JP6724842B2 - カーテンエアバッグ - Google Patents

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Description

本発明は、車両の車内側における窓の上縁側に折り畳まれて収納されて、膨張用ガスの流入時、下方へ展開膨張して、窓の車内側を覆うカーテンエアバッグに関する。
従来、この種のカーテンエアバッグでは、車両の車内側における窓の上縁側に、前後方向に沿うように折り畳まれて収納され、膨張用ガスの流入時に、窓の車内側を覆うように下方へ展開膨張する構成とし、そして、展開膨張完了時の下縁側を上縁側に接近させる折畳形状として、巻くように折ったロール折り部、を備えて、窓の上縁側に収納される構成としていた(例えば、特許文献1参照)。このカーテンエアバッグでは、ロール折り部を形成するための巻き取りバーを挿入させる筒状のバー挿入部位を、平らに展開したエアバッグの乗員保護領域の下方に設けて、構成されていた。そして、ロール折り部の形成時には、平らに展開した状態のエアバッグのバー挿入部位に、巻き取りバーを挿入させ、巻き取りバーを、回転させつつエアバッグの上縁側に移動させて、下縁側から巻き取るようにして、エアバッグにロール折り部を設けていた。なお、巻き取りバーは、エアバッグにロール折り部を形成した後には、ロール折り部から引き抜かれることとなる。
また、エアバッグにロール折り部を設ける際、エアを吸引したり吐出できる複数の通気口を設けた巻き取りバーを使用する場合もあった(例えば、特許文献2)。このエアバッグのロール折り部は、エアバッグを平らに展開した状態の下縁側の上方に、巻き取りバーを配置させ、下縁側を折って巻き取りバーの上に載せ、その後、通気口からエアを吸引しつつ、巻き取りバーを、回転させつつエアバッグの上縁側に移動させて、下縁側から巻き取るようにして、エアバッグにロール折り部を設けていた。そして、エアバッグにロール折り部を形成した後には、巻き取りバーは、通気口からエアを吐出させて、ロール折り部から引き抜いていた。
特開2011−098676号公報 特開2006−205942号公報
しかし、特許文献1におけるエアバッグでは、巻き取りバーを挿入させる筒状のバー挿入部位を、エアバッグの乗員保護領域の下方側で、前後方向の全域を下方へ延長させて配設させており、エアバッグの平らに展開した平面形状が大型化し、さらに、延設させた部位に巻き取りバーを包むように筒状のバー挿入部位を設けていることから、折り畳んだ容積が大きくなり、コンパクトに折り畳んで車両に収納する点で、課題が生じていた。
また、特許文献2に記載のエアバッグでは、エアを吸引して巻き取る巻き取りバーを使用することから、巻き取りバーを挿入させる筒状のバー挿入部位を設けずに済み、エアバッグの大型化を招かず、また、巻き取り当初に、エアバッグの前後方向の端縁側から他方の端縁側までの前後方向の全長にわたって、巻き取りバーを筒状のバー挿入部位に挿入させずに、単に、セットした巻き取りバーの上にエアバッグの端縁側を折って載せるだけで、巻き取り作業を開始できることから、容易に、ロール折り部を形成できる。
しかし、特許文献2に記載のエアバッグでは、回転する巻き取りバーが空回りせずに、エアバッグを巻き取りバーに吸着できるように、ガス透過性を抑える必要があり、通常、袋織りのエアバッグの外表面側には、ガス漏れが生じないように、ウレタン等のコーティング層が設けられていることから、円滑に、巻き取りバーにエアバッグを吸着させることができる。しかしながら、ロール折り部を形成した後の巻き取りバーを抜く際、エアを吐出させていても、コーティング層が密着性(粘着性)を有していることから、部分的に巻き取りバーの外周面にコーティング層が接触することにより、抜き難くなって、そのため、エアの圧力を高くし、少しずつ抜く必要が生じて、巻き取りバーの抜き取りに手間がかかって、特許文献2のエアバッグでも、ロール折り部を、容易に形成できない課題があった。
本発明は、上述の課題を解決するものであり、大型化を抑えて、容易にロール折り部を形成できるカーテンエアバッグを提供することを目的とする。
本発明に係るカーテンエアバッグでは、車両の車内側における窓の上縁側に、前後方向に沿うように折り畳まれて収納され、膨張用ガスの流入時に、前記窓の車内側を覆うように下方へ展開膨張する構成とするとともに、
展開膨張完了時の下縁側を上縁側に接近させる折畳形状として、巻くように折ったロール折り部、を備えて前記窓の上縁側に収納される構成としたカーテンエアバッグであって、
膨張用ガスを流入させて、折畳状態から前記窓の車内側を覆うように展開膨張するバッグ本体と、
繊維層と該繊維層に塗布されて前記繊維層よりガス非透過性を有したコーティング層とを具備して、前記バッグ本体の表面側に結合されて配設される可撓性を有した補助シートと、
を備えて構成され、
前記補助シートが、前記ロール折り部の巻かれた中心部の内周面となる側に、前記繊維層側を向けて、前記バッグ本体に結合されていることを特徴とする。
本発明に係るカーテンエアバッグでは、ロール折り部の巻かれた中心部の内周面となる側に、繊維層側を向けて、可撓性を有した補助シートが結合されており、エアの吸引と吐出とを行える巻き取りバーを、ロール折り部を形成するための中心部に、配置させ、ついで、巻き取りバーにエアバッグを被せ、その後、エアを吸引させつつ、巻き取りバーを、回転させてエアバッグの上縁側に移動させれば、円滑に、巻き取りバーに巻き付かせることができる。このときの挙動は、補助シートが、ロール折り部の中心部の内周面となる側に、すなわち、巻き取りバー側に、繊維層を向けており、その裏側には、ガス非透過性を有したコーティング層を配設させており、繊維層を介して、コーティング層を巻き取りバーに吸着させる態様となって、そのため、巻き取りバーに補助シートが巻き付けられ、そして、その巻き付けに伴ない、補助シートを結合させているバッグ本体も、巻き取りバーに巻き付けられて、巻き取りバーの回転とバッグ本体の上縁側への移動とにより、ロール折り部が形成される。その後、エアを吐出させつつ巻き取りバーをロール折り部から引き抜く際に、巻き取りバーの外周面側には、補助シートの繊維層が配設されており、そして、巻き取りバーからエアが吐出されると、繊維層にエアが浸透して、巻き取りバーとの摩擦抵抗を低減できて、円滑に、巻き取りバーをロール折り部から引き抜くことができて、容易にロール折り部を形成することができる。
そして、バッグ本体は、従来のように、筒状のバー挿入部位を設ける部位を延設させずに、また、巻き取りバーの外周を囲うような筒状のバー挿入部位で無く、単に、シート状の補助シートを、単に平らにした状態のまま、バッグ本体に結合させるだけで、構成できることから、ロール折り部を形成して折り畳んだ状態のエアバッグは、大型化が抑制される。
