JP6727055B2 - 厚手電磁調理器用二相ステンレス鋼 - Google Patents

厚手電磁調理器用二相ステンレス鋼 Download PDF

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Description

本発明は、厚手電磁調理器用二相ステンレス鋼に関するものである。
給食センター等において使用される大量・大型の食品加工施設の加熱源は、従来のガスや電熱方式から電磁加熱方式(以下、「IH方式」ともいう。)への転換が進みつつある。IH方式は、従来のガスや電熱方式に比べて余分な熱放出が少なく労働環境改善になり、且つ安全性・操作性も優れるという理由である。
前記IH方式からなる電磁加熱調理器には、磁性材料として、鉄、フェライト系ステンレス鋼、或いは鉄とステンレス鋼のクラッド材等が用いられてきた。しかし、鉄は耐食性に劣り、クラッド材は高コスト、という問題があった。フェライト系ステンレス鋼は、鉄とクラッド材の中間的コストであるが、加工性・溶接性がよくないという問題があった。また、フェライト系ステンレス鋼は、鉄よりは耐食性がよいものの、オーステナイト系ステンレス鋼に比べ耐食性に劣るという問題があった。調理用器具ということで美観性や耐食性も要求され、そのためステンレス鋼のニーズはますます高まっている。
このため、オーステナイト相及びフェライト相からなる二相ステンレス鋼(以下、「二相鋼」という。)は、高強度であり且つ耐食性に優れる特性を有している。また、オーステイナト系ステンレス鋼は非磁性であるため電磁調理器には適用できないが、オーステナイトとフェライトの二相鋼にすることにより、磁性を有するフェライトと、耐食性、加工性を有するオーステナイトの長所を生かすことができる。
特許文献1及び2には、二相鋼を用いた電磁調理器が開示されている。特許文献1には、単にオーステナイト相とフェライト相の特徴を利用した電磁調理器の提案がされている。特許文献2には、磁気歪みおよび熱膨張における異方性を改善するために、オーステナイト粒のアスペクト比を規定する提案がされている。
しかし、特許文献1は、電磁調理器のサイズ及び板厚について具体的に開示していない。また、特許文献2に開示された電磁調理器に用いられた二相鋼の板厚は0.5mmに過ぎない。また、特許文献1及び2のいずれも、加工性についても具体的に開示されていない。このように、特許文献1及び2には、給食センター等において使用される大型の電磁調理器を製造するために5.0mm以上の板厚の二相鋼を加工するという課題認識が存在しない。
特開平2−197069号公報 特開平7−307195号公報
給食センター等、前述した大量・大型の食品加工施設で用いられる調理器のサイズは、例えば内径600〜1200mm、深さ270〜450mm、製品容量は60〜400Lといった大きさであって、前述した家庭用の電磁調理器よりも格段に大きい。また、調理器サイズの大型化に伴い、容器の強度を高めるために厚手化が必須である。
ここで、板厚が5.0mm以上のものを本発明では「厚手」という。但し、蒸気釜の場合、第二種圧力容器の規定に適合させる必要がある場合、7〜8mm以上の板厚が必要である。
また、大型化、厚手化により人間が処理できる重さではなくなるため、調理機械に組込むなど、複雑形状化してくる。そのため、厚手化された電磁調理器(厚手電磁調理器)は、形状の複雑化にも対応するため、加工性も求められる。さらに、もちろん、調理器具として美観性や耐食性も求められている。
しかし、前述の通り、大型且つ厚手の電磁調理器用として使用可能な厚手での電磁加熱性、加工性に優れた実用的な材料はこれまでのところ報告されていなかった。
本発明の課題は、以上の事情を鑑み、大型且つ複雑形状である厚手電磁調理器に好適に適用できる材料を見出すことである。
上記課題を解決するために、本発明者は、二相ステンレス鋼を厚手電磁調理器に適用することを発想し、その適用性について検証した。すなわち、曲げ半径(R)が板厚(t)以下になるように鋼板を90°超曲げ加工した時に、曲げ加工部分に割れを生じさせないための各種要因について、鋭意研究した。その結果、フェライト相が30〜70%、オーステナイト相が70〜30%になるようにフェライト及びオーステナイトの二相で金属組織を構成し、化学組成を見直して最適化することによって、5.0mm以上の厚手電磁調理器用の材料として電磁特性とプレス加工性の双方を満足して使用し得ることを見出した。
