JP6724299B2 - 感光性樹脂組成物及び感光性エレメント - Google Patents

感光性樹脂組成物及び感光性エレメント Download PDF

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Description

本発明は、透明電極を有する基材上に硬化膜を形成すための感光性樹脂組成物及び感光性エレメントに関し、特には静電容量方式タッチパネルの電極の保護に好適な硬化膜を形成するために用いられる感光性樹脂組成物に関する。
パソコン、テレビ等の大型電子機器、カーナビゲーション、携帯電話、電子辞書等の小型電子機器、OA機器、FA機器等の表示機器などには液晶表示素子やタッチパネル(タッチセンサー)が用いられている。これら液晶表示素子やタッチパネルには透明電極材からなる電極が設けられている。
タッチパネルはすでに各種の方式が実用化されている。近年、静電容量方式のタッチパネルの利用が進んでいる。静電容量方式タッチパネルでは、導電体である指先がタッチ入力面に接触すると、指先と導電膜との間が静電容量結合し、コンデンサを形成する。このため、静電容量方式タッチパネルは、指先の接触位置における電荷の変化を捉えることによって、その座標を検出している。
特に、投影型静電容量方式のタッチパネルは、指先の多点検出が可能なため、複雑な指示を行うことができるという良好な操作性を備える。その操作性の良さから、携帯電話、携帯型音楽プレーヤ等の小型の表示装置を有する機器における表示面上の入力装置として投影型静電容量方式のタッチパネルの利用が進んでいる。
一般に、投影型静電容量方式のタッチパネルでは、X軸とY軸とによる2次元座標を表現するために、複数のX電極と上記X電極に直交する複数のY電極とが、2層構造を形成している。これらの電極には透明電極材(例えば、酸化インジウムスズ(Indium−Tin−Oxide:ITO))が用いられる。
ところで、タッチパネルの額縁領域はタッチ位置を検出できない領域であるため、その額縁領域の面積を狭くすることが製品価値を向上させるための重要な要素である。額縁面積の狭小化を図るためには、バス電極及び引き回し線の幅を狭くする必要がある。ITOの導電性は充分に高くないので、一般的にはバス電極にアルミ/モリブデンや銅などの金属層を形成して導電性を上げる処理がなされる。
しかしながら、上述のようなタッチパネルは、指先に接触される際に水分、塩分等の腐食成分がセンシング領域から内部に侵入することがある。タッチパネルの内部に腐食成分が侵入すると、金属配線が腐食し、電極と駆動用回路間の電気抵抗の増加、断線等の恐れがあった。
金属配線の腐食を防ぐために、金属上に絶縁層を形成した静電容量方式の投影型タッチパネルが開示されている(例えば、特許文献1)。このタッチパネルでは、二酸化ケイ素層をプラズマ化学気相成長法(プラズマCVD法)で金属上に形成し、金属の腐食を防いでいる。しかしながら、この手法はプラズマCVD法を用いるため、高温処理が必要となり基材が限定される問題があった。また、製造コストが高くなる問題もあった。
金属配線の腐食を防ぐために、必要な箇所にレジスト膜を設ける方法として、所定の基材上に感光性樹脂組成物からなる感光層を設けてこの感光層を露光、現像する方法が知られている(例えば、特許文献2)。この手法では、基材上に所望の厚さのフィルム状レジスト膜を貼り合わせ、その後露光及び現像を行い必要な箇所にレジスト膜を形成する。しかしながら、この手法ではレジスト膜の貼り合わせのために専用の装置を導入する必要があること、所望の厚みのレジスト膜を形成するために、都度異なる厚みのフィルムを用意する必要がある等の問題もあった。
近年ディスプレイやタッチパネルの薄膜化及び軽量化の要求が高まっている。それに伴い基材やセンサー基材としてフレキシブル基材が使用されている。
さらにウェアラブル機器の普及により、デバイスのデザイン性や意匠性の観点からタッチパネルや基材に対するフレキシブル性の要求は年々高まっている。
そこでタッチパネル用硬化膜材に、ウレタン骨格など、柔軟性骨格を有する材料を用いることで、フレキシブル性を付与する方法が知られている(例えば、特許文献3)。しかしながら、柔軟性骨格を有する材料を使用すると、表面硬度が低下し、傷に対する耐性が低くなるという問題があった。
特開2011−28594号公報 国際公開WO2013/084886号 特開2006−291148号公報
タッチパネル硬化膜に対するフレキシブル性の要求はあったが、さらに硬化膜は表面の傷に対する耐性、塩水等による電極の腐食に対する耐性などが必要であり、表面硬度と防錆性とが求められる。これまで、表面硬度、防錆性等の電極保護性能を有し、さらにはフレキシブル性を有する感光性組成物から形成される膜について検討された例はなかった。
本発明は、所定の透明電極上に、充分な表面硬度を有し、かつフレキシブル基材に対して用いることが可能なフレキシブル性を有し、さらに薄膜であっても充分な防錆性を有する硬化膜を形成することが可能な感光性樹脂組成物及び感光性エレメントを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明者らが鋭意検討した結果、特定のバインダーポリマー、特定の光重合性化合物、及び光重合開始剤を含有する感光性樹脂組成物を用いて光硬化によって形成した膜が、薄膜の場合であっても充分な表面硬度と防錆性(耐塩水性)とを示し、銅などの金属の腐食を充分に防止できること、さらに充分なフレキシブル性を有していることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、カルボキシル基を有するバインダーポリマーと、少なくとも3つのエチレン性不飽和基を有し、下記一般式(1)で示される構造を有する光重合性化合物と、光重合開始剤と、を含有し、透明電極を有する基材上に硬化膜を形成するために用いられる、感光性樹脂組成物を提供する。
Figure 0006724299

[一般式(1)中、nは3〜12の整数を示し、mは1〜4の整数を示す。]
本発明の感光性樹脂組成物によれば、所定の透明電極上に、充分な表面硬度を有し、かつフレキシブル基材に対して用いることが可能なフレキシブル性(柔軟性)を有し、さらに薄膜(例えば、厚み20μm以下の膜)であっても充分な防錆性を有する硬化膜を形成することが可能である。また、本発明の感光性樹脂組成物は充分な現像性も有する。
本明細書において透明電極には、タッチパネルのセンシング領域にある電極だけでなく額縁領域の金属配線も含まれる。硬化膜(場合により、保護層ともいう)を設ける電極は、いずれか一方であってもよく、両方であってもよい。
上記光重合性化合物が、ペンタエリスリトール由来の骨格を有する(メタ)アクリレート化合物、ジペンタエリスリトール由来の骨格を有する(メタ)アクリレート化合物、トリメチロールプロパン由来の骨格を有する(メタ)アクリレート化合物、イソシアヌレート由来の骨格を有する(メタ)アクリレート化合物、及びグリセリン由来の骨格を有する(メタ)アクリレート化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物を含んでもよい。このような光重合性化合物を含むことにより、得られる硬化膜の防錆性をさらに向上させることができる。
400〜700nmの波長域における可視光透過率の最小値が90%以上であってもよい。可視光透過率の最小値が上記範囲にあることにより、得られる硬化膜は着色がより抑制され、透明性により優れたものとすることができる。
トリアゾール化合物、チアジアゾール化合物、及びテトラゾール化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物をさらに含有してもよい。感光性樹脂組成物がこのような化合物を含有することにより、防錆性と現像性とをより高度に両立させることができる。
上記光重合開始剤が、オキシムエステル化合物及びホスフィンオキサイド化合物からなる群より選択される少なくとも1種を含有してもよい。光重合開始剤がこれらの化合物を含有することにより、得られる硬化膜をパターン状に形成する場合の解像度の向上を図ることができる。
ところで、タッチパネルの視認性や外観を考慮すると、硬化膜の透明性はより高いことが望ましい。しかし、その一方で、透明性が高い薄膜の感光層をパターニングする場合、解像性が低下する傾向にあることを本発明者らは見出している。この原因について本発明者らは、感光層の厚みが小さくなると、基材からの光散乱の影響を受けやすく、ハレーションが発生するためと考えている。
これに対して、オキシムエステル化合物に含まれるオキシム部位又はホスフィンオキサイド化合物に含まれるホスフィンオキサイド部位が、比較的高い光分解効率を有しつつも僅かな漏れ光では分解しない適度な閾値を有するために、漏れ光による影響が抑制され、上記解像度の向上効果が得られると、本発明者らは推察する。
本発明はまた、支持フィルムと、該支持フィルム上に設けられた本発明の感光性樹脂組成物からなる感光層と、を備える、感光性エレメントを提供する。
本発明の感光性エレメントによれば、所定の透明電極上に、充分な表面硬度を有し、かつフレキシブル基材に対して用いることが可能なフレキシブル性(柔軟性)を有し、さらに薄膜(例えば、厚み20μm以下の膜)であっても充分な防錆性を有する硬化膜を形成することが可能である。
上記感光層の厚みが20μm以下であってもよい。
本発明は、所定の透明電極上に、充分な表面硬度を有し、かつフレキシブル基材に対して用いることが可能なフレキシブル性を有し、さらに薄膜であっても充分な防錆性を有する硬化膜を形成することが可能な感光性樹脂組成物及び感光性エレメントを提供することができる。
また、本発明によれば、静電容量式タッチパネルの金属電極を保護するために好適な感光性樹脂組成物及び感光性エレメントを提供することができる。更に、本発明によれば、水分、塩分等によって錆が発生しやすい銅などの金属層を形成して導電性を向上させたタッチパネルの額縁領域における電極を保護することができる。