したがって、本発明に係るカーテンエアバッグでは、大型化を抑えて、容易にロール折り部を形成することができる。
換言すれば、本発明に係るカーテンエアバッグは、エアの吸引と吐出とを行う巻き取りバーを利用して、ロール折り部を形成する場合に、好適に、使用することができる。
そして、本発明に係るカーテンエアバッグでは、前記補助シートは、前記バッグ本体の前後方向の長さ寸法に対応する長さ寸法として、少なくとも上縁側と前後両縁側とを、縫製部を設けて、前記バッグ本体に対して結合されていることが望ましい。
このような構成では、バッグ本体の全長を覆うように、補助シートを1枚使用するだけで済み、複数に分割された補助シートを準備し、そして、それらの補助シートをバッグ本体に結合させる場合に比べて、補助シートの管理や結合作業が一枚分の補助シートで済み、効率的にエアバッグを製造することができる。また、このような構成では、補助シートの上縁側と前後の端縁側とがバッグ本体に縫合されて、バッグ本体に対する補助シートの下方へのずれを規制できることから、エアバッグの展開膨張時途中や膨張完了後において、補助シートがバッグ本体から下方へ飛び出て垂れ下がる挙動を防止できる。さらにまた、補助シートがバッグ本体に対して縫合して取り付けられる構成であれば、補助シートの可撓性を阻害しないことから、バッグ本体とともに、円滑に、折り畳むことできる。
また、本発明に係るカーテンエアバッグでは、前記補助シートの前後両縁の端縁縫製部としては、前記バッグ本体における前記ロール折り部の中心部付近を無縫製部位として、該無縫製部位の上下方向の両側に、配設されていることが望ましい。
このような構成では、巻き取りバーをセットして巻き始める補助シートの部位が、無縫製部位として、縫製による凹凸が無いことから、補助シートの繊維層側が滑ることなく巻き取りバーの外周面に吸着され、その後のロール折りを円滑にさせることができる。
さらに、本発明に係るカーテンエアバッグでは、前記バッグ本体が、膨張用ガスを流入させるガス流入部を備え、該ガス流入部が、前記バッグ本体の上縁側で前記窓の上縁に沿って配設されて、流入初期の膨張用ガスを流すガス供給路部と、該ガス供給路部の下方に配置されて、前記窓を遮蔽するように膨張する遮蔽膨張部と、を備えている構成であれば、前記補助シートは、展開膨張時における少なくとも前記遮蔽膨張部の窓側の面となる側に配設されるように、前記バッグ本体に対して結合されていることが望ましい。
このような構成では、バッグ本体のガス流入部における遮蔽膨張部が、展開膨張時における窓側の面を補助シートにより覆われることから、破損した窓の一部(ガラス片等の破片)が遮蔽膨張部に接触しようとしても、補助シートが破片を受け止めて、破片の遮蔽膨張部との接触を防止できて、遮蔽膨張部の破片との接触による破損を防止できる。
なお、この場合、補助シートは、少なくとも遮蔽膨張部側を覆い、ガス供給路部を覆わないように配設してもよい。なぜなら、ガス供給路部は、バッグ本体の上縁側に配置されて、ガス流入部へ流入する膨張用ガスを最初に流入させ、窓を覆う遮蔽膨張部をエアバッグの収納部位から下方へ押し出す部位であって、窓と接触し難いエリアであり、補助シートが覆っていなくとも、窓の破片と接触し難く、支障は生じないからである。
この場合、前記エアバッグが、上端側を前記バッグ本体の上縁側に縫合させ、下端側を前記補助シートの上縁側に縫合させて、前記バッグ本体の上縁側に沿って、前記ガス供給路部を跨ぐように、断続的に配置される複数の可撓性を有した支持ベルト、を備え、
前記補助シートが、前記支持ベルトを介して、上縁側を前記バッグ本体に縫製される構成として、前記遮蔽膨張部を覆うように、配設されていてもよい。
このような構成では、補助シートを遮蔽膨張部だけを覆うように配設させることができて、ガス流入部の全域を覆わずに済むことから、補助シートの使用材料を低減させて、ガス流入部の窓の破片による破損防止を、効率的に行える。
本発明の一実施形態のカーテンエアバッグを使用した頭部保護エアバッグ装置を、車内側から見た概略正面図である。 実施形態に使用するカーテンエアバッグを平らに展開した状態を示す正面図である。 実施形態のカーテンエアバッグを膨張させた状態の断面図であり、図2のIII−III部位に対応する。 実施形態のカーテンエアバッグを膨張させた状態の断面図であり、図2のIV−IV部位に対応する。 実施形態のカーテンエアバッグの構成部材を説明する平面図である。 実施形態のカーテンエアバッグの折畳形状を説明する図である。 実施形態の頭部保護エアバッグ装置の作動時を順に説明する概略縦断面図である。 実施形態の頭部保護エアバッグ装置の作動時を順に説明する概略縦断面図であり、図7の後の状態を示す。 実施形態のカーテンエアバッグの折畳工程に使用する折り機の概略平面図である。 実施形態のカーテンエアバッグの折畳工程を順に説明する図である。 実施形態のカーテンエアバッグの折畳工程を順に説明する図であり、図10の後の状態を示す。 実施形態のカーテンエアバッグの下縁側の巻き取りバーへの巻き込み状態を説明する図である。 実施形態の折り畳んだカーテンエアバッグを折り機の巻き取りバーから外す状態を説明する図である。 実施形態の変形例のカーテンエアバッグを平らに展開した状態を示す正面図である。 図14に示すエアバッグの折畳形状を説明する図である。 図14に示すエアバッグの折畳工程を説明する図である。 図14に示すエアバッグの下縁側の巻き取りバーへの巻き込み状態を説明する図である。 図14に示すエアバッグを使用した頭部保護エアバッグ装置の作動時を順に説明する概略縦断面図である。 さらに他の変形例のエアバッグを平らに展開した状態を示す正面図である。 図19に示すエアバッグの縦断面図であり、図19のXX−XX部位に対応する。 図19に示すエアバッグの折畳形状を説明する図である。 図19に示すエアバッグを使用した頭部保護エアバッグ装置の作動時を順に説明する概略縦断面図である。 図19に示すエアバッグを使用した頭部保護エアバッグ装置の作動時を順に説明する概略縦断面図であり、図22の後の状態を示す。 さらに他の変形例のエアバッグを平らに展開した状態を示す平面図である。
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明すると、実施形態のカーテンエアバッグ(以下、適宜、エアバッグと略す)20は、図1に示す頭部保護エアバッグ装置Mに使用されるものであり、頭部保護エアバッグ装置Mは、図1に示すように、2つの窓(サイドウィンド)W1,W2を有した二列シートタイプの車両Vに搭載されるとともに、車内側の窓W1,W2の上縁Wu側に搭載されている。
頭部保護エアバッグ装置Mは、エアバッグ20と、インフレーター14と、取付ブラケット11,16と、エアバッグカバー9と、を備えている。エアバッグ20は、車両Vの車内側における窓W1,W2の上縁Wu側において、フロントピラー部FPの下縁側から、ルーフサイドレール部RRの下縁側を経て、リヤピラー部RPの上方の領域まで、前後方向に沿うように、折り畳まれて収納されている。