本発明の要旨は以下の通りである。
(1)フェライト及びオーステナイトの二相よりなり、
フェライト相が30〜70%、オーステナイト相が70〜30%で構成され、
質量%で、C:0.050%以下、Si:1.0%以下、Mn:6.0%以下、P:0.040%以下、S:0.030%以下、Ni:0.50〜8.0%、Cr:19.0〜27.0%、Mo:4.0%以下、Cu:3.0以下、N:0.050〜0.35%含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、
板厚が5mm以上であって、90°超曲げ加工した時に、曲げ加工部分に割れを生じないことを特徴とする厚手電磁調理器用二相ステンレス鋼。
(2)質量%で、Ni:1.0〜6.0%、Cr:20.5〜24.5%、Mo:1.9%以下、Cu:2.0%以下、N:0.050〜0.25%に制限されることを特徴とする(1)に記載の厚手電磁調理器用二相ステンレス鋼。
(3)質量%で、Mn:2.0%超〜6.0%、Ni:1.0〜4.0%未満に制限されることを特徴とする(1)又は(2)に記載の厚手電磁調理器用二相ステンレス鋼。
(4)下記のPRE値が21〜34であることを特徴とする(1)〜(3)のうちいずれかに記載の厚手電磁調理器用二相ステンレス鋼。
PRE = Cr + 3.3×Mo + 16×N;但し、式中のCr、Mo及びNは、鋼中の元素Cr、Mo及びNのそれぞれの含有量(単位:mass%)を示す。
本発明によれば、IH加熱に対応し、かつ耐食性、成形加工性にも優れた大型鍋等の発熱体機器を経済的に製造することができる。また、本発明によれば、IH採用可能性が広がり、省エネ・省コスト(調理時の出力制御可能・自動調理可能)が可能になる。また、本発明によれば、給食センター等の大規模食品調理・加工施設の加熱調理に余熱排出を削減できるため、作業環境(室温、湿度)を大幅に改善可能なIH加熱方式の導入可能性を格段に広げることができる。
(a)、(b)は曲げ半径を説明するための曲げ加工部の拡大断面図であり、(a)は曲げ角度θ(θ≧90°)で曲げた場合の曲げ加工部の拡大断面図であり、(b)は曲げ角度180°で曲げた場合の曲げ加工部の拡大断面図である。
以下に本発明における鋼の組成範囲について説明する。
以下の説明において、各元素の含有量を表す「%」は特に断りがない限り質量%を意味する。
(C:0.050%以下)
Cは、フェライト相に固溶あるいはCr炭化物を形成して耐酸化性を阻害する。一方、 Cは、炭化物を形成し、鋼の強化及びフェライト粒の微細化に有効な元素であり、オーステナイト組織の安定性を高めるために有効である。しかし、Cは、多量に添加されると加工性の劣化を招く。このような観点から、0.050%を上限としてCを含有しても良い。尚、Cを過度に低減することは製鋼段階でのコスト増加を招くため、その下限値は0.0005%としても良い。なお、安定的な製造性の観点からは0.0015%以上とすることが好ましい。
(Si:1.0%以下)
Siは、溶製時の脱酸元素として活用する場合や、耐酸化性の向上のために積極的に添加する場合がある。また、フェライト安定化元素でもある。なお、脱酸の観点から、0.03%以上とすることが好ましい。また多量の添加は材質硬質化による加工性の低下を招くことがあるため、上限は1.0%とする。なお、加工性、安定製造性の観点からは0.30%以下とすることが好ましく、さらに0.20%以下とすることが好ましい。さらに加工性、安定製造性を確実にするために0.15%以下にすることが望ましい。但し、極低Si化はコスト増加を招くためその下限を0.01%とすることが好ましい。
(Mn:6.0%以下)
Mnは、溶製時の脱酸剤として添加される元素であるとともに、オーステナイト単相域を拡大し組織の安定化に寄与する。ただし、過度に添加すると、粗大介在物が生成して、加工性が劣化するので、上限を6.0%とする。下限は特に定めないが、オーステナイト相の確実な安定化と加工性の観点から、2.0%超が好ましい。
(P:0.040%以下)