本実施形態の感光性エレメントの一実施形態を示す模式断面図である。 (a)及び(b)は、保護膜付きタッチパネル用基材の製造方法の一実施形態を説明するための模式断面図であり、(c)は、一実施形態に係る保護膜付きタッチパネル用基材の模式断面図である。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。なお、本明細書において、「(メタ)アクリル酸」とは、「アクリル酸」又は「メタクリル酸」を意味し、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」又は「メタクリレート」を意味し、「(メタ)アクリロイル基」とは、「アクリロイル基」又は「メタクリロイル基」を意味する。また、「(ポリ)オキシエチレン鎖」は「オキシエチレン基」又は「ポリオキシエチレン基」を意味し、「(ポリ)オキシプロピレン鎖」は「オキシプロピレン基」又は「ポリオキシプロピレン基」を意味する。「A又はB」とは、AとBのどちらか一方を含んでいればよく、両方とも含んでいてもよい。また、例示材料は特に断らない限り単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の作用が達成されれば、本用語に含まれる。また本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。
更に本明細書において組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
本実施形態に係る感光性樹脂組成物は、カルボキシル基を有するバインダーポリマー(以下、(A)成分ともいう)と、少なくとも3つのエチレン性不飽和基を有し、下記一般式(1)で示される構造を有する光重合性化合物(以下、(B)成分ともいう)と、光重合開始剤(以下、(C)成分ともいう)と、を含有する。本実施形態にかかる感光性樹脂組成物は、透明電極を有する基材上に硬化膜を形成するために用いられる。
Figure 0006724299

[一般式(1)中、nは3〜12の整数を示し、mは1〜4の整数を示す。]
本実施形態に係る感光性エレメントは、支持フィルムと、上記支持フィルム上に設けられた本発明に係る感光性樹脂組成物からなる感光層と、を備える。
本実施形態に係る感光性樹脂組成物、及び感光性エレメントであれば、薄膜(例えば、厚み20μm以下の膜)で感光層を形成した場合であっても充分な表面硬度と防錆性とを示し、且つフレキシブル性を有する硬化膜を形成することができる。また、本実施形態に係る感光性樹脂組成物、及び感光性エレメントであれば、現像性及び基材への密着性を確保することができる。
カルボキシル基を有するバインダーポリマー((A)成分ともいう。)は、アクリル樹脂、フェノール樹脂、ヒドロキシスチレン樹脂等を用いることができる。
本実施形態において、(A)成分は、(a)(メタ)アクリル酸、及び(b)(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する構造単位を含有する共重合体が好適である。
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチルエステル、(メタ)アクリル酸エチルエステル、(メタ)アクリル酸ブチルエステル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルエステル、及び(メタ)アクリル酸ヒドロキシルエチルエステルが挙げられる。
上記共重合体は、更に、上記の(a)成分及び(b)成分と共重合し得るその他のモノマーを構造単位に含有していてもよい。
上記の(a)成分及び(b)成分と共重合し得るその他のモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリルエステル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸グリシジルエステル、(メタ)アクリル酸ベンジルエステル、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、アクリルアミド、アクリロニトリル、ジアセトンアクリルアミド、スチレン、及びビニルトルエンが挙げられる。
(A)成分であるバインダーポリマーの分子量は、特に制限はないが、塗工性及び塗膜強度、現像性の見地から、通常、重量平均分子量が10000〜200000であることが好ましく、30000〜150000であることがより好ましく、50000〜100000であることがさらに好ましい。本明細書において、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC)により測定され、標準ポリスチレンを用いて作成した検量線により換算された値である。
(A)成分であるバインダーポリマーの酸価は、特に制限されるものではないが、酸価が30〜120mgKOH/gであることが好ましく、75〜120mgKOH/gであることがよりに好ましく、78〜120mgKOH/gであることがさらに好ましい。バインダーポリマーの酸価が上記範囲内にある場合、上記条件を満たす(B)成分と組み合わせて用いることによる、本願発明の効果がより顕著である。
(A)成分であるバインダーポリマーの酸価は、現像工程により感光性樹脂組成物層を選択的に除去してパターンを形成する工程において、公知の各種現像液により現像可能となり、且つ、電極の硬化膜として機能させる際に水分、塩分等の腐食成分への耐性を向上させる観点から、30〜120mgKOH/gの範囲であることが好ましい。
バインダーポリマーの酸価を30〜120mgKOH/gとすることにより、水と、アルカリ金属塩と、界面活性剤とを含むアルカリ水溶液を用いて現像することができる。バインダーポリマーの酸価を30mgKOH/g以上とすることで、現像性をより向上させることが可能であり、120mgKOH/g以下とすることにより透明電極の保護膜としての性能(例えば、防錆性等)を向上させることができる。
また、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、トリエタノールアミン等のアルカリ水溶液を用いて現像する場合には、酸価を50〜120mgKOH/gとすることがより好ましい。現像性に優れる点では、50mgKOH/g以上であることが好ましく、透明電極を保護する際、水分、塩分等の腐食成分から電極を保護する観点からは、100mgKOH/g以下であることがより好ましい。
ところで、膜特性を考慮した従来の感光性樹脂組成物、及び感光性エレメントでは、通常20μmを超える厚みで感光層が形成され、このときの現像性を充分確保するために、用いる感光性樹脂組成物に含まれるバインダーポリマーの酸価を調整することが行われる。通常、酸価は140〜250mgKOH/g程度の値に設定される。このような感光性樹脂組成物を用いて、電極上に薄膜の硬化膜を形成すると、防錆性が得られにくかった。この原因を本発明者らは、薄膜の硬化膜の場合、水分、塩分等の腐食成分が膜内に含まれやすくなり、さらにこの傾向はバインダーポリマーに含まれるカルボキシル基によって大きくなるためと推察する。酸価が低すぎると、充分な現像性及び基材への密着性を確保することが困難となる傾向にあるが、バインダーポリマーの酸価を上記範囲となるように調整することにより、現像性、及び基材への密着性を確保するとともに防錆性を更に向上させることができる。更に、(B)成分と組み合わせることにより、得られる硬化膜に、防錆性、表面硬度及びフレキシブル性をより高水準で発揮させることができる。
バインダーポリマーの酸価は、次のようにして測定することができる。すなわち、まず、酸価を測定すべきポリマー1gを精秤した後、このポリマー溶液にアセトンを30g添加し、これを均一に溶解する。なお、バインダーポリマーに合成溶媒や希釈溶媒などの揮発分が含まれる場合は、予め、揮発分の沸点よりも10℃程度高い温度で1〜4時間加熱し、揮発分を除去しておく。次いで、指示薬であるフェノールフタレインをその溶液に適量添加して、0.1NのKOH水溶液を用いて滴定を行う。そして、次式により酸価を算出する。
酸価=10×Vf×56.1/(Wp×I)
式中、VfはKOH水溶液の滴定量(mL)を示し、Wpは測定したポリマー溶液の重量(g)を示し、Iは測定したポリマー溶液中の不揮発分の割合(質量%)を示す。
(A)成分であるバインダーポリマーの水酸基価は、特に制限されるものではないが、の水酸基価が50mgKOH/g以下であることが好ましい。
バインダーポリマーの水酸基価は、次のようにして測定することができる。すなわち、まず、水酸基価を測定すべきポリマー1gを精秤する。なお、バインダーポリマーに合成溶媒や希釈溶媒などの揮発分が含まれる場合は、予め、揮発分の沸点よりも10℃程度高い温度で1〜4時間加熱し、揮発分を除去しておく。精秤したバインダーポリマーに、10質量%の無水酢酸ピリジン溶液を10mL加えてこれを均一に溶解し、100℃で1時間加熱する。加熱後、水10mLとピリジン10mLを加えて100℃で10分間加熱する。その後、自動滴定機(平沼産業(株)製「COM−1700」を用いて、0.5mol/Lの水酸化カリウムのエタノール溶液により中和滴定することにより測定できる。なお、水酸基価は次式により算出できる。
水酸基価=(A−B)×f×28.05/試料(g)+酸価
式中、Aは空試験に用いた0.5mol/L水酸化カリウムエタノール溶液の量(mL)を示し、Bは滴定に用いた0.5mol/L水酸化カリウムエタノール溶液の量(mL)を示し、fはファクターを示す。
(B)成分である、光重合性化合物は、少なくとも3つのエチレン性不飽和基を有し、上記一般式(1)で示される構造を有する。
(B)成分は、下記一般式(2)で示される構造を有する化合物であることが好ましい。
Figure 0006724299
上記一般式(2)中、Xは(a+b)価の有機基を示す。Aは、水素原子、水酸基、炭素数1〜3のアルキル基、メチロール基、又はヒドロキシルエチル基を示し、Aは、エチレン性不飽和基を示し、Lは、直接結合、又はアルキレンオキシ基を示す。aは3以上の整数を示し、bは0〜3の整数を示し、(a+b)は3〜6の整数を示す。nは3〜12の整数を示し、mは1〜4の整数を示す。なお、複数存在するA、A、及びLは、それぞれ同一であっても異なってもよい。Aは、(メタ)アクリロイル基であることが好ましい。Xは、ペンタエリスリトール由来の骨格、ジペンタエリスリトール由来の骨格、トリメチロールプロパン由来の骨格、イソシアヌレート由来の骨格及びグリセリン由来の骨格のいずれかであることが好ましい。