エアバッグカバー9は、フロントピラー部FPに配置されるフロントピラーガーニッシュ4と、ルーフサイドレール部RRに配置されるルーフヘッドライニング5と、のそれぞれの下縁から、構成されている。フロントピラーガーニッシュ4とルーフヘッドライニング5とは、合成樹脂製として、フロントピラー部FPとルーフサイドレール部RRとにおいて、それぞれ、ボディ1(車体)側のインナパネル2における車内側Iに、取付固定されている(図7参照)。また、エアバッグカバー9は、折り畳まれて収納されるエアバッグ20の車内側Iを覆って、展開膨張時のエアバッグ20を車内側下方へ突出可能とするために、エアバッグ20に押されて車内側Iに開き可能に、構成されている。
インフレーター14は、エアバッグ20に膨張用ガスを供給するもので、略円柱状のシリンダタイプとして、先端側に、膨張用ガスを吐出可能な図示しないガス吐出口を、配設させている。インフレーター14は、ガス吐出口付近を含めた先端側を、エアバッグ20の後述する接続口部30に挿入させ、接続口部30の外周側に配置されるクランプ15を用いて、エアバッグ20に対して連結されている。また、インフレーター14は、インフレーター14を保持する取付ブラケット16と、取付ブラケット16をボディ1側のインナパネル2に固定するためのボルト17と、を利用して、インナパネル2の窓W2の上方となる位置に、取り付けられている。インフレーター14は、図示しないリード線を介して、車両Vの図示しない制御装置と電気的に接続されており、制御装置が、車両Vの側面衝突や斜突、ロールオーバー等を検知した際に、制御装置からの作動信号を入力させて、作動するように構成されている。
各取付ブラケット11は、2枚の板金製のプレートから構成されるもので、エアバッグ20の後述する各取付部41を、表裏から挟むようにして、各取付部41に取り付けられ、ボルト12を利用して、各取付部41を、ボディ1側のインナパネル2に取付固定している(図7参照)。
エアバッグ20は、図2〜5に示すように、バッグ本体21と、補助シート55と、を備えて構成されている。
バッグ本体21は、インフレーター14からの膨張用ガスを内部に流入させて、折り畳み状態から展開して、窓W1,W2や、センターピラー部CP及びリヤピラー部RPのピラーガーニッシュ6,7の車内側Iを覆うように構成されるもので、外形形状を、膨張完了時に、窓W1からセンターピラー部CP,窓W2を経て、リヤピラー部RPの前側にかけての車内側Iを覆い可能に、長手方向を前後方向に略沿わせた略長方形板状とされている。また、バッグ本体21は、実施形態の場合、図1,8に示すように、膨張完了時の下縁21bを、窓W1,W2の下縁から構成されるベルトラインBLより下方に位置させるように、上下の幅寸法を設定されている。
実施形態の場合、バッグ本体21は、接続口部30と取付部41の部位を除いて、ポリアミド糸やポリエステル糸等を使用した袋織りによって製造される袋織り部43から構成されている。バッグ本体21は、図2〜4に示すように、膨張完了時に車内側Iに位置する車内側壁部22aと車外側Oに位置する車外側壁部22bとを離隔させるように内部に膨張用ガスを流入させて膨張するガス流入部22と、車内側壁部22aと車外側壁部22bとを結合させて形成されて膨張用ガスを流入させない非流入部32と、を有している。
ガス流入部22は、ガス供給路部28と、遮蔽膨張部24と、接続口部30と、を備えて構成されている。接続口部30は、バッグ本体21の上縁21aに上方へ突出するように配置されて、インフレーター14と接続される部位となる。ガス供給路部28は、接続口部30と連通されてバッグ本体21の上縁21aに、上縁21aに沿った前後方向に沿って配設される。遮蔽膨張部24は、ガス供給路部28の下方に配設され、ガス供給路部28から膨張用ガスを供給されて、窓W1,W2等の車内側Iを覆うように膨張する。
遮蔽膨張部24は、主に前側の窓W1の車内側を覆う前側遮蔽膨張部25と、主に後側の窓W2の車内側を覆う後側遮蔽膨張部26と、を備え、さらに、前後の遮蔽膨張部25,26は、前後方向に分かれた複数の分割遮蔽膨張部25a,25b,26a,26bから構成されている。
接続口部30は、ガス供給路部28に対して後上がりに傾斜して形成されて、後端30a側を、インフレーター14を挿入可能に開口させている。そして、接続口部30は、内部にインフレーター14を挿入させた状態で、外周側にクランプ15を嵌めることにより、インフレーター14に連結されることとなる。
また、ガス供給路部28の部位付近は、エアバッグ20を折り畳んだ折畳完了体70(図6,7参照))において、前後方向に沿った折目76a,76bを設けて、蛇腹折りされる蛇腹折り部76が形成される部位となる。
非流入部32は、ガス流入部22の外周縁を構成する周縁部33と、周縁部33からガス流入部22の領域内に延びるように配置されて、遮蔽膨張部24を分割遮蔽膨張部25a,25b,26a,26bに区画する区画部35と、バッグ本体21の上縁21a側を車両Vのボディ1側に取り付けるための取付部41と、を備えている。
周縁部33は、遮蔽膨張部24とガス供給路部28とを配設させた長方形板状の袋織り部43の上下前後の縁から構成される部位であり、上縁33a、下縁33b、前縁33c、及び、後縁33dを備えて構成されている。上縁33aには、前後方向の中央部位で、接続口部30が縫合により配設されている。
なお、袋織り部43は、ポリアミド等の織糸を使用した袋織りで形成されて、所定形状(長方形)に裁断された状態を、図5に示す状態としており、上縁33a側の中央に、車内側壁部22aと車外側壁部22bとを離隔させてなる接続口部用開口44を配設させている。接続口部用開口44は、非流入部32の周縁部33の上縁33a側における前側閉じ部45と後側閉じ部46との間で開口する部位である。
接続口部30は、図5に示すように、平らに展開させた接続口部用基布50を使用して、形成されている。すなわち、折目50aを付けて二つ折りして、袋織り部43の接続口部用開口44に挿入して、二つ折りした接続口部用基布50の重ねた上縁50bと後縁50cとを、袋織り部43の接続口部用開口44の周縁の前側閉じ部45と後側閉じ部46とから延びる前側縫製部47と後側縫製部48とによって、袋織り部43に縫製して、配設されている。なお、前側縫製部47と後側縫製部48とによって接続口部30を縫製する前には、袋織り部43の接続口部用開口44の周縁における車内側壁部22aと車外側壁部22bとに、二つ折りする接続口部用基布50の車内側部位と車外側部位とを、縫合部50dを設けて、縫合して、接続口部30における接続口部用開口44の周縁における車内側壁部22aと車外側壁部22bとのガスシール性を確保するようにしておく。