Pは原料である溶銑やフェロクロム等の主原料中に不純物として含まれる元素である。熱間加工性に対しては有害な元素であるため、0.040%以下とする。なお、好ましくは0.030%以下である。過度な低減は高純度原料の使用を必須にするなど、コストの増加に繋がるため0.010%以上とする。経済的に好ましくは、0.020%以上にすることが望ましい。
(S:0.030%以下)
Sは、硫化物系介在物を形成し、鋼材の一般的な耐食性(全面腐食や孔食)を劣化させるため、その含有量の上限は少ないほうが好ましく、0.030%とする。また、Sの含有量は少ないほど耐食性は良好となるが、低S化には脱硫負荷が増大し、製造コストが増大するので、その下限を0.0001%とするのが好ましい。なお、好ましくは0.0001〜0.0010である。
(Ni:0.50%以上8.0%以下)
Niは、Mnと同様にオーステナイト相を安定化させる元素であって、耐酸化性の面では、Mnよりも優れた効力を有する。これらの効果は0.50%以上で得られるため、下限を0.50%以上とする。Niの含有量は、好ましくは、1.0%以上である。一方、過度なNiの添加は熱間加工性を低下させるために、8.0%以下とする。加工性を高める観点から、Niは6.0%以下とすることが好ましく、4.0%未満とすることがより好ましい。
(Cr:19.0%以上27.0%以下)
Crは、ステンレス鋼の基本元素であり、耐酸化性や耐食性確保のために必須な元素である。19.0%未満では、これらの効果は発現しないので、下限を19.0%以上とする。耐酸化性の観点からは20.5%以上にすることが望ましい。一方で、27.0%超ではオーステナイト単相域が縮小し、C、Nと化合物を形成して製造時の熱間加工性を損ねるため、上限を27.0%とする。好ましくは、24.5%以下である。
(Mo:4.0%以下)
Moは耐食性を向上させる元素であり、必要に応じて添加してもよい。Moは0.01%以上の添加で効果が発揮されるため、これを下限とすることが好ましい。一方、Moは原子半径が大きいために固溶強化能が強く、結果として鋼を硬くして加工性を悪くするので、過度な添加は好ましくない。そのため、Moの添加量の上限は、4.0%以下とする。Moの添加量の上限は、1.9%以下とすることが好ましい。
(Cu:3.0%以下)
Cuは、必要に応じて添加してもよい元素であるが、オーステナイト安定化元素としてNiを代替する相対的に安価な元素である。更に隙間腐食や孔食の進展抑制に効果があり、そのためには0.01%以上添加することが望ましい。但し、3.0%を超えると熱間加工性を低下させるため3.0%以下とする。好ましくは、2.0%以下である。
(N:0.050%以上0.35%以下)
Nは、最も強力なオーステナイト相安定化元素であり、かつ、侵入型の有効な固溶強化元素である。添加効果を得るため、0.050%以上とする。ただし、過度の添加は、窒化物の析出を招き、必要な強度、オーステナイト相の安定性がともに得られない。また、加工性の観点から、上限を0.35%とする。好ましくは、0.25%以下である。
残部は基本的に鉄および不可避不純物からなるが、本発明の効果を損なわない範囲で、上記した元素以外の元素を含有させても良い。
(耐孔食指数)
前述したように、Moの過度な添加によって鋼を硬くして加工性を悪くするので、Moの添加量の上限は1.9%以下とすることが好ましい。一方、ステンレス鋼の耐孔食性は下記式で定義されるPRE値(孔食指数: Pitting Resistance Equivalent)が大きいほど良いとされている。
PRE = Cr + 3.3×Mo + 16×N;但し、式中のCr、Mo及びNは、鋼中の元素Cr、Mo及びNのそれぞれの含有量(単位:mass%)を示す。
そのため、前記PRE値が21〜34になるように、Mo量を調整することが好ましい。より好ましい下限は23であり、より好ましい上限は30である。
(フェライト相が30〜70%、オーステナイト相が70〜30%)
なお、本発明の二相ステンレス鋼において良好な特性を得るためには、オーステナイト相面積率を30〜70%にすることが必要である。オーステナイト相面積率が30%未満では靱性不良が、70%超では熱間加工性、応力腐食割れが生じる。また、いずれの場合も、曲げ加工性が不良となり、90°曲げ加工した時に、曲げ加工部分に割れが生じる。
(製造工程)