(B)成分としては、電極腐食の抑制力及び現像容易性の観点から、ペンタエリスリトール由来の骨格を有する(メタ)アクリレート化合物、ジペンタエリスリトール由来の骨格を有する(メタ)アクリレート化合物、トリメチロールプロパン由来の骨格を有する(メタ)アクリレート化合物、イソシアヌレート由来の骨格を有する(メタ)アクリレート化合物、及びグリセリン由来の骨格を有する(メタ)アクリレート化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物を含むことが好ましく、ジペンタエリスリトール由来の骨格を有する(メタ)アクリレート化合物及びトリメチロールプロパン由来の骨格を有する(メタ)アクリレート化合物、イソシアヌレート由来の骨格を有する(メタ)アクリレート化合物から選択される少なくとも1種を含むことがより好ましい。
ここで、上記ジペンタエリスリトール由来の骨格を有する(メタ)アクリレート化合物には、アルキレンオキシ基で変性された化合物も包含される。上記ジペンタエリスリトール由来の骨格を有する(メタ)アクリレート化合物は、一分子中におけるエステル結合を有してもよく、一分子中におけるエステル結合の数が6であることが好ましいが、エステル結合の数が1〜5の化合物が混合していてもよい。
また、上記トリメチロールプロパン由来の骨格を有する(メタ)アクリレート化合物には、アルキレンオキシ基で変性された化合物も包含される。上記トリメチロールプロパン由来の骨格を有する(メタ)アクリレート化合物は、一分子中におけるエステル結合を有してもよく、一分子中におけるエステル結合の数が3であることが好ましいが、エステル結合の数が1〜2の化合物が混合していてもよい。
また、上記イソシアヌレート由来の骨格を有する(メタ)アクリレート化合物には、アルキレンオキシ基で変性された化合物も包含される。上記イソシアヌレート由来の骨格を有する(メタ)アクリレート化合物は、一分子中におけるエステル結合を有してもよく、一分子中におけるエステル結合の数が3であることが好ましいが、エステル結合の数が1〜2の化合物が混合していてもよい。
上記化合物としては、例えば、グリセリン、ジグリセリン、トリメチロールプロパントリ、テトラメチロールメタン、テトラメチロールメタン、ジペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等の多価アルコール(アルキレンオキサイド変性物を含む)のε−カプロラクトン変性物に対してα、β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物;イソシアヌル酸のアルキレンオキサイド変性物とε−カプロラクトンとから得られる多価アルコールに対してα、β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物が挙げられる。
上記化合物としては、下記一般式(3)で表されるε−カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールのアクリル酸エステル又は下記一般式(4)で表されるカプロラクトン変性トリス−(2−アクリロキシエチル)イソシアヌレートが特に好ましい。ε−カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールのアクリル酸エステルは、DPCA−20(下記一般式(3)において、Y:Y=2:4、p=1、酸価0.04mgKOH/g)、DPCA−60(下記一般式(3)において、Y:Y=6:0、p=1、酸価0.04mgKOH/g)、DPCA−120(下記一般式(3)において、Y:Y=6:0、p=2、酸価0.05mgKOH/g)(いずれも日本化薬株式会社、商品名)として商業的に入手可能である。カプロラクトン変性トリス−(2−アクリロキシエチル)イソシアヌレートは、A−9300−3CL(新中村化学工業株式会社、商品名)として商業的に入手可能である。
Figure 0006724299

[一般式(3)中、Yは、それぞれ独立に下記のY又はYの官能基を示す。
Figure 0006724299

(上記Y中、pは1又は2の整数を示す。)]
上記一般式(3)において、6個のYのうちYは2〜6個であり、Yは0〜4個であることが好ましい。
Figure 0006724299

[一般式(4)中、q、r及びsは、それぞれ0〜3の整数を示し、(q+r+s)は3である。]
(B)成分である光重合性化合物の酸価は、特に制限されるものではないが、形成する硬化膜の防錆性を向上させる観点から、5mgKOH/g以下であることが好ましい。
(B)成分の酸価は、酸価を測定すべき光重合性化合物1gを精秤した後、これらの光重合性化合物について上記バインダーポリマーの酸価の測定と同様にして測定を行うことで求められる。なお、光重合性化合物に合成溶媒や希釈溶媒などの揮発分が含まれる場合は、予め、揮発分の沸点よりも10℃程度高い温度で1〜4時間加熱し、揮発分を除去しておく。
更に、(B)成分の水酸基価は、特に制限されるものではないが、形成する硬化膜の防錆性を向上させる観点から、90mgKOH/g以下であることが好ましい。
(B)成分の水酸基価は、水酸基価を測定すべき光重合性化合物1gを精秤した後、この光重合性化合物について上記の水酸基価の測定と同様にして測定を行うことで求められる。なお、光重合性化合物に合成溶媒や希釈溶媒などの揮発分が含まれる場合は、予め、揮発分の沸点よりも10℃程度高い温度で1〜4時間加熱し、揮発分を除去しておく。
本実施形態の感光性樹脂組成物における(A)成分及び(B)成分の含有量は、(A)成分及び(B)成分の合計量100質量部に対して、(A)成分が40〜80質量部、(B)成分が20〜60質量部であることが好ましく、(A)成分が50〜70質量部、(B)成分が30〜50質量部であることがより好ましく、(A)成分が55〜65質量部、(B)成分が35〜45質量部であることがさらに好ましい。
(A)成分の含有量を上記範囲内とすることにより、感光性樹脂組成物の塗布性、あるいは感光性エレメントにおけるフィルム性を充分に確保しつつ、パターン形成を行う際の充分な感度が得られ、光硬化性、現像性、及び電極腐食の抑制力を充分に確保することができる。
本実施形態の感光性樹脂組成物は、上記(B)成分以外の光重合性化合物を含有することができる。(B)成分以外の光重合性化合物として、例えば、一官能ビニルモノマー、及び二官能ビニルモノマーからなる群より選ばれる1以上を用いることができる。
一官能ビニルモノマーとしては、例えば、上記(A)成分のバインダーポリマーの合成に用いられる好適なモノマーとして例示した(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸アルキルエステル及びそれらと共重合可能なモノマー等が挙げられる。
二官能ビニルモノマーとしては、例えば、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート(エトキシ基の数が2〜14のもの)、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート(プロピレン基の数が2〜14のもの);ビスフェノールAポリオキシエチレンジアクリレート(即ち、2,2−ビス(4−アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン)、ビスフェノールAポリオキシエチレンジメタクリレート(即ち、2,2−ビス(4−メタクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン)、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジアクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジメタクリレート等;多価カルボン酸(無水フタル酸等)と水酸基及びエチレン性不飽和基を有する物質(β−ヒドロキシエチルアクリレート、β−ヒドロキシエチルメタクリレート等)とのエステル化物が挙げられる。上記のビスフェノールAポリオキシエチレンジメタクリレートとしては、例えば、ビスフェノールAジオキシエチレンジアクリレート、ビスフェノールAジオキシエチレンジメタクリレート、ビスフェノールAトリオキシエチレンジアクリレート、ビスフェノールAトリオキシエチレンジメタクリレート、ビスフェノールAペンタオキシエチレンジアクリレート、ビスフェノールAペンタオキシエチレンジメタクリレート、ビスフェノールAデカオキシエチレンジアクリレート、ビスフェノールAデカオキシエチレンジメタクリレートなどが挙げられる。
(B)成分である光重合性化合物と、一官能ビニルモノマーや二官能ビニルモノマーを組み合わせて用いる場合、これらのモノマーの配合割合に特に制限はないが、光硬化性及び電極腐食の抑制力を得る観点から、(B)成分である光重合性化合物の割合が、感光性樹脂組成物に含まれる光重合性化合物の合計量100質量部に対して、30質量部以上であることが好ましく、50質量部以上であることがより好ましく、75質量部以上であることがさらに好ましい。