区画部35は、袋織り部43の袋織り時に形成されるものであり、周縁部33の前縁33c近傍の上縁33aから下方に延び、分割遮蔽膨張部25a内に進入する前上区画部36、分割遮蔽膨張部25a,25bを区画するように下縁33bから上方に延びる前下区画部37、分割遮蔽膨張部25b,26aを区画するように下縁33bの前後方向の中央付近から上方に延びる中央区画部38、及び、分割遮蔽膨張部26a,26bを区画するように後縁33d側の下縁33bから上方に延びる後下区画部39、を備えて構成されている。中央区画部38は、分割遮蔽膨張部25b,26aを区画する縦棒部38aと、縦棒部38aの上端で前後方向(実施形態では後方)に延びて、ガス供給路部28と遮蔽膨張部24とを区画する横棒部38bと、を備えている。
取付部41は、図5に示すように、所定の取付部用基布53を周縁部33の上縁33a側に縫合して配設されている。なお、前端の取付部41Fは、他の部位より前後方向に長い取付部用基布53Fから構成されている。そして、各取付部41には、取付ブラケット11をボルト12止めする際のボルト12を挿通させる取付孔41aが形成されている。
補助シート55は、袋織り部43、接続口部用基布50、取付部用基布53と同様に、ポリアミド等の合成繊維を織った可撓性を有した布帛から形成されている。厳密には、補助シート55は、ポリアミド等の合成繊維を織った布帛(織物)からなる繊維層551と、ガス漏れを防止するために繊維層65の表面にウレタン等をコーティングしてなるコーティング層552と、の二層構造としている。ちなみに、袋織り部43の車内側壁部22aや車外側壁部22bにおいても、実施形態の場合、袋織り後にガス漏れ対策のためにコーティング処理されて、ポリアミド等の合成繊維を織った布帛(織物)からなる繊維層551と、繊維層551の表面にウレタン等をコーティングしてなるコーティング層552と、を備えて構成されている(図3参照)。そして、実施形態の補助シート55は、袋織り部43を袋織りして形成して、コーティング層552を設けた帯状のバッグ素材から、所定形状のバッグ本体21を裁断して製造した後の端材を利用して、形成されている。
実施形態の補助シート55は、ガス供給路部28よりも遮蔽膨張部24を保護対象エリアPAとするように、ガス流入部22の上縁21a側に、補助シート55を配設させない非カバーエリアNC、を設けて、バッグ本体21に取り付けられている。さらに、補助シート55は、展開膨張時におけるガス流入部22の窓W1,W2側の面とした車外側壁部22bの部位に、配設されている。実施形態の場合、具体的には、補助シート55は、遮蔽膨張部24の上下方向の中間部位の車外側Oに配設されて、遮蔽膨張部24の前後方向の全域を越え、バッグ本体21における周縁部33の前縁33cから後縁33dまでの全長にわたって、バッグ本体21の車外側Oを覆うように、配設されている。補助シート55は、前縁55cをバッグ本体21の周縁部33の前縁33cに縫合させ、後縁55dを周縁部33の後縁33dに縫合させ、前後方向の中間部55eを非流入部32における中央区画部38の縦棒部38aに縫合させている。これらの縫合糸68を使用して縫合した縫製部57,58は、上下方向に延びて配設されるものの、上下方向の中間部位に、縫合しない無縫製部位(無縫製部)59を設けて、上下に分断されている。この無縫製部59付近は、後述するように巻き取りバー82に包まれてロール折り部74の巻きの中心部75となり、無縫製部59は、巻き取りバー82の外周面82aの周長の略一周分の長さを有して、各々の縫製部57,58の間に、配設されている。
そして、補助シート55は、上縁55a側を、複数(実施形態では3本)の支持ベルト61を利用して、バッグ本体21の上縁21a側に縫合されている。各支持ベルト61は、可撓性を有したポリアミド等の布帛から帯状に形成されて、それぞれ、下端63に縫製部63aを設けて、補助シート55の上縁55aと結合され、上端62を、縫製部62aを設けて、バッグ本体21の上縁21aに結合されている。なお、各支持ベルト61の上端62の縫製部62aは、接続口部30をバッグ本体21に配設する際の前側縫製部47や後側縫製部48を利用して、バッグ本体21に対して、共縫いされている。
なお、補助シート55は、コーティング層552側をバッグ本体21の車外側壁部22b側に接触させるように(重ねるように)配置させて、バッグ本体21に取り付けられている。
エアバッグ20の折畳形状は、図6に示すように、車内側壁部22aと車外側壁部22bとを重ねて平らに展開した状態のバッグ本体21の下縁21bを上縁21aに接近させるように、前後方向に沿う折目73を付けて二つ折りして、二つ折り体72を形成し、二つ折り体72の下縁72b側(折目73の部位)を、上縁72a側に接近させるように、車外側Oに向けて巻くようにロール折り(外ロール折り)して、ロール折り部74を形成し、また、上縁72a側で折目76a,76bを付けて蛇腹折り部76を形成しつつ、バッグ本体21の下縁21b側を、半周分、巻き戻して蛇腹折り部76の折目76b内に収納させれば、折畳形状が完成して、折畳完了体70を形成することができる。
そして、補助シート55は、展開膨張時におけるガス流入部22の窓W1,W2側の面とした車外側壁部22bの部位に、すなわち、実施形態の場合、二つ折り体72の折目73(下縁72b)付近を中心とした上下に延びた幅寸法の車外側壁部22bのエリアに配置されている(図3,6参照)。なお、実施形態のバッグ本体21では、折目73の部位から下方(下縁21d)への幅寸法Bdより上方(取付部41を除いた上縁21a)への幅寸法Buを長くしている(図9参照)。換言すれば、補助シート55の下縁55bは、バッグ本体21の下縁21bより上側にあり、補助シート55の上縁55aは、ガス供給路部28の下縁近傍の中央区画部38の横棒部38b付近(遮蔽膨張部24の上縁24a付近)に配設されている。
そして、実施形態のエアバッグ20では、図9に示す折り機80を使用して折り畳んでいる。
折り機80は、図9に示すように、平らに展開させたエアバッグ20を、車内側壁部22aの側を下にして載せるセット台81と、ロール折り用のエアバッグ20の前後方向に沿って配設される略円筒状の巻き取りバー82と、蛇腹折り用の上下動可能でかつ前後方向に沿って配設される長方形板状の折板85,86,87と、を備えて構成されている。
巻き取りバー82は、内外周を貫通するように、複数の通気口83が開口されて(図12,13参照)、通気口83からエアAを吸引したり吐出させたりするとともに、ロール折り部74を形成可能に、回転しつつセット台81上をセット台81と平行に、バッグ本体21の下縁21b側から上縁21a側に移動可能に構成されている。また、折板85,86は、セット台81から上方に突出可能に配設されるとともに、折板87は、セットされたバッグ本体21における前後方向に沿った蛇腹折りの折目76aの位置を、上方から押圧できるように、配設されている。折板86は、蛇腹折りの前後方向に沿った折目76bの位置を下方から押し上げるように、配設されている。