本発明における厚手電磁調理器用二相ステンレス鋼の製造方法において、仕上げ圧延に供される鋼板を製造する工程は、特に限定されない。公知の手段(例えば電気炉)により溶製された鋼を連続鋳造機で150〜250mm厚のスラブに鋳造し、必要に応じて表面を研削した後、1200℃以上に加熱して、熱間圧延機で熱間圧延を行って熱延鋼帯とする。熱延鋼帯を1100℃程度の温度で焼鈍し、酸洗する。引き続き冷間圧延と焼鈍を繰り返して、所望厚みの鋼板とする。仕上げ焼鈍は焼鈍酸洗仕上げ(2B仕上げ)でも、無酸化雰囲気で焼鈍するBA(Bright Annealing)仕上げでも構わない。尚、仕上げ圧延後の工程も特に限定されない、形状強制や脱脂洗浄工程を付与する場合もある。
本発明によれば、鋼板の板厚(t)が5.0mm以上であっても、図1(a)、(b)に示されるように、曲げ加工部分の内側の鋼板表面の屈曲半径(以下、「曲げ半径」という。)の大きさ(R)がt以下になるように90°超の曲げ加工を行った時に、目視観察で、曲げ加工部分にひび或いは割れが生じない。このように、本発明によれば、厚手の電磁調理器用として使用可能な厚手での電磁加熱性、加工性に優れた実用的な材料としての二相ステンレス鋼を提供することができる。
以下、実施例により本発明の効果を説明するが、本発明は、以下の実施例で用いた条件に限定されるものではない。
本実施例では、まず、真空溶解法により表1に示す発明例1〜5及び比較鋼1〜4の化学成分の鋼を50kg溶製し、1200℃にて加熱鍛造を行って60mm厚×280mm幅×約360mm長さの鋼塊とし、続いて1200℃加熱で厚さ6.3mmに熱間圧延した。このようにして得られた熱間圧延鋼板をそれぞれ表2の条件で焼鈍し、その後酸洗して発明例1〜5及び比較鋼1〜4の熱間圧延焼鈍鋼板を得た。
Figure 0006727055
Figure 0006727055
(加工性評価試験)
発明例1〜5及び比較鋼1〜4の熱間圧延焼鈍鋼板のそれぞれの加工性を次の要領にて評価した。まず、発明例1〜5及び比較鋼1〜4の熱間圧延焼鈍鋼板のそれぞれから、長手方向180mm×幅約280mmの板2枚を採取し、平坦矯正した後、表面を280mm方向に♯120番研磨仕上げし、厚手材(板厚6mm)の試験片を作製した。次いで、0℃にて、図1(a)に示すように、前記試験片を、曲げ稜線が熱間圧延方向と平行になるように熱間圧延方向と直角の方向に135°まで曲げて、そのときの割れ発生状況を目視観察した。尚、曲げ半径(R)は、板厚(t=6.0mm)とした。この結果を表4の項目「加工性の評価」に示す。
比較例1、2はいずれも曲げ角度90°までに板厚貫通するような大きな割れが発生したのに対し、発明鋼1〜3及び比較鋼3、4はいずれも割れ発生無く、図1(b)に示されるように180°曲げが可能であった。また、発明鋼4、5は曲げ角135°までは割れ発生が無かったが、曲げ角度180°では、エッジ部分とその近傍の曲げ外側表面に口開き状の微小な割れが認められた。この結果から、比較鋼4、5は加工性が劣り(×)、発明鋼4、5は加工性が良好であり(○)、発明鋼1〜3及び比較鋼3、4は加工性が優れる(◎)と評価した。
(電磁加熱特性試験)
前記加工性評価試験に供した部分を除いて、発明例1〜5及び比較鋼1〜4の熱間圧延焼鈍鋼板のそれぞれの表面を部分的に♯60番グラインダーで手入れして酸化スケールや欠陥を除去することにより、発明例1〜5及び比較鋼1〜4の冷間圧延用素材を作製した。これらの冷間圧延用素材に対して、それぞれ、一旦、2.4mmまで冷間圧延し、次いで、表3に示す条件にて1回目の焼鈍を施した後、酸洗を行った。酸洗された発明例1〜5及び比較鋼1〜4の冷間圧延用素材のそれぞれの表面を♯240エメリーペーパーで研削除去し、圧延方向に長さ400mmの板を採取し、これらをそれぞれ1.0mmまで更に冷間圧延した。
こうして得た1.0mm厚の発明例1〜5及び比較鋼1〜4の冷延鋼板について、表3の条件にて2回目の焼鈍を行い、酸洗し、発明例1〜5及び比較鋼1〜4の最終冷延鋼板を得た。
Figure 0006727055