(C)成分である光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、N,N,N’,N’−テトラメチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、N,N,N’,N’−テトラエチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパノン−1等の芳香族ケトン;2−エチルアントラキノン、フェナントレンキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ベンズアントラキノン、2−フェニルアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−メチルアントラキノン、1、4−ナフトキノン、9,10−フェナントラキノン、2−メチル−1、4−ナフトキノン、2,3−ジメチルアントラキノン等のキノン類;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル化合物、ベンゾイン、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等のベンゾイン化合物;1.2−オクタンジオン、1−[4−(フェニルチオ)フェニル−、2−(O−ベンゾイルオキシム)],エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−、1−(O−アセチルオキシム)等のオキシムエステル化合物;ベンジルジメチルケタール等のベンジル誘導体;2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4、5−ジフェニルイミダゾール二量体等の2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体;9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9,9’−アクリジニル)ヘプタン等のアクリジン誘導体;N−フェニルグリシン、N−フェニルグリシン誘導体、クマリン系化合物、オキサゾール系化合物などが挙げられる。また、2つの2,4,5−トリアリールイミダゾールのアリール基の置換基は同一で対称な化合物を与えてもよいし、相違して非対称な化合物を与えてもよい。また、ジエチルチオキサントンとジメチルアミノ安息香酸の組み合わせのように、チオキサントン系化合物と3級アミン化合物とを組み合わせてもよい。
これらの中でも、形成する硬化膜の透明性が高いこと、及び薄膜(例えば、厚みが20μm以下の膜)とした場合であっても充分な解像度でパターン形成が可能であることとから、オキシムエステル化合物及びホスフィンオキサイド化合物からなる群より選択される少なくとも1種を含有することが好ましい。オキシムエステル化合物としては、下記一般式(C−1)及び一般式(C−2)で表される化合物が挙げられるが、速硬化性、透明性の観点から、下記一般式(C−1)で表される化合物が好ましい。
Figure 0006724299
上記一般式(C−1)中、Rは、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基を含む有機基、炭素数2〜12のアルカノイル基、二重結合がカルボニル基と共役していない炭素数4〜6のアルケノイル基、ベンゾイル基、炭素数2〜6のアルコキシカルボニル基又はフェノキシカルボニル基を示す。なお、本発明の効果を阻害しない限り、上記一般式(C−1)中の芳香環上に置換基を有していてもよい。
上記一般式(C−1)中、Rは炭素数1〜12のアルキル基、又は炭素数3〜20のシクロアルキル基を含む有機基であることが好ましく、炭素数3〜10のアルキル基、又は炭素数4〜15のシクロアルキル基を含む有機基であることがより好ましく、炭素数4〜8のアルキル基、又は炭素数4〜10のシクロアルキル基を含む有機基であることがさらに好ましい。
Figure 0006724299
上記一般式(C−2)中、Rは、ハロゲン原子、炭素数1〜12のアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基、ベンゾイル基、炭素数2〜12のアルカノイル基、炭素数2〜12のアルコキシカルボニル基又はフェノキシカルボニル基を示し、Rは、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基を含む有機基を示し、Rはそれぞれ独立に、ハロゲン原子、炭素数1〜12のアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基、ベンゾイル基、炭素数2〜12のアルカノイル基、炭素数2〜12のアルコキシカルボニル基、又はフェノキシカルボニル基を示し、Rは、炭素数2〜20のアルキル基又はアリーレン基を示し、p1は0〜3の整数を示す。なお、p1が2以上である場合、複数存在するRはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。なお、カルバゾール上には本発明の効果を阻害しない範囲で置換基を有していてもよい。
上記一般式(C−2)中、Rは炭素数1〜12のアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜8のアルキル基であることがより好ましく、炭素数1〜4のアルキル基であることがさらに好ましい。
上記一般式(C−2)中、Rは炭素数1〜8のアルキル基、炭素数4〜15のシクロアルキル基を含む有機基であることが好ましく、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数4〜10のシクロアルキル基であることがより好ましい。
上記一般式(C−1)で表される化合物及び一般式(C−2)で表される化合物としては、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)フェニル−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)等が挙げられる。1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)フェニル−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]は、IRGACURE−OXE01(BASFジャパン社製、商品名)として、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)は、IRGACURE−OXE02(BASFジャパン社製、商品名)として商業的に入手可能である。
上記一般式(C−1)の中でも、特に1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)フェニル−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]が極めて好ましい。
上記ホスフィンオキサイド化合物としては、下記一般式(C−3)及び一般式(C−4)で表される化合物が挙げられる。速硬化性、透明性の観点から、下記一般式(C−3)で表される化合物が好ましい。
Figure 0006724299
上記一般式(C−3)中、R、R及びRはそれぞれ独立に、炭素数1〜20のアルキル基又はアリール基を示す。一般式(C−4)中、R、R10及びR11はそれぞれ独立に、炭素数1〜20のアルキル基又はアリール基を示す。
上記一般式(C−3)におけるR、R又はRが、炭素数1〜20のアルキル基の場合、該アルキル基は直鎖状、分岐鎖状、及び環状のいずれであってもよく、また該アルキル基の炭素数は5〜10であることがより好ましい。上記一般式(C−4)におけるR、R10又はR11が炭素数1〜20のアルキル基の場合、該アルキル基は直鎖状、分岐鎖状、及び環状のいずれであってもよく、また該アルキル基の炭素数は5〜10であることがより好ましい。
上記一般式(C−3)におけるR、R又はRがアリール基の場合、該アリール基は置換基を有していてもよい。該置換基としては、例えば、炭素数1〜6のアルキル基及び炭素数1〜4のアルコキシ基を挙げることができる。上記一般式(C−4)におけるR、R10又はR11がアリール基の場合、該アリール基は置換基を有していてもよい。該置換基としては例えば、炭素数1〜6のアルキル基及び炭素数1〜4のアルコキシ基を挙げることができる。
これらの中でも、上記一般式(C−3)は、R、R及びRがアリール基であることが好ましく、一般式(C−4)で表わされる化合物は、R、R10及びR11がアリール基であることが好ましい。
上記一般式(C−3)で表わされる化合物としては、形成する硬化膜の透明性、及び薄膜(例えば、厚みが20μm以下の膜)としたときのパターン形成能から、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキサイドが好ましい。2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキサイドは、例えば、LUCIRIN−TPO(BASFジャパン社製、商品名)として商業的に入手可能である。
(C)成分である光重合開始剤の含有量は、(A)成分及び(B)成分の合計量100質量部に対して、0.1〜20質量部であることが好ましく、1〜10質量部であることがより好ましく、2〜5質量部であることがさらに好ましい。
(C)成分の含有量を上記範囲内とすることにより、光感度が充分となるとともに、露光の際に組成物の表面での吸収が増大して内部の光硬化が不充分となることや可視光透過率が低下するなどの不具合を充分に抑制することができる。
本実施形態の感光性樹脂組成物は、防錆性と現像性をより高度に両立する点から、トリアゾール化合物、チアジアゾール化合物、及びテトラゾール化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物(以下、(D)成分ともいう)をさらに含有することが好ましい。この場合、防錆性と現像性をより高度に両立することができることから、良好なパターンで防錆性を有する硬化膜を形成することができる。
上記トリアゾール化合物としては、ベンゾトリアゾール、1H−ベンゾトリアゾール−1−アセトニトリル、ベンゾトリアゾール−5−カルボン酸、1H−ベンゾトリアゾール−1−メタノール、カルボキシベンゾトリアゾール、3−メルカプトトリアゾール等のメルカプト基を含むトリアゾール化合物、3−アミノ−5−メルカプトトリアゾール等のアミノ基を含むトリアゾール化合物などが挙げられる。
上記チアジアゾール化合物としては、2−アミノ−5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール、2,1,3−ベンゾチアジアゾール等が挙げられる。
上記テトラゾール化合物としては、下記一般式(D−1)で表わされる化合物が挙げられる。
Figure 0006724299
上記一般式(D−1)中のR12及びR13は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、フェニル基、アミノフェニル基、炭素数7〜20のアルキルフェニル基、アミノ基、メルカプト基、炭素数1〜10のアルキルメルカプト基又は炭素数2〜10のカルボキシアルキル基を示す。
アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、iso−プロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基等が挙げられる。
シクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基等が挙げられる。アルキルフェニル基としては、例えば、メチルフェニル基、エチルフェニル基等が挙げられる。
アルキルメルカプト基としては、例えば、メチルメルカプト基、エチルメルカプト基等が挙げられる。カルボキシアルキル基としては、例えば、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基等が挙げられる。
上記一般式(D−1)で表されるテトラゾール化合物の具体例としては、1H−テトラゾール、5−アミノ−1H−テトラゾール、5−メチル−1H−テトラゾール、1−メチル−5−エチル−テトラゾール、1−メチル−5−メルカプト−テトラゾール、5−(2−アミノフェニル)−1H−テトラゾール、1−シクロヘキシル−5−メルカプト−テトラゾール、1−フェニル−5−メルカプト−テトラゾール、1−カルボキシメチル−5−メルカプト−テトラゾール、5−フェニル−1H−テトラゾール、1−フェニル−テトラゾール等が挙げられる。
上記一般式(D−1)で表されるテトラゾール化合物は、その水溶性塩であっても好適である。具体例としては、1−カルボキシメチル−5−メルカプト−テトラゾールのナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属塩などが挙げられる。
これらの中でも、電極腐食の抑制力、金属電極との密着性、現像容易性、透明性の観点から、1H−テトラゾール、5−アミノ−1H−テトラゾール、1−メチル−5−メルカプト−1H−テトラゾールが特に好ましい。
硬化膜(保護層)を設ける電極表面が銅、銀、ニッケル等の金属を有している場合の現像性をさらに向上させる観点から、感光性樹脂組成物はアミノ基を有するテトラゾール化合物をさらに含有することが好ましい。この場合、現像残渣を低減することができ、より良好なパターンで硬化膜を形成することが容易となる。この理由としては、アミノ基を有するテトラゾール化合物の配合によって、現像液に対する溶解性と金属との密着力のバランスが良好となることが考えられる。
アミノ基を有するテトラゾール化合物を含有する場合、上記の効果が得られることから、本実施形態に係る感光性樹脂組成物は、銅などの金属層を形成して導電性を向上させたタッチパネルの額縁領域における電極を保護するための硬化膜の形成に好適である。
本実施形態の感光性樹脂組成物における(D)成分の含有量は、(A)成分及び(B)成分の合計量100質量部に対して、0.05〜10.0質量部とすることが好ましく、0.1〜2.0質量部とすることがより好ましく、0.2〜1.0質量部とすることがさらに好ましい。
(D)成分の含有量を上記範囲内とすることにより、現像性や解像度が低下するなどの不具合を抑制しつつ、電極腐食の抑制力や金属電極との密着性を向上させる効果をより充分に得ることができる。
本実施形態の感光性樹脂組成物には、必要に応じて、シランカップリング剤等の密着性付与剤、レベリング剤、可塑剤、充填剤、消泡剤、難燃剤、安定剤、酸化防止剤、香料、熱架橋剤、重合禁止剤などを(A)成分及び(B)成分の合計量100質量部に対して、各々0.01〜20質量部程度含有させることができる。
形成する硬化膜の防錆性をより向上させる観点から、本実施形態の感光性樹脂組成物は、固形分全体の水酸基価が40mgKOH/g以下であることが好ましい。
感光性樹脂組成物の固形分全体の水酸基価は、水酸基価を測定すべき感光性樹脂組成物1gを精秤した後、この感光性樹脂組成物について上記のバインダーポリマーの水酸基価の測定と同様にして測定を行うことで求められる。なお、感光性樹脂組成物に合成溶媒や希釈溶媒などの揮発分が含まれる場合は、予め、揮発分の沸点よりも10℃程度高い温度で1〜4時間加熱し、揮発分を除去しておく。
本実施形態の感光性樹脂組成物は、可視光線透過率の最小値が90%以上であることが好ましく、92%以上であることがより好ましく、95%以上であることがさらに好ましい。この場合、センシング領域の電極を被覆する硬化膜の形成に好適である。
ここで、感光性樹脂組成物の可視光線透過率は以下のようにして求められる。まず、ガラス基板上に感光性樹脂組成物を乾燥後の厚みが5μmとなるように塗布し、これを乾燥することにより感光性樹脂組成物層を形成し、測定用試料を得る。次に、得られた測定用試料に紫外線を照射して感光性樹脂組成物層を光硬化した後、紫外可視分光光度計を用いて、測定波長域400〜700nmにおける透過率を測定する。
一般的な可視光の波長域である400〜700nmにおいて可視光線透過率の最小値が90%以上であれば、例えば、タッチパネル(タッチセンサー)の表示部分の透明電極も保護する場合や、タッチパネル(タッチセンサー)の額縁領域の金属層(例えば、ITO電極上に銅層を形成した層等)を保護したときに表示部分の端部から硬化膜(保護層)が見える場合において、表示部分での表示品質、色合い、輝度が低下することを充分抑制することができる。
本実施形態の感光性樹脂組成物は、タッチパネルの視認性を更に向上させる観点から、CIELAB表色系でのbが−0.2〜1.0であることが好ましく、−0.0〜0.7であることがより好ましく、0.1〜0.4であることがさらに好ましい。この場合、センシング領域の電極を被覆する硬化膜の形成に好適である。bが0.8以上又は−0.2以下では、可視光線透過率が90%未満である場合と同様に、表示部分での表示品質、色合いが低下する傾向がある。なお、CIELAB表色系でのbの測定は、例えばコニカミノルタ製分光測色計「CM−5」を使用し、bが0.1〜0.2である厚さ0.7mmのガラス基板に厚み5μmの感光性樹脂組成物層を形成し、紫外線を照射して感光性樹脂組成物層を光硬化した後、D65光源、視野角2°に設定して測定することにより得られる。
本実施形態に係る感光性樹脂組成物は、透明電極を有する基材上に硬化膜を形成すための使用に好適であり、静電容量方式タッチパネルの電極の保護膜としての硬化膜を形成するための使用に好適である。本実施形態に係る感光性樹脂組成物は、これを含有する硬化膜形成剤としても使用できる。硬化膜形成剤は、好ましくは、本実施形態に係る感光性樹脂組成物からなる。
本実施形態においては、上述した感光性樹脂組成物の塗布液を、直接、透明電極を有する基材上に塗布、乾燥して、感光性樹脂組成物からなる感光層を形成してもよい。塗布液は、上述した本実施形態の感光性樹脂組成物を構成する各成分を溶剤に均一に溶解又は分散することにより調製することができる。
溶剤としては、特に制限はなく、公知のものが使用でき、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、メチレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、クロロホルム、塩化メチレン等が挙げられる。
塗布方法としては、例えば、ドクターブレードコーティング法、マイヤーバーコーティング法、ロールコーティング法、スクリーンコーティング法、スピナーコーティング法、インクジェットコーティング法、スプレーコーティング法、ディップコーティング法、グラビアコーティング法、カーテンコーティング法、ダイコーティング法等が挙げられる。
乾燥条件に特に制限はないが、乾燥温度は、60〜130℃とすることが好ましく、乾燥時間は、0.5〜30分とすることが好ましい。
感光層の厚みは、電極保護に充分な効果を発揮し、かつ部分的な硬化膜形成により生じるタッチパネル(タッチセンサー)表面の段差が極力小さくなるよう、乾燥後の厚みで20μm以下であることが好ましく、0.5〜10μmであることがより好ましく、1〜5μmであることがさらに好ましい。
本実施形態においては、感光層20は、可視光線透過率の最小値が90%以上であることが好ましく、92%以上であることがより好ましく、95%以上であることがさらに好ましい。また、感光層20は、CIELAB表色系でのbが−0.2〜1.0となるよう調整されることが好ましい。
本実施形態においては、上述した感光性樹脂組成物の塗布液を、フィルム状の基材上に塗布、乾燥して、感光性樹脂組成物からなる感光層を有するフィルム(感光性エレメント)としてもよい。この用途の場合においても、感光層は上述した、膜厚、可視光線透過率、CIELAB表色系でのbの条件を満たすことが好ましい。
本実施形態に係る感光性エレメントについて、説明する。本実施形態に係る感光性エレメントは、支持フィルムと、上記支持フィルム上に設けられた本発明に係る感光性樹脂組成物からなる感光層と、を備える。図1は、本実施形態の感光性エレメントの一実施形態を示す模式断面図である。図1に示される感光性エレメント1は、支持フィルム10と、支持フィルム上に設けられた本発明に係る感光性樹脂組成物からなる感光層20と、感光層20の支持フィルム10とは反対側に設けられた保護フィルム30とからなる。感光層20の厚みは20μm以下であってもよい。
本実施形態に係る感光性エレメントは、所定の透明電極上に、充分な表面硬度を有し、かつフレキシブル基材に対して用いることが可能なフレキシブル性を有し、さらに薄膜であっても充分な防錆性を有する硬化膜を形成するために使用することができ、タッチパネル用基材の保護膜の形成に好適に用いることができる。
支持フィルム10としては、重合体フィルムを用いることができる。重合体フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエーテルサルフォン等からなるフィルムが挙げられる。
支持フィルム10の厚さは、被覆性の確保と、支持フィルムを介して露光する際の解像度の低下を抑制する観点から、5〜100μmであることが好ましく、10〜70μmであることがより好ましく、15〜60μmであることがさらに好ましい。