この折り機80を使用したエアバッグ20の折畳工程を説明すると、まず、図9,10のAに示すように、車内側壁部22aの側を下にし、補助シート55の繊維層551側を上にして、エアバッグ20をセット台81の上面側にセットし、そして、図10のBに示すように、折板87を下降させて、折目76aの部位をセット台81と折板87とで挟持し、さらに、図10のCに示すように、折板85,86を上昇させて、蛇腹折り部76の折目76a,76bを付け易いように、バッグ本体21の上縁21a側を折曲させておく。
その後、図11のAや図12のAに示すように、巻き取りバー82を、補助シート55の無縫製部59付近の上方に、配置させて、バッグ本体21の下縁21bを上縁21aに接近させるように、巻き取りバー82を包みつつ、バッグ本体21を二つ折りして二つ折り体72を形成する。この時、二つ折り体72の折目73がロール折り部74の中心部75となる。
ついで、通気口83からエアAを吸引しつつ、巻き取りバー82を、図11のAや図12のBに示すように、反時計回り方向に回転させれば、二つ折り体72の下縁72b側を車外側Oの側で巻く外ロール折りされるように(図6参照)、バッグ本体21が巻き取りバー82に巻き付けられる。
そして、図11のBに示すように、巻き取りバー82にロール折り部74を巻き付けた状態とした後、蛇場折り部76をロール折り部74側に押し付けるように、エアバッグ20を挟持しつつ、折り機80の折板85,86,87をエアバッグ20から離し、さらに、図13のA,Bに示すように、ロール折り部74と巻き取りバー82の外周面82aとの間に隙間Hを設けるように、巻き取りバー82の通気口83からエアAを吹き出しつつ、巻き取りバー82からエアバッグ20を引き抜き、下縁21b側を巻き戻して折目76b内に収納させれば、折り畳みを完了させることができ、その後、所定箇所に、エアバッグ20の膨張時に破断可能な折り崩れ防止用のテープ等のラッピング材90(図1参照)を巻き付ければ、エアバッグ20の折畳完了体70を形成することができる。
その後、取付ブラケット16を取付済みのインフレーター14を、クランプ15を利用して、エアバッグ20の接続口部30と接続させ、取付部41に取付ブラケット11を固着させて、エアバッグ組付体を形成する。
ついで、取付ブラケット11,16を、ボディ1側のインナパネル2の所定位置に配置させて、ボルト12,17止めし、所定のインフレーター作動用の制御装置から延びる図示しないリード線を、インフレーター14に結線し、フロントピラーガーニッシュ4やルーフヘッドライニング5をボディ1側のインナパネル2に取り付け、さらに、ピラーガーニッシュ6,7をボディ1側のインナパネル2に取り付ければ、頭部保護エアバッグ装置Mを車両Vに搭載することができる。
実施形態の頭部保護エアバッグ装置Mの車両Vへの搭載後において、車両Vの側面衝突時、斜突時、もしくは、ロールオーバー時に、制御装置からの作動信号を受けてインフレーター14が作動されれば、インフレーター14から吐出される膨張用ガスG(図2参照)が、エアバッグ20のバッグ本体21内に流入して、膨張するバッグ本体21が、ラッピング材90を破断させ、さらに、フロントピラーガーニッシュ4とルーフヘッドライニング5との下縁から構成されるエアバッグカバー9を押し開いて、下方へ突出しつつ、図1の二点鎖線や図7,8に示すように、窓W1,W2、センターピラー部CP、及び、リヤピラー部RPの車内側を覆うように、大きく膨張することとなる。
そして、実施形態のエアバッグ20では、図13に示すように、ロール折り部74の巻かれた中心部75の内周面74aとなる側に、繊維層551側を向けて、可撓性を有した補助シート55が結合されている。そのため、図11,12に示すように、エアAの吸引と吐出とを行える巻き取りバー82を、ロール折り部74を形成するための中心部75に、配置させ、ついで、巻き取りバー82にエアバッグ20を被せ、その後、通気口83からエアAを吸引しつつ、巻き取りバー82を、回転させてエアバッグ20の上縁21a側に移動させれば、円滑に、巻き取りバー82に巻き付かせることができる。このときの挙動は、補助シート55が、ロール折り部74の中心部75の内周面74aとなる側に、すなわち、巻き取りバー82側に、繊維層551を向けており、その裏側には、ガス非透過性を有したコーティング層552を配設させており、繊維層551を介して、このコーティング層552を巻き取りバー82に吸着させる態様となって(図12のA,B参照)、そのため、巻き取りバー82に補助シート55が巻き付けられ、そして、その巻き付けに伴ない、補助シート55を結合させているバッグ本体21も、巻き取りバー82に巻き付けられて、巻き取りバー82の回転とバッグ本体21の上縁21a側への移動とにより、ロール折り部74が形成される(図11のB参照)。その後、通気口83からエアAを吐出させつつ巻き取りバー82をロール折り部から引き抜く際に、巻き取りバー82の外周面82a側には、、すなわち、ロール折り部74の中心部75の内周面74a側には、図13のA,Bに示すように、補助シート55の繊維層551が配設されており、そして、巻き取りバー82からエアAが吐出されると、繊維層551にエアAが浸透して、巻き取りバー82との摩擦抵抗を低減できて、円滑に、巻き取りバー82をロール折り部74から引き抜くことができて、容易にロール折り部74を形成するとができる。
そして、バッグ本体21は、従来のように、筒状のバー挿入部位を設ける部位を延設させずに、また、巻き取りバー82の外周を囲うような筒状のバー挿入部位で無く、単に、シート状の補助シート55を、単に平らにした状態のまま、バッグ本体21に結合させるだけで、構成できることから、ロール折り部74を形成して折り畳んだ状態のエアバッグ20は、大型化が抑制される。
したがって、実施形態のエアバッグ20では、大型化を抑えて、容易にロール折り部74を形成することができる。
換言すれば、実施形態のエアバッグ20では、折り機80におけるエアAの吸引と吐出とを行う巻き取りバー82を利用して、ロール折り部74を形成する場合に、好適に、使用することができる。
