、より強固に接合した3層からなる発泡成形体が成形されることとなる。
最後に、移動型3が後退させられた後、エジェクトピン(図示せず)の作動により、発泡成形体は固定型2の外へ排出されて、成形の1サイクルが終了する。
これにより、発生した音は先ず第2の発泡成形体層1bで吸音され、次いで、ここで吸音できなかった音が第1の発泡成形体層1aで反射されて、再び第2の発泡成形体層1bへ入射される。再度入射した音は第2の発泡成形体層1bで更に吸音されるため、防音効果は非常に高いものとなる。
図1に示すように、ポリスチレンからなる発泡ビーズを用いて、図5〜図9に示す製法により第1の発泡成形体層と第2の発泡成形体層を積層一体化した防音材(厚さ30mm)を得た。遮音性を有する第1の発泡成形体層は厚さ10mm、吸音性を有する第2の発泡成形体層は厚さ20mmで、騒音が吸音性を有する第2の発泡成形体層から入射するようにして使用に供する。また、前記第1の発泡成形体層の空隙率は3%、第2の発泡成形体層の空隙率は40%であった。また、第1の呼吸穴の内径は30mmで穿孔ピッチは200mmとした。
図3に示すように、ポリスチレンからなる発泡ビーズを用いて、図10〜図16に示す方法により第1の発泡成形体層を中心層として、第2の発泡成形体層と第3の発泡成形体層を積層一体化した防音材(厚さ50mm)を得た。遮音性を有する第1の発泡成形体層は厚さ10mm、吸音性を有する第2の発泡成形体層と第3の発泡成形体層は厚さ20mmであった。また、前記第1の発泡成形体層の空隙率は3%、第2の発泡成形体層の空隙率は40%であった。また、第1の呼吸穴の内径は30mmで穿孔ピッチは200mmであった。
1a 第1の発泡成形体層
1b 第2の発泡成形体層
1c 第3の発泡成形体層
2 固定型
3 移動型
4a 1次キャビティ
4b 2次キャビティ
4c 3次キャビティ
5 充填器
6a 第1ピン
6b 第2ピン
7 エアシリンダ
8a 第1呼吸穴
8b 第2呼吸穴
9 充填器
Claims (6)
- 遮音性を有する第1の発泡成形体層と、吸音性を有する第2の発泡成形体層を積層一体化した多層からなる防音材であって、
前記第1の発泡成形体層と第2の発泡成形体層の接合面が融着しているとともに、
前記第1の発泡成形体層には厚み方向に貫通する第1呼吸穴が形成されており、この第1呼吸穴の内部に第2の発泡成形体層が食い込んだ状態で融着していることを特徴とする多層からなる防音材。 - 前記第1の発泡成形体層を中心層として、前記第2の発泡成形体層と反対側には吸音性を有する第3の発泡成形体層が積層一体化されており、
また、前記第1の発泡成形体層および前記第2の発泡成形体層には厚み方向に貫通する第2呼吸穴が形成されていて、この第2呼吸穴の内部に前記第3の発泡成形体層が食い込んだ状態で融着している請求項1に記載の多層からなる防音材。 - 前記第1の発泡成形体層は、発泡粒子からなる原料ビーズが相互に略全面で融着するように成形されたものであり、前記第2および第3の発泡成形体層は、発泡粒子からなる原料ビーズが発泡粒子間に空隙を有するように相互に点融着するように成形されたものである請求項2に記載の多層からなる防音材。
- 前記第1の発泡成形体層の空隙率は5%未満であり、前記第2および第3の発泡成形体層の空隙率は10〜40%である請求項2〜3のいずれかに記載の多層からなる防音材。
- 前記第1呼吸穴および前記第2呼吸穴の内径が、25〜50mmである請求項2〜4のいずれかに記載の多層からなる防音材。
- 前記第1呼吸穴および前記第2呼吸穴の穿孔ピッチが、100〜300mmである請求項2〜5のいずれかに記載の多層からなる防音材。
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