保護フィルム30(カバーフィルム)としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエチレン−酢酸ビニル共重合体、及びポリエチレン−酢酸ビニル共重合体とポリエチレンの積層フィルム等からなる厚さ5〜100μm程度のフィルムが挙げられる。
感光性エレメント1は、ロール状に巻いて保管し、あるいは使用できる。
次に、本実施形態に係る透明電極を有する基材上に硬化膜を形成する硬化膜の形成方法(以下、場合により、硬化膜形成方法ともいう)について説明する。本実施形態に係る硬化膜の形成方法は、透明電極を有する基材上に、上述の感光性樹脂組成物からなる感光層を設け、当該感光層の所定部分を活性光線の照射により硬化させた後に所定部分以外の感光層を除去し、上記電極の一部又は全部を被覆する上記感光性樹脂組成物の硬化物からなる硬化膜を形成することを特徴とする。なお、硬化膜の厚みが20μm以下であってもよい。硬化膜は、保護膜としても機能する。
本実施形態に係る硬化膜の形成方法によれば、上述の感光性樹脂組成物を用いることにより、現像性及び基材への密着性を確保しつつ、薄膜(例えば、20μm以下の厚み)であっても充分な表面硬度と耐塩水性を示し、フレキシブル性および防錆性を有する硬化膜を形成することができる。本実施形態に係る硬化膜の形成方法によればまた、上述の感光性樹脂組成物を用いて外観と防錆性、表面硬度、及びフレキシブル性が充分である硬化膜を形成できることから、タッチパネルの製造における製造コストの低減を図ることが可能となる。
上記硬化膜形成方法は、硬化膜付き透明基材の製造方法ともいえる。本実施形態に係る硬化膜付き透明基材の製造方法の一実施形態として、保護膜付きタッチパネル用基材の製造方法について説明する。図2は、保護膜付きタッチパネル用基材の製造方法の一実施形態を説明するための模式断面図である。
本実施形態保護膜付きタッチパネル用基材の製造方法は、透明電極を有する基材上に、上記の本実施形態に係る感光性樹脂組成物からなる感光層を設ける第1工程と、感光層の所定部分を活性光線の照射により硬化させる第2工程と、露光後に所定部分以外の感光層を除去し、電極の一部又は全部を被覆する感光性樹脂組成物の硬化物からなる保護膜を形成する第3工程とを備える。本実施形態に係る保護膜付きタッチパネル用基材の製造方法によれば、保護膜付きタッチパネル用基材(保護膜付きタッチパネルセンサー)を得ることができる。本実施形態に係る硬化膜形成方法において、上記硬化膜の厚みが20μm以下であってもよい。
本実施形態で使用される基材には特に制限はないが、透明基材であることが好ましく、一般にタッチパネル(タッチセンサー)用として用いられる基材を用いることができる。透明基材としては、例えば、白板ガラス、青板ガラス、シリカコート青板ガラス等のガラス板;ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマ等のプラスチック基板;セラミック板などの基板が挙げられる。透明基材は、400〜700nmの波長域での最小光透過率が85%以上であるものが好ましい。
上記基材上には、硬化膜を形成する対象となる透明電極が設けられる。電極としては、ITO、Cu、Al、Mo等から形成される電極、TFTなどが挙げられる。また、基板上には、絶縁層が設けられていてもよい。
図2に示される透明電極110,120を有するタッチパネル用基材100は、例えば、以下の手順で得ることができる。PETフィルム等の基材上に、ITO、Cuの順にスパッタ法により金属膜を形成した後、金属膜上にエッチング用感光性フィルムを貼り付け、所望のレジストパターンを形成し、不要なCuを塩化鉄水溶液等のエッチング液で除去した後、レジストパターンをはく離除去することで得られる。
本実施形態の第1工程では、本実施形態の感光性樹脂組成物を基材の透明電極が設けられている表面に塗布し、必要に応じて、加熱乾燥して溶媒を除去することにより感光性樹脂組成物からなる感光層を形成する(図2の(a)を参照)。
塗布方法としては、特に制限されず、ドクターブレードコーティング法、マイヤーバーコーティング法、ロールコーティング法、スクリーンコーティング法、スピナーコーティング法、インクジェットコーティング法、スプレーコーティング法、ディップコーティング法、グラビアコーティング法、カーテンコーティング法、ダイコーティング法等が挙げられる。
加熱乾燥する場合の加熱温度は、溶媒がある程度蒸発するようにしながら、感光層の構成成分が熱硬化あるいは熱分解されにくいよう、30〜200℃とすることが好ましく、40〜170℃とすることがより好ましく、60〜130℃とすることがさらに好ましい。乾燥時間は、0.5〜30分とすることが好ましい。
感光層の厚みは、用途によって異なるが、0.01〜500μm程度の範囲から選択でき、例えば、0.1〜300μm、好ましくは0.5〜100μm、さらに好ましくは1〜20μm程度である。
本実施形態においては、感光性樹脂組成物を、透明電極110,120を有する基材上に塗布、乾燥して感光層を設ける代わりに、本実施形態の感光性エレメント1の保護フィルム30を除去した後、感光性エレメントを加熱しながら、タッチパネル用基材の透明電極110,120が設けられている表面にラミネートすることで感光層20を形成することもできる。
感光層20は、上述した膜厚、可視光線透過率、CIELAB表色系でのbの条件を満たすことが好ましい。
本実施形態の第2工程では、感光層20に、フォトマスク130を介して、活性光線Lをパターン状に露光する(図2の(b)を参照)。第2工程において、感光層20に、活性光線を選択的に露光することにより潜像パターン(膜パターン)を形成し、続く第3工程で生成した潜像パターンを現像することにより所望のパターンを形成することができる。なお、図2においては、フォトマスクを利用し、パターン状の潜像を形成する例を示しているが、用途に応じて、全面露光としてもよい。
露光の際、感光層20上の支持フィルム10が透明の場合には、そのまま露光することができ、不透明の場合には除去してから露光する。感光層の保護という点からは、支持フィルムとして透明な重合体フィルムを用い、この重合体フィルムを残存させたまま、それを通して露光することが好ましい。
露光には、放射線(ガンマー線、X線など)、紫外線、可視光線などが利用でき、通常、紫外線である場合が多い。露光に用いられる活性光線の光源としては、公知の活性光源が使用でき、例えば、ディープ(Deep)UVランプ、カーボンアーク灯、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、ハロゲンランプ(例えば、キセノンランプ)、レーザー光源(ヘリウム−カドミウムレーザー、エキシマレーザーなどの光源)、LEDランプ等が挙げられ、紫外線を有効に放射するものであれば特に制限されない。
このときの、活性光線の照射量は、感光層の厚みに応じて調整することできるが、通常、5×10〜1×10J/mであり、照射の際に、加熱を伴うこともできる。この活性光線照射量が、1×10J/m未満では、光硬化の効果が不充分となる傾向があり、1×10J/mを超えると、感光層が変色する傾向がある。
本実施形態の第3工程では、露光後の感光層を現像液で現像して未露光部を除去し、電極の一部又は全部を被覆する本実施形態の感光性樹脂組成物の硬化物からなる保護膜22を形成する(図2の(c)を参照)。形成される硬化膜は所定のパターンを有することができる。形成される保護膜は、厚みが20μm以下であってもよい。
なお、露光後、感光層に支持フィルムが積層されている場合にはそれを除去した後、現像液による未露光部を除去する現像が行われる。
現像方法としては、アルカリ水溶液、水系現像液、有機溶剤等の公知の現像液を用いて、スプレー、シャワー、揺動浸漬、ブラッシング、スクラッピング等の公知の方法により現像を行い、不要部を除去する方法等が挙げられる。これらの中でも、環境、安全性の観点からアルカリ水溶液を用いることが好ましいものとして挙げられる。
アルカリ水溶液の塩基としては、水酸化アルカリ(リチウム、ナトリウム又はカリウムの水酸化物等)、炭酸アルカリ(リチウム、ナトリウム、又はカリウムの炭酸塩若しくは重炭酸塩等)、アルカリ金属リン酸塩(リン酸カリウム、リン酸ナトリウム等)、アルカリ金属ピロリン酸塩(ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム等)、水酸化テトラメチルアンモニウム、トリエタノールアミンなどが挙げられ、中でも、水酸化テトラメチルアンモニウム等が好ましいものとして挙げられる。
炭酸ナトリウムの水溶液も好ましく用いられ、例えば、20〜50℃の炭酸ナトリウムの希薄溶液(0.5〜5重量%水溶液)が好適に用いられる。
現像温度及び時間は、本実施形態の感光性樹脂組成物の現像性に合わせて調整することができる。
アルカリ水溶液中には、界面活性剤、消泡剤、現像を促進させるための少量の有機溶剤等を混入させることができる。
現像後、光硬化後の感光層に残存したアルカリ水溶液の塩基を、有機酸、無機酸又はこれらの酸水溶液を用いて、スプレー、揺動浸漬、ブラッシング、スクラッピング等の公知方法により酸処理(中和処理)することができる。
さらに、酸処理(中和処理)の後、水洗する工程を行うこともできる。
現像後、必要に応じて、露光(例えば、5×10〜5×10J/m)により、硬化物をさらに硬化させてもよい。なお、本実施形態の感光性樹脂組成物は、現像後の加熱工程なしでも金属に対して優れた密着性を示すが、必要に応じて、現像後の露光の代わりに、又は露光と合わせて、加熱処理(60〜200℃)を施してもよい。
このようにして、保護膜付きタッチパネル用基材200を得ることができる。得られる保護膜付きタッチパネル用基材は、保護膜付きタッチパネルセンサー、タッチパネル等に好適に使用できる。
本実施形態に係る硬化膜の形成方法によって得られる硬化膜(保護膜)は硬度に優れる。鉛筆硬度がH以上(例えば、H〜5H)、好ましくは2H以上(例えば、2H〜4H)であってもよく、特に、薄肉でも高い硬度を有しており、厚み10μmの鉛筆硬度がH以上(例えば、H〜4H)、好ましくは2H以上(例えば、2H〜3H)であってもよい。
(電子部品及びその製造方法)
本実施形態に係る電子部品は、本実施形態に係る硬化膜付き透明基材を備える。硬化膜付き透明基材は、透明基材上に、本実施形態に係る感光性樹脂組成物の硬化物(硬化膜等)を備えている。本実施形態に係る電子部品において、硬化膜は、例えば、保護部材(保護膜等)、絶縁部材(絶縁膜等)などとして用いることもできる。