なお、実施形態と逆の構成、すなわち、バッグ本体21に結合させる補助シート55のコーティング層552側を、車外側壁部22bから離れた逆側の面に配置させて、巻き取りバー82に接触する側に配置させた構成では、円滑に、折畳完了体70を得ることができない。なぜなら、折畳工程時、補助シート55を巻き取りバー82に被せ、その後、通気口83からエアを吸引させて、巻き取りバー82を回転させつつ移動させて、外ロール折りを行う場合には、補助シート55のガス漏れを防ぐコーティング層552が巻き取りバー82に面しており、補助シート55が巻き取りバー82に吸着されて巻き取りバー82に巻き付き、そして、縫製部57,58により、バッグ本体21も、円滑に、巻き取りバー82に巻き付けられる。但し、その後のロール折り完了後に、巻き取りバー82をロール折り部74から抜き取る際、巻き取りバー82側に、補助シート55のコーティング層552が配置され、コーティング層552が巻き取りバー82の外周面82aに当接される状態で配置されていれば、通気口83からエアAを吐出させて、コーティング層552と巻き取りバー82との間に隙間H(図13のB参照)を生じさせても、密着性(粘着性)の高いウレタン等からなるコーティング層552が、部分的に、巻き取りバー82と接触することが避けられず、巻き取りバー82が、コーティング層552の抵抗を受けて、容易に、ロール折り部74から引き抜けず、通気口83から吐出させるエア量を増加させ、さらに、少しずつずらして、引き抜く等の作業が必要となってしまい、容易に、ロール折り部74を形成できなくなってしまう。
また、補助シート55として、コーティング層552を設けない繊維層551だけで構成する場合には、折畳工程時における補助シート(繊維層551)を巻き取りバー82に被せ、その後、通気口83からエアAを吸引させて、巻き取りバー82を回転させつつ移動させて、ロール折りを行う場合には、繊維層をエアAが抜けて、繊維層だけからなる補助シートを巻き取りバー82に巻き付けることができず、巻き取りバー82が空回りする事態を招いてしまい、容易に、ロール折り部74を形成できなくなってしまう。
そのため、実施形態のエアバッグ20のように、巻き取りバー82側に、すなわち、ロール折り部74の中心部75の内周面74aに、繊維層51側を向けるように、補助シート55は、バッグ本体21に対して、コーティング層552側を当てるようにして、バッグ本体21に結合させる必要がある。
そしてまた、繊維層551とコーティング層552とを具備してなる補助シート55を使用してエアバッグにロール折り部を形成する場合には、巻き取りバー82側に、繊維層551側を向けてバッグ本体に補助シート55を結合させれば、巻き取りバー82により円滑にロール折り部74を形成できることから、バッグ本体側は、コーティング層552を具備していても、あるいは、具備していなくとも、無関係に、容易にロール折り部74を形成することができることとなる。
また、実施形態のエアバッグ20では、補助シート55が、バッグ本体21の前後方向の長さ寸法L0に対応する長さ寸法L1として(図5参照)、少なくとも上縁55a側と前後両縁55c,55d側とを、縫製部57,62a,63aを設けて、バッグ本体21に対して結合されている。
そのため、実施形態では、バッグ本体21の全長を覆うように、補助シート55を1枚使用するだけで済み、複数に分割された補助シートを準備し、そして、それらの補助シートをバッグ本体21に結合させる場合に比べて、補助シートの管理や結合作業が一枚分の補助シート55で済み、効率的にエアバッグ20を製造することができる。また、このような構成では、補助シート55の上縁55a側と前後の端縁55c,55d側とがバッグ本体21に縫合されて、バッグ本体21に対する補助シート55の下方へのずれを規制できることから、エアバッグ20の展開膨張時途中や膨張完了後において、補助シート55がバッグ本体21から下方へ飛び出て垂れ下がる挙動を防止できる。さらにまた、補助シート55がバッグ本体21に対して縫合して取り付けられる構成であれば、補助シート55の可撓性を阻害しないことから、バッグ本体21とともに、円滑に、折り畳むことできる。
また、実施形態のエアバッグ20では、補助シート55の前後両縁55c,55dの端縁縫製部57としては、バッグ本体21におけるロール折り部74の中心部75付近を無縫製部位59として、無縫製部位59の上下方向の両側に、配設されている。
そのため、実施形態では、巻き取りバー82をセットして巻き始める補助シート55の部位が、無縫製部位59として、縫製による凹凸が無いことから、補助シート55の繊維層551側が滑ることなく巻き取りバー82の外周面82aに吸着され、その後のロール折りを円滑にさせることができる。
さらに、実施形態のエアバッグ20では、バッグ本体21が、膨張用ガスGを流入させるガス流入部22を備え、ガス流入部22が、バッグ本体21の上縁21a側で窓W1,W2の上縁Wuに沿って配設されて、流入初期の膨張用ガスGを流すガス供給路部28と、ガス供給路部28の下方に配置されて、窓W1,W2を遮蔽するように膨張する遮蔽膨張部24と、を備えている構成としている。そして、補助シート55が、展開膨張時における少なくとも遮蔽膨張部24の窓W1,W2側の面となる側(車外側壁部22bの側)に配設されるように、バッグ本体21に対して結合されている。
そのため、実施形態では、バッグ本体21のガス流入部22における遮蔽膨張部24が、展開膨張時における窓W1,W2側の面である車外側壁部22bを補助シート55により覆われることから、図7,8に示すように、破損した窓W1,W2の一部(ガラス片等の破片Wg)が遮蔽膨張部24に接触しようとしても、補助シート55が破片Wgを受け止めて、破片Wgの遮蔽膨張部24との接触を防止できて、遮蔽膨張部24の破片Wgとの接触による破損を防止できる。
そして特に、実施形態では、補助シート55は、少なくとも遮蔽膨張部24側を覆い、ガス供給路部28を覆わないように配設されている。すなわち、ガス供給路部28は、バッグ本体21の上縁21a側に配置されて、ガス流入部22へ流入する膨張用ガスGを最初に流入させ、窓W1,W2を覆う遮蔽膨張部24をエアバッグ20の収納部位である窓W1,W2の上縁Wu側から下方へ押し出す部位であって、窓W1,W2と接触し難いエリアであり、補助シート55が覆っていなくとも、窓W1,W2の破片Wgと接触し難く、支障は生じないことから、実施形態の補助シート55は、ガス供給路部28を覆っていない。
そして、実施形態のエアバッグ20では、上端62側をバッグ本体21の上縁21a側に縫合させ、下端63側を補助シート55の上縁55a側に縫合させて、バッグ本体21の上縁21a側に沿って、ガス供給路部28を跨ぐように、断続的に配置される複数の可撓性を有した支持ベルト61、を備え、補助シート55が、支持ベルト61を介して、上縁55a側をバッグ本体21に縫製される構成として、遮蔽膨張部24を覆うように、配設されている。
そのため、実施形態では、補助シート55を遮蔽膨張部24だけを覆うように配設させることができて、ガス流入部22の全域を覆わずに済むことから、補助シート55の使用材料を低減させて、ガス流入部22の窓W1,W2の破片Wgによる破損防止を、効率的に行える。