発明例1〜5及び比較鋼1〜4の最終冷延鋼板のそれぞれを用いて、次の要領にて、鋼板自体の消費電力量を比較した。すなわち、まず、発明例1〜5及び比較鋼1〜4の最終冷延鋼板から外径180mmの円形平板を採取し、可能な限り平坦に矯正して、円形の試験片を作製した。次いで、市販の家庭用電磁調理器(定格100V、1400W)のワーク面中央に前記円形の試験片を平置きし、出力を「中」(700W)に設定して、赤外線温度計で測定されるサンプルの表面温度が200℃に達した時点までの消費電力量を比較した。消費電力量の評価基準として、フェライト系の代表鋼種SUS430に相当する比較鋼の最終冷延鋼板を基準とし、前記基準の鋼板の消費電力量に対して115%以下を良好とし(○)、115%超を劣る(×)と評価した。この結果を表4の「消費電力量の評価」の項目に示す。
また、発明例1〜5及び比較鋼1〜4の最終冷延鋼板のそれぞれを角筒にプレス成形して、これらを模擬的な容器として使用し、それに同量同温の水を張って電磁調理器で加熱開始した際の水温上昇速度を比較することにより、素材の電磁加熱性能を評価した。すなわち、まず、発明例1〜5及び比較鋼1〜4の最終冷延鋼板のそれぞれから、230mm角の板を、ポンチ105mm角、深さ50mm程度にてプレス成形して角筒を作製した。次いで、市販の家庭用電磁調理器(定格100V、1400W)のワーク面中央に前記角筒を置き、その中に25℃の水道水500mlを入れて、前記家庭用電磁調理器を1400Wで加熱した。水中のほぼ中心に配置した熱電対の測定温度がこの加熱によって95℃に達するまでの時間を、前記発明例1〜5及び比較鋼1〜4の各最終冷延鋼板について3回測定し、平均時間を比較した。電磁加熱性能の評価基準として、フェライト系の代表鋼種SUS430に相当する比較鋼4の最終冷延鋼板の角筒を基準とし、25℃の水が95℃に達するまでの平均時間に対して105%以下を良好とし(○)、105%超を劣る(×)と評価した。この結果を表4の「電磁加熱性能の評価」の項目に示す。尚、各欄の丸括弧内の数値は、前記3回測定の平均時間を示す。
Figure 0006727055
表4の加工性の評価及び電磁加熱特性試験の結果から、発明鋼1〜5及び比較鋼1〜4の電磁調理器への適用性を総合的に評価した。表4の加工性の評価及び電磁加熱特性試験の結果のうち、いずれかの項目で劣る(×)の評価を有する鋼種は、適用性無し(×)と評価した。一方、表4の加工性の評価及び電磁加熱特性試験の結果のうち、全ての項目が良好であるものを合格(○)とし、特に加工性が優れるものを(◎)とした。
このように、本発明の組成及び/或いは金属組織から外れる鋼板は、電磁調理器への使用に適さない。これに対して、本発明の組成及び金属組織を有する鋼板は、加工性及び電磁加熱特性に優れるので、電磁調理器に好適に適用できる。
本発明によれば、大型且つ厚手の電磁調理器に好適に適用できる二相ステンレス鋼を提供することができる。

Claims (4)

  1. フェライト及びオーステナイトの二相よりなり、
    フェライト相が30〜70%、オーステナイト相が70〜30%で構成され、
    質量%で、C:0.050%以下、Si:1.0%以下、Mn:6.0%以下、P:0.040%以下、S:0.030%以下、Ni:0.50〜8.0%、Cr:19.0〜27.0%、Mo:4.0%以下、Cu:3.0以下、N:0.050〜0.35%含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、
    板厚が5mm以上であって、90°超曲げ加工した時に、曲げ加工部分に割れを生じないことを特徴とする厚手電磁調理器用二相ステンレス鋼。
  2. 質量%で、Ni:1.0〜6.0%、Cr:20.5〜24.5%、Mo:1.9%以下、Cu:2.0%以下、N:0.050〜0.25%に制限されることを特徴とする請求項1に記載の厚手電磁調理器用二相ステンレス鋼。
  3. 質量%で、Mn:2.0%超〜6.0%、Ni:1.0〜4.0%未満に制限されることを特徴とする請求項1又は2に記載の厚手電磁調理器用二相ステンレス鋼。
  4. 下記のPRE値が21〜34であることを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか1項に記載の厚手電磁調理器用二相ステンレス鋼。
    PRE = Cr + 3.3×Mo + 16×N;但し、式中のCr、Mo及びNは、鋼中の元素Cr、Mo及びNのそれぞれの含有量(単位:mass%)を示す。
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