本実施形態に係る電子部品としては、例えば、タッチパネル、液晶ディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ、太陽電池モジュール、プリント配線板及び電子ペーパが挙げられる。
以下、実施例を挙げて本発明についてより具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[バインダーポリマー溶液(A1)の作製]
撹拌機、還流冷却機、不活性ガス導入口及び温度計を備えたフラスコに、表1に示す(1)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で80℃に昇温し、反応温度を80℃±2℃に保ちながら、表1に示す(2)を4時間かけて均一に滴下した。(2)の滴下後、80℃±2℃で6時間撹拌を続けバインダーポリマーの溶液(固形分45質量%)(A1)を得た。(A1)の重量平均分子量、酸価、水酸基価、Tgを表1に示す。
[バインダーポリマー溶液(A2)〜(A4)の作製]
上記(A1)と同様にし、バインダーポリマーの溶液(固形分45質量%)(A2)〜(A4)を得た。
Figure 0006724299
重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC)によって測定し、標準ポリスチレンの検量線を用いて換算することにより導出した。GPCの条件を以下に示す。
<GPC条件>
ポンプ:日立 L−6000型((株)日立製作所製、商品名)
カラム:Gelpack GL−R420、Gelpack GL−R430、Gelpack GL−R440(以上、日立化成(株)製、商品名)
溶離液:テトラヒドロフラン
測定温度:40℃
流量:2.05mL/分
検出器:日立 L−3300型RI((株)日立製作所製、商品名)
[酸価の測定方法]
酸価は、次のようにして測定した。まず、バインダーポリマーの溶液を、130℃で1時間加熱し、揮発分を除去して、固形分を得た。そして、酸価を測定すべきポリマー1gを精秤した後、このポリマーにアセトンを30g添加し、均一に溶解した。次いで、指示薬であるフェノールフタレインをその溶液に適量添加して、0.1NのKOH水溶液を用いて滴定を行った。そして、次式により酸価を算出した。
酸価=10×Vf×56.1/(Wp×I)
式中、VfはKOH水溶液の滴定量(mL)を示し、Wpは測定した樹脂溶液の質量(g)を示し、Iは測定した樹脂溶液中の不揮発分の割合(質量%)を示す。
[水酸基価の測定方法]
水酸基は、次のようにして測定した。まず、バインダーポリマーの溶液を、130℃で1時間加熱し、揮発分を除去して、固形分を得た。そして、水酸基価を測定すべきポリマー1gを精秤した後、三角フラスコに入れ、10質量%の無水酢酸ピリジン溶液を10mL加えてこれを均一に溶解し、100℃で1時間加熱した。加熱後、水10mLとピリジン10mLを加えて100℃で10分間加熱後、自動滴定機(平沼産業(株)製、商品名:「COM−1700」を用いて、0.5mol/Lの水酸化カリウムのエタノール溶液により中和滴定することにより測定した。そして、次式により水酸基価を算出した。
水酸基価=(A−B)×f×28.05/試料(g)+酸価
式中、Aは空試験に用いた0.5mol/L水酸化カリウムエタノール溶液の量(mL)を示し、Bは滴定に用いた0.5mol/L水酸化カリウムエタノール溶液の量(mL)を示し、fはファクターを示す。
(実施例1)
[硬化膜を形成するための感光性樹脂組成物溶液(V−1)の作製]
表2に示す材料を、攪拌機を用いて15分間混合し、硬化膜を形成するための感光性樹脂組成物溶液(V−1)を作製した。(A)成分の配合量は固形分量である。
Figure 0006724299
表2中に示した成分は、下記のとおりである。
・ε−カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールのアクリル酸エステル:日本化薬(株)製、商品名「DPCA−20」
・2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキサイド:BASFジャパン(株)製、商品名「Lucirin−TPO」
・3−アミノ−5−メルカプトトリアゾール:和光純薬(株)製、商品名「AMT」
2,2’−メチレン−ビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール):川口化学(株)製、商品名「Antage W−500」
メチルエチルケトン:和光純薬(株)製
[硬化膜の作製]
透明電極を表面に有する基材上に、感光性樹脂組成物溶液(V−1)をスリットコーターを用いて均一に塗布し、90℃の熱風対流式乾燥機で1分間乾燥して溶剤を除去することで、感光性樹脂組成物からなる感光層(感光性樹脂組成物層)を形成した。得られた感光層の厚さは5μmであった。
[感光層の可視光透過率の測定]
厚さ1mmのガラス基板上に、感光性樹脂組成物溶液(V−1)をスリットコーターを用いて均一に塗布し、90℃の熱風対流式乾燥機で1分間乾燥して溶剤を除去することで、ガラス基板上に、感光層が積層された積層体を作製した。
次いで、得られた積層体の感光層に、平行光線露光機(オーク製作所(株)製、商品名「EXM1201」)を使用して、感光層側上方より露光量5×10J/mで(i線(波長365nm)における測定値)、紫外線を照射し、感光層(光硬化した硬化膜)厚5.0μmの透過率測定用試料を得た。
次いで、得られた試料を紫外可視分光光度計(日立計測器サービス(株)製、商品名「U−3310」)を使用して、測定波長域400nm〜700nmの波長域で可視光線透過率を測定した。得られた感光層の可視光線透過率は、波長700nmにおいて99%、波長550nmにおいて97%、波長400nmにおいて96%であり、良好な透過率を確保できていた。
[感光層の塩水噴霧試験(人工汗液耐性評価試験)]
感光性樹脂組成物溶液(V−1)をスパッタ銅付きポリイミドフィルム(東レフィルム加工(株)製)上にスリットコーターを用いて均一に塗布し、感光性樹脂組成物の積層体を得た。
次いで、得られた積層体の感光層に、平行光線露光機(オーク製作所(株)製、商品名「EXM1201」)を使用して、感光層側上方より露光量5×10J/mで(i線(波長365nm)における測定値)、紫外線を照射した後、100℃で30分加熱硬化し、感光層が硬化してなる厚み5.0μmの保護層が形成された人工汗液耐性評価用試料を得た。
次いで、JIS規格(Z 2371)を参考に、塩水噴霧試験機(スガ試験機(株)製、商品名「STP−90V2」)を用いて、試験槽内に前述の試料を載置し、濃度50g/Lの塩水(pH=6.7)を試験槽温度35℃、噴霧量1.5mL/時間で48時間噴霧した。噴霧終了後、塩水を拭き取って、評価用試料の表面状態を観察し、以下の評点に従って評価した。
A : 保護層表面にごくわずかな痕跡が見えるが、銅は変化なし。
B : 保護層表面に痕跡が見えるが、銅は変化なし。
C : 保護層表面に痕跡があり、かつ銅が変色する。
評価用試料の表面状態を観察したところ、保護層表面にごくわずかな痕跡が見えるが、銅は変化なく評価はAであった。
[感光層の現像残渣試験]
得られた感光性樹脂組成物をスパッタ銅付きポリイミドフィルム(東レフィルム加工(株)製)上に塗布し、感光性樹脂組成物の積層体を作製した。
上記で得られた積層体を作製後、23℃、60%の条件で24時間保管した後、活性光線透過部と活性光線遮光部が交互にパターニングされた、ライン/スペースが300μm/300μmのフォトマスクを用い、支持フィルム上にフォトマスクを載置し、平行光線露光機(オーク製作所(株)製、商品名「EXM1201」)を使用して、フォトマスク面垂直上方より露光量5×10J/mで(i線(波長365nm)における測定値)、紫外線を像的に照射した。
次いで、1.0質量%炭酸ナトリウム水溶液を用いて、30℃で40秒間スプレー現像して、感光層を選択的に除去し、硬化膜パターンを形成した。得られた硬化膜パターン付き基板の、選択的に感光層を除去した部分の基材表面状態を顕微鏡で観察し、以下の評点に従って現像残渣を評価した。
A : 基材表面に全く変化なし。
B : 基材表面の銅がわずかに変色するが、現像残渣はない。
C : 基材表面の銅がわずかに変色し、現像残渣がわずかに発生する。
D : 現像残渣が発生する。
評価用試料の表面状態を観察したところ、基材表面の銅がわずかに変色し、現像残渣がわずかに発生し、評価はBであった。
[感光層のクロスカット密着性試験]
得られた感光性樹脂組成物をスパッタ銅付きポリイミドフィルム(東レフィルム加工(株)製)上に塗布し、感光性樹脂組成物の積層体を作製した。
次いで、得られた積層体の感光層に、平行光線露光機(オーク製作所(株)製、商品名「EXM1201」)を使用して、感光層側上方より露光量5×10J/mで(i線(波長365nm)における測定値)、紫外線を照射した後、100℃で30分加熱硬化し、感光層が硬化してなる厚み5.0μmの保護層が形成されたクロスカット密着性試験用試料を得た。
次いで、JIS規格(K5400)を参考に、100マスのクロスカット試験を実施した。試験面にカッターナイフを用いて、1×1mm四方の碁盤目の切り傷を入れ、碁盤目部分にメンディングテープ#810(スリーエム(株)製)を強く圧着させ、テープの端をほぼ0°の角度でゆっくりと引き剥がした後、碁盤目の状態を観察し、以下の評点に従ってクロスカット密着性を評価した。
A : 全面積のほぼ100%が密着している。
B : 全面積のうち95%以上が密着し残っている。
C : 全面積のうち65〜95%が密着し残っている。
D : 全面積のうち35〜65%が密着し残っている。
E : 全面積のうち0〜35%が密着し残っている。
評価用試料の碁盤目の状態を観察したところ、スパッタ銅上に全面積のうちほぼ100%が密着し残っている状態で、評価はAであった。
[感光層のフレキシブル性試験]
得られた感光性樹脂組成物をスパッタ銅付きポリイミドフィルム(東レフィルム加工(株)製)上に塗布し、感光性樹脂組成物の積層体を得た。