なお、実施形態では、補助シート55の前後方向の中間部55eの縫製部58も、前後両縁55c,55d(56a,56b)のバッグ本体21への縫合時に同時に縫合可能であって、結合作業の効率化を阻害しない。そして、補助シート55は、前後方向の中間部55eも、巻き取りバー82の略1周分の周長の長さを有した無縫製部位59を設けて、バッグ本体21の結合されており、前後方向の中間部位のバッグ本体21に対する下方側のずれ移動も的確に防止できる。
そしてまた、実施形態の折畳完了体70の折畳形状では、バッグ本体21が、全体の折り畳みを解消する直前に、図8のA,Bに示すように、二つ折り体72の折目73を解消して、バッグ本体21の下縁21b側を、車内側Iで下方に向かうように展開させることとなり、バッグ本体21の下縁21b側を、ベルトラインBL直下の車内側Iに円滑に配置させることができる。その結果、展開膨張完了時に、バッグ本体21の下縁21b側を窓W1,W2の車内側Iの下縁側(ドアトリム)DTで支持させることができ、上縁21a側の取付部41によるインナパネル2側の支持と併せて、膨張完了時のエアバッグ20は、上下の縁21a,21bを、窓W1,W2の車内側Iの上下の縁に支持させることができ、乗員が窓W1,W2を経て車外側Oへ飛び出そうとしても、上下の縁21a,21bを支持されたエアバッグ20は、その乗員を車内側Iに拘束させておくことができる。
なお、実施形態では、ロール折り部74を形成する際、二つ折り体72を形成する際、バッグ本体21の下縁21b側を車外側壁部22bの側に折り、ロール折り完了直前に、下縁21b側を蛇腹折り部76の折目76b内に収納させたが、図6のAの二点鎖線に示すように、下縁21b側を車内側壁部22a側に折って二つ折りして二つ折り体720を形成し、そして、車外側Oで、その下縁72bを上縁72aに接近させるように外ロール折りしても、上記のように、バッグ本体21が、全体の折り畳みを解消する直前に、図8のA,Bに示すように、二つ折り体720の折目73を解消して、バッグ本体21の下縁21b側を、車内側Iで下方に向かうように展開させることができる。しかし、ロール折り部74の形成時に、巻き取りバー82に対して、補助シート55側を向けることができないことから、図6のAの二点鎖線に示す二つ折り体720は、望ましくない。
また、実施形態では、二つ折り体72を形成して、外ロール折りした場合を示したが、図14,15に示すエアバッグ20Aのように、バッグ本体21の下縁21b側を、車外側壁部22bの側で巻いて、上縁21aに接近させるようにロール折り部74Aを形成する折畳形状としてもよい。この場合には、図15〜17に示すように、ロール折り部74Aの中心部75がバッグ本体21の下縁21b側となることから、下縁21bの車外側壁部22bの側に、補助シート55Aを結合させることとなる。
なお、このエアバッグ20Aでは、バッグ本体21として、実施形態のエアバッグ20のバッグ本体21と同じものが使用され、補助シート55Aが、バッグ本体21と同等の前後方向の長さ寸法を備えているものの、バッグ本体21の下縁21b側のロール折り部74Aの中心部75を形成可能な幅寸法B2として、補助シート55より、上下方向の幅寸法を小さくしている。
この補助シート55Aのバッグ本体21側への結合は、巻き取りバー82をセットする部位に、縫製部が当たらないように、補助シート55Aの上縁55a側と下縁55bとの間に無縫製部位59を設けて、上縁55a側と下縁55b側とに縫製部60を設けて、コーティング層552側をバッグ本体21の下縁21bの車外側壁部22bの側に向け、繊維層551側を露出させるようにして、補助シート55Aをバッグ本体21に結合させる。
このエアバッグ20Aでも、折り機80を使用してロール折り部74Aを形成する場合、車内側壁部22aの側を下にし、補助シート55Aの繊維層551側を上にして、エアバッグ20をセット台81の上面側にセットし(図10のA,B,C、図16参照)、そして、折板87を下降させて、折目76aの部位をセット台81と折板87とで挟持し、さらに、折板85,86を上昇させて、蛇腹折り部76の折目76a,76bを付け易いように、バッグ本体21の上縁21a側を折曲させておく。その後、図16のAや図17のAに示すように、巻き取りバー82を、補助シート55の無縫製部59付近の上方に、配置させて、バッグ本体21の下縁21bを上縁21aに接近させるように、補助シート55Aを設けた下縁21b側で巻き取りバー82を包む。この時の巻き取りバー82の周囲が、ロール折り部74Aの中心部75となる。ついで、通気口83からエアAを吸引しつつ、巻き取りバー82を、反時計回り方向に回転させれば(図16のB、図17のA,B参照)、バッグ本体21の下縁21b側を車外側Oの側で巻く外ロール折りされて、バッグ本体21が巻き取りバー82に巻き付けられ、ロール折り部74Aが形成される。その後、巻き取りバー82にロール折り部74Aを巻き付けた状態とした後、蛇腹折り部76をロール折り部74側に押し付けるように、エアバッグ20を挟持しつつ、折り機80の折板85,86,87をエアバッグ20から離し、さらに、巻き取りバー82の通気口83からエアAを吹き出しつつ(図13のA,B参照)、巻き取りバー82からエアバッグ20を引き抜けば、折り畳みを完了させることができ、その後、所定箇所に、エアバッグ20Aの膨張時に破断可能な折り崩れ防止用のテープ等のラッピング材90(図1参照)を巻き付ければ、エアバッグ20Aの折畳完了体70Aを形成することができ、実施形態のエアバッグ20と同様に、取付ブラケット11やインフレーター14等を組み付けて、エアバッグ装置Mとして組み立てれば、車両に搭載することができる。
そして、このエアバッグ20Aでも、補助シート55Aのコーティング層552により、巻き取りバー82への吸着が良好となって、容易に、ロール折り部74Aの折畳形状を確保でき、また、補助シート55Aの繊維層551により、巻き取りバー82の抜き取りが良好となって、エアバッグ20と同様な作用・効果を得ることができる。
なお、このエアバッグ20Aでは、バッグ本体21が下縁21b側を上縁21aまでの略全域を車外側Oで巻いたロール折り部74Aを形成している。そのため、エアバッグ装置Mとして車両Vの搭載された後の展開膨張時には、図18のA〜Cに示すように、バッグ本体21が、折り畳みを解消する際、車外側Oに接近しつつ巻きを解く挙動となることから、乗員と窓W1,W2との間の隙間が小さくとも、円滑に、その隙間に進入し、そして、エアバッグ20Aは、展開膨張を完了させることができる。
また、このようなロール折り部74Aの展開膨張時に、遮蔽膨張部24の保護を図れるように、図19〜21に示すエアバッグ20Bのように構成してもよい。このエアバッグ20Bは、実施形態のエアバッグ20と同じバッグ本体21を使用し、補助シート55Bが、実施形態のエアバッグ20の補助シート55より上下方向の幅寸法を長くして、バッグ本体21の車内側壁部22aの側を覆って、そして、下縁55b側で、バッグ本体21の下縁21b側の表裏を包むように、配設されている。この下縁55b側は、ロール折り部74Aの中心部75を形成する部位に、巻き取りバー82と接触する縫製部位を設けずに、縫製部60が形成されて、下縁55b側がバッグ本体21に結合されている。補助シート55Bの上縁55a側では、バッグ本体21の車内側壁部22aの側で、補助シート55と同様に、ガス供給路部28を跨ぐ支持ベルト61を利用して、バッグ本体21の上縁21a側に縫合されている。
勿論、この補助シート55Bでも、ロール折り部74Aを形成する際に巻き取りバー82と接触する側に、すなわち、バッグ本体21と離れた側に、繊維層551を配置させ、バッグ本体21側にコーティング層552を向けて、バッグ本体21に結合させる。
このエアバッグ20Bでも、繊維層551とコーティング層552とを有した二層構造の補助シート55Bを使用していることから、巻き取りバー82を有した折り機80を利用して、容易にロール折り部74Aを形成でき、エアバッグ20Aと同様な作用・効果を得ることができる。
そしてさらに、このエアバッグ20Bを使用してエアバッグ装置Mとして組み立てて、車両に搭載された後の作動時には、図22,23に示すように、エアバッグ20Bの展開膨張時の展開当初におけるロール折りを解消しようとする際、バッグ本体21のガス流入部22の車内側壁部22aの面を、折りを解きつつ、順次、窓W1,W2の上部側から下部側に対して、接触させるように、エアバッグ20Bは、展開することとなる。そのため、このエアバッグ20Bでは、展開膨張時において、窓W1,W2に対向するガス流入部22の遮蔽膨張部24の車内側壁部22aの面に、補助シート55Bが配設されており、折りの解消時に、窓W1,W2の破片Wgが発生していても、的確に、補助シート55Bによって、破片Wgからガス流入部22の遮蔽膨張部24を保護することができる。
なお、エアバッグ20Bの補助シート55Bとして、バッグ本体21の車内側壁部22a側と車外側壁部22b側とに二分割して、バッグ本体21に結合させてもよい。この場合、車外側壁部22b側には、図14に示すエアバッグ20Aの補助シート55Aと同じものを結合させればよい。
また、展開膨張時の遮蔽膨張部24を保護することを考慮せずに、バッグ本体を前後方向に沿う折目を付けて二つ折りして、二つ折り体を形成し、二つ折り体の下縁側を上縁側にロール折りするような場合には、図24に示すエアバッグ20Cのように、巻き取りバー82をセットするロール折り部の中心部75を形成するエリアだけに、一つ、あるいは、複数に分割した補助シート55C,55Dを配設させて、ロール折り部を容易に形成できるように構成してもよい。勿論、逆に、遮蔽膨張部における展開膨張時に窓の破片と接触する可能のある部位で、かつ、ロール折り部を容易に形成できる位置に、補助シートを配設させるようにしてもよい。
20,20A,20B,20C…カーテンエアバッグ、21…バッグ本体、
21a…上縁、21b…下縁、22…ガス流入部、24…遮蔽膨張部、28…ガス供給路部、55,55A,55B,55C…補助シート、55a…上縁、55b…下縁、55c…前縁、55d…後縁、551…繊維層、552…コーティング層、57…端縁縫製部、59…無縫製部位、61…支持ベルト、62…上端、62a…縫製部、63…下端、63a…縫製部、74,74A…ロール折り部、75…中心部、80…折り機、81…セット台、82…巻き取りバー、83…通気口、
V…車両、W1,W2…窓、Wu…上縁。

Claims (2)

  1. 車両の車内側における窓の上縁側に、前後方向に沿うように折り畳まれて収納され、膨張用ガスの流入時に、前記窓の車内側を覆うように下方へ展開膨張する構成とするとともに、
    展開膨張完了時の下縁側を上縁側に接近させる折畳形状として、巻くように折ったロール折り部、を備えて前記窓の上縁側に収納される構成としたカーテンエアバッグであって、
    膨張用ガスを流入させて、折畳状態から前記窓の車内側を覆うように展開膨張するバッグ本体と、
    繊維層と該繊維層に塗布されて前記繊維層よりガス非透過性を有したコーティング層とを具備して、前記バッグ本体の表面側に結合されて配設される可撓性を有した補助シートと、
    を備えて構成され、
    前記補助シートが、
    前記ロール折り部の巻かれた中心部の内周面となる側に、前記繊維層側を向けて、前記バッグ本体に結合されるとともに、
    前記バッグ本体の前後方向の長さ寸法に対応する長さ寸法として、少なくとも上縁側と前後両縁側とを、縫製部を設けて、前記バッグ本体に対して結合され、
    前記補助シートの前後両縁の端縁縫製部が、前記バッグ本体における前記ロール折り部の中心部付近を無縫製部位として、該無縫製部位の上下方向の両側に、配設されていることを特徴とするカーテンエアバッグ。
  2. 車両の車内側における窓の上縁側に、前後方向に沿うように折り畳まれて収納され、膨張用ガスの流入時に、前記窓の車内側を覆うように下方へ展開膨張する構成とするとともに、
    展開膨張完了時の下縁側を上縁側に接近させる折畳形状として、巻くように折ったロール折り部、を備えて前記窓の上縁側に収納される構成としたカーテンエアバッグであって、
    膨張用ガスを流入させて、折畳状態から前記窓の車内側を覆うように展開膨張するバッグ本体と、
    繊維層と該繊維層に塗布されて前記繊維層よりガス非透過性を有したコーティング層とを具備して、前記バッグ本体の表面側に結合されて配設される可撓性を有した補助シートと、
    を備えて構成され
    前記バッグ本体が、膨張用ガスを流入させるガス流入部を備え、
    該ガス流入部が、
    前記バッグ本体の上縁側で前記窓の上縁に沿って配設されて、流入初期の膨張用ガスを流すガス供給路部と、
    該ガス供給路部の下方に配置されて、前記窓を遮蔽するように膨張する遮蔽膨張部と、
    を備え、
    前記補助シートが、
    展開膨張時における少なくとも前記遮蔽膨張部の窓側の面となる側に配設されるように、前記バッグ本体に対して結合されるとともに、
    前記ロール折り部の巻かれた中心部の内周面となる側に、前記繊維層側を向けて、前記バッグ本体に結合される構成とし、
    前記エアバッグが、
    上端側を前記バッグ本体の上縁側に縫合させ、下端側を前記補助シートの上縁側に縫合させて、前記バッグ本体の上縁側に沿って、前記ガス供給路部を跨ぐように、断続的に配置される複数の可撓性を有した支持ベルト、
    を備え、
    前記補助シートが、前記支持ベルトを介して、上縁側を前記バッグ本体に縫製される構成として、前記遮蔽膨張部を覆うように、配設されていることを特徴とするカーテンエアバッグ。
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