次いで、得られた積層体の感光層に、平行光線露光機(オーク製作所(株)製、商品名「EXM1201」)を使用して、感光層側上方より露光量5×10J/mで(i線(波長365nm)における測定値)、紫外線を照射した後、100℃で30分加熱硬化し、感光層が硬化してなる厚み5.0μmの保護層が形成されたフレキシブル性評価用試料を得た。
次いで、JIS規格(K5600−5−1)を参考に、耐屈曲性試験(円筒形マンドレル法)を実施した。直径5mmのマンドレルをセットしたタイプ1の試験機(TP技研(株)製、「屈曲試験機」)に、フレキシブル性評価用試料をセットし、試験装置を1〜2秒かけてゆっくりと180度折り曲げた後、顕微鏡にて表面を観察し、ひび・割れがなければ再度同様の試験を行った。これを10回繰り返し行い、以下の評点に従ってフレキシブル性を評価した。
A : 10回試験を行なっても全面積にひび・割れがない。
B : 6〜9回の試験で全面積にひびが1〜5本程度観察される。
C : 4〜5回の試験で全面積にひび・割れが観察される。
D : 1〜3回の試験で全面積にひび・割れが観察される。
評価用試料の表面を観察したが、ひび・割れはなく評価はAであった。
[感光層の表面硬度試験]
厚さ1mmのガラス基板上に、感光性樹脂組成物溶液(V−1)をスリットコーターを用いて均一に塗布し、ガラス基板上に、感光層が積層された積層体を作製した。
次いで、得られた感光層に、平行光線露光機(オーク製作所(株)製、商品名「EXM1201」)を使用して、感光層側上方より露光量5×10J/mで(i線(波長365nm)における測定値)、紫外線を照射し、さらに感光層側上方より露光量1×10J/mで(i線(波長365nm)における測定値)紫外線を照射し、感光層(光硬化した硬化膜)厚5.0μmの表面硬度測定用試料を得た。
次いで、JIS規格(K−5600−5−4)を参考に、塗膜の表面硬度測定を実施した。手動式鉛筆引っかき試験器(コーティングテスター工業製)を用いて、荷重750g、角度45°で三菱鉛筆製引っかき試験用えんぴつを用いて測定した。試験を2回行い、2回とも傷のつかなかった最も硬い鉛筆硬度を塗膜の表面硬度とした。
評価用試料の表面を観察したところ、3Hの鉛筆では傷がつかなかった。そのため、評価用試料の表面硬度は3Hであった。
参考例2〜8)
表3(表中の数値の単位は質量部)に示す感光性樹脂組成物溶液を用いた以外は、実施例1と同様に感光性樹脂組成物を調製し、可視光透過率の測定、塩水噴霧試験、現像残渣試験、クロスカット密着性試験、フレキシブル性試験、表面硬度試験を行った。表4に示すように、実施例1及び参考例2〜8においては、透過率の測定、塩水噴霧耐性評価、クロスカット密着性、フレキシブル性試験、表面硬度試験のいずれも良好な結果であった。
Figure 0006724299
Figure 0006724299

(A)成分
・(A1):メタクリル酸/メタクリル酸メチル/アクリル酸エチル=12/58/30(質量比)、酸価78(mgKOH/g)
・(A2):メタクリル酸/メタクリル酸メチル/アクリル酸エチル=17.5/52.5/30(質量比)、酸価115(mgKOH/g)
・(A3):メタクリル酸/メタクリル酸メチル/アクリル酸ブチル/メタクリル酸ブチル=24/43.5/15/17.5(質量比)、酸価156(mgKOH/g)
(B)成分
・DPCA−20:ε−カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールのアクリル酸エステル、日本化薬(株)製、商品名、上記一般式(3)において、Y:Y=2:4、p=1、酸価0.04mgKOH/g
・DPCA−60:ε−カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールのアクリル酸エステル、日本化薬(株)製、商品名、上記一般式(3)において、Y:Y=6:0、p=1、酸価0.04mgKOH/g
・DPCA−120:ε−カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールのアクリル酸エステル、日本化薬(株)製、商品名、上記一般式(3)において、Y:Y=6:0、p=2、酸価0.05mgKOH/g
・A−9300−3CL:カプロラクトン変性トリス−(2−アクリロキシエチル)イソシアヌレート、新中村化学工業(株)製、商品名
(その他の光重合性化合物)
・UA−11:ウレタンジアクリレート、新中村化学工業(株)製、商品名
・A−DPH:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、日本化薬(株)製、商品名
・A−TMMT:ペンタエリスリトールテトラアクリレート、新中村化学工業(株)製、商品名
(C)成分
・OXE01:1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)フェニル−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]、BASFジャパン(株)製、商品名「Irgacure OXE01」
・TPO:2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキサイド、BASFジャパン(株)製、商品名「Lucirin TPO」
・Irg819:ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、BASFジャパン(株)製、商品名「Irgacure 819」
(D)成分
・AMT:3−アミノ−5−メルカプトトリアゾール、和光純薬(株)製
・HAT:5−アミノ−1H−テトラゾール、東洋紡績(株)製
(その他)
・AW−500:2,2’−メチレン−ビス(4−エチル−6−Tert−ブチルフェノール)、川口化学(株)製、商品名「Antage W−500」
(溶媒)
・MEK:メチルエチルケトン、和光純薬(株)製
・PEGMA:酢酸2−メトキシ−1−メチルエチル、和光純薬(株)製
(比較例1〜8)
表5(表中の数値の単位は質量部)に示す感光性樹脂組成物溶液を用いた以外は、実施例1と同様に感光性樹脂組成物を調製し、可視光透過率の測定、bの測定、塩水噴霧試験、現像残渣試験、クロスカット密着性試験、フレキシブル性試験、表面硬度試験を行った。
Figure 0006724299
Figure 0006724299
表6に示すように、バインダーポリマー(A4)を使用した比較例1においては、人工汗液耐性が劣る結果であった。また、光重合性化合物としてウレタンジアクリレート(新中村化学工業(株)製、商品名「UA−11」)を用いた比較例2は表面硬度が劣る結果であった。ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(新中村工業(株)製、商品名「A−DPH」)を用いた比較例3はフレキシブル性が低下する結果であった。同様にペンタエリスリトールテトラアクリレート(A−TMMT、新中村化学工業(株)製)を用いた比較例4においても、塩水噴霧耐性とフレキシブル性が劣る結果であった。
1…感光性エレメント、10…支持フィルム、20…感光層、22…保護膜、30…保護フィルム、100…タッチパネル用基材、110,120…透明電極、130…フォトマスク、200…保護膜付きタッチパネル用基材。

Claims (6)

  1. カルボキシル基を有するバインダーポリマーと、下記一般式(3)で示される光重合性化合物と、光重合開始剤と、を含有し、
    前記バインダーポリマーが、(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する構造単位からなる共重合体であり
    前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、(メタ)アクリル酸メチルエステル、(メタ)アクリル酸エチルエステル、(メタ)アクリル酸ブチルエステル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルエステル、及び(メタ)アクリル酸ヒドロキシルエチルエステルからなる群から選択される少なくとも1種であり
    前記バインダーポリマーの酸価が75〜120mgKOH/gであり
    前記バインダーポリマーの含有量が、前記バインダーポリマー及び前記光重合性化合物の合計量100質量部に対して、55〜65質量部であり、
    前記光重合性化合物の含有量が、前記バインダーポリマー及び前記光重合性化合物の合計量100質量部に対して、35〜45質量部であり、
    透明電極を有する基材上に硬化膜を形成するために用いられる、感光性樹脂組成物。
    Figure 0006724299

    [一般式(3)中、Yは、それぞれ独立に下記のY又はYの官能基を示し、
    Figure 0006724299

    前記Y中、pは1又は2の整数を示し、一般式(3)中、前記Yとして、前記Y及び前記Yを含む。]
  2. 400〜700nmの波長域における可視光透過率の最小値が90%以上である、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
  3. トリアゾール化合物、チアジアゾール化合物、及びテトラゾール化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物を更に含有する、請求項1又は2に記載の感光性樹脂組成物。
  4. 前記光重合開始剤が、オキシムエステル化合物及びホスフィンオキサイド化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物を含有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物。
  5. 支持フィルムと、該支持フィルム上に設けられた請求項1〜のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物からなる感光層と、を備える、感光性エレメント。
  6. 前記感光層の厚みが20μm以下である、請求項に記載の感光性エレメント。
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